(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理方法及び人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システム
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
E02D3/12 102
(21)【出願番号】P 2020024303
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-11-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)公開日 平成31年2月25日 公開先 ITbookホールディングス株式会社のウェブサイト https://ssl4.eir-parts.net/doc/1447/tdnet/1679130/00.pdf 公開者 ITbookホールディングス株式会社 (2)公開日 平成31年2月25日 公開先 東証マザーズのウェブサイト https://www2.tse.or.jp/disc/14470/140120190225481422.pdf 公開者 ITbookホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502231096
【氏名又は名称】株式会社サムシング
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公一郎
(72)【発明者】
【氏名】庄司 英俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 なつみ
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-219166(JP,A)
【文献】特開2003-293358(JP,A)
【文献】特開2019-167751(JP,A)
【文献】特開2000-065824(JP,A)
【文献】特開2013-088116(JP,A)
【文献】特開2010-048029(JP,A)
【文献】特開2018-135696(JP,A)
【文献】実開昭60-074136(JP,U)
【文献】特開2017-194374(JP,A)
【文献】登録実用新案第3067622(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工知能(AI)に、サーバの記憶部に記憶されており、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習させることにより、不良コアを示すデータ群を生成させ、生成させた不良コアを示すデータ群を該記憶部に記憶させる学習工程と、
地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取された、判定対象の試験用コアの画像を、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像する撮像工程と、
該撮像工程を行い得られる該判定対象の試験用コアの画像データを、該サーバに送信する送信工程と、
人工知能(AI)により、該サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、該記憶部に記憶されている該不良コアを示すデータ群とを対比させ、該判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定させる解析工程と、
該解析工程における解析結果を確認する確認工程と、
を有すること、
を特徴とする人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法を行うための人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムであり、
少なくとも、地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、判定対象の試験用コアの画像データを、サーバに送信する送信装置と、該送信装置とインターネットを介して接続するサーバと、を有し、
該サーバは、
該送信装置から送られてくる該判定対象の試験用コアの画像データを受信する受信部と、
地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像のデータ群が記憶されている記憶部と、
該サーバの記憶部に記憶されている、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習し、不良コアを示すデータ群を生成し、生成した不良コアを示すデータ群を該記憶部に記憶し、且つ、該サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、該記憶部に記憶されている不良コアを示すデータ群とを対比し、該判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定する人工知能(AI)と、
を備えること、
を特徴とする人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能(AI)を用いて、地盤改良工事の工程管理を行う方法、該方法を実施するためのシステム、及びそれらに用いられる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
表層混合処理工法と呼ばれる地盤改良工事では、セメント系固化材を軟弱地盤に散布し、攪拌及び混合、転圧することにより、また、深層混合処理工法と呼ばれる地盤改良工事では、セメント系固化材と水を含有する固化材スラリーを、地中に圧送し、地中で土と撹拌混合することにより、地盤改良が行われていた。
【0003】
この地盤改良工事では、改良対象地盤へのセメント系固化材を混合及び撹拌する地盤改良工程、又は固化材スラリーの圧送及び土との撹拌混合する地盤改良工程を行った後、正常な地盤改良が行われたか否かの品質検査を行うために、ボーリングにより、改良対象地盤の試験用コアを採取し、採取した試験用コアの品質試験を行うことにより、地盤改良工事の良否を判断していた。
【0004】
品質試験を次の手順で行う。地盤改良工程の作業が終わった後、2~3日後にボーリングを行い、試験用コアを採取し、採取した試験用コアを、品質試験の試験場に送付する。その後、先ず、採取後7日後に、試験用コアの一軸圧縮試験の予備試験を行う。予備試験の結果、材齢7日での試験結果が、設計基準強度と同等以上であった場合は、採取後28日が経過するまで、試験用コアを保管し、28日後に、一軸圧縮試験の本試験を行う。そして、本試験の結果、試験用コアが良好な強度を示していた場合には、地盤改良工事が良好に行われたと最終判断する。
