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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】異常診断システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B23/02 301Y
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020202029
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089556
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】尾島 正禎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正裕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英之
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-041849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機器の異常を診断する異常診断システムであって、
前記産業機器の状態監視情報に基づきデータの分析を行うデータ分析部と、
前記データの分析結果を表示する表示装置と、を有し、
前記データ分析部は、
前記データの分析過程の妥当性を判断するための判定因子を算出して前記データの分析過程の前記妥当性を判断する妥当性判断部を有し、
前記表示装置は、
前記妥当性の判断結果を表示し、
前記データ分析部は、
前記状態監視情報の前記分析に必要な前記データを前処理して加工する前処理部と、
前記前処理された前記データから前記分析の特徴となる特徴量を抽出する特徴量抽出部と、を更に有し、
前記妥当性判断部は、
前記前処理部と前記特徴量抽出部からの入力情報に基づいて、前記妥当性を判断するための前記判定因子を算出し、
前記表示装置は、
所定の情報を入力可能な表示入力装置により構成され、
前記データ分析部は、
前記特徴量を用いて前記産業機器の異常を診断する診断部を、更に有し、
前記診断部は、
前記表示入力装置から入力された診断パラメータと診断モデルを用いて、前記産業機器の異常を診断することを特徴とする異常診断システム。
【請求項2】
前記妥当性の判断結果に対応した前記診断パラメータの修正方法を記憶した判定データベースを、更に有し、
前記判定データベースから前記妥当性の判断結果に対応した前記診断パラメータの修正方法を読み出して前記表示装置に表示することを特徴とする請求項に記載の異常診断システム。
【請求項3】
前記表示装置は、
前記妥当性の判断結果として、判断項目毎に前記データの分析が適切に行われているか否かを表示し、
前記データの分析が適切に行われていない場合には、前記判定データベースから前記妥当性の判断結果に対応した前記診断パラメータの修正方法を読み出し、
前記データの分析が適切に行われていない前記判断項目に対応させて前記診断パラメータの修正方法を表示することを特徴とする請求項に記載の異常診断システム。
【請求項4】
前記妥当性判断部は、
前記状態監視情報が所定の測定レンジの範囲に収まるように前記判定因子を設定することを特徴とする請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項5】
前記判妥当性判断部は、
前記特徴量におけるピーク値又はピーク位置が所定の範囲に収まるように前記判定因子を設定することを特徴とする請求項に記載の異常診断システム。
【請求項6】
前記診断部は、
前記診断パラメータを変更して前記診断モデルを調整する場合、
前記表示入力装置から前記診断パラメータの調整幅を予め診断パラメータ探索幅として入力して、前記産業機器の異常を診断し、
前記データ分析部は、
前記診断パラメータ探索幅に応じて複数回の前記データの分析を行い、
前記表示入力装置は、
前記診断パラメータ探索幅に対応させて、前記妥当性の判断結果を表示することを特徴とする請求項に記載の異常診断システム。
【請求項7】
前記データ分析部は、
複数の診断パッケージで構成され、
前記診断パッケージ毎に、前記データの分析過程の前記妥当性を判断し、
前記表示装置は、
前記診断パッケージ毎に、前記妥当性の判断結果を表示することを特徴とする請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項8】
前記産業機器の所有者から前記異常断システムのシステム提供者に前記判定因子を送付し、
