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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】基地局及び基地局による送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20231124BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20231124BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20231124BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04W16/28 110
H04W4/06 150
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020507951
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2019012212
(87)【国際公開番号】W WO2019182141
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2018056849
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」に係る委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 達樹
(72)【発明者】
【氏名】須山 聡
(72)【発明者】
【氏名】増野 淳
(72)【発明者】
【氏名】奥村 幸彦
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107079310(CN,A)
【文献】特表2009-530983(JP,A)
【文献】特開2007-096744(JP,A)
【文献】特開2002-164843(JP,A)
【文献】特開2008-011259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04W 16/28
H04W 4/06
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号の送信要求を受信する受信部と、
前記送信要求の受信に対して前記データ信号を、ビームフォーミングを用いて送信する送信部と、
複数のユーザ端末からの同一内容のデータ信号に対する複数の送信要求の受信を検出した場合、前記複数のユーザ端末宛に送信する前記データ信号に対して、前記複数のユーザ端末をカバーするように指向性が向けられた1つの送信ビームによってカバーするビームフォーミングを適用する制御部と、
を備え
前記1つの送信ビームの形状は、基地局から距離が遠くなる方向に複数のユーザ端末が配置されている場合に、より遠方まで到達できるように狭められる
基地局。
【請求項2】
前記制御部は、
前記受信部において前記データ信号とは異なる第2のデータ信号に対する送信要求が受信された場合、前記第2のデータ信号に対して、前記データ信号の前記送信ビームと直交する第2の送信ビームを形成するビームフォーミングを適用する、
請求項に記載の基地局。
【請求項3】
基地局による送信方法であって、
複数のユーザ端末からの同一内容のデータ信号に対する複数の送信要求の受信を検出した場合、前記複数のユーザ端末宛に送信する前記データ信号に対して、前記複数のユーザ端末をカバーするように指向性が向けられた1つの送信ビームによってカバーするビームフォーミングを適用し、
前記ビームフォーミングを適用した前記データ信号を、前記送信ビームによって送信し、
前記1つの送信ビームの形状は、基地局から距離が遠くなる方向に複数のユーザ端末が配置されている場合に、より遠方まで到達できるように狭められる、
基地局による送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基地局及び基地局による送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)ネットワークにおいて、更なる高速データレート、低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)が仕様化された。また、LTEからの更なる広帯域化および高速化を目的として、LTEの後継システムも検討されている。LTEの後継システムには、例えば、LTE-Advanced(LTE-A)、Future Radio Access(FRA)、5th generation mobile communication system(5G)、5G plus(5G+)、New-Radio Access Technology(RAT)などと呼ばれるシステムがある(非特許文献1)。
【0003】
将来の無線通信システム(例えば、5G)では、信号伝送の更なる高速化及び干渉低減を図るために、高周波数帯(例えば、4GHz以上)において多数のアンテナ素子(例えば、100素子以上)を用いる大規模(Massive) Multiple Input Multiple Output(MIMO)を用いることが検討されている。Massive MIMOによれば、多重化効果等により、より高速な無線通信が可能である。また、Massive MIMOによれば、多数のアンテナ素子を制御することにより、高度なビームフォーミングが可能であり、与干渉の低減、及び、無線リソースの有効利用等の効果が得られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 36.300 V8.12.0 “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 8)”、2010年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Massive MIMOのように高度なビームフォーミングが可能な環境において、複数のユーザ端末に同一のデータ信号を送信する場合に、当該同一のデータ信号を個別に各ユーザ端末に送信すると、データの伝送効率が低下する。
【0006】
