(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】サンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20231124BHJP
G01N 21/64 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N21/64 E
(21)【出願番号】P 2020036710
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019073240
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】藪垣 博之
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-021829(JP,A)
【文献】特開2012-255978(JP,A)
【文献】特開2009-145826(JP,A)
【文献】特開2011-123142(JP,A)
【文献】特開2019-086374(JP,A)
【文献】特開2004-142118(JP,A)
【文献】特開平05-002135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/62 - 21/74
G02B 26/10 - 26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナによって試料上において走査されたレーザ光の走査位置を示す走査位置信号に基づいて、該走査位置信号の走査周波数のN倍(Nは1以上の整数)で、かつ、前記走査位置信号の位相と同期したN逓倍クロックをフェーズロックループによって生成する位相同期部と、
前記試料からの光を検出器によって変換して得られる検出信号を、前記位相同期部によって生成された前記N逓倍クロックに同期してAD変換するAD変換部と、
前記N逓倍クロックに同期してクロック数を計数するカウンタ部と、
前記スキャナによる所望の走査位置に対応する前記カウンタ部の所定のカウンタ閾値を少なくとも1つ保存する閾値保存部と、
該閾値保存部によって保存されている前記カウンタ閾値と前記カウンタ部によって計数されている前記クロック数を示すカウンタ値とを比較し、これらカウンタ閾値とカウンタ値とが一致した場合にサンプリングクロックを出力する比較部と、
前記AD変換部によってAD変換された前記検出信号を前記比較部から出力される前記サンプリングクロックに基づいてサンプリングし、サンプリングした前記検出信号に基づいて画素データを生成するデータ処理部とを備えるサンプリング回路。
【請求項2】
前記スキャナによる往路と復路の前記レーザ光の走査開始位置のずれを補正する補正量を出力する補正量生成部と、
該補正量生成部から出力された前記補正量に基づいて、前記閾値保存部によって保存されている前記カウンタ閾値を補正するカウンタ閾値補正部とを備える請求項1に記載のサンプリング回路。
【請求項3】
前記データ処理部が、前記サンプリングクロックの出力に同期してAD変換された前記検出信号のみをサンプリングする請求項1または請求項2に記載のサンプリング回路。
【請求項4】
前記データ処理部が、前記サンプリングクロックの出力を基準として複数の前記検出信号をサンプリングし、サンプリングした複数の前記検出信号を積算した積算信号に基づいて前記画素データを生成する請求項1または請求項2に記載のサンプリング回路。
【請求項5】
複数の前記検出信号が、一の前記サンプリングクロックが出力されてから次のサンプリングクロックが出力されるまでの期間にAD変換された全ての前記検出信号である請求項4に記載のサンプリング回路。
【請求項6】
複数の前記検出信号が、前記サンプリングクロックの出力を基準に時間的に前または後にAD変換された一定個数の前記検出信号である請求項4に記載のサンプリング回路。
【請求項7】
複数の前記検出信号が、前記サンプリングクロックの出力を基準に時間的に前後する期間にAD変換された一定個数の前記検出信号である請求項4に記載のサンプリング回路。
【請求項8】
前記レーザ光を発生するレーザ光源と、
前記スキャナおよび前記検出器とを備える顕微鏡本体と、
請求項1から請求項7のいずれかに記載のサンプリング回路と、
該サンプリング回路および前記スキャナを制御する制御部と、
前記サンプリング回路により得られた前記画素データに基づいて前記試料の画像データを生成する画像データ生成部とを備えるレーザ走査型顕微鏡。
【請求項9】
前記スキャナによって前記レーザ光を走査させる前記試料上の走査範囲を指定する入力部と、
該入力部によって指定された前記走査範囲に基づいて、前記カウンタ閾値を計算する閾値計算部とを備える請求項8に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、湾曲部と、湾曲部を湾曲させる複数のワイヤが貫通するマルチルーメンが内部に 従来、共振スキャナの走査位置に応じて、試料からの検出信号のサンプリングタイミングを調節する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の走査型顕微鏡は、共振スキャナの走査位置信号に基づいてサンプリングクロックを生成する際に、サンプリングクロック生成回路において、アナログ的なオフセット、回路上のノイズ除去、および、温度センサのフィードバックによる温度補正等を行うことにより、温度変化の影響およびスキャナ個体の性能のばらつき等を解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の走査型顕微鏡は、各部の信号をフィードバックしているため、回路構成の一部の特性を変更すると、その変更に合わせて回路構成全体の特性を再設計しなければならないという不都合がある。