(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】リチウムイオン輸送特性が改良された固体ヨウ化リチウム電解質を備えた溶融流体電極装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/39 20060101AFI20231124BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20231124BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01M10/39 A
H01M10/39 C
H01M10/39 Z
H01M4/38 Z
H01B1/06 A
(21)【出願番号】P 2020561914
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 US2019027351
(87)【国際公開番号】W WO2019221858
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520421950
【氏名又は名称】ビサーズ バッテリー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビサーズ、ダニエル、アール
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ポール、ヴィー
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-146458(JP,A)
【文献】特表2016-539461(JP,A)
【文献】特表2011-524611(JP,A)
【文献】特表2007-528108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0156062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M 4/00- 4/62
H01G11/00-11/86
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
前記ナノ粒子が、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、セリウム(IV)酸化物(Ce
2O)、ウラニウム(IV)酸化物(U
2O)、ユーロピウム(II)酸
化物(EuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、フッ化ナトリウム(NaF)、ユーロピウム(III)酸
化物(Eu
2O
3)、クリソベリル(BeAl
2O
4)、珪酸カルシウム(Ca
2SiO
4)、ハフニウム(IV)酸化
物(HfO
2)、チタン酸カルシウム(CaTiO
3)、Ca
2Al
2SiO
7、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、カルシライト(KAlSiO
4)、メタ珪酸マグネシウム(MgSiO
3)、CaMg(SiO
4
)
2
、Ca
3MgSi
2O
7、メルウィナイト(Ca
3Mg(Si
O
4
)
2)、珪酸カルシウム(CaSiO
3)、及びこれらの組み合わせ
からなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項24】
前記補強構造が、鋳鉄、低合金鋼、ステンレス鋼、SS316ステンレス鋼、SS304ステンレス鋼、SS410ステンレス鋼、Ti合金、Ni合金、W合金、モリ
ブデン、Mo合金、TZMモリ
ブデ
ン、タンタ
ル、ニオ
ブ、レニウム、Ta合金、Nb合金、窒化珪素(Si
3Ni
4)、アルミナ(AI
2O
3)、炭化珪素(SiC)、B
4C、マグネシア(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、窒化ホウ素(BN)、ジ
ルコニア、コージェライト、アルミノ珪酸塩、Macor(登録商標)、ムライト、窒化アルミ
ニウム(AlN
)、グラファイト、炭素、ステアタイトL-5、石英、サファイア、シリコン、シリカガラス、ソーダガラス、ホウ珪酸塩、レンガ、石材、コンクリート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項39】
前記補強構造が、鋳鉄、低合金鋼、ステンレス鋼、SS316ステンレス鋼、SS304ステンレス鋼、SS410ステンレス鋼、Ti合金、Ni合金、W合金、モリ
ブデン、Mo合金、TZMモリ
ブデ
ン、タンタ
ル、ニオ
ブ、レニウム、Ta合金、Nb合金、窒化珪素(Si
3Ni
4)、アルミナ(AI
2O
3)、炭化珪素(SiC)、B
4C、マグネシア(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、窒化ホウ素(BN)、ジ
ルコニア、コージェライト、アルミノ珪酸塩、Macor(登録商標)、ムライト、窒化アルミ
ニウム(AlN
)、グラファイト、炭素、ステアタイトL-5、石英、サファイア、シリコン、シリカガラス、ソーダガラス、ホウ珪酸塩、レンガ、石材、コンクリート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項46】
前記ナノ粒子が、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、セリウム(IV)酸化物(Ce
2O)、ウラニウム(IV)酸化物(U
2O)、ユーロピウム(II)酸
化物(EuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、フッ化ナトリウム(NaF)、ユーロピウム(III)酸
化物(Eu
2O
3)、クリソベリル(BeAl
2O
4)、珪酸カルシウム(Ca
2SiO
4)、ハフニウム(IV)酸化
物(HfO
2)、チタン酸カルシウム(CaTiO
3)、Ca
2Al
2Si0
7、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、カルシライト(KAlSiO
4)、メタ珪酸マグネシウム(MgSiO
3)、CaMg(SiO
4)
2、Ca
3MgSi
2O
7
、メルウィナイト(Ca
3Mg(SiO
4)
2)、珪酸カルシウム(CaSiO
3)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項42に記載の装置。
【請求項57】
前記固
体電解質が、少なくとも純度99%のヨウ化リチウムである、請求項32に記載の
装置。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本願は、シリアル番号15/982,480の米国特許出願「リチウムイオン輸送特性が改良された固体ヨウ化リチウム電解質を備えた溶融流体電極装置」(2018年5月17日に出願、代理人の整理番号VBC003号)の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の技術分野】
