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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20231124BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20231124BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F15B11/02 B
F15B11/00 D
F16H61/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020033616
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134896
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】金原 邦男
(72)【発明者】
【氏名】陳 文新
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 芳明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 義暢
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 奨
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-179564(JP,A)
【文献】特公昭49-049336(JP,B1)
【文献】特開2019-158049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0167835(US,A1)
【文献】特開2012-067807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00
F15B 11/02
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポンプから吐出されたオイルが流入する第1油路と、
第2ポンプから吐出されたオイルが流入する第2油路と、
前記第1油路と前記第2油路とが接続された出力油路と、
前記第2油路に設けられた第1弁部と、
前記第1油路と前記第1弁部とを接続する第1接続油路と、
前記出力油路に接続され、前記第2ポンプから吐出されたオイルが流入する第3油路と、
前記第3油路に設けられた第2弁部と、
前記第1油路と前記第2弁部とを接続する第2接続油路と、
を備え、
前記第1弁部は、前記第2油路のうち前記出力油路に接続された部分よりも、前記第2油路内のオイルの流れ方向の上流側に設けられ、
前記第1弁部には、前記第1油路から前記第1接続油路に流入するオイルの油圧によって、前記第1弁部が閉じる向きの力が加えられ
前記第2弁部は、前記第3油路のうち前記出力油路に接続された部分よりも、前記第3油路内のオイルの流れ方向の上流側に設けられ、
前記第2弁部には、前記第1油路から前記第2接続油路に流入するオイルの油圧によって、前記第2弁部が閉じる向きの力が加えられる、油圧制御装置。
【請求項2】
前記第1弁部は、ポペット式の逆止弁である、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記第1油路に設けられた逆止弁をさらに備え、
前記逆止弁は、前記第1油路のうち前記第1接続油路が接続された部分と前記出力油路に接続された部分との間に位置する部分に設けられている、請求項1または2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記第1油路、前記第2油路、前記出力油路、および前記第1接続油路が設けられた油路ボディをさらに備え、
前記第1油路は、前記油路ボディの外側面に開口し前記第1ポンプと接続される第1接続口を有し、
前記第2油路は、前記油路ボディの外側面に開口し前記第2ポンプと接続される第2接続口を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記第3油路に設けられた切換弁と、
前記切換弁に接続された排出油路と、
をさらに備え、
前記切換弁は、前記第3油路に流入したオイルが前記出力油路へと流れる状態と、前記第3油路に流入したオイルが前記排出油路へと流れる状態と、を切り換える、請求項1から4のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項6】
前記第2弁部は、ポペット式の逆止弁である、請求項1から5のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項7】
前記第1油路、前記第2油路、前記第3油路、前記出力油路、前記第1接続油路、および前記第2接続油路が設けられた油路ボディをさらに備え、
前記第3油路は、前記油路ボディの外側面に開口し前記第2ポンプと接続される第3接続口を有する、請求項からのいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項8】
前記第1ポンプと、
前記第2ポンプと、
をさらに備え、
前記第2ポンプは、
前記第2油路に流入されるオイルを吐出する第1吐出ポートと、
前記第3油路に流入されるオイルを吐出する第2吐出ポートと、
を有する、請求項からのいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項9】
前記第1ポンプと、
前記第2ポンプと、
をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項10】
前記第1ポンプは、電動式オイルポンプであり、
前記第2ポンプは、機械式オイルポンプである、請求項1からのいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項11】
車両に搭載され、
前記第2ポンプは、前記車両の動力源によって駆動される、請求項10に記載の油圧制御装置。
【請求項12】
