(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】スプライシング調節薬抗体-薬物コンジュゲート及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20231124BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20231124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231124BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231124BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231124BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20231124BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231124BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231124BHJP
C12Q 1/6886 20180101ALI20231124BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20231124BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231124BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231124BHJP
C07K 16/32 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
C07D405/14
A61K47/68 ZNA
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K47/65
A61K47/10
A61K31/496
C12Q1/6886 Z
C12Q1/6869 Z
A61K45/00
C12N15/13
C07K16/32
(21)【出願番号】P 2020567044
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 US2019035015
(87)【国際公開番号】W WO2019232449
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】パッゾーリ, エーミラ
(72)【発明者】
【氏名】ブオナミーチ, シルヴィア
(72)【発明者】
【氏名】サマラクーン, シワンカ
(72)【発明者】
【氏名】プラジャーパティ, スディープ
(72)【発明者】
【氏名】フィシュキン, ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】パラチノ, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】セイラー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ズー, ピン
(72)【発明者】
【氏名】クック, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, シャン
(72)【発明者】
【氏名】エラリー, シェルビー
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ユー, リーファ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ジェンホア
(72)【発明者】
【氏名】ポン, ショウヨン
(72)【発明者】
【氏名】カランドラ, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】シーハン, メーガン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, ヨンホン
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/099813(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/011661(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/151979(WO,A1)
【文献】特表2016-528183(JP,A)
【文献】眞鍋史乃,抗体ー薬物複合体開発の発展と現状,Drug Delivery System,2019年01月25日,34巻,1号,10-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C12Q
C12N
C07K
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III):
【化1】
(式中、
R1は、存在なし、水素、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルアルコキシ基、C1~C6アルキルアミノ基、C1~C6アルキルカルボン酸基、C1~C6アルキルヒドロキシ基、C3~C8シクロアルキル基、ベンジル基、C3~C8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C1~C6アルキル)基、及び-CD3から選択され;
R2は、少なくとも1つの切断可能部分を含むリンカーLであり;
R3は、水素、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルアルコキシ基、C1~C6アルキルアミノ基、C1~C6アルキルカルボン酸基、C1~C6アルキルヒドロキシ基、C3~C8シクロアルキル基、ベンジル基、C3~C8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C1~C6アルキル)基から選択され;
R4、R5、及びR8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C6アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C6アルキル)基、及びC1~C6アルキル基から選択され;
R6及びR7は、各々独立に、水素、-O-R17、-O-C(=O)-R17、-O-C(=O)-NR15R16、C1~C6アルキル基、及び-NR15R16から選択され;
R15及びR16は、各々独立に、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され;
R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択され;
Z”は、
【化2】
から選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R15、R16、及びR17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1~C6アルキル基、-O-(C1~C6アルキル)基、-NR15R16、C3~C8シクロアルキル基、C1~C6アルキルヒドロキシ基、C1~C6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R6及びR7の少なくとも一方は、水素であり;
Z”が
【化3】
であり、R3、R6及びR7が水素であり、R4がメトキシであり、R5がヒドロキシル基である場合、R1は存在なしでもメチルでもない)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
R1は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、C1~C4アルキルヒドロキシ基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択され;
R2は、少なくとも1つの切断可能部分を含むリンカーLであり;
R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択され;
R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択され;
R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基及びC1~C4アルキル基から選択され;
R6は、水素、-O-R17、-O-C(=O)-R17、及びC1~C4アルキル基から選択され;
R7は、水素、-O-R17、-O-C(=O)-R17、-O-C(=O)-NR15R16、C1~C6アルキル基、及び-NR15R16から選択され;
R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択され;
R15及びR16は、各々独立に、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され;
R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択され;
Z”は、
【化4】
から選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R15、R16、及びR17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1~C6アルキル基、-O-(C1~C6アルキル)基、-NR15R16、C3~C8シクロアルキル基、C1~C6アルキルヒドロキシ基、C1~C6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R6及びR7の少なくとも一方は、水素であり;
Z”が
【化5】
であり、R3、R6及びR7が水素であり、R4がメトキシであり、R5がヒドロキシル基である場合、R1は存在なしでもメチルでもない、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
R1は、存在なし、水素、メチル、及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択され;
R2は、少なくとも1つの切断可能部分を含むリンカーLであり;
R3は、水素、及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択され;
R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択され;
R5は、水素、及びヒドロキシル基から選択され;
R6は、水素であり;
R7は、水素であり;
R8は、水素、及びヒドロキシル基から選択され;
Z”は、
【化6】
であり;
R1、R3、及びR4は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1~C6アルキル基、-O-(C1~C6アルキル)基、C3~C8シクロアルキル基、C1~C6アルキルヒドロキシ基、C1~C6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R3が水素であり、R4がメトキシであり、R5がヒドロキシル基である場合、R1は存在なしでもメチルでもない、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
式
【化7】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
式
【化8】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
前記リンカーL中の少なくとも1つの切断可能部分が、
(i)少なくとも1つの切断可能なペプチド部分;ここで、前記切断可能なペプチド部分は、バリン-シトルリン(Val-Cit)、バリン-アラニン(Val-Ala)、グルタミン酸-バリン-シトルリン(Glu-Val-Cit)、又はアラニン-アラニン-アスパラギン(Ala-Ala-Asn)を含んでもよく;又は
(ii)少なくとも1つの切断可能なグルクロニド部分;ここで、前記切断可能なグルクロニド部分は酵素によって切断可能であってもよく、前記切断可能なグルクロニド部分はグルクロニダーゼによって切断可能であってもよく、前記切断可能なグルクロニド部分はβ-グルクロニダーゼによって切断可能であってもよい、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
前記リンカーが、マレイミド(Mal)部分を含み、ここで、前記マレイミド部分はマレイミドカプロイル(MC)を含んでもよく、前記リンカーはMC-Val-Cit又はMC-Val-Alaを含んでもよい、
請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
前記リンカーが少なくとも1つのスペーサー単位を含み、ここで、
(i)前記スペーサー単位はポリエチレングリコール(PEG)部分を含んでもよく;ここで、前記PEG部分は-(PEG)
m-を含んでもよく、mは1~10の整数であり、mは2であってもよい、又は
(ii)前記スペーサー単位はアルキル部分を含み;ここで、前記アルキル部分は-(CH
2)
n-を含んでもよく、nは1~10の整数であり、nは2、5又は6であってもよく、ここで、前記スペーサー単位はマレイミド(Mal)部分に結び付けられていてもよい(Mal-スペーサー単位)、
請求項6又は7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
前記リンカーL中の前記切断可能部分は、
(i)アラニン(Ala)に結び付けられたバリン(Val);ここで、Alaは、直接又は別のスペーサー単位を通じて、式(III)の化合物に共有結合的に結びついている、又は、
(ii)シトルリン(Cit)に結び付けられたバリン(Val);ここで、Citは、直接又は別のスペーサー単位を通じて、式(III)の化合物に共有結合的に結びついている、
を含む、
請求項6~8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
前記リンカーL
の前記切断可能部分が、
前記化合物のスプライシング調節薬部分に直接結び付けられている、又は、スペーサー単位が、前記リンカーL
の前記切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けており、ここで、前記リンカー中の前記切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けるスペーサー単位は、自己犠牲的であってよく、前記リンカー中の切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けるスペーサー単位はp-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)
又はp-アミノベンジル(pAB)を含んでもよく、前記リンカーは
Val-Cit-pAB、Val-Ala-pAB、Val-Cit-pABC又はVal-Ala-pABCを含んでもよい、
請求項6~8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
前記リンカーLが
【化9】
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を治療するための、ここで、前記新生物障害は
(i)血液学的悪性腫瘍;ここで、前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択されてもよく、
又は
(ii)固形腫瘍;ここで、前記固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、子宮癌、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択されてもよい、
請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、スプライシング調節薬又はそのその薬学的に許容可能な塩であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結びつけるリンカーである、
L-Dは、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物を含み;
pは、1~15の整数である)
の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項15】
前記リンカーLが、少なくとも1つの切断可能なペプチド部分を含み、前記切断可能なペプチド部分は、バリン-シトルリン(Val-Cit)、バリン-アラニン(Val-Ala)、グルタミン酸-バリン-シトルリン(Glu-Val-Cit)、又はアラニン-アラニン-アスパラギン(Ala-Ala-Asn)を含むアミノ酸単位を含んでもよく、前記切断可能なペプチド部分は、Val-Cit、又はVal-Ala)を含んでもよい、
請求項14に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項16】
前記リンカーが、マレイミド(Mal)部分を介して前記抗体又は抗原結合断片に結び付いており、ここで、前記マレイミド部分はマレイミドカプロイル(MC)を含んでもよく、前記リンカーはMC-Val-Cit又はMC-Val-Alaを含んでもよい、
請求項15に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項17】
前記リンカーが少なくとも1つのスペーサー単位を含み、ここで、
(i)前記スペーサー単位はポリエチレングリコール(PEG)部分を含んでもよく;ここで、前記PEG部分は-(PEG)
m-を含んでもよく、mは1~10の整数であり、mは2であってもよい、又は
(ii)前記スペーサー単位はアルキル部分を含んでもよく;ここで、前記アルキル部分は-(CH
2)
n-を含んでもよく、nは1~10の整数であり、nは2、5又は6であってもよい、
請求項15又は16に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項18】
前記リンカーが、p-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)
又はp-アミノベンジル(pAB)を含む少なくとも1つのスペーサー単位を含み、ここで、前記pABC
又はpABは、前記リンカー中の前記切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けてもよく、前記リンカーは
Val-Cit-pAB、Val-Ala-pAB、Val-Cit-pABC又はVal-Ala-pABCを含んでもよい、
請求項15~17のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項19】
L-Dが
【化10】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項20】
L-Dが
【化11】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項21】
pが1~10であり、pは2~8であってもよく、pは4~8であってもよく、pは4であってもよく、pは8であってもよい、請求項14~
20のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項22】
前記抗体又は抗原結合断片が
(i)血液学的悪性腫瘍;ここで、前記血液学的悪性腫瘍はB細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫から選択されてもよく、前記血液学的悪性腫瘍は急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択されてもよい;
又は
(ii)固形腫瘍;ここで、前記固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、子宮癌、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択されてもよい、
に由来する新生物細胞を標的化する、
請求項14~
21のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項23】
前記抗体又は抗原結合断片が
(i)HER2発現細胞;ここで、前記抗体又は抗原結合断片が抗HER2抗体又は抗原結合断片であってもよく、前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片がヒトIgG1重鎖定常領域を含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片がヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含んでいてもよく、
(ii)CD138発現細胞;ここで、前記抗体又は抗原結合断片が抗CD138抗体又は抗原結合断片であってもよく、前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片がヒトIgG2a重鎖定常領域を含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片がヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含んでいてもよく、
又は
(iii)EPHA2発現細胞;ここで、前記抗体又は抗原結合断片が抗EPHA2抗体又は抗原結合断片であってもよく、前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片がヒトIgG1重鎖定常領域を含んでいてもよく、前記抗体又は抗原結合断片がヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含んでいてもよい、
を標的化する、請求項14~
22のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項24】
請求項14~
23のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲートの複数のコピーを含む組成物であって、前記組成物中の前記抗体-薬物コンジュゲートの平均p
が3.5
~5.5である
、7~9である
、4である、又
は8である、組成物。
【請求項25】
新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を治療するための
、請求項14~23のいずれか一項に記載の抗体-薬物コンジュゲートを含む組成物又は請求項24に記載の組成物であって
、
ここで、前記新生物障害は
(i)血液学的悪性腫瘍;ここで、前記血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択されてもよく、
又は
(ii)固形腫瘍;ここで、前記固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、子宮癌、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択されてもよい、
である、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2018年6月1日に出願された米国仮特許出願第62/679,672号明細書;2018年6月1日に出願された米国仮特許出願第62/679,631号明細書;及び2018年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/779,324号明細書に対する優先権の利益を主張する。前述の出願は、全て全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、スプライシング調節薬と、ヒト腫瘍学抗原標的に結合する抗体又はその抗原結合断片とを含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)に関する。本開示は、標的抗原を発現し、且つ/又はRNAスプライシングの破壊による治療に適している癌の治療又は診断において有用な方法及び組成物並びにそのような組成物を作製する方法に更に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトゲノムにおけるタンパク質コード遺伝子の大部分は、複数のエクソン(コード領域)がイントロン(非コード領域)により隔てられて構成されている。遺伝子発現の結果、単一の前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)となる。続いてスプライシングと呼ばれる過程によってイントロン配列がプレmRNAから取り除かれると、成熟メッセンジャーRNA(mRNA)となる。選択的スプライシングでは、様々な組み合わせのエクソンが包含されることにより、個別的なタンパク質アイソフォームをコードするmRNAが生じる。
【0004】
RNAスプライシングは、5つの核内低分子RNA(snRNA U1、U2、U4、U5、及びU6)と関連するタンパク質とで構成される動的多タンパク質-RNA複合体であるスプライセオソームによって触媒される。スプライセオソームはプレmRNA上に集合して、イントロンの切り出し及びエクソンのライゲーションを触媒する複数のRNA及びタンパク質相互作用の動的カスケードを構築する(Matera and Wang(2014)Nat Rev Mol Cell Biol.15(2):108-21)。多くの遺伝子に影響を与えるRNAスプライシングの異常制御にヒト疾患を関係付けるエビデンスが増えつつある(Scotti and Swanson(2016)Nat Rev Genet.17(1):19-32)。
【0005】
スプライセオソームは、癌生物学の重要な標的である。現在、幾つかの研究において、癌細胞のスプライシングプロファイル並びにスプライシング因子それ自体の重大な変化が実証されている(Agrawal et al.(2018)Curr Opin Genet Dev.48:67-74)。選択的スプライシングは、エクソン包含/除去、イントロンリテンション、又は潜在的スプライス部位の使用率の違いにつながり得る(Seiler et al.(2018)Cell Rep.23(1):282-296)。まとめると、これらのイベントは、腫瘍発生又は治療抵抗性に寄与し得る機能変化を説明する(Siegfried and Karni(2018)Curr Opin Genet Dev.48:16-21)。
【0006】
ある種の天然産物は、SF3bスプライセオソーム複合体と結合することができる。こうした小分子は、イントロンリテンション及び/又はエクソンスキッピングを増進させることによりスプライシングを調節する(Teng et al.(2017)Nat Commun.8:15522)。得られる転写物のかなりの割合が、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)を惹起する未成熟終止コドンを含む。更に、カノニカルなスプライシングが損なわれるため、カノニカルな転写物が著しく減少し、これが細胞の機能及び生存能力に負の影響を与え得る。このため、スプライシング調節薬は癌の治療に有望な薬物クラスとなっている(Puthenveetil et al.(2016)Bioconjugate Chem.27:1880-8)。
【0007】
癌原遺伝子ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)は、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーに属する膜貫通型チロシンキナーゼ受容体をコードする(King et al.(1985)Science 229:974-6)。HER2の過剰発現は、PI3K-AKT-mTOR経路などの成長因子シグナル伝達経路の構成的活性化を可能にし、従って浸潤性乳癌の約20%を含め、幾つかの癌種で発癌ドライバーとしての役割を果たす(Slamon et al.(1989)Science 244:707-12;Gajria and Chandarlapaty(2011)Expert Rev Anticancer Ther.11:263-75)。HER2増幅が形質転換表現型を媒介することを所与とすれば、及びHER2発現は大部分が悪性細胞に限られているため、HER2は、ある種の癌のターゲティング及び/又は新規癌治療の送達に有望な抗原である(Parakh et al.(2017)Cancer Treat Rev.59:1-21)。標的化した癌療法送達のための更なる抗原としては、限定はされないが、CD138(別名シンデカン-1)及びエフリンA型受容体2(EPHA2)が挙げられる。
【0008】
CD138は、細胞形態の維持及び周囲微小環境との相互作用に必須の細胞表面ヘパラン硫酸プロテオグリカンである(Akl et al.(2015)Oncotarget 6(30):28693-715;Szatmari et al.(2015)Dis Markers 2015:796052)。概して、癌細胞においてCD138発現が失われると、細胞外マトリックスへの細胞接着が減少し、細胞運動性及び侵入が亢進する(Teng et al.(2012)Matrix Biol.31:3-16)。間質CD138発現の増加もフィブロネクチン産生及び細胞外マトリックス組織を変化させる(Yang et al.(2011)Am J Pathol.178:325-35)。加えて、間質線維芽細胞におけるCD138発現の増加は血管新生及び癌の進行に関連する(Maeda et al.(2006)Oncogene 25:1408-12)。CD138発現はB細胞発生中に増加し、その存在は形質細胞の特徴である(Ribatti(2017)Immunol Lett.188:64-7)。CD138発現は、形質細胞の悪性腫瘍である多発性骨髄腫で維持される。従ってCD138は、標的化した幾つかの癌及び他の血液学的悪性腫瘍の治療に魅力的な抗原である(Sherbenou et al.(2015)Blood Rev.29(2):81-91;Wijdenes et al.(1996)Br J Haematol.94(2):318-23)。
【0009】
EPHA2は、幾つかの悪性癌由来細胞株及び進行型の癌で多量に過剰発現する膜貫通糖タンパク質である(Wykosky and Debinski(2008)Mol Cancer Ref.6(12):1795-1806)。例えば、EPHA2は、GBM患者腫瘍の約61%(Wykosky et al.(2008)Clin Cancer Res.14:199-208)、卵巣癌の76%(Thaker et al.(2004)Clin Cancer Res.10:5145-50)、及び前立腺腺癌の85%(Zeng et al.(2003)Am J Pathol.163:2271-6)に強力に過剰発現する。EPHA2タンパク質は、患者腫瘍における割合及び腫瘍内の細胞における割合で見て高度に過剰発現するものであり、リガンド結合時にインターナライズすることのできる細胞膜局在性受容体である(Walker-Daniels et al.(2002)Mol Cancer Res.1:79-87)。更に、EPHA2の発現は、予後不良、転移増加、及び生存低下に関連する。従って、その発現パターン、局在、及び癌患者の転帰における機能的重要性のために、EPHA2は、標的化した新規抗癌療法の送達に魅力的なもう1つの抗原である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
様々な実施形態において、本開示は、一部には、抗新生物細胞性の生物学的活性を有する新規化合物を提供する。本化合物は、哺乳類における腫瘍成長を減速させ、阻害し、且つ/又は逆転させるものであり得、ヒト癌患者の治療に有用であり得る。様々な実施形態において、本開示は、この新規化合物又は他の機能性スプライス阻害薬分子を用いる新規抗体-薬物コンジュゲートを提供する。
【0011】
本開示は、より具体的には、様々な実施形態において、新生物細胞に結合してそれを殺傷する能力を有する抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物に関する。様々な実施形態において、本明細書に開示されるADC化合物は、スプライシング調節薬を完全長抗体又は抗原結合断片に結び付けるリンカーを含む。様々な実施形態において、ADC化合物は、結合後に標的細胞にインターナライズする能力も有する。
【0012】
様々な実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Abは、新生物細胞又は別の腫瘍学関連標的を標的化する抗体又はその抗原結合断片であり;
Dは、スプライシング調節薬であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
によって表され得る。
【0013】
様々な実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)
p (I)
(式中、Abは、新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片であり;
Dは、式(II):
【化1】
のスプライシング調節薬又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、及び-NR
15R
16から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
Zは、
【化2】
から選択され;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され、
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
によって表され得る。
【0014】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は標的細胞にインターナライズする能力を有する。一部の実施形態において、リンカーは式(II)のスプライシング調節薬に共有結合的に結び付き(「L-D」)、L-Dは、式(II-A):
【化3】
(式中、Z’は、
【化4】
から選択され;
全ての他の可変要素は、式(II)について定義されるとおりである)
の構造又はその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0015】
様々な他の実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)
p (I)
(式中、Abは、新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片であり;
Dは、式(IV):
【化5】
のスプライシング調節薬又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
R
1は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、及び-NR
15R
16から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され、
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
によって表され得る。
【0016】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は標的細胞にインターナライズする能力を有する。一部の実施形態において、リンカーはスプライシング調節薬に共有結合的に結び付き(「L-D」)、L-Dは、式(IV-A):
【化6】
の構造又はその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0017】
様々な他の実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)
p (I)
(式中、Abは、新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片であり;
Dは、式(VI):
【化7】
のスプライシング調節薬又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
R
1及びR
9は、各々独立に、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
10は、水素、C
1~C
6アルキル基、-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
1及びR
9が両方とも存在しないことはあり得ず;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
によって表され得る。
【0018】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は標的細胞にインターナライズする能力を有する。一部の実施形態において、リンカーはスプライシング調節薬に共有結合的に結び付き(「L-D」)、L-Dは、式(VI-A):
【化8】
の構造又はその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0019】
様々な他の実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)
p (I)
(式中、Abは、新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片であり;
Dは、式(VIII):
【化9】
のスプライシング調節薬又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;及び
R
10は、3~10員炭素環及び3~10員ヘテロ環から選択され、この各々は、0~3個のR
aで置換され、各R
aは、独立に、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6)アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、-S(=O)
w-(4~7員ヘテロ環)、4~7員炭素環、及び4~7員ヘテロ環から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
3、R
4、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(C
3~C
10ヘテロシクリル基)、-S(=O)
w-(C
3~C
8ヘテロシクリル)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基(ここで、この各々は、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、及びC
1~C
3アルキル基から独立に選択される0、1、又は2個の基で置換される)から独立に選択される0~3個の基で置換され、;及び
wは、0、1、又は2であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
によって表され得る。
【0020】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は標的細胞にインターナライズする能力を有する。一部の実施形態において、リンカーはスプライシング調節薬に共有結合的に結び付き(「L-D」)、L-Dは、式(VIII-A):
【化10】
の構造又はその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0021】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬はSF3b複合体の調節薬を含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はプラジエノライド又はプラジエノライド誘導体を含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はプラジエノライドD又はプラジエノライドD誘導体を含む。一部の実施形態において、プラジエノライドD又は誘導体は、D2、D1、D4、D8、D10、D11(E7107)、D20、D21、D22、D12、又はD25を含む。一部の実施形態において、プラジエノライドD又は誘導体はD2を含む。一部の実施形態において、プラジエノライドD又は誘導体はD1を含む。一部の実施形態において、プラジエノライドD又は誘導体はD4を含む。一部の実施形態において、プラジエノライドD又は誘導体はD12を含む。
【0022】
一部の実施形態において、プラジエノライドD又は誘導体は双性イオン性プラジエノライドD又は誘導体である。一部の実施形態において、双性イオン性プラジエノライドD又は誘導体はD22又はD25を含む。
【0023】
一部の他の実施形態において、スプライシング調節薬はプラジエノライドB又はプラジエノライドB誘導体を含む。一部の実施形態において、プラジエノライドB又は誘導体は、D9、D18、D19、又はD13を含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はアリールプラジエノライドを含む。一部の実施形態において、アリールプラジエノライドは、D15、D14、D16、D17、D26、又はD33を含む。一部の実施形態において、アリールプラジエノライドはD15を含む。一部の実施形態において、アリールプラジエノライドは双性イオン性アリールプラジエノライドである。一部の実施形態において、双性イオン性アリールプラジエノライドはD33を含む。
【0024】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D1:
【化11】
を含む。
【0025】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D2:
【化12】
を含む。
【0026】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D3:
【化13】
を含む。
【0027】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D4:
【化14】
を含む。
【0028】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D4’:
【化15】
を含む。
【0029】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D5:
【化16】
を含む。
【0030】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D6:
【化17】
を含む。
【0031】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D7:
【化18】
を含む。
【0032】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D8:
【化19】
を含む。
【0033】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D9:
【化20】
を含む。
【0034】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D10:
【化21】
を含む。
【0035】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D11:
【化22】
を含む。
【0036】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D12:
【化23】
を含む。
【0037】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D13:
【化24】
を含む。
【0038】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D14:
【化25】
を含む。
【0039】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D15:
【化26】
を含む。
【0040】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D16:
【化27】
を含む。
【0041】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D17:
【化28】
を含む。
【0042】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D18:
【化29】
を含む。
【0043】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D19:
【化30】
を含む。
【0044】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D20:
【化31】
を含む。
【0045】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D21:
【化32】
を含む。
【0046】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D22:
【化33】
を含む。
【0047】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D23:
【化34】
を含む。
【0048】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D24:
【化35】
を含む。
【0049】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D25:
【化36】
を含む。
【0050】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D26:
【化37】
を含む。
【0051】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D27:
【化38】
を含む。
【0052】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D28:
【化39】
を含む。
【0053】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D29:
【化40】
を含む。
【0054】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D30:
【化41】
を含む。
【0055】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D31:
【化42】
を含む。
【0056】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D32:
【化43】
を含む。
【0057】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D33:
【化44】
を含む。
【0058】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D34:
【化45】
を含む。
【0059】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D35:
【化46】
を含む。
【0060】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、表7に掲載される薬物部分の1つを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D1、D2、D3、D4、D4’、D5、D6、D7、D8、D9、D10、D11、D12、D13、D14、D15、D16、D17、D18、D19、D20、D21、D22、D23、D24、D25、D26、D27、D28、D29、D30、D31、D32、D33、D34、及び/又はD35を含む。
【0061】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬並びに治療薬としての単独での又はADCの一部としてのその使用が開示される。一部の実施形態において、本スプライシング調節薬は、D4、D4’、D12、D15、D8、D9、D10、D13、D18、D19、D20、D21、D22、D25、又はD33を含む。
【0062】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬はD4を含み、リンカーはMC-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はD4を含み、リンカーはMC-β-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はD12を含み、リンカーはMC-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はD12を含み、リンカーはMC-β-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はD15を含み、リンカーはMC-Val-Ala-pABを含む。
【0063】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用されるリンカーは細胞の外部で安定しており、そのためADCは細胞外条件に存在するときインタクトなままであるが、細胞、例えば腫瘍又は癌細胞にインターナライズされると切断を受けることができる。一部の実施形態では、スプライシング調節薬は、ADCの抗体又は抗原結合断片によって標的化される抗原を発現する細胞にADCが侵入したとき、抗体又は抗原結合断片から切断される。一部の実施形態において、リンカーは切断可能リンカーである。
【0064】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はリンカーはアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はバリン-シトルリン(「Val-Cit」又は「VC」)を含む。一部の他の実施形態において、アミノ酸単位はバリン-アラニン(「Val-Ala」又は「VA」)を含む。一部の他の実施形態において、アミノ酸単位はグルタミン酸-バリン-シトルリン(「Glu-Val-Cit」又は「EVC」)を含む。一部の他の実施形態において、アミノ酸単位はアラニン-アラニン-アスパラギン(「Ala-Ala-Asn」又は「AAN」)を含む。
【0065】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能なグルクロニド部分を含む。一部の実施形態において、切断可能なグルクロニド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、切断可能なグルクロニド部分はグルクロニダーゼによって切断可能である。一部の実施形態において、切断可能なグルクロニド部分はβ-グルクロニダーゼによって切断可能である。
【0066】
一部の実施形態において、リンカーは少なくとも1つのスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位又はリンカーはポリエチレングリコール(PEG)部分を含む。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、mは1~10の整数である。一部の実施形態において、mは2である。一部の他の実施形態において、スペーサー単位又はリンカーはアルキル部分を含む。一部の実施形態において、アルキル部分は-(CH2)n-を含み、nは1~10の整数である。一部の実施形態において、nは2である。一部の実施形態において、nは5である。一部の実施形態において、nは6である。
【0067】
一部の実施形態において、スペーサー単位はマレイミド(Mal)部分を介して抗体又は抗原結合断片に結び付く(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片上のシステイン残基との反応性を有する。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片上のシステイン残基を介して抗体又は抗原結合断片につなぎ合わされる。
【0068】
一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位と切断可能なペプチド部分とを含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位はVal-Citを含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位はVal-Alaを含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位はGlu-Val-Citを含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位はAla-Ala-Asnを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はアルキル部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はPEG部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片をリンカーの切断可能部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分は切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位は、Val-Cit、Val-Ala、Glu-Val-Cit、又はAla-Ala-Asnを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Citを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Alaを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Glu-Val-Citを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Ala-Ala-Asnを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はアルキル部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はPEG部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。
【0069】
一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分はスプライシング調節薬に直接つなぎ合わされるか、又はスペーサー単位がリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、コンジュゲートの切断は、抗体又は抗原結合断片及びリンカーからスプライシング調節薬を放出させる。一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けるスペーサー単位は自己犠牲性である。
【0070】
一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けるスペーサー単位はp-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)を含む。一部の実施形態において、pABCはリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分は切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位は、Val-Cit、Val-Ala、Glu-Val-Cit、又はAla-Ala-Asnを含む。一部の実施形態において、リンカーはVal-Cit-pABCを含む。一部の他の実施形態において、リンカーはVal-Ala-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはGlu-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはAla-Ala-Asn-pABCを含む。
【0071】
一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けるスペーサー単位はp-アミノベンジル(pAB)を含む。一部の実施形態において、pABはリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分は切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分又はアミノ酸単位は、Val-Cit、Val-Ala、Glu-Val-Cit、又はAla-Ala-Asnを含む。一部の実施形態において、リンカーはVal-Cit-pABを含む。一部の他の実施形態において、リンカーはVal-Ala-pABを含む。一部の他の実施形態において、リンカーはGlu-Val-Cit-pABを含む。一部の他の実施形態において、リンカーはAla-Ala-Asn-pABを含む。
【0072】
様々な実施形態において、リンカーは非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、ADCのスプライシング調節薬は抗体又は抗原結合断片の分解によって放出される。一部の実施形態において、リンカーは、標的細胞によるインターナリゼーション及び標的細胞内での分解を受けても抗体及び薬物の少なくとも1つのアミノ酸と共有結合的に結び付いたままである。
【0073】
一部の実施形態において、リンカーは、少なくとも1つのスペーサー単位を含む非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、スペーサー単位又はリンカーはポリエチレングリコール(PEG)部分を含む。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、mは1~10の整数である。一部の実施形態において、mは2である。一部の他の実施形態において、スペーサー単位又はリンカーはアルキル部分を含む。一部の実施形態において、アルキル部分は-(CH2)n-又は-(CH2)n-O-(CH2)nを含み、nは1~10の整数である。一部の実施形態において、nは2である。一部の実施形態において、nは5である。一部の実施形態において、nは6である。
【0074】
一部の実施形態において、非切断可能リンカーのスペーサー単位はマレイミド(Mal)部分を介して抗体又は抗原結合断片に結び付く(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片上のシステイン残基との反応性を有する。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片上のシステイン残基を介して抗体又は抗原結合断片につなぎ合わされる。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はアルキル部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はPEG部分を含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)と少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMC-(PEG)2を含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMC-(PEG)2と少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMal-Hexを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMal-Hexと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMal-Etを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMal-Etと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMal-Et-O-Etを含む。一部の実施形態において、リンカー又はMal-スペーサー単位はMal-Et-O-Etと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片をスプライシング調節薬に結び付ける。
【0075】
様々な実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Abは、新生物細胞又は別の腫瘍学関連標的、例えば癌抗原などを標的化する抗体又はその抗原結合断片(例えば、本明細書に開示される抗体又は結合ドメイン配列のいずれか)であり;Dは、癌の治療に好適な任意の小分子(例えば、スプライシング調節薬、例えば、本明細書に開示されるスプライシング調節薬のいずれか)であり;Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカー(例えば、本明細書に開示されるリンカーのいずれか)であり;及びpは、1~15の整数である)
によって表され得る。
【0076】
一部の実施形態において、Abは、本明細書に開示される抗体又は結合ドメイン配列のいずれかから選択される。一部の実施形態において、Abは、HER2及び/又はHER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、CD138及び/又はCD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、EPHA2及び/又はEPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、MSLN及び/又はMSLNを発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、FOLH1及び/又はFOLH1を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、CDH6及び/又はCDH6を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、CEACAM5及び/又はCEACAM5を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、CFC1B及び/又はCFC1Bを発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、ENPP3及び/又はENPP3を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、FOLR1及び/又はFOLR1を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、HAVCR1及び/又はHAVCR1を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、KIT及び/又はKITを発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、MET及び/又はMETを発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、MUC16及び/又はMUC16を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、SLC39A6及び/又はSLC39A6を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、SLC44A4及び/又はSLC44A4を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、STEAP1及び/又はSTEAP1を発現する新生物細胞を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。一部の実施形態において、Abは、別の癌抗原を標的化する抗体又は結合ドメイン配列である。
【0077】
一部の実施形態において、Dはスプライシング調節薬である。一部の実施形態において、Dは、本明細書に開示されるスプライシング調節薬のいずれかから選択される。一部の実施形態において、Dは、D2、D1、D4、D8、D10、D11(E7107)、D20、D21、D22、D12、D25、D9、D18、D19、D13、D15、D14、D16、D17、D26、及びD33、又はその任意の誘導体から選択されるスプライシング調節薬である。一部の実施形態において、Dは、D4、D12、D15、D8、D9、D10、D13、D18、D19、D20、D21、D22、D25、及びD33、又はその任意の誘導体から選択されるスプライシング調節薬である。一部の実施形態において、Dは、D2又はその任意の誘導体を含むスプライシング調節薬である。一部の実施形態において、Dは、D1又はその任意の誘導体を含むスプライシング調節薬である。
【0078】
一部の実施形態において、Lは、本明細書に開示されるリンカーのいずれか、又は本明細書に開示されるリンカー成分の任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、Mal-(PEG)2-CO、MC-Val-Ala-pAB、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Cit-pAB、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL10、ADL12、ADL13、ADL14、ADL15、ADL21、ADL22、又はADL23リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL12、ADL14、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、LはADL1リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL2リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL5リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL6リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL7リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL12リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL14リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、LはADL15リンカーであり、任意選択で1つ以上の追加的なスペーサー単位を含み得る。本明細書に記載されるADCの様々な実施形態において、pは1~10である。様々な実施形態において、pは2~8である。様々な実施形態において、pは4~8である。一部の実施形態において、pは4である。一部の実施形態において、pは8である。
【0079】
一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D1である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL6-D1である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D2である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D18である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D19である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL14-D1である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D1である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL15-D1である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D20である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL10-D1である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D2である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL15-D2である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D21である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL6-D9である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D4である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D3である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D12である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D7である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D6である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D5である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL22-D4である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D10である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D11である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D13である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D8である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D22である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D25である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D22である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D15である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D14である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D26である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D16である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D17である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D33である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D28である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D31である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D29である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D35である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D32である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL5-D27である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D35である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL12-D28である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D23である。一部の実施形態において、式(I)のL-DはADL1-D24である。
【0080】
一部の実施形態において、ADCのプールが提供され、それによってランダムなコンジュゲーションが起こり、プール中の平均pは約2~約8である。一部の実施形態において、ADCのプールが提供され、それによってランダムなコンジュゲーションが起こり、プール中の平均pは約4~約8である。一部の実施形態において、ADCのプールが提供され、それによってランダムなコンジュゲーションが起こり、プール中の平均pは約4である。一部の実施形態において、ADCのプールが提供され、それによってランダムなコンジュゲーションが起こり、プール中の平均pは約8である。記載されるADCのいずれかの複数のコピーを含む組成物(例えば、医薬組成物)であって、組成物中のADCの平均薬物負荷量(平均p)が約3.5~約5.5(例えば約4)、又は約7~約9(例えば約8)である組成物が本明細書に提供される。
【0081】
一部の実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片(Ab)は、血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍に由来する新生物細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、血液学的悪性腫瘍に由来する新生物細胞を標的化する。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、リンパ腫、及び骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)から選択される。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、固形腫瘍に由来する新生物細胞を標的化する。一部の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌(例えば、HER2陽性乳癌)、胃癌(例えば、胃腺癌)、前立腺癌、卵巣癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、HER2陽性乳癌、胃腺癌、前立腺癌、及び骨肉腫から選択される。
【0082】
様々な実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片(Ab)は抗HER2抗体又はその抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2に結合し、HER2を発現する新生物細胞を標的化する(即ち、このADCは、HER2を発現する新生物細胞を標的化する)。一部の実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗HER2抗体又はそのインターナリゼーション性抗原結合断片である。
【0083】
一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトフレームワーク配列を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトIgG重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ又はラムダ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合は、配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号20の軽鎖可変ドメインとを含む抗体と同じエピトープへの結合に関して競合し、及び/又はそれに結合する。
【0084】
様々な実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片(Ab)は抗CD138抗体又はその抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138に結合し、CD138を発現する新生物細胞を標的化する(即ち、このADCは、CD138を発現する新生物細胞を標的化する)。一部の実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗CD138抗体又はそのインターナリゼーション性抗原結合断片である。
【0085】
一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はヒトフレームワーク配列を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はマウスIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はマウスIgカッパ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はヒトIgG重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はヒトIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ又はラムダ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合は、配列番号21の重鎖可変ドメイと配列番号22の軽鎖可変ドメインとを含む抗体と同じエピトープへの結合に関して競合し、及び/又はそれに結合する。
【0086】
様々な実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片(Ab)は抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2に結合し、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する(即ち、このADCは、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する)。一部の実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗EPHA2抗体又はそのインターナリゼーション性抗原結合断片である。
【0087】
一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片はヒトフレームワーク配列を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片はヒトIgG重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ又はラムダ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合は、配列番号23の重鎖可変ドメイと配列番号24の軽鎖可変ドメインとを含む抗体と同じエピトープへの結合に関して競合し、及び/又はそれに結合する。
【0088】
また本明細書には、様々な実施形態において、一般式:L-D(式中、L=リンカー部分、及びD=薬物部分(例えば、スプライシング調節薬薬物部分)である)によって定義されるリンカー-薬物を含む化合物も提供される。様々な実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、抗体又は抗原結合断片に結び付き得、且つ/又は本明細書に開示されるADC、例えば式(I)のADCにおける使用に好適である。
【0089】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(III)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(III):
【化47】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、存在しないか、又はリンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
Z”は、
【化48】
から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
2がリンカーである場合、R
6又はR
7のいずれもリンカーでなく、R
6又はR
7がリンカーである場合、R
2は、存在しない)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0090】
様々な他の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(V)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(V):
【化49】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、存在しないか、又はリンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
2がリンカーである場合、R
6又はR
7のいずれもリンカーでなく、R
6又はR
7がリンカーである場合、R
2は、存在しない)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0091】
様々な他の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(VII)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(VII):
【化50】
(式中、
R
1及びR
9は、各々独立に、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、存在しないか、又はリンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
10は、水素、C
1~C
6アルキル基、-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
2がリンカーである場合、R
6又はR
7のいずれもリンカーでなく、R
6又はR
7がリンカーである場合、R
2は、存在せず;
R
1及びR
9が両方とも存在しないことはあり得ない)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0092】
様々な他の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(IX)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(IX):
【化51】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、リンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
10は、3~10員炭素環及び3~10員ヘテロ環から選択され、この各々は、0~3個のR
aで置換され、各R
aは、独立に、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6)アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、-S(=O)
w-(4~7員ヘテロ環)、4~7員炭素環、及び4~7員ヘテロ環から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(C
3~C
10ヘテロシクリル)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基(ここで、この各々は、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、及びC
1~C
3アルキル基から独立に選択される0、1、又は2個の基で置換される)から独立に選択される0~3個の基で置換され;及び
wは、0、1、又は2である)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0093】
また、様々な実施形態において、本明細書には、例えば、新生物障害、例えば癌の治療における、記載されるADC化合物及び組成物についての治療的使用も提供される。特定の態様において、本開示は、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、又はSTEAP1など、ADCの抗体又は抗原結合断片によって標的化される抗原を発現する新生物障害、例えば癌を治療する方法を提供する。
【0094】
特定の態様において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、記載されるADC又は組成物のいずれか1つの治療有効量及び/又は治療有効レジメンを対象に投与することにより治療する方法を提供する。一部の実施形態において、新生物障害は血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍である。一部の実施形態において、新生物障害は血液学的悪性腫瘍である。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、新生物障害は固形腫瘍である。一部の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌(例えば、HER2陽性乳癌)、胃癌(例えば、胃腺癌)、前立腺癌、卵巣癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、HER2陽性乳癌、胃腺癌、前立腺癌、及び骨肉腫から選択される。
【0095】
一部の実施形態において、本抗体-薬物コンジュゲート又は組成物による治療は、標的抗原を発現しないが、標的抗原を発現する新生物細胞に隣接する新生物細胞のバイスタンダー殺傷を誘導する。一部の実施形態において、対象は、標的抗原を発現する1つ以上の新生物細胞を有する。
【0096】
一部の実施形態において、標的抗原はHER2である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、HER2を発現する乳癌、卵巣癌、胃癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、骨肉腫、又は唾液管癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗HER2抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0097】
一部の実施形態において、標的抗原はCD138である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CD138を発現する多発性骨髄腫に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗CD138抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0098】
一部の実施形態において、標的抗原はEPHA2である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、EPHA2を発現する乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、黒色腫、結腸癌、又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗EPHA2抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0099】
一部の実施形態において、標的抗原はMSLNである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、MSLNを発現する卵巣癌、子宮頸癌、膵癌、又は肺癌(例えば、肺腺癌)に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗MSLN抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0100】
一部の実施形態において、標的抗原はFOLH1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、FOLH1を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗FOLH1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0101】
一部の実施形態において、標的抗原はCDH6である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CDH6を発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗CDH6抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0102】
一部の実施形態において、標的抗原はCEACAM5である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CEACAM5を発現する結腸直腸癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗CEACAM5抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0103】
一部の実施形態において、標的抗原はCFC1Bである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CFC1Bを発現する膵癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗CFC1B抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0104】
一部の実施形態において、標的抗原はENPP3である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、ENPP3を発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗ENPP3抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0105】
一部の実施形態において、標的抗原はFOLR1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、FOLR1を発現する卵巣癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗FOLR1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0106】
一部の実施形態において、標的抗原はHAVCR1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、HAVCR1を発現する腎癌又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗HAVCR1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0107】
一部の実施形態において、標的抗原はKITである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、KITを発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗KIT抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0108】
一部の実施形態において、標的抗原はMETである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、METを発現する腎癌又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗MET抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0109】
一部の実施形態において、標的抗原はMUC16である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、MUC16を発現する卵巣癌、子宮頸癌、又は乳癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗MUC16抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0110】
一部の実施形態において、標的抗原はSLC39A6である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、SLC39A6を発現する乳癌又は前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗SLC39A6抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0111】
一部の実施形態において、標的抗原はSLC44A4である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、SLC44A4を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗SLC44A4抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0112】
一部の実施形態において、標的抗原はSTEAP1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、STEAP1を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、対象は、(a)単独投与時の抗STEAP1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不応性又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のスプライシング調節薬による治療に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0113】
特定の他の態様において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象における腫瘍の成長を、記載されるADC又は組成物のいずれか1つの治療有効量及び/又は治療有効レジメンを対象に投与することにより低減又は阻害する方法を提供する。
【0114】
一部の実施形態において、本抗体-薬物コンジュゲート又は組成物による治療は、標的抗原を発現しないが、標的抗原を発現する新生物腫瘍細胞に隣接する新生物腫瘍細胞のバイスタンダー殺傷を誘導する。一部の実施形態において、腫瘍は、標的抗原を発現する1つ以上の新生物細胞を含む。
【0115】
一部の実施形態において、標的抗原はHER2である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、HER2を発現する乳癌、卵巣癌、胃癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、骨肉腫、又は唾液管癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗HER2抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0116】
一部の実施形態において、標的抗原はCD138である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CD138を発現する多発性骨髄腫に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗CD138抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0117】
一部の実施形態において、標的抗原はEPHA2である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、EPHA2を発現する乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、黒色腫、結腸癌、又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗EPHA2抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0118】
一部の実施形態において、標的抗原はMSLNである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、MSLNを発現する卵巣癌、子宮頸癌、膵癌、又は肺癌(例えば、肺腺癌)に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗MSLN抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0119】
一部の実施形態において、標的抗原はFOLH1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、FOLH1を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗FOLH1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0120】
一部の実施形態において、標的抗原はCDH6である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CDH6を発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗CDH6抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0121】
