IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンマー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図1
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図2
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図3
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図4
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図5
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図6
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図7A
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図7B
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図8
  • 特許-鱗茎野菜収穫機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】鱗茎野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/04 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A01D27/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019167708
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021040599
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 章人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝康
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕治
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108966797(CN,A)
【文献】特開2014-236681(JP,A)
【文献】実開平06-045417(JP,U)
【文献】実開平04-088218(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、
圃場に植えられた鱗茎野菜を引き抜いて、茎葉部を挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置と、
前記引抜搬送装置から前記鱗茎野菜を受け取って後上方に向けて搬送して回収するコンベアと、を備え、
前記引抜搬送装置は、前記コンベアの前方に配置されており、
前記コンベアの始端部は、前記引抜搬送装置の下方に配置されており、
前記引抜搬送装置を含む収穫部の両端は、前記走行機体の機体幅よりも幅広に設定されている、鱗茎野菜収穫機。
【請求項2】
走行機体と、
圃場に植えられた鱗茎野菜を引き抜いて、茎葉部を挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置と、を備えた鱗茎野菜収穫機であって、
前記鱗茎野菜収穫機は、前記引抜搬送装置の後方で前記鱗茎野菜を回収し、
前記引抜搬送装置を含む収穫部の両端は、前記走行機体の機体幅よりも幅広に設定されている、鱗茎野菜収穫機。
【請求項3】
前記コンベアの始端部には、前記引抜搬送装置から前記鱗茎野菜を受け取るための受継ガイドが設けられている、請求項1に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項4】
前記引抜搬送装置の下方に配置され、前記引抜搬送装置によって搬送される前記鱗茎野菜の茎葉部を切断する茎葉切断装置を備える、請求項1~3の何れか1項に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項5】