車両に搭載される、請求項1から10のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのポンプから吐出されるオイルのそれぞれによって制御対象に油圧を供給する油圧制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、車両の変速機に油圧を供給する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-067807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような油圧制御装置においては、一方のポンプの駆動時に、一方のポンプから制御対象に供給されるオイルの一部が他方のポンプから漏れ出る虞がある。そのため、他方のポンプから吐出されるオイルが流入する油路に、逆流を抑制可能な弁部が設けられる場合がある。しかし、単に弁部を設けるだけでは、オイルの逆流を十分に抑制できず、一方のポンプの駆動時に、他方のポンプからオイルが漏れ出る場合があった。したがって、一方のポンプの駆動時に、制御対象に供給されるオイルの油圧が低下する場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、一方のポンプの駆動時に、他方のポンプからオイルが漏れ出ることを抑制できる構造を有する油圧制御装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の油圧制御装置の一つの態様は、第1ポンプから吐出されたオイルが流入する第1油路と、第2ポンプから吐出されたオイルが流入する第2油路と、前記第1油路と前記第2油路とが接続された出力油路と、前記第2油路に設けられた第1弁部と、前記第1油路と前記第1弁部とを接続する第1接続油路と、前記出力油路に接続され、前記第2ポンプから吐出されたオイルが流入する第3油路と、前記第3油路に設けられた第2弁部と、前記第1油路と前記第2弁部とを接続する第2接続油路と、を備える。前記第1弁部は、前記第2油路のうち前記出力油路に接続された部分よりも、前記第2油路内のオイルの流れ方向の上流側に設けられている。前記第1弁部には、前記第1油路から前記第1接続油路に流入するオイルの油圧によって、前記第1弁部が閉じる向きの力が加えられる。前記第2弁部は、前記第3油路のうち前記出力油路に接続された部分よりも、前記第3油路内のオイルの流れ方向の上流側に設けられている。前記第2弁部には、前記第1油路から前記第2接続油路に流入するオイルの油圧によって、前記第2弁部が閉じる向きの力が加えられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、油圧制御装置において、一方のポンプの駆動時に、他方のポンプからオイルが漏れ出ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の油圧制御装置が搭載される車両の一部を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態の油圧制御装置の一作動状態を模式的に示す図である。
図3図3は、本実施形態の油圧制御装置の他の作動状態を模式的に示す図である。
図4図4は、本実施形態の油圧制御装置のさらに他の作動状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本実施形態の油圧制御装置10は、車両Vに搭載される。車両Vは、車両制御装置CUと、エンジンEと、トランスミッションTMと、油圧制御装置10と、を備える。車両制御装置CUは、車両Vの各部を制御する。車両制御装置CUは、例えば、エンジンEを制御する。エンジンEは、車両Vの動力源である。トランスミッションTMは、エンジンEに接続されている。トランスミッションTMは、エンジンEからの動力を車両Vの車軸に伝達する。本実施形態においてトランスミッションTMは、油圧制御装置10によって油圧が供給される制御対象OCを有する。
【0010】
図2から図4に示すように、油圧制御装置10は、バルブ装置20と、第1ポンプ31と、第2ポンプ32と、を備える。バルブ装置20は、例えば、トランスミッションTMに取り付けられている。バルブ装置20は、油路ボディ21と、第1弁部51と、第2弁部52と、逆止弁53と、切換弁54と、を有する。これにより、油圧制御装置10は、油路ボディ21と、第1弁部51と、第2弁部52と、逆止弁53と、切換弁54と、を備える。
【0011】
油路ボディ21は、内部に油路が設けられた部材である。油路ボディ21は、例えば、金属製である。本実施形態において油路ボディ21には、第1油路41と、第2油路42と、第3油路43と、出力油路44と、第1接続油路45と、第2接続油路46と、排出油路47と、が設けられている。これにより、油圧制御装置10は、第1油路41と、第2油路42と、第3油路43と、出力油路44と、第1接続油路45と、第2接続油路46と、排出油路47と、を備える。各油路は、油路ボディ21に孔が設けられることで構成されている。
【0012】
第1油路41には、第1ポンプ31から吐出されたオイルOが流入する。第1油路41は、油路ボディ21の外側面に開口する第1接続口41dを有する。第1接続口41dは、第1ポンプ31と接続されている。より詳細には、第1接続口41dは、油路61を介して第1ポンプ31と接続されている。油路61は、例えば、ホース等の管である。第1ポンプ31から吐出されたオイルOは、油路61を通って、第1接続口41dから第1油路41に流入する。第1接続口41dは、第1油路41の一端部である。第1油路41の他端部は、第2油路42および出力油路44と接続されている。
【0013】
第2油路42には、第2ポンプ32から吐出されたオイルOが流入する。第2油路42は、油路ボディ21の外側面に開口する第2接続口42dを有する。第2接続口42dは、第2ポンプ32と接続されている。より詳細には、第2接続口42dは、油路62を介して第2ポンプ32と接続されている。油路62は、例えば、ホース等の管である。第2ポンプ32から吐出されたオイルOの一部は、油路62を通って、第2接続口42dから第2油路42に流入する。第2接続口42dは、第2油路42の一端部である。第2油路42の他端部は、第1油路41および出力油路44と接続されている。本実施形態において第1油路41の他端部と第2油路42の他端部とは、互いに接続されている。
【0014】
出力油路44には、第1油路41と第2油路42とが接続されている。出力油路44の一端部は、第1油路41の他端部および第2油路42の他端部と接続されている。出力油路44の他端部は、油路ボディ21の外側面に開口する出力口44aである。出力口44aには、制御対象OCが接続されている。より詳細には、出力口44aには、油路65を介して制御対象OCが接続されている。油路65は、例えば、トランスミッションTMの筐体に設けられている。出力油路44内のオイルOの油圧は、油路65を介して制御対象OCに供給される。
【0015】
第3油路43には、第2ポンプ32から吐出されたオイルOが流入する。第3油路43は、油路ボディ21の外側面に開口する第3接続口43dを有する。第3接続口43dは、第2ポンプ32と接続されている。より詳細には、第3接続口43dは、油路63を介して第2ポンプ32と接続されている。油路63は、例えば、ホース等の管である。第2ポンプ32から吐出されたオイルOの一部は、油路63を通って、第3接続口43dから第3油路43に流入する。第3接続口43dは、第3油路43の一端部である。
