(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両用リアモジュールの製造方法、車両用バックドア、車両用リアモジュールおよび車両用モジュール
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20231124BHJP
B62D 29/04 20060101ALI20231124BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20231124BHJP
B29C 45/13 20060101ALI20231124BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B60J5/10 Z
B62D29/04 Z
B29C45/16
B29C45/13
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2020507836
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011454
(87)【国際公開番号】W WO2019181944
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2018053289
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053290
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053291
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053292
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053293
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053294
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053295
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 康章
(72)【発明者】
【氏名】望月 大介
(72)【発明者】
【氏名】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 剛直
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】中林 政昭
(72)【発明者】
【氏名】原 弘明
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
(72)【発明者】
【氏名】金子 勝
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165273(JP,A)
【文献】実開昭61-175010(JP,U)
【文献】特開2014-040132(JP,A)
【文献】特開2014-175199(JP,A)
【文献】特開2003-211956(JP,A)
【文献】特開平11-245659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
B62D 29/04
B29C 45/16
B29C 45/13
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールの製造方法であって、
前記車両用リアモジュールは、
少なくともストップランプとターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部とを一体的に(monolithically)有するクリア部材と、
少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色部材とを有し、
前記車両用リアモジュールの製造方法は、
単一の樹脂射出孔から第1キャビティへ透明樹脂を射出して前記クリア部材を形成する工程と、
複数の樹脂射出孔から第2キャビティへ着色樹脂を射出して前記着色部材を形成する工程と、を有する、車両用リアモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記クリア部材が配置された前記第2キャビティへ、前記着色樹脂を射出して前記着色部材を形成する、請求項1に記載の車両用リアモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記着色部材が配置された前記第1キャビティへ、前記透明樹脂を射出して前記クリア部材を形成する、請求項1に記載の車両用リアモジュールの製造方法。
【請求項4】
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用バックドアであって、
少なくともストップランプとターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部とを一体的に(monolithically)有するクリア部材と、
少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色部材と、
を有する車両用リアモジュールと、
前記車両用リアモジュールよりも車両の内側に設けられたバックドアインナと、
を有し、
窓部を平面視した時に前記クリア部材の外縁の全周を縁取るように、前記着色部材がクリア部材に接合されており、
前記着色部材は直線的に延びる直線部を有し、前記直線部はハニカム構造で構成されている、
車両用バックドア。
【請求項5】
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールであって、
少なくともストップランプおよびターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部と、を一体的に(monolithically)有し、
少なくとも前記窓部の車外側の面にハードコート層が設けられ、
前記ハードコート層は、アクリル樹脂又はアクリルウレタン樹脂と、着色材料と、シリカナノ微粒子と、により構成されており、
前記ランプ部と前記窓部とを一体的に有するクリア要素と、車両後方から見た時に少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色要素と、を備え、
前記ハードコート層が前記着色要素の車外側の面に設けられている、車両用リアモジュール。
【請求項6】
前記ハードコート層が前記クリア要素の車外側の面および前記着色要素の車外側の面にわたって設けられている、請求項5に記載の車両用リアモジュール。
【請求項7】
前記ハードコート層が前記クリア要素の車外側の面および前記着色要素の車外側の面の全体にわたって設けられている、請求項6に記載の車両用リアモジュール。
【請求項8】
車両の開口を開閉可能に取り付けられる樹脂製の車両用モジュールであって、
窓部と、
レンズ部と、を有し、
閉じた状態では車両に取り付けられた光源部から出射された光を前記レンズ部が透過可能であり、
開いた状態では車両に取り付けられた光源部から出射された光が直接車外に出射可能であり、
前記レンズ部は、車両に取り付けられた左右一対の光源部から出射された光を透過可能なように左右一対に設けられている、車両用モジュール。
【請求項9】
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールであって、
第1仮想面に沿って広がる窓部と、
ランプユニットからの光を透過させる左右一対のランプ部と、
を一体に有し、
前記車両用リアモジュールの左右方向の端部の少なくとも一部は、前記第1仮想面と交差する第2仮想面に沿って延びており、
前記端部は、前記第1仮想面の法線方向について、前記窓部から離れるにつれて厚みが大きくなっている、
車両用リアモジュール。
【請求項10】
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールであって、
第1仮想面に沿って広がる窓部と、
ランプユニットからの光を透過させる左右一対のランプ部と、
を一体に有し、
前記車両用リアモジュールの左右方向の端部の少なくとも一部は、前記第1仮想面と交差する第2仮想面に沿って延びている、
車両用リアモジュールの製造方法であって、
前記車両用リアモジュールに対応する形状を有するキャビティに樹脂を注入する注入工程と、
前記キャビティ内の樹脂を押圧して前記キャビティ内に樹脂を広げる押圧工程と、
を有し、
前記キャビティの前記車両用リアモジュールの前記端部に対応する端部対応部において、前記押圧工程における押圧方向に直交する方向の寸法が樹脂の流れ方向に向かうにつれて大きくなっている、
車両用リアモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用リアモジュールの製造方法、車両用バックドア、車両用リアモジュールおよび車両用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上部に湾曲したリヤスポイラ部(突出部)を一体で備え、リヤスポイラ部よりも下部にストップランプユニットが配設された、樹脂製のアウタパネルの上側部分が開示されている。
【0003】
特許文献1には、樹脂製のアウタパネルと、インナパネルと、から構成される車両の後部の開口を開閉する樹脂製のバックドアが開示されている。
【0004】
特許文献1には、射出成形により形成した透明な樹脂パネルにより構成され、その一部が窓部を構成するリアモジュール(アウタパネル)が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ヒーター線(デフォッガー)を備えるリアウインドウガラスが開示されている。
【0006】
車両には、常に軽量化が求められている。そこで特許文献1は、車両の後部の開口を開閉する樹脂製のバックドアを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特許第5427190号公報
【文献】日本国特開昭62-253289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、車両のバックドアを樹脂部品で構成することを提案している。このバックドアは、インナパネルとアウタパネルとを有している。アウタパネルは、窓部とスポイラ部とハイマウントストップランプ部とを一体的に有する複雑な形状である。
【0009】
このように複雑な形状を有するアウタパネルは、湯回り性、即ち、溶融樹脂の廻り込みを考慮すると、複数のゲートから樹脂を流し込んで成形する、多点ゲート式の射出成形で成形すると作成しやすい。
【0010】
