(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20231124BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20231124BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231124BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20231124BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20231124BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20231124BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231124BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20231124BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20231124BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20231124BHJP
【FI】
F21S43/20
F21V5/00 320
F21V5/04 350
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:20
F21Y115:10
F21W103:45
F21W103:55
F21W103:10
(21)【出願番号】P 2020079353
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高本 裕貴
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027689(JP,A)
【文献】特開2016-115559(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009405(WO,A1)
【文献】特開平11-265606(JP,A)
【文献】特開2009-266523(JP,A)
【文献】特開2015-064995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21V 5/00
F21V 5/04
F21W 103/35
F21W 103/00
F21W 103/20
F21Y 115/10
F21W 103/45
F21W 103/55
F21W 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に向けて光を出射する光源と、
前記光源の前方に配置されて、前記光源から出射された光の配光を制御する第1の導光レンズと、
前記第1の導光レンズの前方に配置されて、前記第1の導光レンズにより配光が制御された光を背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側を発光させる第2の導光レンズとを備え、
前記第2の導光レンズは、前方に向かって突出された突出部を有し、
前記突出部は、第1の角部を挟んで隣り合う第1の発光部及び第2の発光部を含み、
前記第2の導光レンズを正面視したときに、前記第1の発光部及び前記第2の発光部を相対的に明るく発光させると共に、前記第1の角部を相対的に暗く発光させることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第2の発光部は、前記第1の角部を挟んで前記第1の発光部よりも後方に向かって傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2の導光レンズは、前記第1の発光部から出射される光を拡散させる第1の拡散部と、前記第2の発光部から出射される光を拡散させる第2の拡散部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1の拡散部は、前記第2の拡散部よりも光の拡散度合いが大きいことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1の導光レンズは、背面側に前記光源から出射された光を平行化しながら内部へと入射する入射部と、正面側に前記入射部により平行化された光を拡散しながら外部へと出射する出射部とを含むことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記出射部は、その中央部から端部に向かうほど光の拡散度合いが大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第2の導光レンズを正面視したときに、外側から順に、前記第1の発光部と前記第1の角部と前記第2の発光部とが同心円状に並んで配置されていることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記突出部は、前記第2の発光部の内側に第2の角部を挟んで前記第2の発光部と隣り合う第3の発光部を含み、
