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特許7390253遠隔確認システム、無線通信装置、通信制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】遠隔確認システム、無線通信装置、通信制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/13 20060101AFI20231124BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231124BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20231124BHJP
   B60R 25/32 20130101ALI20231124BHJP
   B60R 25/33 20130101ALI20231124BHJP
【FI】
G08G1/13
G08G1/09 H
H04M11/00 301
B60R25/32
B60R25/33
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020084403
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021179775
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/13
G08G 1/09
H04M 11/00
B60R 25/32
B60R 25/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備わる無線通信装置と、前記無線通信装置から第1通信網を介して前記移動体の状態を示す移動体情報を受信するサーバと、前記サーバから第2通信網を介して前記移動体情報に基く通知情報を受信する通信端末とを含む遠隔確認システムにおいて、
前記無線通信装置は、
前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記移動体の異常を検知する検知部と、
前記位置情報または前記異常を示す異常情報の少なくとも一方と、前記移動体または前記無線通信装置を識別する識別情報とを含む前記移動体情報を前記第1通信網に無線送信する無線通信部と、
前記無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モード、第4モードのいずれかを設定し、設定した前記動作モードに応じて前記無線通信部を制御する制御部と
第1電源と、
前記移動体に備わる第2電源からの電源供給が切れた場合、前記第1電源からの電源供給に切り替え、前記第2電源からの電源供給がある場合は、前記第2電源からの電源供給に切り替える電源切替部とを備え、
前記制御部は、
前記第1モードを設定する場合、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報とを含む前記移動体情報を、前記第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御し、
前記第2モードを設定する場合、前記異常の検知に基いて前記異常情報を生成し、前記無線通信部が、前記異常情報と前記識別情報とを含む前記移動体情報を無線送信するように制御し、
前記検知部が前記異常を検知したことを契機に前記第2モードから前記第3モードに設定し、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報を含む前記移動体情報を、前記第3モードを設定している期間に前記所定の送信回数を超える第2周期で無線送信するように制御し、
前記電源切替部が前記第2電源からの電源供給に切り替えたことを契機に前記第4モードを設定し、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報を含む前記移動体情報を、第3周期で無線送信するように制御し、
前記サーバは、
通知先の前記通信端末を示す通知先情報と前記識別情報とを対応付けて記憶する通知先記憶部と、
前記第1通信網から前記移動体情報を受信する第1通信部と、
前記移動体情報を格納部に記録する記録部と、
前記格納部に記録した前記移動体情報に基いて前記通知情報を生成する生成部と、
前記通知先記憶部に記憶されている前記通知先情報に基いて、前記第2通信網を介して前記通信端末に前記通知情報を送信する第2通信部とを備える
ことを特徴とする遠隔確認システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第4モードを設定している間に前記電源切替部が前記第1電源からの電源供給に切り替えたことを契機に、前記第1モードまたは前記第2モードのいずれかを設定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔確認システム。
【請求項3】
移動体に備わる無線通信装置であって、
前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記移動体の異常を検知する検知部と、
前記位置情報または前記異常を示す異常情報の少なくとも一方と、前記移動体または前記無線通信装置を識別する識別情報とを含む移動体情報を他の通信機器に送信する無線通信部と、
前記無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モード、第4モードのいずれかを設定し、設定した前記動作モードに応じて前記無線通信部を制御する制御部と、
第1電源と、
前記移動体に備わる第2電源からの電源供給が切れた場合、前記第1電源からの電源供給に切り替え、前記第2電源からの電源供給がある場合は、前記第2電源からの電源供給に切り替える電源切替部とを備え、
前記制御部は、
前記第1モードを設定する場合、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報とを含む前記移動体情報を、前記第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御し
前記第2モードを設定する場合、前記異常の検知に基いて前記異常情報を生成し、前記無線通信部が、前記異常情報と前記識別情報とを含む前記移動体情報を無線送信するように制御し、
前記検知部が前記異常を検知したことを契機に前記第2モードから前記第3モードに設定し、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報を含む前記移動体情報を、前記第3モードを設定している期間に前記所定の送信回数を超える第2周期で無線送信するように制御し、
前記電源切替部が前記第2電源からの電源供給に切り替えたことを契機に前記第4モードを設定し、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報を含む前記移動体情報を、第3周期で無線送信するように制御することを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
移動体に備わる無線通信装置の通信制御方法であって、
前記無線通信装置は、位置情報取得部と、検知部と、無線通信部と、制御部と、第1電源と、電源切替部とを備え、
前記位置情報取得部は、前記移動体の位置情報を取得し、
前記検知部は、前記移動体の異常を検知し、
前記無線通信部は、前記位置情報または前記異常を示す異常情報の少なくとも一方と、前記移動体または前記無線通信装置を識別する識別情報とを含む移動体情報を他の通信機器に無線送信し、
電源切替部は、前記移動体に備わる第2電源からの電源供給が切れた場合、前記第1電源からの電源供給に切り替え、前記第2電源からの電源供給がある場合は、前記第2電源からの電源供給に切り替え、
前記制御部は、
前記無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モード、第4モードのいずれかを設定し、設定した前記動作モードに応じて前記無線通信部を制御し、