一部の実施形態において、標的抗原はCEACAM5である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CEACAM5を発現する結腸直腸癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗CEACAM5抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0122】
一部の実施形態において、標的抗原はCFC1Bである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CFC1Bを発現する膵癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗CFC1B抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0123】
一部の実施形態において、標的抗原はENPP3である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、ENPP3を発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗ENPP3抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0124】
一部の実施形態において、標的抗原はFOLR1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、FOLR1を発現する卵巣癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗FOLR1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0125】
一部の実施形態において、標的抗原はHAVCR1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、HAVCR1を発現する腎癌又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗HAVCR1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0126】
一部の実施形態において、標的抗原はKITである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、KITを発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗KIT抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0127】
一部の実施形態において、標的抗原はMETである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、METを発現する腎癌又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗MET抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0128】
一部の実施形態において、標的抗原はMUC16である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、MUC16を発現する卵巣癌、子宮頸癌、又は乳癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗MUC16抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0129】
一部の実施形態において、標的抗原はSLC39A6である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、SLC39A6を発現する乳癌又は前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗SLC39A6抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0130】
一部の実施形態において、標的抗原はSLC44A4である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、SLC44A4を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗SLC44A4抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0131】
一部の実施形態において、標的抗原はSTEAP1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、STEAP1を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、腫瘍は、(a)単独投与時の抗STEAP1抗体及び/又は(b)単独投与時のスプライシング調節薬による治療に抵抗性又は難治性である。
【0132】
更に他の態様において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象に、記載されるADC又は組成物のいずれか1つによる治療が奏効するかどうかを、対象からの生体試料を提供することと、生体試料をADC又は組成物に接触させることとによって決定する方法を提供する。一部の実施形態において、生体試料は腫瘍試料である。一部の実施形態において、腫瘍試料は腫瘍生検又は血液試料である。一部の実施形態において、血液試料は、血液、血液分画物、又は血液若しくは血液分画物から得られる細胞から選択される。一部の実施形態において、対象は、標的抗原を発現する1つ以上の新生物細胞を有する。一部の実施形態において、標的抗原はHER2である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、HER2を発現する乳癌、卵巣癌、胃癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、骨肉腫、又は唾液管癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はCD138である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CD138を発現する多発性骨髄腫に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はEPHA2である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、EPHA2を発現する乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、黒色腫、結腸癌、又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はMSLNである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、MSLNを発現する卵巣癌、子宮頸癌、膵癌、又は肺癌(例えば、肺腺癌)に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はFOLH1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、FOLH1を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はCDH6である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CDH6を発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はCEACAM5である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CEACAM5を発現する結腸直腸癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はCFC1Bである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、CFC1Bを発現する膵癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はENPP3である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、ENPP3を発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はFOLR1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、FOLR1を発現する卵巣癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はHAVCR1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、HAVCR1を発現する腎癌又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はKITである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、KITを発現する腎癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はMETである。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、METを発現する腎癌又は食道癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はMUC16である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、MUC16を発現する卵巣癌、子宮頸癌、又は乳癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はSLC39A6である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、SLC39A6を発現する乳癌又は前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はSLC44A4である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、SLC44A4を発現する前立腺癌に由来する。一部の実施形態において、標的抗原はSTEAP1である。一部の実施形態において、1つ以上の新生物細胞は、STEAP1を発現する前立腺癌に由来する。
【0133】
更に、本明細書には、様々な実施形態において、ADCと、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。記載されるADC化合物及び組成物の作製方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【
図1】競合的結合アッセイにおける例示的ペイロード化合物の用量反応を示す。野生型flagタグ付加SF3B1を過剰発現する293F細胞からの核抽出物を抗SF3B1抗体及びシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズカクテルで免疫沈降させた。結合反応物には抗体-ビーズ混合物及び漸増濃度の化合物が含まれ、続いて
3H標識プラジエノライドB(PB)プローブと競合させた。y軸は、DMSO対照(0%)と比べた特異的結合のパーセント変化率(%反応)を表す。データは平均値±標準偏差(SD)として表される。
【
図2】インビトロスプライシングアッセイにおける例示的ペイロード化合物によるスプライシングの調節を示す。HeLa S3細胞からの核抽出物をAd2.2プレmRNA及び漸増濃度の化合物とインキュベートし、続いてスプライシング調節をRT-PCRによって定量化した。Ad2.2配列は、枝分かれ部位配列の周りに修飾を有するアデノウイルスAd2プレmRNA基質に由来する。y軸は、DMSO対照(0%)と比べたスプライシングのパーセント変化率(%反応)を表す。データは平均値±SDとして表される。
【
図3】HER2増幅乳癌細胞(HCC1954)における例示的ペイロード化合物の生存能力用量反応を示す。細胞を化合物と144時間(6日間)インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)試薬で生存能力を読み取った。データは平均値±SDとして表される。
【
図4】細胞結合アッセイの結果を示す。例示的HER2-ADCによるJIMT1細胞への結合をフローサイトメトリーによって判定した。平均蛍光強度値を測定してコンジュゲート、続いてPE標識二次の結合を決定した。データは平均値±SDとして表される。
【
図5A】
図5Aは、HER2増幅乳癌細胞(HCC1954)における例示的HER2-ADCの生存能力用量反応を示す。
【
図5B】
図5Bは、HER2増幅胃癌細胞(N87)における例示的HER2-ADCの生存能力用量反応を示す。
【
図5C】細胞をコンジュゲートと144時間(6日間)インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)試薬で生存能力を読み取った。データは平均値±SDとして表される。
【
図6】非HER2発現乳癌細胞(MCF7)における例示的HER2-ADCの生存能力用量反応を示す。細胞をコンジュゲートと144時間(6日間)インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)試薬で生存能力を読み取った。データは平均値±SDとして表される。
【
図7】HER2増幅乳癌細胞(HCC1954)におけるSLC25A19スプライシングアッセイの結果を示す。細胞をコンジュゲートと24時間インキュベートし、特異的Taqmanプライマー-プローブセットを用いたリアルタイムqPCR反応でSLC25A19転写物のスプライシングを測定した。y軸は、DMSO対照(0%)と比べたパーセント(%)反応を表す。データは平均値±SDとして表される。
【
図8】バイスタンダー殺傷アッセイの結果を示す。単独でプレーティングしたか、又は共培養で144時間(6日間)一緒にインキュベートしたかのいずれかの、HER2を過剰発現するH1568細胞(標的陽性)又はルシフェラーゼをタグ付加したH1568細胞(標的陰性)を例示的HER2-ADCで処理した。プレートをOneGlo(登録商標)試薬で読み取った。y軸は、PBS対照(100%)と比べたパーセント(%)反応を表す。データは平均値±SDとして表される。
【
図9】例示的HER2-ADC又は対応する用量対応ペイロードの単回静脈内投与で治療したHCC1954移植CB17-SCIDマウスの各群についての腫瘍成長動態を示す(各群6~10匹の動物)。腫瘍容積は治療後週2回測定した。データは平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表される。
【
図10】CD138を発現する多発性骨髄腫細胞株における例示的CD138-ADCの生存能力用量反応を示す。MOLP8細胞をコンジュゲートと共に144時間(6日間)インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)試薬で生存能力を読み取った。データは平均値±SDとして表される。
【
図11】EPHA2を発現する前立腺癌細胞株における例示的EPH2A-ADCの生存能力用量反応を示す。PC3細胞をコンジュゲートと共に144時間(6日間)インキュベートし、CellTiter-Glo(登録商標)試薬で生存能力を読み取った。データは平均値±SDとして表される。
【
図12A】例示的抗HER2 ADC、AB185-ADL1-D1についてのインビトロ安定性アッセイの結果を示す。y軸は全抗体(
図12A)及びコンジュゲートした(インタクトな)ペイロード(
図12B)の濃度を表す;x軸は、37℃における時間単位で測定したときの時間を表す。
【
図12B】例示的抗HER2 ADC、AB185-ADL1-D1についてのインビトロ安定性アッセイの結果を示す。y軸は全抗体(
図12A)及びコンジュゲートした(インタクトな)ペイロード(
図12B)の濃度を表す;x軸は、37℃における時間単位で測定したときの時間を表す。
【
図13】CD17-SCID N87腫瘍担持マウスにおける単回静脈内投与後の、例示的抗HER2 ADC、AB185-ADL1-D1の血漿濃度を示す。
【
図14】例示的RNAシーケンシング及びタンパク質リガンドーム実験の概略図を示す。
【
図15】例示的T細胞プライミング実験の概略図を示す。
【
図16】FACS分析の結果を示す。末梢血単核球(PBMC)から単球を分離し、サイトカインカクテル中で培養することにより樹状細胞(DC)への分化を誘導した。FACSを実施して、単球からのDCの成熟を確認した。
【
図17A】ELISpotアッセイの結果を示す。
図17Aは、ネオ抗原1によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Bは、ネオ抗原1 ELISpotプレート(
図17A)におけるIFNγスポットの定量化(スポット数)を示す。
図17Cは、ネオ抗原3によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Dは、ネオ抗原3 ELISpotプレート(
図17C)におけるIFNγスポットの定量化(変化倍数)を示す。
【
図17B】ELISpotアッセイの結果を示す。
図17Aは、ネオ抗原1によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Bは、ネオ抗原1 ELISpotプレート(
図17A)におけるIFNγスポットの定量化(スポット数)を示す。
図17Cは、ネオ抗原3によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Dは、ネオ抗原3 ELISpotプレート(
図17C)におけるIFNγスポットの定量化(変化倍数)を示す。
【
図17C】ELISpotアッセイの結果を示す。
図17Aは、ネオ抗原1によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Bは、ネオ抗原1 ELISpotプレート(
図17A)におけるIFNγスポットの定量化(スポット数)を示す。
図17Cは、ネオ抗原3によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Dは、ネオ抗原3 ELISpotプレート(
図17C)におけるIFNγスポットの定量化(変化倍数)を示す。
【
図17D】ELISpotアッセイの結果を示す。
図17Aは、ネオ抗原1によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Bは、ネオ抗原1 ELISpotプレート(
図17A)におけるIFNγスポットの定量化(スポット数)を示す。
図17Cは、ネオ抗原3によるCD8+ T細胞活性化のプライミングを指示するELISpotプレートを示す。CD8+ T細胞の刺激はIFNγの分泌によってモニタした。
図17Dは、ネオ抗原3 ELISpotプレート(
図17C)におけるIFNγスポットの定量化(変化倍数)を示す。
【
図18】HCC1954乳癌細胞における例示的抗HER2 ADCについてスプライシング効力(IC50 qPCR)を細胞効力(GI50 CTG)と比較するプロットを示す。値の表示は細胞致死率に応じて大きさを変え、選択的スプライシング反応の深さに応じて網掛けを付す。
【
図19】N87胃癌細胞における例示的抗HER2 ADCについてスプライシング効力(IC50 qPCR)を細胞効力(GI50 CTG)と比較するプロットを示す。値の表示は細胞致死率に応じて大きさを変え、選択的スプライシング反応の深さに応じて網掛けを付す。
【
図20】例示的抗HER2 ADCの(HCC1954乳癌細胞における)効力及び致死率を対応するペイロードの安定性及び透過性と比較するプロットを示す。値の表示はペイロード安定性に応じて大きさを変え、ペイロード透過性に応じて網掛けを付す。
【
図21】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスの各群(各群N=8)についての腫瘍成長動態を示す。データは平均値±平均値の標準誤差(SEM)(mm
3)として表される。
【
図22】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスの各群(各群N=8)についての体重変化を示す。データは平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表される(%)。
【
図23】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスの各群(各群N=8)についての腫瘍成長動態(左)及び体重変化(右)を示す。データは平均値±SEM(腫瘍容積、mm
3)又は平均値±SEM(体重、%)として表される。
【
図24A】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスにおけるmRNAジャンクションの薬力学(PD)調節を示す。FBXW5(成熟mRNA転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24A及び
図24Cに示す。TAOK1(ネオジャンクション転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24B及び
図24Dに示す。動物(各群N=4)は、48時間(
図24A及び
図24B)又は指示される時間(
図24C及び
図24D)のいずれかの時点で回収した。RNA抽出及びRT-qPCRのため腫瘍を摘出した。
【
図24B】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスにおけるmRNAジャンクションの薬力学(PD)調節を示す。FBXW5(成熟mRNA転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24A及び
図24Cに示す。TAOK1(ネオジャンクション転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24B及び
図24Dに示す。動物(各群N=4)は、48時間(
図24A及び
図24B)又は指示される時間(
図24C及び
図24D)のいずれかの時点で回収した。RNA抽出及びRT-qPCRのため腫瘍を摘出した。
【
図24C】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスにおけるmRNAジャンクションの薬力学(PD)調節を示す。FBXW5(成熟mRNA転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24A及び
図24Cに示す。TAOK1(ネオジャンクション転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24B及び
図24Dに示す。動物(各群N=4)は、48時間(
図24A及び
図24B)又は指示される時間(
図24C及び
図24D)のいずれかの時点で回収した。RNA抽出及びRT-qPCRのため腫瘍を摘出した。
【
図24D】媒体又は10mg/kgトラスツズマブ、TDM1、又は例示的HER2-ADC Q7Dで2サイクルにわたって静脈内治療したN87移植CB17-SCIDマウスにおけるmRNAジャンクションの薬力学(PD)調節を示す。FBXW5(成熟mRNA転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24A及び
図24Cに示す。TAOK1(ネオジャンクション転写物)のRT-qPCRをモニタした。これは
図24B及び
図24Dに示す。動物(各群N=4)は、48時間(
図24A及び
図24B)又は指示される時間(
図24C及び
図24D)のいずれかの時点で回収した。RNA抽出及びRT-qPCRのため腫瘍を摘出した。
【
図26】スプライシング調節薬を使用したADCの調製についての例示的バイオコンジュゲーションスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0135】
開示される組成物及び方法は、本開示の一部を成す添付の図に関連して解釈される以下の詳細な説明を参照することにより更に容易に理解し得る。
【0136】
本文書全体を通じて、記載は組成物及びその組成物の使用方法に言及している。本開示が、ある組成物に関連する特徴又は実施形態を記載又は特許請求する場合、かかる特徴又は実施形態は、その組成物の使用方法にも等しく適用可能である。同様に、本開示が、ある組成物の使用方法に関連する特徴又は実施形態を記載又は特許請求する場合、かかる特徴又は実施形態は、その組成物にも等しく適用可能である。
【0137】
値の範囲が表されるとき、それには、その範囲内にある任意の特定の値を用いる実施形態が含まれる。更に、範囲で記述される値への言及には、その範囲内にある個々の値が含まれる。全ての範囲はその端点を含み、且つ組み合わせ可能である。先行語「約」の使用によって値が近似値として表されるとき、その特定の値が別の実施形態を成すことは理解されるであろう。特定の数値への言及には、文脈上特に明確に指示されない限り、少なくともその特定の値が含まれる。「又は」の使用は、それが使用されている具体的な文脈上特に指示されない限り、「及び/又は」を意味するものとする。本明細書に引用する全ての参考文献は、あらゆる目的で参照によって援用される。参考文献と本明細書が矛盾する場合、本明細書が優先するものとする。
【0138】
明確にするため、本明細書に別々の実施形態に関連して記載される本開示の組成物及び方法の特定の特徴がまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解されるべきである。逆に、簡略にするため、単一の実施形態に関連して記載される本開示の組成物及び方法の様々な特徴がまた、別々に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。
【0139】
定義
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、記載の態様に関して様々な用語が用いられる。かかる用語には、特に指示されない限り、当技術分野におけるその通常の意味が与えられるべきである。他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と整合するように解釈されるべきである。
【0140】
本明細書で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形を含む。
【0141】
数的な値及び範囲に関連して、用語「約」又は「近似的に」は、当業者には本明細書に含まれる教示から明らかなとおり、反応混合物中に所望の量の核酸又はポリペプチドを有するなど、実施形態が意図したとおりに動作し得るような、記載される値若しくは範囲を近似する又はそれに近い値若しくは範囲を指す。一部の実施形態において、約とは、ある数的な量の±10%を意味する。
【0142】
用語「抗体-薬物コンジュゲート」、「抗体コンジュゲート」、「コンジュゲート」、「イムノコンジュゲート」、及び「ADC」は同義的に使用され、一般式:Ab-(L-D)p(式I)(式中、Ab=抗体又は抗原結合断片、L=リンカー部分、D=薬物部分(例えば、スプライシング調節薬薬物部分)、及びp=各抗体又は抗原結合断片当たりの薬物部分の数である)によって定義される、1つ以上の抗体又は抗原結合断片に連結した1つ以上の治療用化合物(例えば、スプライシング調節薬)を指す。スプライシング調節薬薬物部分を含むADCは、本明細書では更に具体的に「スプライシング調節薬負荷抗体(splicing modulator-loaded antibody)」又は「SMLA」とも称され得る。スプライシング調節薬薬物部分を含むADCにおいて、「p」は、抗体又は抗原結合断片に連結したスプライシング調節薬化合物の数を指す。一部の実施形態において、リンカーLは、抗体又は抗原結合断片と治療用化合物との間に切断可能部分を含み得る。一部の実施形態において、リンカーLは、抗体又は抗原結合断片及び治療用化合物のいずれか一方又は両方に1つ又は複数のスペーサー単位によって結び付くことのできる切断可能部分を含み得る。一部の実施形態において、スペーサー単位が切断可能部分を治療用化合物に結び付けるとき、それは自己犠牲性スペーサー単位である。他の実施形態において、リンカーLは切断可能部分を含まず、非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、リンカーLは、抗体又は抗原結合断片に、及び治療用化合物に直接結び付くことのできる少なくとも1つのスペーサー単位を含み得る。例示的な切断可能及び非切断可能リンカーについては、本明細書に記載及び例示される。
【0143】
用語「抗体」は、最も広義には、免疫グロブリン分子の可変領域内にある少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、又は前述の組み合わせなどの標的を認識し、それに特異的に結合する免疫グロブリン分子を指して使用される。抗体の重鎖は重鎖可変ドメイン(VH)と重鎖定常領域(CH)とで構成される。軽鎖は軽鎖可変ドメイン(VL)と軽鎖定常ドメイン(CL)とで構成される。本願の目的上、成熟重鎖及び軽鎖可変ドメインは、各々が、3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2及びCDR3)を4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)内に、N末端からC末端にFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4に並んで含む。「抗体」は、天然に存在するものであるか、又は従来のハイブリドーマ技術によって作製されるモノクローナル抗体など、人工的であり得る。用語「抗体」には、完全長モノクローナル抗体及び完全長ポリクローナル抗体並びにFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、及び単鎖抗体などの抗体断片が含まれる。抗体は、5つの主要な免疫グロブリンクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、又はそのサブクラス(例えば、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のいずれか1つであり得る。この用語は更に、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及び所望の生物学的活性(例えば、標的抗原に結合する、標的抗原発現細胞内にインターナライズする)を示す限りにおいて、抗原認識部位を含有する任意の修飾免疫グロブリン分子を包含する。
【0144】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用されるとき、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、その集団を占める個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然に存在する突然変異を除いては同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原エピトープを対象とする。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体製剤は、典型的には、異なるエピトープを対象とする(又はそれに特異的な)多数の抗体を含む。修飾語句「モノクローナル」は、その抗体が実質的に均質な抗体集団から得られているという性格を指示するものであり、その抗体が任意の特定の方法によって作製されている必要があると解釈されてはならない。例えば、本開示において使用されることになるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法によって作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)。モノクローナル抗体は、例えば、Clackson et al.(1991)Nature 352:624-8、及びMarks et al.(1991)J Mol Biol.222:581-97に記載される技法を用いてもファージ抗体ライブラリから単離され得る。
【0145】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体は、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来する又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である一方、1つ又は複数の鎖の残りの部分が、別の種に由来する又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体並びに標的抗原に特異的に結合し及び/又は所望の生物学的活性を呈する限りにおいて、かかる抗体の断片を含む。
【0146】
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用されるとき、ヒトによって産生される抗体又はヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列を有する抗体を指す。
【0147】
用語「キメラ抗体」は、本明細書で使用されるとき、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の種に由来する抗体を指す。一部の例では、重鎖及び軽鎖の両方の可変領域が、所望の特異性、親和性、及び活性を有する1つの種に由来する抗体の可変領域に対応する一方、定常領域が、別の種(例えば、ヒト)に由来する抗体と相同であり、それにより後者の種における免疫応答が最小限に抑えられる。
【0148】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えば、マウス)抗体並びにヒト抗体からの配列を含む抗体の形態を指す。かかる抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。概して、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、ここでは超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(FR)領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は任意選択でまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含むことになる。ヒト化抗体は、抗体特異性、親和性、及び/又は活性の精緻化及び最適化のため、Fvフレームワーク領域及び/又は置き換えられた非ヒト残基内のいずれかにある残基の置換によって更に修飾され得る。
【0149】
抗体の「抗原結合断片」又は「抗原結合部分」という用語は、本明細書で使用されるとき、抗原(例えば、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、STEAP1)に特異的に結合する能力を保持している抗体又はタンパク質の1つ以上の断片を指す。抗原結合断片は、抗原発現細胞にインターナライズする能力も保持し得る。一部の実施形態において、抗原結合断片は、免疫エフェクター活性も保持する。完全長抗体の断片が完全長抗体の抗原結合機能を果たし得ることが示されている。抗体の「抗原結合断片」又は「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含される結合断片の例としては、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;(v)単一の可変ドメイン、例えばVHドメインを含むdAb断片(例えば、Ward et al.(1989)Nature 341:544-6;及び国際公開第1990/005144号パンフレットを参照されたい);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。更に、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは別個の遺伝子によってコードされるが、組換え方法を用いると、これらを合成リンカーによってつなぎ合わせることができ、VL及びVH領域が対になって一価分子を形成する単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として知られる)として作製することが可能となる。例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-6;及びHuston et al.(1988)Proc Natl Acad Sci.USA 85:5879-83を参照されたい。かかる単鎖抗体も抗体の「抗原結合断片」又は「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含されることが意図され、当技術分野では、結合時に細胞内にインターナライズすることのできる例示的なタイプの結合断片として公知である(例えば、Zhu et al.(2010)9:2131-41;He et al.(2010)J Nucl Med.51:427-32;及びFitting et al.(2015)MAbs 7:390-402を参照されたい)。特定の実施形態において、scFv分子は融合タンパク質に組み込まれ得る。ダイアボディなど、他の形態の単鎖抗体も包含される。ダイアボディは、VH及びVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現する二価の二重特異性抗体であるが、同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を許容しないほど短いリンカーを使用し、従ってそれらのドメインが強制的に別の鎖の相補ドメインと対合して2つの抗原結合部位を作り出す(例えば、Holliger et al.(1993)Proc Natl Acad Sci.USA 90:6444-8;及びPoljak et al.(1994)Structure 2:1121-3を参照されたい)。抗原結合断片は、当業者に公知の従来技法を用いて得られ、そうした結合断片は、インタクトな抗体と同じ方法で有用性(例えば、結合親和性、インターナリゼーション)に関してスクリーニングされる。抗原結合断片は、インタクトなタンパク質が例えばプロテアーゼ又は化学的切断によって切断されることにより調製され得る。
【0150】
「インターナリゼーション性」は、抗体又は抗原結合断片に関連して本明細書で使用されるとき、細胞への結合時に細胞の脂質二重層膜を通って細胞の内部コンパートメント、好ましくは分解性コンパートメントの中に取り込まれる(即ち、「インターナライズされる」)能力を有する抗体又は抗原結合断片を指す。例えば、インターナリゼーション性抗HER2抗体は、細胞膜上のHER2への結合後に細胞内に取り込まれる能力を有するものである。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗体又は抗原結合断片は細胞表面抗原(例えば、HER2)を標的化し、且つインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である(即ち、このADCは抗原結合後に細胞膜を通って移行する)。一部の実施形態において、インターナリゼーション性抗体又は抗原結合断片は細胞表面上の受容体に結合する。細胞膜上の受容体を標的化するインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片は、受容体介在性エンドサイトーシスを誘導し得る。一部の実施形態において、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片は、受容体介在性エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれる。
【0151】
「非インターナリゼーション性」は、抗体又は抗原結合断片に関連して本明細書で使用されるとき、細胞への結合時に細胞表面に留まる抗体又は抗原結合断片を指す。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗体又は抗原結合断片は細胞表面抗原を標的化し、且つ非インターナリゼーション性抗体又は非インターナリゼーション性抗原結合断片である(即ち、このADCは抗原結合後に細胞表面に留まり、細胞膜を通って移行しない)。一部の実施形態において、非インターナリゼーション性抗体又は抗原結合断片は非インターナリゼーション性受容体又は他の細胞表面抗原に結合する。例示的非インターナリゼーション性細胞表面抗原としては、限定はされないが、CA125及びCEAが挙げられ、非インターナリゼーション性抗原標的に結合する抗体についても当技術分野において公知である(例えば、Bast et al.(1981)J Clin Invest.68(5):1331-7;Scholler and Urban(2007)Biomark Med.1(4):513-23;及びBoudousq et al.(2013)PLoS One 8(7):e69613を参照されたい)。
【0152】
用語「ヒト上皮成長因子受容体2」、「HER2」、又は「HER2/NEU」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトHER2を指す。この用語は、完全長HER2(例えば、UniProt参照配列:P04626;配列番号31)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトHER2を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトHER2の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトHER2の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。HER2はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0153】
用語「抗HER2抗体」又は「HER2に結合する抗体」は、HER2に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びHER2に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。米国特許第5,821,337号明細書は、例示的抗HER2抗体配列を含め、例示的HER2結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗HER2抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。トラスツズマブ(米国特許第5,821,337号明細書;Molina et al.(2001)Cancer Res.61(12):4744-9)が、例示的抗ヒトHER2抗体である。
【0154】
用語「シンデカン-1」、「SDC1」、又は「CD138」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトCD138を指す。この用語は、完全長CD138(例えば、UniProt参照配列:P18827;配列番号32)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトCD138を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトCD138の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトCD138の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。CD138はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0155】
用語「抗CD138抗体」又は「CD138に結合する抗体」は、CD138に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びCD138に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗CD138抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。B-B4(Tassone et al.(2004)Blood 104:3688-96)が、例示的抗ヒトCD138抗体である。
【0156】
用語「エフリンA型受容体2」又は「EPHA2」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトEPHA2を指す。この用語は、完全長EPHA2(例えば、UniProt参照配列:P29317;配列番号33)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトEPHA2を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトEPHA2の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトEPHA2の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。EPHA2はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0157】
用語「抗EPHA2抗体」又は「EPHA2に結合する抗体」は、EPHA2に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びEPHA2に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2007/030642号パンフレットは、例示的抗EPHA2抗体配列を含め、例示的EPHA2結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗EPHA2抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。1C1(国際公開第2007/030642号パンフレット;Jackson et al.(2008)Cancer Res.68(22):9367-74)が、例示的抗ヒトEPHA2抗体である。
【0158】
用語「メソテリン」又は「MSLN」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトMSLNを指す。この用語は、完全長MSLN(例えば、UniProt参照配列:Q13421;配列番号43)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトMSLNを包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトMSLNの1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトMSLNの機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。MSLNはヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0159】
用語「抗MSLN抗体」又は「MSLNに結合する抗体」は、MSLNに結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びMSLNに結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2011/074621号パンフレットは、例示的抗MSLN抗体配列を含め、例示的MSLN結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗MSLN抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。11-25、IC14-30、IC7-4、IC17-35及び2-9が、例示的抗ヒトMSLN抗体である。
【0160】
用語「グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ2」又は「FOLH1」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトFOLH1を指す。この用語は、完全長FOLH1(例えば、UniProt参照配列:Q04609;配列番号44)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトFOLH1を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトFOLH1の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトFOLH1の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。FOLH1はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0161】
用語「抗FOLH1抗体」又は「FOLH1に結合する抗体」は、FOLH1に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びFOLH1に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2019/012260号パンフレット及び国際公開第2017/212250号パンフレットは、例示的抗FOLH1抗体配列を含め、例示的FOLH1結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗FOLH1抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。J591(脱免疫化)が、例示的抗ヒトFOLH1抗体である。
【0162】
用語「カドヘリン-6」又は「CDH6」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトCDH6を指す。この用語は、完全長CDH6(例えば、UniProt参照配列:P55285;配列番号45)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトCDH6を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトCDH6の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトCDH6の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。CDH6はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0163】
用語「抗CDH6抗体」又は「CDH6に結合する抗体」は、CDH6に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びCDH6に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2018/185618号パンフレットは、例示的抗CDH6抗体配列を含め、例示的CDH6結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗CDH6抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0164】
用語「癌胎児性抗原関連細胞接着分子5」又は「CEACAM5」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトCEACAM5を指す。この用語は、完全長CEACAM5(例えば、UniProt参照配列:P06731;配列番号46)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトCEACAM5を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトCEACAM5の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトCEACAM5の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。CEACAM5はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0165】
用語「抗CEACAM5抗体」又は「CEACAM5に結合する抗体」は、CEACAM5に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びCEACAM5に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。米国特許出願公開第2015/0125386号明細書は、例示的抗CEACAM5抗体配列を含め、例示的CEACAM5結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗CEACAM5抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。hMN14が、例示的抗ヒトCEACAM5抗体である。
【0166】
用語「クリプティックファミリータンパク質1B」又は「CFC1B」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトCFC1Bを指す。この用語は、完全長CFC1B(例えば、UniProt参照配列:P0CG36;配列番号47)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトCFC1Bを包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトCFC1Bの1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトCFC1Bの機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。CFC1Bはヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0167】
用語「抗CFC1B抗体」又は「CFC1Bに結合する抗体」は、CFC1Bに結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びCFC1Bに結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2002/088170号パンフレットは、例示的抗CFC1B抗体配列を含め、例示的CFC1B結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗CFC1B抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0168】
用語「エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3」又は「ENPP3」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトENPP3を指す。この用語は、完全長ENPP3(例えば、UniProt参照配列:O14638;配列番号48)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトENPP3を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトENPP3の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトENPP3の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。ENPP3はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0169】
用語「抗ENPP3抗体」又は「ENPP3に結合する抗体」は、ENPP3に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びENPP3に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Donate et al.((2016)Clin Cancer Res.22(8):1989-99)は、例示的抗ENPP3抗体配列を含め、例示的ENPP3結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗ENPP3抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0170】
用語「葉酸受容体α」又は「FOLR1」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトFOLR1を指す。この用語は、完全長FOLR1(例えば、UniProt参照配列:P15328;配列番号49)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトFOLR1を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトFOLR1の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトFOLR1の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。FOLR1はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0171】
用語「抗FOLR1抗体」又は「FOLR1に結合する抗体」は、FOLR1に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びFOLR1に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2005/080431号パンフレット及びConey et al.((1991)Cancer Res.51(22):6125-32)は、例示的抗FOLR1抗体配列を含め、例示的FOLR1結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗FOLR1抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。ファルレツズマブ及びMOv19が、例示的抗ヒトFOLR1抗体である。
【0172】
用語「A型肝炎ウイルス細胞受容体1」又は「HAVCR1」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトHAVCR1を指す。この用語は、完全長HAVCR1(例えば、UniProt参照配列:Q96D42;配列番号50)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトHAVCR1を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトHAVCR1の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトHAVCR1の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。HAVCR1はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0173】
用語「抗HAVCR1抗体」又は「HAVCR1に結合する抗体」は、HAVCR1に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びHAVCR1に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Thomas et al.((2016)Mol Cancer Ther.15(12):2946-54)は、例示的抗HAVCR1抗体配列を含め、例示的HAVCR1結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗HAVCR1抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0174】
用語「マスト/幹細胞成長因子受容体Kit」又は「KIT」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトKITを指す。この用語は、完全長KIT(例えば、UniProt参照配列:P10721;配列番号51)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトKITを包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトKITの1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトKITの機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。KITはヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0175】
用語「抗KIT抗体」又は「KITに結合する抗体」は、KITに結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びKITに結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Shi et al.((2016)Proc Natl Acad Sci USA 113(33):E4784-93)及びAbrams et al.((2018)Clin Cancer Res.24(17):4297-308)は、例示的抗KIT抗体配列を含め、例示的KIT結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗KIT抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0176】
用語「肝細胞増殖因子受容体」又は「MET」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトMETを指す。この用語は、完全長MET(例えば、UniProt参照配列:P08581;配列番号52)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトMETを包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトMETの1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトMETの機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。METはヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0177】
用語「抗MET抗体」又は「METに結合する抗体」は、METに結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びMETに結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Yang et al.((2019)Acta Pharmacol Sin.)は、例示的抗MET抗体配列を含め、例示的MET結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗MET抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0178】
用語「ムチン-16」又は「MUC16」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトMUC16を指す。この用語は、完全長MUC16(例えば、UniProt参照配列:Q8WXI7;配列番号53)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトMUC16を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトMUC16の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトMUC16の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。MUC16はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0179】
用語「抗MUC16抗体」又は「MUC16に結合する抗体」は、MUC16に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びMUC16に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Liu et al.((2016)Ann Oncol.27(11):2124-30)は、例示的抗MUC16抗体配列を含め、例示的MUC16結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗MUC16抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0180】
用語「亜鉛トランスポーターZIP6」又は「SLC39A6」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトSLC39A6を指す。この用語は、完全長SLC39A6(例えば、UniProt参照配列:Q13433;配列番号54)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトSLC39A6を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトSLC39A6の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトSLC39A6の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。SLC39A6はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0181】
用語「抗SLC39A6抗体」又は「SLC39A6に結合する抗体」は、SLC39A6に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びSLC39A6に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Sussman et al.((2014)Mol Cancer Ther.13(12):2991-3000)は、例示的抗SLC39A6抗体配列を含め、例示的SLC39A6結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗SLC39A6抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0182】
用語「コリントランスポーター様タンパク質4」又は「SLC44A4」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトSLC44A4を指す。この用語は、完全長SLC44A4(例えば、UniProt参照配列:Q53GD3;配列番号55)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトSLC44A4を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトSLC44A4の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトSLC44A4の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。SLC44A4はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0183】
用語「抗SLC44A4抗体」又は「SLC44A4に結合する抗体」は、SLC44A4に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びSLC44A4に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。Mattie et al.((2016)Mol Cancer Ther.15(11):2679-87)は、例示的抗SLC44A4抗体配列を含め、例示的SLC44A4結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗SLC44A4抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0184】
用語「メタロレダクターゼSTEAP1」又は「STEAP1」は、本明細書で使用されるとき、任意の天然形態のヒトSTEAP1を指す。この用語は、完全長STEAP1(例えば、UniProt参照配列:Q9UHE8;配列番号56)並びに細胞プロセシングによって生じ得る任意の形態のヒトSTEAP1を包含する。この用語は、限定はされないが、ヒトSTEAP1の1つ以上の生物学的機能を保持しているスプライス変異体、アレル変異体、及びアイソフォームを含め、ヒトSTEAP1の機能性変異体又は断片も包含する(即ち、この用語が野生型タンパク質のみを指して使用されることが文脈上指示されない限り、変異体及び断片が包含される)。STEAP1はヒトから単離することができ、又は組換え的に若しくは合成方法により作製され得る。
【0185】
用語「抗STEAP1抗体」又は「STEAP1に結合する抗体」は、STEAP1に結合する、例えば特異的に結合する任意の形態の抗体又はその断片を指し、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及びSTEAP1に結合する、例えば特異的に結合する限りにおいて、生物学的に機能性の抗体断片を包含する。国際公開第2008/052187号パンフレットは、例示的抗STEAP1抗体配列を含め、例示的STEAP1結合配列を提供しており、それに関して参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCに使用される抗STEAP1抗体は、インターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗体断片である。
【0186】
本明細書で使用されるとき、用語「特異的」、「特異的に結合する(specifically binds)」、及び「特異的に結合する(binds specifically)」は、タンパク質及び他の生物学的物質の異種集団中における抗体又は抗原結合断片(例えば、抗HER2抗体)と標的抗原(例えば、HER2)との間の結合反応を指す。抗体は、所与の一組の条件下で適切な抗原への結合を無関係な抗原又は抗原混合物への結合と比較することにより、結合の特異性に関して試験することができる。抗体が無関係な抗原又は抗原混合物と比べて少なくとも2、5、7倍、好ましくは10倍以上高い親和性で適切な抗原に結合する場合、それは特異的と見なされる。「特異的抗体」又は「標的特異的抗体」は、標的抗原(例えば、HER2)にのみ結合するが、他の抗原に結合しない(又は最小限の結合のみを呈する)ものである。特定の実施形態において、標的抗原(例えば、HER2)に特異的に結合する抗体又は抗原結合断片は、1×10-6M未満、1×10-7M未満、1×10-8M未満、1×10-9M未満、1×10-10M未満、1×10-11M未満、1×10-12M未満、又は1×10-13M未満のKDを有する。特定の実施形態において、KDは1pM~500pMである。一部の実施形態において、KDは500pM~1μM、1μM~100nM、又は100mM~10nMである。
【0187】
用語「エピトープ」は、抗体によって認識され、且つ特異的に結合される能力を有する抗原の一部分を指す。抗原がポリペプチドであるとき、エピトープは連続アミノ酸で形成され得るか、又はポリペプチドが三次構造に折り畳まれることにより隣り合って並ぶ非連続アミノ酸で形成され得る。抗体によって結合されるエピトープは、抗原-抗体複合体の直接的な視覚化によるエピトープ同定用のX線結晶学並びに抗体による抗原の断片又は突然変異変種への結合のモニタリング、又は抗体及び抗原の種々の部分の溶媒露出度のモニタリングを含め、当技術分野において公知の任意のエピトープマッピング技法を用いて同定され得る。抗体エピトープのマッピングに使用される例示的戦略としては、限定はされないが、アレイベースのオリゴペプチドスキャニング、タンパク質限定分解、部位特異的突然変異誘発、ハイスループット突然変異誘発マッピング、水素重水素交換、及び質量分析法が挙げられる(例えば、Gershoni et al.(2007)21:145-56;及びHager-Braun and Tomer(2005)Expert Rev Proteomics 2:745-56を参照されたい)。
【0188】
競合的結合及びエピトープビニングも、同一の又は重複するエピトープを共有する抗体の決定に用いることができる。競合的結合は、“Antibodies,A Laboratory Manual,”Cold Spring Harbor Laboratory,Harlow and Lane(1st edition 1988,2nd edition 2014)に記載されるアッセイなど、交差ブロッキングアッセイを用いて評価することができる。一部の実施形態において、交差ブロッキングアッセイにおいて参照抗体又は結合タンパク質(例えば、表2~表4に特定されるものから選択されるCDR及び/又は可変ドメインを含む結合タンパク質)によるHER2などの標的抗原への結合が試験抗体又は結合タンパク質によって少なくとも約50%(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、又はそれ以上、又は間にある任意のパーセンテージ)だけ低下するとき、及び/又はその逆のとき、競合的結合が同定される。一部の実施形態において、競合的結合は、共有されている若しくは同様の(例えば、部分的に重複している)エピトープに起因し得るか、又は抗体若しくは結合タンパク質が近傍のエピトープに結合する立体障害に起因し得る(例えば、Tzartos,Methods in Molecular Biology(Morris,ed.(1998)vol.66,pp.55-66)を参照されたい)。一部の実施形態では、競合的結合を用いて、同様のエピトープを共有する結合タンパク質群を分取することができる。例えば、結合に関して競合する結合タンパク質は、重複する又は近傍のエピトープを有する結合タンパク質群として「ビンに入れる」ことができ、一方、競合しないものは、重複する又は近傍のエピトープを有しない別の結合タンパク質群に分けられる。
【0189】
用語「kon」又は「ka」は、抗体/抗原複合体を形成するための抗原への抗体の会合についてのオン速度定数を指す。この速度は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はELISAアッセイなどの標準アッセイを用いて決定することができる。
【0190】
用語「koff」又は「kd」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についてのオフ速度定数を指す。この速度は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はELISAアッセイなどの標準アッセイを用いて決定することができる。
【0191】
用語「KD」は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。KDは、ka/kdによって計算される。この速度は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はELISAアッセイなどの標準アッセイを用いて決定することができる。
【0192】
用語「p」又は「薬物負荷量」又は「薬物:抗体比」又は「薬物対抗体比」又は「DAR」は、各抗体又は抗原結合断片当たりの薬物部分の数、即ち、薬物負荷量、又は式(I)のADCにおける各抗体又は抗原結合断片(Ab)当たりの-L-D部分の数を指す。スプライシング調節薬薬物部分を含むADCでは、「p」は、抗体又は抗原結合断片に連結したスプライシング調節薬化合物の数を指す。例えば、2つのスプライシング調節薬化合物(例えば、各々がD1の構造を有する2つの化合物)が抗体又は抗原結合断片に連結している場合、p=2である。式(I)のADCの複数のコピーを含む組成物では、「平均p」は各抗体又は抗原結合断片当たりの-L-D部分の数の平均を指し、「平均薬物負荷量」とも称される。
【0193】
「リンカー」又は「リンカー部分」は、本明細書では、化合物、通常はスプライシング調節薬薬物部分などの薬物部分を抗体又は抗原結合断片などの別の部分に共有結合的につなぎ合わせる能力を有する任意の化学的部分を指して使用される。リンカーは、化合物又は抗体が活性のままである条件で、酸誘導切断、ペプチダーゼ誘導切断、光に基づく切断、エステラーゼ誘導切断、及び/又はジスルフィド結合切断を起こし易いことがあり得るか、又はそれに対して実質的に抵抗性であり得る。
【0194】
用語「薬剤」は、本明細書では、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的巨大分子、又は生物学的材料から作られる抽出物を指して使用される。用語「療法剤」又は「薬物」は、生物学的過程を調節する能力を有する、及び/又は生物学的活性を有する薬剤を指す。本明細書に記載されるスプライシング調節薬化合物は、例示的療法剤である。
【0195】
用語「化学療法剤」又は「抗癌剤」は、本明細書では、作用機序に関わらず、癌の治療に有効なあらゆる薬剤を指して使用される。転移又は血管新生の阻害が、高い頻度で化学療法剤の特性である。化学療法剤には、抗体、生体分子、及び小分子が含まれ、本明細書に記載されるスプライシング調節薬化合物が包含される。化学療法剤は、細胞傷害剤又は細胞増殖抑制剤であり得る。用語「細胞増殖抑制剤」は、細胞成長及び/又は細胞の増大を阻害し又は抑制する薬剤を指す。用語「細胞傷害剤」は、主に細胞の発現活性及び/又は機能への干渉によって細胞死を引き起こす物質を指す。
【0196】
本明細書で使用されるとき、用語「スプライシング調節薬」、「スプライセオソーム調節薬」、又は「スプライス調節薬」は、スプライセオソームの成分と相互作用することにより抗癌活性を有する化合物を指す。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、標的細胞におけるスプライシングの速度又は形態を変化させる。例えば、阻害性薬剤として機能するスプライシング調節薬は、無制御な細胞増殖を減少させる能力を有する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬はSF3bスプライセオソーム複合体に結合することにより作用し得る。かかる調節薬は天然化合物又は合成化合物であり得る。スプライシング調節薬の非限定的な例及びかかる調節薬の分類には、プラジエノライド(例えば、プラジエノライドD又はプラジエノライドB)、プラジエノライド誘導体(例えば、プラジエノライドD又はプラジエノライドB誘導体)、ハーボキシジエン、ハーボキシジエン誘導体、スプライソスタチン、スプライソスタチン誘導体、スデマイシン(sudemycin)、又はスデマイシン誘導体が含まれる。本明細書で使用されるとき、スプライシング調節薬などに言及するときの用語「誘導体」及び「類似体」は、元の化合物と本質的に同じ、同様の、又は亢進した生物学的機能又は活性を保持しているが、化学的又は生物学的構造は変化している任意のかかる化合物を意味する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、プラジエノライド又はプラジエノライド誘導体である。
【0197】
本明細書で使用されるとき、「プラジエノライド誘導体」は、プラジエノライドとして知られる天然産物ファミリーのメンバーに構造的に関係した、出発化合物の1つ以上の生物学的機能を保持している化合物を指す。プラジエノライドは当初、細菌ストレプトミセス・プラテンシス(Streptomyces platensis)において(Mizui et al.(2004)J Antibiot.57:188-96)、潜在的に細胞傷害性で、細胞周期のG1期及びG2/M期における細胞周期停止を生じさせるものとして同定された(例えば、Bonnal et al.(2012)Nat Rev Drug Dis 11:847-59)。天然に存在するプラジエノライドは、プラジエノライドA~Gまで7つある(Mizui et al.(2004)J Antibiot.57:188-96;Sakai et al.(2004)J Antibiotics 57:180-7)。米国特許第7,884,128号明細書及び同第7,816,401号明細書は、プラジエノライドB及びDの例示的合成方法を記載しており、かかる方法に関して各々参照により本明細書に援用される。プラジエノライドB及びDの合成は、Kanada et al.((2007)Angew Chem Int Ed.46:4350-5)に記載される例示的方法を用いても実施され得る。Kanada et al.及び国際公開第2003/099813号パンフレットは、プラジエノライドD(国際公開第2003/099813号パンフレットの11107D)からのE7107(D11)(国際公開第2003/099813号パンフレットの化合物45)の例示的合成方法を記載している。対応する米国特許番号は、Kotake et al.に対する米国特許第7,550,503号明細書である。これらの参考文献の各々は、記載される合成方法に関して本明細書に援用される。
【0198】
本明細書で使用されるとき、「スプライシング調節薬薬物部分」は、スプライシング調節薬化合物の構造を提供するADC又は組成物の成分、例えば、式(I)のADC中、又は-L-Dを含む組成物中のスプライシング調節薬(D)成分を指す。
【0199】
本明細書で使用されるとき、「スプライセオソーム」は、プレmRNAセグメントなど、1つ以上のRNAセグメントからイントロンを取り除くリボ核タンパク質複合体を指す。
【0200】
用語「相同体」は、例えば、対応する位置において同じ又は同様である化学的残基の配列を有することにより、別の分子との相同性を呈する分子を指す。
【0201】
用語「~を阻害する」又は「~の阻害」は、本明細書で使用されるとき、測定可能な量だけ減少させることを意味し、必須ではないが、完全な防止又は阻害を含み得る。
【0202】
用語「標的陰性」、「標的抗原陰性」、又は「抗原陰性」は、細胞又は組織による標的抗原発現がないことを指す。用語「標的陽性」、「標的抗原陽性」、又は「抗原陽性」は、標的抗原発現があることを指す。例えば、標的抗原を発現しない細胞又は細胞株は、標的陰性と記載され得る一方、標的抗原を発現する細胞又は細胞株は、標的陽性と記載され得る。
【0203】
用語「バイスタンダー殺傷」又は「バイスタンダー効果」は、標的陽性細胞の存在下における標的陰性細胞の殺傷を指し、ここで標的陽性細胞の非存在下では、標的陰性細胞の殺傷は観察されない。標的陽性細胞と標的陰性細胞との間の細胞間接触、又は少なくとも近接性が、バイスタンダー殺傷を可能にする。この種の殺傷は、標的陰性細胞の無差別な殺傷を指す「オフターゲット殺傷」と区別可能である。「オフターゲット殺傷」は標的陽性細胞の非存在下でも観察され得る。
【0204】
用語「新生物障害」及び「癌」は、本明細書では、無制御な増殖、不死性、転移能、急激な成長及び増殖速度、及び/又はある種の形態学的特徴など、癌を引き起こす細胞に典型的な特性を備える細胞の存在を指して同義的に使用される。多くの場合、癌細胞は腫瘍又は塊の形態であり得るが、かかる細胞は対象体内に単独で存在し得るか、又は白血病細胞若しくはリンパ腫細胞のように、独立した細胞として血流中で循環し得る。用語「新生物障害」及び「癌」には、血液学的悪性腫瘍、固形腫瘍、肉腫、癌腫並びに他の固形及び非固形腫瘍癌を含め、あらゆる種類の癌及び癌転移が含まれる。血液学的悪性腫瘍には、B細胞悪性腫瘍、血液の癌(白血病)、形質細胞の癌(骨髄腫、例えば多発性骨髄腫)、又はリンパ節の癌(リンパ腫)が含まれ得る。例示的B細胞悪性腫瘍には、慢性リンパ球性白血病(CLL)、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が含まれる。白血病には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、急性単球性白血病(AMoL)等が含まれ得る。リンパ腫には、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫が含まれ得る。他の血液学的悪性腫瘍には、骨髄異形成症候群(MDS)が含まれ得る。固形腫瘍には、腺癌、例えば、乳癌、膵癌、前立腺癌、結腸又は結腸直腸癌、肺癌、胃癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、胆管癌、神経膠腫、黒色腫など、癌腫が含まれ得る。
【0205】
用語「腫瘍」及び「新生物」は、前癌病変を含め、良性又は悪性いずれかの、過剰な細胞成長又は増殖によって生じる任意の組織塊を指す。
【0206】
用語「腫瘍細胞」及び「新生物細胞」は同義的に使用され、非腫瘍原性細胞及び癌幹細胞の両方を含め、腫瘍又は新生物に由来する個々の細胞又は全細胞集団を指す。本明細書で使用されるとき、用語「腫瘍細胞」は、単に再生・分化能を欠いている腫瘍細胞を指す場合には用語「非腫瘍原性」で修飾して、そうした腫瘍細胞を癌幹細胞と区別することになる。
【0207】
用語「対象」及び「患者」は、本明細書では、限定はされないが、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含め、任意の哺乳類など、任意の動物を指して同義的に使用される。一部の実施形態において、哺乳類はマウスである。一部の実施形態において、哺乳類はヒトである。一部の実施形態において、対象はマウスである。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0208】
用語「共投与」又は1つ以上の療法剤「と併用した」投与は、同時に行われる投与及びいずれの順序であれ連続的な投与を含む。
【0209】
「医薬組成物」は、投与を可能にし、続いて1つ又は複数の活性成分の意図した生物学的活性を提供するような形態、及び/又は治療効果を実現するような形態の調製物であって、その製剤が投与された対象にとって許容し難いほど毒性の高い追加の構成成分を含有しない調製物を指す。医薬組成物は無菌であり得る。
【0210】
「医薬賦形剤」は、アジュバント、担体、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤、保存剤などの材料を含む。
【0211】
「薬学的に許容可能」は、動物、より詳細にはヒトにおける使用が連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認済み若しくは承認見込みであること、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。
【0212】
「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持している、且つ望ましくない毒物学的効果を与えない塩である。かかる塩の例は、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などと形成される酸付加塩;及び有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などと形成される塩;及び(b)塩素、臭素、及びヨウ素などの元素アニオンから形成される塩である。例えば、Haynes et al.“Commentary:Occurrence of Pharmaceutically Acceptable Anions and Cations in the Cambridge Structural Database,”J Pharmaceutical Sciences,vol.94,no.10(2005)、及びBerge et al.“Pharmaceutical Salts,”J Pharmaceutical Sciences,vol.66,no.1(1977)(これらは参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。
【0213】
用語「有効量」は、本明細書で使用されるとき、具体的に記載される目的を果たすのに十分な、例えば、投与後に、腫瘍成長速度又は腫瘍容積の低下、癌の症状の低下、又は他の何らかの治療有効性を示すものなど、治療効果を生み出すのに十分な、本明細書に記載される化合物、ADC、又は組成物(例えば、スプライシング調節薬又はADC)の量を指す。有効量は、記載される目的に関連してルーチンの方法で決定することができる。用語「治療有効量」は、腫瘍細胞の成長又は広がり、腫瘍のサイズ又は数、及び/又はその他の、癌のレベル、ステージ、進行及び/又は重症度の尺度の検出可能な殺傷、低減、及び/又は阻害に有効な、本明細書に記載される化合物、ADC、又は組成物の量を指す。治療有効量は、意図される適用(インビトロ又はインビボ)、又は治療下の対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与方法などに応じて異なり得、当業者が容易に決定することができる。この用語は、標的細胞において特定の応答、例えば細胞成長の阻害を誘導するであろう用量にも適用される。具体的な用量は、例えば、詳細な医薬組成物、対象及びその年齢並びに既存の健康状態又は健康状態に関するリスク、従うべき投与レジメン、疾患の重症度、それが他の薬剤と併用して投与されるかどうか、投与タイミング、それが投与される組織、及びそれが運ばれる物理的送達システムに応じて異なり得る。癌の場合、ADCの治療有効量は、癌細胞の数を低減し、腫瘍サイズを低減し、腫瘍転移を阻害し(例えば、減速又は停止させ)、腫瘍成長を阻害し(例えば、減速又は停止させ)、及び/又は1つ以上の症状を緩和することができる。
【0214】
「予防有効量」は、所望の予防的結果を実現するのに必要な投薬量及び期間で有効な量を指す。典型的には、予防的用量は対象において疾患に先立ち、又は疾患の初期ステージで使用されるため、予防有効量は治療有効量より少ないことになる。
【0215】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」又は「療法的」及び文法的に関連する用語は、代替的な治療モダリティから生じる生存の長期化、低い罹患率、及び/又は副作用の軽減など、疾患の任意の帰結の任意の改善を指す。当技術分野において容易に理解されるとおり、疾患の完全な根絶が包含されるが、治療行為に必須ではない。「治療」又は「治療する」は、本明細書で使用されるとき、対象、例えば患者への記載されるADC又は組成物の投与を指す。治療とは、例えば癌などの障害、障害の症状又は障害になり易い素因を治癒すること、癒すこと、緩和すること、軽減すること、変化させること、改善すること、寛解させること、和らげること、向上させること又はそれに影響を及ぼすことであり得る。一部の実施形態において、ある病態を有する対象を治療することに加えて、本明細書に開示される組成物は、その病態が発症する可能性を防止又は低減するために予防的に提供することもできる。
【0216】
一部の実施形態において、標識されたADCが使用される。好適な「標識」としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害薬、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などが挙げられる。
【0217】
「タンパク質」とは、本明細書で使用されるとき、少なくとも2つの共有結合的に結び付いたアミノ酸を意味する。この用語は、ポリペプチド、オリゴペプチド、及びペプチドを包含する。一部の実施形態において、2つ以上の共有結合的に結び付いたアミノ酸は、ペプチド結合によって結び付いている。例えばタンパク質が発現システム及び宿主細胞を使用して組換えで作られるとき、タンパク質は、天然に存在するアミノ酸及びペプチド結合で構成され得る。代わりに、タンパク質は、合成アミノ酸(例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、及びノルロイシン)、又はペプチドミメティクス構造、即ち、ペプトイドなどの「ペプチド又はタンパク質類似体」を含み得る。ペプトイドは、その側鎖がα炭素(アミノ酸の場合のように)でなく、むしろペプチド骨格の窒素原子に付加されている例示的ペプチドミメティクスクラスであり、ペプチドと比較して異なる水素結合及びコンホメーション特徴を有する(例えば、Simon et al.(1992)Proc Natl Acad Sci.USA 89:9367を参照されたい)。そのため、ペプトイドは、タンパク質分解又は他の生理学的な若しくは貯蔵上の条件に抵抗性があり、細胞膜の透過に有効であり得る。かかる合成アミノ酸は、特に抗体のインビトロ合成時に当技術分野において周知の従来方法によって取り入れられ得る。加えて、ペプチドミメティクス、合成及び天然に存在する残基/構造の任意の組み合わせを用いることができる。「アミノ酸」には、プロリン及びヒドロキシプロリンなど、イミノ酸残基も含まれる。アミノ酸「R基」又は「側鎖」は(L)配置又は(S)配置のいずれかであり得る。具体的な実施形態において、アミノ酸は(L)配置又は(S)配置である。
【0218】
「組換えタンパク質」は、当技術分野において公知の任意の技法及び方法を用いた組換え技術を用いて、即ち組換え核酸の発現を通じて作られたタンパク質である。組換えタンパク質の作製方法及び技法は当技術分野において周知である。
【0219】
「単離された」タンパク質は、例えば、所与の試料中の全タンパク質の少なくとも約5重量%、又は少なくとも約50重量%を占める、その自然状態で通常それに付随している材料の少なくとも一部を伴わないものである。状況によっては、単離タンパク質は全タンパク質含量の5重量%~99.9重量%を占め得ることが理解される。例えば、このタンパク質は、誘導性プロモーター又は高発現プロモーターを用いて大幅に高い濃度で作られ得、このようにしてタンパク質が増加した濃度レベルで作られる。この定義には、当技術分野において公知の多種多様な生物及び/又は宿主細胞における抗体の産生が含まれる。
【0220】
アミノ酸配列について、配列同一性及び/又は類似性は、限定はされないが、Smith and Waterman(1981)Adv Appl Math.2:482の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman and Wunsch(1970)J Mol Biol.48:443の配列同一性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman(1988)Proc Nat Acad Sci.USA 85:2444の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実装(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、Devereux et al.(1984)Nucl Acid Res.12:387-95によって記載されるBest Fitシーケンスプログラムであって、好ましくはデフォルト設定を使用するもの、又は目視検査によることを含め、当技術分野において公知の標準技法を用いることにより決定され得る。好ましくは、パーセント同一性は、FastDBによって以下のパラメータ:ミスマッチペナルティ1;ギャップペナルティ1;ギャップサイズペナルティ0.33;及びジョイニングペナルティ30に基づき計算される(“Current Methods in Sequence Comparison and Analysis,”Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp.127-149(1988),Alan R.Liss,Inc)。
【0221】
有用なアルゴリズムの例は、PILEUPである。PILEUPは、一群の関連性のある配列から漸進的ペアワイズアラインメントを用いて多重配列アラインメントを作成する。これは、アラインメントの作成に使用されたクラスタリング関係を示すツリーもプロットすることができる。PILEUPは、Feng & Doolittle(1987)J Mol Evol.35:351-60の漸進的アラインメント法の単純化を用いる;この方法は、Higgins and Sharp(1989)CABIOS 5:151-3によって記載されるものと同様である。デフォルトギャップ重み付け3.00、デフォルトギャップ長さ重み付け0.10、及び重み付き末端ギャップを含む有用なPILEUPパラメータ。
【0222】
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.(1990)J Mol Biol.215:403-10;Altschul et al.(1997)Nucl Acid Res.25:3389-402;及びKarin et al.(1993)Proc Natl Acad Sci.USA 90:5873-87に記載されるBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムはWU-BLAST-2プログラムであり、これは、Altschul et al.(1996)Methods in Enzymology 266:460-80から得られたものである。WU-BLAST-2は幾つかの検索パラメータを使用し、そのほとんどがデフォルト値に設定される。調整可能なパラメータは以下の値:オーバーラップ幅=l、オーバーラップ率=0.125、ワード閾値(T)=IIを用いて設定される。HSP S及びHSP S2パラメータは動的な値であり、特定の配列の組成及び目的の配列の検索が行われている特定のデータベースの組成に応じてプログラムそれ自体によって確立される。しかしながら、感度を高めるため、これらの値が調整され得る。
【0223】
更なる有用なアルゴリズムは、Altschul et al.(1997)Nucl Acid Res.25:3389-402によって報告されるとおりのギャップ付きBLASTである。ギャップ付きBLASTは、BLOSUM-62置換スコア;9に設定された閾値Tパラメータ;2ヒット法によるギャップなし伸長の開始、kのギャップ長に10+kのコストを課し;16に設定されたXu、及びデータベース検索段階について40に設定され、アルゴリズムの出力段階について67に設定されたXgを使用する。ギャップ付きアラインメントは約22ビットに対応するスコアによって開始される。