前記第2の導光レンズを正面視したときに、前記第3の発光部を相対的に明るく発光させると共に、前記第2の角部を相対的に暗く発光させることを特徴とする請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第3の発光部は、前記第2の角部を挟んで前記第2の発光部よりも後方に向かって傾斜して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記第2の導光レンズは、前記第3の発光部から出射される光を拡散させる第3の拡散部を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記第2の導光レンズにおける前記突出部の内側を覆う第1のエクステンションを備え、
前記第1のエクステンションは、前記第3の発光部よりも後方側を覆うように配置されていることを特徴とする請求項8~10の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記第1の導光レンズは、内側に向かって延在する第1のリブ部を有し、
前記第2の導光レンズは、前記突出部の内側の基端部から内側に向かって延在する第2のリブ部を有し、
前記第1のリブ部と前記第2のリブ部とが空気層を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項7~11の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記突出部は、前記第1の発光部の外側に第3の角部を挟んで前記第1の発光部と隣り合う非発光部を含み、
前記非発光部は、前記第1の発光部よりも後方に向かって傾斜して設けられていることを特徴とする請求項7~12の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記第2の導光レンズにおける前記突出部の外側を覆う第2のエクステンションを備え、
前記第2のエクステンションは、前記非発光部を覆うように配置されていることを特徴とする請求項13に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光レンズ(導光体)とを組み合わせたものが知られている。このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光レンズの背面側から入射し、導光レンズの正面側から出射することによって、導光レンズの正面側を車両用灯具の発光部として発光させることが可能である。
【0003】
また、近年の車両用灯具では、デザインの多様化によって、様々な形態のものが開発されている。例えば、複数の光源をリング状に並べて配置し、これら複数の光源の前方に配置された導光レンズをリング状に発光させるものがある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-195465号公報
【文献】特開2016-115559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した複数の光源をリング状に並べて配置した場合、各光源に対応する部分が他の部分よりも強く光る、いわゆる点光りによって、導光レンズをリング状に均一に発光させることが困難となる。
【0006】
そこで、従来の車両用灯具では、導光レンズに拡散部に設けて、この導光レンズから出射される光を拡散部により拡散させながら、導光レンズをリング状に均一に発光させることが行われている。
【0007】
一方、従来の車両用灯具では、車両の前端側又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退した形状となっている。
【0008】
これに合わせて、灯体の内側に配置される導光レンズについても、車幅方向の内側よりも外側が前後方向に短くなっている。この場合、導光レンズの長さの違いによって、発光部の明るさに差が生じてしまい、導光レンズをリング状に均一に発光させることが困難となる。
【0009】
さらに、従来の車両用灯具では、導光レンズの形状的な制約によって、同心円状に並ぶリング状の発光部を発光させながら、その間にリング状の暗部を設けることは困難である。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光レンズの発光部をより均一に発光させると共に、発光部の間に暗部を設けることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 前方に向けて光を出射する光源と、
前記光源の前方に配置されて、前記光源から出射された光の配光を制御する第1の導光レンズと、
前記第1の導光レンズの前方に配置されて、前記第1の導光レンズにより配光が制御された光を背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側を発光させる第2の導光レンズとを備え、
前記第2の導光レンズは、前方に向かって突出された突出部を有し、
前記突出部は、第1の角部を挟んで隣り合う第1の発光部及び第2の発光部を含み、
