IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-鞍乗り型車両 図1
  • 特許-鞍乗り型車両 図2
  • 特許-鞍乗り型車両 図3
  • 特許-鞍乗り型車両 図4
  • 特許-鞍乗り型車両 図5
  • 特許-鞍乗り型車両 図6
  • 特許-鞍乗り型車両 図7
  • 特許-鞍乗り型車両 図8
  • 特許-鞍乗り型車両 図9
  • 特許-鞍乗り型車両 図10
  • 特許-鞍乗り型車両 図11
  • 特許-鞍乗り型車両 図12
  • 特許-鞍乗り型車両 図13
  • 特許-鞍乗り型車両 図14
  • 特許-鞍乗り型車両 図15
  • 特許-鞍乗り型車両 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 50/30 20200101AFI20231124BHJP
   B62J 17/10 20200101ALI20231124BHJP
【FI】
B62J50/30
B62J17/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020065382
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160605
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 智樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 誠
(72)【発明者】
【氏名】塩野 健太
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-43204(JP,A)
【文献】特開2013-136273(JP,A)
【文献】特開2019-38290(JP,A)
【文献】特開平7-10060(JP,A)
【文献】特開2017-119478(JP,A)
【文献】実開昭63-168177(JP,U)
【文献】中国実用新案第210942079(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/10,23/00,41/00,50/30,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(35)を冷却するラジエータ(66)と、前記ラジエータ(66)の側方を覆うラジエータシュラウド(62)とを備え、前記ラジエータ(66)が、車体中心から側方にオフセットして配置され、ファンシュラウド(97)を介して冷却ファン(96)を支持し、前記ファンシュラウド(97)が、前記ラジエータ(66)のコア(66F)の後方に配置され、前記コア(66F)の背面に沿って延びる後壁(97a)と、前記後壁(97a)から後方に膨出する膨出部(97b)とを備え、前記膨出部(97b)が、円筒形で、前記冷却ファン(96)を支持するファン支持部(97u)を備え、前記膨出部(97b)の外周面(98g)及び背面(98a)に排風開口(98b)を備える鞍乗り型車両において、
前記後壁(97a)の上部と下部の双方には、複数の排風ダクト(97c,97d)を備え、前記排風ダクト(97c,97d)の排風口(98q,98s)は、上下方向若しくは車体内側方に指向し、
前記上部の前記排風ダクト(97c)よりも、前記下部の前記排風ダクト(97d)の方が大きい容量を有することを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記後壁(97a)は、前記コア(66F)の背面の面積よりも小さく、前記排風ダクト(97c,97d)は、前記コア(66F)の横幅内に収まるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記排風ダクト(97c,97d)は、前記後壁(97a)から車体後方に向かって膨出するボリューム部(98p,98r)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記後壁(97a)の底面(98t)から後方に高さH1と高さH2離れて形成された前記排風ダクト(97c,97d)の頂面(98v,98w)は、前記底面(98t)から後方に高さHB離れて形成される前記膨出部(97b)の頂面(98u)よりも低く、H1<H2<HBの関係にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
上部の前記排風ダクト(97c)は、上方に延び、車体内側方に向かって前記排風口(98q)が指向されることを特徴とする請求項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
下部の前記排風ダクト(97d)は、下方に延び、車体下方に向かって前記排風口(98s)が指向されることを特徴とする請求項1又は5に記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記ラジエータ(66)に取付けられるように前記後壁(97a)に備える取付部(97n)は、前記排風ダクト(97c,97d)と前記膨出部(97b)との間に設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記ラジエータシュラウド(62)は、車体側方から前記ラジエータ(66)及び前記ファンシュラウド(97)を覆い、前記ラジエータシュラウド(62)に設けられる開口(62A,62B)の内側方に前記膨出部(97b)の一部が位置することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記排風ダクト(97c,97d)は、前記コア(66F)の中心(107b)に対して車幅方向外側にオフセットして配置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの前方で車体側方にラジエータが配置され、車体に取付けられるラジエータシュラウドでラジエータの側方が覆われ、ラジエータにはファンシュラウドを介してファンが支持される鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ファンシュラウドに形成される後壁から、ファン支持部となる円筒状の膨出部が膨出し、この膨出部に設けられた開口を通じてラジエータの排風が外部に放出される。後壁には開口が設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-043204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ラジエータシュラウドでラジエータの排風の流れをコントロールしているが、ラジエータ後方の乗員にラジエータの排風をより当たらないようにコントロールすることが望まれる。