また、スキャナごとに特性が異なることから、スキャナごとの特性に合わせてサンプリングクロック生成回路も交換および調整等しなければならないという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、温度変化の影響およびスキャナごとの特性のばらつきの影響に関わらず、煩雑な作業が不要で、スキャナの走査に同期したサンプリングを容易に行うことができるサンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、スキャナによって試料上において走査されたレーザ光の走査位置を示す走査位置信号に基づいて、該走査位置信号の走査周波数のN倍(Nは1以上の整数)で、かつ、前記走査位置信号の位相と同期したN逓倍クロックをフェーズロックループによって生成する位相同期部と、前記試料からの光を検出器によって変換して得られる検出信号を、前記位相同期部によって生成された前記N逓倍クロックに同期してAD変換するAD変換部と、前記N逓倍クロックに同期してクロック数を計数するカウンタ部と、前記スキャナによる所望の走査位置に対応する前記カウンタ部の所定のカウンタ閾値を少なくとも1つ保存する閾値保存部と、該閾値保存部によって保存されている前記カウンタ閾値と前記カウンタ部によって計数されている前記クロック数を示すカウンタ値とを比較し、これらカウンタ閾値とカウンタ値とが一致した場合にサンプリングクロックを出力する比較部と、前記AD変換部によってAD変換された前記検出信号を前記比較部から出力される前記サンプリングクロックに基づいてサンプリングし、サンプリングした前記検出信号に基づいて画素データを生成するデータ処理部とを備えるサンプリング回路である。
【0007】
本態様によれば、位相同期部によって生成されるスキャナの走査位置信号の位相と同期するN逓倍クロックに同期して、AD変換部によって試料からの光の検出信号がAD変換されるとともに、カウンタ部によるクロック数の計数が行われる。そして、データ処理部において、カウンタ部によるカウンタ値が閾値保存部によって保存されているスキャナの所望の走査位置に対応する所定のカウンタ閾値と一致した場合に比較部から出力されるサンプリングクロックに基づいて、AD変換後の検出信号がサンプリングされる。これにより、スキャナによって所望の走査位置が走査されるタイミングで得られたAD変換後の検出信号に基づいて、画素データを生成することができる。
【0008】
この場合において、AD変換部によるAD変換およびカウンタ部による計数が、スキャナの走査位置信号に同期するN逓倍クロックに同期している。これにより、温度変化の影響等によってスキャナの発振周期が変動したり、スキャナごとに特性にばらつきがあったりしたとしても、AD変換部およびカウンタ部をスキャナの走査に同期して精度よく動作させることができる。したがって、温度変化の影響およびスキャナごとの特性のばらつきの影響に関わらず、煩雑な作業を必要とすることなく、スキャナの走査に同期したサンプリングを行うことができる。
【0009】
上記態様においては、前記スキャナによる往路と復路の前記レーザ光の走査開始位置のずれを補正する補正量を出力する補正量生成部と、該補正量生成部から出力された前記補正量に基づいて、前記閾値保存部によって保存されている前記カウンタ閾値を補正するカウンタ閾値補正部とを備えることとしてもよい。
この構成によって、スキャナによるレーザ光の往路の走査と復路の走査との画素ずれを補正することができる。
【0010】
上記態様においては、前記データ処理部が、前記サンプリングクロックの出力に同期してAD変換された前記検出信号のみをサンプリングすることとしてもよい。
【0011】
上記態様においては、前記データ処理部が、前記サンプリングクロックの出力を基準として複数の前記検出信号をサンプリングし、サンプリングした複数の前記検出信号を積算した積算信号に基づいて前記画素データを生成することとしてもよい。
【0012】
上記態様においては、複数の前記検出信号が、一の前記サンプリングクロックが出力されてから次のサンプリングクロックが出力されるまでの期間にAD変換された全ての前記検出信号であってもよい。
上記態様においては、複数の前記検出信号が、前記サンプリングクロックの出力を基準に時間的に前または後にAD変換された一定個数の前記検出信号であってもよい。
上記態様においては、複数の前記検出信号が、前記サンプリングクロックの出力を基準に時間的に前後する期間にAD変換された一定個数の前記検出信号であってもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、前記レーザ光を発生するレーザ光源と、前記スキャナおよび前記検出器とを備える顕微鏡本体と、上記いずれかのサンプリング回路と、該サンプリング回路および前記スキャナを制御する制御部と、前記サンプリング回路により得られた前記画素データに基づいて前記試料の画像データを生成する画像データ生成部とを備えるレーザ走査型顕微鏡である。
【0014】