【0224】
一般に、本明細書に開示されるタンパク質及びその変異体、例えば、標的抗原(HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、又はSTEAP1など)の変異体及び抗体可変ドメインの変異体(個々の変異体CDRを含む)の間のアミノ酸相同性、類似性、又は同一性は、本明細書に示される配列と少なくとも80%であり、例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、ほぼ100%、又は100%の相同性又は同一性である。
【0225】
同じように、本明細書に特定される抗体及び他のタンパク質の核酸配列に関する「パーセント(%)核酸配列同一性」は、抗原結合タンパク質のコード配列中のヌクレオチド残基と同一である候補配列中にあるヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。具体的な方法は、デフォルトパラメータに設定した、オーバーラップ幅及びオーバーラップ率をそれぞれ1及び0.125に設定したWU-BLAST-2のBLASTNモジュールを利用する。
【0226】
アミノ酸配列変異を導入する部位又は領域は予め決められているが、突然変異それ自体は予め決められたものでなくてもよい。例えば、所与の部位における突然変異のパフォーマンスを最適化するため、標的コドン又は領域でランダム突然変異誘発が行われ得、発現した抗原結合タンパク質CDR変異体が所望の活性の最適な組み合わせに関してスクリーニングされる。既知の配列を有するDNA中の予め決められた部位に置換突然変異を作り出す技法は、例えば、MI3プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発など、周知である。
【0227】
「アルキル」又は「アルキル基」は、本明細書で使用されるとき、完全に飽和している直鎖、分枝状、又は環状炭化水素鎖を意味する。特定の実施形態において、アルキル基は1~8個の炭素原子を含有し得る(「C1~C8アルキル」)。特定の実施形態において、アルキル基は1~6個の炭素原子を含有し得る(「C1~C6アルキル」)。特定の実施形態において、アルキル基は1~3個の炭素原子を含有する。なおも他の実施形態において、アルキル基は2~3個の炭素原子を含有し、更に他の実施形態においてアルキル基は1~2個の炭素原子を含有する。
【0228】
「アルキルアルコキシ」は、本明細書で使用されるとき、アルコキシ基で置換されているアルキル基を意味する。「アルコキシ」は、本明細書で使用されるとき、上記に定義したとおりのアルキル基が酸素(「アルコキシ」)原子によって炭素主鎖に結び付いているものを指す。
【0229】
「アルキルアミノ」は、本明細書で使用されるとき、アミノ基で置換されているアルキル基を意味する。「アミノ」は、本明細書で使用されるとき、-NH2、-NH(アルキル)、又は-N(アルキル)(アルキル)を指す。
【0230】
「アルキルヒドロキシ」は、本明細書で使用されるとき、アミノ基で置換されているアルキル基を意味する。「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、本明細書で使用されるとき、-OHを指す。
【0231】
「アルキレン」は、アルキル基の二価の基を指す。例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、及び-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-は、それぞれ、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、及びn-ヘキシレンを指す。
【0232】
「炭素環」は、本明細書で使用されるとき、芳香族(例えば、アリール)及び非芳香族(例えば、シクロアルキル)の両方の基を含む。特定の実施形態において、炭素環基は3~10個の炭素原子を含有する(「3~10員炭素環」)。特定の実施形態において、炭素環基は3~8個の炭素原子を含有する(「3~8員炭素環」)。特定の実施形態において、炭素環基は3~6個の炭素原子を含有する(「3~6員炭素環」)。特定の実施形態において、炭素環基は3~5個の炭素原子を含有する(「3~5員炭素環」)。
【0233】
「ハロゲン」は、任意のハロゲンの基、例えば、-F、-Cl、-Br、又は-Iを指す。
【0234】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、及び「ヘテロ環式」は、本明細書で使用されるとき、環に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式ヘテロ環、二環式ヘテロ環、又は三環式ヘテロ環を意味する。
【0235】
単環式ヘテロ環は、O、N、及びSから独立に選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3、4、5、6、7、又は8員環である。一部の実施形態において、ヘテロ環は、O、N及びSから選択される1個のヘテロ原子を含有する3又は4員環である。一部の実施形態において、ヘテロ環は、0又は1個の二重結合と、O、N及びSから選択される1、2又は3個のヘテロ原子とを含有する5員環である。一部の実施形態において、ヘテロ環は、0、1又は2個の二重結合と、O、N及びSから選択される1、2又は3個のヘテロ原子とを含有する6、7、又は8員環である。単環式ヘテロ環の代表的な例としては、限定はされないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ジヒドロピラニル(3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-6-イルを含む)、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルを含む)、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられる。
【0236】
本開示の二環式ヘテロ環には、合計5~12個の環原子を有するアリール基と縮合した単環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルキルと縮合した単環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルケニルと縮合した単環式ヘテロ環、又は単環式ヘテロ環と縮合した単環式ヘテロ環が含まれ得る。二環式ヘテロ環の例としては、限定はされないが、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,3-ベンゾジチオリル、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシニル、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラニル、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエニル、2,3-ジヒドロ-1H-インドリル、及び1,2,3,4-テトラヒドロキノリニルが挙げられる。
【0237】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、及び「ヘテロ環式」は、ヘテロアリールを包含する。「ヘテロアリール」は、1つ以上の閉環を有する環状部分であって、環の少なくとも1つに1個以上のヘテロ原子(酸素、窒素又は硫黄)があるものを指し、ここで環の少なくとも1つは芳香族であり、1つ又は複数の環は独立に縮合及び/又は架橋され得る。例としては、限定なしに、フェニル、チオフェニル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びピラジニルが挙げられる。
【0238】
本明細書に記載されるとおり、本開示の化合物は、「任意選択で置換されている」部分を含み得る。概して、用語「置換されている」は、用語「任意選択で」が前に付くか否かに関わらず、指定される部分の1つ以上の水素が好適な置換基に置き換えられることを意味する。特に指示されない限り、「任意選択で置換されている」基は、その基の各置換可能な位置に好適な置換基を有し得、いずれかの所与の構造において2つ以上の位置が、指定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得るとき、置換基は、各位置で同じであるか又は異なるかのいずれでもあり得る。本開示に基づき想定される置換基の組み合わせは、好ましくは安定化合物又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。
【0239】
当業者は、「置換」又は「~で置換されている」又は「存在なし」に、かかる置換又は存在なしが置換される原子及び置換基の許容される原子価に従うものであり、且つその置換又は存在なしの結果、安定化合物、例えば、転位、環化、脱離等によるなどの転換を自発的に起こさない化合物が生じるという黙示的条件が含まれることを理解するであろう。本開示の目的上、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、及び/又はそのヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載される有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。
【0240】
「安定」は、本明細書に開示される目的の1つ以上のためのその生成、検出並びに特定の実施形態ではその回収、精製、及び使用を可能にする条件に供されたときも実質的に化学的及び/又は物理的に変化しない化合物を指す。一部の実施形態において、安定化合物又は化学的に実現可能な化合物は、40℃以下の温度で水分の非存在下又は他の化学反応条件下に少なくとも1週間置いたとき実質的に変化しないものである。一部の実施形態において、本明細書に開示される化合物は安定である。
【0241】
本明細書に教示されるエナンチオマーには、特定の1つ又は複数の不斉中心に実質的に単一のエナンチオマーを含む、例えば、90%、92%、95%、98%、又は99%以上の、又は100%に等しい単一のエナンチオマーを含む「エナンチオ純粋な」異性体が含まれ得る。「不斉中心」又は「キラル中心」は、4つの異なる置換基を含む四面体炭素原子を指す。
【0242】
本明細書に記載される化合物は、かかる化合物を構成する原子の1つ以上に非天然比率の同位体原子も含み得る。例えば、化合物は、例えば、重水素(2H)、トリチウム(3H)、炭素13(13C)、又は炭素14(14C)などの放射性同位体で放射性標識され得る。本明細書に開示される化合物の同位体変種の全ては、放射性か否かに関わらず、本開示の範囲内に包含されることが意図される。加えて、本明細書に記載される化合物の互変異性型の全ては、特許請求される本開示の範囲内にあることが意図される。
【0243】
抗体-薬物コンジュゲート
本開示の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物は、抗癌活性を有するものを含む。詳細には、本ADC化合物は、薬物部分(例えば、スプライシング調節薬)にコンジュゲートした(即ち、リンカーによって共有結合的に結び付いた)抗体又は抗原結合断片(その抗原結合断片を含む)を含み、ここで薬物部分は、抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされていないとき、細胞傷害効果又は細胞増殖抑制効果を有する。様々な実施形態において、薬物部分は、抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされていないとき、SF3bスプライセオソーム複合体に結合し、及び/又はそれと相互作用する能力を有する。様々な実施形態において、薬物部分は、抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされていないとき、インビトロ及び/又はインビボRNAスプライシングを調節する能力を有する。RNAスプライシングを標的化することにより、様々な実施形態において、本明細書に開示される薬物部分及びADCは強力な抗増殖剤である。様々な実施形態において、本明細書に開示される薬物部分及びADCは、活発に分裂する細胞及び静止細胞の両方を標的化することができる。
【0244】
様々な実施形態において、本開示は、少なくとも一部には、ある種の生物学的に活性なスプライシング調節薬が、ADCに使用すると向上した特性をもたらし得るという発見に基づく。スプライシング調節薬は、単独で使用したとき、望ましいことに向上した特徴(例えば、ロバストなSF3bスプライセオソーム複合体結合、強力なRNAスプライシング調節)を示し得るが、様々な実施形態において、スプライシング調節薬は、抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートすると、同じ望ましいことに向上した特徴の減少を呈し得る。従って、ヒト療法剤、例えば腫瘍学的薬剤としての使用のためのADCの開発及び生産には、所望の1つ又は複数の標的に結合し且つ単独で癌の治療に使用される薬物に結び付く能力を有する抗体を同定する以上のことが必要となり得る。抗体を薬物に連結すると、抗体及び薬物の一方又は両方の活性に大きい効果が及ぶこともあり、この効果は、選択されるリンカー及び/又は薬物の種類に応じて異なることになる。従って、一部の実施形態において、ADCの成分は、(i)抗体及び薬物部分が単独で呈する1つ以上の治療特性が保持される、(ii)抗体又は抗原結合断片の特異的結合特性が維持される;(iii)薬物負荷量及び薬物対抗体比が最適化される;(iv)抗体又は抗原結合断片との安定した結び付きによる薬物部分の送達、例えば細胞内送達が可能である;(v)標的部位に輸送又は送達されるまではインタクトなコンジュゲートとしてADCの安定性が保持される;(vi)投与前又は投与後のADCの凝集が最小限となる;(vii)細胞環境における切断後又は他の放出機構後に薬物部分の治療効果、例えば細胞傷害効果が実現する;(viii)抗体及び薬物部分単独と同等か又はそれより優れたインビボ抗癌治療有効性を呈する;(ix)薬物部分によるオフターゲット殺傷が最小限となる;及び/又は(x)望ましい薬物動態学的特性及び薬力学特性、製剤化可能性、及び毒物学的/免疫学的プロファイルを呈するように選択される。治療的使用のための向上したADCの同定には、これらの特性の各々が必要であり得る(Ab et al.(2015)Mol Cancer Ther.14:1605-13)。
【0245】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるADCは、予測外にも、上記に挙げたカテゴリーの一部又は各々において有利な特性を呈する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に開示されるADCコンストラクトは、意外にも、別のリンカー及び/又は薬物部分(例えば、選択的スプライシング調節薬)を含むADCと比較したとき、有利な薬物負荷量、凝集、及び/又は安定性プロファイルを呈し、及び/又は抗体結合機能、薬物活性、及び/又は向上したバイスタンダー殺傷を維持している一方、オフターゲット殺傷は減少する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCコンストラクトは、別のリンカー及び/又は薬物部分(例えば、選択的スプライシング調節薬)を使用するADCと比較したとき、優れた安定性、活性、効力、又は他の効果(インビボ又はインビトロで測定される)を実証する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCコンストラクトは、単回用量として投与したときインビボ治療有効性を呈する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCコンストラクトは、意外にも、別のリンカー及び/又は薬物部分(例えば、選択的スプライシング調節薬)を使用するADCと比較したとき、安定している。
【0246】
本開示のADC化合物は、有効用量の細胞傷害剤又は細胞増殖抑制剤を癌細胞又は腫瘍組織に選択的に送達し得る。開示される本ADCは、それぞれの標的抗原(例えば、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、STEAP1)を発現する細胞に対して強力な細胞傷害活性及び/又は細胞増殖抑制活性を有することが発見された。一部の実施形態において、ADCの細胞傷害活性及び/又は細胞増殖抑制活性は細胞の標的抗原発現に依存する。一部の実施形態において、開示される本ADCは特に、オフターゲット殺傷を最小限に抑えつつ、標的抗原を発現する癌細胞を殺傷するのに有効である。一部の実施形態において、開示される本ADCは、標的抗原を発現しない癌細胞に対しては細胞傷害効果及び/又は細胞増殖抑制効果を呈しない。
【0247】
HER2を発現する例示的癌としては、限定はされないが、乳癌、胃癌、膀胱癌、尿路上皮細胞癌、食道癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、及び卵巣癌が挙げられる(English et al.(2013)Mol Diagn Ther.17:85-99)。
【0248】
CD138を発現する例示的癌としては、限定はされないが、胸腔内癌(例えば、肺癌、中皮腫)、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌)、頭頸部癌(例えば、喉頭、下咽頭、鼻咽頭)、乳癌、泌尿生殖器癌(例えば、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、尿路上皮癌)、血液学的悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫などの骨髄腫、B細胞悪性腫瘍、ホジキンリンパ腫)、及び甲状腺癌が挙げられる(Szatmari et al.(2015)Dis Markers 2015:796052)。
【0249】
EPHA2を発現する例示的癌としては、乳癌、脳癌、卵巣癌、膀胱癌、膵癌、食道癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫、食道癌、及び胃癌が挙げられる(Tandon et al.(2011)Expert Opin Ther Targets 15(1):31-51)。
【0250】
一部の実施形態において、ADCが切断されると、抗体又は抗原結合断片及びリンカーからスプライシング調節薬が放出される。一部の実施形態において、リンカー及び/又はスプライシング調節薬は、バイスタンダー殺傷(隣接細胞の殺傷)を促進するように設計される。一部の実施形態において、リンカー及び/又はスプライシング調節薬は、細胞インターナリゼーション後の切断及び隣接細胞へのリンカー-薬物部分及び/又は薬物部分単独の拡散を通じてバイスタンダー殺傷を促進するように設計される。一部の実施形態において、リンカーは細胞インターナリゼーションを増進する。一部の実施形態において、リンカーは、細胞外環境では切断が最小限に抑えられ、それによってオフターゲット組織(例えば、非癌性組織)に対する毒性が低下する一方、標的組織へのADC結合、及びADCの抗体又は抗原結合断片によって標的化される抗原を発現しないが、その抗原を発現する標的癌組織を取り囲む癌性組織のバイスタンダー殺傷は維持するように設計される。一部の実施形態において、薬物部分、又はADCの切断によって産生される薬物部分の異化産物は、標的細胞又は隣接細胞による取り込み(即ち、細胞透過性)を促進するように設計される。かかる薬物部分及び異化産物は、本明細書では「バイスタンダー活性」と称され得る一方、細胞透過性が低下した薬物部分又は異化産物は、「バイスタンダー不活性」と称され得る。
【0251】
一部の実施形態において、開示される本ADCは、バイスタンダー殺傷活性も実証するが、オフターゲット細胞傷害性が低い。理論により拘束されるものではないが、ADCのバイスタンダー殺傷活性は、固形腫瘍へのその透過性が限られている場合、及び/又は腫瘍細胞間での標的抗原発現が不均一な場合に特に有益であり得る。一部の実施形態において、切断可能リンカーを含むADCは、非切断可能リンカーを含むADCによる同等の治療と比べてバイスタンダー殺傷に特に有効であり、及び/又は向上したバイスタンダー殺傷活性を実証する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCは、薬物部分それ自体と比べて溶解度及び標的細胞透過性の向上を呈する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCは、薬物部分それ自体と比べて細胞傷害性の向上を呈する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCは、単独での薬物として評価したとき低い細胞傷害性を呈する薬物部分を使用するが、しかし、意外にも、単独での薬物として評価したとき高い細胞傷害性を有する他の薬物部分を含むADCよりも良好である。一部の実施形態において、スプライシング調節薬の切断及び放出が、非切断可能リンカーを含むADCによる同等の治療と比べてADCの細胞傷害性を向上させる。他の実施形態において、スプライシング調節薬の切断及び放出は、ADCが望ましい生物学的活性を備えるために必須というわけではない。一部の実施形態において、スペーサー長さが増加した非切断可能リンカー(例えば、ADL12)を含むADCが、切断可能リンカー(例えば、ADL1、ADL5)を含むADCによる同等の治療と比べて同じ又は同程度の細胞傷害性をもたらし、及び意外にも、より短い非切断可能リンカーを含むADCによる同等の治療と比べて優れた細胞傷害性をもたらす。一部の実施形態において、カルボニル基を含まないスペーサー長さが増加した非切断可能リンカー(例えば、ADL12)を含むADCは、切断可能リンカー(例えば、ADL1、ADL5)を含むADCによる同等の治療と比べて同じ又は同程度の細胞傷害性をもたらし、及び意外にも、カルボニル基を含む同じ又は同程度のスペーサー長さを有する非切断可能リンカー(例えば、ADL10)を含むADCによる同等の治療と比べて優れた細胞傷害性をもたらす。一部の実施形態において、非切断可能MCリンカーからカルボニル基を取り除くと(例えば、ADL12)、修飾されていない非切断可能MCリンカー(例えば、ADL10)を含むADCによる同等の治療と比べて50倍より大きい、75倍より大きい、100倍より大きい、150倍より大きい、又は200倍より大きい細胞傷害性の増加が生じ得る。一部の実施形態において、非切断可能MCリンカーからカルボニル基を取り除き(例えば、ADL12)、スペーサー長さを増加させると(例えば、少なくとも1つのスペーサー単位の付加)、修飾されていない非切断可能MCリンカー(例えば、ADL10)を含むADCによる同等の治療と比べて50倍より大きい、75倍より大きい、100倍より大きい、150倍より大きい、又は200倍より大きい細胞傷害性の増加が生じ得る。
【0252】
本明細書には、腫瘍細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片(Ab)と、スプライシング調節薬薬物部分(D)と、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカー部分(L)とを含むADC化合物が提供される。特定の態様において、抗体又は抗原結合断片は、腫瘍関連抗原(例えば、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、STEAP1)に高い特異性及び高い親和性で結合することが可能である。特定の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は結合時に標的細胞内、例えば細胞における分解性のコンパートメント内にインターナライズされる。様々な実施形態において、標的細胞への結合時にインターナライズし、分解を起こし、スプライシング調節薬薬物部分を放出して癌細胞を殺傷するADCが使用され得る。スプライシング調節薬薬物部分は、ADCの抗体及び/又はリンカー部分から、酵素作用、加水分解、酸化、又は任意の他の機構によって放出され得る。
【0253】
例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Ab=抗体又は抗原結合断片、L=リンカー部分、D=スプライシング調節薬薬物部分、及びp=各抗体又は抗原結合断片当たりのスプライシング調節薬薬物部分の数)
を有する。
【0254】
特定の好ましい実施形態において、記載されるADC及び組成物における使用のための薬物ターゲティング部分は、抗体又は抗原結合断片である。記載されるADC及び組成物における使用のための他の例示的薬物ターゲティング部分も本明細書に提供され、記載される。一部の実施形態において、薬物ターゲティング部分は、種々の細胞結合剤及び非抗体足場のいずれか1つであり得る。一部の実施形態において、薬物ターゲティング部分は細胞結合剤である。本明細書で使用されるとき、用語「細胞結合剤」は、動物(例えば、ヒト)細胞に結合し、且つ薬物部分(例えば、本明細書に開示されるとおりのスプライシング調節薬薬物部分)を送達する能力を有する任意の薬剤を指す。この用語は、本明細書に開示される例示的抗体及び抗原結合断片(例えば、モノクローナル抗体並びにFab及びscFVなどのその断片)を包含する。この用語は更に、例示的細胞結合剤、例えば、DARPin、デュオボディ(duobody)、二環状ペプチド、ナノボディ、センチリン、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)、受容体-Fc融合分子、T細胞受容体構造、アンドロゲン及びエストロゲンなどのステロイドホルモン、成長因子、EGFなどのコロニー刺激因子、及び他の非抗体足場を包含する。様々な実施形態において、非抗体足場は、広くは2つの構造クラス、即ちドメインサイズの化合物(約6~20kDa)及び制約されたペプチド(約2~4kDa)に分けることができる。例示的なドメインサイズの足場としては、限定はされないが、アフィボディ(affibody)、アフィリン(affilin)、アンチカリン(anticalin)、アトリマー(atrimer)、DARPin、FN3足場(例えば、アドネクチン及びセンチリン)、フィノマー(fynomer)、クニッツドメイン、プロネクチン(pronectin)、Oボディ(O-body)、及び受容体-Fc融合タンパク質が挙げられ、一方、例示的な制約されたペプチドとしては、アビマー(avimer)、二環状ペプチド、及びCysノットが挙げられる。一部の実施形態において、記載されるADC及び組成物に使用される薬物ターゲティング部分は、アフィボディ(affibody)、アフィリン(affilin)、アンチカリン(anticalin)、アトリマー(atrimer)、DARPin、アドネクチン又はセンチリンなどのFN3足場、フィノマー(fynomer)、クニッツドメイン、プロネクチン(pronectin)、Oボディ(O-body)、アビマー(avimer)、二環状ペプチド、及びCysノットから選択される。一部の実施形態において、記載されるADC及び組成物に使用される薬物ターゲティング部分は、受容体-Fc融合タンパク質、例えばHER2-Fcキメラ融合タンパク質である。非抗体足場については、例えば、Vazquez-Lombardi et al.(2015)Drug Dis Today 20(10):1271-83にレビューされている。
【0255】
抗体
式(I)の抗体又は抗原結合断片(Ab)は、その範囲内に、癌細胞上の標的抗原に特異的に結合する任意の抗体又は抗原結合断片を含む。抗体又は抗原結合断片は、例えばBIAcore(登録商標)分析によって測定したとき≦1mM、≦100nM又は≦10nM、又は間にある任意の量の解離定数(KD)で標的抗原に結合し得る。特定の実施形態において、KDは1pM~500pMである。一部の実施形態において、KDは500pM~1μM、1μM~100nM、又は100mM~10nMである。
【0256】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は4本鎖抗体(免疫グロブリン又は完全長抗体若しくはインタクトな抗体とも称される)であり、2本の重鎖と2本の軽鎖とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、2本鎖ハーフボディ(half body)(1本の軽鎖及び1本の重鎖)、又は免疫グロブリンの抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、標的癌抗原に結合し及び/又は免疫グロブリンの機能を提供する能力を保持している免疫グロブリンの抗原結合断片である。
【0257】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ある抗体又はその抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、インターナリゼーション性抗体又はそのインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、インターナリゼーション性抗体又はそのインターナリゼーション性抗原結合断片は、細胞の表面に発現する標的癌抗原に結合し、結合時に細胞に侵入する。一部の実施形態において、ADCのスプライシング調節薬薬物部分は、標的癌抗原を発現する細胞にADCが侵入してそこに存在するようになった後(即ち、ADCがインターナライズされ終えた後)、例えば、切断によるか、抗体又は抗原結合断片の分解によるか、又は任意の他の好適な放出機構により、ADCの抗体又は抗原結合断片から放出される。
【0258】
本開示の例示的抗体のアミノ酸配列を表2~表4に示す。
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
【0281】
【0282】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるADCは、上記の表に挙げられる任意の一組の重鎖及び軽鎖可変ドメインを含み得るか、又は重鎖及び軽鎖の組からの一組の6つのCDR配列を、例えば、それらの6つのCDRを選択のヒトドナー抗体フレームワークに移植することにより含み得る。様々な実施形態において、本明細書に開示されるADCは、ADCがその標的癌抗原に(例えば、1×10-8M未満のKDで)結合する能力を保持し、且つ本明細書に開示されるADCの1つ以上の機能特性(例えば、インターナライズする能力、RNAスプライシングを調節する能力、細胞成長を阻害する能力等)を保持している限りは、上記の表に挙げられる配列と相同なアミノ酸配列を含み得る。
【0283】
一部の実施形態において、ADCは、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメイン又はその断片を更に含む。例えば、ADCは、ヒトIgG重鎖定常ドメイン(IgG1など)及びヒトカッパ又はラムダ軽鎖定常ドメインを含み得る。様々な実施形態において、記載されるADCの抗体又は抗原結合断片は、ヒト免疫グロブリンGサブタイプ1(IgG1)重鎖定常ドメインをヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインと共に含む。
【0284】
様々な他の実施形態において、ADCの標的癌抗原はヒト上皮成長因子受容体2(HER2)である。
【0285】
様々な実施形態において、抗HER2抗体又はその抗原結合断片は、以下のとおりの3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR:Kabat付番方式によって定義したとき、配列番号1からなる重鎖CDR1(HCDR1)、配列番号2からなる重鎖CDR2(HCDR2)、配列番号3からなる重鎖CDR3(HCDR3);配列番号4からなる軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号5からなる軽鎖CDR2(LCDR2)、及び配列番号6からなる軽鎖CDR3(LCDR3)を含む。
【0286】
様々な実施形態において、抗HER2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は開示される配列と少なくとも95%同一の配列を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列及び/又は配列番号20と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する。
【0287】
様々な実施形態において、抗HER2抗体又はその抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。様々な実施形態において、抗HER2抗体は、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン及びヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインを含む。
【0288】
様々な実施形態において、抗HER2抗体は、配列番号19の重鎖アミノ酸配列又は配列番号19と少なくとも95%同一の配列、及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列又は配列番号20と少なくとも95%同一の配列を含む。詳細な実施形態において、抗HER2抗体は、配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列、又は開示される配列と少なくとも95%同一の配列を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体は、配列番号19と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の軽鎖アミノ酸配列を有する。様々な実施形態において、抗HER2抗体はトラスツズマブ、又はその抗原結合断片である。
【0289】
様々な実施形態において、抗HER2抗体又はその抗原結合断片はトラスツズマブの3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含み、又はここでCDRは、HCDR1(配列番号1)、HCDR2(配列番号2)、HCDR3(配列番号3);LCDR1(配列番号4)、LCDR2(配列番号5)、及びLCDR3(配列番号6)のアミノ酸付加、欠失又は置換を1、2、3、4、5又は6個以下のみ含む。
【0290】
様々な他の実施形態において、ADCの標的癌抗原はヒトシンデカン-1(CD138)である。
【0291】
様々な実施形態において、抗CD138抗体又はその抗原結合断片は、以下のとおりの3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR:Kabat付番方式によって定義したとき、配列番号7からなる重鎖CDR1(HCDR1)、配列番号8からなる重鎖CDR2(HCDR2)、配列番号9からなる重鎖CDR3(HCDR3);配列番号10からなる軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号11からなる軽鎖CDR2(LCDR2)、及び配列番号12からなる軽鎖CDR3(LCDR3)を含む。
【0292】
様々な実施形態において、抗CD138抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号22の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は開示される配列と少なくとも95%同一の配列を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列及び/又は配列番号22と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する。
【0293】
様々な実施形態において、抗CD138抗体又はその抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。様々な実施形態において、抗CD138抗体は、マウスIgG2a重鎖定常ドメイン及びマウスIgカッパ軽鎖定常ドメインを含む。様々な実施形態において、抗CD138抗体は、ヒトIgG2a重鎖定常ドメイン及びヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインを含む。
【0294】
様々な実施形態において、抗CD138抗体は、配列番号21の重鎖アミノ酸配列又は配列番号21と少なくとも95%同一の配列、及び配列番号22の軽鎖アミノ酸配列又は配列番号22と少なくとも95%同一の配列を含む。詳細な実施形態において、抗CD138抗体は、配列番号21の重鎖アミノ酸配列及び配列番号22の軽鎖アミノ酸配列、又は開示される配列と少なくとも95%同一の配列を含む。一部の実施形態において、抗CD138抗体は、配列番号21と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の重鎖アミノ酸配列及び配列番号22と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の軽鎖アミノ酸配列を有する。様々な実施形態において、抗CD138抗体はB-B4、又はその抗原結合断片である。
【0295】
様々な実施形態において、抗CD138抗体又はその抗原結合断片はB-B4の3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含み、又はここでCDRは、HCDR1(配列番号7)、HCDR2(配列番号8)、HCDR3(配列番号9);LCDR1(配列番号10)、LCDR2(配列番号11)、及びLCDR3(配列番号12)のアミノ酸付加、欠失又は置換を1、2、3、4、5又は6個以下のみ含む。
【0296】
様々な他の実施形態において、ADCの標的癌抗原はヒトエフリンA型受容体2(EPHA2)である。
【0297】
様々な実施形態において、抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片は、以下のとおりの3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR:Kabat付番方式によって定義したとき、配列番号13からなる重鎖CDR1(HCDR1)、配列番号14からなる重鎖CDR2(HCDR2)、配列番号15からなる重鎖CDR3(HCDR3);配列番号16からなる軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号17からなる軽鎖CDR2(LCDR2)、及び配列番号18からなる軽鎖CDR3(LCDR3)を含む。
【0298】
様々な実施形態において、抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号23の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号24の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は開示される配列と少なくとも95%同一の配列を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号23と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列及び/又は配列番号24と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する。
【0299】
様々な実施形態において、抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。様々な実施形態において、抗EPHA2抗体は、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン及びヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインを含む。
【0300】
様々な実施形態において、抗EPHA2抗体は、配列番号23の重鎖アミノ酸配列又は配列番号23と少なくとも95%同一の配列、及び配列番号24の軽鎖アミノ酸配列又は配列番号24と少なくとも95%同一の配列を含む。詳細な実施形態において、抗EPHA2抗体は、配列番号23の重鎖アミノ酸配列及び配列番号24の軽鎖アミノ酸配列、又は開示される配列と少なくとも95%同一の配列を含む。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体は、配列番号23と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の重鎖アミノ酸配列及び配列番号24と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の軽鎖アミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、抗EPHA2抗体は、配列番号23のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;及び配列番号24のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む。様々な実施形態において、抗EPHA2抗体は1C1、又はその抗原結合断片である。
【0301】
様々な実施形態において、抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片は1C1の3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含み、又はここでCDRは、HCDR1(配列番号13)、HCDR2(配列番号14)、HCDR3(配列番号15);LCDR1(配列番号16)、LCDR2(配列番号17)、及びLCDR3(配列番号18)のアミノ酸付加、欠失又は置換を1、2、3、4、5又は6個以下のみ含む。
【0302】
様々な実施形態において、アミノ酸置換は単一残基のものである。挿入は通常、約1~約20アミノ酸残基程度であり得るが、生物学的機能(例えば、標的抗原への結合)が保持されている限りは、著しく大きい挿入が許容され得る。欠失は通常、約1~約20アミノ酸残基の範囲であるが、場合により、欠失は、はるかに大きいことができる。置換、欠失、挿入又はこれらの任意の組み合わせを用いることにより、最終的な誘導体又は変異体に達し得る。概して、これらの変更は、分子の変化、特に抗原結合タンパク質の免疫原性及び特異性の変化を最小限に抑えるため、少数のアミノ酸に対して行われる。しかしながら、特定の状況では、より大きい変更が許容され得る。概して、表6として示す以下のチャートに従い保存的置換が行われる。
【0303】
【0304】
表6に示されるものよりも保存性の低い置換を選択することにより、機能又は免疫学的アイデンティティの実質的な変更が行われる。例えば、変化領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えばαヘリックス又はβシート構造;標的部位における分子の電荷又は疎水性;又は側鎖のバルクに一層重大な影響を及ぼす置換が行われ得る。一般にポリペプチドの特性に最も大きい変更を生じさせ得る置換は、(a)親水性残基、例えばセリル又はスレオニルが、疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニルの代わりに(又はそれによって)置換されるもの;(b)システイン又はプロリンが任意の他の残基の代わりに(又はそれによって)置換されるもの;(c)電気陽性側鎖を有する残基、例えば、リシル、アルギニル、又はヒスチジルが、電気陰性残基、例えば、グルタミル又はアスパルチルの代わりに(又はそれによって)置換されるもの;又は(d)バルク性側鎖、例えばフェニルアラニンを有する残基が、側鎖を有しないもの、例えばグリシンの代わりに(又はそれによって)置換されるものである。
【0305】
ADCに変異体抗体配列が使用される様々な実施形態において、変異体は典型的には同じ定性的生物学的活性を呈し、同じ免疫応答を誘発することになるが、変異体は、必要に応じて抗原結合タンパク質の特徴を改変するようにも選択され得る。代わりに、変異体は、抗原結合タンパク質の生物学的活性が変化するように設計され得る。例えば、グリコシル化部位を変化させるか又は取り除き得る。
【0306】
癌細胞を標的化するため、本明細書に使用されるADCと共に様々な抗体が使用され得る。以下に示すとおり、本明細書に開示されるADCのリンカー-ペイロードは、意外にも、種々の腫瘍抗原標的化抗体と共に有効である。腫瘍細胞に発現するが健常細胞には発現しない、又は健常細胞と比べて腫瘍細胞で高度に発現する好適な抗原は、それらに対する抗体と同じく、当技術分野において公知である。これらの抗体は、本明細書に開示されるリンカー及びスプライシング調節薬ペイロードと共に使用され得る。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2を標的化し、HER2標的化抗体又は抗原結合断片はトラスツズマブである。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138を標的化し、CD138標的化抗体又は抗原結合断片はB-B4である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2を標的化し、EPHA2標的化抗体又は抗原結合断片は1C1である。一部の実施形態において、開示されるリンカー及びスプライシング調節薬ペイロードは、意外にも幾つかの異なる腫瘍標的化抗体と共に有効であるが、トラスツズマブなどのHER2標的化抗体、B-B4などのCD138標的化抗体、及び1C1などのEPHA2標的化抗体が、特に向上した薬物:抗体比、凝集レベル、安定性(即ち、インビトロ及びインビボ安定性)、腫瘍標的化(即ち、細胞傷害性、効力)、及び/又は治療有効性をもたらした。治療有効性の向上はインビトロ又はインビボで測定することができ、腫瘍成長速度の低下及び/又は腫瘍容積の減少を含み得る。
【0307】
特定の実施形態では、同じ標的に対する別の抗体又は異なる抗原標的に対する抗体が使用され、上記に記載される有利な機能特性(例えば、安定性の向上、腫瘍標的化の向上、治療有効性の向上等)の少なくとも一部をもたらす。一部の実施形態では、開示されるリンカー及びスプライシング調節薬ペイロードを別のHER2標的化、CD138標的化、又はEPHA2標的化抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートしたとき、これらの有利な機能特性の一部又は全てが観察される。一部の他の実施形態では、開示されるリンカー及びスプライシング調節薬ペイロードをHER2標的化抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートしたとき、これらの有利な機能特性の一部又は全てが観察される。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2を標的化する。一部の実施形態において、HER2標的化抗体又は抗原結合断片はトラスツズマブである。一部の他の実施形態において、開示されるリンカー及びスプライシング調節薬ペイロードをCD138標的化抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートしたとき、これらの有利な機能特性の一部又は全てが観察される。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138を標的化する。一部の実施形態において、CD138標的化抗体又は抗原結合断片はB-B4である。一部の他の実施形態において、開示されるリンカー及びスプライシング調節薬ペイロードをEPHA2標的化抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートしたとき、これらの有利な機能特性の一部又は全てが観察される。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2を標的化する。一部の実施形態において、EPHA2標的化抗体又は抗原結合断片は1C1である。
【0308】
リンカー
様々な実施形態において、ADCのリンカーは、治療上有効であるのに十分に細胞外で安定している。一部の実施形態において、リンカーは細胞の外部で安定しており、そのためADCは細胞外条件に存在するとき(例えば、細胞への輸送又は送達前は)インタクトなままである。ADCに関連して使用される用語「インタクト」は、抗体又は抗原結合断片が薬物部分(例えば、スプライシング調節薬)に結び付いたままであることを意味する。本明細書で使用されるとき、「安定」は、リンカー又はリンカーを含むADCに関連して、ADCが細胞外条件下に存在するときADCの試料中にあるリンカーのうち、切断される(又は全ADCの場合、他の点でインタクトでない)ものが20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約3%以下、又は約1%以下(又は間にある任意のパーセンテージ)であることを意味する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー及び/又はADCは、意外にも、別のリンカー及び/又は別のリンカー及び/又はスプライシング調節薬ペイロードを有するADCと比較して安定している。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCは、約48時間超、60時間超、約72時間超、約84時間超、又は約96時間超インタクトなままであることができる。
【0309】
リンカーが細胞外で安定しているかどうかは、例えば、ADCを血漿中に所定の時間(例えば、2、4、6、8、16、24、48、又は72時間)にわたって含め、次に血漿中に存在する遊離薬物部分の量を定量化することにより決定し得る。安定性は、ADCが標的腫瘍細胞に局在化し、薬物部分の早過ぎる放出(これは、正常組織及び腫瘍組織の両方が無差別に損傷することにより、ADCの治療指数が低下する可能性がある)を防止するのに十分な時間を与え得る。一部の実施形態において、リンカーは標的細胞の外部では安定しており、細胞の内部に入ると、ADCから薬物部分を放出し、薬物がその標的に(例えば、SF3bスプライセオソーム複合体に)結合できるようになる。従って、有効なリンカーは、(i)抗体又は抗原結合断片の特異的結合特性を維持しており;(ii)抗体又は抗原結合断片との安定した結び付きによる薬物部分の送達、例えば細胞内送達を可能にし;(iii)ADCがその標的部位に輸送又は送達され終えるまで、安定したまま及びインタクトなままであり;及び(iv)切断後又は別の放出機構後に薬物部分の治療効果、例えば細胞傷害効果を実現するものということになる。
【0310】
リンカーは、ADCの物理化学的特性に影響し得る。多くの細胞傷害剤が本質的に疎水性であることに伴い、それを更なる疎水性部分を持つ抗体に連結すると、凝集につながり得る。ADC凝集体は不溶性であり、多くの場合に抗体上に実現可能な薬物負荷量を制限し、これはADCの効力に悪影響を及ぼし得る。生物学的製剤のタンパク質凝集体は、一般に、免疫原性の増加とも関係付けられている。以下に示すとおり、本明細書に開示されるリンカーは、凝集レベルが低い、且つ望ましい薬物負荷量レベルのADCをもたらす。
【0311】
リンカーは、「切断可能」又は「非切断可能」であり得る(Ducry and Stump(2010)Bioconjugate Chem.21:5-13)。切断可能リンカーは、特定の環境因子に供されたとき、例えば標的細胞内にインターナライズされたとき薬物部分(例えば、スプライシング調節薬)を放出するように設計され、一方、非切断可能リンカーは、概して抗体又は抗原結合断片それ自体の分解に頼る。
【0312】
一部の実施形態において、リンカーは非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、ADCのスプライシング調節薬薬物部分は抗体又は抗原結合断片の分解によって放出される。非切断可能リンカーは、標的細胞によるインターナリゼーション及びその内部での分解を受けても、抗体及び薬物の少なくとも1つのアミノ酸と共有結合的に会合したままの傾向がある。数多くの例示的非切断可能リンカーが本明細書に記載され、他にも当技術分野では公知である。例示的非切断可能リンカーは、チオエーテル、シクロヘキシル、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、又はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、1個以上のポリエチレングリコール(PEG)部分、例えば、1、2、3、4、5、又は6個のPEG部分、又は1個以上のアルキル部分を含み得る。
【0313】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能リンカーである。切断可能リンカーとは、切断可能部分を含む任意のリンカーを指す。本明細書で使用されるとき、用語「切断可能部分」は、切断されることのできる任意の化学結合を指す。好適な切断可能化学結合は当技術分野において周知であり、限定はされないが、酸不安定性結合、プロテアーゼ/ペプチダーゼ不安定性結合、光不安定性結合、ジスルフィド結合、及びエステラーゼ不安定性結合が挙げられる。切断可能部分を含むリンカーは、リンカーの特定の部位における切断により、ADCからのスプライシング調節薬薬物部分の放出を可能にし得る。
【0314】
一部の実施形態において、リンカーは細胞内条件下で切断可能であり、従って細胞内環境ではリンカーの切断によることで十分に抗体又は抗原結合断片からスプライシング調節薬薬物部分が放出されて薬物が活性化し、及び/又は薬物が治療上有効になる。一部の実施形態において、スプライシング調節薬薬物部分は、ADCの抗体又は抗原結合断片に特異的な抗原を発現する細胞内にADCが入るまでは抗体又は抗原結合断片から切断されず、細胞に入り次第、スプライシング調節薬薬物部分は抗体又は抗原結合断片から切断される。一部の実施形態において、リンカーは、切断時にリンカー又は抗体若しくは抗原結合断片のいかなる一部分もスプライシング調節薬薬物部分に結合したまま残ることのないような位置にある切断可能部分を含む。例示的切断可能リンカーとしては、酸不安定性リンカー、プロテアーゼ/ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチル含有、ジスルフィド含有、又はスルホンアミド含有リンカーが挙げられる。
【0315】
一部の実施形態において、リンカーはpH感受性リンカーであり、特定のpH値で加水分解に対する感受性がある。典型的には、pH感受性リンカーは酸性条件下で切断可能である。この切断戦略は、概して、エンドソーム(pH約5~6)及びリソソーム(pH約4.8)の細胞内コンパートメントのpHがサイトゾル(pH約7.4)と比較したとき低いことを利用して、ヒドラゾンなど、リンカー中の酸不安定性基の加水分解を引き起こすものである(Jain et al.(2015)Pharm Res 32:3526-40)。一部の実施形態において、リンカーは酸不安定性及び/又は加水分解性リンカーである。例えば、リソソーム内で加水分解性であり、且つ酸不安定性基(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニット酸アミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を含有する酸不安定性リンカーを使用することができる。例えば、米国特許第5,122,368号明細書;同第5,824,805号明細書;同第5,622,929号明細書;Dubowchik and Walker(1999)Pharm Therapeutics 83:67-123;Neville et al.(1989)Biol Chem.264:14653-61を参照されたい。かかるリンカーは、血中にあるものなど、中性pH条件下で比較的安定しているが、リソソームの近似的pHであるpH5.5又は5.0を下回ると不安定である。特定の実施形態において、加水分解性リンカーはチオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して療法剤に結び付いたチオエーテルなど)である(例えば、米国特許第5,622,929号明細書を参照されたい)。
【0316】
一部の実施形態において、リンカーは還元条件下で切断可能である。一部の実施形態において、リンカーは、グルタチオン又はジチオスレイトールなどの還元剤の存在下で切断可能である。一部の実施形態において、リンカーは切断可能なジスルフィドリンカー又は切断可能なスルホンアミドリンカーである。
【0317】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能なジスルフィドリンカーである。種々のジスルフィドリンカーが、例えば、SATA(N-スクシンイミジル-5-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDBとSMPTを使用して形成することのできるものを含め、当技術分野において公知である。例えば、Thorpe et al.(1987)Cancer Res.47:5924-31;Wawrzynczak et al.,In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel ed.,Oxford U.Press,1987)を参照されたい。また、米国特許第4,880,935号明細書も参照されたい。ジスルフィドリンカーは、典型的には、そのジスルフィド結合の切断を促進し得る細胞内チオールが多量にあることを利用して用いられる。最も多量にある細胞内チオール、還元型グルタチオンの細胞内濃度は概して1~10nMの範囲であり、これは血中に約5μMで最も多量にある低分子チオール(即ち、システイン)の約1,000倍の高さである(Goldmacher et al.,In Cancer Drug Discovery and Development:Antibody-Drug Conjugates and Immunotoxins(G.L.Phillips ed.,Springer,2013))。タンパク質ジスルフィドイソメラーゼファミリーの細胞内酵素もジスルフィドリンカーの細胞内切断に寄与し得る。本明細書で使用されるとき、切断可能なジスルフィドリンカーとは、切断可能なジスルフィド部分を含む任意のリンカーを指す。用語「切断可能なジスルフィド部分」は、例えばチオール又は酵素によって切断及び/又は還元されることのできるジスルフィド結合を指す。
【0318】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能なスルホンアミドリンカーである。本明細書で使用されるとき、切断可能なスルホンアミドリンカーは、切断可能なスルホンアミド部分を含む任意のリンカーを指す。用語「切断可能なスルホンアミド部分」は、スルホンアミド基、即ちアミン基につながっているスルホニル基を指し、ここでは硫黄-窒素結合が切断されることができる。
【0319】
一部の実施形態において、リンカーは、分岐した多官能性リンカー部分を介して2つ以上の薬物部分を抗体又は抗原結合断片に共有結合的に結び付けるための樹状型リンカーであり得る。例えば、Sun et al.(2002)Bioorg Med Chem Lett.12:2213-5;Sun et al.(2003)Bioorg Med Chem.11:1761-8を参照されたい。樹状リンカーは薬物対抗体のモル比、即ち薬物負荷量を増加させることができ、これはADCの効力に関係する。従って、抗体又は抗原結合断片が1つの反応性システインチオール基のみを担持する場合、例えば、樹状リンカーによって多数のスプライシング調節薬薬物部分を結び付け得る。一部の実施形態において、リンカー部分又はリンカー-薬物部分は、還元型ジスルフィド架橋化学又はリジン限定利用技術によって抗体又は抗原結合断片に結び付け得る。例えば、国際公開第2013/173391号パンフレット及び同第2013/173393号パンフレットを参照されたい。
【0320】
一部の実施形態において、リンカーは、細胞内環境に(例えば、リソソーム又はエンドソーム又はカベオラの中に)存在する切断剤、例えば酵素によって切断可能である。リンカーは、例えば、細胞内ペプチダーゼ又は限定はされないがリソソーム若しくはエンドソームプロテアーゼを含めたプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチドリンカーであり得る。
【0321】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能なペプチドリンカーである。本明細書で使用されるとき、切断可能なペプチドリンカーとは、切断可能なペプチド部分を含む任意のリンカーを指す。用語「切断可能なペプチド部分」は、細胞内環境に存在する薬剤によって切断されることのできる任意の化学結合連結アミノ酸(天然又は合成アミノ酸誘導体)を指す。例えば、リンカーは、カテプシン、例えばカテプシンBなどのペプチダーゼによって切断可能なバリン-アラニン(Val-Ala)配列、又はバリン-シトルリン(Val-Cit)配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーはグルタミン酸-バリン-シトルリン(Glu-Val-Cit)配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは酵素切断可能なリンカーであり、リンカー中の切断可能なペプチド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はリソソーム酵素、例えばカテプシンによって切断可能である。一部の実施形態において、リンカーはカテプシン切断可能リンカーである。一部の実施形態において、リンカー中の切断可能なペプチド部分は、カテプシンB、C、F、H、K、L、O、S、V、X、又はWなど、リソソームシステインカテプシンによって切断可能である。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はカテプシンBによって切断可能である。カテプシンBによって切断され得る例示的ジペプチドは、バリン-シトルリン(Val-Cit)である(Dubowchik et al.(2002)Bioconjugate Chem.13:855-69)。
【0322】
一部の実施形態において、リンカー又はリンカー中の切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はプロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、従って、1つ以上のリソソーム酵素など、1つ以上の細胞内プロテアーゼへの曝露時にADCからのスプライシング調節薬薬物部分の放出を促進する(Doronina et al.(2003)Nat Biotechnol.21:778-84;Dubowchik and Walker(1999)Pharm Therapeutics 83:67-123)。例示的アミノ酸単位としては、限定はされないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、及びペンタペプチドが挙げられる。例示的ジペプチドとしては、限定はされないが、バリン-アラニン(Val-Ala)、バリン-シトルリン(Val-Cit)、アラニン-アスパラギン(Ala-Asn)、アラニン-フェニルアラニン(Ala-Phe)、フェニルアラニン-リジン(Phe-Lys)、アラニン-リジン(Ala-Lys)、アラニン-バリン(Ala-Val)、バリン-リジン(Val-Lys)、リジン-リジン(Lys-Lys)、フェニルアラニン-シトルリン(Phe-Cit)、ロイシン-シトルリン(Leu-Cit)、イソロイシン-シトルリン(Ile-Cit)、トリプトファン-シトルリン(Trp-Cit)、及びフェニルアラニン-アラニン(Phe-Ala)が挙げられる。例示的トリペプチドとしては、限定はされないが、アラニン-アラニン-アスパラギン(Ala-Ala-Asn)、グリシン-バリン-シトルリン(Gly-Val-Cit)、グリシン-グリシン-グリシン(Gly-Gly-Gly)、フェニルアラニン-フェニルアラニン-リジン(Phe-Phe-Lys)、グルタミン酸-バリン-シトルリン(Glu-Val-Cit)(例えば、Anami et al.(2018)Nat Comm.9:2512(これは、Glu-Val-Citを含む例示的リンカーに関して参照により本明細書に援用される)を参照されたい)、及びグリシン-フェニルアラニン-リジン(Gly-Phe-Lys)が挙げられる。他の例示的アミノ酸単位としては、限定はされないが、例えば米国特許第6,214,345号明細書に記載されるとおりの、Gly-Phe-Gly-Gly(配列番号34)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号35)、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号36)、Phe-N9-トシル-Arg、及びPhe-N9-ニトロ-Argが挙げられる。一部の実施形態において、リンカー中のアミノ酸単位はVal-Alaを含む。一部の実施形態において、リンカー中のアミノ酸単位はVal-Citを含む。一部の実施形態において、リンカー中のアミノ酸単位はGlu-Val-Citを含む。アミノ酸単位は、天然に存在するアミノ酸残基及び/又は微量アミノ酸及び/又は天然に存在しないアミノ酸類似体、例えばシトルリンなどを含み得る。アミノ酸単位は、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、リソソームプロテアーゼ、例えばカテプシンB、C、D、又はSなど、又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断向けに設計し、最適化することができる。
【0323】
一部の実施形態において、リンカーは切断可能なβ-グルクロニドリンカーである。本明細書で使用されるとき、切断可能なβ-グルクロニドリンカーとは、切断可能なβ-グルクロニド部分を含む任意のリンカーを指す。例示的な切断可能なβ-グルクロニドリンカーは、構造:
【化52】
を含む。
【0324】
用語「切断可能なβ-グルクロニド部分」は、β-グルクロニダーゼ活性を有する薬剤によって切断されることのできるグリコシド結合を指す。一部の実施形態において、リンカーは、β-グルクロニダーゼによって切断されることのできるグリコシド結合を含む。β-グルクロニダーゼは、β配置を有するグルクロニドのグリコシド結合の加水分解を触媒するUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼである。
【0325】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCは、リンカー中に、酵素によって切断可能である切断可能なβ-グルクロニド部分を含む。一部の実施形態において、リンカー中の切断可能なβ-グルクロニド部分は、リソソーム酵素、例えばβ-グルクロニダーゼによって切断可能である。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニダーゼ切断可能リンカーである。一部の実施形態において、リンカー中の切断可能なβ-グルクロニド部分は、ADCのインターナリゼーション後にβ-グルクロニダーゼによるリンカーの切断を可能にし、それによって細胞環境内でのADCからの薬物部分の放出を促進する。
【0326】
一部の実施形態において、本明細書に開示される任意のADCにおけるリンカーは、抗体又は抗原結合断片を薬物部分(例えば、スプライシング調節薬薬物部分)につなぎ合わせる少なくとも1つのスペーサー単位を含み得る。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片と切断可能部分との間のスペーサー単位は、存在する場合、リンカー中の切断部位(例えば、切断可能なペプチド部分)を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせる。一部の実施形態において、薬物部分と切断可能部分との間のスペーサー単位は、存在する場合、リンカー中の切断部位(例えば、切断可能なペプチド部分)を薬物部分につなぎ合わせる。一部の実施形態において、切断部位は存在せず、スペーサー単位が抗体又は抗原結合断片を薬物部分に連結するために使用される。
【0327】
一部の実施形態において、リンカー、及び/又はリンカー中のスペーサー単位は実質的に親水性である。親水性リンカーを使用すると、薬物が抵抗性癌細胞から多剤耐性(MDR)又は機能的に類似した輸送体によって送り出され得る程度を低減し得る。一部の実施形態において、親水性リンカーは、1個以上のポリエチレングリコール(PEG)部分、例えば、1、2、3、4、5、又は6個のPEG部分を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは2個のPEG部分を含む。
【0328】
一部の実施形態において、リンカー中のスペーサー単位は1個以上のPEG部分を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は1個以上の-(PEG)m-を含み、mは1~10の整数である(即ち、mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり得る)。一部の実施形態において、mは、1~10;2~8;2~6;2~5;2~4;又は2~3の範囲である。一部の実施形態において、mは2である。一部の実施形態において、スペーサー単位は、(PEG)2、(PEG)3、(PEG)4、(PEG)5、(PEG)6、(PEG)7、(PEG)8、(PEG)9、又は(PEG)10を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は(PEG)2を含む。
【0329】
一部の実施形態において、リンカー中のスペーサー単位はアルキル部分を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は1個以上の-(CH2)n-を含み、nは1~10の整数である(即ち、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり得る)。一部の実施形態において、nは、1~10;2~8;2~6;2~5;2~4;又は2~3の範囲である。一部の実施形態において、nは2である。一部の実施形態において、nは5である。一部の実施形態において、nは6である。一部の実施形態において、スペーサー単位は、(CH2)2、(CH2)3、(CH2)4、(CH2)5、(CH2)6、(CH2)7、(CH2)8、(CH2)9、又は(CH2)10を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は(CH2)2(「Et」)を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は(CH2)6(「Hex」)を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は(CH2)2-O-(CH2)2(「Et-O-Et」)を含む。
【0330】
スペーサー単位は、例えば抗体又は抗原結合断片を薬物部分に直接又は間接的に連結するために用いられ得る。一部の実施形態において、スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片をスプライシング調節薬薬物部分に直接連結する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片とスプライシング調節薬薬物部分とは、1個以上のPEG部分(例えば、(PEG)2)、又は1個以上のアルキル部分(例えば、(CH2)2、(CH2)6、又は(CH2)2-O-(CH2)2)を含むスペーサー単位を介して結び付けられる。一部の実施形態において、スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片をスプライシング調節薬薬物部分に間接的に連結する。一部の実施形態において、スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片をスプライシング調節薬薬物部分に、切断可能部分(例えば、切断可能なペプチド又は切断可能なβ-グルクロニド)及び/又はスペーサー単位を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるための結び付ける部分、例えばマレイミド部分を通じて間接的に連結する。
【0331】
スペーサー単位は、様々な実施形態において、マレイミド(Mal)部分を介して抗体又は抗原結合断片(即ち、抗体又は抗原結合断片)に結び付く。
【0332】
Malを介して抗体又は抗原結合断片に結び付くスペーサー単位は、本明細書では「Mal-スペーサー単位」と称される。用語「Mal」又は「マレイミド部分」は、本明細書で使用されるとき、マレイミド基を含有し、且つスルフヒドリル基、例えば抗体又は抗原結合断片上のシステイン残基のスルフヒドリル基との反応性を有する化合物を意味する。スルフヒドリル基(チオール類)との反応性を有する他の官能基としては、限定はされないが、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアネート、及びイソチオシアネートが挙げられる。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片上のシステイン残基との反応性を有する。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はシステイン残基を介して抗体又は抗原結合断片につなぎ合わされる。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はPEG部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はアルキル部分を含む。
【0333】
特定の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位と切断可能なペプチド部分とを含む。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はVal-Citを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はVal-Alaを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はGlu-Val-Citを含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位とVal-Citとを含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位とVal-Alaとを含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位とVal-Citとを含み、ここでMal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位とVal-Alaとを含み、ここでMal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位と切断可能なβ-グルクロニド部分とを含む。
【0334】
一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-スペーサー単位を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:MCを含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-(CH2)2(「Mal-Et」)を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-(CH2)6(「Mal-Hex」)を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-(CH2)2-O-(CH2)2(「Mal-Et-O-Et」)を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-(PEG)2を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-(PEG)2-COを含む。
【0335】
様々な実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片を切断可能なペプチド部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位-ペプチドを含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-スペーサー単位-Val-Citを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:MC-Val-Citを含む。
【0336】
一部の実施形態において、リンカーは構造:Mal-スペーサー単位-Val-Alaを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーは構造:MC-Val-Alaを含む。
【0337】
様々な実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片を切断可能なβ-グルクロニド部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位-β-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-β-グルクロニドを含む。
【0338】
様々な実施形態において、リンカーの切断可能部分はスプライシング調節薬薬物部分に直接つなぎ合わされる。他の実施形態では、スペーサー単位を使用してリンカーの切断可能部分がスプライシング調節薬薬物部分に結び付けられる。様々な実施形態において、スプライシング調節薬はリンカーの切断可能部分にスペーサー単位によって結び付けられる。
【0339】
スペーサー単位は「自己犠牲性」又は「非自己犠牲性」であり得る。「非自己犠牲性」スペーサー単位は、リンカーの切断を受けてもスペーサー単位の一部又は全てがスプライシング調節薬薬物部分に結合したまま残るものである。非自己犠牲性スペーサー単位の例としては、限定はされないが、グリシンスペーサー単位及びグリシン-グリシンスペーサー単位が挙げられる。非自己犠牲性スペーサー単位は、時間が経つと最終的には分解し得るが、細胞条件下においても、連結した天然薬物部分全体を直ちに放出することはない。「自己犠牲性」スペーサー単位は細胞内条件下で天然薬物部分の放出を可能にする。「天然薬物」又は「天然薬物部分」は、スペーサー単位の切断/分解後にスペーサー単位の一部又は他の化学修飾が残らないものである。
【0340】
自己犠牲化学は当技術分野において公知であり、開示されるADCのために容易に選択することができる。様々な実施形態において、リンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬薬物部分に結び付けるスペーサー単位は自己犠牲性であり、細胞内条件下で切断可能部分の切断と同時又はその直前/直後に自己犠牲を起こす。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられる。特定の実施形態において、スプライシング調節薬は自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられ、この切断可能部分はVal-Citを含み、マレイミドカプロイル(MC)が切断可能部分を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせる。特定の実施形態において、スプライシング調節薬は自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられ、この切断可能部分はVal-Alaを含み、マレイミドカプロイル(MC)が切断可能部分を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせる。特定の実施形態において、スプライシング調節薬は自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられ、この切断可能部分はGlu-Val-Citを含み、マレイミドカプロイル(MC)が切断可能部分を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせる。特定の実施形態において、スプライシング調節薬は、pABC又はpAB自己犠牲性スペーサー単位及びVal-Cit切断可能部分につなぎ合わされたリンカー中のMal-スペーサー単位(例えば、MC)を介して抗体又は抗原結合断片につなぎ合わされる。特定の他の実施形態において、スプライシング調節薬は、pABC又はpAB自己犠牲性スペーサー単位及びVal-Ala切断可能部分につなぎ合わされたリンカー中のMal-スペーサー単位(例えば、MC)を介して抗体又は抗原結合断片につなぎ合わされる。特定の他の実施形態において、スプライシング調節薬は、pABC又はpAB自己犠牲性スペーサー単位及びGlu-Val-Cit切断可能部分につなぎ合わされたリンカー中のMal-スペーサー単位(例えば、MC)を介して抗体又は抗原結合断片につなぎ合わされる。
【0341】
特定の実施形態において、リンカー中の自己犠牲性スペーサー単位はp-アミノベンジル単位を含む。一部の実施形態において、p-アミノベンジルアルコール(pABOH)はアミド結合を介してアミノ酸単位又はリンカー中の他の切断可能部分に結び付けられ、pABOHと薬物部分との間にカルバミン酸塩、メチルカルバミン酸塩、又は炭酸塩が作られる(Hamann et al.(2005)Expert Opin Ther Patents 15:1087-103)。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位はp-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)であるか、又はそれを含む。理論により拘束されるものではないが、pABCの自己犠牲には自発的な1,6-脱離反応が関わるものと思われる(Jain et al.(2015)Pharm Res.32:3526-40)。
【0342】
様々な実施形態において、開示されるADCに使用されるp-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)の構造は、以下に示される。
【化53】
【0343】
様々な実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位はリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位はpABCである。一部の実施形態において、pABCはリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、pABCは切断可能部分の切断時に自己犠牲を起こし、スプライシング調節薬がADCからその天然の活性形態で放出される。
【0344】
一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Cit-pABCを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。他の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Ala-pABCを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。
【0345】
一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Cit-pABCを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。他の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Ala-pABCを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。
【0346】
一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Cit-pABCを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。他の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Ala-pABCを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。
【0347】
一部の実施形態において、pABCはリンカー中の切断可能なペプチド部分の切断時に自己犠牲を起こす。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、リンカーはアミノ酸単位-pABCを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はVal-Citである。一部の実施形態において、リンカーはVal-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はVal-Alaである。一部の実施形態において、リンカーはVal-Ala-pABCを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はGlu-Val-Citである。一部の実施形態において、リンカーはGlu-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はAla-Ala-Asnである。一部の実施形態において、リンカーはAla-Ala-Asn-pABCを含む。
【0348】
一部の実施形態において、pABCはリンカー中の切断可能なβ-グルクロニド部分の切断時に自己犠牲を起こす。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニド-pABCを含む。
【0349】
特定の実施形態において、リンカー中の自己犠牲性スペーサー単位はp-アミノベンジル単位を含む。一部の実施形態において、リンカー中の自己犠牲性スペーサー単位はp-アミノベンジル(pAB)を含む。一部の実施形態において、pABの自己犠牲には自発的1,6-脱離反応が関わる。
【0350】
様々な実施形態において、開示されるADCに使用されるp-アミノベンジル(pAB)の構造は、以下に示される。
【化54】
【0351】
様々な実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位はリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位はpABである。一部の実施形態において、pABはリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、pABは切断可能部分の切断時に自己犠牲を起こし、スプライシング調節薬がADCからその天然の活性形態で放出される。
【0352】
一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Cit-pABを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。他の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Ala-pABを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。
【0353】
一部の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Cit-pABを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。他の実施形態において、抗CD138抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Ala-pABを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。
【0354】
一部の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Cit-pABを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。他の実施形態において、抗EPHA2抗体又は抗原結合断片は、MC-Val-Ala-pABを含むリンカーによってスプライシング調節薬につなぎ合わされる。
【0355】
一部の実施形態において、pABはリンカー中の切断可能なペプチド部分の切断時に自己犠牲を起こす。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、リンカーはアミノ酸単位-pABを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はVal-Citである。一部の実施形態において、リンカーはVal-Cit-pABを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はVal-Alaである。一部の実施形態において、リンカーはVal-Ala-pABを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はGlu-Val-Citである。一部の実施形態において、リンカーはGlu-Val-Cit-pABを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位はAla-Ala-Asnである。一部の実施形態において、リンカーはAla-Ala-Asn-pABを含む。
【0356】
一部の実施形態において、pABはリンカー中の切断可能なβ-グルクロニド部分の切断時に自己犠牲を起こす。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニド-pABを含む。
【0357】
一部の他の実施形態において、スプライシング調節薬は非自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられる。特定の実施形態において、スプライシング調節薬は非自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられ、切断可能部分はVal-Citを含み、マレイミドカプロイル(MC)が切断可能部分を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせる。特定の実施形態において、スプライシング調節薬は非自己犠牲性スペーサー単位によってリンカーの切断可能部分に結び付けられ、切断可能部分はVal-Alaを含み、マレイミドカプロイル(MC)が切断可能部分を抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせる。
【0358】
様々な態様において、ADCの抗体又は抗原結合断片はリンカーを介してスプライシング調節薬薬物部分にコンジュゲートされ、ここでリンカーは、Mal-スペーサー単位(例えば、MC)と切断可能なアミノ酸単位とpABCとを含む。一部の実施形態において、スペーサー単位はアルキル部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位-アミノ酸単位-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-アミノ酸単位-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Ala-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Glu-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Ala-Ala-Asn-pABCを含む。
【0359】
様々な他の態様において、ADCの抗体又は抗原結合断片はリンカーを介してスプライシング調節薬薬物部分にコンジュゲートされ、ここでリンカーは、Mal-スペーサー単位(例えば、MC)と切断可能なアミノ酸単位とpABとを含む。一部の実施形態において、スペーサー単位はアルキル部分を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位はマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位-アミノ酸単位-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-アミノ酸単位-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Cit-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Ala-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Glu-Val-Cit-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Ala-Ala-Asn-pABを含む。
【0360】
様々な他の態様において、ADCの抗体又は抗原結合断片はリンカーを介してスプライシング調節薬薬物部分にコンジュゲートされ、ここでリンカーは、Mal-スペーサー単位(例えば、MC)と切断可能なβ-グルクロニドとpABCとを含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位-β-グルクロニド-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-β-グルクロニド-pABCを含む。
【0361】
更に他の態様において、ADCの抗体又は抗原結合断片はリンカーを介してスプライシング調節薬薬物部分にコンジュゲートされ、ここでリンカーは、Mal-スペーサー単位(例えば、MC)と切断可能なβ-グルクロニドとpABとを含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-スペーサー単位-β-グルクロニド-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-β-グルクロニド-pABを含む。
【0362】
様々な実施形態において、ADC化合物は、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、スプライシング調節薬であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0363】
一部の実施形態において、ADCの抗体又は抗原結合断片(Ab)はリンカーを介してスプライシング調節薬薬物部分にコンジュゲートされ、ここでリンカーは、本明細書に開示される又は参照により援用されるリンカーのいずれかであるか、又は本明細書に開示される又は参照により援用されるリンカーのいずれかの1つ以上の成分を含む。
【0364】
一部の実施形態において、リンカーは、切断後にリンカー又は抗体若しくは抗原結合断片のいかなる一部分もスプライシング調節薬に結合したまま残ることのないような位置にある切断可能部分を含む。一部の実施形態において、切断可能部分は切断可能なペプチド部分、例えば、Val-Cit又はVal-Alaなどのアミノ酸単位である。一部の実施形態において、アミノ酸単位又はリンカーはVal-Citを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位又はリンカーはVal-Alaを含む。一部の実施形態において、アミノ酸単位又はリンカーはGlu-Val-Citを含む。
【0365】
一部の実施形態において、リンカーは、抗体又は抗原結合断片を切断可能部分につなぎ合わせる少なくとも1つのスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、リンカーは、抗体又は抗原結合断片を薬物部分につなぎ合わせる少なくとも1つのスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位又はリンカーは少なくとも1つのアルキル部分を含む。
【0366】
一部の実施形態において、リンカー中のスペーサー単位はMal部分を介して抗体又は抗原結合断片に結び付く(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は少なくとも1つのアルキル部分を含む。一部の実施形態において、リンカーはマレイミドカプロイル(MC)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-(CH2)2(「Mal-Et」)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-(CH2)6(「Mal-Hex」)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-(CH2)2-O-(CH2)2(「Mal-Et-O-Et」)を含む。一部の実施形態において、リンカーはMal-(PEG)2-COを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片を薬物部分に結び付ける。
【0367】
一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーは、Mal-(PEG)2、Mal-(PEG)3、Mal-(PEG)4、Mal-(PEG)5、Mal-(PEG)6、Mal-(PEG)7、又はMal-(PEG)8を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-(PEG)2を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーは、Mal-(PEG)2-CO、Mal-(PEG)3-CO、Mal-(PEG)4-CO、Mal-(PEG)5-CO、Mal-(PEG)6-CO、Mal-(PEG)7-CO、又はMal-(PEG)8-COを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-(PEG)2-COを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-(PEG)2-COと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、Mal-(PEG)2-COは抗体又は抗原結合断片を薬物部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMal-(PEG)2-COを含むか、又はそれからなる。「Mal-(PEG)2-CO」リンカーの例は、本明細書では「ADL2」又は「ADL2」リンカーとも称される。
【0368】
一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMCを含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMCと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、MCは抗体又は抗原結合断片を薬物部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMCを含むか、又はそれからなる。「MC」リンカーの例は、本明細書では「ADL10」又は「ADL10」リンカーとも称される。