本発明の目的は、ラジエータ後方の乗員にラジエータ排風がより当たらないようにすることが可能な鞍乗り型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、エンジン(35)を冷却するラジエータ(66)と、前記ラジエータ(66)の側方を覆うラジエータシュラウド(62)とを備え、前記ラジエータ(66)が、車体中心から側方にオフセットして配置され、ファンシュラウド(97)を介して冷却ファン(96)を支持し、前記ファンシュラウド(97)が、前記ラジエータ(66)のコア(66F)の後方に配置され、前記コア(66F)の背面に沿って延びる後壁(97a)と、前記後壁(97a)から後方に膨出する膨出部(97b)とを備え、前記膨出部(97b)が、円筒形で、前記冷却ファン(96)を支持するファン支持部(97u)を備え、前記膨出部(97b)の外周面(98g)及び背面(98a)に排風開口(98b)を備える鞍乗り型車両において、前記後壁(97a)の上部と下部の双方には、複数の排風ダクト(97c,97d)を備え、前記排風ダクト(97c,97d)の排風口(98q,98s)は、上下方向若しくは車体内側方に指向し、前記上部の前記排風ダクト(97c)よりも、前記下部の前記排風ダクト(97d)の方が大きい容量を有することを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記後壁(97a)は、前記コア(66F)の背面の面積よりも小さく、前記排風ダクト(97c,97d)は、前記コア(66F)の横幅内に収まるように配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記排風ダクト(97c,97d)は、前記後壁(97a)から車体後方に向かって膨出するボリューム部(98p,98r)を有しても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記排風ダクト(97c,97d)の頂面(98v,98w)は、前記膨出部(97b)の頂面(98u)よりも低くても良い。
また、上記構成において、前記排風ダクト(97c,97d)は、少なくとも前記後壁(97a)の上部と下部に設けられても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記後壁(97a)の上部の前記排風ダクト(97c)よりも、前記後壁(97a)の下部の前記排風ダクト(97d)の方が大きい容量を有しても良い。
また、上記構成において、上部の前記排風ダクト(97c)は、上方に延び、車体内側方に向かって前記排風口(98q)が指向されても良い。
【0009】
また、上記構成において、下部の前記排風ダクト(97d)は、下方に延び、車体下方に向かって前記排風口(98s)が指向されても良い。
また、上記構成において、前記ラジエータ(66)に取付けられるように前記後壁(97a)に備える取付部(97n)は、前記排風ダクト(97c,97d)と前記膨出部(97b)との間に設けられても良い。
【0010】
また、上記構成において、前記ラジエータシュラウド(62)は、車体側方から前記ラジエータ(66)及び前記ファンシュラウド(97)を覆い、前記ラジエータシュラウド(62)に設けられる開口(62A,62B)の内側方に前記膨出部(97b)の一部が位置しても良い。
また、上記構成において、前記排風ダクト(97c,97d)は、前記コア(66F)の中心(107b)に対して車幅方向外側にオフセットして配置されても良い。
【発明の効果】
【0011】
鞍乗り型車両は、後壁には、複数の排風ダクトを備え、排風ダクトの排風口は、上下方向若しくは車体内側方に指向するので、ラジエータ後方の乗員にラジエータ排風をより当たらないようにできる。また、排風ダクトを複数設けることで、ラジエータの排風を排出可能な流量を確保できるとともに、ラジエータ排風の排出方向をコントロールする自由度を増すことができる。
【0012】
上記構成において、後壁は、コアの背面の面積よりも小さく、排風ダクトは、コアの横幅内に収まるように配置されるので、ファンシュラウド及び排風ダクトをコンパクトに配置することができる。
また、上記構成において、排風ダクトは、後壁から車体後方に向かって膨出するボリューム部を有するので、排風ダクトを車幅方向にコンパクトに配置しつつ、排風ダクトの容量を確保できる。
【0013】
また、上記構成において、排風ダクトの頂面は、膨出部の頂面よりも低いので、排風ダクトの容量を確保しつつ排風ダクトをコンパクトにできる。
また、上記構成において、排風ダクトは、少なくとも後壁の上部と下部に設けられるので、コアの形状に合わせて排風ダクトの容量を確保できる部位に排風ダクトを配置できる。
【0014】
また、上記構成において、後壁の上部の排風ダクトよりも、後壁の下部の排風ダクトの方が大きい容量を有するので、排風ダクトによってラジエータ排風の排出流量をコントロールできる。
また、上記構成において、上部の排風ダクトは、上方に延び、車体内側方に向かって排風口が指向されるので、ラジエータの排風をライダーに当たりにくくできる。
【0015】
また、上記構成において、下部の排風ダクトは、下方に延び、車体下方に向かって排風口が指向されるので、ラジエータの排風の多くを下方に排出することで、ラジエータの排風をライダーにより当たりにくくできる。
また、上記構成において、ラジエータに取付けられるように後壁に備える取付け部は、排風ダクトと膨出部との間に設けられるので、平面部を形成しやすい位置に取付け部を設けることができてファンシュラウドを安定に支持でき、また、取付け部の板厚も確保しやすいので、ファンシュラウドの支持剛性を高めることができる。
【0016】