本態様によれば、温度変化の影響およびスキャナごとの特性のばらつきの影響に関わらず、煩雑な作業を必要とすることなく、スキャナの走査に同期したサンプリングを行うことができるサンプリング回路によって生成される画素データに基づき、画像データ生成部によって試料の画像を精度よく生成することができる。
【0015】
上記態様に係るレーザ走査型顕微鏡は、前記スキャナによって前記レーザ光を走査させる前記試料上の走査範囲を指定する入力部と、該入力部によって指定された前記走査範囲に基づいて、前記カウンタ閾値を計算する閾値計算部とを備えることとしてもよい。
【0016】
実際にレーザ光を走査させる走査範囲の大きさに応じて、必要なカウンタ閾値の数が異なる。したがって、閾値計算部によって、実際の走査範囲に基づいてカウンタ閾値を計算することにより、サンプリングクロックの数も実際の走査範囲に必要な数に変更することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、温度変化の影響およびスキャナごとの特性のばらつきの影響に関わらず、煩雑な作業が不要で、スキャナの走査に同期したサンプリングを容易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡の概略構成図である。
【
図2】
図1のサンプリング部の構成を説明するブロック図である。
【
図3】カウンタ閾値保存メモリに保存されているカウンタ閾値の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態のサンプリングクロックの出力タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るサンプリング部の構成を説明するブロック図である。
【
図6】共振スキャナのミラー位置とスキャナ走査位置信号との関係を説明する図である。
【
図7】カウンタ閾値の補正値と補正後のカウンタ閾値の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態のサンプリングクロックの出力タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡の概略構成図である。
【
図10】カウンタ閾値保存メモリに保存されているカウンタ閾値の一例を示す図である。
【
図11】走査対象エリアに対応するスキャナ走査座標とカウンタ閾値の一例を示す図である。
【
図12】第3実施形態のサンプリングクロックの出力タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図13】本発明の第4実施形態に係るサンプリング部の構成を説明するブロック図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡の概略構成図である。
【
図15】第4実施形態のサンプリングクロックの出力タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図16】本発明の第4実施形態の変形例に係るサンプリング部の構成を説明するブロック図である。
【
図17】カウンタ閾値の補正値と補正後のカウンタ閾値の一例を示す図である。
【
図18】第4実施形態の変形例に係るサンプリングクロックの出力タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図19】第1~4実施形態の第1変形例のサンプリングクロック、ADデータの出力タイミングおよび画素データの関係を示すタイミングチャートである。
【
図20】第1~4実施形態の第2変形例のサンプリングクロック、ADデータの出力タイミングおよび画素データの関係を示すタイミングチャートである。
【
図21】第1~4実施形態のもう1つの第2変形例のサンプリングクロック、ADデータの出力タイミングおよび画素データの関係を示すタイミングチャートである。
【
図22】
図21の例に係るサンプリング部の構成を説明するブロック図である。
【
図23】第1~4実施形態の第3変形例のサンプリングクロック、ADデータの出力タイミングおよび画素データの関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係るサンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1は、例えば、
図1に示すように、試料Sを観察する顕微鏡本体3と、試料Sの画素データを生成するサンプリング部(サンプリング回路)5と、顕微鏡本体3およびサンプリング部5を制御等する制御部7と、試料Sの画像を表示する画像表示部9とを備えている。
【0020】
顕微鏡本体3は、レーザ光を発生するレーザ光源11と、レーザ光源11から発せられたレーザ光を2次元的に走査させる共振スキャナ(スキャナ)13と、共振スキャナ13によって走査されたレーザ光を試料S上に集光させる一方、試料Sから発せられる蛍光を集光する対物レンズ15と、共振スキャナ13によって走査されたレーザ光を透過させることによって対物レンズ15に入射させる一方、対物レンズ15および共振スキャナ13を経由してレーザ光の光路を戻る蛍光を反射することによってレーザ光の光路から分岐させる励起ダイクロイックミラー17と、励起ダイクロイックミラー17によって分岐された蛍光を検出する光電子増倍管等の検出器19とを備えている。
【0021】
共振スキャナ13は、共振スキャナ13を構成する図示しないミラーの揺動角度に対応するレーザ光の走査位置を示すスキャナ走査位置信号をサンプリング部5に送信する。