前記第1モードを設定する場合、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報とを含む前記移動体情報を、前記第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御し、
前記第2モードを設定する場合、前記異常の検知に基いて前記異常情報を生成し、前記無線通信部が、前記異常情報と前記識別情報とを含む前記移動体情報を無線送信するように制御し、
前記検知部が前記異常を検知したことを契機に前記第2モードから前記第3モードに設定し、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報を含む前記移動体情報を、前記第3モードを設定している期間に前記所定の送信回数を超える第2周期で無線送信するように制御し、
前記電源切替部が前記第2電源からの電源供給に切り替えたことを契機に前記第4モードを設定し、前記無線通信部が、前記識別情報と前記位置情報を含む前記移動体情報を、第3周期で無線送信するように制御することを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の状態を遠隔で確認する技術に関し、特にLPWA(Low Power Wide Area)通信を用いる場合に好適な遠隔確認システム、そのシステムに用いられる無線通信装置、通信制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車等の移動体の現在位置や、移動体の状態、例えば、盗難等の異常状態を遠隔確認することができるシステムが開発されている。特許文献1に開示されている車両監視システムは、車両の異常を検知すると警告音を出力し、更なる異常を検知すると、車両の位置情報を外部の電子機器に送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-47722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両監視システムでは、3G/LTE通信を用いて車両の異常状態や現在位置に関する情報をユーザに通知することが開示されている。現在、3G/LTE、4G(LTE、LTE-Advanced、AXGP、WiMAX等を含む、総称)通信よりも低コストかつ低消費電力で広いエリアをカバーするLPWA通信をこのような車両監視システムに用いることが、需要者から望まれている。
【0005】
LPWA通信は、3G/LTE、4G通信よりも上記のメリットがある一方で、1日に送信できる回数に制限がある、或いは、1度に無線送信できるデータの容量が少ない、といった制約がある。
【0006】
つまり、3G/LTE、4G通信をLPWA通信に代えて車両等の移動体の状態を遠隔で確認するシステムを構築する場合、上記の制約を考慮したシステム設計を行う必要がある。
【0007】
本発明は、通信回数、送信データ容量に制約があるLPWA通信を用いる場合に適した、移動体の状態を遠隔確認することができる遠隔確認システム、そのシステムに用いられる無線通信装置、通信制御方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一態様である遠隔確認システムは、移動体に備わる無線通信装置と、無線通信装置から第1通信網を介して移動体の状態を示す移動体情報を受信するサーバと、サーバから第2通信網を介して移動体情報に基く通知情報を受信する通信端末とを含む。無線通信装置は、位置情報取得部と、検知部と、無線通信部と、制御部とを備える。位置情報取得部は、移動体の位置情報を取得する。検知部は、移動体の異常を検知する。無線通信部は、位置情報または異常を示す異常情報の少なくとも一方と、移動体または無線通信装置を識別する識別情報とを含む移動体情報を第1通信網に無線送信する。制御部は、無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モードのいずれかを設定し、設定した動作モードに応じて無線通信部を制御する。
【0009】
制御部は、第1モードを設定する場合、無線通信部が、識別情報と位置情報とを含む移動体情報を、第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御する。制御部は、第2モードを設定する場合、検知部が異常を検知したときに異常情報を生成し、無線通信部が、異常情報と識別情報とを含む移動体情報を無線送信するように制御する。制御部は、検知部が異常を検知したことを契機に第2モードから第3モードに設定し、無線通信部が、識別情報と位置情報を含む移動体情報を、第3モードを設定している期間に所定の送信回数を超える可能性がある第2周期で無線送信するように制御する。
【0010】
サーバは、格納部と、通知先記憶部と、第1通信部と、記録部と、生成部と、第2通信部とを備える。通知先記憶部は、通知先の通信端末を示す通知先情報と識別情報とを対応付けて記憶する。第1通信部は、第1通信網から移動体情報を受信する。記録部は、移動体情報を格納部に記録する。生成部は、格納部に記録した移動体情報に基いて通知情報を生成する。第2通信部は、通知先記憶部に記憶されている通知先情報に基いて、第2通信網を介して通信端末に通知情報を送信する。
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一態様である遠隔確認システムにおいて、無線通信装置は、更に、第1電源と、電源切替部とを備えていてもよい。電源切替部は、移動体に備わる第2電源からの電源供給が切れた場合、第1電源からの電源供給に切り替え、第2電源からの電源供給がある場合は、第2電源からの電源供給に切り替える。制御部は、更に、動作モードとして第4モードを設定することが可能であり、電源切替部が第2電源からの電源供給に切り替えたことを契機に第4モードを設定し、無線通信部が、識別情報と位置情報を含む移動体情報を、第3周期で無線送信するように制御する。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の一態様である遠隔確認システムにおいて、制御部は、第4モードを設定している間に電源切替部が第1電源からの電源供給に切り替えたことを契機に、第1モードまたは第2モードのいずれかを設定するとしてもよい。
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の一態様である遠隔確認システムにおいて、通信端末は、受付部と端末通信部とを備えていてもよい。受付部は、第1モードまたは第2モードのいずれかを設定するための設定指示を受け付ける。端末通信部は、設定指示に基いて設定された動作モードを示す設定モード情報と通知先情報とを含む設定情報を、第2通信網を介してサーバに送信する。第2通信部は、第2通信網を介して設定情報を受信する。第1通信部は、通知先情報と対応付けて記憶している識別情報が示す無線通信装置に設定情報を送信する。制御部は、設定情報に基いて第1モードまたは第2モードのいずれかを設定する。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の一態様である遠隔確認システムにおいて、通信端末は、受付部と端末通信部とを備えていてもよい。受付部は、第3モードの設定を解除するための解除指示を受け付ける。端末通信部は、解除指示を示す解除情報と通知先情報とを含む設定解除情報を、第2通信網を介してサーバに送信する。第2通信部は、第2通信網を介して設定解除情報を受信する。第1通信部は、通知先情報と対応付けて記憶している識別情報が示す無線通信装置に設定解除情報を送信する。制御部は、設定解除情報に基いて、第3モードから第1モードまたは第2モードのいずれかを設定する。