【0016】
第3油路43は、出力油路44に接続されている。より詳細には、第3油路43の他端部は、出力油路44のうち第1油路41および第2油路42が接続された部分よりも出力油路44内のオイルOの流れ方向の下流側に接続されている。言い換えれば、第3油路43の他端部は、出力油路44のうち第1油路41および第2油路42が接続された部分と出力口44aとの間に位置する部分に接続されている。なお、「出力油路44内のオイルOの流れ方向」とは、出力油路44内において制御対象OCへと向かってオイルOが流れる方向である。
【0017】
第1接続油路45は、第1油路41と第1弁部51とを接続している。本実施形態において第2接続油路46は、第1接続油路45から第2弁部52まで延びている。これにより、本実施形態において第2接続油路46は、第1接続油路45を介して、第1油路41と第2弁部52とを接続している。
【0018】
排出油路47は、切換弁54に接続されている。より詳細には、排出油路47の一端部は、切換弁54に接続されている。排出油路47の他端部は、油路ボディ21の外側面に開口する排出口47aである。排出口47aは、オイルOが貯留されたオイルタンクOTと接続されている。より詳細には、排出口47aは、油路64を介してオイルタンクOTと接続されている。油路64は、例えば、ホース等の管である。排出油路47内のオイルOは、排出口47aから油路64を介してオイルタンクOT内に排出される。
【0019】
図2から図4では、第1接続口41dと第2接続口42dと第3接続口43dと排出口47aとは、例えば、同一の面に設けられている。第1接続口41dと第2接続口42dと第3接続口43dと排出口47aとは、例えば、油路ボディ21の外側面のうち図2から図4における左側の面に設けられている。出力口44aは、例えば、第1接続口41d、第2接続口42d、第3接続口43d、および排出口47aが設けられた面と異なる面に設けられている。出力口44aは、例えば、油路ボディ21の外側面のうち図2から図4における右側の面に設けられている。なお、油路ボディ21の外側面において、第1接続口41dと第2接続口42dと第3接続口43dと出力口44aと排出口47aとが設けられる箇所は、特に限定されない。
【0020】
第1弁部51は、第2油路42に設けられている。第1弁部51は、第2油路42のうち出力油路44に接続された部分よりも、第2油路42内のオイルOの流れ方向の上流側に設けられている。第1弁部51は、第2油路42のうち出力油路44に接続された部分と第2接続口42dとの間に位置する部分に設けられている。第1弁部51が設けられることで、第2油路42は、第1部分42aと、第2部分42bと、に分断されている。第1部分42aは、第2接続口42dから第1弁部51まで延びている。第2部分42bは、第1弁部51から出力油路44まで延びている。
【0021】
なお、本明細書において「第2油路内のオイルの流れ方向」とは、第2ポンプから第2油路内に流入したオイルが第2油路内において自然に流れる方向である。本実施形態において「第2油路42内のオイルOの流れ方向の上流側」とは、第2油路42内において第2接続口42dから出力油路44に向かって流れるオイルOの進行方向において、オイルタンクOTに近い側であって、第2ポンプ32によってオイルOを第2油路42内に送り始める部分(本実施形態では第2接続口42d)に近い側をいう。
【0022】
第1弁部51は、出力油路44から第2接続口42dへ向かうオイルOの流れを抑制する逆止弁である。本実施形態において第1弁部51は、ポペット式の逆止弁である。第1弁部51は、穴部51aと、弁体51bと、弾性部材51cと、を有する。穴部51aは、油路ボディ21の内部に設けられた穴である。穴部51aは、一方向に延びている。穴部51aが延びる方向と直交する断面において、穴部51aは、例えば、円形状である。穴部51aが延びる方向において穴部51aの両端部は、塞がれている。
【0023】
図2から図4において穴部51aが延びる方向は、図2から図4に示すZ軸と平行な方向である。以下の説明においては、穴部51aが延びる方向を「上下方向Z」と呼ぶ。上下方向ZのうちZ軸の正の側(+Z側)を「上側」と呼ぶ。上下方向ZのうちZ軸の負の側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。また、上下方向Zと直交する方向のうち図2から図4に示すY軸と平行な方向を「左右方向Y」と呼ぶ。左右方向YのうちY軸の正の側(+Y側)を「右側」と呼ぶ。左右方向YのうちY軸の負の側(-Y側)を「左側」と呼ぶ。
【0024】
なお、上下方向Z、左右方向Y、上側、下側、右側、および左側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0025】
弁体51bは、穴部51a内に配置されている。弁体51bは、例えば、上下方向Zに延びる軸を中心とする円柱状である。弁体51bは、穴部51a内に嵌め合わされている。弁体51bは、穴部51a内において上下方向Zに移動可能である。弁体51bは、上下方向Zに移動する際、外周面が穴部51aの内周面と接触した状態で滑りながら移動する。
【0026】
弾性部材51cは、穴部51a内のうち弁体51bよりも上側に位置する部分に配置されている。弾性部材51cは、弁体51bに対して下側向きに弾性力を加えている。弾性部材51cは、例えば、コイルスプリングである。
【0027】
第1弁部51において、穴部51a内のうち弁体51bよりも上側に位置する部分には、第1接続油路45の端部が接続されている。穴部51a内のうち弁体51bよりも下側に位置する部分には、第1部分42aと第2部分42bとが接続されている。第1部分42aと第2部分42bとは、穴部51a内のうち弁体51bよりも下側に位置する部分を介して接続される。第1部分42aは、穴部51aの下側の底面に開口している。第2部分42bは、穴部51aの内周面のうち右側に位置する部分に開口している。弁体51bは、穴部51a内を上下方向Zに移動することで、第1部分42aのうち穴部51a内に開口する開口部、および第2部分42bのうち穴部51a内に開口する開口部を開閉可能である。
【0028】
弁体51bが第1部分42aのうち穴部51a内に開口する開口部、および第2部分42bのうち穴部51a内に開口する開口部を閉じることで、第1部分42aと第2部分42bとは遮断された状態となる。これにより、第1弁部51が閉じた状態となる。図4に示すように、第1弁部51が閉じた状態において、弁体51bは、弾性部材51cによって穴部51aの下側の底面に押し付けられている。一方、弁体51bが第1部分42aのうち穴部51a内に開口する開口部、および第2部分42bのうち穴部51a内に開口する開口部を開くことで、第1部分42aと第2部分42bとは接続された状態となる。これにより、第1弁部51が開いた状態となる。