【0005】
ここで、予備試験を行うとき又は本試験を行うときに、試験用コアが、品質試験に適さないようなコア(不良コア)、例えば、試験体の長さを満たないクラック等が入ったコア、土塊が混ざったコア、形状をなしていないなどのようなコアであること、一軸圧縮試験が行えない。そして、試験用コアが、そのような不良コアであることが判明した場合、再度、地盤改良工事が行われた地盤のボーリングを行って、試験用コアを再採取する必要が生じる。
【0006】
そうすると、最初に試験用コアを採取してから、再採取するまでの期間、すなわち、予備試験で不良コアであることが判明した場合は7日間、本試験で不良コアであることが判明した場合28日間は、地盤改良工事に続く、建設工事等が行えないことになり、工期の遅延に繋がる。
【0007】
そのようなことから、品質試験の試験場に試験用コアを送付する前に、試験に適するコアであるか不良コアであるかを判別する必要がある。現在は、ボーリングにより試験用コアを採取してから、現場管理者や設計者が、目視やコアスケッチ等にて試験用コアの状態を確認して、試験に適するコアであるか不良コアであるかを判別している。そして、採取した試験用コアが、試験に適するコアであると判別された場合には、試験用コアを品質試験の試験場に送付し、一方、不良コアであると判別された場合には、再度ボーリングを行って試験用コアを採取する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、これまでは、試験に適するコアであるか不良コアであるかの判別を、現場管理者や設計者が目視で行っていたため、判別者によるバラツキが多く、また、試験に適するコアであるか不良コアであるかの判別を、正確に判別することは難しいため、誤った判別がなされることがあるとの問題があった。また、そのようなことから、判別者には、多大な経験が必要となるが、熟練した判別者の育成には時間がかかるため、正確な判別できる判別者が不足しているという問題もあった。
【0009】
従って、本発明の目的は、地盤改良工事の工程管理において、ボーリングにより採取した試験用コアが、試験に適するコアであるか不良コアであるかの判別を、判別者の経験に捕らわれることなく、正確に行うことができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、人工知能(AI)に、サーバの記憶部に記憶されており、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習させることにより、不良コアを示すデータ群を生成させ、生成させた不良コアを示すデータ群を該記憶部に記憶させる学習工程と、
地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取された、判定対象の試験用コアの画像を、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像する撮像工程と、
該撮像工程を行い得られる該判定対象の試験用コアの画像データを、該サーバに送信する送信工程と、
人工知能(AI)により、該サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、該記憶部に記憶されている該不良コアを示すデータ群とを対比させ、該判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定させる解析工程と、
該解析工程における解析結果を確認する確認工程と、
を有すること、
を特徴とする人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理方法を提供するものである。
【0020】
また、本発明(2)は、(1)の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法を行うための人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムであり、
少なくとも、地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、判定対象の試験用コアの画像データを、サーバに送信する送信装置と、該送信装置とインターネットを介して接続するサーバと、を有し、
該サーバは、
該送信装置から送られてくる該判定対象の試験用コアの画像データを受信する受信部と、
地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像のデータ群が記憶されている記憶部と、
該サーバの記憶部に記憶されている、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習し、不良コアを示すデータ群を生成し、生成した不良コアを示すデータ群を該記憶部に記憶し、且つ、該サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、該記憶部に記憶されている不良コアを示すデータ群とを対比し、該判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定する人工知能(AI)と、
を備えること、
を特徴とする人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、地盤改良工事の工程管理において、ボーリングにより採取した試験用コアが、試験に適するコアであるか不良コアであるかの判別を、判別者の経験に捕らわれることなく、正確に行うことができる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一の形態の撮像用治具を示す模式的な斜視図である。
【
図3】
図1中の撮像用治具の軸部25を縮めた状態の図である。
【
図4】本発明の第二の形態の撮像用治具を示す模式的な斜視図である。
【
図8】載置部56の取付形態例を示す断面図である。
【
図9】載置部56の取付形態例を示す断面図である。
【
図10】載置部56の取付形態例を示す断面図である。
【
図11】載置部56の取付形態例を示す断面図である。
【
図12】本発明の第二の他の形態の撮像用治具を示す模式的な斜視図である。
【
図13】本発明の試験用コア収納装置に係る撮像用の箱を示す模式図である。
【
図14】本発明の試験用コア収納装置の形態例を回転軸方向に切った断面図である。
【
図16】
図14中の試験用コア収納装置61を回転軸に垂直な方向に切った断面図である。
【
図17】
図14中の試験用コア収納装置61を回転軸に垂直な方向に切った断面図である。
