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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ガス流動促進装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/00 20060101AFI20231124BHJP
   B01J 8/06 20060101ALI20231124BHJP
   F17D 1/02 20060101ALI20231124BHJP
   G21C 9/04 20060101ALI20231124BHJP
   G21C 19/317 20060101ALI20231124BHJP
   G21F 9/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C01B3/00 Z
B01J8/06
F17D1/02
G21C9/04
G21C19/317
G21F9/02 541B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020061232
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021160948
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小雲 信哉
(72)【発明者】
【氏名】河村 雅也
(72)【発明者】
【氏名】森山 貴雄
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074554(JP,A)
【文献】特開2009-192298(JP,A)
【文献】特開2004-012145(JP,A)
【文献】特開2013-228218(JP,A)
【文献】特開2000-065982(JP,A)
【文献】特開平06-331100(JP,A)
【文献】米国特許第04246235(US,A)
【文献】特開2011-031171(JP,A)
【文献】特開2015-078832(JP,A)
【文献】実開昭53-016029(JP,U)
【文献】特表2001-500262(JP,A)
【文献】特表2003-513252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 5/02
B01D 53/00 - 53/96
B01J 8/06
F17D 1/00 - 5/08
G21C 9/04
G21C 19/317
G21F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含むガスが存在する空間部から鉛直方向の上方に延出する分岐部と、
前記分岐部に滞留するガスの水素濃度を低減する水素濃度低減装置と、
を備え、
前記空間部は、主配管の流路であり、前記分岐部は、前記主配管から鉛直方向の上方に分岐する分岐配管であり、前記分岐配管は、開閉弁が設けられ、前記水素濃度低減装置は、前記分岐配管における前記主配管の連結部と前記開閉弁との間から前記主配管における前記分岐配管の連結部よりガス流動方向の下流側に連結される戻り配管を有する、
ガス流動促進装置。
【請求項2】
前記水素濃度低減装置は、前記分岐配管における前記主配管の連結部と前記開閉弁との間に配置される水素再結合装置を有する、
請求項1に記載のガス流動促進装置。
【請求項3】
前記水素再結合装置は、筒形状をなすケースと、前記ケースにおける上開口部と下開口部に固定される一対の多孔部材と、前記ケースと前記一対の多孔部材により区画された空間部に充填される触媒とを有する、
請求項2に記載のガス流動促進装置。
【請求項4】
前記水素再結合装置は、第1接手と、前記第1接手に連結される第2接手と、前記第1接手と前記第2接手との連結部に充填される触媒とを有する、
請求項2に記載のガス流動促進装置。
【請求項5】
前記水素濃度低減装置は、前記分岐配管における前記主配管の連結部と前記開閉弁との間に配置される加熱装置を有する、
請求項1に記載のガス流動促進装置。
【請求項6】
前記分岐配管は、前記水素濃度低減装置より鉛直方向の上方側に保温部が設けられる、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のガス流動促進装置。
【請求項7】
前記水素濃度低減装置は、前記主配管における前記分岐配管の連結部と前記戻り配管との連結部との間に配置される流路抵抗部を有する、
請求項1に記載のガス流動促進装置。
【請求項8】
水素を含むガスが存在する空間部から鉛直方向の上方に延出する分岐部と、
前記分岐部に滞留するガスの水素濃度を低減する水素濃度低減装置と、
を備え、