また、上記構成において、ラジエータシュラウドは、車体側方からラジエータ及びファンシュラウドを覆い、ラジエータシュラウドに設けられる開口の内側方に膨出部の一部が位置するので、ラジエータシュラウドを設けることで、車両の外観性を向上でき、且つラジエータの排風をコントロールできる。
また、上記構成において、排風ダクトは、コアの中心に対して車幅方向外側にオフセットして配置されるので、ラジエータの排風が運転者に向けて排出されやすい車幅方向外側に排風ダクトを設けて、より効果的にラジエータ排風が運転者に当たらないようにコントロールできる。また、車幅方向外側は、ファンシュラウドの周囲に部品が配置されにくいため、排風ダクトを配置するスペースを確保しやすく、排風ダクトの容量を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る自動二輪車を示す右側面図である。
図2図1に示した自動二輪車の前部を示す要部右側面図である。
図3図2に示した自動二輪車からラジエータシュラウドを外した状態を示す要部右側面図である。
図4】ラジエータ及びその周囲を示す車体前部の斜視図である。
図5】ラジエータ及びその周囲を示す背面図である。
図6】ラジエータアッシーを示す右側面図である。
図7】ラジエータアッシーを示す背面図である。
図8】ラジエータアッシーを示す左側面図である。
図9】ラジエータアッシーを示す平面図である。
図10】ラジエータアッシーを示す底面図である。
図11】ラジエータアッシーを示す正面図である。
図12】ファンシュラウドを示す背面図である。
図13】ファンシュラウドの内面を示す正面図である。
図14】コネクタ及びその周囲を示す右側面図である。
図15】コネクタ及びその周囲を示す斜視図である。
図16】運転者用ステップの上方に配置されるヒールガードを示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明に係る自動二輪車10を示す右側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して支持された前輪13と、車体フレーム11の下部にスイングアーム14を介して支持された後輪16と、車体フレーム11の上部に支持されたシート17とを備える。
自動二輪車10は、運転者がシート17に跨って乗車する鞍乗り型車両である。
【0019】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ21、左右一対のメインフレーム22、左右一対のセンターフレーム23、左右一対のシートフレーム24、ダウンフレーム26、ロアフレーム27、左右一対のサブフレーム28を備える。
【0020】
ヘッドパイプ21は、車体フレーム11の前端部を構成し、フロントフォーク12を操舵可能に支持している。左右のメインフレーム22は、それぞれヘッドパイプ21の上部から後方斜め下方に延び、シート17の前方に配置された燃料タンク31を支持する。
センターフレーム23は、メインフレーム22の後端部から後方斜め下方、更に下方に延びる。左右のセンターフレーム23には、スイングアーム14の前端部を揺動可能に支持するピボット軸33が渡されている。
【0021】
左右のシートフレーム24は、左右のメインフレーム22に渡されたクロスフレーム29からそれぞれ後方に延びてシート17を支持する。クロスフレーム29は、車体フレーム11の一部を構成する。ダウンフレーム26は、ヘッドパイプ21の下部から左右のメインフレーム22よりも下方を下方斜め後方に延びている。
ロアフレーム27は、ダウンフレーム26の下端部から二股状に左右に分かれて下方斜め後方、更に後方に延びて左右のセンターフレーム23の下部にそれぞれ接続される。
【0022】
左右のサブフレーム28は、それぞれ左右のセンターフレーム23と左右のシートフレーム24とを接続する。左右のシートフレーム24及び左右のサブフレーム28は、それぞれ蛇行するように屈曲している。
左右のセンターフレーム23、ダウンフレーム26及び左右のロアフレーム27は、エンジン35を支持する。
【0023】
フロントフォーク12は、その上端部でバーハンドル37を支持し、下端部で前車軸38を介して前輪13を支持する。スイングアーム14は、後端部で後車軸39を介して後輪16を支持する。
エンジン35は、クランクケース41と、クランクケース41の前部上部から立ち上げられたシリンダ部42とを備える。
クランクケース41の後部には、変速機44が一体的に設けられている。シリンダ部42は、シリンダヘッド46を備え、シリンダヘッド46の後部に吸気装置47が接続され、シリンダヘッド46の前部に排気装置48が接続される。排気装置48は、シリンダヘッド46に接続された排気管51と、排気管51の後端部に接続されたマフラ52とを備える。
【0024】
車体の前部下部には、エンジン35及び左右のロアフレーム27等を前方及び下方から覆うエンジンガード54が配置されている。
車体フレーム11は、車体カバー60で覆われる。車体カバー60は、フロントカバー61、左右一対のラジエータシュラウド62、左右一対のリアサイドカウル63、リアカバー64から構成される。
【0025】
フロントカバー61は、ステー(不図示)を介してフロントフォーク12に取付けられ、フロントフォーク12の上部を前方から覆う。ラジエータシュラウド62は、メインフレーム22の前部、シートフレーム24の前部及びダウンフレーム26の上部、燃料タンク31の下部、ラジエータ66などを側方から覆う。リアサイドカウル63は、シートフレーム24の後部及びサブフレーム28の後部を側方から覆う。リアカバー64は、シート17の後方の車体を上方から覆う。
【0026】
フロントフォーク12には、フロントカバー61に周囲を覆われるように配置されたヘッドライト65が取付けられている。
変速機44の出力は、チェーン(不図示)を介して後輪16に伝達される。
前輪13は、上方からフロントフェンダ76に覆われる。後輪16は、上方からリアフェンダ77に覆われる。車体カバー60、フロントフェンダ76及びリアフェンダ77は、自動二輪車10の艤装部品58を構成する。
センターフレーム23の下端部には運転者用ステップ81が設けられている。サブフレーム28には、同乗者用ステップ83が設けられている。
【0027】
図2は、図1に示した自動二輪車10の前部を示す要部右側面図、図3は、図2に示した自動二輪車10からラジエータシュラウド62を外した状態を示す要部右側面図である。
