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特許7390260締固め状態判定装置及び締固め状態判定方法
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  • 特許-締固め状態判定装置及び締固め状態判定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】締固め状態判定装置及び締固め状態判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231124BHJP
   E04G 21/06 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G06T7/00 610Z
E04G21/06 ESW
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020111880
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011024
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 学
(72)【発明者】
【氏名】松本 修治
(72)【発明者】
【氏名】坂井 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 勝利
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-025609(JP,A)
【文献】特開2017-053084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
E04G 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート材料の締固め状態を判定する締固め状態判定装置であって、
前記コンクリート材料の表面を撮影し画像の情報を取得する撮影部と、
前記撮影部により取得された前記画像の情報を解析するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記画像の所定領域における互いに隣接する画素間の明暗値又は濃淡値を比較し、前記隣接する画素間で明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する画素を変化領域として特定し、前記所定領域に対する前記変化領域の割合に基づいて、前記コンクリート材料の締固め状態を判定する、
締固め状態判定装置。
【請求項2】
前記割合を表示する表示部を更に備え、
前記撮影部は、第1時刻及び第2時刻での前記コンクリート材料の表面を撮影して前記画像の情報を取得し、
前記コントローラは、前記第1時刻での前記画像から前記変化領域を特定して前記第1時刻での前記割合を算出すると共に、前記第2時刻での前記画像から前記変化領域を特定して前記第2時刻での前記割合を算出し、
前記表示部は、前記第1時刻での前記割合と前記第2時刻での前記割合とを表示する、
請求項1に記載の締固め状態判定装置。
【請求項3】
コンクリート材料の締固め状態を判定する締固め状態判定方法であって、
前記コンクリート材料の表面を撮影し画像の情報を取得する撮影ステップと、
前記撮影ステップにて取得した前記画像の情報を解析する解析ステップと、を備え、
前記解析ステップでは、
前記画像の所定領域における互いに隣接する画素間の明暗値又は濃淡値を比較し、
前記隣接する画素間で明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する画素を変化領域として特定し、
前記所定領域に対する前記変化領域の割合に基づいて、前記コンクリート材料の締固め状態を判定する、
締固め状態判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート材料の締固め状態を判定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート材料を盛立ててダム、道路及び堤防等の土木構造物を構築する場合に、打設されたコンクリート材料を加振してコンクリート材料から気泡を除去するいわゆる締固め作業が行われる。締固め不足(加振不足)は、硬化後のコンクリート材料の強度不足及びひび割れの原因となる。そのため、締固め状態を判定し、締固めを管理することが求められている。
【0003】
特許文献1には、加振時間に基づいて締固め状態を判定することが開示されている。
【0004】