【
図18】
図14中の試験用コア収納装置61を回転軸に垂直な方向に切った断面図である。
【
図19】
図14中の試験用コア収納装置61を回転軸に垂直な方向に切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の地盤改良工程の工程管理方法は、人工知能(AI)に、サーバの記憶部に記憶されており、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習させることにより、不良コアを示すデータ群を生成させ、生成させた不良コアを示すデータ群を該記憶部に記憶させる学習工程と、
地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取された、判定対象の試験用コアの画像を、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像する撮像工程と、
該撮像工程を行い得られる該判定対象の試験用コアの画像データを、該サーバに送信する送信工程と、
人工知能(AI)により、該サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、該記憶部に記憶されている該不良コアを示すデータ群とを対比させ、該判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定させる解析工程と、
該解析工程における解析結果を確認する確認工程と、
を有すること、
を特徴とする人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理方法である。以下、人工知能(AI)をAIと略して記載する。
【0024】
本発明の地盤改良工事の工程管理方法は、学習工程を有する。学習工程は、AIに、サーバの記憶部に記憶されている正常コアと不良コアの画像データ群を、学習データとして学習させることにより、不良コアを示すデータ群を生成させ、生成させた不良コアを示すデータ群を記憶部に記憶させる工程である。
【0025】
学習工程において、AIに学習させる画像データ群は、過去に品質試験を行うために、地盤改良工程を行った後の対象地盤をボーリングすることにより、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、試験用コアの画像であり、且つ、採取後7日後の品質試験の予備試験又は採取後28日後の品質試験の本試験のときに、品質試験に適するコアと判別された正常コアと、品質試験に適さないコアと判別された不良コアとに分類して、サーバの記憶部に記憶されている試験用コアの画像データ群である。
【0026】
学習工程において、AIの学習対象となる画像データ数は、特に制限されないが、多いほど、正確性が高くなる。また、学習工程では、AIの学習対象の画像データに、新たに撮像され且つ正常コア又は不良コアの分類がなされた試験用コアの画像データを追加するごとに、記憶部に記憶されている画像データを用いて、AIに再学習させてもよい。
【0027】
そして、学習工程では、サーバの記憶部に記憶されている正常コアと不良コアの画像データ群を、学習データとして学習させることにより、不良コアを示すデータ群を生成させ、生成させた不良コアを示すデータ群を記憶部に記憶させる。学習工程で、AIにより生成される不良コアを示すデータ群は、解析工程において、判定対象の試験用コアと対比されるデータである。
【0028】
本発明の地盤改良工事の工程管理方法は、撮像工程を有する。撮像工程は、地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取された判定対象の試験用コアを、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に、撮像する工程である。
【0029】
地盤改良工事では、地盤改良の対象の軟弱地盤に、セメント系固化材を散布し、攪拌及び混合することにより、あるいは、地盤改良の対象の地盤の地中に、固化材スラリーを圧送し、地中で土と撹拌混合することにより、地盤改良工程を行う。地盤改良工程の終了後、地盤改良が正常に行われたか否かを判定するために、ボーリングにより試験用コアを採取する。そして、判定対象の試験用コアを採取した後、採取した試験用コアを養生用のシート等に包む。
【0030】
判定対象の試験用コアの採取時期は、地盤改良工事の終了後168時間以内で、適宜選択される。そして、地盤改良工事の終了後72時間から96時間の間に、改良対象地盤から試験用コアを採取することが、試験用コアの採取の際に、試験用コアが破損し難くなる点で好ましい。また、試験用コアの採取の際に、改良対象地盤から試験用コアを破損することなく採取できるのであれば、地盤改良工事の終了直後、あるいは、地盤改良工事の終了後72時間以内に、試験用コアの採取を行うことができる。また、地盤改良工事後、品質試験のために採取した試験用コアが、不良コアであるとの結果であった場合には、再度、地盤改良工事の対象地盤から、試験用コアを採取することになるが、その場合は、地盤改良工事の終了後168時間以内に、再度の判定対象の試験用コアの採取を行う。
【0031】
そして、撮像工程では、判定対象の試験用コアを撮影する直前に、乾燥等を防ぐ目的として、試験用コアを包んでいる養生シートを剥がし、判定対象の試験用コアの画像を撮像する。
【0032】
撮像工程において、試験用コアの撮像時期であるが、地盤改良工事の終了後、少なくとも72時間経過した時であり、地盤改良工事の終了後、72時間から168時間の間で、適宜選択される。撮像工程としては、例えば、(1)地盤改良工事の終了後72時間から96時間の間に、試験用コアを採取した場合、採取直後に、例えば、試験用コアの採取後48時間以内に、試験用コアの撮像を行うことが挙げられる。また、例えば、(2)地盤改良工事の終了後72時間以内に、試験用コアを採取した場合、地盤改良工事の終了後、72時間以上が経過後に試験用コアの撮像を行うことが挙げられる。また、例えば、(3)地盤改良工事の終了後72時間から96時間の間に、試験用コアを採取し、採取直後に、例えば、試験用コアの採取後48時間以内に、試験用コアの撮像を行って撮像工程を行い、更に、送信工程、解析工程、確認工程を行った結果、不良コアと判定された場合、再度、対象地盤から試験用コアを採取し、試験用コアの撮像を行うことが挙げられる。また、例えば、(4)地盤改良工事の終了後72時間以内に、試験用コアを採取し、地盤改良工事の終了後、72時間以上が経過後に、試験用コアの撮像を行って撮像工程を行い、更に、送信工程、解析工程、確認工程を行った結果、不良コアと判定された場合、再度、対象地盤から試験用コアを採取し、試験用コアの撮像を行うことが挙げられる。
