(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】座椅子、折り畳み箱入り座椅子、及び座椅子の梱包方法
(51)【国際特許分類】
A47C 3/16 20060101AFI20231124BHJP
B65D 85/68 20060101ALI20231124BHJP
A47C 27/14 20060101ALI20231124BHJP
B68G 7/06 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A47C3/16
B65D85/68 Z
A47C27/14 D
B68G7/06 B
(21)【出願番号】P 2020112095
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】503054030
【氏名又は名称】株式会社東日本イノアック
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】村松 正文
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-340876(JP,A)
【文献】実開平01-021639(JP,U)
【文献】実開昭50-020814(JP,U)
【文献】特開2017-042483(JP,A)
【文献】特開2016-209379(JP,A)
【文献】特開2010-207505(JP,A)
【文献】特開2018-033861(JP,A)
【文献】実開昭57-142961(JP,U)
【文献】登録実用新案第3150454(JP,U)
【文献】実開昭57-148514(JP,U)
【文献】特開2003-275064(JP,A)
【文献】特開平09-299193(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100278(JP,U)
【文献】実開昭59-174060(JP,U)
【文献】登録実用新案第3109423(JP,U)
【文献】実開昭58-164553(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0237667(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0000268(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 3/16
B65D 85/68
A47C 27/14
B68G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、背部と、前記座部と前記背部とを回動可能に連結する屈曲部からなり、前記座部と前記背部とが長手方向に広がる状態と、前記屈曲部において長手方向と交差する方向に屈曲する状態とを選択可能な座椅子であって、
前記座部の骨格を形成する座部フレームと、
前記背部の骨格を形成する背部フレームと、
前記屈曲部において、前記座部フレームと前記背部フレームとを回動可能に連結する連結部材と、
複数個のチップからなるクッション材と、
前記座部フレーム、前記背部フレーム、及び前記クッション材を収納する座椅子カバーを備え、
前記座椅子カバーは、前記クッション材が収納されるクッション材収納部と、前記座部フレームと前記背部フレームを収納するフレーム収納部が形成され、
前記クッション材収納部は、前記屈曲部における屈曲部仕切と、前記座部における少なくとも一つの座部仕切と、前記背部における少なくとも一つの背部仕切によって少なくとも四つの領域に仕切られ、
前記屈曲部仕切の厚さ方向の長さが、前記座部仕切における厚さ方向最小の長さ、及び前記背部仕切における厚さ方向最小の長さよりも短く形成され、
前記座部と前記背部とは、前記屈曲部において互いになす角度が鋭角になるよう屈曲可能であることを特徴とする座椅子。
【請求項2】
前記クッション材収納部のうち、前記屈曲部仕切と前記座部仕切とによって形成された領域を第一収納部とし、前記屈曲部仕切と前記背部仕切とによって形成された領域を第二収納部とし、
前記屈曲部の周辺において、前記屈曲部を起点とし、前記第一収納部と前記第二収納部とを長手方向における所定の範囲において等間隔で複数の区域に区分すると、
前記区域に収納される前記クッション材の数は、前記屈曲部から長手方向に遠ざかるにつれて増加することを特徴とする請求項1に記載の座椅子。
【請求項3】
前記クッション材は略直方体または略平行六面体の形状であり、一辺が8~20mmであり、かつ各辺の寸法のばらつきが6mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の座椅子。
【請求項4】
前記座部又は前記背部の少なくとも一方を座椅子構成部とし、前記座椅子構成部の骨格を構成フレームとしたとき、
長手方向において、前記座椅子構成部は前記構成フレームよりも長く、
前記座椅子構成部の先端と前記構成フレームの先端とに挟まれた先端領域は、長手方向と交差する方向に屈曲可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の座椅子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の座椅子と、開口部が四つの内壁である第一内壁から第四内壁によって形成された直方体の梱包箱からなり、前記座椅子が前記梱包箱に梱包された折り畳み箱入り座椅子であって、
前記座椅子が載置される面を底面とし、
前記座椅子は、
前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度が鋭角になるよう折り畳まれた状態で、前記第一内壁と第二内壁で形成された第一角部に位置し、