前記第2の導光レンズを正面視したときに、前記第1の発光部及び前記第2の発光部を相対的に明るく発光させると共に、前記第1の角部を相対的に暗く発光させることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記第2の発光部は、前記第1の角部を挟んで前記第1の発光部よりも後方に向かって傾斜して設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第2の導光レンズは、前記第1の発光部から出射される光を拡散させる第1の拡散部と、前記第2の発光部から出射される光を拡散させる第2の拡散部とを有することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記第1の拡散部は、前記第2の拡散部よりも光の拡散度合いが大きいことを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第1の導光レンズは、背面側に前記光源から出射された光を平行化しながら内部へと入射する入射部と、正面側に前記入射部により平行化された光を拡散しながら外部へと出射する出射部とを含むことを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記出射部は、その中央部から端部に向かうほど光の拡散度合いが大きくなっていることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記第2の導光レンズを正面視したときに、外側から順に、前記第1の発光部と前記第1の角部と前記第2の発光部とが同心円状に並んで配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記突出部は、前記第2の発光部の内側に第2の角部を挟んで前記第2の発光部と隣り合う第3の発光部を含み、
前記第2の導光レンズを正面視したときに、前記第3の発光部を相対的に明るく発光させると共に、前記第2の角部を相対的に暗く発光させることを特徴とする前記〔7〕に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記第3の発光部は、前記第2の角部を挟んで前記第2の発光部よりも後方に向かって傾斜して設けられていることを特徴とする前記〔8〕に記載の車両用灯具。
〔10〕 前記第2の導光レンズは、前記第3の発光部から出射される光を拡散させる第3の拡散部を有することを特徴とする前記〔8〕又は〔9〕に記載の車両用灯具。
〔11〕 前記第2の導光レンズにおける前記突出部の内側を覆う第1のエクステンションを備え、
前記第1のエクステンションは、前記第3の発光部よりも後方側を覆うように配置されていることを特徴とする前記〔8〕~〔10〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔12〕 前記第1の導光レンズは、内側に向かって延在する第1のリブ部を有し、
前記第2の導光レンズは、前記突出部の内側の基端部から内側に向かって延在する第2のリブ部を有し、
前記第1のリブ部と前記第2のリブ部とが空気層を挟んで対向して配置されていることを特徴とする前記〔7〕~〔11〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔13〕 前記突出部は、前記第1の発光部の外側に第3の角部を挟んで前記第1の発光部と隣り合う非発光部を含み、
前記非発光部は、前記第1の発光部よりも後方に向かって傾斜して設けられていることを特徴とする請求項前記〔7〕~〔12〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔14〕 前記第2の導光レンズにおける前記突出部の外側を覆う第2のエクステンションを備え、
前記第2のエクステンションは、前記非発光部を覆うように配置されていることを特徴とする前記〔13〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、導光レンズの発光部をより均一に発光させると共に、発光部の間に暗部を設けることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図3】
図2に示す車両用灯具の要部を拡大した断面図である。
【
図4】
図2に示す車両用灯具が備える第1の導光レンズの構成を示し、(A)はその正面図、(B)はその線分A-Aによる断面図である。
【
図5】
図2に示す車両用灯具の発光状態を示す正面図である。
【
図6】
図2に示す車両用灯具による発光を説明するための断面図である。
【
図7】
図2に示す車両用灯具による発光を説明するための断面図である。
【
図8】
図2に示す車両用灯具による発光を説明するための断面図である。
【
図9】
図2に示す車両用灯具による発光を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0016】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図9に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の構成を示す正面図である。
図2は、車両用灯具1の構成を示す断面図である。
図3は、車両用灯具1の要部を拡大した断面図である。
図4は、車両用灯具1が備える第1の導光レンズ4の構成を示し、(A)はその正面図、(B)はその線分A-Aによる断面図である。
図5は、車両用灯具1の発光状態を示す正面図である。
図6は、車両用灯具1の発光状態を示す断面図である。
図7は、車両用灯具1の発光状態を示す断面図である。
図8は、車両用灯具1の発光状態を示す断面図である。
図9は、車両用灯具1の発光状態を示す断面図である。
【0017】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1に示すように、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプRCLと、車両のバックゲート又はトランクリッドの両側に搭載されるリッドランプLIDとのうち、リアコンビネーションランプRCL側に設けられたストップランプ兼テールランプSTL/TLL及びターンランプTNLを一体に構成するものである。
【0018】