前記引抜搬送装置の後端部には、前記茎葉切断装置によって切断された茎葉部を左右外側に放出する放出ガイドが設けられている、請求項4に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項6】
前記引抜搬送装置の下方で且つ前記コンベアの前方に配置され、前記引抜搬送装置によって搬送される前記鱗茎野菜の土を掻き落す第1の土落とし装置を備える、請求項1又は3に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項7】
前記コンベアは、搬送中の前記鱗茎野菜の土を掻き落す第2の土落とし装置を備える、請求項1、3又は6に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項8】
前記引抜搬送装置の前方に配置され、前記鱗茎野菜の下方に入り込んで掘り起こす掘り起こし装置を備え、
前記掘り起こし装置の両側には、マルチの両端部の裾上げを行う裾上げ部材が前方に向けて設けられている、請求項1~7の何れか1項に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項9】
前記コンベアの後方に配置され、前記コンベアによって搬送された前記鱗茎野菜を収納するコンテナを載置する載置台を備える、請求項1、3、6又は7に記載の鱗茎野菜収穫機。
【請求項10】
前記引抜搬送装置は複数並設されて、複数条の前記鱗茎野菜を収穫する、請求項2、4、5、または8に記載の鱗茎野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニンニク、タマネギ、ラッキョウなどの鱗茎野菜を収穫する鱗茎野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、畝面に列状に植立した玉葱等を引き抜いて収穫する収穫機が開示されている。また、特許文献2には、複数条の鱗茎野菜を収穫できるように複数個の引抜搬送装置を備えた収穫機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3184788号公報
【文献】特開2016-36278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収穫機は、掘り起こした収穫物を搬送し畝面に落下させるものであり、収穫物を回収する回収部を備えていない。また、特許文献2の収穫機は、引抜搬送装置が鱗茎野菜を引き抜いてコンテナまで搬送するため、引抜搬送装置が走行機体の前下端から走行機体の後上方に向けて配置されるレイアウトである。そのため、収穫機の全高が高くなり、その結果、収穫機全体が大きくなり且つ機体バランスが悪いといった問題があった。
【0005】
本開示の目的は、全体をコンパクトにできる鱗茎野菜収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の鱗茎野菜収穫機は、走行機体と、
圃場に植えられた鱗茎野菜を引き抜いて、茎葉部を挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置と、
前記引抜搬送装置から前記鱗茎野菜を受け取って後上方に向けて搬送して回収するコンベアと、を備え、
前記引抜搬送装置は、前記コンベアの前方に配置されている。
【0007】
かかる構成によれば、鱗茎野菜を引き抜いて搬送する引抜搬送装置と、引抜搬送装置から鱗茎野菜を受け取って搬送して回収するコンベアとが前後に並べて配置されるため、引抜搬送装置が鱗茎野菜を引き抜いてコンテナまで搬送して回収する構成に比べ、鱗茎野菜収穫機の全高を低くでき、全体をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の鱗茎野菜収穫機の全体構成を示す斜視図
図2図1に示す鱗茎野菜収穫機の左側面図
図3】引抜搬送装置、肩揃え装置及び茎葉切断装置を示す斜視図
図4】引抜搬送装置、コンベア及び収穫部フレームを示す斜視図
図5】コンベア、ホッパー及びコンテナ載置台を示す斜視図
図6】リンク機構を説明するための図
図7A】収穫部を下降させた状態を示す図
図7B】収穫部を上昇させた状態を示す図
図8】他の実施形態に係る鱗茎野菜収穫機を示す斜視図
図9】他の実施形態に係る収穫部の昇降機構を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、鱗茎野菜収穫機1の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0010】