検出器19は、検出した蛍光の強度に相当する検出信号をサンプリング部5に送信する。
【0022】
サンプリング部5は、例えば、
図2に示すように、フェーズロックループによって共振スキャナ13の発振に同期したN逓倍クロックおよび1逓倍クロックを生成するPLL部(位相同期部)21と、検出器19から送られてくる検出信号をAD変換するADコンバータ(AD変換部)23と、N逓倍クロックに同期してクロック数を計数するカウンタ部25と、共振スキャナ13による所望の走査位置に対応するカウンタ部25の所定のカウンタ閾値を少なくとも1つ保存するカウンタ閾値保存メモリ(閾値保存部)27と、カウンタ閾値保存メモリ27によって保存されているカウンタ閾値とカウンタ部25によって計数されているクロック数を示すカウンタ値とを比較する比較部29と、ADコンバータ23によるAD変換後の検出信号に基づいて画素データを生成するデータ処理部(画像データ生成部)31とを備えている。
【0023】
PLL部21は、共振スキャナ13から送られてくるスキャナ走査位置信号に基づいて、そのスキャナ走査位置信号の走査周波数のN倍(Nは1以上の整数)の周波数を有するとともにスキャナ走査位置信号の位相と同期するN逓倍クロックを生成する。また、PLL部21は、共振スキャナ13から送られてくるスキャナ走査位置信号に基づいて、スキャナ走査位置信号の走査周波数と等しい周波数を有するとともにスキャナ走査位置信号の位相と同期する1逓倍クロックを生成する。また、PLL部21は、生成したN逓倍クロックをADコンバータ23およびカウンタ部25に送信し、生成した1逓倍クロックをカウンタ部25に送信する。
【0024】
ADコンバータ23は、検出器19から送られてくる検出信号をPLL部21から送られてくるN逓倍クロックの立ち上がりに同期してADデータに変換し、ADデータをデータ処理部31に送信する。
【0025】
カウンタ部25は、PLL部21から送られてくるN逓倍クロックの立ち上がりに同期してクロック数をカウントアップしていき、計数したクロック数、すなわちカウンタ値をPLL部21から送られてくる1逓倍クロックの立ち上がりに同期してリセットする動作を繰り返す。また、カウンタ部25は、カウントアップしながらそのカウンタ値を比較部29に送信する。
【0026】
カウンタ閾値保存メモリ27には、例えば、
図3に示すように、共振スキャナ13による走査座標ごとに予め設定されたカウンタ部25の所定のカウンタ閾値が、各走査座標に付された番号(No.)に対応付けられて保存されている。
【0027】
カウンタ閾値保存メモリ27に保存されるカウンタ閾値の数は、試料Sの画像、すなわちスキャン画像の画素数に対応している。カウンタ閾値の数を変更することによって、任意の画素数でスキャン画像を生成することができる。
図3においては、共振スキャナ13のスキャン画像の画素数を512画素とし、No.0~511は共振スキャナ13の往路の各画素に対応するカウンタ閾値を示し、No.512~1023は共振スキャナ13の復路の各画素に対応するカウンタ値を示している。また、カウンタ閾値保存メモリ27は、保存しているカウンタ閾値を比較部29に送信する。
【0028】
比較部29は、例えば、
図4に示すように、カウンタ部25から送られてくるカウンタ値とカウンタ閾値保存メモリ27から送られてくるカウンタ閾値とが一致したときにサンプリングクロックを出力する。
【0029】
データ処理部31は、比較部29から出力されたサンプリングクロックの立ち上がりに同期してADコンバータ23からのADデータをサンプリングし、サンプリングしたADデータを処理する。また、データ処理部31は、ADデータを処理することによって1画素分の輝度データを生成し、生成した1画素分の輝度データを画素データとして制御部7に送信する。
【0030】
制御部7は、例えば、ハードディスクドライブ等の記憶部と、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、演算処理を行う計算部(いずれも図示略)とを備えている。この制御部7は、記憶部に記憶されている制御プログラムをCPUが実行することによって、以下の機能を実現する。
【0031】
例えば、制御部7は、共振スキャナ13を制御するとともに、サンプリング部5の各部を動作させる。また、制御部7は、サンプリング部5のデータ処理部31から送られてくる画素データに基づいて、試料Sの画像データを生成する。制御部7によって生成された画像データは、画像表示部9によって表示される。
【0032】
次に、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1の作用について説明する。
上記構成のレーザ走査型顕微鏡1により試料Sを観察する場合、制御部7によって共振スキャナ13を駆動させ、レーザ光源11からレーザ光を発生させる。レーザ光源11から発せられたレーザ光は、共振スキャナ13によって走査された後、対物レンズ15によって試料S上に集光される。これにより、共振スキャナ13の揺動動作に応じて、試料S上でレーザ光が2次元的に走査される。共振スキャナ13によるスキャナ走査位置信号はサンプリング部5のPLL部21に送られる。
【0033】
レーザ光が照射されることによって試料Sにおいて発せられた蛍光は、対物レンズ15によって集光された後、共振スキャナ13を経由してレーザ光の光路を戻る。そして、蛍光は、励起ダイクロイックミラー17によって反射されることにより、検出器19に入射される。検出器19においては、検出された蛍光が検出信号に変換され、検出信号がサンプリング部5のADコンバータ23へ送られる。