ストップランプ兼テールランプSTL/TLLは、丸形の発光面を赤色発光させる。ターンランプTNLは、ストップランプ兼テールランプSTL/TLLを囲むリング状の発光面を橙色発光させる。
【0019】
なお、本実施形態では、車両の後端側の両コーナー部において左右対称に配置される一対のリアコンビネーションランプRCLのうち、右後端側のコーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプRCLを例示している。
【0020】
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0021】
本実施形態の車両用灯具1は、
図2及び
図3に示すように、灯体2の内側に、ターンランプTNLを構成する複数の第1の光源3と、複数の第1の導光レンズ4と、第2の導光レンズ5と、第1のエクステンション6と、第2のエクステンション7とが配置されると共に、ストップランプ兼テールランプSTL/TLLを構成する第2の光源8と、第3の導光レンズ9とが配置された構成を有している。
【0022】
灯体2は、正面が開口したハウジング10と、このハウジング10の開口を覆う透明なレンズカバー(アウターレンズ)11とにより構成される。また、本実施形態の車両用灯具1では、車両の後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退した形状となっている。
【0023】
複数の第1の光源3は、例えば橙色光(以下、単に光という。)Lを発するLEDからなる。複数の第1の光源3は、LEDを駆動する駆動回路(図示せず。)が設けられた回路基板12の正面側(+X軸側)にリング状に並んで実装(配置)されている。これにより、複数の第1の光源3は、前方の第1の導光レンズ4に向けて光Lを放射状に出射する。
【0024】
なお、本実施形態では、上述した複数の第1の光源3を構成するLEDと、これら複数のLEDを駆動する駆動回路とが回路基板12上に実装された構成となっているが、複数のLEDが実装された実装基板と、これら複数のLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、複数のLEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0025】
複数の第1の導光レンズ4は、例えばポリカーボネイト(PC)やアクリル(PMMA)等の透明樹脂からなる。複数の第1の導光レンズ4は、複数の第1の光源3の各々に対応して、各第1の光源3の前方にリング状に並んで配置されている。また、複数の第1の導光レンズ4は、
図4(A)に示すように、一体に形成されたレンズアレイ4Aを構成している。
【0026】
第1の導光レンズ4は、
図4(B)に示すように、第1の光源3から出射された光Lの配光を制御するインナーレンズとして、その背面側に入射部13と、その正面側に出射部14とを有している。また、第1の導光レンズ4は、その中心軸が第1の光源3から出射された光Lの光軸AXと一致するように配置されている。
【0027】
入射部13は、第1の光源3と対向する部分の中央に位置して、第1の光源3から出射された光Lの一部が入射する第1の集光入射面13aと、第1の集光入射面13aの周囲を囲む位置から第1の光源3側に突出した部分の内周側に位置して、第1の光源3から出射された光Lの一部が入射する第2の集光入射面13bと、突出した部分の外周側に位置して、第2の集光入射面13bから入射した光Lを反射する集光反射面13cとを有している。
【0028】
入射部13では、
図7~
図9に示すように、第1の光源3から放射状に出射された光Lのうち、第1の集光入射面13aから第1の導光レンズ4の内部に入射した光Lを光軸寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面13bから第1の導光レンズ4の内部に入射した光Lを集光反射面13cで反射させることによって光軸寄りに集光させる。
【0029】
これにより、入射部13は、第1の光源3から出射された光Lを平行化しながら、第1の導光レンズ4の内部へと入射する。また、入射部13から第1の導光レンズ4の内部へと入射した光Lは、第1の導光レンズ4の前方に向かって導光される。
【0030】
出射部14は、
図4(A),(B)に示すように、その中央部にフレネルカット面14aと、その内側に徐変された魚眼カット面14bとを有している。
【0031】
出射部14では、
図7~
図9に示すように、フレネルカット面14aに入射した光Lを拡散させると共に、魚眼カット面14bに入射した光Lを拡散させる。また、出射部14では、その中央部から内側の端部に向かうほど光Lの拡散度合いが大きくなっている。
【0032】
これにより、出射部14は、入射部13により平行化された光Lを拡散しながら、第1の導光レンズ4の外部へと出射する。また、出射部14から第1の導光レンズ4の外部へと出射した光Lは、前方の第2の導光レンズ5に向けて、配光が制御された状態で照射される。
【0033】
第2の導光レンズ5は、
図2及び
図3に示すように、例えばポリカーボネイト(PC)やアクリル(PMMA)等の透明樹脂からなる。第2の導光レンズ5は、第1の導光レンズ4により配光が制御された光Lを背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側を発光させるインナーレンズとして、前方に向かって突出されたリング状の突出部15を有している。
【0034】
突出部15は、第1の角部16を挟んで隣り合う第1の発光部17及び第2の発光部18と、第2の発光部18の内側に第2の角部19を挟んで第2の発光部18と隣り合う第3の発光部20とを有している。
