(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】手首装着用携帯電話機保持具
(51)【国際特許分類】
H04M 1/11 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
H04M1/11 Z
(21)【出願番号】P 2019154185
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】514076308
【氏名又は名称】オリバーラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119769
【氏名又は名称】小川 清
(72)【発明者】
【氏名】皆川 裕二
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09571147(US,B1)
【文献】特開2015-104124(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1910101(KR,B1)
【文献】特開2002-116842(JP,A)
【文献】特開2016-130080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C1/00-15/08
A45F3/00
3/02
3/04
3/12
F16M1/00-13/08
H04M1/02-1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型長方形状の携帯電話機を着脱保持する携帯電話機保持部と、該保持部に接着固定する携帯電話機保持部側挿入機構と、該挿入機構の着脱が可能で2本のベルトにて手首周りに着脱可能な手首側固定機構と、から構成された携帯電話機保持具であって、
前記携帯電話機保持部は携帯電話機をその背面側から掴んで保持するためのもので、可撓性プラスチック製の2個の第1幅狭薄板を十字状に結合し、十字状にした各第1幅狭薄板の先端部をU字状に折り曲げて4個の折り曲げ部を設け、それら4個の折り曲げ部にて携帯電話機の左右、上下の4辺部を背面側から掴んで携帯電話機を保持するように構成してあり、
前記携帯電話機保持部側挿入機構は、携帯電話機長手寸法に略等しい長さで厚みが前記十字状にした第1幅狭薄板の2~3倍の厚みの可撓性プラスチック製の第2幅狭薄板を略4:5の長さ比率に分ける部分で折り曲げて全長の4/9長さ部分側を5/9長さ部分の上に折り重ね、該5/9長さ部分の外面側を前記携帯電話機保持部の十字状にした第1幅狭薄板の長い方の薄板の一方の端部に寄せて接着固定してあり、4/9長さ部分の長手方向中間部の幅方向両側表面には第2幅狭薄板の板厚の2~3倍の高さの側壁が水平部高さを第2幅狭薄板の板幅に略等しい長さとし、水平部の端から4/9長さ部分の先端方向にかけてその高さを漸減させる傾斜を設けた形状にして立設してあり、該両側壁の水平部間、傾斜部間及び傾斜部先端の壁垂直端部間には側壁上部形状に合わせて折り曲げた折り曲げ薄板を張り渡し、こうして形成した折り曲げ薄板と4/9長さ部分外表面間の第1空隙内には弾性を有するシリコンゴム製のリング状ゴムを塞がれた先端側に寄せて挿入してあり、更に、前記4/9長さ部分の外表面上には前記第1空隙内に挿入可能な幅狭スライド板が、先端を前記リング状ゴムに接触させ、後端は前記折り重ね境界部より後方に突出する長さに形成して長手方向前後にスライド可能に載置してあり、幅狭スライド板のリング状ゴム側先端部にはスライド面とは反対側にU字状に折り曲げたU字状部が形成され、該U字状部は前記第1空隙内に納まる大きさで、U字状折り曲げの折り曲げ背面部を第1空隙内の前記リング状ゴムに接触させた状態ではU字状部の略半分は第1空隙内に収まり、残り部分は第1空隙の外にはみ出る大きさに形成して第1空隙内にU字状部の略半分を収納した状態にしてあり、該状態における幅狭スライド板のU字状部から離れた部分から後方部分には逆凹状のカバーであって高さが前記2個の側壁の最高高さより低いカバーが幅方向両足部を4/9長さ部分の外面に固定した状態で幅狭スライド板を覆うように取り付けてあることを特徴とする携帯電話機保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話機保持具において、