【0002】
本発明は、一般的には熱電池に関し、より具体的には流体電極及びヨウ化リチウム格子における欠陥によりリチウムイオン輸送特性が改善された固体ヨウ化リチウム(LiI)電解質を備えた装置、システム及び方法に関する。
【発明の背景】
【0003】
一般的には、電池は正極(cathode)、負極(anode)及び電解質を含む。典型的には、電池はその電極内に電池の端子に電流を導く集電体を含む。電極材料を加熱し、一方または両方の電極が流体状態に維持される電極として流体を使用する試みがなされてきた。これらの電池は、しばしば熱電池または高温電池と呼ばれる。例えば、該装置は、しばしば液体-金属電池及び再充電可能な液体-金属電池と呼ばれる。熱リチウム電池は、一般的に比較的高い重量エネルギー密度(kWh/kg)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面は単に例示のためのものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。さらに、該図面中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではない。該図面には、同様の参照番号は異なる視点からの対応部分を示す。
【0005】
【
図1】は、欠陥を有する固体ヨウ化リチウム電解質によって分離された流体電極を備えた反応チャンバを含む電池の例のブロック図である。
【0006】
【
図2】は、欠陥を有する固体ヨウ化リチウム電解質材料の一部の例の図解である。
【0007】
【
図3】は、複数の欠陥が複数の粒界欠陥である固体ヨウ化リチウム電解質の一部の例の図解である。
【0008】
【
図4】は、ナノ粒子材料が酸化マグネシウム(MgO)である固体ヨウ化リチウム電解質の一部の例の図解である。
【0009】
【
図5】は、2価置換欠陥を含む固体ヨウ化リチウム電解質の一部の例の図解である。
【0010】
【
図6】は、熱電池内の固体電解質と共に使用するのに適した金属発泡体ブロックの例の図解である。
【0011】
【0012】
【
図7B】は、誘電体材料が金属発泡構造に堆積された後の金属発泡体の断面の例の図解である。
【0013】
【
図7C】は、ヨウ化リチウムが金属発泡体の内部に拡散した後の金属発泡体600の断面の例の図解である。
【0014】
【
図8】は、電解質と電極との間にLiIを含む保護層を包含し、欠陥を有する固体LiI電解質を備えた熱電池の例の図解である。
【0015】
【
図9】は、欠陥を有する固体ヨウ化リチウム電解質を備えた熱リチウム電池を形成する例のフローチャートである。
【0016】
【
図10】は、補強構造内でLiI材料が熱処理された欠陥を有する固体電解質を形成する例のフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0017】
固体ヨウ化リチウム電解質のイオン輸送特性を改善することにより、熱リチウム電池の性能を向上させる。固体電解質のヨウ化リチウム格子は、固体ヨウ化リチウム電解質のイオン輸送特性を改善する原子スケールの欠陥を含む。一例では、該欠陥は、粒界欠陥をもたらし、かつ/または既存の粒界欠陥を維持するナノ粒子の導入によるものである。結合の変化、空孔、及びナノ粒子との粒界に生じる他の欠陥は、電解質のイオン輸送特性を改善する。以下に説明されるように、ナノ粒子の導入は、しばしば「ピニング」と呼ばれる効果において以前に形成された欠陥の消失を最小限に抑えることができる。このような以前に形成された欠陥は、合成過程に形成されることがあり、イオン輸送特性も向上させることができる。他の例では、欠陥は格子内の2価置換に由来する。リチウム陽イオン(Li+)との2価陽イオン置換は、ヨウ化リチウム格子中に2価置換欠陥を生成する。例えば、リチウム陽イオン(Li+)に2価のバリウム陽イオン(Ba2+)を導入することにより、ヨウ化リチウム格子中に2価置換欠陥が生じる。格子内の電荷の中性を維持するために、2つのリチウム陽イオンを1つのバリウム陽イオンで置換して、格子内の欠陥を生成する。該格子内の欠陥は、元のリチウム陽イオン位置の1つの中の空孔である可能性がある。従って、LiI格子に1種以上の材料を導入して、粒界欠陥を形成したり、既存の欠陥を維持したり、及び/または2価置換欠陥を生成したりして、格子のイオン輸送特性を改善することができる。
【0018】
図1は、固体電解質格子内に複数の欠陥を有する固体ヨウ化リチウム電解質108によって分離された流体電極104と106を備えた反応チャンバ102を含む電池装置100の例のブロック図である。
図1中の図解は、本実施例の一般的な原理を示しているが、具体的な形状、相対的な寸法や距離、または示された構成要素の他の構造上の詳細を必ずしも表すものではない。いくつかの状況では、2つ以上のブロックの構造は、単一の構成要素または構造で実施してもよい。また、
図1の1つのブロックで実施するように記載された機能は、別の構造で実施されてもよい。
【0019】
本明細書で検討されるように、材料が、ある領域から別の領域へと流れることができるように、十分に液化された持続性を有するときに、流体状態にある。言い換えると、流体材料の粘度は、該材料がある領域から別の領域へと誘導され、ポンピングされ、または流れることができるようなものである。しかし、流体材料は、他の成分は液相にありながら、少なくとも部分的に固体であるいくつかの成分を有してもよい。その結果、流体材料は、必ずしも全てが液相にある必要はない。本明細書で検討されるものとして、材料は、それが流れないように十分に固化されている非流体の状態にある。言い換えると、非流体状態にある材料の粘度は、該材料が、ある領域から別の領域へと誘導されないか、ポンピングされないか、または流れないようなものである。しかし、非流体材料は、他の成分が固相にありながら、液相にもあるいくつかの成分を有してもよい。本明細書で参照されるように、固体電解質は、任意の材料、混合物、化合物、または固体相にある電解質構造を形成する他の材料との組み合わせである。これは、液相及び固相の材料を含むゲル電解質とは異なる。LiIは、動作温度の範囲内においては固相であるが、温度がLiIの融点に近づくにつれ、該電解質材料が軟質になることがある。本明細書の実施例の固体電解質108は、欠陥を有するヨウ化リチウム格子の構造を有する。従って、固体ヨウ化リチウム電解質108は、リチウム陽イオン及びヨウ化物陰イオンから形成される格子を含む。欠陥が該格子内に分散されている。
【0020】
電池装置100は、少なくとも反応チャンバ102を含む。該反応チャンバ102は、負極領域110から固体ヨウ化リチウム電解質108によって分離された負極領域110及び正極領域112を有する。負極領域110は負極材料114を含み、正極領域112は正極材料116を含む。本明細書での実施例では、負極材料114はリチウム(Li)を含み、正極材料116は硫黄(S)を含む。いくつかの状況では、正極材料116はリン(P)も含む。また、電池装置100は、動作中に反応チャンバ102内の正極材料及び負極材料を十分に加熱するための加熱システム118も含む。固体ヨウ化リチウム電解質108を固体状態に維持しながら、電極材料114と116を加熱して電池装置100を動作させる時に、電極材料114と116を流体状態に維持する。従って、該反応チャンバの動作温度は、該固体ヨウ化リチウム電解質108の融点以下である。