前記背部の前記底面が前記第一内壁に接触し、前記座部の前記底面が前記第二内壁に接触して前記梱包箱に梱包されていることを特徴とする折り畳み箱入り座椅子。
【請求項6】
請求項4に記載の座椅子と、開口部が四つの内壁である第一内壁から第四内壁によって形成された直方体の梱包箱からなり、前記座椅子が前記梱包箱に梱包された折り畳み箱入り座椅子であって、
前記座椅子が載置される面を底面とし、
前記座椅子は、
前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度が鋭角になるよう折り畳まれた状態で、前記第一内壁と第二内壁で形成された第一角部に位置し、
前記背部の前記底面が前記第一内壁に接触し、前記座部の前記底面が前記第二内壁に接触し、
前記座部又は前記背部の少なくとも一方は、前記先端領域が屈曲して前記底面が第三内壁又は前記第四内壁に接触して前記梱包箱に梱包されていることを特徴とする折り畳み箱入り座椅子。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の座椅子を、開口部が四つの内壁である第一内壁から第四内壁によって形成された直方体の梱包箱に梱包する座椅子の梱包方法であって、
前記座椅子が載置される面を底面とし、
前記座椅子は、
前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度が鋭角になるよう折り畳み、前記第一内壁と第二内壁で形成された第一角部に位置させ、
前記背部の前記底面を前記第一内壁に接触させ、前記座部の前記底面を前記第二内壁に接触させて前記梱包箱に梱包することを特徴とする座椅子の梱包方法。
【請求項8】
請求項4に記載の座椅子を、開口部が四つの内壁である第一内壁から第四内壁によって形成された直方体の梱包箱に梱包する座椅子の梱包方法であって、
前記座椅子が載置される面を底面とし、
前記座椅子は、
前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度が鋭角になるよう折り畳み、前記第一内壁と第二内壁で形成された第一角部に位置させ、
前記背部の前記底面を前記第一内壁に接触させ、前記座部の前記底面を前記第二内壁に接触させ、
前記座部又は前記背部の少なくとも一方は、前記先端領域を屈曲させ、前記底面を第三内壁又は前記第四内壁に接触させて前記梱包箱に梱包することを特徴とする座椅子の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納に適した形態に変更可能な座椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納に適したコンパクトな形態に変更できる座椅子が提案されている。例えば、特許文献1に記載のリクライニング式座椅子は、身体における所定の各部位を支持可能な第1支持部、第2支持部、第3支持部、第4支持部、及び、第5支持部を、屈曲可能な屈曲部を介して長手方向において順に連設して一体に構成したリクライニング式座椅子である。上記第3支持部、第4支持部、及び、第5支持部のそれぞれを、折り畳んだとき、側面視略「コ」の字形を構成する長さ配分で構成し、上記「コ」の字形に折り畳んだときに対向する上記第3支持部と第5支持部との間に有する空間部に上記第1支持部が収納可能な長さ配分に上記第1支持部、及び、上記第2支持部のそれぞれを構成したものである。
【0003】
これによれば、上記各支持部を上述した長さ配分で構成することにより、全体を側面視略「の」の字形に折り畳むことができる。このため、内部に不要な空間が構成されることがなくコンパクトに折り畳むことができる。従って、このリクライニング式座椅子は、収納時に場所をとらず、持ち運びが容易な形態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す従来例では、身体における所定の各部位を支持可能な第1支持部、第2支持部、第3支持部、第4支持部、及び、第5支持部を、屈曲可能な屈曲部として構成する必要がある。この従来例は、屈曲部として5つの支持部を必要とするため複雑な構造となっている。座椅子が必要とする本来の機能に対して、5つの支持部を5つ備える必要はなく、単に座椅子をコンパクトに折り畳むためだけの構造であり、必要以上にコストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、従来の課題を解決すべくなされたものであり、簡単な構造で収納に適した形態に変更可能な座椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る座椅子は、座部(2)と、背部(3)と、前記座部と前記背部とを回動可能に連結する屈曲部(4)からなり、前記座部と前記背部とが長手方向に広がる状態と、前記屈曲部において長手方向と交差する方向に屈曲する状態とを選択可能な座椅子(1)であって、前記座部の骨格を形成する座部フレーム(5)と、前記背部の骨格を形成する背部フレーム(6)と、前記屈曲部において、前記座部フレームと前記背部フレームとを回動可能に連結する連結部材(7)と、複数個のチップからなるクッション材(9)と、前記座部フレーム、前記背部フレーム、及び前記クッション材を収納する座椅子カバー(8)を備え、前記座椅子カバーは、前記クッション材が収納されるクッション材収納部(10)と、前記座部フレームと前記背部フレームを収納するフレーム収納部(14)が形成され、前記クッション材収納部は、前記屈曲部における屈曲部仕切(11)と、前記座部における少なくとも一つの座部仕切(12)と、前記背部における少なくとも一つの背部仕切(13)によって少なくとも四つの領域に仕切られ、前記屈曲部仕切の厚さ方向の長さ(L1)が、前記座部仕切における厚さ方向最小の長さ(L2)、及び前記背部仕切における厚さ方向最小の長さ(L3)よりも短く形成され、前記座部と前記背部とは、前記屈曲部において互いになす角度(θ)が鋭角になるよう屈曲可能であることを特徴とする。