【0029】
第2油路42において第1部分42aから第2部分42bに向かってオイルOが流れる際には、図2および図3に示すように弁体51bがオイルOによって上側に持ち上げられ、第1部分42aおよび第2部分42bのそれぞれにおける穴部51a内に開口する開口部が開いた状態となる。これにより、第1弁部51が開いた状態となり、第2油路42内において第2接続口42dから出力油路44へ向かうオイルOの流れが許容される。
【0030】
一方、第2部分42bから第1部分42aに向かってオイルOが逆流しようとする際には、図4に示すように、第2部分42b内のオイルOが弁体51bの外周面に力を加える状態となるため、弁体51bが上側に持ち上げられない。これにより、弁体51bが弾性部材51cによって穴部51aの下側の底面に押し付けられたままの状態となる。したがって、第1部分42aおよび第2部分42bのそれぞれにおける穴部51a内に開口する開口部が閉じた状態となる。そのため、第1弁部51が閉じたままの状態となり、第2油路42内において出力油路44から第2接続口42dへ向かうオイルOの流れが抑制される。
【0031】
第2弁部52は、第3油路43に設けられている。より詳細には、第2弁部52は、第3油路43のうち出力油路44に接続された部分よりも、第3油路43内のオイルOの流れ方向の上流側に設けられている。第2弁部52は、第3油路43のうち出力油路44に接続された部分と第3接続口43dとの間に位置する部分に設けられている。第2弁部52が設けられることで、第3油路43は、第1部分43aと、第2部分43bと、に分断されている。本実施形態において第3油路43には切換弁54も設けられているため、第3油路43は、第1部分43aと、第2部分43bと、第3部分43cと、に分断されている。第1部分43aは、第3接続口43dから第2弁部52まで延びている。第2部分43bは、第2弁部52から切換弁54まで延びている。第3部分43cは、切換弁54から出力油路44まで延びている。
【0032】
なお、本明細書において「第3油路内のオイルの流れ方向」とは、第2ポンプから第3油路内に流入したオイルが第3油路内において自然に流れる方向である。本実施形態において「第3油路43内のオイルOの流れ方向の上流側」とは、第3油路43内において第3接続口43dから出力油路44に向かって流れるオイルOの進行方向において、オイルタンクOTに近い側であって、第2ポンプ32によってオイルOを第3油路43内に送り始める部分(本実施形態では第3接続口43d)に近い側をいう。
【0033】
第2弁部52は、出力油路44から第3接続口43dへ向かうオイルOの流れを抑制する逆止弁である。本実施形態において第2弁部52は、ポペット式の逆止弁である。第2弁部52の構造は、第1弁部51の構造と同様である。第2弁部52は、第1部分43aと第2部分43bとの間を開閉する。第2弁部52が設けられることで、第3接続口43dから出力油路44に向かうオイルOの流れが許容される一方、出力油路44から第3接続口43dに逆流しようとするオイルOの流れは抑制される。
【0034】
逆止弁53は、第1油路41に設けられている。逆止弁53は、第1油路41のうち出力油路44に接続された部分よりも、第1油路41内のオイルOの流れ方向の上流側に設けられている。逆止弁53は、第1油路41のうち出力油路44に接続された部分と第1接続口41dとの間に位置する部分に設けられている。より詳細には、逆止弁53は、第1油路41のうち第1接続油路45が接続された部分と出力油路44に接続された部分との間に位置する部分に設けられている。逆止弁53が設けられることで、第1油路41は、第1部分41aと、第2部分41bと、に分断されている。第1部分41aは、第1接続口41dから逆止弁53まで延びている。第2部分41bは、逆止弁53から出力油路44まで延びている。
【0035】
なお、本明細書において「第1油路内のオイルの流れ方向」とは、第1ポンプから第1油路内に流入したオイルが第1油路内において自然に流れる方向である。本実施形態において「第1油路41内のオイルOの流れ方向の上流側」とは、第1油路41内において第1接続口41dから出力油路44に向かって流れるオイルOの進行方向において、オイルタンクOTに近い側であって、第1ポンプ31によってオイルOを第1油路41内に送り始める部分(本実施形態では第1接続口41d)に近い側をいう。
【0036】
逆止弁53は、出力油路44から第1接続口41dへ向かうオイルOの流れを抑制する弁である。逆止弁53は、弁座部53aと、弁座部53aに着座可能なボール53bと、を有する。弁座部53aは、第1部分41aのうち、第1油路41内のオイルOの流れ方向における下流側の端部に設けられている。ボール53bは、第1油路41内のオイルOの流れ方向において、弁座部53aの下流側に位置する。ボール53bには、図示しない弾性部材によって弁座部53aに向かう向きの弾性力が加えられている。ボール53bが弁座部53aに着座した状態において、第1部分41aと第2部分41bとの間は遮断され、逆止弁53が閉じた状態となる。
【0037】
第1油路41において第1部分41aから第2部分41bに向かってオイルOが流れる際には、第1部分41aを流れるオイルOの油圧によって、ボール53bが弁座部53aから離れる。これにより、逆止弁53が開いた状態となり、第1油路41内において第1接続口41dから出力油路44へのオイルOの流れが許容される。一方、第2部分41bから第1部分41aにオイルOが逆流しようとする際には、オイルOの油圧および図示しない弾性部材によってボール53bが弁座部53aに着座する。そのため、第1部分41aと第2部分41bとの間が遮断される。これにより、逆止弁53が閉じた状態となり、第1油路41内において出力油路44から第1接続口41dへ逆流しようとするオイルOの流れが抑制される。
【0038】
切換弁54は、第3油路43に設けられている。切換弁54は、第3油路43のうち出力油路44に接続された部分よりも、第3油路43内のオイルOの流れ方向の上流側に設けられている。切換弁54は、第3油路43のうち出力油路44に接続された部分と第3接続口43dとの間に位置する部分に設けられている。より詳細には、切換弁54は、第3油路43のうち第2弁部52が設けられた部分と出力油路44に接続された部分との間に位置する部分に設けられている。切換弁54は、第3油路43内のオイルOの流れ方向において第2弁部52よりも下流側に設けられている。
【0039】