そこで、本開示の一態様は、複数のユーザ端末に同一のデータ信号を送信する場合におけるデータの伝送効率を向上させた基地局及び基地局の送信方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る基地局は、データ信号の送信要求を受信する受信部と、前記送信要求の受信に対して前記データ信号を、ビームフォーミングを用いて送信する送信部と、複数のユーザ端末から同一内容のデータ信号に対する複数の送信要求を受信したことを検出した場合、前記複数のユーザ端末宛に送信する前記データ信号に、前記複数のユーザ端末が少なくとも1つの送信ビームによってカバーされるビームフォーミングを適用する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数のユーザ端末に同一のデータ信号を送信する場合におけるデータの伝送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】本実施の形態に係る基地局の構成例を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係る個別のデータ信号のビーム送信方法を説明する図である。
図5A】本実施の形態に係る同一のデータ信号のビーム送信方法1を説明する図である。
図5B】本実施の形態に係る同一のデータ信号のビーム送信方法1を説明する別の図である。
図6】本実施の形態に係る同一のデータ信号のビーム送信方法2を説明する図である。
図7】本実施の形態に係る同一のデータ信号のビーム送信方法3を説明する図である。
図8】本実施の形態に係る同一のデータ信号のビーム送信方法3の処理例を示すフローチャートである。
図9】本開示に係る基地局及びユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
なお、同種の要素を区別して説明する場合には、「ユーザ端末200a」、「ユーザ端末200b」のように参照符号を使用し、同種の要素を区別しないで説明する場合には、「ユーザ端末200」のように参照符号のうちの共通番号を使用することがある。
【0012】
<無線通信システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る無線通信システム1の構成例を示す。
【0013】
図1に示す無線通信システム1は、基地局(無線基地局又はgNBと呼ぶこともある)100と、ユーザ端末(無線端末又はUser Equipment(UE)と呼ぶこともある)200a、200b、200c、200dとを備える。なお、図1に示すユーザ端末200の数は一例であり、無線通信システム1が備えるユーザ端末200の数は、2以上であれば幾つであってもよい。
【0014】
基地局100は、例えば、Massive MIMOのように多数のアンテナ素子を備える。この構成により、基地局100は、高度なビームフォーミングが可能であり、無線リソースを有効に利用できる。また、基地局100は、無線信号に高周波数帯(例えば数GHz~数十GHz)を利用することにより、広帯域の無線リソースを確保できる。また、アンテナ素子のサイズは無線信号の波長に比例するため、高周波数帯を利用する方が、同数のアンテナ素子を備えるアンテナのサイズを小型化できる。別言すると、高周波数帯を利用する方が、同じサイズのアンテナに、より多数のアンテナ素子を収容できる。なお、高周波数帯は、比較的伝搬損失が大きいため、ユーザ端末200における受信信号強度が低下し得るが、この低下については、高度なビームフォーミングを行うことによりリカバーできる。
【0015】
ところで、コンサート又はスポーツのライブ配信等、同一のデータ信号を送信する場合において、従来の基地局は、同一のデータ信号を各ユーザ端末に対して個別に送信する。よって、基地局と各ユーザ端末との間において個別に無線リソースが専有され、データの伝送効率が低下する。
【0016】
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、基地局100は、複数のユーザ端末200に対して同一のデータ信号を送信する場合に、当該同一のデータ信号をブロードキャストのビームによって送信する。この処理により、同一のデータ信号を送信する場合におけるデータの伝送効率が向上する。以下、詳細に説明する。
【0017】
<基地局の構成>
図2は、本実施の形態に係る基地局100の構成例を示すブロック図である。
【0018】
基地局100は、符号化部101と、変調部102と、推定部103と、選択部104と、送信制御部105と、無線送信部106と、アンテナ107と、無線受信部108とを有する。なお、図2では、例えば、Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)伝送を行う場合、基地局100がOFDM信号を生成するための構成(例えば、Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理部、Cyclic Prefix(CP)付加部)等の記載を省略している。
【0019】
符号化部101は、入力されるデータ信号を符号化し、符号化後のデータ信号を変調部102に出力する。
【0020】
変調部102は、符号化部101から入力されるデータ信号を変調し、変調後のデータ信号を送信制御部105に出力する。
【0021】
推定部103には、ユーザ端末200から送信され、基地局100のアンテナ107(アンテナ素子)において受信された参照信号が入力される。そして、推定部103は、参照信号(アップリンク信号)を用いて、ユーザ端末200との間のチャネルを推定し、推定結果を選択部104に出力する。
【0022】
なお、本実施の形態では、無線通信システム1がTime Division Duplex(TDD)伝送方式を用いる。この場合、推定部103は、チャネルの相反性により、ユーザ端末200から送信される参照信号を用いて、基地局100からユーザ端末200へのダウンリンク信号のチャネルを推定する。
【0023】
また、推定部103は、参照信号に基づいて、ユーザ端末200の位置を推定してよい。ユーザ端末200の位置は、基地局100からユーザ端末200への送信ビームの指向性の向き及び送信ビームの形状等を決定する際に用いられてよい。
【0024】
選択部104(例えば、スケジューラ)は、推定部103から入力される推定結果に基づいて、信号伝送に使用するチャネルを選択する。選択部104は、選択したチャネルを示す選択情報を送信制御部105に出力する。また、選択部104は、ユーザ端末200から受信したデータ信号に対する送信要求に基づいて、データ信号の送信対象のユーザ端末200を選択する。選択部104は、複数のユーザ端末200からの同一内容のデータ信号に対する複数の送信要求の受信を検出した場合、当該複数のユーザ端末200のうち、2以上のユーザ端末200を、同一内容のデータ信号の送信対象に選択してよい。
