(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】熱交換セル及び方法
(51)【国際特許分類】
F28D 7/02 20060101AFI20231124BHJP
F28D 1/06 20060101ALI20231124BHJP
F24H 1/43 20220101ALI20231124BHJP
F24H 1/16 20220101ALI20231124BHJP
【FI】
F28D7/02
F28D1/06 Z
F24H1/43 Z
F24H1/16 B
(21)【出願番号】P 2020526377
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(86)【国際出願番号】 IB2018059412
(87)【国際公開番号】W WO2019106567
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】102017000137013
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516280691
【氏名又は名称】コンデヴォ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャンノーニ、ロッコ
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01281919(EP,A2)
【文献】特開2008-032325(JP,A)
【文献】特表2013-518241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/02
F28D 1/06
F24H 1/43
F24H 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換セル(10)であって、
- 後方壁(11d)及び周囲側壁(11c)を有する収容ケーシング(11)と、
- 複数のコイルによる螺旋の長手方向軸(A-A)を中心として巻かれた第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを有する螺旋形状の熱交換器(13)であって、前記収容ケーシング(11)内に設置される螺旋形状の熱交換器(13)と、
- 前記第1の熱伝達流体との熱交換を意図された、第2の熱伝達流体の供給ゾーン(21)であって、前記収容ケーシング(11)内において、前記熱交換器(13)に対して同軸に且つ内部に画定される第2の熱伝達流体の供給ゾーン(21)と、
- 前記収容ケーシング(11)内に画定される第1の熱交換チャンバ(22)であって、前記第1の熱交換チャンバ(22)内に前記熱交換器(13)の第1の熱交換部分が収容され、前記第1の熱交換チャンバ(22)は、前記熱交換器(13)の前記第1の熱交換部分の径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で前記熱交換器(13)に対して外部に画定される前記第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ(15)を有している、第1の熱交換チャンバ(22)と、
- 前記収容ケーシング(11)内に画定される第2の熱交換チャンバ(26)であって、前記第2の熱交換チャンバ(26)内に前記熱交換器(13)の第2の熱交換部分が収容され、前記第2の熱交換チャンバ(26)は、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分の径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で前記熱交換器(13)に対して外部に画定される前記第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ(16)を有している、第2の熱交換チャンバ(26)と、
- 前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)の軸方向端部(11g)と前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)との間に画定される、前記第2の熱交換チャンバ(26)からの流体出口通路(35)と
を有し、
前記第1の熱交換チャンバ(22)及び前記第2の熱交換チャンバ(26)が、プレート形状のボディを有する第1の分離要素(14)によって前記熱交換器(13)の内部で隔てられている、熱交換セル(10)において、
前記第1の熱交換チャンバ(22)及び前記第2の熱交換チャンバ(26)が、前記熱交換器(13)の径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で径方向に延びる少なくとも1つの第2の分離要素(32)によって前記熱交換器(13)の外部でさらに隔てられており、前記第2の分離要素(32)が、前記第2の熱交換チャンバ(26)からの前記流体出口通路(35)から軸線方向に離れた位置で、且つ前記第1の分離要素(14)のところで、前記熱交換器(13)の周りに円周方向に延び、それにより前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバ(15)と前記第2の収集チャンバ(16)との間に少なくとも1つの流体通路(17)を画定すること、及び
前記熱交換セル(10)が、前記第2の分離要素(32)から前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)まで軸方向に延びる一対の軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)であって、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分の前記径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で延びる一対の軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)をさらに有し、前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が、前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)の上流側に画定される前記第2の熱
伝達流体の前記第2の収集チャンバ(16)の第1の部分(16a)を、前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)の下流側に画定される前記第2の熱伝達流体の前記第2の収集チャンバ(16)の第2の部分(16b)から隔てるように構成されていることを特徴とする、熱交換セル(10)。
【請求項2】
前記第2の分離要素(32)が部分円環形状に成形される、請求項1に記載の熱交換セル(10)。
【請求項3】
前記第2の分離要素(32)が、前記第1の熱交換チャンバ(22)内において前記熱交換器(13)に対して径方向に外部の位置に画定される前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバ(15)の断面積の少なくとも90%を閉じるように構成される、請求項1又は2に記載の熱交換セル(10)。
【請求項4】
前記第2の分離要素(32)が、25°から200°の角度によって画定される、前記熱交換器(13)の周りの円周方向の延在範囲を有する、請求項1又は2に記載の熱交換セル(10)。
【請求項5】
前記第2の分離要素(32)は、前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11)に平行な方向に沿い且つ前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11)に隣接した、前記第2の熱交換チャンバ(26)に向かう前記収容ケーシング(11)の内部の前記第2の熱伝達流体の周縁流れを可能にするように構成される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項6】
前記第2の分離要素(32)によって前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバ(15)と前記第2の収集チャンバ(16)との間に画定される前記少なくとも1つの流体通路(17)の流体流れの断面積が、前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)に沿って一様に分布している、請求項1から5までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項7】
前記第2の分離要素(32)が、前記第2の熱交換チャンバ(26)からの前記流体出口通路(35)の長手方向中心線平面にまたがって円周方向に延びている、請求項1から6までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項8】
前記第2の分離要素(32)が前記第1の分離要素(14)のところで前記熱交換器(13)の周りに円周方向に延びている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項9】
前記第1の分離要素(14)が、前記熱交換器(13)の前記第1の熱交換部分の前記コイルと前記第2の熱交換部分の前記コイルとの間に少なくとも部分的に挿置される環状クラウン(14b)を有する、請求項1に記載の熱交換セル(10)。
【請求項10】
前記第2の分離要素(32)が、前記環状クラウン(14b)から、又は前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)から、径方向に延びている、請求項9に記載の熱交換セル(10)。
【請求項11】
前記第1の分離要素(14)の前記プレート形状のボディの中央に、前記第2の熱伝達流体の前記供給ゾーン(21)に面する断熱要素(19)が設けられる、請求項1から10までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項12】
前記第1の分離要素(14)が、前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)の方を向いた前記第1の分離要素(14)の後方面から延びる複数の熱交換突出部(23)を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項13】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分の径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で径方向に延びている、請求項1から12までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項14】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が、前記第2の分離要素(32)に対して固定され、又は前記第2の分離要素(32)と一体に形成されている、請求項1から13までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項15】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)から径方向に延びている、請求項1から14までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項16】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が、前記第2の熱交換チャンバ(26)内において前記熱交換器(13)に対して外部に画定される前記第2の熱伝達流体の前記第2の収集チャンバ(16)の断面積の少なくとも90%を閉じるように構成される、請求項1から15までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項17】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が、前記第2の熱交換チャンバ(26)内に画定される前記第2の熱伝達流体の前記第2の収集チャンバ(16)の軸方向展開範囲の全体に沿って、前記第2の分離要素(32)と前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)との間で軸方向に延びている、請求項16に記載の熱交換セル(10)。
【請求項18】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)の下流側に画定される前記第2の熱伝達流体の前記第2の収集チャンバ(16)の前記第2の部分(16b)が、前記第2の分離要素(32)の円周方向の延在範囲と等しい、又はそれ未満である角度的な延在範囲を有する部分にわたって、前記熱交換器(13)の周りで円周方向に延びている、請求項1から17までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項19】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が前記第2の分離要素(32)の両側の端縁部(32a、32b)から軸方向に延びている、請求項1又は2に記載の熱交換セル(10)。
【請求項20】
前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)が前記第2の分離要素(32)の中心線平面に対して対称に配置される、請求項1から19までのいずれか一項に記載の熱交換セル(10)。
【請求項21】
前記熱交換セル(10)が凝縮熱交換セル又は熱回収装置である、請求項1から20までのいずれか一項の記載の熱交換セル(10)。
【請求項22】
熱交換セル(10)内での第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間の熱交換方法であって、前記熱交換セル(10)が、
- 後方壁(11d)及び周囲側壁(11c)を有する収容ケーシング(11)と、
- 複数のコイルによる螺旋の長手方向軸を中心として巻かれた第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを有する螺旋形状の熱交換器(13)であって、前記収容ケーシング(11)内に設置される螺旋形状の熱交換器(13)と、
- 前記第1の熱伝達流体との熱交換を意図された、第2の熱伝達流体の供給ゾーン(21)であって、前記収容ケーシング(11)内において、前記熱交換器(13)に対して同軸に且つ内部に画定される第2の熱伝達流体の供給ゾーン(21)と、
- 前記収容ケーシング(11)内に画定される第1の熱交換チャンバ(22)であって、前記第1の熱交換チャンバ(22)内に前記熱交換器(13)の第1の熱交換部分が収容され、前記第1の熱交換チャンバ(22)は、前記熱交換器(13)の前記第1の熱交換部分の径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で前記熱交換器(13)に対して外部に画定される前記第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ(15)を有している、第1の熱交換チャンバ(22)と、
- 前記収容ケーシング(11)内に画定される第2の熱交換チャンバ(26)であって、前記第2の熱交換チャンバ(26)内に前記熱交換器(13)の第2の熱交換部分が収容され、前記第2の熱交換チャンバ(26)は、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分の径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で前記熱交換器(13)に対して外部に画定される前記第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ(16)を有している、第2の熱交換チャンバ(26)と、
- 前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)の軸方向端部(11g)と前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)との間に画定される、前記第2の熱交換チャンバ(26)からの流体出口通路(35)と
を有し、
前記第1の熱交換チャンバ(22)及び第2の熱交換チャンバ(26)が、プレート形状のボディを有する第1の分離要素(14)によって前記熱交換器(13)の内部で隔てられ、