前記システム提供者が前記データの分析を行うために用いる診断パラメータを調整する回数又は量に応じて前記異常診断システムの料金が変更されることを特徴とする請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項9】
産業機器の異常を診断する異常診断システムであって、
前記産業機器の状態監視情報に基づきデータの分析を行うデータ分析部と、
前記データの分析結果を表示する表示装置と、を有し、
前記データ分析部は、
前記データの分析過程の妥当性を判断するための判定因子を算出して前記データの分析過程の前記妥当性を判断する妥当性判断部を有し、
前記表示装置は、
前記妥当性の判断結果を表示し、
前記産業機器の状態を監視する状態監視部と前記データ分析部とを有する診断装置と、
前記妥当性の判断結果に対応して前記データの分析を行うために用いる診断パラメータの修正方法を記憶した判定データベースを有するストレージと、
前記データの分析結果を表示する前記表示装置と、をネットワークで接続し、
前記表示装置は、
前記データの分析過程の前記妥当性の判断結果と、前記判定データベースから読み出された前記妥当性の判断結果に対応した前記診断パラメータの修正方法を表示することを特徴とする異常診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常診断システム及び異常診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造工場における生産ラインの機器管理において、生産を継続するために適切な保守をすることは重要である。そのため、突発故障により機器の運用を止める必要が出ることを避けるために、機器の異常を検知し故障を未然に防ぐ技術が開発されている。
【0003】
近年、このような異常検知技術において、機器の状態監視の情報を活用して機械学習などのデータ分析により異常を検知する技術が開発されている。このような異常検知技術において、十分な精度で故障を事前に検知するためには、そのデータ分析過程の妥当性を十分に検証する必要がある。
【0004】
このような異常検知におけるデータ分析過程の妥当性検証手法として、特許文献1のように、状態監視データのヒストグラムなどをグラフィカルに表示し、分析者がその妥当性を判断することを支援するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-16209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
状態監視データのヒストグラムなどから異常診断のデータ分析過程の妥当性を検証する際には、どのような表示であれば妥当であるかを判断する必要がある。このため、データ分析に関する専門知識と装置の運用に関する専門知識が必要不可欠となる。
【0007】
しかし、運用現場のエンジニアは、装置そのものや故障現象に関する専門知識を有するが、データ分析に関する専門知識も有する人は極めて少ない。
【0008】
本発明の目的は、データ分析に関する専門知識を有しない人でも、簡便にデータ分析過程の妥当性を判断することが可能な異常診断システム及び異常診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の異常診断システムは、産業機器の異常を診断する異常診断システムであって、前記産業機器の状態監視情報に基づきデータの分析を行うデータ分析部と、前記データの分析結果を表示する表示装置と、を有し、前記データ分析部は、前記データの分析過程の妥当性を判断するための判定因子を算出して前記データの分析過程の前記妥当性を判断する妥当性判断部を有し、前記表示装置は、前記妥当性の判断結果を表示することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の異常診断方法は、産業機器の異常を診断する異常診断方法であって、前記産業機器の状態監視情報に基づきデータの分析を行い、前記データの分析過程の妥当性を判断するための判定因子を算出して前記データの分析過程の前記妥当性を判断し、前記データの分析結果と前記妥当性の判断結果を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、データ分析に関する専門知識を有しない人でも、簡便にデータ分析過程の妥当性を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の異常診断システムの構成を示す図である。
図2】実施例1のユーザーインターフェースの例を示す図である。
図3】実施例1の判定因子の例を示す図である。
図4】実施例2の異常診断システムの構成を示す図である。