前記手首側固定機構は、短辺内側幅を前記携帯電話機保持部側挿入機構の第2幅狭薄板を挿入できる幅にした長方形枠体を主体とし、該枠体の下面側全面は第1底面平板で塞ぎ、枠体上面側には開口の片側半分を塞ぐ水平部と塞いだ部分の端から斜め上方に伸びる傾斜部を有する傾斜部付き上面板を水平部の端部分を枠体の一方の短辺枠部分に固定取り付けし、枠体上面側の他方の短辺枠部分には幅狭上面平板を短辺枠に沿って張り渡して傾斜部付き上面板の水平部との間に前記保持部側挿入機構を挿入可能な広さの開口部を設け、前記傾斜部付き上面板の水平部下側空間には弾性を有するシリコンゴム製扁平リングを挿入し、長方形枠体の下側全面には第2底面平板を、長方形枠体の長手方向2つの短辺枠の下側位置に短辺枠に沿って取り付けた2個の間隔維持片と該2個の間隔維持片間の中間位置に該間隔維持片と平行に取り付けた間隔維持片との3個の間隔維持片の下側に接着取り付け、これにより第1、第2底面平板間に長方形枠体の幅方向に貫通する2つの通路を形成し、該状態における前記傾斜部付き上面板の水平部位置には該水平部を長方形枠体の上面に押しつけておく輪ゴムを取り付け、前記2つの通路に前記2本のベルトを貫通させて各ベルトを手首周りに巻き付けた状態で各ベルト両端部に設けた面ファスナー部にてベルト両端部を繋ぐことにより手首側固定機構を手首に装着固定できるように構成してあることを特徴とする携帯電話機保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を手首に着脱可能に装着できるようにする携帯電話機保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機を持ち運ぶ方法としては、手に持って運ぶ、鞄に入れて運ぶ、衣服のポケットに入れて運ぶ、専用ホルダーに収納して腰周りに装着して運ぶ、等が一般的である。しかし、手に持って運ぶ方法では片手が常に塞がってしまい、鞄に入れて運ぶ方法では着信音が鳴ったときの取り出しに手間がかかり、衣服のポケットに入れて運ぶ方法では服の形が変形したり、そもそも適当なポケットが衣服に無い場合があったり、腰周りに装着して運ぶ方法では腰周りにベルトのような適当な装着手段がない場合がある等の問題がある。
【0003】
こうしたことから着信音が鳴ったときに直ぐに対応でき、ポケット、腰ベルト、鞄等を必要とせず、片手が塞がることもない方法として携帯電話機を手首に装着して持ち運ぶ方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、携帯電話機を収納する空間と該空間への携帯電話機の挿入開口部を備えたホルダーケースを手首に取り付ける取付手段と、ホルダーケースの開口部に携帯電話機の脱落を防止する脱落防止手段を備えた手首部分に設ける視認性の高い携帯電話ホルダーが提案されている。しかし、この文献の場合、その脱落防止手段の構造についての詳細が説明されていない。
【0005】
また、特許文献2にはスマートフォンを着脱可能に保持する保持部と、利用者の手首部分に固定するリスト固定部と、保持部をリスト固定部に対して360度回動可能に接続する回動接続部とからなるスマートフォンホルダーが提案されている。しかし、このスマートフォンホルダーの場合、スマートフォン保持部材がネジで固定されているためスマートフォンをホルダーから外して使用したいと思ったときに取り外しが簡単にはできない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-130681号公報