図1の例では、加熱システム118は、電極材料114と116を流体状態にするために反応チャンバ102の加熱を促進する1つ以上の加熱要素を含む電気加熱システムである。いくつかの状況では、他種の加熱システム118を使用することができる。加熱システムは、固体ヨウ化リチウム電解質108が固体状態に維持されながら、負極材料114及び正極材料116が流体状態になるように反応チャンバを加熱する。
【0021】
負極領域110における流体負極材料114は、電池装置100の流体負極104を形成する。正極領域112における流体正極材料116は、電池装置100の流体正極106を形成する。流体電極104と106及び電極材料は、一つ以上の要素を含んでもよい。例えば、正極領域112は、電池装置100の動作に起因するいくつかの反応生成物を含んでもよい。第1集電体120は、流体負極104内に配置され、第2集電体122は、流体正極106内に配置される。104と106の各電極内に適切に配置された集電体120と122によって、固体ヨウ化リチウム電解質108を介して、流体負極104と流体正極106との間の電池内で発生する電気化学反応から電気エネルギーを利用することができる。従って、
図1の例における反応チャンバ102の動作は、従来の熱電池の動作と類似している。しかし、従来の熱電池に優る顕著な利点は、熱電池に使用される従来の固体電解質と比較して、イオン輸送特性が改善された欠陥を有する固体電解質を含むことである。固体ヨウ化リチウム電解質が提案されてきたが、従来の技術はいずれも、固体ヨウ化リチウム電解質を使用して流体電極を分離することを意図していない。ヨウ化リチウムに欠陥を導入するための唯一の公知の技術は、流体リチウム電極に適合しない。本明細書に記載された技術によれば、固体ヨウ化リチウム電解質のイオン輸送特性を改善することにより、リチウム熱電池の性能が従来の電池よりも向上している。固体電解質のヨウ化リチウム格子は、固体ヨウ化リチウム電解質のイオン輸送特性を改善する欠陥を含む。一例では、該欠陥は、粒界欠陥及び/又はピンが存在する粒界欠陥をもたらすナノ粒子の導入によるものである。他の例では、該欠陥は、格子内の2価置換の結果である。
【0022】
負極領域及び正極領域の動作温度又は温度範囲は、例えば、負極材料の融点、正極材料の融点、負極材料の沸点、正極材料の沸点、正極材料と生成する化学種の共晶点、及び固体電解質の融点を含むいくつかの要因に基づいて選択することができる。いくつかの状況では、少なくとも固体電解質の一部の融点は、2価置換を生成するために選択された材料及び濃度に依存し得る。本明細書で説明する実施例では、加熱システム118は、固体電解質108にわたる温度の変化を回避するために、反応チャンバ102の負極領域110及び正極領域112を同じ温度に維持する。いくつかの状況では、反応チャンバの2つの領域を異なる温度に維持してもよい。
【0023】
加熱システム118は、反応チャンバ102を適切な温度に維持し、固体ヨウ化リチウム電解質108を介して硫黄とリチウムとの所望の反応を促進する。
図1の例では、負極領域110及び正極領域112の温度は、摂氏400度(℃)付近の温度に維持される。動作温度は、電極材料及び固体電解質の特性を含むいくつかの要因に基づくことができる。
図1の例では、いくつか考えられる特性としては、ヨウ化リチウムの融点(469℃)、硫黄の沸点(444.6℃)、及びリチウムポリスルフィド生成物(Li
nS
m)の共晶融点(365℃)が含まれる。いくつかの状況では、格子中の2価置換の導入は、純粋なヨウ化リチウムの融点を低下させる。リチウムポリスルフィド生成物の共晶融点より高く、LiIの融点より低い温度範囲は、365℃~469℃の温度範囲を提供する。これはいくつかの状況で使用できる。硫黄の沸点より低い温度を維持することは有用な場合があり、他の状況で使用できる365℃~444℃の範囲を提供する。しかし、適切な温度範囲として、375℃~425℃の温度が含まれる。より広い温度範囲115.21℃~469℃は、さらに他の状況でも使用できる。本明細書の実施例では、負極領域110及び正極領域112の温度はほぼ同じ温度に維持される。他の利点として、このようなスキームは、固体LiI電解質108にわたる温度の変化を回避する。いくつかの状況では、該温度は、電極領域間で異なっていてもよい。電極材料が流体であり、かつ電解質は固体である限り、他の温度範囲及びスキームを使用することができる。その結果、正極領域112の温度は、硫黄の融点(115.21℃)以上とすべきであり、負極領域110の温度は、リチウムの融点(180.5℃)以上とすべきである。多くの状況では、電池の動作温度範囲は、少なくとも部分的に欠陥の特性に基づく。例えば、2価置換欠陥に使用される材料及び濃度は、少なくとも固体電解質の一部の融点に影響を及ぼす可能性がある。また、ナノ粒子も、2価置換の技術よりは少ない程度であるが、固体電解質の融点に影響を与えることもある。
【0024】
電池装置100の動作中、電気化学反応は、形成される他の化合物または生成物をもたらすことがある。例えば、硫黄を含む正極領域に加えて、該領域は、ジ-リチウムポリスルフィド種(Li2Sn、ここで、nが2以上である)及びジ-リチウム硫化物(Li2S)を含んでいてもよい。典型的には、電解質にわたる反応は、Li2Sm(ここで、mは1以上の整数である)のようないくつかの異なる化学種をもたらす。いくつかの状況では、任意の数の化学種(例えば、生成物Li2S、Li2S2、Li2S4及びLi2S6ならびに他のもの)を生成したり、含んだりすることができる。
【0025】
いくつかの状況では、追加の材料を正極材料及び/または負極材料に添加してもよい。例えば、リンは正極材料に含まれることができ、その結果、流体リン-硫黄正極が得られる。従って、流体電極電池100の他の例は、リチウムリン-硫黄(LiPS)電池を含む。従って、一例では、正極材料は硫黄を含み、別の例では、正極材料は硫黄及びリンを含む。LiPS電池用のリザーバ及び反応チャンバの適切な温度範囲の例は上述した範囲を含む。
【0026】
本明細書で説明される実施例の少なくともいくつかは、電池の動作温度で2つの溶融流体電極を含む。いくつかの状況では、一方の電極は固体であってもよい。例えば、負極材料は、リチウムとシリコン、またはリチウムとアルミニウムを含んでもよく、ここで、その融点は、電池の動作温度よりも高くてもよい。従って、固体ヨウ化リチウム電解質は、硫黄を含む流体正極と、リチウムとシリコン、リチウムとアルミニウム、またはリチウムを含み、かつ電池の動作温度より高い融点を有する他の材料を含む固体負極との間に配置されてもよい。
【0027】
図2は、固体ヨウ化リチウム電解質108材料の一部200の例の図解である。
図2は、該材料部分の視覚的表現であり、説明される構成要素の形状を正確に示すための距離または寸法を表すことを必ずしも意図するものではない。該固体電解質は、リチウム陽イオン及びヨウ化物陰イオンによって形成されたヨウ化リチウム格子202を含む。格子202は、