【0369】
一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-(CH2)6(「Mal-Hex」)を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-Hexと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、Mal-Hexは抗体又は抗原結合断片を薬物部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMal-Hexを含む。「Mal-Hex」リンカーの例は、本明細書では「ADL12」又は「ADL12」リンカーとも称される。
【0370】
一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-(CH2)2(「Mal-Et」)を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-Etと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、Mal-Etは抗体又は抗原結合断片を薬物部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMal-Etを含む。「Mal-Et」リンカーの例は、本明細書では「ADL14」又は「ADL14」リンカーとも称される。
【0371】
一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-(CH2)2-O-(CH2)2(「Mal-Et-O-Et」)を含む。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMal-Et-O-Etと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、Mal-Et-O-Etは抗体又は抗原結合断片を薬物部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーはMal-Et-O-Etを含む。「Mal-Et-O-Et」リンカーの例は、本明細書では「ADL15」又は「ADL15」リンカーとも称される。
【0372】
一部の他の実施形態において、Mal-スペーサー単位は抗体又は抗原結合断片をリンカーの切断可能部分に結び付ける。一部の実施形態において、リンカーの切断可能部分は切断可能なペプチド部分、例えばアミノ酸単位である。一部の実施形態において、切断可能なペプチド部分はVal-Cit又はVal-Alaである。一部の実施形態において、Mal-スペーサー単位又はリンカーはMCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Citを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Alaを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Glu-Val-Citを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Ala-Ala-Asnを含む。
【0373】
一部の実施形態において、スペーサー単位はリンカーの切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付けるスペーサー単位は自己犠牲性である。
【0374】
一部の実施形態において、スペーサー単位はpABCを含む。一部の実施形態において、pABCは切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、切断可能部分は切断可能なペプチド部分、例えばアミノ酸単位である。一部の実施形態において、リンカーはアミノ酸単位-pABCを含む。
【0375】
一部の実施形態において、リンカーはVal-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーは、Val-Cit-pABCと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Cit-pABCと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-Val-Cit-pABCリンカーの例は、本明細書では「ADL1」又は「ADL1」リンカーとも称される。
【0376】
一部の実施形態において、リンカーはVal-Ala-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーは、Val-Ala-pABCと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Ala-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Ala-pABCと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-Val-Ala-pABCリンカーの例は、本明細書では「ADL6」又は「ADL6」リンカーとも称される。
【0377】
一部の実施形態において、リンカーはGlu-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーは、Glu-Val-Cit-pABCと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Glu-Val-Cit-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Glu-Val-Cit-pABCと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-Glu-Val-Cit-pABCリンカーの例は、本明細書では「ADL23」又は「ADL23」リンカーとも称される。
【0378】
一部の実施形態において、リンカーはAla-Ala-Asn-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーは、Ala-Ala-Asn-pABCと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Ala-Ala-Asn-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Ala-Ala-Asn-pABCと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-Ala-Ala-Asn-pABCリンカーの例は、本明細書では「ADL21」又は「ADL21」リンカーとも称される。
【0379】
一部の他の実施形態において、スペーサー単位はpABを含む。一部の実施形態において、pABは切断可能部分をスプライシング調節薬に結び付ける。一部の実施形態において、切断可能部分は切断可能なペプチド部分、例えばアミノ酸単位である。一部の実施形態において、リンカーはアミノ酸単位-pABを含む。
【0380】
一部の実施形態において、リンカーはVal-Ala-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーは、Val-Ala-pABと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Ala-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Ala-pABと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-Val-Ala-pABリンカーの例は、本明細書では「ADL5」又は「ADL5」リンカーとも称される。
【0381】
一部の実施形態において、リンカーはVal-Cit-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーは、Val-Cit-pABと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Cit-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-Val-Cit-pABと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-Val-Cit-pABリンカーの例は、本明細書では「ADL7」又は「ADL7」リンカーとも称される。
【0382】
一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニド-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーは、β-グルクロニド-pABCと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-β-グルクロニド-pABCを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-β-グルクロニド-pABCと少なくとも1つの追加的なスペーサー単位とを含む。MC-β-グルクロニド-pABCの例は、本明細書では「ADL13」又は「ADL13」リンカーとも称される。
【0383】
一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニド-pABを含む。一部の実施形態において、リンカーは、β-グルクロニド-pABと、リンカーを抗体又は抗原結合断片につなぎ合わせるMC Mal-スペーサー単位とを含む。一部の実施形態において、リンカーはMC-β-グルクロニド-pABを含む。
【0384】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーを介してスプライシング調節薬薬物部分にコンジュゲートされる。様々な実施形態において、本明細書に開示されるADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーとスプライシング調節薬薬物部分とを含むADCは、治療用ADCに望ましい特性を実証することが発見されている。様々な実施形態において、それらの特性としては、限定はされないが、いずれも他のリンカー-ペイロードを使用するADCと比較したときの、有効な薬物負荷レベル、低い凝集レベル、貯蔵条件下での又は体内で循環中にあるときの安定性(例えば、血清安定性)、非コンジュゲート化抗体と同等の標的発現細胞に対する親和性の保持、標的発現細胞に対する強力な細胞傷害性、低いオフターゲット細胞殺傷レベル、高レベルのバイスタンダー殺傷、及び/又は有効なインビボ抗癌活性が挙げられる。例えば、様々な実施形態において、本明細書に開示されるADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーとスプライシング調節薬薬物部分とを含むADCは、他のリンカー-ペイロード(例えば、ADL10リンカー及びスプライシング調節薬薬物部分)を使用するADCと比較したとき、標的発現細胞の成長及び/又は増殖を阻害する能力の上昇を呈する。様々な実施形態において、本明細書に開示されるADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーとスプライシング調節薬薬物部分とを含むADCは、意外にも、他のスプライシング調節薬ベースのADCと比較したとき生体内安定性(例えば、血漿安定性)の上昇を呈する(例えば、タイランスタチンA系ADC、例えば、Puthenveetil et al.Bioconjugate Chem.(2016)27:1880-8に報告されるとおり)。
【0385】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーとスプライシング調節薬薬物部分との特定の組み合わせによってもたらされる良好な又は優れた機能特性は、例えば、トラスツズマブなどの抗HER2抗体;B-B4などの抗CD138抗体;又は1C1などの抗EPHA2抗体にコンジュゲートされたリンカー-ペイロードで観察され得る。
【0386】
一部の実施形態において、ADCは、ADL1-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL2-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL5-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL6-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL7-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL12-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL13-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL14-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL15-スプライシング調節薬と、新生物細胞を標的化し及びそこにインターナライズする能力を保持している抗体又はその抗原結合断片を含む抗体又は抗原結合断片とを含む。
【0387】
一部の実施形態において、ADCは、ADL1-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL2-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL5-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL6-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL7-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL12-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL13-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL14-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL15-スプライシング調節薬と、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。
【0388】
一部の実施形態において、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。
【0389】
一部の実施形態において、ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
(i)Abは、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む抗HER2抗体又はその抗原結合断片であり;
(ii)Dは、スプライシング調節薬であり;
(iii)Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15を含むリンカーであり;及び
(iv)pは、1~15の整数である)
を有する。
【0390】
一部の実施形態において、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、HER2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1重鎖定常ドメインとヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインとを含む。一部の実施形態において、抗体はトラスツズマブである。一部の実施形態において、pは、1~10、2~8、又は4~8の整数である。一部の実施形態において、pは4である。一部の実施形態において、pは8である。
【0391】
一部の実施形態において、ADCは、ADL1-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL2-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL5-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL6-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL7-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL12-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL13-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL14-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL15-スプライシング調節薬と、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。
【0392】
一部の実施形態において、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。
【0393】
一部の実施形態において、ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
(i)Abは、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む抗CD138抗体又はその抗原結合断片であり;
(ii)Dは、スプライシング調節薬であり;
(iii)Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15を含むリンカーであり;及び
(iv)pは、1~15の整数である)
を有する。
【0394】
一部の実施形態において、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、マウスIgG2a重鎖定常ドメインとマウスIgカッパ軽鎖定常ドメインとを含む。一部の実施形態において、CD138を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG2a重鎖定常ドメインとヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインとを含む。一部の実施形態において、抗体はB-B4である。一部の実施形態において、pは、1~10、2~8、又は4~8の整数である。一部の実施形態において、pは4である。一部の実施形態において、pは8である。
【0395】
一部の実施形態において、ADCは、ADL1-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL2-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL5-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL6-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL7-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL12-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL13-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL14-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。一部の実施形態において、ADCは、ADL15-スプライシング調節薬と、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片とを含む。
【0396】
一部の実施形態において、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。
【0397】
一部の実施形態において、ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
(i)Abは、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む抗EPHA2抗体又はその抗原結合断片であり;
(ii)Dは、スプライシング調節薬であり;
(iii)Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15を含むリンカーであり;及び
(iv)pは、1~15の整数である)
を有する。
【0398】
一部の実施形態において、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、EPHA2を発現する新生物細胞を標的化する抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1重鎖定常ドメインとヒトIgカッパ軽鎖定常ドメインとを含む。一部の実施形態において、抗体は1C1である。一部の実施形態において、pは、1~10、2~8、又は4~8の整数である。一部の実施形態において、pは4である。一部の実施形態において、pは8である。
【0399】
薬物部分
本明細書に記載されるADCの薬物部分(D)は、任意の化学療法剤であり得る。有用な化学療法剤クラスとしては、例えば、RNAスプライシングの調節薬が挙げられる。特定の好ましい実施形態において、薬物部分はスプライシング調節薬である。例示的スプライシング調節薬化合物は本明細書に記載及び例示される。
【0400】
様々な実施形態において、薬物部分は、式(II):
【化55】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、及び-NR
15R
16から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
Zは、
【化56】
から選択され;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され、
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素である)
のスプライシング調節薬化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0401】
一部の実施形態において、R1は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0402】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0403】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0404】
一部の実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R5は水素である。一部の実施形態において、R5はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R5は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R5はC1~C4アルキル基である。
【0405】
一部の実施形態において、R6は水素である。一部の実施形態において、R7は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-OR17であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され、R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R6はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1アルキルである。一部の実施形態において、R6は-NR15R16である。一部の実施形態において、R7は-O-R17である。一部の実施形態において、R7は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R7はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1アルキルである。一部の実施形態において、R7は-NR15R16である。
【0406】
一部の実施形態において、R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及び(C1~C4アルキル)から選択される。一部の実施形態において、R8は水素である。一部の実施形態において、R8はヒドロキシル基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1アルキル)基である。
【0407】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0408】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0409】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0410】
一部の実施形態において、Zは
【化57】
である。一部の実施形態において、Zは
【化58】
である。一部の実施形態において、Zは
【化59】
である。一部の実施形態において、Zは
【化60】
である。一部の実施形態において、Zは
【化61】
である。
【0411】
一部の実施形態において、式(II)のスプライシング調節薬化合物は、式(II-A):
【化62】
(式中、Z’は、
【化63】
から選択され;
全ての他の可変要素は、式(II)について定義されるとおりである)
に示されるとおり、例えば式(I)のADC中にあるリンカーLに結び付く。
【0412】
様々な他の実施形態において、薬物部分は、式(IV):
【化64】
(式中、
R
1は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、及び-NR
15R
16から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され、
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素である)
のスプライシング調節薬化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0413】
一部の実施形態において、R1は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0414】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0415】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0416】
一部の実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R5は水素である。一部の実施形態において、R5はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R5は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R5はC1~C4アルキル基である。
【0417】
一部の実施形態において、R6は水素である。一部の実施形態において、R7は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-OR17であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され、R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R6はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1アルキルである。一部の実施形態において、R6は-NR15R16である。
【0418】
一部の実施形態において、R7は-O-R17である。一部の実施形態において、R7は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R7はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1アルキルである。一部の実施形態において、R7は-NR15R16である。
【0419】
一部の実施形態において、R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及び(C1~C4アルキル)から選択される。一部の実施形態において、R8は水素である。一部の実施形態において、R8はヒドロキシル基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1アルキル)基である。
【0420】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0421】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0422】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0423】
一部の実施形態において、式(IV)のスプライシング調節薬化合物は、式(IV-A):
【化65】
に示されるとおり、例えば式(I)のADC中にあるリンカーLに結び付く。
【0424】
様々な他の実施形態において、薬物部分は、式(VI):
【化66】
(式中、
R
1及びR
9は、各々独立に、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
10は、水素、C
1~C
6アルキル基、-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;
R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
1及びR
9が両方とも存在しないことはあり得ない)
のスプライシング調節薬化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0425】
一部の実施形態において、R1は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0426】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0427】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0428】
一部の実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R5は水素である。一部の実施形態において、R5はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R5は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R5はC1~C4アルキル基である。
【0429】
一部の実施形態において、R9は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基、及び-CD3から選択される。一部の実施形態において、R9は存在しない。一部の実施形態において、R9は水素である。一部の実施形態において、R9はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はメチルである。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はエチルである。一部の実施形態において、R9は-(C=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基は-(C=O)-メチルである。一部の実施形態において、R9は-CD3である。
【0430】
一部の実施形態において、R10は、水素、C1~C4アルキル基、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基、及び-CD3から選択される。一部の実施形態において、R10は水素である。一部の実施形態において、R10はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はメチルである。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はエチルである。一部の実施形態において、R10は-(C=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基は-(C=O)-メチルである。一部の実施形態において、R10は-CD3である。
【0431】
一部の実施形態において、R6は水素である。一部の実施形態において、R7は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-OR17であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され、R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R6はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1アルキルである。一部の実施形態において、R6は-NR15R16である。
【0432】
一部の実施形態において、R7は-O-R17である。一部の実施形態において、R7は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R7はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1アルキルである。一部の実施形態において、R7は-NR15R16である。
【0433】
一部の実施形態において、R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及び(C1~C4アルキル)から選択される。一部の実施形態において、R8は水素である。一部の実施形態において、R8はヒドロキシル基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1アルキル)基である。
【0434】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0435】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0436】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0437】
一部の実施形態において、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。一部の実施形態において、aは、1、2、3、4、5、又は6である。一部の実施形態において、aは、1、2、3、4、又は5である。一部の実施形態において、aは、1、2、3、又は4である。一部の実施形態において、aは、1、2、又は3である。一部の実施形態において、aは、1又は2である。一部の実施形態において、aは1である。一部の実施形態において、aは2である。一部の実施形態において、aは3である。一部の実施形態において、aは4である。一部の実施形態において、aは5である。一部の実施形態において、aは6である。一部の実施形態において、aは7である。一部の実施形態において、aは8である。一部の実施形態において、aは9である。一部の実施形態において、aは10である。
【0438】
一部の実施形態において、式(VI)のスプライシング調節薬化合物は、式(VI-A):
【化67】
に示されるとおり、例えば式(I)のADC中にあるリンカーLに結び付く。
【0439】
様々な他の実施形態において、薬物部分は、式(VIII):
【化68】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;及び
R
10は、3~10員炭素環及び3~10員ヘテロ環から選択され、この各々は、0~3個のR
aで置換され、各R
aは、独立に、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6)アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、-S(=O)
w-(4~7員ヘテロ環)、4~7員炭素環、及び4~7員ヘテロ環から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
3、R
4、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(C
3~C
10ヘテロシクリル基)、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基(ここで、この各々は、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、及びC
1~C
3アルキル基から独立に選択される0、1、又は2個の基で置換される)から独立に選択される0~3個の基で置換され;及び
wは、0、1、又は2である)
のスプライシング調節薬化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0440】
一部の実施形態において、R1は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0441】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0442】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0443】
一部の実施形態において、R10は、6~9員炭素環及び6~9員ヘテロ環から選択され、この各々は、0~2個のRaで置換され、各Raは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1~C6アルキル基、-(C=O)-(C1~C6アルキル)基、-(C=O)-(C1~C6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC1~C6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。
【0444】
一部の実施形態において、炭素環は、0~2個のR
aで置換されているフェニルであり、式中、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、フェニルは2個のR
aで置換され、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、フェニルは
【化69】
である。
【0445】
一部の実施形態において、ヘテロ環は、0~2個のR
aで置換されている9員ヘテロ環であり、式中、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、9員ヘテロ環は
【化70】
である。
【0446】
一部の実施形態において、R
aは、ハロゲン、3~10員炭素環、及び3~10員ヘテロ環から選択され、式中、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、R
aは、ハロゲン、
【化71】
から選択される。
【0447】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0448】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0449】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0450】
一部の実施形態において、式(VIII)のスプライシング調節薬化合物は、式(VIII-A):
【化72】
に示されるとおり、例えば式(I)のADC中にあるリンカーLに結び付く。
【0451】
様々な実施形態において、薬物部分は、D2及びD1から選択されるスプライシング調節薬である。
【0452】
様々な実施形態において、薬物部分はD2である。様々な実施形態において、開示されるADCに使用されるD2薬物部分の構造は、以下に示される:
【化73】
【0453】
様々な実施形態において、本明細書に記載されるADC(例えば、式(I)のADC)中のリンカーは、ピペラジン基のアミンを介してD2薬物部分に共有結合的に結び付く。様々な実施形態において、薬物部分はD2の誘導体である。様々な実施形態において、D2誘導体は、D2としての少なくとも1つの生物学的機能又は活性(例えば、SF3b複合体結合、インビトロスプライシング活性、細胞傷害性)を保持しているが、化学構造は変化している。
【0454】
様々な実施形態において、薬物部分はD1又はその薬学的に許容可能な塩である。様々な実施形態において、開示されるADCに使用されるD1薬物部分の構造は、以下に示される:
【化74】
【0455】
様々な実施形態において、本明細書に記載されるADC(例えば、式(I)のADC)中のリンカーは、ピペラジン基のアミンを介してD1薬物部分に共有結合的に結び付く。様々な実施形態において、薬物部分はD1の誘導体である。様々な実施形態において、D1誘導体は、D1としての少なくとも1つの生物学的機能又は活性(例えば、SF3b複合体結合、インビトロスプライシング活性、細胞傷害性)を保持しているが、化学構造は変化している。
【0456】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D1:
【化75】
を含む。
【0457】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D2:
【化76】
を含む。
【0458】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D3:
【化77】
を含む。
【0459】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D4:
【化78】
を含む。
【0460】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D4’:
【化79】
を含む。
【0461】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D5:
【化80】
を含む。
【0462】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D6:
【化81】
を含む。
【0463】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D7:
【化82】
を含む。
【0464】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D8:
【化83】
を含む。
【0465】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D9:
【化84】
を含む。
【0466】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D10:
【化85】
を含む。
【0467】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D11:
【化86】
を含む。
【0468】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D12:
【化87】
を含む。
【0469】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D13:
【化88】
を含む。
【0470】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D14:
【化89】
を含む。
【0471】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D15:
【化90】
を含む。
【0472】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D16:
【化91】
を含む。
【0473】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D17:
【化92】
を含む。
【0474】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D18:
【化93】
を含む。
【0475】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D19:
【化94】
を含む。
【0476】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D20:
【化95】
を含む。
【0477】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D21:
【化96】
を含む。
【0478】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D22:
【化97】
を含む。
【0479】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D23:
【化98】
を含む。
【0480】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D24:
【化99】
を含む。
【0481】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D25:
【化100】
を含む。
【0482】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D26:
【化101】
を含む。
【0483】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D27:
【化102】
を含む。
【0484】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D28:
【化103】
を含む。
【0485】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D29:
【化104】
を含む。
【0486】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D30:
【化105】
を含む。
【0487】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D31:
【化106】
を含む。
【0488】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D32:
【化107】
を含む。
【0489】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D33:
【化108】
を含む。
【0490】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D34:
【化109】
を含む。
【0491】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、D35:
【化110】
を含む。
【0492】
例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D2であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0493】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、及び/又はSTEAP1を発現する細胞を標的化する。
【0494】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HER2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0495】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CD138抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgカッパ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0496】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗EPHA2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0497】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMSLN発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MSLN抗体又は抗原結合断片である。
【0498】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLH1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLH1抗体又は抗原結合断片である。
【0499】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCDH6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CDH6抗体又は抗原結合断片である。
【0500】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCEACAM5発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CEACAM5抗体又は抗原結合断片である。
【0501】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCFC1B発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CFC1B抗体又は抗原結合断片である。
【0502】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はENPP3発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗ENPP3抗体又は抗原結合断片である。
【0503】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLR1抗体又は抗原結合断片である。
【0504】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHAVCR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HAVCR1抗体又は抗原結合断片である。
【0505】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はKIT発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗KIT抗体又は抗原結合断片である。
【0506】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMET発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MET抗体又は抗原結合断片である。
【0507】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMUC16発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MUC16抗体又は抗原結合断片である。
【0508】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC39A6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC39A6抗体又は抗原結合断片である。
【0509】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC44A4発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC44A4抗体又は抗原結合断片である。
【0510】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSTEAP1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗STEAP1抗体又は抗原結合断片である。
【0511】
一部の実施形態において、Lは、本明細書に開示されるリンカーのいずれか、又は本明細書に開示されるリンカー成分の任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、Mal-(PEG)2-CO、MC-Val-Ala-pAB、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Cit-pAB、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL12、ADL14、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。
【0512】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D1であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0513】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、及び/又はSTEAP1を発現する細胞を標的化する。
【0514】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HER2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0515】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CD138抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgカッパ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0516】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗EPHA2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0517】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMSLN発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MSLN抗体又は抗原結合断片である。
【0518】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLH1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLH1抗体又は抗原結合断片である。
【0519】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCDH6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CDH6抗体又は抗原結合断片である。
【0520】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCEACAM5発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CEACAM5抗体又は抗原結合断片である。
【0521】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCFC1B発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CFC1B抗体又は抗原結合断片である。
【0522】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はENPP3発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗ENPP3抗体又は抗原結合断片である。
【0523】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLR1抗体又は抗原結合断片である。
【0524】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHAVCR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HAVCR1抗体又は抗原結合断片である。
【0525】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はKIT発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗KIT抗体又は抗原結合断片である。
【0526】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMET発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MET抗体又は抗原結合断片である。
【0527】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMUC16発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MUC16抗体又は抗原結合断片である。
【0528】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC39A6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC39A6抗体又は抗原結合断片である。
【0529】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC44A4発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC44A4抗体又は抗原結合断片である。
【0530】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSTEAP1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗STEAP1抗体又は抗原結合断片である。
【0531】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D4であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0532】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、及び/又はSTEAP1を発現する細胞を標的化する。
【0533】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HER2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0534】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CD138抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgカッパ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0535】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗EPHA2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0536】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMSLN発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MSLN抗体又は抗原結合断片である。
【0537】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLH1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLH1抗体又は抗原結合断片である。
【0538】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCDH6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CDH6抗体又は抗原結合断片である。
【0539】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCEACAM5発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CEACAM5抗体又は抗原結合断片である。
【0540】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCFC1B発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CFC1B抗体又は抗原結合断片である。
【0541】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はENPP3発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗ENPP3抗体又は抗原結合断片である。
【0542】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLR1抗体又は抗原結合断片である。
【0543】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHAVCR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HAVCR1抗体又は抗原結合断片である。
【0544】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はKIT発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗KIT抗体又は抗原結合断片である。
【0545】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMET発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MET抗体又は抗原結合断片である。
【0546】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMUC16発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MUC16抗体又は抗原結合断片である。
【0547】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC39A6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC39A6抗体又は抗原結合断片である。
【0548】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC44A4発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC44A4抗体又は抗原結合断片である。
【0549】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSTEAP1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗STEAP1抗体又は抗原結合断片である。
【0550】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D12であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0551】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、及び/又はSTEAP1を発現する細胞を標的化する。
【0552】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HER2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0553】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CD138抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgカッパ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0554】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗EPHA2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0555】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMSLN発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MSLN抗体又は抗原結合断片である。
【0556】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLH1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLH1抗体又は抗原結合断片である。
【0557】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCDH6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CDH6抗体又は抗原結合断片である。
【0558】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCEACAM5発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CEACAM5抗体又は抗原結合断片である。
【0559】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCFC1B発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CFC1B抗体又は抗原結合断片である。
【0560】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はENPP3発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗ENPP3抗体又は抗原結合断片である。
【0561】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLR1抗体又は抗原結合断片である。
【0562】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHAVCR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HAVCR1抗体又は抗原結合断片である。
【0563】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はKIT発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗KIT抗体又は抗原結合断片である。
【0564】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMET発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MET抗体又は抗原結合断片である。
【0565】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMUC16発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MUC16抗体又は抗原結合断片である。
【0566】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC39A6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC39A6抗体又は抗原結合断片である。
【0567】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC44A4発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC44A4抗体又は抗原結合断片である。
【0568】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSTEAP1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗STEAP1抗体又は抗原結合断片である。
【0569】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、
Abは、新生物細胞を標的化する抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D15であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0570】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、及び/又はSTEAP1を発現する細胞を標的化する。
【0571】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHER2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HER2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0572】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCD138発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CD138抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はマウスIgカッパ軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG2a重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0573】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はEPHA2発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗EPHA2抗体又は抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0574】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMSLN発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MSLN抗体又は抗原結合断片である。
【0575】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLH1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLH1抗体又は抗原結合断片である。
【0576】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCDH6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CDH6抗体又は抗原結合断片である。
【0577】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCEACAM5発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CEACAM5抗体又は抗原結合断片である。
【0578】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はCFC1B発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗CFC1B抗体又は抗原結合断片である。
【0579】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はENPP3発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗ENPP3抗体又は抗原結合断片である。
【0580】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はFOLR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗FOLR1抗体又は抗原結合断片である。
【0581】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はHAVCR1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗HAVCR1抗体又は抗原結合断片である。
【0582】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はKIT発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗KIT抗体又は抗原結合断片である。
【0583】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMET発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MET抗体又は抗原結合断片である。
【0584】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はMUC16発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗MUC16抗体又は抗原結合断片である。
【0585】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC39A6発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC39A6抗体又は抗原結合断片である。
【0586】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSLC44A4発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗SLC44A4抗体又は抗原結合断片である。
【0587】
一部の他の実施形態において、抗体又は抗原結合断片はSTEAP1発現細胞を標的化する。一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は抗STEAP1抗体又は抗原結合断片である。
【0588】
一部の実施形態において、Lは、本明細書に開示されるリンカーのいずれか、又は本明細書に開示されるリンカー成分の任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、Lは切断可能リンカーである。一部の実施形態において、Lは非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Ala-pAB、MC-Glu-Val-Cit-pABC、Ala-Ala-Asn-pABC、又はβ-グルクロニドを含むリンカーである。一部の実施形態において、Lは、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、Mal-(PEG)2-CO、MC-Val-Ala-pAB、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Cit-pAB、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL12、ADL14、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。
【0589】
一部の実施形態において、pは1~10である。一部の実施形態において、pは2~8である。一部の実施形態において、pは4~8である。一部の実施形態において、pは4である。一部の実施形態において、pは8である。
【0590】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Abは、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む抗HER2抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D2、D1、D4、D12、又はD15であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0591】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0592】
一部の実施形態において、Lは、本明細書に開示されるリンカーのいずれか、又は本明細書に開示されるリンカー成分の任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、Mal-(PEG)2-CO、MC-Val-Ala-pAB、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Cit-pAB、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL12、ADL14、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。
【0593】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Abは、配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、及び配列番号9(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)、及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む抗CD138抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D2、D1、D4、D12、又はD15であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0594】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0595】
一部の実施形態において、Lは、本明細書に開示されるリンカーのいずれか、又は本明細書に開示されるリンカー成分の任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、Mal-(PEG)2-CO、MC-Val-Ala-pAB、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Cit-pAB、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL12、ADL14、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。
【0596】
別の例示的ADCは、式(I):
Ab-(L-D)p (I)
(式中、Abは、配列番号13(HCDR1)、配列番号14(HCDR2)、及び配列番号15(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号16(LCDR1)、配列番号17(LCDR2)、及び配列番号18(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む抗EPHA2抗体又は抗原結合断片であり;
Dは、D2、D1、D4、D12、又はD15であり;
Lは、AbをDに共有結合的に結び付けるリンカーであり;及び
pは、1~15の整数である)
を有する。
【0597】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0598】
一部の実施形態において、Lは、本明細書に開示されるリンカーのいずれか、又は本明細書に開示されるリンカー成分の任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、Lは、MC-Val-Cit-pABC、Mal-(PEG)2-CO、MC-Val-Ala-pAB、MC-Val-Ala-pABC、MC-Val-Cit-pAB、Mal-Hex、Mal-Et、又はMal-Et-O-Etを含むリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。一部の実施形態において、Lは、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、Lは、ADL12、ADL14、又はADL15リンカーである。一部の実施形態において、ADL1、ADL2、ADL5、ADL6、ADL7、ADL12、ADL13、ADL14、ADL21、ADL23、又はADL15リンカーは、1つ以上の追加的なスペーサー単位も含み得る。
【0599】
様々な実施形態において、D2又はD1薬物部分を含むADCは、切断可能又は非切断可能リンカーであり得る。
【0600】
様々な実施形態において、リンカーは切断可能リンカーである。様々な実施形態において、切断可能リンカーはMC-Val-Cit-pABCを含む。様々な実施形態において、切断可能リンカーはMC-Val-Ala-pABCを含む。様々な実施形態において、切断可能リンカーはMC-Val-Ala-pABを含む。様々な実施形態において、切断可能リンカーはMC-Glu-Val-Cit-pABCを含む。様々な実施形態において、切断可能リンカーはMC-Ala-Ala-Asn-pABCを含む。
【0601】
様々な他の実施形態において、リンカーは非切断可能リンカーである。様々な実施形態において、非切断可能リンカーはMCを単独で、又は少なくとも1つの追加的なスペーサー単位との組み合わせで含む。様々な実施形態において、非切断可能リンカーはMal-Hexを単独で、又は少なくとも1つの追加的なスペーサー単位との組み合わせで含む。様々な実施形態において、非切断可能リンカーはMal-Etを単独で、又は少なくとも1つの追加的なスペーサー単位との組み合わせで含む。様々な実施形態において、非切断可能リンカーはMal-Et-O-Etを単独で、又は少なくとも1つの追加的なスペーサー単位との組み合わせで含む。
【0602】
様々な実施形態において、D2又はD1薬物部分を含むADCにおいて、pは1~10である。様々な実施形態において、pは2~8である。様々な実施形態において、pは4~8である。様々な実施形態において、pは4である。様々な実施形態において、pは8である。
【0603】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるとおりのD2又はD1薬物部分を含むADCは、別の薬物部分(例えば、別のスプライシング調節薬薬物部分)を含むADCと比べて薬物:抗体比の向上、凝集レベルの低下、安定性の増加、癌細胞のオンターゲット殺傷の増加、非癌細胞のオフターゲット殺傷の減少、及び/又は細胞傷害性及び/又は効力の増加を実証する。一部の実施形態において、本明細書に開示されるとおりのD2又はD1薬物部分を含むADCは、上記に挙げたカテゴリーの1つ以上において、又は治療用ADCについての一連の機能特性にわたって良好な又は優れた特性を提供する。一部の実施形態において、D2又はD1薬物部分を含むADCは、意外にも、別の薬物部分(例えば、別のスプライシング調節薬薬物部分)を含むADCと比較したとき、ADCによって標的化される抗原を発現する細胞において有効な効力並びに細胞成長及び/又は増殖の阻害の増加を呈する。一部の実施形態において、効力は、細胞増殖の50%の低下を引き起こす化合物濃度(GI50)に関して測定することができる。様々な実施形態において、D2又はD1薬物部分を含むADCは、意外にも、別の薬物部分(例えば、別のスプライシング調節薬薬物部分、例えばタイランスタチンA)を含むADCと比較したとき、生体内安定性(例えば、血漿安定性)の増加を呈する。例えば、Puthenveetil et al.(Bioconjugate Chem.(2016)27:1880-8)に記載されるADCを参照されたく、これは72時間までにペイロードの完全な生物変換(即ち、酢酸塩が完全に加水分解される)を示す。
【0604】
特定の実施形態では、リンカー部分の前駆体である中間体を適切な条件下で薬物部分(例えば、スプライシング調節薬)と反応させる。特定の実施形態では、薬物及び/又は中間体若しくはリンカー上の反応基が使用される。続いて薬物と中間体との間の反応生成物、又は誘導体化薬物(薬物+リンカー)を適切な条件下で抗体又は抗原結合断片と反応させる。代わりに、中間体又はリンカーは、初めに抗体又は抗原結合断片、又は誘導体化抗体又は抗原結合断片と反応させて、次に薬物又は誘導体化薬物と反応させ得る。
【0605】
薬物部分及び/又はリンカー部分を抗体又は抗原結合断片に共有結合的に結び付けるには、幾つもの異なる反応が利用可能である。これは、多くの場合、リジンのアミン基、グルタミン酸及びアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、及び芳香族アミノ酸の様々な部分を含め、抗体又は抗原結合断片の1つ以上のアミノ酸残基の反応によって達成される。例えば、非特異的に共有結合的に結び付けることが、薬物部分上のカルボキシ基(又はアミノ基)を抗体又は抗原結合断片上のアミノ基(又はカルボキシ基)に連結するカルボジイミド反応を用いて行われ得る。加えて、ジアルデヒド類又はイミドエステル類などの二官能性薬剤も、薬物部分上のアミノ基を抗体又は抗原結合断片上のアミノ基に連結するために用いられ得る。また、薬物(例えば、スプライシング調節薬)を結合剤に結び付けるためにシッフ塩基反応も利用可能である。この方法には、グリコール基又はヒドロキシ基を含有する薬物の過ヨウ素酸酸化が関わり、ひいてはアルデヒドが形成され、次にはそれが結合剤と反応する。結び付きは、結合剤のアミノ基とのシッフ塩基の形成により起こる。イソチオシアン酸塩も、薬物を結合剤に共有結合的に結び付けるためのカップリング剤として使用され得る。他の技法が当業者に公知であり、本開示の範囲内にある。当技術分野において公知の様々な化学を用いて作成し、抗体又は抗原結合断片に連結することのできる薬物部分の例としては、スプライシング調節薬、例えば、本明細書に記載及び例示されるスプライシング調節薬が挙げられる。
【0606】
リンカー-薬物/薬物化合物
本明細書には、例示的リンカー-薬物(L-D)化合物並びにかかる化合物の複数のコピーを含む組成物が更に開示される。様々な実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物化合物は一般式:L-D(式中、L=リンカー部分、及びD=薬物部分(例えば、スプライシング調節薬薬物部分)である)によって定義することができる。特定の実施形態において、開示されるL-D化合物は、本明細書に記載されるADC、例えば式(I)のADCにおける使用に好適である。
【0607】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(III)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(III):
【化111】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、存在しないか、又はリンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
Z”は、
【化112】
から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
2がリンカーである場合、R
6又はR
7のいずれもリンカーでなく、R
6又はR
7がリンカーである場合、R
2は、存在しない)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0608】
一部の実施形態において、R1は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は存在しない。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0609】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0610】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0611】
一部の実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R5は水素である。一部の実施形態において、R5はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R5は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R5はC1~C4アルキル基である。
【0612】
一部の実施形態において、R2は存在せず、及びR6はリンカーである。一部の実施形態において、R2は存在せず、及びR7はリンカーである。一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、R6は水素である。一部の実施形態において、R7は水素である。
【0613】
一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-OR17であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され、R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R6はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1アルキルである。一部の実施形態において、R6は-NR15R16である。
【0614】
一部の実施形態において、R7は-O-R17である。一部の実施形態において、R7は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R7はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1アルキルである。一部の実施形態において、R7は-NR15R16である。
【0615】
一部の実施形態において、R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及び(C1~C4アルキル)から選択される。一部の実施形態において、R8は水素である。一部の実施形態において、R8はヒドロキシル基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1アルキル)基である。
【0616】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0617】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0618】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0619】
一部の実施形態において、Z’は
【化113】
である。一部の実施形態において、Z’は
【化114】
である。一部の実施形態において、Z’は
【化115】
である。一部の実施形態において、Z’は
【化116】
である。一部の実施形態において、Z’は
【化117】
である。
【0620】
一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは少なくとも1つの切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの切断可能なペプチド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、リンカー又は切断可能なペプチド部分は少なくとも1つのアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、及びシトルリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、リンカーは、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、リンカーは、アラニン及びバリンを含む。
【0621】
一部の実施形態において、リンカーは、スルホンアミド、β-グルクロニド、ジスルフィド、及びカルボニルから選択される部分を含む。一部の実施形態において、リンカーはスルホンアミドを含む。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、リンカーはジスルフィドを含む。一部の実施形態において、リンカーはカルボニルを含む。
【0622】
一部の実施形態において、リンカーはスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は、アルキル基及びポリエチレングリコール(PEG)部分から選択される。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C12アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はメチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はエチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-プロピレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ブチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ペンチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ヘキシレンである。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~10の整数である。一部の実施形態において、mは1である。一部の実施形態において、mは2である。一部の実施形態において、mは3である。一部の実施形態において、mは4である。一部の実施形態において、mは5である。一部の実施形態において、mは6である。
【0623】
一部の実施形態において、リンカーはマレイミド(Mal)部分を含む(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、リンカーは自己犠牲性スペーサー単位を含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位は、p-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)及びp-アミノベンジル(pAB)から選択される。
【0624】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とアルキル基と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基を含む。
【0625】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とPEG部分と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~6の整数である。
【0626】
様々な他の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(V)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(V):
【化118】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、存在しないか、又はリンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;及び
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
2がリンカーである場合、R
6又はR
7のいずれもリンカーでなく、R
6又はR
7がリンカーである場合、R
2は、存在しない)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0627】
一部の実施形態において、R1は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は存在しない。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0628】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0629】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0630】
一部の実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R5は水素である。一部の実施形態において、R5はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R5は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R5はC1~C4アルキル基である。