【文献】実用新案登録第3190991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その課題は携帯電話機を手首に簡単に着脱可能に装着できるようにする手首装着用携帯電話機保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、薄型長方形状の携帯電話機を着脱保持する携帯電話機保持部と、該保持部に接着固定する携帯電話機保持部側挿入機構と、該挿入機構の着脱が可能で2本のベルトにて手首周りに着脱可能な手首側固定機構と、から構成された携帯電話機保持具であって、前記携帯電話機保持部は携帯電話機をその背面側から掴んで保持するためのもので、可撓性プラスチック製の2個の第1幅狭薄板を十字状に結合し、十字状にした各第1幅狭薄板の先端部をU字状に折り曲げて4個の折り曲げ部を設け、それら4個の折り曲げ部にて携帯電話機の左右、上下の4辺部を背面側から掴んで携帯電話機を保持するように構成してあり、前記携帯電話機保持部側挿入機構は、携帯電話機長手寸法に略等しい長さで厚みが前記十字状にした第1幅狭薄板の2~3倍の厚みの可撓性プラスチック製の第2幅狭薄板を略4:5の長さ比率に分ける部分で折り曲げて全長の4/9長さ部分側を5/9長さ部分の上に折り重ね、該5/9長さ部分の外面側を前記携帯電話機保持部の十字状にした第1幅狭薄板の長い方の薄板の一方の端部に寄せて接着固定してあり、4/9長さ部分の長手方向中間部の幅方向両側表面には第2幅狭薄板の板厚の2~3倍の高さの側壁が水平部高さを第2幅狭薄板の板幅に略等しい長さとし、水平部の端から4/9長さ部分の先端方向にかけてその高さを漸減させる傾斜を設けた形状にして立設してあり、該両側壁の水平部間、傾斜部間及び傾斜部先端の壁垂直端部間には側壁上部形状に合わせて折り曲げた折り曲げ薄板を張り渡し、こうして形成した折り曲げ薄板と4/9長さ部分外表面間の第1空隙内には弾性を有するシリコンゴム製のリング状ゴムを塞がれた先端側に寄せて挿入してあり、更に、前記4/9長さ部分の外表面上には前記第1空隙内に挿入可能な幅狭スライド板が、先端を前記リング状ゴムに接触させ、後端は前記折り重ね境界部より後方に突出する長さに形成して長手方向前後にスライド可能に載置してあり、幅狭スライド板のリング状ゴム側先端部にはスライド面とは反対側にU字状に折り曲げたU字状部が形成され、該U字状部は前記第1空隙内に納まる大きさで、U字状折り曲げの折り曲げ背面部を第1空隙内の前記リング状ゴムに接触させた状態ではU字状部の略半分は第1空隙内に収まり、残り部分は第1空隙の外にはみ出る大きさに形成して第1空隙内にU字状部の略半分を収納した状態にしてあり、該状態における幅狭スライド板のU字状部から離れた部分から後方部分には逆凹状のカバーであって高さが前記2個の側壁の最高高さより低いカバーが幅方向両足部を4/9長さ部分の外面に固定した状態で幅狭スライド板を覆うように取り付けてあることを特徴とする携帯電話機保持具である。
【0009】
このような構成とすれば、携帯電話機は携帯電話機保持部に簡単に着脱できる。 その携帯電話機保持部の背面側には、携帯電話機保持部側挿入機構が接着固定されているので、手首側固定機構にその携帯電話機保持部側挿入機構を着脱できる取り付けることで、携帯電話機を簡単に手首に着脱することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯電話機保持具において、前記手首側固定機構は、短辺内側幅を前記携帯電話機保持部側挿入機構の第2幅狭薄板を挿入できる幅にした長方形枠体を主体とし、該枠体の下面側全面は第1底面平板で塞ぎ、枠体上面側には開口の片側半分を塞ぐ水平部と塞いだ部分の端から斜め上方に伸びる傾斜部を有する傾斜部付き上面板を水平部の端部分を枠体の一方の短辺枠部分に固定取り付けし、枠体上面側の他方の短辺枠部分には幅狭上面平板を短辺枠に沿って張り渡して傾斜部付き上面板の水平部との間に前記保持部側挿入機構を挿入可能な広さの開口部を設け、前記傾斜部付き上面板の水平部下側空間には弾性を有するシリコンゴム製扁平リングを挿入し、長方形枠体の下側全面には第2底面平板を、長方形枠体の長手方向2つの短辺枠の下側位置に短辺枠に沿って取り付けた2個の間隔維持片と該2個の間隔維持片間の中間位置に該間隔維持片と平行に取り付けた間隔維持片との3個の間隔維持片の下側に接着取り付け、これにより第1、第2底面平板間に長方形枠体の幅方向に貫通する2つの通路を形成し、該状態における前記傾斜部付き上面板の水平部位置には該水平部を長方形枠体の上面に押しつけておく輪ゴムを取り付け、前記2つの通路に前記2本のベルトを貫通させて各ベルトを手首周りに巻き付けた状態で各ベルト両端部に設けた面ファスナー部にてベルト両端部を繋ぐことにより手首側固定機構を手首に装着固定できるように構成してあることを特徴とする携帯電話機保持具である。