【0025】
送信制御部105は、変調部102から入力されるデータ信号を送信するための送信制御を行う。このデータ信号は、例えば、選択部104によって選択されたユーザ端末200宛てのデータ信号である。そして、送信制御部105は、例えば、データ信号に対して、複数のアンテナ素子を用いてビームフォーミング又はプリコーディングを行う。この場合、送信制御部105は、推定部103から入力される推定結果を用いて、ビームフォーミングウェイト又はプリコーディング行列を生成してよい。または、送信制御部105は、推定結果を用いて、ユーザ端末200へのデータ信号に対して、送信電力制御を行ってよい。
【0026】
アンテナ107は、1又は複数のアンテナ素子を有する。
【0027】
無線送信部106は、送信制御部105から入力されるデータ信号(ベースバンド信号)に対して、D/A変換、周波数変換、増幅等の無線送信処理を行い、無線信号を生成する。無線送信部106は、その生成した無線信号を、送信制御部105から入力される送信制御情報に示されるアンテナ素子(アンテナ107)を介して送信する。
【0028】
無線受信部108は、アンテナ107(アンテナ素子)を介して、ユーザ端末200から受信した無線信号に対して、A/D変換、周波数変換等の無線受信処理を行う。無線受信部108は、無線受信処理後の受信信号に含まれる参照信号を、推定部103に出力する。
【0029】
<ユーザ端末の構成>
図3は、本実施の形態に係るユーザ端末200の構成例を示すブロック図である。
【0030】
ユーザ端末200は、無線送信部201と、アンテナ202と、無線受信部203と、復調部204と、復号部205と、を有する。なお、図3では、ユーザ端末200におけるOFDM信号を受信するための構成(例えば、CP除去部、FFT処理部)等の記載を省略する。
【0031】
無線送信部201は、入力される参照信号及びデータ信号に対して、D/A変換、周波数変換、増幅等の無線送信処理を行って無線信号を生成し、その生成した無線信号を、アンテナ202を介して送信する。なお、当該データ信号には、送信要求が含まれてよい。
【0032】
アンテナ202は、1又は複数のアンテナ素子を有する。
【0033】
無線受信部203は、アンテナ202を介して、基地局100から受信した無線信号に対して、A/D変換、周波数変換等の無線受信処理を行い、無線受信処理後の受信信号を復調部204に出力する。
【0034】
復調部204は、無線受信部203から入力される受信信号を復調して、復調後の信号を復号部205に出力する。
【0035】
復号部205は、復調部204から入力される信号を復号し、データ信号を出力する。この構成により、ユーザ端末200は、基地局100に対して送信した送信要求に対応するデータ信号を受信できる。
【0036】
<個別のビーム送信方法>
各ユーザ端末200に対して、同一のデータ信号をブロードキャストにて送信する方法を説明する前にまず、各ユーザ端末200に対して、互いに異なるデータ信号を送信する方法について、図4を参照して説明する。
【0037】
図4は、基地局100が、ユーザ端末200a、200b、200c、200dに対して、それぞれ、データ信号s、s、s、sを送信する例である。この場合、送信制御部105は、次の処理を行う。すなわち、送信制御部105は、指向性がユーザ端末200aに向けられたビーム#1によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200bに向けられたビーム#2によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200cに向けられたビーム#3によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200dに向けられたビーム#4によってデータ信号sを送信する。
【0038】
送信制御部105は、例えば、次の式1に基づき、図4に示すビーム#1~#4を形成する。
【数1】
【0039】
図4に示すように、4つのユーザ端末200a、200b、200c、200dに対して4つのビーム#1、#2、#3、#4を形成する場合、式1におけるビーム形成を含む等価チャネル行列hijは、4×4の行列である。つまり、i、jはそれぞれ1~4の整数である。送信制御部105は、ユーザ端末200a~200dに関するチャネル及び位置の推定結果を用いて、式1の行列hijを生成してよい。式1のプリコーディング行列Pは、ビーム#1~#4を互いに直交化する4×4の行列であってよい。
【0040】
ユーザ端末200aは、受信したビーム#1からデータ信号sを抽出してよい。ユーザ端末200bは、受信したビーム#2からデータ信号sを抽出してよい。ユーザ端末200cは、受信したビーム#3からデータ信号sを抽出してよい。ユーザ端末200dは、受信したビーム#4からデータ信号sを抽出してよい。
【0041】
<同一のデータ信号に関するビーム送信方法1>
次に、図5Aを参照して、本実施の形態に係る同一のデータ信号に関するビーム送信方法1について説明する。同一のデータ信号に関するビーム送信方法1では、送信要求が共通する(つまり、同一内容のデータの送信を要求する)複数のユーザ端末200に対して、1つのビームにて同一内容のデータ信号を送信する方法について説明する。
【0042】
基地局100における送信制御部105は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cに対して同一のデータ信号sを送信し、送信要求が異なるユーザ端末200dに対してデータ信号sを送信する場合、次の処理を行う。すなわち、送信制御部105は、図5Aに示すように、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cをカバーするように指向性が向けられたビーム#1によって、データ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200dに向けられたビーム#2によってデータ信号sを送信する。別言すると、送信制御部105は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cに対して、1つのブロードキャストのビーム#1によってデータ信号sを送信する。
【0043】
送信制御部105は、例えば、次の式2に基づき、図5Aに示すビーム#1、#2を形成する。
【数2】
【0044】