切換弁54は、スプール穴部54aと、スプール54bと、弾性部材54cと、を有する。スプール穴部54aは、左右方向Yに延びている。スプール穴部54aの左右方向Yの両端部は、閉じられている。図示は省略するが、スプール穴部54aの左右方向Yと直交する断面形状は、例えば、円形状である。スプール54bは、左右方向Yに延びる軸を中心とする円柱状である。スプール54bは、スプール穴部54aの内部に左右方向Yに移動可能に配置されている。スプール54bは、第1連結油路部54dと、第2連結油路部54eと、を有する。
【0040】
第1連結油路部54dは、第2部分43bと、排出油路47と、を接続可能である。図2に示すように、第1連結油路部54dが第2部分43bと排出油路47とを接続した場合、第1連結油路部54d内を、第3油路43の第2部分43bから排出油路47に向かうオイルOが通る。
【0041】
第2連結油路部54eは、第2部分43bと、第3部分43cと、を接続可能である。図3に示すように、第2連結油路部54eが第2部分43bと第3部分43cとを接続した場合、第2連結油路部54e内を、第3油路43の第2部分43bから第3部分43cに向かうオイルOが通る。本実施形態において第2連結油路部54eは、第1連結油路部54dの左側に位置する。
【0042】
弾性部材54cは、スプール穴部54aの内部のうちスプール54bの左側に位置する部分に配置されている。弾性部材54cは、スプール54bに対して右側向きの弾性力を加えている。弾性部材54cは、例えば、コイルスプリングである。
【0043】
図2に示すように、スプール穴部54aの内部のうちスプール54bの右側に位置する部分には、油圧源APからのオイルOが流入する。これにより、スプール54bは、弾性部材54cによって加えられる右側向きの力と、油圧源APからスプール穴部54a内に流入するオイルOの油圧によって加えられる左側向きの力との釣り合いに応じて左右方向Yに移動する。スプール54bが左右方向Yに移動することで、第1連結油路部54dおよび第2連結油路部54eが左右方向Yに移動し、油圧制御装置10は、第3油路43の第2部分43bと第3部分43cとが連結された状態と切断された状態との間で変化する。
【0044】
図2に示すように、油圧源APからスプール穴部54a内にオイルOが流入する状態においては、スプール54bは、油圧源APからのオイルOの油圧によって、スプール穴部54a内の左側寄りの部分に移動させられた状態となる。これにより、第1連結油路部54dによって第2部分43bと排出油路47とが接続され、かつ、第2部分43bと第3部分43cとが切断された状態となる。一方、図3に示すように、油圧源APからスプール穴部54a内へのオイルOの供給が停止された状態では、スプール54bは、弾性部材54cの弾性力によって、スプール穴部54a内の右側寄りの部分に移動させられた状態となる。これにより、第2連結油路部54eによって第2部分43bと第3部分43cとが接続され、かつ、第2部分43bと排出油路47とが切断された状態となる。
【0045】
このように、切換弁54は、第3油路43に流入したオイルOが出力油路44へと流れる状態と、第3油路43に流入したオイルOが排出油路47へと流れる状態と、を切り換える。本実施形態では、油圧源APからスプール穴部54a内へのオイルOの供給と停止とを切り換えることで、第3油路43に流入したオイルOが出力油路44へと流れる状態と、第3油路43に流入したオイルOが排出油路47へと流れる状態と、を切り換えることができる。図2は、第3油路43に流入したオイルOが排出油路47へと流れる状態を示している。図3は、第3油路43に流入したオイルOが出力油路44へと流れる状態を示している。
【0046】
第1ポンプ31は、第1油路41内にオイルOを送るポンプである。第1ポンプ31は、例えば、トランスミッションTMに取り付けられている。第1ポンプ31は、油路61を介して第1接続口41dと接続される吐出ポート31aを有する。第1ポンプ31は、入力油路60aを介してオイルタンクOT内から吸い上げたオイルOを、吐出ポート31aから吐出して油路61を介して第1油路41内に送る。入力油路60aは、例えば、トランスミッションTMの筐体に設けられている。入力油路60aのうちオイルタンクOT内に開口する開口部には、例えば、ストレーナSが設けられている。
【0047】
本実施形態において第1ポンプ31は、電動式オイルポンプである。図1に示すように、第1ポンプ31は、モータ部31mと、ポンプ部31pと、を有する。モータ部31mは、車両制御装置CUからの信号に応じてポンプ部31pを駆動する。モータ部31mの構造は、ポンプ部31pを駆動できるならば、特に限定されない。ポンプ部31pがモータ部31mによって駆動されることで、オイルタンクOTから入力油路60aを介してオイルOが吸い上げられて吐出ポート31aからオイルOが吐出される。ポンプ部31pの構造は、オイルOを送ることができるならば、特に限定されない。
【0048】
図4に示すように、第1ポンプ31から第1油路41内に吐出されたオイルOの一部は、第1接続油路45を介して第1弁部51に供給される。本実施形態において第1接続油路45から第1弁部51に供給されるオイルOは、穴部51aのうち弁体51bよりも上側に位置する部分に供給される。弁体51bは、第1接続油路45から穴部51a内に流入するオイルOの油圧によって、下側向きの力を受ける。これにより、第1弁部51には、第1油路41から第1接続油路45に流入するオイルOの油圧によって、第1弁部51が閉じる向きの力が加えられる。
【0049】
また、第1ポンプ31から第1油路41内に吐出されたオイルOの一部は、第1接続油路45および第2接続油路46を介して第2弁部52に供給される。第2接続油路46から第2弁部52に供給されたオイルOは、第1接続油路45から第1弁部51に供給されたオイルOと同様に、第2弁部52の弁体に対して下側向きの力を加える。これにより、第2弁部52には、第1油路41から第2接続油路46に流入するオイルOの油圧によって、第2弁部52が閉じる向きの力が加えられる。
【0050】
図2および図3に示すように、第2ポンプ32は、第2油路42にオイルOを送るポンプである。本実施形態において第2ポンプ32は、第2油路42に加えて第3油路43にもオイルOを送る。第2ポンプ32は、例えば、トランスミッションTMに取り付けられている。第2ポンプ32は、油路62を介して第2接続口42dと接続される第1吐出ポート32aと、油路63を介して第3接続口43dと接続される第2吐出ポート32bと、を有する。第1吐出ポート32aは、第2油路42に流入されるオイルOを吐出する。第2吐出ポート32bは、第3油路43に流入されるオイルOを吐出する。
【0051】
第2ポンプ32は、入力油路60bを介してオイルタンクOT内から吸い上げたオイルOの一部を、第1吐出ポート32aから吐出して油路62を介して第2油路42内に送る。第2ポンプ32は、入力油路60bを介してオイルタンクOT内から吸い上げたオイルOの他の一部を、第2吐出ポート32bから吐出して油路63を介して第3油路43内に送る。入力油路60bは、例えば、トランスミッションTMの筐体に設けられている。入力油路60bのうちオイルタンクOT内に開口する開口部には、例えば、ストレーナSが設けられている。