【0011】
このような構成によれば、携帯電話機を保持した携帯電話機保持部を、その背面に接着固定した携帯電話機保持部側挿入機構でもって手首側固定機構に簡単に着脱できる。手首側固定機構は2本のベルトで手首に簡単に着脱できるので、携帯電話機の手首への着脱を簡単、容易に行なうことかできることになる。2本のベルトで固定するため手首側固定機構は傾いたり、旋回したりすることもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る手首装着用携帯電話機保持具1を使用して携帯電話機を手首に装着して使用している状態の例である。
【
図2】手首装着用携帯電話機保持具1の主要3部品を分離した斜視図である。
【
図3】携帯電話機保持部側挿入機構5を携帯電話機保持部4の背面側に接着固定した状態図である。
【
図4】携帯電話機保持部4で携帯電話機6を保持した状態図である。
【
図6】携帯電話機保持部側挿入機構5の平面図と断面図である。
【
図7】手首側固定機構3の外観斜視図と分解斜視図である。
【
図8】携帯電話機保持部側挿入機構5の分解説明図である。
【
図9】携帯電話機保持部4の背面側に接着固定した携帯電話機保持部側挿入機構5を手首側固定機構3に着脱可能に装着する手順の説明図である。
【
図10】携帯電話機保持部側挿入機構5を手首側固定機構3から分離する手順の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る手首装着用携帯電話機保持具1の一実施形態について図面を参照して説明する。手首装着用携帯電話機保持具1は、
図1に示すように携帯電話機をその背面側から掴んだ状態で手首に着脱可能に装着する保持具である。
図2は手首装着用携帯電話機保持具1を構成する主要3部品を分離して示した斜視図である。携帯電話機保持具1は2本のベルト2にて手首周りに固定する手首側固定機構3と、携帯電話機を保持する携帯電話機保持部4と、該携帯電話機保持部4の背面側に固定して手首側固定機構3に挿脱可能に装着する携帯電話機保持部側挿入機構5とから構成される。携帯電話機保持部側挿入機構5は、
図3に示すように携帯電話機保持部4の背面側に接着固定されている。
【0018】
携帯電話機をその背面側から掴んで保持する携帯電話機保持部4は
図2、
図3に示すように、2個の可撓性プラスチック製第1幅狭薄板41を十字状に結合し、各薄板先端部をU字状に折り曲げて4個の折り曲げ部4aを構成した十字状部品である。該4個の折り曲げ部4aにて携帯電話機の上下、左右の4辺部を背面側から掴んで、携帯電話機6を
図4のように保持する。可撓性プラスチックで製作されているため携帯電話機6の十字状保持部4への着脱は、十字状第1幅狭薄板41のU字状折り曲げ部4aを広げたり、十字状第1幅狭薄板41を曲げたりすることで簡単に行うことができる。
【0019】
図5の(a)は
図3に示した手首側固定機構3の平面図、
図5の(b)は該平面図中のA-A線に沿った断面図である。2本のベルト2は省略して描いてある。
図6の(a)は
図2に示した携帯電話機保持部側挿入機構5を下側から見た平面図、
図6の(b)は該平面図中のB-B線に沿った断面図である。これらの図と次に示す分解図により手首側固定機構3と携帯電話機保持部側挿入機構5の構成を順に詳しく説明する。
【0020】
図7の(a)は手首側固定機構3の外観斜視図、
図7の(b)はその分解斜視図である。手首側固定機構3は長方形枠体3aを主体とし、その上下面に各種部品を取り付けて構成されている。長方形枠体3aの短辺方向内幅は、携帯電話機保持部側挿入機構5を挿入できるように、該挿入機構3の幅より僅かに広くしてある。長方形枠体3aの下面側は第1底面平板3bで塞がれている。
【0021】