【0008】
これによれば、座椅子は屈曲部において座部と背部とのなす角度が鋭角になるので、収納に適した形態に変更可能である。よって、従来のような多数の支持部を構成する必要が無い。また、クッション材収納部は、屈曲部仕切の長さが座部仕切及び背部仕切よりも短いので、屈曲部において、座部に対して背部を容易に屈曲させることができる。
【0009】
また、前記座椅子は、前記クッション材収納部のうち、前記屈曲部仕切と前記座部仕切とによって形成された領域を第一収納部(15)とし、前記屈曲部仕切と前記背部仕切とによって形成された領域を第二収納部(16)とし、前記屈曲部の周辺において、前記屈曲部を起点とし、前記第一収納部と前記第二収納部とを長手方向における所定の範囲において等間隔で複数の区域(17)に区分すると、前記区域に収納される前記クッション材の数は、前記屈曲部から長手方向に遠ざかるにつれて増加してもよい。
【0010】
この場合、各区域に収納されるクッション材の数は、屈曲部周辺が最も少なく、屈曲部から長手方向に遠ざかるにつれて増加する。よって、屈曲部における圧縮性が特に良好なので、座部に対して背部を容易に屈曲させることができる。
【0011】
また、前記座椅子の前記クッション材は略直方体または略平行六面体の形状であり、一辺が8~20mmであり、かつ各辺の寸法のばらつきが6mm以下でもよい。この場合、クッション材収納部において、クッション材は互いに隙間を有しながら収納される。よって、屈曲部における圧縮性が特に良好なので、座部に対して背部を容易に屈曲させることができる。
【0012】
また、前記座椅子は、前記座部又は前記背部の少なくとも一方を座椅子構成部とし、前記座椅子構成部の骨格を構成フレームとしたとき、長手方向において、前記座椅子構成部は前記構成フレームよりも長く、前記座椅子構成部の先端と前記構成フレームの先端とに挟まれた先端領域(M)は、長手方向と交差する方向に屈曲可能でもよい。
【0013】
この場合、座椅子は、座部或いは背部のいずれかにおいて、座椅子構成部の先端と構成フレームの先端とに挟まれた先端領域が屈曲するので、収納時によりコンパクトな形態にすることができる。
【0014】
本発明の第二の態様に係る折り畳み箱入り座椅子は、前記座椅子と、開口部(20)が四つの内壁である第一内壁(23)から第四内壁(26)によって形成された直方体の梱包箱(21)からなり、前記座椅子が前記梱包箱に梱包された折り畳み箱入り座椅子であって、前記座椅子が載置される面を底面(B)とし、前記座椅子は、前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度(θ)が鋭角になるよう折り畳まれた状態で、前記第一内壁と第二内壁(24)で形成された第一角部(22)に位置し、前記背部の前記底面が前記第一内壁に接触し、前記座部の前記底面が前記第二内壁に接触して前記梱包箱に梱包されていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、座椅子は、梱包箱の角部に座椅子の屈曲部が位置し、座部と背部とのなす角度が鋭角の状態で梱包されるので、対角上に形成される広い領域を有効に活用して梱包された折り畳み箱入り座椅子を提供することができる。
【0016】
本発明の第三の態様に係る折り畳み箱入り座椅子は、開口部(20)が四つの内壁である第一内壁(23)から第四内壁(26)によって形成された直方体の梱包箱(21)からなり、前記座椅子が前記梱包箱に梱包された折り畳み箱入り座椅子であって、前記座椅子が載置される面を底面(B)とし、前記座椅子は、前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度(θ)が鋭角になるよう折り畳まれた状態で、前記第一内壁と第二内壁(24)で形成された第一角部(22)に位置し、前記背部の前記底面が前記第一内壁に接触し、前記座部の前記底面が前記第二内壁に接触し、前記座部又は前記背部の少なくとも一方は、前記先端領域が屈曲して前記底面が第三内壁(25)又は前記第四内壁に接触して前記梱包箱に梱包されていることを特徴とする。
【0017】
これによれば、座椅子は、座部又は背部の少なくとも一方の先端領域が屈曲して底面が第三内壁又は第四内壁に接触して梱包箱に梱包される。よって、座椅子は梱包箱に合わせた形態で収納されるので、よりコンパクトな折り畳み箱入り座椅子を提供することができる。
【0018】
本発明の第四の態様に係る座椅子の梱包方法は、前記座椅子を開口部(20)が四つの内壁である第一内壁(23)から第四内壁(26)によって形成された直方体の梱包箱(21)に梱包する梱包方法であって、前記座椅子が載置される面を底面(B)とし、前記座椅子は、前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度(θ)が鋭角になるよう折り畳み、前記第一内壁と第二内壁(24)で形成された第一角部(22)に位置させ、前記背部の前記底面を前記第一内壁に接触させ、前記座部の前記底面を前記第二内壁に接触させて前記梱包箱に梱包することを特徴とする。
【0019】
これによれば、座椅子は、梱包箱の角部に座椅子の屈曲部を位置させ、座部と背部とのなす角度が鋭角の状態で梱包するので、対角上に形成される広い領域を有効に活用して梱包する座椅子の梱包方法を提供することができる。
【0020】