しかし本発明者は、このような多点ゲート式の射出成形でアウタパネルを成形すると、窓部において樹脂の流れ線(ウエルド)に起因して窓としての商品性が低下してしまうことに気が付いた。複雑な形状を形成するための加工難易度を下げることと、窓の商品性を向上させることを両立させることが難しい。
【0011】
そこで本発明は、作りやすく、かつ、商品性の高い車両用リアモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
特許文献1のバックドアのリアモジュール(アウタパネル)は、透明な樹脂を射出成形して透明なパネルを得た後に、当該パネルの車両内側および外側を塗装することにより形成されている。
【0013】
ところで、バックドアの開閉時等には、バックドアに衝撃力が作用する。このため、バックドアを構成する部品にはある程度の強度が求められる。一方で、バックドアのリアモジュールは車両のデザイン性に大きな影響を与える。また一方で、軽量化や透過性の観点からは当該部品を構成する樹脂の厚みが小さい方が好ましい。しかしながら、樹脂の厚みを小さくすると十分な強度を得ることが難しくなる。
【0014】
本発明は、高い強度を備え、外観意匠性に優れる車両用バックドアを提供することを目的とする。
【0015】
特許文献1のリアモジュールでは、その車両内側および外側が塗装されており、さらに外側は傷つき防止のためのコーティングが施されている。
【0016】
車両後方の窓部には耐擦傷性が求められる。また、近年プライバシー保護の観点などから車両後方の窓部の透過率が低く設定された車両が増えている。
【0017】
本発明は、新規な構成の窓部を備える車両用リアモジュールを提供することを目的とする。
【0018】
ところで、ガラス製の窓部は熱伝導率が高いため特許文献2のデフォッガーでも均一に窓部が温められて、結露によるくもりが消えやすい。しかしながら、特許文献1の樹脂製の窓部に特許文献2のデフォッガーを用いると、くもりが残りがちになることに、本発明者は気が付いた。
【0019】
そこで本発明は、樹脂製の窓部を均一に効率良く加熱することができる車両用リアモジュールを提供することを目的とする。
【0020】
ところで、本発明者は窓として機能する部位とレンズ部として機能する部位を併せもつ車両用モジュールを検討した。
【0021】
単純にランプ装置をリアモジュールに搭載するとランプ装置の重量だけ重くなる。またランプ装置を支持可能な剛性を確保するためにある程度の厚みが必要になり、重くなる。
【0022】
そこで本発明は、レンズ部を備えた軽量の車両用モジュールを提供することを目的とする。
【0023】
特許文献1のバックドアは、インナパネルとリアモジュール(アウタパネル)とを備えている。ところで、バックドアの開閉時等には、バックドアに衝撃力が作用する。このため、バックドアを構成する部品にはある程度の強度が求められる。
【0024】
そこで本発明者は、特にRCL等の左右一対のランプを有する高い強度のリアモジュールを製造するために、射出圧縮成形法を用いることを検討した。
【0025】
一方で、リアモジュールは車両のデザイン性に大きな影響を与える。また、リアモジュールには複雑な形状が求められる。
【0026】
しかし、車両の後部の開口を覆うほど大きく、かつ、複雑な形状を有するリアモジュールを射出圧縮成形で製造することは容易ではない。
【0027】
本発明は、歩留まり良く製造できる高い強度の車両用リアモジュールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために、本発明の車両用リアモジュールの製造方法は、
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールの製造方法であって、
前記車両用リアモジュールは、
少なくともストップランプとターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部とを一体的に(monolithically)有するクリア部材と、
少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色部材とを有し、
前記車両用リアモジュールの製造方法は、
単一の樹脂射出孔から第1キャビティへ透明樹脂を射出して前記クリア部材を形成する工程と、
複数の樹脂射出孔から第2キャビティへ着色樹脂を射出して前記着色部材を形成する工程と、を有する。
【0029】
当該製造方法によればクリア部材は単一の樹脂射出孔で射出成形されるので、樹脂流れ線が現れにくく、商品性が高められている。また、着色部材は複数の樹脂射出孔で射出成形されるので、流れやすく作りやすい。
【0030】
また、上記の車両用リアモジュールの製造方法は、
前記クリア部材が配置された前記第2キャビティへ、前記着色樹脂を射出して前記着色部材を形成してもよい。
【0031】
また、上記の車両用リアモジュールの製造方法は、
前記着色部材が配置された前記第1キャビティへ、前記透明樹脂を射出して前記クリア部材を形成してもよい。
【0032】
上記目的を達成するために、本発明の車両用バックドアは、
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用バックドアであって、
少なくともストップランプとターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部とを一体的に(monolithically)有するクリア部材と、
少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色部材と、
を有する車両用リアモジュールと、
前記車両用リアモジュールよりも車両の内側に設けられたバックドアインナと、
を有し、
前記車両用リアモジュールの前記着色部材が前記クリア部材よりも車両の内側に設けられている。
【0033】
当該車両用バックドアによれば、外観意匠性に優れ、併せて、優れた強度を備える車両用リアモジュールを搭載することで、高い強度を備え、外観意匠性に優れる車両用バックドアを構成できる。
【0034】
また、上記の車両用バックドアは、
前記車両用リアモジュールにおいて、前記クリア部材と前記着色部材とは二色成形により形成されていると好ましい。
【0035】
また、上記の車両用バックドアは、
前記着色部材は、車両の内側に向かって突き出す組み付け突起部を有し、
前記着色部材は、前記組み付け突起部を介して前記バックドアインナに取り付けられていると好ましい。
【0036】
上記目的を達成するために、本発明の車両用バックドアは、
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用バックドアであって、
少なくともストップランプとターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部とを一体的に(monolithically)有するクリア部材と、
少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色部材と、
を有する車両用リアモジュールと、
前記車両用リアモジュールよりも車両の内側に設けられたバックドアインナと、
を有し、
窓部を平面視した時に前記クリア部材の外縁を縁取るように、前記着色部材がクリア部材に接合されている。
【0037】
上記の構成の車両用バックドアによれば、クリア部材の外縁を着色部材が縁取ることにより、クリア部材と着色部材とを合わせて車両用リアモジュールの強度を高めることができる。併せて、クリア部材を薄くできることにより、軽い重量と十分な透光性を確保することができる。
【0038】
また、上記の車両用バックドアは、
前記着色部材が前記クリア部材の外縁に沿って連続していてもよい。
【0039】
また、上記の車両用バックドアは、
前記着色部材は直線的に延びる直線部を有し、前記直線部はハニカム構造で構成されていると好ましい。
【0040】
上記目的を達成するために、本発明の車両用リアモジュールは、
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールであって、
少なくともストップランプおよびターンシグナルランプの光を透過させるランプ部と、窓部と、を一体的に(monolithically)有し、
少なくとも前記窓部の車外側の面にハードコート層が設けられ、
前記ハードコート層は、アクリル樹脂又はアクリルウレタン樹脂と、着色材料と、シリカナノ微粒子と、により構成されている。
【0041】
上記の特定のハードコート層を備える車両用リアモジュールによれば、耐擦傷性を付与しつつも透過性を著しく下げずに済み、さらに所望の透過率を設定でき、搭乗者のプライバシーを保護することができる。
【0042】
また、上記の車両用リアモジュールは、
前記ランプ部と前記窓部とを一体的に有するクリア要素と、車両後方から見た時に少なくとも車両内部の一部を外部から遮蔽する着色要素と、を備え、
前記ハードコート層が前記着色要素の車外側の面に設けられている、と好ましい。
【0043】
当該構成によれば、窓部と着色要素とで同様のハードコート層が設けられていることにより、統一感のある見栄えを実現できる。
【0044】
また、上記の車両用リアモジュールは、
前記ハードコート層が前記クリア要素の車外側の面および前記着色要素の車外側の面にわたって設けられている、と好ましい。
【0045】
当該構成によれば、クリア要素と着色要素との境界にわたって同様のハードコート層が設けられていることにより、さらに統一感のある見栄えを実現できる。
【0046】
また、上記の車両用リアモジュールは、
前記ハードコート層が前記クリア要素の車外側の面および前記着色要素の車外側の面の全体にわたって設けられている、と好ましい。
【0047】
当該構成によれば、クリア要素と着色要素との全体にわたって同様のハードコート層が設けられていることにより、特に統一感のある見栄えを実現できる。
【0048】
上記目的を達成するために、本発明の車両用リアモジュールは、
窓部を有する樹脂製の車両用リアモジュールであって、
前記窓部には金属層で形成された面状ヒーターと、面状ヒーターに電力を供給する電極と、が設けられており、
前記金属層は、Al、Ag、Cu、Au、Rh、PtおよびCrから選択される金属により構成されており、前記金属層の厚みが20nm以上150nm以下とされている。
【0049】
当該車両用リアモジュールによれば、効率良く窓部を加熱し結露を除去することができ、かつ、搭乗員が車内から車外を視認することができる。
【0050】
また、上記の車両用リアモジュールは、
前記窓部の車外側の面にハードコート層が形成されており、
前記面状ヒーターは前記窓部の車内側に形成されていてもよい。
なお、前記面状ヒーターは、通常車内側に形成されるが、車外側に形成されても良い。
【0051】
上記目的を達成するために、本発明の車両用モジュールは、
車両の開口を開閉可能に取り付けられる樹脂製の車両用モジュールであって、
窓部と、
閉じた状態で車両に取り付けられた光源部から出射された光を透過可能なレンズ部と、を有する。
