(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】半導体装置および文字認識方法
(51)【国際特許分類】
G06V 30/19 20220101AFI20231124BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20231124BHJP
G06V 30/194 20220101ALI20231124BHJP
【FI】
G06V30/19
G06F3/0488
G06V30/194
(21)【出願番号】P 2020076395
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浜田 正一
(72)【発明者】
【氏名】平野 浩次
(72)【発明者】
【氏名】木村 翔
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-530999(JP,A)
【文献】特開2014-032707(JP,A)
【文献】特開2015-204098(JP,A)
【文献】森 稔,大局的構造情報を用いたオンライン数字認識,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.111 No.317 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,第111巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/19
G06V 30/194
G06F 3/04883
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配置された複数のタッチキーを備えるタッチキー群の静電容量を検知するセンサと、
前記センサが検知した前記複数のタッチキーの静電容量の変化および軌跡の時系列データであるサンプリングパターンに基づいて文字認識を行うよう構成される制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記タッチキーに使用する電極間に仮想キーを設定し、前記仮想キーにおける静電容量の変化および軌跡の時系列データを前記サンプリングパターンに含めたシーケンスパターンに基づいて文字認識を行うよう構成される半導体装置。
【請求項2】
請求項
1の半導体装置において、
前記制御装置は前記仮想キーの静電容量は隣接するタッチキーの電極の静電容量に基づいて算出するよう構成される半導体装置。
【請求項3】
請求項
2の半導体装置において、
前記制御装置は、前記検知した静電容量を所定の閾値と比較して前記タッチキーのONまたはOFFを検出するよう構成され、
前記サンプリングパターンは前記ONまたは前記OFFの二値の時系列データであり、
前記制御装置は、前記仮想キーのONまたはOFFを隣接するタッチキーのONまたはOFFの二値の論理演算により算出するよう構成される半導体装置。
【請求項4】
マトリックス状に配置された複数のタッチキーを備えるタッチキー群の静電容量を検知するセンサと、
前記センサが検知した前記複数のタッチキーの静電容量の変化および軌跡の時系列データであるサンプリングパターンに基づいて文字認識を行うよう構成される制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、学習済みモデルを備え、前記サンプリングパターンから前記学習済みモデルにより推論して文字認識を行うよう構成され、
前記制御装置は、前記タッチキーに使用する電極間に仮想キーを設定し、前記仮想キーの位置における前記タッチキーの静電容量の変化および軌跡の時系列データを前記サンプリングパターンに含めて前記学習済みモデルにより推論して文字認識を行うよう構成される半導体装置。
【請求項5】
なぞられた複数のタッチキーの静電容量を検知し、
前記検知した各タッチキーの静電容量を時系列データのサンプリングパターンに展開し、
前記タッチキーに使用する電極間に仮想キーを設定し、
隣接するタッチキーの電極の検知した静電容量に基づいて前記仮想キーの静電容量を算出し、
前記検知した各タッチキーおよび前記仮想キーにおける静電容量を時系列データのサンプリングパターンに展開し、
前記サンプリングパターンに基づいて文字認識を行う文字認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導装置に関し、例えば、静電容量センサを内蔵する半導体装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
白物家電等の家電製品で使用者が文字および記号の入力をする場合は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルと文字認識機能が必要である。ここで、文字および記号を以下、単に「文字」という。また、スマートフォンで使用者が文字を入力する場合は、入力した文字をWiFiなどの無線通信を使用して家電製品に送信する必要があり、家電製品に無線機能が必要となる。LCDパネルの文字軌跡等を解析するために取り扱う1画面のデータ量が大きい。また、文字の認識率を向上されるためには数フレーム分のデータ保持も必要であり、蓄積用データを取り扱う大容量メモリも必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パターン認識は、LCDパネルのタッチスクリーンを利用して実現できる。しかし、上述したように、文字の認識を行うには、大量のデータを保存する必要があり、さらに、大量のデータを計算して判別する必要がある。