長方形枠体3aの上面側には、傾斜部付き上面板3cと幅狭上面平板3dが取り付けられている。傾斜部付き上面板3cは長方形枠体3aの幅に等しい幅の板で、長方形枠体3aの上面に平行な水平部31aと、その長手方向端から斜め上方に伸びる傾斜部31bを有する板である。水平部31aの長さは長方形枠体3aの開口の略半分を塞ぐ長さで、傾斜部31bの長さはその略半分である。傾斜部付き上面板3cは、水平部31aの傾斜部とは反対側端部下面を長方形枠体3aの一方の短辺枠上面に接着剤で固定してある。幅狭上面平板3dは、傾斜部付き上面板3cの水平部31aが固定された枠とは反対側の枠体上面に接着剤で固定してある。幅狭上面平板3dと傾斜部付き上面板3cの水平部31aとの間の開口には後述するように携帯電話機保持部側挿入機構5が挿入されるため、挿入可能な大きさの開口が形成されるように水平部31aと幅狭上面平板3dの板幅は調整してある。そして、取り付けた傾斜部付き上面板3cの水平部31aの下面側空間には、弾性を有するシリコンゴム製の扁平リング3eが挿入してある。
【0022】
長方形枠体3aの下面側第1底面平板3bの下側には、長手方向2個短辺枠の下側に短辺枠に沿って2個の間隔維持片3gが取り付けられ、それら2個の間隔維持片3gの中間位置には該間隔維持片3gと平行に3個目の間隔維持片3hが取り付けられている。それら3つの間隔維持片の高さ寸法は同じにしてあり、それらの下側には第1底面平板3bの平面形状と同じ平面形状の第2底面平板3fが取り付けてある。これにより第1、第2底面平板3b、3f間に長方形枠体3aの幅方向に貫通する2つの通路3iが形成されている。この2つの通路3iは、手首に巻き付ける2本のベルト2を通すためのものである。このように組み立てた最後に、該状態における前記傾斜部付き上面板3cの水平部31aを長方形枠体3a、第2底面平板3f方向に締めつけるようにして輪ゴム3jが取り付けてある。後述するように前記開口部に携帯電話機保持部側挿入機構5を挿入すると傾斜部付き上面板3cが携帯電話機保持部側挿入機構5により押し上げられて浮き上がる。この輪ゴム3jは、浮き上がった傾斜部付き上面板3cの水平部31aを長方形枠体3aの上面方向に押しつけさせるためのものである。
【0023】
図8は携帯電話機保持部側挿入機構5の分解説明図である。図中に示した保持部側挿入機構5は、
図2中に示した保持部側挿入機構5を上下反対にして見た斜視図である。保持部側挿入機構5は、図中に示した第2幅狭薄板5a、スライド板5b、2個の側壁5d、折り曲げ薄板5e、カバー5f、リング状ゴム5hの6個の部品で構成されている。
【0024】
保持部側挿入機構5は第2幅狭薄板5aをベースとし、他の部品をその上に取り付けて構成されている。第2幅狭薄板5aは、携帯電話機6の長手寸法に略等しい長さの可撓性プラスチック製の幅狭薄板を折り曲げて形成されている。薄板の厚みは携帯電話機6を背面から掴む十字状部品に使用した可撓性プラスチック板の2~3倍の厚みである。折り曲げは、長さ方向全長を略4:5の比率に分ける部分で折り曲げ、折り曲げた4/9長さ部分側を5/9長さ部分の上に折り重ねてある。この5/9長さ部分の外面側を、携帯電話機保持部4の十字状部品の長い方の第1幅狭薄板41の一方の端部に寄せて接着固定することで保持部側挿入機構5全体を携帯電話機保持部4の十字状部品の背面側に取り付ける。
【0025】
折り曲げた4/9長さ部分側の外面には、スライド板5bが長さ方向にスライド可能に載せられる。スライド板5bも可撓性プラスチック製で、厚みは第2幅狭薄板5aと同程度、幅は少し狭く形成してある。スライド板5bの先端部にはスライド面とは反対側にU字状に折り曲げたU字状部52が形成されている。このU字状部52の窪みの幅は、手首側固定機構3の第2幅狭薄板5aの端が入り込めるように、第2幅狭薄板5aの板厚の1.5倍程度にしてある。
【0026】
このスライド板5bの動きは図中の先端側部品51とカバー部品5fで規制される。先端側部品51は折り曲げた4/9長さ部分の折り曲げ先端寄り部分に取り付けられて、スライド板5bのその方向への動きを規制する。先端側部品51は図中に示す2個の側壁部品5dと折り曲げ薄板5eとで構成されている。2個の側壁部品5dは図中に示すように、壁上部に水平部と傾斜部を有する。水平部の高さはスライド板5bのU字状部52が入り込める高さで、長さは第2幅狭薄板5aの板幅に略等しくしてある。傾斜部の先端には垂直部が形成してある。2個の側壁部品5dは折り曲げた4/9長さ部分の長手方向中間部の両側表面に接着固定される。接着固定した状態におけるその内側をスライド板5bが通過できるように、2個の側壁部品5c間の間隔とスライド板5bの幅が調整してある。折り曲げ薄板5eはそのように取り付けた2個の側壁部品5cの上部水平部と傾斜部、それに先端垂直部を覆うカバーであり接着で取り付けられる。