図5】実施例2のユーザーインターフェースの例を示す図である。
図6】実施例3の異常診断システムの構成を示す図である。
図7】実施例3のユーザーインターフェースの例を示す図である。
図8】実施例4の異常診断システムの構成を示す図である。
図9】実施例5の異常診断システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1を参照して、実施例1の異常診断システムの構成について説明する。
産業機器の状態を状態監視部101により監視し、その情報を用いてデータ分析部102で機器の異常や劣化傾向を検知し、その分析結果を表示入力装置107に表示する。
【0015】
データ分析部102は、状態監視部101から送付されたデータから分析に必要なデータに加工する前処理部103、前処理されたデータから分析の特徴となる情報を抽出する特徴量抽出部104、抽出された特徴量を活用して機器の異常や劣化傾向を推定する診断部106及びデータ分析の妥当性を判断する妥当性判断部113を有する。
【0016】
妥当性判断部113は、前処理部103や特徴量抽出部104の入出力情報から、データ分析の妥当性を判断するための判定因子を算出し、算出した判定因子に基づきデータ分析の妥当性を判断し、妥当性判断結果109を表示入力装置107に表示する。
【0017】
診断を実施するためには、表示入力装置107から診断パラメータ108を入力し、複数の診断を行う場合は診断パラメータ108として診断モデル105の指定を行う。また、判定データベース110には妥当性判断結果109に対応した診断パラメータ108の修正方法が記憶されており、妥当性判断結果109に合わせて適切な診断パラメータ108の修正方法を表示入力装置107に送付する。
【0018】
図2は、表示入力装置107に表示されるユーザーインターフェースの例を示す。
上段は、データ分析における前処理部103、特徴量抽出部104、診断モデル105及びそれらに対する診断パラメータ108を入力するためのインターフェースを示している。この例では、前処理としてはFFT(高速フーリエ変換)、特徴量としては高調波、診断としてはMT法(マハラノビス・タグチ法)が選択されている。また、FFTに関しては二つのパラメータA、B、高調波に関しては3つのパラメータX、Y、Zに対して初期値がそれぞれ与えられている。
【0019】
これらの入力情報と状態監視部101からのデータをもとに診断部106にて産業機器の異常や劣化傾向を診断し、その分析結果を下段のユーザーインターフェースに表示する。
【0020】
また、下段のユーザーインターフェースには、分析結果に加えて、妥当性判断結果109及び判定データベース110に記憶された妥当性判断結果109に対応した診断パラメータの修正方法が表示されている。
【0021】
この例では、3つの判断項目(1)、(2)、(3)が表示されており、そのうち1つの判断項目(1)はOK(適切に分析が出来ている)であり、残りの2つの判断項目(2)、(3)はNG(分析が適切に行われていない)である状態を示している。
【0022】
また、NGとなった判断項目に対しては、修正方法がそれぞれ示されている。具体的には、判断項目(2)に対して状態監視の測定レンジを大きくする指示が表示されている。また、判断項目(3)に対しては高調波のパラメータXを大きくする指示が表示されている。
【0023】
このように、妥当性判断結果109としてデータ分析が妥当であるかないかを表示入力装置107に表示する。また、その修正方法として診断パラメータ108の修正方法を表示入力装置107に表示する。これにより、データ分析に関する専門知識を有していない人でも適切に診断パラメータ108を調整できる。
【0024】
次に、妥当性判断結果109の導出例を図3に示す。
2つの判断項目例に対して、それぞれデータ分析過程をグラフィカルに妥当性判断した例と、判定因子の算出例を示す。まず、一つ目は、データ分析の前処理に関連して、状態監視部101の測定レンジに関する妥当性判断の例を図3(1)に示す。
【0025】
状態監視は測定レンジ内で行われるべきであり、測定レンジを超えている場合は正確な状態量が計測されないため異常診断を正しく行うことが出来ない。そのため、グラフィカルな妥当性判断としては、状態監視信号が測定レンジ内に入っているかどうかにより判断できる。
【0026】
この判断を判定因子として算出すると、状態監視信号の最大値が測定レンジ上限よりも小さく、信号最小値が測定レンジ下限よりも大きい場合には妥当性ありとして判定因子を算出する。一方、信号最大値が測定レンジ上限と一致しているか、信号最小値が測定レンジ下限と一致している場合には妥当性なしとして判定因子を算出する。