図2において斜線で示されている。複数の欠陥204が格子202内に分散されている。周知のように、結晶性固体は周期的な結晶構造を示す。原子または分子の位置は、単位セルパラメータによって測定される反復する一定の距離で起こる。不純物を導入することにより、格子内の原子または分子の配列はもはや完全ではない。規則的なパターンは、欠陥によって中断される。本明細書に記載の技術によれば、ヨウ化リチウム格子構造のパターンは、他の材料を導入することによって破壊される。一例では、
図3及び
図4を参照して説明したように、欠陥はナノ粒子の導入に関する。いくつかの状況では、ナノ粒子の導入は、粒界欠陥をもたらす。加えて、あるいは別法として、格子中の既存の粒界欠陥はナノ粒子で安定化されることがある。時々「ピン留め」と呼ばれるこのような結果は、既存の粒界欠陥がナノ粒子の導入によってより容易に維持される場合に生じる。そうでなければ経時的に消費される可能性がある。結合の変化、空孔、またはナノ粒子の導入によって粒子境界に生じた、または維持された他の欠陥は、電解質のイオン輸送特性を改善する。他の例では、
図5を参照して説明するように、該欠陥は、2価置換欠陥である。リチウム陽イオン(Li
+)に対して2価である陽イオン(例えば、バリウム陽イオン(Ba
2+))は、ヨウ化リチウム格子中に2価置換欠陥を生成する。格子内の電荷的中性を維持するために、2つのリチウム陽イオンを単一のバリウム陽イオンで置換して、潜在的に元のリチウム陽イオンの位置のうちの1つの空所で格子内の欠陥を形成する。
【0028】
図3は、固体ヨウ化リチウム電解質108の一部300の例の図解である。ここで、複数の欠陥302が、ダングリングボンド、結合変化、空孔、及び粒界で発生する他の欠陥に起因し得る複数の粒界欠陥である。
図3は、材料部分の視覚的表現であり、説明される構成要素の形状を正確に示すための距離または寸法を表すことを必ずしも意図するものではない。ダングリングボンドは、固定された原子上の不飽和な原子価である。ダングリングボンドを有する原子は、フリーラジカルとの構造的及び化学的類似性に関連して、固定されたフリーラジカルまたは固定されたラジカルとも呼ばれる。材料の表面には、通常格子の原子が空間的に連続しないため、ダングリングボンドが発生する。ナノ粒子をヨウ化リチウム格子に導入することにより、ナノ粒子と格子材料との界面にダングリングボンドやその他の欠陥を形成することができる。
図3において、組み込まれたナノ粒子304は、より大きい黒丸で表され、ナノ粒子とヨウ化リチウム格子との界面におけるより小さな白丸は、ナノ粒子をヨウ化リチウム格子に導入することによって形成された粒界欠陥302を表す。イオン輸送特性を最大限に改善するために、ナノ粒子間の距離306を最小化する。しかし、距離306が小さくなるにつれて、格子202の構造上の一体性も低減される。その結果、例えば、ナノ粒子304の間の距離306は、格子の構造上の一体性が著しく損なわれる点を超えて最小化されず、該材料は、熱電池における固体電解質としての使用に適していない。
図4の例では、酸化マグネシウムナノ粒子は、ヨウ化リチウム格子202内に取り込まれる。本明細書で説明する実施例では、該ナノ粒子は、サイズ308が約20 nm程度であり、または約200個の結合長さである。いくつかの状況では、他のナノ粒子サイズ及び材料を使用してもよい。他のナノ粒子材料の例としては、窒化ホウ素(BN)、酸化カルシウム(CaO)、タンタルム(III)酸化物(Ta
2O
3)、サマリウム(III)酸化物(Sa
2O
3)、酸化リチウム(Li
2O)、酸化ベリリウム(BeO)、テルビウム(III)酸化物(Tb
2O
3)、ジスプロシウム(III)酸化物(Dy
2O
3)、二酸化トリウム(ThO
2)、ガドリニウム(III)酸化物(Gd
2O
3))、エルビウム(III))酸化物(Er
2O
3)、イットリウム(III)酸化物(Y
2O
3)、塩化リチウム(LiCl)、ホルミウム(III)酸化物(Ho
20
3)、ネオジミウム(III)酸化物(Nd
2O
3)、イッテルビウム(III)酸化物(Yb
2O
3)、ランタヌム(III)酸化物(La
2O
3)、プラセオジミウム(III)酸化物(Pr
2O
3)、フッ化リチウム(LiF)、ルテチウム(III)酸化物(Lu
2O
3)、スカンジウム(III)酸化物(Sc
2O
3)、ツリウム(III)酸化物(Tm
2O
3)、サマリウム(III)酸化物(Sm
2O
3)、セリウム(III)酸化物(Ce
2O
3)、及びメンデレビウム(III)酸化物(Md
2O
3)が含まれる。ヨウ化リチウムとの使用に適し得る他の潜在的なナノ粒子材料としては、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、セリウム(IV)酸化物(Ce
2O)、ウラニウム(IV)酸化物(U
2O)、ユーロピウム(II)酸化物(EuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、フッ化ナトリウム(NaF)、ユーロピウム(III)酸化物(Eu
2O
3)、クリソベリル(BeAl
2O
4)、珪酸カルシウム(Ca
2SiO
4)、ハフニウム(IV)酸化物(HfO
2)、チタン酸カルシウム(CaTiO
3)、Ca
2Al
2SiO
7、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、カルシライト(KAlSiO
4)、メタ珪酸マグネシウム(MgSiO
3)、CaMg(SiO
4)
2)、Ca
3MgSi
2O
7、メルウィナイト(Ca
3Mg(SiO4
4)
2)、珪酸カルシウム(CaSiO
3)が含まれる。いくつかの状況では、複数種のナノ粒子材料を使用することができる。また、いくつかの材料はLiIにより溶解しやすい。また、少なくとも部分的に、材料がLiIにどの程度容易に溶解するかによってナノ粒子を選択してもよい。
【0029】
図4は、ナノ粒子材料が酸化マグネシウム(MgO)である固体ヨウ化リチウム電解質の部分400の例の図解である。
図4は、材料部分の視覚的表現であり、説明される構成要素の形状を正確に示すための距離または寸法を表すことを必ずしも意図するものではない。明確にするために、この図解は二次元モデルであり、該図面の平面から延在するイオンを示していない。さらに、この図解は、ナノ粒子とヨウ化リチウム格子との間の界面を強調する固体電解質の一部であり、その結果、少数のイオンのみを表現している。
図4では、リチウム陽イオン(Li
+)402が黒い円で表され、ヨウ化物陰イオン(I
-)404が単一斜線の円で表され、マグネシウム陽イオン(Mg
2+)406が二重斜線の円で表され、また酸化物陰イオン(O
2-)408が色濃い円で表される。複数の欠陥302は、粒子境界410に形成される。
図4では、欠陥302が明瞭な円で表され、ヨウ化リチウム格子の破壊を示す。
【0030】
図5は、2価置換欠陥504を誘起する2価置換502を含む固体ヨウ化リチウム電解質108の部分500の例の図解である。