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の一態様である移動体に備わる無線通信装置は、位置情報取得部と、検知部と、無線通信部と、制御部とを備える。位置情報取得部は、移動体の位置情報を取得する。検知部は、移動体の異常を検知する。無線通信部は、位置情報または異常を示す異常情報の少なくとも一方と、移動体または無線通信装置を識別する識別情報とを含む移動体情報を他の通信機器に送信する。制御部は、無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モードのいずれかを設定し、設定した動作モードに応じて無線通信部を制御する。制御部は、第1モードを設定する場合、無線通信部が、識別情報と位置情報とを含む移動体情報を、第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御する。制御部は、第2モードを設定する場合、異常の検知に基いて異常情報を生成し、無線通信部が、異常情報と識別情報とを含む移動体情報を無線送信するように制御する。制御部は、検知部が異常を検知したことを契機に第2モードから第3モードに設定し、無線通信部が、識別情報と位置情報を含む移動体情報を、第3モードを設定している期間に所定の送信回数を超える可能性がある第2周期で無線送信するように制御する。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明は、移動体に備わる無線通信装置の通信制御方法であってもよい。無線通信装置は、位置情報取得部と、検知部と、無線通信部と、制御部とを備える。通信制御方法において、位置情報取得部は、移動体の位置情報を取得する。検知部は、移動体の異常を検知する。無線通信部は、位置情報または異常を示す異常情報の少なくとも一方と、移動体または無線通信装置を識別する識別情報とを含む移動体情報を他の通信機器に送信する。制御部は、無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モードのいずれかを設定し、設定した動作モードに応じて無線通信部を制御する。制御部は、第1モードを設定する場合、無線通信部が、識別情報と位置情報とを含む移動体情報を、第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御する。制御部は、第2モードを設定する場合、異常の検知に基いて異常情報を生成し、無線通信部が、異常情報と識別情報とを含む移動体情報を無線送信するように制御する。制御部は、検知部が異常を検知したことを契機に第2モードから第3モードに設定し、無線通信部が、識別情報と位置情報を含む移動体情報を、第3モードを設定している期間に所定の送信回数を超える可能性がある第2周期で無線送信するように制御する。
【0017】
前記目的を達成するために、本発明は、移動体に備わる無線通信装置の無線通信処理に用いるプログラムであってもよい。無線通信処理は、位置情報取得部が、移動体の位置情報を取得する取得ステップと、検知部が、移動体の異常を検知する検知ステップと、無線通信部が、位置情報または異常を示す異常情報の少なくとも一方と、移動体または無線通信装置を識別する識別情報とを含む移動体情報を無線送信する送信ステップと、制御部が、無線通信装置の動作モードとして第1モード、第2モード、第3モードのいずれかを設定し、設定した動作モードに応じて無線通信部を制御する制御ステップとを含む。制御ステップにおいて、第1モードを設定する場合、無線通信部が、識別情報と位置情報とを含む移動体情報を、第1モードを設定している期間に所定の送信回数を超えない第1周期で無線送信するように制御し、第2モードを設定する場合、検知部が異常に基いて異常情報を生成し、無線通信部が、異常情報と識別情報とを含む移動体情報を無線送信するように制御し、検知ステップにおいて異常を検知したことを契機に第2モードから第3モードに設定し、無線通信部が、識別情報と位置情報を含む移動体情報を、第3モードを設定している期間に所定の送信回数を超える可能性がある第2周期で無線送信するように制御する。
【発明の効果】
【0018】
本発明を適用した遠隔確認システムは、通信回数等の通信制約がある通信方式を用いた場合でも、通信端末またはサーバで移動体の状態を適切に遠隔確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る遠隔確認システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る無線通信装置1の機能構成を示す図である。
図3】一実施形態に係る無線通信装置1が無線送信する移動体情報のデータ構造を示す図である。
図4】一実施形態に係るサーバ4の機能構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る通信端末6の機能構成を示す図である。
図6】一実施形態に係る無線通信装置1の動作モードの遷移を示す図である。
図7】一実施形態に係る通信端末6に表示する第1モード中の表示画面を示す図である。
図8】一実施形態に係る通信端末6に表示する第2モード中の表示画面を示す図である。
図9】一実施形態に係る通信端末6が送信する設定情報のデータ構造を示す図である。
図10】一実施形態に係る通信端末6に表示する第2モード中に異常を検知したときの表示画面を示す図である。
図11】一実施形態に係る通信端末6に表示する第3モード中の表示画面を示す図である。
図12】一実施形態に係る通信端末6に表示する第4モード中の表示画面を示す図である。
図13】一実施形態に係る通信端末6に表示する第4モードで記録した走行経路の表示画面を示す図である。
図14】一実施形態に係る無線通信装置1の通信制御のメインルーチンを示す図である。
図15】一実施形態に係る無線通信装置1の通信制御のサブルーチン「第1モード処理」を示す図である。
図16】一実施形態に係る無線通信装置1の通信制御のサブルーチン「第2モード処理」を示す図である。
図17】一実施形態に係る無線通信装置1の通信制御のサブルーチン「第3モード処理」を示す図である。
図18】一実施形態に係る無線通信装置1の通信制御のサブルーチン「第4モード処理」を示す図である。
図19】一実施形態に係る本システムが適用される移動体2の状態遷移を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて説明する。本発明の一実施形態である遠隔確認システム(以下、単に「本システム」という。)は、図1に示すように、無線通信装置1、無線通信装置1が備わった移動体2、第1通信網3、サーバ4、第2通信網5、通信端末6で構成される。移動体2には、4輪の自動車の他、2輪の自動車、自転車、空中を移動する飛行体、水上を移動する船舶等が含まれる。また、移動体に人が乗っていない無人移動体も含まれる。
【0021】
無線通信装置1は、移動体2と接続されている。無線通信装置1は、GNSS(全地球航法衛星システム)を利用した位置情報取得機能と、第1通信網に接続するためのLPWA通信機能を備える。なお、本システムは、無線通信装置1が備わる移動体2が複数存在していてもよい。複数の移動体2に備わるそれぞれの無線通信装置1は、固有の識別情報が付与されている。それぞれの無線通信装置1は、無線送信する信号に識別情報を含むため、受信側であるサーバ4は、どの無線通信装置1が送信した信号かを識別することができる。
【0022】
第1通信網3は、LPWAに含まれる1つの特定小電力無線の通信規格(以下、単に「特定通信規格」という。)に基く電波(データ)を送受信することが可能な通信網である。図示を省略しているが、第1通信網3は、複数の基地局と、基地局群が送受信した電波(データ)を一括管理するクラウドシステムと、これらをつなぐネットワークで構成されている。複数の基地局は、それぞれ異なる場所に設置されている。そして、複数の基地局は、同じ位置から送信された電波(データ)を、少なくとも2つの基地局が受信することができるように、すなわち、受信エリアが重なるように基地局が設置されている。各基地局は、特定通信規格に基く電波を送受信し、受信したデータは、ネットワークを介してクラウドシステムに送信する。
【0023】