前記第1の熱交換チャンバ(22)及び前記第2の熱交換チャンバ(26)が、前記熱交換器(13)の前記径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で径方向に延びる少なくとも1つの第2の分離要素(32)によって前記熱交換器(13)の外部でさらに隔てられ、前記第2の分離要素(32)が、前記第2の熱交換チャンバ(26)からの前記流体出口通路(35)から軸線方向に離れた位置で、且つ前記第1の分離要素(14)のところで、前記熱交換器(13)の周りに円周方向に延び、それにより前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバ(15)と前記第2の収集チャンバ(16)との間に少なくとも1つの流体通路(17)を画定しており、
前記方法が、
- 前記供給ゾーン(21)内に前記第2の熱伝達流体を供給するステップと、
- 前記第1の熱交換チャンバ(22)内に配置された前記熱交換器(13)の前記コイルを通って流れることにより、前記第2の熱伝達流体と、前記熱交換器(13)の前記第1の熱交換部分内を流れる前記第1の熱伝達流体との間の第1の熱交換を前記第1の熱交換チャンバ(22)内で実行するステップと、
- 前記熱交換器(13)の外部で前記第1の熱交換チャンバ(22)内に画定された前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバ(15)内に前記第2の熱伝達流体を収集するステップと、
- 前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバと前記第2の熱伝達流体の前記第2の収集チャンバ(16)の少なくとも第1の部分(16a)との間に形成される前記少なくとも1つの流体通路(17)によって前記第2の熱伝達流体を前記第1の熱交換チャンバ(22)から前記第2の熱交換チャンバ(26)へ送るステップであって、前記第2の収集チャンバ(16)の前記第1の部分(16a)は、前記第2の分離要素(32)から前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)まで軸方向に延びる一対の軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)であって、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分の前記径方向外側壁(13a)と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間で延びる一対の軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)の上流側における前記第2の熱交換チャンバ(26)の第1の部分内で前記熱交換器(13)に対して外部に画定されている、ステップと、
- 前記第2の熱交換チャンバ(26)の前記少なくとも第1の部分内に配置された前記熱交換器(13)の前記コイルを通って流れることにより、前記第2の熱伝達流体と、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分内を流れる前記第1の熱伝達流体との間の第2の熱交換を前記第2の熱交換チャンバ(26)内で実行するステップと、
- 前記第2の熱伝達流体を、前記熱交換器(13)の内部に画定される前記第2の熱交換チャンバ(26)のゾーンの全体にわたって横方向に沿って横断させることにより、前記第2の熱伝達流体と前記第1の分離要素(14)との間の第3の熱交換を前記第2の熱交換チャンバ(26)内で実行するステップと、
- 前記一対の軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)の下流側に画定される前記第2の熱交換チャンバ(26)の第2の部分内に配置された前記熱交換器(13)の前記コイルを通って流れることにより、前記第2の熱伝達流体と、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分内を流れる前記第1の熱伝達流体との間の第4の熱交換を前記第2の熱交換チャンバ(26)内で実行するステップと、
- 前記第2の熱交換チャンバ(26)からの前記流体出口通路(35)を通して、前記熱交換セル(10)の長手方向軸(A-A)に対して垂直な方向に沿わせて、前記第2の熱交換チャンバ(26)から前記第2の熱伝達流体を排出するステップと
を含み、また
前記第1、第2、第3、及び第4の熱交換が、互いに連続して実行される、方法。
【請求項23】
前記熱交換器(13)の前記径方向外側壁と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間、及び前記第2の熱伝達流体の前記第1の収集チャンバ(15)と前記第2の収集チャンバ(16)との間に形成される前記少なくとも1つの流体通路(17)によって、前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)に平行に且つ前記周囲側壁(11c)に隣接して、前記第2の熱伝達流体を前記第1の熱交換チャンバ(22)から前記第2の熱交換チャンバ(26)まで送るステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記熱交換器(13)の前記径方向外側壁と前記収容ケーシング(11)の前記周囲側壁(11c)との間に形成される前記少なくとも1つの流体通路(17)の流体流れの全断面積を調整するために前記第2の分離要素(32)の円周方向の延在範囲を調整することにより、前記第2の熱交換チャンバ(26)に向かって送られる前記第2の熱伝達流体の流れ特性を調整するステップをさらに含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の熱交換チャンバ(26)の前記少なくとも1つの第1の部分及び前記第2の部分内にそれぞれ配置される前記熱交換器(13)の前記コイルを通って流れることにより、前記第2の熱伝達流体と、前記熱交換器(13)の前記第2の熱交換部分の中を流れる前記第1の熱伝達流体との間で実行される前記第2及び前記第4の熱交換の量を、前記熱交換器(13)の前記径方向外側壁(13a)に沿って前記軸方向セパレータ・バフル(24a、24b)の円周方向位置を調整することにより調整するステップをさらに含む、請求項22から24までいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記収容ケーシング(11)の前記後方壁(11d)の方を向いた前記第1の分離要素(14)の後方面から延びる複数の熱交換突出部(23)により、前記熱交換器(13)の内部に画定される前記第2の熱交換チャンバ(26)の前記ゾーン内で実行される前記第3の熱交換の量を増大するステップをさらに含む、請求項22から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から21までのいずれか一項に記載の熱交換セルを有する加熱装
置。
【請求項28】
前記熱交換セルが前記
加熱装置の収容ケーシングの内部に水平方向に設置されている、請求項27に記載の
加熱装置。
【請求項29】
請求項1から21までのいずれか一項に記載の熱交換セルを有する空気調節装置。
【請求項30】
前記熱交換セルが前記空気調節装置の収容ケーシングの内部に水平方向に設置されている、請求項29に記載の空気調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換セルと、そのようなセルによって実行され得る熱交換方法とに関する。
【0002】
詳細には、本発明は、それぞれの収容ケーシング内に設置される少なくとも1つの熱交換器を有する熱交換セルに関し、この熱交換セルは、排他的ではないが好適には、家庭用の使用と、集合住宅、工業地域又は商業地域での使用との両方のための、水加熱装置(温水装置)、加熱システム又は空気調節(空調)システムで使用される。
【背景技術】
【0003】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、「熱交換セル」という用語は、熱交換器内を循環する第1の熱伝達流体と、熱交換器自体の外部で収容ケーシング内を流れる第2の熱伝達流体との間で熱交換を実行するように構成される、それぞれの収容ケーシング内に設置される少なくとも1つの熱交換器を有する好適にはモジュール・タイプのユニットを示すのに使用される。
【0004】
好適な実施例では、後で明らかとなるように、本発明は凝縮タイプの熱交換セル及び熱交換方法に関する。
【0005】
知られているように、熱交換セルの機能は、以下では正確には第1及び第2の熱伝達流体と称される2つの流体の間で熱エネルギーを伝達することである。
【0006】
例えば、一般的な家庭用ガス・ボイラの場合、熱交換セルの機能は、バーナーによって生成される高温燃焼ガスにより、セル内に設置される熱交換器の内部を循環する水を加熱することである。
【0007】
この目的のため、凝縮タイプの熱交換セルは、例えば、燃焼の結果として生じる熱と、燃焼ガス内に含まれる潜在的な凝縮熱との両方を使用するように構成される。回収される潜在的な凝縮熱の量は、主に、加熱システムから熱交換セルの低温側に入る戻り水(return water)の温度によって決定される。
【0008】
現在、高い熱交換効率(大きい交換面の存在に関連する)、コンパクトさ、有利な重量、及びコスト、のそれらの性質に関して特に評価される熱交換セルは、それぞれの収容ケーシング内に収容される螺旋形状の熱交換器を装備するような熱交換セルである。
【0009】
具体的には、このような熱交換器は、所望される熱出力(thermal power)に従って決定される値の断面を有する複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を中心としてコイル状である少なくとも1つの管状ダクトを有する。
【0010】
このような管状ダクトのコイルは、Le Mer名義の欧州特許第0678186号若しくはViessmann Werke名義の欧州特許出願第0745813号に例えば記載されるような扁平断面、又はCosmogas名義の国際特許出願公開第2005/080900号に例えば記載されるような円形断面のいずれかを有することができる。
【0011】
いずれの場合も、螺旋状に巻かれる管状ダクトの連続するコイルの間に隙間が画定され、それにより、実質的に径方向に沿うように、又は螺旋の長手方向軸に対してコイルが斜めである場合は軸方向-径方向に沿うように、第2の熱伝達流体(例えば、バーナーによって生成される高温燃焼ガス)の流れのための流体経路が形成される。螺旋状に巻かれる管状ダクトの連続するコイルの間に画定される隙間は、所定の、好適には一定の、幅を有する。
【0012】
螺旋形状の管状ダクトが、熱交換器に対して同軸に且つ内部に、第2の熱伝達流体の供給ゾーンを画定し、水加熱装置のためのガス-液体熱交換セルでは、一般にここにバーナーが設置される。
【0013】
したがって、述べたように、第2の熱伝達流体がコイルの間の隙間を通って実質的に径方向又は軸方向-径方向に傾向として流れるようになり、それにより、ダクト内部を循環する第1の熱伝達流体に熱を伝達する。
【0014】
既知のタイプの、及び、上記欧州特許第0678186号又はGiannoni France名義の国際特許出願公開第2011/092332号に例えば記載されるような、熱交換セルの構成では、第2の熱伝達流体が、コイルの間の隙間を通って流れた後に、熱交換器に対して外部に画定され且つケーシングの側壁によって外側の境界を画定される環状収集チャンバに到達し、次いで流れ、次いで、耐火材料で作られる断熱材のディスクを支持する仕切り要素の後方で、熱交換器に対してその内部に且つ同軸に画定される少なくとも第2の収集チャンバの中まで流れる。
【0015】
このようなディスクが、熱交換器によって形成される螺旋を、第2の熱伝達流体の流れ方向を基準として仕切り要素のそれぞれ上流側及び下流側にくるように2つの部分に分割するように、熱交換器内に配置される。
【0016】
このようにして、例えば欧州特許第0678186号の
図18に示されるように、螺旋形状の熱交換器が、
- 燃焼ガスの流れ方向を基準として上記仕切り要素の上流側に配置されてバーナーによって生じる熱に対して直接に露出される第1の熱交換部分すなわち1次熱交換部分と、
- 上記仕切り要素の下流側に配置されてバーナーに対して上記仕切り要素によって区切られる第2の熱交換部分すなわち2次熱交換部分と、
に分割される。
【0017】
機能の観点では、熱交換器の1次熱交換部分が、第1の熱伝達流体の最高出口温度において熱交換器によって送達され得る最大熱出力を決定することを目的として、仕切り要素の上流側でガス・バーナーによって生じる熱を吸収することを意図され、対して2次熱交換部分が、仕切り要素の下流側で高温燃焼ガスの潜在的な凝縮熱の回収を実行することとを意図される。
【0018】
全体として対応する形で、第1の熱交換チャンバ及び第2の熱交換チャンバが熱交換セルの収容ケーシング内に画定される。
【0019】
このセル構成によると、熱交換セルから排出される前の、バーナーによって生成される高温燃焼ガスが、連続して、最初に、熱交換器の1次熱交換部分を通って環状収集チャンバに向かって流れ、そのコイルを分離している隙間を径方向に又は軸方向-径方向に内側から外側へと通過し、さらに2次熱交換部分を通過して第2の収集チャンバの方に向かい、収容ケーシングの側壁に対して実質的に垂直であるか又は斜めの方向に沿って、そのコイルを分離している隙間を径方向に又は軸方向-径方向に外側から内側へと通過する。
【0020】
熱交換セルのこの既知の構成の一実施例では、例えば欧州特許第0678186号の
図20又は国際特許出願公開第2011/092332号の
図1に示されるように、セルが、断熱ディスクを支持する上記仕切り要素の下流側のその後方に、つまり熱交換器の第2の熱交換部分のハウジング・ゾーン内に、熱交換器の径方向外側壁とセルの収容ケーシングの周囲側壁との間を径方向に延在する環状仕切り壁をさらに有することができる。
【0021】
このようにして、高温燃焼ガスの排出の前に高温燃焼ガスを分流させるように構成される熱交換セルの構造を達成することが可能であり、ここでは、高温燃料ガスが、順番に、
- 収容ケーシングの側壁に対して実質的に垂直であるか又は斜めの方向に沿って、熱交換器のコイルを分離している隙間を径方向に又は軸方向-径方向に外側から内側へと通過する熱交換器の第2の熱交換部分の第1の部分を横断し、さらには環状仕切り壁を越えた後で、
- 熱交換器のコイルを分離している隙間を通過する熱交換器の第2の熱交換部分の第2の部分を、径方向に又は軸方向-径方向に、内側から外側へと、横断する。
【0022】
次いで、熱交換器の第2の熱交換部分のところで熱交換器の内部に設置される第2の仕切り要素の下流で再び収集された後、高温燃焼ガスが、欧州特許第0678186号の
図20に示されるように実質的に横方向に沿って、又は軸方向に沿って、外側へと排出される。
【0023】
この二つ目の事例では、国際特許出願公開第2011/092332号の
図1に示されるように、高温燃料ガスが、上記2つの仕切り要素の間に挿置されるゾーン内で収集され、その結果、これらのガスが、
- 熱交換器のコイルを分離している隙間を通過する熱交換器の第2の熱交換部分の第2の部分を通って、径方向に又は軸方向-径方向に、内側から外側へ、流れ、
- 第2の熱交換部分の径方向外側壁と収容ケーシングとの間で熱交換器の外側に画定される環状チャンバに到達し、
- 径方向に又は軸方向-径方向に沿って外側から内側へと通過する形で、第2の仕切り要素の下流で熱交換器を通って再び流れ、その後実質的に軸方向に沿ってセルから排出される。
【0024】
既知のタイプの、及び米国特許出願公開第2007/0209606号で例えば説明されるような、熱交換セルのさらに別の構成では、熱交換セルが、垂直方向に設置される螺旋形状の熱交換器と、ケーシングの軸方向中間部分のところで螺旋形状の管によって囲まれる空間を第1及び第2の領域へと分けてさらには螺旋状に巻かれる管を第1及び第2の熱交換部分へと分ける仕切りとを有する。第1の領域に供給される燃焼ガスが、第1の熱交換部分の隙間を通過してさらに第2の熱交換部分の隙間を通過する燃焼ガス経路の方に流れる。
【0025】
一実施例では、
図7に示されるように、第2の領域の下側開口部を閉じるための第2の仕切りが提供され、対して螺旋形状の熱交換器の第2の熱交換部分の下方に実質的にリング形状のガイドが提供される。ガイドの上側表面が斜めになっており、その結果、第2の熱交換部分から滴下する排出凝縮液が、熱交換器の下方に設けられる凝縮液の受け取り部分の方へ案内され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】欧州特許第0678186号
【文献】欧州特許出願第0745813号
【文献】国際特許出願公開第2005/080900号
【文献】国際特許出願公開第2011/092332号