図5Aに示すように、送信要求が共通するユーザ端末200a、200b、200cをカバーするように指向性が向けられているビーム#1と、ユーザ端末200dに指向性が向けられているビーム#2とを形成(ビームフォーミングを適用)する場合、式2に示す、ビーム形成を含む等価チャネル行列hijは、4×2の行列である。つまり、i、jは、それぞれ1~2の整数である。送信制御部105は、ユーザ端末200a~200dに関するチャネル及び位置の推定結果を用いて、式2の行列hijを生成してよい。式2のプリコーディング行列Pは、ビーム#1、#2を互いに直交化する4×2の行列であってよい。
【0045】
ユーザ端末200a、200b、200cは、それぞれ、受信したビーム#1からデータ信号sを抽出してよい。ユーザ端末200dは、受信したビーム#2からデータ信号sを抽出してよい。
【0046】
このように、同一のデータ信号に関するビーム送信方法1では、基地局100(送信制御部105)は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200を1つの送信ビームによって共通にカバーするビームフォーミングを適用する。
【0047】
なお、複数のユーザ端末200に対する1つのブロードキャストのビームの形状は、必ずしも図5Aに示すように、ビーム幅がより広がるとは限らない。例えば、図5Bに示すように、複数のユーザ端末200が、基地局100から距離が遠くなる方向に並んでいる場合、送信制御部105は、1つのブロードキャストのビームの形状を、ビーム幅がより狭くなるようにして、ビームがより遠方まで到達するようにしてもよい。
【0048】
次に、同一のデータ信号に関するビーム送信方法1の作用効果について説明する。
【0049】
仮に、図4に示す方法によって、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cに対してデータ信号sを送信する場合、基地局は、次の処理を行う。すなわち、基地局は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cに対して、データ信号sを、それぞれ、ビーム#1、#2、#3によって送信する。
【0050】
これに対して、同一のデータ信号に関するビーム送信方法1によれば、図5A及び図5Bに示すように、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cに対して、データ信号sを、1つのビーム#1によって送信する。したがって、同一のデータ信号に関するビーム送信方法1によれば、無線リソースの専有率が低下するため、複数のユーザ端末200に対して同一のデータ信号を送信する場合におけるデータの伝送効率が向上する。
【0051】
また、図4に示す方法を適用する場合、4つのビーム#1、#2、#3、#4を直交化する必要があるが、同一のデータ信号に関するビーム送信方法1によれば、2つのビーム#1、#2を直交化すればよい。よって、同一のデータ信号に関するビーム送信方法1によれば、直交化の対象のアンテナ素子(ビーム)数を減らせるため、基地局100は、より少ないエネルギーにて複数のユーザ端末200に対して同一のデータ信号を送信できる。
【0052】
<同一のデータ信号に関するビーム送信方法2>
次に、図6を参照しながら、本実施の形態に係る同一のデータ信号に関するビーム送信方法2について説明する。同一のデータ信号に関するビーム送信方法2では、基地局100が、送信要求が共通する複数のユーザ端末200のそれぞれに対して、同一内容のデータ信号のビームを送信する方法について説明する。
【0053】
基地局100における送信制御部105は、送信要求が共通するユーザ端末200a、200b、200cに対して同一のデータ信号sを送信し、送信要求が異なるユーザ端末200dに対して送信信号sを送信する場合、次の処理を行う。すなわち、送信制御部105は、図6に示すように、指向性がユーザ端末200aに向けられたビーム#1によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200bに向けられたビーム#2によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200cに向けられたビーム#3によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、指向性がユーザ端末200dに向けられたビーム#4によってデータ信号sを送信する。別言すると、送信制御部105は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200cに対して、個別のビーム#1、ビーム#2、ビーム#3によって、それぞれ、データ信号sを送信する。
【0054】
送信制御部105は、例えば、次の式3に基づき、図6に示す同一ビーム#1、#2、#3、及びビーム#4を形成する。
【数3】
【0055】
図6に示すように、4つのユーザ端末200a、200b、200c、200dに対して4つのビーム#1、#2、#3、#4をそれぞれ形成(ビームフォーミングを適用)する場合、式3のビーム形成を含む等価チャネル行列hijは、4×4の行列である。つまり、i、jはそれぞれ1~4の整数である。送信制御部105は、ユーザ端末200a~200dに関するチャネル及び位置の推定結果を用いて、式3の行列hijを生成してよい。式3のプリコーディング行列Pは、データ信号sと送信信号sとを互いに直交化する4×4の行列であってよい。
【0056】
ユーザ端末200a、200b、200cは、受信したビーム#1、#2、#3から、それぞれ、データ信号sを抽出してよい。ユーザ端末200dは、受信したビーム#4からデータ信号sを抽出してよい。
【0057】
このように、同一のデータ信号に関するビーム送信方法2では、基地局100(送信制御部105)は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200を複数のビームによって個別的にカバーするビームフォーミングを適用する。
【0058】
次に、同一のデータ信号のビーム送信方法2の作用効果について説明する。
【0059】
仮に、図4に示す方法によって、送信要求が共通するユーザ端末200a、200b、200cのそれぞれに対してデータ信号sを送信し、送信要求が異なるユーザ端末200dに対してデータ信号s送信する場合、基地局は、次の処理を行う。すなわち、基地局は、ユーザ端末200aに対して送信するデータ信号sと、ユーザ端末200bに対して送信するデータ信号sと、ユーザ端末200cに対して送信するデータ信号sと、ユーザ端末200dに対して送信するデータ信号sとの4つを直交化する。