前記空間部は、容器の貯留部であり、前記分岐部は、前記容器における鉛直方向の上部から上方に分岐する分岐配管であり、前記水素濃度低減装置は、前記分岐配管に配置される水素再結合装置を有し、
前記分岐配管は、鉛直方向の上端部に前記容器に連結される戻り配管が連結され、
前記分岐配管は、前記水素濃度低減装置より鉛直方向の上方側に保温部が設けられ、前記戻り配管は、冷却部が設けられる、
ガス流動促進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管や容器などに滞留するガスの流れを促進するガス流動促進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電設備や放射性廃棄物処理設備などでは、水が中性子照射を受けて放射性分解を生じ、水素が発生することが考えられる。発生した水素は、例えば、主蒸気に混入して配管を流れたり、タンクなどに貯留されたりする。例えば、主蒸気が流れる配管にて、局所的に水素が滞留して濃度が高くなると、水素燃焼が生じる可能性がある。そのため、発生した水素を安全に処理する必要がある。発生した水素を処理する技術としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-20497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、蒸気から水素を分離し、気体廃棄物処理系に導いて処理している。ところが、蒸気が流れる配管は、途中で分岐したり、屈曲したりすることから、蒸気に含まれる水素が、例えば、配管の分岐部や屈曲部などに滞留することが考えられる。すると、水素が気体廃棄物処理系に導かれる前に、配管の途中で局所的に滞留して濃度が高くなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、局所的な水素の滞留を抑制することで安全性の向上を図るガス流動促進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示のガス流動促進装置は、水素を含むガスが存在する空間部から鉛直方向の上方に延出する分岐部と、前記分岐部に滞留するガスの水素濃度を低減する水素濃度低減装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のガス流動促進装置によれば、局所的な水素の滞留を抑制することで安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
図2図2は、水素濃度低減部を表す概略図である。
図3図3は、第2実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
図4図4は、第3実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
図5図5は、第4実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
図6図6は、第5実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
図7図7は、第6実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
図8図8は、水素濃度低減部を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0010】
[第1実施形態]
<ガス流動促進装置の構成>
図1は、第1実施形態のガス流動促進装置を表す概略図、図2は、水素濃度低減部を表す概略図である。
【0011】
第1実施形態において、図1に示すように、ガス流動促進装置10は、主配管11と、分岐配管(分岐部)12と、開閉弁13と、戻り配管(水素濃度低減装置)14と、水素再結合装置(水素濃度低減装置)15とを備える。
【0012】
主配管11は、水平方向に沿って配置される。主配管11は、内部に流路(空間部)21が設けられ、水素(水素ガス)と酸素(酸素ガス)を含むガスGが矢印方向に沿って流れる。なお、主配管11は、傾斜していてもよい。分岐配管12は、主配管11の流路21から鉛直方向の上方に延出する。分岐配管12は、主配管11に直交する鉛直配管部22と、鉛直配管部22から水平方向に屈曲する水平配管部23とを有する。分岐配管12は、鉛直配管部22および水平配管部23を介して図示しないガス供給部に連結される。分岐配管12は、水平配管部23に開閉弁13が設けられる。
【0013】