図2に示すように、ラジエータシュラウド62は、前後方向でフロントフォーク12の側方からシート17の下方まで配置されたベースシュラウド91と、ベースシュラウド91に大部分が囲まれるように配置されたサブシュラウド92とから構成される。
ベースシュラウド91の上部は、ビス94でメインフレーム22に取付けられ、ベースシュラウド91及びサブシュラウド92のそれぞれの下部は、複数のビス94でダウンフレーム26及びシートフレーム24に締結される。
【0028】
ベースシュラウド91は、前後方向に延びる前部延出部91aと、前部延出部91aから屈曲して後方斜め下方に延びる後部延出部91bと、前部延出部91aの前端部から下方斜め後方に延びる下部延出部91cとを一体に備える。前部延出部91a及び後部延出部91bは、上部延出部91dを構成する。
サブシュラウド92は、直線状に後上がりに延びる前後延出部92aと、前後延出部92aの前端部から上下に広がる前端拡大部92bと、前後延出部92aの後端から後方斜め下方に延びる後端斜め延出部92cとを備える。
ベースシュラウド91の上部延出部91dと、サブシュラウド92の前後延出部92a及び前端拡大部92bとの間には、前後方向に長い上部開口部62Aが形成されている。
また、サブシュラウド92の前端拡大部92bの下部には、上下方向に長い三角形状の下部開口部62Bが形成されている。車両側面視で、上部開口部62Aは、下部開口部62Bよりも面積が大きい。
【0029】
ラジエータ66には、強制空冷のための冷却ファン96(図7参照)を支持するとともにラジエータ66を後方から覆うファンシュラウド97が取付けられている。
ラジエータ66は、その下端部を除いて、ベースシュラウド91の前部延出部91a、下部延出部91cと、サブシュラウド92の前端拡大部92bとに側方から覆われる。
ファンシュラウド97は、その一部がベースシュラウド91の下部延出部91cと、サブシュラウド92の前端拡大部92bとに側方から覆われ、一部が上部開口部62A及び下部開口部62Bから外部に露出する。
【0030】
図3に示すように、ラジエータ66は、車両側面視で、前後方向ではフロントフォーク12とエンジン35との間、上下方向ではメインフレーム22とダウンフレーム26との間に上下に配置される。ラジエータ66の前方にはルーバー99が配置されている。
【0031】
ラジエータ66の上部には上タンク66Aが設けられ、上タンク66Aの後部から後側に上配管接続口66bが延びている。上配管接続口66bにはラジエータホース101の一端部が接続されている。上タンク66Aの上部には注水口66cが設けられ、注水口66cがラジエータキャップ103で塞がれる。
ラジエータ66の下部には下タンク66Dが設けられ、下タンク66Dの後部から後側に下配管接続口66eが延びている。下配管接続口66eにはラジエータホース104の一端部が接続されている。ラジエータホース101,104の各他端部は、エンジン35に設けられた配管接続口(不図示)に接続される。
【0032】
図4は、ラジエータ66及びその周囲を示す車体前部の斜視図である。図5は、ラジエータ66及びその周囲を示す背面図であり、エンジン35の位置で切断した一部断面も示している。
図4及び図5に示すように、ラジエータ66は、車幅方向中央を通って上下に延びる車体中心線100から一側方(ここでは、左側方)にオフセットして配置される。
【0033】
ラジエータ66は、上タンク66A及び下タンク66Dと、上タンク66A及び下タンク66Dのそれぞれの間に配置されたコア66Fとを備える。
上タンク66A及び下タンク66Dは、冷却水を溜める部分である。コア66Fは、上タンク66Aと下タンク66Dとの間で冷却水を流す複数の連通管(不図示)と、複数の連通管の間に配置されて冷却水からの放熱を促すフィン(不図示)とを備える。
【0034】
ファンシュラウド97は、後壁97aと、後壁97aから後方に膨出する膨出部97bとを一体に備える。
壁97は、その上部から上方に延びる排風ダクトとしての上排風ダクト97cと、壁97aの下部から下方に延びる排風ダクトとしての下排風ダクト97dとを一体に備える。
膨出部97bは、内部に冷却ファン96を収容し、且つ冷却ファン96を支持する。
ラジエータ66のコア66Fから冷却ファン96によって強制的に吸い出された排風は、膨出部97bに設けられた複数の開口によってファンシュラウド97の外部に排出される。上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dでは、直接にラジエータ66を通過した空気の流れを、それぞれの上排風口98q(図13参照)、下排風口98s(図13参照)から内側方及び下方に指向させて排出する。
【0035】
上排風ダクト97cは、ラジエータ66の排風を、一旦上方へ流し、次に上排風口98qから車体内方へ排出する。下排風ダクト97dは、ラジエータ66の排風を、下方へ流して下排風口98sから車体下方へ排出する。
このように、ラジエータ66の排風の排出方向を上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dで規制することで、運転者へラジエータ66の排風が直接に当たるのを抑制することができる。
【0036】
冷却ファン96は、膨出部97bに取付けられたファンモータ107と、ファンモータ107の回転軸107aに固定されたファン本体108(図7参照)とからなる。
ファンモータ107の回転軸107aは、背面視で、ファンシュラウド97の膨出部97bの中心に位置する。回転軸107aは、背面視では、燃料タンク31の最も車幅方向外側に突出した最外側部31a(黒丸で示した部分である。)よりも車幅方向内側に配置され、且つエンジン35のヘッドカバー111の上端よりも上方に配置される。
【0037】
図6は、ラジエータアッシー113を示す右側面図、図7は、ラジエータアッシー113を示す背面図、図8は、ラジエータアッシー113を示す左側面図である。
図6図8に示すように、ラジエータアッシー113は、ラジエータ66、冷却ファン96、ファンシュラウド97、ルーバー99、一対の左ラジエータブラケット114、右ラジエータブラケット115、ソレノイドバルブ116、ステー117、コネクタ118などからなる。
【0038】