図5は、材料部分の視覚的表現であり、説明される構成要素の形状を正確に示すための距離または寸法を表すことを必ずしも意図するものではない。明確にするために、この図解は二次元モデルであり、該図面の平面から延在するイオンを示さない。さらに、この図解は、導入された欠陥を引き起こすイオンとヨウ化リチウム格子との間の界面を強調する固体電解質の一部である。その結果、少数のイオンのみを表現している。
図5では、リチウム陽イオン(Li
+)402が黒い円で表され、ヨウ化物陰イオン(I
-)404が単一斜線の円で表され、欠陥を引き起こすイオン502が色濃い円で表される。
図5では、欠陥504が明瞭な円で表され、ヨウ化リチウム格子における欠陥の破壊を示す。
図5の例では、欠陥を引き起こすイオンはバリウム陽イオン(Ba
2+)である。該バリウム陽イオンは、ヨウ化リチウムの格子構造中に欠陥を誘起する。一般に、欠陥を引き起こすイオンが格子構造内の規則的な原子サイトに組み込まれる。該規則的な原子サイトは空サイトではなく、該イオンは間質サイトには存在しない。通常の結晶構造におけるこれらの破壊は、典型的には置換欠陥と呼ばれる。置換欠陥は、等価置換欠陥または2価置換欠陥であってもよい。元のイオンを置換したイオンが置換しているイオンと同じ酸化状態である場合には、等価の置換が起こる。元のイオンを置換しているイオンが置換しているイオンとは異なる酸化状態である場合には、2価置換が起こる。本明細書の例では、バリウム陽イオンは+2電荷を有し、リチウムは+1電荷を有するので、バリウム陽イオンは2価置換をもたらす。2価置換は、材料内の特定の格子位置における電荷を変化させるが、材料全体は電荷中性に保たれなければならない。従って、電荷補償のメカニズムが必要となる。その結果、いずれかの金属が部分的または完全に酸化または還元され、またはイオン空孔が生成される。この例では、バリウム陽イオンは、2価置換欠陥504を形成する。なぜなら、バリウム陽イオンは、2つのリチウム陽イオンを置換するからである。+2荷電されたバリウム陽イオンは、+1荷電されたリチウム陽イオンを置換し、格子内の電荷中性が維持されるので、欠陥504が生じる。
【0031】
いくつかの状況では、欠陥を有するヨウ化リチウム固体電解質は、補強構造によって補強される。該補強構造は、ヨウ化リチウムとは異なる材料の多孔質構造であり、補強構造を有しない固体電解質と比べ、得られた補強固体電解質の特性が改良された。このような技術は、例えば、欠陥を有する補強された固体電解質に形成されたとき、固体電解質材料の靭性及び強度を増大させるために使用することができる。補強構造のいくつかの例として、金属発泡体、セラミック発泡体、ガラス発泡体、織線メッシュ、及びガラス繊維メッシュのような異なる材料のメッシュ及び発泡体が含まれる。いくつかの状況では、他種の補強構造を使用することができる。以下に説明する例では、補強構造は金属発泡体である。補強構造が導電性である状況では、該構造の上に誘電体材料を堆積させて、その全体構造を導電性から非導電性に変換することができる。このような技術は、セルを電気的に短絡する可能性を最小限にする。いくつかの状況では、化学的攻撃から補強構造を保護するためにコーティングは必要な場合がある。
【0032】
図6は、熱電池内の固体電解質と共に使用するのに適した開放型セル金属発泡体600のブロックの例の図解である。本実施例における発泡構造602の拡大図は、細孔(開放空間)606によって分離された金属構造構成要素604を有する金属構造を明らかにする。この例での金属発泡体は、金属発泡体600の金属構成要素604間の細孔606が相互接続された開放型セル構造を有する。例えば、該金属発泡体に用いられる材料は、ヨウ化リチウムの融点より高い融点を有する。その結果、ヨウ化リチウムを流体状態に加熱することができ、金属発泡体を溶融させることなく金属発泡体全体に浸透させることができる。いくつかの状況では他の材料を使用してもよいが、この例では、該金属発泡体は炭素鋼である。他に好適な材料の例としては、鋳鉄、低合金鋼、SS316、SS304、及びSS410等のステンレス鋼、Ti合金、Ni合金、W合金、セラミックス(例えば、炭化珪素(SiC)、B
4C、マグネシア(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、窒化ホウ素(BN)、ジルコニア、コージェライト、アルミノ珪酸塩、Macor(登録商標)、ムライト、及び窒化アルミニウム(AlN))、グラファイト、炭素、ステアタイトL-5、石英、サファイア、シリコン、シリカガラス、ソーダガラス、ホウ珪酸塩、レンガ、石材、及びコンクリートが含まれる。従って、本実施例では、炭素鋼発泡体を用いているが、いくつかの状況では金属発泡体以外の補強構造を使用することもできる。
【0033】
図7Aは、金属発泡体600の断面の例の図解である。金属発泡体600の内部の細孔606と、金属構造要素604の間の細孔606とは、開放型セル構造において相互接続されている。典型的には、金属発泡体は、空隙率及び細孔/インチ(ppi)のような細孔密度によって特徴づけられる。他の細孔密度を用いることができるが、好適な細孔密度の例は25 ppi~500 ppiの範囲である。この例では、金属発泡体は約100 ppiの密度を有する。一般に、金属発泡体は、体積の5~25%がベース金属である、比較的高い空隙率を有する。該金属発泡体は、多数の技術のいずれかを用いて製造することができる。一例として、空間ホルダが細孔スペース及びチャネルを占有するために使用される粉末法が含まれる。鋳造の過程において、発泡体は開放型セルポリウレタン発泡体骨格で鋳造される。従って、粉末状の金属は、ポリウレタン発泡体骨格に流し込まれ、加熱され、金属を一緒になるように熱処理される。また、ポリウレタンが燃焼により除去される。
【0034】
図7Bは、誘電体材料702が金属発泡構造に堆積された後の金属発泡体600の断面の例の図解である。誘電体材料702は、既知の技術で金属発泡体上に堆積される。例えば、誘電体材料は、化学気相堆積技術を用いて堆積させることができる。他の例としては、溶融塩電気化学堆積、原子層堆積(ALD)、及び物理気相堆積(PVD)が含まれる。誘電体材料702は、少なくとも動作温度の範囲内において他の電池成分に対して安定である。例えば、誘電体材料は、酸化マグネシウム(MgO)である。他の誘電体材料の例としては、窒化ホウ素(BN)、酸化カルシウム(CaO)、タンタルム(III)酸化物(Ta
2O
3)、サマリウム(III)酸化物(Sa
2O
3)、酸化リチウム(Li
2O)、酸化ベリリウム(BeO)、テルビウム(III)酸化物(Tb
2O
3)、ジスプロシウム(III)酸化物(Dy
2O
3)、二酸化トリウム(ThO
2)、ガドリニウム(III)酸化物(Gd
2O
3))、エルビウム(III))酸化物(Er
2O
3)、イットリウム(III)酸化物(Y
2O
3)、塩化リチウム(LiCl)、ホルミウム(III)酸化物(Ho
20
3)、ネオジミウム(III)酸化物(Nd
2O
3)、イッテルビウム(III)酸化物(Yb
2O
3)、ランタヌム(III)酸化物(La
2O
3)、プラセオジミウム(III)酸化物(Pr