【0027】
このようにすることで、グラフィカルに状態監視信号を確認することなしに、自動的に算出した判定因子によりデータ分析の妥当性が判断可能となる。
【0028】
次に、特徴量抽出におけるピーク検出に関する妥当性判断の例を図3(2)に示す。
【0029】
周波数スペクトル等から特徴量を抽出する場合、特徴量としてある検出幅のなかからピーク値を抽出する場合がある。この時、グラフィカルな妥当性判断としては、検出されたピーク値が周辺のスペクトルのノイズレベルよりも十分に大きい場合には妥当性ありと判断され、ノイズレベルと同等の場合は妥当性なしと判断される。
【0030】
この判断を判定因子として算出すると、(ピーク値/周辺の信号平均値)の値が判定閾値よりも大きい場合に妥当性あり、閾値以下である場合に妥当性なしと判断できる。例えば、判定閾値を2とした場合、ピーク値が周辺の信号平均値の2倍以上であれば妥当性ありと判断され、2倍以下であれば妥当性なしと判断される。この判定閾値はあらかじめ定めておいてもよいし、診断パラメータ108の一部として与えてもよい。
【0031】
このようにすることで、ピーク検出にかんする妥当性判断も、グラフィカルな判断ではなく判定因子による判断が可能になる。このような判定因子はデータ分析過程から複数算出され、一つのデータ分析過程から複数の判定因子が算出されてもよい。
【0032】
次に、図3(2)と同様に、特徴量抽出におけるピーク検出に関して、検出されたピーク値を示す位置に関しても妥当性を判断する必要があることがある。このピーク位置に関する妥当性判断の例を図3(2)に示す。
【0033】
グラフィカルな判断例としては、あるピーク検出幅に対して、実際に検出されたピーク位置が検出幅の中にあればデータ分析は妥当であり、検出されたピーク位置が検出幅の端にあった場合には検出幅の外により大きなピークが存在する可能性がありデータ分析は妥当でないと判断できる。この判断を、判断因子として算出する場合、ピークの位置を検出幅の上限および下限と比較して、ピーク位置が上下限の間に入っている場合は妥当性あり、ピーク位置が上下限と同じ場合は妥当性なしと判断することが出来る。
【0034】
このように、1つのデータ分析過程から複数の妥当性判断結果109が算出されることもある。
【0035】
また、図3(2)、(3)の妥当性判断結果109の例に対して、妥当性なしと判断された場合のデータ分析の修正方法としては測定レンジを拡大することやピーク検出幅を拡大することが考えられる。
【0036】
そのため、このような修正が可能な診断パラメータ108と妥当性判断結果109の組み合わせを判定データベース110に保存しておくことで、妥当性判断結果109に基づき診断パラメータ108の修正方法を導出し、その結果を表示入力装置107に表示することが出来るようになる。
【0037】
但し、このような妥当性判断結果109の表示や診断パラメータ108の入力は、図2のようなグラフィカルユーザーインターフェースだけでなく、プログラムのソースコートやグラフ表示機能などを使用してもよい。
【実施例2】
【0038】
図4を参照して、実施例2の異常診断システムの構成について説明する。
通常、診断モデル105を調整する場合は、実施例1にように、診断パラメータ108を変更して調整する。実施例2では、診断パラメータ108の調整幅をあらかじめ診断パラメータ幅111として与えて、その中で診断を実行し妥当性判断結果109を表示入力装置107に表示する。これにより、診断パラメータ108の調整を素早く行うことが出来るようになる。
【0039】
ただし、必ずしもすべての診断パラメータ108に対して診断パラメータ探索幅111を入力する必要はなく、診断パラメータ108と併用しても構わない。また、実施例2では、図1に示す判定データベース110は存在しない。その他の構成は、図1に示す実施例1の異常診断システムの構成と同じなのでその説明は省略する。
【0040】
図5に、診断パラメータ108と診断パラメータ探索幅111を併用した場合のユーザーインターフェースの例を示す。図2と同様の前処理、特徴量、診断を選択しており、パラメータのなかでパラメータXに関しては診断パラメータ探索幅111を用いて、それ以外のパラメータに関しては診断パラメータ108を指定している。
【0041】
この時、診断を実施すると診断パラメータ探索幅111に応じて複数回のデータ分析が行われ、各データ分析における判定因子を一括して中段に表示している。このように、診断パラメータ探索幅111に対応する判定因子を一括して表示することで、データ分析が適切に行われたと判断された判定因子が出来るだけ多いパラメータを選択することが出来、診断パラメータ108の調整を素早く行うことが出来るようになる。
【0042】