【0060】
これに対して、同一のデータ信号に関するビーム送信方法2によれば、上記の通り、データ信号sとデータ信号sとの2つを直交化する。よって、同一のデータ信号に関するビーム送信方法2によれば、送信要求が共通するユーザ端末100は、複数の異なるビームにてデータ信号sを受信できるため、ダイバーシチ利得を得ることができる。
【0061】
なお、図6では、基地局100は、送信要求が異なるユーザ端末200dに対して、1つのビーム#4によってデータ信号sを送信しているが、基地局100は、当該ユーザ端末200dに対しても、複数のビームによってデータ信号sを送信してよい。
【0062】
<同一のデータ信号に関するビーム送信方法3>
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る同一のデータ信号に関するビーム送信方法3について説明する。同一のデータ信号に関するビーム送信方法3では、基地局100が、ユーザ端末200の位置情報に基づいて、上記の同一のデータ信号に関するビーム送信方法2及び3を適用する方法について説明する。
【0063】
基地局100における送信制御部105は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200dに対して同一のデータ信号sを送信し、送信要求が異なるユーザ端末200cに対してデータ信号sを送信する場合、次の処理を行う。すなわち、送信制御部105は、図7に示すように、送信要求が共通する複数のユーザ端末200a、200b、200dのうち、1つのビームによってカバーされる位置に存在する複数のユーザ端末200a、200bに対して、当該複数のユーザ端末200a、200bをカバーするように指向性が向けられたビーム#1によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、当該1つのビーム#1によってカバーされない位置に存在するユーザ端末200dに対して、指向性が当該ユーザ端末200dに向けられているビーム#3によってデータ信号sを送信する。送信制御部105は、送信要求が異なるユーザ端末200cに対して、指向性が当該ユーザ端末200cに向けられているビーム#2によってデータ信号sを送信する。
【0064】
このように、同一のデータ信号に関するビーム送信方法3では、基地局100(送信制御部105)は、送信要求が共通する複数のユーザ端末200のうち、1つのビームによって共通にカバーされる2以上のユーザ端末200を、ユーザ端末200の位置情報に基づいて選択する。
【0065】
次に、図8のフローチャートを参照して、同一のデータ信号に関するビーム送信方法3における、基地局100(送信制御部105)の処理例を説明する。
【0066】
送信制御部105は、各ユーザ端末200から送信される制御チャネル又はデータチャネルの情報(アップリンク信号)から、送信要求が共通するユーザ端末200を探索する(S101)。
【0067】
送信制御部105は、S101の探索において、送信要求が共通するユーザ端末200を検出しなかった場合、又は、送信要求が共通するユーザ端末200の検出数が2未満であった場合(S102:NO)、図4の例に示すように、個別にビームを送信し(S103)、本処理を終了する(END)。
【0068】
送信制御部105は、S101の探索において、送信要求が共通するユーザ端末200を2以上検出した場合(S102:YES)、当該検出した複数のユーザ端末200のうち、1つのビームによって共通にカバーされる位置に存在する2以上のユーザ端末200を探索する(S104)。
【0069】
送信制御部105は、S104の探索において、2以上のユーザ端末200を検出しなかった場合(S105:NO)、S107の処理を行う。
【0070】
送信制御部105は、S104の探索において、2以上のユーザ端末200を検出した場合(S105:YES)、当該2以上のユーザ端末200に対して1つのビームによって同一内容のデータ信号を送信すると決定し(S106)、S107の処理を行う。
【0071】
送信制御部105は、S106において1つのビームにて共通にカバーされなかった、送信要求が共通するユーザ端末200に対して、個別のビームによって同一内容のデータ信号を送信すると決定する(S107)。
【0072】
送信制御部105は、送信要求の異なるユーザ端末200に対して、個別のビームによってデータ信号を送信すると決定する(S108)。
【0073】
送信制御部105は、S106、S107及びS108において決定したビームを送信するためのビームフォーミング又はプリコーディングを行う(S109)。そして、送信制御部105は、無線送信部106を制御して、ビームによってデータ信号を送信し(S110)、本処理を終了する(END)。
【0074】
<変形例>
なお、上述の説明では、各ビームに対して直交化が行われているが、本実施の形態におて、必ずしも全てのビームに対して直交化が行われる必要はない。例えば、本実施の形態において、2つのビームが空間多重されており、2つのビーム間にて信号分離が可能である場合、当該2つのビームに対して直交化が行われなくてもよい。
【0075】
また、基地局100(送信制御部105)は、送信要求が共通するユーザ端末200を検出した場合、同一内容のデータ信号を直ちに送信するのではなく、所定時間待機し、又は、予め定められた時刻まで待機し、その待機期間中に、送信要求が共通するユーザ端末200をさらに検出した場合、それらのユーザ端末200も同一内容のデータ信号の送信対象に含めてもよい。この処理により、ブロードキャストのビームを送信する機会が増えるので、データの伝送効率が向上する。
【0076】
<本実施の形態のまとめ>
本実施の形態では、基地局100は、複数のユーザ端末200から同一内容のデータ信号に対する複数の送信要求を受信したことを検出した場合に、複数のユーザ端末200宛に送信するデータ信号に、複数のユーザ端末200が少なくとも1つの送信ビームによってカバーされるビームフォーミングを適用し、ビームフォーミングが適用されたデータ信号を送信ビームによって送信する。
【0077】
この処理により、複数のユーザ端末200に同一内容のデータ信号を送信する場合におけるデータの伝送効率が向上する。
【0078】
以上、本実施の形態について説明した。
【0079】
(ハードウェア構成)
なお、上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0080】