【0631】
一部の実施形態において、R2は存在せず、及びR6はリンカーである。一部の実施形態において、R2は存在せず、及びR7はリンカーである。一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、R6は水素である。一部の実施形態において、R7は水素である。
【0632】
一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-OR17であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され、R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R6はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1アルキルである。一部の実施形態において、R6は-NR15R16である。
【0633】
一部の実施形態において、R7は-O-R17である。一部の実施形態において、R7は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R7はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1アルキルである。一部の実施形態において、R7は-NR15R16である。
【0634】
一部の実施形態において、R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及び(C1~C4アルキル)から選択される。一部の実施形態において、R8は水素である。一部の実施形態において、R8はヒドロキシル基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1アルキル)基である。
【0635】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0636】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0637】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0638】
一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは少なくとも1つの切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの切断可能なペプチド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、リンカー又は切断可能なペプチド部分は少なくとも1つのアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、及びシトルリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、リンカーは、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、リンカーは、アラニン及びバリンを含む。
【0639】
一部の実施形態において、リンカーは、スルホンアミド、β-グルクロニド、ジスルフィド、及びカルボニルから選択される部分を含む。一部の実施形態において、リンカーはスルホンアミドを含む。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、リンカーはジスルフィドを含む。一部の実施形態において、リンカーはカルボニルを含む。
【0640】
一部の実施形態において、リンカーはスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は、アルキル基及びポリエチレングリコール(PEG)部分から選択される。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C12アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はメチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はエチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-プロピレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ブチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ペンチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ヘキシレンである。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~10の整数である。一部の実施形態において、mは1である。一部の実施形態において、mは2である。一部の実施形態において、mは3である。一部の実施形態において、mは4である。一部の実施形態において、mは5である。一部の実施形態において、mは6である。
【0641】
一部の実施形態において、リンカーはマレイミド(Mal)部分を含む(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、リンカーは自己犠牲性スペーサー単位を含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位は、p-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)及びp-アミノベンジル(pAB)から選択される。
【0642】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とアルキル基と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基を含む。
【0643】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とPEG部分と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~6の整数である。
【0644】
様々な他の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(VII)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(VII):
【化119】
(式中、
R
1及びR
9は、各々独立に、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、存在しないか、又はリンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4、R
5、及びR
8は、各々独立に、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
6及びR
7は、各々独立に、水素、-O-R
17、-O-C(=O)-R
17、-O-C(=O)-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-NR
15R
16、及びリンカーから選択され;
R
10は、水素、C
1~C
6アルキル基、-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;及び
aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
R
6及びR
7の少なくとも一方は、水素であり;
R
2がリンカーである場合、R
6又はR
7のいずれもリンカーでなく、R
6又はR
7がリンカーである場合、R
2は、存在せず;
R
1及びR
9が両方とも存在しないことはあり得ない)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0645】
一部の実施形態において、R1は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は存在しない。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0646】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0647】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0648】
一部の実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R5は水素である。一部の実施形態において、R5はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R5は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R5はC1~C4アルキル基である。
【0649】
一部の実施形態において、R9は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基、及び-CD3から選択される。一部の実施形態において、R9は存在しない。一部の実施形態において、R9は水素である。一部の実施形態において、R9はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はメチルである。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はエチルである。一部の実施形態において、R9は-(C=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基は-(C=O)-メチルである。一部の実施形態において、R9は-CD3である。
【0650】
一部の実施形態において、R10は、水素、C1~C4アルキル基、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基、及び-CD3から選択される。一部の実施形態において、R10は水素である。一部の実施形態において、R10はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はメチルである。一部の実施形態において、C1~C4アルキル基はエチルである。一部の実施形態において、R10は-(C=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、-(C=O)-(C1~C4アルキル)基は-(C=O)-メチルである。一部の実施形態において、R10は-CD3である。
【0651】
一部の実施形態において、R2は存在せず、及びR6はリンカーである。一部の実施形態において、R2は存在せず、及びR7はリンカーである。一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、R6は水素である。一部の実施形態において、R7は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-OR17であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-O-R17であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素である。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は、水素及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17であり、及びR7は水素であり、式中、R17は水素である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16である。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択される。一部の実施形態において、R6は水素であり、及びR7は-NR15R16であり、式中、R15はHであり、及びR16は、水素、R17、-C(=O)-R17、及び-C(=O)-O-R17から選択され、R17は、水素、C1~C6アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R6は-O-R17である。一部の実施形態において、R6は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R6はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R6はC1アルキルである。一部の実施形態において、R6は-NR15R16である。
【0652】
一部の実施形態において、R7は-O-R17である。一部の実施形態において、R7は-O-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R7はC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1~C4アルキルである。一部の実施形態において、R7はC1アルキルである。一部の実施形態において、R7は-NR15R16である。
【0653】
一部の実施形態において、R8は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、及び(C1~C4アルキル)から選択される。一部の実施形態において、R8は水素である。一部の実施形態において、R8はヒドロキシル基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R8は-O-(C1アルキル)基である。
【0654】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0655】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0656】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0657】
一部の実施形態において、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。一部の実施形態において、aは、1、2、3、4、5、又は6である。一部の実施形態において、aは、1、2、3、4、又は5である。一部の実施形態において、aは、1、2、3、又は4である。一部の実施形態において、aは、1、2、又は3である。一部の実施形態において、aは、1又は2である。一部の実施形態において、aは1である。一部の実施形態において、aは2である。一部の実施形態において、aは3である。一部の実施形態において、aは4である。一部の実施形態において、aは5である。一部の実施形態において、aは6である。一部の実施形態において、aは7である。一部の実施形態において、aは8である。一部の実施形態において、aは9である。一部の実施形態において、aは10である。
【0658】
一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは少なくとも1つの切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの切断可能なペプチド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、リンカー又は切断可能なペプチド部分は少なくとも1つのアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、及びシトルリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、リンカーは、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、リンカーは、アラニン及びバリンを含む。
【0659】
一部の実施形態において、リンカーは、スルホンアミド、β-グルクロニド、ジスルフィド、及びカルボニルから選択される部分を含む。一部の実施形態において、リンカーはスルホンアミドを含む。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、リンカーはジスルフィドを含む。一部の実施形態において、リンカーはカルボニルを含む。
【0660】
一部の実施形態において、リンカーはスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は、アルキル基及びポリエチレングリコール(PEG)部分から選択される。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C12アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はメチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はエチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-プロピレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ブチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ペンチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ヘキシレンである。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~10の整数である。一部の実施形態において、mは1である。一部の実施形態において、mは2である。一部の実施形態において、mは3である。一部の実施形態において、mは4である。一部の実施形態において、mは5である。一部の実施形態において、mは6である。
【0661】
一部の実施形態において、リンカーはマレイミド(Mal)部分を含む(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、リンカーは自己犠牲性スペーサー単位を含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位は、p-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)及びp-アミノベンジル(pAB)から選択される。
【0662】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とアルキル基と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基を含む。
【0663】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とPEG部分と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~6の整数である。
【0664】
様々な他の実施形態において、本明細書に開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物は、式(IX)に係るリンカー-薬物構造を含む。様々な実施形態において、本開示は、式(IX):
【化120】
(式中、
R
1は、存在なし、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及び-CD
3から選択され;
R
2は、リンカーであり;
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルアミノ基、C
1~C
6アルキルカルボン酸基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、C
3~C
8ヘテロシクリル基、及び-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基から選択され;
R
4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル)基、及びC
1~C
6アルキル基から選択され;
R
10は、3~10員炭素環及び3~10員ヘテロ環から選択され、この各々は、0~3個のR
aで置換され、各R
aは、独立に、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6)アルキル基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、-S(=O)
w-(4~7員ヘテロ環)、4~7員炭素環、及び4~7員ヘテロ環から選択され;
R
15及びR
16は、各々独立に、水素、R
17、-C(=O)-R
17、及び-C(=O)-O-R
17から選択され;及び
R
17は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
8シクロアルキル基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
10、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-O-(C
1~C
6アルキル)基、-NR
15R
16、C
3~C
8シクロアルキル基、C
1~C
6アルキルヒドロキシ基、C
1~C
6アルキルアルコキシ基、ベンジル基、及びC
3~C
8ヘテロシクリル基から独立に選択される0~3個の基で置換され;
各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(C
3~C
10ヘテロシクリル基)、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基(ここで、この各々は、ハロゲン、ヒドロキシル基、-NR
15R
16、及びC
1~C
3アルキル基から独立に選択される0、1、又は2個の基で置換される)から独立に選択される0~3個の基で置換され;及び
wは、0、1、又は2である)
のリンカー-薬物(L-D)化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0665】
一部の実施形態において、R1は、存在なし、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC3~C8シクロアルキル基から選択される。一部の実施形態において、R1は存在しない。一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R1はメチルである。一部の実施形態において、R1はエチルである。一部の実施形態において、R1はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R1は-CH2CH2CH2CO2Hである。一部の実施形態において、R1はC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R1はシクロヘプチルである。
【0666】
一部の実施形態において、R3は、水素、C1~C4アルキル基、C1~C4アルキルアルコキシ基、C1~C4アルキルカルボン酸基、及びC1~C4アルキルヒドロキシ基から選択される。一部の実施形態において、R3は、水素及びC1~C4アルキルカルボン酸基から選択される。一部の実施形態において、R3は水素である。一部の実施形態において、R3はC1~C4アルキルカルボン酸基である。一部の実施形態において、R3は-CH2CH2CO2Hである。
【0667】
一部の実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシル基、-O-(C1~C4アルキル)基、-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基、及びC1~C4アルキル基から選択される。一部の実施形態において、R4は水素である。一部の実施形態において、R4はヒドロキシルである。一部の実施形態において、R4は-O-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-OCH3である。一部の実施形態において、R4は-OCH2CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-(C1~C4アルキル)基である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH3である。一部の実施形態において、R4は-O-C(=O)-CH2CH3である。一部の実施形態において、R4はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R4はメチルである。一部の実施形態において、R4はエチルである。
【0668】
一部の実施形態において、R10は、6~9員炭素環及び6~9員ヘテロ環から選択され、この各々は、0~2個のRaで置換され、各Raは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1~C6アルキル基、-(C=O)-(C1~C6アルキル)基、-(C=O)-(C1~C6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC1~C6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。
【0669】
一部の実施形態において、炭素環は、0~2個のR
aで置換されているフェニルであり、式中、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、フェニルは2個のR
aで置換され、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、フェニルは
【化121】
である。
【0670】
一部の実施形態において、ヘテロ環は、0~2個のR
aで置換されている9員ヘテロ環であり、式中、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、9員ヘテロ環は
【化122】
である。
【0671】
一部の実施形態において、R
aは、ハロゲン、3~10員炭素環、及び3~10員ヘテロ環から選択され、式中、各R
aは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル基、C
1~C
6アルキル基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)基、-(C=O)-(C
1~C
6アルキル)-(3~10員ヘテロ環)基、及びC
1~C
6アルキルカルボン酸基から独立に選択される0~3個の基で置換される。一部の実施形態において、R
aは、ハロゲン、
【化123】
から選択される。
【0672】
一部の実施形態において、R15は水素である。一部の実施形態において、R15はR17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R15は-C(=O)-O-R17である。
【0673】
一部の実施形態において、R16は水素である。一部の実施形態において、R16はR17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-R17である。一部の実施形態において、R16は-C(=O)-O-R17である。
【0674】
一部の実施形態において、R17は、水素、C1~C4アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、及びC3~C8ヘテロシクリル基から選択される。一部の実施形態において、R17は水素である。一部の実施形態において、R17はC1~C4アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC1アルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC4シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC5シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC6シクロアルキル基である。一部の実施形態において、R17はC3~C8ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC3ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC4ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC5ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC6ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC7ヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、R17はC8ヘテロシクリル基である。
【0675】
一部の実施形態において、R2はリンカーである。一部の実施形態において、リンカーは少なくとも1つの切断可能なペプチド部分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの切断可能なペプチド部分は酵素によって切断可能である。一部の実施形態において、リンカー又は切断可能なペプチド部分は少なくとも1つのアミノ酸単位を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、及びシトルリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、リンカーは、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、リンカーは、アラニン及びバリンを含む。
【0676】
一部の実施形態において、リンカーは、スルホンアミド、β-グルクロニド、ジスルフィド、及びカルボニルから選択される部分を含む。一部の実施形態において、リンカーはスルホンアミドを含む。一部の実施形態において、リンカーはβ-グルクロニドを含む。一部の実施形態において、リンカーはジスルフィドを含む。一部の実施形態において、リンカーはカルボニルを含む。
【0677】
一部の実施形態において、リンカーはスペーサー単位を含む。一部の実施形態において、スペーサー単位は、アルキル基及びポリエチレングリコール(PEG)部分から選択される。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C12アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基である。一部の実施形態において、アルキル基はメチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はエチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-プロピレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ブチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ペンチレンである。一部の実施形態において、アルキル基はn-ヘキシレンである。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~10の整数である。一部の実施形態において、mは1である。一部の実施形態において、mは2である。一部の実施形態において、mは3である。一部の実施形態において、mは4である。一部の実施形態において、mは5である。一部の実施形態において、mは6である。
【0678】
一部の実施形態において、リンカーはマレイミド(Mal)部分を含む(「Mal-スペーサー単位」)。一部の実施形態において、リンカーは自己犠牲性スペーサー単位を含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサー単位は、p-アミノベンジルオキシカルボニル(pABC)及びp-アミノベンジル(pAB)から選択される。
【0679】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とアルキル基と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、アルキル基はC1~C6アルキル基を含む。
【0680】
一部の実施形態において、リンカーは、Mal-スペーサー単位とPEG部分と少なくとも1つのアミノ酸単位と自己犠牲性スペーサーとを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン、シトルリン、及びバリンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、アラニン及びバリンを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸単位は、シトルリン及びバリンを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーは、pAB及びpABCから選択される。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABを含む。一部の実施形態において、自己犠牲性スペーサーはpABCを含む。一部の実施形態において、PEG部分は-(PEG)m-を含み、式中、mは1~6の整数である。
【0681】
一部の実施形態において、薬物部分は、D1、D2、D3、D4、D4’、D5、D6、D7、D8、D9、D10、D11、D12、D13、D14、D15、D16、D17、D18、D19、D20、D21、D22、D23、D24、D25、D26、D27、D28、D29、D30、D31、D32、D33、D34、及びD35から選択されるスプライシング調節薬である。
【0682】
様々な実施形態において、薬物部分は、D2及びD1から選択されるスプライシング調節薬である。
【0683】
様々な実施形態において、薬物部分はD2である。様々な実施形態において、開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物に使用されるD2薬物部分の構造は、以下に示される:
【化124】
【0684】
様々な実施形態において、本明細書に記載されるリンカー-薬物(L-D)化合物中のリンカーは、ピペラジン基のアミンを介してD2薬物部分に共有結合的に結び付く。様々な実施形態において、薬物部分はD2の誘導体である。様々な実施形態において、D2誘導体は、D2としての少なくとも1つの生物学的機能又は活性(例えば、SF3b複合体結合、インビトロスプライシング活性、細胞傷害性)を保持しているが、化学構造は変化している。
【0685】
様々な実施形態において、薬物部分はD1である。様々な実施形態において、開示されるリンカー-薬物(L-D)化合物に使用されるD1薬物部分の構造は、以下に示される:
【化125】
【0686】
様々な実施形態において、本明細書に記載されるリンカー-薬物(L-D)化合物中のリンカーは、ピペラジン基のアミンを介してD1薬物部分に共有結合的に結び付く。様々な実施形態において、薬物部分はD1の誘導体である。様々な実施形態において、D1誘導体は、D1としての少なくとも1つの生物学的機能又は活性(例えば、SF3b複合体結合、インビトロスプライシング活性、細胞傷害性)を保持しているが、化学構造は変化している。
【0687】
また、本明細書には、単独での、又は本明細書に開示されるADC中の薬物部分としての使用のための例示的スプライシング調節薬薬物化合物も開示される。本開示は、様々な実施形態において、かかる化合物の複数のコピーを含む組成物、例えば、スプライシング調節薬薬物化合物と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0688】
様々な実施形態において、本開示は、式
【化126】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0689】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化127】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0690】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化128】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0691】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化129】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0692】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化130】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0693】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化131】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0694】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化132】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0695】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化133】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0696】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化134】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0697】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化135】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0698】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化136】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0699】
様々な他の実施形態において、本開示は、式
【化137】
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択される化合物を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本化合物又はその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。
【0700】
バイオコンジュゲーション
一部の実施形態において、リンカー-薬物化合物は、
図26に示される例示的スキームのとおりに抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされ得る。簡潔に言えば、一部の実施形態では、抗体又は抗原結合断片を試薬、例えば還元剤、例えばトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンで処理して1つ以上のジスルフィド結合を還元することにより、抗体又は抗原結合断片を活性化し得る。一部の実施形態では、次に活性化した抗体又は抗原結合断片を所定の化学量論のリンカー-薬物化合物で処理する。その後、一部の実施形態では、次に混合物を精製技法、例えばサイズ排除樹脂又は限外ろ過に供すると、所望の抗体-薬物コンジュゲートが得られる。
【0701】
一部の実施形態において、本明細書には、構造
【化138】
(式中、Abは、抗体又は抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片上のチオール基の硫黄原子を通じてリンカー-薬物化合物(ADL1-D1)のマレイミド基に共有結合的に結合した抗体又は抗原結合断片である)
を有する抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0702】
一部の実施形態において、本明細書には、構造
【化139】
(式中、Abは、抗体又は抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片上のチオール基の硫黄原子を通じてリンカー-薬物化合物(ADL1-D4)のマレイミド基に共有結合的に結合した抗体又は抗原結合断片である)
を有する抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0703】
一部の実施形態において、本明細書には、構造
【化140】
(式中、Abは、抗体又は抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片上のチオール基の硫黄原子を通じてリンカー-薬物化合物(ADL1-D12)のマレイミド基に共有結合的に結合した抗体又は抗原結合断片である)
を有する抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0704】
一部の実施形態において、本明細書には、構造
【化141】
(式中、Abは、抗体又は抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片上のチオール基の硫黄原子を通じてリンカー-薬物化合物(ADL5-D2)のマレイミド基に共有結合的に結合した抗体又は抗原結合断片である)
を有する抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0705】
一部の実施形態において、本明細書には、構造
【化142】
(式中、Abは、抗体又は抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片上のチオール基の硫黄原子を通じてリンカー-薬物化合物(ADL5-D15)のマレイミド基に共有結合的に結合した抗体又は抗原結合断片である)
を有する抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0706】
一部の実施形態において、本明細書には、構造
【化143】
(式中、Abは、抗体又は抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片上のチオール基の硫黄原子を通じてリンカー-薬物化合物(ADL13-D4)のマレイミド基に共有結合的に結合した抗体又は抗原結合断片である)
を有する抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0707】
一部の実施形態において、Abは抗HER2抗体又はその抗原結合断片である。一部の実施形態において、AbはHER2に結合し、HER2を発現する新生物細胞を標的化する(即ち、このADCは、HER2を発現する新生物細胞を標的化する)。一部の実施形態において、Abはインターナリゼーション性抗HER2抗体又はそのインターナリゼーション性抗原結合断片である。
【0708】
一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はインターナリゼーション性抗体又はインターナリゼーション性抗原結合断片である。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトフレームワーク配列を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、抗HER2抗体又は抗原結合断片はヒトIgカッパ軽鎖定常領域を含む。
【0709】
薬物負荷量
薬物負荷量はpによって表され、本明細書では薬物対抗体比(DAR)とも称される。薬物負荷量は各抗体又は抗原結合断片当たり1~10個の薬物部分の範囲であり得る。一部の実施形態において、pは1~10の整数である。一部の実施形態において、pは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、又は1~2の整数である。一部の実施形態において、pは、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、又は2~3の整数である。一部の実施形態において、pは、1~8の整数である。一部の実施形態において、pは、2~4の整数である。他の実施形態において、pは、4~8の整数である。他の実施形態において、pは、1、2、3、4、5、6、7、又は8、好ましくは4又は8である。
【0710】
薬物負荷量は、抗体又は抗原結合断片上の結び付き部位の数によって制限され得る。一部の実施形態において、ADCのリンカー部分(L)は、抗体又は抗原結合断片上の1つ以上のアミノ酸残基上の化学的に活性な基を通じて抗体又は抗原結合断片に結び付く。例えば、リンカーは、遊離アミノ、イミノ、ヒドロキシル、チオール、又はカルボキシル基を介して抗体又は抗原結合断片に(例えば、N末端又はC末端に、1つ以上のリジン残基のεアミノ基に、1つ以上のグルタミン酸又はアスパラギン酸残基の遊離カルボン酸基に、又は1つ以上のシステイン残基のスルフヒドリル基に)結び付き得る。リンカーが結び付けられる部位は、抗体若しくは抗原結合断片のアミノ酸配列中の天然残基であり得るか、又はそれは、例えば、DNA組換え技術(例えば、アミノ酸配列にシステイン残基を導入することによる)若しくはタンパク質生化学(例えば、還元、pH調整、又は加水分解による)によって抗体若しくは抗原結合断片に導入され得る。
【0711】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートすることのできる薬物部分の数は、遊離システイン残基の数によって制限される。例えば、結び付きがシステインチオール基である場合、抗体がシステインチオール基を1個又は数個のみ有することがあるか、又はリンカーが結び付き得る十分な反応性のあるチオール基を1個又は数個のみ有することがある。概して、抗体は、薬物部分に連結し得る遊離及び反応性システインチオール基をあまり多く含まない。実際、抗体中のほとんどのシステインチオール残基は、鎖間又は鎖内のいずれかのジスルフィド結合に関与する。従ってシステインへのコンジュゲーションには、一部の実施形態では、抗体の少なくとも部分的な還元が必要であり得る。リンカー-毒素を抗体に過剰に結び付けると、ジスルフィド結合の形成に利用可能なシステイン残基が還元されることにより抗体が不安定になり得る。従って、最適な薬物:抗体比は、抗体又は抗原結合断片を不安定にすることなくADCの効力を(各抗体当たりに結び付いた薬物部分の数を増加させることにより)増加させなければならない。一部の実施形態において、最適な比は、2、4、6、又は8であり得る。
【0712】
一部の実施形態において、1つ以上の遊離システイン残基を生じさせるため、抗体又は抗原結合断片はコンジュゲーション前に還元条件に曝露される。抗体は、一部の実施形態では、ジチオスレイトール(DTT)又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などの還元剤によって部分的又は完全還元条件下で還元され得、それにより反応性システインチオール基が生じ得る。制限されたモル当量のTCEPによる部分的還元を通じて不対のシステインを生じさせ得、このTCEPは、鎖内ジスルフィド結合をインタクトなままとしながら、軽鎖と重鎖(各H-L対形成につき1つの対)及びヒンジ領域における2つの重鎖(ヒトIgG1の場合には各H-H対形成につき2つの対)を連結する鎖間ジスルフィド結合を還元することができる(Stefano et al.(2013)Methods Mol Biol.1045:145-71)。実施形態において、抗体内のジスルフィド結合は、例えば還元及び酸化電圧を交互に印加する作用電極を利用することにより電気化学的に還元される。この手法は、分析的装置(例えば、電気化学的検出装置、NMR分光計、又は質量分析計)又は化学的分離装置(例えば、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC)又は電気泳動装置(例えば、米国特許出願公開第20140069822号明細書を参照されたい))とのジスルフィド結合還元のオンライン結合を可能にし得る。特定の実施形態において、抗体は変性条件に供され、システインなど、アミノ酸残基上の反応性求核基が明らかにされる。
【0713】
ADCの薬物負荷量は、別様に、例えば、(i)抗体に対する薬物-リンカー中間体又はリンカー試薬のモル過剰を制限すること;(ii)コンジュゲーション反応時間又は温度を制限すること;(iii)システインチオール修飾のための部分的又は制限的還元条件;及び/又は(iv)リンカー-薬物の結び付きの数及び/又は位置の制御のためシステイン残基の数及び位置が修飾されるような抗体のアミノ酸配列の組換え技術による改変によって制御され得る。
【0714】
一部の実施形態において、抗体又は抗原結合断片のアミノ酸配列に遊離システイン残基が導入される。例えば、親抗体の1つ以上のアミノ酸がシステインアミノ酸に置き換えられているシステイン改変抗体を調製することができる。任意の形態の抗体をこのように改変し得、即ち突然変異させ得る。例えば、親Fab抗体断片を改変して、「ThioFab」と称されるシステイン改変Fabを形成し得る。同様に、親モノクローナル抗体を改変して「ThioMab」を形成し得る。ThioFabでは単一の部位突然変異が単一の改変システイン残基を生じさせるが、一方、ThioMabではIgG抗体の二量体の性質に起因して、単一部位突然変異が2つの改変されたシステイン残基を生じさせる。親ポリペプチドのアミノ酸配列変異体をコードするDNAは、当技術分野において公知の種々の方法により調製することができる(例えば、国際公開第2006/034488号パンフレットに記載される方法を参照されたい)。これらの方法としては、限定はされないが、先に調製しておいた、そのポリペプチドをコードするDNAの部位特異的(又はオリゴヌクレオチド媒介性)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発による調製が挙げられる。組換え抗体の変異体は、制限酵素断片操作によるか、又は合成オリゴヌクレオチドによるオーバーラップエクステンションPCRによっても構築され得る。式(I)のADCとしては、限定はされないが、1、2、3、又は4つの改変されたシステインアミノ酸を有する抗体が挙げられる(Lyon et al.(2012)Methods Enzymol.502:123-38)。一部の実施形態では、抗体又は抗原結合断片には、改変を用いることなく1つ以上の遊離システイン残基が既に存在し、その場合、既存の遊離システイン残基を使用して抗体又は抗原結合断片を薬物部分にコンジュゲートし得る。
【0715】
抗体又は抗原結合断片の複数のコピー及びリンカー部分を含む反応混合物中において、2つ以上の求核基が薬物-リンカー中間体又はリンカー部分試薬、続いて薬物部分試薬と反応する場合、得られる生成物は、混合物中の抗体又は抗原結合断片の各コピーに結び付いた1つ以上の薬物部分の分布を有するADC化合物の混合物であり得る。一部の実施形態において、コンジュゲーション反応から得られるADCの混合物の薬物負荷量は、各抗体又は抗原結合断片当たりに結び付いた1~10個の薬物部分の範囲である。各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数(即ち、平均薬物負荷量、又は平均p)は、当技術分野において公知の任意の従来方法、例えば、質量分析(例えば、逆相LC-MS)、及び/又は高速液体クロマトグラフィー(例えば、HIC-HPLC)により計算し得る。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、疎水性相互作用クロマトグラフィー-高速液体クロマトグラフィー(HIC-HPLC)により決定される。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、逆相液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により決定される。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、約1.5~約3.5、約2.5~約4.5、約3.5~約5.5、約4.5~約6.5、約5.5~約7.5、約6.5~約8.5、又は約7.5~約9.5である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、約2~約4、約3~約5、約4~約6、約5~約7、約6~約8、約7~約9、約2~約8、又は約4~約8である。
【0716】
一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は約2である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、又は約2.5である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は2である。
【0717】
一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は約4である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、又は約4.5である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は4である。
【0718】
一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は約8である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、又は約8.5である。一部の実施形態において、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数は8である。
【0719】
様々な実施形態において、用語「約」は、各抗体又は抗原結合断片当たりの平均薬物部分数に関して使用されるとき、±10%を意味する。
【0720】
個々のADC化合物、又は「種」は、混合物中に質量スペクトル法によって同定し、UPLC又はHPLC、例えば疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC-HPLC)によって分離し得る。特定の実施形態では、例えば電気泳動法又はクロマトグラフィーにより、コンジュゲーション混合物から単一の負荷量値の均一な又はほぼ均一なADC生成物を分離し得る。
【0721】
一部の実施形態において、薬物負荷量が高いと(例えば、p>8)、ある種の抗体-薬物コンジュゲートの凝集、不溶性、毒性、又は細胞透過性の喪失が生じ得る。薬物負荷量が高いと、ある種のADCの薬物動態(例えば、クリアランス)にも悪影響が及び得る。一部の実施形態において、薬物負荷量が低いと(例えば、p<2)、標的発現細胞及び/又はバイスタンダー細胞に対するある種のADCの効力が低下し得る。一部の実施形態において、本開示のADCの薬物負荷量は、約2~約8;約2~約6;約2~約5;約3~約5;約2~約4;又は約4~約8の範囲である。
【0722】
一部の実施形態では、例えば抗体又は抗原結合断片上の鎖内ジスルフィドの部分的還元を用いて約2の薬物負荷量及び/又は平均薬物負荷量が実現され、これが有益な特性をもたらす。一部の実施形態において、例えば抗体又は抗原結合断片上の鎖内ジスルフィドの部分的還元を用いて約4の薬物負荷量及び/又は平均薬物負荷量が実現され、これが有益な特性をもたらす。一部の実施形態において、例えば抗体又は抗原結合断片上の鎖内ジスルフィドの部分的還元を用いて約8の薬物負荷量及び/又は平均薬物負荷量が実現され、これが有益な特性をもたらす。一部の実施形態において、薬物負荷量及び/又は平均薬物負荷量が約2に満たないと、標的抗原への結合に関してADCと競合し及び/又は治療有効性の低下をもたらし得る非コンジュゲート化抗体種のレベルが許容し難いほど高くなり得る。一部の実施形態において、薬物負荷量及び/又は平均薬物負荷量が約8を超えると、生成物の不均一性及び/又はADC凝集のレベルが許容し難いほど高くなり得る。薬物負荷量及び/又は平均薬物負荷量が約8を超えるとまた、抗体又は抗原結合断片を安定させるために必要な1つ以上の化学結合が失われることに起因して、ADCの安定性にも影響が及び得る。
【0723】
本開示は、記載されるADCの作製方法を含む。簡潔に言えば、ADCは、本抗体又は抗原結合断片のような抗体又は抗原結合断片、薬物部分(例えば、スプライシング調節薬)、及び薬物部分と抗体又は抗原結合断片とをつなぎ合わせるリンカーを含む。一部の実施形態において、ADCは、薬物部分及び抗体又は抗原結合断片に共有結合的に結び付くための反応性官能基を有するリンカーを用いて調製することができる。例えば、一部の実施形態では、抗体又は抗原結合断片のシステインチオールが、リンカー又は薬物-リンカー中間体の反応性官能基(例えば、マレイミド部分)と結合を形成してADCを作り出すことができる。ADCの作成は、当業者に公知の任意の技法により達成することができる。
【0724】
一部の実施形態において、ADCは、抗体又は抗原結合断片にリンカー及び薬物部分(例えば、スプライシング調節薬)を順次接触させることにより作製され、従って抗体又は抗原結合断片が初めにリンカーに共有結合的に連結され、次に予め形成された抗体-リンカー中間体が薬物部分と反応する。抗体-リンカー中間体は、薬物部分との接触前に精製ステップに供されても又は供されなくてもよい。他の実施形態では、ADCは、リンカーを薬物部分と反応させることによって予め形成されたリンカー-薬物化合物を抗体又は抗原結合断片に接触させることにより作製される。予め形成されたリンカー-薬物化合物は、抗体又は抗原結合断片との接触前に精製ステップに供されても又は供されなくてもよい。他の実施形態では、抗体又は抗原結合断片を1つの反応混合物中でリンカー及び薬物部分に接触させて、抗体又は抗原結合断片とリンカーとの間、及びリンカーと薬物部分との間の共有結合的結合の同時形成が実現される。このADC作製方法は、反応混合物にリンカーを加える前に抗体又は抗原結合断片を抗体又は抗原結合断片に接触させる反応、及びその逆の反応を含み得る。特定の実施形態において、ADCは、コンジュゲーションを許容する条件下において、ADL1-スプライシング調節薬(例えば、ADL1-D1)又はADL5-スプライシング調節薬(例えば、ADL5-D2)など、薬物部分につなぎ合わされたリンカーと抗体又は抗原結合断片を反応させることにより作製される。
【0725】
上記に記載される方法のとおり調製したADCは、精製ステップに供され得る。精製ステップは、タンパク質を精製するための当技術分野において公知の任意の生化学的方法、又はそれらの方法の任意の組み合わせを含み得る。そうした方法としては、限定はされないが、タンジェンシャルフローろ過(TFF)、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、任意の電荷又は等電点に基づくクロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、例えば、CHT(セラミックヒドロキシアパタイト)、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、透析、ろ過、選択的沈殿、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0726】
治療的使用及び組成物
本明細書には、障害、例えば新生物障害についての対象の治療における開示されるADC及び組成物の使用方法が開示される。ADCは単独で、又は第2の療法剤と組み合わせて投与され得、任意の薬学的に許容可能な製剤、投薬量、及び投与レジメンで投与され得る。ADC治療有効性は、毒性並びに有効性の指標に関して評価され、それに応じて調整され得る。有効性の尺度としては、限定はされないが、インビトロ又はインビボで観察される細胞増殖抑制効果及び/又は細胞傷害効果、腫瘍容積の低下、腫瘍増殖抑制率、及び/又は生存の延長が挙げられる。
【0727】
ADCが細胞に細胞増殖抑制効果及び/又は細胞傷害効果を及ぼすかどうかを決定する方法は公知である。例えば、ADCの細胞傷害活性又は細胞増殖抑制活性は、標的タンパク質を発現する哺乳類細胞を細胞培養培地中でADCに曝露すること;約6時間~約6日の期間にわたって細胞を培養すること;及び細胞生存能力を測定することにより測定し得る。細胞ベースのインビトロアッセイは、生存能力(増殖)、細胞傷害性、及びADCのアポトーシス誘導(カスパーゼ活性化)の測定にも用いられ得る。
【0728】
ADCが細胞増殖抑制効果を及ぼすかどうかの決定には、チミジン取り込みアッセイを用い得る。例えば、96ウェルの1ウェル当たり5,000細胞の密度でプレーティングした標的抗原を発現する癌細胞を72時間の期間にわたって培養し、その72時間の期間中最後の8時間の間、0.5μCiの3H-チミジンに曝露することができる。ADCの存在下及び非存在下における培養物の細胞への3H-チミジンの取り込みが測定される。
【0729】
細胞傷害性の決定には、壊死又はアポトーシス(プログラム細胞死)が測定され得る。壊死は、典型的には細胞膜の透過性の増加;細胞の腫脹、及び細胞膜の破裂を伴う。アポトーシスは、例えばDNA断片化を測定することにより定量化し得る。DNA断片化をインビトロで定量的に決定する市販の測光的方法が利用可能である。かかるアッセイの例は、TUNEL(これは、断片化したDNAにおける標識ヌクレオチドの取り込みを検出する)及びELISAベースのアッセイを含め、Biochemica(1999)No.2,pp.34-37(Roche Molecular Biochemicals)に記載されている。
【0730】
アポトーシスは、細胞の形態学的変化を測定することによっても決定され得る。例えば、壊死と同様に、ある種の色素(例えば、例としてアクリジンオレンジ又は臭化エチジウムなどの蛍光色素)の取り込みを測定することにより、細胞膜の完全性の喪失を決定し得る。アポトーシス細胞数の測定方法については、Duke and Cohen,Current Protocols in Immunology(Coligan et al.,eds.(1992)pp.3.17.1-3.17.16)によって記載されている。細胞は、DNA色素(例えば、アクリジンオレンジ、臭化エチジウム、又はヨウ化プロピジウム)で標識し、核の内膜に沿ったクロマチン凝縮及び辺縁趨向に関して細胞を観察することもできる。アポトーシスは、一部の実施形態では、カスパーゼ活性をスクリーニングすることによっても決定され得る。一部の実施形態では、Caspase-Glo(登録商標)アッセイを用いてカスパーゼ-3及びカスパーゼ-7の活性を測定することができる。一部の実施形態では、このアッセイは、カスパーゼ活性、ルシフェラーゼ活性、及び細胞溶解に関して最適化された試薬中に発光性のカスパーゼ-3/7基質を提供する。一部の実施形態では、「添加-混合-測定(add-mix-measure)」フォーマットでCaspase-Glo(登録商標)3/7試薬を加えると、細胞溶解、続いて基質のカスパーゼ切断、及びルシフェラーゼによって生じる「グロー型」発光シグナルの生成が起こり得る。一部の実施形態において、発光はカスパーゼ活性の存在量に比例し得、アポトーシスの指標としての役割を果たし得る。アポトーシスを決定するため測定し得る他の形態学的変化としては、例えば、細胞質凝集、膜ブレブ形成の増加、及び細胞萎縮が挙げられる。癌細胞に対するこれらの効果のいずれかの決定が、ADCが癌の治療において有用であることを示す。
【0731】
細胞生存能力は、例えば、細胞において、ニュートラルレッド、トリパンブルー、クリスタルバイオレット、又はALAMAR(商標)ブルーなどの色素の取り込みを決定することにより測定され得る(例えば、Page et al.(1993)Intl J Oncology 3:473-6を参照されたい)。かかるアッセイでは、色素を含有する培地中で細胞がインキュベートされ、細胞が洗浄され、及び細胞による色素の取り込みを反映する残留色素が分光光度法で測定される。細胞生存能力は、例えば、代謝活性を有する細胞の指標であるATPを定量化することによっても測定され得る。特定の実施形態において、調製されたADC又はスプライシング調節薬化合物のインビトロ効力及び/又は細胞生存能力は、本明細書に提供される例に記載されるとおり、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存能力アッセイを用いて判定され得る。このアッセイでは、特定の実施形態において、単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)が、血清補足培地で培養されている細胞に直接加えられる。試薬を加えると、ATPの存在量に比例した細胞溶解及び発光シグナルの生成が起こる。ATPの量は、培養下に存在する細胞の数に正比例する。タンパク質結合色素スルホローダミンB(SRB)も細胞傷害性の測定に使用することができる(Skehan et al.(1990)J Natl Cancer Inst.82:1107-12)。
【0732】
開示されるADCは、バイスタンダー殺傷活性に関しても評価され得る。バイスタンダー殺傷活性は、例えば、1つは標的抗原陽性及び1つは標的抗原陰性の2つの細胞株を用いるアッセイにより決定され得る。特定の実施形態では、アッセイの設計により、標的陰性細胞のみを追跡することが可能である。特定の実施形態では、細胞を3つの条件下にプレーティングする:(i)標的陰性細胞単独(タグ付加又は標識されている);(ii)標的陽性細胞単独;及び(iii)標的陰性細胞と標的陽性細胞との共培養。次に細胞をADCで処理し、続いて細胞傷害性をモニタする。CellTiter-Glo(登録商標)試薬でプレートを読み取ると、全ての細胞集団の生存能力をモニタすることができる。OneGlo(登録商標)試薬でプレートを読み取ると、タグ付加又は標識された標的陰性細胞のみがシグナルを生じる。標的陽性細胞と混合したときの標的陰性細胞の殺傷がバイスタンダー殺傷の指標となる一方、標的陽性細胞がないときの標的陰性細胞の殺傷がオフターゲット殺傷の指標となる。
【0733】
特定の態様において、本開示は、RNAスプライシングを破壊することにより癌細胞又は癌組織を殺傷し、その成長を阻害又は調節し、又はその代謝に干渉する方法を特徴とする。本方法は、RNAスプライシングの破壊によって治療利益を得る任意の対象で用いることができる。RNAスプライシングの破壊が有益となり得る対象としては、限定はされないが、血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍などの新生物障害を有するか又は有するリスクがある者が挙げられる。特定の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、血液の癌(白血病)、形質細胞の癌(骨髄腫、例えば多発性骨髄腫)、又はリンパ節の癌(リンパ腫)である。特定の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病又は多発性骨髄腫である。特定の実施形態において、白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又は急性単球性白血病(AMoL)である。特定の実施形態において、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫である。特定の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、骨髄異形成症候群(MDS)である。特定の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、膵癌、前立腺癌、結腸又は結腸直腸癌、肺癌、胃癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、胆管癌、神経膠腫、又は黒色腫などの癌腫である。特定の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌である。特定の実施形態において、肺癌は肺腺癌である。特定の実施形態において、子宮癌は漿液性子宮内膜癌である。
【0734】
様々な実施形態において、開示されるADCは、HER2発現新生物細胞又は組織など、HER2を発現する任意の細胞又は組織において投与され得る。例示的実施形態には、HER2媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法又は細胞を殺傷する方法が含まれる。本方法は、癌性細胞又は転移性病変など、HER2を発現する任意の細胞又は組織で用いることができる。HER2を発現する癌の非限定的な例としては、乳癌、胃癌、膀胱癌、尿路上皮細胞癌、食道癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、及び卵巣癌が挙げられる(English et al.(2013)Mol Diagn Ther.17:85-99)。HER2発現細胞の非限定的な例としては、HCC1954及びSKBR3ヒト乳管癌細胞、N87ヒト胃癌細胞、及びHER2又はその一部分をコードする組換え核酸を含む細胞が挙げられる。
【0735】
様々な実施形態において、開示されるADCは、CD138発現新生物細胞又は組織など、CD138を発現する任意の細胞又は組織において投与され得る。例示的実施形態には、CD138媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法又は細胞を殺傷する方法が含まれる。本方法は、癌性細胞又は転移性病変など、CD138を発現する任意の細胞又は組織で用いることができる。CD138を発現する癌の非限定的な例としては、胸腔内癌(例えば、肺癌、中皮腫)、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌)、頭頸部癌(例えば、喉頭、下咽頭、鼻咽頭)、乳癌、泌尿生殖器癌(例えば、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、尿路上皮癌)、血液学的悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫などの骨髄腫、ホジキンリンパ腫)、及び甲状腺癌が挙げられる(Szatmari et al.(2015)Dis Markers 2015:796052)。CD138発現細胞の非限定的な例としては、MOLP8ヒト多発性骨髄腫細胞、及びCD138又はその一部分をコードする組換え核酸を含む細胞が挙げられる。
【0736】
様々な実施形態において、開示されるADCは、EPHA2発現新生物細胞又は組織など、EPHA2を発現する任意の細胞又は組織において投与され得る。例示的実施形態には、EPHA2媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法又は細胞を殺傷する方法が含まれる。本方法は、癌性細胞又は転移性病変など、EPHA2を発現する任意の細胞又は組織で用いることができる。EPHA2を発現する癌の非限定的な例としては、乳癌、脳癌、卵巣癌、膀胱癌、膵癌、食道癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫、食道癌、及び胃癌が挙げられる(Tandon et al.(2011)Expert Opin Ther Targets 15(1):31-51。EPHA2発現細胞の非限定的な例としては、PC3ヒト前立腺癌細胞、及びEPHA2又はその一部分をコードする組換え核酸を含む細胞が挙げられる。
【0737】
例示的方法は、有効量、即ち、細胞を殺傷するのに十分な量の本明細書に記載されるとおりのADCを細胞に接触させるステップを含む。本方法は、培養下の細胞に対して、例えばインビトロ、インビボ、エキソビボ、又はインサイチューで使用することができる。例えば、HER2を発現する細胞(例えば、腫瘍又は転移性病変の生検により回収された細胞;樹立癌細胞株からの細胞;又は組換え細胞)を培養培地中でインビトロ培養することができ、接触させるステップは、培養培地にADCを加えることにより影響を受け得る。本方法は、詳細にはHER2を発現する腫瘍細胞を含めた、HER2を発現する細胞の殺傷を生じさせることになる。代わりに、本ADCは、インビボで効果を及ぼすための任意の好適な投与経路(例えば、静脈内、皮下、又は腫瘍組織との直接的な接触)によって対象に投与することができる。この手法は、他の細胞表面抗原(例えば、CD138、EPHA2)を標的化する抗体に用いることができる。
【0738】
開示されるADC治療組成物のインビボ効果は、好適な動物モデルで評価することができる。例えば、異種癌モデルを使用し得、ここでは癌外植片又は継代異種移植片組織がヌードマウス又はSCIDマウスなどの免疫不全動物に導入される(Klein et al.(1997)Nature Med.3:402-8)。有効性は、腫瘍形成、腫瘍退縮又は転移などの阻害を測定するアッセイを用いて予測され得る。
【0739】
アポトーシスなどの機構による腫瘍死滅の促進を評価するインビボアッセイも用いることができる。一実施形態において、治療組成物で治療された腫瘍担持マウスからの異種移植片をアポトーシスフォーカスの存在に関して調べ、未治療の対照異種移植片担持マウスと比較することができる。治療したマウスの腫瘍にアポトーシスフォーカスがどの程度見られるかが、組成物の治療有効性の指標を与える。
【0740】
更に、本明細書には、新生物障害、例えば癌の治療方法が提供される。本明細書に開示されるADCは、治療目的で非ヒト哺乳類又はヒト対象に投与することができる。治療的方法は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象に、癌細胞表面に発現する抗原に結合するか、そこでの結合に利用可能であるか、又はそこに局在化するターゲティング抗体に連結したスプライシング調節薬を含むADC又は組成物の治療有効量を投与することを伴う。一部の実施形態において、本抗体-薬物コンジュゲート又は組成物による治療は、標的抗原を発現しないが、標的抗原を発現する新生物細胞に隣接する新生物細胞のバイスタンダー殺傷を誘導する。
【0741】
例示的実施形態は、HER2を発現する細胞にスプライシング調節薬を送達する方法であって、HER2エピトープに免疫特異的に結合する抗体にスプライシング調節薬をコンジュゲートすること、及び細胞をこのADCに曝露することを含む方法である。本開示のADCが適応となるHER2を発現する例示的腫瘍細胞としては、胃癌細胞及び乳管癌細胞が挙げられる。
【0742】
別の例示的実施形態は、CD138を発現する細胞にスプライシング調節薬を送達する方法であって、CD138エピトープに免疫特異的に結合する抗体にスプライシング調節薬をコンジュゲートすること、及び細胞をこのADCに曝露することを含む方法である。本開示のADCが適応となるCD138を発現する例示的腫瘍細胞としては、多発性骨髄腫細胞が挙げられる。
【0743】
別の例示的実施形態は、EPHA2を発現する細胞にスプライシング調節薬を送達する方法であって、EPHA2エピトープに免疫特異的に結合する抗体にスプライシング調節薬をコンジュゲートすること、及び細胞をこのADCに曝露することを含む方法である。本開示のADCが適応となるEPHA2を発現する例示的腫瘍細胞としては、前立腺癌細胞が挙げられる。
【0744】
別の例示的実施形態は、腫瘍(例えば、HER2発現腫瘍、CD138発現腫瘍、EPHA2発現腫瘍)の成長を低減又は阻害する方法であって、治療有効量のADC又はADCを含む組成物を投与することを含む方法である。一部の実施形態において、治療は、患者の腫瘍の成長を低減又は阻害し、転移性病変の数又はサイズを低減し、腫瘍負荷を低減し、原発腫瘍負荷を低減し、侵襲性を低減し、生存期間を延長させ、及び/又はクオリティ・オブ・ライフを維持し又は向上させるのに十分である。一部の実施形態において、腫瘍は、単独投与時のADCの抗体又は抗原結合断片(例えば、抗HER2抗体、抗CD138抗体、抗EPHA2抗体)による治療に抵抗性又は難治性であり、及び/又は腫瘍は、単独投与時のスプライシング調節薬薬物部分による治療に抵抗性又は難治性である。
【0745】
特定の態様において、本開示は、HER2発現腫瘍の成長を低減又は阻害する方法を提供する。特定の実施形態において、本抗体-薬物コンジュゲート又は組成物による治療は、HER2を発現しないが、HER2を実に発現する新生物腫瘍細胞に隣接する腫瘍細胞のバイスタンダー殺傷を誘導する。例示的HER2発現腫瘍型としては、限定はされないが、HER2を発現する乳癌、胃癌、膀胱癌、尿路上皮細胞癌、食道癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、及び卵巣癌に由来する腫瘍が挙げられる。特定の実施形態において、HER2発現腫瘍は、HER2を発現する乳癌、卵巣癌、胃癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、骨肉腫、又は唾液管癌に由来する腫瘍である。特定の実施形態において、HER2発現腫瘍は肺腺癌又は漿液性子宮内膜癌である。
【0746】
特定の態様において、本開示は、CD138発現腫瘍の成長を低減又は阻害する方法を提供する。特定の実施形態において、本抗体-薬物コンジュゲート又は組成物による治療は、CD138を発現しないが、CD138を実に発現する新生物腫瘍細胞に隣接する腫瘍細胞のバイスタンダー殺傷を誘導する。例示的CD138発現腫瘍型としては、限定はされないが、CD138を発現する胸腔内癌(例えば、肺癌、中皮腫)、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌)、頭頸部癌(例えば、喉頭、下咽頭、鼻咽頭)、乳癌、泌尿生殖器癌(例えば、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、尿路上皮癌)、及び甲状腺癌に由来する腫瘍が挙げられる。
【0747】
特定の態様において、本開示は、EPHA2発現腫瘍の成長を低減又は阻害する方法を提供する。特定の実施形態において、本抗体-薬物コンジュゲート又は組成物による治療は、EPHA2を発現しないが、EPHA2を実に発現する新生物腫瘍細胞に隣接する腫瘍細胞のバイスタンダー殺傷を誘導する。例示的EPHA2発現腫瘍型としては、限定はされないが、EPHA2を発現する乳癌、脳癌、卵巣癌、膀胱癌、膵癌、食道癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫、食道癌、及び胃癌に由来する腫瘍が挙げられる。特定の実施形態において、EPHA2発現腫瘍は、EPHA2を発現する乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、黒色腫、結腸癌、又は食道癌に由来する腫瘍である。
【0748】
更に、本開示の抗体は、獣医学的目的で、又はヒト疾患の動物モデルとして、ADCが結合能を有する抗原を発現する非ヒト哺乳類に投与され得る。後者に関して、かかる動物モデルは、開示されるADCの治療有効性の評価(例えば、投薬量及び投与の時間経過の試験)に有用であり得る。
【0749】
更に、本明細書には、開示されるADC及び組成物の治療的使用が提供される。例示的実施形態は、新生物障害(例えば、HER2発現癌、CD138発現癌、EPHA2発現癌)の治療におけるADCの使用である。別の例示的実施形態は、新生物障害(例えば、HER2発現癌、CD138発現癌、EPHA2発現癌)の治療における使用のためのADCである。標的抗原(例えば、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、STEAP1)を発現する癌を有する対象の同定方法は当技術分野において公知であり、開示されるADCによる治療に好適な患者の同定に用いることができる。
【0750】
別の例示的実施形態は、新生物障害(例えば、HER2発現癌、CD138発現癌、EPHA2発現癌)の治療のための医薬品を製造する方法におけるADCの使用である。
【0751】
前述の方法の実施において使用される治療組成物は、所望の送達方法に好適な薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に製剤化され得る。例示的実施形態は、本開示のADCと薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物である。好適な担体には、治療組成物と組み合わせたとき、治療組成物の抗腫瘍機能を保持し、且つ概して患者の免疫系との反応性を有しない任意の材料が含まれる。薬学的に許容可能な担体には、生理的に適合性のあるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容可能な担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、メシル酸塩などの1つ以上並びにこれらの組み合わせが挙げられる。多くの場合、組成物中には等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール類、又は塩化ナトリウムが含まれる。薬学的に許容可能な担体は、湿潤剤又は乳化剤、保存剤又は緩衝液など、ADCの保存期間又は有効性を亢進させる少量の補助物質を更に含み得る。
【0752】
治療製剤は、可溶化され、治療組成物を腫瘍部位に送達可能な任意の経路によって投与され得る。潜在的に有効な投与経路としては、限定はされないが、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮内、臓器内、同所性などが挙げられる。治療用タンパク質調製物は凍結乾燥し、滅菌粉末として例えば真空下で保存し、次に注射前に静菌水中(例えば、ベンジルアルコール保存剤を含有する)又は滅菌水中に再構成することができる。治療製剤は、ADC又はその薬学的に許容可能な塩、例えばメシル酸塩を含み得る。
【0753】
一部の実施形態において、ADCは、連日、隔月、又は間の任意の期間で患者に投与される。前述の方法を用いた癌の治療用の投薬量及び投与プロトコルは、方法及び標的の癌によって異なることになり、概して当技術分野で認められている幾つもの他の要因に依存することになる。
【0754】
様々な送達システムが公知であり、本開示の1つ以上のADCの投与に用いることができる。ADCの投与方法としては、限定はされないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与、及び粘膜投与(例えば、鼻腔内及び経口経路)が挙げられる。加えて、例えば、インへラー又は噴霧器、及びエアロゾル化性薬剤を含む製剤の使用により、肺内投与が用いられ得る。例えば、米国特許第6,019,968号明細書、同第5,985,320号明細書、同第5,985,309号明細書、同第5,934,272号明細書、同第5,874,064号明細書、同第5,855,913号明細書、同第5,290,540号明細書、及び同第4,880,078号明細書;及び国際公開第1992/019244号パンフレット、同第1997/032572号パンフレット、同第1997/044013号パンフレット、同第1998/031346号パンフレット、及び同第1999/066903号パンフレットに記載される肺内投与用の組成物及び方法を参照されたい。ADCは、任意の好都合な経路、例えば、注入若しくはボーラス注射によるか、又は上皮若しくは皮膚粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜等)からの吸収により投与され得る。投与は全身投与又は局所投与のいずれでもあり得る。
【0755】
本明細書に開示される治療組成物は、無菌で、且つ製造及び貯蔵条件下で安定しているものであり得る。一部の実施形態において、ADC、又は医薬組成物の1つ以上が、乾燥滅菌凍結乾燥粉末又は水分を含まない濃縮物としてハーメチックシール容器に供給され、これは対象への投与に適切な濃度となるように(例えば、水又は生理食塩水で)再構成することができる。一部の実施形態において、予防剤又は療法剤又は医薬組成物の1つ以上は、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、又は少なくとも100mg、又は間の任意の量の単位投薬量の乾燥滅菌凍結乾燥粉末としてハーメチックシール容器に供給される。一部の実施形態において、凍結乾燥ADC又は医薬組成物は当初の容器に2℃~8℃で保存される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の1つ以上は、ハーメチックシール容器、例えば薬剤の分量及び濃度を指示する容器に液体形態で供給される。一部の実施形態において、投与される組成物の液体形態は、少なくとも0.25mg/mL、少なくとも0.5mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも2.5mg/mL、少なくとも5mg/mL、少なくとも8mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも75mg/mL、又は少なくとも100mg/mL ADCのハーメチックシール容器に供給される。液体形態は、当初の容器に2℃~8℃で保存され得る。
【0756】
一部の実施形態において、開示されるADCは、非経口投与に好適な医薬組成物に取り入れることができる。注射用溶液は、フリント若しくはアンバーバイアル、アンプル若しくはプレフィルドシリンジ、又は他の公知の送達若しくは保存装置内にある液体又は凍結乾燥剤形のいずれかで構成され得る。
【0757】
本明細書に記載される組成物は種々の形態であり得る。それらとしては、例えば、液体、半固体、及び固体剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射用及び注入用溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸薬、散剤、リポソーム、及び坐薬などが挙げられる。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療上の適用に依存する。
【0758】
様々な実施形態において、治療は、許容可能な投与経路によるADC調製物の単回ボーラス又は反復投与を含む。
【0759】
最も有効な投与レジメンの決定等を助けるため、所与の試料中の標的抗原レベル(例えば標的抗原発現細胞レベル)に関して患者が評価され得る。例示的実施形態は、本開示のADCによる治療が患者に奏効するかどうかを決定する方法であって、患者からの生体試料を提供することと、生体試料にADCを接触させることとを含む方法である。例示的生体試料としては、炎症性滲出物、血液、血清、腸液、便試料、又は腫瘍生検(例えば、標的抗原を発現する癌、例えば、HER2発現癌、CD138発現癌、EPHA2発現癌を有する又はそのリスクがある患者に由来する腫瘍生検)など、組織又は体液が挙げられる。一部の実施形態において、対象から試料(例えば、組織及び/又は体液)を入手することができ、好適な免疫学的方法を用いて標的抗原(例えば、HER2、CD138、EPHA2、MSLN、FOLH1、CDH6、CEACAM5、CFC1B、ENPP3、FOLR1、HAVCR1、KIT、MET、MUC16、SLC39A6、SLC44A4、STEAP1)のタンパク質発現を検出及び/又は測定することができる。かかる評価は、療法全体を通じたモニタリングのためにも用いられ、他のパラメータの評価と組み合わせて療法の成功を判断するのに有用である。
【0760】
一部の実施形態において、ADCの有効性は、対象からの腫瘍試料にADCを接触させること、及び腫瘍成長速度又は容積を評価することにより評価され得る。一部の実施形態において、ADCが有効であると決定された場合、それを対象に投与し得る。
【0761】
上記の治療手法は、多種多様な追加の手術、化学療法、又は放射線療法レジメンのいずれか1つと組み合わせることができる。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADC又は組成物は、1つ以上の追加の療法剤、例えば1つ以上の化学療法剤と共製剤化され、及び/又は共投与される。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、及びスルホン酸アルキル;代謝拮抗薬、例えば、葉酸、プリン又はピリミジン拮抗薬;抗有糸分裂剤、例えば、エリブリン又はエリブリンメシル酸塩(Halaven(商標))、ビンカアルカロイド類、及びアウリスタチン類などの抗チューブリン剤;細胞傷害性抗生物質;DNA発現又は複製に損傷を与える又は干渉する化合物、例えば、DNA副溝結合剤;及び成長因子受容体拮抗薬が挙げられる。一部の実施形態において、化学療法剤は細胞傷害剤又は細胞増殖抑制剤であり得る。細胞傷害剤の例としては、限定はされないが、エリブリン又はエリブリンメシル酸塩(Halaven(商標))、アウリスタチン類(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF))、メイタンシノイド類(例えば、メイタンシン)、ドラスタチン類、デュオスタチン類、クリプトフィシン類、ビンカアルカロイド類(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン)、タキサン類、タキソール類、及びコルヒチン類などの抗有糸分裂剤;アントラサイクリン類(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン);細胞傷害性抗生物質(例えば、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、デュオカルマイシン類(例えば、CC-1065)、オーレオマイシン類、デュオマイシン類、カリケアマイシン類、エンドマイシン類、フェノマイシン類);アルキル化剤(例えば、シスプラチン);インターカレート剤(例えば、臭化エチジウム);トポイソメラーゼ阻害薬(例えば、エトポシド、テニポシド);At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212又は213、P32などの放射性同位体、及びルテチウムの放射性同位体(例えば、Lu177);及び細菌、真菌、植物又は動物起源の毒素(例えば、リシン(例えば、リシンA鎖)、ジフテリア毒素、シュードモナス属(Pseudomonas)外毒素A(例えば、PE40)、エンドトキシン、ミトゲリン(mitogellin)、コンブレスタチン、レストリクトシン、ゲロニン、αサルシン、アブリン(例えば、アブリンA鎖)、モデシン(例えば、モデシンA鎖)、クリシン(curicin)、クロチン、サボンソウ阻害薬、グルココルチコイド)が挙げられる。
【0762】
また、本明細書には、例えば上記に記載される方法に係る癌の治療のための医薬品の製造における開示されるADCの1つ以上の使用も開示される。一部の実施形態において、本明細書に開示されるADCは、例えば上記に記載される方法に係る癌の治療に使用される。
【0763】
様々な実施形態において、本明細書に記載される臨床検査及び治療上の適用における使用のためのキットが、本開示の範囲内にある。かかるキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器であって、その各々が本明細書に開示される方法で使用される別個の要素の1つを含む容器を受けるように区画化されている運搬手段、パッケージ、又は容器を、本明細書に記載される使用など、使用に関する説明書を含む表示又は添付文書と共に含み得る。キットは、薬物部分を含む容器を含み得る。本開示は、薬剤の分量を指示するアンプル又はサッシェなどのハーメチックシール容器にパッケージングされたADCの1つ以上、又はその医薬組成物も提供する。
【0764】
キットは、上記に記載される容器と、それに関連する1つ以上の他の容器であって、緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ;内容物を列挙する運搬手段、パッケージ、容器、バイアル及び/又はチューブの表示及び/又は使用説明書、及び使用説明書を含む添付文書を含めた、商業的観点及び使用者の観点から望ましい材料を含む容器とを含み得る。
【0765】
本組成物が特定の治療法又は予後判定、予防、診断若しくは臨床検査適用などの非治療的適用に使用されることを指示するため、容器上又は容器と共に表示が存在し得る。表示は、本明細書に記載されるものなど、インビボ又はインビトロのいずれかの使用についての指図も指示し得る。指図及び/又は他の情報は、キットと共に又はキット上に含まれる1つ又は複数の添付文書又は1つ又は複数の表示にも含まれ得る。表示は容器上にあるか又はそれに付随し得る。表示は、表示を形成する英字、数字、又は他の文字が容器それ自体に成形又はエッチングされているとき、容器上にあるとし得る。表示は、それが同時に容器も保持する入れ物又は運搬手段の中に例えば添付文書として存在するとき、容器に付随するとし得る。表示は、本組成物が本明細書に記載される癌などの病態の診断又は治療に使用されることを指示し得る。
【0766】
ネオ抗原及び使用方法
本明細書には、様々な実施形態において、患者の免疫系がクリアランスの標的とし得る腫瘍細胞のネオ抗原を誘導することにより患者を治療する方法も開示される。理論により拘束されるものではないが、様々な実施形態において、スプライシング調節薬を単独で、及び/又はADC若しくは組成物の一部として投与すると、免疫応答を誘導する、例えばイントロン常在内因性レトロウイルスが再発現する結果として二本鎖RNA免疫応答を誘導するネオ抗原が生じ、及び/又は免疫原性細胞死を誘導するネオ抗原が生じ得る。
【0767】
本明細書で使用されるとき、用語「ネオ抗原」は、免疫系が過去に曝露したことのない、1つ以上の腫瘍特異的突然変異及び/又は薬物(例えば、単独での、及び/又はADC若しくは組成物の一部としての、本明細書に開示されるスプライシング調節薬の任意の1つ以上)への腫瘍の曝露から生じる任意の抗原を指す。腫瘍特異的突然変異には、ミスセンス突然変異、フレームシフト、転座、及びmRNAスプライシング変異体並びにリン酸化及びグリコシル化などの翻訳後プロセシングに影響を与える突然変異が含まれ得る。これらの例示的突然変異は、様々な実施形態において、非同義的コード変化及び/又はmRNAプロセシング(例えば、スプライシング)を変化させる突然変異に由来し得る。これらの例示的突然変異の全ては、様々な実施形態において、適切なT細胞受容体が判別することのできる分子変化を生じさせ得る。様々な好ましい実施形態において、例示的ネオ抗原は、単独での、及び/又はADC若しくは組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達によって誘導されるネオ抗原である。様々な実施形態において、スプライシング調節薬(例えば、本明細書に開示されるスプライシング調節薬の任意の1つ以上)の送達は、免疫系が過去に曝露したことのない1つ以上の新規ペプチドドメインを含有するタンパク質の翻訳を生じさせる新規mRNAスプライシングを誘導することができる。様々な実施形態において、腫瘍特異的突然変異は、スプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物の送達又は投与によって生じるmRNAスプライシング変異体であり得る。
【0768】
理論により拘束されるものではないが、様々な実施形態において、単独での、及びADC又は組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達は、様々な遺伝子のオープンリーディングフレーム及び/又はコード配列に変化を生じさせる新規mRNAスプライシング(例えば、エクソンスキッピング、イントロンリテンション)を誘導し得る。様々な実施形態において、これらの変化した遺伝子は、免疫系が外来性と認識する1つ以上の新規ペプチドドメインを含有するタンパク質に翻訳される。様々な実施形態において、これらの1つ以上の新規ペプチドドメインは、スプライシング調節薬治療がなければタンパク質に存在せず、又はヒトプロテオームのいかなる他の部分にも存在しない。様々な実施形態において、1つ以上の新規ペプチドドメインを含有するタンパク質はプロテアソームによって分解されて新規ペプチド断片を作り出すことができ、この断片が、例えばMHC提示を介して免疫ペプチド提示機構の基質としての役割を果たす。様々な実施形態において、ネオ抗原に相当するこの新規ペプチド断片は、例えば腫瘍細胞上のMHC1が結合したペプチドームにおいて提示されることができる。
【0769】
様々な実施形態において、単独での、及びADC又は組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達は、1つ以上の腫瘍細胞固有イベント(例えば、細胞成長停止)につながり得る。様々な実施形態において、1つ又は複数の腫瘍細胞固有イベントは、(1)貪食細胞による会合亢進(Bracci et al.(2014)Cell Death Differ.21(1):15-25);(2)腫瘍流入領域リンパ節への新規ペプチド断片の輸送による抗原提示細胞との会合;(3)貪食された腫瘍細胞からの新規ペプチド断片を抗原提示細胞がプロセシングし、その断片をネオ抗原として循環中のナイーブT細胞集団に提示すること;(4)新規ペプチド断片が、その断片をネオ抗原として認識する受容体を発現するT細胞と相互作用すること;(5)エフェクターT細胞応答の成熟及び活性化(例えば、CD4+及び/又はCD8+ T細胞;及び/又は(6)スプライシング調節薬治療に曝露された、及びその表面MHC1複合体上にネオ抗原に相当する新規ペプチド断片を提示する更なる腫瘍細胞とのT細胞の会合につながり得る。様々な実施形態において、1つ又は複数の腫瘍細胞固有イベントは、直接的又は間接的に、エフェクター機能のT細胞会合及び/又はネオ抗原を提示する腫瘍細胞の死滅をもたらし得る。
【0770】
また、理論により拘束されるものではないが、様々な実施形態において、単独での、及びADC又は組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達が、イントロン常在内因性レトロウイルスの再発現を生じさせ、二本鎖RNA免疫応答につながり得る。
【0771】
更に、理論により拘束されるものではないが、様々な実施形態において、単独での、及びADC又は組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達は、スプライス調節薬の誘導による突然変異由来ネオ抗原の放出によって惹起される免疫原性細胞死につながり得る。様々な実施形態において、単独での、及びADC又は組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達は、二本鎖RNA免疫応答を誘導し得る。様々な実施形態において、二本鎖RNA免疫応答は、イントロン常在内因性レトロウイルスが再発現することにより起こり得る。様々な実施形態において、二本鎖RNA免疫応答により、腫瘍細胞死が起こり得る。様々な実施形態において、単独での、及びADC又は組成物の一部としてのスプライシング調節薬の送達は、免疫原性細胞死を誘導し得る。様々な実施形態において、免疫原性細胞死は、突然変異由来ネオ抗原の放出及び/又は腫瘍細胞に対する宿主免疫応答により起こり得る。
【0772】