そのため、メモリおよびCPU等の装置が高機能および高価となり、また、認識に要する時間も長くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体装置は、マトリックス状に配置された複数のタッチキーを備えるタッチキー群の静電容量を検知するセンサと、センサが検知した複数のタッチキーの静電容量の変化および軌跡の時系列データであるサンプリングパターンに基づいて文字認識を行うよう構成される制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記半導体装置によれば、文字認識を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は実施形態における文字認識装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は実施形態におけるタッチキーの状態検出方法を示す図である。
【
図3】
図3は実施形態における数字と記号の入力パターン例を示す図である。
【
図4】
図4は文字「3」の参照パターンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は文字「3」のシーケンスパターンの一例を示す図である。
【
図6】
図6は文字「8」のシーケンスパターンの一例を示す図である。
【
図7】
図7は文字「9」のシーケンスパターンの一例を示す図である。
【
図8】
図8は実施形態におけるパターン認識を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は第一変形例における仮想キーを示す図である。
【
図10】
図10は第一変形例におけるタッチキーの状態検出方法を示す図である。
【
図11】
図11は第一変形例における文字「3」を入力したときのサンプリングパターンを示す図である。
【
図12】
図12は
図11に示されるサンプリングパターンに基づいて仮想キーの情報を生成する方法について説明する図である。
【
図13】
図13は第二変形例における文字認識装置の構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は学習済みモデルによるパターンマッチングを示す図である。
【
図15】
図15は第二変形例における文字認識装置に文字「3」を入力したときのサンプリングパターンを示す図である。
【
図16】
図16(a)は
図15に示される「ゆっくり」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図16(b)は
図15に示される「標準」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図16(c)は
図15に示される「はやい」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
【
図17】
図17は第二変形例における学習済みモデルによるパターンマッチングを示す図である。
【
図18】
図18(a)は第三変形例における文字認識装置の構成を示す図である。
図18(b)は2×2マトリックスで構成されるタッチキー群を四電極として使用する例を示す図である。
【
図19】
図19は第三変形例における数字と記号の入力パターン例を示す図である。
【
図20】
図20(a)は第三変形例における文字「3」の入力パターンを示す図である。
図20(b)は文字「3」を入力した場合のタッチキーの静電容量を示す図である。
【
図21】
図21は第三変形例における文字認識装置に文字「3」を入力したときのサンプリングパターンを示す図である。
【
図22】
図22(a)は
図21に示される「ゆっくり」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図22(b)は
図21に示される「標準」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図22(c)は
図21に示される「はやい」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
【
図23】
図23は第三変形例における学習済みモデルによるパターンマッチングを示す図である。
【
図24】
図24は第四変形例におけるタッチキー群の第一モード状態の上面図である。
【
図25】
図25は第四変形例におけるタッチキー群の第二モード状態の上面図である。
【
図26A】
図26Aは第四変形例におけるタッチキー群のオーバーレイパネルを示す上面図である。
【
図26B】
図26Bは第四変形例におけるタッチキー群の透明フィルム電極を示す上面図である。
【
図26C】
図26Cは第四変形例におけるタッチキー群の遮光板を示す上面図である。
【
図26D】
図26Dは第四変形例におけるタッチキー群のPCBを示す上面図である。
【
図27】
図27は第四変形例におけるタッチキー群の断面図である。
【
図29】
図29は第五変形例におけるタッチキー群の第一モード状態の上面図である。
【
図30】
図30は第五変形例におけるタッチキー群の第二モード状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0009】
<実施形態>
図1は実施形態における文字認識装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