まず、図1図6を参照しながら、鱗茎野菜収穫機1の概略構造について説明する。鱗茎野菜収穫機1は、畝上又は畝無し圃場に植えられた複数条の鱗茎野菜を収穫するものである。本実施形態では、4条に植えられたニンニクGを収穫する鱗茎野菜収穫機1について説明する。なお、鱗茎野菜としては、ニンニクの他、タマネギ、ラッキョウ等が挙げられる。本実施形態では、ニンニクGは、球部Gaと茎葉部Gbとを有する。
【0011】
鱗茎野菜収穫機1は、自走可能な走行機体2に、ニンニクGを栽培している畝からニンニクGを掘り起こして収穫する収穫部3を備えている。また、鱗茎野菜収穫機1は、収穫部3で収穫されたニンニクGを搬送して回収するコンベア4を備えている。
【0012】
走行機体2は、立体枠状に形成された機体フレーム21と、機体フレーム21の両側に配置された一対の走行クローラ20,20とを備えている。走行機体2の後部右側に操縦部22が設けられている。本実施形態の鱗茎野菜収穫機1は、左右の走行クローラ20,20が畝を跨いで走行するが、これに限定されない。例えば、畝無し圃場の場合には、走行クローラ20,20が、鱗茎野菜が収穫された後の圃場の土上を走行する。
【0013】
走行機体2の後部左側にエンジン10が搭載されている。エンジン10の下前方で且つ左右の走行クローラ20の間には、エンジン10からの動力を適宜変速して左右の走行クローラ20に伝達するためのミッションケース11が配置されている。
【0014】
収穫部3は、分草装置31と、掻き込み装置32と、掘り起こし装置33と、引抜搬送装置34と、土落とし装置35と、肩揃え装置36と、茎葉切断装置37と、収穫部フレーム38とを備えている。
【0015】
分草装置31は、茎葉部Gbを上方に持ち上げてニンニクGを条ごとに分ける。掻き込み装置32は、ニンニクGの茎葉部Gbを掻き込んで引抜搬送装置34に受け渡す。掘り起こし装置33は、ニンニクGを容易に引き抜けるようにニンニクGの下方に入り込んで土を崩す。引抜搬送装置34は、掻き込み装置32から受け渡された茎葉部Gbを挟持して、挟持したニンニクGを起立姿勢のまま後上方へ向けて搬送する。土落とし装置35(第1の土落とし装置に相当)は、引抜搬送装置34により搬送されるニンニクGの球部Gaに付着している土を掻き落す。肩揃え装置36は、引抜搬送装置34により搬送されるニンニクGの球部Gaと茎葉部Gbの境界部分を肩部として、その肩部の高さを揃える。茎葉切断装置37は、肩揃え装置36に肩部が保持されているニンニクGの茎葉部Gbを、茎葉部Gbが略同じ高さで残るように切断する。
【0016】
分草装置31は、圃場に倒伏したニンニクGの茎葉部Gbを、条間を通過することで上方に持ち上げて分草する。分草装置31は、エンジン10からの動力によって縦回転するタイン31aを備え、タイン31aを回転させることでニンニクGの茎葉部Gbを上方に持ち上げる。分草装置31は、ニンニクGを条ごとに分けるために、条を挟むように5つ設けられる。本実施形態では、4条植に対して分草装置31が5つ設けられている。すなわち、N条植に対して分草装置31がN+1個設けられる。左右両側に配置された2つの分草装置31の分草ケース31bは、第1フレーム33c(後述する)に固定されている。また、中央に配置された3つの分草装置31の分草ケース31bは、左右方向に延びる上部フレーム382(後述する)に固定されている。分草装置31は、分草ケース31bを貫く分草駆動軸31cによって駆動される。
【0017】
掻き込み装置32は、エンジン10からの動力によって横回転するタイン32aを備える。掻き込み装置32は、隣り合う分草装置31の間にそれぞれ設けられている。左側の2つの掻き込み装置32は、左側の2条分のニンニクGの茎葉部Gbをまとめて左側の引抜搬送装置34に受け渡す。同様に、右側の2つの掻き込み装置32は、右側の2条分のニンニクGの茎葉部Gbをまとめて右側の引抜搬送装置34に受け渡す。掻き込み装置32は、分草駆動軸31cに固定され、分草駆動軸31cから伝達された動力によって駆動される。
【0018】