【0034】
サンプリング部5においては、例えば、
図4に示すように、PLL部21により、共振スキャナ13から送られてきたスキャナ走査位置信号に基づいて、共振スキャナ13の発振に同期したN逓倍クロックおよび1逓倍クロックが生成される。そして、PLL部21により、生成されたN逓倍クロックがADコンバータ23およびカウンタ部25に送られ、生成された1逓倍クロックがカウンタ部25に送られる。
【0035】
次いで、ADコンバータ23により、検出器19から送られてきた検出信号がN逓倍クロックの立ち上がりに同期してADデータにAD変換され、ADデータがデータ処理部31に送られる。
【0036】
また、カウンタ部25により、N逓倍クロックの立ち上がりに同期してカウントアップされ、カウントアップされるごとにそのカウンタ値が比較部29に送られる。カウンタ部25においては、N逓倍クロックが立ち上がるごとにカウントアップされては、1逓倍クロックが立ち上がるとそれまでのカウンタ値がリセットされることが繰り返される。
【0037】
次いで、比較部29により、カウンタ部25から送られてくるカウンタ値とカウンタ閾値保存メモリ27から送られてくるカウンタ閾値とが比較される。そして、
図4に示すように、カウンタ値とカウンタ閾値とが一致したときに立ち上がるサンプリングクロックが比較部29からデータ処理部31に送られる。
【0038】
次いで、データ処理部31により、比較部29から送られてくるサンプリングクロックの立ち上がりに同期してADコンバータ23からのADデータがサンプリングされ、サンプリングしたADデータが処理される。これにより、データ処理部31によって、1画素分の輝度データが生成され、生成された輝度データが画素データとして制御部7に送られる。そして、制御部7により、データ処理部31から送られてきた画素データに基づいて試料Sの画像が生成される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るサンプリング部5によれば、PLL部21によって生成される共振スキャナ13のスキャナ走査位置信号の位相と同期するN逓倍クロックに同期して、試料Sからの検出信号がADデータに変換されるとともに、カウンタ部25によるクロック数の計数が行われる。そして、カウンタ部25によるカウンタ値が共振スキャナ13の所望の走査位置に対応するカウンタ閾値と一致した場合に出力されるサンプリングクロックに同期して、ADデータがサンプリングされる。これにより、共振スキャナ13によって所望の走査位置が走査されるタイミングで得られたADデータに基づいて、画素データを生成することができる。
【0040】
この場合において、ADコンバータ23によるAD変換およびカウンタ部25による計数が、共振スキャナ13のスキャナ走査位置信号に同期するN逓倍クロックに同期していることにより、温度変化の影響等によって共振スキャナ13の発振周期が変動したり、共振スキャナ13ごとに特性にばらつきがあったりしたとしても、ADコンバータ23およびカウンタ部25を共振スキャナ13の走査に同期して精度よく動作させることができる。
【0041】
したがって、このサンプリング部5により、温度変化の影響および共振スキャナ13ごとの特性のばらつきの影響に関わらず、煩雑な作業を必要とすることなく、共振スキャナ13の走査に同期したサンプリングを行うことができる。また、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1によれば、このサンプリング部5によって生成された画素データに基づいて、試料Sの画像を精度よく生成することができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るサンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡について説明する。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1は、例えば、
図5に示すように、サンプリング部5が、共振スキャナ13による往路と復路のレーザ光の走査開始位置のずれを補正する補正値(補正量)を出力する往復スキャン補正量生成部(補正量生成部)33と、往復スキャン補正量生成部33から出力された補正値に基づいて、カウンタ閾値保存メモリ27によって保存されているカウンタ閾値を補正するカウンタ補正部(カウンタ閾値補正部)35とを備える点で第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態に係るサンプリング部5と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
共振スキャナ13は、往路と復路とで走査速度が一定ではなく、共振スキャナ13の個体差により、例えば、
図6に示すように、共振スキャナ13による走査位置が往路と復路とでずれてしまうことがある。
図6に示す例は、往路の走査位置に対して復路の走査位置がずれている場合を示している。
図6において、実線で示したスキャナ走査位置信号は理想的な波形を表し、破線で示したスキャナ走査位置信号はずれが生じた場合の波形を表している。
【0044】
カウンタ閾値保存メモリ27には、例えば、