【0052】
また、上記の車両用モジュールにおいて、
前記レンズ部は、車両に取り付けられた左右一対の光源部から出射された光を透過可能なように左右一対に設けられている、と好ましい。
【0053】
上記目的を達成するために、本発明の車両用リアモジュールは、
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールであって、
第1仮想面に沿って広がる窓部と、
ランプユニットからの光を透過させる左右一対のランプ部と、
を一体に有し、
前記車両用リアモジュールの左右方向の端部の少なくとも一部は、前記第1仮想面と交差する第2仮想面に沿って延びており、
前記端部は、前記第1仮想面の法線方向について、前記窓部から離れるにつれて厚みが大きくなっている。
【0054】
上記の車両用リアモジュールは、端部が第1仮想面と交差する第2仮想面に沿って延びているので、高い強度が発揮される。また、前記端部の厚みが、第1仮想面の法線方向について窓部から離れるにつれて大きくなっている。このため製造時に樹脂が該部位を流れやすく、成形不良を抑制できる。
【0055】
また、本発明の車両用リアモジュールの製造方法は、
車両の後部に設けられた開口を開閉するように取り付けられる車両用リアモジュールであって、
第1仮想面に沿って広がる窓部と、
ランプユニットからの光を透過させる左右一対のランプ部と、
を一体に有し、
前記車両用リアモジュールの左右方向の端部の少なくとも一部は、前記第1仮想面と交差する第2仮想面に沿って延びている、
車両用リアモジュールの製造方法であって、
前記車両用リアモジュールに対応する形状を有するキャビティに樹脂を注入する注入工程と、
前記キャビティ内の樹脂を押圧して前記キャビティ内に樹脂を広げる押圧工程と、
を有し、
前記キャビティの前記車両用リアモジュールの前記端部に対応する端部対応部において、前記押圧工程における押圧方向に直交する方向の寸法が樹脂の流れ方向に沿って大きくなっている。
【0056】
本発明の車両用リアモジュールの製造方法では、金型のリアモジュールの端部に対応する端部対応部において、押圧工程における押圧方向に直交する方向の寸法が流れ方向に沿って大きくなっている。このため、製造時に樹脂が端部対応部を流れやすく、成形不良を抑制できる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、作りやすく、かつ、商品性の高い車両用リアモジュールの製造方法を提供することができる。
【0058】
本発明によれば、高い強度を備え、外観意匠性に優れる車両用バックドアを提供することができる。
【0059】
本発明によれば、高い強度を備え、高い商品性を備える車両用バックドアを提供することができる。
【0060】
本発明によれば、新規な構成の窓部を備える車両用リアモジュールを提供することができる。
【0061】
本発明によれば、樹脂製の窓部を均一に効率良く加熱することができる車両用リアモジュールを提供することができる。
【0062】
本発明によれば、レンズ部を備えた軽量の車両用モジュールを提供することができる。
【0063】
本発明によれば、歩留まり良く製造できる高い強度の車両用リアモジュールおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】第1の実施形態に係る車両用バックドアを備える車両の後部を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る車両用バックドアの構成を示す模式図である。
【
図3】第1の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールの正面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る金型の構成を示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールが形成される様子を示す工程図である。
【
図8】第1の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールが形成される様子を示す工程図である。
【
図9】第1の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールが形成される様子を示す工程図である。
【
図10】第1の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールが形成される様子を示す工程図である。
【
図11】第1の実施形態の好ましい態様における
図3のCで示す部分の裏側の拡大図である。
【
図12】第1の実施形態の好ましい態様における
図3のDで示す部分の裏側の拡大図である。
【
図13】第2の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールの正面図である。
【
図17】第3の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールの正面図である。
【
図18】第3の実施形態に係る面状ヒーターが設けられた車両用リアモジュールを示す図である。
【
図20】第4の実施形態に係る車両用バックドアの構成を示す模式図である。
【
図21】第4の実施形態に係る車両用バックドアが閉じた状態における、リアコンビネーションランプとレンズ部とを示す断面図である。
【
図22】第4の実施形態に係る車両用フロントモジュールを備える車両を示す模式図である。
【
図23】第5の実施形態に係る
図3のA-A’断面図である。
【
図24】第5の実施形態に係る金型の構成を示す模式図である。
【
図25】第5の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュールにハードコート層を形成する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0066】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0067】
[第1の実施形態]
(車両用バックドア及び車両用リアモジュール)
まず、
図1及び
図2を参照して、第1の実施形態に係る車両用バックドアを説明する。
図1は、車両用バックドア3を備えるハッチバック式の車両1の後部を示す斜視図である。
図2は、車両用バックドア3の構成を示す模式図である。車両用バックドア3は車両1の後部に設けられた開口2を開閉するように、車両1の後部に取り付けられている。車両用バックドア3は、車両用リアモジュール4と、車両用リアモジュール4よりも車両1の内側に設けられたバックドアインナ5と、を有している。
【0068】
車両用リアモジュール4は、車両1の後部の開口2を覆うことのできる大きさで形成されている(
図2)。車両用リアモジュール4は、クリア部材20と着色部材40とを有している。クリア部材20は、無色透明または有色透明の部材である。クリア部材20は、光を透過させるランプ部22と、窓部24とを一体に有している。着色部材40は、クリア部材20と比べて光の透過率が低い部材である。着色部材40は、少なくとも車両1の内部の一部を外部から視覚的に遮蔽するように、着色されている。クリア部材20及び着色部材40は樹脂製であり、例えばポリカーボネート(PC)で構成される。着色部材40は母体となるPC等の樹脂材料に着色材料が混練された材料で構成されている。また、着色部材40はフィラー等の添加材を含有してもよい。
【0069】
バックドアインナ5は、例えばポリプロピレン等の樹脂にガラス繊維等が混練された材料で構成される。ただし、バックドアインナ5を構成する材料は特定の樹脂に限られず、例えば金属であってもよい。バックドアインナ5は、車両用リアモジュール4の外周部の全周に亘るように形成され、ランプ部22と窓部24とに対応する開口部52が設けられている(
図2)。
【0070】
バックドアインナ5が車両用リアモジュール4に接着剤を介して接着されることで、車両用バックドア3は形成されている。車両用バックドア3は、バックドアインナ5に設けられたヒンジ(図示省略)を介して車両後部に取り付けられている。
【0071】
車両用リアモジュール4のクリア部材20のランプ部22の前方向の位置には、左右一対のリアコンビネーションランプが配置されている(図示省略)。本実施形態におけるランプ部22は、リアコンビネーションランプのストップランプ及びターンシグナルランプの光を透過させる。なお、リアコンビネーションランプは、車両用リアモジュール4に直接搭載されていてもよく、バックドアインナ5に搭載されていてもよく、車両用リアモジュール4及びバックドアインナ5の両方で支持されるように搭載されていてもよい。また、車体にリアコンビネーションランプを設けて車両用リアモジュール4のクリア部材20のランプ部22によりリアコンビネーションランプが覆われるようにしてもよい。
【0072】
続いて、
図3~
図5を参照して、本実施形態に係る車両用リアモジュール4を詳細に説明する。
図3は後述する本実施形態の製造方法により成形された直後の車両用リアモジュール(以下、張出部付車両用リアモジュール400とする。)の正面図である。
図4は
図3のA-A’断面図であり、
図5は
図3のB-B’断面図である。
【0073】
張出部付車両用リアモジュール400は、車両用リアモジュール4の上下左右方向のいずれかに向かって延びる張出部410を備えている(
図3~
図5)。別の言い方をすると、クリア部材20の窓部24の主平面が延びる方向に張出部410は延びている。張出部410には、射出ゲート痕420が形成されている。張出部410を除去することで、車両用リアモジュール4が形成される。張出部付車両用リアモジュール400は、クリア部材20と着色部材40とを二色成形することにより形成される。なお、張出部付車両用リアモジュール400及び車両用リアモジュール4のクリア部材20及び着色部材40については、説明の便宜上、同一の符号を付して同様の部材として説明する。
【0074】
クリア部材20は、前述のように窓部24とランプ部22とを一体に(monolithically)有し、さらにスポイラ部26を有してもよい(
図3~
図5)。窓部24はクリア部材20の左右方向の中心部分から左右方向に向かうにしたがって、緩やかに湾曲している。ランプ部22は、クリア部材20の左右の位置に一対で形成されており、クリア部材20の主曲面から後方向に向かって張り出るように構成されている(
図1及び
図2)。クリア部材20の左右方向の端部の一部(上下方向の略中央部分)は車両1の略前後方向に向かって延びており、ランプ部22の側面部を形成している(
図1、
図2及び
図4参照)。なお、ランプ部22におけるクリア部材20の厚みが薄く形成されていると、ランプの光を十分に透過させることができ好ましい。スポイラ部26は、クリア部材20の上部において左右方向に延びるように形成されており、クリア部材20の主曲面から後方向に向かって張り出るように構成されている(