掘り起こし装置33は、掻き込み装置32の下方に配置されている。掘り起こし装置33は、エンジン10からの動力によって前後に揺動する正面視略U字状の掘り起こし刃33aと、掘り起こし刃33aに連結され且つ前後揺動可能な左右一対の支持体33b,33bとを備える。また、掘り起こし装置33は、左右一対の支持体33b,33bを前後揺動可能に支持し且つ収穫部フレーム38に固定される第1フレーム33cと、第1フレーム33cを足場として分草装置31を固定するための第2フレーム33dとを備える。支持体33bは、第1フレーム33c及び第2フレーム33dに対して回転可能に支持されており、掘り起こし刃33aを前後に揺動することができる。掘り起こし刃33aは4条分を掘り起こせる幅に形成されている。掘り起こし刃33aを土内に差し込んでニンニクGの球部Gaよりも下方に位置させ、掘り起こし刃33aを前後に揺動させながら鱗茎野菜収穫機1を前進させることで、土を崩して土壌を柔らかくし、ニンニクGを容易に引き抜けるようにしている。掘り起こし装置33は、掘り起こし刃33aの左右両側に裾上げ部材33e,33eを備えている。裾上げ部材33eは、前下方に向かって延びる棒状部材であり、前進しながら先端をマルチの下方に挿入することで、マルチの裾上げを行うものである。
【0019】
引抜搬送装置34は、掻き込み装置32の下方から後上方に向かって傾斜して配置されている。引抜搬送装置34は、茎葉部Gbを挟持して後上方へ搬送しながらニンニクGを引き抜いて、後上方へ向けて搬送する。
【0020】
引抜搬送装置34は、収穫部フレーム38に2つ並設されている。各引抜搬送装置34は、エンジン10からの動力によって回転する駆動プーリ34aと、駆動プーリ34aに従動する従動プーリ34bと、駆動プーリ34a及び従動プーリ34bに巻回される左右一対の無端搬送ベルト34cとを有する。左右一対の無端搬送ベルト34cでニンニクGの茎葉部Gbを挟持し、引抜搬送装置34の前端部でニンニクGを引き抜き、後上方へ搬送する。
【0021】
土落とし装置35は、引抜搬送装置34の下方に配置される。土落とし装置35は、収穫部フレーム38に固定されている。土落とし装置35は、エンジン10からの動力によって回転する土落とし駆動軸35aと、棒状体を放射状に配置して形成した弾性体35bとを備える。土落とし駆動軸35aの回転により弾性体35bを回転させることで、弾性体35bが引抜搬送装置34により搬送されるニンニクGの球部Gaに接触して土を掻き落す。
【0022】
肩揃え装置36は、収穫部フレーム38に2つ並設されている。各肩揃え装置36は、引抜搬送装置34を構成する無端搬送ベルト34cの下方に略水平に配置される。各肩揃え装置36は、エンジン10からの動力によって回転する複数のプーリ36aと、複数のプーリ36aに巻回される左右一対の肩揃え無端ベルト36bとを有する。肩揃え装置36は、左右一対の肩揃え無端ベルト36bを引抜搬送装置34の左右一対の無端搬送ベルト34cと同期させて駆動することで、ニンニクGの茎葉部Gbが引抜搬送装置34により引き上げられ、ニンニクGの球部Gaと茎葉部Gbの境界部分を肩部として、その肩部が肩揃え無端ベルト36bで止められ、その結果、肩部の高さが揃えられる。
【0023】
茎葉切断装置37は、肩揃え装置36の後上部に配置されている。茎葉切断装置37は、円板上の回転刃37aを備え、回転刃37aは略水平に配置される。肩揃え装置36で肩部を揃えられたニンニクGは、茎葉部Gbが略同じ高さで残るように回転刃37aで切断される。
【0024】
引抜搬送装置34の後端部には、切断した茎葉部Gbを左右外側へ放出する放出ガイド341が設けられている。放出ガイド341は、平面視において、一対の駆動プーリ34a,34aのうち左右内側の駆動プーリ34aの前方から駆動プーリ34a,34aの間を通って後方に延び、さらに左右外側の駆動プーリ34aの後方を通って左右外側へ延びる棒状部材341aを有する。棒状部材341aは上下に2本設けられている。棒状部材341aは、駆動プーリ34aの下方に配置されている。また、放出ガイド341は、2本の棒状部材341aの間で回転する突起付きホイール341bを備える。突起付きホイール341bは、駆動プーリ34aと連動して回転する。放出ガイド341は、回転する突起付きホイール341bによって茎葉部Gbを棒状部材341aに沿って搬送することができる。引抜搬送装置34に放出ガイド341を設けることで、不要となった茎葉部Gbを左右外側へ放出して、茎葉部Gbがコンベア4に落下するのを防止できる。
【0025】