2O
3)、フッ化リチウム(LiF)、ルテチウム(III)酸化物(Lu
2O
3)、スカンジウム(III)酸化物(Sc
2O
3)、ツリウム(III)酸化物(Tm
2O
3)、サマリウム(III)酸化物(Sm
2O
3)、セリウム(III)酸化物(Ce
2O
3)、及びメンデレビウム(III)酸化物(Md
2O
3)が含まれる。ヨウ化リチウム及び金属発泡体と共に使用するのに適し得る他の潜在的な誘電体材料としては、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、セリウム(IV)酸化物(Ce
2O)、ウラニウム(IV)酸化物(U
2O)、ユーロピウム(II)酸化物(EuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、フッ化ナトリウム(NaF)、ユーロピウム(III)酸化物(Eu
2O
3)、クリソベリル(BeAl
2O
4)、珪酸カルシウム(Ca
2SiO
4)、ハフニウム(IV)酸化物(HfO
2)、チタン酸カルシウム(CaTiO
3)、Ca
2Al
2SiO
7、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、カルシライト(KAlSiO
4)、メタ珪酸マグネシウム(MgSiO
3)、CaMg(SiO
4)
2、Ca
3MgSi
2O
7、メルウィナイト(Ca
3Mg(SiO4
4)
2)、珪酸カルシウム(CaSiO
3)が含まれる。これらのセラミックは、典型的には、熱リチウム電池の構成要素からの化学的攻撃に対する脆弱性が低く、導電性が温度と共に増加することがあるが、典型的には導電性ではない。従って、セラミック材料の選択は、電気伝導性及び電池の動作温度範囲における化学的攻撃に対する感受性に基づいてもよい。いくつかの状況では、複数種の誘電体材料を使用することができる。金属発泡体の例では、誘電体を用いて、導電性金属を電極から絶縁し、電解質構造を通る電気的短絡を回避し、また溶融リチウム、硫黄及びジ-リチウムポリスルフィド生成物からの化学的攻撃から金属発泡体を保護する。いくつかの状況では、誘電体コーティングは、溶融リチウム、硫黄、及びジ-リチウムポリスルフィド生成物のような電池内の他の成分からの化学的攻撃から補強構造を保護する。補強構造に非導電性材料を用いた場合であっても、補強構造は、溶融リチウム及び/又は溶融硫黄及び/又はジ-リチウムポリスルフィド生成物からの化学的攻撃から構造を保護するために、誘電体材料でコーティングされてもよい。例えば、コーティングは、アルミナ、炭化ケイ素等のセラミック及び以下に説明する他のものを含む補強構造に有用であり得る。このような材料をコーティングし、該材料を溶融リチウム、溶融硫黄及び/又は溶融したジ-リチウムポリスルフィド生成物からの化学的攻撃から保護には、上述の誘電体材料を用いてもよい。
【0035】
上述したように、補強構造の材料としてセラミックスを用いることができる。いくつかの状況で使用できるいくつかのセラミックの例としては、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、酸化カルシウム(CaO)、タンタルム(III)酸化物(Ta2O3)、サマリウム(III)酸化物(Sa2O3)、酸化リチウム(Li2O)、酸化ベリリウム(BeO)、テルビウム(III)酸化物(Tb2O3)、ジスプロシウム(III)酸化物(Dy2O3)、二酸化トリウム(ThO2)、ガドリニウム(III)酸化物(Gd2O3)、エルビウム(III)酸化物(Er2O3)、イットリウム(III)酸化物(Y2O3)、塩化リチウム(LiCl)、ホルミウム(III)酸化物(Ho2O3)、ネオジミュウム(III)酸化物(Nd2O3)、イッテルビウム(III)酸化物(Yb2O3)、ランタヌム(III)酸化物(La2O3)、プラセオジミウム(III)酸化物(Pr2O3)、フッ化リチウム(LiF)、ルテチウム(lII)酸化物(Lu2O3)、スカンジウム(III)酸化物(Sc2O3)、ツリウム(III)酸化物(Tm2O3)、サマリウム(III)酸化物(Sm2O3)、セリウム(III)酸化物(Ce2O3)、メンデレビウム(III)酸化物(Md2O3)が含まれる。これらのセラミックは、典型的には、熱リチウム電池の構成要素からの化学的攻撃に対する脆弱性が低く、導電性が温度と共に増加し得るが、典型的には導電性ではない。従って、セラミック材料の選択は、電気伝導性及び電池の動作温度範囲における化学的攻撃に対する感受性に基づいてもよい。その結果、誘電体コーティングは、これらの材料の少なくとも一部を適用する必要がない。それにもかかわらず、他の理由によりコーティングは適用されてもよい。
【0036】
いくつかの状況で補強構造の材料に使用できる他のセラミックスとしては、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、フッ化マグネシウム(MgF2)、セリウム(IV)酸化物(Ce2O)、ウラニウム(IV)酸化物(U2O)、ユーロピウム(II)酸化物(EuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、フッ化ナトリウム(NaF)、ユーロピウム(III)酸化物(Eu2O3)、クリソベリル(BeAl2O4)、珪酸カルシウム(Ca2SiO4)、ハフニウム(IV)酸化物(HfO2)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、Ca2Al2Si07、アルミン酸マグネシウム(MgAl2O4)、カルシライト(KAlSiO4)、メタ珪酸マグネシウム(MgSiO3)、CaMg(SiO4)2)、Ca3MgSi2O7、メルウィナイト(Ca3Mg(SiO4)2)、及び珪酸カルシウム(CaSiO3)が含まれる。コーティングは、これらのセラミックに有用であり得る。なぜなら、少なくともいくつかは、熱リチウム電池の構成要素からの化学的攻撃に対して脆弱であり得るか、または電池の動作温度において導電性となる可能性があるからである。
【0037】
コーティングを必要とする可能性のある補強構造の材料に使用され得るセラミックスの例としては、炭化タンタルムを含む(TaC)、窒化タンタルム(TaN)、二ホウ化タンタルム(TaB2)、炭化タングステン(WC)、二ホウ化タングステン(WB2)、炭化ハフニウム(HfC)、窒化ハフニウム(HfN)、二ホウ化ハフニウム(HfB2)、炭化ジルコニウム(ZrC)、窒化ジルコニウム(ZrN)、二ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si3Ni4)、ニオビウム炭化物(NbC)、窒化ニオビウム(NbN)、二ホウ化ニオビウム(NbB2)、炭化チタニウム(TiC)、窒化チタニウム(TiN)、二ホウ化チタニウム(T1B2)、バナジウム炭化物(VC)、バナジウム窒化物(VN)、炭化ホウ素(B4C)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)、及びシリカ(SiO2)が含まれる。電池に使用される材料の選択は、該材料及び電池内の他の材料の融点、動作温度における他の電池材料との反応の可能性、動作温度における該材料の導電率、及び該材料がLiI及びLiにおける溶解の難易度等いくつかの要因に基づく。材料を選択するための他の設計要因としては、コスト、密度、及び毒性、ならびに他の要因が含まれる。