例えば、本開示の一実施の形態における基地局100、ユーザ端末200などは、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、本開示の一実施の形態に係る基地局100およびユーザ端末200のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の基地局100及びユーザ端末200は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0081】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。基地局及びユーザ端末のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0082】
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサで実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法で、一以上のプロセッサで実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、一以上のチップで実装されてもよい。
【0083】
基地局及びユーザ端末における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、又は、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0084】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、上述の符号化部101、変調部102、推定部103、選択部104、送信制御部105、復調部204、復号部205などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。また、必要なテーブルは、メモリ1002に記憶されてもよい。
【0085】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール又はデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、基地局100及びユーザ端末200を構成する少なくとも一部の機能ブロックは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0086】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0087】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0088】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、上述の無線送信部106,201、アンテナ107,202、無線受信部108,203などは、通信装置1004で実現されてもよい。
【0089】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0090】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0091】
また、基地局100及びユーザ端末200は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0092】
(情報の通知、シグナリング)
また、情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0093】
(適応システム)
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0094】
(処理手順等)
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0095】
(基地局の操作)
本明細書において基地局(無線基地局)によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME(Mobility Management Entity)またはS-GW(Serving Gateway)などが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
【0096】
(入出力の方向)
情報及び信号等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)に出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0097】
(入出力された情報等の扱い)
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置に送信されてもよい。
【0098】
(判定方法)
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0099】
(ソフトウェア)
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0100】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0101】
(情報、信号)
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0102】
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及び/又はシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC)は、キャリア周波数、セルなどと呼ばれてもよい。
【0103】
(「システム」、「ネットワーク」)
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0104】
(パラメータ、チャネルの名称)
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
【0105】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)など)及び情報要素(例えば、TPCなど)は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0106】