また、このように診断パラメータ探索幅111を用いた調整をパラメータ毎に順番に行ったり、多数のパラメータに対して同時に診断パラメータ探索幅111を設定し調整を行ってもよい。
【実施例3】
【0043】
図6を参照して、実施例3の異常診断システムの構成について説明する。
実施例3では、データ分析部102に関して、前処理や特徴量抽出、診断を組み合わせた診断パッケージ112を用いて、表示入力装置107から入力する診断パラメータ108を少なくすることで、より簡便に診断パラメータを調整できるようになる。その他の構成は、図1に示す実施例1の異常診断システムの構成と同じなのでその説明は省略する。
【0044】
この時、診断パッケージ112は一つだけではなく、いくつかの故障を検出するために複数の診断パッケージ112を用意してもよく、その場合のユーザーインターフェースの例を図7に示す。
【0045】
図7では、3つの診断パッケージが用意されており、そのうち2つの診断パッケージ劣化Aと劣化Bが選択されており、それぞれに対するパラメータが入力されている。この時、診断を実行するとそれぞれの診断パッケージ112に対する診断結果が表示され、妥当性判断結果109に関しても診断パッケージ112ごとに表示される。
【0046】
このようにすることで、前処理や特徴量抽出、診断の組み合わせを選択することなく、簡便に診断パラメータ108を調整することが出来るようになる。
【実施例4】
【0047】
図8を参照して、実施例4の異常診断システムの構成について説明する。
実施例4では、図8に示すように、設備運用者が所有する診断対象装置100に対して、異常検知システムのシステム提供者が診断パラメータ108を調整する。診断対象装置100の状態を状態監視部101で監視し、監視したデータをもとにデータ分析部102において異常や劣化の傾向を検知し、その結果を表示入力装置107に送付する。
【0048】
この時、診断対象装置100と状態監視部101以外は設備運用者とシステム提供者それぞれからアクセス可能な共用部であってもよい。データ分析部102から妥当性判断結果109がシステム提供者に送付され、システム提供者は自身が保持している判定データベース110にもとづき、診断パラメータ108を調整する。
【0049】
これにより、システム提供者が遠隔からでも適切に診断パラメータ108を調整できるようになる。また、設備運用者が共用部を用いて診断パラメータ108を調節し、調節が困難な時にのみシステム提供者に調節を依頼することもでる。この結果、システム提供者に調整を依頼する数や量などにおいて調整量を課金することで、システム提供者の作業量に応じた利用料の算出が可能となる。
【実施例5】
【0050】
図9を参照して、実施例5の異常診断システムの構成について説明する。
実施例5では、図9に示すように、状態監視部101とデータ分析部102を一体とした診断装置120を用いる。診断対象装置100に接続された診断装置120は、状態監視部101とデータ分析部102を有しており、ウェブGUI121から送付された診断パラメータ108に応じてデータ分析を行い、データ分析結果は表示及び入力用のウェブGUI121に送付される。
【0051】
このウェブGUI121は、診断装置120に内蔵されていても、ネットワーク上に構成されていてもよい。この時、診断装置120から妥当性判断結果109がストレージ122に送付され、ストレージ122上に保存されていた判定データベース110と照らし合わせることで、診断パラメータ108の修正方法がウェブGUI121上に表示される。
【0052】
このようにして、分析者はウェブGUI121を用いて診断パラメータ108の修正を適切にかつ簡便に行うことが出来るようになる。
【0053】
上記実施例によれば、データ分析に関する専門知識を有しない人でも、簡便にデータ分析過程の妥当性を判断することができる。
【0054】
ここで、図1に示すデータ分析部102は、例えば、記憶装置及びCPU等を有する計算機で構成される。また、図1に示す「~部」は、例えば、プロセッサ(CPU等)によりプログラムを実行することによりその「機能」が実現される。
【符号の説明】
【0055】
100 診断対象装置
101 状態監視部
102 データ分析部
103 前処理部
104 特徴量抽出部
105 診断モデル
106 診断部
107 表示入力装置
108 診断パラメータ
109 妥当性判断結果
110 判定データベース
111 診断パラメータ探索幅
112 診断パッケージ
113 妥当性判断部
120 診断装置
121 表示・入力WebGUI
122 ストレージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9