また、締固め状態を判定する別の方法として、作業員がコンクリート材料の表面を目視により確認する方法がある。コンクリート材料では、打設直後は骨材がペースト状物上に浮き上がっており、締固め作業の進行に伴って骨材がペースト状物に沈み、コンクリート材料の表面にペースト状物が均一に広がると共にコンクリート材料の表面が滑らかになる。作業員は、ペースト状物への骨材の沈み具合、ペースト状物の広がり具合、及びコンクリート材料の表面の滑らかさ等といったコンクリート材料の表面の状態を目視により確認し、締固め状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-193681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンクリート材料の締固めに要する加振時間は、コンクリート材料の配合、並びに周囲の温度及び湿度等によって変化することが分かっている。加振時間で締固め状態を判定するためには、コンクリート材料の配合、並びに周囲の温度及び湿度等に基づいて基準となる加振時間を設定する必要がある。特許文献1には、基準となる加振時間を設定する具体的な方法は開示されておらず、締固め状態を判定する方法としては不十分である。
【0007】
一方で、コンクリート材料の表面の状態と締固め状態との間には、コンクリート材料の配合、並びに周囲の温度及び湿度等に関わらず一定の相関がある。そのため、締固め状態を適切に判定するためには、コンクリート材料の表面の状態を用いることが有効である。しかしながら、コンクリート材料の表面の状態を客観的に把握する方法は確立されておらず、コンクリート材料の表面の状態を作業員の感覚で把握し、締固め状態を判定しているのが現状である。そのため、作業員の熟練度によるところが大きく、締固め状態を適切に判定することができないおそれがある。
【0008】
本発明は、コンクリート材料の締固め状態を適切に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コンクリート材料の締固め状態を判定する締固め状態判定装置であって、コンクリート材料の表面を撮影し画像の情報を取得する撮影部と、撮影部により取得された画像の情報を解析するコントローラと、を備え、コントローラは、画像の所定領域における互いに隣接する画素間の明暗値又は濃淡値を比較し、隣接する画素間で明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する画素を変化領域として特定し、所定領域に対する変化領域の割合に基づいて、コンクリート材料の締固め状態を判定する。
【0010】
また、本発明は、コンクリート材料の締固め状態を判定する締固め状態判定方法であって、コンクリート材料の表面を撮影し画像の情報を取得する撮影ステップと、撮影ステップにて取得した画像の情報を解析する解析ステップと、を備え、解析ステップでは、画像の所定領域における互いに隣接する画素間の明暗値又は濃淡値を比較し、隣接する画素間で明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する画素を変化領域として特定し、所定領域に対する変化領域の割合に基づいて、コンクリート材料の締固め状態を判定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンクリート材料の締固め状態を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る締固め状態判定装置を適用可能な締固め装置の側面図である。
図2】(a)は、打設直後のコンクリート材料における表面の画像の一例であり、(b)は、締固め作業が行われているコンクリート材料における表面の画像の一例であり、(c)は、締固め作業が完了したコンクリート材料における表面の画像の一例である。
図3】本発明の実施形態に係る締固め状態判定装置のブロック図である。
図4】(a)は、撮影部により撮影された画像の拡大図の一例であり、(b)は、図4(a)に示される画像に対して変化領域特定部による処理を施した結果を示す図である。
図5】表示部に表示される画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る締固め状態判定装置及び締固め状態判定方法について、図面を参照して説明する。
【0014】
コンクリート材料を盛立ててダム、道路及び堤防等の土木構造物を構築する場合に、打設されたコンクリート材料を加振してコンクリート材料から気泡を除去するいわゆる締固め作業が行われる。コンクリート材料は、例えば、セメント、水及び骨材を混合することで製造されるコンクリートである。コンクリート材料は、土木工事の現場付近で調達される現地発生土にセメントを加えたセメント改良土であってもよいし、現地発生土にセメント及び水を加えたCSG(Cemented Sand and Gravel)材料であってもよい。
【0015】
図1は、締固め作業に用いられる締固め装置1の側面図である。図1に示すように、締固め装置1は、走行可能な走行部2と、走行部2に鉛直軸回りに旋回自在に支持される旋回台3と、旋回台3に揺動自在に支持されるブーム4と、ブーム4の先端に揺動自在に支持されるアーム5と、アーム5の先端に揺動自在に支持されるブラケット6と、ブラケット6に取付けられるバイブレータ7と、を備えている。バイブレータ7は、打設されたコンクリート材料に挿入可能に棒状に形成されている。バイブレータ7をその軸方向にコンクリート材料へ挿入した状態で振動させると、バイブレータ7を中心とする振動伝達範囲内のコンクリート材料が振動し、気泡を形成している空気がコンクリート材料から除去されコンクリート材料が締固められる。旋回台3には操縦室8が設けられており、作業員は、操縦室8から締固め装置1を操縦する。走行部2、旋回台3、ブーム4及びアーム5を駆動してバイブレータ7を順次移動させることにより、コンクリート材料の全体を締固めることができる。