【0027】
図6の(b)は保持部側挿入機構5の断面図である。保持部側挿入機構5の折り曲げた4/9長さ部分の長手方向中間部の両側表面上に2個の側壁部品5dを接着取り付けし、その上に折り曲げ薄板5eが接着取り付けしてある。こうして形成した折り曲げ薄板5eと4/9長さ部分外表面間の第1空隙53内には、弾性を有するシリコンゴム製のリング状ゴム5hを奥の方に寄せて挿入する。この状態でスライド板5bを、その先端U字状部52をリング状ゴム5hに接触させた状態で4/9長さ部分に乗せる。このときU字状部52の先端部は折り曲げ薄板5e下の第1空隙53内に入り込めるように2個の側壁部品5dの水平部高さと、U字状部52の形状が調整してある。且つ、リング状ゴム5hに接触する状態にスライド板5bを第1空隙53内に挿入した状態では、U字状部52の折り曲げた方の短い水平部の略1/2部分が第1空隙53の外にはみ出るように、即ち、折り曲げ薄板5eの下から外れた位置になるようにリング状ゴム5hの外径、U字状部52の形状が調整してある。このようにしてスライド板5bを設置した後、最後にスライド板5bを覆うようにカバー部品5fを取り付ける。取付けはコ字状カバー部品5fの両足下面を4/9長さ部分表面に接着固定させる。カバー部品5fはスライド板5bのスライド動作の規制と落下防止のための部品である。
【0028】
次に、
図3に示したように携帯電話機保持部4の背面側に接着固定した携帯電話機保持部側挿入機構5を2本のベルト2にて使用者の手首周りに固定した手首側固定機構3に着脱可能に装着する手順を説明する。
図9の(a)は携帯電話機保持部4の背面側に携帯電話機保持部側挿入機構5を接着取り付けした状態の挿入機構5部分の断面図と、手首側固定機構3である。携帯電話機6とベルト2は省いてある。
【0029】
最初に手首側固定機構3の前述した2つの通路3iに2本のベルト2を通す。通した各ベルト2を手首周りに巻き付けた状態で各ベルト両端部に設けた面ファスナー部にてベルト両端部を繋ぎ、手首側固定機構3を手首に固定する。携帯電話機6は
図4に示したように携帯電話機保持部4に取り付ける。携帯電話機保持部4は可撓性プラスチックで製作されているので携帯電話機保持部4の十字状第1幅狭薄板41のU字状折り曲げ部4aを広げたり、十字状幅狭薄板を曲げたりすることで簡単に取り付けることができる。
【0030】
次に、携帯電話機保持部側挿入機構5のベースである二つ折りした第2幅狭薄板5aを
図9の(b)に示すように二つ折り部分を開かせる。第2幅狭薄板5aも可撓性プラスチックで製作されているので、図中下側の4/9長さ部分に開く方向の力を与えれば開かせることができる。開かせた状態で保持部側挿入機構5の先端部、即ち、ベースである第2幅狭薄板5aの4/9長さ部分の先端を
図9の(b)に示すように手首側固定機構3の上面開口部、即ち、幅狭上面平板3dと傾斜部付き上面板3cの水平部31aとの間の開口部に差し込む。差し込みを進め、保持部側挿入機構5のスライド板5bの先端部を覆う折り曲げ薄板5e部まで押し込もうとすると手首側固定機構3の傾斜部付き上面板3cがその押し込みを阻もうとする。しかし、傾斜部付き上面板3cは水平部31aの端が長方形枠体3aの枠体上面に接着固定され、水平部31aには該傾斜部付き上面板3cを長方形枠体3aの上面に押しつけておく輪ゴム3jが取り付けてある。このため少し力を入れて保持部側挿入機構5を押しこむと、その輪ゴム3jが延びて
図10の(b)に示すように傾斜部付き上面板3cの水平部31aと傾斜部31bが傾いた形で持ち上がり、保持部側挿入機構5のスライド板5bとその先端部を覆う折り曲げ薄板5e部は開口部に浸入していく。
【0031】
図9の(b)は進入途中の図で、この状態では保持部側挿入機構5の先端は手首側固定機構3内に挿入されているリング状ゴム3eに接触しておらず、保持部側挿入機構5のスライド板5b先端部を覆う折り曲げ薄板5eは手首側固定機構3の長方形枠体3aの上面端に固定された幅狭上面平板3dに接触した状態になっている。
【0032】
図9の(d)は