戻り配管14は、分岐配管12における主配管11の連結部と開閉弁13との間から主配管11における分岐配管12の連結部よりガス流動方向の下流側に連結される。戻り配管14は、分岐配管12における鉛直配管部22と水平配管部23との連結部から水平方向に分岐する。戻り配管14は、分岐配管12に直交する水平配管部24と、水平配管部24から鉛直方向の下方に屈曲する鉛直配管部25とを有する。戻り配管14は、鉛直配管部25の下端部が主配管11(流路21)に連結される。すなわち、分岐配管12の鉛直配管部22と戻り配管14の水平配管部24および鉛直配管部25とにより、主配管11の一部を迂回する循環経路が形成される。
【0014】
水素再結合装置15は、分岐配管12に滞留するガスの水素濃度を低減する。水素再結合装置15は、分岐配管12の鉛直配管部22における長手方向の中間部に配置される。水素再結合装置15は、例えば、触媒であって、水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成することで、水素濃度を低減する。
【0015】
水素再結合装置15は、図2に示すように、筒形状をなすケース31と、ケース31の上部と下部に固定される多孔板32,33と、ケース31の内部で、多孔板32,33の間の空間部に充填される触媒(例えば、白金の粒状体)34とを有する。ガスGは、多孔板32を通ってケース31の内部に入り、触媒34により水素と酸素の再結合反応が生じて水蒸気が生成され、多孔板33を通って排出される。
【0016】
図1に示すように、分岐配管12は、水素再結合装置15より鉛直方向の上方側に保温部26が設けられる。ガスGが水素再結合装置15により水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成するとき、熱が発生し、ガスGの温度が上昇する。保温部26は、温度上昇したガスGの温度低下を抑制する。そのため、再結合反応後のガスGにより上方に流動する自然対流が生成される。
【0017】
なお、上述した説明では、水素濃度低減装置として、水素再結合装置15を適用したが、この構成に限定されるものではない。例えば、水素濃度低減装置として、加熱装置を適用してもよい。加熱装置は、水素再結合装置15と同様に、分岐配管12に滞留するガスの水素濃度を低減する。加熱装置は、分岐配管12の鉛直配管部22における長手方向の中間部に配置される。加熱装置は、例えば、ヒータであって、水素を含むガスGを加熱することで、上方に流動するガスGの自然対流を生成し、水素濃度を低減する。
【0018】
<ガス流動促進装置の作動>
主配管11は、流路に水素を含むガスGが流れる。主配管11のガスGを分岐配管12によりガス供給部に供給するとき、開閉弁13を開放する。すると、主配管11を流れるガスGの一部が分岐配管12に流れ、ガス供給部に供給される。
【0019】
一方、主配管11のガスGを分岐配管12によりガス供給部に供給しないとき、開閉弁13を閉止する。すると、主配管11を流れるガスGは、分岐配管12に流れずに、流路21を流れる。このとき、ガスGに含まれる水素は、非常に軽い性質を有することから、開閉弁13が閉止されていても、主配管11から分岐配管12の鉛直配管部22に上昇して滞留し、鉛直配管部22(分岐配管12)のガスGにおける水素濃度が高くなってしまうおそれがある。
【0020】
ところが、第1実施形態では、分岐配管12の鉛直配管部22に水素再結合装置15が配置されている。そのため、主配管11から分岐配管12の鉛直配管部22に上昇した水素は、水素再結合装置15による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度が低減する。そして、この水素と酸素の再結合反応により熱が発生することから、高温のガスGにより上方に流動する自然対流が生成される。すると、水素再結合装置15により処理されたガスG1は、戻り配管14に流れる。戻り配管14に流れたガスG1は、ここで放熱して温度が低下し、主配管11の流路21を流れるガスGに合流する。
【0021】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
第2実施形態において、図3に示すように、ガス流動促進装置10Aは、主配管11と、分岐配管(分岐部)12と、開閉弁13と、再分岐配管41と、水素再結合装置15とを備える。
【0023】
主配管11は、水平方向に沿って配置される。主配管11は、内部に流路21が設けられ、水素と酸素を含むガスGが矢印方向に沿って流れる。分岐配管12は、主配管11の流路21から鉛直方向の上方に延出する。分岐配管12は、主配管11に直交する鉛直配管部22と、鉛直配管部22から水平方向に屈曲する水平配管部23とを有する。分岐配管12は、水平配管部23に開閉弁13が設けられる。
【0024】