【0033】
撮像工程において、試験用コアを撮像するための撮像機器は、撮像した画像をデジタルデータとして得ることができる機器であれば、特に制限されず、デジタルカメラ、撮像機能を有するスマートフォンが挙げられる。そして、撮像機器で試験用コアを撮像することにより、判定対象の試験用コアの画像データを得る。
【0034】
本発明の地盤改良工程の工程管理方法は、送信工程を有する。送信工程は、撮像工程を行い得られる判定対象の試験用コアの画像データを、サーバに送信する工程である。
【0035】
送信工程において、判定対象の試験用コアの画像データを、サーバに送信する方法としては、特に制限されず、サーバとインターネットを介して繋がっているデスクトップ型パソコン、モバイルパソコン等の電子計算機、スマートフォンより、当該機器に保存されている画像データを、直接、サーバの記憶部に送信する方法、アップロード用のソフトを用いて、アップロード用データベースに画像データをアップロードすることにより、サーバの記憶部に画像データを送信する方法が挙げられる。
【0036】
本発明の地盤改良工事の品質管理方法は、解析工程を有する。解析工程は、 AIにより、サーバの受信部で受信した判定対象の試験用コアの画像データと、記憶部に記憶されている不良コアを示すデータ群とを対比させ、判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定させる工程である。
【0037】
解析工程では、AIが、判定対象の試験用コアにおける不良コアを示すデータ群との一致度合いを認定し、その一致度合いにより、不良コアに該当するか否かを判定する。
【0038】
本発明の地盤改良工事の工程管理方法は、確認工程を有する。確認工程は、解析工程における解析結果を確認する工程である。確認工程では、解析工程における解析結果を、サーバの送信部から、インターネットを介し、解析結果を受信するモバイルパソコン等の電子計算機、スマートフォンで受信することや、サーバによりアップロード用のデータベースにアップロードされた解析結果を、アップロードされた解析結果を取得するためのソフトを用いて、解析結果を受信するためのモバイルパソコン等の電子計算機、スマートフォンで受信することにより、解析結果の取得者が解析結果を確認する。
【0039】
そして、確認工程を行い、解析結果が、試験用コアが正常コアであるとの結果であった場合には、撮像した試験用コアを、品質試験の試験場に送付する。一方、解析結果が、試験用コアが不良コアであるとの結果であった場合には、再度、地盤改良工事が行われた地盤のボーリングを行い、新たな試験用コアを取得する。このようなことから、本発明の地盤改良工事の工程管理方法では、確認結果が不良コアであった場合には、その時点で、ボーリングによる再採取を行うことができるので、地盤改良工事の終了後、7日後の予備試験又は28日後の本試験で、試験用コアの再採取が必要であることが判明する従来の品質管理方法に比べ、試験用コアの採取が不適切であった場合の時間のロスが少なくなる。また、本発明の地盤改良工事の工程管理方法では、撮像工程を行った後、速やかに試験用コアが正常コアであるか不良コアであるかの確認ができるので、確認結果が不良コアであった場合には、その時点で、ボーリングによる再採取を行うことができるため、地盤改良工事の終了後7日以内に、7日後の予備試験用の試験コアの再採取を行うことができる。
【0040】
本発明の地盤改良工事の工程管理方法では、ボーリングにより採取した試験用コアが、品質試験に適するコアであるか否かを、判別者の経験に依存することなく判定できる。つまり、本発明の地盤改良工事の工程管理方法では、人が判定する場合に比べバラツキが少なく、且つ、判定者による誤判定を少なくできるので、試験用コアの判定を人が行っていた従来の品質管理方法に比べ、試験用コアの採取が不適切であった場合の時間のロスが少なくなる。
【0041】
本発明の地盤改良工事の工程管理方法では、ボーリングによる採取した試験用コアが、品質試験に適するコアであるか否かの判定をAIが行うため、熟練した判定者の育成が必要ない。
【0042】
本発明の地盤改良工事の品質管理方法において用いられるサーバ及びサーバに設けられているAI及び記憶部は、特に制限されない。
【0043】
本発明の地盤改良工事の品質管理方法において、撮像工程を、以下に述べる撮像用治具又は試験用コア収納装置を用いて行うことができる。
【0044】
[本発明の第一の形態の撮像用治具]
本発明の第一の形態の撮像用治具は、地盤改良工事が行われた地盤から採取された試験用コアを収める箱に取り付けられる撮像用治具であって、
該箱の1つの側壁の内側と外側とに跨るように設けられ、該1つの側壁を収納可能な収納部を有する基部と、
該基部に設けられ該1つの側壁を厚み方向に関して狭持可能なクランプ機構と、
該基部から該箱の上方に延び、伸縮可能に構成されるとともに先端部で撮像器を支持する軸部と、
該1つの側壁の上面に沿って該基部を貫通する方向に延び、該1つの側壁の上面に当接する安定化棒と、
を備える撮像用治具である。
【0045】
図1~
図3を参照して、撮像用治具の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の撮像用治具21は、地盤改良工事がなされた地盤から採取された試験用コア12を撮影するための撮像器26を箱11に取り付けるものである。箱11には、複数の試験用コア12が収納される。
【0046】
図1に示すように、箱11は、複数の試験用コア12を収納する複数の細長いスロット13と、各スロット13を取り囲む周壁14と、スロット13の底を規定する底壁15と、箱11の最も外側の外周部を取り囲む側壁16と、を有する。周壁14は、一対の長壁14Aと、一対の短壁14Bと、を有する。箱11は、上方からみて長方形に構成されている。箱11の側壁16は、長辺16Aと短辺16Bとを有する。スロット13は、短辺16B方向に横並びに設けられている。各スロット13に、細長い円柱形の試験用コア12が収納されている。試験用コア12の長手方向は、箱11の長辺16A方向に沿っている。箱11は、木製であることが通常であるが、木製以外の樹脂や金属で構成されていてもよい。
【0047】
図1~
図3に示すように、撮像用治具21は、箱11の1つの側壁16の内側と外側とに跨るように設けられるブロック状の基部22と、基部22に設けられる収納部23と、基部22に設けられ該1つの側壁16を厚み方向に関して狭持可能なクランプ機構24と、基部22から箱11の上方に延びる軸部25と、軸部25の先端に設けられ撮像器26を直接支持する支持部27と、基部22の第1面31から1つの側壁16の上面に沿って基部22を貫通する方向に延びる第1安定化棒28と、基部22の第2面32から1つの側壁16の上面に沿って基部22を貫通する方向に延びる第2安定化棒29と、を備える。