【文献】米国特許出願公開第2007/0209606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
出願人は、熱交換セルの上で言及した既知の構成がいくつかの欠点及び制限を有することに注目している。
【0028】
一つ目として、出願人は、このようなセルが一方でセルのエネルギー効率を向上させるという目的を有しながら、本質的に、セルの第2の熱交換チャンバ内で、燃焼ガスと、熱交換器のコイル内部を循環する液体との間での熱交換を可能にし、この間、熱交換器の内部にある高い温度(通常、150~300℃程度)を有する仕切り要素の後方壁が実質的に迂回される、ということに注目している。
【0029】
具体的には、内部仕切り要素が、軸方向に沿わせてガスを流して離れさせる前に限定される延在範囲を有するその径方向外側部分のところでのみ燃焼ガスによって囲まれ、その結果、ガスの保有熱が非常に限定される程度にしか活用されない。
【0030】
二つ目として、出願人は、欧州特許第0678186号の
図18に示されるセル構成では、直後にセル自体からガスが排出されることを理由として、燃焼ガスにより内部仕切り要素から何らかの形で収集される熱がいずれにしても大部分が煙突の方へ失われる、ということに注目している。
【0031】
三つ目として、出願人は、欧州特許第0678186号及び国際特許出願公開第2011/092332号に説明される熱交換セルの水平方向に設置される構成では、供給ゾーンからくる燃焼ガスが熱交換器のコイルを通って流れると、燃焼ガスの非最適な流体力学的分布が生じることに注目している。
【0032】
実際には、燃焼ガスが熱交換セルの上側部分の方に向かう傾向があり、その後のガス経路の全体に沿って熱交換器の下側部分を実質的に迂回する。
【0033】
出願人は、燃焼ガスの非一様な流れ分布が、熱交換効率を可能な理論値未満に低減する、ということに注目している。
【0034】
さらに、出願人は、上に示した従来技術の文献に示される、第2の収集チャンバから燃焼ガスを軸方向に排出するのを実現する既知の構成が、熱交換器の下流において熱交換セルの外部でガス収集・運搬要素を使用することを必要とし、それにより望ましくない形でその軸方向延在範囲を増大させることに注目している。
【0035】
この点に関して、一方でコスト及び圧力損失を最小にし且つ他方で熱交換効率を最大にすることとの組み合わせで、熱交換セルの寸法を制限することが市場で強く求められるようになってきていることに注目すべきである。
【0036】
したがって、本発明の根底にある課題は、上で言及した欠点を克服することであり、具体的には、熱交換器のコイルの内部に仕切り要素を装備し、向上したエネルギー効率を有する熱交換セルを提供することである。
【0037】
より具体的には、本発明は、規格EN15502-1:2012+A1:2015に従って本明細書において後で定義されるように季節的エネルギー効率を向上させ、同時に軸方向寸法を最小にする、熱交換セルを案出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
この点に関して、出願人は、この目的が、セルの第2の熱交換チャンバ内において、例えばバーナーからくる燃焼ガスなどの、第2の熱伝達流体の流体力学に介入することにより達成され得ることを認識しており、これが、熱交換セルを適切に細分することにより第2の熱伝達流体が適切に案内されるのを保証することによるものであり、これが以下のことを目的とする、
i)第2の収集チャンバ内部のデッド・ゾーンを最小にまで縮小すること、及び
ii)第2の熱伝達流体と、熱交換セルの第2の収集チャンバ内に何らかの形で存在する熱交換セルのすべての要素(熱交換器の第2の熱交換部分のコイル、及び内部仕切り要素)との間での熱交換を最大にすること。
【0039】
したがって、本発明の第1の態様によると、本発明が、添付の請求項1で定義される熱交換セルに関連し、セルの好適な特徴が従属請求項2~21に記載される。
【0040】
より具体的には、本発明は、
- 後方壁及び周囲側壁を有する収容ケーシングと、
- 複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を中心としてコイル状である第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを有する螺旋形状の熱交換器であって、上記熱交換器が上記収容ケーシング内に設置される、螺旋形状の熱交換器と、
- 上記第1の熱伝達流体と熱交換することを意図され、ケーシング内で、上記熱交換器に対して同軸に且つ内部に画定される、第2の熱伝達流体の供給ゾーンと、
- 上記収容ケーシング内に画定される第1の熱交換チャンバであって、この第1の熱交換チャンバの中に熱交換器の第1の熱交換部分が収容され、上記第1の熱交換チャンバが、熱交換器の第1の熱交換部分の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間にある、熱交換器に対して外部に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバを有する、第1の熱交換チャンバと、
- 上記収容ケーシング内に画定される第2の熱交換チャンバであって、この第2の熱交換チャンバの中に熱交換器の第2の熱交換部分が収容され、上記第2の熱交換チャンバが、熱交換器の第2の熱交換部分の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間にある、熱交換器に対して外部に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバを有する、第2の熱交換チャンバと、
- 上記ケーシングの後方壁の近くで収容ケーシングの周囲側壁内に画定される、第2の熱交換チャンバからの流体出口通路と、
を有し、
ここでは、上記第1及び第2の熱交換チャンバが、実質的にプレート形状のボディを有する第1の分離要素により熱交換器の内部で分離される、
熱交換セルに関連し、
上記第1及び第2の熱交換チャンバが、熱交換器の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間を径方向に延在する少なくとも1つの第2の分離要素により熱交換器の外部でさらに分離され、上記第2の分離要素が、少なくとも第2の熱交換チャンバからの上記流体出口通路において、熱交換器の周りを円周方向に延在し、それにより、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバと第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバとの間に少なくとも1つの流体通路を画定することと、
熱交換セルが、上記第2の分離要素と収容ケーシングの後方壁との間を軸方向に延在する一対の軸方向セパレータ・バフルをさらに有し、この一対の軸方向セパレータ・バフルが、上記軸方向セパレータ・バフルの上流側に画定される第2の熱交換流体の第2の収集チャンバの第1の部分を、上記バフルの下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第2の部分から分離するように構成されることと
を特徴とする。
【0041】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組み内では、セル又はセルの要素の、種々の、「軸」方向、「長手」方向、「横」方向、若しくは「径」方向又はその向き、さらには、「前方」、「後方」又は「側方」などのセル内の上記要素のポジショニングは、特に明記しない限り、熱交換器の螺旋の長手方向軸を指すことを意図される。
【0042】
熱交換セルの動作構成では、この長手方向軸は水平又は垂直であってよく、したがって、セル又はセルの要素の種々の方向、向き、又はポジショニングは熱交換器の螺旋の長手方向軸の向きに関連して考察されなければならない。
【0043】
以下の説明では、説明の簡潔さのために、限定する意図はないが、従来通りに、熱交換器の長手方向軸が水平方向であるような熱交換セルの動作位置を参照する。
【0044】
本発明の枠組み及びその後の特許請求の枠組み内では、「熱出力」という用語は、熱交換器内を循環する第1の熱伝達流体と熱交換器の外部を循環する第2の熱伝達流体との間の熱に関する、単位時間当たりの伝達されるエネルギーの量を示すのに使用される。
【0045】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組み内では、熱伝達流体という用語は、外部熱源から熱を受け取る/外部熱源へ熱を伝達することができ、また、流体を中で循環させる装置又はシステムの多様なポイントへ熱を伝達することができる、任意の流体を示すのに使用される。
【0046】
したがって、例えば、ガス-液体熱交換セルの場合、第1の熱伝達流体が加熱される(家庭用の使用ではボイラ内などで)ことになる水から構成されてよく、第2の熱伝達流体が、例えばバーナーからくる燃焼ガスなどの高温ガスから構成されてよく、又は第1の熱伝達流体が圧縮ガス若しくは比較的高温の他の流体から構成されてもよく、第2の熱伝達流体が、適切な循環装置(空気調節システム内など)からくる低温空気から構成されてもよい。
【0047】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、収容ケーシングの「サイズ」又はセルの熱交換器の「サイズ」という用語は、軸方向(つまり、長手方向)に沿って及び軸方向に対しての横方向において、それらによって占有される空間を示すのに使用され、これは例えば、収容ケーシングの形状が実質的に角柱である場合には高さ及び幅であり、又は収容ケーシングの形状が実質的に円筒である場合には径方向に沿うものである。
【0048】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、「上流側」及び「下流側」という用語は、例えば第2の熱伝達流体などの、それぞれの熱伝達流体の流れ方向を基準とした、セルの要素又は部品の位置を示すのに使用される。
【0049】
本発明によると、出願人は以下のことを認識している、熱交換器のコイルの内部に仕切り要素を装備する既知のタイプの熱交換セルの上述の構成を基準として、等しい熱出力において、エネルギー効率を向上させること、具体的には季節的エネルギー効率を向上させることを達成することが可能であり、ここでは同時にセルの以下の性質に介入する、
- 第2の熱交換チャンバからの流体出口通路の位置(この通路が、セルの収容ケーシングの周囲側壁の軸方向端部とケーシング自体の後方壁との間において上記第2のチャンバ内で周縁部に画定される)、
- 第2の熱交換チャンバの、またより具体的には第2の熱伝達流体(例えば、水加熱装置の燃焼ガス)の第2の収集チャンバの、構成(この第2の熱交換チャンバは、第2の熱交換チャンバの実質的に全体にわたって、及び第2の熱交換チャンバ内に位置する熱交換器の第2の熱交換部分の実質的にすべてのコイルにわたって、セルからの排出前の第2の熱伝達流体の大部分を実質的に横方向に沿って流すように第2の熱伝達流体の流れを方向付けることを目的として、第1の熱交換チャンバから適切に分離されてその内部を細分される)。
【0050】
より具体的には、本発明による、細分される構造を有する第2の熱交換チャンバの構成が、以下の点において、既知のタイプのセルの構成とは異なる、
- 第2の径方向の分離要素及び上で言及した一対の軸方向セパレータ・バフルが、実際には、第2の熱伝達流体(例えば、水加熱装置の燃焼ガス)の流れの大部分、また好適には上で言及した実質的にすべての流れが、第1の収集チャンバから、第2の熱交換チャンバからの流体出口通路の方へ、自由に通過することが可能になることを防止する、
- 第2の径方向の分離要素が、第2の熱伝達流体が第1の収集チャンバから、セルの第2の熱交換チャンバからの流体出口通路を配置しているところの第2の収集チャンバの部分の方へ自由に流れる、のを防止する、
- 上で言及した一対の軸方向セパレータ・バフルが、可能性としての流体の漏洩を除いて、第2の収集チャンバ内の第2の熱伝達流体が熱交換器の周りを円周方向に沿って自由に流れるのを制限し、また好適には実質的に完全に阻止し、この流れを、軸方向セパレータ・バフルの上流側に配置される熱交換器のコイルを通って流すようにし、その後、この流れがセルの第2の熱交換チャンバの残りの部分に沿って移動することができるようになる。
【0051】
より具体的には、上で言及した一対の軸方向セパレータ・バフルによって達成される第2の熱交換チャンバの細分される構成のおかげで、第2の熱伝達流体の大部分の流れ、また好適には全体の流れが、実質的に横方向に沿って以下の順番で流れるようになる、
i)軸方向セパレータ・バフルの上流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1の部分内にある、熱交換器の第2の熱交換部分のコイル、
ii)熱交換器の内部に画定される第2の熱交換チャンバのゾーン、並びに
iii)軸方向セパレータ・バフルの下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第2の部分内にある、熱交換器の第2の熱交換部分のコイル。
【0052】
出願人は以下のことを実験的に発見した、第2の熱交換チャンバの、及び第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの、上で言及した細分される構成により、セル内で、第2の熱伝達流体の特定の流れにより以下の有利な技術的効果を得ることが可能となる、
i)熱交換器の実質的に径方向又は軸方向-径方向に沿う流れと、第1及び第2の分離要素の上流側に位置するセルの部分での第1の収集チャンバに沿って移動する流れと、の両方において、第2の熱伝達流体の流れを一様に分布させるという技術的効果、
ii)第2の熱交換チャンバからの流体出口通路から遠位側のそれぞれのゾーンにおいて、セル・ケーシングの周縁部分に沿うように、及び第2の収集チャンバに向かう通路に沿うように、第2の熱伝達流体の流れを方向付けるという技術的効果、並びに
iii)第1及び第2の分離要素の下流側に画定される第2の収集チャンバ内での第2の熱伝達流体の流れを一様に分布させるという技術的効果であって、それにより、第2の熱伝達流体の流れが実質的に完全な形で横方向に沿って横断することになるような収集チャンバ内のデッド・ゾーンが最大限に縮小される。
【0053】
第2の熱交換チャンバ内でこのようにして得られる横方向に向かう一様な流れは有利には、熱交換器の第2の熱交換部分内を流れる第1の熱伝達流体との、及び熱交換器自体の内部に配置される第1の分離要素の後方壁との、両方の熱交換を有意な形で強化するのを可能にし、同時に、熱出力を等しくしながら、セルの軸方向寸法を有利に制御する。
【0054】
この点に関して、熱交換器の内部に画定される第2の熱交換チャンバのゾーン内を横方向に流れる第2の熱伝達流体の作用により第1の分離要素の後方壁によって除去される熱が、既知のタイプのセルの事例において起こるようには無駄にされず、この熱が、一対の軸方向セパレータ・バフルの下流側に配置される熱交換器の第2の熱交換部分のコイル内を流れる第1の熱伝達流体に伝達されることに留意されたい。
【0055】
したがって、本発明によると、第2の熱伝達流体と、細分される第2の熱交換チャンバ内に存在してこの流体と熱交換関係にあるセルのすべての要素(熱交換器の第2の熱交換部分のコイル、及び本明細書では他に「内部仕切り要素」としても定義される第1の分離要素の後方壁)と、の間の熱交換の改善により、セルの熱交換効率を向上させるのを、また具体的には、所望される場合、凝縮効果を向上させるのを、可能にする特徴を有する、第2の熱伝達流体の一様に且つ良好に分布される流れが形成されることにより、セルの第2の熱交換チャンバ内の熱交換性能が最適化される。
【0056】
この点に関して、出願人は、本発明によるセル構成が、セルの季節的な空間加熱エネルギー効率(seasonal space heating energy efficiency)ηsを、また具体的には、セルの季節的エネルギー効率ηsの決定に非常に大きく影響するアクティブ・モード効率ηsonを、向上させるのを可能にすることを実験的に発見した。
【0057】
上で言及した季節的な空間加熱エネルギー効率ηs及びηsonは、具体的には、以下のように規格EN15502-1:2012+A1:2015パラグラフ9.5.2に従って定義される、
ηs=ηson-ΣFi ηson=0.85・η1+0.15・η4
η1=η30・Hi/Hs η4=η100・Hi/Hs
ここで、
ηs=季節的な空間加熱エネルギー効率
Fi=上で言及した規格のパラグラフ9.5.2.2によって定義されるシステムの補正因子
ηson=アクティブ・モードでの季節的な空間加熱エネルギー効率
η100=公称の入熱Qnでの有効効率
η30=公称の入熱Qnの30%での有効効率
Hi/Hs=適切なガス・グループ(例えば、メタン=0.9、プロパン=0.923、ブタン=0.92)における総発熱量値に対しての正味値の比率