図3および
図5)。スポイラ部26は、窓部24を平面視した時に、左右方向の中心部分から左右方向に延びるにつれて下方向に湾曲するように形成されている(
図3)。
【0075】
着色部材40は、車両1に搭載された際にクリア部材20よりも車両1の内側に位置するように設けられている(
図4及び
図5)。着色部材40は、クリア部材20の窓部24を平面視した時にクリア部材20の外縁を縁取るように、クリア部材20に接合されている(
図3)。具体的には、着色部材40はクリア部材20の外縁に沿って連続して形成されている。なお、ここでいう「縁取る」とは、クリア部材20の背面(車両1の前方向の面)に、クリア部材20の外縁から外にはみ出ないように外縁に沿った枠状の着色部材40が貼り付けられた構成を含むものである。着色部材40はクリア部材20のスポイラ部26の背面(車両1の前方向の面)にも設けられている。
【0076】
クリア部材20の窓部24及びランプ部22の車両1の後方向の面上にはクリア部材20の傷つきを防止するためのハードコート層が設けられている。なお、ハードコート層は窓部の傷付防止性がランプ部より高い方が、より好ましい。
【0077】
(車両用リアモジュールの製造方法)
続いて、
図6~
図10を参照して、本実施形態に係る車両用リアモジュール4の製造方法を説明する。
図6は、本実施形態において使用される金型100の構成を示す模式図である。
図7~
図10は、金型100により張出部付車両用リアモジュール400が形成される様子を示す工程図である。
【0078】
まず、
図6を参照して、金型100の構成を説明する。金型100は、いわゆる対向方式の二色成形用金型として構成されている。金型100は、水平方向に延びるX軸上において互いに向き合った状態で配置される第1のコア型102及び第2のコア型104と、第1のコア型102および第2のコア型104の間においてX軸と直交して鉛直方向に延びるY軸まわりに回転可能に配置された回転部材120と、Y軸に関して互いに背中合わせの状態で回転部材120に固定された同一形状の1対のキャビティ型106a,106bと、第1のコア型102を支持する可動盤112および第2のコア型104を支持する固定盤114とを備えている。キャビティ型106a,106bは、張出部410に対応する張出部形成部116を備えている。
【0079】
回転部材120は固定盤114に対してX軸方向に移動し得るように構成され、また、可動盤112は回転部材120に対してX軸方向に移動し得るように構成されている。なお、
図6においては、これらの相対移動の方向を矢印で示している。
【0080】
金型100は、材料が投入される際に第1のコア型102とキャビティ型106aとの間に形成される第1キャビティ122に、可動盤112に支持された第1の加熱シリンダ132から供給される透明樹脂142を単一の樹脂射出孔152から射出するように構成されている。単一の樹脂射出孔152は図示を省略する張出部形成部に透明樹脂142を射出するように配置されている。また、金型100は、材料が投入される際に第2のコア型104とキャビティ型106bとの間に形成される第2キャビティ124に、固定盤114に支持された複数の第2の加熱シリンダ134a,134bから供給される着色樹脂144を複数の樹脂射出孔154a,154bから射出するように構成されている。複数の樹脂射出孔154a,154bは張出部形成部116に着色樹脂144を射出するように配置されている。
【0081】
続いて、
図7~
図10を参照して、張出部付車両用リアモジュール400の製造方法を説明する。まず、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを接近させる(
図7(a))。この際、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを完全には当接させない。続いて、第1の加熱シリンダ132から供給される透明樹脂142を単一の樹脂射出孔152から第1キャビティ122へ射出する。所定量の透明樹脂142の注入が済んだところで、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを型締めして透明樹脂142を圧縮(押圧)する(
図7(b))。このようにしてクリア部材20を成形する。
【0082】
次に、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを型開きする(
図8(a))。なお、金型100はクリア部材20がキャビティ型106aに保持されたまま第1のコア型102から離脱するように構成されている。そしてこの状態で、回転部材120をY軸回りに180°回転させる(
図8(b))。
【0083】
次に、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを接近させる(
図9(a))。この際、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを完全には当接させない。そして再び、第1の加熱シリンダ132から供給される透明樹脂142を単一の樹脂射出孔152から第1キャビティ122へ射出する。所定量の透明樹脂142の注入が済んだところで、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを型締めして透明樹脂142を圧縮(押圧)する(
図9(b))。このようにして連続してクリア部材20を成形する。
【0084】
また、第1キャビティ122でのクリア部材20の成形とあわせて、第2キャビティ124において張出部付車両用リアモジュール400を成形する。クリア部材20の成形において第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを型締めして透明樹脂142を圧縮(押圧)するが、当該型締め後に、第2の加熱シリンダ134a,134bから供給される着色樹脂144を複数の樹脂射出孔154a,153bから第2キャビティ124におけるクリア部材20以外の部分に射出して着色部材40を成形する(
図9(b))。これにより、クリア部材20と着色部材40とが一体化された張出部付車両用リアモジュール400を完成させる。
【0085】
最後に、第1のコア型102および第2のコア型104と1対のキャビティ型106a,106bとを型開きする(
図10(a))。なお、金型100は型開きの際、張出部付車両用リアモジュール400が第2のコア型104に貼り付いた状態となるように構成されている。そしてこの状態で張出部付車両用リアモジュール400を取り出す(
図10(b))。この取出しは、押し出しピン(図示省略)によって第2のコア型104に貼り付いた張出部付車両用リアモジュール400を押し出して、取出し機(図示省略)で掴むことによって行う。
【0086】
ここで、単一の樹脂射出孔152から透明樹脂142を射出することにより形成されたクリア部材20は、バックライト光源の手前にクリア部材20を設置し、更にその手前に偏光フィルムを通してクリア部材20を観察することで、ひずみの存在を確認することができる。具体的には、JISR3211(自動車用安全ガラス)、JISR3212(自動車用安全ガラス試験方法)の方法により、評価することができる。複数の樹脂射出孔から樹脂を射出することによりクリア部材が形成された場合、上記の評価を行うと、例えば別の樹脂射出口から射出された樹脂の合流箇所において、残留応力によるひずみが確認される。これにより、単一の樹脂射出孔を用いて成形されたか、複数の樹脂射出孔を用いて成形されたか判別することができる。
【0087】
このようにして得られた張出部付車両用リアモジュール400の張出部410を取り除くことで、車両用リアモジュール4を得ることができる。またハードコート層は、張出部付車両用リアモジュール400から張出部410を取り除く前および後のいずれかにおいて形成する。
【0088】
(効果)
以上説明した本実施形態の車両用リアモジュール4の製造方法によれば、車両用リアモジュール4のクリア部材20を単一の樹脂射出孔152から射出される透明樹脂142によって成形することで、樹脂流れ線(ウエルド)を現れにくくすることができる。そして、光の透過性が要求されない着色部材40を複数の樹脂射出孔154a,154bから射出される着色樹脂144によって成形することで、成形を容易としつつ車両用リアモジュール4の強度を高めることができる。これにより、複雑な形状を有しながらも商品性の高い車両用リアモジュール4を好適に製造することができる。
【0089】
また、本実施形態の車両用リアモジュール4の製造方法において、張出部付車両用リアモジュール400を成形する態様を説明したが、張出部410を設けることで、車両用リアモジュール4に相当する量の樹脂よりも多めに樹脂を注入することができ、圧縮時に樹脂の充填が不十分となって、成形不良となることを防止することができる。
【0090】
また、車両用リアモジュール4の端部の一部が窓部24に対して屈曲している場合(本実施形態においてはランプ部22の側面部)、金型100を閉じた際に当該端部の一部に圧力が十分にかからない可能性がある。これに対して、キャビティ型106a,106bが張出部形成部116を有する金型100であれば、当該箇所においても圧力がかかり端部を形成する部分に樹脂が充填しやすくなる。これにより、成形不良を防止することができる。
【0091】
また、樹脂射出孔152,154a,154bが張出部形成部116に樹脂材料を射出するように配置されていることにより、樹脂射出孔152,154a,154bにより形成される射出ゲート痕420が張出部410に形成される。取り除かれる張出部410に射出ゲート痕420が形成されることで、射出ゲート痕420に起因した車両用リアモジュール4の視認性の低下を避けることができる。
【0092】
ところで、デザインと強度を両立させるために、本発明者はまずリアモジュールの全体をクリア部材20で構成することを検討した。クリア部材20を用いることで優れた美感を与えることができる。具体的には、従来車体パネルの一部として構成されていたバックドアの外観部品を、窓部24以外にも光を透過させることのできるランプ部22を備えるクリア部材20とすることで、窓部24とランプ部22が一体となった新しい意匠を表現することができる。また、ランプ部22を透過する光の態様を変化させることにより新しい美感を与えることもでき、デザイン性が向上する。
【0093】
しかしこの場合、クリア部材20の強度を確保しようと厚くすると、透過率が低下してしまい、窓部24として機能させにくくなることに気が付いた。そこで、強度を確保する部材をクリア部材20とは別に構成すると、クリア部材20の利点(デザイン性)を利用しつつ必要な強度を確保しやすいことに気が付いた。
【0094】