文字認識装置10はMCU(Micro Controller Unit)100とタッチキー群110とを備える。MCU100は静電容量センサ101と制御装置107とを備える。MCU100は、特に制限されないが、相補型MOS集積回路製造技術などにより単結晶シリコンなどの1個の半導体基板に形成されたシステムオンチップの半導体装置として構成される。また、制御装置107は、例えば、CPU(Central Processing U nit)103、RAM102、ROM104および周辺回路としてのPRPH105等を備える。
【0011】
ROM104はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、CPU103が利用するプログラムおよびデータなどを記憶する。CPU103は、静電容量センサ101を制御するとともに、静電容量センサ101の出力に基づいて、文字を認識する。RAM102はSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成され、CPU103がプログラムを実行中に必要なデータなどを一時的に記憶する。PRPH105は、タイマ106、図示しない通信回路等の他の装置とのインタフェース回路などを含む。
【0012】
静電容量センサ101はタッチキー群110を構成するタッチキー111~119の各々の静電容量を測定する回路である。静電容量センサ101はA/Dコンバータを用いた電圧変換方式により静電容量を計測してもよいし、電流パルス駆動方式により静電容量を計測してもよい。静電容量センサ(タッチセンサ回路、センサ回路)については、US2015/2219およびUS2018/368733を参照して本明細書に取り込む。
【0013】
タッチキー群110は、例えば、3×3のマトリックス状に配置されたタッチキー111~119を備える。タッチキー111~119のそれぞれが半導体装置100と接続されている。タッチキー111~119は、例えば、FR-4などの低誘電率の絶縁基材で構成された基板上に銅箔により成形された電極である。これにより、一般的なプリント基板により、タッチキー群110を製造することが可能である。隣接する電極との間隔は指で電極に触れたときに隣接する二つの電極を同時に触れることができない間隔が空いているものとする。タッチキー111~119は、自己容量検出方式のタッチキーである。
【0014】
文字認識装置10はプリント基板上にMCU100とタッチキー群110を実装し、MCU100とタッチキー群110とを銅箔による配線で接続する構成でもよい。また、文字認識装置10はガラスなどの絶縁体の表面に電極となる金属箔などを接着してタッチキー群110を形成し、電極とMCU100をリード線で接続する構成でもよい。
【0015】
単一のタッチキーのサンプリング動作について
図2を用いて説明する。
図2は実施形態におけるタッチキーの状態検出方法を示す図である。
【0016】
一般的にタッチキーは指が電極から離れた状態(Non-touch)をOFFとし、指が電極に接触した状態(Touch)をONとして二値のデジタル値で判定結果を出力する。
図1に示したタッチキー群110のタッチキー111~119はそれぞれ独立してONとOFFの両方の状態が検出される。
【0017】
静電容量センサ101は、指と電極間の静電容量を所定期間ごとにサンプリング(センシング)して保持する。ここで、センシング結果はONとOFFのデジタル値(1ビットの「1」または「0」)ではなく、アナログ量である静電容量を多ビットのデジタル値である。制御装置107は、例えば、静電容量センサ101からの割り込み信号に基づいて、静電容量をRAM102に格納する。RAM102またはROM104にはONとOFFを判定するしきい値(Th)が格納されている。制御装置107は、例えば、センシング結果がしきい値未満(または以下)でOFFと判定し、しきい値以上(または超)でONと判定する。
【0018】
なお、静電容量センサ101がしきい値を保持して、静電容量センサ101自体がONまたはOFFのデジタル値の判定結果を出力するようにしてもよい。静電容量センサ101の動作電力を低減するために、タイマ106を用いてセンシングを間欠動作させるようにしてもよい。
【0019】
パターン入力について
図3を用いて説明する。
図3は実施形態における数字と記号の入力パターン例を示す図である。
【0020】
認識させるパターンはタッチキー群110の電極のうち、起点から終点まで指を離すことなくなぞることで入力する。ここで、
図3において、黒丸はタッチの起点を示し、矢印はタッチの終点を示している。例えば「1」を入力する場合はタッチキー112,115,118の順に連続でONになるよう指でなぞる。「3」を入力する場合はタッチキー111,112,113,116,115,116,119,118,117の順に連続でONになるよう指でなぞる。「ピリオド」を入力する場合はタッチキー119をONになるよう指でタッチする。
【0021】
上述の入パターン例はあくまでも一例であってこれに限定されるものではない。例えば、「3」の入力パターンは、タッチキー111,112,113,116,115,114,115,116,119,118,117の順に連続でONになるよう指でなぞったものであってもよい。また、「3」の入力パターンは、タッチキー112,113,116,115,116,119,118の順に連続でONになるよう指でなぞったものであってもよい。
【0022】
パターン認識について
図4から
図8を用いて説明する。
図4は文字「3」の参照パターンの一例を示す図である。
図5は文字「3」のサンプリングパターンの一例を示す図である。
図6は文字「8」のサンプリングパターンの一例を示す図である。
図7は文字「9」のサンプリングパターンの一例を示す図である。
図8は実施形態におけるパターン認識を示すフローチャートである。
【0023】