【0058】
実施した実験的試験中、出願人は具体的には、本発明によるセルの構成が、熱交換器の内部にある仕切り要素を装備する既知のタイプのセルによって達成される効率を基準として、セルのアクティブ・モードにおける季節的な空間加熱エネルギー効率ηsonを少なくとも1%向上させるのを可能にすることを発見した。
【0059】
アクティブ・モードにおける季節的な空間加熱エネルギー効率ηsonのこのような向上は、動作時間の大部分において熱交換セルが最大公称熱出量ではなくいわゆる変化する状態下で動作すると見なされる場合に、特に有意であると考えられ、この変化する状態では、送達される熱出力が、上記で説明した季節的な空間加熱エネルギー効率ηsを決定するための公式によって正確に示されるように、最大値未満である。
【0060】
出願人はまた、約10年の動作をシミュレートするように適合される長期間の実用試験により、具体的にはセルが家庭用のボイラなどの部屋を加熱するための燃料燃焼用途で使用されるように構成される熱交換セルである場合に(ここでは、第1の熱伝達流体が加熱されることになる水であり、第2の熱伝達流体がバーナーからくる高温燃料ガスを有する)、本発明によるセルの第2の熱交換チャンバの細分される構成が、非常に有利には、経時的に実質的に変化しないようにセルの性能を維持するのを可能にすることを実験的に発見した。
【0061】
実際には、このタイプの熱交換セルの長時間の又は短時間の動作の後、バーナーの位置するところの第2の熱伝達流体の供給ゾーンに面するゾーンにおいて、熱交換器の下側の螺旋形状部分にスケールが形成されることが見られる(経時的に未燃粒子が徐々に堆積することを理由とする)。
【0062】
出願人は、これらのスケールが、熱交換器のコイルの間の燃焼ガスの自由通過断面を、熱交換器の全内周の30%にも達する可能性がある値まで、徐々に塞いでいき(熱交換器の下側ゾーンにおいて)、それにより、第1の熱伝達流体(熱交換器の管内を流れている、加熱されることになる水)に伝達され得る熱エネルギーの量が有意に減少することに注目している。
【0063】
非常に有利には、本発明によるセルの第2の熱交換チャンバの細分される構成が、セルの動作中、セルの第2の熱交換チャンバ内で交換される熱の対応する形での漸進的な増加と共に、第1の熱交換チャンバ内で交換される熱の漸進的な減少を補償するのを可能にする。
【0064】
この効果は以下のことによるものである、上述したように、第2の熱伝達流体が実質的に横方向に沿って、以下のように順番に強制的に流れる、
- 軸方向セパレータ・バフルの上流側に配置される熱交換器の第2の熱交換部分のコイルを通って流れる、
- 熱交換器の内部に画定される第2の熱交換チャンバのゾーンに沿って流れる、
- 軸方向セパレータ・バフルの下流側に位置する熱交換器の第2の熱交換部分のコイルを通って流れる。
【0065】
言い換えると、本発明による熱交換セルは、有利には、熱交換器の径方向内側部分に不可避的に徐々に堆積するスケールを原因として第1の熱交換チャンバ内で交換されない実質的にすべての熱を第2の熱交換チャンバ内で実質的に完全に回収することができる。
【0066】
出願人はまた、上で言及した長時間の実用試験により、熱交換セルが部屋を加熱するための燃料燃焼用途で使用されるように構成される場合に、本発明によるセルの第2の熱交換チャンバの細分される構成が、有利には、第2の熱交換チャンバ内での、つまり部屋加熱システムからの戻り水がセルに入るところのセルの最低温度側での、燃焼ガスの潜在的な凝縮熱の回収を強化するのを可能にする、ということを実験的に発見した。
【0067】
出願人によって実施された試験から、具体的には、燃焼ガスの潜在的な凝縮熱の強化された回収が、第2の熱交換チャンバ内に位置する熱交換器のコイルに対して効果的な「洗浄」作用を働かせることができるような量の凝縮液を得ることができるような高いレベルに達する、ということが分かった。
【0068】
言い換えると、本発明による熱交換セルは、有利には、特別な処置に一切依存する必要なく、セルの動作中に低温で第1の熱伝達流体を循環させるところの第2の熱交換チャンバ内に位置する熱交換器のコイルを常にクリーンに維持することができる。
【0069】
出願人は次いで、セルの熱出力を同等にして、欧州特許第0678186号及び国際特許出願公開第2011/092332号で説明される熱交換セルの場合よりもセルの障害を少なくして上で言及した有利な効果を達成することが可能であることを発見した。
【0070】
最後に、高温燃焼ガスがセル・ケーシングの上側部分の方に向かう傾向を有することを理由として、水加熱・空気調節装置の製造業者により主として使用されるようなセルのすべての水平方向に設置される構成において上で言及した有利な技術的効果が非常に実質的な形で達成されることに留意されたい。
【0071】
本発明の第2の態様によると、本発明が、添付の請求項22で定義される熱交換方法に関連し、この方法の好適な特徴が従属請求項23~26に記載される。
【0072】
より具体的には、本発明は、熱交換セル内での第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間の熱交換方法に関連し、上記熱交換セルが、
- 後方壁及び周囲側壁を有する収容ケーシングと、
- 複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を中心としてコイル状である第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを有する螺旋形状の熱交換器であって、上記熱交換器が上記収容ケーシング内に設置される、螺旋形状の熱交換器と、
- 上記第1の熱伝達流体と熱交換することを意図され、ケーシング内で、上記熱交換器に対して同軸に且つ内部に画定される、第2の熱伝達流体の供給ゾーンと、
- 上記収容ケーシング内に画定される第1の熱交換チャンバであって、この第1の熱交換チャンバの中に熱交換器の第1の熱交換部分が収容され、上記第1の熱交換チャンバが、熱交換器の第1の熱交換部分の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間にある、熱交換器に対して外部に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバを有する、第1の熱交換チャンバと、
- 上記収容ケーシング内に画定される第2の熱交換チャンバであって、この第2の熱交換チャンバの中に熱交換器の第2の熱交換部分が収容され、上記第2の熱交換チャンバが、熱交換器の第2の熱交換部分の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間にある、熱交換器に対して外部に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバを有する、第2の熱交換チャンバと、
- 上記ケーシングの後方壁の近くで収容ケーシングの周囲側壁内に画定される、第2の熱交換チャンバからの流体出口通路と、
を有し、
ここでは、上記第1及び第2の熱交換チャンバが、実質的にプレート形状のボディを有する第1の分離要素により熱交換器の内部で分離され、
ここでは、上記第1及び第2の熱交換チャンバが、熱交換器の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間を径方向に延在する少なくとも1つの第2の分離要素により熱交換器の外部で分離され、上記第2の分離要素が、少なくとも第2の熱交換チャンバからの上記流体出口通路において、熱交換器の周りを円周方向に延在し、それにより、第2の熱伝達流体の第1及び第2の収集チャンバの間に少なくとも1つの流体通路を画定し、
この方法が、
- 上記供給ゾーン内に第2の熱伝達流体を供給するステップと、
- 第2の熱伝達流体と、第1の熱交換チャンバ内に配置される熱交換器のコイルを通って流れることにより熱交換器の第1の熱交換部分内を流れる第1の熱伝達流体と、の間の第1の熱交換を、第1の熱交換チャンバ内で、実行するステップと、
- 熱交換器の外部にある第1の熱交換チャンバ内に画定される第2の熱伝達流体の上記第1の収集チャンバ内で第2の熱伝達流体を収集するステップと、
- 第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバと第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの少なくとも第1の部分との間に形成される上記少なくとも1つの流体通路により第2の熱伝達流体を上記第1の熱交換チャンバから上記第2の熱交換チャンバまで送るステップであって、第2の収集チャンバの上記第1の部分が、上記第2の分離要素と収容ケーシングの後方壁との間を軸方向に延在する一対の軸方向セパレータ・バフルの上流側で、第2の熱交換チャンバの第1の部分内で、熱交換器に対して外部に画定される、ステップと、
- 第2の熱伝達流体と、第2の熱交換チャンバの上記少なくとも第1の部分内に配置される熱交換器のコイルを通って流れることにより熱交換器の第2の熱交換部分内を流れる第1の熱伝達流体と、の間の第2の熱交換を、第2の熱交換チャンバ内で、実行するステップと、
- 熱交換器の内部に画定される第2の熱交換チャンバのゾーンを実質的に横方向に沿って横断させることにより、第2の熱伝達流体と上記第1の分離要素との間の第3の熱交換を、第2の熱交換チャンバ内で、実行するステップと、
- 第2の熱伝達流体と、上記一対の軸方向セパレータ・バフルの下流側に画定される第2の熱交換チャンバの第2の部分内に配置される熱交換器のコイルを通って流れることにより熱交換器の第2の熱交換部分内を流れる第1の熱伝達流体と、の間の第4の熱交換を、第2の熱交換チャンバ内で、実行するステップと、
- 第2の熱交換チャンバからの上記流体出口通路を介して、熱交換セルの長手方向軸に対して実質的に垂直な方向に沿わせて、第2の熱交換チャンバから第2の熱伝達流体を排出するステップと、
を有し、
上記第1、第2、第3、及び第4の熱交換が、互いに連続的に実行される。
【0073】
有利には、本発明の熱交換方法は、熱交換セルに関連して上で説明した技術的効果を達成する。
【0074】
本発明の第3の態様によると、本発明が、本記述で定義される熱交換セルを有する加熱装置又は空気調節装置に関連する。
【0075】
本発明は、上で言及した態様のうちの少なくとも1つの態様において以下の好適な特徴のうちの少なくとも1つを有することができ、これらの特徴は、具体的には、適用の特定の要求に適合するように所望される場合に互いに組み合わされ得る。
【0076】
好適な一実施例では、螺旋形状の熱交換器が、少なくとも1つの滑らかな管状ダクト、つまり、その外側表面から延在する熱交換フィンを有さないダクトを有する。
【0077】
このようにして、有利には、実際には洗浄することが困難であるゾーンである、熱交換フィンと管状ダクトの外側表面との間の接触ゾーンの近傍の堆積物の蓄積に関連する、熱交換性能のいかなる劣化も制限することが可能となる。
【0078】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトが扁平形状を有する断面を有し、好適には少なくとも部分的に楕円の断面を有する。
【0079】
好適には、熱交換器の管状ダクトの、上で言及した複数のコイルのうちのコイルが扁平断面を有し、その主軸が熱交換器の螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直である。
【0080】
別の好適な実施例では、適用の特定の要求条件を満たすために、熱交換器の管状ダクトのコイルの扁平断面の主軸が螺旋の長手方向軸に対して斜めである。好適には、傾斜の角度は60°から87°の間に有される。
【0081】
好適には、熱交換器が斜めのコイルを有する場合、熱交換セルが、熱交換器の隣接するコイルの間に画定される隙間からの凝縮液の流出を促進することを目的として、加熱装置又は空気調節装置の内部に垂直方向に設置される。
【0082】
好適な実施例では、ケーシングの周囲側壁が、実質的に中断させない形で、熱交換器、及び第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバを取り囲んでその側方の境界を画定する。
【0083】
本記述の文脈及びその後の特許請求の範囲の文脈内では、このような好適な特徴は、収容ケーシングの周囲側壁が、セルの外側の第2の熱伝達流体の直接の出口開口部に向かって第2の熱伝達流体が実質的に流れるのを可能にしてそれにより第2の収集チャンバを実質的に迂回させるように構成される開口部を有さないことを示している。
【0084】
好適には、熱交換器の内部に設置される第1の分離要素が、第1の熱交換チャンバから、具体的には、熱交換器に対して同軸に且つ内部に画定される第2の熱伝達流体の供給ゾーンから、第2の熱交換チャンバを構造的に分離するように構成される。
【0085】
セルが水加熱装置のためのガス-液体熱交換セルであるような好適な実施例では、第2の熱伝達流体が、好適には、本記述の文脈内では「燃焼室」という用語によっても示される、供給ゾーン内に収容されるバーナーの燃焼ガスを有する。
【0086】
本発明によると、熱交換器の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間を径方向に延在する第2の分離要素が、少なくとも第2の熱交換チャンバからの上で言及した流体出口通路において、第2の熱交換チャンバを第1の熱交換チャンバから構造的に分離するように構成される。
【0087】
好適には、第2の分離要素が、所定の値を有する、熱交換器の周りでの円周方向の延在範囲を有し、これが好適には、第2の熱交換チャンバからの上で言及した流体出口通路の方に向かう第2の熱伝達流体の流れの大部分が直接的に通過するのを防止することなどを目的とする。
【0088】
好適には、第2の分離要素が、その頂点が熱交換器の長手方向軸に位置する一定の角度によって画定される、熱交換器の周りの円周方向の延在範囲を有し、この一定の角度が、25°から200°の間に、より好適には50°から180°の間に、有される。
【0089】
本記述の文脈及びその後の特許請求の範囲の文脈内では、量、パラメータ、及びパーセンテージなどを表すすべての数値的な大きさは、特に明記しない限り、いずれの状況においても「約」という語が前に付くものとして理解される。また、数価的な大きさの全範囲には、具体的に示される数値に加えて、最大及び最小の数値と、考えられるすべての中間範囲と、の考えられるすべての組み合わせが含まれる。
【0090】
本発明の目的においては、第2の分離要素が、熱交換器の外部において第1の熱交換チャンバから第2の熱交換チャンバを構造的に分離するという目的に適する任意の形状及び適切な厚さで構成される。
【0091】
好適な実施例では、第2の分離要素が適切な構造材料で作られ、これは例えば、鋼又はアルミニウムなどの金属、或はポリフェニレンサルファイド(PPS)などの、耐熱性を有する高性能プラスチック材料、などであり、可能性として、例えばガラス繊維などの機能フィラーの繊維を充填される。
【0092】
第2の分離要素の形状が、熱交換セルの収容ケーシングの形状によって決定される。
【0093】
好適な実施例では、第2の分離要素が実質的に円形クラウンの1セクターのように成形される。
【0094】
好適な実施例では、第2の分離要素が、第1の熱交換チャンバ内の、熱交換器に対して径方向に外部の位置に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバの断面積の、少なくとも90%、より好適には少なくとも92%、さらにより好適には95%を閉じるように構成される。
【0095】
特に好適な実施例では、第2の分離要素が、セルの種々の構成要素の加工公差を原因とする不可避的な漏洩は別として、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバの断面を実質的に完全に(実質的に100%)閉じるように構成される。
【0096】
したがって、この好適な実施例では、第2の分離要素が熱交換器の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間を径方向に延在し、後でより明確に見られるように、その特定の実現手法に従って、収容ケーシングの周囲側壁又は熱交換器の径方向外側壁に実質的に当接されるように構成される。
【0097】
さらにより好適には、第2の分離要素が、実質的な液体シールを有するような形で、収容ケーシングの周囲側壁又は熱交換器の径方向外側壁に当接されるように構成される。
【0098】
これらの好適な実施例のおかげで、少なくとも第2の熱交換チャンバからの流体出口通路において第1及び第2の熱交換チャンバの間の流体連通を実質的に制限すること、またより好適には実質的に防止することが有利には可能である(それでもやはり、加工公差を原因とする不可避的な漏洩は発生する)。
【0099】