上記実施形態の車両用バックドア3によれば、車両用リアモジュール4の着色部材40がクリア部材20よりも車両1の内側に設けられていることにより、車内の目隠しとなる着色部材40が内側に配置されてクリア部材20が外装に現れるため、外観意匠性に優れる。併せて、クリア部材20を厚くせずに着色部材40により車両用リアモジュール4全体の強度を確保することができ、高い強度を備え、外観意匠性に優れる車両用バックドアとすることができる。
【0095】
ところで、リアモジュールの全体を単一の部材(クリア部材)のみで形成して、その厚みを大きくすることで強度を確保することはできる。しかしながら、クリア部材を厚くすると、リアモジュール自体が重くなり、また透光性が低くなる。窓部やランプ部を備える大型で複雑な形状を有するリアモジュールにおいて、単一の部材では高い強度、軽い重量および十分な透光性を同時に実現することが困難である。
【0096】
そこで、強度を確保する部材(着色部材)をクリア部材とは別にすると、軽い重量および十分な透光性を持たせつつ、必要な強度を確保しやすいことを本発明者らは見出した。
【0097】
上記実施形態の車両用バックドア3によれば、クリア部材20の外縁を着色部材40が縁取ることにより、クリア部材20と着色部材40とを合わせて車両用リアモジュール4の強度を高めることができる。したがって、クリア部材20を薄くして比較的強度が低くなっても、着色部材40によって強度を補完できるので、車両用リアモジュール4全体として必要とされる強度を満たすことができる。併せて、クリア部材20を薄くできることにより、軽い重量と十分な透光性を確保することができる。これにより、高い強度を備え、高い商品性を備える車両用バックドア3を提供することができる。
【0098】
(好ましい態様)
ここで、
図11に基づいて上記の実施形態における好ましい態様を説明する。
図11は、当該好ましい態様における
図3のCで示す部分の裏側の拡大図である。
図11に示すように、上記の実施形態の車両用リアモジュール4の着色部材40は、車両1の内側に向かって突き出す組み付け突起部42を有すると好ましい。そして、着色部材40は、組み付け突起部42を介してバックドアインナ5に取り付けることで、上記の実施形態の車両用バックドア3が形成されていると好ましい。尚、突起部42は、着色部材40における上下、左右方向において、適宜複数箇所も受けてもよい。
【0099】
ところで、従来のガラス製のリアウィンドウとバックドアインナとはウレタン系接着剤で固定されている。車両用リアモジュール4は、ランプユニットやセンサ等が搭載されて多機能化すると重量が増加し、接着部位に対して応力が増加して接着部位の剥離が生じるおそれがある。
【0100】
一方で上記の実施形態では、車両用リアモジュールの車両の内側に着色部材が設けられているので、その着色部分に組み付け突起部を形成することができる。そしてこの好ましい態様では、組み付け突起部42を有する着色部材40が、組み付け突起部42を介してバックドアインナ5に取り付けられることで、組み付き突起部42が車両用リアモジュールに働く外力に対抗するため、車両用リアモジュール4に作用する応力を分散することができ、接着部分の剥離や車両用リアモジュール4の破損を防止することができる。
【0101】
さらに、
図12に基づいて上記の実施形態における別の好ましい態様を説明する。
図12は、当該好ましい態様における
図3のDで示す部分の裏側の拡大図である。着色部材40は車両の左右方向に延びる直線部44を有しており(
図3参照)、
図12に示すように直線部44がハニカム構造46で構成されていると好ましい。
図12に示すハニカム構造46は、直線部44の延びる方向と交差する方向から視た時に、六角形が現れるように形成されている。
【0102】
着色部材40の直線部44をハニカム構造46で構成することで、着色部材40の温度変化による長手方向への伸縮を抑制することができ、温度変化に対する高い耐久性を備える車両用リアモジュールを得ることができる。また、着色部材40は強度を高めるためにフィラー等を含んでもよいが、ハニカム構造46を備える着色部材40によればフィラーを含まなくても強度を高めることができる。そのため、フィラーの使用に起因する重量の増加を回避でき、軽量の車両用リアモジュールを得ることができる。
【0103】
さらに、上記の実施形態における別の好ましい態様を説明する。上記の車両用リアモジュール4のクリア部材20の製造方法において、金型100の第1キャビティ122に透明樹脂142を射出する態様を説明したが(
図7参照)、クリア部材20を形成する際に、熱線が印刷されたフィルムを第1キャビティ122に収容し、インサート成形してデフォッガーを形成してもよい。例えばクリア部材20の窓部24に当該フィルムをインサートすることにより、デフォッガーとしてもよい。
【0104】
熱線が印刷されたフィルムを用いたインサート成形によれば、ディスペンサー等でクリア部材20の成形後に熱線を形成する場合と比較して、形成のための時間を減らすことができ、またコストも減らすことが期待できる。さらに、3次元形状の車両用リアモジュール4ではスクリーンプリント技術で熱線を形成することは困難である。一方、この方法であれば、容易に熱線を車両用リアモジュール4に備えさせることができる。また、熱線が印刷されたフィルムに酸化タングステン等の赤外線吸収剤を混合することにより、更に発熱効率を向上させることができ、より優れたクモリ・着雪防止効果を発揮させることができる。
【0105】
(種々の変形例)
上記の実施形態では、クリア部材20が配置された第2キャビティ124へ着色樹脂144を射出して着色部材40を形成する態様を説明した。例えば上記の実施形態とは異なる金型を使用して、複数の樹脂射出孔から別の第2キャビティ先へ着色樹脂を射出して、クリア部材よりも先に着色部材を形成し、当該着色部材を別の第1キャビティへ配置して、第1キャビティに透明樹脂を射出してクリア部材を形成してもよい。
【0106】
また、上記の実施形態ではクリア部材20と着色部材40とを二色成形により一体化させて車両用リアモジュール4を形成する態様を説明した。その他に例えば、クリア部材20と着色部材40とを別々に成形して、これらを接着剤を用いて接着させたり、溶着させたり、リブ等を形成して嵌合させたりして、車両用リアモジュール4を形成してもよい。ただし、二色成形により成形するとクリア部材20と着色部材40との接合が強固となり、また連続工程で車両用リアモジュール4を成形することができ、好ましい。
【0107】
上記の実施形態において、リアコンビネーションランプの光を透過するランプ部22を有する車両用リアモジュール4を説明したが、リアコンビネーションランプのように複数のランプが複合化されたものに限らず、例えばストップランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、テールランプ、リアフォグランプ、デイタイムランプ等の光を透過するように構成されていてもよい。また、これらのランプの任意の組合せから構成されるリアコンビネーションランプの光を透過するように構成されていてもよい。また、上述の左右一対のランプ部22の他にランプの光を透過する部位を設けてもよく、例えばハイマウントストップランプの光を透過する部位を設けてもよい。
【0108】
また、上記の実施形態における車両用リアモジュール4にランプ、クリーナー、ワイパー、センサ、デフォッガー等の部材を搭載してもよい。ランプとしては例えば上記で説明したものを搭載することができる。またセンサとしては例えばLiDAR、カメラ、レーダ等が挙げられる。この場合、LiDARやレーダ等センサ搭載部の肉厚を薄くすると、透過率が上がりセンサの感度がアップする。
【0109】
また、上記の実施形態においてクリア部材20及び着色部材40の材料として、ポリカーボネート(PC)を例として挙げたが、アクリル樹脂(PMMA)、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。
【0110】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照しつつ本発明の第2の実施形態について詳細に説明する。ただし、第2の実施形態は、車両用リアモジュールおよび張出部付車両用リアモジュールの一部の構成が異なる以外は、第1の実施形態と同様である。また、第2の実施形態における車両用リアモジュールの製造方法も、第1の実施形態と同様である。したがって、第2の実施形態の、第1の実施形態で説明したものと同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0111】
図13~
図16を参照して、第2の実施形態に係る車両用リアモジュールを詳細に説明する。
図13は第1の実施形態において説明した製造方法と同じ方法により成形された直後の車両用リアモジュール(以下、張出部付車両用リアモジュール1400とする。)の正面図である。
図14は
図13のA-A’断面図であり、
図15は
図13のB-B’断面図である。
図16は、
図15のEで示される部分の拡大模式図である。
【0112】
張出部付車両用リアモジュール1400は、窓部24を平面視した時に(車両後方から見た時に)クリア部材20に着色部材40が接合されておらず前方を視認することができる部分(クリア要素1220)と、窓部24を平面視した時に(車両後方から見た時に)クリア部材20に着色部材40が接合されて前方を遮蔽する部分(着色要素1240)と、を備えている(
図13、
図14及び
図15)。クリア要素1220は、ランプ部22と窓部24とを一体的に有する部分である。着色要素1240は、車両後方から見た時に少なくとも車両内部の一部を外部から視覚的に遮蔽するように構成されている。
【0113】
クリア部材20の窓部24及びランプ部22の車両1の後方の表面にはクリア部材20の傷つきを防止するためのハードコート層1060が設けられている。
図16に示すように、ハードコート層1060はクリア部材20に比べて薄く形成されている。また、ハードコート層1060はクリア要素1220の車外側の面に設けられている(
図16)。より詳細には、ハードコート層1060はクリア要素1220の車外側の面及び着色要素1240の車外側の面にわたって設けられている(
図16)。さらに詳細には、ハードコート層1060はクリア要素1220の車外側の面及び着色要素1240の車外側の面の全体にわたって設けられている。なお、ハードコート層1060は窓部の傷付防止性がランプ部より高い方が、より好ましい。
【0114】
ハードコート層1060は、アクリル樹脂又はアクリルウレタン樹脂と、着色材料と、シリカナノ微粒子と、により構成されている。アクリル樹脂又はアクリルウレタン樹脂としては、熱硬化型または紫外線硬化型のものを用いることができる。複雑な3次元形状を有する車両用リアモジュールに適用する点を考慮すると、熱硬化型のものを用いることが好ましい。着色材料としては、顔料、染料等の任意の材料を使用することができ、量を変化させることでハードコート層1060の透過率を調整できるものであれば特に限定されない。シリカナノ微粒子としては、nmオーダーの粒子径を有するシリカ粒子であって、光の透過を著しく妨げるものでなければ特に限定されるものではないが、例えば平均粒子径10nm~200nmのものを用いることができる。