無線通信装置1は、後述する動作モードに応じて特定通信規格で電波(データ)を送信する。第1通信網3は、無線通信装置1から送信された電波(データ)を受信する。第1通信網3は、サーバ4から無線通信装置1を識別する識別情報を含む設定情報を受信する。第1通信網3は、設定情報を無線通信装置1に無線送信する。
【0024】
サーバ4は、第1通信網3と接続しており、第1通信網3のクラウドシステムから情報(データ)を受信する。また、サーバ4は、通信端末6から第2通信網5を介して受信した設定情報を、第1通信網3のクラウドシステムに送信する。
【0025】
第2通信網5は、図示を省略しているが、LTE/3G、4G通信方式に基く電波を送受信することが可能な複数の基地局と、これらをつなぐネットワークで構成されている。なお、第2通信網5は、その他の通信方式、例えば、5G通信方式に対応していてもよい。
【0026】
通信端末6は、LTE/3G、4G通信方式に基く電波を送受信することが通信機器である。通信端末6は、本システムを利用する利用者が保有するスマートフォンが好適である。なお、通信端末6は、LTE/3G、4G通信方式ではない他の無線通信規格、例えば、WiFi通信方式、5G通信方式に基いて通信することが可能な通信機器であってもよい。また、通信端末6は、有線LANを介して第2通信網5と接続することが可能なパーソナルコンピュータであってもよい。また、図1には図示していないが、本システムは、複数の利用者と、それぞれの利用者が保有する通信端末6が存在していてもよい。
【0027】
無線通信装置1は、図2に示すように、位置情報取得部101、検知部102、無線通信部103、記憶部104、制御部105、電源切替部106、第1電源107を備える。図示していないが、無線通信装置1は、ハードウェア構成としてCPU、メモリ、RTC(Real Time Clock)回路を備えており、記憶部104に記憶している制御プログラムをCPUが実行することにより、各機能の動作を実現する。RTC回路は、計時のためのクロック信号を生成し、送信タイミングの計時等に用いる。
【0028】
無線通信装置1は移動体2に取り付けられている。そして、無線通信装置1は移動体2に備わる第2電源108と接続している。第2電源108は、移動体2に備わるバッテリーである。
【0029】
無線通信装置1は、移動体2の内部に組み込まれていると好適であるが、移動体2の外側に取り付けていてもよい。例えば、移動体2の第2電源108の近傍に取り付けることで、第2電源との接続をし易くすることができる。また、無線通信装置1の大きさは、取り付け対象である移動体の内部に搭載できる程度の大きさが望ましい。
【0030】
位置情報取得部101は、GNSS衛星群7の各衛星から発信される位置情報と時刻情報を含む信号を一定時間毎(例えば、1分毎)に随時受信する機能を有する。位置情報取得部101は、具体的な一例として、GNSSモジュールで実現することができる。位置情報取得部101が信号を受信して捕捉することができた衛星の数が4つ以上あれば、位置情報取得部101は、受信した信号に基いて自装置の現在位置を算出することができる。
【0031】
検知部102は、一定時間毎(例えば、0.1秒毎)に、無線通信装置1が取り付けられた移動体2の加速度を計測することで、移動体2の異常を検知する機能を有する。移動体2の異常とは、例えば、移動体2が動く、傾く、或いは衝撃を受ける等、計測された加速度に変化がある場合をいう。検知部102は、具体的な一例として、加速度センサ、ジャイロセンサで構成されていてもよい。
【0032】
無線通信部103は、特定通信規格に基いて情報(データ)の送受信をする機能を有する。無線通信部103は、具体的な一例として、特定通信規格に対応したLPWAモジュールで実現することができる。
【0033】
無線通信部103は、1回のデータ送信に対して、複数回のフレーム伝送且つ周波数ダイバーシチで送信を行う。具体的には、無線通信部103は、同じデータについてフレームと周波数を変えて3回送信する。また、無線通信部103から送信されたデータ(電波)は、第1通信網3の各基地局がカバーする送受信エリアが重なっていることで、少なくとも2以上の基地局が同じデータを受信する。第1通信網3のクラウドシステムは、各基地局がそれぞれ受信した信号を1つのデータとして管理する。
【0034】
無線通信部103は、1回のデータ送信に対して少なくとも3回送信し、第1通信網3は、複数の基地局がこのデータをそれぞれ受信するが、以下の説明において述べる「送信回数」は、クラウドシステムが1つのデータとして管理するデータ数と定義する。よって、送信回数の上限とは、クラウドシステムが1つのデータとして管理するデータ数の上限のことである。
【0035】
本システムでは、1日に最大140回という送信回数を上限として、後述する第1周期、第2周期、第3周期を決定している。すなわち、第1周期は、1日140回の送信回数を超えない周期とし、第2周期、第3周期は、1日140回の送信回数を超える可能性がある周期としてもよい。
【0036】
後述するが、第2周期、第3周期は、移動体2の走行経路を捕捉するために十分な周期であることが望ましい。この場合、例えば、10分に1回の送信周期は、24時間で144回の送信が発生するため、1日140回の送信回数を超える可能性がある周期ということになる。
【0037】
記憶部104は、無線通信装置1を識別する識別情報、位置情報取得部101が算出した位置情報、無線通信装置1の通信制御を行うためのプログラム、無線通信装置1の動作を決定する4つの動作モードに基く制御情報、現在設定されている動作モードを示す設定情報を記憶する。
【0038】
制御部105は、記憶部104に記憶されているプログラムに基いて本発明に係る通信制御を実行する機能を有する。制御部105は、無線通信装置1の動作を決定する4つの動作モード(第1モード、第2モード、第3モード、第4モード)のいずれかを設定し、設定した動作モードに基いて無線通信部103を制御して、移動体2の状態を示す移動体情報を送信する。4つの動作モードの詳細については後述する。
【0039】
無線通信装置1が無線送信する移動体情報のデータ構造について説明する。図3に示すように、移動体情報111は、識別情報112とペイロード113が含まれる。識別情報112は、CRA(Central Registration Authority)が発行した固有IDである。なお、移動体2を特定することが可能な識別情報であってもよい。識別情報112は、記憶部104に記憶されている。
【0040】
ペイロード113は、12Byteのデータである。ペイロード113のデータ内容は、位置情報取得部101が算出した位置情報、または検知部102の異常検知に基いて制御部105が生成した異常情報、設定情報の少なくとも一方である。すなわち、位置情報だけ、或いは、異常情報だけ、或いは設定情報だけを送信してもよいし、各情報を組み合わせて送信してもよい。なお、位置情報は、精度を落とすことで、6Byteで表すことができる。よって、1回の送信データに2つの位置情報を含めて送信することも可能である。無線通信部103は、制御部105の制御により、設定された動作モードに応じて移動体情報111を所定の周期で無線送信する。
【0041】
電源切替部106は、第1電源107と第2電源108と接続する。電源切替部106は、第2電源108からの電源供給が切れると第1電源107からの電源供給に切り替える機能を有する。電源切替部106は、第2電源108からの電源供給が始まると、第2電源108の電源供給に切り替える機能を有する。第2電源108からの電源供給のオンオフは、具体的には、移動体2に備わるイグニッションスイッチ(図示せず)のオンオフと連動して切り替わる。イグニッションスイッチとは、移動体2の走行可能状態のオンオフを切り替えるスイッチである。
【0042】
第1電源107は、無線通信装置1に備わる電池である。第1電源107は、一定期間、無線通信装置1の動作に必要な電圧と容量を備える。電池の種類は、一次電池、二次電池いずれであってもよい。LPWA通信は、1日の送信回数に制約があるため、1日1回~140回程度の送信回数であることから、通信で消費される電力は低く、その他の制御についても動作しない間はスリープ状態になるため、低容量の一次電池でも数年持つように設計されている。なお、第1電源107が二次電池の場合、電源切替部106は、第2電源108から電源供給を受ける間に、その供給分の一部または全部を第1電源107に充電する機能を備えてもよい。
