(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】段窓
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20231124BHJP
E06B 1/36 20060101ALI20231124BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20231124BHJP
【ＦＩ】
E06B1/18 Y
E06B1/36 Z
E06B5/16
【請求項の数】
1
(21)【出願番号】P 2020075764
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021173005
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】細川 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】網谷 志郎
(72)【発明者】
【氏名】平下 幸孝
(72)【発明者】
【氏名】小笹 太寛
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１８－１４５７１１（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１５－１４５６１９（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１６－１５６２６５（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０６Ｂ ５／１６
Ｅ０６Ｂ １／００－１／７０
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無目の上方に開閉機構を介して障子が開閉自在に支持されており、無目の上面の開閉機構の室内側に加熱膨張材が配置されているとともに、障子の下框の下面の開閉機構の室内側に加熱膨張材が配置されており、
無目の上面もしくは下框の下面の少なくとも一方において、開閉機構の室外側に加熱膨張材が配置されている段窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される段窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下で異なる種類の窓が配置された段窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２００１－２０７７２９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献１に記載されているような段窓において、上段の建具と下段の建具との間に配置される無目部分は、躯体開口部に沿って固定されないことなどから、火災時に熱によって変形が大きく発生して障子との間に室内外に連通する隙間が発生する可能性があった。特に、開口面積を大きくとるために無目と上段の建具の下枠を兼用させた場合には、無目の変形により隙間が発生する可能性があった。
【0005】
本発明は、上段に開閉する障子を備える段窓において、火災時における無目と上段の障子との間において室内外に連通する隙間の発生を抑制し、防火性能を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、無目の上方に開閉機構を介して障子が開閉自在に支持されており、無目の上面の開閉機構の室内側に加熱膨張材が配置されているとともに、障子の下框の下面の開閉機構の室内側に加熱膨張材が配置されており、無目の上面もしくは下框の下面の少なくとも一方において、開閉機構の室外側に加熱膨張材が配置されている段窓である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、上段に開閉する障子を備える段窓において、火災時における無目と上段の障子との間に、室内外に連通する連通路の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る段窓の内観図である。
【図2】実施形態に係る段窓の竪断面図である。
【図3】実施形態に係る段窓の上方部分の横断面図である。
【図4】実施形態に係る段窓の下方部分の横断面図である。