【0115】
(効果)
ところで、樹脂製の車両用リアモジュールに設けられた窓部は従来のガラス製のものと比べて耐擦傷性が低くなりやすい。耐擦傷性を向上させるためにフィラーを含むハードコート層を形成することが考えられるが、フィラーによって光の透過性が著しく低下してしまうことが懸念される。
【0116】
また、近年のプライバシー保護の観点などから車両後部の窓部の透過率は低く設定されることがある。しかしながら、フィラーによって耐擦傷性を確保しつつある程度高い透過率を実現することは困難であった。
【0117】
第2の実施形態の車両用リアモジュールでは、シリカナノ微粒子を含むハードコート層1060が窓部24の車両1の後方の表面に設けられている。シリカナノ微粒子を用いることにより、耐擦傷性を付与しつつも透過性を下げずに済む。そして、シリカナノ微粒子と併せて着色材料が含まれている。これにより透過率を低く設定でき、搭乗者のプライバシーを保護することができる。すなわち、耐擦傷性と透過率を両立させたハードコート層1060を形成できる。これにより優れた耐擦傷性を備え、搭乗者のプライバシーを保護することができる窓部24を備える車両用リアモジュールを提供することができる。
【0118】
また、上記の車両用リアモジュールでは、ハードコート層1060が着色要素1240の車両1の後方の表面に設けられている。窓部1024と着色要素1240とで同様のハードコート層1060が設けられていることにより、統一感のある見栄えを実現できる。
【0119】
また、上記の車両用リアモジュールでは、ハードコート層1060がクリア要素1220の車両1の後方の表面および着色要素1240の車両1の後方の表面にわたって設けられている。クリア要素1220と着色要素1240との境界にわたって同様のハードコート層1060が設けられていることにより、さらに統一感のある見栄えを実現できる。
【0120】
また、上記の車両用リアモジュールにおいて、ハードコート層1060がクリア要素1220の車両1の後方の表面及び着色要素1240の車両1の後方の表面の全体にわたって設けられている。クリア要素1220と着色要素1240との全体にわたって同様のハードコート層1060が設けられていることにより、特に統一感のある見栄えを実現できる。
【0121】
(種々の変形例)
また、第1の実施形態において説明したように、第2の実施形態においてもクリア部材20及び着色部材40の材料として、ポリカーボネート(PC)が例として挙げられるが、アクリル樹脂(PMMA)、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、クリア部材20やハードコート層60に紫外線吸収剤UVAを含ませてもよい。当該材料を含ませることで更に耐久性を向上させることができる。
【0122】
また、第2の実施形態のハードコート層1060の上に、更に別のハードコート層が形成されていてもよい。この別のハードコート層としては、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂又はシリコーン樹脂から構成されるものを形成してもよい。また、この別のハードコート層は、上記の実施形態で説明したシリカナノ微粒子及び/又は着色材料を含んでもよい。この別のハードコート層は熱硬化型又は紫外線硬化型の樹脂材料を硬化させたもので形成できる。この別のハードコート層が着色材料を含まない場合、透明な別のハードコート層がハードコート層1060の上に形成されることで奥行き感のある見栄えを実現でき好ましい。
【0123】
[第3の実施形態]
以下、図面を参照しつつ本発明の第3の実施形態について詳細に説明する。ただし、第3の実施形態は、車両用リアモジュールおよび張出部付車両用リアモジュールの一部の構成が異なる以外は、第1の実施形態と同様である。また、第3の実施形態における車両用リアモジュールの製造方法も、第1の実施形態と同様である。したがって、第3の実施形態の、第1の実施形態で説明したものと同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0124】
(面状ヒーターが設けられた車両用リアモジュール)
図17は第3の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュール2400の正面図である。第3の実施形態に係る車両用リアモジュールには、更に面状ヒーター2080を形成することができる。
図18は、面状ヒーター2080が設けられた車両用リアモジュール2480を示す図である。面状ヒーター2080は、車両用リアモジュール2480の車両1の前方向側の面に形成されている(後述の
図19参照)。車両用リアモジュール2480の前方向側の面には面状ヒーター2080に電力を供給するための電極2082が設けられている。
【0125】
図19は、
図18のF-F’断面模式図である。
図19に示すように、面状ヒーター2080は、クリア部材20の窓部24の車内側(車両1の前方向側)に形成されている。また、ハードコート層2060はクリア部材20の窓部24の車外側(車両1の後方向側)に形成されている。
【0126】
面状ヒーター2080は、Al、Ag、Cu、Au、Rh、PtおよびCrから選択される金属により構成される金属層である。当該金属層の厚みは、20nm以上150nm以下で構成されている。当該厚みで形成された金属層(面状ヒーター2080)は透光性を有している。なお、金属層の厚みは、30nm以上150nm以下であると好ましく、40nm以上150nm以下であるとさらに好ましく、40nm以上100nm以下であるとさらに一層好ましく、40nm以上80nm以下が特に好ましい。
【0127】
面状ヒーター2080は、Al、Ag、Cu、Au、Rh、PtおよびCrから選択される金属を蒸着によりクリア部材20上に堆積させることで形成できる。また、当該金属は、Al、Ag、Cu、AuおよびRhから選択されると好ましく、Al、Ag、CuおよびAuから選択されるとさらに好ましく、AlおよびAgから選択されるとさらに一層好ましく、Alであると特に好ましい。この面状ヒーター2080の左右方向に電極2082を設けることで、面状ヒーターに電力を供給することが可能となる。電極2082は透光性を有してもよい。
【0128】
(効果)
ところで、ガラス製の窓部は熱伝導性が良いため、線状に形成した銀ペーストによって結露を効率良く除去することができる。一方、樹脂製の部材はガラスと比較して熱伝導性が悪いため、線状のヒーターでは結露を除去するために時間がかかってしまう。
【0129】
上記構成の車両用リアモジュール2480は、特定の金属層で形成された面状ヒーター2080を備えている。これにより線状のヒーターを用いる場合と比較して窓部24を均一に加熱することができる。また、金属層をAl、Ag、Cu、Au、Rh、PtおよびCrから選択される金属により構成し、金属層の厚みを20nm以上150nm以下とすることで、効率良く窓部を加熱し結露を除去することができる。さらに、上記の金属層は一定の透過率を有するため、搭乗員が車内から車外を視認することができる。
【0130】
また、上記の面状ヒーター2080の赤外線の反射率が80%以上であると、高い遮熱効果が得られ好ましい。
【0131】
(種々の変形例)
なお、面状ヒーター2080はクリア部材20に対して車外側に設けることも可能である。この場合、面状ヒーター2080を覆うようにハードコート層2060を形成してもよい。
【0132】
[第3の実施形態の実施例]
続いて第3の実施形態を実施例により具体的に説明する。なお、本実施例は単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
【0133】
(曇り除去試験)
透明樹脂板の片側の表面にスパッタ法より400mm×1300mmの大きさの金属薄膜を堆積させて、さらにその金属薄膜の両短辺に電力を供給するためのバスバー(電極)を作成した。この透明樹脂板を4℃まで冷やし、蒸気発生器により、金属薄膜が堆積されていない面を曇らせた。その後、12.8Vの電圧を加え、曇りが除去されるまでの時間を測定した。曇り除去にかかった時間が15分以内であればA、15分より長く30分以下であればB、30分より長ければCとした。金属種及び金属薄膜の厚みを変化させて評価した結果を表1及び表2に示す。
【0134】
(光透過試験)
また、作成した金属薄膜を備える透明樹脂板の可視光領域の光透過率を測定した。光透過率が30%以上であればA、30%より小さく10%以上であればB、10%より小さければCとした。金属種及び金属薄膜の厚みを変化させて評価した結果を表1及び表2に示す。
【0135】
【0136】
【0137】
例1-4、例1-5、例2-3~例2-5、例3-3~例3-5、例4-4および例4-5において、曇り除去試験及び光透過試験の両方でAの結果が得られ、好適な面状ヒーターが形成されたことが確認された。例1-3、例1-6、例1-7、例2-2、例2-6、例2-7、例3-2、例3-6、例3-7、例4-3、例4-6、例4-7、例5-2~例5-5、例6-3及び例7-3において、曇り除去試験及び光透過試験のいずれにおいてもCの結果が得られなかったことから、良好な面状ヒーターが形成されたことが確認された。例1-1、例1-2、例1-8、例2-1、例3-1、例4-1、例4-2、例5-1、例6-1、例6-2、例7-1、例7-2及び例7-4において、曇り除去試験及び光透過試験のいずれかにおいてCの結果が得られ、所望の性能を発揮する面状ヒーターが形成されていないことが確認された。
【0138】
[第4の実施形態]
以下、図面を参照しつつ本発明の第4の実施形態について詳細に説明する。ただし、第4の実施形態における車両用リアモジュールの製造方法は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。また、第4の実施形態における構成のうち、第1の実施形態と同様のものには同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0139】
(車両用バックドア及び車両用リアモジュール)
まず、
図20を参照して、本実施形態に係る車両用バックドアを説明する。
図20は、車両用バックドア3003の構成を示す模式図である。車両用バックドア3003は車両3001の後部に設けられた開口2を開閉するように、車両3001の後部に取り付けられている。車両用バックドア3003は、車両用リアモジュール3004と、車両用リアモジュール3004よりも車両3001の内側に設けられたバックドアインナ5と、を有している。
【0140】
車両用リアモジュール3004は、車両3001の後部の開口2を覆うことのできる大きさで形成されている(