【0016】
締固め不足(加振不足)は、硬化後のコンクリート材料の強度不足及びひび割れの原因となる。そのため、締固め状態を判定し、締固めを管理することが求められている。コンクリート材料の締固め状態は、コンクリート材料の表面の状態との間に一定の相関があるため、コンクリート材料の表面の状態に基づいてコンクリート材料の締固め状態を判定することが有効である。
【0017】
ここで、図2を参照して、コンクリート材料の締固め状態と、コンクリート材料の表面との相関を説明する。図2(a)は、打設直後におけるコンクリート材料の表面の画像の一例である。図2(b)は、締固め作業が行われているコンクリート材料の表面の画像の一例である。図2(c)は、締固め作業が完了したコンクリート材料の表面の画像の一例である。
【0018】
図2(a)に示すように、コンクリート材料を打設した直後では、骨材がペースト状物上に浮き上がっている。締固め作業の進行に伴って、図2(b)に示すように、骨材がペースト状物に沈んでコンクリート材料の表面にペースト状物が広がり始め、コンクリート材料の表面が変化する。また、図2(b)に示す状態から更に締固め作業が進行すると、図2(c)に示すように、コンクリート材料の表面にペースト状物が略均一に広がり、コンクリート材料の表面が滑らかになる。実際に、図2(c)に示す状態が、コンクリート材料の締固めが完了した状態である。
【0019】
本実施形態に係る締固め状態判定装置100及び締固め装置判定方法では、後述する構成により、コンクリート材料の表面を撮影して取得される画像の情報を解析してコンクリート材料の表面の状態を検出する。したがって、作業員の感覚によらずにコンクリート材料の表面の状態を把握することができ、コンクリート材料の締固め状態を適切に判定することができる。
【0020】
図3は、締固め状態判定装置100のブロック図である。図3に示すように締固め状態判定装置100は、コンクリート材料の表面を撮影し画像の情報を取得する撮影部10と、撮影部10により取得された画像の情報を解析するコントローラ20と、コントローラ20による解析の結果を表示する表示部30と、を備えている。
【0021】
撮影部10は、例えばデジタルカメラである。図1に示すように、撮影部10は、締固め装置1のブラケット6に取付けられる。バイブレータ7をコンクリート材料へ挿入した状態において、撮影部10は、振動伝達範囲におけるコンクリート材料の表面を撮影可能である。
【0022】
図3に示すように、撮影部10は、コントローラ20と有線又は無線により接続され、取得した画像の情報をコントローラ20に送信する。
【0023】
コントローラ20は、制御プログラム等を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUにより実行される制御プログラムを記憶するROM(Read-Only Memory)と、CPUの演算結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)と、を備えるマイクロコンピュータである。コントローラ20は、1つのマイクロコンピュータによって構成されていてもよいし、複数のマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。コントローラ20は、締固め装置1の旋回台3(図1参照)に搭載されていてもよいし、締固め装置1から分離して設置されていてもよい。
【0024】
ペースト状物がコンクリート材料の表面に略均一に広がりコンクリート材料の表面が滑らかになっている領域では、骨材がペースト状物上に浮き上がっている領域と比較して、明暗及び濃淡が変化する箇所が少ない。そのため、明暗又は濃淡が変化する変化領域を特定することにより、コンクリート材料の表面の状態を検出することができる。そこで、コントローラ20は、明暗又は濃淡の変化に基づいて、コンクリート材料の表面の状態を検出し、コンクリート材料の締固め状態を判定するように構成されている。
【0025】
実際に、最大寸法が25mmの粗骨材を含むコンクリート材料と、最大寸法が80mmの粗骨材を含むコンクリート材料と、を棒状のバイブレータ7を用いて締固め、締固め状態を判定した。いずれのコンクリート材料においても、明暗値又は濃淡値の閾値を設定することで、締固め状態を良好に判定できる結果を得ることができた。なお、最大寸法が25mmの粗骨材は、一般的に鉄筋コンクリートに用いられ、最大寸法が80mmの粗骨材は、一般的にダムコンクリートに用いられる。
【0026】