再分岐配管41は、分岐配管12における主配管11の連結部と開閉弁13との間に連結される。再分岐配管41は、分岐配管12における鉛直配管部22と水平配管部23との連結部から鉛直方向の上方に分岐する。再分岐配管41は、下端部が分岐配管12に連結され、上端部に水素再結合装置15が連結される。水素再結合装置15は、分岐配管12に滞留するガスの水素濃度を低減する。水素再結合装置15は、再分岐配管41の上端部に配置され、水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成することで、水素濃度を低減する。
【0025】
開閉弁13を閉止すると、主配管11を流れるガスGは、分岐配管12に流れずに、流路21を流れる。このとき、ガスGに含まれる水素は、主配管11から分岐配管12の鉛直配管部22および再分岐配管41に上昇して滞留し、ガスGにおける水素濃度が高くなってしまうおそれがある。ところが、第2実施形態では、再分岐配管41に水素再結合装置15が配置されている。そのため、主配管11から分岐配管12の鉛直配管部22および再分岐配管41に上昇した水素は、水素再結合装置15による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度が低減する。
【0026】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
第3実施形態において、図4に示すように、ガス流動促進装置10Bは、主配管11と、分岐配管(分岐部)12と、開閉弁13と、戻り配管14と、流路抵抗部(水素濃度低減装置)42とを備える。
【0028】
主配管11は、水平方向に沿って配置される。主配管11は、内部に流路21が設けられ、水素と酸素を含むガスGが矢印方向に沿って流れる。分岐配管12は、主配管11の流路21から鉛直方向の上方に延出する。分岐配管12は、主配管11に直交する鉛直配管部22と、鉛直配管部22から水平方向に屈曲する水平配管部23とを有する。分岐配管12は、水平配管部23に開閉弁13が設けられる。
【0029】
戻り配管14は、分岐配管12における主配管11の連結部と開閉弁13との間から主配管11における分岐配管12の連結部よりガス流動方向の下流側に連結される。戻り配管14は、分岐配管12における鉛直配管部22と水平配管部23との連結部から水平方向に分岐する。戻り配管14は、分岐配管12に直交する水平配管部24と、水平配管部24から鉛直方向の下方に屈曲する鉛直配管部25とを有する。戻り配管14は、鉛直配管部25の下端部が主配管11(流路21)に連結される。
【0030】
流路抵抗部42は、主配管11における分岐配管12の連結部と戻り配管14との連結部との間に配置される。流路抵抗部42は、分岐配管12に滞留するガスの水素濃度を低減する。流路抵抗部42は、中心部に貫通孔43が形成された円板部材44である。流路抵抗部42は、主配管11の流路21に配置されることで、流路21を流れるガスGの抵抗となる。そのため、主配管11の流路21を流れるガスGは、分岐配管12に流れやすくなる。分岐配管12に流れたガスGは、戻り配管14を通って主配管11の流路21に戻る。すなわち、分岐配管12および戻り配管14にガスGの流れを生成することで、水素濃度を低減する。
【0031】
開閉弁13を閉止すると、主配管11を流れるガスGは、分岐配管12に流れずに、流路21を流れる。このとき、ガスGに含まれる水素は、主配管11から分岐配管12の鉛直配管部22に上昇して滞留し、ガスGにおける水素濃度が高くなってしまうおそれがある。ところが、第2実施形態では、主配管11における分岐配管12の連結部と戻り配管14との連結部との間に流路抵抗部42が配置されている。そのため、流路21を流れるガスGは、流路抵抗部42が抵抗となって分岐配管12に流れ、戻り配管14を通って主配管11の流路21に戻る。すると、分岐配管12および戻り配管14にガスGの流れが生成されることで、ガスGにおける水素濃度が低減する。
【0032】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。
【0033】
第4実施形態において、図5に示すように、ガス流動促進装置50は、容器51と、分岐配管(分岐部)52と、戻り配管(水素濃度低減装置)53と、水素再結合装置(水素濃度低減装置)54とを備える。
【0034】
容器51は、内部に貯留部(空間部)61が設けられ、水素と酸素を含むガスGが貯留される。分岐配管52は、容器51の貯留部61から鉛直方向の上方に延出する。分岐配管52は、容器51に直交する鉛直配管部62を有する。戻り配管53は、分岐配管52に隣接し、容器51の貯留部61から鉛直方向の上方に延出する。戻り配管53は、容器51に直交する鉛直配管部63を有する。分岐配管52の鉛直配管部62と、戻り配管53の鉛直配管部63は、水平配管部64により連結される。すなわち、分岐配管52の鉛直配管部62と戻り配管53の鉛直配管部63と水平配管部64とにより、容器51の一部を迂回する循環経路が形成される。