【0043】
サーバ4は、図4に示すように、少なくとも、通知先記憶部401、第1通信部402、サーバ制御部403、記録部404、生成部405、格納部406、第2通信部407を備える。図示していないが、サーバ4は、負荷分散の観点から複数のコンピューターで構成されていてもよい。例えば、サーバ4は、WEB3層構造で構成されたサーバ群であってもよい。このサーバ群は、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバの3つの役割をそれぞれ担うサーバ群で構成される。
【0044】
サーバ4を構成する各サーバは、ハードウェア構成としてCPU、メモリを備えたコンピューターである。サーバ4は、格納部406に記憶しているサーバ制御プログラムをCPUが実行することにより、各機能の動作を実現する。
【0045】
通知先記憶部401は、ハードウェアとしてはハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体として構成される。通知先記憶部401は、通知先の通信端末6を示す通知先情報と、無線通信装置1の識別情報と対応付けて記憶する機能を有する。通知先情報は、通信端末6にインストールされている本システム専用のアプリで設定した専用IDであってもよいし、通信端末6が通知を受けることが可能な電話番号、メールアドレスであってもよい。また、通知先記憶部401は、通信端末6がサーバ4にアクセスした際、アクセスの可否を認証するためのパスワードを記憶していてもよい。
【0046】
第1通信部402は第1通信網3と接続し、第1通信網3を構成するクラウドシステムとデータの送受信を行う機能を有する。第1通信部402は、第1通信網3を介して無線通信装置1から移動体情報を受信する機能を有する。第1通信部402は、通信モジュールで構成される。第1通信部402とクラウドシステムとを繋ぐネットワークは、インターネットである。
【0047】
サーバ制御部403は、記録部404、生成部405を備える。記録部404、生成部405は、プログラムの実行により実現する機能部である。記録部404は、第1通信部402が受信する移動体情報を格納部406に記録する。生成部405は、格納部406に記録した移動体情報に基いて通知情報を生成する。通知情報には、無線通信装置1の動作モード、位置情報が含まれる。詳細な動作については後述する。
【0048】
格納部406は、ハードウェアとしてはハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体として構成される。通知先記憶部401とハードウェア資源を共有するようにしてもよい。格納部406は、移動体情報の他に、生成部405が生成する通知情報、サーバ4の制御プログラムを格納する。移動体情報には、無線通信装置1の識別情報が含まれるため、識別情報で分類して格納されている。
【0049】
第2通信部407は、第2通信網5と接続して、通信端末6とデータの送受信を行う機能を有する。第2通信部407は、通知先記憶部401に記憶されている通知先情報に基いて、第2通信網5を介して通信端末6に通知情報を送信する機能を有する。
【0050】
通信端末6は、図5に示すように、受付部601、表示部602、端末制御部603、端末記憶部604、端末通信部605、スピーカー606、バイブレーター607を備える。図示していないが、通信端末6は、ハードウェア構成としてCPU、メモリを備えており、端末記憶部604に記憶している端末制御プログラムをCPUが実行することにより、各機能の動作を実現する。
【0051】
通信端末6は、利用者が所有するスマートフォンが好適である。通信端末6は、図示していないがハードウェアとしてタッチパネルディスプレイを備えており、受付部601が受け付ける入力操作、UI(ユーザインターフェース)の表示、通知情報の表示を行う。
【0052】
受付部601は、タッチパネルディスプレイに表示したUIに対する利用者の操作により入力指示を受け付ける機能を有する。受付部601は、後述する無線通信装置1の動作モードを設定するための設定指示、設定解除指示を受け付ける機能を有する。表示部602は、タッチパネルディスプレイにUIの表示、通知情報の表示を行う機能を有する。
【0053】
端末制御部603は、CPU、メモリで構成される。端末制御部603は、通信端末6の各機能部を制御する機能を有する。
【0054】
端末記憶部604は、RAM、ROM等のメモリで構成された各種情報を記録するためのストレージである。なお、通信端末6にはSDカード等の記録媒体を外部から取り込む差込口を備えていてもよい。端末記憶部604は、差し込まれたSDカード等を端末記憶部604の一部または全部として実現してもよい。端末記憶部604は、本システムのアプリ(以下、単に「本アプリ」という。)がインストールされた状態で記憶されている。
【0055】
本アプリは、通信端末6がアプリ提供サイトにアクセスしてダウンロードすることもできる。また、本アプリは、配布されたメディアに記録されている実行ファイル形式のファイルを通信端末6に取り込んで、そのファイルを実行することでインストールしてもよい。
【0056】
本アプリは、利用者が通信端末6のタッチパネルディスプレイを操作して本アプリを起動する操作、例えば、本アプリのアイコンをクリックする操作を行うことで起動する。すなわち、端末制御部603が、本アプリのプログラムを実行することで、本アプリのUI画面表示、サーバ4へのアクセスを行う。
【0057】
端末通信部605は、第2通信網5と接続し、サーバ4とデータの送受信を行う機能を有する。端末通信部605は、端末記憶部604に記憶されている本アプリが起動すると、端末制御部603の制御により、第2通信網5を介してサーバ4のIPアドレスにアクセスし、サーバ4とデータの送受信を行う。また、通信端末6に備わるプッシュ通知機能により、本アプリを起動させなくても、異常発生時の緊急通知を受信することができる。
【0058】
スピーカー606は、端末制御部603の制御に基いて振動板を振動させることで音声信号を音声(空気振動)に変換して外部に出力する機能を有する。端末制御部603は、無線通信装置1が異常を検知して異常情報をサーバ4に送信し、サーバ4から異常情報を含む通知情報を通信端末6が受信すると、スピーカー606にアラーム音を鳴動させて移動体2に異常が生じたことを利用者に報せる。
【0059】
バイブレーター607は、端末制御部603の制御に基いて機械的な振動を発生し、通信端末6の筐体全体を振動させる機能を有する。端末制御部603は、上記のアラーム音の鳴動と共にバイブレーター607を振動させる、若しくは通信端末6がマナーモード設定等、スピーカー606からの出力を停止している場合は、バイブレーター607のみを振動させることで、移動体2に異常が生じたことを利用者に報せる。
【0060】
本システムの動作について、図6図19を用いて説明する。無線通信装置1の動作モードについて、まず、図6に示す第1モード(通常モード)201を説明する。第1モード(通常モード)201の送信周期である第1周期は1日に1回である。制御部105は、1日のうちの所定時刻、例えば、12時に位置情報取得部101が取得した位置情報を含む移動体情報を無線通信部103に送信させる制御を行う。なお、無線通信装置1は、複数存在するため、同時刻に多数の無線通信装置1が送信すると、コリジョン(通信の衝突)が発生し易くなるので、それぞれの無線通信装置1が送信するタイミングは異なるようにしていることが望ましい。
【0061】
第1モード(通常モード)201における無線通信装置1を動作させるための電源は、第1電源107である。移動体2のイグニッションスイッチはオフであることから、第2電源108から電源供給は受けていない。よって、無線通信装置1が電力を消費することで移動体2のバッテリーが上がるという問題は生じない。また、第1モード(通常モード)201では、1日に1回の位置情報取得と送信のためにだけ電力が消費されるので、第1電源107の消費電力も十分小さい。