【0052】
本実施形態において第2ポンプ32は、機械式オイルポンプである。図1に示すように、第2ポンプ32は、エンジンEからの動力によって駆動される。すなわち、本実施形態において第2ポンプ32は、車両Vの動力源によって駆動される。第2ポンプ32の構造は、オイルOを送ることができるならば、特に限定されない。
【0053】
本実施形態において第1ポンプ31と第2ポンプ32とは、同時には駆動されない。言い換えれば、第1ポンプ31が駆動された状態では、第2ポンプ32は停止した状態となっている。第2ポンプ32が駆動された状態では、第1ポンプ31は停止した状態となっている。第1ポンプ31の駆動と第2ポンプ32の駆動とは、車両Vの走行状態等に応じて、切り換えられる。例えば、エンジンEが駆動されている状態においては、エンジンEによって第2ポンプ32が駆動される。一方、例えば、アイドリングストップ等によりエンジンEが停止された状態からエンジンEが再始動される際等には、第1ポンプ31が駆動される。図2および図3では、第2ポンプ32が駆動された状態を示している。図4では、第1ポンプ31が駆動された状態を示している。
【0054】
第2ポンプ32が駆動される際、油圧制御装置10は、第2ポンプ32から吐出されるオイルOの一部のみが出力油路44から制御対象OCに供給される半吐出状態HDと、第2ポンプ32から吐出されるオイルOの全てが出力油路44から制御対象OCに供給される全吐出状態ADとの間で切り換えられる。図2では、油圧制御装置10が半吐出状態HDである場合を示している。図3では、油圧制御装置10が全吐出状態ADである場合を示している。
【0055】
図2に示すように、油圧源APからの油圧をスプール54bが受ける状態においては、第1連結油路部54dによって、第2部分43bと排出油路47とが接続される。このとき、第3油路43の第2部分43bと第3部分43cとは切断された状態となる。これにより、切換弁54は、油圧源APからの油圧をスプール54bが受ける状態において、第3油路43から排出油路47を介したオイルタンクOTへのオイルOの流れを許容し、第3油路43から出力油路44へのオイルOの流れを阻止する。この状態において油圧制御装置10は、第2ポンプ32から吐出されるオイルOのうち、第1吐出ポート32aから吐出されるオイルOのみが出力油路44から制御対象OCに供給される半吐出状態HDとなる。
【0056】
一方、図3に示すように、油圧源APからの油圧をスプール54bが受けない状態においては、弾性部材54cの弾性力によってスプール54bが図2に示す位置よりも右側に移動し、第2連結油路部54eによって、第2部分43bと第3部分43cとが接続される。このとき、第2部分43bと排出油路47とは切断された状態となる。これにより、切換弁54は、油圧源APからの油圧をスプール54bが受けない状態において、第3油路43から出力油路44へのオイルOの流れを許容し、第3油路43から排出油路47を介したオイルタンクOTへのオイルOの流れを阻止する。この状態において油圧制御装置10は、第2ポンプ32から吐出されるオイルOのうち、第1吐出ポート32aから吐出されるオイルOと第2吐出ポート32bから吐出されるオイルOとの両方が出力油路44から制御対象OCに供給される全吐出状態ADとなる。
【0057】
図4に示すように、第1ポンプ31が駆動される際には、第1ポンプ31から第1油路41に流入したオイルOの一部が出力油路44から制御対象OCに供給される。第1ポンプ31から第1油路41に流入したオイルOの他の一部は、第1接続油路45および第2接続油路46を介して、第1弁部51および第2弁部52に供給される。なお、図4では、第1ポンプ31の駆動時において、切換弁54は第2部分43bと第3部分43cとを接続した状態となっているが、これに限られない。第1ポンプ31の駆動時において、切換弁54は、第2部分43bと排出油路47とを接続した状態となっていてもよい。
【0058】
ここで、第1ポンプ31の駆動時においては、第2ポンプ32から第2油路42および第3油路43へのオイルOの供給が停止される。そのため、第1弁部51および第2弁部52は閉じた状態となる。これにより、第1油路41から出力油路44に流入したオイルOが第2油路42および第3油路43を介して第2ポンプ32に逆流することが抑制される。しかし、第1弁部51による第2油路42の遮断および第2弁部52による第3油路43の遮断が不十分になる場合がある。この場合、第1油路41から出力油路44に流入したオイルOが、第2油路42および第3油路43を介して第2ポンプ32に漏れ出る虞がある。そのため、第1ポンプ31の駆動時に、出力油路44内のオイルOの油圧が低下する虞がある。
【0059】
これに対して、本実施形態によれば、第1弁部51には、第1油路41から第1接続油路45に流入するオイルOの油圧によって、第1弁部51が閉じる向きの力が加えられる。そのため、第1ポンプ31から第1油路41に流入されるオイルOの油圧を利用して、第1弁部51を強固に閉じた状態にできる。これにより、第1弁部51による第2油路42の遮断が不十分になることを抑制できる。したがって、第1油路41から出力油路44に流入したオイルOが第2油路42を介して第2ポンプ32に漏れ出ることを好適に抑制できる。そのため、第1ポンプ31の駆動時に、第2ポンプ32からオイルOが漏れ出ることを好適に抑制できる。これにより、第1ポンプ31の駆動時に、出力油路44内のオイルOの油圧が低下することを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態によれば、第1弁部51は、ポペット式の逆止弁である。この場合、第1弁部51は、弁体51bが第1部分42aからのオイルOによって弁体51bの移動方向に力を受けた場合に開いた状態となる。一方、第1弁部51は、弁体51bが第2部分42bからのオイルOによって弁体51bの移動方向と直交する方向に力を受けた場合には、閉じた状態に維持される。
【0061】
しかし、例えば、第2ポンプ32が駆動していた状態から第1ポンプ31が駆動される状態に連続的に切り換えられた場合、弁体51bが閉じた状態となる前に、第2油路42内におけるオイルOの流れが逆転する場合がある。この場合、第2部分42bから第1部分41aへと穴部51aを介してオイルOが流れる状態となり、当該オイルOによって弁体51bが押し上げられたままの状態となる。そのため、第1ポンプ31の駆動時に、第1弁部51が開いた状態のままとなる場合があり、第1油路41から出力油路44に供給されたオイルOが第2油路42を介して第2ポンプ32に漏れ出る虞があった。