本発明の目的においては、いずれにしても、第2の分離要素における第2の熱伝達流体のいかなる漏洩も、それが第2のセパレータのガスの通過に対してのバリア機能を認識可能な程度では変化させないという理由から(及びその範囲においては)許容され得る(セルのこれらの要素の及びセルの収容ケーシングの加工公差を原因として、大量生産ではしばしば不可避である)。
【0100】
好適には、第2の分離要素が、セルの収容ケーシングの内部の第2の熱伝達流体が、ケーシングの周囲側壁に実質的に平行な方向に沿って且つその近傍で、第2の熱交換チャンバに向かって、周縁部を流れるのを可能にするように構成される。
【0101】
第2の分離要素のこの好適な実施例のおかげで、本発明の熱交換方法が好適には、熱交換器の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間に、さらには熱交換器の外部に画定される第2の熱伝達流体の第1及び第2の収集チャンバの間に、形成される流体の上で言及した少なくとも1つの通路を介して、ケーシングの周囲側壁に実質的に平行に且つその近傍で、第2の熱伝達流体を第1の熱交換チャンバから第2の熱交換チャンバの方向に送るステップを有する。
【0102】
出願人は、第2の分離要素の円周方向の延在範囲を適切に調整することにより、熱交換器の第1の熱交換部分の軸方向延在範囲の実質的に全体に沿う範囲において、さらにはこの第1の部分の円周方向の延在範囲の実質的に全体に沿う範囲において、第1の熱交換チャンバ内で熱交換器の外側に向かって実質的に径方向に又は軸方向-径方向に横断する第2の熱伝達流体の流体力学を最適化するというさらなる有利な技術的効果を得ることが可能となることを実験的に発見した。
【0103】
このようにして有利には、優先的な流体経路を大幅に減少させ、第2の分離要素の上流側に配置される熱交換器のコイルを横断する第2の熱伝達流体の流れの分布を改善することが可能となる。
【0104】
具体的には、出願人は、熱交換器の第1の熱交換部分を径方向に又は軸方向-径方向に横断してコイル間に画定される隙間の中に入る第2の熱伝達流体の流量が、熱交換器自体のこの第1の熱交換部分の軸方向断面に沿って実質的に一定となり得ることを発見した。
【0105】
出願人はまた、この流量が熱交換器の第1の熱交換部分の円周方向の延在範囲に沿っても実質的に一定となり、それにより、第2の熱伝達流体が第1の環状収集チャンバ内でこの第1の熱交換部分の円周方向の延在範囲に沿って一様に移動するようになり、第1の収集チャンバ内で、流体の移動しないようなデッド・ゾーンが存在することが大幅に低減される、と考察する。
【0106】
出願人はまた、第2の分離要素の円周方向の延在範囲を適切に画定することによりさらに、第2の分離要素の上流側のセルの部分(第1の熱交換チャンバ)において、さらには第2の分離要素の下流側のセルの部分(第2の熱交換チャンバ)内の第2の収集チャンバの方へ向かう通路内において、第1の収集チャンバを横断する第2の熱伝達流体の流体力学を最適化することが可能となることを実験的に発見した。
【0107】
したがって、好適には、本発明の熱交換方法が、熱交換器の径方向外側壁と収容ケーシングの周囲側壁との間に形成される上記少なくとも1つの通路の流体流れの全断面積を調整することにより、第2の熱交換チャンバの方に送られる第2の熱伝達流体の流体力学を調整するステップを有する。
【0108】
言及したように、このステップは、実際には、第2の分離要素の円周方向の延在範囲を適切に画定することにより、実現される。
【0109】
出願人は、第2の熱伝達流体の流体力学をこのように最適化してひいてはこの流体と熱交換器との間の熱交換器を最適化することにより、有利には、具体的には軸方向に沿う、熱交換器の寸法を一切増大させることなく、セルの熱交換効率を向上させることが可能となり、その結果、熱交換器と、熱交換器を収容する熱交換セルとの両方の、コスト、材料消費、及び障害が有利に低減されることを発見した。
【0110】
好適な実施例では、第2の分離要素によって画定される第2の熱伝達流体の第1及び第2の収集チャンバの間の上記少なくとも1つの流体通路の流体流れの断面積が収容ケーシングの周囲側壁に沿って一様に分布される。
【0111】
このようにして、有利には、円周方向に沿って第2の熱伝達流体を一様に分布させることが可能となり、第2の熱伝達流体の流体力学が最適化される。
【0112】
好適な実施例では、第2の分離要素が、通路の長手方向の中心線平面に実質的にまたがる形で円周方向に延在し、第2の熱交換チャンバから流体が出るのを可能にする。
【0113】
このようにして、有利には、流体出口通路の上で言及した長手方向の中心線平面に対する第2の分離要素のこの対称構成のおかげで、第2の熱伝達流体自体の第1の収集チャンバから第2の収集チャンバの方への通路内の第2の熱伝達流体の流れのバランスのとれた対称性を有する分布を有することが可能となる。
【0114】
好適な実施例では、第2の分離要素が、第1の分離要素において熱交換器の周りを円周方向に延在する。
【0115】
このようにして、有利には、実質的にガス・シールを有する形で第1及び第2の熱交換チャンバを分離することに有利に寄与するような実質的な構造的連続性を第1及び第2の分離要素の間に有することが可能となる(加工公差を原因とする不可避的な漏洩は除く)。
【0116】
好適な実施例では、第1の分離要素が、熱交換器の第1の熱交換部分のコイルと第2の熱交換部分のコイルとの間に少なくとも部分的に挿置される環状クラウンを有する。
【0117】
好適な実施例では、第2の分離要素が、任意適切な形で第2の分離要素を接続し得るところの第1の分離要素の上で言及した環状クラウンから径方向に延在する。
【0118】
より好適には、第2の分離要素が、熱交換器のコイルの径方向に沿う延在範囲の全体にわたって径方向に延在する。
【0119】
好適な実施例では、第1の分離要素、また、より好適には第1の分離要素の上で言及した環状クラウンが、鋼又はアルミニウムなどの、高い熱伝導率を有する金属材料で作られる。
【0120】
したがって、例えば、有利には、第1及び第2の分離要素を単一部片として作ることが可能である。
【0121】
このようにして、有利には、特別に認識され得る以下の技術的効果を得ることが可能となる、
- 第1及び第2の分離要素の間の径方向に沿うインターフェースにおける漏洩を一切回避すること、
- 熱交換セルを実現するのに必要となる構成要素の数を低減することであって、ここでは有利には、セル自体の製造コスト及び組み立てコストも低減される。
【0122】
代替の好適な実施例では、第2の分離要素が、セルの収容ケーシングの周囲側壁から径方向に延在することができる。
【0123】
この事例では、有利には、第1の分離要素を実現するのを単純化すること、並びに第2の分離要素をセルの収容ケーシングの周囲側壁と一体の単一部片として作るか又は第2の分離要素をセルの収容ケーシングの周囲側壁に対して固定することが可能であり、例えば好適には耐熱性を有する高性能プラスチック材料(例えば、PPS)などの、適切なプラスチック材料を成形することによりこの収容ケーシングが例えば作られる場合、オペレーションが比較的容易に実施され得る。
【0124】
好適な実施例では、第1の分離要素の実質的にプレート形状のボディの中央に、第2の熱伝達流体の供給ゾーンに面する断熱要素が設けられる。
【0125】
好適には、この断熱要素が実質的にディスク形状である。
【0126】
有利には、この断熱要素が、非常に高い温度を有することができる、第2の熱伝達流体の供給ゾーンと、第2の熱伝達流体がその初期熱の大部分を提供した後で流れるところであるセルの第2の熱交換チャンバとの間で適切な断熱を達成するのを可能にする。
【0127】
より好適には、断熱要素が、分離要素のボディ内の中央に形成されるそれぞれのハウジング・シート内に収容される。
【0128】
好適には、断熱要素が全体として熱交換器に同軸に且つその内部に収容される。
【0129】
このようにして、有利には、所望される場合に第2の熱交換チャンバの凝縮の能力を向上させること、及び収容ケーシングを作っている材料を熱的に保護すること、の両方により、セルの最も高温の部分である第2の熱伝達流体の供給ゾーンを、第2の熱交換チャンバから及び収容ケーシングの後方壁から断熱することが可能となる。
【0130】
好適な実施例では、設けられる場合の第1の分離要素の環状クラウンが、熱交換器のコイルと実質的に同じ巻線ピッチで少なくとも部分的に螺旋状に延在する。
【0131】
第1の分離要素の環状クラウンが少なくとも部分的に螺旋形状に延在することにより、さらに、有利には、セル自体の軸方向寸法を最小にするのと同時にセルの熱交換効率を上で言及したように向上させることを達成することが可能となる。
【0132】
好適には、断熱要素のハウジング・シートが、ディスクをハウジング・シートの後方壁から所定の距離において維持するように構成される少なくとも1つの隆起スペーサを内部に装備する後方壁を有する。
【0133】
このようにして、ハウジング・シートの底部と、例えば高温の燃焼ガス(第2の熱伝達流体)が生じるところであるセルの燃焼室などの、第2の熱伝達流体の供給ゾーンに隣接するところで高い温度を有する断熱要素と、の間で、有利な断熱が達成される。断熱要素のハウジング・シートの後方壁へと向かうこの熱分散は低減される。
【0134】
好適な実施例では、第1の分離要素が、ケーシングの後方壁の方を向く分離要素の後方面から延在する複数の熱交換突出部(heat exchange protrusion)を有する。
【0135】
このようにして、有利には、第1の分離要素の交換表面積を増大することが可能となり、それにより、第2の熱伝達流体と第2の熱交換チャンバの内部の第1の分離要素の熱交換部分との間の熱交換の量が増大する。
【0136】
第1の分離要素がこの好適な構成を有する場合、本発明の熱交換方法が、好適には、上で言及した複数の熱交換突出部により第2の熱交換器の第2のゾーン内で実行される第2の熱交換の量を増大するステップを有する。
【0137】
好適には、熱交換突出部が、熱交換表面積を最大にするために実質的にピン形状及び/又はフィン形状である。
【0138】
好適な実施例では、第2の分離要素とセルの収容ケーシングの後方壁との間を軸方向に延在する上で言及した軸方向セパレータ・バフルが、熱交換器の第2の熱交換部分の径方向外側壁とケーシングの周囲側壁との間を径方向に延在する。
【0139】
このようにして、有利には、第2の熱交換チャンバを適切に細分するように、及び軸方向セパレータ・バフルのそれぞれ上流側及び下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1及び第2の部分を互いから分離するように、適合される仕切り壁の所望の構造を構造的に単純な形で達成することが可能である。
【0140】
好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが、鋼又はアルミニウムのような金属、又はPPSなどの耐熱性を有する高性能プラスチック材料、などの適切な構造材料で作られる。
【0141】
好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが任意の適切な手法で第2の分離要素に対して固定される。
【0142】
したがって、例えば、軸方向セパレータ・バフルが第2の分離要素と一体の単一部片として形成され得る。
【0143】
この事例では、有利には、第2の分離要素と軸方向セパレータ・バフルとの間に構造的な連続性を得ることが可能であり、さらにこの構造的な連続性が以下の特別に認識され得る技術的効果を得るのを可能にする、
- 熱交換器の第2の熱交換部分に対して径方向外側の位置における、円周方向に沿う、第2の分離要素と軸方向セパレータ・バフルとの間のインターフェースのところでのいかなる漏洩も防止すること、及び
- 熱交換セルを実現するのに必要となる構成要素の数を低減することであって、ここでは有利には、セル自体の製造コスト及び組み立てコストも低減されること。
【0144】
代替の好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが、セルの収容ケーシングの周囲側壁から径方向に延在してよい。
【0145】
この事例では、有利には、軸方向セパレータ・バフルを実現するのを単純化すること、並びに軸方向セパレータ・バフルをセルの収容ケーシングの周囲側壁と一体の単一部片として作るか又は軸方向セパレータ・バフルをセルの収容ケーシングの周囲側壁に対して固定すること、が可能であり、例えば好適には耐熱性を有する高性能プラスチック材料(例えば、PPS)などの、適切なプラスチック材料を成形することによりこの収容ケーシングが例えば作られる場合、オペレーションが比較的容易に実施され得る。
【0146】
別の好適な実施例では、有利には、特定の構成及び使用の要求条件に応じる形で、上述の、第1の分離要素の実現形態と、第2の分離要素の実現形態と、軸方向セパレータ・バフルの実現形態とを組み合わせることが可能である。
【0147】
したがって、第1の分離要素と、第2の分離要素と、軸方向セパレータ・バフルとを固定すること、又はこれらを単一部片として作ることが可能であり、つまり、第2の分離要素及び軸方向セパレータ・バフルからの1つ又は複数を、セルの収容ケーシングの周囲側壁に対して固定するか又はセルの収容ケーシングの周囲側壁と一体の単一部片として作ることが可能であるか、或は第2の分離要素及び軸方向セパレータ・バフルのうちの1つ又は複数をこの周囲側壁に対して固定することが可能である。
【0148】
好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが、第2の熱交換チャンバ内の、熱交換器に対して径方向の外部の位置に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの断面積の少なくとも90%、より好適には少なくとも92%、さらにより好適には少なくとも95%を閉じるように構成される。
【0149】
特に好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが、セルの種々の構成要素の加工公差を原因とする不可避的な漏洩は別として、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの断面を実質的に完全に(実質的に100%)閉じるように構成される。
【0150】
したがって、この好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが、第2の熱交換チャンバ内に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの軸方向展開範囲の実質的に全体に沿って、第2の分離要素とセルの収容ケーシングの後方壁との間を軸方向に延在している。
【0151】
さらにより好適には、軸方向セパレータ・バフルが、セルの収容ケーシングの後方壁に対して実質的に当接されるように第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ内を延在する。
【0152】
このようにして、有利には、軸方向セパレータ・バフルのそれぞれ上流側及び下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1及び第2の部分の間の流体連通を実質的に制限すること、またより好適には実質的に防止することが可能である(それでもやはり、加工公差を原因とする不可避的な漏洩は発生する)。
【0153】
したがって、これらの好適な実施例では、有利には、軸方向セパレータ・バフルの下流側で熱交換器の第2の熱交換部分の外部に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第2の部分を適切に閉じることが可能である。
【0154】
こうすることで、有利には、本発明による熱交換セル内の第2の熱伝達流体に与えられ得る流体力学に関連する、上で開示した有利な技術的効果を最大にすることが可能である。
【0155】
したがって、例えば、有利には、軸方向セパレータ・バフルの上流側に画定される第2の熱交換チャンバの第1の部分内に配置される熱交換器のコイルの方へ、第2の熱伝達流体の流れ全体を実質的に分流させることが可能である。
【0156】
このようにして、第2の熱伝達流体と、
i)軸方向セパレータ・バフルの上流側に画定される第2の熱交換チャンバの第1の部分内に配置される熱交換器のコイル、
ii)熱交換器の内部に配置される第1の分離要素(又は、より良好には、第1の分離要素の後方面)、及び
iii)軸方向セパレータ・バフルの下流側に画定される第2の熱交換チャンバの第2の部分内に配置される熱交換器のコイル
との間での、第2、第3、及び第4の熱交換の量を有利に増大するのを達成することが可能である。
【0157】
これらのいずれも、セルの季節的な空間加熱エネルギー効率ηs、具体的にはアクティブ・モードでの効率ηsonを向上させること、及び上に記載されるセルの性能特性を経時的に維持すること、と併せて行われる。