【0048】
基部22は、側方からみて略台形のブロック状をなしている。基部22は、2枚の金属製の板をボルト等の接手によって連結することで構成されてもよい。基部22は、第1面31と、第1面31と対向する第2面32と、を有する。基部22は、1つの側壁16を差し込んで収納可能な収納部23を有する。収納部23は、基部22を構成する2枚の板の一部を切り欠いて形成される。
【0049】
軸部25は、伸縮自在のロッド状をなしている。軸部25は、先端で支持部27およびそれに載置された撮像器26を支持することができる。軸部25は、基部22に設けられた固定軸33を中心に回動することができる。
図2に示すように、軸部25は、第1ねじ部34と、第2ねじ部35と、の間で回動することができる。基部22は、固定軸33を中心とする円弧状の長穴で形成された貫通孔36を有してもよい。この貫通孔36にボルト等を通して、当該ボルトで軸部25を支持することで、軸部25の角度を微調整してもよい。
【0050】
図1に示すように、支軸部25は、撮像器26を挟んで保持することが可能な可動式の爪部を有する。支持部27は、自在継手等を介して軸部25と固定されており、箱11に対する撮像器26の傾きを微調整することができる。撮像器26は、スマートフォンであってよい。撮像器26は、スマートフォンに限定されるものではなく、それ以外の撮像器であるコンパクトデジタルカメラやフィルム式のコンパクトカメラであってもよい。
【0051】
図2に示すように、収納部23は、第1面31と第2面32とを貫通するように設けられた切り欠きとして形成される。収納部23の内側に1つの側壁16を収納することができる。
【0052】
クランプ機構24は、箱11の内側に差し込まれる一対の差込棒38と、箱11の外側に設けられ1つの側壁16を押圧するシリンダー部41と、を有する。一対の差込棒38は、基部22に厚み方向に関して互いに離間した位置に設けられる。差込棒38のそれぞれは、上下方向に延びており、箱11の1つの側壁16の内面に沿って配置される。差込棒38の先端部は、箱11の底壁15に当接してもよい。差込棒38およびシリンダー部41は、金属材料等によって形成されることが好ましい。
【0053】
シリンダー部41は、ねじ式のシリンダーで構成され、ねじ部を回転することで1つの側壁16に対して近づいたり離れたりすることができる。クランプ機構24は、差込棒38とシリンダー部41との間に1つの側壁16を挟み込むことで、1つの側壁16を狭持することができる。基部22は、クランプ機構24によって箱11の一つの側壁16に対して安定的に固定される。シリンダー部41は、金属材料等によって形成されることが好ましい。
【0054】
第1安定化棒28は、収納部23の縁部に隣接して設けられている。第1安定化棒28は、収納部23の縁部に対して挟み込みによる方式で基部22に固定されているが、第1安定化棒28の基部22への固定方法はこれに限られるものではない。第1安定化棒28は、基部22に対して溶接や貫通穴に対する差込み等で固定されていてもよい。第1安定化棒28は、横方向に延びており、1つの側壁16の上面に当接することができる。第1安定化棒28は、金属材料等によって形成されることが好ましい。
【0055】
第2安定化棒29は、第1安定化棒28とは反対方向に突出するように設けられている。第2安定化棒29は、収納部23の縁部に隣接して設けられている。第2安定化棒29の固定方法は第1安定化棒28の固定方法と同様である。第2安定化棒29は、横方向に延びており、1つの側壁16の上面に当接することができる。第2安定化棒29は、金属材料等によって形成されることが好ましい。なお、本実施形態では、第1安定化棒28と第2安定化棒29とを別体に構成しているが、安定化棒の構成はこれに限られるものではない。基部22を貫通するように1つの安定化棒を設け、この一つの安定化棒を一つ側壁16の上面に当接させることで、第1安定化棒28および第2安定化棒29の役割を一つの安定化棒に担わせてもよい。
【0056】
本実施形態の撮像用治具21の作用について説明する。本実施形態の撮像用治具21は、クランプ機構24によって簡単に箱11に対して固定することができる。また、クランプ機構24によって箱11に対して強固に固定されるために、側壁16の厚み方向に関して撮像器26がぶれてしまうことがない。さらに、第1安定化棒28および第2安定化棒29によって基部22の傾きが安定的に維持されるために、撮像器26が側壁16の延びている方向に関してぶれてしまうことがない。この結果、試験用コア12の撮影をぶれなく行うことができ、試験用コア12の高解像度の画像を取得することができる。
【0057】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。撮像用治具21は、地盤改良工事が行われた地盤から採取された試験用コア12を収める箱11に取り付けられる撮像用治具であって、箱11の1つの側壁16の内側と外側とに跨るように設けられ、1つの側壁16を収納可能な収納部23を有する基部22と、基部22に設けられ1つの側壁16を厚み方向に関して狭持可能なクランプ機構24と、基部22から箱11の上方に延び、伸縮可能に構成されるとともに先端部で撮像器26を支持する軸部25と、1つの側壁16の上面に沿って基部22を貫通する方向に延び、1つの側壁16の上面に当接する安定化棒と、を備える。
【0058】
この構成によれば、側壁16の厚み方向に関して、クランプ機構24がしっかりと基部22を側壁16に固定できるために、撮像時に撮像器26が側壁16の厚み方向にぶれてしまうことがない。また、側壁16の延びている方向(基部22を貫通する方向)に関して、安定化棒が側壁16の上面に当接できるために、撮像時に撮像器26が側壁16の延びている方向にぶれてしまうことがない。これらの構造によって、撮像時に撮像器26がぶれてしまうことがなく、高解像度の画像を撮像することができる。
【0059】
この場合、安定化棒は、基部22を間に挟んだ両側で該1つの側壁16の上面に沿って設けられる。この構成によれば、基部22の両側に安定化棒が配置されるため、撮像時の安定性をさらに向上することができる。これによって、より高解像度の画像を撮像することができる。
【0060】
[本発明の第2の形態の撮像用治具]
本発明の第2の形態の撮像用治具は、地盤改良工事が行われた地盤から採取された複数の試験用コアを収める複数のスロットが短辺方向に横並びに設けられた箱に取り付けられる撮像用治具であって、
該箱と対向するとともに撮像器が固定された櫓部と、
該櫓部に設けられた複数の関節部と、