(タッチ判定:ステップS1、サンプリング開始:S2)
(a)起点検出
制御装置107は、タッチキー111~119の何れかのONを検知すると、パターン入力開始と判断する。そして、制御装置107は、サンプリングを開始して、タッチキー群110の全タッチキーの検出状態および時系列情報をRAM102へ記録開始する。ここで、タッチキーの検出状態とは、タッチキーの静電容量を所定のしきい値(Th)と比較して判定したONまたはOFFを表す二値のデジタル値である。
【0024】
(サンプリング継続:ステップS4)
(b)検出状態の記録
制御装置107は、タッチキー群110を入力パターン例に沿ってなぞる期間におけるタッチキーの検出状態のRAM102へのデータ記録を継続する。ここで、タッチキーの検出状態は時系列情報と共にRAM102に記録される。
【0025】
(タッチ継続判定:ステップS3)
(c)終点検出
制御装置107は、すべてのタッチキー111~119のOFFを検知し、所定時間経過すると、入力終了と判断し、RAM102へのタッチキーの検出状態のデータ記録を停止する。
【0026】
(フレーム切り出し:ステップS5、時間軸スケーリング:ステップS6)
(d)サンプリングパターンの生成
制御装置107は、RAM102に記録された1文字分のタッチキー群110の検出状態および時系列情報を切り出して時間軸でスケーリングし、
図5から
図7に示されるようなサンプリングパターンに展開する。ここで、サンプリングパターンは入力パターンの軌跡を時系列順に並べたシーケンシャルパターンである。
【0027】
(パターンマッチング:ステップS7)
(e-1)パターンマッチング
制御装置107は、
図5から
図7に示されるようなサンプリングパターンと、
図4に示されるような参照パターンと、を比較する。ここで、参照パターンは入力パターンの軌跡をタッチキーごとに時系列順に並べたシーケンシャルパターンであり、入力パターンごとに異なるパターンが予めROM104またはRAM102に格納されている。制御装置107は、一致した参照パターンのシンボルを入力パターンに対応するシンボルとして認識する。例えば、
図5に示されるサンプリングパターンと
図4に示される参照パターンは一致するので、制御装置107は入力パターンとして文字「3」を認識する。
【0028】
サンプリングパターンおよび参照パターンは時系列情報を有しているので、制御装置107は、所定時間以下のON時間をノイズとして検知し、このノイズを除去できる。これにより、マッチング精度を向上できる。
【0029】
(e-2)タッチ時間情報を含むパターンマッチング
上述した参照パターンのシーケンシャルパターンを第一の参照パターンとし、パターン入力時のON時間を統計的に算出した時間情報パターンを第二の参照パターンとする。第一の参照パターンおよび第二の参照パターンをROM104またはRAM102に格納して保持するようにしてもよい。この場合、制御装置107は、サンプリングパターンをシーケンシャルパターンと時間情報パターンの二種類の参照パターンと比較できる。これにより、パターン認識率をさらに向上できる。
【0030】
第二の参照パターンに用いるパターン入力時のON時間について以下説明する。入力パターンの軌跡(タッチキーの入力軌跡)には、下記の5パターンがある。
パターン1:起点
パターン2:隣接するタッチキー間から直線で通過するもの
パターン3:直角または鋭角で折り返すもの
パターン4:同一タッチキー上で反転するもの
パターン5:終点
【0031】
入力パターンを表現するためにタッチキーを必ず通過し、その時の軌跡を描く時間がそれぞれ異なる。すなわち、入力パターンによって、タッチキーにタッチしている時間が異なる。例えば、文字「3」が入力され場合、パターン3に該当するタッチキー113、116、119およびパターン4に該当するタッチキー115は、パターン2に該当するタッチキー112と118と比較してタッチの時間が長い。人間が軌跡を描くとき、タッチキーから指が逸脱しないよう注意して描くため、パターン3およびパターン4では一瞬停止することからタッチ時間が変化する。
【0032】
パターンマッチングを行う際に、第二の参照パターンに代えて以下の条件判別を行ってもよい。
【0033】
例えば、パターン2に該当するタッチキーは10カウント以下、パターン3に該当するタッチキーは10から20カウント、パターン4に該当する電極は20カウント以上などの条件判別を行う。ここで、上記「カウント」は、例えば、US2015/2219に開示される「カウンタ14」のカウント値である。または、各タッチキーのON時間がパターン2ではt2、パターン3ではt3、パターン4ではt4とすると、t2<t3≦t4かどうかの条件判別を行う。
【0034】
(e-2)のパターンマッチングで判別を失敗した場合、判別精度は落ちるが再度(e-1)のパターンマッチングで判別を行ってもよい。
【0035】
実施形態によれば、下記の一つまたは複数の効果を有する。
【0036】
(1)タッチキーの静電容量の変化および軌跡で文字認識ができるので、タッチキー群をタッチキーのONおよびOFF以外の入力装置として使用できる。単純な複数のキーで文字や記号などが入力できるため幅広い製品で文字入力機能を追加できる。
【0037】
(2)各タッチキーをなぞったパターン入力のため、このタッチキーの検出順序を簡易的な書き順情報とすることで、少ないデータ量で文字認識率を上げられる。
【0038】
(3)キー入力シーケンスが文字描画の時系列データとなるので、保存する時系列データ容量が小さく、内蔵メモリの小さな製品など幅広い製品で使用することが可能になる。
【0039】
(4)文字入力中の完全にリニアなデータを持つ必要がなく、基準点の検出順序だけをプロットするため、文字認識処理全体のデータ量を削減できる。