【0158】
好適な実施例では、上記軸方向セパレータ・バフルの下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第2の部分が、上記第2の分離要素の円周方向の延在範囲と等しいか又はそれ未満である角度的な延在範囲を有する部分にわたって、熱交換器の周りを円周方向に延在する。
【0159】
有利には、この好適な性質が、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの円周方向の延在範囲に沿って軸方向セパレータ・バフルを適切にポジショニングすることを介して、好都合に得られ得る。
【0160】
したがって、例えば、好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフルが第2の分離要素の両側の端縁部から軸方向に延在し、その結果、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの円周方向の延在範囲が第2の分離要素の円周方向の延在範囲と実質的に等しくなる。
【0161】
好適な代替の実施例では、第2の分離要素の所与の円周方向の延在範囲において、軸方向セパレータ・バフルが第2の分離要素の円周方向の延在範囲に沿って適切な位置に配置され得、軸方向セパレータ・バフルの上流側及び下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1及び第2の部分(互いにbi-univocallyな相関関係を有する)の所望の延在範囲を決定するように適合され得る。
【0162】
好適には、軸方向セパレータ・バフルが第2の分離要素の中心線平面に対して対称に配置される。
【0163】
このようにして、有利には、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1の部分を横断している、さらには次いで第2の収集チャンバのこの第1の部分のすぐ下流側に配置される熱交換器のコイルを横断している、第2の熱伝達流体の流れのバランスのとれた対称性を有する分布を有することが可能となる。
【0164】
したがって、本発明の好適な実施例では、セルの第2の熱交換チャンバを細分する(言及したように不可避的な漏洩を除いて、好適には、実質的に気密的な形で)ことにおいて互いに協働する、第2の分離要素及び軸方向セパレータ・バフルの構成のおかげで、有利には、セルの第2の熱交換チャンバ内で得られることになる流体力学の性質及び熱交換の性質に応じる形で、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1及び第2の部分の円周方向の延在範囲を変化させる(さらには、熱交換セルの製造中に決定する)ことが可能である。
【0165】
したがって、例えば、第2の分離要素の円周方向の延在範囲を変化させて第2の分離要素の両側の端部のところに軸方向セパレータ・バフルを配置することにより、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバの第1及び第2の部分の円周方向の延在範囲を変化させることが可能である。
【0166】
別法として、第2の分離要素の所与の円周方向の延在範囲において、第2の分離要素の円周方向の延在範囲に沿って軸方向セパレータ・バフルを適切な位置に配置することにより、上に記載されるような調整が達成され得る。
【0167】
さらに別の代替形態では、第2の分離要素及び軸方向セパレータ・バフルのこれらの2つの幾何学的な構成形態を組み合わせることも可能である。
【0168】
好適な実施例では、本発明の方法が、熱交換器の径方向外側壁に沿って上記軸方向セパレータ・バフルの円周方向位置を調整することにより、第2の熱伝達流体と、第2の熱交換チャンバの上記少なくとも1つの第1の部分及び上記第2の部分の中にそれぞれ配置される熱交換器のコイルを通って流れることにより熱交換器の第2の熱交換部分の中を流れる第1の熱伝達流体と、の間で実行される第2及び第4の熱交換の量を調整するステップを有する。
【0169】
この好適な実施例では、本発明のセル及び熱交換方法が、セルの所与の熱出力において、第2の熱伝達流体の流体力学と、第2の熱伝達流体と、軸方向セパレータ・バフルの上流側及び下流側の第2の熱交換チャンバのゾーン内にある熱交換器のコイルの中を流れる第1の熱伝達流体と、の間で行われる熱交換の量と、の両方を設計段階中に決定するのを可能にする。
【0170】
このようにして、有利には、軸方向セパレータ・バフルの上流側の第2の熱交換チャンバの第1の部分の中に配置される熱交換器のコイルの中を流れる第1の熱伝達流体によって行われる第2の熱伝達流体の冷却の量が決定され得、それにより、第2の熱伝達流体と、第1の分離要素の後方壁、及び軸方向セパレータ・バフルの下流側にある第2の熱交換チャンバの第2の部分の中に配置される熱交換器のコイル、との間においてその後で交換され得る残留熱の量が調整される。
【0171】
出願人は、これらの有利な性質のおかげで、セルの第2の熱交換チャンバ内で行われる熱交換が、従来技術のセル構成を基準として、セルの全体の季節的な空間加熱エネルギー効率ηsを向上させるように、また具体的にはアクティブ・モードの効率ηsonを向上させるように、最適化され得ることを実験的に発見した。
【0172】
具体的には、出願人は、セルが水加熱装置である場合における燃焼ガスの凝縮に関しての熱交換セルの性能が有意に向上することを実験的に発見した。
【0173】
好適には、熱交換セルが、上記装置の収容ケーシングの内部に水平方向に設置される。
【0174】
好適には、熱交換セルが凝縮熱交換セル又は熱回収装置である。
【0175】
添付図面を参照する本発明の好適な実施例の以下の詳細な説明から、本発明の追加の特徴及び利点がよりに明らかとなるはずである。
【0176】
たとえ特定の組み合わせから具体的に得られる利点が存在する場合でも、セルの個別の好適な構成の多様な特徴が上の記述に従って必要に応じて互いに組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【
図1】一部の部品が取り外されており、いくつかの細部が省略されている、本発明による熱交換セルの好適な実施例を示す斜視図である。
【
図2a】
図1の熱交換セルを上方から示す平面図である。
【
図2b】
図1の熱交換セルを下方から示す平面図である。
【
図3】
図1の熱交換セルの取り外されている部品を示す斜視図である。
【
図4】
図2aの線IV-IVに沿う、
図1の熱交換セルの軸A-Aに平行な長手方向断面図である。
【
図5】
図2bの線V-Vに沿う、
図1の熱交換セルの軸A-Aに対して垂直な断面図である。
【
図6】いくつかの細部が省略されている、
図1の熱交換セルを背面から示す部分的に破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0178】
以下の説明では、図の説明において、同じ機能を有する構造要素を示すのに同一の参照符号が使用される。さらに、例示を明瞭にするために、いくつかの参照符号は、すべての図において繰り返されるわけではない。
【0179】
図を参照すると、全体として符号10で示される熱交換セルが示されている。
【0180】
図に示される好適な実施例では、熱交換セル10がいわゆる凝縮タイプのガス-液体熱交換セルであり、ここでは、例えば加熱されることになる水を有する第1の熱伝達流体と、添付図では符号20によって示されるバーナーからくる例えば高温燃焼ガスを有する第2の熱伝達流体との間で熱交換が行われる。
【0181】
図に示される好適な実施例を特に参照すると、熱交換セル10が収容ケーシング11を有し、その中に螺旋形状の熱交換器13が設置される。
【0182】
この詳細な説明の範囲の中では、説明の単純さのために、通常通りに、限定することを一切意図せずに、熱交換器13の長手方向軸A-A(セル10の長手方向軸に一致していることから、セル10の長手方向軸も表している)が水平方向であるような、熱交換セル10の動作位置を参照する。
【0183】
好適には、収容ケーシング11がこの種の使用に適する構造材料で作られ、これは、例えば鋼又はアルミニウムなどの、金属材料、或はポリフェニレンサルファイド(PPS)などの耐熱性を有する高性能プラスチック材料、などであり、可能性として、例えばガラス繊維などの機能フィラーの繊維を充填される。
【0184】
熱交換器13が、好適には、第1の熱伝達流体の入口開口部13c及び出口開口部13d(
図3を参照)のところでそれぞれ始まって終わる複数のコイルによる、長手方向軸A-Aを中心としてコイル状である第1の熱伝達流体の流れのための管状ダクトを有する。
【0185】
好適には、熱交換器13が、鋼又はアルミニウムなどの、高い熱伝導率を有する金属材料で作られる。
【0186】
第1の熱伝達流体の入口開口部13c及び出口開口部13dが、第1の熱伝達流体(加熱されることになる水)の入口及び出口が熱交換器13の中に入る/熱交換器13から出るのをそれぞれ可能にするように構成される。第1の熱伝達流体の入口方向及び出口方向は図では矢印Lで示される。
【0187】
示される好適な実施例では、管状ダクトが扁平断面を有し、好適には部分的な楕円形状を有する(
図3及び4を参照)。
【0188】
好適には、熱交換器13の管状ダクトの上で言及した複数のコイルのうちのコイルが扁平断面を有し、その主軸が熱交換器13の長手方向軸A-Aに対して実質的に垂直である。
【0189】
別の好適な実施例(図示せず)では、適用の特定の要求条件を満たすために、熱交換器13の管状ダクトのコイルの扁平断面の主軸が、熱交換器13の長手方向軸A-Aに対して、例えば60°から87°の間に有される、鋭角を形成することができる。
【0190】
好適には実質的に一定の厚さである隙間13bが管状導管の2つの連続するコイルの扁平表面の間に位置し、実質的に径方向(又は、斜めのコイルの場合は概して軸方向-径方向)に沿って第2の熱伝達流体の通過のための流体経路を形成し、これらの隙間13bは所定の好適には一定の厚さを有する。
【0191】
この目的のため、セル10が、好適には、図にはより良好には示されない適切なスペーサ要素を装備し、これは、管状ダクトの扁平面から延在する突出部、又は上で言及した扁平面の間に挿置されて管状ダクトの扁平面の間に隙間13bを画定するように構成される櫛形状のスペーサ要素、などである。
【0192】
本記述及びその後の特許請求の範囲の中では、熱交換器13のダクトの扁平面の間に画定される隙間の「厚さ」という用語は、上記面に対して垂直な方向に沿って測定される上記面の間の距離を意味する。
【0193】
好適には、螺旋形状の熱交換器13は、この場合ではバーナー20によって生じる高温燃焼ガスを有する第2の熱伝達流体の供給ゾーン21を収容ケーシング11内に画定するように、収容ケーシング11の内部に設置される。
【0194】
好適には、第2の伝達流体の供給ゾーン21が、収容ケーシング11内で、熱交換器13に対して同軸に且つ内部に画定される。
【0195】
このようにして、有利には、供給ゾーン21から径方向に(又は、斜めのコイルの場合は概して軸方向-径方向に沿って)進み、螺旋形状の熱交換器13のコイルの間に画定される隙間13bを通って外側に向かって進むような、第2の熱伝達流体の流れを得るような構成を熱交換セル10の内部に有することが可能となる。
【0196】
セル10のこの好適な実施例の収容ケーシング11は実質的に環状の前方壁により前方のところが密閉的に閉じられており、簡潔さのために、従来的な形である、周囲側壁11cに対して固定される第1の環状要素31が示される。
【0197】
好適には、前方壁が、それ自体は既知の方法で、例えばOリング(やはり示されない)により、その内側周囲縁部のところで、第1の環状要素31に対して取り外し可能に密閉的に固定される示されない第2の環状要素を有する。
【0198】
バーナー20の、それ自体は従来的な形であることからやはり示されていない支持プレートが、取り外し可能であるがやはり気密的な形で、セル10の前方側の実質的に環状の壁に対して固定される。
【0199】
好適には、セル10が簡潔さのためにやはり示されない実質的に環状の断熱要素をさらに有し、この実質的に環状の断熱要素が第2の熱伝達流体の供給ゾーン21に面しており、収容ケーシング11の前方壁を作っている材料を、高温である第2の熱伝達流体の供給ゾーン21から、熱的に保護するように構成される。
【0200】
示される好適な実施例では、収容ケーシング11が具体的には実質的に円筒形の立体構造を有し、2つのハーフ・シェル11a、11bを有し、これらの2つのハーフ・シェル11a、11bがそれぞれ上側ハーフ・シェル及び下側ハーフ・シェルであり、収容ケーシング11の周囲側壁11c及び後方壁11dを画定するように適切に成形される。
【0201】
好適な水平方向の動作構成では、熱交換セル10が、収容ケーシング11の側壁11c上に好適に形成されるか又はそれに付随する別の要素内に好適に形成される複数の開口部12a~12dを通って、セルを中に設置している装置又はシステムの一部である外部構成要素(図示せず)に流体連通される。
【0202】
したがって、示される好適な実施例では、第1の開口部12aがセル10から第2の熱伝達流体を出すように構成され、また好適には、収容ケーシング11の周囲側壁11cに対して外部において付随するこの流体の排出キャップ11e内に形成される。
【0203】
好適には、後でより明確に見られるように、排出キャップ11eがハーフ・シェル11a(セル10の例示の水平方向の設置構成では上側ハーフ・シェル)と一体の単一部片として形成され、それにより、セル10の要素の数を適切に低減することで及びその組み立て作業を単純化することで、セル10の製造が単純化される。
【0204】
図1に示される熱交換セル10の好適な実施例の好適な動作構成(水平)では、出口開口部12aが、好適には、垂直軸を有するように及び上方を向くように配置される。
【0205】
第2の開口部12b及び第3の開口部12cが、好適には、それぞれのスリーブ28、29の自由端のところに形成され、スリーブ28、29の各々が、熱交換セル10のそれぞれのコネクタを構成するように適切に成形され、これらのコネクタは、中にセル10を据え付けている図示されない加熱装置又は加熱システムの液圧要素(hydraulic component)に対してのものである。
【0206】
好適には、スリーブ28、29が収容ケーシング11の周囲壁11cから延在し、好適にはケーシング11のハーフ・シェル11b(セル10の例示の水平方向の設置構成では下側ハーフ・シェル)と一体の単一部片として形成される。
【0207】
この好適な実施例では、熱交換器13の第1の熱伝達流体の入口開口部13c及び出口開口部13dが、
図3に示されるように、スリーブ28、29内に収容される。
【0208】
したがって、スリーブ28、29は、上述したように、熱交換器13に/熱交換器13から第1の熱伝達流体(加熱されることになる水)を入れたり出したりするのをそれぞれ可能にすることを目的として熱交換器13の入口開口部13c及び出口開口部13dを収容するように好適には構成される。
【0209】
熱交換セル10の動作構成では、収容ケーシング11から延在するスリーブ28、29の開口部12b、12cが、熱交換器13の螺旋の長手方向軸A-Aに沿うセル10の軸方向の延在範囲に関して、互いに対してそれぞれ後方及び前方のところに配置され、中にセル10を据え付けている加熱装置又は加熱システムの外部構成要素(図示せず)との接続を容易にするために、セル10の水平方向の設置の事例では、下流側を向いている。
【0210】
熱交換セル10の示される好適な実施例では、このセルが凝縮タイプであることを理由として、収容ケーシング11が、好適には、収容ケーシング11の周囲壁11cから延在するそれぞれのスリーブ30の自由端のところに形成されて好適にはケーシング11のハーフ・シェル11b(セル10の例示の水平方向の設置構成では下側ハーフ・シェル)と一体の単一部片として形成される第4の開口部12dをさらに装備する(
図2b及び
図5を参照)。
【0211】
開口部12dが、2つの熱伝達流体の間での熱交換プロセス中に生じて収容ケーシング11の下側部分に収集される凝縮液を排出するように構成される。
【0212】
本発明による熱交換セル10が収容ケーシング11内に画定される第1の熱交換チャンバ22を有し、その中で熱交換器13の第1の熱交換部分が収容される。
【0213】
第1の熱交換チャンバ22が、熱交換器13の第1の熱交換部分の径方向外側壁13aと収容ケーシング11の周囲側壁11cとの間において、熱交換器13に対して外部に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15をさらに有する。
【0214】
本発明による熱交換セル10が収容ケーシング11内に画定される第2の熱交換チャンバ26をさらに有し、その中で熱交換器13の第2の熱交換部分が収容される。
【0215】