図20)。車両用リアモジュール3004は、クリア部材3020と着色部材40とを有している。クリア部材3020は、無色透明または有色透明の部材である。クリア部材3020は、光を透過させるレンズ部3022と、窓部3024とを一体に有している。着色部材40は、クリア部材3020と比べて光の透過率が低い部材である。着色部材40は、少なくとも車両1の内部の一部を外部から遮蔽するように、着色されている。クリア部材3020及び着色部材40は樹脂製であり、例えばポリカーボネート(PC)で構成される。
【0141】
車両用リアモジュール3004のクリア部材3020のレンズ部3022の前方向の位置には、左右一対のリアコンビネーションランプ3010(光源部の一例)が配置されている(
図20)。本実施形態におけるレンズ部3022は、リアコンビネーションランプ3010のストップランプ及びターンシグナルランプの光を透過させる。リアコンビネーションランプ3010は車両3001に取り付けられ、車両用バックドア3003が閉じた状態で車両用リアモジュール3004のクリア部材3020のレンズ部3022によりリアコンビネーションランプ3010が覆われる。
【0142】
図21は、車両用バックドア3003が閉じた状態における、リアコンビネーションランプ3010とレンズ部3022とを示す断面図である。リアコンビネーションランプ3010は、光源3012と、光源3012を支持する支持部3013と、光源3012を収容するハウジング3016と、ハウジング3016に取り付けられたレンズ3014とを備えている。リアコンビネーションランプ3010は、ハウジング3016によって車体3018に取り付けられている。車両用バックドア3003が閉じた状態において、レンズ部3022はリアコンビネーションランプ3010のアウタカバーとして機能する。
【0143】
なお、レンズ部3022は光を屈折させる態様としてもよく、リアコンビネーションランプの光を透過させるだけの単なるカバーとしてもよい。また、リアコンビネーションランプ3010は1つのレンズ3014を備える態様以外にも、インナレンズとアウタレンズとをそれ自体で有する態様であってもよい。車両用バックドア3003が開いた状態において、リアコンビネーションランプ3010のレンズ3014が露出する。
【0144】
第4の実施形態に係る車両用リアモジュール3004のクリア部3020以外の構成は、
図4~
図6に示される第1の実施形態に係る車両用リアモジュール4と同様であるので、詳細な説明を省略する。クリア部材3020は、窓部24と左右一対のレンズ部3022とを一体に(monolithically)有し、さらにスポイラ部を有してもよい(
図20)。窓部24はクリア部材3020の左右方向の中心部分から左右方向に向かうにしたがって、緩やかに湾曲している。レンズ部3022は、クリア部材3020の左右の位置に一対で形成されており、クリア部材3020の主曲面から後方向に向かって張り出るように構成されている(
図20)。クリア部材3020の左右方向の端部の一部(上下方向の略中央部分)は車両3001の略前後方向に向かって延びており、レンズ部3022の側面部を形成している(
図20)。なお、レンズ部3022におけるクリア部材3020の厚みが薄く形成されていると、ランプの光を十分に透過させることができ好ましい。クリア部材3020の窓部24及びレンズ部3022の車両3001の後方向の面上にはクリア部材3020の傷つきを防止するためのハードコート層が設けられている。なお、ハードコート層は窓部の傷付防止性がランプ部より高い方が、より好ましい。
【0145】
(効果)
法規上、バックドアを開いた状態においても車両の後方に車両情報を伝えられるように、車体の後部にランプを搭載する必要がある。バックドア本体にのみランプを搭載している場合は、バックドアにより覆われる車体の開口の一部に補助灯としてのランプを設ける必要がある。この場合、バックドアと車体との両方にランプを設けることとなり、コスト面で好ましくない。さらに、バックドアに設けられたランプや、ランプへの給電機構の存在により、バックドアの重量も増加してしまう。
【0146】
上記構成の車両用モジュール(車両用リアモジュール3004)では、車体3018に取り付けられた光源部(リアコンビネーションランプ3010)の光を透過するレンズ部3022が形成されている(
図21)。これにより、車両用リアモジュール3004が閉じている状態においても車体3018に取り付けられたリアコンビネーションランプ3010の光が車外に透過され、車両3001の後方に車両情報を伝えることができる。また、車両用リアモジュール3004が開いている状態では、リアコンビネーションランプ3010の光が直接車外に出射されるので、別途の予備灯を設ける必要がない。そして、車両用リアモジュール3004にはランプを搭載する必要がなく、ランプへの給電のための配線も必要なくなり、車両用リアモジュール3004を軽量化することができる。
【0147】
なおここでいう車両情報は、停止中、バック中等の車両の運転状況以外にも、搭乗者の属性、他車両や歩行者とのコミュニケーションのための広く考え得る情報をも含む。
【0148】
(変形例)
第4の実施形態の変形例として車両用フロントモジュール3604を説明する。
図22は、車両用フロントモジュール3604を前部に備える車両3601を示す図である。車両3601はフロントランプ3610(光源部の一例)を備える。車両3601の前部に設けられた車両用フロントモジュール3604は、車両3601の前部に設けられた開口3602を開閉可能に取り付けられている。
【0149】
車両用フロントモジュール3604は窓部3624と、レンズ部3622を備える樹脂製の部材である。窓部3624は車両3601のフロントウィンドウを構成する。レンズ部3622は車両用フロントモジュール3604が閉じた状態でフロントランプ3610から出射された光を透過可能に構成されている(
図22)。車両用フロントモジュール3604が開いた状態で、フロントランプ3610は露出する(
図22)。フロントランプ3610としては、ハイビームランプ、ロービームランプ、ターンシグナルランプ、コミュニケーションランプ等が挙げられる。また、フロントランプ3610は、左右一対のランプに限らず、車両前方中央位置に1個搭載されるランプであってもよい。
【0150】
このように車両用モジュールは車両の後部に設けられるものに限らず、車両の前部に設けてもよい。前部に設ける場合、開閉式のドアが車両3601の前部に設けられることになり、使用者が車両3601の前部において乗降可能となる。
図22に示す車両3601のように、フロントランプ3610まで覆う大きさとすると、使用者が乗降しやすくなる。また、車両用フロントモジュール3604にランプを搭載する必要がないため、車両用フロントモジュール3604を軽量とすることができる。
【0151】
(種々の変形例)
第4の実施形態ではクリア部材3020及び着色部材40を二色成形して得られる車両用リアモジュール3004を説明したが、クリア部材3020のみで車両用リアモジュール3004を形成することもできる。
【0152】
なお、車両用リアモジュール3004がバックドアインナ5と併せて車両用バックドア3003を構成する態様を説明したが、第4の実施形態において車両用モジュールは車両のドアを構成する樹脂製の部材としても捉えられる。また、車両用リアモジュール3004がバックドアインナ5を介さずに直接車両3001に取り付けられる態様も考えられる。
【0153】
上記の実施形態において、光源部の一例としてリアコンビネーションランプ3010を取り上げ、その光を透過するレンズ部3022を有する車両用リアモジュール3004を説明した。光源部としては、リアコンビネーションランプ3010のように複数のランプが複合化されたものに限らず、例えばストップランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、テールランプ、リアフォグランプ、デイタイムランプ、ライセンスプレートランプ、ハイマウンドストップランプ等としてもよい。また、これらのランプの任意の組合せから構成されるリアコンビネーションランプとしてもよい。また、上述の左右一対のレンズ部22の他にランプの光を透過する部位を設けてもよい。
【0154】
なお、光源部としては完全なランプ装置に限らず、インナレンズと反射面と光源とを備え、ランプのアウタレンズが車両用モジュールのレンズ部で構成されるものであってもよい。他にもアウタレンズに反射面を別途設けてもよい。
【0155】
また、上記の実施形態における車両用リアモジュール3004にクリーナー、ワイパー、センサ、デフォッガー等の部材を搭載してもよい。センサとしては例えばLiDAR、カメラ、レーダ等が挙げられる。この場合、LiDARやレーダ等センサ搭載部の肉厚を薄くすると、透過率が上がりセンサの感度がアップする。
【0156】
また、上記の実施形態においてクリア部材3020及び着色部材40の材料として、ポリカーボネート(PC)を例として挙げたが、アクリル樹脂(PMMA)、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。
【0157】
また、上記の実施形態において車両用モジュール(車両用リアモジュール3004および車両用フロントモジュール3604)の光源部の光を透過するレンズ部3022,3622を説明した。車両用モジュールが閉じた状態では、車両用モジュールのレンズ部3022,3622が光源部を覆う。このことから、車両用モジュールのレンズ部3022,3622を光源部の光を透過するランプ部と捉えてもよい。
【0158】
[第5の実施形態]
以下、図面を参照しつつ本発明の第5の実施形態について詳細に説明する。
【0159】
(車両用バックドア及び車両用リアモジュール)
第5の実施形態における車両用バックドア及び車両用リアモジュールは、クリア部4020の構成が異なる以外は、第1の実施形態における車両用バックドア3および車両用リアモジュール4と同様の構成であるので、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0160】
クリア部材4020は、窓部24とランプ部22とを一体に(monolithically)有し、さらにスポイラ部26を有してもよい。窓部24はクリア部材4020の左右方向の中心部分から左右方向に向かうにしたがって、緩やかに湾曲している。別の言い方をすると、窓部24はその中心に接する接平面である第1仮想面Wに沿って広がっている(
図23)。ここで
図23は、第5の実施形態に係る張出部付車両用リアモジュール4400の
図3におけるA-A’断面図である。なお、第1仮想面Wに沿って広がるとは、第1仮想面Wに対して傾いて広がることを含む。
【0161】
ランプ部22は、クリア部材4020の左右の位置に一対で形成されており、クリア部材20の主曲面から後方向に向かって張り出るように構成されている(
図1及び
図2)。クリア部材4020の左右方向の端部4028の一部(上下方向の略中央部分)は車両1の略前後方向に向かって延びており、ランプ部22の側面部(端部4028の一部)を形成している(