【0035】
水素再結合装置54は、分岐配管52に滞留するガスの水素濃度を低減する。水素再結合装置54は、分岐配管52の鉛直配管部62における長手方向の中間部に配置される。水素再結合装置54は、例えば、触媒であって、水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成することで、水素濃度を低減する。
【0036】
分岐配管52は、水素再結合装置54より鉛直方向の上方側に保温部65が設けられる。ガスGが水素再結合装置54により水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成するとき、熱が発生し、ガスGの温度が上昇する。保温部65は、温度上昇したガスGの温度低下を抑制する。そのため、分岐配管52にて、再結合反応後のガスGにより上方に流動する自然対流が生成される。また、戻り配管53は、冷却部66が設けられる。冷却部66は、分岐配管52の鉛直配管部62から水平配管部64を通して戻り配管53の鉛直配管部63に流れる高温のガスGを冷却する。そのため、戻り配管53にて、再結合反応後のガスGにより下方に流動する自然対流が生成される。なお、水素濃度低減装置として、水素再結合装置54に代えて、加熱装置を適用してもよい。
【0037】
容器51に貯留されるガスGは、水素を含んでおり、ガスGに含まれる水素は、非常に軽い性質を有することから、容器51の貯留部61を上昇して上部に滞留し、ガスGにおける水素濃度が高くなってしまうおそれがある。ところが、第4実施形態では、容器51の上部に連結された分岐配管52に水素再結合装置54が配置されている。そのため、容器51の上部に滞留した水素は、分岐配管52から水素再結合装置54に流れ、水素再結合装置54による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度が低減する。そして、この水素と酸素の再結合反応により熱が発生することから、高温のガスGにより上方に流動する自然対流が生成される。すると、水素再結合装置54により処理されたガスG1は、水平配管部64を通して戻り配管53に流れる。戻り配管53に流れたガスG1は、冷却部66により冷却されて温度が低下し、容器51の貯留部61に戻る。
【0038】
[第5実施形態]
図6は、第5実施形態のガス流動促進装置を表す概略図である。なお、上述した第4実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
第5実施形態において、図6に示すように、ガス流動促進装置50Aは、容器51と、分岐配管52と、水素再結合装置54とを備える。
【0040】
容器51は、内部に貯留部61が設けられ、水素と酸素を含むガスGが貯留される。分岐配管52は、容器51の貯留部61から鉛直方向の上方に延出する。水素再結合装置54は、分岐配管52に滞留するガスの水素濃度を低減する。水素再結合装置54は、分岐配管52における鉛直方向の上端部に配置される。すなわち、分岐配管52は、下端部が容器51に連結され、上端部に水素再結合装置54が連結される。水素再結合装置54は、例えば、触媒であって、水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成することで、水素濃度を低減する。
【0041】
容器51に貯留されるガスGは、水素を含んでおり、水素が貯留部61を上昇して上部に滞留し、ガスGにおける水素濃度が高くなってしまうおそれがある。ところが、第5実施形態では、容器51の上部に連結された分岐配管52に水素再結合装置54が配置されている。そのため、容器51の上部に滞留した水素は、分岐配管52から水素再結合装置54に流れ、水素再結合装置54による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度が低減する。
【0042】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態のガス流動促進装置を表す概略図、図8は、水素濃度低減部を表す概略図である。なお、上述した第4実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
第6実施形態において、図7に示すように、ガス流動促進装置50Bは、容器51と、分岐配管(分岐部)71と、戻り配管(水素濃度低減装置)72と、水素再結合装置(水素濃度低減装置)73とを備える。
【0044】