【0040】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0041】
(第一変形例)
第一変形例では、指がタッチキー間にある場合のセンシング結果を用いてタッチキーのセンシング結果を補間する。
【0042】
第一変形例の文字認識装置の構成について
図9を用いて説明する。
図9は第一変形例における文字認識装置の構成を示すブロック図である。
【0043】
第一変形例の文字認識装置におけるMCU100およびタッチキー群110の構成は実施形態の文字認識装置と同様である。ただし、タッチキー群110はタッチキー111~119のタッチキー間に仮想キー201~216を配置して構成される。仮想キー201~216は金属による電極ではなく、電極のタッチキー111~119と同様にONおよびOFFの判断ができる概念上のタッチキーである。これにより、9点の測定点から25点の測定点に増加するため、入力パターンのサンプリング精度が向上できる。
【0044】
単一のタッチキーのサンプリング動作について
図10を用いて説明する。
図10は第一変形例におけるタッチキーの状態検出方法を示す図である。
【0045】
タッチキー111~119のONおよびOFFの動作は実施形態と同様である。ただし、第一変形例では、実施形態のしきい値(Th)より数値の低いしきい値(Th’)を設定し、静電容量のアナログ波形の立ち上がりでより早くON判定することができるものとする。
【0046】
第一変形例におけるパターン入力は、
図3を用いて説明した実施形態の動作と同様である。
【0047】
パターン認識について
図8、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は第一変形例における文字「3」を入力したときのサンプリングパターンを示す図である。
図12は
図11におけるサンプリングパターンに基づいて仮想キーの情報を生成する方法について説明する図である。
【0048】
ステップS1~S4における、(a)起点検出、(b)検出状態の記録および(c)終点検出については、制御装置107は実施形態と同様に行う。
【0049】
(フレーム切り出し:ステップS5、時間軸スケーリング:ステップS6)
(d)仮想電極の補間処理
制御装置107は、実施形態と同様にRAM102に記録された1文字分のタッチキー群110の検出状態および時系列情報を切り出して時間軸でスケーリングし、
図11に示されるようなサンプリングパターンに展開する。そして、
図12に示されるように、制御装置107は、隣接するタッチキー同士のONおよびOFF情報の論理演算により仮想キー201~216のONまたはOFFの情報を生成する。ここで、ONを「1」、OFFを「0」とした場合は、論理演算としては論理積の演算を行う。これは隣接するタッチキーの同時押しを検知している。例えば、制御装置107は、仮想キー201の検出状態をタッチキー111とタッチキー112との検出状態の論理積を演算して算出する。また、制御装置107は、仮想キー204の検出状態をタッチキー111とタッチキー112とタッチキー114とタッチキー115との検出状態との論理積を演算して算出する。
【0050】
(パターンマッチング:ステップS7)
(e-1)パターンマッチング
制御装置107は、実施形態と同様に、タッチキー111~119および仮想キー201~216のサンプリングパターンと、予めRAM102等に記憶されている参照パターンと、を比較する。制御装置107は、一致した参照パターンのシンボルを入力パターンに対応するシンボルとして認識する。ここで、第一変形例の参照パターンは入力パターンの軌跡から想定される仮想キーのONおよびOFF情報を含めたパターンである。制御装置107は、パターンマッチングを実施形態と同様の処理で行う。
【0051】
第一変形例によれば、下記の一つまたは複数の効果を有する。
【0052】
(1)通常のタクトキースイッチでは検出出来ないキーとキーの中間位置も検出することができる。
【0053】
(2)タッチキーのセンシング結果と、指がタッチキー間にある場合のセンシング結果を用いてタッチキー間の入力情報として補間するので、パターン認識の精度を向上できる。
【0054】
(3)測定点が増えたことでパターンマッチ点が増加することから、参照パターンに対しサンプリングパターンの一致箇所が一定割合以上あればパターンマッチとみなす処理とすることもでき、マッチング精度の向上が出来る。
【0055】
(4)サンプリングパターンの情報量が実施形態に対して2倍以上に増加しており、ノイズによりタッチキーの情報が欠落しても参照パターンとの照合結果を向上させることが出来る。
【0056】
(5)静電容量センサの測定点を単純に増加すればサンプリング精度は向上するが、センシング時間も比例して増加する。したがってMCUの動作時間が増加し、消費電力も比例して増加することになる。また、静電容量センサの特性から、タッチキーの隣接距離が短いほど寄生容量増加による感度低下が起こるため、精度の高いタッチキーパターン設計難易度が高くなる。本変形例における仮想電極による補間の手法では、センサの測定点を増やすことなくサンプリング精度向上が期待できるためセンシングの消費電力は増加しない。論理積の演算のための動作時間が増加するが、センサの測定点増加による動作時間と比較して短い。消費電力増加を抑えてマッチング精度向上が可能である。電極の隣接距離も寄生容量発生を抑制した間隔でよいため電極パターン設計は容易である。
【0057】
(第二変形例)