本発明の第五の態様に係る座椅子の梱包方法は、前記座椅子を開口部(20)が四つの内壁である第一内壁(23)から第四内壁(26)によって形成された直方体の梱包箱(21)に梱包する梱包方法であって、前記座椅子が載置される面を底面(B)とし、前記座椅子は、前記屈曲部が、前記座部と前記背部とのなす角度(θ)が鋭角になるよう折り畳み、前記第一内壁と第二内壁(24)で形成された第一角部(22)に位置させ、前記背部の前記底面を前記第一内壁に接触させ、前記座部の前記底面を前記第二内壁に接触させ、前記座部又は前記背部の少なくとも一方は、前記先端領域を屈曲させ、前記底面を第三内壁(25)又は前記第四内壁に接触させて前記梱包箱に梱包することを特徴とする。
【0021】
これによれば、座椅子は、座部又は背部の少なくとも一方の先端領域を屈曲させ、底面が第三内壁又は第四内壁に接触するよう梱包箱に梱包する。よって、座椅子は梱包箱に合わせた形態で収納するので、よりコンパクトな座椅子を梱包する座椅子の梱包方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】座椅子1を示した図であり、長手方向に切断したときの断面図である。
【
図2】座椅子1を示した外観図であり、(a)は全体を示した図であり、(b)は座部2の座部先端2aの詳細図である。
【
図3】座椅子1の座部フレーム5と背部フレーム6及び連結部材7を示した図であり、(a)は全体の斜視図であり、(b)は全体の側面図であり、(c)は連結部材7の説明図である。
【
図5】座椅子1の屈曲部を示した
図1のA部詳細図であり、(a)は座部2に対して背部3が伸びた状態を示し、(b)は屈曲部4において、座部2と背部3とが互いに屈曲した状態を示す。
【
図6】座椅子1の外観を示した斜視図であり、(a)は座部2に対して背部3が伸びた状態を示し、(b)は通常の使用状態を示し、(c)は屈曲部4において、座部2に対して背部3が屈曲した状態を示す。
【
図7】本発明のクッション材9と従来のクッション材45とを比較した図であり、(a)は本発明のクッション材9を示し、(b)は従来のクッション材45を示す。
【
図8】座椅子1が梱包箱21に梱包された状態を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は座部2の座部先端2a及び背部3の背部先端3aがいずれも伸びた状態で梱包された状態を示した平面図であり、(c)は座部2の座部先端2aの先端領域Mが屈曲した状態で梱包された状態を示した平面図である。
【
図9】梱包箱21を示した図であり、(a)は開口部20が開けられた状態を示し、(b)は開口部20が閉じられた状態を示し、(c)は(b)における断面F-Fを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明を具現化した座椅子1、折り畳み箱入り座椅子50、51及び座椅子1の梱包方法を説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0024】
<座椅子1の構成>
図1等を参照して、本発明に係る座椅子1の構成を説明する。
図1等に示すように、座椅子1が延びる方向を長手方向として座部側、及び背部側を規定し、厚さを示す方向を厚さ方向としてその上下方向を規定する。
図3(a)に示すように長手方向と直交する方向を幅方向とする。座椅子1は、座部2と背部3と、座部2と背部3とを回動可能に連結する屈曲部4からなり、座部2と背部3とが長手方向に広がる状態と、屈曲部4において長手方向と交差する方向に屈曲する状態とを選択可能である。座椅子1は、さらに座部2の骨格を形成する座部フレーム5と、背部3の骨格を形成する背部フレーム6を備える。屈曲部4において、座部フレーム5と背部フレーム6を回動可能に連結する連結部材7を備える。さらに、複数個のチップからなるクッション材9と、座部フレーム5、背部フレーム6、及びクッション材9を収納する座椅子カバー8を備える。
【0025】
座椅子カバー8は、クッション材9が収納されるクッション材収納部10と、座部フレーム5と背部フレーム6を収納するフレーム収納部14が形成されている。クッション材収納部10は、屈曲部4における屈曲部仕切11と、座部2における少なくとの一つの座部仕切12と、背部3における少なくとも一つの背部仕切13によって少なくとも四つの領域に仕切られている。
【0026】
図2に示すように、屈曲部仕切11の厚さ方向の長さL1は、座部仕切12における厚さ方向最小の長さL2、及び背部仕切13における厚さ方向最小の長さL3よりも短く形成されている。長さL2は、座部2の本体における最小の厚みである。長さL3は、背部3の本体における最小の厚みである。
図5(b)に示すように、座部2と背部3とは、屈曲部4において互いになす角度θが鋭角になるよう屈曲可能である。なお、
図1等では、座部2は一つの座部仕切12によって2分割される例を示すが、座部仕切12が複数あって座部2が3分割以上にされてもよい。同様に、背部3においても、背部仕切13が複数あって背部3が3分割以上にされてもよい。
【0027】
図3を参照して、座部フレーム5、背部フレーム6、及び連結部材7を説明する。
図3(a)に示すように、座部フレーム5と背部フレーム6はコの字状のパイプ部材で形成されている。コの字状のパイプ部材のうち2本の平行パイプ5a、6aが延びる方向が長手方向となっている。長手方向に直交する方向のうち、コの字状のパイプ部材のうちの長手方向に延びる2本の平行パイプ5a、6aを結ぶ方向であって、パイプ5b、6bが延びる方向が幅方向である。さらに、
図1等に示すように、座椅子1が延びる方向である長手方向において座部側、及び背部側を規定し、厚さを示す方向を厚さ方向としてその上下方向を規定する。
【0028】