(基地局)
基地局(無線基地局)は、1つまたは複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、および/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」、「eNB」、「セル」、および「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0107】
(端末)
ユーザ端末は、当業者によって、移動局、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、UE(User Equipment)、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0108】
(用語の意味、解釈)
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0109】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0110】
参照信号は、RS(Reference Signal)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。また、補正用RSは、TRS(Tracking RS)、PC-RS(Phase Compensation RS)、PTRS(Phase Tracking RS)、Additional RSと呼ばれてもよい。また、復調用RS及び補正用RSは、それぞれに対応する別の呼び方であってもよい。また、復調用RS及び補正用RSは同じ名称(例えば復調RS)で規定されてもよい。
【0111】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0112】
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0113】
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0114】
無線フレームは時間領域において1つまたは複数のフレームで構成されてもよい。時間領域において1つまたは複数の各フレームはサブフレーム、タイムユニット等と呼ばれてもよい。サブフレームは更に時間領域において1つまたは複数のスロットで構成されてもよい。スロットはさらに時間領域において1つまたは複数のシンボル(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、SC-FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボル等)で構成されてもよい。
【0115】
無線フレーム、サブフレーム、スロット、およびシンボルは、いずれも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、およびシンボルは、それぞれに対応する別の呼び方であってもよい。
【0116】
例えば、LTEシステムでは、基地局が各移動局に無線リソース(各移動局において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力等)を割り当てるスケジューリングを行う。スケジューリングの最小時間単位をTTI(Transmission Time Interval)と呼んでもよい。
【0117】
例えば、1サブフレームをTTIと呼んでもよいし、複数の連続したサブフレームをTTIと呼んでもよいし、1スロットをTTIと呼んでもよい。
【0118】
リソースユニットは、時間領域および周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域では1つまたは複数個の連続した副搬送波(subcarrier)を含んでもよい。また、リソースユニットの時間領域では、1つまたは複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1サブフレーム、または1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームは、それぞれ1つまたは複数のリソースユニットで構成されてもよい。また、リソースユニットは、リソースブロック(RB:Resource Block)、物理リソースブロック(PRB:Physical RB)、PRBペア、RBペア、スケジューリングユニット、周波数ユニット、サブバンドと呼ばれてもよい。また、リソースユニットは、1つ又は複数のREで構成されてもよい。例えば、1REは、リソース割当単位となるリソースユニットより小さい単位のリソース(例えば、最小のリソース単位)であればよく、REという呼称に限定されない。
【0119】
上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、スロットに含まれるシンボルおよびリソースブロックの数、および、リソースブロックに含まれるサブキャリアの数は様々に変更することができる。
【0120】
本開示の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0121】
(態様のバリエーション等)
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0122】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、特許請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0123】
本特許出願は2018年3月23日に出願した日本国特許出願第2018-056849号に基づきその優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2018-056849号の全内容を本願に援用する。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0125】
100 基地局
101 符号化部
102 変調部
103 推定部
104 選択部
105 送信制御部
106 無線送信部
107 アンテナ
108 無線受信部
200、200a、200b、200c、200d ユーザ端末
201 無線送信部
202 アンテナ
203 無線受信部
204 復調部
205 復号部
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9