図7に示すように、ラジエータ66の上タンク66Aとコア66Fとの境界、及び下タンク66Dとコア66Fとの境界にはそれぞれ環状の上合わせ部66g、下合わせ部66hが設けられる。
上合わせ部66gと下合わせ部66hとには、コア66Fの左右の側面に沿ってそれぞれ板状の左メインブラケット121、右メインブラケット122が渡される。左メインブラケット121、右メインブラケット122の両端部は、それぞれ上合わせ部66g及び下合わせ部66hに固定される。
【0039】
図8に示すように、左メインブラケット121は、上部及び下部にそれぞれ車体フレーム11(図1参照)に弾性支持される上マウント部121a及び下マウント部121bを備える。左メインブラケット121には、ファンシュラウド97を支持する左サブブラケット123が取付けられる。左サブブラケット123は、左メインブラケット121の上下の長さと同等の長さに形成された長尺部123aと、長尺部123aの上下長さの中間部から屈曲して車幅方向外側に延びてファンシュラウド97を支持するファンシュラウド支持部123bとを一体に備える。
【0040】
左メインブラケット121と左サブブラケット123とは、左ラジエータブラケット114を構成する。
左ラジエータブラケット114及び右ラジエータブラケット115(図6参照)のうち、左ラジエータブラケット114のみが車体フレーム11に取付けられてラジエータアッシー113の支持部となる。そこで、左ラジエータブラケット114の剛性を高めるため、左メインブラケット121と左サブブラケット123の長尺部123aとを重ねて接合している。
【0041】
図6に示すように、右メインブラケット122は、下部にラジエータシュラウド62(図2参照)の前部下部をビス94(図2参照)で締結するラジエータシュラウド締結部122aを備える。右メインブラケット122には、ファンシュラウド97を支持する上下一対の右サブブラケット124が取付けられる。右サブブラケット124は、右メインブラケット122の側面に取付けられるメイン側取付部124aと、メイン側取付部124aの後端から屈曲して車幅方向内側に延びてファンシュラウド97を支持するファンシュラウド支持部124bとを一体に備える。
右メインブラケット122と右サブブラケット124とは、右ラジエータブラケット115を構成する。
【0042】
図7に示すように、ファンシュラウド97は、左サブブラケット123のファンシュラウド支持部123bと、右サブブラケット124の一対のファンシュラウド支持部124bとにボルト125で取付けられる。
冷却ファン96のファンモータ107は、ファンシュラウド97の膨出部97bにおいて後壁97aから最も高くなった頂部97eに複数のビス127で取付けられる。
【0043】
ファンモータ107の回転軸107aは、前後方向に延び、回転軸107aの軸線107b(黒丸で示した部分である。)も前後方向に延びる。
回転軸107aの軸線107bは、ファンシュラウド97の膨出部97bの中心であり、また、軸線107aは、背面視でコア66Fの中心を通る。即ち、軸線107bは、コア66Fの中心でもある。
【0044】
図9は、ラジエータアッシー113を示す平面図、図10は、ラジエータアッシー113を示す底面図である。
図9及び図10に示すように、ファンシュラウド97は、膨出部97bの頂部97eに後方に突出する後方突出部97fを一体に備える。後方突出部97fは、車幅方向内側に形成された第1突出部97gと、第1突出部97gの車幅方向外側で第1突出部97gよりも後方に大きく突出する第2突出部97hとを備える。
【0045】
第1突出部97gと第2突出部97hとには、それぞれ弾性部材131を介してソレノイドバルブ116が一対のボルト132及びナット133で取付けられる。ソレノイドバルブ116は、排気中に含まれる未燃ガスを燃焼させるためにエンジン35(図1参照)の吸気装置47(図1参照)からシリンダヘッド46(図1参照)の排気ポートに供給される二次空気の流れを制御する電装品であり、後方突出部97fに弾性支持されている。
【0046】
第1突出部97g及び第2突出部97hのそれぞれのバルブ取付部97xは、頂部97eの頂面98uに対して車幅方向内側から車幅方向外側に向かうにつれて次第に後方に位置するように傾斜している。また、各バルブ取付部97xは、傾斜した同一平面上に有る。
また、第1突出部97gと第2突出部97hとには、板状のステー117が一対のボルト132及びナット133で共締めされている。ステー117は、ソレノイドバルブ116の側方に配置される部分が、一対のボルト132で締結される部分よりも膨出し、また、第2突出部97h側の先端部が、L字状に屈曲し、このL字状の先端部にコネクタ118が支持されている。コネクタ118は、ステー117のL字部分の車幅方向内側に配置される。
【0047】
コネクタ118は、長手方向が上下方向に延び(図8も参照)、上端部に導線136(図14参照)が繋がれ、他端部に他のコネクタが接続される。
図6に示すように、ステー117のL字状の先端部には、長穴117aが設けられ、コネクタ118には長穴117aに嵌る突状係合部118aが設けられ、コネクタ118の突状係合部118aがステー117の長穴117aに回動不能に係合される。
【0048】
図11は、ラジエータアッシー113を示す正面図である。
ルーバー99は、上板99a、下板99b、複数枚の羽板99c,99d,99e,99f,99g,99h、上部覆い部99j、複数枚の横板99kを備える。
上板99a及び下板99bは、ルーバー99の上部及び下部にそれぞれ車幅方向に延びるように配置される。複数枚の羽板99c~99gは、上板99aと下板99bとの間に縦に接続される。羽板99hは、上板99aから下方に延びている。複数枚の羽板99c~99hは、ラジエータ66に前方斜め右側方から空気が取り入れられるように前後方向に対して傾斜している。
【0049】
上部覆い部99jは、上板99aの前縁から上側に延び、ラジエータ66の上タンク66A、注水口66c(図7参照)を前方から覆う。上部覆い部99jには、開口部99mが設けられ、開口部99mによってラジエータキャップ103と上部覆い部99jとの干渉が避けられる。ラジエータキャップ103は、開口部99mの周囲の上部覆い部99jによって一部が前方から覆われる。