従って、様々な実施形態において、1つ以上のスプライシング調節薬及び/又はADC及び/又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物、例えば、本明細書に開示される任意のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与することによってネオ抗原を誘導することを含む治療方法が開示される。様々な実施形態において、本方法は、ネオ抗原の誘導がなかったならば必要となったであろうよりも低い投薬量のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与することを含む。一部の実施形態において、本方法は、1つ以上の初期導入用量を投与してネオ抗原を産生させ、免疫応答を誘導すること(例えば、ナイーブT細胞を記憶細胞に変換させること)と、続く低減した投薬量又は投与頻度(即ち、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とネオ抗原の免疫ターゲティングとの併用効果に起因する)を含む。一部の実施形態において、治療は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与してネオ抗原ベースの免疫応答を誘導することと、少なくとも1つの追加療法(例えば、第2の抗癌療法)との併用を含み得る。例えば、一部の実施形態では、治療は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与してネオ抗原ベースの免疫応答を誘導することと、1つ以上のチェックポイント阻害薬との併用を含み得る。一部の実施形態において、治療は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与してネオ抗原ベースの免疫応答を誘導することと、1つ以上のサイトカイン又はサイトカイン類似体との併用を含み得る。一部の実施形態において、治療は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与してネオ抗原ベースの免疫応答を誘導することと、1つ以上のネオ抗原ワクチンとの併用を含み得る。一部の他の実施形態において、治療は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与してネオ抗原ベースの免疫応答を誘導することと、1つ以上の改変腫瘍標的化T細胞(例えば、CAR-T)との併用を含み得る。
【0773】
一部の実施形態では、ネオ抗原を使用して、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療の有効性をモニタすることができる。例えば、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与後に患者試料(例えば、腫瘍生検)を入手し、ネオ抗原に関して、又は免疫応答若しくは炎症反応の同定因子に関してスクリーニングすることができる。ネオ抗原及び/又は免疫応答が検出された場合、更なる治療を例えば低減した投薬量で提供することができる。
【0774】
様々な実施形態において、1つ以上のスプライシング調節薬及び/又はADC及び/又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物、例えば、本明細書に開示される任意のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与することによって二本鎖RNA免疫応答を誘導することを含む治療方法が開示される。
【0775】
様々な実施形態において、1つ以上のスプライシング調節薬及び/又はADC及び/又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物、例えば、本明細書に開示される任意のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与することによって免疫原性細胞死を誘導することを含む治療方法が開示される。
【0776】
様々な実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬を含む組成物の投与は、任意の公知の抗癌療法と併用することができる。現行の腫瘍科治療に利用可能な免疫活性化戦略の例としては、限定はされないが、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)分子による治療、サイトカイン又はサイトカイン類似体による治療、腫瘍関連ワクチンの接種、及び腫瘍標的化T細胞の改変(例えば、腫瘍浸潤リンパ球の拡大又はCAR-T)が挙げられる。これらの技術は主に、既に存在している腫瘍抗原(突然変異又は細胞表面タンパク質の異常発現のいずれか)に対する免疫応答を亢進させ又は誘導することに焦点を置いている。これらの戦略の1つ以上に、抗原性T細胞応答の誘導能を有する1つ以上の突然変異が関わり得る。例えば、チェックポイント阻害に対する患者奏効は非同義突然変異荷重と相関し得る。加えて、既存の突然変異及びそれらの突然変異の抗原性に頼る癌ワクチン手法が用いられ得る。
【0777】
スプライシング調節薬及び/又はかかる調節薬を含むADCは、多系統に起こる広範囲のトランスクリプトーム変化を誘導し得る。これらのmRNA変化が翻訳されると、複数のHLAアイソタイプにわたって高親和性のMHC1結合ネオペプチドを生み出すロバストな再現性のあるタンパク質変化が生じ得る。理論により拘束されるものではないが、トランスクリプトーム及びプロテオームの数多くの変化に起因して、スプライシング調節薬及び/又はADCによる治療は、潜在的に応答性のネオ抗原の数を増強して適応免疫応答の関与を亢進させ得る。
【0778】
本明細書に記載されるとき、用語「スプライシング調節薬」、「スプライセオソーム調節薬」、又は「スプライス調節薬」は、スプライセオソームの成分と相互作用することにより抗癌活性を有する化合物を指す。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、標的細胞におけるスプライシングの速度又は形態を変化させる。例えば、阻害性薬剤として機能するスプライシング調節薬は、無制御な細胞増殖を低下させる能力を有する。詳細には、一部の実施形態では、スプライシング調節薬は、SF3bスプライセオソーム複合体を阻害することにより作用し得る。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、本明細書に開示されるスプライシング調節薬の任意の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬は、単独の薬剤として使用され、細胞に送達され、及び/又は対象に投与される。一部の他の実施形態において、スプライシング調節薬は、ADC(例えば、本明細書に開示される例示的ADCのいずれかから選択されるADC)の一部として使用され、細胞に送達され、及び/又は対象に投与される。一部の他の実施形態において、スプライシング調節薬は、スプライシング調節薬の複数のコピー又はスプライシング調節薬を担持するADCの複数のコピーを含む組成物の一部として使用され、細胞に送達され、及び/又は対象に投与される。かかる組成物は本明細書に開示される。
【0779】
一部の実施形態において、ADC(例えば、本明細書に開示される例示的ADCのいずれかから選択されるADC)の一部として使用され、細胞に送達され、及び/又は対象に投与されるスプライシング調節薬は、単独の薬剤として使用され、細胞に送達され、及び/又は対象に投与されるスプライシング調節薬と比べて付加的な治療利益をもたらす。例えば、一部の実施形態では、ADCの一部として使用され、細胞に送達され、及び/又は対象に投与されるスプライシング調節薬は、標的抗原(即ち、ADCの抗体部分によって標的化される抗原)を発現する新生物細胞へのスプライシング調節薬の標的化した送達をもたらす。一部の実施形態において、このように標的化されたスプライシング調節薬送達は、オフターゲット治療及び/又はオフターゲット細胞傷害性を低減する。一部の実施形態において、このように標的化された送達は、標的抗原を発現しない健常細胞上ではなく、新生物細胞上での腫瘍選択的ネオ抗原提示を増進する。一部の実施形態において、かかる標的化した送達は、例えば、新規mRNA及びMHC結合ペプチドの選択的スプライシング及び誘導の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は99%が、オフターゲット細胞よりむしろ、標的化された新生物細胞におけるネオ抗原に相当することにつながる。従って、理論により拘束されるものではないが、一部の実施形態では、本明細書に開示されるとおりのADCによる治療後に腫瘍細胞上にネオ抗原が優先的に発現するため、エフェクターT細胞プライミング及び/又は拡大(例えば、ネオ抗原ワクチンを使用)の後、免疫系は健常細胞でなく、むしろネオ抗原提示新生物細胞を優先的に攻撃し得る。
【0780】
免疫誘導及び治療レジメン:
様々な実施形態において、本開示は、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、スプライシング調節薬ベースの抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物に接触させることにより、少なくとも1つのネオ抗原を誘導する方法を提供する。様々な実施形態において、本開示は、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、スプライシング調節薬ベースの抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物に接触させることにより、二本鎖RNA免疫応答を誘導する方法を提供する。様々な実施形態において、本開示は、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、スプライシング調節薬ベースの抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物に接触させることにより、免疫原性細胞死を誘導する方法を提供する。
【0781】
一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0782】
一部の実施形態において、新生物細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は対象から入手される。一部の実施形態において、新生物細胞は対象に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍に由来する。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌(例えば、HER2陽性乳癌)、胃癌(例えば、胃腺癌)、前立腺癌、卵巣癌、肺癌(例えば、肺腺癌)、子宮癌(例えば、漿液性子宮内膜癌)、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、HER2陽性乳癌、胃腺癌、前立腺癌、及び骨肉腫から選択される。
【0783】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象において、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより少なくとも1つのネオ抗原及び/又はT細胞応答を誘導する方法を更に提供する。また本明細書には、様々な実施形態において、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより治療する方法も提供され、ここでスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つのネオ抗原及び/又はT細胞応答を誘導する。
【0784】
様々な他の実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象において、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより二本鎖RNA免疫応答を誘導する方法を提供する。また本明細書には、様々な実施形態において、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより治療する方法も提供され、ここでスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、二本鎖RNA免疫応答を誘導する。
【0785】
なおも他の実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象において、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより免疫原性細胞死を誘導する方法を提供する。更に本明細書には、様々な実施形態において、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより治療する方法が提供され、ここでスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、免疫原性細胞死を誘導する。
【0786】
本明細書に記載される治療的方法の一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0787】
一部の実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、第2の薬剤を含む1つ以上の追加療法との併用で、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することにより治療する方法を更に提供し、ここでスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、免疫原性細胞死を誘導する。
【0788】
本明細書に記載される治療的方法の一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤の投与される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤の標準的な投薬量と比較したとき、少なくとも1つのネオ抗原及び/又はT細胞応答の誘導を理由として低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤の投与量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤の標準的な投与レジメンと比較したとき、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低い頻度で投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、又は第2の薬剤の投与量及び/又は投薬量は、全身毒性の低下及び/又は忍容性の向上をもたらす。
【0789】
本明細書で使用されるとき、用語「標準的な投薬量」又は「標準的な投与レジメン」は、療法剤についての任意の通常の又はルーチンの投与レジメン、例えば、製造者によって提案されるレジメン、規制当局によって承認されているレジメン、又は他の形で平均的な患者の必要に応えるためヒト対象で試験されるレジメンを指す。一部の実施形態において、療法剤は、抗癌活性を有するスプライシング調節薬、抗体、又は抗体-薬物コンジュゲートである。
【0790】
例えば、本明細書に開示される例示的抗HER2抗体であるトラスツズマブの標準的な投与レジメンは、90分かけて静脈内投与される8mg/kg(1週目)と、それに続く3週間毎に30~90分かけて静脈内投与される6mg/kg(4週目から療法サイクルの終了時まで)であり得る(Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)FDA表示補足、2017)。
【0791】
別の例として、例示的抗CTLA4チェックポイント阻害薬抗体であるイピリムマブの標準的な投与レジメンは、4用量にわたって3週間毎に90分かけて静脈内投与される3mg/kgであり得る(Yervoy(登録商標)(イピリムマブ)FDA表示補足、2018)。イピリムマブの別の標準的な投与レジメンは、4用量にわたって3週間毎に90分かけて静脈内投与される10mg/kgと、それに続く最長3年間の12週間毎の10mg/kgであり得る(Yervoy(登録商標)(イピリムマブ)FDA表示補足、2018)。
【0792】
別の例として、例示的抗PD1チェックポイント阻害薬抗体であるニボルマブの標準的な投与レジメンは、2週間毎に60分かけて静脈内投与される3mg/kgであり得る(Opdivo(登録商標)(ニボルマブ)FDA表示、2015)。
【0793】
別の例として、例示的抗PDL1チェックポイント阻害薬抗体であるアテゾリズマブの標準的な投与レジメンは、3週間毎に60分かけて静脈内投与される1200mgであり得る(Tecentriq(登録商標)(アテゾリズマブ)FDA表示補足、2018)。
【0794】
更に別の例として、例示的抗HER2抗体薬物コンジュゲートであるT-DM1の標準的な投与レジメンは、3週間毎に90分かけて静脈内投与される3.6mg/kgであり得る(Kadcyla(登録商標)(T-DM1)FDA表示補足、2016)。
【0795】
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、少なくとも1つの追加療法(例えば、チェックポイント阻害薬、ネオ抗原ワクチン、サイトカイン又はサイトカイン類似体、CAR-T等)を投与することを更に含み得る。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したとき、少なくとも1つのネオ抗原及び/又はT細胞応答の誘導を理由として低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したとき、二本鎖RNA免疫応答の誘導を理由として低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したとき、免疫原性細胞死の誘導を理由として低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投与レジメンと比較したとき、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低い頻度で投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、組成物、及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与量及び/又は投薬量は、全身毒性の低下及び/又は忍容性の向上をもたらす。
【0796】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の投与前に開始される。他の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の投与後に開始される。なおも他の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の投与と同時に開始される。
【0797】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与に使用される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の標準的な投薬量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与に使用される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の標準的な投薬量又は初回投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。
【0798】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の反復投与に使用される量は、少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の反復投与に使用される量は、少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量又は初回投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。
【0799】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与は、少なくとも1つの追加療法の反復投与と同時である。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の反復投与と逐次的であるか又は時間をずらされる。
【0800】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、チェックポイント阻害薬、例えば、本明細書に開示される任意のチェックポイント阻害薬を投与することを含む。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のチェックポイント阻害薬に不忍容、不応性、又は難反応性である。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、PD1/PDL1、CTLA4、OX40、CD40、LAG3、TIM3、GITR、及び/又はKIRを標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、CTLA4、OX40、CD40、及び/又はGITRを標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、その標的に対する阻害活性又はアゴニスト活性を有する抗体である。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は阻害抗体又は他の類似の阻害性分子で標的化する。他の実施形態において、チェックポイント阻害薬はアゴニスト抗体又は他の類似のアゴニスト分子で標的化する。
【0801】
一部の他の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、ネオ抗原ワクチン、例えば、本明細書に開示される任意のネオ抗原ワクチンを投与することを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ネオ抗原ワクチンの投与前に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ネオ抗原ワクチンの投与後に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ネオ抗原ワクチンの投与と同時に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。
【0802】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは1つ又は2つ以上のネオ抗原配列を含む。
【0803】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0804】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66~93のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号66~93のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66のアミノ酸配列、又は配列番号66の抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号74~77のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号74~77のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約20アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分はカノニカルペプチド配列(例えば、表21において下線が付されている例示的カノニカルペプチド配列のいずれか)と排他的に重複せず、又はそれからならない。
【0805】
ネオ抗原配列の「抗原性部分」又は「抗原性断片」という用語は、本明細書で使用されるとき、T細胞応答(例えば、1つ又は複数のエフェクターT細胞集団の抗原特異的拡大及び/又は成熟)を誘導する能力を保持しているネオ抗原配列の1つ以上の断片を指す。抗原性部分は、一部の実施形態では、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)によってインターナライズされ、プロセシングされ、及び/又は提示される能力も保持し得る。一部の実施形態において、抗原性部分は、T細胞プライミング機能も保持する。一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分は約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分は約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分は約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分は約10~約20アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分(例えば、配列番号66~93のいずれか1つの抗原性部分)、又はそのコードmRNAは、ネオ抗原ワクチンとして製剤化される。
【0806】
抗原性部分の例示的実施形態は、配列番号66のアミノ酸45~53に隣接する1つ又は複数の領域である。抗原性部分の別の例示的実施形態は、配列番号66のアミノ酸82~90に隣接する1つ又は複数の領域である。一部の実施形態において、抗原性部分は、対象において発現する少なくとも1つのHLAアレル(例えば、HLA-A*02:01)に結合する能力を有する。一部の他の実施形態において、抗原性部分は、新生物障害に罹患している対象集団中の対象の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。一部の実施形態において、抗原性部分は、新生物障害に罹患している対象集団の少なくとも1%、少なくとも5%、又は少なくとも10%に存在する腫瘍に対するT細胞応答を誘発する能力を有する。
【0807】
一部の実施形態において、抗原性部分はカノニカルペプチド配列と排他的に重複せず、又はそれからならない。用語「カノニカルペプチド配列」は、本明細書で使用されるとき、スプライシング調節薬との接触がない中で(例えば、単独での、及び/又はADC若しくは組成物の一部としてのスプライシング調節薬との接触がない中で)、及び/又は免疫が過去に曝露したことがあるスプライシング調節薬との接触がない中でヒトプロテオームに存在する任意の連続ペプチド配列を指す。一部の実施形態において、カノニカルペプチド配列は、カノニカル転写物オープンリーディングフレームに由来し、及び/又はそれによってコードされる。表21において例示的カノニカルペプチド配列に下線を付す。
【0808】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬が(例えば、単独で、及び/又はADC若しくは組成物の一部として)投与されるとき、カノニカルペプチド配列は、スプライシング調節薬によって誘導される異常スプライシングイベントに先行する直ちに5’側のインフレーム24ヌクレオチドに由来し、及び/又はそれによってコードされ得る。従って、一部の実施形態では、カノニカルペプチド配列は、スプライシング調節薬によって誘導されるネオ抗原配列の直ちにN末端側8アミノ酸を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態において、5’エクソン配列が、あるコドンの終結ヌクレオチドで終結するとき、カノニカルペプチド配列はそのエクソンの終わりで終結する。一部の他の実施形態において、5’エクソン配列が、あるコドンの3つのヌクレオチドの1つ又は2つで終結するとき、カノニカルペプチド配列は、その不完全なコドンに先行する24ヌクレオチドに由来し、及び/又はそれによってコードされる。一部の実施形態において、異常スプライシングイベントの3’側のmRNA配列は、5’エクソンに由来する同じオープンリーディングフレーム内において、そこで翻訳が終結し得る終止コドンに達するまで翻訳され得る。一部の実施形態において、異常スプライシングイベント(例えば、エクソンスキッピング)の結果としてカノニカル転写物オープンリーディングフレームが保存されるとき、C末端配列は、C末端8アミノ酸をコードする更なる24ヌクレオチドが翻訳され得る。これに関連して、一部の実施形態では、異常エクソンジャンクションにまたがる領域のみがネオ抗原配列をコードし得る。一部の実施形態において、オープンリーディングフレームがシフトするとき(例えば、イントロンリテンション)、完全なC末端配列(3’mRNAによってコードされる)がネオ抗原配列をコードし得る。
【0809】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分は、ネオ抗原配列をカノニカルペプチド配列と比較すること;及びカノニカルペプチド配列と排他的に重複しない、それからならない、及び/又はそれとアラインメントしないネオ抗原配列中の一部分を選び出すことにより選択される。ネオ抗原配列の抗原性部分は、一部の実施形態では、完全長ネオ抗原配列(例えば、抗原性部分の由来であるネオ抗原配列)と同じようにして抗原性及び/又はT細胞プライミング機能に関してスクリーニングすることができる。一部の実施形態において、ネオ抗原配列の抗原性部分は、本明細書に記載される例示的T細胞プライミング実験など、T細胞プライミングアッセイを用いて抗原性及び/又はT細胞プライミング機能が評価される。
【0810】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に特異的なネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象のために個別化されたネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、対象のために個別化されたネオ抗原ワクチンの作成に使用されるネオ抗原配列は、対象に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。一部の実施形態において、個別化されたネオ抗原ワクチンは、例えばスプライシング調節薬又はADCの投与後に、対象の腫瘍に発現するネオ抗原を同定し、及び患者の腫瘍に認められるネオ抗原配列を含むワクチン、例えば、腫瘍において観察される配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含むワクチンを選択することにより選択される。
【0811】
用語「個別化された」は、ネオ抗原ワクチンについての記載に使用されるとき、患者において産生される1つ以上のネオ抗原、好ましくは患者においてスプライシング調節薬、ADC、又は組成物への曝露後に同定されるものを同定し、次にそれらのネオ抗原の1つ以上を同じ患者用のワクチンのベースとして使用することにより作成されるワクチンを指す。従って、一部の実施形態では、患者にスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を与え、その治療によって産生されたネオ抗原に関してスクリーニングする。一部の実施形態において、選択されたネオ抗原ワクチンは、本明細書に開示される、且つスプライシング調節薬、ADC、又は組成物への曝露後に患者に存在することが確認されたネオ抗原ペプチド又はmRNAを含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC若しくは組成物及び/又はペプチド若しくはmRNAワクチンは患者に1回又は反復して投与され得る。その後、一部の実施形態では、それらのネオ抗原の1つ以上を使用して、患者に与える個別化されたワクチンが作成される。一部の実施形態において、個別化されたワクチンの作成に使用される1つ以上のネオ抗原は、1つ以上の患者特異的HLAアレルに対して結合親和性を有する。一部の実施形態において、患者は、1つ以上のネオ抗原に結合する1つ以上のMHC1アレルを発現する。所与のネオ抗原が特異的MHC1アレルに結合するかどうかの予測は、当技術分野において公知の任意の計算的予測方法を用いて決定することができる。例示的な計算的予測方法については、例えば、Meydan et al.(2013)BMC Bioinformatics 14(Suppl.2):S13(これは、かかる方法について参照により本明細書に援用される)に開示されている。
【0812】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原ワクチンである。
【0813】
用語「ユニバーサル」は、ネオ抗原ワクチンについての記載に使用されるとき、好ましくはスプライシング調節薬、ADC、又は組成物への曝露後に、複数の患者及び/又は患者組織試料において産生されるネオ抗原をシーケンシングすることによって認められる共通の又は既知の1つ又は複数のネオ抗原をベースとするペプチド又はmRNA配列を有するワクチンを指す。ワクチンに使用されるペプチド又はmRNA配列があらゆる患者に存在する必要はなく、むしろ少なくとも一部の患者又は患者組織試料に認められることで十分である。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC若しくは組成物及び/又はペプチド若しくはmRNAワクチンは患者に1回又は反復して投与され得る。その後、一部の実施形態では、そのペプチド又はmRNA配列が更なる患者のワクチン接種に使用される。一部の実施形態では、患者にスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を与え、次に既知のネオ抗原のペプチド又はmRNAワクチンを与えることにより、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって産生されるネオ抗原に対する免疫応答を亢進させる。一部の実施形態では、患者にユニバーサルペプチド又はmRNAワクチンを与え、次にスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を1回又は反復して与える。一部の実施形態において、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの作成に使用される1つ又は複数のネオ抗原配列は、所与の患者集団における全体的なMHC1アレル頻度に基づき選択される(Maiers et al.(2007)Hum.Immunol.68(9):779-88)。
【0814】
一部の実施形態において、ネオ抗原(例えば、ユニバーサルネオ抗原)配列は、新生物障害に罹患している対象集団中の対象の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団の少なくとも1%、少なくとも5%、又は少なくとも10%に存在する腫瘍に対するT細胞応答を誘発する能力を有する。
【0815】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物を投与することにより、対象において誘導される少なくとも1つのネオ抗原ペプチド、又はそのコードmRNAをシーケンシングすることによって同定されている。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物に接触させることによって誘導されるネオ抗原配列を含む。一部の実施形態において、新生物細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は対象から入手される。一部の実施形態において、新生物細胞は対象に存在する。
【0816】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドと、薬学的に許容可能な担体(例えば、本明細書に記載される例示的担体のいずれか)とを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは薬学的に許容可能な担体に連結される。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は、ペプチド、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン、チログロブリン、オボアルブミン、トキソイド又は弱毒化トキソイド誘導体、サイトカイン、及びケモカインから選択される。一部の実施形態において、ネオ抗原ペプチドと薬学的に許容可能な担体とはリンカーを介して共有結合的に結び付けられる。一部の実施形態において、ネオ抗原ペプチドと薬学的に許容可能な担体とは融合タンパク質として発現する。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドと薬学的に許容可能な希釈剤とを含む。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドと薬学的に許容可能なアジュバントとを含む。
【0817】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原mRNAを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原mRNAは1つ又は2つ以上のネオ抗原配列をコードする。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0818】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66~93のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号66~93のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66のアミノ酸配列、又は配列番号66の抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号74~77のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号74~77のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約20アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分はカノニカルペプチド配列(例えば、表21において下線が付されている例示的カノニカルペプチド配列のいずれか)と排他的に重複せず、又はそれからならない。
【0819】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に特異的なネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象のために個別化されたネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。
【0820】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団中の対象の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団の少なくとも1%、少なくとも5%、又は少なくとも10%に存在する腫瘍に対するT細胞応答を誘発する能力を有する。
【0821】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、少なくとも1つのネオ抗原のタンパク質配列をシーケンシングすることによって同定されている。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物を投与することにより、対象において誘導されるネオ抗原をコードする少なくとも1つのmRNAをシーケンシングすることによって同定されている。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原mRNAは、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物に接触させることによって誘導されるネオ抗原配列をコードする。一部の実施形態において、新生物細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は対象から入手される。一部の実施形態において、新生物細胞は対象に存在する。
【0822】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原mRNAと、薬学的に許容可能な担体(例えば、本明細書に記載される例示的担体のいずれか)とを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原mRNAは薬学的に許容可能な担体に連結される。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は、ペプチド、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン、チログロブリン、オボアルブミン、トキソイド又は弱毒化トキソイド誘導体、サイトカイン、及びケモカインから選択される。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原mRNAと薬学的に許容可能な希釈剤とを含む。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原mRNAと薬学的に許容可能なアジュバントとを含む。一部の実施形態において、ネオ抗原mRNAは封入剤によって封入される。一部の実施形態において、封入剤はリポソームである。一部の実施形態において、封入剤はナノ粒子である。
【0823】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、サイトカイン又はサイトカイン類似体、例えば、本明細書に開示される任意のサイトカイン又はサイトカイン類似体を投与することを含む。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のサイトカイン又はサイトカイン類似体に不忍容、不応性、又は難反応性である。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はT細胞エンハンサーを含む。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体は、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IFNγ、及び/又はTNFαを含む。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体は、IL-2、IL-10、IL-12、及び/又はIL-15を含む。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体を投与すると、ネオ抗原の誘導及び提示に起因して、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与後のT細胞プライミングが亢進する。
【0824】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、改変腫瘍標的化T細胞(即ち、CAR-T)、例えば、本明細書に開示される任意のCAR-T療法を投与することを含む。
【0825】
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与後に対象において1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答を検出すること及び任意選択で1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与を継続することを更に含み得る。一部の実施形態において、対象における1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答の検出は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物による治療の有効性を指示する。一部の実施形態において、1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物と併せて、追加療法による治療が継続される。一部の実施形態において、1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答が検出された場合、低減した投薬量及び/又は頻度で治療が継続される。
【0826】
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与後に対象において二本鎖RNA免疫応答を検出すること及び任意選択で二本鎖RNA免疫応答が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与を継続することを更に含み得る。一部の実施形態において、対象における二本鎖RNA免疫応答の検出により、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物による治療の有効性が指示される。一部の実施形態において、二本鎖RNA免疫応答が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物と併せて、追加療法による治療が継続される。一部の実施形態において、二本鎖RNA免疫応答が検出された場合、低減した投薬量及び/又は頻度で治療が継続される。
【0827】
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与後に対象において免疫原性細胞死を検出すること及び任意選択で免疫原性細胞死が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与を継続することを更に含み得る。一部の実施形態において、対象における免疫原性細胞死の検出により、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物による治療の有効性が指示される。一部の実施形態において、免疫原性細胞死が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物と併せて、追加療法による治療が継続される。一部の実施形態において、免疫原性細胞死が検出された場合、低減した投薬量及び/又は頻度で治療が継続される。
【0828】
一部の実施形態において、対象は約150個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は約100個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は約50個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は、新生物障害、例えば、血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍を有するか、又はそれを有する疑いがある。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、子宮癌、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、HER2陽性乳癌、胃腺癌、前立腺癌、及び骨肉腫から選択される。
【0829】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を治療する方法であって、(a)有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与することであって、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与が少なくとも1つのネオ抗原及び/又はT細胞応答を誘導する、投与すること;(b)スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与後に対象において1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答を検出すること;及び(c)1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答が検出された場合、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与を継続することを含む方法を更に提供する。一部の実施形態において、対象における1つ以上のネオ抗原及び/又はT細胞応答の検出は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物による治療の有効性を指示する。一部の実施形態において、1つ以上のネオ抗原は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、1つ以上のネオ抗原は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、1つ以上のネオ抗原は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、1つ以上のネオ抗原は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0830】
スプライシング調節薬/ADCと免疫チェックポイント阻害との併用:
様々な実施形態において、本明細書に記載されるとおりの癌を有する患者は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とチェックポイント阻害薬療法との併用で治療することができる。免疫チェックポイントは、免疫応答を減速又は停止させて、免疫細胞の無制御な活性による過剰な組織損傷を防ぐ抑制経路である。本明細書で使用されるとき、用語「チェックポイント阻害薬」は、抑制経路の1つ以上を阻害し、それにより更なる広範な免疫活性を可能にする、任意の小分子化学的化合物、抗体、核酸分子、又はポリペプチド、又はその任意の断片を含めた任意の療法剤を指すことが意図される。
【0831】
免疫チェックポイント阻害による患者の治療は、ある種の臨床適応にロバストな有効性を有することが示されている。最近になって、FDAは、組織系統に依存せず、高マイクロサテライト不安定性を呈する腫瘍を有する患者におけるチェックポイント阻害薬の使用を承認した。この承認は、一部には、奏効率が突然変異荷重と正の相関関係にあるという観察に基づくものであった(Rizvi et al.(2015)Science 348(6230):124-8;Hellmann et al.(2018)Cancer Cell 33(5):853-861)。文献からの推定では、絶対数の点で、及び系統毎にばらつきがあるが、概して、約150~250個の突然変異の閾値を上回ると奏効確率が上昇することが裏付けられる。TCGAデータの分析が示すところによれば、成人発症型腫瘍系統の大部分が比較的低い非同義突然変異荷重を有する(Vogelstein et al.(2013)Science 339:1549-58)。ほとんどの系統について、非同義突然変異率中央値は、チェックポイント阻害薬の奏効可能性が向上する閾値をはるかに下回る患者1人当たり約30~80である。
【0832】
例えば、HER2陽性乳癌は、患者試料1例当たりに存在する非同義突然変異の中央値が約60個であることが示されている。しかしながら、上述のとおり、チェックポイント阻害薬の治療有効性閾値は約150~250個の非同義突然変異の範囲であると推定され、即ち、この閾値を上回る患者は、完全寛解、部分寛解、及び/又は病勢安定を示す可能性が高く、一方、この閾値を下回る患者は病勢進行を呈する可能性が高い。従って、腫瘍細胞上に提示される見かけ上の非同義突然変異数及び/又はネオ抗原数を亢進させる戦略が望ましく、それにより例えばチェックポイント阻害薬療法の全体的な奏効確率が亢進し得る。サイトカイン(及びその類似体)も同様の作用機序によって作用するため、かかる戦略は、サイトカインベースの療法の全体的な奏効確率も亢進させ得る。
【0833】
HER2陽性乳癌における現在の奏効率は約15~25%である(CTI NCT02129556)。本明細書に開示される様々な実施形態において、チェックポイント阻害薬及び/又はサイトカイン療法と併用したスプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療によれば、かかる奏効率が向上し得る。様々な実施形態において、チェックポイント阻害薬及び/又はサイトカイン療法と併用したスプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療は、任意の成人発症型腫瘍、特に非同義突然変異率中央値が推定約150個の突然変異の閾値を下回るものに適用され得る。様々な実施形態において、単独での、又は追加療法(例えば、チェックポイント阻害薬療法、サイトカイン療法)との併用での本開示のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療に好適な例示的癌種としては、限定はされないが、食道癌、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、胃癌、子宮内膜癌、膵臓腺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、膠芽腫、乳癌(例えば、HER2陽性乳癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、慢性リンパ球性白血病、及び急性骨髄性白血病が挙げられる。他の例示的な好適な癌種は、例えば、Vogelstein et al.(2013)Science 339:1549-58(これは全体として参照により本明細書に援用される)に特定されている。
【0834】
多くのチェックポイント阻害薬療法が慢性的な腫瘍関連抗原発現に基づくことに伴い、有効性のため、及び応答性T細胞集団の「再ブースト」のため、定期的な治療ブーストが必要である。本明細書に記載されるスプライシング調節薬又はADC由来ネオ抗原の誘導可能な性質から、慢性的抗原刺激によって引き起こされることの多いT細胞枯渇を抑えつつ、ネオ抗原応答性T細胞の免疫応答を亢進させるように設計され得る療法的投与レジメンが提供される。例えば、一部の実施形態では、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の初回用量を対象に投与して、異常スプライシング及びネオ抗原ペプチドの産生を惹起する。タンパク質産生及び抗原提示に十分な時間の経過後、一部の実施形態では、次に対象にチェックポイント阻害薬の初回用量を投与して、エフェクターT細胞プライミング及び拡大をブーストし、及び/又は亢進させる。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とチェックポイント阻害薬との用量間の待機期間は、約2、約3、約4、約5、約6、又は約7日である。一部の実施形態において、待機期間は約3日~約5日である。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、CTLA4、OX40、CD40、及び/又はGITRを標的化する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とチェックポイント阻害薬との併用療法利益は相加的又は超相加的であり得る。
【0835】
一部の実施形態において、T細胞プライミング及び拡大に十分な期間の経過後、次に対象に、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の第2の用量又は後続用量を投与して、ネオ抗原ペプチドの再提示を惹起する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の初回用量と、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の第2の用量又は後続用量との間の待機期間は、約2、約3、約4、又は約5週間である。一部の実施形態において、待機期間は約3週間である。スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の第2の用量又は後続用量を受けて、一部の実施形態では、免疫系がネオ抗原提示腫瘍細胞に会合し、及び/又は腫瘍細胞殺傷を誘発し得る。一部の実施形態では、二次的T細胞プライミング及び拡大を可能にした後、次に対象にチェックポイント阻害薬の第2の用量又は後続用量が投与され、記憶エフェクターT細胞集団が更に拡大される。
【0836】
一部の実施形態において、この例示的初期治療レジメンに続くスプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与はパルス投与であることができ、即ち、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、抗原提示、T細胞会合及び/又は腫瘍細胞殺傷、及び/又は記憶T細胞集団の回復に十分な長い間隔で(例えば、約4週間毎、約5週間毎、約6週間毎に)投与され得る。後の時点で、一部の実施形態では、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物治療は、枯渇したT細胞集団へのエフェクター機能の回復を標的化する1つ以上のチェックポイント阻害薬と併用され得る。例えば、一部の実施形態では、後の時点で、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物治療は、PD1/PDL1、LAG3、及び/又はTIM3を標的化する1つ以上のチェックポイント阻害薬と併用され得る。一部の実施形態において、ネオ抗原提示及びプライミングがパルス状の性質であることにより、チェックポイント阻害薬及び/又はスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を低い頻度及び/又は低い用量で投与することが可能となり得る。一部の実施形態において、ネオ抗原提示がパルス状の性質であることにより、同時のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物治療なしに投与したときのチェックポイント阻害薬と比較すると、例えば、チェックポイント阻害薬の標準的な投与レジメンで観察されることの多い有害反応の潜在的リスクが低下することにより、チェックポイント阻害薬(例えば、イピリムマブなどの抗CTLA4抗体)に1つ以上の治療利益がもたらされ得る。
【0837】
特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA4)経路の阻害薬である。CTLA4は、CD152としても知られ、免疫応答を下方制御するタンパク質受容体である。CTLA4は制御性T細胞に構成的に発現するが、従来のT細胞では活性化後にのみ上方制御される。本明細書で使用されるとき、用語「CTLA4阻害薬」とは、CTLA4及び/又はCTLA4経路の任意の阻害薬を指すことが意図される。例示的CTLA4阻害薬としては、限定はされないが、抗CTLA4抗体が挙げられる。ヒトにおける使用のためのCTLA4遮断抗体は、抗腫瘍免疫のマウスモデルで見られる前臨床活性に基づき開発された。例示的抗CTLA4抗体としては、限定はされないが、イピリムマブ(MDX-010)及びトレメリムマブ(CP-675,206)が挙げられ、これらは両方とも完全ヒトである。イピリムマブは、血漿中半減期が約12~14日のIgG1である;トレメリムマブは、血漿中半減期が約22日のIgG2である。例えば、Phan et al.(2003)Proc Natl Acad Sci USA.100:8372-7;Ribas et al.(2005)J Clin Oncol.23:8968-77;Weber et al.(2008)J Clin Oncol.26:5950-6を参照されたい。一部の実施形態において、抗CTLA4抗体はイピリムマブである。
【0838】
特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、プログラム死-1(PD1)経路の阻害薬である。プログラム細胞死1(PD1)経路は、腫瘍細胞が活性T細胞免疫監視を切り抜けるため会合し得る主要な免疫制御スイッチに相当する。PD1のリガンド(PDL1及びPDL2)は様々な腫瘍に構成的に発現し、又は誘導することができる。腫瘍細胞上でのPDL1(及び程度は低いがPDL2)の高発現は、様々な他の固形腫瘍種における予後不良及び生存と相関することが分かっている。更に、PD1は、悪性黒色腫患者において腫瘍特異的T細胞拡大を制御することが示唆されている。これらの観察は、PD1/PDL1経路が腫瘍免疫回避において決定的な役割を果たすものであり、治療介入に魅力的な標的と見なし得ることを示唆している。本明細書で使用されるとき、用語「PD1阻害薬」は、PD1及び/又はPD1経路の任意の阻害薬を指すことが意図される。例示的PD1阻害薬としては、限定はされないが、抗PD1及び抗PDL1抗体が挙げられる。特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬は抗PD1抗体である。例示的抗PD1抗体としては、限定はされないが、ニボルマブ及びペンブロリズマブ(MK-3475)が挙げられる。例えば、ニボルマブは、PD1受容体とそのリガンドPDL1及びPDL2との相互作用、それによる細胞性免疫応答の抑制を破壊する完全ヒト免疫グロブリンG4(IgG4)PD1免疫チェックポイント阻害薬抗体である(Guo et al.(2017)J Cancer 8(3):410-6)。一部の実施形態において、抗PD1抗体はニボルマブである。例えば、ペンブロリズマブは、PD1とそのリガンドPDL1及びPDL2との間の相互作用を直接遮断するように設計されたIgG4/カッパアイソタイプの強力で高度に選択的なヒト化mAbである。ペンブロリズマブは、健康ヒトドナー、癌患者、及び霊長類からの培養血液細胞においてTリンパ球免疫応答を強力に亢進させる。ペンブロリズマブは、インターロイキン-2(IL-2)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロンγ(IFNγ)、及び他のサイトカインのレベルを調節することも報告されている。例示的抗PDL1抗体としては、限定はされないが、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブが挙げられる。例えば、アテゾリズマブは、非常に多くの種類の悪性細胞上に発現するPDL1を標的化することによりPD1/PDL1相互作用を遮断することが報告されているIgG1ヒト化mAbである。PD1/PDL1経路のこの遮断は、抗腫瘍免疫防御機構を刺激し得る(Abdin et al.(2018)Cancers(Basel)10(2):32)。一部の実施形態において、抗PDL1抗体はアテゾリズマブである。
【0839】
特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、PD1/PDL1、CTLA4、OX40、CD40、LAG3、TIM3、GITR、及び/又はKIRを標的化する。特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、CTLA4、OX40、CD40、及び/又はGITRを標的化する。特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、阻害抗体又は他の類似の阻害性分子(例えば、阻害性抗CTLA4又は抗PD1/PDL1抗体)で標的化する。特定の他の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、標的のアゴニストで標的化する;このクラスの例としては、刺激性標的OX40、CD40、及び/又はGITRが挙げられる。一部の実施形態において、OX40、CD40、及び/又はGITRを標的化するチェックポイント阻害薬は、アゴニスト抗体である。OX40に仕向けられるアゴニスト抗体は、制御性T細胞抑制を阻害することと、一方でエフェクターT細胞機能を亢進させることとの二重の役割を有し得る。アゴニスト抗GITR抗体は、制御性T細胞によって誘導される抑制に対するエフェクターT細胞の抵抗性を高めることも示されている(Karaki et al.(2016)Vaccines(Basel)4(4):37)。同様に、アゴニストCD40抗体はT細胞依存的抗腫瘍活性も実証している。樹状細胞上でCD40が活性化すると、腫瘍抗原の交差提示が増加し、結果的に活性化腫瘍標的化エフェクターT細胞の数が増加する(Ellmark et al.(2015)Oncoimmunol.4(7):e1011484)。
【0840】
特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬はCTLA4を標的化する(例えば、抗CTLA4抗体)。特定の実施形態において、CTLA4の標的化は、ナイーブT細胞のプライミング及び活性化を促進する。特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬はOX40を標的化する(例えば、抗OX40抗体)。特定の実施形態において、OX40の標的化は、エフェクターT細胞の拡大を亢進させる。特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬はCD40を標的化する(例えば、抗CD40抗体)。特定の実施形態において、CD40の標的化は、T細胞の「寛容原性」プライミング及び/又は制御性T細胞の形成を阻害する。特定の実施形態において、チェックポイント阻害薬はGITRを標的化する(例えば、抗GITR抗体)。特定の実施形態において、GITRの標的化は、制御性T細胞の活性を阻害する。特定の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とCTLA4標的化、OX40標的化、CD40標的化、及び/又はGITR標的化薬剤とによる併用療法の利益(例えば、少なくとも1つの症状又は疾患進行リスク/速度に及ぼす効果)は相加的である。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とCTLA4標的化、OX40標的化、CD40標的化、及び/又はGITR標的化薬剤とによる併用療法の利益は超相加的(即ち、相乗的)である。
【0841】
チェックポイント阻害薬治療戦略は、抗原性が弱い又は低い腫瘍に対するT細胞応答のプライミングが治療によって促進される及び/又は亢進するか(例えば、CTLA4)、又は腫瘍抗原に応答するが、抗原提示の慢性的性質に起因して「枯渇した」状態になったT細胞が治療によって回復する及び/又は再活性化する(例えば、PD1、PDL1)という仮説に基づく(Chen and Mellman(2013)Immunity 39(1):1-10)。好適なチェックポイント阻害療法及び薬剤の例、例えば、抗PD1、抗PDL1、又は抗CTLA4抗体については、当技術分野において公知である。例えば、国際公開第2001/014424号パンフレット、国際公開第2013/173223号パンフレット、国際公開第2016/007235号パンフレットを参照されたい。
【0842】
チェックポイント阻害薬療法後のこれらのプライミングされたT細胞応答と、プライミングされた免疫系が応答し得るネオ抗原を腫瘍細胞に誘導する治療との併用は、有益な相乗作用をもたらし得る。スプライシング調節薬又はADCから生じるネオ抗原は、T細胞プライミングのために提示されたことがまだないため、CTLA4阻害薬との併用が特に有益であり得る。一部の実施形態において、治療は、1つ以上のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与してネオ抗原の産生を誘導し、その前、それと同時、又はその後に、CTLA4阻害薬の初回投与を続けてCD8 T細胞プライミングを刺激することを含む。一部の実施形態において、例えばネオ抗原応答性CD8集団のプライミング及び/又は活性化を更に刺激するため、CTLA4阻害薬の追加投与が患者に提供される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の追加投与を患者に与えることにより、腫瘍によるネオ抗原提示を増加させることができる。スプライシング調節薬、ADC、又は組成物及びチェックポイント阻害薬療法の反復投与は、同時に、又は時間をずらした間隔で行うことができる。一部の実施形態において、治療は、PD1/PDL1阻害薬共治療を投与することであって、例えばそれにより腫瘍微小環境内で枯渇したネオ抗原標的化T細胞のエフェクター機能を回復させることを更に含む。
【0843】
用語「併用」又は「併用療法」は、本明細書で使用されるとき、1つ以上のスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を追加の薬剤又は療法(例えば、チェックポイント阻害薬、サイトカイン又はサイトカイン類似体、ネオ抗原ワクチン、CAR-T)と一緒に、投与される薬剤の1つ以上の共作用による有益な(即ち、相加的又は相乗的な)効果を提供することを意図した治療レジメンの一環として投与することを指す。一部の実施形態において、併用には、限定はされないが、化学療法剤、抗血管新生剤、及び免疫抑制を低減する薬剤(例えば、第2のチェックポイント阻害薬)を含めた1つ以上の追加の薬剤も含まれ得る。併用の有益な効果としては、限定はされないが、療法剤の併用によって生じる薬物動態学的又は薬力学的共作用が挙げられる。これらの療法剤の併用での投与は、典型的には、定義付けられた期間(例えば、選択の併用に応じて数分間、数時間、数日間、又は数週間)にわたって行われる。
【0844】
「併用して」投与される又は「共投与」は、本明細書で使用されるとき、対象が医学的病態(例えば、新生物障害)に罹患している間に対象に2つ以上の異なる治療が送達されることを意味する。例えば、一部の実施形態では、対象が疾患又は障害と診断された後、且つその疾患又は障害が治癒又は消失する前に、又は対象がその疾患のリスクがあると同定されたとき、しかし、対象がその症状を発症する前に2つ以上の治療が送達される。一部の実施形態において、1つの治療の送達は、第2の治療の送達の開始時になおも行われており、そのため重複がある。一部の実施形態において、第1及び第2の治療は同時に開始される。この種の送達は、本明細書では時に、「同時」、「並行」、又は「併用」送達と称される。他の実施形態では、1つの治療の送達が第2の治療の送達の開始前に終わる。この種の送達は、本明細書では時に、「連続」又は「逐次」送達と称される。
【0845】
一部の実施形態において、2つの治療(例えば、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物及びチェックポイント阻害薬)は同じ組成物中に含まれる。かかる組成物は、任意の適切な形態で、及び任意の好適な経路によって投与され得る。他の実施形態において、2つの治療(例えば、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物及びチェックポイント阻害薬)は、別個の組成物で、任意の適切な形態で、及び任意の好適な経路によって投与される。例えば、一部の実施形態では、スプライシング調節薬又はADCを含む組成物及びチェックポイント阻害薬を含む組成物が、並行して、又はいずれの順序であれ異なる時点で逐次的に投与され得る。いずれの場合にも、それらは所望の治療的又は予防的効果をもたらすように時間的に十分に近接して投与されなければならない。
【0846】
同時送達又は逐次送達のいずれの実施形態においても、併用投与であることにより、治療は一層有効であり得る。一部の実施形態において、第1の治療は、第2の治療がない中で第1の治療が投与されたならば見られたであろうよりも有効性が高く、例えば、より少ない第1の治療で(例えば、より低い用量で)等価な効果が見られる。一部の実施形態において、第1の治療は、症状、又は疾患若しくは障害に関連する他のパラメータの低減が、第2の治療がない中で第1の治療を送達して観察されるであろうよりも大きくなるなど有効性が高くなる。他の実施形態において、同様の状況が第2の治療でも観察される。一部の実施形態において、併用療法の利益(例えば、少なくとも1つの症状又は疾患進行リスク/速度に対する効果)は相加的である。一部の実施形態において、併用療法の利益は超相加的である。
【0847】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物;及び少なくとも1つの追加療法(例えば、チェックポイント阻害薬療法、サイトカイン又はサイトカイン類似体、ネオ抗原ワクチン、CAR-T)を対象に投与することにより治療する方法を提供する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与は、少なくとも1つのネオ抗原及び/又はT細胞応答を誘導する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与は、二本鎖RNA免疫応答を誘導する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与は免疫原性細胞死を誘導する。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5つの追加療法を含み得る。例えば、一部の実施形態では、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、2つのチェックポイント療法と併用して、即ち、2つの異なるチェックポイント阻害薬を使用して投与され得る。一部の他の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、チェックポイント阻害薬療法及びネオ抗原ワクチンと併用して投与され得る。
【0848】
併用療法の一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート若しくは組成物及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート若しくは組成物及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート若しくは組成物及び/又は少なくとも1つの追加療法は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート若しくは組成物及び/又は少なくとも1つの追加療法の標準的な投与レジメンと比較したとき、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低い頻度で投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート若しくは組成物及び/又は少なくとも1つの追加療法の投与量及び/又は投薬量は、全身毒性の低下及び/又は忍容性の向上をもたらす。
【0849】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の投与前に開始される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の投与後に開始される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、少なくとも1つの追加療法の投与と同時に開始される。
【0850】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与に使用される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の標準的な投薬量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与に使用される量は、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。
【0851】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の反復投与に使用される量は、少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法の反復投与に使用される量は、少なくとも1つの追加療法の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。
【0852】
一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与は、少なくとも1つの追加療法の反復投与と同時である。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の反復投与は、少なくとも1つの追加療法の反復投与と逐次的であるか又は時間をずらされる。
【0853】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物;及びチェックポイント阻害薬療法を対象に投与することにより治療する方法を提供する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬療法は、少なくとも1つのチェックポイント阻害薬を投与することを含む。一部の実施形態において、対象は、単独投与時の少なくとも1つのチェックポイント阻害薬に不忍容、不応性、又は難反応性である。一部の実施形態において、対象は、例えば、免疫関連効果評価基準(immune-related Response Criteria:irRC)及び/又は免疫関連固形癌効果評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors:irRECIST)を用いて決定したとき、少なくとも1つのチェックポイント阻害薬に不応性又は難反応性であると見なされ得る。例えば、Wolchok et al.(2009)Clin Cancer Res.15(23):7412-20;Bohnsack et al.“Adaptation of the Immune-Related Response Criteria:irRECIST”(Abstract 4958)ESMO 2014を参照されたい。例示的評価基準には、評価される治療が免疫腫瘍学的薬物(例えば、チェックポイント阻害薬)である場合、治療中に癌患者の腫瘍が改善したとき(「奏効する」)、同じままであるとき(「安定化する」)、又は悪化したとき(「進行する」)を定義するため当技術分野で用いられているものが含まれ得る。一部の実施形態において、それぞれのチェックポイント阻害薬(例えば、イピリムマブ)について特定される1つ又は2つ以上の有害な(グレード2以上の)事象が対象に見られる場合、その対象は少なくとも1つのチェックポイント阻害薬に不忍容と見なされ得る。一部の実施形態において、例えば、腸炎、肝炎、皮膚炎(中毒性表皮壊死症を含む)、ニューロパチー、及び内分泌病から選択される1つ以上の有害事象が対象に見られる場合、その対象はイピリムマブ治療に不忍容と見なされ得る(Yervoy(登録商標)(イピリムマブ)FDA表示補足、2018)。
【0854】
一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、PD1/PDL1、CTLA4、OX40、CD40、LAG3、TIM3、GITR、及び/又はKIRを標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は、CTLA4、OX40、CD40、及び/又はGITRを標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は阻害抗体又は他の類似の阻害性分子で標的化する。一部の他の実施形態において、チェックポイント阻害薬はアゴニスト抗体又は他の類似のアゴニスト分子で標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬は細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4経路(CTLA4)阻害薬を含む。一部の実施形態において、CTLA4阻害薬は抗CTLA4抗体である。一部の実施形態において、抗CTLA4抗体はイピリムマブである。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬はプログラム死-1経路(PD1)阻害薬を含む。一部の実施形態において、PD1阻害薬は抗PD1抗体である。一部の実施形態において、抗PD1抗体はニボルマブである。一部の実施形態において、PD1阻害薬は抗PDL1抗体である。一部の実施形態において、抗PDL1抗体はアテゾリズマブである。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬はCTLA4阻害薬及びPD1阻害薬を含む。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬はOX40を標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬はCD40を標的化する。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬はGITRを標的化する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とチェックポイント阻害薬(例えば、CTLA4標的化、PD1/PDL1標的化、OX40標的化、CD40標的化、及び/又はGITR標的化抗体又は分子)とによる併用療法の利益(例えば、少なくとも1つの症状又は疾患進行リスク/速度に及ぼす効果)は相加的である。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とチェックポイント阻害薬(例えば、CTLA4標的化、PD1/PDL1、OX40標的化、CD40標的化、及び/又はGITR標的化抗体又は分子)とによる併用療法の利益は超相加的(即ち、相乗的)である。
【0855】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物;及びサイトカイン又はサイトカイン類似体療法を対象に投与することにより治療する方法を提供する。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体療法は、少なくとも1つのサイトカイン又はサイトカイン類似体を投与することを含む。一部の実施形態において、対象は、単独投与時の少なくとも1つのサイトカイン又はサイトカイン類似体に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0856】
一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はT細胞エンハンサーを含む。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体は、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IFNγ、及び/又はTNFαを含む。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体は、IL-2、IL-10、IL-12、及び/又はIL-15を含む。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体を投与すると、ネオ抗原の誘導及び提示に起因して、スプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物の投与後のT細胞プライミングが亢進する。
【0857】
一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はIL-2を含む。一部の実施形態において、IL-2はエフェクター細胞へのシグナルをブーストしてその拡大を促進する(Rosenberg(2014)J Immunol.192(12):5451-8)。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はIL-10を含む。一部の実施形態において、IL-10はCD8+ T細胞プライミング及び活性化をブーストする(Mumm et al.(2011)Cancer Cell 20(6):781-96)。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はIL-12を含む。一部の実施形態において、IL-12は自然免疫応答と適応免疫応答とを結び付けて抗原特異的プライミング及びターゲティングをブーストする(Tugues et al.(2015)Cell Death Differ.22(2):237-46)。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はIL-15を含む。一部の実施形態において、IL-15はTエフェクター(CD8)細胞プライミング及び/又は活性化をブーストする。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はIFNγを含む。一部の実施形態において、IFNγはTエフェクター細胞によるIFNγ分泌を補足する。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体はTNFαを含む。一部の実施形態において、TNFαはTエフェクター細胞によるTNFα分泌を補足する。
【0858】
一部の実施形態では、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の初回用量を対象に投与して、異常スプライシング及びネオ抗原ペプチドの産生を惹起する。タンパク質産生及び抗原提示に十分な時間の経過後、一部の実施形態では、次に対象にサイトカイン又はサイトカイン類似体の初回用量を投与して、エフェクターT細胞プライミング及び拡大をブーストし、及び/又は亢進させる。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とサイトカイン又はサイトカイン類似体との用量間の待機期間は、約2、約3、約4、約5、約6、又は約7日である。一部の実施形態において、待機期間は約3日~約5日である。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体は、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IFNγ、及び/又はTNFαである。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とサイトカイン又はサイトカイン類似体との併用療法利益は相加的又は超相加的であり得る。
【0859】
一部の他の実施形態では、サイトカイン又はサイトカイン類似体の初回用量を対象に投与して、エフェクターT細胞プライミング及び拡大をブーストし、及び/又は亢進させる。待機期間後、一部の実施形態では、次に対象にはスプライシング調節薬、ADC、又は組成物の初回用量を投与して、異常スプライシング及びネオ抗原ペプチドの産生を惹起する。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体とスプライシング調節薬、ADC、又は組成物との用量間の待機期間は、約2、約3、約4、約5、約6、又は約7日である。一部の実施形態において、待機期間は約3日~約5日である。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体は、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IFNγ、及び/又はTNFαである。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体とスプライシング調節薬、ADC、又は組成物との併用療法利益は相加的又は超相加的であり得る。
【0860】
一部の実施形態では、T細胞プライミング及び拡大に十分な期間の経過後、次に対象に、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の第2の用量又は後続用量を投与してネオ抗原ペプチドの再提示を惹起する。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体の初回用量とスプライシング調節薬、ADC、又は組成物の第2の用量又は後続用量との間の待機期間は、約2、約3、約4、又は約5週間である。一部の実施形態において、待機期間は約3週間である。一部の実施形態において、サイトカイン又はサイトカイン類似体の後続用量は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の後続用量の間に投与され、例えば割り込ませ得る。スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の第2の用量又は後続用量を受けて、一部の実施形態では、免疫系がネオ抗原提示腫瘍細胞に会合し、及び/又は腫瘍細胞殺傷を誘発し得る。一部の実施形態において、この例示的初期治療レジメン後、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与はパルス投与であることができ、即ち、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、抗原提示、T細胞会合及び/又は腫瘍細胞殺傷、及び/又は記憶T細胞集団の回復に十分な長い間隔で(例えば、約4週間毎、約5週間毎、約6週間毎に)投与され得る。
【0861】
一部の実施形態において、対象は約150個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は約100個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は約50個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は、新生物障害、例えば、血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍を有するか、又はそれを有する疑いがある。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、子宮癌、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、HER2陽性乳癌、胃腺癌、前立腺癌、及び骨肉腫から選択される。
【0862】
スプライシング調節薬/ADCとネオ抗原ワクチンとの併用:
様々な実施形態において、本明細書に記載されるとおりの癌を有する患者は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物とネオ抗原ワクチンとの併用で治療することができる。理論により拘束されるものではないが、単独で、又は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)分子と併用して使用されるワクチンは、初期試験で有望であったが(Ott et al.(2017)Nature 547(7662):217-21;Sahin et al.(2017)Nature 547(7662):222-6)、概して患者腫瘍突然変異のシーケンシングが必要である(Ott et al.(2017)Nature 547(7662):217-21;Aldous and Dong(2018)Bioorg.Med.Chem.26(10):2842-9)。このように、ワクチンは、多くの場合、十分な数の抗原性の非同義突然変異があるかに依存する。概して、突然変異負荷が極めて低い腫瘍は僅かな抗原候補のみを提供し、急激に増殖する腫瘍では、患者特異的ワクチンの同定及び生産に使える時間が限られている。
【0863】
現在までのところ、大部分の患者に広範な免疫原性があり得るワクチンを開発しようとする試みは、高頻度に突然変異するか、異所的に過剰発現するか、又は増幅するかのいずれかのタンパク質、及び/又は生物内に「自己」タンパク質として存在するタンパク質に焦点が置かれている。加えて、これらのタンパク質は、多くの場合に免疫学的に限定された組織に発現し(例えば、神経内分泌腫瘍型に発現する神経細胞マーカー)、一方、他のものは、胚発生時に正常に発現し得る(例えば、癌胎児性抗原)。従って、かかるタンパク質を抗原として使用するワクチンの有用性は、多くの場合、抗原の1つ以上が提示される特定の腫瘍系統又はサブセットに限られている。ワクチンの有用性は、患者腫瘍試料のシーケンシングによって確認することも必要となり得るが、これには時間がかかり得る。
【0864】
更に、これらの抗原が「自己」タンパク質として存在すれば、免疫系がそれを「自己」として認識するようにプライミングされ、ひいては応答しない可能性もあり得る。又は、代わりに免疫系がそうした抗原に対してエフェクター応答を開始可能な場合、その抗原が発現し得る組織におけるオンターゲット副作用につながり得る。これらのいずれの場合にも、鍵となる課題の1つは、多くの抗原ペプチドが「パッセンジャー」遺伝子(即ち、腫瘍発生の過程で突然変異し又は増幅するが、腫瘍それ自体が生存又は増殖を継続するにおいて決定的な役割は果たさない遺伝子)に由来することである。このように、これらの遺伝子は、腫瘍進行に重大な影響を与えることなくサイレンシングされ得るため、ひいては腫瘍がそれらの抗原に対する免疫応答から「逃れる」ことが可能になり得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、この機構は腫瘍進化において役割を果たし得るものであり、ここでは強力な抗原性のあるランダム突然変異が多くの場合に腫瘍発生の初期段階で腫瘍によって「対抗選択」される(Dunn et al.(2004)Annu.Rev.Immunol.22:329-60)。
【0865】
加えて、あるエビデンスは、慢性的な抗原提示及び免疫刺激が免疫細胞アネルギー及び枯渇につながり得ることも示している(Pardoll(2012)Nat.Rev.Cancer 12(4):252-64)。ICIは免疫細胞枯渇表現型を抑制するか(α-PD1/PD-L1)、又は追加的な免疫細胞応答を促進するか(α-CTLA4)のいずれかであることが示されているとおり、これらの表現型は、現在のICI治療の背後にある療法の理論的根拠の基礎をなす。注目すべきことに、α-CTLA4療法では、ある一部の患者が、T細胞活性化の促進及び自己反応性免疫応答を抑止する免疫寛容機構の破壊に原因を帰し得る重篤な免疫関連有害事象を呈することが報告されている。
【0866】
これらの手法(即ち、ネオ抗原に対するデノボ免疫応答を惹起し若しくは亢進させること又は既存の免疫応答のアネルギー若しくは枯渇を解除すること)は両方とも、慢性的免疫活性化に関係している。このように、これらの手法は、アネルギー、編集、及び免疫会合を抑制するように設計された他の腫瘍媒介性機構に対して感受性がある。
【0867】
対照的に、本明細書に開示されるスプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療は、ネオ抗原に相当する新規配列に対する免疫応答を誘導し得る。一部の実施形態において、ネオ抗原の提示により、適応免疫系が会合し、活性化する標的が一層多様となる。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物が選択的スプライシング及び結果として生じるネオ抗原を急性的に誘導可能であることにより、突然変異由来ネオ抗原への慢性的な曝露に起因する免疫系の疲労リスクが低減され、及び/又は腫瘍細胞が療法を回避するように適合する能力が制限され得る。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物をネオ抗原ワクチンと併用して投与すると、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって産生されるネオ抗原に対する免疫応答が亢進する。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ワクチン接種の前、その最中、又はその後に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物及び/又はワクチンは、治療の経過中に1回又は2回以上投与され得る。一部の実施形態において、治療の経過中にワクチンは1回投与され、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は2回以上投与される。一部の実施形態において、治療の経過中にワクチンは1回投与され、次に1つ以上のブースターが投与される。
【0868】
本明細書で使用されるとき、用語「ネオ抗原ワクチン」は、1つ以上の免疫原性ネオ抗原ペプチド又はmRNA、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5つ、又はそれ以上のネオ抗原ペプチドのプール試料を指す。用語「ワクチン」は、疾患(例えば、新生物障害、例えば、血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍)の予防及び/又は治療のため免疫を生じさせる組成物を指す。従って、ワクチンは、免疫原性薬剤を含む医薬品であり、ヒト又は動物においてワクチン接種後に特異的免疫防御及び保護物質を生じさせるため使用することが意図される。ネオ抗原ワクチンは、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又はアジュバントを更に含むことができる。
【0869】
本明細書で使用されるとき、用語「免疫原性」は、免疫応答、例えばT細胞応答を誘発することのできる任意の薬剤又は組成物を指す。免疫応答は抗体媒介性又は細胞媒介性、又は両方であり得る。
【0870】
一部の実施形態では、患者にスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を与え、次に既知のネオ抗原のペプチド又はmRNAワクチンを与えることにより、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって産生されるネオ抗原に対する免疫応答を亢進させる。一部の他の実施形態では、患者にスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を与え、その治療によって産生されたネオ抗原に関してスクリーニングする。その後、それらのネオ抗原の1つ以上を使用して、患者に与える個別化されたワクチンが作成される。これらの実施形態のいずれにおいても、スプライシング調節薬、ADC若しくは組成物及び/又はペプチド若しくはmRNAワクチンは患者に1回又は反復して投与され得る。
【0871】
様々な実施形態において、ワクチンに好適なネオ抗原は、患者の1つ以上の組織試料からの(例えば、腫瘍生検からの)スプライシングの変化及びロバストな発現を伴う転写物のパネルをスクリーニングすることによって同定し得る。一部の実施形態において、変異体タンパク質配列は、スクリーニングされた試料において、ジャンクションにわたるアミノ酸変化に隣接するタンパク質配列の一部分(最大12アミノ酸)は保持しながらも異常にスプライシングされたmRNAジャンクションにまたがる翻訳に基づき同定される。一部の実施形態において、これらのジャンクションにわたるペプチド断片が、例えばNetMHC1などのツールを使用してMHC1アレルに対する高親和性結合に関してスキャンされる(Nielsen et al.(2003)Protein Sci 12(5):1007-17;Andreatta and Neilsen(2016)Bioinformatics 32(4):511-7)。これらの結果により、ユニークな患者HLAアレル構成に対する予測高親和性結合剤となるようにネオペプチドをフィルタリングし、且つ種々の集団で高頻度に見られるHLAアレルに幅広く結合すると予測されるネオペプチドのプールをアセンブルすることが可能となる(Maiers et al.(2007)Hum Immunol 68(9):779-88)。様々な実施形態において、同定されたネオペプチドは次に、例えば好適な担体又はアジュバントとのコンジュゲーションにより、ワクチンとして製剤化されるか(Ott et al.(2017)Nature 547(7662):217-21)、又はmRNAとしての送達用に製剤化される(Sahin et al.(2017)Nature 547(7662):222-6)。