【0035】
すなわち、この突出部15は、第2の導光レンズ5を正面視したときに、外側から順に、第1の発光部17と、第1の角部16と、第2の発光部18と、第2の角部19と、第3の発光部20とが、同心円状に並んで配置されている。
【0036】
突出部15は、第1の光源3から出射された光Lの光軸AX上に第1の角部16が位置するように配置されている。第1の発光部17は、突出部15の先端(前端)に位置して設けられている。第2の発光部18は、第1の角部16を挟んで第1の発光部17よりも後方に向かって傾斜して設けられている。第3の発光部20は、第2の角部19を挟んで第2の発光部18よりも後方に向かって傾斜して設けられている。
【0037】
これにより、第2の導光レンズ5では、
図5に示すように、突出部15(第2の導光レンズ5)を正面視したときに、第1の発光部17及び第2の発光部18を相対的に明るくリング状に発光させると共に、第1の角部16を相対的に暗くリング状に発光させることが可能となっている。また、第3の発光部20を相対的に明るくリング状に発光させると共に、第2の角部19を相対的に暗くリング状に発光させることが可能となっている。
【0038】
すなわち、この第2の導光レンズ5では、
図6に示すように、第1の発光部17及び第2の発光部18から正面側に向けて出射される光量よりも、第1の角部16から正面側に向けて出射される光量を小さくすることができる。また、第3の発光部20から正面側に向けて出射される光量よりも、第2の角部19から正面側に向けて出射される光量を小さくすることができる。
【0039】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、ターンランプTNLとして、第1の発光部17と第2の発光部18との間の第1の角部16に暗部を設けると共に、第2の発光部18と第3の発光部20との間の第2の角部19に暗部を設けることが可能である。
【0040】
また、第2の導光レンズ5は、
図7~
図9に示すように、第1の発光部17から出射される光Lを拡散させる第1の拡散部21と、第2の発光部18から出射される光Lを拡散させる第2の拡散部22と、第3の発光部20から出射される光Lを拡散させる第3の拡散部23とを有している。
【0041】
本実施形態の第2の導光レンズ5では、第1の発光部17の背面側が平面、第1の発光部17の正面側が第1の拡散部21となる魚眼カット面により構成されている。また、第2の発光部18の背面側が平面、第2の発光部18の正面側が第2の拡散部22となる魚眼カット面により構成されている。また、第3の発光部20の背面側が第3の拡散部23となる凸状のフルートカット面、第3の発光部20の正面側が第3の拡散部23となるシボ面(粗面)により構成されている。さらに、第1の拡散部21を構成する魚眼カット面は、第2の拡散部22を構成する魚眼カット面よりも光Lの拡散度合いが大きくなっている。
【0042】
これにより、第2の導光レンズ5では、第1の導光レンズ4の出射部14から出射された光Lを第1の拡散部21の魚眼カット面により拡散させながら、ターンランプTNLとしての規格を満たすように第1の発光部17から前方に向けて出射する。
【0043】
また、第2の導光レンズ5では、第1の導光レンズ4の出射部14から出射された光Lを第2の拡散部22の魚眼カット面により拡散させながら、第2の発光部18がリング状に発光するように第2の発光部18から前方に向けて出射する。
【0044】
また、第2の導光レンズ5では、第1の導光レンズ4の出射部14から出射された光Lを第3の拡散部23のフルートカット面及びシボ面(粗面)により拡散させながら、第3の発光部20がリング状に発光するように第3の発光部20から前方に向けて出射する。
【0045】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、ターンランプTNLとして、第2の導光レンズ5の第1の発光部17、第2の発光部18及び第3の発光部20をリング状に均一に発光させることが可能である。
【0046】
特に、本実施形態の車両用灯具1では、
図8に示すように、上述した第1の光源3から出射された光Lの光軸AX上に第1の角部16が位置することで、この第1の角部16を挟んだ第1の発光部17側と第2の発光部18及び第3の発光部20側とを均一に発光させることが可能となっている。
【0047】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した車幅方向の内側よりも外側が後退した形状となることによって、第2の導光レンズ5についても、突出部15の車幅方向の内側よりも外側が前後方向に短くなっている。
【0048】
これに対して、本実施形態の車両用灯具1では、
図9に示すように、突出部15が短くなる側において、第3の発光部20が出射部14の魚眼カット面14b側を覆うように折り曲げられている。これにより、突出部15が短くなる側から出射される光Lの光量を減らしながら、第2の導光レンズ5の第1の発光部17、第2の発光部18及び第3の発光部20をリング状に均一に発光させることが可能となっている。
【0049】
また、本実施形態の車両用灯具1では、
図7及び
図9に示すように、上述した第1の導光レンズ4の出射部14のうち、徐変された魚眼カット面14bにより拡散された光Lを第3の拡散部23のフルートカット面及びシボ面(粗面)により拡散させることで、第3の発光部20に点光り等が発生することを防ぐことが可能となっている。
【0050】