【0062】
また、ポペット式の逆止弁では、所望する向きにオイルOを流しやすくするために、弾性部材51cの弾性係数は比較的小さい場合が多い。そのため、第1弁部51が閉じた状態において、弾性部材51cによる第1部分42aと第2部分42bとの間の遮断状態が比較的不十分になりやすい。これにより、第1ポンプ31の駆動時に第1弁部51が閉じた状態となっていたとしても、第1油路41から出力油路44に流入するオイルOの一部が、第1弁部51を通過して第2ポンプ32に漏れ出る虞がある。
【0063】
以上のように、第1弁部51がポペット式の逆止弁である場合には、第1ポンプ31の駆動時に、第2ポンプ32にオイルOが特に漏れ出やすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、第1ポンプ31から第1油路41に流入されるオイルOの油圧によって第1弁部51に対して閉じる向きの力を加えることができる。そのため、第1ポンプ31の駆動時において第1弁部51の弁体51bには、弾性部材51cの弾性力と、第1油路41から第1接続油路45を介して穴部51aに流入するオイルOの油圧と、が第1弁部51を閉じる向きに加えられる。
【0064】
ここで、第2ポンプ32が駆動される状態から第1ポンプ31が駆動される状態に連続的に変化し第2部分42bから第1部分42aに向かう向きにオイルOが一時的に流れる状態となった場合、第2部分42bから穴部51a内に流入するオイルOの油圧は、第1油路41内のオイルOの油圧と同じ、またはほぼ同じである。また、第1接続油路45から穴部51a内に流入するオイルOの油圧も、第1油路41内のオイルOの油圧と同じ、またはほぼ同じである。そのため、第2部分42bから穴部51a内に流入するオイルOの油圧を、第1接続油路45から穴部51a内に流入するオイルOの油圧によって相殺できる。これにより、弾性部材51cの弾性力の分だけ、弁体51bを閉じる向きに移動させる力が大きくなる。したがって、第2ポンプ32が駆動される状態から第1ポンプ31が駆動される状態に連続的に変化した際に第1弁部51が開いたままの状態であっても、第1弁部51を閉じることができる。また、第1弁部51が閉じられた状態においては、第1接続油路45から供給されるオイルOの油圧によって、第1弁部51を強固に閉じることができる。以上により、本実施形態によれば、第1弁部51をポペット式の逆止弁としても、第1ポンプ31の駆動時に、第2ポンプ32からオイルOが漏れ出ることを好適に抑制できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第1油路41のうち第1接続油路45が接続された部分と出力油路44に接続された部分との間に位置する部分には、逆止弁53が設けられている。そのため、第2ポンプ32の駆動時に、第2ポンプ32から第2油路42および第3油路43に流入したオイルOが、第1油路41内を逆流することを抑制できる。これにより、第2ポンプ32から第2油路42および第3油路43に流入したオイルOが、第1ポンプ31から漏れ出ることを抑制できる。したがって、第2ポンプ32の駆動時に、出力油路44内のオイルOの油圧が低下することを抑制できる。
【0066】
また、逆止弁53によって、第2ポンプ32から第2油路42および第3油路43に流入したオイルOが、第1接続油路45に流れることも抑制できる。そのため、第2ポンプ32の駆動時に、第1接続油路45を介して第1弁部51に閉じる向きの力が加えられることを抑制できる。これにより、第2ポンプ32の駆動時に第1弁部51が閉じられることを抑制できる。また、本実施形態では、第2ポンプ32から第2油路42および第3油路43に流入したオイルOが、第2接続油路46に流れることも抑制できる。そのため、第2ポンプ32の駆動時に、第2接続油路46を介して第2弁部52に閉じる向きの力が加えられることも抑制できる。これにより、第2ポンプ32の駆動時に第2弁部52が閉じられることも抑制できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、第1油路41は、油路ボディ21の外側面に開口し第1ポンプ31と接続される第1接続口41dを有し、第2油路42は、油路ボディ21の外側面に開口し第2ポンプ32と接続される第2接続口42dを有する。このように、第1油路41と第2油路42とがそれぞれ油路ボディ21の外側面に開口する接続口を有することで、第1油路41と第2油路42とが出力油路44に接続される部分を、油路ボディ21内に設けることができる。これにより、第2油路42のうち出力油路44に接続された部分よりも上流側に設けられた第1弁部51を、油路ボディ21内に設ける構成を採用できる。したがって、油路ボディ21内にまとめて各弁部を配置することができる。そのため、一部の弁部をトランスミッションTMの筐体等の別の部材に設ける必要がなく、油圧制御装置10の構造が複雑化することを抑制できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、第2弁部52には、第1油路41から第2接続油路46に流入するオイルOの油圧によって、第2弁部52が閉じる向きの力が加えられる。そのため、上述した第1弁部51と同様に、第1ポンプ31から第1油路41に流入されるオイルOの油圧を利用して、第2弁部52を強固に閉じた状態にできる。これにより、第1油路41から出力油路44に流入したオイルOが第3油路43を介して第2ポンプ32に漏れ出ることを好適に抑制できる。したがって、第1ポンプ31の駆動時に、第2ポンプ32からオイルOが漏れ出ることをより好適に抑制できる。そのため、第1ポンプ31の駆動時に、出力油路44内のオイルOの油圧が低下することをより抑制できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、第3油路43には、第3油路43に流入したオイルOが出力油路44へと流れる状態と、第3油路43に流入したオイルOが排出油路47へと流れる状態と、を切り換える切換弁54が設けられている。そのため、上述したようにして、第2ポンプ32の駆動時に、半吐出状態HDと全吐出状態ADとを切り換えることができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、第2弁部52は、ポペット式の逆止弁である。そのため、上述した第1弁部51と同様に、第2弁部52が単に閉じた状態となるのみでは、第3油路43から第2ポンプ32にオイルOが漏れ出ることを抑制しにくい。これに対して、本実施形態によれば、第1ポンプ31から第1油路41に流入されるオイルOの油圧によって第2弁部52に対して閉じる向きの力を加えることができる。