【図5】実施形態に係る段窓の一部平面図であり、（ａ）は、上方に配置される障子の下框を上方から見た図であり、（ｂ）は無目を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の段窓について、図面を参考にして、説明する。
なお、本実施形態の段窓として、ＦＩＸ窓の上方に竪すべり出し窓が配置されてなる段窓を例示して説明するが、段窓の上方および下方に配置される窓の窓種については、特に限定されない。
なお、本実施形態の段窓として、ＦＩＸ窓の上方に竪すべり出し窓が配置されてなる段窓を例示して説明するが、段窓の上方および下方に配置される窓の窓種については、特に限定されない。
【0010】
本実施形態の段窓は、図１に示すように、アルミ等の金属材料からなる上枠１１、下枠１２及び左、右竪枠１３，１４を四周に組み、左、右竪枠１３，１４間に無目１５を固定してなる枠体１と、無目１５よりも下方位置に配置されるＦＩＸ窓３と、無目１５よりも上方位置に開閉自在に障子が配置される竪すべり出し窓を備えている。
【0011】
（枠体の構成）
上枠１１は、図２に示すように、見込壁１１１と、見込壁１１１の室内側内周から下方（内周方向）に向けて突設される中空形状の室内側壁１１２と、見込壁１１１の室外側内周の下方に設けられる室外側壁１１３を有している。
上枠１１は、見込壁１１１の室内側外周に固定溝１１１ａが形成されており、固定溝１１１ａを躯体に固定されたアンカー部材５１に係合することで建物開口部に固定されている。
上枠１１は、図２に示すように、見込壁１１１と、見込壁１１１の室内側内周から下方（内周方向）に向けて突設される中空形状の室内側壁１１２と、見込壁１１１の室外側内周の下方に設けられる室外側壁１１３を有している。
上枠１１は、見込壁１１１の室内側外周に固定溝１１１ａが形成されており、固定溝１１１ａを躯体に固定されたアンカー部材５１に係合することで建物開口部に固定されている。
【0012】
上枠１１は、室内側壁１１２の下端に室外側に開口する気密材取付部１１２ａを有しており、気密材取付部１１２ａに障子２の上框２１に当接する気密材ｓが取付けられている。
上枠１１の室内側壁１１２の室外側面には、加熱膨張材ｆ１１が配置され、長手方向の適宜位置において保持金具によって保持されている。
上枠１１の室内側壁１１２の室外側面には、加熱膨張材ｆ１１が配置され、長手方向の適宜位置において保持金具によって保持されている。
【0013】
下枠１２は、図２に示すように、中空形状の見込壁１２１と、見込壁１２１の屋内側内周面に立ち上がる中空形状の室内側壁１２２と、見込壁１２１の室外側に固定される押縁１２３を有し、室内側壁１２２と押縁１２３によってガラス等のパネルを保持するガラス間口が設けられている。
【0014】
下枠１２のガラス間口内には、セッティングブロックが配置され、緩衝部材を介して枠体１の下方位置に配置される複層ガラス等のパネル体３５を支持しており、ＦＩＸ窓３の下枠として機能している。
下枠１２は、見込壁１２１の室内側外周に固定溝１２１ａが形成されており、固定溝１２１ａを躯体に固定されたアンカー部材５２に係合することで建物開口部に固定されている。
下枠１２は、見込壁１２１の室内側外周に固定溝１２１ａが形成されており、固定溝１２１ａを躯体に固定されたアンカー部材５２に係合することで建物開口部に固定されている。
【0015】
無目１５は、室内側に中空部１５１ａを有し室外側に見込壁１５１ｂを有する無目本体部１５１と、無目本体部１５１の室内側に連続する室内側中空部１５２を備え、下方にガラス間口を形成して無目１５の下方に配置されるＦＩＸ窓３の上枠として機能すると共に、無目１５の上方に配置される竪すべり出し窓の下枠として機能している。ガラス間口内には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
【0016】
無目１５の室内側中空部１５２の室外側面に障子２の下框２２に当接する気密材ｓが設けられている。また、無目１５の室内側中空部１５２内には、必要に応じてスチール等の金属材料からなる補強部材６６を長手方向全長もしくは長手方向の一部に沿って配置されている。
【0017】
左、右竪枠１３，１４は、左右で同様の構成を有しているので、ここでは、主に左竪枠１３を用いて説明する。
左竪枠１３は、図３に示すように、見込壁１３１と、見込壁１３１の室内側内周から内周方向に向けて突設される室内側壁１３２を有している。