【0062】
第1モード(通常モード)201において、サーバ4の第1通信部402は、無線通信装置1から1日に1回、動作モードが第1モード(通常モード)201であることを示す設定情報と位置情報を含む移動体情報を受信する。サーバ4の記録部404は、移動体情報を格納部406に記録する。生成部405は、格納部406に記録した移動体情報に基いて通知情報を生成する。生成部405が生成した通知情報には、無線通信装置1の現在の動作モードが第1モード(通常モード)201であることを示す情報と、位置情報が含まれる。サーバ4は、通知情報を生成したタイミングで通信端末6に通知情報を送信してもよいし、利用者が通信端末6を操作して本アプリを起動させることで、通信端末6がサーバ4にアクセスしたタイミングで通知情報を送信してもよい。
【0063】
利用者が通信端末6を操作して本アプリを起動させると、通信端末6はサーバ4にアクセスし、サーバ4の格納部406に記憶している通知情報を取得する。通信端末6は、取得した通知情報に基いて、移動体2の最新の位置情報を地図に表示する。利用者は、図7に示す第1表示画面301を確認することで、現在、無線通信装置1が第1モード(通常モード)201に設定されていることがわかる。
【0064】
表示部602がタッチパネルディスプレイに表示する第1表示画面301には、第1地図画像302、最新位置アイコン303、警戒モード設定スイッチ304が含まれる。第1地図画像302に表示する地図の情報は、本アプリに含まれる地図API(Application Programming Interface)で取得する。通信端末6は、地図APIを利用して、移動体2の位置情報の周辺に関する地図を取得することができる。
【0065】
通信端末6は、移動体2の位置を示す最新位置アイコン303を第1地図画像302に重畳して表示する。最新位置アイコン303は、位置情報を取得した日時を表示する。本アプリを起動した時点と、表示される位置情報を取得した時点が最大1日ずれるため、位置情報を取得した日時を表示することが望ましい。但し、よりシンプルに表示することも可能であり、位置情報を取得した日時を所定時間表示した後に、その表示を消しても良いし、設定で利用者が表示するかどうかを選択できるようにしてもよい。
【0066】
利用者が警戒モード設定スイッチ304を操作して、第2モード(警戒モード)202をオンに設定することなく、移動体2のイグニッションスイッチがオフの状態であれば、無線通信装置1は、第1モード(通常モード)201が設定された状態が維持される。
【0067】
例えば、利用者が近くにいる状態で移動体2を停車させる場合、盗難に遭う可能性は低い。この場合、第2モード(警戒モード)202よりも第1モード(通常モード)201に設定した方が望ましい。また、利用者自身が、移動体2のイグニッションスイッチをオフにした状態で、移動体2を手押しで移動させることも考えられる。この場合も、第1モード(通常モード)201に設定した方が望ましい。
【0068】
第2モード(警戒モード)202について説明する。無線通信装置1の第2モード(警戒モード)202の設定は、利用者が通信端末6を操作して本アプリを起動し、警戒モード設定スイッチ304をオンにすることで行われる。すなわち、通信端末6から設定情報がサーバ4に送信され、第2通信網5、サーバ4、第1通信網3を経由して無線通信装置1に設定情報が送信されることで、無線通信装置1の第2モード(警戒モード)202の設定が行われる。
【0069】
本アプリが起動した状態において、通信端末6のタッチパネルディスプレイに、第1モード(通常モード)201を示す表示がされている場合、すなわち、無線通信装置1が第1モード(通常モード)201である場合に、利用者が通信端末6を操作して警戒モード設定スイッチ304をオンにすると、通信端末6のタッチパネルディスプレイには、図8に示すように第2モード(警戒モード)202であることを表示した第2表示画面305が表示される。この表示により利用者は、現在、無線通信装置1が第2モード(警戒モード)202に設定されていることがわかる。
【0070】
通信端末6が送信する設定情報のデータ構造について説明する。図9に示すように、設定情報121は、通知先情報122、設定モード情報123を含む。通知先情報122は、送信元である通信端末6を特定する情報であり、本アプリで設定した専用IDが好適である。設定モード情報123は、利用者が通信端末6を操作して設定した動作モード指示を示す情報である。
【0071】
具体的には、通信端末6が、図7に示す第1モード(通常モード)の第1表示画面301をタッチパネルディスプレイに表示しているときに、利用者が警戒モード設定スイッチ304をオンにする操作(第2モードをオン)を行うと、受付部601はこれを設定指示として受け付ける。端末通信部605は、第2モード(警戒モード)202の設定指示を示す設定モード情報123を含む設定情報をサーバ4に送信する。
【0072】
通信端末6が、図8に示す第2モード(警戒モード)202の第2表示画面305をタッチパネルディスプレイに表示するときに、利用者が警戒モード設定スイッチ304をオフにする操作(第2モードをオフ)を行うと、受付部601はこれを設定指示として受け付ける。端末通信部605は、第1モード(通常モード)201の設定指示を示す設定モード情報123を含む設定情報をサーバ4に送信する。
【0073】
無線通信装置1が、第2モード(警戒モード)202の設定指示を含む設定情報を受信すると、制御部105は動作モードを第2モード(警戒モード)202に設定する。制御部105は、第2モード(警戒モード)202の設定により、検知部102を制御して、移動体2の傾き等の異常を検知させる。第2モード(警戒モード)202中の無線通信装置1は、第1電源107で駆動する。
【0074】
無線通信装置1は、第2モード(警戒モード)202を設定している間に検知部102が異常を検知すると、検知した時点の位置情報と異常情報を含む移動体情報をサーバ4に送信する。異常情報は、無線通信装置1が、第2モード(警戒モード)202から第3モード(追跡モード)203に動作モードが切り替わったことをサーバ4に通知する情報として機能する。
【0075】
サーバ4の第1通信部402は移動体情報を受信し、記録部404は移動体情報を格納部406に記録する。生成部405は、移動体情報に異常情報が含まれていることから、プッシュ通知で通信端末6に通知する通知情報を生成する。通知情報には、無線通信装置1の現在の動作モードが第3モード(追跡モード)203であることを示す設定情報と、位置情報が含まれる。第2通信部407は、通知先記憶部401に識別情報と対応付けて記憶されている通知先情報が示す通信端末6に対して、生成された通知情報を送信する。
【0076】
図10に示すように、通信端末6のタッチパネルディスプレイに表示する異常表示画面306には、異常発生を示す異常アイコン307が第1地図画像302に重畳して表示される。また、端末制御部603は、通知情報をプッシュ通知で受信した際、スピーカー606からアラーム音を出力させ、バイブレーター607を振動させて異常発生を利用者に報せるようにしてもよい。
【0077】
制御部105は、検知部102の異常検知を契機として、第3モード(追跡モード)203を設定する。ここで第3モード(追跡モード)203について説明する。図11に示すように、通信端末6のタッチパネルディスプレイには、サーバ4から受信した通知情報を受信したことにより、無線通信装置1が第3モード(追跡モード)203であることを示す第3表示画面311が表示される。この表示により利用者は、現在、無線通信装置1が第3モード(追跡モード)203に設定されていることがわかる。
【0078】
制御部105は、第3モード(追跡モード)203を設定すると、無線通信部103を制御して、1日の送信回数の上限である140回を超える可能性がある第2周期で移動体情報を送信させる。具体的には、制御部105は、無線通信部103に、4分間隔で移動体情報を送信させる。