座部フレーム5と背部フレーム6は、長手方向において連結部材7によって互いに連結されている。背部3は、連結部材7を介して座部2に対して回動可能である。連結部材7は、詳細な構造の説明は省略するが、内部にラチェット機構を備え、16°毎に回転して位置が固定され、約180°開閉可能である。座部フレーム5は、幅方向にバンド18が渡されている。
図1に示すように、座部フレーム5、背部フレーム6、及び連結部材7は、厚み方向の上側と下側のそれぞれからウレタンスラブ40で挟まれた状態で座椅子カバー8に挿入されている。ウレタンスラブ40は、長手方向及び幅方向において、座部フレーム5、背部フレーム6、及び連結部材7の全体を覆う。
【0029】
図1、
図4を参照して、座椅子カバー8の構成を説明する。座椅子カバー8は、外側が表生地8a、裏生地8cによって形成され、中生地8bによって内部が仕切られている。クッション材収納部10は、中生地8bによって仕切られた厚さ方向の上側に形成され、フレーム収納部14は下側に形成されている。
【0030】
図4に示すように、座部先端2aには座部フレーム5他が挿入されるフレーム挿入口14dが形成されている。ウレタンスラブ40によって覆われた座部フレーム5、背部フレーム6、及び連結部材7は、フレーム挿入口14dからフレーム挿入方向Eに沿って座椅子カバー8の中生地8bと裏生地8cとの間に挿入される。
【0031】
クッション材収納部10は、表生地8aの内側と中生地8bとをつなぐ引布によって仕切られている。引布のうち、屈曲部4における引布は屈曲部仕切11であり、座部2の長手方向において屈曲部4と座部先端2aとの間を仕切るのが座部仕切12であり、背部3の長手方向において屈曲部4と背部先端3aとの間を仕切るのが背部仕切13である。なお、前述したように座部仕切12と背部仕切13はそれぞれ複数あってもよい。
【0032】
クッション材収納部10は、表生地8aと中生地8bと引布とに囲われてそれぞれの収納領域が形成されている。
図4に示すように、座椅子カバー8は、幅方向の一方の側面にクッション材投入口8dが形成されている。クッション材投入口8dからクッション材投入方向Dに沿って投入されたクッション材9は、側面の内側に沿って形成された通路8eに沿ってそれぞれのクッション材収納部10に投入される。まず、クッション材9は、最初にクッション材投入口8dから最も遠い収納部分に投入され、順次クッション材投入口8dに近い収納部分に投入される。
図4に示す例では、クッション材9は背部3の背部先端3aに当たる部分に最初に投入され、順次座部2の側に向かって投入される。
【0033】
ここで、以後に使用するクッション性、弾力性、及び圧縮性について以下のように定義する。クッション性とは、使用者が座椅子1を使用したときに、座部2及び背部3が使用者の体型に合わせて沈み込みながら変形してその状態を維持する性質を示し、へたりを防ぐ性質を含める。弾力性とは、使用者が座椅子1を使用したときに、座部2及び背部3が反発して沈み込みを復元しようとする性質を示す。圧縮性とは、クッション性のうち、特に使用者が屈曲部4において座椅子1の背部3を座部2に対して屈曲させたとき等、クッション材9とその周辺の空間とが圧縮してクッション材収納部10の体積が減少する性質を示す。
【0034】
次に、屈曲部4の周辺におけるクッション材収納部10について説明する。
図1に示すように、座椅子1は、クッション材収納部10のうち、屈曲部仕切11と座部仕切12とによって形成された領域を第一収納部15とし、屈曲部仕切11と背部仕切13とによって形成された領域を第二収納部16とする。
図5(a)に示すように、屈曲部4の周辺において、屈曲部4を起点とし、第一収納部15と第二収納部16とを長手方向における所定の範囲において等間隔で複数の区域17(17a~17c)に区分すると、各区域17に収納されるクッション材9の数は、屈曲部4から長手方向に遠ざかるにつれて増加する。
【0035】
屈曲部4に隣接する区域17aは、屈曲部仕切11の厚さ方向の長さL1が座部仕切12における厚さ方向最小の長さL2、及び背部仕切13における厚さ方向最小の長さL3よりも短く形成されているので、クッション材収納部10の中で最も体積が少ない。従って、収納されるクッション材9の数は、屈曲部4の周辺の区域17aが最も少ない。区域17b、区域17cは、長手方向に遠ざかるにつれて体積が増えるので、収納されるクッション材9の数も増加する。
【0036】
例として、
図2に示すL1は60mm、L2及びL3は80mmであり、座部2及び背部3の厚み方向の厚さのうち、最も高い部分の長さL4は210mmである。フレーム収納部14の厚さ方向の長さL5は50mmなので、クッション材収納部10における厚み方向の最も厚い箇所は160mmである。よって、クッション材9を収納するために十分な収容積が確保されている。
【0037】
図5(a)に示すように座部2と背部3とが長手方向に延びた状態では、第一収納部15及び第二収納部16における個々のクッション材9は、互いに空間を形成しながら接触した状態が維持される。
図5(b)は、屈曲部4において座部2と背部3とを互いに屈曲させたとき、第一収納部15と第二収納部16におけるクッション材9が変化する状態を示す。個々のクッション材9は弾性変形すると共に、空間が縮まって圧縮された状態である。区域17aの領域では他の領域に比べてクッション材9の数が少ないので、屈曲部4周辺のクッション材収納部10は容易に圧縮され、座部2と背部3とのなす角度θを鋭角にすることができる。後述するように、梱包箱21に収納する際には、角度θが70°程度に屈曲する。
【0038】