左竪枠１３は、見込壁１３１の室内側外周に固定溝１３１ａが形成されており、固定溝１３１ａを躯体に固定されたアンカー部材５３に係合することで建物開口部に固定されており、無目１５の上方位置において、竪すべり出し窓の左竪枠として機能している。
左竪枠１３は、図３に示すように、見込壁１３１と、見込壁１３１の室内側内周から内周方向に向けて突設される室内側壁１３２を有している。
左竪枠１３は、見込壁１３１の室内側外周に固定溝１３１ａが形成されており、固定溝１３１ａを躯体に固定されたアンカー部材５３に係合することで建物開口部に固定されており、無目１５の上方位置において、竪すべり出し窓の左竪枠として機能している。
【0018】
左竪枠１３の見込壁１３１の内周面に、障子２の左竪框２３の強風時の外力や火災時の反り等変形に対抗するための反り防止ブロック１３１ｂが固定されている。
なお、右竪枠１４は、見込壁１４１の内周面に障子２の閉鎖状態を維持するためのロック受け１４１ａが固定されている点で、左竪枠１３と異なっている。
なお、右竪枠１４は、見込壁１４１の内周面に障子２の閉鎖状態を維持するためのロック受け１４１ａが固定されている点で、左竪枠１３と異なっている。
【0019】
左竪枠１３は、図４に示すように、無目１５の下方位置において、ＦＩＸ窓の左竪枠として機能している。
左竪枠１３の見込壁１３１及び室内側壁１３２に対して、室内側ガラス間口壁１３３が固定されるとともに、見込壁１３１の室外側内周面に押縁１３４が取付けられてガラス間口が形成されており、ガラス間口内にバックアップ材及び気密材を介して複層ガラス等のパネル体３５が支持されている。
左竪枠１３の見込壁１３１及び室内側壁１３２に対して、室内側ガラス間口壁１３３が固定されるとともに、見込壁１３１の室外側内周面に押縁１３４が取付けられてガラス間口が形成されており、ガラス間口内にバックアップ材及び気密材を介して複層ガラス等のパネル体３５が支持されている。
【0020】
－竪すべり出し窓の構成－
竪すべり出し窓の障子２は、上框２１、下框２２および左、右竪框２３，２４を四周に組んで、各框材の内周に形成されたガラス間口内にバックアップ材及び気密材を介して複層ガラス等のパネル体２５を支持して形成されている。
竪すべり出し窓の障子２は、上框２１、下框２２および左、右竪框２３，２４を四周に組んで、各框材の内周に形成されたガラス間口内にバックアップ材及び気密材を介して複層ガラス等のパネル体２５を支持して形成されている。
【0021】
上框２１は、図２に示すように、見込壁２１１と、見込壁２１１の室内側内周に設けられる中空形状の室内側壁２１２と、見込壁２１１の室外側内周に設けられる室外側壁２１３を有している。
上框２１は、見込壁２１１の内周に室内側壁２１２に隣接して中空部２１１ａを有しており、室外側壁２１３の外周が見込壁２１１よりも外周に延びて気密材取付部２１３ａが形成されている。
上框２１は、室内側壁２１２と室外側壁２１３によって、ガラス間口が形成されており、ガラス間口内には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
上框２１は、見込壁２１１の内周に室内側壁２１２に隣接して中空部２１１ａを有しており、室外側壁２１３の外周が見込壁２１１よりも外周に延びて気密材取付部２１３ａが形成されている。
上框２１は、室内側壁２１２と室外側壁２１３によって、ガラス間口が形成されており、ガラス間口内には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
【0022】
上枠１１の内周面と障子２の上框２１の外周面との間には、開閉機構８１が配置されており、障子２を見付方向に移動自在かつ回動自在に支持している。
【0023】
障子２の下框２２は、図２に示すように、矩形中空形状の見込壁（本体部）２２１と、見込壁２２１の室内側内周に設けられる中空形状の室内側壁２２２と、見込壁２２１の室外側に取付けられる押縁２２３を有している。
下框２２の押縁２２３は、見込壁２２１の室外側全面を覆うとともに見込壁２２１よりも内周に延び、室内側壁２２２と押縁２２３によって、ガラス間口が形成されている。ガラス間口内には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
下框２２の押縁２２３は、見込壁２２１の室外側全面を覆うとともに見込壁２２１よりも内周に延び、室内側壁２２２と押縁２２３によって、ガラス間口が形成されている。ガラス間口内には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