図7に示すように、共振スキャナ13の理想的な挙動から計算した理論値が、共振スキャナ13による各走査座標に付された番号(No.)に対応付けられてカウンタ閾値として保存されている。本実施形態においては、カウンタ閾値保存メモリ27は、保存しているカウンタ閾値をカウンタ補正部35に送信する。
【0045】
往復スキャン補正量生成部33は、例えば、
図7に示すように、共振スキャナ13による走査座標ごとに予め設定された補正値が、共振スキャナ13による各走査座標に付された番号(No.)に対応付けられて保存されている。また、往復スキャン補正量生成部33は、保存している補正値をカウンタ補正部35に送信する。補正値は、ユーザが試料Sのスキャン画像を見ながら、適切な値となるように調整してもよい。
図7は、復路のカウンタ閾値を補正する場合の一例であり、往路の補正値として0、復路の補正値として100が設定されている。
【0046】
カウンタ補正部35は、カウンタ閾値保存メモリ27から送られてきたカウンタ閾値に対して、往復スキャン補正量生成部33から送られてくる補正値の内、そのカウンタ閾値の番号(NO.)に対応付けられている補正値を加算することによって、カウンタ閾値を補正する。また、カウンタ補正部35は、補正後のカウンタ閾値を比較部29に送信する。
【0047】
比較部29は、例えば、
図8に示すように、カウンタ部25から送られてくるカウンタ値とカウンタ補正部35から送られてくる補正後のカウンタ閾値とが一致したときにサンプリングクロックを出力する。
【0048】
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1によれば、カウンタ補正部35により、往復スキャン補正量生成部33から出力される補正値に基づいて往路のカウンタ閾値と復路のカウンタ閾値が補正され、比較部29によって、補正されたカウンタ閾値に基づいてサンプリングクロックが生成されることにより、往復スキャンによる往路と復路の画素ずれを補正することができる。
【0049】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係るサンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡について説明する。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1は、例えば、
図9に示すように、共振スキャナ13によって試料S上で実際にレーザ光を走査させる走査対象エリア(走査範囲)をユーザが指定する入力装置(入力部)37を備え、制御部7が、入力装置37によって指定された走査対象エリアに基づいて、カウンタ閾値を計算する計算部(閾値計算部)8を備える点で第1,2実施形態と異なる。
以下、第1,2実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
制御部7の計算部8は、入力装置37によってユーザが指定した試料S上の走査対象エリアの画素ごとに、カウンタ閾値と共振スキャナ13による走査座標を計算し、カウンタ閾値保存メモリ27のカウンタ閾値を更新する。例えば、
図10に示す例では、指定された走査対象エリアの走査座標50.00~120.00と、各走査座標に対応するカウンタ閾値が算出され、カウンタ閾値保存メモリ27に保存するカウンタ閾値が更新されている。
【0051】
また、制御部7の計算部8は、例えば、
図11に示すように、入力装置37によってユーザが指定した試料S上の走査対象エリアの画素数に応じて、Y方向のスキャン開始座標とスキャン終了座標を計算し、算出したY方向のスキャン開始座標とスキャン終了座標を不図示のメモリに記憶させることとしてもよい。
【0052】
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1によれば、実際にレーザ光を走査させる走査対象エリアの画素数に応じて、必要なカウンタ閾値の数が異なるので、制御部7の計算部8によって、実際の走査範囲に基づいてカウンタ閾値を計算することにより、例えば、
図12に示すように、出力するサンプリングクロックの数を実際の走査範囲に必要な数に変更することができる。また、カウンタ閾値の設定によって、クリップスキャンや高解像度スキャン等にも対応することができる。
【0053】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係るサンプリング回路およびレーザ走査型顕微鏡について説明する。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1は、例えば、
図13に示すように、ADデータの所定の閾値を出力するADデータ閾値生成部39と、ADコンバータ23から出力されるADデータとADデータ閾値生成部39から出力される閾値とを比較する比較器41とを備える点で第1~3実施形態と異なる。
以下、第1~3実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態においては。ADコンバータ23は、AD変換したADデータをデータ処理部31および比較器41の両方に送信する。また、カウンタ部25は、計数しているカウンタ値をカウンタ閾値保存メモリ27および比較部29の両方に送信する。
カウンタ閾値保存メモリ27には、例えば、予め決められたカウンタ閾値が保存されている。
【0055】
本実施形態においては、カウンタ閾値を作成する場合に、試料Sに代えて、例えば、