複数の横板99kは、羽板99c~99hのそれぞれの上下方向の中間部2カ所で羽板99c~99hの隣り同士を車幅方向に延びて接続する。これにより、羽板99c~99hの撓みが抑制され、音や振動の発生が抑制される。
【0050】
上板99a及び下板99bに接続された羽板99c~99gのうち、最も車幅方向内側に配置された羽板99cと、最も車幅方向外側に配置された羽板99gとには、それぞれの下部に側方に突出するピン状の内側突出部99n、外側突出部99pが設けられる。
【0051】
図8及び図11において、内側突出部99nは、図8に示した左メインブラケット121の下部に形成されたルーバー内側支持部121cに支持される。詳しくは、内側突出部99nは、ルーバー内側支持部121cに備える挿通穴121dに挿入されて支持される。図6及び図11において、外側突出部99pは、図6に示した右メインブラケット122の下部に形成されたルーバー外側支持部122cに支持される。詳しくは、外側突出部99pは、ルーバー外側支持部122cに備える挿通穴122dに挿入されて支持される。
【0052】
また、外側突出部99pを備える羽板99gには、縦に長い穴部を有する羽板係合部99qが設けられている。羽板係合部99qには、右メインブラケット122の上部に前方に延びるように形成された板状の係合板部122eが係合する。
上部覆い部99jは、開口部99mの車幅方向外側方に位置するビス挿通穴99rを備える。ビス挿通穴99rには、前方からビス141が挿入され、ビス141が、右側のラジエータシュラウド62(図2参照)の内面に設けられたねじ穴(不図示)にねじ込まれることで、ルーバー99の上部が右側のラジエータシュラウド62に取付けられる。
【0053】
図12は、ファンシュラウド97を示す背面図、図13は、ファンシュラウド97の内面を示す正面図である。
図12に示すように、ファンシュラウド97の後壁97aは、膨出部97bの円形の輪郭の上方及び下方に位置する後壁上部97j及び後壁下部97kからなる。
後壁上部97jは、上方に延びる上方延出部97mと、上排風ダクト97cと、上排風ダクト97cの下部に設けられた取付部としてのラジエータ締結部97nとを備える。
【0054】
上排風ダクト97cは、ファンシュラウド97の一側端部97p(車両に組付けたときの車幅方向外側の端部である。)に設けられる。上排風ダクト97cのラジエータ締結部97nは、後壁上部97jの一側端部97pに設けられ、ラジエータ66(図7参照)側(詳しくは、ラジエータ66の右側部に取付けられた右サブブラケット124(図7参照))に締結される部分であり、ボルト125(図7参照)が通されるボルト挿通穴97qが形成されている。また、ラジエータ締結部97nは、上排風ダクト97cと膨出部97bとの間に設けられる。
【0055】
後壁下部97kは、下排風ダクト97dと、ファンシュラウド97の一側端部97p及び他側端部97r(車両に組付けたときの車幅方向内側の端部である。)に設けられた左右一対のラジエータ締結部97nとを備える。また、一方のラジエータ締結部97nは、下排風ダクト97dと膨出部97bとの間に設けられる。
下排風ダクト97dは、ファンシュラウド97の一側端部97pに設けられ、上排風ダクト97dの車幅方向の幅W1よりも車幅方向の幅W2が広い。また、上排風ダクト97cにおける膨出部97bから上端97sまでの長さL1よりも、下排風ダクト97dにおける膨出部97bから下端97tまでの長さL2は長い。
【0056】
また、図6において、後壁97aの底面98tに対して、膨出部97bの頂面98uまでの高さをHB、上排風ダクト97cの頂面98vまでの高さをH1、下排風ダクト97dの頂面98wまでの高さをH2とすると、H1<H2<HBとなる。これらの高さHB,H1,H2は、膨出部97b、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dの奥行に相当する部分である。
図7及び図12において、後壁97aは、コア66Fの背面の面積よりも小さい。また、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dは、コア66Fの横幅内に配置されるとともに、コア66Fの中心である軸線107bに対して車幅方向外側寄りに配置される。
【0057】
図12において、膨出部97bは、頂部97eに、複数のファン支持部としての冷却ファン締結部97uと、後方突出部97fと、縦長の開口部97vとを備える。
冷却ファン締結部97uは、冷却ファン96(図7参照)のファンモータ107(図7参照)がビス127(図7参照)で締結される部分であり、冷却ファン締結部97uに備えるビス挿通穴97wに通されたビス127がファンモータ107のねじ穴にねじ込まれる。
【0058】
後方突出部97fの第1突出部97g及び第2突出部97hは、それぞれ後端に板状のバルブ取付部97xを備え、バルブ取付部97xにボルト132(図8参照)が通されるボルト挿通穴97yが形成されている。
第1突出部97g及び第2突出部97hには、それぞれ開口部97zが形成されている。第1突出部97gでは、開口部97zが下部に形成され、第2突出部97hでは、開口部97zが縦長の開口部97vと繋がっている車幅方向外側に形成されている。各バルブ取付部97xには、断面U字状のプレートからなるU字部を備えるナット133(図6も参照)が取付けられる。ナット133は、開口部97z側からバルブ取付部97x側に移動されて、バルブ取付部97xを前後から挟むようにバルブ取付部97xに嵌められる。
【0059】
膨出部97b背面98aには、ラジエータ66(図7参照)の排風を排出する複数の排風開口98bが開けられている。背面視で、膨出部97bの頂部97eを除く背面98aは、膨出部97bの中心である軸線107bを通って水平に延びる水平線145と、軸線107bを通って鉛直に延びる鉛直線146とで、第1部位98c、第2部位98d、第3部位98e及び第4部位98fに4等分される。
【0060】
第1部位98c、第2部位98d、第3部位98e及び第4部位98fのうち、第1部位98c、第2部位98d及び第3部位98eには複数の排風開口98bが設けられ、第4部位98fには排風開口98bが設けられていない。
図6図8図9図10及び図12に示すように、膨出部97bの外周面98gには、全周に排風開口98bが設けられている。