第2の熱交換チャンバ26が、熱交換器13の第2の熱交換部分の径方向外側壁13aと収容ケーシング11の周囲側壁11cとの間において、熱交換器13に対して外部に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16を有する。
【0216】
この事例では、熱交換器13が螺旋形状の管状ダクトによって形成されることを理由として、その2つの熱交換部分の外側壁13aが不連続であり、つまり、熱交換器の連続するコイルの間に画定される隙間13bにより軸方向において中断され、管状ダクト自体のコイルの径方向外側面によって形成される。
【0217】
示される好適な実施例では、熱交換セル10がケーシング11の後方壁11dのところに配置される環状要素36をさらに有し、環状要素36が、ケーシング11の内部での熱交換器13の効果的なガス・シール及び正確なポジショニングの両方を保証することを目的として熱交換器13に当接されるように協働する。
【0218】
好適な実施例では、環状要素36がケーシング11の後方壁11dから単一部片として延在している。
【0219】
好適には、環状要素36が、熱交換器のコイルと実質的に同じ巻線ピッチで少なくとも部分的に螺旋状に延在し、それにより熱交換器13のための効果的な当接を保証する。
【0220】
第1の熱交換チャンバ22及び第2の熱交換チャンバ26が、後でより詳細に説明される実質的にプレート形状のボディを有する第1の分離要素14により熱交換器13の内部で分離される。
【0221】
示される好適な実施例では、第1の分離要素14が、第1の熱交換部分のコイルと熱交換器13の第2の熱交換部分のコイルとの間に挿置される環状クラウン14bを有する。
【0222】
好適には、第1の分離要素14の環状クラウン14bがこの要素のボディと一体の単一部片として形成される。
【0223】
好適には、第1の分離要素14の環状クラウン14bが、アルミニウム又は鋼などの、高い熱伝導率を有する、好適には金属である、材料で作られる。
【0224】
好適には、第1の分離要素14のボディが中央にシート14aを画定し、シート14a内には、断熱材料で作られる要素19が燃焼室21(セル10内の第2の熱伝達流体の供給ゾーン)の方を向くように収容される。
【0225】
好適には、断熱要素19が実質的にディスク形状である。
【0226】
好適には、第1の分離要素14の環状クラウン14bが、熱交換器13のコイルと実質的に同じ巻線ピッチで少なくとも部分的に螺旋状に延在する。
【0227】
好適には、第1の分離要素14の環状クラウン14bが、熱交換器13の2つの連続するコイルの扁平表面の間に画定される隙間13bの厚さと実質的に等しい厚さを有する。
【0228】
好適な実施例では、第1の分離要素14が、ケーシング11の後方壁11dの方を向く第1の分離要素14の後方面から延在する例えば実質的にピン形状の複数の熱交換突出部23を有することができる。
【0229】
これらの可能性のある熱交換突出部23が
図4に破線で示される。
【0230】
このようにして、有利には、第1の分離要素14の交換表面積を増大することが可能となり、それにより、第2の熱伝達流体と第2の熱交換チャンバ26の内部の第1の分離要素14の熱交換部分との間の熱交換の量が増大する。
【0231】
熱交換セル10が、ケーシング11の後方壁11dの近くで収容ケーシング11の周囲側壁11c内で周縁部に画定される、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16からの流体出口通路35をさらに有する。
【0232】
より具体的には、流体出口通路35が、好適には、周囲側壁11cの軸方向端部11gと収容ケーシング11の後方壁11dとの間で周囲部に画定される。
【0233】
示される好適な実施例では、後でより明確に見られるように、周囲側壁11cがハーフ・シェル11aにより部分的に形成され、周囲側壁11cの厚さの中に隠される形で収容されるプレート形状の要素34により部分的に形成される。
【0234】
したがって、この好適な実施例では、収容ケーシング11の周囲側壁11cの軸方向端部11gがプレート形状の要素34の後方軸方向端部のところに画定される。
【0235】
示される好適な実施例では、
図4に見られ得るように、プレート形状の要素34が、プレート形状の要素34に対して固定されて好適にはプレート形状の要素34と一体の単一部片として形成される突出部41内に画定される対応するハウジング・シート内にある、キャップ11eから延在するピン40を使用することを介して、上記キャップに対して固定される。
【0236】
第1の熱交換チャンバ22及び第2の熱交換チャンバ26が、熱交換器13の径方向外側壁13aと収容ケーシング11の周囲側壁11cとの間を径方向に延在する第2の分離要素32により、熱交換器13の外部でさらに分離される。
【0237】
好適には、第2の分離要素32が実質的に環状クラウンの1セクターのように成形される。
【0238】
好適には、第2の分離要素32が、鋼又はアルミニウムなどの、高い熱伝導率を有する、好適には金属である、材料で作られる。
【0239】
第2の分離要素32が、第2の熱交換チャンバ26からの流体出口通路35のところで、所定の角度的な延在範囲を有する部分にわたって、熱交換器13の周りを円周方向に延在し、それにより、第2の熱伝達流体の大部分を通路35の方へ直接に通過させるのを防止し、この通路35に対して遠位側のゾーンの中に第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15及び第2の収集チャンバ16の間に流体通路17を画定する。
【0240】
セル10の水平方向に設置される構成では、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15及び第2の収集チャンバ16の間の流体通路17がセル10の下側ゾーンの中に画定される。
【0241】
好適には、第2の分離要素32が、第2の熱交換チャンバ26からの流体出口通路35の長手方向の中心線平面に実質的にまたがる形で熱交換器13の周りを円周方向に延在している。
【0242】
示される好適な実施例では、単に例示のためであって限定せずに、第2の分離要素32が、その頂点が熱交換器13の長手方向軸A-Aに位置する約180°に等しい一定の角度によって画定される、熱交換器13の周りの円周方向の延在範囲を有する。
【0243】
この円周方向の延在範囲は、
図5では、熱交換器13(及びセル10)の長手方向軸A-A及び第2の分離要素32の両端部32a、32bをつなぐ2つの半平面の間に実際には画定される角度である角度αによって示される。
【0244】
好適には、第2の分離要素32が、第1の分離要素14のところで、より好適には第1の分離要素14の環状クラウン14bのところで、ケーシング11の周囲側壁11cと熱交換器13との間を延在する。
【0245】
示される好適な実施例では、第2の分離要素32が、熱交換器13の、第1の熱交換部分のコイルと第2の熱交換部分のコイルとの間に挿置される第1の分離要素の環状クラウン14bと一体の単一部片として形成され、この環状クラウン14bから径方向に延在する。
【0246】
好適な実施例では、上述したように、第2の分離要素32が、第1の熱交換チャンバ22内の熱交換器13に対して径方向外側の位置に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15の断面積の少なくとも90%、より好適には少なくとも92%、さらにより好適には少なくとも95%を閉じるように構成される。
【0247】
特に好適な実施例では、図に示されるように、第2の分離要素32が、セル10の種々の構成要素の加工公差を原因とする不可避的な漏洩は別として、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15の断面を実質的に完全に閉じるように構成される。
【0248】
好適には、第2の分離要素32が収容ケーシング11の周囲側壁11cに実質的に当接されるように構成され、さらにより好適には、収容ケーシング11の加工公差を原因とする不可避的な漏洩は発生するが、第2の分離要素32及び第1の分離要素14の実質的な流体シールを有する。
【0249】
したがって、第2の分離要素32が、第2の熱交換チャンバ26からの流体出口通路35に向かう第1の収集チャンバ15からの第2の熱伝達流体が直接的に通過するのを防止するように、及び第2の熱交換チャンバ26からの流体出口通路35から遠位側のセル10のゾーン(好適な実例では、セル10の下側ゾーン内に示される)の中に画定される第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15及び第2の収集チャンバ16の間においてこの熱伝達流体を流体の通路17の方に好都合に方向付けるように、構成される。
【0250】
上述したように、出願人は、第2の分離要素32の円周方向の延在範囲を適切に調整することにより、熱交換器13の第1の熱交換部分の軸方向延在範囲の実質的に全体に沿う範囲において、さらにはこの第1の部分の円周方向の延在範囲の実質的に全体に沿う範囲において、第1の熱交換チャンバ22内で熱交換器13の外側に向かって実質的に径方向に又は軸方向-径方向に横断する第2の熱伝達流体の流体力学を最適化するという有利な技術的効果を得ることが可能となることを実験的に発見した。
【0251】
このようにして、有利には、第2の分離要素32の上流側に配置される熱交換器13のコイルを横断する第2の熱伝達流体の流れの分布を改善することにより、優先的な流体経路を大幅に減少させこと可能となる。
【0252】
具体的には、出願人は、熱交換器13の第1の熱交換部分を径方向に又は軸方向-径方向に横断してコイル間に画定される隙間13bの中に入る第2の熱伝達流体の流量が、第1の熱交換チャンバ22内に配置される熱交換器13のこの第1の熱交換部分の軸方向断面に沿って実質的に一定となり得ることを発見した。
【0253】
出願人はまた、この流量が熱交換器13の第1の熱交換部分の円周方向の延在範囲に沿っても実質的に一定となり、それにより、第2の熱伝達流体が第1の環状収集チャンバ15内でこの第1の熱交換部分の円周方向の延在範囲に沿って一様に移動するようになり、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15内で、流体の移動しないようなデッド・ゾーンが存在することが大幅に低減される、と考察する。
【0254】
出願人はまた、第2の分離要素32の円周方向の延在範囲を適切に画定することによりさらに、第2の分離要素32の上流側に画定されるセル10の第1の熱交換チャンバ22内の第1の収集チャンバ15を通って流れることにより、さらには第2の熱交換チャンバ26内に画定される第2の収集チャンバ16の方へ向かう通路17を通って流れることにより、第2の熱伝達流体の流体力学が最適化されることが可能となることを実験的に発見した。
【0255】
図に示される好適な実施例では、第2の分離要素32により、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15及び第2の収集チャンバ16の間に画定される流体流れ17の断面積が、具体的には、収容ケーシング11の周囲側壁11cに沿って一様に分布する(
図5を参照)。
【0256】
好適には、第2の分離要素32が、第2の分離要素32から軸方向に延在するフィン43をプレート形状の要素34に接続するボルト42などの、それ自体は従来的である手段を介して、ケーシング11の周囲側壁11cの一部を形成するプレート形状の要素34に対して取り外し可能に固定される。
【0257】
好適には、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16が、流体出口通路35の下流側に画定される第2の熱伝達流体の第3の収集チャンバ18に流体連通される。
【0258】
より具体的には、第3の収集チャンバ18が、
図4に示されるように、第2の収集チャンバ16からの流体出口通路35と、第3の収集チャンバ18の下流側に画定されるセル10の第2の熱伝達流体の出口開口部12aとに流体連通される。
【0259】
第2の熱伝達流体の第3の収集チャンバ18がキャップ11e内に画定され、キャップ11eがケーシングの周囲側壁11cからケーシング11の外側に向かって径方向に延在し、キャップ11eの中に出口開口部12aが具現化される。
【0260】
したがって、セル10のこの好適な実施例では、キャップ11eが、第2の収集チャンバ16からの及び第2の熱交換チャンバ26からの流体出口通路35の下流側に配置される。
【0261】
この好適な実施例の熱交換セル10の、またより具体的には、周囲側壁11cの、第1の分離要素14の、第2の収集チャンバ16及び第3の収集チャンバ18の、並びに流体出口通路35の、構成に関してのさらなる細部を、
図3、
図4、及び
図6で見ることができる。
【0262】
図に示される好適な実施例では、キャップ11eが、ケーシング11の周囲側壁11cの厚さの中に形成される内側開口部のところに具現化され、形状結合によりプレート形状の要素34を収容することを意図される。
【0263】
このような好適な実施例では、キャップ11eが熱交換セル10の中心線平面と同軸に具現化され、上述したように、好適には、ケーシング11の周囲側壁11cと一体の単一部片として形成される。
【0264】
示されない代替の好適な実施例では、キャップ11eが、適切な固定手段を介してケーシング11の周囲側壁11cに固着される独立要素を有することができる。
【0265】
本発明によると、熱交換セル10が、第2の分離要素32と収容ケーシング11の後方壁11dとの間を軸方向に延在する一対の軸方向セパレータ・バフル24a、24bをさらに有する。
【0266】
軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、具体的には、仕切り壁24a、24bの下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第2の部分16bの軸方向セパレータ・バフル24a、24bの上流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1の部分16aを分離するように構成される。
【0267】
示される好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、熱交換器13の第2の熱交換部分の径方向外側壁13aとセル10のケーシング11の周囲側壁11cとの間を径方向に延在している。
【0268】
このようにして、有利には、第2の熱交換チャンバ26を適切に細分するように、及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bのそれぞれ上流側及び下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1及び第2の部分を互いから分離するように、適合される仕切り壁24a、24bの所望の構造を構造的に単純な形で達成することが可能である。
【0269】
示される好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが第2の分離要素32と一体の単一部片として形成される。
【0270】
したがって、この好適な実施例では、
図3から認識され得るように、第1の分離要素14、第2の分離要素32、及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、熱交換セル10を構成する要素の数を有利に低減することを目的として互いに一体である単一部片として形成される。
【0271】
具体的には、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、第2の分離要素32の両端部32a、32bから単一部片として延在する(
図5及び
図6を参照)。
【0272】
この事例では、有利には、第2の分離要素32と軸方向セパレータ・バフル24a、24bとの間に構造的な連続性を得ることが可能であり、それにより、熱交換器13の第2の熱交換部分に対して径方向外側の位置における、円周方向に沿う、第2の分離要素32と軸方向セパレータ・バフル24a、24bとの間のインターフェースのところでの可能性のある漏洩を防止することが可能である。
【0273】
好適には、第2の分離要素32及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、好適には鋼又はアルミニウムである、良好な熱導体である金属で作られる。
【0274】
好適には、第2の分離要素32及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、熱交換器13の2つの連続するコイルの扁平表面の間に画定される隙間13bの厚さに実質的に等しい厚さを例えば有する、比較的薄い、例えば鋼の、シート金属で作られる。
【0275】