容器51は、内部に貯留部(空間部)61が設けられ、水素と酸素を含むガスGが貯留される。分岐配管71は、容器51の貯留部61から鉛直方向の上方に延出する。分岐配管71は、容器51に直交する第1鉛直配管部81および第2鉛直配管部82を有する。戻り配管72は、分岐配管71に隣接し、容器51の貯留部61から鉛直方向の上方に延出する。戻り配管72は、水平配管部83およびらせん配管部84を有する。分岐配管71の第2鉛直配管部82と、戻り配管72の水平配管部83は、端部同士が連結される。すなわち、分岐配管71と戻り配管72により、容器51の一部を迂回する循環経路が形成される。また、第2鉛直配管部82に保温部85が設けられる。
【0045】
水素再結合装置73は、分岐配管71に滞留するガスの水素濃度を低減する。水素再結合装置73は、分岐配管71の第1鉛直配管部81と第2鉛直配管部82との間に配置される。水素再結合装置73は、例えば、触媒であって、水素と酸素の再結合反応により水蒸気を生成することで、水素濃度を低減する。水素再結合装置73は、図8に示すように、第1接手91と、第2接手92と、触媒93とを有する。第1接手91と第2接手92とは、おねじ部91aとめねじ部92aとが螺合することで連結される。触媒93は、第1接手91の内部に一対の多孔板94,95に挟まれて支持される。そして、第1鉛直配管部81に第1接手91が連結され、第2鉛直配管部82に第2接手92が連結される。なお、水素濃度低減装置として、水素再結合装置73に代えて、加熱装置を適用してもよい。
【0046】
容器51に貯留されるガスGは、水素を含んでおり、ガスGに含まれる水素は、非常に軽い性質を有することから、容器51の貯留部61を上昇して上部に滞留し、ガスGにおける水素濃度が高くなってしまうおそれがある。ところが、第6実施形態では、容器51の上部に連結された分岐配管71に水素再結合装置73が配置されている。そのため、容器51の上部に滞留した水素は、分岐配管71から水素再結合装置73に流れ、水素再結合装置73による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度が低減する。そして、この水素と酸素の再結合反応により熱が発生することから、高温のガスGにより上方に流動する自然対流が生成される。すると、水素再結合装置73により処理されたガスG1は、戻り配管72に流れる。戻り配管72に流れたガスG1は、らせん配管部84の通過時に冷却されて温度が低下し、容器51の貯留部61に戻る。
【0047】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るガス流動促進装置は、水素を含むガスGが存在する空間部としての主配管11の流路21または容器51の貯留部61から鉛直方向の上方に延出する分岐配管(分岐部)12,52,71と、分岐配管12,52,71に滞留するガスGの水素濃度を低減する水素濃度低減装置とを備える。
【0048】
第1の態様に係るガス流動促進装置は、水素を含むガスGは、分岐配管12,52,71に滞留するおそれがあるが、水素濃度低減装置により分岐配管12,52,71に滞留するガスGの水素濃度が低減される。そのため、局所的な水素の滞留を抑制することで安全性の向上を図ることができる。
【0049】
第2の態様に係るガス流動促進装置は、主配管11から鉛直方向の上方に分岐する分岐配管12を設け、分岐配管12に開閉弁13を設け、水素濃度低減装置として、分岐配管12における主配管11の連結部と開閉弁13との間から主配管11における分岐配管12の連結部よりガス流動方向の下流側に連結される戻り配管14を設ける。これにより、開閉弁13を閉止すると、ガスGに含まれる水素が分岐配管12に滞留しやすくなるが、分岐配管12に滞留したガスは、戻り配管14から主配管11に戻されることとなる。そのため、分岐配管12における水素濃度を低減することができる。
【0050】
第3の態様に係るガス流動促進装置は、水素濃度低減装置として、分岐配管12における主配管11の連結部と開閉弁13との間に配置される水素再結合装置15を設ける。これにより、分岐配管12に滞留した水素は、水素再結合装置15による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度を低減することができる。
【0051】
第4の態様に係るガス流動促進装置は、水素再結合装置15は、筒形状をなすケース31と、ケース31における上開口部と下開口部に固定される一対の多孔板(多孔部材)32,33と、ケース31と一対の多孔板32,33により区画された空間部に充填される触媒34とを有する。これにより、水素再結合装置15の構造の簡素化を図ることができる。
【0052】
第5の態様に係るガス流動促進装置は、水素再結合装置73は、第1接手91と、第1接手91に連結される第2接手92と、第1接手91と第2接手92との連結部に充填される触媒93とを有する。これにより、水素再結合装置73を分岐配管71の中途部に容易に装着することができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0053】