図14に示すように、既知のパターンが描かれた格子チャートCが用いられる。
ADデータ閾値生成部39には、格子チャートCの明暗を区別する所定の1つの数値がADデータ閾値として保存されている。
【0056】
具体的には、格子チャートCの黒い部分、すなわち格子部分が走査されたときと、格子チャートCの白い部分、すなわち格子以外の部分が走査されたときとでADコンバータ23から出力されるADデータに差が出るので、格子チャートCの格子部分のADデータと格子以外の部分のADデータとを区別可能な数値がADデータ閾値としてADデータ閾値生成部39に保存されている。また、ADデータ閾値生成部39は、保存しているADデータ閾値を比較器41に送信する。
【0057】
比較器41は、
図15に示されるように、ADコンバータ23から送られてくるADデータの大きさがADデータ閾値生成部39から送られてくるADデータ閾値の大きさを上回ったときに立ち上がるカウンタ閾値保存タイミング信号をカウンタ閾値保存メモリ27に送信する。格子チャートCはパターンが既知なので、ADデータの大きさがADデータ閾値の大きさを上回るとき、すなわち、カウンタ閾値保存タイミング信号が立ち上がるときの走査座標は予め決まっている。
【0058】
カウンタ閾値保存メモリ27は、比較器41から送られてくるカウンタ閾値保存タイミング信号が立ち上がるときにカウンタ部25によって計数されたカウンタ値を、カウンタ閾値保存タイミング信号が立ち上がるときの走査座標に対応付けてカウンタ閾値として保存する。
【0059】
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡1によるカウンタ閾値の作成方法について説明する。
上記構成のレーザ走査型顕微鏡1によってカウンタ閾値を作成するには、まず、試料Sに代えて、既知のパターンが描かれた格子チャートC上をレーザ光によって走査させる。格子チャートC上が走査されることにより検出器19によって検出された検出信号がADコンバータ23によってADデータに変換され、変換されたADデータが比較器41に送られる。
【0060】
次いで、比較器41により、ADコンバータ23から送られてくるADデータとADデータ閾値生成部39から送られてくるADデータ閾値とが比較される。そして、ADデータの大きさがADデータ閾値の大きさを上回ったときに立ち上がるカウンタ閾値保存タイミング信号が比較器41からカウンタ閾値保存メモリ27に送られる。ADデータの大きさがADデータ閾値の大きさを上回るのは、試料Sの格子部分が走査されたときであり、格子部分の座標は格子チャートCのパターンによって決まっている。
【0061】
次いで、カウンタ閾値保存メモリ27において、
図15に示されるように、カウンタ閾値保存タイミング信号の立ち上がり、すなわちADデータの大きさがADデータ閾値の大きさを上回ったときにカウンタ部25によって計数されたカウンタ値が、走査座標に対応付けられてカウンタ閾値として書き込まれる。これにより、カウンタ閾値が更新される。
【0062】
カウンタ閾値保存メモリ27の全てのカウンタ閾値が更新されたら、比較部29によって、更新されたカウンタ閾値に基づいてサンプリングクロックが生成される。
本実施形態によれば、共振スキャナ13による任意の走査座標に対応するカウンタ値をカウンタ閾値として用いることにより、共振スキャナ13の個体差および共振スキャナ13による往路と復路とでの走査位置ずれが補正されたサンプリングクロックを生成することができる。
【0063】
本実施形態においては、ADデータ閾値生成部39に予め決められたADデータ閾値を保存しておくこととしたが、これに代えて、例えば、制御部7の計算部によって、ADデータの最小値と最大値の中間の値を計算し、算出した値がADデータ閾値生成部39に自動的に保存されることとしてもよい。
【0064】
本実施形態は以下の構成に変形することができる。
例えば、
図16に示すように、カウンタ閾値を作成する場合に、格子チャートCを採用するのではなく、ADコンバータ23によってスキャナ走査位置信号をADデータに変換したADデータを用いることとしてもよい。
【0065】
この場合、カウンタ閾値保存メモリ27には、例えば、
図17に示すような共振スキャナ13による走査座標ごとに対応するADデータ閾値を保存しておく。
比較器41は、例えば、
図18に示すように、ADコンバータ23によってスキャナ走査位置信号から変換されたADデータが、ADデータ閾値生成部39に保存されているADデータ閾値と一致するタイミングを示すカウンタ閾値保存タイミング信号を、そのADデータ閾値の走査座標と対応付けてカウンタ閾値保存メモリ27に送信する。
【0066】
カウンタ閾値保存メモリ27は、比較器41から送られてくるカウンタ閾値保存タイミング信号が示すタイミングでカウンタ部25によって計数されたカウンタ値を走査座標に対応付けてカウンタ閾値として保存する。これにより、カウンタ閾値が更新される。
【0067】
カウンタ閾値保存メモリ27のカウンタ閾値が更新されたら、ADコンバータ23に入力する信号を検出器19の検出信号に戻す。これにより、比較部29によって、更新されたカウンタ閾値が用いられてサンプリングクロックが出力される。
本変形例によれば、格子チャートC等を用いることなく、共振スキャナ13の個体差および往復ずれを補正したサンプリングクロックを生成することができる。
【0068】
上記各実施形態は以下の構成に変形することができる。