該複数の関節部から延びる複数の脚部であって、該複数の関節部を介して該櫓部に対して該箱の短辺方向に回動可能に構成されるとともに、該複数のスロットの周壁の内側に差し込まれることで該箱に対して起立可能であり、該短辺方向における外側に位置する該スロットの周壁の内側に差し込むことで該櫓部と該箱との距離を短くし、該短辺方向における内側に位置する該スロットの周壁の内側に差し込むことで該櫓部と該箱との距離を長くすることが可能である複数の脚部と、
を備える撮像用治具である。
【0061】
図4~
図12を参照して、撮像用治具51の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の撮像用治具51は、地盤改良工事がなされた地盤から採取された試験用コア12を撮影するための撮像器26を箱11に取り付けるものである。箱11には、試験用コア12が収納されている。箱11および複数の試験用コア12の形態は、第1実施形態と同様である。
【0062】
図4に示すように、撮像用治具51は、箱11と対向するとともに撮像器26が固定された櫓部52と、櫓部52に設けられた複数の関節部53と、複数の関節部53から箱11に向けて延びる複数の脚部54と、を備える。
【0063】
櫓部52は、上方から見て長方形をなすように棒状のフレームを四角に枠組みして形成された枠部55と、枠部55上に固定された平板状の載置部56と、を有する。枠部55は、金属材料等によって形成されることが好ましい。
【0064】
図6~
図8に示すように、載置部56は、貫通穴57Aが設けられた載置板57と、載置板57上をスライド移動できる一対のスライド片58と、を含む。載置板57には、撮像器26を載置することができる。撮像器26は、第1実施形態と同様の構成を有する。一対のスライド片58のそれぞれは、略「L」字状断面を有する。一対のスライド片58のそれぞれは、載置板57に形成された図示しないレール上をスライド移動(進退移動)することができる。一対のスライド片58は、それらの間に撮像器26(スマートフォン)を間に挟んで保持することができる。
【0065】
図7に示すように、撮像器26の設置位置は任意であり、載置板57上の任意の位置に撮像器26を載置できる。一対のスライド片58は、撮像器26の位置に合わせて適宜に移動できる。撮像器26は、レンズ部分26Aが貫通穴57Aに合致するように載置板57上に載置される。載置板57および一対のスライド片58は、金属材料等によって形成されることが好ましい。
【0066】
載置部56は、枠部55に対してスライド移動可能に構成されてもよい。載置部56と枠部55との間のスライド機構は、種々の実施態様をとることができる。例えば、載置部56は、
図8に示す態様で枠部55に対して取り付けられていてもよい。この例の場合には、載置部56は、枠部55に対して、
図5に示すX方向およびZ方向に移動可能であるが、Y方向に関しては固定的である。
【0067】
また、載置部56は、
図9に示す態様で枠部55に対して取り付けられていてもよい。この例の場合には、載置部56は、枠部55に対して、
図5に示すX方向に移動可能であるが、Y方向およびZ方向に関しては固定的である。
【0068】
また、載置部56は、
図10に示す態様で枠部55に対して取り付けられていてもよい。この例の場合には、載置部56は、枠部55に対して、
図5に示すX方向およびY方向に移動可能であるが、Z方向に関しては固定的である。
【0069】
また、載置部56は、
図11に示す態様で枠部55に対して取り付けられていてもよい。この例の場合には、載置部56は、枠部55に対して、溶接等の接着箇所によって固定されている。この例の場合には、載置部56は、枠部55に対して移動することができない。
【0070】
複数の脚部54は、棒状のパイプによって構成されることが好ましい。複数の脚部54は、複数の関節部53の作用によって、
図4に矢印で示すように、箱11の短辺方向に沿って回動することができる。複数の脚部54は、箱11のスロット13の周壁の内側に差し込まれることで、周壁14と底壁15に当接する。これによって、複数の脚部54は、短辺方向の外側に広がらないようになり、起立状態を維持する。複数の脚部54は、金属材料等によって形成されることが好ましい。
【0071】
複数の脚部54の形態は、
図4に示すように、上下方向に延びるものに限定されるものではない。例えば、
図12に示すように、箱11の底壁15に対して斜め方向に延びるような形態であってもよい。
【0072】
本実施形態の撮像用治具51の作用について説明する。本実施形態では、以下の手法によって撮像器26の設置位置および設置高さを変更することができる。ユーザは、例えば、試験用コア12の撮影したい箇所に正対するように、枠部55に対して載置部56をスライド移動させることができる。このため、本実施形態では、枠部55が形成する平面方向に関して、自由に撮像器26を移動させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、複数の脚部54の位置を変更することで、撮像器26の設置高さを変更することができる。例えば、複数の脚部54を関節部53の作用によって短辺16B方向の外側に回動させて、短辺16B方向における外側に位置するスロット13の周壁14の内側に差し込むことで、櫓部52と箱11との距離を短く(撮像器26の設置高さを低く)することができる。或いは、複数の脚部54を関節部53の作用によって、短辺16B方向の内側に回動させて、短辺16B方向における内側に位置するスロット13の周壁14の内側に差し込むことで、櫓部52と箱11との距離を長く(撮像器26の設置高さを高く)することができる。この場合、
図4、
図12で矢印Wで示す範囲が、脚部54の可動範囲(脚部54を設置できる範囲)である。
【0074】
このように、本実施形態では、枠部55が形成する平面方向および高さ方向に関して、撮像器26の位置を任意に変更することができる。このため、本実施形態の撮像用治具51によれば、撮像器26の設置位置を適宜に変更することで、例えば、試験用コア12の撮影したい箇所のアップを撮影したり、或いは試験用コア12の全体像を撮影したりすることができ、ユーザにとって使いやすい撮像用治具51を実現できる。
【0075】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。撮像用治具51は、地盤改良工事が行われた地盤から採取された複数の試験用コア12を収める複数のスロット13が短辺方向に横並びに設けられた箱11に取り付けられる撮像用治具51であって、箱11と対向するとともに撮像器26が固定された櫓部52と、櫓部52に設けられた複数の関節部53と、複数の関節部53から延びる複数の脚部54であって、複数の関節部53を介して櫓部52に対して箱11の短辺方向に回動可能に構成されるとともに、複数のスロット13の周壁14の内側に差し込まれることで箱11に対して起立可能であり、短辺16B方向における外側に位置するスロット13の周壁14の内側に差し込むことで櫓部52と箱11との距離を短くし、短辺16B方向における内側に位置するスロット13の周壁14の内側に差し込むことで櫓部52と箱11との距離を長くすることが可能である複数の脚部54と、を備える。