【0024】
下框２２と無目１５との間には、図５に示すように、開閉機構８２、下がり止めローラ６１、外部ハンドル６５等の複数の機能部材が配置されている。
【0025】
なお、図５（ａ）は、障子２の下框２２を上方から見た図であり、下框２２の下面に配置された開閉機構８２、外部ハンドル６５、下がり止めローラ６１、加熱膨張材ｆ２２１、ｆ２２２の配置位置を示したものであり、説明のために各部材を実線で記載している。
図５（ｂ）は、無目１５を上方から見た図であり、開閉機構８２、ローラ載置部材６２及び加熱膨張材ｆ１５１が示されている。
図５（ｂ）は、無目１５を上方から見た図であり、開閉機構８２、ローラ載置部材６２及び加熱膨張材ｆ１５１が示されている。
【0026】
開閉機構８２は、図６（ａ）に示すように、無目１５の無目本体部１５１の内周面に形成された保持溝１５１ｃにビス等の固定手段によって固定される枠側部材（レール部材）８２１と、下框２２の見込壁２２１にビス等の固定手段によって固定される障子側部材８２２を有し、全体として複数のリンク機構を含み、障子２を見付方向に移動自在かつ回動自在に支持している。
【0027】
下がり止めローラ６１は、図８（ａ）に示すように、下框２２の見込壁２２１の比較的戸先側の下面に固定されている。
無目１５は、開閉機構８２が配置されない範囲においては、保持溝１５１ｃに蓋部材１５４が取付けられ、下框２２に固定された下がり止めローラ６１の位置に合わせて蓋部材１５４の上面にローラ載置部材６２が取り付けられている。
無目１５は、開閉機構８２が配置されない範囲においては、保持溝１５１ｃに蓋部材１５４が取付けられ、下框２２に固定された下がり止めローラ６１の位置に合わせて蓋部材１５４の上面にローラ載置部材６２が取り付けられている。
【0028】
障子２を室外側から開閉するための外部ハンドル６５は、図１２（ａ）に示すように、下框２２の適宜位置に支持されており、下框２２の押縁２２３の下端が切りかかれて形成された切欠き部分２２３ａから室外側に突出するように設けられている。
外部ハンドル６５の室内側の端部には、開閉手段を操作するリンク等が連結されている。
外部ハンドル６５の室内側の端部には、開閉手段を操作するリンク等が連結されている。
【0029】
また、図６（ａ）に示すように、障子２の下框２２と無目１５とを連絡する調整器６３が配置されている。
無目１５の室内側中空部１５２の内部には、室内側中空部１５２の上壁と、室外側見付壁と、底壁とに沿うように断面略Ｕ字状の補強部材６６が配置されており、補強部材６６の上部６６ａを裏板として無目１５の室内側中空部１５２の上面に調整器６３が固定されている。調整器６３から延びる腕部６３ａは、下框２２の中空形状の見込壁２２１の室内側面に裏板６７を介して固定されており、障子２の開閉を補助している。
無目１５の室内側中空部１５２の内部には、室内側中空部１５２の上壁と、室外側見付壁と、底壁とに沿うように断面略Ｕ字状の補強部材６６が配置されており、補強部材６６の上部６６ａを裏板として無目１５の室内側中空部１５２の上面に調整器６３が固定されている。調整器６３から延びる腕部６３ａは、下框２２の中空形状の見込壁２２１の室内側面に裏板６７を介して固定されており、障子２の開閉を補助している。
【0030】
障子２の左、右竪框２３，２４は、図３に示すように、左右で同様の構成を有しているので、ここでは、主に左竪框２３を用いて説明する。
障子２の左竪框２３は、見込壁２３１と、見込壁２３１の室内側内周に設けられる中空形状の室内側壁２３２と、見込壁２３１の室外側内周に取付けられる押縁２３３を有している。
室内側壁２３２と押縁２３３によって、ガラス間口が形成されている。
障子２の左竪框２３は、見込壁２３１と、見込壁２３１の室内側内周に設けられる中空形状の室内側壁２３２と、見込壁２３１の室外側内周に取付けられる押縁２３３を有している。
室内側壁２３２と押縁２３３によって、ガラス間口が形成されている。
【0031】
左竪框２３は、見込壁２３１の室内側の外周に強風時の外力や火災時の反り等変形に対抗するための反り防止ブロック２３１ａが固定されており、左竪枠１３の内周に固定された反り防止ブロック１３１ｂと協働して障子２の脱落や破損を防止している。
また、見込壁２３１の室外側の外周に気密片２３１ｂが取付けられており、左竪枠１３の内周面と左竪框２３の外周面との間を保護している。
また、見込壁２３１の室外側の外周に気密片２３１ｂが取付けられており、左竪枠１３の内周面と左竪框２３の外周面との間を保護している。