上記した上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dは、鉛直線146に対してファンシュラウド97の一側端部97p側(車幅方向外側)にオフセットして配置される。
【0061】
図13に示すように、後壁97aは、その輪郭に沿って前方(図13では手前側)に突出する周壁98h及び複数のラジエータ締結部97nを備える。複数のラジエータ締結部97nのラジエータ66(図7参照)側への取付面98jと周壁98hの先端面98kとは、面一に形成されている。
周壁98h及び複数のラジエータ締結部97nで囲まれる扁平な扁平空間98mが形成される。扁平空間98mは、後壁97a内の空間であり、膨出部97b内の空間98nに隣接し、連通している。
【0062】
図8及び図13において、上排風ダクト97cは、後壁97aよりも後方に膨出して内部の容積が大きくされたボリューム部98pを有する。ボリューム部98pの左側端部には排風口としての上排風口98qが開口する。上排風口98qは、左側方に指向し、ラジエータ66を通過してボリューム部98pに集められた排風を、車両の車幅方向内方に排出する。
【0063】
下排風ダクト97dは、後壁97aよりも後方に膨出して内部の容積が大きくされたボリューム部98rを有する。図8及び図10において、ボリューム部98rの下端部には排風口としての下排風口98sが開口する。下排風口98sは、下方に指向し、ラジエータ66を通過してボリューム部98rに集められた排風を、車両の下方に排出する。
【0064】
図14は、コネクタ118及びその周囲を示す右側面図である。図15は、コネクタ118及びその周囲を示す斜視図であり、斜め後方から見た図である。
図14及び図15に示すように、コネクタ118は、ラジエータ66及びファンブラケット97の後方で且つ一方のメインフレーム22の下方に配置される。コネクタ118は、車体のより内側に配置され、コネクタ118の周囲の部品(ステー117、ラジエータシュラウド62(詳しくは、サブシュラウド92)を含む)によって外部から保護される。
【0065】
コネクタ118は、センターフレーム23の前方に位置する排気管51の上部に取付けられたOセンサ135に導線136にて接続される。
コネクタ118には、別のコネクタが接続され、この別のコネクタに繋がれた導線が、ECU(エンジンコントロールユニット)まで延びている。別のコネクタは、コネクタ118に上下方向に接続される。
センサ135の出力信号は、コネクタ118を介してECUに入力され、ECUによって、エンジン35の運転状態が制御される。
【0066】
図16は、運転者用ステップ81の上方に配置されるヒールガードを示す右側面図である。
ヒールガード161は、運転者用ステップ81の上方に配置され、センターフレーム23とエンジン35のエンジンカバー162とに渡されて、運転者用ステップ81に載せた運転者の靴がセンターフレーム23やエンジンカバー162に当たるのを防止する。
ヒールガード161は、樹脂製であり、ピボット嵌合部161a、前後延出部161c、エンジンカバー側延出部161d、フレーム指向部161eを一体に備える。
【0067】
ピボット嵌合部161aは、センターフレーム23にピボット軸33を挿入するために形成されたピボット軸挿通穴23aに嵌合する嵌合軸161bを備える。嵌合軸161bは、円筒状又は円柱状であり、車幅方向内側に突出している。
前後延出部161cは、嵌合部161aから前方に延びている。エンジンカバー側延出部161dは、前後延出部161cの前端部からエンジンカバー162の形状に沿って上方に延びている。前後延出部161cは、エンジンカバー162に近接又は当接するように配置される。
【0068】
フレーム指向部161eは、エンジンカバー側延出部161dの上端部からセンターフレーム23に向けて延びるとともに先端部がセンターフレーム23に設けられた支持ブラケット163にボルト165で締結される。
ヒールガード161は、一端部となる嵌合部161aの嵌合軸161bをピボット軸挿通穴23aに嵌合させ、他端部となるフレーム指向部161eをセンターフレーム23側の支持ブラケット163に締結する構造である。このような構造により、センターフレーム23への取付構造を簡素にできるとともに容易に組み付けできる。
【0069】
以上の図1図5図6図12及び図13に示したように、鞍乗り型車両としての自動二輪車10は、エンジン35を冷却するラジエータ66と、ラジエータ66の側方を覆うラジエータシュラウド62とを備える。ラジエータ66は、車体中心から側方にオフセットして配置され、ファンシュラウド97を介して冷却ファン96を支持する。
ファンシュラウド97は、ラジエータ66のコア66Fの後方に配置され、コア66Fの背面に沿って延びる後壁97aと、後壁97aから後方に膨出する膨出部97bとを備える。膨出部97bは、円筒形で、冷却ファン96を支持する冷却ファン締結部97uを備え、膨出部97bの外周面98g及び背面98aに排風開口98bを備える。
【0070】
後壁97aには、複数の上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dを備え、上排風ダクト97cの上排風口98qは、車体内側方に指向し、下排風ダクト97dの下排風口98sは、上下方向(詳しくは、下方)に指向する。
この構成によれば、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dの上排風口98q及び下排風口98sを車体内側方若しくは上下方向に指向させることで、ラジエータ66の後方の乗員にラジエータ排風をより当たらないようにできる。また、排風ダクト(上排風ダクト97c及び下排風ダクト97d)を複数設けることで、ラジエータ66の排風を排出可能な流量を確保できるとともに、ラジエータ排風の排出方向をコントロールする自由度を増すことができる。
【0071】
また、図7に示したように、後壁97aは、コア66Fの背面の面積よりも小さく、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dは、コア66Fの横幅内に収まるように配置される。
この構成によれば、ファンシュラウド97及び上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dをコンパクトに配置することができる。