また、クッション材9は、長手方向において区域17aから区域17cに移るに従って数が増加する。座部仕切12及び背部仕切13は、いずれも厚さ方向の長さが屈曲部仕切11よりも長いため、それぞれの周辺部分におけるクッション材9の数は屈曲部4の周辺よりも多い。座部2及び背部3は、使用時にクッション性と弾力性とを合わせて発揮する必要があるため、屈曲部4の周辺以外では十分量のクッション材9が収納されていることが望ましい。本発明に係る座椅子1は、屈曲部4の周辺とそれ以外の領域において要求される要件を満たした構成となっている。
【0039】
次に、
図7を参照して、クッション材9を説明する。クッション材9は略直方体または略平行六面体の形状であり、一辺が8~20mmであり、かつ各辺の寸法のばらつきが6mm以下である。クッション材9は、ポリウレタン発泡樹脂が使用される。ポリウレタン発泡樹脂は、軽量で通気性があるうえに永久変形しにくい性質があり、風合いがあるのでクッション材9に適した材料である。
【0040】
クッション材9は、ポリウレタン発泡樹脂のシート材、或いは端材を裁断して製造される。クッション材9は、各辺の寸法が一定範囲内になるよう裁断されたものなので、弾力性及びクッション性が良好である。
【0041】
図7(a)と
図7(b)は、本発明のクッション材9と従来のクッション材45とを比較したものである。クッション材9は、略直方体または略平行六面体の形状であって、一辺が8~20mmであり、かつ各辺の寸法のばらつきが6mm以下の一定範囲のサイズに統一されている。より好適には、各辺の寸法のばらつきが5mm以下であり、さらには0~4mmがより好ましい。ここで、各辺の寸法とは、個々のクッション材9を平面に置いたときに、一定方向における長さをいう。なお、略直方体または略平行六面体とは、その立体を構成するいずれかの面が、直線の辺からなる直方体や平行六面体のみならず、少し湾曲した辺を有しているものでもよい。また、各頂点の部分が丸みを帯びて、明確な頂点となっていなくてもよい。さらには、対向する面同士が平行でないものが含まれてもよい。当然ながら、直方体には立方体が含まれる。
【0042】
クッション材9は、クッション材収納部10内において個々の間に適度な空間が生まれるので、圧縮時にはクッション材9と空間とが協働して圧縮される。空間がクッション性に寄与するため、クッション材9自体が一定の弾力性を有していても、圧縮性を実現することができる。よって、座部2と背部3とが屈曲部4において屈曲するときの圧縮性がよく、容易に屈曲できる。また、クッション材9は一定範囲のサイズのチップであることから、座部2と背部3とが屈曲状態から伸ばされたときに、圧縮性を含めたクッション性と弾力性とを維持できる。
【0043】
これに対し、
図7(b)に示すように、従来のクッション材45は、個々の各辺の寸法差が大きく、形状も様々であった。例えば、球体であったり、板状であったりと異なる形状であり、個々のクッション材45の間の空間に、より小さいクッション材45が入り込む事から、個々のクッション材45とクッション材45との間の空間が少なく、クッション材45間の空間を利用した圧縮性が低い。クッション材45の寸法は、一辺が8mmを下回るものが含まれ、各辺の寸法ばらつきは6mmを超えるものが含まれる。すると、クッション材45自体の弾力性が高い場合、空間がクッション性(圧縮性)に寄与しにくいため、全体としてのクッション性が問題となるますますクッション材45間の空間を利用した圧縮性が低下している。よって、特に、座部2と背部3とを屈曲部4にて容易に屈曲させることができない。従来のクッション材45では、クッション性と弾力性とを十分に発揮できないという欠点があった。
【0044】
次に、
図2を参照して、座部2と座部フレーム5との関係、或いは背部3と背部フレーム6との関係を説明する。座部2又は背部3の少なくとも一方を座椅子構成部とし、座椅子構成部の骨格を構成フレームとする。長手方向において、座椅子構成部は構成フレームよりも長く、座椅子構成部の先端と構成フレームの先端とに挟まれた先端領域Mは、長手方向と交差する方向に屈曲可能である。
【0045】
図1、2に示す例は、長手方向において、座部2が座部フレーム5よりも長く、座部2の座部先端2aに座部フレーム5がない先端領域Mが形成される場合を示す。先端領域Mは、クッション材9が収納されたクッション材収納部10と、弾性変形可能なウレタンスラブ40、及び中生地8bからなるので、長手方向と交差する方向である厚さ方向の上側に向かって屈曲可能である。なお、
図2では、先端領域Mが座部先端2aに形成される例を示すが、先端領域Mが背部先端3aに形成されてもよい。或いは、先端領域Mが座部先端2aと背部先端3aの双方に形成されてもよい。
【0046】
<座椅子1が解決すべき課題とその効果>
以上説明したように、本発明の第一の態様に係る座椅子1は種々の効果を奏する。座椅子1が解決すべき課題と、座椅子1の構成による効果を説明する。座椅子1は、簡単な構造で収納に適した形態に変更可能にするという課題がある。座椅子1はこの課題を解決するものであり、
図5(b)に示すように、座部2と背部3とが屈曲部4において互いになす角度θが鋭角になるよう屈曲可能である。そのための構成として、
図2(a)に示すように、クッション材収納部10は、屈曲部4において屈曲部仕切11における厚さ方向の長さが座部仕切12及び背部仕切13よりも短く形成されている。
【0047】
よって、座椅子1は、従来のような多数の支持部を構成する必要が無く、屈曲部4において、座部2と背部3とを互いに容易に屈曲できるという効果がある。また、クッション材収納部10は、座部仕切12と背部仕切13が形成されているので、クッション材9が流動する範囲が限定される。よって、座椅子1は、本来の機能である使用時の弾力性とクッション性を維持しつつ、収納に適した形態に変更可能である。また、座部仕切12と背部仕切13は、屈曲部仕切11よりも厚み方向の長さが長いので、それぞれの周辺における座部2及び背部3は、屈曲部4の周辺に比べてより多くのクッション材9を収納可能である。よって、座椅子1は、屈曲部4周辺に比べて座部2及び背部3における弾力性を高めることができる。