【0076】
この構成によれば、脚部54の設置位置によって撮像器26の設置高さを変更することができ、ユーザにとって使い勝手が良好な撮像用治具51を提供できる。
【0077】
[本発明の試験用コア収納装置]
本発明の試験用コア収納装置は、地盤改良工事が行われた地盤から採取され養生袋に包まれた円柱形の試験用コアを収納する長方形の箱であって、一対の長壁と、一対の短壁と、を有するとともに、該一対の短壁に凹部がそれぞれ設けられた箱と、
円弧状断面を有して該一対の短壁の間に設けられるとともに該試験用コアが載置される皿部と、
該皿部から該凹部に向けて延びる一対の回転軸であって、該凹部内に回転可能に支持される一対の回転軸と、
該皿部に載置された該試験用コアの長手方向に沿って移動するように該一対の長壁上を走行するスライダーと、該スライダーに固定され該試験用コアを包んだ養生袋を切断する切刃と、を有するカッター部と、
を備える試験用コア収納装置である。
【0078】
図13~
図19を参照して、試験用コア収納装置61の実施形態について説明する。試験用コア収納装置61は、地盤改良工事がなされた地盤から採取された試験用コア12を傷つけずに箱11に収納できるものである。箱11の形態は、第1の形態と略同様であるが、短壁14Bに凹部62を有する点のみが異なっている。また本形態では、試験用コア12は、地盤から採取された後に養生袋63によって包まれた状態となっているが、それ以外は第1の形態と同様である。
図13に示すように、凹部62は、短壁14Bの上面から下方に落ち込む溝状に形成されている。
【0079】
図14、
図15、
図17に示すように、試験用コア収納装置61は、上記構造の箱11と、一対の短壁14Bの間に設けられるとともに試験用コア12が載置される皿部64と、皿部64から凹部62に向けて延びる一対の回転軸65と、回転軸65の皿部64側の端部とは反対側の端部に設けられる円盤状のハンドル部66と、皿部64に載置された試験用コア12の長手方向に沿って移動するカッター部67と、皿部64と箱11の底壁15との間の位置に設けられる隙間部68と、を備える。
【0080】
図15に示すように、皿部64は、円弧状断面を有するように形成される。皿部64、回転軸65、およびハンドル部66は、金属材料によって一体的に形成されることが好ましい。これらは、溶接等によって互いに接合されることが好ましい。回転軸65は、凹部62内に差し込まれて、凹部62によって凹部62内で回転可能に支持される。
【0081】
図17に示すように、カッター部67は、一対の長壁14A上を走行するスライダー71と、スライダー71に固定され試験用コア12を包んだ養生袋63を切断する切刃72と、を有する。
図12に示すように、スライダー71は、例えば、ユーザによって把持される把持部71Aと、把持部71Aの端部に設けられ一対の長壁14Aに当接して長壁14A上を走行可能なローラ部71Bと、を有する。スライダー71の形態は任意であり、試験用コア12に対して長手方向にスライド移動可能であれば、他の方式によるスライダーであってもよい。把持部71Aの中央部に切刃72が支持・固定される。
【0082】
本実施形態の試験用コア収納装置61の作用について説明する。
図16に示すように、地盤改良工事がなされた地盤から採取された試験用コア12を皿部64の上側に載置する。このとき、試験用コア12は、養生袋63(養生用のビニール袋)によって包まれている。このように試験用コア12が載置された皿部64は、
図14に示すように、箱11のスロット13内に設置される。このとき、回転軸65は凹部62内に配置され、ハンドル部66は箱11の一対の短壁14Bの外側に配置される。
【0083】
続いて、
図17に示すように、カッター部67を箱11に対して設置する。カッター部67は、そのローラ部71Bが箱11の一対の長壁14Aの上面に当接するように設置される。このように設置されたカッター部67は、皿部64に載置された試験用コア12の長手方向に沿ってスライド移動可能である。
【0084】
ユーザがカッター部67の把持部71Aを把持して、試験用コア12の長手方向に沿ってカッター部67を試験用コア12の全長に相当する長さをスライド移動させると、切刃72が試験用コア12上を走行して養生袋63が切断される。
さらにユーザは、
図18に示すように、隙間部68に養生袋63とは異なる養生シート73を設置する。この状態で、ユーザは、ハンドル部66を回転させる操作して皿部64を90~180°程度回転させ、試験用コア12を箱11の底壁15に落下させる。その際、切断された養生袋63を試験用コア12から除去する。
【0085】
このようにして、試験用コア12の箱11への収納及び養生袋63の剥離を行って、試験用コア12の箱11への収納作業が完了する。試験用コア12を、箱11へ収納した後は、撮像装置を用いて、試験用コア12の撮像を行う。
【0086】
そして、試験用コア12の撮像を行った後は、
図19に示すように、箱11の底壁15に載置された試験用コア12を養生シート73で包み、試験場に送付する。
【0087】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。試験用コア収納装置61は、地盤改良工事が行われた地盤から採取され養生袋63に包まれた円柱形の試験用コア12を収納する長方形の箱11であって、一対の長壁14Aと、一対の短壁14Bと、を有するとともに、一対の短壁14Bに凹部62がそれぞれ設けられた箱11と、円弧状断面を有して一対の短壁14Bの間に設けられるとともに試験用コア12が載置される皿部64と、皿部64から凹部62に向けて延びる一対の回転軸65であって、凹部62内に回転可能に支持される一対の回転軸65と、皿部64に載置された試験用コア12の長手方向に沿って移動するように一対の長壁14A上を走行するスライダー71と、スライダー71に固定され試験用コア12を包んだ養生袋63を切断する切刃72と、を有するカッター部67と、を備える。
【0088】
この構成によれば、試験用コア12を傷つけることなく箱11に収納できるとともに、試験用コア12に巻かれた養生袋63をカッター部67によって簡単に除去できる。
【0089】