【0072】
また、図7及び図8に示したように、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dは、後壁97aから車体後方に向かって膨出するボリューム部98p,98rを有する。
この構成によれば、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dを、車体後方に向かって膨出させて車幅方向にコンパクトに配置しつつ、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dの容量を確保できる。
【0073】
また、図6に示したように、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dのそれぞれの頂面98v,98wは、膨出部97bの頂面98uよりも低い。
この構成によれば、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dの容量を確保しつつ上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dをコンパクトにできる。
【0074】
図7に示したように、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dは、少なくとも後壁97aの上部と下部に設けられる。
この構成によれば、コア66Fの形状に合わせて上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dの容量を確保できる部位に上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dを配置できる。
【0075】
図6及び図12に示したように、後壁97aの上部の上排風ダクト97cよりも、後壁97aの下部の下排風ダクト97dの方が大きい容量を有する。即ち、上排風ダクト97cよりも下排風ダクト97dの方が、車幅方向の幅、膨出部97bからの長さ(高さ)、前後方向の高さ(奥行)がいずれも大きい。
この構成によれば、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dによって排風の排出流量をコントロールできる。
【0076】
図8及び図13に示すように、上排風ダクト97cは、上方に延び、車体内側方に向かって上排風口98qが指向される。
この構成によれば、車体内側方に上排風口98qを指向させることで、ラジエータ66の排風をライダーに当たりにくくできる。
【0077】
図10及び図13に示すように、下排風ダクト97dは、下方に延び、車体下方に向かって下排風口98sが指向される。
この構成によれば、ラジエータ66の排風の多くを下方に排出することで、ラジエータ66の排風をライダーにより当たりにくくできる。
【0078】
また、図7及び図12に示したように、ラジエータ66に取付けられるように後壁97aに備えるラジエータ締結部97nは、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dと膨出部97bとの間に設けられる。
この構成によれば、平面部を形成しやすい位置にラジエータ締結部97nを設けることができてファンシュラウド97を安定に支持でき、また、ラジエータ締結部97nの板厚も確保しやすいので、ファンシュラウド97の支持剛性を高めることができる。
【0079】
また、図2に示したように、ラジエータシュラウド62は、車体側方からラジエータ66及びファンシュラウド97を覆い、ラジエータシュラウド62に設けられる上部開口62A及び下部開口62Bの内側方に膨出部97bの一部が位置する。
この構成によれば、ラジエータシュラウド62を設けることで、車両の外観性を向上でき、且つラジエータ66の排風をコントロールできる。
【0080】
また、図7に示したように、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dは、コア66Fの中心である軸線107bに対して車幅方向外側にオフセットして配置される。
この構成によれば、ラジエータ66の排風が運転者に向けて排出されやすい車幅方向外側に上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dを設けて、より効果的にラジエータ排風が運転者に当たらないようにコントロールできる。また、車幅方向外側は、ファンシュラウド97の周囲に部品が配置されにくいため、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dを配置するスペースを確保しやすく、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dの容量を容易に確保できる。
【0081】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、ラジエータ66を車体中心に対して一側方にオフセットして配置したが、これに限らず、一対のラジエータ66を車体中心に対して両側方にオフセットして配置しても良い。
また、上排風ダクト97c及び下排風ダクト97dを後壁97aの上部及び下部に設けたが、これに限らず、膨出部97bの上部、下部及び内側部に設けても良い。この場合、上部及び内側部では、排風口を内側方に指向させ、下部では、排風口を下方に指向させる。
また、本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
35 エンジン
62 ラジエータシュラウド
62A 上部開口部
62B 下部開口部
66 ラジエータ
66F コア
96 冷却ファン
97 ファンシュラウド
97a 後壁
97b 膨出部
97c 上排風ダクト(排風ダクト)
97d 下排風ダクト(排風ダクト)
97e 頂部
97n ラジエータ締結部(取付部)
97u 冷却ファン締結部(ファン支持部)
98a 膨出部の背面
98b 排風開口
98g 膨出部の外周面
98p ボリューム部
98q 上排風口(排風口)
98r ボリューム部
98s 下排風口(排風口)
107b 回転軸の軸線(コアの中心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16