【0038】
図7Cは、金属発泡体にヨウ化リチウム704を流し、注入し、または堆積し、誘電体でコーティングされた金属発泡体600の断面の例の図解である。補強された固体電解質の形成において、欠陥を有する溶融ヨウ化リチウムが金属発泡体600に流入する。細孔606に、粒界欠陥及び/又は2価置換欠陥を含む液体ヨウ化リチウムが充填された後、該材料を冷却し、欠陥を有する補強された固体電解質を形成する。いくつかの状況では、液体ヨウ化リチウムが発泡体構造に堆積される前に、金属発泡体にナノ粒子が充填される。さらに他の状況では、欠陥を含むLiIの固体粒子を金属発泡体600に注入し、次いで加熱して、欠陥を含むLiIを所定位置に熱処理または溶融し、最後に冷却する。
【0039】
図8は、電解質108と電極104、106との間に保護層802と804を含む欠陥を有する固体LiI電解質108を備えた熱電池800の例の図解である。保護層802と804は、電極中の物質による化学的攻撃から固体電解質を保護し、該実施例ではLiIを含む。
図8中の大きな破線の楕円は、固体電解質108近傍の電池800の一部の拡大図を示す。電池800は、該電池が追加の保護層802、804を含む点で上述した電池100とは異なる。従って、
図8の電池800は、電極104、106と電解質108との間に保護層802と804が介挿された電池装置100の一例である。保護層802と804は、電池の動作温度における電極材料と反応性のある材料か、または化学的攻撃を受けやすい材料の、いずれかが存在する場合には、その最小量を含む。1つの状況では、例えば、該保護層は高純度なLiIであり、いかなる追加の材料も含まない。最小限では、いずれかの電極材料と反応性である材料の濃度は、欠陥を有するLiI電解質108に発見できる濃度より著しく低い。他の状況では、該保護層は、電池の動作温度において電極材料と反応しない追加の材料を含む。例えば、追加の材料が電極材料と反応しない欠陥を導入又は維持するために、保護層に材料を添加してもよい。従って、該保護層は、固体LiI電解質109内の材料以外の材料によって形成またはピン留めされた欠陥を含んでもよい。このような構造は、欠陥を有する電解質108が、電極材料の1つまたは両方と反応可能な材料を含む場合に有用であり得る。例えば、電解質中の流体リチウムとアルミナとの間の反応の可能性を最小限にしながら、アルミナをコーティングすることなく、アルミナ等のセラミックを電解質中に導入することができる。従って、該保護層は、固体電解質108上に不活性なコーティングを形成し、固体電解質108がアルミナ、ジルコニア、酸化チタニウム等のナノ粒子を含むことを可能にする。これらは、動作温度で機械的に発見され、LiIに対して安定であるが、溶融リチウムのような電極材料による化学的攻撃に対しては脆弱である。保護層を備えたことで、該固体電解質は、溶融リチウムのような電極材料による化学的攻撃に対して脆弱であり、LiI格子においてよく移動できないSr
2+やAl
3+等の材料によって形成された2価置換欠陥を含むことができる。格子中でよく移動できる陽イオンは、LiIコーティングを通って拡散し、溶融リチウム電極に溶解する可能性がある。時間の経過とともに2価置換の数が減少し、結果として欠陥が少なくなり、電解質を通るLi
+の輸送性能が低下する。
【0040】
従って、保護層は、電極材料と電解質との間に化学的に絶縁層を提供する。保護層は、ゼロまたはほぼゼロの欠陥濃度を有することができ、例えば、保護層は、高純度のLiIのみを含む。しかし、他の状況では、流体電極に対して化学的に耐性のある材料のため、保護層は高い欠陥濃度を有してもよい。
【0041】
この例では、各保護層の厚さは50 nm程度であるが、いくつかの状況では他の厚さでもよい。一般に、保護層は、電解質と電極との間のインピーダンスの許容可能なレベルを超えることなく、電極と電解質との間に所望の分離を提供するのに十分な厚さを有するべきである。そのため、イオンの移動が著しく影響されない。一例では、電解質を電極材料に暴露する前に、保護層は欠陥を有するLiI電解質上に堆積される。別の例では、電極材料に欠陥を有する電解質を暴露することによって、一方または両方の層が形成される。このような技術によって、電極材料は、安定したLiI層が残るまでに、電解質内の導入された材料と反応することができる。例えば、ヨウ化リチウムの固体電解質をアルミナナノ粒子の濃度で使用することができる。該固体電解質が溶融リチウムに暴露されると、溶融リチウムがアルミナナノ粒子と反応してアルミニウム及び酸化リチウムを形成する。アルミニウムは溶融リチウムに溶けやすいため、固体電解質中にクレータを残す。このプロセスは、溶融リチウムがヨウ化リチウムのみにアクセスするまで継続する。この方法は、固体電解質の上面を犠牲にするが、流体電極と固体電解質との間に安定したヨウ化リチウム表面を効果的に確立する。この方法は、溶融リチウムによる化学的攻撃を受けやすいマグネシウムまたはカルシウムのような、2価置換に関連する欠陥にも使用することができる。典型的な状況では、これらの欠陥の原因材料または欠陥の維持材料の濃度は、この技術の実行可能性にとって重要である。例えば、アルミナナノ粒子の濃度が高すぎると、固体電解質全体が溶融リチウム電極によって破壊される可能性がある。本実施例は、各電極と電解質界面との間に保護層を含むが、いくつかの状況では一層のみを使用してもよい。
【0042】
材料が保護層802と804に導入されて欠陥またはピンの存在する欠陥を生成する状況では、該材料は、電極材料からの化学的攻撃に対して耐性がある。多くの状況では、このような保護層は、より高純度のLiIからなる保護層よりも厚くでもよい。例えば、欠陥を有する保護層のイオン輸送特性は、より高純度のLiIの保護層よりも良好であり得る。その結果、欠陥を有するより厚い保護層は、許容可能なイオン輸送特性を有することができる。このアプローチは、電極からの化学的攻撃に対して耐性のある欠陥またはピンの存在する欠陥を生成する材料が、化学的攻撃に対して耐性でない欠陥またはピンの既存の欠陥を生成する材料よりも高価である場合に有利になることがある。例えば、マグネシア(MgO)ナノ粒子は、アルミナ(Al2O3)ナノ粒子よりも高価である場合がある。従って、費用効果のある実施形態の一例では、保護層802内にマグネシアナノ粒子を使用すること、及び固体LiI電解質108にアルミナナノ粒子を使用することが含まれる。
【0043】
図9は、欠陥を有する固体ヨウ化リチウム電解質を備えた熱リチウム電池を形成する例のフローチャートである。
図9のステップは、示された順序と異なる順序で実施することができ、いくつかのステップは、1つのステップに組み合わせることができる。追加のステップを実行してもよく、いくつかのステップを省略してもよい。
【0044】
ステップ902では、ヨウ化リチウムは液相になるまで加熱される。この例では、ヨウ化リチウムは少なくとも469℃に加熱される。