コントローラ20は、撮影部10から送出された画像の情報を取得する情報取得部21と、情報取得部21により取得された情報を処理し、画像において明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する変化領域を特定する変化領域特定部22と、変化領域特定部22により特定された変化領域の割合を算出する割合算出部23と、割合算出部23により算出された割合に基づいてコンクリート材料の締固め状態を判定する判定部24と、を備えている。情報取得部21、変化領域特定部22、割合算出部23及び判定部24は、コントローラ20の機能を仮想的なユニットとしたものである。
【0027】
変化領域特定部22は、撮影部10により撮影された画像の所定領域における互いに隣接する画素間の明暗値又は濃淡値を比較する。所定領域は、例えば、画像の全領域である。所定領域は、画像における一部の領域であってもよい。
【0028】
変化領域特定部22は、互いに隣接する画素間において明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する場合には、当該互いに隣接する画素を変化領域として特定する。互いに隣接する画素間において明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化しない場合には、当該互いに隣接する画素を非変化領域として特定する。
【0029】
変化領域特定部22による変化領域を特定する処理について、図4(a)を参照して具体的に説明する。図4(a)は、撮影部10により撮影された画像の拡大図の一例である。図4(a)に示される図は、縦方向に10の画素、横方向に10の画素、合計100の画素を含んでいる。画素の明暗又は濃淡は、一般的には0(零)~255の256階調で数値化されるが、ここでは、説明の便宜上、明暗又は濃淡を1~5の5階調で数値化する。また、ここでは、明暗値又は濃淡値が3階調以上変化する画素を変化領域として特定する。
【0030】
変化領域特定部22は、まず、画像の所定領域に含まれる複数の画素から1つの画素を選択する。ここでは、図4(a)における画素(3,3)を選択したとする。次に、選択した画素(3,3)の明暗値又は濃淡値と、画素(3,3)に隣接する画素(3,2)、(2,3)、(4,3)、(3,4)の明暗値又は濃淡値と、を比較する。画素(3,3)と画素(3,2)との間、及び画素(3,3)と画素(3,2)との間では、明暗値又は濃淡値は変化しないが、画素(3,3)と画素(2,3)との間、及び画素(3,3)と画素(4,3)との間では、明暗値又は濃淡値は、3階調、変化している。そのため、変化領域特定部22は、選択した画素(3,3)を変化領域として特定する。
【0031】
変化領域特定部22は、図4(a)における画素(7,7)を選択した場合には、明暗値又は濃淡値は、画素(7,7)と画素(7,6)との間、及び画素(7,7)と画素(8,7)との間では変化しておらず、画素(7,7)と画素(6,7)との間では1階調だけ変化しており、画素(7,7)と画素(7,8)との間では2階調だけ変化している。つまり、画素(7,7)と、画素(7,6)、画素(6,7)、画素(8,7)及び画素(7,8)との間では、明暗値又は濃淡値は、3階調以上、変化していない。そのため、変化領域特定部22は、選択した画素(7,7)を非変化領域として特定する。
【0032】
図4(b)は、図4(a)に示される画像に対して変化領域特定部22による処理を施した結果を示す図である。図4(b)に示すように、図4(a)に示される全ての画素が、変化領域特定部22により変化領域又は非変化領域のいずれかとして特定される。
【0033】
再び図3を参照する。割合算出部23は、変化領域特定部22により特定された変化領域の割合(以下、「変化領域割合」とも称す)を算出する。具体的には、変化領域特定部22により変化領域として特定された画素数を、変化領域特定部22による処理の対象となった全ての画素数で除すことにより、変化領域割合を算出する。変化領域割合が小さいほど、ペースト状物がコンクリート材料の表面に略均一に広がりコンクリート材料の表面が滑らかになっている領域が大きく、締固め作業が進行していることになる。
【0034】
判定部24は、割合算出部23により算出された変化領域割合に基づいて、コンクリート材料の締固め状態を判定する。具体的には、変化領域割合が、予め定められた基準値を超えている場合には、締固めが完了していないと判定する。変化領域割合が、予め定められた基準値以下の場合には、締固めが完了したと判定する。
【0035】
このように、コントローラ20は、撮影部10によって撮影されたコンクリート材料の表面の画像から、明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する変化領域を特定する。そのため、画像における変化領域は、コンクリート材料の表面において明暗及び濃淡が変化する箇所に相当する。したがって、変化領域の割合を用いることにより作業員の感覚によらずにコンクリート材料の表面の状態を把握することができ、締固め状態を適切に判定することができる。
【0036】
表示部30は、判定部24による判定の結果を表示する。図1に示すように、表示部30は、操縦室8に設けられており、作業者は、締固めが完了したか否かを表示部30で確認しながら締固め装置1を操縦することができる。表示部30は、例えば、コントローラ20と有線又は無線により接続されたモニタである。