【0048】
また、座椅子1は、収納時に座部2と背部3とを屈曲部4で屈曲させるとき、クッション材9を永久変形させないという課題がある。この課題に対して、座椅子1はクッション材収納部10における各区域17に収納されるクッション材9の数は、屈曲部4の周辺が最も少なく、屈曲部4から長手方向に遠ざかるにつれて増加する。よって、屈曲部4においてクッション材9を無理に圧縮させないので圧縮性が特に良好であり、座部2に対して背部3を容易に屈曲させることができる効果がある。合わせて、クッション材9は永久変形することを低減できる。
【0049】
また、座椅子1は、座部2及び背部3において本来の機能である使用時の弾力性を確保するという課題がある。この課題に対して、座椅子1は、屈曲部4から長手方向に遠ざかるにつれてクッション材9の数が増加するので、屈曲部仕切11の周辺以外の区域で弾力性を高めることができる。
【0050】
また、座椅子1は、座部2と背部3とを屈曲部4において容易に屈曲させる必要性に合わせて、本来の弾力性が必要であり、相反する課題がある。従来のクッション材45は、すでに説明したように、クッション性と弾力性を十分に発揮できないという欠点があった。この課題に対し、クッション材9は、略直方体または略平行六面体の形状であって、一辺が8~20mmであり、かつ各辺の寸法のばらつきが6mm以下の一定範囲のサイズに統一されている。より好適には、各辺の寸法のばらつきが5mm以下であり、さらには0~4mmがより好ましい。
【0051】
各辺の寸法のばらつきが小さいことから、個々のクッション材9の大きさは、一定範囲の均一なサイズである。よって、個々のクッション材9の間に入り込む小さなクッション材9が存在しにくくなり、より多くの空間を生じることになる。クッション材収納部10において、クッション材9と、隣り合うクッション材9との間に形成された空間とが、圧縮性、クッション性と弾力性に寄与する。よって、座椅子1は屈曲部4における圧縮性が特に良好なので、座部2に対して背部3を容易に屈曲させることができる。合わせて、屈曲状態から伸ばされたときに弾力性を維持することができる。
【0052】
また、個々のクッション材9は一定の体積を有するので、固体としてのクッション性と弾力性とを併せ持つ。さらに、クッション材9がクッション材収納部10に収納されたとき、クッション材9同士の間に空間が形成されるので、座椅子1の軽量化に貢献する。
【0053】
また、座椅子1は内容積が小さい梱包箱21に収納する場合、座部2又は背部3の先端部分を屈曲させてコンパクトにしたいという課題がある。この課題に対し、
図2(b)に示すように、座椅子1は、座部2或いは背部3の少なくとも一方において、座椅子構成部の先端と構成フレームの先端とに挟まれた先端領域Mである座部先端2a或いは背部先端3aの少なくとも一方が屈曲するので、収納時によりコンパクトな形態にすることができる。
【0054】
<折り畳み箱入り座椅子の構成>
次に、本発明の第二の態様に係る折り畳み箱入り座椅子50を説明する。
図8に示すように、折り畳み箱入り座椅子50は、座椅子1が直方体の梱包箱21に収納されたものである。梱包箱21は、開口部20が四つの内壁である第一内壁23から第四内壁26によって形成されている。
図6等に示すように、座椅子1が載置される面を底面Bとする。
図8に示すように、座椅子1は、屈曲部4が、座部2と背部3とのなす角度θが鋭角になるよう折り畳まれた状態で、第一内壁23と第二内壁24で形成された第一角部22に位置する。背部3の底面Bが第一内壁23に接触し、座部2の底面Bが第二内壁24に接触して梱包箱21に梱包されている。
【0055】
折り畳み箱入り座椅子50の梱包箱21は、
図9(b)に示す三方の寸法が縦寸法W1、横寸法W2、及び高さ寸法Hである。梱包箱21は、寸法の合計であるW1+W2+H=1,600mmを境として輸送費用が異なるといった実態がある。具体的には、三方の寸法の合計が1,600mm未満であればいわゆる宅配サイズと呼ばれ、宅配便で輸送することができる。折り畳み箱入り座椅子50は、寸法的に大きなハイバックの形状を維持しつつ、宅配サイズで輸送できる。宅配便で輸送できるか否かによって輸送費用が異なるため、梱包された状態を宅配サイズに納めることは費用面のメリットが大きい。なお、梱包箱21は、直方体であるが、中でも開口部20が正方形であるものが望ましい。梱包箱21は、三方の寸法合計が一定の場合、開口部20が正方形の場合に長方形に比べて容積が大きくなる。さらには、梱包箱21が立方体である場合に最も容積が大きい。
【0056】
梱包箱21の開口部20が正方形の場合について説明する。
図9に示すように、梱包箱21は、梱包時に内側折り曲げ蓋21aを内側に折り込み、さらに外側折り曲げ蓋21bを折り込む。
図9(c)に示すように、梱包箱21が閉じられた状態では、内側折り曲げ蓋21aと、外側折り曲げ蓋21bとが重なる。開口部20が正方形の場合、開口部20は、内側折り曲げ蓋21aと外側折り曲げ蓋21bが重なることにより内部が隙間なく覆われる。この構成は、梱包箱21の天面側27と底面側28とに形成されるので、梱包後の強度が強くなる。そのため、梱包箱21の内部に副資材を入れて補強する必要がない。
【0057】
次に、本発明の第三の態様に係る折り畳み箱入り座椅子51を説明する。