第二変形例では、指がタッチキー上およびタッチキー間にある場合のセンシング結果を用いると共に、機械学習モデルにより入力パターンのシンボルの推論を行う。第二変形例における文字認識装置は、第一変形例における文字認識装置に機械学習により事前に参照パターンを学習させた学習済みモデルを追加し、学習済みモデルで推論を行う。
【0058】
第二変形例の文字認識装置の構成について
図13を用いて説明する。
図13は第二変形例における文字認識装置の構成を示すブロック図である。
【0059】
第二変形例の文字認識装置におけるMCU100およびタッチキー群110の構成は第一変形例の文字認識装置と同様である。ただし、ROM104に機械学習装置120により事前に参照パターンを学習させた学習済みモデルMLMが格納されている。第二変形例の制御装置107は、タッチキー群110の9個のタッチキー111~119および16個の仮想キー201~216の位置におけるタッチキー111~119の静電容量センシングデータを使用する。制御装置107は、アナログ量である静電容量センシングデータをデジタルデータとしてRAM102に記録して、学習済みモデルMLMで推論を行う。
【0060】
ここで、機械学習装置120は、タッチキー群110と同様なタッチキー群に入力される文字を静電容量センサ101と同様な静電容量センサにより検知してサンプリングパターンを取得する。ここで、第二変形例のサンプリングパターンは実施形態のサンプリングパターンとは異なり、多ビットで表されるデジタル値である。例えば、8ビットの場合は、0~255の256レベルのデジタル値である。機械学習装置120は、認識対象文字すべてについてサンプリングパターンを取得する。機械学習装置120は、各文字の取得した複数のサンプリングパターンを学習データとして機械学習を行い、参照パターンとしての学習済みモデルMLMを生成する。ここで、静電容量はタッチキー111~119の位置をタッチしたものの他に、仮想キー201~216の位置をタッチしたものもある。
【0061】
第二変形例におけるパターン入力は、
図3を用いて説明した実施形態の動作と同様である。すなわち、タッチキーの電極間のみをなぞるパターン入力はない。
【0062】
パターン認識について
図14を用いて説明する。
図14は第二変形例におけるパターン認識を示すフローチャートである。
図15は第二変形例における文字認識装置に文字「3」を入力したときのサンプリングパターンを示す図である。
図16(a)は
図15に示される「ゆっくり」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図16(b)は
図15に示される「標準」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図16(c)は
図15に示される「はやい」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図17は第二変形例における学習済みモデルによるパターンマッチングを示す図である。
【0063】
ステップS1~S4における、(a)起点検出、(b)検出状態の記録および(c)終点検出については、制御装置107は第一変形例と同様に行う。
【0064】
(前処理:ステップS5a)
(フレーム切り出し:ステップS5、時間軸スケーリング:ステップS6)
(d)サンプリングパターンのデータ標準化
図15に示されるように、サンプリングパターンは個人差やパターン入力ごとに入力時間や筆圧が変化するため、時間軸や静電容量のセンシングデータの強度にばらつきが発生する。ここで、
図15に示される横軸は時間であり、縦軸は静電容量センサ101が検知したデータである。学習済みモデルによっては入力層のデータサイズが固定であるため、制御装置107はサンプリングパターンのデータの標準化を行う。機械学習に使用する学習データはデータ標準化を行ったものを使用し、学習モデルへのセンシングデータ入力時も同様のアルゴリズムで標準化したデータを使用する。
【0065】
(d-1)時間軸データの標準化
入力時間とサンプリングデータ個数は比例する。時間軸データの標準化はサンプリング個数を単位時間に合うように間引きしたり、データ補間を行ったりする。単位時間は学習済みモデルの入力層のデータサイズである。例えば、入力が
図15に示される「ゆっくり」の場合、データ補間して
図16(a)に示されるように、サンプリングパターンを40サンプルに標準化する。入力が
図15に示される「はやい」の場合、データを間引きして
図16(c)に示されるように、サンプリングパターンを40サンプルに標準化する。
【0066】
(d-2)量子化ビット数の標準化
入力時の筆圧により静電容量センサ101が検知したデータにばらつきが生じるため、制御装置107はこれを標準化する。制御装置107はタッチキーごとにピーク値が最大となるよう標準化したり、全タッチキーのうち最もピーク値が高いタッチキーを標準化し、その標準化係数を他のタッチキーに適用したりする。ここで、量子化ビット数の標準化は1ビット(二値)より多い情報量とする。
【0067】
(AI推論:ステップS7a)
(e)学習済みモデルによるパターンマッチング
図17に示されるように、制御装置107は、標準化されたサンプリングパターンを、学習済みモデルMLMに入力し推論により参照パターンのパターンマッチングを行う。ここで、学習済みモデルMLMの入力層は9チャネルあり、9つのサンプリングパターンが入力されるようになっている。また、出力層はM個の文字の確率が出力されるようになっている。学習済みモデルMLMの隠れ層は多層で構成された深層学習である。
図17に示されるサンプリングパターンは文字「3」が入力された場合のサンプリングパターンである。タッチキー111~119の各サンプリングパターンは、8ビットのデジタル値で40パターンに標準化されている。