【0079】
制御部105は、位置情報取得部101に、2分間隔で位置情報を取得させる。無線通信部103は、第3モード(追跡モード)203を設定したタイミングで、動作モードが第3モード(追跡モード)203に設定されたことを示す設定情報と、位置情報を送信し、以後は、2分間隔で取得した2つの位置情報を移動体情報に含めて4分間隔で逐次送信する。第3モード(追跡モード)203中の無線通信装置1は、第1電源107で駆動する。
【0080】
サーバ4の第1通信部402は第1通信網3を介して移動体情報を逐次受信し、記録部404は移動体情報を格納部406に逐次記録する。生成部405は、移動体情報に含まれる設定情報及び位置情報に基いて、通信端末6に通知する通知情報を生成する。第2通信部407は、通知先記憶部401に識別情報と対応付けて記憶されている通知先情報が示す通信端末6に対して、生成された通知情報を送信する。
【0081】
図11に示す第1地図画像302には、2分間隔で位置情報取得部101が取得した位置がプロットされ、移動体2の軌跡が表示される。また、追跡位置アイコン313により最新の日時の位置情報が示す地点を指して、追跡中であることを示す表示を行う。通信端末6が図11に示す表示を行うことにより、利用者は、盗難に遭った可能性がある移動体2の最新の所在地を把握することができる。
【0082】
追跡解除設定スイッチ312は、第3モード(追跡モード)203の設定を解除して、無線通信装置1の動作モードを第1モード(通常モード)201に設定するための指示を受け付けるUIである。利用者が、追跡解除設定スイッチ312をオンにする操作を行うと、受付部601はこれを設定指示として受け付ける。端末通信部605は、第1モード(通常モード)201の設定指示を示す設定モード情報123を含む設定情報をサーバ4に送信する。
【0083】
無線通信装置1が、第1モード(通常モード)201の設定指示を含む設定情報を受信すると、制御部105は動作モードを第1モード(通常モード)201に設定する。これにより、第3モード(追跡モード)203の設定は解除される。
【0084】
第4モード(走行モード)について説明する。制御部105は、電源切替部106が第2電源108からの電源供給に切り替えたことを契機に、第1モード(通常モード)201または第2モード(警戒モード)202から、第4モード(走行モード)204を設定する。また、制御部105は、電源切替部106が第2電源108から第1電源107に電源供給を切り替えたことを契機に、利用者が第2モード(警戒モード)202の設定をオフにしている場合は、第4モード(走行モード)204から、第1モード(通常モード)201を設定する。利用者が第2モード(警戒モード)202の設定をオンにしている場合は、第2モード(警戒モード)202を設定する。
【0085】
制御部105は、第4モード(走行モード)204を設定すると、無線通信部103を制御して、サーバ4に第3周期で移動体情報を送信させる。具体的には、制御部105は、無線通信部103を制御して、10分間隔で移動体情報を送信させる。制御部105は、位置情報取得部101に、5分間隔で位置情報を取得させる。無線通信部103は、第4モード(走行モード)204を設定したタイミングで、動作モードが第4モード(走行モード)204に設定されたことを示す設定情報と、位置情報を送信し、以後は2つの位置情報を移動体情報に含めて逐次送信する。第4モード(走行モード)204中の無線通信装置1は、第2電源108で駆動する。
【0086】
サーバ4の第1通信部402は、第1通信網3を介して移動体情報を逐次受信し、記録部404は移動体情報を格納部406に逐次記録する。生成部405は、移動体情報に含まれる位置情報に基いて、通信端末6に通知する通知情報を生成する。第2通信部407は、通知先記憶部401に識別情報と対応付けて記憶されている通知先情報が示す通信端末6に対して、生成された通知情報を送信する。
【0087】
図12に示すように、通知情報を受信した通信端末6のタッチパネルディスプレイには、第4モード(走行モード)204であることを表示した第4表示画面321が表示される。この表示により利用者は、現在、無線通信装置1が第4モード(走行モード)204に設定されていることがわかる。第1地図画像302には、5分間隔で位置情報取得部101が取得した位置がプロットされ、移動体2の軌跡が表示される。また、スタート位置アイコン323、現在位置アイコン324により走行のスタート位置と、最新の現在位置を示す地点を指して、現在の走行を記録中であることを示す表示を行う。通信端末6にこのような表示を行うことにより、利用者は、走行中の移動体2の経路を把握することができる。
【0088】
記録解除設定スイッチ322は、第4モード(走行モード)204の設定を解除して、無線通信装置1の動作モードを第1モード(通常モード)201に設定する指示を受け付けるUIである。利用者が、記録解除設定スイッチ322をオンにする操作を行うと、受付部601はこれを設定指示として受け付ける。端末通信部605は、第1モード(通常モード)201の設定指示を示す設定モード情報123を含む設定情報をサーバ4に送信する。
【0089】
無線通信装置1が、第1モード(通常モード)201の設定指示を含む設定情報を受信すると、制御部105は動作モードを第1モード(通常モード)201に設定する。これにより、第4モード(走行モード)204の設定は解除される。
【0090】
利用者が本アプリ起動中に通信端末6を操作することで、図13に示す経路表示画面331をタッチパネルディスプレイに表示することができる。第2地図画像332には、過去に走行した経路と走行詳細情報アイコン333が重畳して表示されている。走行詳細情報アイコン333は、出発時刻、到着時刻、移動距離、所要時間を表示する。第2地図画像332に重畳して表示する走行経路は、走行履歴一覧334から選択することができる。
【0091】
無線通信装置1の通信制御について説明する。通信制御の各ステップは、図14図18の符号で示す。無線通信装置1の制御部105は、図14に示すように、電源切替部106が第2電源108からの電源供給がオフの状態で(S1:Yes)、無線通信部103が設定情報をサーバ4から受信した場合(S2:Yes)、受信した設定情報に基いて動作モードを設定する(S3)。無線通信部103が設定情報をサーバ4から受信しない場合(S2:No)、無線通信装置1の動作モードは、最先に設定された動作モードのままであり、第1モード、第2モード、第3モードのいずれかが設定されている。
【0092】
制御部105は、設定している動作モードが第1モードの場合(S4:Yes)、第1モード処理を行う(S5)。制御部105は、設定している動作モードが第2モードの場合(S6:Yes)、第2モード処理を行う(S7)。制御部105は、設定している動作モードが第3モードの場合(S6:No)、第3モード処理を行う(S8)。
【0093】
制御部105は、第2電源108からの電源供給がオンの場合(S1:No)、第4モードを設定し(S9)、第4モード処理を行う(S10)。
【0094】
図15に示すように、第1モード処理において制御部105は、第1モードが設定された時点から計時を開始し、現在時刻が第1周期の送信タイミングの場合(S11:Yes)、位置情報取得部101に位置情報の取得処理を行わせ(S12)、無線通信部103に移動体情報を送信させる制御を行う(S13)。なお、第1周期の送信タイミングは、例えば、標準時刻に基いて設定された特定の時刻でもよい。具体的には、「午前8時」といった時刻を送信タイミングとして設定してもよい。制御部105は、計時した結果、現在時刻が、第1周期の送信タイミングではない場合(S11:No)、または、S13の処理をした後、図14に示すメインルーチンに戻る。
【0095】
図16に示すように、第2モード処理において制御部105は、検知部102を制御し(S20)、検知部102が異常検知をした場合(S21:Yes)、異常情報を生成して(S22)、無線通信部103に移動体情報を送信させる制御を行う(S23)。