図8(c)に示すように、折り畳み箱入り座椅子51は、折り畳み箱入り座椅子50と同様の構成に加えて、座椅子1は、座部2又は背部3の少なくとも一方の先端領域Mが屈曲するものである。座部2又は背部3の少なくとも一方は、先端領域Mである座部先端2a又は背部先端3aの少なくとも一方が屈曲して、底面Bが第三内壁25又は第四内壁26に接触して梱包箱21に梱包されている。例えば
図8(c)に示すように、座椅子1は、座部2の先端領域Mである座部先端2aが屈曲することにより、梱包箱21の第三内壁25に沿って変形した状態で梱包される。本発明による具体的な例として、座椅子1は、寸法がW1=W2=550mm、H=490mmである。折り畳み箱入り座椅子50と同様に、座椅子1は、三方向の寸法の合計が1590mmである梱包箱21に収納される。
【0058】
<折り畳み箱入り座椅子の解決すべき課題とその効果>
以上説明したように、本発明の第二の態様に係る折り畳み箱入り座椅子50は以下の効果を奏する。座椅子1が梱包箱21に収納された折り畳み箱入り座椅子50は、輸送費用を低く抑えるためにコンパクトな状態にするという課題があり、この課題を解決するものである。
【0059】
図8に示すように、折り畳み箱入り座椅子50の座椅子1は、屈曲部4が梱包箱21の角部に位置し、座部2と背部3とのなす角度θが鋭角の状態で梱包される。よって、座椅子1は梱包箱21において、対角上に形成される広い領域を有効に活用して梱包されるので、コンパクトな梱包状態にすることができる。
【0060】
また、本発明の第三の態様に係る折り畳み箱入り座椅子51は、以下の効果を奏する。
図8(c)に示すように、折り畳み箱入り座椅子51の座椅子1は、座部2又は背部3の少なくとも一方の先端領域Mが屈曲することによりさらにコンパクトな梱包状況にすることができる。すなわち、座椅子1は、先端領域Mが屈曲すると、底面Bが第三内壁25又は第四内壁26に接触して梱包箱21に梱包される。よって、座椅子1は梱包箱21に合わせて変形するため、よりコンパクトな折り畳み箱入り座椅子51を提供することができる。
【0061】
具体的には、座椅子1が三方向の寸法の合計が1590mmである梱包箱21に収納されるので、いわゆる宅配サイズに納めることができる。折り畳み箱入り座椅子50、51は、寸法的に大きなハイバックの形状を維持しつつ、宅配サイズで輸送できる。よって、宅配便として輸送することが可能であり、輸送費用を低く抑えることができる。この効果は、工場から販売店等へ輸送するときに必要となる輸送費用が低減されるので、商品を販売するときの費用を低く抑えることができる。
【0062】
<座椅子の梱包方法>
次に、本発明の第四の態様に係る座椅子1の梱包方法を説明する。座椅子1の梱包方法は以下の行程工程を伴って行われる。
図8に示すように、座椅子1の梱包方法は、座椅子1を、開口部20が四つの内壁である第一内壁23から第四内壁26によって形成された直方体の梱包箱21に梱包する。
図6等に示すように、座椅子1が載置される面を底面Bとする。
図8に示すように、座椅子1は、屈曲部4が、座部2と背部3とのなす角度θが鋭角になるよう折り畳む。屈曲部4は、第一内壁23と第二内壁24で形成された第一角部22に位置させる。背部3の底面Bは第一内壁23に接触させ、座部2の底面Bは第二内壁24に接触させて梱包箱21に梱包する。
【0063】
次に、本発明の第五の態様に係る座椅子1の梱包方法を説明する。第四の態様に係る梱包方法に対してさらに以下の行程工程が加わる。座椅子1は、座部2又は背部3の少なくとも一方は、先端領域Mを屈曲させ、底面Bを第三内壁25又は第四内壁26に接触させて梱包箱21に梱包する。例えば
図8(c)に示すように、座椅子1は、座部2の先端領域Mである座部先端2aを屈曲させ、梱包箱21の第三内壁25に沿って変形させて梱包する。
【0064】
<座椅子1の梱包方法の解決課題とその効果>
以上説明したように、座椅子1の梱包方法は種々の効果を奏する。座椅子1は、輸送費用を低く抑えるためにコンパクトに梱包する方法が求められる。この課題に対して、
図8に示すように、座椅子1は、梱包箱21の角部に座椅子1の屈曲部4を位置させ、座部2と背部3とのなす角度θが鋭角の状態で梱包するので、対角上に形成される広い領域を有効に活用して梱包される。よって、座椅子1を梱包箱21にコンパクトに梱包する梱包方法を提供することができる。
【0065】
また、
図8(c)に示すように、座椅子1は、座部2又は背部3の少なくとも一方の先端領域Mを屈曲させ、底面Bが第三内壁25又は第四内壁26に接触するよう梱包箱21に梱包する。よって、座椅子1は梱包箱21に合わせた形態で収納するので、座椅子1をよりコンパクトに梱包する座椅子1の梱包方法を提供することができる。本発明の第二及び第三の態様に係る折り畳み箱入り座椅子50、51にて説明したのと同様に、座椅子1の梱包方法によれば、座椅子1をいわゆる宅配サイズの梱包箱21に梱包することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 座椅子
2 座部
2a 座部先端
3 背部
3a 背部先端
4 屈曲部
5 座部フレーム
6 背部フレーム
7 連結部材
8 座椅子カバー
9 クッション材
10 クッション材収納部
11 屈曲部仕切(引布)
12 座部仕切(引布)
13 背部仕切(引布)
14 フレーム収納部
15 第一収納部
16 第二収納部
17、17a、17b、17c 区域
18 バンド
20 開口部
21 梱包箱
21a 内側折り曲げ蓋
21b 外側折り曲げ蓋
22 第一角部
23 第一内壁
24 第二内壁
25 第三内壁
26 第四内壁
45 クッション材
50、51 折り畳み箱入り座椅子
θ 座部と背部とがなす角度
B 底面
D クッション材投入方向
E フレーム挿入方向
H 高さ寸法
L1 屈曲部仕切長さ
L2 座部仕切長さ
L3 背部仕切長さ
M 先端領域
W1、W2 幅寸法