収穫部フレーム38は、左右一対の側部フレーム381,381と、側部フレーム381,381の上部を連結する上部フレーム382と、側部フレーム381,381の後部を連結する後部フレーム383とを備える。側部フレーム381は、側面視で略三角形状をしている。上部フレーム382には、前述のように分草装置31及び土落とし装置35が固定されている。
【0026】
収穫部フレーム38は、コンベア4に上下に回動可能に支持されている。具体的には、側部フレーム381の下端が、コンベア4の始端部に回動自在に設けた支持部材によってコンベア4に固定されており、収穫部フレーム38は、収穫部回動支点38aを中心に回動する。
【0027】
また、収穫部フレーム38は、走行機体2に上下に回動可能に支持されている。具体的には、側部フレーム381の後端が、走行機体2の上部に回動自在に設けたリンク機構39を介して走行機体2に固定されている。リンク機構39は、収穫部フレーム38に回転可能に連結された第1リンク391と、第1リンク391と機体フレーム21に回転可能に連結された第2リンク392と、第2リンク392に回転可能に連結された第3リンク393とを備える。
【0028】
第1リンク391は、棒状部材であり、一端部が収穫部フレーム38に回転可能に連結され、他端部が第2リンク392に回転可能に連結されている。収穫部フレーム38は、第1リンク391に対して後方支点38b回りに回転する。
【0029】
第2リンク392は、T字状部材であり、T字の一側端部が第1リンク391に回転可能に連結され、T字の他側端部が機体フレーム21に回転可能に連結されている。第1リンク391は、第2リンク392に対して第1支点391a回りに回転する。第2リンク392は、機体フレーム21に対してリンク回動支点39a回りに回転する。また、第2リンク392のT字の下端部が第3リンク393に回転可能に連結されている。
【0030】
第3リンク393は棒状部材であり、一端部が第2リンク392に回転可能に連結され、他端部が油圧シリンダ394のピストンロッド先端の先端側軸体394aに回転可能に連結されている。第2リンク392は、第3リンク393に対して第2支点392a回りに回転する。第3リンク393は、先端側軸体394aに対して第3支点393a回りに回転する。
【0031】
油圧シリンダ394は、ピストンロッドが先端側軸体394aに回転可能に連結され、シリンダチューブが機体フレーム21に回転可能に連結されている。先端側軸体394aは、油圧シリンダ394に対して第4支点394b回りに回転する。油圧シリンダ394は、機体フレーム21に対してシリンダ回動支点394c回りに回転する。
【0032】
収穫部3は、収穫部フレーム38の左右両側にゲージ輪30を備えている。ゲージ輪30は、収穫部フレーム38に対して支柱30aによって高さ調整可能に取り付けられている。ゲージ輪30は、地表を走行することで、掘り起こし刃33aの負荷により収穫部3が潜り込むのを防止する。
【0033】
コンベア4は、走行機体2の前部から後上方に向かって傾斜して配置されている。また、コンベア4の始端部は、引抜搬送装置34の下方に配置されている。すなわち、平面視で引抜搬送装置34の後部とコンベア4の前部は重なるように配置されている。これにより、コンベア4は、茎葉部Gbが切断されて引抜搬送装置34から落下したニンニクGの球部Gaを後上方へ向けて搬送することができる。
【0034】
コンベア4は、左右方向に延びる複数のバー41を備えるバーコンベアである。複数のバー41は、複数の突体41aが取り付けられたバー41を所定の間隔毎に含んでおり、球部Gaを適切に後方へ搬送できるようにしている。バー41の両端は、左右一対のチェーンケース42,42に内蔵された不図示の無端チェーンに固定されている。無端チェーンは、エンジン10からの動力によって駆動する。
【0035】
コンベア4の始端部には、引抜搬送装置34から球部Gaを受け取るための受継ガイド43が設けられている。コンベア4の始端部に受継ガイド43を設けることで、引抜搬送装置34から落下したニンニクGの球部Gaを確実に受け止めて後方へ搬送することができる。受継ガイド43は、左右のチェーンケース42,42の間から前上方へ向かって延びる板状の前ガイド43aと、チェーンケース42から上方へ向かって延びる板状の横ガイド43bとを備える。また、前ガイド43aの下部には、最前方のバー41と前ガイド43aとの間の隙間を埋めるように、下ガイド43cが設けられている。下ガイド43cには、突体41aが通過できるように突体41aに対応する位置に切り欠きが設けられており、平面視で櫛状をしている。