完全に例示として、第2の分離要素32及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、約0.6mmから約1.0mmの間に好適には有される厚さを有することができる。
【0276】
示される好適な実施例では、第2の分離要素32及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bが比較的薄いシート金属で作られることを理由として、完全に例示として、限定せずに、すべて参照符号44で示される1つ又は複数のボルトを例えば介して、それ自体は既知である手法で実現されるように、ケーシング11の側壁11cに対して取り外し可能に固定するのを企図することが可能である。
【0277】
好適には、第2の分離要素32が、この目的のために、ケーシング11の側壁11cに対して固定するための、第2の分離要素32から軸方向に延在する1つ又は複数の追加のフィン43を装備する(
図3、
図5、及び
図6を参照)。
【0278】
示される好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフル24a、24bがまた、第2の分離要素32の中心線平面に対して対称に配置される。
【0279】
このようにして、有利には、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1の部分16aを通過している、さらには次いでこの第1の部分16aのすぐ下流側に配置される熱交換器13のコイルを通過している、第2の熱伝達流体の流れのバランスのとれた対称性を有する分布を有することが可能となる。
【0280】
好適な実施例では、上述したように、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、第2の熱交換チャンバ26内の熱交換器13に対して径方向外側の位置に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の断面積の少なくとも90%、より好適には少なくとも92%、さらにより好適には少なくとも95%を閉じるように構成される。
【0281】
特に好適な実施例では、図に示されるように、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、セル10の種々の構成要素の加工公差を原因とする不可避的な漏洩は別として、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の断面を実質的に完全に閉じるように構成される。
【0282】
したがって、示される好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、第2の熱交換チャンバ26内に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の軸方向延在範囲の実質的に全体に沿って、第2の分離要素32とセル10の収容ケーシング11の後方壁11dとの間を軸方向に延在している。
【0283】
より好適には、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが、セル10の収容ケーシング11の後方壁11dに実質的に当接されるように第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16内を延在する。
【0284】
このようにして、上述したように、有利には、軸方向セパレータ・バフル24a、24bのそれぞれ上流側及び下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1の部分16a及び第2の部分16bの間の流体連通を実質的に制限すること、またより好適には実質的に防止することが可能である(それでもやはり、加工公差を原因とする不可避的な漏洩は発生する)。
【0285】
このようにして、有利には、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの下流側で熱交換器13の第2の熱交換部分の外部に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第2の部分16bを適切に閉じることが可能である。
【0286】
また、このようにして、有利には、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの上流側に画定される第2の熱交換チャンバ26の第1の部分内に配置される熱交換器13のコイルの方へ、第2の熱伝達流体の流れ全体を実質的に分流させることが可能である。
【0287】
このようにして、セル10が、有利には、第2の熱伝達流体と、
i)軸方向セパレータ・バフル24a、24bの上流側に画定される第2の熱交換チャンバ26の第1の部分内に配置される熱交換器13のコイル、
ii)熱交換チャンバ26内の熱交換器13の内部に配置される第1の分離要素14(又は、より良好には、第1の分離要素14の後方面)、及び
iii)軸方向セパレータ・バフル24a、24bの下流側に画定される第2の熱交換チャンバ26の第2の部分内に配置される熱交換器13のコイル
との間での熱交換の量を有利に増大するのを達成する。
【0288】
これらのいずれも、セルの季節的な空間加熱エネルギー効率ηs、具体的にはアクティブ・モードでの効率ηsonを向上させること、及び第2の熱交換チャンバ26内で回収される燃焼ガスの潜在的な凝縮熱の量を増大すること、と併せて行われる。
【0289】
示される好適な実施例では、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの下流側に画定される第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第2の部分16bが、第2の分離要素32の円周方向の延在範囲と等しい角度的な延在範囲を有する部分にわたって、熱交換器13の周りを円周方向に延在している。
【0290】
有利には、この好適な性質が、軸方向セパレータ・バフル24a、24bが第2の分離要素32の両端部32a、32bから軸方向に延在することにより好都合に得られる。
【0291】
したがって、示される好適な実施例では、好適には、実質的に気密的な形で(言及したように加工公差を原因とする不可避的な漏洩を除いて)、セル10の第2の熱交換チャンバ26を細分することにおいて互いに協働する、第2の分離要素32及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bの構成のおかげで、有利には、セル10の第2の熱交換チャンバ26内で得られることになる流体力学の性質及び熱交換の性質に応じる形で、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1の部分16a及び第2の部分16bの円周方向の延在範囲を変化させる(さらには、熱交換セルの製造中に決定する)ことが可能である。
【0292】
したがって、例えば、第2の分離要素32の円周方向の延在範囲を変化させて第2の分離要素32の円周方向の延在範囲に沿って軸方向セパレータ・バフル24a、24bを適切に配置することにより、第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1の部分16a及び第2の部分16bの円周方向の延在範囲を変化させることが可能である。
【0293】
次に、上で説明したセル10用いて開始され得る本発明による熱交換方法の好適な実施例を
図1~
図6を特に参照して説明する。
【0294】
この方法の最初のステップで、第2の熱伝達流体が、例えば、この領域(燃焼室21)の中に配置されるバーナー20により燃焼ガスを生成することにより、供給ゾーン21の中に供給される。
【0295】
次のステップで、この方法が、第2の熱伝達流体(燃焼ガス)と、第1の熱交換チャンバ22内に配置される熱交換器13のコイルを通って流れることにより熱交換器13の第1の熱交換部分内を流れる第1の熱伝達流体(加熱水)と、の間の第1の熱交換を、第1の熱交換チャンバ22内で、実行するステップを有する。
【0296】
このステップでは、第2の熱交換流体(燃焼ガス)が熱交換器13のコイルを実質的に径方向に沿って(又は、熱交換器13の長手方向軸A-Aに対して斜めのコイルの場合は軸方向-径方向に沿って)横断し、熱交換器13の2つの連続するコイルの間に形成される隙間13bを通過する。
【0297】
この通過中、第2の熱伝達流体と、燃焼ガスの流れ方向に対して好適には反対に流れる熱交換器13の第1の熱交換部分の中を循環する第1の熱伝達流体との間で熱交換が行われる。
【0298】
本発明による方法をより良好に理解できるように、セル10の内部の第2の熱伝達流体(燃焼ガス)の流れが図では矢印Fによって示される。
【0299】
次のステップで、この方法が、熱交換器13に対いて外部においてセル10の第1の熱交換チャンバ22の中に画定される第1の収集チャンバ15の中に第2の熱伝達流体(燃焼ガス)を収集することを有する。
【0300】
次のステップで、この方法が、第1の収集チャンバ15の中に収集された第2の熱伝達流体を、ケーシング11の周囲側壁11cに実質的に平行に且つそれに隣接するところで、セル10の第2の熱交換チャンバ26内に画定される第2の熱収集チャンバ16の中へ送ることを有する。
【0301】
図に示されるセル10の好適な実施例を介して開始され得る方法によると、燃焼ガス(第2の熱伝達流体)を送るこのステップが、第2の熱伝達流体の第1の収集チャンバ15と第2の熱伝達流体の第2の収集チャンバ16の第1の部分16aとの間で第2の分離仕切り壁32によりセル10のケーシング11の内部に形成される通路17を介して開始される。
【0302】
上述したように、第2の収集チャンバ16のこの第1の部分16aが、熱交換器13に対して外部において、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの上流側の第2の熱交換チャンバ26の対応する第1の部分の中に画定される。
【0303】
次のステップで、本発明による方法が、第2の熱伝達流体と、第2の熱交換チャンバ26の第1の部分の中に配置される熱交換器13のコイルを通過することにより熱交換器13の第2の熱交換部分の中を流れる第1の熱伝達流体と、の間の第2の熱交換を、第2の熱交換チャンバ26内で、実行することを有する。
【0304】
有利には、この第2の熱交換が、第2の分離要素32より、及び軸方向セパレータ・バフル24a、24bにより、第2の熱交換チャンバ26の第1の部分の中に配置される熱交換器13のコイルの方に方向付けられる第2の熱伝達流体の流れの実質的全体の中で行われる。
【0305】
次のステップで、本発明による方法が、第2の熱伝達流体と、熱交換器13の内部に画定される第2の熱交換チャンバ26のゾーンの実質的に横方向を通過することによる第1の分離要素14と、の間の第3の熱交換を、第2の熱交換チャンバ26内で、実行することを有する。
【0306】
有利には、この第3の熱交換が、第2の熱交換チャンバ26の第1の部分の中に配置される熱交換器13のコイルを横断しながら、すでに冷却された第2の熱伝達流体に熱を伝達する第1の分離要素14から熱を効果的に除去するのを可能にする。
【0307】
次のステップで、本発明による方法が、第2の熱伝達流体と、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの下流側に画定される第2の熱交換チャンバ26の第2の部分の中に配置される熱交換器13のコイルを通って流れることにより熱交換器13の第2の熱交換部分の中を流れる第1の熱伝達流体と、の間の第4の熱交換を、第2の熱交換チャンバ26の中で、実行することを有する。
【0308】
有利には、この第4の熱交換が、熱交換器13の内部に画定される第2の熱交換チャンバ26のゾーンを実質的に横方向に通過した第2の熱伝達流体の保有する残留熱の煙突の方への損失を実質的に低減するのを可能にする。
【0309】
実際には、この残留熱は、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの下流側に配置される熱交換器13の第2の熱交換部分の中を流れる第1の熱伝達流体に実質的に完全に与えられる。
【0310】
上述したように、出願人は、燃焼ガスの潜在的な凝縮熱の回収における熱交換セル10の性能が大幅に向上することを実験的に発見した。
【0311】
具体的には、上述したように、出願人は、10年の動作に関連する上で言及した長時間の実用試験において、第2の熱交換チャンバ26の中の燃焼ガスの潜在的な凝縮熱の回収が、第2の熱交換チャンバ26の下側部分(つまり、可能性として堆積物の蓄積を特に受ける部分)の中に位置する熱交換器13のコイルに対して効果的な「洗浄」作用を働かせることができるような凝縮液の流れを得ることができるようなレベルに達する、ということを実験的に発見した。
【0312】
実際には、実施した実験的試験の最後に、出願人が、第2の熱交換チャンバ26内に位置する熱交換器13のコイルの表面が未燃粒子の堆積物又は被覆物を一切有さない、ということを実証することができた。
【0313】
次のステップで、本発明による方法が、第2の熱交換チャンバ26からの流体出口通路35を介して、熱交換セル10の長手方向軸A-Aに対して実質的に垂直な方向に沿わせて、第2の熱交換チャンバ26から第2の熱伝達流体を排出することを有する。
【0314】
有利には、セル10及びこのセルを介して開始され得る熱交換方法が、第2の熱交換チャンバ26内で横方向に方向付けられるような一様な流れを形成することにより、セルの熱交換効率を向上させるのを可能にし、また具体的には、所望される場合、第2の熱伝達流体と、この流体と熱交換関係にある、第2の熱交換チャンバ26内に存在するセル10のすべての要素(熱交換器13の第2の熱交換部分のコイル、及び第1の分離要素14の後方壁)と、の間の熱交換を改善することにより凝縮効果を強化するのを可能にする。
【0315】
上述したように、出願人は、上で言及した長時間の実用試験において、本発明によるセル10の第2の熱交換チャンバ26の構成により非常に有利にはその性能特性を経時的に実質的に変化させないように維持するのも可能にすることを実験的に発見した。
【0316】
実際には、本発明による熱交換セル10の第2の熱交換チャンバ26の構成が、セル10の第2の熱交換チャンバ26内で交換される熱を漸進的に増加させながら第1の熱交換チャンバ22内で交換される熱を漸進的に減少させるための補償を、セル10の動作中に可能にする。
【0317】
上述したように、これは、第2の熱伝達流体が、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの上流側に配置される熱交換器13の第2の熱交換部分のコイルと、熱交換器13の内部に画定される第2の熱交換チャンバ26のゾーンと、軸方向セパレータ・バフル24a、24bの下流側に位置する熱交換器の第2の熱交換部分のコイルと、を順番に実質的に横方向に沿って横断させられることによるものである。
【0318】
このようにして、本発明による熱交換セル10が、有利には、熱交換器13の内部部品上に堆積物が徐々に堆積することを原因として第1の熱交換チャンバ22内で交換されないすべての熱を、第2の熱交換チャンバ26内で実質的に完全に回収することができる。
【0319】
好適な実施例では、この方法が、熱交換器13の径方向外側壁13aとセル10の収容ケーシング11の周囲側壁11cとの間に形成される通路17の流体流れの全断面積を調整することにより、第2の熱交換チャンバ26の方に送られる第2の熱伝達流体の流体力学を調整することを有する。
【0320】
上述したように、この調整は、第2の分離要素32の円周方向の延在範囲を適切に画定することにより、実現される。
【0321】
好適な実施例では、この方法が、第2の熱伝達流体と、第2の熱交換チャンバ26の第1の部分及び第2の部分の中にそれぞれ配置される熱交換器13のコイルを通過することにより熱交換器13の第2の熱交換部分の中を流れる第1の熱伝達流体と、の間で実行される第2及び第4の熱交換の量を調整することを有する。
【0322】
この調整ステップが、好適には、熱交換器13の径方向外側壁13aに沿って上記軸方向セパレータ・バフル24a、24bの円周方向位置を調整することによって有利には達成される。
【0323】
好適な実施例では、この方法が、上述の熱交換突出部23を介して第2の熱交換チャンバ26の第2のゾーン内で実行される第2の熱交換の量を増大することを有する。
【0324】
出願人は、上述したセル10及び方法の有利な性質のおかげで、セル10の第2の熱交換チャンバ26内で行われる熱交換の量が、従来技術のセル構成を基準として、セル10の季節的な空間加熱エネルギー効率ηsを、また具体的にはアクティブ・モードの効率ηson(セルの季節的エネルギー効率ηsの決定に優先的な非常に大きい影響を与える)を向上させるように、最適化され得ることを実験的に発見した。