【0068】
制御装置107は、タッチキー111~119の各サンプリングパターンを入力層に入力し、文字「0」から「9」のそれぞれの確率を出力する。
図17に示されるように、文字「3」の確率が「0.864」であり、制御装置107は、入力したサンプリングパターンは文字「3」であると認識する。
【0069】
第二変形例によれば、アナログセンシングデータと学習済みモデルを使用した推論により、入力パターンの特徴点をより検出しやすくパターン検出精度を向上できる。
【0070】
(第三変形例)
第三変形例における文字認識装置について
図18から
図20を用いて説明する。
図18(a)は第三変形例における文字認識装置の構成を示す図である。
図18(b)は2×2マトリックスで構成されるタッチキー群を4電極として使用する例を示す図である。
図19は第三変形例における数字の入力パターン例を示す図である。
図20(a)は第三変形例における文字「3」の入力パターンを示す図である。
図20(b)は文字「3」を入力した場合のタッチキーの静電容量を示す図である。
【0071】
図18(a)に示されるように、タッチキー群110のすべてのタッチキーを使用せず、格子状に隣接する任意の4電極と仮想キーを使用する。例えば、四つのタッチキー111,112,114,115と五つの仮想キー201,203,204,205.208の位置におけるタッチキー111,112,114,115の4電極の静電容量センシングデータを使用する。制御装置107は、アナログ量である静電容量センシングデータをデジタルデータとしてRAM102に記録し、学習済みモデルで推論を行ってもよい。これにより、パターン認識精度を保持しつつ、MCU100の使用リソースを低減できる。タッチキー群110に代えて、
図18(b)に示すようなタッチキー111,112,114,115の4電極で構成されるタッチキー群210を用いてもよい。
【0072】
認識させるパターンは、実施形態と同様に、タッチキー群110の電極のうち、起点から終点まで指を離すことなくなぞることで入力される。ただし、実施形態よりの電極数が少ないため、文字によっては電極間のみをなぞる軌跡がある。これらの文字は、
図19に示されるように、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「9」である。例えば、文字「3」を入力する場合は、
図20(a)に示されるように、基準点SP1、仮想キー201、基準点SP3、仮想キー205、仮想キー204,仮想キー205、基準点SP9、仮想キー208、基準点SP7の順に連続でONになるよう指でなぞる。この場合の、タッチキー111,112,114,115の静電容量の変化は、例えば、
図20(b)に示されるようになる。仮想キー201,204,205,208の位置におけるタッチキー111,112,114,115の静電容量を含めてパターンマッチングする。
【0073】
第三変形例における時間軸データの標準化について
図21および
図22を用いて説明する。
図21は第三変形例における文字認識装置に文字「3」を入力したときのサンプリングパターンを示す図である。
図22(a)は
図19に示される「ゆっくり」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図22(b)は
図21に示される「標準」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
図22(c)は
図21に示される「はやい」のサンプリングパターンを40サンプルに標準化した図である。
【0074】
制御装置107は、第二変形例と同様に、時間軸データの標準化はサンプリング個数を単位時間に合うように間引きしたり、データ補間を行ったりする。例えば、入力が
図21に示される「ゆっくり」の場合、データ補間して
図22(a)に示されるように、サンプリングパターンを40サンプルに標準化する。入力が
図21に示される「はやい」の場合、データを間引きして
図22(c)に示されるように、サンプリングパターンを40サンプルに標準化する。
【0075】
第三変形例における学習済みモデルによるパターンマッチング(ステップS7a)について
図23を用いて説明する。
図23は学習済みモデルによるパターンマッチングを示す図である。
【0076】
図23に示されるように、制御装置107は、標準化されたサンプリングパターンを、学習済みモデルMLMに入力し推論により参照パターンのパターンマッチングを行う。ここで、学習済みモデルMLMの入力層は4チャネルあり、4つのサンプリングパターンが入力されるようになっている。また、出力層はM個の文字の確率が出力されるようになっている。学習済みモデルMLMの隠れ層は多層で構成された深層学習である。
図23に示されるサンプリングパターンは文字「3」が入力された場合のサンプリングパターンである。タッチキー111~119の各サンプリングパターンは、8ビットのデジタル値で40パターンに標準化されている。
【0077】
制御装置107は、タッチキー111,112,114,115の各サンプリングパターンを入力層に入力し、文字「0」から「9」のそれぞれの確率を出力する。
図23に示されるように、文字「3」の確率が「0.780」であり、制御装置107は、入力したサンプリングパターンは文字「3」であると認識する。
【0078】
第三変形例によれば、タッチキーの電極数を減らしてもパターン検出精度が低下することなくMCUのリソースを低減させることができる。MCUの性能によって選択することが可能である。
【0079】
(第四変形例)
第四変形例のタッチキー群の構成について
図24~
図27を用いて説明する。