図9の(c)の状態から、保持部側挿入機構5を更に手首側固定機構3の上部開口に押し込んだ状態である。押し込みを進めると押し込んだ保持部側挿入機構5の先端部が手首側固定機構3の傾斜部付き上面板3cの水平部の下面側空間に挿入してあるシリコンゴム製の扁平リング3eに接触する。接触した状態から更に押し込むと、シリコンゴム製の扁平リング3eは圧縮され、保持部側挿入機構5の先端部はシリコンゴム製の扁平リング3eから反力を受ける。その反力に抗して保持部側挿入機構5の先端部を更に押し込むと、
図9の(c)に示すように保持部側挿入機構5のスライド板5b先端部を覆う折り曲げ薄板5e全体が手首側固定機構3の上部開口に入り込む。入り込むと折り曲げ薄板5eからはみ出している手首側固定機構3のスライド板5先端のU字状部52外面が、手首側固定機構3の長方形枠体3aの上面端に固定された幅狭上面平板3dに接触した状態になる。この押し込みの際には、この幅狭上面平板3dとの接触がないように、保持部側挿入機構5を手首側固定機構3から少し離れる方向に押し傾けて押し込むようにするとよい。接触した状態で押し込むとスライド板5のU字状部52がスライド板5先端部を覆う折り曲げ薄板5eから抜ける方向に移動することがあるためである。
【0033】
このようにして押し込みを継続するとスライド板5のU字状部52の全体が
図9の(d)に示すように手首側固定機構3の上部開口に入り込んだ状態となる。この状態で保持部側挿入機構5の手首側固定機構3から離れる方向への押し傾けを止めると保持部側挿入機構5が手首側固定機構3の方向に傾きを戻し、その傾きの戻りによりスライド板5のU字状部52の開口が手首側固定機構3の幅狭上面平板3dの端に移動する。この状態になったときに手首側固定機構3の押し込みを止めると手首側固定機構3は手首側固定機構3内のシリコンゴム製の扁平リング3eから反力により押し戻され、結果として
図9の(e)に示すように手首側固定機構3の幅狭上面平板3dの端がスライド板5のU字状部52開口に入り込んだ状態となる。この状態になると手首側固定機構3から手を離しても保持部側挿入機構5は手首側固定機構3に装着、固定された状態となり手首から落下しなくなる。このようになると保持部側挿入機構5に取り付けられた携帯電話機6は手首に装着され、手首を動かしても落下せず、装着された状態を維持することになる。
【0034】
図10は、
図9の(e)のように装着した状態から保持部側挿入機構5を取り外す手順の説明図である。保持部側挿入機構5を手首側固定機構3から外すには、
図10の(a)に示すように保持部側挿入機構5のスライド板5bの後端に先端方向に向けた押し込み力を加える。すると
図10の(b)に示すようにスライド板5の先端U字状部52が折り曲げ薄板5e下部に挿入されているリング状ゴム5hを押しつぶしながら前進する。その前進によりスライド板5の先端U字状部52の開口に入り込んでいた手首側固定機構3の幅狭上面平板3dがU字状部52から抜ける。抜けた状態としてから携帯電話機保持部4を手首側固定機構3から引き抜くと、手首側固定機構3は手首側固定機構3から外れて両者は
図10の(c)に示すように分離した状態となる。分離すると保持部側挿入機構5の第2幅狭薄板5aは弾性により
図10の(d)に示すように折り曲げ部の開きが閉じた状態に戻る。携帯電話機保持部4に取り付けられていた携帯電話機6は必要に応じて取り外す。このようにスライド板5の後端部を少し押し込むだけで携帯電話機保持部4を手首に固定した手首側固定機構3から簡単に取り外すことができる。
【0035】
以上説明したように本実施形態の手首装着用携帯電話機保持具1を使用すれば、携帯電話機6を簡単に手首に装着したり、取り外したりすることができる。
【符号の説明】
【0036】
図面中、1は手首装着用携帯電話機保持具、2はベルト、3は手首側固定機構、3aは長方形枠体、3bは第1底面平板、3cは傾斜部付き上面板、3eはシリコンゴム製扁平リング、3fは第2底面平板、3gは間隔維持片、3hは間隔維持片、3iは通路、3jは輪ゴム、4は携帯電話機保持部、4aはU字状折り曲げ部、5は携帯電話機保持部側挿入機構、5aは第2幅狭薄板、5bはスライド板、5dは側壁、5eは折り曲げ薄板、5hはリング状ゴム、6は携帯電話機、31aは水平部、31bは傾斜部、41は第1幅狭薄板、5fはカバー、52はU字状部、53は第1空隙を示す。