上記各実施形態においては、データ処理部31が、サンプリングクロックの立ち上がりに同期してAD変換されたADデータのみをサンプリングすることとした。これに代えて、データ処理部31が、例えば、比較部29から出力されるサンプリングクロックを基準として複数のADデータをサンプリングすることとしてもよい。
【0069】
この場合、第1変形例としては、データ処理部31が、例えば、
図19に示されるように、比較部29から出力される一のサンプリングクロックが立ち上がってから次のサンプリングクロックが立ち上がるまでにADコンバータ23から送られてくる全てのADデータを積算することとしてもよい。そして、積算したADデータ(積算信号)に基づいて画素データを生成することとしてもよい。
【0070】
図19は、(1)のサンプリングクロックが立ち上がってから(2)のサンプリングクロックが立ち上がるまでの期間では10個のADデータ、(2)のサンプリングクロックが立ち上がってから(3)のサンプリングクロックが立ち上がるまでの期間では12個のADデータ、(3)のサンプリングクロックが立ち上がってから(4)のサンプリングクロックが立ち上がるまでの期間では13のADデータをそれぞれ積算することによって画像データを生成する場合を例示している。
【0071】
本変形例においては、データ処理部31が、積算したADデータの個数によって、生成した画素データを除算することとしてもよい。
画素データを平均化することにより、試料Sから発せられる蛍光の検出時間の相違による明るさ変動を抑制しつつ、検出時間を長くすることができる。
【0072】
第2変形例としては、データ処理部31が、比較部29から出力されるサンプリングクロックの出力を基準に時間的に前または後にAD変換された一定個数のADデータを積算することとしてもよい。
【0073】
例えば、
図20に示されるように、データ処理部31が、一のサンプリングクロックの立ち上がりから次のサンプリングクロックが立ち上がるまでの間にADコンバータ23から送られてくる一定個数のADデータを積算し、積算したADデータに基づいて画素データを生成することとしてもよい。
【0074】
図20は、(1)のサンプリングクロック、(2)のサンプリングクロック、(3)のサンプリングクロックおよび(4)のサンプリングクロックの立ち上がりにそれぞれ同期してサンプリングを開始し、全ての期間において各10個のADデータを積算することによってそれぞれ画像データを生成する場合を例示している。
【0075】
この場合、積算するADデータの個数が全ての画素データにおいて一定なので、積算時間の違いによる明るさ変動を排除することができる。ADデータを積算する一定個数は、サンプリングクロックが出力される間隔が最も短い期間にADコンバータ23から出力されるADデータの個数に合わせてもよい。
【0076】
また、例えば、
図21に示されるように、データ処理部31が、ADコンバータ23から送られてくる複数のADデータのうち、サンプリングクロックの出力を基準に時間的に遡って一定個数のADデータを積算し、積算したADデータに基づいて画素データを生成することとしてもよい。
【0077】
図21は、(1)のサンプリングクロック、(2)のサンプリングクロック、(3)のサンプリングクロックおよび(4)のサンプリングクロックがそれぞれ立ち上がる直前の各10個のADデータを積算することによって、それぞれ画像データを生成する場合を例示している。
【0078】
この場合、過去に遡ってADデータを積算するため、例えば、
図22に示されるように、ADコンバータ23から出力されたADデータがデータ処理部31に送られる前に一時的に保存しておくADデータ保存メモリ24を設けることとすればよい。
【0079】
第3変形例としては、データ処理部31が、比較部29から出力されるサンプリングクロックの出力を基準に時間的に前後する期間にAD変換された一定個数のADデータを積算することとしてもよい。
【0080】
例えば、
図23に示されるように、データ処理部31が、サンプリングクロックの立ち上がり前と立ち上がり後にそれぞれADコンバータ23から送られてくる一定個数のADデータを積算し、積算したADデータに基づいて画素データを生成することとしてもよい。この場合も、過去に遡ってADデータを積算するため、
図22に示されるように、ADデータ保存メモリ24を設けることとすればよい。
【0081】
図23は、(1)のサンプリングクロック、(2)のサンプリングクロック、(3)のサンプリングクロックおよび(4)のサンプリングクロックがそれぞれ立ち上がる直前の5個のADデータと直後の5個のADデータの合計10個のADデータを積算することによって、それぞれ画像データを生成する場合を例示している。
【0082】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記各実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 レーザ走査型顕微鏡
3 顕微鏡本体
5 サンプリング部(サンプリング回路)
7 制御部
8 計算部(閾値計算部)
11 レーザ光源
13 共振スキャナ(スキャナ)
19 検出器
21 PLL部(位相同期部)
23 ADコンバータ(AD変換部)
25 カウンタ部
27 カウンタ閾値保存メモリ(閾値保存部)
29 比較部
31 データ処理部(画像データ生成部)
33 往復スキャン補正量生成部(補正量生成部)
35 カウンタ補正部(カウンタ閾値補正部)
37 入力装置(入力部)
S 試料