図1、
図2及び
図23参照)。別の言い方をすると、クリア部材4020の左右方向の端部4028の一部は、第1仮想面Wと交差する第2仮想面Z1,Z2に沿って延びている(
図23)。なお、ここでいう交差するとは、面と面とが形成する鋭角の角度が45度以上である場合を指す。また、第2仮想面Z1,Z2に沿って延びるとは、第2仮想面Z1,Z2に対して傾いて広がることを含む。
【0162】
端部4028は、第1仮想面Wの法線方向について、窓部24から離れるにつれて厚みが大きくなっている(
図23)。なお、ここでいう法線方向とは、厳密に第1仮想面W上の点における面の接平面に直交する方向のみを指すわけではなく、当該接平面に対して45度以上の角度をなして延びる方向をも含む。
図23では、端部4028のうち窓部24から離れた部分の厚みd2が、端部4028のうち窓部24に近い部分の厚みd1よりも大きくなっている。ここで、厚みd1,d2は第1仮想面Wの法線に直交する方向(
図23の左右方向)の端部4028の厚みを表す。厚みd1,d2は、例えばマイクロメータで挟んで測定される値とすることができる。
【0163】
クリア部材4020の左右方向の端部4028の一部(上部分)は、スポイラ部26の側面部(端部)を形成している(
図1~
図3参照)。スポイラ部26の側面部(端部)は湾曲して、第2仮想面Z1,Z2に沿って延びている。(図示省略)。
【0164】
張出部付車両用リアモジュール4400の張出部410を除く左右方向の端部4428は、クリア部材4020のみで構成される部分と、クリア部材4020及び着色部材40が接合されている部分とを含む(
図3及び
図23)。なお、本実施形態において、車両用リアモジュールの左右方向の端部も、説明の便宜上、張出部付車両用リアモジュール4400の張出部410を除く左右方向の端部4428と同一の符号を付して同様のものとして説明する。端部4428の一部は、第1仮想面Wと交差する第2仮想面Z1,Z2に沿って延びている(
図23)。
図23では、端部4428のうち窓部24から離れた部分(クリア部材4020及び着色部材40が接合されている部分)の厚みは、厚みd2と着色部材40の厚みとを合算したものとなり、端部4428のうち窓部24に近い部分(クリア部材4020のみで構成される部分)の厚みd1よりも大きくなっている。端部4428の厚みは、第1仮想面Wの法線に直交する方向(
図23の左右方向)の厚みを表す。端部4428の厚みは、例えばマイクロメータで挟んで測定される値とすることができる。
【0165】
クリア部材4020の窓部24及びランプ部22の車両1の後方向の面上にはクリア部材4020の傷つきを防止するためのハードコート層が設けられている。ハードコート層は、クリア部材4020の上方向に向かうにつれて厚みが増していると、窓部24の上部およびランプ部22の耐候性が向上し好ましい。例えば、スポイラ部26に近い窓部24上のハードコート層と、クリア部材4020の下部のハードコート層との厚みの差が0.5μm以上20μm以下であると好ましく、0.5μm以上10μm以下であると好ましい。なお、ハードコート層は窓部の傷付防止性がランプ部より高い方が、より好ましい。
【0166】
(車両用リアモジュールの製造方法)
第5の実施形態における張出部付車両用リアモジュール4400の製造方法において使用される金型4100は、第1のコア型4102とキャビティ型4106aとの間に形成される第1キャビティ4122および第2のコア型4104とキャビティ型4106bとの間に形成される第2キャビティ4124の構成が異なる以外は、第1の実施形態における製造方法と同様の構成であるので、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0167】
第1キャビティ4122および第2キャビティ4124は、それぞれクリア部材4020の端部4028に対応する端部対応部4128aおよび張出部付車両用リアモジュールの端部4428に対応する端部対応部4128bを備えている。ここで、
図24は第5の実施形態において使用される金型4100の構成を示す模式図である。
図24において、端部対応部4128aの樹脂射出孔152から遠い部分のY軸方向(押圧方向に直交する方向)の寸法(幅)d4は、端部対応部4128aの樹脂射出孔152に近い部分のY軸方向(押圧方向に直交する方向)の寸法(幅)d3より大きくなっている。なお、端部対応部4128aにおいて樹脂射出孔152から近い部分から遠い部分へ向かう方向が透明樹脂142の流れ方向である。
【0168】
張出部付車両用リアモジュール4400は第1の実施例で説明した製造方法と同様の手順に従って、射出圧縮成形によって製造できる。なお、ここでいう圧縮とは狭義の意味に限定されるものではなく、いわゆる押圧をも含む用語として使用する。第1の実施形態における透明樹脂142を第1キャビティ122へ射出する工程を、本実施形態において注入工程と読み替えても良い。また、第1の実施形態における第1キャビティ122内に透明樹脂142を圧縮して透明樹脂142を広げる工程を、本実施形態において押圧工程と読み替えても良い。
【0169】
また、
図25に示すように、ハードコート層の形成において、例えばハードコート材料4510が入れられた材料浴4500に、張出部付車両用リアモジュール4400を上部を下にして入れ、全体を漬ける。その後にそのままの向きで引き上げると、ハードコート材料4510が窓部24の上部およびランプ部22に、張出部付車両用リアモジュール4400の下部と比較して厚く塗布されて、好ましい。又は、左部若しくは右部を下にして入れ、全体を漬ける。その後にそのままの向きで引き上げると、ハードコート材料4510が窓部24にタレ跡なく均一に塗布できるので、好ましい。
【0170】
(効果)
以上説明した第5の実施形態の車両用リアモジュールによれば、クリア部材4020の端部4128が第1仮想面Wと交差する第2仮想面Z1,Z2に沿って延びているので、第1仮想面Wの法線方向に働く力に対して対抗することができ、高い強度が発揮される。また、端部4128の厚みが、第1仮想面Wの法線方向について窓部24から離れるにつれて大きくなっている(d2>d1)。このため、製造時に透明樹脂142が第1コア型4102により押圧されて端部対応部4128a及び張出部形成部116に広がる際の、透明樹脂142の流路を大きく確保することができる。これにより、該部位に透明樹脂142が流れやすくなり、成形不良を抑制して歩留まり良く車両用リアモジュールを製造することができる。また、クリア部材4020の強度もさらに高められる。
【0171】
また、クリア部材4020に加え着色部材40を備える車両用リアモジュールは、さらに着色部材40により車両用リアモジュール全体の強度を確保することができ、高い強度を備える。
【0172】
また、車両用リアモジュールのスポイラ部26の左右方向の端部は、湾曲して第2仮想面Z1,Z2に沿って延びている。これにより、スポイラ部26の左右方向の端部が第1仮想面Wの法線方向に働く力に対して対抗することができ、高い強度が発揮される。
【0173】
また、スポイラ部26の左右方向の端部が湾曲していることにより、当該端部にカメラやセンサを搭載した際に、車両の後方だけではなく車両の左右方向も知覚できるという利点がある。この場合のカメラは、パーキング運転時に使用するバックカメラに用途が限られず、また、高い位置にカメラを設置できるので追突防止等の効果を期待できる。センサとしては、近赤外光(IR)等の透過可能な光に応じてLiDARやレーダ等を搭載し、車両の左右方向を知覚させることができる。
【0174】
また、以上説明した本実施形態の車両用リアモジュールの製造方法によれば、金型4100の車両用リアモジュールのクリア部材4020の端部4028に対応する端部対応部4128aにおいて、押圧工程における押圧方向に直交する方向の寸法が透明樹脂142の流れ方向に沿って大きくなっている(d4>d3)。このため、製造時に透明樹脂142が第1コア型4102により押圧されて端部対応部4128a及び張出部形成部116に広がる際の、透明樹脂142の流路を大きく確保することができる。これにより、該部位に透明樹脂142が流れやすくなり、成形不良を抑制して歩留まり良く車両用リアモジュール4004を製造することができる。また、クリア部材4020の強度もさらに高めることができる。
【0175】
(種々の変形例)
第5の実施形態においても、第1の実施形態において説明した変形例を挙げることができる。
【0176】
また、ランプ部22はランプのアウタカバーを構成するものであってもよく、ランプのレンズを構成するものであってもよい。ランプ部22以外にも、車両用リアモジュールの一部において、レンズ及び/又はアウタカバーを構成する態様としてもよい。
【0177】
また上記の実施形態ではクリア部材4020及び着色部材40を二色成形して得られる車両用リアモジュールを説明したが、クリア部材4020のみで車両用リアモジュールを形成することもできる。
【0178】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0179】
なお、本願は、2018年3月20日付で出願された日本国特許出願(特願2018-053289、特願2018-053290、特願2018-053291、特願2018-053292、特願2018-053293、特願2018-053294および特願2018-053295)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【符号の説明】
【0180】
1,3001,3601:車両、2,3602:開口、3,3003:車両用バックドア、4,3004:車両用リアモジュール、5:バックドアインナ、3010:リアコンビネーションランプ、3012:光源、3013:支持部、3014:レンズ、3016:ハウジング、3018:車体、20,4020:クリア部材、22:ランプ部、3022,3622:レンズ部、24,3624:窓部、26:スポイラ部、40:着色部材、42:組み付け突起部、44:直線部、46:ハニカム構造、52:開口部、1060,2060:ハードコート層、2080:面状ヒーター、2082:電極、100,4010:金型、102,4102:第1のコア型、104,4102:第2のコア型、106a,106b,4106a,4106b:キャビティ型、112:可動盤、114:固定盤、116:張出部形成部、120:回転部材、122,4122:第1キャビティ、124,4124:第2キャビティ、132:第1の加熱シリンダ、134a,134b:第2の加熱シリンダ、142:透明樹脂、144:着色樹脂、152,154a,154b:樹脂射出孔、1220:クリア要素、1240:着色要素、400,1400,4400:張出部付車両用リアモジュール、410:張出部、420:射出ゲート痕、2480:面状ヒーターが設けられた車両用リアモジュール、3604:車両用フロントモジュール、3610:フロントランプ