【0045】
ステップ904では、該液体ヨウ化リチウムに不純物が添加される。上述したように、該不純物は、粒界欠陥またはピンが存在する粒界欠陥を形成する選択された材料のナノ粒子であってもよく、または、2価置換欠陥を形成する材料であってもよい。場合によっては、複数の材料を添加してもよい。
【0046】
ステップ906では、誘電体堆積で欠陥を有する液体ヨウ化リチウムを金属発泡体に流す。上述したように、いくつかの状況では、他の発泡体を使用してもよい。例えば、特定の発泡材料の特性が所期の目的に適切である場合には、セラミックまたはガラス発泡体を使用してもよい。例えば、誘電体でコーティングされた金属発泡体は靭性があるため、多くの状況で好ましいことがある。誘電体堆積で欠陥を有する液体ヨウ化リチウムが金属発泡体に添加される。上述したように、他の例では、欠陥のないヨウ化リチウムが発泡体に堆積する前にナノ粒子を発泡体に添加してもよい。また、他種の補強構造を使用する補強された固体電解質を備えた熱電池を形成するために、リチウム熱電池を形成する方法を適用してもよい。
【0047】
ステップ908では、欠陥を有するヨウ化リチウム及び誘電体でコーティングされた金属発泡体を冷却し、補強された固体ヨウ化リチウム電解質を形成する。得られた構造は、イオン輸送性を著しく低下させることなく、金属発泡体のない電解質よりも機械的に優れて、かつより頑丈である。
【0048】
ステップ910では、補強された固体ヨウ化リチウム電解質は、電池内のリチウムを含む負極と硫黄を含む正極との間に配置される。電池の動作中、該負極及び正極は流体状態にある。上述したように、いくつかの状況では、正極はリンを含んでいてもよい。
【0049】
同様の結果を達成するために、上述した技術を組合せたり、または改変したりすることができる。例えば、いくつかの状況では、補強構造を欠陥原因材料または欠陥保持材料(即ち、ピニング材料)として使用することができ、ヨウ化リチウムへのナノ粒子の添加を省略することができ、またはナノ粒子の濃度を低減することができる。十分に高い格子内の粒界欠陥の濃度をもたらし、販売された電解質のイオン輸送特性を向上させるために補強構造の細孔密度が十分に高い場合か、または、製造過程に形成された粒界欠陥を適切に保持し、販売された電解質の高いイオン輸送特性を維持するために補強構造の細孔密度が十分に高い場合には、このような状況は起きる。言い換えると、補強構造の要素は、補強構造の近くの界面領域内の粒界欠陥をもたらし、補強構造要素間の相対的に短い距離は、欠陥間の適切な間隔をもたらし、イオンの輸送性を向上させることがある。いくつかの状況では、補強構造の要素は、合成過程に固体電解質内に形成された粒界欠陥をピン留めすることがある。上記の技術に対する別の潜在的な改変では、ヨウ化リチウムへのナノ粒子の導入は、補強構造を形成することがある。
【0050】
図10は、補強構造内でLiI材料が熱処理された欠陥を有する固体電解質108を形成する例のフローチャートである。
図10の例では、欠陥材料を有するLiIは、補強構造全体にわたって拡散されると固体粒子の形態である。次いで、欠陥材料を有するLiIが熱処理され、欠陥を有する固体電解質108が形成される。
図10のステップは、示された順序と異なる順序で実施することができ、いくつかのステップを1つのステップに組み合わせてもよい。また、追加のステップを実施してもよく、いくつかのステップを省略してもよい。
【0051】
ステップ1002では、ヨウ化リチウムが液相になるまで加熱される。この例では、ヨウ化リチウムは少なくとも469℃に加熱される。
【0052】
ステップ1004では、液体ヨウ化リチウムに不純物が添加される。上述したように、該不純物は、粒界欠陥またはピンが存在する粒界欠陥を形成する材料から選択されたナノ粒子であってもよく、または、2価置換欠陥を形成する材料であってもよい。いくつかの場合では、複数の材料を添加してもよい。
【0053】
ステップ1006では、欠陥を有するヨウ化リチウムが固体状態に冷却される。
【0054】
ステップ1008では、欠陥を有する固体ヨウ化リチウムが処理され、欠陥を有するヨウ化リチウムの固体粒子を形成する。該固体材料は、粉砕され、粉末化され、霧状にされ、または、粉末のような微粒子に崩される。この例では、欠陥を有する固体ヨウ化リチウムは、粉末に変換される前により小さい粒子に崩される。ある技術を用いる場合では、粉砕機で固体材料をより小さな粒子に崩し、ボールミルで粒子をさらに処理し、欠陥を有するヨウ化リチウム粉末を形成する。得られる粒子材料が、補強構造内で十分に拡散できるために十分に微細である場合には、他の技術を用いることができる。
【0055】
ステップ1010では、欠陥を有するヨウ化リチウムの固体粒子が、誘電体でコーティングされた金属発泡体のような補強構造内に拡散される。該材料の微粒子は、補強構造中にふるいにかけられるか、または注入される。いくつかの状況では、構造内でヨウ化リチウムの固体粒子が十分に散逸するために、補強構造を振動させたり、回転させたりして、または他の操作を行う。
【0056】
ステップ1012では、補強構造内の欠陥を有するヨウ化リチウムの固体粒子が熱処理され、欠陥を有するヨウ化リチウムの空隙率を最小化する。このような熱処理は、しばしばアニーリングと呼ばれる。この熱処理中に、欠陥を有するヨウ化リチウムの固体粒子を、空隙率の低減及び固体ヨウ化リチウム電解質の形成を促進するのに十分な温度に加熱する。多くの状況では、適切な温度の例は、欠陥材料を有するヨウ化リチウムの絶対融点温度の約2/3である温度である。いくつかの状況では、熱処理中に圧力をかけることができる。
【0057】
理解されるべきこととして、実施例によって、本明細書に記載された方法のいずれかの特定の行為または事象は、異なる順序で実施したり、追加したり、合併したり、または完全に除外したりすることができる(例えば、方法の実施には、記載された全ての行為または事象が必要であるわけではない)。また、ある例では、行為または事象は、逐次的にまたは逆でもなく、同時に実施されてもよい。さらに、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたは構成要素によって実施されるものとして記載されているが、理解されるべきこととして、本開示に記載された機能は、構成要素の任意の適切な組み合わせによって実施されてもよい。
【0058】
明らかに、当業者は、これらの教示に鑑みて、本発明の他の実施形態及び修正を容易に行うであろう。以上の記載は例示であり、限定的なものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。該特許請求の範囲は、上記明細書及び添付図面に関連して見たときに、そのような実施形態及び修正を全て含む。従って、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決められるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲及びそれに相当する全ての物を参照して決められるべきである。