【0032】
右竪框２４は、ハンドル６８を操作することで見込壁２４１の外周面から突出するロックピン２４１ａを備えており、ロックピン２４１ａが右竪枠４に固定されたロック受け１４１ａに係合して、障子２の閉鎖状態を維持することができる。
【0033】
－無目上面と障子の下框の間の防火構造－
両端が左、右竪枠１３，１４に固定される無目１５は、建物開口部に沿って配置されていないことなどから、火災時の熱による変形が発生しやすく、室内外に連通する隙間が生じる可能性がある。
以下、無目１５の上面と障子の下框の下面との間における防火構造について、図５ないし図１３を参考に説明する。
両端が左、右竪枠１３，１４に固定される無目１５は、建物開口部に沿って配置されていないことなどから、火災時の熱による変形が発生しやすく、室内外に連通する隙間が生じる可能性がある。
以下、無目１５の上面と障子の下框の下面との間における防火構造について、図５ないし図１３を参考に説明する。
【0034】
図５（ａ）に示すように、障子２の下框２２の下面には、下框２２の長手方向に沿って２条の加熱膨張材ｆ２２１，ｆ２２２が配置されており、下框２２の下面に配置される２条の加熱膨張材ｆ２２１，ｆ２２２は、それぞれ長手方向の複数位置において、図１０（ａ）に示すように、保持金具６９、６９によって保持されている。
また、図５（ｂ）、図１０（ａ）に示すように、無目１５の無目本体部１５１の室内側上面には、無目１５の長手方向に沿って加熱膨張材ｆ１５１が配置されている。
また、図５（ｂ）、図１０（ａ）に示すように、無目１５の無目本体部１５１の室内側上面には、無目１５の長手方向に沿って加熱膨張材ｆ１５１が配置されている。
【0035】
開閉機構８２が固定される吊元寄りの範囲においては、図５，図６（ａ）に示すように、無目１５の無目本体部１５１の開閉機構８２よりも室内側上面に加熱膨張材ｆ１５１が位置することとなり、下框２２に固定される障子側部材８２１の室内側下面に加熱膨張材ｆ２２１が位置することとなる。
また、下框２２に固定される障子側部材８２１の室内側下面に加熱膨張材ｆ２２２が位置することとなる。
また、下框２２に固定される障子側部材８２１の室内側下面に加熱膨張材ｆ２２２が位置することとなる。
【0036】
そして、室内側に火災が発生した際には、図６（ｂ）に示すように、無目本体部１５１の室内側上面に配置された加熱膨張材ｆ１５１と下框２２の室内側下面に配置された加熱膨張材ｆ２２１が早期に膨張して一体化することで、無目１５と下框２２との間に生じる隙間を閉鎖することができる。
【0037】
さらに火災が進むと、無目１５が変形したり、無目１５に設けた気密材ｓが消失するなどして、無目１５と下框２２との間に隙間が生じる可能性があるが、図７に示すように、開閉機構８２の室外側に配置した加熱膨張材ｆ２２２が時間差をおいて膨張することによって、無目１５の変形等によって生じる隙間を塞ぐことができる。
そして、無目１５の上面及び下框２２の下面に配置された加熱膨張材ｆ２２１，ｆ２２２，ｆ１５１は、開閉機構８２を室外側と室内側から包むように膨張するので、開閉機構８２の複雑なリンク等の部材間に生じる隙間に入り込んで閉塞することができ、防火性能を高めることができる。
そして、無目１５の上面及び下框２２の下面に配置された加熱膨張材ｆ２２１，ｆ２２２，ｆ１５１は、開閉機構８２を室外側と室内側から包むように膨張するので、開閉機構８２の複雑なリンク等の部材間に生じる隙間に入り込んで閉塞することができ、防火性能を高めることができる。
【0038】
なお、火災時には、無目１５の室内側中空部１５２内に配置された補強部材６６によって無目１５の変形が抑えられ、また、補強部材６６は、調整器６３の裏板として利用されているので、室内側中空部１５２が熱等により溶融しても、調整器６３によって補強部材６６を保持されて、補強部材６６の見付壁６６ｂによって無目１５部分を保護して延焼の時間を遅らせることができる。
【0039】
下がり止めローラ６１が固定される範囲においては、図８（ａ）に示すように、下框２２の下面であって、下がり止めローラ６１の室内側に加熱膨張材ｆ２２１が位置することとなり、下がり止めローラ６１の室外側に加熱膨張材ｆ２２２が位置することとなる。
【0040】
そして、室内側に火災が発生した際には、図８（ｂ）に示すように、下框２２の下面の室内側に配置された加熱膨張材ｆ２２１が膨張して、無目１５の上面と下框２２の下面との間に生じる隙間を素早く閉鎖することができる。