なお、第1の拡散部21、第2の拡散部22及び第3の拡散部23の形状については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、第1の発光部17、第2の発光部18及び第3の発光部20をリング状に均一に発光させるため、これらの形状等を適宜変更することも可能である。
【0051】
突出部15は、
図2及び
図3に示すように、第1の発光部17の外側に第3の角部24を挟んで第1の発光部17と隣り合う非発光部25を有している。非発光部25は、突出部15(第2の導光レンズ5)の発光に寄与しない部分であり、第1の発光部17よりも後方に向かって傾斜して設けられている。
【0052】
第1のエクステンション6は、第2の導光レンズ5における突出部15の内側を覆うものであり、黒色の遮光部材からなる。第1のエクステンション6は、第3の発光部20よりも後方側を覆うように配置されている。
【0053】
第2のエクステンション7は、第2の導光レンズ5における突出部15の外側を覆うものであり、アルミ蒸着膜などの反射膜が表面に設けられた遮光部材からなる。第2のエクステンション7は、非発光部25を覆うように配置されている。
【0054】
本実施形態の車両用灯具1では、
図8に示すように、非発光部25が第2のエクステンション7の背面に沿って後方に向かって延在して設けられている。これにより、突出部15の外側にある非発光部25に点光り等の発生することを防ぐことが可能である。
【0055】
また、本実施形態の車両用灯具1では、
図2及び
図3に示すように、第1の導光レンズ4(レンズアレイ4A)内側に、内側に向かって延在するリング状の第1のリブ部26が設けられている。また、第1のリブ部26は、出射部14よりも後方側に位置している。一方、第2の導光レンズ5には、突出部15の内側の基端部から内側に向かって延在するリング状の第2のリブ部27が設けられている。第1のリブ部26と第2のリブ部27とは、空気層(隙間)を挟んで互いに対向して配置されている。また、第1のリブ部26と第2のリブ部27の正面側は、第1のエクステンション6により覆われている。
【0056】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、点光り等の発生することを防ぐことが可能である。すなわち、第1の導光レンズ4の第1のリブ部26内で導光される光Lは、第1のエクステンション6で覆われた第1のリブ部26の端部から出射される。また、第2の導光レンズ5の第2のリブ部27内で導光される光Lは、第1のエクステンション6により覆われ第2のリブ部27の端部から出射される。この場合、これらの光Lは、突出部15側へと導光されることがないため、点光り等の発生することを防ぐことが可能である。また、第1のリブ部26では、段差部にRを付けることで、端部まで光Lが導光し易くなっている。
【0057】
第2の光源8は、
図2に示すように、赤色光を発する少なくとも1つ又は複数のLEDが搭載されたカプラー付ソケットからなり、灯体2の内側に配置されたブラケット28の取付孔28aに着脱自在に取り付けられている。第2の光源8は、前方の第3の導光レンズ9に向けて光を放射状に出射する。
【0058】
第3の導光レンズ9は、例えばポリカーボネイト(PC)やアクリル(PMMA)等の透明樹脂からなる。第3の導光レンズ9は、第2の光源8から出射された光を背面側から入射し、正面側から出射することによって、正面側を発光させるインナーレンズとして、前方に向かって突出された突出部29を有している。
【0059】
突出部29は、その中央部に第4の発光部30と、この第4の発光部30から出射される光を拡散させる第4の拡散部31とを有している。
【0060】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、ストップランプ兼テールランプSTL/TLLとして、第3の導光レンズ9の第4の発光部30を均一に発光させることが可能である。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、導光レンズの発光部をリング状に発光させると共に、発光部の間にリング状の暗部を設ける場合を例示しているが、導光レンズの発光部をライン状に発光させると共に、発光部の間にライン状の暗部を設ける場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0062】
なお、上記実施形態では、上記車両用灯具1を上記リアコンビネーションランプRCLに適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0063】
すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したターンランプやストップランプ、テールランプの他にも、バックランプ、昼間点灯ランプ(DRL)、車幅灯(ポジションランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。また、光源が発する光の色については、上述した赤色光や橙色光、白色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…車両用灯具 2…灯体 3…第1の光源 4…第1の導光レンズ 5…第2の導光レンズ 6…第1のエクステンション 7…第2のエクステンション 13…入射部 14…出射部 15…突出部 16…第1の角部 17…第1の発光部 18…第2の発光部 19…第2の角部 20…第3の発光部 21…第1の拡散部 22…第2の拡散部 23…第3の拡散部 24…第3の角部 25…非発光部 26…第1のリブ部 27…第2のリブ部