第6の態様に係るガス流動促進装置は、水素濃度低減装置として、分岐配管12における主配管11の連結部と開閉弁13との間に配置される加熱装置を設ける。これにより、分岐配管12に滞留した水素は、加熱装置に加熱されることで温度が上昇し、分岐配管12にガス流れが形成されることで、分岐配管12でのガスGにおける水素濃度を低減することができる。
【0054】
第7の態様に係るガス流動促進装置は、分岐配管12における水素濃度低減装置より鉛直方向の上方側に保温部26を設ける。これにより、水素再結合装置15や加熱装置により加熱されたガスGは、保温部26により温度低下が抑制され、分岐配管12を上昇する自然対流を促進することができる。
【0055】
第8の態様に係るガス流動促進装置は、水素濃度低減装置として、主配管11における分岐配管12の連結部と戻り配管14との連結部との間に配置される流路抵抗部42を設ける。これにより、主配管11を流れるガスGは、流路抵抗部42が抵抗となって分岐配管12に流れることで、流路抵抗部42におけるガスGの流れが促進されることとなり、分岐配管12でのガスGにおける水素濃度を低減することができる。
【0056】
第9の態様に係るガス流動促進装置は、主配管11から鉛直方向の上方に分岐する分岐配管12を設け、分岐配管12に開閉弁13を設けると共に、主配管11の連結部と開閉弁13との間から鉛直方向の上方に再分岐する再分岐配管41を連結し、水素濃度低減装置として、再分岐配管41に配置される水素再結合装置15を設ける。これにより、分岐配管12に滞留した水素は、水素再結合装置15による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度を低減することができる。
【0057】
第10の態様に係るガス流動促進装置は、容器51における鉛直方向の上部から上方に分岐する分岐配管52,71を設け、水素濃度低減装置として、分岐配管52,71に配置される水素再結合装置54を設ける。これにより、容器51の上部に滞留した水素は、分岐配管52,71から水素再結合装置54にながれ、水素再結合装置15による水素と酸素の再結合反応により水蒸気が生成され、ガスGにおける水素濃度を低減することができる。
【0058】
第11の態様に係るガス流動促進装置は、分岐配管52,71における鉛直方向の上端部に容器51に連結される戻り配管53,72を連結する。これにより、分岐配管52,71に滞留したガスは、戻り配管53,72から容器51に戻されることとなり、分岐配管52,71における水素濃度を低減することができる。
【0059】
第12の態様に係るガス流動促進装置は、分岐配管52の水素再結合装置54より鉛直方向の上方側に保温部65を設け、戻り配管53に冷却部66を設ける。これにより、水素再結合装置15により加熱されたガスGは、保温部65により温度低下が抑制されることで、分岐配管52を上昇する自然対流を促進することができ、冷却部66により温度が低下されることで、戻り配管53を下降する自然対流を促進することができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、本発明の空間部を水平な主配管11の流路21や容器51の貯留部61としたが、この構成に限定されるものではない。また、容器51は、弁を収容する弁箱など、流れのない空間部を含むものである。さらに、分岐部を分岐配管12,52,71としたが、例えば、管台であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10,10A,10B ガス流動促進装置
11 主配管
12 分岐配管(分岐部)
13 開閉弁
14 戻り配管(水素濃度低減装置)
15 水素再結合装置(水素濃度低減装置)
21 流路(空間部)
22 鉛直配管部
23 水平配管部
24 水平配管部
25 鉛直配管部
26 保温部
31 ケース
32,33 多孔板(多孔部材)
34 触媒
41 再分岐配管
42 流路抵抗部
43 貫通孔
44 円板部材
50 ガス流動促進装置
51 容器
52,71 分岐配管(分岐部)
53,72 戻り配管
54,73 水素再結合装置(水素濃度低減装置)
61 貯留部(空間部)
62 鉛直配管部
63 鉛直配管部
64 水平配管部
65 保温部
66 冷却部
81 第1鉛直配管部
82 第2鉛直配管部
83 水平配管部
84 らせん配管部
85 保温部
91 第1接手
92 第2接手
93 触媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8