【0041】
さらに火災が進むと、無目１５が変形したり、無目１５に設けた気密材ｓが消失するなどして、無目１５と下框２２との間に隙間が生じる可能性があるが、図９に示すように、下框２２の下面の室外側に配置された加熱膨張材ｆ２２２が時間差をおいて膨張することによって、無目１５の変形等によって生じる隙間を塞ぐことができる。
【0042】
開閉機構等が配置されない領域においては、室内側に火災が発生した際には、図１０（ｂ）に示すように、無目本体部１５１の室内側上面に位置する加熱膨張材ｆ１５１と下框２２の室内側下面に位置する加熱膨張材ｆ２２１が膨張して一体化することで、無目１５と下框２２との間に生じる隙間を素早く閉鎖することができる。
【0043】
さらに火災が進むと、無目１５が変形したり、無目１５に設けた気密材ｓが消失するなどして、無目１５と下框２２との間に隙間が生じる可能性があるが、図１１に示すように、下框２２の室外側下面に位置する加熱膨張材ｆ２２２が時間差をおいて膨張して一体化することによって、無目１５の変形等によって生じる隙間を塞ぐことができる。
【0044】
外部ハンドル６５が配置される範囲においては、図１２（ａ）に示すように、無目１５の無目本体部１５１の室内側上面に配置された加熱膨張材ｆ１５１は、外部ハンドル６５の室内側部分に対して下方から対向するように位置することとなり、下框２２の室内側下面に配置された加熱膨張材ｆ２２１は、外部ハンドル６５の室内側部分に対して上方から対向するように位置することとなる。
また、下框２２の室外側下面に配置された加熱膨張材ｆ２２２は、外部ハンドル６５に対して、上方から対向するように位置することとなる。
また、下框２２の室外側下面に配置された加熱膨張材ｆ２２２は、外部ハンドル６５に対して、上方から対向するように位置することとなる。
【0045】
そして、室内側で火災が発生した際には、図１２（ｂ）に示すように、無目本体部１５１の室内側上面に配置された加熱膨張材ｆ１５１と下框２２の室内側下面に配置された加熱膨張材ｆ２２１が外部ハンドル６５を上下から挟むように膨張して一体化することで、無目１５と下框２２との間に生じる隙間を素早く閉鎖することができる。
【0046】
さらに火災が進むと、無目１５が変形したり、無目１５に設けた気密材ｓが消失するなどして、無目１５と下框２２との間に隙間が生じる可能性があるが、図１３に示すように、下框２２の室外側下面に配置された加熱膨張材ｆ２２２が時間差をおいて膨張することによって、無目１５の変形等によって生じる隙間を塞ぐことができる。
【0047】
このとき、無目１５の上面及び下框２２の下面に配置された加熱膨張材ｆ１５１，ｆ２２１，ｆ２２２は、外部ハンドル６５を上下から包むように膨張するので、外部ハンドル６５によって加熱膨張材の膨張が妨げられて充満ができなくなることはなく、無目１５と下框２２の間の隙間の発生を抑制することができ、防火性能を高めることができる。
【0048】
以上のように、本実施形態の段窓は、無目と上方位置に配置された障子の下框との間において、室内側においては、無目の上面と下框の下面にそれぞれ加熱膨張材を配置することで、室内側の火災に対して素早く膨張して室内側で気密ラインを形成しているタイト材付近に隙間が発生することを抑制することができる。
【0049】
そして、火災が進むことによって生じる無目の変形によって膨張した加熱膨張材に隙間が生じても、下框２２の室外側に配置した加熱膨張材が時間差で膨張することによって、発生した隙間を塞ぐことができ、延焼を抑制することができる。
なお、室外側に配置されている加熱膨張材ｆ２２２は、下框２２の下面ではなく、無目１５の上面に設けてもよい。
なお、室外側に配置されている加熱膨張材ｆ２２２は、下框２２の下面ではなく、無目１５の上面に設けてもよい。
【0050】
その他、以上の実施形態は，請求項に記載された発明を限定するものではなく，例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
２ ：障子
１５ ：無目
２２ ：下框
６５ ：外部ハンドル
８２ ：開閉機構
ｆ１５１ ：加熱膨張材
ｆ２２１ ：加熱膨張材
ｆ２２２ ：加熱膨張材
１５ ：無目
２２ ：下框
６５ ：外部ハンドル
８２ ：開閉機構
ｆ１５１ ：加熱膨張材
ｆ２２１ ：加熱膨張材
ｆ２２２ ：加熱膨張材
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】