【0872】
一部の実施形態において、選択されるネオ抗原は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物に対する個々の患者の腫瘍応答のスクリーニングにより、治療の結果生じる1つ以上のネオ抗原を続くワクチン接種への使用のため同定することに基づく。他の実施形態において、ネオ抗原は、例えば、異なる患者からの試料パネルのスクリーニングにより、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって産生される共通のネオ抗原を同定することに基づき選択され、次に将来の患者用のユニバーサルワクチンとして使用される。
【0873】
理論により拘束されるものではないが、一部の実施形態では、ユニバーサルネオ抗原ワクチンを使用すれば、選択されるネオ抗原は腫瘍突然変異に依存せず、むしろスプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって産生され且つ概して生体によって外来性と認識されるネオ抗原を模倣するため、各患者の腫瘍のユニークな突然変異状態についてシーケンシング及び分析する必要がなくなり得る。加えて、一部の実施形態では、患者の腫瘍細胞は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって産生されるネオ抗原を模倣するものと比較したとき、腫瘍突然変異に依存する1つ以上のネオ抗原の産生から離れて突然変異する可能性がより高いものであり得るため、ネオ抗原ワクチンの使用は特に有効であり得る。これは、大部分の患者にわたって幅広い免疫原性があり得るバルクワクチンの製剤化を可能にし、治療レジームの開始を早め得る。患者は、本明細書に概説されるスケジュールに従いワクチン接種を受け得ると共に、続くワクチン接種の完了前に、例えばネオ抗原ペプチドの発現を誘導するため、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物によって更に治療される可能性がある。一部の実施形態では、患者はスプライシング調節薬、ADC、又は組成物をワクチン接種の前、それと同時、又はその後に投与され得る。一部の実施形態では、患者はスプライシング調節薬、ADC、又は組成物を投与され、ユニバーサルネオ抗原のパネルに見られる1つ以上のネオ抗原に関してスクリーニングされ、その対象において同定された少なくとも1つのユニバーサルネオ抗原を含むユニバーサルネオ抗原ワクチンを接種される。一部の実施形態では、患者はスプライシング調節薬、ADC、又は組成物をワクチン接種後1回又は2回以上投与され得る。スプライシング調節薬又はADC又は組成物及び/又はワクチンは、治療の経過中に1回又は2回以上投与され得る。
【0874】
様々な実施形態において、ワクチンは1つ又は2つ以上のネオ抗原ペプチド又はmRNAを含み得る。様々な実施形態において、ワクチンは1つ又は2つ以上のロングネオ抗原ペプチドを含み得る。かかる「ロング」ネオ抗原ペプチドは、様々な実施形態において、樹状細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞で効率的なインターナリゼーション、プロセシング、及び交差提示を起こす。同様に、ロングワクチンペプチドは、他のコンテクストでは、ヒトにおいて細胞傷害性T細胞を誘導することが示されている(Melief and van der Burg(2008)Nat Rev Cancer 8(5):351-60)。様々な実施形態において、ネオ抗原ペプチドは、ネオ抗原ペプチド配列それ自体を隣接アミノ酸配列に加えて含むように伸長される。様々な実施形態において、伸長ペプチド配列は、抗原提示細胞、例えば樹状細胞によるタンパク質の取り込みを促進する。様々な実施形態において、伸長ペプチド配列は、種々のHLAアイソタイプのモデルにおいて効率的な抗原提示及びT細胞プライミングを可能にする。様々な実施形態において、長いネオ抗原ペプチド及び/又は伸長ペプチド配列ほど、短いネオ抗原ペプチド及び/又は短いペプチド配列(例えば、約10アミノ酸長未満又は約5アミノ酸長未満のペプチド配列)と比較したとき、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)による取り込みの増加、抗原提示の増加、及び/又はT細胞プライミングの増加を呈する。一部の実施形態において、ロングネオ抗原ペプチドは約5~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ロングネオ抗原ペプチドは約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ロングネオ抗原ペプチドは約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ロングネオ抗原ペプチドは約15~約25アミノ酸長の範囲である。例示的ロングネオ抗原ペプチドのアミノ酸配列を表21に示す。
【0875】
本明細書で使用されるとき、ネオ抗原ペプチド又はmRNAワクチンは、その断片が免疫原性の潜在的能力を保持している限り、ネオ抗原ペプチドの断片又はそのコードmRNAを使用することを包含する。
【0876】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを含む。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、又は少なくとも20のネオ抗原ペプチドを含む。一部の実施形態において、1つ又は複数のネオ抗原ペプチドは約5~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、1つ又は複数のネオ抗原ペプチドは約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、1つ又は複数のネオ抗原ペプチドは約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、1つ又は複数のネオ抗原ペプチドは約15~約25アミノ酸長の範囲である。
【0877】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物;及びネオ抗原ワクチンを対象に投与することにより治療する方法を提供する。ネオ抗原ワクチンは、例えば、ペプチド又はmRNAネオ抗原ワクチンであり得る。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ネオ抗原ワクチンの投与前に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ネオ抗原ワクチンの投与後に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物は、ネオ抗原ワクチンの投与と同時に投与される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。
【0878】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象の治療における使用のための、スプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物と;ネオ抗原ワクチン(例えば、ユニバーサルネオ抗原ワクチン)とを含む併用を更に提供する。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンはペプチド又はmRNAネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、併用は少なくとも1つの追加療法を更に含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5つの追加療法を含む。
【0879】
様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、(a)有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物を対象に投与すること;(b)スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の投与後に対象において1つ以上のネオ抗原を検出すること;(c)1つ以上のネオ抗原をユニバーサルネオ抗原のパネルと比較すること;及び(d)対象に存在する少なくとも1つのユニバーサルネオ抗原を含むユニバーサルネオ抗原ワクチンを対象に投与することにより治療する方法を更に提供する。一部の実施形態において、ユニバーサルネオ抗原ワクチンは、単独で、又は少なくとも1つの追加療法と併用して投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5つの追加療法を含む。
【0880】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復投与を含む。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復投与は、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの投与前に開始される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復は、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの投与後に開始される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復投与は、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの投与と同時に開始される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の初回投与及び/又は反復投与に使用される量は、ワクチン治療なしに使用されるときのスプライシング調節薬、ADC、又は組成物の標準的な投薬量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の初回投与及び/又は反復投与に使用される量は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。
【0881】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加療法は、チェックポイント阻害薬(例えば、本明細書に記載される例示的チェックポイント阻害薬のいずれか)を投与することを含む。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の投与は、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの投与及び/又はスプライシング調節薬、ADC若しくは組成物の反復投与前に開始される。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の投与は、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの投与及び/又はスプライシング調節薬、ADC若しくは組成物の反復後に開始される。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の投与は、ユニバーサルネオ抗原ワクチンの投与及び/又はスプライシング調節薬、ADC若しくは組成物の反復投与と同時に開始される。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の投与は、初回投与後に少なくとも1回反復される。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の反復投与に使用される量は、初回投与に使用される量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の反復投与に使用される量は、チェックポイント阻害薬の標準的な投薬量と比較したときに低減される。一部の実施形態において、チェックポイント阻害薬の反復投与に使用される量は、チェックポイント阻害薬の標準的な投薬量と比較したとき、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、又は90%低減される。一部の実施形態において、対象は、単独投与時のチェックポイント阻害薬に不忍容、不応性、又は難反応性である。
【0882】
また本明細書には、様々な実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又は少なくとも1つのネオ抗原mRNAを含むネオ抗原ワクチンも提供される。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを含む。一部の他の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原mRNAを含む。
【0883】
また本明細書には、様々な実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物と;ネオ抗原ワクチン(例えば、ユニバーサルネオ抗原ワクチン)とを含むキットも提供される。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンはペプチド又はmRNAネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、本キットは、限定はされないが、使用説明書;他の薬剤、例えば1つ以上の追加の療法剤;スプライシング調節薬、ADC、組成物、及び/又はネオ抗原ワクチンを治療的投与用に調製するための装置、容器、又は他の材料;薬学的に許容可能な担体;及びスプライシング調節薬、ADC、組成物、及び/又はネオ抗原ワクチンを患者に投与するための装置、容器、又は他の材料を含めた、1つ以上の追加の構成要素を更に含む。使用説明書には、例えば新生物障害を有するか又は有する疑いがある患者における推奨される投薬量及び/又は投与方法を含めた治療上の適用に関する手引きが含まれ得る。様々な実施形態において、本キットには、治療上の使用、例えば、患者の新生物障害を治療又は予防するためのスプライシング調節薬、ADC、又は組成物、及びネオ抗原ワクチンの使用に関する説明書が更に含まれる。様々な実施形態において、本キットには、少なくとも1つの追加の療法剤(例えば、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物、及びネオ抗原ワクチンと一緒に投与するためのもの、例えば、チェックポイント阻害薬)が更に含まれる。様々な実施形態において、スプライシング調節薬、ADC、組成物、及び/又はネオ抗原ワクチンは、医薬組成物として製剤化される。
【0884】
本明細書に開示される方法及び組成物の一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約15~約25アミノ酸長の範囲である。
【0885】
一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは1つ又は2つ以上のネオ抗原配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0886】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66~93のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号66~93のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66のアミノ酸配列、又は配列番号66の抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号74~77のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号74~77のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約20アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分はカノニカルペプチド配列(例えば、表21において下線が付されている例示的カノニカルペプチド配列のいずれか)と排他的に重複せず、又はそれからならない。
【0887】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に特異的なネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象のために個別化されたネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。
【0888】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団中の対象の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団の少なくとも1%、少なくとも5%、又は少なくとも10%に存在する腫瘍に対するT細胞応答を誘発する能力を有する。
【0889】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物を投与することにより、対象において誘導される少なくとも1つのネオ抗原ペプチドをシーケンシングすることによって同定されている。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物に接触させることによって誘導されるネオ抗原配列を含む。一部の実施形態において、新生物細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は対象から入手される。一部の実施形態において、新生物細胞は対象に存在する。
【0890】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はmRNAと薬学的に許容可能な担体とを含む。様々な実施形態において、ネオ抗原ペプチド又はmRNAは、免疫応答を誘発する助けとなる好適な担体に連結することができる。免疫原性薬剤(例えば、ネオ抗原ペプチド又はmRNA)と連結するための例示的担体としては、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、又は他の病原性細菌由来の、例えばジフテリア、大腸菌(E.coli)、コレラ若しくはH.ピロリ(H.pylori)などのトキソイド、又は弱毒化毒素誘導体が挙げられる。免疫応答を刺激する又は亢進させるための他の担体としては、サイトカイン、例えば、IL-1、IL-1α及びβペプチド、IL-2、γINF、IL-10、GM-CSFなど、並びにケモカイン、例えばM1P1α及びβ及びRANTESなどが挙げられる。免疫原性薬剤は、例えば、国際公開第97/17613号パンフレット及び国際公開第97/17614号パンフレットに記載されるとおりの、組織間輸送を亢進させるペプチドに連結することもできる。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は、ペプチド、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン、チログロブリン、オボアルブミン、トキソイド又は弱毒化トキソイド誘導体、サイトカイン、及びケモカインから選択される。
【0891】
一部の実施形態において、ネオ抗原ペプチド又はmRNAは薬学的に許容可能な担体に連結され得る。免疫原性薬剤は、化学的架橋結合によって担体に連結することができる。免疫原性ペプチドを担体に連結する技法としては、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジル-チオ)プロピオネート(SPDP)及びスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)(ペプチドがスルフヒドリル基を欠いている場合、これはシステイン残基の付加によって提供され得る)を使用したジスルフィド結合の形成が挙げられる。これらの試薬は、それ自体と1つのタンパク質上のペプチドシステイン残基との間にジスルフィド結合を作り出し、リジン上のε-アミノ、又は他のアミノ酸における他の遊離アミノ基を介してアミド結合を作り出す。種々のかかるジスルフィド/アミド形成剤が、Jansen et al.((1982)Immun Rev.62:185)に記載されている。他の二官能性カップリング剤は、ジスルフィド結合よりむしろチオエーテルを形成する。これらのチオエーテル形成剤の多くは市販されており、6-マレイミドカプロン酸、2-ブロモ酢酸、及び2-ヨード酢酸、4-(N-マレイミド-メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸の反応性エステルが挙げられる。カルボキシル基は、それをスクシンイミド又は1-ヒドロキシル-2-ニトロ-4-スルホン酸、ナトリウム塩と組み合わせることにより活性化させることができる。一部の実施形態において、ネオ抗原ペプチドと薬学的に許容可能な担体とはリンカーを介して共有結合的に結び付けられる。
【0892】
ネオ抗原及び他のかかる免疫原性ペプチドは、担体との融合タンパク質として発現させることもできる。免疫原性ペプチドは、アミノ末端、カルボキシル末端、又はペプチド内のいずれかの部位で(内部的に)担体に連結することができる。一部の実施形態において、融合タンパク質には免疫原性ペプチドの複数のリピートが存在し得る。一部の実施形態において、ネオ抗原ペプチドと薬学的に許容可能な担体とは融合タンパク質として発現する。
【0893】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はそのコードmRNAと薬学的に許容可能な希釈剤とを含む。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はそのコードmRNAと薬学的に許容可能なアジュバント(例えば、本明細書に記載されるとおりのアジュバント)とを含む。
【0894】
本明細書に開示される方法及び組成物の一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原mRNAを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原mRNAは1つ又は2つ以上のネオ抗原配列をコードする。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0895】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66~93のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号66~93のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号66のアミノ酸配列、又は配列番号66の抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は配列番号74~77のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号74~77のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分は約10~約20アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列及び/又は抗原性部分はカノニカルペプチド配列(例えば、表21において下線が付されている例示的カノニカルペプチド配列のいずれか)と排他的に重複せず、又はそれからならない。
【0896】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に特異的なネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象のために個別化されたネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、対象に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。
【0897】
一部の他の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原配列である。一部の実施形態において、ネオ抗原配列はユニバーサルネオ抗原ワクチンである。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団中の対象の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%に発現する少なくとも1つのHLAアレルに結合する能力を有する。一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、新生物障害に罹患している対象集団の少なくとも1%、少なくとも5%、又は少なくとも10%に存在する腫瘍に対するT細胞応答を誘発する能力を有する。
【0898】
一部の実施形態において、ネオ抗原配列は、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物を投与することにより、対象において誘導される少なくとも1つのネオ抗原mRNAをシーケンシングすることによって同定されている。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原mRNAは、新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、抗体-薬物コンジュゲート、又は組成物に接触させることによって誘導されるネオ抗原配列をコードする。一部の実施形態において、新生物細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は対象から入手される。一部の実施形態において、新生物細胞は対象に存在する。
【0899】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは少なくとも1つのネオ抗原mRNAと薬学的に許容可能な担体とを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原mRNAは薬学的に許容可能な担体に連結される。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は、ペプチド、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン、チログロブリン、オボアルブミン、トキソイド又は弱毒化トキソイド誘導体、サイトカイン、及びケモカインから選択される。
【0900】
一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原mRNAと薬学的に許容可能な希釈剤とを含む。一部の実施形態において、ネオ抗原ワクチンは、少なくとも1つのネオ抗原mRNAと薬学的に許容可能なアジュバント(例えば、本明細書に記載されるとおりのアジュバント)とを含む。
【0901】
一部の実施形態において、ネオ抗原mRNAは封入剤によって封入される。一部の実施形態において、封入剤はネオ抗原mRNAを分解から保護し、ワクチン送達を向上させる(McNamara et al.(2015)J Immunol Res.2015:794528)。一部の実施形態において、封入剤はリポソームである。一部の実施形態において、リポソームは、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド1(DOTAP)などのカチオン性リポソームである。一部の実施形態において、封入剤はナノ粒子である。一部の実施形態において、ナノ粒子はネオ抗原mRNAをヌクレアーゼ分解から保護し、及び/又は細胞取り込み及び/又は送達効率を亢進させる。一部の実施形態において、ナノ粒子は、完全に分解性となるように改変され得る。一部の実施形態において、ナノ粒子は、pH応答性ポリ-(b-アミノエステル)(PBAE)コアがリン脂質シェルに包まれた生分解性コア-シェル構造ナノ粒子である(Su et al.(2011)Mol Pharm.8(3):774-87)。一部の実施形態において、かかるナノ粒子は、インビボでのmRNAの送達及び抗腫瘍免疫応答の誘発において特に効率的である。
【0902】
一部の実施形態において、対象は約150個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は約100個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は約50個以下の突然変異の非同義突然変異荷重を有する。一部の実施形態において、対象は、新生物障害、例えば、血液学的悪性腫瘍又は固形腫瘍を有するか、又はそれを有する疑いがある。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、血液学的悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、子宮癌、唾液管癌、黒色腫、結腸癌、子宮頸癌、膵癌、腎癌、結腸直腸癌、及び食道癌から選択される。一部の実施形態において、固形腫瘍は、HER2陽性乳癌、胃腺癌、前立腺癌、及び骨肉腫から選択される。
【0903】
本明細書で使用されるとき、「アジュバント」は、付随する免疫原性薬剤、例えばネオ抗原ペプチド又はmRNAに対する免疫応答を増加させ、増幅し、又は調節する能力を有する物質を指す。特定の実施形態において、本開示のネオ抗原は、アジュバント、即ち、それ自体は適応免疫応答を引き起こさないが、付随するネオ抗原に対する応答を増幅し又は調節する物質と併用して投与することができる。免疫応答を誘発するため、開示されるネオ抗原との併用で種々のアジュバントを使用することができる。一部の実施形態において、1つ又は複数のアジュバントは、応答の定性的形態に影響を及ぼし得るネオ抗原のコンホメーション変化を引き起こすことなくネオ抗原に対する固有の応答を増強するように選択される。一部の実施形態において、1つ又は複数のアジュバントは、Tエフェクター(例えば、CD8)細胞プライミング及び/又は活性化が亢進するように選択される。
【0904】
特定の実施形態において、アジュバントは、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩(ミョウバン)である。かかるアジュバントは、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)又は3-DMP、ポリグルタミン酸又はポリリジンなどの重合体又は単量体アミノ酸など、他の特定の免疫賦活剤と共に又はそれ無しで使用することができる。かかるアジュバントは、ムラミルペプチド(例えば、N-アセチルムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(nor-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)、N-アセチルグルコサミニル-N-アセチルムラミル-L-Al-D-イソglu-L-Ala-ジパルミトキシプロピルアミド(DTP-DPP))、又は他の細菌細胞壁構成成分など、他の特定の免疫賦活剤と共に又はそれ無しで使用することができる。他のアジュバントは水中油型エマルションであり、(a)Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics)などのマイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に製剤化された、5%スクアレン、0.5%Tween 80、及び0.5%Span 85を含有する(任意選択で様々な量のMTP-PEを含有する)MF59(国際公開第90/14837号パンフレット)、(b)サブミクロンエマルションにマイクロ流体化されるか、又はより大きい粒径のエマルションが生成されるようにボルテックスされるかのいずれかの、10%スクアレン、0.4%Tween 80、5%プルロニックブロック化ポリマーL121、及びthr-MDPを含有するSAF、及び(c)2%スクアレン、0.2%Tween 80、及び1つ以上の細菌細胞壁構成成分であって、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、及び細胞壁骨格(CWS)からなる群からの細菌細胞壁構成成分、例えばMPL-FCWS(Detox(商標))を含有するRibi(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi ImmunoChem)が挙げられる。一部の実施形態において、アジュバントは、Stimulon(商標)(QS21)などのサポニン、又はISCOM(免疫刺激複合体)及びISCOMATRIXなどのそれから生成される粒子である。他のアジュバントとしては、完全フロイントアジュバント(CFA)及び不完全フロイントアジュバント(IFA)、サイトカイン、例えば、インターロイキン(IL-1、IL-2、及びIL-12)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、及び腫瘍壊死因子(TNF)などが挙げられる。
【0905】
アジュバントは免疫原性薬剤(例えば、ネオ抗原ペプチド又はmRNA)と共に単一の組成物として投与することができ、又は免疫原性薬剤の投与前、それと同時若しくはその後に投与することができる。一部の実施形態において、免疫原性薬剤とアジュバントとは同じバイアルに包装して供給することができ、又は別個のバイアルに包装して使用前に混合することができる。一部の実施形態において、免疫原性薬剤及びアジュバントは、意図される治療上の適用を指示する表示を伴い包装することができる。一部の実施形態において、免疫原性薬剤とアジュバントとが別個に包装される場合、包装には、使用前に混合するよう指示が含まれ得る。アジュバント及び/又は担体の選択は、アジュバントを含有する免疫原性製剤の安定性、投与経路、投薬スケジュール、ワクチンを接種される種に対するアジュバントの有効性に依存し、ヒトでは、薬学的に許容可能なアジュバントとは、関連する規制当局によってヒト投与が承認済みのもの、又は承認見込みのものである。例えば、完全フロイントアジュバントはヒト投与に好適でない。しかしながら、ミョウバン、MPL又は不完全フロイントアジュバント(Chang et al.(1998)Adv Drug Deliv Rev.32:173-186)は、単独で、又は任意選択で、ミョウバン、QS21、及びMPLのいずれか、及びこれらの全ての組み合わせとの併用で、ヒト投与に好適である。
【0906】
様々な実施形態において、本開示は、少なくとも1つのネオ抗原をスクリーニングして同定する方法を更に提供する。より具体的には、様々な実施形態において、本開示は、(a)新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物に接触させること;(b)新生物細胞を、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物に接触させた後、少なくとも1つの選択的にスプライシングされたmRNA転写物を検出すること;(c)少なくとも1つの選択的にスプライシングされたmRNA転写物の、少なくとも1つのペプチドへの翻訳を予測すること;及び(d)少なくとも1つのペプチドを参照プロテオームと比較することによって少なくとも1つのネオ抗原を同定する方法を提供し、ここで少なくとも1つのペプチドが参照プロテオームのいかなるペプチドとも一致しない場合、少なくとも1つのネオ抗原が同定される。様々な実施形態において、本方法は、1つ以上の追加の新生物細胞を接触させて少なくとも1つのユニバーサルネオ抗原を同定することを更に含む。様々な実施形態において、1つ以上の追加の新生物細胞又は試料(例えば、組織生検)で本方法を繰り返すことにより、(例えば、ネオ抗原ワクチンでの使用に)好適なネオ抗原が確認され、及び/又は1つ以上のユニバーサルネオ抗原が同定される。
【0907】
様々な他の実施形態において、本開示は、(a)新生物細胞を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物に接触させること;(b)新生物細胞を、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物に接触させた後、潜在的ネオ抗原配列を含む少なくとも1つのペプチドを検出すること;及び(c)少なくとも1つのペプチドを参照プロテオームと比較することによって少なくとも1つのネオ抗原を同定する方法を提供し、ここで少なくとも1つのペプチドが参照プロテオームのいかなるペプチドとも一致しない場合、少なくとも1つのネオ抗原が同定される。様々な実施形態において、本方法は、1つ以上の追加の新生物細胞を接触させて少なくとも1つのユニバーサルネオ抗原を同定することを更に含む。様々な実施形態において、1つ以上の追加の新生物細胞又は試料(例えば、組織生検)で本方法を繰り返すことにより、(例えば、ネオ抗原ワクチンでの使用に)好適なネオ抗原が確認され、及び/又は1つ以上のユニバーサルネオ抗原が同定される。
【0908】
本明細書に記載されるネオ抗原同定方法の一部の実施形態において、少なくとも1つの選択的にスプライシングされたmRNA転写物を検出することは、RNAseqを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの選択的にスプライシングされたmRNA転写物の翻訳を予測することは、少なくとも1つの転写物に関するパーセントスプライスイン(dPSI)値の変化を定量化することを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの選択的にスプライシングされたmRNA転写物の翻訳を予測することは、RiboSeq及び/又はリボソームプロファイリングを含む。
【0909】
本明細書に記載されるネオ抗原同定方法の一部の実施形態において、本方法は、予測される主要組織適合遺伝子複合体(MHC)結合に関して少なくとも1つのペプチドを評価することを更に含む。一部の実施形態において、予測MHC結合は、少なくとも1つのペプチドの未補正親和性予測結合強度を測定することによって決定される。一部の実施形態において、約500nM以上の未補正親和性予測結合強度がMHC結合を示す。一部の実施形態において、予測MHC結合は、一連のランダムペプチドに関して予測結合強度の分布を同定し;及び少なくとも1つのペプチドの予測結合強度をその分布と比較することによって決定される。一部の実施形態において、分布の上位2.0%にある予測結合強度が弱いMHC結合を示す。一部の実施形態において、分布の上位0.5%にある予測結合強度が強いMHC結合を示す。
【0910】
本明細書に記載されるネオ抗原同定方法の一部の実施形態において、新生物細胞はインビトロ細胞培養物中に存在する。一部の実施形態において、新生物細胞は対象から入手される。一部の実施形態において、新生物細胞は対象に存在する。
【0911】
また本明細書には、様々な実施形態において、(a)本明細書に開示される例示的同定方法のいずれかを用いて少なくとも1つのネオ抗原(例えば、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はそのコードmRNA)を同定すること;及び(b)少なくとも1つのネオ抗原を薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又はアジュバント(例えば、本明細書に記載される薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又はアジュバントのいずれか)と共に製剤化することによってネオ抗原ワクチンを作製する方法も提供される。一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号37~65のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号37のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号46~49のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0912】
一部の他の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号66~93のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号66~93のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号66のアミノ酸配列、又は配列番号66の抗原性部分を含む。一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、配列番号74~77のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号74~77のいずれか1つの抗原性部分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原及び/又は抗原性部分は約10~約50アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原及び/又は抗原性部分は約10~約35アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原及び/又は抗原性部分は約15~約25アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原及び/又は抗原性部分は約10~約20アミノ酸長の範囲である。一部の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原及び/又は抗原性部分はカノニカルペプチド配列(例えば、表21において下線が付されている例示的カノニカルペプチド配列のいずれか)と排他的に重複せず、又はそれからならない。
【0913】
一部の実施形態において、ワクチンに使用される少なくとも1つのネオ抗原は、薬学的に許容可能な担体に連結される。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は、ペプチド、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン、チログロブリン、オボアルブミン、トキソイド又は弱毒化トキソイド誘導体、サイトカイン、及びケモカインから選択される。
【0914】
スプライシング調節薬/ADCと改変T細胞(CAR-T)との併用:
様々な実施形態において、本明細書に記載されるとおりの癌を有する患者は、スプライシング調節薬、ADC、又は組成物と1つ以上の改変腫瘍標的化T細胞(即ち、CAR-T)との併用で治療することができる。従って、様々な実施形態において、本開示は、新生物障害を有するか又は有する疑いがある対象を、有効量のスプライシング調節薬、ADC、又はスプライシング調節薬若しくはADCを含む組成物;及び改変腫瘍標的化T細胞(即ち、CAR-T)を対象に投与することにより治療する方法を提供する。様々な実施形態において、キメラT細胞受容体は、同定されたネオ抗原との反応性を有する抗原認識配列を使用して改変することができる。
【0915】
例えば、様々な実施形態において、スプライシング調節薬又はADCによって誘導される細胞表面タンパク質の細胞外ドメインの変化を標的化するため、キメラ抗原反応性T細胞受容体(CAR)を改変し得、これは初めに、細胞表面発現ネオ抗原タンパク質ドメインを認識する抗体を同定することによる。次に選択的標的化及び活性化のため、かかる抗体の抗原認識配列をT細胞受容体ドメインと融合させることができる。
【0916】
様々な他の実施形態において、腫瘍細胞の抗原提示機構をスプライシング調節薬由来又はADC由来ネオ抗原と共に統合する戦略が用いられる。一部の実施形態では、既知の高頻度に出現するHLAアレル(例えば、HLA-A*02:01)を含有する細胞をスプライシング調節薬、ADC、又は組成物で処理することができ、リガンドミクスによりMHC1結合ネオ抗原が同定される。一部の実施形態では、これらのペプチドを使用して、同じHLAアレルを発現する健常ドナーからのT細胞をプライミングし及び/又は拡大することができる。一部の実施形態では、かかるT細胞を単離し、T細胞受容体(TCR)α鎖及びβ鎖をシーケンシングしてコグネイト抗原認識/可変領域を同定することができる。一部の実施形態では、次にコグネイトCARを改変することができる。
【0917】
一部の実施形態において、CAR配列は、現在利用可能なプロトコルを用いて患者由来T細胞集団にクローニングされ、拡大される。一部の実施形態において、次にスプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療後、改変T細胞が輸注されて患者の循環に戻される。スプライシング調節薬、ADC、又は組成物による治療後、一部の実施形態では、腫瘍細胞が抗原を提示し始め得る。一部の実施形態において、改変されたT細胞集団は抗原提示腫瘍細胞に会合し、それを殺傷することができる。
【0918】
当業者には、本明細書に記載される本開示の方法の他の好適な変形及び適合が自明であり、本開示又は本明細書に開示される実施形態の範囲から逸脱することなく好適な均等物を用いて行われ得ることが容易に理解されるであろう。ここでは本開示を詳細に記載したが、あくまでも説明のために含まれる、限定することは意図しない以下の例を参照することにより、それが更に明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0919】
実施例1
構造を表7~表9に示したペイロード、リンカー、及びコンジュゲート可能なリンカー-ペイロード(リンカー-薬物、L-D)化合物の合成方法について記載する。コンジュゲート可能なリンカー-ペイロードは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の調製において使用した。例示的ADCは実施例3~5に記載する。
【0920】
1.1 試薬及び材料
以下の合成方法に使用される出発材料は、市販されているか、又は標準方法により公知の材料から容易に調製できるかのいずれかである。開示されるコンジュゲート可能なリンカー-ペイロードは、本明細書に記載される反応及び技法を用いて調製することができる。以下に記載される合成方法の説明において、提案される反応条件の全ては、溶媒、反応雰囲気、反応温度、実験の所要時間、及びワークアップ手順の選択を含め、特に指示されない限り、その反応に標準的な条件となるように選択し得ることが理解されるべきである。有機合成分野の当業者によれば、分子の様々な部分に存在する官能基が、提案される試薬及び反応と適合しなければならないことが理解される。反応条件との適合性がない置換基は当業者には明らかであり、従って本明細書では別の方法が指示される。
【0921】
分取液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)は、Waters AutoPurification System及びXTerra MS C18カラム(5μm、19mm×100mm)を使用して酸性移動相条件下で行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian機器(Agilent Technologies)を使用して400MHzで記録した。マイクロ波加熱は、Biotage Emrys Liberator又はInitiatorマイクロ波を使用して実施した。カラムクロマトグラフィーは、Teledyne Isco Combiflash Rf200dを使用して実行した。溶媒除去は、Buechiロータリーエバポレータ又はGenevac遠心エバポレータのいずれかを使用して実行した。
【0922】
用語/略語:本明細書で使用されるとき、用語「不活性化された」は、反応器(例えば、反応槽、フラスコ、ガラス反応器)中の空気が、本質的に水分を含まない窒素又はアルゴンなどの不活性ガスに置き換えられることを指す。本明細書では以下の略語を使用する:DCM=ジクロロメタン、DMF=ジメチルホルムアミド、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、KHMDS=カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、LC/MS=液体クロマトグラフィー-質量分析法、MeOH=メタノール、RT=室温、TBSCl=tert-ブチルジメチルシリルクロリド、THF=テトラヒドロフラン、TLC=薄層クロマトグラフィー。多重度は以下の略語を用いて指示される:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quint=五重線、sxt=六重線、m=多重線、dd=二重線の二重線、ddd=二重線の二重線の二重線、dt=三重線の二重線、br s=幅広一重線。
【0923】
LC/MS:移動相=A(H2O中0.1%ギ酸)及びB(アセトニトリル中0.1%ギ酸)。グラジエント=B 5%~95%、1.8分。カラム=Waters Acquity BEH C18カラム(1.7μm、2.1×50mm)。
【0924】
参考文献:米国特許第7,884,128号明細書及び同第7,816,401号明細書は、プラジエノライドB及びDの例示的合成方法について記載しており、かかる方法に関して各々参照により本明細書に援用される。プラジエノライドB及びDの合成は、Kanada et al.((2007)Angew Chem Int Ed.46:4350-5)に記載される例示的方法を用いても実施され得る。Kanada et al.及び国際公開第2003/099813号パンフレットは、プラジエノライドD(国際公開第2003/099813号パンフレットの11107D)からのE7107(D11)(国際公開第2003/099813号パンフレットの化合物45)の例示的合成方法について記載している。対応する米国特許番号はKotake et al.に対する米国特許第7,550,503号明細書である。これらの参考文献の各々は、記載される合成方法に関して本明細書に援用される。
【0925】
【0926】
【0927】
【0928】
【0929】
【0930】
【0931】
【0932】
【0933】
【0934】
【0935】
【0936】
【0937】
【0938】
【0939】
【0940】
【0941】
【0942】
【0943】
【0944】
【0945】
【0946】
【0947】
【0948】
【0949】
【0950】
【0951】
1.2 プラジエノライドベースのペイロードの調製
1.2.1 概要-一般的手順1
【化144】
ステップ1:(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7,10-ジヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(1.7g、3.154mmol)、トリエチルアミン(4.40mL、31.536mmol)、1,2-ジクロロエタン(31.5mL、3.154mmol)を合わせて室温で撹拌した。クロロトリエチルシラン(2.1mL、12.615mmol)を加え、一晩撹拌した。ブラインを反応混合物に注入して30分間撹拌し、有機層を分離した。水層をDCM(3×)で逆抽出した。有機層を合わせ、乾燥させて(無水Na
2SO
4)、濃縮乾固し、クロマトグラフィーにかけて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2S,3S)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(1.274g、1.423mmol、45.1%収率)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 0.51-0.64(m,18H)0.74-0.84(m,9H)0.90-0.97(m,26H)1.04(s,3H)1.18(s,4H)1.37(s,3H)1.41-1.57(m,4H)1.69(s,3H)1.84-1.93(m,1H)2.00-2.05(m,3H)2.24-2.35(m,1H)2.38-2.45(m,1H)2.72-2.80(m,1H)3.28-3.30(m,1H)3.62-3.70(m,1H)3.80-3.90(m,1H)4.56(s,1H)4.81-4.93(m,2H)5.41-5.52(m,1H)5.63-5.73(m,1H)5.77-5.87(m,1H)6.01-6.12(m,1H)6.42(dd,J=15.12,11.11Hz,1H).
【0952】
ステップ2:トルエン(4.16mL、39.085mmol)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2S,3S)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(0.7g、0.782mmol)の溶液に、1,8-ナフタレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-(1.173g、5.472mmol)、続いてトリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.354mL、3.127mmol)を0℃で加えた。次にこの反応混合物を50℃に加温し、3時間加熱した。溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2S,3S)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(467mg、0.513mmol、65.7%収率)を無色の油として得た。
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.62-0.70(m,18H)0.83-0.95(m,13H)0.99-1.07(m,27H)1.22(s,3H)1.24-1.36(m,2H),1.28-1.28(m,1H)1.45(s,3H)1.47-1.65(m,8H)1.78(d,J=0.88Hz,3H)1.91-2.00(m,1H)2.07(s,3H)2.37-2.45(m,1H)2.51-2.68,(m,3H)2.88-2.92(m,1H)3.20-3.24(m,1H)3.35(s,3H)3.74-3.82(m,1H)3.93-4.02(m,1H)4.94-4.99(m,1H)5.08-5.14(m,1H),5.53-5.64(m,1H)5.70-5.79(m,1H)5.81-5.88(m,1H)6.12-6.18(m,1H)6.47-6.58(m,1H).
【0953】
ステップ3:(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(500mg、0.558mmol)をMeOH(6009μL、148.524mmol)に溶解し、炭酸カリウム(232mg、1.675mmol)を加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌し、反応の完了が示された。この反応混合物を水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、ろ過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィーによる精製により、(4R,7R,8S,11S,12S,E)-7,8-ジヒドロキシ-7,11-ジメチル-12-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-4-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-9-エン-2-オン(305mg、0.357mmol、64.0%収率)を得た。
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.61-0.72(m,18H)0.82-0.92(m,7H)0.92-1.06(m,30H)1.19-1.40(m,7H)1.42-1.66(m,8H)1.51-1.52(m,1H)1.75-1.81(m,3H)1.91-2.01(m,1H)2.34-2.45(m,1H)2.51-2.61(m,2H)2.61-2.69(m,1H)2.86-2.94(m,1H)3.67-3.73(m,1H)3.73-3.80(m,1H)3.89-3.96(m,1H)4.08-4.17(m,1H)4.93-4.99(m,1H)5.36-5.47(m,1H)5.67-5.78(m,1H)5.80-5.88(m,1H)6.10-6.19(m,1H)6.47-6.58(m,1H).
【0954】
ステップ4:(4R,7R,8S,11S,12S,E)-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-7,11-ジメチル-12-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2S,3S)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-4-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-9-エン-2-オン(0.386g、0.445mmol)、DCM(0.1M)、DMAP(1.0当量)、ヒューニッヒ塩基(5.0当量)、クロロギ酸4-ニトロフェニル(1.8当量)を合わせ、一晩撹拌した。次にこの反応混合物を1N NaOHで抽出した。有機層を乾燥させて(無水Na2SO4)、濃縮乾固した。残渣をDCM(0.1M)、ヒューニッヒ塩基(5.0当量)、アミン(2.0当量)と混合し、これらを合わせて1時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィーにかけて、triTES-プラジエノライドカルバメートを得た。
【0955】
ステップ5:triTES-プラジエノライドカルバメート(1当量)、DCM(0.04M)、及びDIPEA(191当量)を合わせ、-78℃に冷却した。フッ化水素ピリジン(6.2当量)を加え、この反応物を室温に加温させ、一晩撹拌した。この反応混合物を氷浴で冷却し、次に飽和NaHCO3を加え、撹拌し、DCMで抽出した。有機層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させて、濃縮し、クロマトグラフィーにかけて、プラジエノライドカルバメートを得た。
【0956】
1.2.1.1 D1
一般的手順1(セクション1.2.1に概説される)を用いてD1を合成した。
【化145】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2S,3S)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(240mg、0.245mmol、55.1%収率)。LC/MS(ESI,m/z),980.4[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CDCl
3-d):δ ppm 0.56-0.66(m,18H)0.78-0.91(m,9H) 0.96(t,J=7.91Hz,27H)1.18-1.22(m,3H)1.23-1.28(m,1H)1.37-1.41(m,3H)1.41-1.63(m,7H)1.69-1.74(m,3H)1.89(dd,J=13.87,4.96Hz,1H)2.33-2.62(m,4H)2.78-2.89(m,5H),3.35(s,3H)3.43-3.52(m,4H)3.73(td,J=6.40,3.51Hz,1H)3.86(br dd,J=7.84,3.95Hz,1H)4.94-5.13(m,2H)5.58-5.76(m,3H)6.12,(br d,J=0.75Hz,1H)6.41(dd,J=15.06,11.04Hz,1H).
【0957】
D1
【化146】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.83-1.01(m,10H)1.23(s,3H)1.25-1.32(m,1H)1.35(s,3H)1.40-1.61(m,6H)1.61-1.71(m,2H)1.79(d,J=0.75Hz,3H)1.84-1.93(m,1H)2.45-2.63(m,3H)2.63-2.72(m,1H)2.77-2.85(m,4H)2.86-2.94(m,1H)3.33-3.37(m,3H)3.40-3.57(m,5H)3.77-3.89(m,1H)4.38-4.42(m,1H)5.01-5.12(m,2H)5.52-5.65(m,1H)5.69-5.80(m,1H)5.84-5.92(m,1H)6.09-6.18(m,1H)6.49-6.60(m,1H).
【0958】
1.2.1.2 D2
一般的手順1(セクション1.2.1に概説される)を用いてD2を合成した。
【化147】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(413mg、0.416mmol、90%収率)。LC/MS(ESI,m/z),994[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.61-0.71(m,18H)0.83-0.94(m,9H)0.98-1.07(m,28H)1.23(s,3H)1.41-1.48(m,3H)1.48-1.65(m,7H)1.72-1.81(m,3H)1.93-1.99(m,1H)2.03(s,3H)2.32(s,3H)2.38-2.48(m,5H)2.52-2.67(m,3H)2.87-2.93(m,1H)3.47-3.61(m,4H)3.72-3.81(m,1H)3.96-4.04(m,1H)4.53-4.62(m,1H)4.93-5.07(m,2H)5.51-5.64(m,1H)5.69-5.79(m,1H)5.81-5.92(m,1H)6.09-6.21(m,1H)6.46-6.60(m,1H).
【0959】
D2
【化148】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(37.8mg、0.058mmol、24.05%収率)。LC/MS(ESI,m/z),651.69[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 0.76-0.89(m,9H)1.10(s,3H)1.20-1.26(m,3H)1.30-1.42(m,4H)1.42-1.55(m,2H)1.66-1.75(m,3H)1.75-1.82(m,1H)2.13-2.21(m,3H)2.25(br s,4H)2.31-2.41(m,2H)2.54-2.60(m,2H)2.72-2.82(m,1H)3.22(s,3H)3.36-3.40(m,3H)3.66-3.76(m,1H)4.36-4.46(m,1H)4.53-4.60(m,1H)4.78-4.85(m,1H)4.86-4.96(m,2H)5.36-5.50(m,1H)5.60-5.74(m,1H)5.80-5.92(m,1H)6.02-6.11(m,1H)6.34-6.46(m,1H).
【0960】
1.3 MC-Val-Cit-pABCリンカー-ペイロードの調製
1.3.1 概要-一般的手順1
【化149】
ペイロード(1.0当量)、ヒューニッヒ塩基(3.0当量)、DMF(0.1M)、及び4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(1.2当量)を合わせて室温で一晩撹拌した。次に反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM中MeOH)又は逆相HPLCによって精製して生成物を得た。
【0961】
1.3.1.1 ADL1-D1
【化150】
リンカー-ペイロード(ADL1-D1):一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いて1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(50mg、0.040mmol、42%収率)を合成した。LC/MS(ESI,m/z),1258.5[M+Na]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.85-1.04(m,16H)1.18-1.26(m,3H)1.26-1.38(m,6H)1.40-1.71(m,14H)1.80(s,3H)1.85-1.98(m,2H)2.02-2.15(m,1H)2.24-2.34(m,2H)2.44-2.64(m,3H)2.65-2.72(m,1H)2.87-2.96(m,1H)3.06 -3.27(m,2H)3.37(s,6H)3.43-3.61(m,12H)3.79-3.90(m,1H)4.12-4.21(m,1H)4.48-4.55(m,1H)5.02-5.14(m,4H)5.55-5.65(m,1H),5.69-5.81(m,1H)5.85-5.93(m,1H)6.12-6.19(m,1H)6.49-6.60(m,1H)6.81(s,2H)7.29-7.38(m,2H)7.57-7.65(m,2H).
【0962】
1.3.1.2 ADL1-D18
プラジエノライドBを出発材料(SM)として利用して(R=H;スキーム1)、セクション1.2.1に概説される手順を用いてペイロードD18を調製した。
【化151】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((S,2E,4E)-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(205mg、0.330mmol、77%収率)。LC/MS(ESI,m/z),621.6[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.88-0.99(m,9H)1.10(d,J=6.78Hz,3H)1.24(s,4H)1.42-1.69(m,8H)1.77(d,J=0.88Hz,3H)2.43-2.63(m,4H)2.64-2.70(m,1H)2.71-2.82(m,5H)3.34(br s,3H)3.37(s,2H)3.42-3.57(m,5H)3.79-3.89(m,1H)5.06(s,2H),5.54-5.63(m,1H)5.64-5.80(m,2H)6.07-6.16(m,1H)6.29-6.40(m,1H).
【0963】
【化152】
リンカー-ペイロード(ADL1-D18):一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いて1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((S,2E,4E)-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(72mg、0.059mmol、54.7%収率)を合成した。LC/MS(ESI,m/z),1220.08[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.87-1.02(m,15H)1.10(d,J=6.78Hz,3H)1.23(s,4H)1.29-1.38(m,2H)1.44-1.68(m,13H),1.54-1.55(m,1H)1.77(d,J=0.75Hz,4H)1.87-1.95(m,1H)2.05-2.15(m,1H)2.24-2.32(m,2H)2.45-2.62(m,4H)2.65-2.70(m,1H),2.71-2.78(m,1H)3.13-3.18(m,2H)3.46-3.58(m,11H)3.79-3.90(m,1H)4.13-4.21(m,1H)4.47-4.56(m,1H)5.11(s,4H)5.53-5.81(m,3H)6.06-6.16(m,1H)6.29-6.40(m,1H)6.81(s,2H)7.34(d,J=8.53Hz,2H)7.60(d,J=8.53Hz,2H).
【0964】
1.3.1.3 ADL1-D8及びADL6-D8
以下に概説する手順のとおりペイロードD8を合成した:
【化153】
【0965】
ステップ1:0℃でジクロロメタン(2mL)中のトリ-TES-プラジエノライドD(200mg、0.223mmol)の溶液にDMAP(409mg、3.35mmol)及びクロロギ酸4-ニトロフェニル(338mg、1.675mmol)を加えた。この反応混合物を室温で7日間撹拌し、EtOAc及び水で希釈し、次に層を分離させた。水層をEtOAc(2×)で抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させて、ろ過し、真空濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(170mg、72%収率)を得た。
1H-NMR(400MHz,CHCl3-d):δ ppm 0.54-0.67(m,18H)0.78-1.03(m,36H)1.19-1.32(m,1H)1.39(s,3H)1.43-1.52(m,3H)1.55-1.63(m,3H)1.64(s,3H)1.74(s,3H)1.88(dd,J=13.80,5.02Hz,1H)2.13(s,3H)2.23-2.37(m,1H)2.39-2.48(m,2H)2.51-2.63(m,2H)2.84(s,1H)3.69-3.77(m,1H)3.82-4.00(m,1H)5.04(d,J=10.79Hz,1H)5.24(d,J=9.03Hz,1H)5.67-5.84(m,3H)6.12(d,J=10.16Hz,1H)6.42(dd,J=15.06,11.04Hz,1H)7.42(d,J=9.29Hz,2H)8.29(d,J=9.16Hz,2H).
【0966】
【化154】
ステップ2:DCM中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルアセテート(100mg、0.094mmol)の溶液にピペラジン及びDMAPを加えた。得られた黄色がかった懸濁液を6時間撹拌した。この反応混合物を濃縮して粗生成物を生じさせた。フラッシュクロマトグラフィーにより、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-7-イルピペラジン-1-カルボキシレート(95mg、100%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1008.8[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.42-0.70(m,22H)0.79-0.84(m,7H)0.86-0.91(m,4H)0.92-1.03(m,30H)1.15-1.30(m,2H)1.37-1.42(m,3H)1.44-1.52(m,3H)1.56-1.62(m,2H)1.62-1.68(m,1H)1.71-1.76(m,3H)1.83-1.93(m,1H)2.03-2.11(m,4H)2.36-2.45(m,2H)2.45-2.53(m,2H)2.54-2.64(m,1H)2.78-2.86(m,1H)2.86-3.07(m,4H)3.32-3.45(m,1H)3.45-3.64(m,3H)3.69-3.78(m,1H)3.79-3.94(m,1H)5.00(d,J=10.54Hz,1H)5.18(s,1H)5.54-5.79(m,3H)5.98-6.21(m,1H)6.33-6.57(m,1H)6.84-6.96(m,3H)8.02-8.35(m,2H)8.06-8.08(m,1H).
【0967】
【化155】
ステップ3:THF(3mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-7-イルピペラジン-1-カルボキシレート(95mg、0.094mmol)の溶液にTBAF(0.424mL、1M、0.424mmol)を加え、室温で10時間撹拌した。この混合物を濃縮し、EtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄した。有機層を分離し、Na
2SO
4で乾燥させて、ろ過し、真空濃縮した。HPLC精製により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-7-イルピペラジン-1-カルボキシレート(16mg、26%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),665.6[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.90(dd,J=6.84,2.20Hz,6H)0.94(t,J=7.40Hz,3H)1.20-1.30(m,1H)1.34(s,3H)1.39-1.54(m,3H)1.55(s,3H)1.59-1.73(m,3H)1.78(d,J=0.88Hz,3H)1.86(dd,J=13.99,5.46Hz,1H)2.05(s,3H)2.39-2.53(m,3H)2.55-2.65(m,1H)2.67(dd,J=8.03,2.26Hz,1H)2.89(s,1H)3.22(br s,4H)3.50-3.57(m,1H)3.58-3.90(m,5H)5.08(d,J=10.67Hz,1H)5.18(d,J=9.03Hz,1H)5.58-5.78(m,2H)5.88(d,J=15.31Hz,1H)6.10-6.23(m,1H)6.53(dd,J=15.25,10.98Hz,1H).
【0968】
ステップ4:
【化156】
リンカー-ペイロード(ADL1-D8):DMF(315μL、4.066mmol)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(7.5mg、10.166μmol)をヒューニッヒ塩基(5.33μL、0.03mmol)と加え合わせた。この反応物を0℃に冷却し、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-7-イルピペラジン-1-カルボキシレート(7.50mg、0.011mmol)を加えた。この反応混合物を出発材料が消費されるまで室温で撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、ADL1-D8(7.2mg、5.70μmol、56.1%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1263.8[M+H]
+。ADL1-110987の調製には、一般的手順1(1.3.1)も利用することができる。
1H-NMR(400MHz,クロロホルム-d):δ ppm 0.80-1.02(m,16H)1.20-1.35(m,6H)1.38-1.48(m,2H)1.57-1.69(m,7H)1.74-1.81(m,4H)1.86-1.96(m,2H)2.00-2.11(m,4H)2.31(br d,J=6.02Hz,2H)2.45-2.55(m,2H)2.59-2.74(m,2H)2.85-2.96(m,1H)3.05-3.25(m,5H)3.40-3.59(m,9H)3.62-3.88(m,1H)4.15(d,J=7.53Hz,1H)5.05-5.22(m,5H)5.56-5.77(m,2H)5.84-5.98(m,1H)6.11-6.22(m,1H)6.47-6.61(m,1H)7.31-7.40(m,2H)7.56-7.65(m,2H).
【0969】
【化157】
リンカー-ペイロード(ADL6-D8):DMF(238μL、3.069mmol)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(5mg、7.673μmol)をヒューニッヒ塩基(4.02μL、0.023mmol)と加え合わせた。この反応混合物を0℃に冷却し、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-7-イルピペラジン-1-カルボキシレートを加えた。この反応混合物を出発材料が消費されるまで室温で撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。HPLC精製により、ADL6-D8(1.2mg、1.019μmol、13.28%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1199.9[M+Na]
+.
1H NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.78-1.04(m,18H)1.15-1.52(m,58H)1.64-1.72(m,3H)1.78(d,J=6.53Hz,4H)2.04-2.19(m,3H)2.21-2.30(m,1H)2.44-2.67(m,4H)2.76(dd,J=6.09,2.95Hz,1H)2.90-3.02(m,1H)3.42-3.57(m,8H)3.61-3.70(m,1H)3.77(br s,1H)4.10-4.27(m,1H)4.58(br d,J=6.65Hz,1H)5.01-5.26(m,4H)5.52-5.70(m,2H)5.88(s,1H)5.93-6.02(m,1H)6.08-6.18(m,1H)6.47-6.58(m,1H)7.29-7.35(m,2H)7.55(d,J=8.66Hz,1H).
【0970】
1.3.1.4 ADL1-D4
以下に概説する手順を用いてADL1-D4を合成した。
【化158】
【0971】
ステップ1:(2S,3S,6S,7R,10R,E)-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-6-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-7-イルアセテート
【0972】
【化159】
20℃で1,2-ジクロロエタン(5mL)中のトリ-TESプラジエノライドD(160mg、0.179mmol)の溶液に、DMAP(32.7mg、0.268mmol)、トリエチルアミン(0.75mL、5.36mmol)及びクロロギ酸4-ニトロフェニル(360mg、1.787mmol)を加えた。この反応混合物を40℃で4日間、及び60℃で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、次に層を分離させた。水層をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機抽出物を水及びブラインで順次洗浄し、MgSO
4で乾燥させて、ろ過し、真空濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(150mg、79%収率)を得た。
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.48-0.71(m,24H)0.78-0.85(m,7H)0.86-0.93(m,5H)0.94-1.03(m,34H)1.18-1.22(m,2H)1.22-1.26(m,2H)1.35-1.43(m,4H)1.43-1.52(m,4H)1.54(s,4H)1.56-1.65(m,3H)1.68-1.72(m,3H)1.75(br d,J=0.75Hz,2H)1.84-1.95(m,1H)2.01-2.06(m,2H)2.09(s,2H)2.11(s,2H)2.33-2.52(m,4H)2.57(dd,J=8.09,2.07Hz,2H)2.80-2.90(m,1H)3.66-3.80(m,1H)3.82-3.93(m,2H)4.92-5.13(m,2H)5.63-5.68(m,1H)5.69-5.74(m,1H)5.75-5.83(m,2H)6.12(br d,J=10.67Hz,1H)6.41(ddd,J=15.15,11.01,5.08Hz,1H)7.50(d,J=9.41Hz,2H)8.35(d,J=9.29Hz,2H).
【0973】
ステップ2:(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート
【化160】
【0974】
DCM(1mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-6-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-7-イルアセテートの溶液にピペラジン(0.447g、5.195mmol)及びヒューニッヒ塩基(0.9mL、5.195mmol)を加えた。得られた黄色がかった懸濁液を6時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィーにかけて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(1.0g、0.844mmol、81%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1008.1[M+H]+.
【0975】
D4
【化161】
ステップ3:(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2S,3S)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(1.09g、0.92mmol)、DCM(20.71mL、321.826mmol)、及びDIPEA(19.91mL、114.018mmol)を合わせ、-78℃に冷却した。フッ化水素ピリジン(0.518g、5.232mmol)を加え、反応物を室温に加温させて、一晩撹拌した。LC/MSによって脱シリル化が示唆された。この反応混合物を氷浴で冷却した。飽和NaHCO
3を加え、撹拌し、DCMで抽出した。有機層を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥させて濃縮し、クロマトグラフィーにかけて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(225mg、36.8%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),665.6[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.87-0.92(m,6H)0.94(t,J=7.40Hz,3H)1.16-1.31(m,1H)1.35(s,3H)1.40-1.56(m,4H)1.59(s,3H)1.66(br dd,J=14.68,7.03Hz,3H)1.76-1.80(m,3H)1.87(dd,J=14.12,5.46Hz,1H)2.05(s,3H)2.30-2.41(m,1H)2.50(d,J=3.76Hz,2H)2.56-2.72(m,2H)2.90(br d,J=2.01Hz,1H)3.19(br t,J=5.14Hz,4H)3.50-3.59(m,1H)3.71(br s,4H)3.77-3.89(m,1H)5.01-5.13(m,2H)5.58-5.71(m,1H)5.71-5.81(m,1H)5.88(d,J=15.31Hz,1H)6.15(br d,J=10.79Hz,1H)6.53(dd,J=15.18,10.92Hz,1H).
【0976】
AD1-D4
【化162】
丸底フラスコ内のDMF(966μL)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(23mg、0.031mmol)にヒューニッヒ塩基(16.33μL、0.094mmol)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却し、D4(22.80mg、0.034mmol)を加え、室温で撹拌した。この反応混合物を真空濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、ADL1-D4(30.5mg、0.024mmol、77%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1263.8[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.87-0.93(m,7H)0.93-1.01(m,8H)1.19-1.34(m,4H)1.50(s,3H)1.57(s,5H)1.58-1.70(m,6H)1.70-1.77(m,1H)1.78(s,3H)1.83-1.95(m,2H)2.04(s,3H)2.05-2.13(m,1H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.32-2.42(m,1H)2.50(d,J=3.64Hz,2H)2.55-2.74(m,2H)2.90(td,J=5.83,2.26Hz,1H)3.03-3.26(m,2H)3.35(s,13H)3.42-3.61(m,11H)3.80(br dd,J=9.85,3.58Hz,1H)4.16(d,J=7.40Hz,1H)4.50(dd,J=8.91,5.14Hz,1H)4.56(s,1H)5.05(dd,J=14.37,10.10Hz,2H)5.09(s,2H)5.49(s,1H)5.59-5.69(m,1H)5.72-5.80(m,1H)5.87(d,J=15.18Hz,1H)6.09-6.22(m,1H)6.44-6.60(m,1H)7.32(d,J=8.66Hz,2H)7.58(d,J=8.53Hz,2H).
【0977】
1.3.1.5 ADL1-D9、ADL6-D9、及びADL1-D13
D9及びD13
トリ-TESプラジエノライドBを利用するD4の合成(スキーム4)に概説する手順を用いて3:1の異性体混合物としてD9及びD13を合成した。
【化163】
ペイロード(D9):LC/MS(ESI,m/z),649.7[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.87-1.01(m,10H)1.08(d,J=6.78Hz,3H)1.27-1.63(m,12H)1.66-1.74(m,1H)1.76(s,3H)1.97-2.10(m,3H)2.35-2.57(m,5H)2.58-2.65(m,1H)2.65-2.71(m,1H)2.77(td,J=5.93,2.32Hz,1H)2.89-3.05(m,4H)3.07-3.34(m,8H)3.50-3.68(m,5H)3.72-3.88(m,1H)4.88-5.09(m,1H)5.18(d,J=10.67Hz,1H)5.50-5.84(m,3H)6.01-6.13(m,1H)6.19-6.36(m,1H).
【化164】
ペイロード(D13):LC/MS(ESI,m/z),649.6[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,CHCl
3-d)δ ppm 0.84-1.01(m,11H)1.08(d,J=6.78Hz,3H)1.29-1.64(m,10H)1.63-1.73(m,1H)1.76(s,3H)1.94-2.12(m,4H)2.37-2.58(m,4H)2.59-2.65(m,1H)2.68(dd,J=7.40,2.26Hz,1H)2.77(td,J=5.93,2.32Hz,1H)3.01-3.30(m,4H)3.49(s,1H)3.54-3.67(m,2H)3.69-3.92(m,5H)4.13-4.78(m,11H)5.13-5.24(m,2H)5.48-5.61(m,1H)5.62-5.74(m,2H)6.04-6.13(m,1H)6.18-6.32(m,1H).
【0978】
ADL1-D9
一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いてADL1-D9を合成した。
【化165】
リンカー-ペイロード(ADL1-D9):(30.5mg、0.024mmol、77%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1263.8[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.87-0.93(m,7H)0.93-1.01(m,8H)1.19-1.34(m,4H)1.50(s,3H)1.57(s,5H)1.58-1.70(m,6H)1.70-1.77(m,1H)1.78(s,3H)1.83-1.95(m,2H)2.04(s,3H)2.05-2.13(m,1H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.32-2.42(m,1H)2.50(d,J=3.64Hz,2H)2.55-2.74(m,2H)2.90(td,J=5.83,2.26Hz,1H)3.03-3.26(m,2H)3.35(s,13H)3.42-3.61(m,11H)3.80(br dd,J=9.85,3.58Hz,1H)4.16(d,J=7.40Hz,1H)4.50(dd,J=8.91,5.14Hz,1H)4.56(s,1H)5.05(dd,J=14.37,10.10Hz,2H)5.09(s,2H)5.49(s,1H)5.59-5.69(m,1H)5.72-5.80(m,1H)5.87(d,J=15.18Hz,1H)6.09-6.22(m,1H)6.44-6.60(m,1H)7.32(d,J=8.66Hz,2H)7.58(d,J=8.53Hz,2H).
【0979】
ADL6-D9
一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いてADL6-D9を合成した。
【化166】
【0980】
リンカー-ペイロード(ADL6-D9):DMF(784μL)中の希釈した4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(16.5mg、0.025mmol)に、ヒューニッヒ塩基(13.27μL、0.076mmol)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却し、D9を加えた。反応混合物をLC/MSが反応の完了を示すまで室温で撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。DCM/MeOHによるシリカゲルでの残渣のフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物(16.7mg、57%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1184.6[M+Na]+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.80-1.02(m,16H)1.05-1.12(m,4H)1.13-1.34(m,5H)1.38-1.51(m,7H)1.53-1.68(m,11H)1.71-1.80(m,4H)1.97-2.16(m,4H)2.24-2.32(m,2H)2.32-2.42(m,1H)2.43-2.55(m,3H)2.56-2.69(m,3H)2.73(br d,J=2.13Hz,1H)3.07-3.18(m,1H)3.42-3.61(m,17H)3.75-3.91(m,1H)4.11-4.24(m,1H)4.43(s,2H)5.59-5.88(m,4H)6.06-6.17(m,1H)6.29-6.39(m,1H)7.24-7.39(m,2H)7.52-7.64(m,2H).
【0981】
ADL1-D13
【化167】
リンカー-ペイロード(AD1-D13):DMF(176μL、2.277mmol)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(4.2mg、5.693μmol)をヒューニッヒ塩基(2.98μL、0.017mmol)と加え合わせた。この反応混合物を0℃に冷却し、D13(4.06mg、6.262μmol)を加えた。反応混合物をLC/MSが反応の完了を示すまで室温で撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。DCM/MeOHによるシリカゲルでの残渣のフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物(4.8mg、68%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1248.0[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.58-0.98(m,10H)0.99-1.06(m,2H)1.11-1.31(m,6H)1.57-1.75(m,3H)2.11-2.26(m,1H)2.30-2.73(m,2H)3.28-3.80(m,7H)4.14-4.33(m,1H)4.44-4.55(m,1H)4.63-4.81(m,1H)4.92-5.06(m,1H)5.09(s,1H)5.49-5.74(m,1H)5.88-6.09(m,1H)6.14-6.36(m,1H)6.99-7.08(m,1H)7.21-7.38(m,2H)7.53-7.67(m,1H)7.95(s,1H).
【0982】
1.3.1.6 ADL1-D14
【化168】
一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いて1-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(1-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-4-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-6-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(30mg、0.024mmol、39.2%収率)を合成した。LC/MS(ESI,m/z),1254.5[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 0.75-1.00(m,12H),1.06-1.26(m,4H),1.26-1.77(m,13H),1.75-2.02(m,7H),2.08(s,8H),2.23-2.35(m,2H),2.54-2.70(m,2H),2.78-3.10(m,4H),3.36(br s,13H),3.66-3.79(m,1H),3.95-4.08(m,1H),4.11-4.25(m,1H),4.28-4.46(m,1H),4.46-4.58(m,1H),4.58-4.66(m,1H),4.66-4.77(m,1H),5.01(s,3H),5.14-5.27(m,1H),5.39(s,4H),5.71-5.79(m,1H),5.87-6.00(m,1H),6.63-6.75(m,1H),6.99(s,2H),7.13-7.24(m,1H),7.24-7.34(m,2H),7.52-7.62(m,2H),7.65-7.74(m,1H),7.75-7.82(m,1H),7.98-8.13(m,1H).
【0983】
1.3.1.7 ADL1-D33
D33
【化169】
0℃でTHF/H
2O(3mL/1mL)中の(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(27mg、0.042mmol)の撹拌溶液にLiOHを加え、反応混合物を25℃になるまでゆっくりと加温させた。国際出願PCT/US2019/026992号明細書(例えば、手順17及び19を参照されたい)(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて、(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレートを合成した。6時間後、反応混合物をリン酸緩衝液(NaH
2PO
4、1.0M、3mL)で中和し、相を分離させた。水層を酢酸エチル(3×2mL)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空濃縮した。逆相カラムクロマトグラフィーにより、表題化合物(19.4mg、0.031mmol、73.4%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),631.4[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.85-1.16(m,2H)1.23-1.52(m,1H)1.57-1.77(m,1H)1.87(s,1H)1.92-2.13(m,1H)2.35-2.55(m,1H)2.50-2.74(m,1H)3.11(br s,1H)3.36-3.54(m,2H)3.64(br d,J=10.42Hz,2H)3.77-3.90(m,1H)4.76(br s,4H)5.07-5.19(m,1H)5.38-5.68(m,1H)6.40-6.76(m,1H)8.02-8.66(m,1H).
【0984】
ADL1-D33
【化170】
リンカー-ペイロード(ADL1-D33):DMF(714μL、9.217mmol)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(17mg、0.023mmol)に、ヒューニッヒ塩基(12.07μL、0.069mmol)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却し、2-(4-(3-フルオロ-5-((E)-2-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソ-6-((ピペラジン-1-カルボニル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-2-イル)プロパ-1-エン-1-イル)フェニル)ピペラジン-1-イル)酢酸(16.71mg、0.026mmol)を加えた。反応混合物をLC/MSが反応の完了を示すまで室温で撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー及び更なるHPLC精製により、表題化合物(13.5mg、10.98μmol、47.7%収率)が得られた。LC/MS(ESI,m/z),1229.5[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.92-0.99(m,10H)1.01(d,J=6.78Hz,3H)1.24-1.46(m,9H)1.52-1.70(m,10H)1.70-1.82(m,1H)1.87(d,J=1.00Hz,4H)1.89-2.00(m,2H)2.01-2.23(m,2H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.46(dd,J=14.31,5.27Hz,1H)2.57-2.71(m,2H)2.86(d,J=0.63Hz,1H)3.00(s,1H)3.06-3.27(m,4H)3.35(s,5H)3.41-3.53(m,19H)3.66(s,2H)3.76-3.90(m,1H)4.07-4.21(m,1H)4.39-4.69(m,37H)5.09(s,3H)5.13(d,J=10.54Hz,1H)5.52(dd,J=14.56,9.03Hz,2H)6.55(br s,2H)6.69(d,J=1.38Hz,2H)7.33(d,J=8.66Hz,2H)7.59(d,J=8.53Hz,2H)7.88-8.04(m,1H)8.16-8.33(m,1H).