図24は第四変形例におけるタッチキー群の第一モード状態の上面図である。
図25は第四変形例におけるタッチキー群の第二モード状態の上面図である。
図26Aは第四変形例におけるタッチキー群のオーバーレイパネルを示す上面図である。
図26Bは第四変形例におけるタッチキー群の透明フィルム電極を示す上面図である。
図26Cは第四変形例におけるタッチキー群の遮光板を示す上面図である。
図26Dは第四変形例におけるタッチキー群のPCBを示す上面図である。
図27は第四変形例におけるタッチキー群の断面図である。
【0080】
第四変形例におけるタッチキー群310は、タッチキー入力モードと文字認識モードのキー表示の切替えがモードキーのトグルにより可能である。ここで、タッチキー入力モードは一つのタッチキーを用いた入力であり、タクトキーとして機能する。文字認識モードは複数のタッチキーを用いて入力され、
図24に示すように、タッチキー入力モード時は、キーフレーム311とキー名称312を表示する。例えば、
図24においては、キーフレーム311は矩形状の枠が五つ表示され、キー名称312としては、「Mode」、「Power」、「Eco」、「Freeze」、「Lock」が表示されている。
図25に示されるように、文字認識モード時は、基準点313を表示する。例えば、
図25おいては、九つの白点が表示されている。
【0081】
図26Dに示されるLED322を実装したPCBの上に、
図26Cに示される遮光板323が配置される。遮光板323の上に、
図26Bに示される、タッチキーの電極324aを形成する透明フィルム電極324が配置される。透明フィルム電極324の上に、
図26Aに示される、キーフレーム311、キー名称312および基準点313が印刷されたオーバーレイパネル325が配置される。
【0082】
図27に示すように、PCB321上に配置された発光素子としてのLED322は、遮光板323により分断されている。これにより、直上のオーバーレイパネル325の下面(印刷面)325aに印刷されたキー名称312の文字および基準点313の線などをそれぞれ独立して照明することが可能である。
【0083】
第四変形例によれば、下記の一つまたは複数の効果を有する。
【0084】
(1)モードに基づいて点灯するLEDを切り替える事により、キーフレーム311とキー名称312のみを表示させるか、または基準点313のみを表示させることが可能となる。
【0085】
(2)タッチキーとその中間地点に基準点を表示することにより、文字描画時に検出可能な座標点を正しく通過することができ、タッチキーの無い座標をなぞって文字や記号が正しく認識されないことを防止できる。
【0086】
(3)モード切替により、通常の製品操作のための単独キーと文字認識を行う文字入力のためのキーを併用することが出来るため、文字入力専用のキーを用意する必要がなく、キーが少ない製品などにも応用が可能である。
【0087】
(第五変形例)
第五変形例における文字認識装置を備える冷蔵庫について
図28~
図30を用いて説明する。
図28は第五変形例における冷蔵庫を示す図である。
図29は第五変形例におけるタッチキー群の第一モード状態の上面図である。
図30は第五変形例におけるタッチキー群の第二モード状態の上面図である。
【0088】
図28に示されるように冷蔵庫400はドアの表面に静電容量タッチキー群で構成されるタッチキー群410を備え、タッチキー操作により温度調整および省電力モードへ切り替える。タッチキー群410は実施形態のMCU100と同様のMCUにより制御される。タッチキー群410は、タッチキーの操作モードとして、タッチキー入力モード420と文字認識モード430を持つ。タッチキー入力モード420の場合は、
図27に示されるようにタッチキーに割り当てられている機能が表示される。例えば、タッチキー411~414には節電モード421、タッチキー415には冷凍機能モード422、タッチキー416には文字認識モード423が表示される。また、タッチキー417にはECOモード424、タッチキー418には製氷モード425、タッチキー417にはキーロックモード426が表示される。
【0089】
文字認識モードを表示するタッチキー416が押されると、制御装置107は静電容量センサ101によりタッチキー416のONを検知して、タッチキー群410を文字認識モード430に切り替える。文字認識モード430に切り替わった場合は、タッチキー群410は
図30に示されるように文字認識のために指でなぞる基準点431を表示する。使用者は、これらの基準点431をなぞることでタッチキー群410を介して制御装置107に文字認識をさせる。文字認識モード430においては、タッチキー群410は実施形態におけるタッチキー群110と同様にパターン認識を行う。
図28に示されるように文字認識でIPアドレスを入力し、冷蔵庫400をホームネットワーク450に接続する。例えば、IPアドレスが「192.168.1.1」の場合、文字「1」、「9」、「2」、「.」、「1」、「6」、「8」、「.」、「1」「.」、「1」をこの順に
図3に示された入力パターンに従ってタッチキーを指でなぞる。使用者は文字認識モード430では、任意のタッチキーを2つ同時に押すことでタッチキー入力モード420に切り替える。
【0090】
第五変形例によれば、第四変形例のような文字認識モードへの切替専用のタッチキーを設ける必要がなく、タッチキー数を削減できる。
【0091】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0092】
100:半導体装置
101:静電容量センサ(センサ)
107:制御装置
110:タッチキー群
111~119:タッチキー