【0036】
コンベア4の後方にはホッパー44が設けられており、コンベア4で搬送されたニンニクGの球部Gaは、ホッパー44を介して走行機体2の後方に置かれるコンテナに回収される。ホッパー44は、エンジン10と操縦部22の間に配置されている。
【0037】
コンベア4は、搬送する球部Gaに付着した土を掻き落す土落としブラシ47(第2の土落とし装置に相当)を備えてもよい。土落としブラシ47は、放射状に棒状の弾性体を配置した回転体である。本実施形態では、土落としブラシ47が2つ設けられている。土落としブラシ47は、複数のバー41で構成される搬送面からの高さを調整可能に取り付けられている。
【0038】
走行機体2の後方には、コンテナが載置されるコンテナ載置台23が設けられている。コンテナ載置台23は、左右方向に長尺な矩形状をしており、左右方向に少なくとも3つのコンテナを並べて置くことができる。ホッパー44は、コンテナ載置台23の左右方向中央に配置されている。これにより、コンテナ載置台23には、ホッパー44から球部Gaが投入されるコンテナ23aの左右両側に空のコンテナ23bと満杯となったコンテナ23cとを置くことができるため、補助者がコンテナを供給、排出を行うことで連続作業が可能となっている。
【0039】
コンベア4は、走行機体2に上下に回動可能に支持されている。具体的には、コンベア4の後端部が、機体フレーム21に立設された縦フレーム21aに対して回転可能に固定されており、コンベア回動支点45を中心に回動する。
【0040】
コンベア4の下部は、ブラケット46を介して先端側軸体394aに固定されている。これにより、油圧シリンダ394を伸縮させることで、コンベア回動支点45を中心としてコンベア4を上下に回動させることができる。
【0041】
図7Aは、畝のない圃場に植えられたニンニクGを収穫する鱗茎野菜収穫機1の側面図である。図7Bは、畝に植えられたニンニクGを収穫する鱗茎野菜収穫機1の側面図である。収穫部3及びコンベア4は、油圧シリンダ394を伸縮させることにより、図7Aに示す状態と図7Bに示す状態とに姿勢変形可能である。
【0042】
図7Aに示す状態から、油圧シリンダ394を伸ばすと、先端側軸体394aが前方に押されるため、コンベア4はコンベア回動支点45を中心として上方へ回動し、図7Bに示すようにコンベア4の前端が上昇する。また、図7Aに示す状態から、油圧シリンダ394を伸ばすと、先端側軸体394aが前方に押されるため、先端側軸体394aに連結されたリンク機構39の作用により、収穫部フレーム38は収穫部回動支点38aを中心として前方に回動する。その結果、収穫部3は、図7Bに示すように姿勢を変えることなく上昇することができる。これにより、図7Aに示す状態と図7Bに示す状態とで、ニンニクGと収穫部3の相対位置が変わらないため、分草装置31、掻き込み装置32、掘り起こし装置33、引抜搬送装置34等の各装置の位置調整をする必要がない。さらに、図7Aに示す状態と図7Bに示す状態とで、引抜搬送装置34の後端とコンベア4の前端の前後方向位置がほとんど変わらないため、収穫部3とコンベア4の間でニンニクGの受け継ぎがスムーズに行える。
【0043】
以上のように、本実施形態の鱗茎野菜収穫機1は、走行機体2と、圃場に植えられたニンニクGを引き抜いて、茎葉部Gbを挟持しながら後上方に向けて搬送する引抜搬送装置34と、引抜搬送装置34からニンニクGを受け取って後上方に向けて搬送して回収するコンベア4と、を備え、引抜搬送装置34は、コンベア4の前方に配置されている。
【0044】
この構成によれば、ニンニクGを引き抜いて搬送する引抜搬送装置34と、引抜搬送装置34からニンニクGを受け取って搬送して回収するコンベア4とが前後に並べて配置されるため、鱗茎野菜収穫機1の全高を低くでき、全体をコンパクトにできる。
【0045】
また、コンベア4の始端部には、引抜搬送装置34からニンニクGを受け取るための受継ガイド43が設けられてもよい。
【0046】
コンベア4の始端部に受継ガイド43を設けることで、コンベア4は、引抜搬送装置34から落下したニンニクGの球部Gaを確実に受け止めて後方へ搬送することができる。
【0047】
また、鱗茎野菜収穫機1は、引抜搬送装置34の下方に配置され、引抜搬送装置34によって搬送されるニンニクGの茎葉部Gbを切断する茎葉切断装置37を備えるものでもよい。
【0048】