【0037】
図5は、表示部30に表示される画像の一例である。図5に示すように、表示部30は、判定部24による判定の結果に加え、割合算出部23により算出された割合と、判定部24にて用いられる判定の基準値と、が表示される。そのため、作業者は、表示部30で締固め作業の進捗を確認しながら締固め装置1を操縦することができる。したがって、締固め作業を効率よく行うことができる。
【0038】
撮影部10は、コンクリート材料の表面を、時間を空けて複数回撮影する。コントローラ20は、撮影部10が撮影した各時刻での画像から変化領域を特定して各時刻での変化領域割合を算出する。表示部30は、各時刻での変化領域割合を順次表示する。そのため、作業者は、変化領域割合の時間的変化を表示部30で確認することができる。したがって、締固めが完了する時刻を予測しながら締固め装置1を操縦することができ、締固め作業をより効率よく行うことができる。
【0039】
表示部30は、各時刻での変化領域割合を順次表示するのに代えて、横軸を時刻とし縦軸を変化領域割合とした、変化領域割合の経時変化を示すグラフを表示してもよい。
【0040】
また、表示部30は、撮影部10(図1参照)により撮影されたコンクリート材料の表面の画像を表示する。したがって、作業員は、コンクリート材料の表面を直接見るだけでなく、表示部30を見ることによってもコンクリート材料の表面の状態を確認することができる。
【0041】
次に、締固め状態判定方法について、図3を参照して説明する。
【0042】
締固め状態判定方法では、まず、撮影部10を用いて、コンクリート材料の表面を撮影し画像の情報を取得する(撮影ステップ)。次に、撮影ステップにて取得した画像の情報を、コントローラ20を用いて解析する(解析ステップ)。
【0043】
解析ステップでは、撮影ステップにて撮影した画像の所定領域における互いに隣接する画素間の明暗値又は濃淡値を比較する。画素の明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する場合には、当該画素を変化領域として特定し、画素の明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化しない場合には、当該画素を非変化領域として特定する。次に、所定領域に対する変化領域の割合を算出する。次に、算出した割合が、予め定められた基準値を超えている場合には、締固めが完了していないと判定し、算出した割合が、予め定められた基準値以下の場合には、締固めが完了したと判定する。
【0044】
以上により、締固め状態の判定が完了する。
【0045】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0046】
締固め状態判定装置100及び締固め状態判定方法では、撮影されたコンクリート材料の表面の画像から、明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する変化領域を特定する。そのため、画像における変化領域は、コンクリート材料の表面において明暗及び濃淡が変化する箇所に相当する。したがって、変化領域の割合を用いることにより作業員の感覚によらずにコンクリート材料の表面の状態を把握することができ、締固め状態を適切に判定することができる。
【0047】
また、表示部30は、各時刻での変化領域割合を順次表示する。そのため、作業者は、変化領域割合の時間的変化を表示部30で確認することができる。したがって、締固めが完了する時刻を予測しながら締固め装置1を操縦することができ、締固め作業をより効率よく行うことができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0049】
上記実施形態では、バイブレータ7を用いて締固め作業を行う場合について説明したが、振動ローラを用いて締固め作業を行う場合においても本発明を適用可能である。また、バイブレータ7を作業員の手作業によりコンクリート材料に挿入して締固め作業を行う場合においても本発明を適用可能である。
【0050】
ペースト状物の表面では、光が反射し、明暗及び濃淡に反射ムラが生じることがある。この場合には、コントローラ20は、反射ムラを変化領域として誤って特定するおそれがある。変化領域の特定精度を高めるために、明暗値又は濃淡値に加え、輝度に基づいて変化領域を特定してもよい。具体的には、輝度が高い領域は、ペースト状物の表面が広がっており反射ムラが生じている領域と推定することができるため、輝度が所定の値以上である領域を除外して、明暗値又は濃淡値が所定の閾値以上に変化する画素を変化領域として特定する。これにより、反射ムラを変化領域として誤って特定するのを防止することができ、変化領域の特定精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0051】
100・・・締固め状態判定装置
10・・・撮影部
20・・・コントローラ
30・・・表示部
図1
図2
図3
図4
図5