そのため、第2弁部52をポペット式の逆止弁としても、第1ポンプ31の駆動時に、第2ポンプ32からオイルOが漏れ出ることを好適に抑制できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、第3油路43は、油路ボディ21の外側面に開口し第2ポンプ32と接続される第3接続口43dを有する。そのため、第1油路41と第3油路43とが接続される部分を、油路ボディ21内に設けることができる。これにより、第3油路43のうち出力油路44に接続された部分よりも上流側に設けられた第2弁部52を、油路ボディ21内に設ける構成を採用できる。したがって、より油路ボディ21内にまとめて各弁部を配置することができる。そのため、油圧制御装置10の構造が複雑化することをより抑制できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、第2ポンプ32は、第2油路42に流入されるオイルOを吐出する第1吐出ポート32aと、第3油路43に流入されるオイルOを吐出する第2吐出ポート32bと、を有する。そのため、第2ポンプ32から第2油路42と第3油路43との2つの油路にオイルOを流すことができる。これにより、切換弁54を設けて、半吐出状態HDと全吐出状態ADとの切り換え可能な構成を採用できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、第1ポンプ31は、電動式オイルポンプであり、第2ポンプ32は、機械式オイルポンプである。車両Vにおいて電動式オイルポンプと機械式オイルポンプとが設けられる場合、電動式オイルポンプよりも、機械式オイルポンプの方が、吐出量が大きくなりやすい。そのため、機械式オイルポンプである第2ポンプ32から吐出されるオイルOの量は、電動式オイルポンプである第1ポンプ31から吐出されるオイルOの量よりも多くなりやすい。特に、第2ポンプ32が車両Vの動力源であるエンジンEによって駆動される場合、第2ポンプ32から吐出されるオイルOの量がより大きくなりやすい。この場合、第2ポンプ32から吐出されるオイルOを第2油路42内および第3油路43内に好適に流すには、各油路に設けられた弁部を好適に開いた状態とし、流路面積を十分に確保する必要がある。
【0074】
ここで、ポペット式の逆止弁は、開いた状態において、逆止弁53のようなボール式の逆止弁に比べて、多くのオイルOを通しやすくできる。そのため、機械式オイルポンプである第2ポンプ32から吐出されるオイルOが流入される第2油路42および第3油路43に設けられる弁部は、ポペット式の逆止弁にすることが好ましい。上述したようにポペット式の逆止弁は、他の種類の逆止弁に比べて、第1ポンプ31の駆動時に、第2ポンプ32へのオイルOの漏れ出しを生じさせやすい。しかし、上述したように本実施形態によれば、第1弁部51および第2弁部52としてポペット式の逆止弁を採用しても、第2ポンプ32へのオイルOの漏れ出しを好適に抑制できる。したがって、第1弁部51および第2弁部52をポペット式の逆止弁として第2ポンプ32の駆動時に第2油路42内および第3油路43内を流れるオイルOの量を好適に大きくしつつ、第1ポンプ31の駆動時に第2ポンプ32からオイルOが漏れ出すことを好適に抑制できる。
【0075】
また、車両Vにおいて電動式オイルポンプと機械式オイルポンプとが設けられる場合、機械式オイルポンプよりも、電動式オイルポンプの方が、吐出量が小さくなりやすい。そのため、電動式オイルポンプである第1ポンプ31から吐出されるオイルOが流入される第1油路41には、開いた状態で通過可能なオイルOの量が比較的小さい弁を配置することができる。これにより、逆止弁53としてポペット式の逆止弁を採用する必要がなく、逆止弁53を、ポペット式の逆止弁よりも第1油路41内の逆流を好適に抑制可能な弁にすることができる。したがって、第2ポンプ32の駆動時に、第2油路42内のオイルOの油圧および第3油路43内のオイルOの油圧を利用して逆止弁53に閉じる向きの力を加えなくても、逆止弁53によって第1油路41内のオイルOの逆流を好適に抑制できる。したがって、第2ポンプ32の駆動時に、第1ポンプ31からオイルOが漏れ出すことを好適に抑制できる。
【0076】
以上のように、第1ポンプ31の駆動時に第2ポンプ32からオイルOが漏れ出ることを好適に抑制できる効果は、油圧制御装置10が車両Vに搭載され、第1ポンプ31が電動式オイルポンプであり、第2ポンプ32が機械式オイルポンプである構成において、特に有用に得られる。
【0077】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。第1弁部の種類は、特に限定されない。第1弁部は、上述した実施形態の逆止弁53のようなボール式の逆止弁であってもよい。第1油路から第1接続油路に流入するオイルOの油圧によって閉じる向きの力が加えられることで第1弁部が逆止弁として機能するならば、第1弁部自体は、逆止弁でなくてもよい。これらについては、第2弁部についても同様である。
【0078】
第1油路に設けられる逆止弁には、第2油路内のオイルの油圧によって、当該逆止弁が閉じる向きの力が加えられてもよい。第1油路に設けられる逆止弁は、ポペット式の逆止弁であってもよい。第1油路には逆止弁が設けられなくてもよい。第1油路、第2油路、および第3油路は、油路ボディの外部に設けられてもよい。この場合、第1弁部および第2弁部は、油路ボディの外部に設けられる。また、この場合、第1油路、第2油路、第3油路、第1弁部、および第2弁部は、例えば、上述した実施形態のトランスミッションTMの筐体に設けられてもよい。第3油路には、切換弁が設けられなくてもよい。第3油路には、第2弁部が設けられなくてもよい。第3油路は、設けられなくてもよい。この場合、第2弁部は、設けられない。
【0079】
第1ポンプの種類および第2ポンプの種類は、特に限定されない。第1ポンプは、機械式オイルポンプであってもよい。第2ポンプは、電動式オイルポンプであってもよい。本発明が適用される油圧制御装置は、第1ポンプおよび第2ポンプを備えなくてもよい。この場合、油圧制御装置は、例えば、上述した実施形態のバルブ装置20に相当してもよい。油圧制御装置の用途は、特に限定されない。油圧制御装置は、車両以外の機器に搭載されてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0080】
10…油圧制御装置、21…油路ボディ、31…第1ポンプ、32…第2ポンプ、32a…第1吐出ポート、32b…第2吐出ポート、41…第1油路、41d…第1接続口、42…第2油路、42d…第2接続口、43…第3油路、43d…第3接続口、44…出力油路、45…第1接続油路、46…第2接続油路、47…排出油路、51…第1弁部、52…第2弁部、53…逆止弁、54…切換弁、E…エンジン(動力源)、O…オイル、V…車両
図1
図2
図3
図4