この場合、試験用コア収納装置61は、回転軸65の皿部64側の端部とは反対側の端部に設けられる円盤状のハンドル部66を備える。この構成によれば、皿部64にハンドル部66が接続されるために、ユーザが皿部64を回転させる操作を行いやすくすることができる。これによって、さらにユーザフレンドリーな試験用コア収納装置61を実現できる。
【0090】
この場合、試験用コア収納装置61は、皿部64と箱11の底壁15との間の位置に設けられる隙間部68であって、試験用コア12を包装するための養生シート73を差し込み可能な隙間部68を備える。この構成によれば、試験用コア12を箱11に収納し、撮像を行った後に、養生袋63とは異なる養生シート73を試験用コア12の周囲に巻き回すことができる。これによって、撮像を行った後、一旦、試験用コア12を箱11から取り出すことなく、速やかに、養生シート73によって試験用コア12を包むことができ、作業効率を向上できる。
【0091】
そして、本発明の撮像用治具を用いて、本発明の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法に係る撮像工程を行う。つまり、本発明の撮像用治具を、試験用コアを収納する箱に設置し、本発明の撮像用治具に、撮像装置を固定し、撮像装置で判定対象の試験用コアを撮像することにより、本発明の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法の撮像工程を行う。
【0092】
また、本発明の試験用コア収納装置を用いて、本発明の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法に係る撮像工程を行う。つまり、養生袋に包まれた判定対象の試験用コアを、本発明の試験用コア収納装置の皿部に載置し、次いで、カッター部で、養生袋を切断し、次いで、皿部を回転させると共に、養生袋を判定対象の試験用コアから剥がして、判定対象の試験用コアを、試験用コアの収納用の箱に収納し、次いで、撮像装置で、判定対象の試験用コアを撮像することにより、本発明の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法の撮像工程を行う。
【0093】
また、養生袋に包まれた前記判定対象の試験用コアを、本発明の試験用コア収納装置の前記皿部に載置する前に、判定対象の試験用コアを収納する箱の収納部に、養生シートを敷き、次いで、本発明の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法に係る撮像工程を行い、次いで、養生袋が剥がされた判定対象の試験用コアを、養生シートで包むことを。
【0094】
本発明の人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムは、上記本発明の人工知能(AI)による地盤改良工事の工程管理方法を行うための人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムであり、
少なくとも、地盤改良工事が行われた地盤から、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、判定対象の試験用コアの画像データを、サーバに送信する送信装置と、該送信装置とインターネットを介して接続するサーバと、を有し、
該サーバは、
該送信装置から送られてくる該判定対象の試験用コアの画像データを受信する受信部と、
地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像のデータ群が記憶されている記憶部と、
該サーバの記憶部に記憶されている、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習し、不良コアを示すデータ群を生成し、生成した不良コアを示すデータ群を該記憶部に記憶し、且つ、該サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、該記憶部に記憶されている不良コアを示すデータ群とを対比し、該判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定する人工知能(AI)と、
を備えること、
を特徴とする人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムである。
【0095】
本発明の人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムは、本発明の地盤改良工事の工程管理方法を行うためのシステムである。
【0096】
本発明の人工知能(AI)を用いる地盤改良工事の工程管理システムは、少なくとも、地盤改良工事が行われた地盤から採取され、撮影された判定対象の試験用コアの画像データを、サーバに送信する送信装置、例えば、デスクトップ型のパソコン、モバイルパソコン等の電子計算機、スマートフォン等と、送信装置とインターネットを介して接続するサーバと、を有する。
【0097】
サーバは、
送信装置から送られてくる判定対象の試験用コアの画像データを受信する受信部と、
地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像のデータ群が記憶されている記憶部と、
サーバの記憶部に記憶されている、地盤改良工事の終了後168時間以内に採取され、地盤改良工事の終了時から少なくとも72時間経過した後に撮像された、品質試験に適する正常コアと品質試験に適さない不良コアの画像データ群を、学習データとして学習し、不良コアを示すデータ群を生成し、生成した不良コアを示すデータ群を記憶部に記憶し、且つ、サーバの受信部で受信した該判定対象の試験用コアの画像データと、記憶部に記憶されている不良コアを示すデータ群と対比し、判定対象の試験用コアが、不良コアに該当するか否かを判定する人工知能(AI)と、
を備える。
【符号の説明】
【0098】
11 箱
12 試験用コア
13 スロット
14 周壁
14A 長壁
14B 短壁
15 底壁
16 側壁
16A 長辺
16B 短辺
21 撮像用治具
22 基部
23 収納部
24 クランプ機構
25 軸部
26 撮像器
26A レンズ部分
27 支持部
28 第1安定化棒
29 第2安定化棒
31 第1面
32 第2面
33 固定軸
34 第1ねじ部
35 第2ねじ部
36 貫通孔
38 差込棒
41 シリンダー部
51 撮像用治具
52 櫓部
53 関節部
54 脚部
55 枠部
56 載置部
57A 貫通穴
57 載置板
58 スライド片
61 試験用コア収納装置
62 凹部
63 養生袋
64 皿部
65 回転軸
66 ハンドル部
67 カッター部
68 隙間部
71 スライダー
71A 把持部
71B ローラ部
72 切刃
73 養生シート