茎葉切断装置37によって茎葉部Gbを切断することで、引抜搬送装置34から球部Gaをコンベア4に落下させることができる。
【0049】
また、引抜搬送装置34の後端部には、茎葉切断装置37によって切断された茎葉部Gbを左右外側に放出する放出ガイド341が設けられてもよい。
【0050】
放出ガイド341を設けることで、不要となった茎葉部Gbを左右外側へ放出して、茎葉部Gbがコンベア4に落下するのを防止できる。
【0051】
また、鱗茎野菜収穫機1は、引抜搬送装置34の下方で且つコンベア4の前方に配置され、引抜搬送装置34によって搬送されるニンニクGの土を掻き落す土落とし装置35を備えるものでもよい。
【0052】
この構成によれば、引抜搬送装置34からコンベア4にニンニクGを受け渡す前に付着した土を掻き落すことができる。
【0053】
また、コンベア4は、搬送中のニンニクGの土を掻き落す土落としブラシ47を備えるものでもよい。
【0054】
この構成によれば、コンテナ等に収納する前にニンニクGに付着した土を効果的に掻き落すことができる。
【0055】
また、鱗茎野菜収穫機1は、引抜搬送装置34の前方に配置され、ニンニクGの下方に入り込んで掘り起こす掘り起こし装置33を備え、掘り起こし装置33の両側には、マルチの両端部の裾上げを行う裾上げ部材33eが前方に向けて設けられているものでもよい。
【0056】
この構成によれば、マルチの両端部が掘り起こし刃33eに接触するのを防止することができる。
【0057】
また、鱗茎野菜収穫機1は、コンベア4の後方に配置され、コンベア4によって搬送されたニンニクGを収納するコンテナを載置するコンテナ載置台23を備えるものでもよい。
【0058】
コンテナ載置台23にコンテナを載置することができるため、収穫したニンニクGを容易に回収することができる。
【0059】
[他の実施形態]
(1)コンベア4は、図8に示すように、鱗茎野菜収穫機1と並走する不図示の運搬車に載置された鉄コンテナ48cに収穫物を搬送するためのリフトコンベア48を備えてもよい。
【0060】
(2)姿勢を変えることなくコンベア4と連動して収穫部3を上下に昇降させる機構としては、前述の実施形態に限定されない。収穫部3を昇降させる機構を、例えば図9に示すように、収穫部3及びコンベア4をそれぞれリンクとした平行リンクで構成してもよい。この場合、コンベア4と略平行なリンクが設けられ、このリンクは、収穫部3と縦フレーム21aにそれぞれ回転可能に支持される。この構成によれば、収穫部3は、油圧シリンダ394を伸ばすことで、図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態へ姿勢を変えることなく上昇できる。
【0061】
(3)前述の実施形態に係る鱗茎野菜収穫機1では、収穫部3の左右両端は、左右の走行クローラ20,20の内側に位置している。この鱗茎野菜収穫機1によれば、畝なし圃場の全面にニンニクGが植えられている場合、収穫部3の両側に植えられた条のニンニクGを走行クローラ20で踏み付けてしまう。そのため、引抜搬送装置34を含む収穫部3の両端は、走行機体2の機体幅、すなわち左右の走行クローラ20,20の外側端よりも幅広に設定されてもよい。これにより、収穫部3で収穫した後の地面を走行クローラ20が走行することになるので、圃場の全面に植えたニンニクGを収穫できる。例えば、6条植のニンニクGを収穫できるように、分草装置31及び掻き込み装置32を左右にそれぞれ1つずつ追加し、さらに引抜搬送装置34を1つ追加し、追加した左右両側の分草装置31よりも内側に走行クローラ20の外側端が位置するように構成すればよい。このとき、中央の引抜搬送装置34から排出される茎葉部Gbがコンベア4に落下しないように、中央の引抜搬送装置34の後端から左右何れかの後方に延びる排出用搬送ベルトが別途設けられる。
【0062】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 鱗茎野菜収穫機
2 走行機体
3 収穫部
4 コンベア
23 コンテナ載置台
31 分草装置
32 掻き込み装置
33 掘り起こし装置
34 引抜搬送装置
35 土落とし装置
36 肩揃え装置
37 茎葉切断装置
38 収穫部フレーム
39 リンク機構
43 受継ガイド
47 土落としブラシ
48 リフトコンベア
341 放出ガイド


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9