【0096】
制御部105は、検知部102が異常検知をしたことを契機に第3モードを設定する(S24)。制御部105は、検知部102が異常検知をしない場合(S21:No)、または、S24の処理をした後、図14に示すメインルーチンに戻る。
【0097】
図17に示すように、第3モード処理において制御部105は、第3モードが設定された時点から計時を開始し、現在時刻が第2周期の送信タイミングの場合(S30:Yes)、位置情報取得部101に位置情報の取得処理を行わせ(S31)、無線通信部103に移動体情報を送信させる制御を行う(S32)。なお、位置情報取得部101は、1回目の移動体情報の送信後、第2周期よりも短い周期で位置情報を取得しておくことができる。制御部105は、2回目以降の移動体情報の送信において、位置情報取得部101が取得した複数の位置情報を含む移動体情報を無線通信部103に送信させてもよい。制御部105は、計時した結果、現在時刻が、第2周期の送信タイミングではない場合(S30:No)、または、S32の処理をした後、図14に示すメインルーチンに戻る。
【0098】
図18に示すように、第4モード処理において制御部105は、第4モードが設定された時点から計時を開始し、現在時刻が第3周期の送信タイミングの場合(S40:Yes)、位置情報取得部101に位置情報の取得処理を行わせ(S41)、無線通信部103に移動体情報を送信させる制御を行う(S42)。なお、位置情報取得部101は、1回目の移動体情報の送信後、第3周期よりも短い周期で位置情報を取得しておくことができる。制御部105は、2回目以降の移動体情報の送信において、位置情報取得部101が取得した複数の位置情報を含む移動体情報を無線通信部103に送信させてもよい。制御部105は、計時した結果、現在時刻が、第3周期の送信タイミングではない場合(S40:No)、または、S42の処理をした後、図14に示すメインルーチンに戻る。
【0099】
図19は、本システムが適用される移動体2の状態遷移を示す模式図である。無線通信装置1は、移動体2が工場から出荷される出荷状態500から移動体2に備わっている。出荷状態500では、無線通信装置1は、第1モード(通常モード)201がデフォルトで設定されている。
【0100】
移動体2が工場から出荷され店舗に到着した店頭状態501においては、無線通信装置1は、第1モード(通常モード)201が設定されている。第1モード(通常モード)201が設定されている場合、無線通信装置1は、1日1回の第1周期で、移動体の位置情報を含む移動体情報を送信する。本システムの利用者は、予め利用者が所有する通信端末6に本アプリをインストールしておくことで、移動体2の所在位置を把握することができる。
【0101】
例えば、店頭にはまだない移動体2を利用者が予約で購入した場合、本システムを利用することで、工場出荷時点から移動体2の所在を利用者は知ることができる。これにより、利用者は、購入した移動体2を手に入れるまで、ワクワクした気持ちで移動体2の到着を待つことができる。
【0102】
本システムの利用者は移動体2を手に入れた後は、移動体2の駐車状態502において、移動体2が盗難に合う可能性について心配する。また、本システムの利用者は、移動体2に乗車して走行するが、移動体2の走行状態503について、いつどの道を何km走ったのか、知りたい場合がある。
【0103】
本システムの利用者が無線通信装置1を第2モード(警戒モード)202に設定しておくと、駐車状態502の移動体2が傾く等の異常な動きがあった場合に、無線通信装置1は異常を検知し、利用者の通信端末6に異常通知が届くようにすることができる。また、無線通信装置1は、異常検知をした後、第3モード(追跡モード)203を自動的に設定する。無線通信装置1は、第3モード(追跡モード)203において、移動体2の位置情報を第2周期で逐次送信する。第三者が、移動体2を勝手に移動させたとしても、無線通信装置1が逐次送信した位置情報をサーバ4が記録している。これにより、利用者は、通信端末6の本アプリを起動させることで、サーバ4に記録された位置情報から、移動体2の位置を追跡することができる。
【0104】
更に、利用者が移動体2に乗車して走行する場合、イグニッションスイッチをオンにすることで、無線通信装置1は第4モード(走行モード)204を自動的に設定する。無線通信装置1は、第4モードが設定された時点の位置情報をスタート位置として、イグニッションスイッチがオフされるまで、移動体2の走行中の位置情報を逐次取得してサーバ4に送信し、サーバ4は逐次記録する。利用者は、移動体2の走行中、若しくは、走行した後に通信端末6を操作して本アプリを開くことで、移動体2の走行経路を確認することができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の無線通信装置1、サーバ4、通信端末6の機能構成及び処理は、実施形態のみに限定されるものではない。
【0106】
例えば、上記実施形態では、第1周期を1日1回の送信周期としていたが、1日の送信回数の上限を超えない程度の送信周期としてもよい。例えば、1日2回でもよい。また、第2周期、第3周期を1日の送信回数の上限を超える可能性がある周期として、第2周期を4分に1回、第3周期を10分に1回として説明したが、1秒に1回、1時間に1回でもよく、第2周期と第3周期を同じ周期にしてもよい。
【0107】
上記実施形態では、第2モードは、検知部102が異常検知するまでは、移動体情報を送信しない制御をしていたが、第1周期で位置情報を送信するようにしてもよい。また、異常の検知として移動体の移動状態、傾き等を検知していたが、例えば、移動体2に備わる各種センサから異常を検知するようにしてもよいし、第1電源107または第2電源108の故障、断線等を検知するようにしてもよい。
【0108】
上記実施形態では、無線通信部103は、1回のデータ送信に対して、複数回のフレーム伝送且つ周波数ダイバーシチで送信を行う、としていたが、そうすることなく、1回だけのデータ送信としてもよい。また、第1通信網3の各基地局は、それぞれのカバーエリアが重複するように設置しているとしたが、重ならないように設置してもよい。
【0109】
本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。
【0110】
例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良いし、追記した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0111】
このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、LPWA通信機能を備えた通信端末を用いた情報処理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0113】
1 無線通信装置
2 移動体
3 第1通信網
4 サーバ
5 第2通信網
6 通信端末
7 GNSS衛星群
101 位置情報取得部
102 検知部
103 無線通信部
104 記憶部
105 制御部
106 電源切替部
107 第1電源
108 第2電源
111 移動体情報
112 識別情報
113 ペイロード
201 第1モード(通常モード)
202 第2モード(警戒モード)
203 第3モード(追跡モード)
204 第4モード(走行モード)
401 通知先記憶部
402 第1通信部
403 サーバ制御部
404 記録部
405 生成部
406 格納部
407 第2通信部
601 受付部
602 表示部
603 端末制御部
604 端末記憶部
605 端末通信部
606 スピーカー
607 バイブレーター

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図17
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図19