【0985】
1.3.2 ADL1-D4、ADL1-D5、ADL21-D4、ADL22-D4、ADL23-D4、ADL13-D4
1.3.2.1 D4及びD5の一般的調製手順
以下に概説する4ステップ手順を用いて表題化合物を合成した。
【化171】
【0986】
ステップ2
20℃で1,2-ジクロロエタン(0.2M)中のトリ-TESプラジエノライドD(1.0当量)の溶液に、DMAP(1.5当量)、トリエチルアミン(30当量)及びクロロギ酸4-ニトロフェニル(10当量)を加えた。この混合物を40℃で4日間、次に60℃で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、次に層を分離させて、水層をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機抽出物を水及びブラインで順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、ろ過し、真空濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中EtOAc)によって精製して、中間体炭酸塩を得た。炭酸塩(1.0当量)、DCM(0.2M)、トリエチルアミン(3.0当量)、及びアミン(2.0当量)を合わせて室温で1時間撹拌した。得られた混合物を真空濃縮し、クロマトグラフィー(DCM/MeOH)にかけて、カルバメート中間体を位置異性体の混合物として得た。
【0987】
ステップ3
ステップ2で得られた位置異性体カルバメートの混合物(1.0当量)をDCM(0.04M)に溶解した。ヒューニッヒ塩基(124当量)を加え、得られた混合物を-78℃に冷却した。HF・ピリジン(30当量)を滴下して加え、混合物を室温に加温し、室温で一晩撹拌した。次にこの混合物を-78℃に冷却し、反応混合物に飽和重炭酸ナトリウムを滴下して加え、混合物を室温に加温した。有機層を分配し、水層をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、ろ過し、真空濃縮した。得られた残渣を逆相HPLC精製に供して、所望の位置異性体生成物の各々を得た。
【0988】
D5
一般的手順1.3.2.1ステップ2及び3により、ステップ2で2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンを使用して表題化合物を調製した。
【0989】
ステップ2
【化172】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イル2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレートと(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-7-イル2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレートとの混合物を無色の油として入手した(21.7mg、45.1%)。LCMS(ESI,m/z),[M+H]
+1020.6
1H NMR(400MHz,メタノール-d)δ ppm 0.61-0.70(m,19H)0.82-0.95(m,10H)0.95-1.04(m,29H)1.23(br dd,J=7.15,4.64Hz,1H)1.30(s,1H)1.42-1.64(m,12H)1.78(s,4H)1.88-2.01(m,2H)2.06(br d, J=10.92Hz,3H)2.14(br s,1H)2.43(br d,J=4.64Hz,2H)2.49(br s,1H)2.63(dd,J=8.16,2.13Hz,2H)2.86-2.91(m,1H)3.47-3.66(m,2H)3.76(td, J=6.37,3.33Hz,1H)3.95(br d,J=4.27Hz,1H)4.34(br s,1H)6.15(br d, J=10.92Hz,1H)6.52(dd,J=15.12,10.98Hz,1H)
【0990】
ステップ3
D5
【化173】
HPLC精製により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル(1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(5mg、34.7%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z),[M+H]
+677.6
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ ppm 0.85-0.98(m,9H)1.25(td,J=7.40,4.14Hz,1H)1.34(s,3H)1.42-1.69(m,9H)1.79(s,4H)1.82-1.96(m,2H)2.04(d,J=9.29Hz,3H)2.33(br d,J=10.04Hz,1H)2.47-2.54(m,2H)2.57-2.72(m,2H)2.87-2.92(m,1H)3.03(br s,2H)3.33-3.43(m,2H)3.43-3.57(m,2H)3.77-3.84(m,1H)3.86-3.94(m,1H)4.50(br s,1H)4.97-5.11(m,2H)5.60-5.68(m,1H)5.73-5.82(m,1H)5.88(d,J=15.31Hz,1H)6.15(br d,J=11.04Hz,1H)6.53(dd,J=15.25,10.98Hz,1H)8.54(s,1H)
【0991】
D4
一般的手順1.3.2.1ステップ2及び3により、ステップ2でピペラジンを使用して表題化合物を調製した
【0992】
ステップ2:
【化174】
一般的手順1.3.2.1、ピペラジンを用いるステップ2により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(1.0g、0.844mmol、81%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1008.1[M+H]
+.
【0993】
ステップ3:D4
【化175】
HPLC精製により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(225mg、36.8%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),665.6[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.87-0.92(m,6H)0.94(t,J=7.40Hz,3H)1.16-1.31(m,1H)1.35(s,3H)1.40-1.56(m,4H)1.59(s,3H)1.66(br dd,J=14.68,7.03Hz,3H)1.76-1.80(m,3H)1.87(dd,J=14.12,5.46Hz,1H)2.05(s,3H)2.30-2.41(m,1H)2.50(d,J=3.76Hz,2H)2.56-2.72(m,2H)2.90(br d,J=2.01Hz,1H)3.19(br t,J=5.14Hz,4H)3.50-3.59(m,1H)3.71(br s,4H)3.77-3.89(m,1H)5.01-5.13(m,2H)5.58-5.71(m,1H)5.71-5.81(m,1H)5.88(d,J=15.31Hz,1H)6.15(br d,J=10.79Hz,1H)6.53(dd,J=15.18,10.92Hz,1H).
【0994】
ADL1-D4
【化176】
ADL1-D4の調製には、一般的手順1(1.3.1)を用いた。フラッシュクロマトグラフィーにより、ADL1-D4(30.5mg、0.024mmol、77%収率)を得た。
LC/MS(ESI,m/z),1263.8[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.87-0.93(m,7H)0.93-1.01(m,8H)1.19-1.34(m,4H)1.50(s,3H)1.57(s,5H)1.58-1.70(m,6H)1.70-1.77(m,1H)1.78(s,3H)1.83-1.95(m,2H)2.04(s,3H)2.05-2.13(m,1H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.32-2.42(m,1H)2.50(d,J=3.64Hz,2H)2.55-2.74(m,2H)2.90(td,J=5.83,2.26Hz,1H)3.03-3.26(m,2H)3.35(s,13H)3.42-3.61(m,11H)3.80(br dd,J=9.85,3.58Hz,1H)4.16(d,J=7.40Hz,1H)4.50(dd,J=8.91,5.14Hz,1H)4.56(s,1H)5.05(dd,J=14.37,10.10Hz,2H)5.09(s,2H)5.49(s,1H)5.59-5.69(m,1H)5.72-5.80(m,1H)5.87(d,J=15.18Hz,1H)6.09-6.22(m,1H)6.44-6.60(m,1H)7.32(d,J=8.66Hz,2H)7.58(d,J=8.53Hz,2H).
【0995】
ADL1-D5
【化177】
D5を使用したADL1-D5の調製には、一般的手順1(1.3.1)を用いた。フラッシュクロマトグラフィーにより、(14mg、51.6%収率)を得た。LCMS(ESI,m/z),1276.43[M+H]
+
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ ppm 0.86-1.00(m,16H)1.23-1.40(m,7H)1.42-1.69(m,16H)1.73-1.80(m,4H)1.84-1.96(m,4H)1.98-2.10(m,4H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.31-2.41(m,1H)2.50(br d,J=3.39Hz,2H)2.56-2.64(m,1H)2.64-2.72(m,1H)2.80-2.93(m,1H)3.12(br d,J=6.90Hz,1H)3.16-3.26(m,1H)3.35-3.56(m,7H)3.76-3.86(m,1H)4.16(d,J=7.40Hz,1H)4.48-4.58(m,3H)4.93-5.16(m,4H)5.65(br d,J=9.91Hz,1H)5.70-5.82(m,1H)5.88(d,J=15.18Hz,1H)6.14(br d,J=11.04Hz,1H)6.50-6.58(m,1H),6.79(s,2H)7.26-7.36(m,2H)7.56-7.63(m,2H)
【0996】
1.3.3 ADL22-D4の合成
【化178】
DMF(2mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(12mg、0.018mmol)の溶液に、4-((2S,5S)-15-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5-イソプロピル-4,7-ジオキソ-2-(3-ウレイドプロピル)-10,13-ジオキサ-3,6-ジアザペンタデカンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(16.98mg、0.022mmol)及びヒューニッヒ塩基(7.00mg、0.054mmol)を加えた。この混合物を20℃で1時間撹拌した。混合物を直接シリカゲル上で真空濃縮し、カラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM0~20%)によって精製すると、1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((2S,5S)-15-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5-イソプロピル-4,7-ジオキソ-2-(3-ウレイドプロピル)-10,13-ジオキサ-3,6-ジアザペンタデカンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(12mg、9.16μmol、50.8%収率)が白色固体としてもたらされた。LCMS(ESI,m/z),1310.2[M+H]
+
化学式:C65H96N8 O20分子量:1309.52
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.73-0.89(m,17H)1.03-1.13(m,1H)1.21-1.25(m,4H)1.25-1.40(m,5H)1.42-1.47(m,4H)1.48,(br s,3H)1.69(s,4H)1.73-1.83(m,1H)1.99(s,2H)2.10-2.25(m,1H)2.36(br s,3H)2.40-2.48(m,2H)2.54-2.66(m,2H)2.72-2.80,(m,1H)2.88-3.08(m,2H)3.34-3.44(m,9H)3.44-3.48(m,3H)3.48-3.52(m,2H)3.52-3.59(m,3H)3.64-3.75(m,1H)4.24(s,1H),4.40(br d,J=5.65Hz,2H)4.62(d,J=5.02Hz,1H)4.80-4.85(m,1H)4.90(br d,J=9.03Hz,2H)5.01(s,2H)5.40(s,2H)5.48-5.57(m,1H),5.66-5.76(m,1H)5.81-5.91(m,1H)5.94-6.01(m,1H)6.02-6.11(m,1H)6.36-6.45(m,1H)7.02(s,2H)7.27-7.33(m,2H)7.58(s,2H)7.81-7.89(m,1H)8.11(br d,J=7.40Hz,1H)9.96-10.02(m,1H)
【0997】
1.3.4 ADL21-D12、ADL21-D1、ADL21-D4の一般的合成手順:
【化179】
ステップ1
ペイロード(1.0当量)及び(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-(((S)-4-アミノ-1-((4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1,4-ジオキソブタン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(1.0当量)をDMF(0.1M)中に溶解させて、ヒューニッヒ塩基(3.0当量)を加えた。この反応混合物を室温で30分間撹拌した後、反応物を真空中で濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィー(MeOH/DCM)にかけて、所望の生成物を得た。
【0998】
ステップ2及び3
fmoc-Ala-Ala-アスパラギンPABCペイロード(1.0当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.05M)に溶解し、次にジエチルアミン(6.0当量)を加えた。この反応物を室温で1時間撹拌し、混合物を蒸発乾固させた。この粗生成物をN,N-ジメチルホルムアミド(0.05M)で希釈した。2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(1.2当量)及びヒューニッヒ塩基(2.5当量)を混合物に加え、室温で1にわたって撹拌し、次に混合物を真空濃縮し、得られた残渣を逆相HPLCによって精製して、所望のマレイミドカプロイルAla-Ala-アスパラギンPABCリンカーペイロードを得た。
【0999】
1.3.4.1 ADL21-D1
ステップ1:
【化180】
1-(4-((5S,8S,11S)-11-(2-アミノ-2-オキソエチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-5,8-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-アミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(140.2mg、71.9%)LCMS(ESI,m/z)1265.6[M+H]
+
化学式:C
67H
89N
7O
17
分子量:1264.48
【1000】
ステップ2及び3:
【化181】
1-(4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(49.1mg、35.8%)LCMS(ESI,m/z)1258.19[M+Na]
+
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ ppm 0.85-0.98(m,10H)1.22(s,4H)1.26-1.45(m,14H)1.45-1.69(m,12H)1.79(s,3H)1.90(s,2H)2.20-2.27(m,2H)2.52(br dd,J=10.10,3.70Hz,3H)2.67(br d,J=2.13Hz,1H)2.85(t,J=6.15Hz,3H)3.14(t,J=1.57Hz,1H)3.41-3.57,(m,14H)3.78-3.88(m,1H)4.27(dd,J=12.36,7.09Hz,2H)4.77(s,1H)4.97-5.13(m,6H)5.51-5.64(m,1H)5.72(br d,J=9.66Hz,1H),5.88(d,J=15.43Hz,1H)6.12-6.17(m,1H)6.47-6.61(m,1H)6.79(s,2H)7.33(m,J=8.66Hz,2H),7.68(m,J=8.66Hz,2H)
【1001】
1.3.4.2 ADL21-D4
ステップ1
【化182】
1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((5S,8S,11S)-11-(2-アミノ-2-オキソエチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-5,8-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-アミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(125mg、85.6%)LCMS(ESI,m/z)1293.4[M+H]
+
【1002】
ステップ2及び3
【化183】
1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(35mg、80%)LCMS(ESI,m/z)1285.0[M+Na]
+
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.71-0.87(m,9H)1.04-1.12(m,1H)1.14-1.26(m,13H)1.27-1.40(m,3H)1.40-1.52(m,9H)1.52-1.62(m,1H)1.69(s,3H)1.74-1.83(m,1H)1.99(d,J=4.27Hz,4H)2.03-2.14(m,2H)2.15-2.26(m,1H)2.31-2.41(m,2H)2.54-2.65(m,4H)2.72-2.80(m,1H)3.17(d,J=5.27Hz,3H)3.36(br s,9H)3.63-3.74(m,1H)3.99-4.12(m,2H)4.14-4.22(m,1H)4.23-4.30(m,1H)4.40(d,J=5.65Hz,1H)4.55-4.65(m,2H)4.82(s,1H)4.87-4.93(m,2H)5.01(s,2H)5.47-5.57(m,1H)5.66-5.77(m,1H)6.01-6.09(m,1H)6.35-6.45(m,1H)6.89-6.96(m,1H)6.99(s,2H)7.30(d,J=8.66Hz,2H)7.36-7.42(m,1H)7.62(s,2H)7.97-8.21(m,3H),9.62-9.72(m,1H).
【1003】
1.3.5 ADL21-D12
【化184】

DMF(1mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7,10-ジヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(50mg、0.08mmol)の溶液に(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-(((S)-4-アミノ-1-((4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1,4-ジオキソブタン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(73.9mg、0.096mmol)、続いてN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(104mg、0.803mmol)を加えた。この反応混合物を1時間撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。所望の化合物を含有する画分を濃縮すると澄明な油がもたらされ、これを100%収率と仮定して次のステップに直接回した。次に入手された油をDMF(2mL)に溶解し、ジエチルアミン(58.7mg、0.803mmol)をチャージした。得られた混合物を20℃で1時間撹拌し、真空濃縮した。残渣を再びDMF(1mL)に溶解させて、次に2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(32.2mg、0.104mmol)及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(104mg、0.803mmol)を加えた。得られた混合物を1時間撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固し、逆相HPLC下で精製すると、1-(4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7,10-ジヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(7.5mg、6.14μmol、7.65%収率)が白色固体として得られた。LCMS(ESI,m/z)1222.28[M+H]
+
【1004】
1.3.6 ADL21-D8
【化185】

DMF中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-7-イルピペラジン-1-カルボキシレート(27.0mg、0.041mmol)の溶液に(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-(((S)-4-アミノ-1-((4((((4ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1,4-ジオキソブタン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(40.5mg、0.053mmol)、続いてヒューニッヒ塩基(36.2μl、0.203mmol)を加えた。室温で20分間撹拌した後、次に混合物を真空濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(0~20%MeOH/DCM)によって精製して、所望の中間体を得た。次に残渣をDMF(2mL)及びジエチルアミン(29.7mg、0.406mmol)と合わせ、室温で20分間撹拌した。その後、混合物を真空濃縮し、得られた残渣を再びDMF(2ml)に溶解させて、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(16.28mg、0.053mmol)及びヒューニッヒ塩基(36.2μl、0.203mmol)で処理した。得られた混合物を20分間撹拌した後、濃縮乾固し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーによって中間体と共に0~20%MeOH/DCMグラジエントで溶出して精製した。次に入手された残渣を逆相HPLC精製に供して、単離された1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-7-イル)4-(4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(3.5mg、2.77μmol、6.82%収率)を白色固体として得た。1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-6-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-7-イル)4-(4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(3.5mg、6.8%)LCMS(ESI,m/z)1285.60[M+Na]
+
1H NMR:0.68-0.90(m,11H)1.03-1.13(m,2H)1.15-1.26(m,14H)1.24-1.38(m,4H)1.40-1.63(m,12H),1.69(s,3H)1.74-1.83(m,1H)2.03(s,3H)2.06-2.12(m,2H)2.24-2.41(m,3H)2.53-2.63(m,4H),3.79-3.80(m,1H)4.13-4.30(m,2H)4.32-4.33(m,1H)4.33-4.47(m,1H)4.44-4.48(m,1H)4.52-4.73(m,2H)4.74-4.97(m,2H)5.03(s,3H)5.47-5.61(m,1H)5.65-5.77(m,1H)5.79-5.92(m,1H)5.98-6.12(m,1H)6.30-6.46(m,1H)6.75-6.85(m,1H)6.90-6.95(m,1H)6.99(s,1H)7.26-7.36(m,2H)7.37-7.46(m,1H)7.56-7.73(m,2H)7.90-8.09(m,1H)8.07-8.22(m,2H)8.46(s,1H)9.59-9.78(m,1H)
【1005】
1.3.7 DBCO-Val-Cit-pABCリンカー-ペイロード、ADL25-D4の調製
【化186】
0℃でDCM(5mL)中の3-アミノ-1-(11,12-ジヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)プロパン-1-オン(19.36mg、0.07mmol)の溶液に、ヒューニッヒ塩基(10.26mg、0.079mmol)、続いて4-ニトロフェニルカルボノクロリデート(14.12mg、0.07mmol)を加えた。この反応物を20℃に加温し、2時間撹拌した。次にこの混合物を濃縮乾固し、DMFで希釈した。得られた混合物にヒューニッヒ塩基(10.26mg、0.079mmol)及び1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(50mg、0.047mmol)をチャージし、1時間撹拌した。次にこの混合物を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー、続いて逆相精製によって精製して、1-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((9S,12S)-9-イソプロピル-3,7,10-トリオキソ-12-(3-ウレイドプロピル)-2,6,8,11-テトラアザトリデカン-13-ジベンゼンシクロオクチンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(5.3mg、8.27%)を得た。LCMS(ESI,m/z)1372.7[M]
+
【1006】
1.3.8.マレイミド-Glu-Val-Cit-pABCリンカー-ペイロードの調製
【化187】

DMF(1mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(20mg、0.03mmol)の溶液に(S)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(((S)-3-メチル-1-(((S)-1-((4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(32.3mg、0.036mmol)及びヒューニッヒ塩基(11.66mg、0.09mmol)を加え、20℃で1時間撹拌した。次にジエチルアミン(110mg、1.504mmol)を加え、混合物を20℃で更に30分間撹拌した。次に混合物を酢酸エチルで希釈し、真空濃縮した。得られた残渣をDMF(1mL)、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(13.91mg、0.045mmol)及びヒューニッヒ塩基(11.66mg、0.09mmol)で希釈し、反応物を50分間撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濃縮乾固し、逆相HPLCを用いて精製して、(S)-5-(((S)-1-(((S)-1-((4-(((4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-5-オキソペンタン酸(9.3mg、6.68μmol、22.20%収率)を白色固体として得た;LCMS(ESI,m/z)1393.4[M+H]
+
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.74-0.89(m,16H)1.03-1.66(m,25H)1.69(s,4H)1.74-1.94(m,2H)2.00(s,4H)2.09(br d,J=4.39Hz,2H)2.21(br d,J=7.53Hz,3H)2.31-2.42(m,2H)2.53-2.84(m,3H)2.89-3.09(m,2H)3.34-3.48(m,10H)3.65-3.74(m,1H)4.19,(dd,J=8.47,6.59Hz,1H)4.26-4.45(m,3H)4.57-4.64(m,1H)4.79-4.85(m,1H)4.90(br d,J=9.03Hz,2H)5.01(s,2H)5.43(br s,2H),5.47-5.59(m,1H)5.67-5.80(m,1H)5.81-5.93(m,1H)5.94-6.14(m,2H)6.35-6.47(m,1H)6.99(s,2H)7.30(d,J=8.66Hz,2H)7.58,(d,J=8.53Hz,2H)7.63-7.71(m,1H)7.98-8.06(m,1H)8.15-8.27(m,1H)9.99-10.09(m,1H)
【1007】
1.3.10.ADL1-D3、ADL10-D3
以下に提供する手順により、ペイロードD3を調製した
【1008】
D3
【化188】
DCM(3mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(55mg、0.083mmol)の混合物に(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2-オキソエチル)カルバメート(46.5mg、0.165mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(52.6mg、0.248mmol)を加えた。この反応物を室温で20分間撹拌した。次に反応混合物を濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~10%MeOH/DCM)によって精製した。精製した材料をDMF(3mL)に溶解した。次にこの混合物にジエチルアミン(121mg、1.655mmol)をチャージし、室温で撹拌した。次にこの混合物を真空濃縮し、逆相HPLC精製によって精製して、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(6mg、8.48μmol、10.25%収率)を白色固体として得た。
LCMS(ESI,m/z),708.2[M+H]
+
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.74-0.86(m,9H)1.04-1.15(m,1H)1.23(s,3H)1.26-1.40(m,3H)1.45(s,4H)1.47-1.51(m,1H),1.52-1.63(m,1H)1.69(s,3H)1.73-1.82(m,1H)1.99(s,3H)2.13-2.42(m,9H)2.53-2.65(m,4H)2.72-2.80(m,1H),3.35-3.41(m,3H) 3.65-3.76(m,1H)4.36-4.46(m,1H)4.57-4.66(m,1H)4.79-4.85(m,1H)4.87-4.95(m,2H)5.43-5.56(m,1H)5.64-5.77(m,1H)5.80-5.91(m,1H)6.01-6.12(m,1H)6.33-6.49(m,1H).
【1009】
1.3.10.1 ADL10-D3
【化189】
DMF(2mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(40mg、0.057mmol)の溶液に、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(27.9mg、0.09mmol)、続いてヒューニッヒ塩基(36.5mg、0.283mmol)を加え、20分間撹拌した。次に得られた混合物をシリカゲル上で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(0~20%MeOH/DCM)によって精製すると、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22mg、43.2%収率)が黄色がかった固体としてもたらされた。LCMS(ESI,m/z)902.1[M+H]
+
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.73-0.89(m,10H)0.99-1.29(m,10H)1.30-1.38(m,2H)1.40-1.49(m,9H)1.52-1.64(m,1H),1.69(s,3H)1.74-1.83(m,1H)1.93-2.07(m,5H)2.34(br d,J=16.94Hz,9H)2.59(s,3H)3.07-3.21(m,2H)3.36(br d,J=14.05Hz,3H)3.66-3.78(m,1H)4.37-4.45(m,1H)4.57-4.66(m,1H)4.79-4.86(m,1H)4.87-4.97(m,2H)5.46-5.57(m,1H)5.66-5.75(m,1H)5.81-5.91(m,1H)5.99-6.13(m,1H)6.31-6.47(m,1H)7.00(s,2H)7.62-7.71(m,1H)
【1010】
1.3.10.2 ADL1-D3
【化190】

DMF(2mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(30mg、0.042mmol)の溶液に、(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-3-メチル-1-(((S)-1-((4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(35.7mg、0.047mmol)、続いてヒューニッヒ塩基(16.43mg、0.127mmol)を加え、混合物を1時間撹拌させておいた。得られた混合物をシリカゲル上で直接濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-((((4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレートがもたらされ、これを直接次のステップに直接回した。DMF(2mL)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-((((4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(30mg、0.022mmol)の溶液にジエチルアミン(82mg、1.123mmol)を加え、混合物を20℃で1時間撹拌させておいた。得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、真空濃縮した。次に得られた残渣を再びDMFに溶解させて、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(8.31mg、0.027mmol)及びヒューニッヒ塩基(8.71mg、0.067mmol)をチャージした。得られた混合物を20℃で1時間撹拌した。次に溶液をシリカゲル上で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(0~20%MeOH/DCM)によって精製すると、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-((((4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(25mg、0.019mmol、85%収率)が白色固体としてもたらされた;LC/MS(ESI,m/z),1306.2[M]
+.
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.75-0.89(m,18H)1.05-1.12(m,1H)1.15-1.20(m,1H)1.21-1.26(m,4H)1.26-1.39(m,5H)1.40-1.40(m,1H)1.42-1.47(m,5H)1.57(br s,3H)1.69(s,4H)1.73-1.81(m,1H)1.92-1.98(m,1H)1.99(d,J=4.39Hz,4H)2.14-2.26(m,1H)2.29-2.42(m,4H)2.42-2.47(m,1H)2.53-2.64(m,2H)2.73-2.78(m,1H)2.88-3.08(m,2H)3.35-3.60(m,19H)3.65-3.75(m,1H)4.22(dd,J=8.47,6.71Hz,1H)4.32-4.45(m,2H)4.60-4.65(m,1H)4.79-4.85(m,1H)4.90(br d,J=9.03Hz,2H)5.01(s,2H)5.40(s,2H)5.47-5.58(m,1H)5.66-5.77(m,1H)5.87(s,1H)5.97(s,1H)6.03-6.13(m,1H)6.35-6.45(m,1H)7.02(s,2H)7.30(d,J=8.53Hz,2H)7.59(d,J=8.53Hz,2H)7.81-7.88(m,1H),8.09-8.15(m,1H)9.90-10.09(m,1H)
【1011】
1.3.11 以下の一般的手順によりADL1-D6及びADL1-D7を調製した
【化191】
DCM(0.1M)中の(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(30mg、0.045mmol)の溶液に(9H-フルオレン-9-イル)メチルメチル(2-オキソエチル)カルバメート(5当量)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(10当量)を加え、30分間撹拌した。次にこの混合物を酢酸エチルで希釈し、水及びブラインで洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させて、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(0~10%MeOH/DCMグラジエント)によって精製して、所望の生成物を単離した。次に得られた材料をDMF(0.1M)で希釈し、ジエチルアミン(20当量)をチャージし、20分間撹拌した。次にこの混合物を濃縮乾固し、再びDMFに希釈し、4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(1.2当量)、次にヒューニッヒ塩基(3.0当量)をチャージした。この混合物を30分間撹拌し、真空濃縮し、分取HPLC精製によって精製して、目標生成物を得た。
【1012】
1.3.11.2 ADL1-D7
【化192】
一般的手順1(1.3.11)により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7,10-ジヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(((4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)フェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(3.1mg、5.03%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1278.4[M+H]
+.
【1013】
1.3.11.2 ADL1-D6
【化193】
一般的手順1(1.3.11)により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-アセトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(((4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)フェノキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(2mg、3.36%収率を得た。LC/MS(ESI,m/z),1321.37[M+H]
+.
【1014】
1.3.1.5 ADL1-D9、ADL6-D9、及びADL1-D13
D9及びD13
トリ-TESプラジエノライドBを利用するD4の合成(スキーム4)に概説する手順を用いて3:1の異性体混合物としてD9及びD13を合成した。
【1015】
【化194】
ペイロード(D9):LC/MS(ESI,m/z),649.7[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.87-1.01(m,10H)1.08(d,J=6.78Hz,3H)1.27-1.63(m,12H)1.66-1.74(m,1H)1.76(s,3H)1.97-2.10(m,3H)2.35-2.57(m,5H)2.58-2.65(m,1H)2.65-2.71(m,1H)2.77(td,J=5.93,2.32Hz,1H)2.89-3.05(m,4H)3.07-3.34(m,8H)3.50-3.68(m,5H)3.72-3.88(m,1H)4.88-5.09(m,1H)5.18(d,J=10.67Hz,1H)5.50-5.84(m,3H)6.01-6.13(m,1H)6.19-6.36(m,1H).
【1016】
【化195】
ペイロード(D13):LC/MS(ESI,m/z),649.6[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,CHCl
3-d)δ ppm 0.84-1.01(m,11H)1.08(d,J=6.78Hz,3H)1.29-1.64(m,10H)1.63-1.73(m,1H)1.76(s,3H)1.94-2.12(m,4H)2.37-2.58(m,4H)2.59-2.65(m,1H)2.68(dd,J=7.40,2.26Hz,1H)2.77(td,J=5.93,2.32Hz,1H)3.01-3.30(m,4H)3.49(s,1H)3.54-3.67(m,2H)3.69-3.92(m,5H)4.13-4.78(m,11H)5.13-5.24(m,2H)5.48-5.61(m,1H)5.62-5.74(m,2H)6.04-6.13(m,1H)6.18-6.32(m,1H).
【1017】
ADL1-D9
一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いてADL1-D9を合成した。
【1018】
【化196】
リンカー-ペイロード(ADL1-D9):(30.5mg、0.024mmol、77%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1263.8[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.87-0.93(m,7H)0.93-1.01(m,8H)1.19-1.34(m,4H)1.50(s,3H)1.57(s,5H)1.58-1.70(m,6H)1.70-1.77(m,1H)1.78(s,3H)1.83-1.95(m,2H)2.04(s,3H)2.05-2.13(m,1H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.32-2.42(m,1H)2.50(d,J=3.64Hz,2H)2.55-2.74(m,2H)2.90(td,J=5.83,2.26Hz,1H)3.03-3.26(m,2H)3.35(s,13H)3.42-3.61(m,11H)3.80(br dd,J=9.85,3.58Hz,1H)4.16(d,J=7.40Hz,1H)4.50(dd,J=8.91,5.14Hz,1H)4.56(s,1H)5.05(dd,J=14.37,10.10Hz,2H)5.09(s,2H)5.49(s,1H)5.59-5.69(m,1H)5.72-5.80(m,1H)5.87(d,J=15.18Hz,1H)6.09-6.22(m,1H)6.44-6.60(m,1H)7.32(d,J=8.66Hz,2H)7.58(d,J=8.53Hz,2H).
【1019】
ADL6-D9
一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いてADL6-D9を合成した。
【1020】
【化197】
リンカー-ペイロード(ADL6-D9):DMF(784μL)中の希釈した4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(16.5mg、0.025mmol)にヒューニッヒ塩基(13.27μL、0.076mmol)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却し、D9を加えた。この反応混合物をLC/MSが反応の完了を示すまで室温で撹拌した。この反応混合物を真空濃縮した。DCM/MeOHによるシリカゲルでの残渣のフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物(16.7mg、57%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1184.6[M+Na]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.80-1.02(m,16H)1.05-1.12(m,4H)1.13-1.34(m,5H)1.38-1.51(m,7H)1.53-1.68(m,11H)1.71-1.80(m,4H)1.97-2.16(m,4H)2.24-2.32(m,2H)2.32-2.42(m,1H)2.43-2.55(m,3H)2.56-2.69(m,3H)2.73(br d,J=2.13Hz,1H)3.07-3.18(m,1H)3.42-3.61(m,17H)3.75-3.91(m,1H)4.11-4.24(m,1H)4.43(s,2H)5.59-5.88(m,4H)6.06-6.17(m,1H)6.29-6.39(m,1H)7.24-7.39(m,2H)7.52-7.64(m,2H).
【1021】
ADL1-D13
【化198】
リンカー-ペイロード(AD1-D13):DMF(176μL、2.277mmol)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(4.2mg、5.693μmol)をヒューニッヒ塩基(2.98μL、0.017mmol)と加え合わせた。この反応混合物を0℃に冷却し、D13(4.06mg、6.262μmol)を加えた。反応が完了したことがLC/MSにより示されるまで、この反応混合物を室温で撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。DCM/MeOHによるシリカゲルでの残渣のフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物(4.8mg、68%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1248.0[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.58-0.98(m,10H)0.99-1.06(m,2H)1.11-1.31(m,6H)1.57-1.75(m,3H)2.11-2.26(m,1H)2.30-2.73(m,2H)3.28-3.80(m,7H)4.14-4.33(m,1H)4.44-4.55(m,1H)4.63-4.81(m,1H)4.92-5.06(m,1H)5.09(s,1H)5.49-5.74(m,1H)5.88-6.09(m,1H)6.14-6.36(m,1H)6.99-7.08(m,1H)7.21-7.38(m,2H)7.53-7.67(m,1H)7.95(s,1H).
【1022】
1.3.1.6 ADL1-D14
【化199】
一般的手順1(セクション1.3.1に概説される)を用いて、1-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(1-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-4-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-6-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(30mg、0.024mmol、39.2%収率)を合成した。LC/MS(ESI,m/z),1254.5[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ ppm 0.75-1.00(m,12H),1.06-1.26(m,4H),1.26-1.77(m,13H),1.75-2.02(m,7H),2.08(s,8H),2.23-2.35(m,2H),2.54-2.70(m,2H),2.78-3.10(m,4H),3.36(br s,13H),3.66-3.79(m,1H),3.95-4.08(m,1H),4.11-4.25(m,1H),4.28-4.46(m,1H),4.46-4.58(m,1H),4.58-4.66(m,1H),4.66-4.77(m,1H),5.01(s,3H),5.14-5.27(m,1H),5.39(s,4H),5.71-5.79(m,1H),5.87-6.00(m,1H),6.63-6.75(m,1H),6.99(s,2H),7.13-7.24(m,1H),7.24-7.34(m,2H),7.52-7.62(m,2H),7.65-7.74(m,1H),7.75-7.82(m,1H),7.98-8.13(m,1H).
【1023】
1.3.1.7 ADL1-D33
D33
【化200】
0℃でTHF/H
2O(3mL/1mL)中の(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(27mg、0.042mmol)の撹拌溶液にLiOHを加え、反応混合物を25℃になるまでゆっくりと加温させた。国際出願PCT/US2019/026992号明細書(例えば、手順17及び19を参照されたい)(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて、(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレートを合成した。6時間後、反応混合物をリン酸緩衝液(NaH
2PO
4、1.0M、3mL)で中和し、相を分離させた。水層を酢酸エチル(3×2mL)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空濃縮した。逆相カラムクロマトグラフィーにより、表題化合物(19.4mg、0.031mmol、73.4%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),631.4[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,CHCl
3-d):δ ppm 0.85-1.16(m,2H)1.23-1.52(m,1H)1.57-1.77(m,1H)1.87(s,1H)1.92-2.13(m,1H)2.35-2.55(m,1H)2.50-2.74(m,1H)3.11(br s,1H)3.36-3.54(m,2H)3.64(br d,J=10.42Hz,2H)3.77-3.90(m,1H)4.76(br s,4H)5.07-5.19(m,1H)5.38-5.68(m,1H)6.40-6.76(m,1H)8.02-8.66(m,1H).
【1024】
ADL1-D33
【化201】
リンカー-ペイロード(ADL1-D33):DMF(714μL、9.217mmol)中の4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(17mg、0.023mmol)にヒューニッヒ塩基(12.07μL、0.069mmol)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却し、2-(4-(3-フルオロ-5-((E)-2-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソ-6-((ピペラジン-1-カルボニル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-2-イル)プロパ-1-エン-1-イル)フェニル)ピペラジン-1-イル)酢酸(16.71mg、0.026mmol)を加えた。反応が完了したことがLC/MSにより示されるまで、この反応混合物を室温で撹拌した。次に反応混合物を真空濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー及び更なるHPLC精製により、表題化合物(13.5mg、10.98μmol、47.7%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1229.5[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d
4):δ ppm 0.92-0.99(m,10H)1.01(d,J=6.78Hz,3H)1.24-1.46(m,9H)1.52-1.70(m,10H)1.70-1.82(m,1H)1.87(d,J=1.00Hz,4H)1.89-2.00(m,2H)2.01-2.23(m,2H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.46(dd,J=14.31,5.27Hz,1H)2.57-2.71(m,2H)2.86(d,J=0.63Hz,1H)3.00(s,1H)3.06-3.27(m,4H)3.35(s,5H)3.41-3.53(m,19H)3.66(s,2H)3.76-3.90(m,1H)4.07-4.21(m,1H)4.39-4.69(m,37H)5.09(s,3H)5.13(d,J=10.54Hz,1H)5.52(dd,J=14.56,9.03Hz,2H)6.55(br s,2H)6.69(d,J=1.38Hz,2H)7.33(d,J=8.66Hz,2H)7.59(d,J=8.53Hz,2H)7.88-8.04(m,1H)8.16-8.33(m,1H).
【1025】
ADL1-D28
【化202】
4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(6.17mg、8.37μmol)及び(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-((1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(6mg、8.37μmol)をDMF(0.3ml)に溶解させて、ヒューニッヒ塩基(4.39μL、0.025mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、逆相HPLC精製に供して、1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(1.5mg、13.6%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1315.66[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.85-0.93(m,12H)1.16-1.31(m,6H)1.43-1.57(m,9H)1.62-1.70(m,1H)1.75(s,3H)1.77-1.90(m,2H)1.96-2.03(m,1H)2.13-2.20(m,2H)2.31-2.40(m,1H)2.46-2.55(m,2H)2.97-3.06(m,2H)3.08-3.10(m,1H)3.15(br d,J=6.27Hz,9H)3.33-3.43(m,10H)3.71(s,4H)4.03-4.09(m,1H)4.37-4.44(m,1H)4.44-4.53(m,1H)4.96-5.06(m,3H)5.33- 5.51(m,2H)6.36-6.44(m,2H)6.45-6.53(m,2H)6.69(s,2H)7.19-7.25(m,2H)7.47-7.52(m,2H)7.63-7.70(m,2H)
【1026】
ADL1-D31
【化203】
4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(13.12mg、0.018mmol)及び(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(9mg、0.018mmol)をDMF(179μl、2.312mmol)に溶解させて、ヒューニッヒ塩基(9.32μl、0.053mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、逆相HPLCによって精製して、1-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(6.9mg、34.09%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1105.59[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.88(s,12H)1.17-1.31(m,4H)1.43-1.57(m,8H)1.61-1.70(m,1H)1.80(d,J=1.25Hz,5H),1.92-2.01(m,1H)2.14-2.20(m,2H)2.32-2.42(m,1H)2.48-2.59(m,2H)2.96-3.14(m,3H)3.38(s,10H)3.36-3.36(m,1H)3.38-3.40(m,3H)3.67-3.75(m,1H)4.03-4.07(m,1H)4.37-4.42(m,1H)4.97-5.01(m,2H)5.04-5.11(m,1H)5.35-5.51(m,2H)6.46-6.52,(m,1H)6.69(s,2H)7.18-7.26(m,2H)7.45-7.54(m,2H)7.68-7.74(m,1H)8.29-8.34(m,2H).
【1027】
ADL1-D29
【化204】
4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(8.62mg、0.012mmol)及び(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-(ジメチルアミノ)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(6mg、0.012mmol)をDMF(118μl、1.518mmol)及びヒューニッヒ塩基(6.12μl、0.035mmol)に溶解させた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、逆相HPLCによって精製して、1-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-(ジメチルアミノ)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(4.0mg、30.79%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1112.59[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,メタノール-d
4)δ ppm 0.87(s,12H)1.17-1.23(m,3H)1.26-1.32(m,1H)1.44-1.57(m,8H)1.63-1.69(m,1H)1.74-1.81(m,4H)1.83-1.88(m,1H)1.93-2.03(m,1H)2.13-2.20(m,2H)2.34-2.42(m,1H)2.48-2.57(m,2H)2.81(s,5H)2.98-3.05(m,2H)3.08-3.14(m,1H)3.38(br s,9H)3.65-3.75(m,1H)4.03-4.07(m,1H)4.35-4.43(m,1H)4.44-4.52(m,1H)4.96-5.01(m,2H)5.02-5.08(m,1H)5.34-5.51(m,2H)6.43-6.48(m,1H)6.51-6.61(m,3H)6.69(s,2H)7.03-7.10(m,1H)7.20-7.26(m,2H)7.46-7.51(m,2H).
【1028】
ADL1-D35
【化205】
4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(9.78mg、0.013mmol)及び(2S,3S,6R,7S,10R,E)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソ-2-((E)-1-(3-(ピロリジン-1-イルスルホニル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(8mg、0.013mmol)をDMF(133μl、1.722mmol)に溶解させて、ヒューニッヒ塩基(6.94μl、0.04mmol)[2滴]を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、真空濃縮し、逆相HPLCによって精製して、生成物1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソ-2-((E)-1-(3-(ピロリジン-1-イルスルホニル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(8.2mg、51.47%)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1203.53[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.85-0.93(m,12H)1.17-1.34(m,4H)1.42-1.57(m,8H)1.61-1.69(m,5H)1.79(s,4H)1.83-1.90(m,1H)1.94-2.03(m,1H)2.12-2.20(m,2H)2.33-2.43(m,1H)2.48-2.59(m,2H)2.96-3.05(m,2H)3.06-3.17(m,6H)3.31 -3.41(m,10H)3.67-3.77(m,1H)4.02-4.10(m,1H)4.36-4.43(m,1H)4.96-5.02(m,2H)5.04-5.11(m,1H)5.35-5.51(m,2H)6.59(s,1H)6.69(s,2H)7.20-7.27(m,2H)7.45-7.52(m,4H)7.58-7.65(m,2H).
【1029】
1.4 MC-Val-Ala-pABCリンカー-ペイロードの調製
1.4.1 概要
【化206】
ステップ1:大員環ペイロード(1.0当量)、DMF(0.1M)、(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-3-メチル-1-(((S)-1-((4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(1.5当量;国際公開第2012/153193号パンフレットに記載される手順を用いて調製した)、及びヒューニッヒ塩基(3.0当量)を合わせ、一晩撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固し、クロマトグラフィーにかけて、fmocVal-Ala-pABC-ペイロードを得た。
【1030】
ステップ2:DMF(0.1M)に溶解させたアンモニウムfmoc-Val-Ala-pABCペイロード(1.0当量)、及びジエチルアミン(10当量)を合わせ、30分間撹拌した。この反応混合物を高真空下で濃縮乾固した。粗生成物をDMF(0.1M)に溶解し、ヒューニッヒ塩基(2当量)を加え、その後、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(3当量)を加え、一晩撹拌した。次に反応混合物を濃縮乾固し、クロマトグラフィー(DCM中0~30%MeOH)にかけて、所望のMC-Val-Ala-pABC-ペイロードを得た。
【1031】
1.4.1.1 ADL6-D1
スキーム5-ステップ1:上記に概説した一般的手順(セクション1.4.1)に従い、1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(32mg、0.027mmol、27.9%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),[M+Na]
+1200.5.
【化207】
【1032】
スキーム5-ステップ2:上記に概説した一般的手順(セクション1.4.1)に従い、1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)4-((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(24mg、0.021mmol、77%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1149.2[M+H]+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.85-1.02(m,16H),1.20-1.23(m,3H)1.23-1.32(m,3H)1.34(s,3H)1.41-1.46(m,4H)1.46-1.72(m,11H)1.78(s,3H)1.87(dd,J=14.05,5.40Hz,1H)2.08(dq,J=13.77,6.83Hz,1H)2.27(t,J=7.40Hz,2H)2.43-2.63(m,3H)2.64-2.70(m,1H)2.90(td,J=5.83,2.26Hz,1H)3.32-3.33(m,4H)3.42-3.57(m,11H)3.82(br dd,J=8.66,3.89Hz,1H)4.15(d,J=7.15Hz,1H),4.47(q,J=7.15Hz,1H)4.99-5.12(m,4H)5.57(dd,J=15.18,9.79Hz,1H)5.69-5.78(m,1H)5.87(d,J=15.18Hz,1H)6.13(d,J=10.92Hz,1H),6.53(dd,J=15.31,10.92Hz,1H)6.78(s,2H)7.32(d,J=8.53Hz,2H)7.58(d,J=8.53Hz,2H).
【1033】
1.4.1.2 ADL6-D16
【化208】
スキーム5-ステップ1:上記に概説した一般的手順(セクション1.4.1)に従い、1-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-(4-(2-(1H-ピラゾール-1-イル)アセチル)ピペラジン-1-イル)-5-フルオロフェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(0.060g、0.049mmol、60.8%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1223.68[M+H].
【1034】
スキーム5-ステップ2:上記に概説した一般的手順(セクション1.4.1)に従い、1-((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-(4-(2-(1H-ピラゾール-1-イル)アセチル)ピペラジン-1-イル)-5-フルオロフェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)4-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(11.50mg、9.64μmol、12.05%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1194.82[M+H]+.
1H-NMR(400MHz,CHCl3-d):δ ppm 0.97(br d,J=1.25Hz,12H),1.24-1.41(m,5H),1.41-1.47(m,3H),1.52-1.69(m,6H),1.84-1.90(m,3H),1.92-2.01(m,1H),2.02-2.16(m,1H),2.23-2.30(m,2H),2.42-2.51(m,1H),2.57-2.65(m,2H),3.19-3.28(m,4H),3.35(s,4H),3.40-3.54(m,11H),3.69-3.77(m,4H),3.78-3.85(m,1H),4.12-4.18(m,1H),4.43-4.51(m,1H),5.07-5.16(m,3H),5.20(s,2H),5.42 -5.62(m,2H),6.29-6.38(m,1H),6.46-6.58(m,2H),6.59-6.68(m,2H),7.28-7.37(m,2H),7.50-7.67(m,4H).
【1035】
1.5 MC-Val-Ala-pABリンカー-ペイロードの調製
1.5.1 概要
【化209】
ステップ1:(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((4-(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(0.5g、0.97mmol)、1,4-ジオキサン(9.70mL、0.97mmol)、トリフェニルホスフィン(0.509g、1.939mmol)、N-ブロモコハク酸イミド(0.345g、1.939mmol)、及びDMF(2.424mL、0.97mmol)を合わせ、室温で3時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィーにかけて、(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((4-(ブロモメチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(116mg、0.201mmol、20.68%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),580.14[M+H].
【1036】
ステップ2:ペイロード(1.0当量)、(9H-フルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((4-(ブロモメチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(0.069g、0.12mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(0.1M)、及びヒューニッヒ塩基(1.5当量)を合わせ、一晩撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固し、クロマトグラフィー(DCM中0~10%MeOH)にかけて、第4級アンモニウムfmoc-Val-Ala-pABペイロードを得た。
【1037】
ステップ3:DMF(0.1M)に溶解させた第4級アンモニウムfmoc-Val-Ala-pABペイロード(1.0当量)、及びジエチルアミン(10当量)を合わせ、30分間撹拌した。この反応混合物を高真空下で濃縮乾固した。この粗生成物をDMF(0.1M)に溶解させて、ヒューニッヒ塩基(2当量)を加え、その後、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(3当量)を加え、一晩撹拌した。次に反応混合物を濃縮乾固し、クロマトグラフィー(DCM中0~30%MeOH)にかけて、所望の第4級アンモニウムリンカー-ペイロードを得た。
【1038】
1.5.1.1 ADL5-D2
【化210】
スキーム6-ステップ2:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウムブロミド(30mg、0.024mmol、26.5%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1149.77[M+H]
+.
【1039】
スキーム6-ステップ3:モノ(1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム-2-イリウム)モノブロミド(4.8mg、15.33%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1120.99[M+H]+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.88(s,15H),1.09-1.26(m,9H),1.31-1.58(m,14H),1.42-1.44(m,1H),1.68(s,3H),1.73-1.81(m,1H),1.91-2.03(m,1H),2.14-2.22(m,2H),2.35-2.52(m,3H),2.53-2.60(m,1H),2.74-2.83(m,1H),2.97(s,3H),3.25(s,1H),3.28-3.46(m,8H),3.52-3.66(m,2H),3.70-3.78(m,1H),3.97-4.11(m,3H),4.32-4.41(m,1H),4.45-4.54(m,2H),4.91-5.01(m,2H),5.44-5.55(m,1H),5.57-5.70(m,1H),5.72-5.82(m,1H),6.00-6.08(m,1H),6.43(dd,J=15.25,10.98Hz,1H),6.69(s,2H),7.36-7.47(m,2H),7.67-7.75(m,2H).
【1040】
1.5.1.2 ADL5-D19
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D19を合成した。ペイロードD19は、セクション1.2.1に概説される手順を用いて合成した。
【1041】
D19
【化211】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((S,2E,4E)-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(114.2mg、0.180mmol、82%収率)。LC/MS(ESI,m/z),635.8[M+H].
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.88-1.00(m,9H)1.10(d,J=6.65Hz,3H)1.16-1.27(m,4H)1.40-1.70(m,8H)1.77(d,J=0.88Hz,3H)2.28-2.36(m,3H)2.42(br t,J=5.08Hz,3H)2.47-2.61(m,4H)2.68(dd,J=8.22,2.20Hz,1H)2.74(td,J=5.99,2.20Hz,1H)3.13-3.17(m,1H)3.34-3.38(m,3H)3.47-3.58(m,5H)3.81-3.87(m,1H)5.01-5.10(m,2H)5.54-5.81(m,3H)6.06-6.15(m,1H)6.34(dd,J=15.00,10.98Hz,1H).
1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((S,2E,4E)-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(25mg、45.6%)。LC/MS(ESI,m/z),1133.1[M+]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.94(br dd,J=18.45,7.15Hz,18H)1.10(d,J=6.78Hz,3H)1.25(s,4H)1.28-1.35(m,1H)1.46(br d,J=7.03Hz,9H)1.59-1.70(m,2H)1.77(s,3H)2.05-2.12(m,1H)2.44-2.60(m,4H)2.63-2.72(m,1H)2.70-2.77(m,1H)3.06(s,3H)3.40-3.44(m,1H)3.50(br d,J=1.63Hz,4H)3.64-3.75(m,1H)3.80-3.88(m,1H)3.91-3.99(m,1H)4.04-4.20(m,1H)4.21-4.28(m,1H)4.37-4.43(m,1H)4.59(br s,2H)4.93-4.95(m,2H)5.06-5.08(m,2H)5.57-5.80(m,4H)6.05-6.16(m,1H)6.27-6.41(m,1H)7.28-7.37(m,2H)7.38-7.45(m,2H)7.47-7.53(m,2H)7.65-7.72(m,2H)7.74-7.86(m,4H).
【1042】
ADL5-D19
【化212】
リンカー-ペイロード(ADL5-D19):1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((S,2E,4E)-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(19.4mg、0.018mmol、80%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1105.9[M+H].
1H NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.85-1.03(m,16H)1.10(d,J=6.78Hz,3H)1.17-1.27(m,4H)1.29-1.37(m,3H)1.44-1.70,(m,15H)1.74-1.80(m,3H)2.04-2.14(m,1H)2.30(t,J=7.47Hz,2H)2.44-2.61(m,4H)2.64-2.69(m,1H)2.72-2.78(m,1H)3.09(s,3H)3.40-3.59(m,9H)3.62-3.77(m,2H)3.82-3.89(m,1H)4.12-4.21(m,3H)4.40-4.55(m,1H)4.56-4.66(m,3H)5.03-5.12(m,2H)5.55-5.81(m,3H)6.06-6.16(m,1H)6.26-6.41(m,1H)6.81(s,2H)7.48-7.57(m,2H)7.78-7.86(m,2H).
【1043】
1.5.1.3 ADL5-D17
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D17を合成した。ペイロードD17は、国際出願PCT/US2019/026992号明細書(例えば、手順2、手順3、及び手順4又は5を参照されたい)(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて合成した。
【1044】
【化213】
ステップ1:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-モルホリノフェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(12.9mg、69.8%)。LC/MS(ESI,m/z),1086.43[M+H].
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.96-1.07(m,12H),1.27-1.42(m,3H),1.46(d,J=7.15Hz,3H),1.62-1.72(m,2H),1.88(d,J=1.13Hz,3H),1.97-2.06(m,1H),2.04-2.14(m,1H),2.44-2.53(m,1H),2.58-2.69(m,2H),3.08(s,3H),3.13-3.19(m,4H),3.38-3.56(m,4H),3.61-3.75(m,2H),3.79-3.88(m,5H),3.90-3.98(m,1H),4.07-4.18(m,2H),4.20-4.29(m,1H),4.35-4.45(m,2H),4.45-4.54(m,1H),4.61(s,2H),4.86-4.92(m,2H),5.15(d,J=10.67Hz,1H),5.46-5.65(m,2H),6.46-6.67(m,4H),7.28-7.37(m,2H),7.37-7.45(m,2H),7.47-7.53(m,2H),7.66-7.71(m,2H),7.74-7.84(m,4H).
【1045】
ステップ2:1-(4-((R)-2-((R)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-モルホリノフェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウムブロミド(7.6mg、60.5%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1057.62[M+H].
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.95-1.08(m,12H),1.24-1.42(m,5H),1.47(d,J=7.15Hz,3H),1.52-1.71(m,6H),1.89(d,J=1.13Hz,3H),1.95-2.05(m,1H),2.05-2.15(m,1H),2.26-2.34(m,2H),2.46-2.53(m,1H),2.58-2.69(m,2H),3.07-3.12(m,3H),3.14 -3.19(m,4H),3.39-3.58(m,6H),3.61-3.76(m,2H),3.80-3.86(m,5H),4.09-4.18(m,3H),4.43-4.51(m,1H),4.62(s,2H),4.87-4.93(m,2H),5.12-5.19(m,1H),5.46-5.65(m,2H),6.47-6.66(m,4H),6.80(s,2H),7.53(d,J=8.66Hz,2H),7.82(d,J=8.66Hz,2H).
【1046】
1.5.1.4 ADL5-D10
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D10を合成した。ペイロードD10は、セクション1.2.1に概説される手順を用いて合成した。
【1047】
【化214】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-エトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(16.6mg、0.025mmol、38.7%収率)。LC/MS(ESI,m/z),665.7[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,メタノール-d):δ ppm 0.76-0.87(m,9H),1.03-1.09(m,3H),1.10-1.13(m,3H)1.13-1.19(m,1H)1.20-1.27(m,3H),1.29-1.48(m,6H)1.51-1.59(m,1H)1.65-1.71(m,3H)1.73-1.81(m,1H)2.20(s,3H),2.27-2.34(m,4H)2.34-2.44(m,2H)2.44-2.53(m,1H)2.53-2.59(m,1H)2.76-2.83(m,1H)3.23-3.26(m,1H)3.34-3.52(m,7H)3.67-3.75(m,1H)4.86-4.92(m,1H)4.92-4.99(m,1H),5.41-5.51(m,1H),5.60-5.71(m,1H),5.72-5.82(m,1H),6.00-6.07(m,1H),6.37-6.48(m,1H)
【1048】
【化215】
ステップ1:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-エトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(18.6mg、0.016mmol、87%収率)、無色のグレーズとして。LC/MS(ESI,m/z),1163.01[M]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.86-1.03(m,16H),1.20(s,3H),1.25(s,4H),1.36(s,3H),1.43-1.72(m,10H),1.81(s,3H),1.84 -1.92(m,1H),2.06-2.14(m,1H),2.46-2.63(m,3H),2.67-2.72(m,1H),2.88-2.94(m,1H),3.03-3.09(m,3H),3.38-3.45(m,3H),3.54(s,6H),3.63-3.79(m,2H),3.81-3.88(m,1H),3.92-3.98(m,1H),4.07-4.18(m,2H),4.21-4.28(m,1H),4.36-4.44(m,2H),4.47-4.53(m,1H),4.55-4.63(m,3H),5.02-5.11(m,3H),5.56-5.66(m,1H),5.75-5.84(m,1H),5.86-5.92(m,1H),6.12-6.19(m,1H),6.49-6.61(m,1H),7.29-7.36(m,2H),7.38-7.44(m,2H),7.47-7.53(m,2H),7.64-7.71(m,2H),7.80(dd,J=15.06,7.91Hz,4H).
【1049】
【化216】
ステップ2:1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-エトキシ-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(14.09mg、82%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1057.62[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.87-1.03(m,15H),1.20(s,3H),1.22-1.29(m,4H),1.37(s,6H),1.45-1.72(m,14H),1.81(s,3H),1.84-1.95(m,1H),2.05-2.16(m,1H),2.26-2.36(m,2H),2.47-2.62(m,3H),2.66-2.74(m,1H),2.86-2.95(m,1H),3.11(s,3H),3.42-3.51(m,4H),3.51-3.62(m,5H),3.64-3.78(m,2H),3.81-3.89(m,1H),4.09-4.20(m,3H),4.43-4.52(m,1H),4.54-4.59(m,1H),4.55-4.67(m,2H),4.60-4.68(m,2H),5.01-5.12(m,2H),5.54-5.65(m,1H),5.75-5.86(m,1H),5.86-5.94(m,1H),6.10-6.21(m,1H),6.47-6.62(m,1H),6.81(s,2H),7.49-7.60(m,2H)7.76-7.89(m,2H).
【1050】
1.5.1.5 ADL5-D15
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D15を合成した。ペイロードD15は、国際出願PCT/US2019/026992号明細書(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて合成した。
【1051】
ステップ1:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(1-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-4-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-6-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(100mg、0.086mmol、57.3%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1167.76[M+H].
【1052】
【化217】
ステップ2:4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(1-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-4-フルオロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-6-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(32mg、0.028mmol、32.8%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1138.64[M+H].
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.99(s,10H),1.26-1.40(m,5H),1.42-1.49(m,3H),1.67(br s,6H),1.96(d,J=1.00Hz,3H),2.00-2.13(m,2H),2.16-2.42(m,7H),2.44-2.55(m,1H),2.59-2.76(m,2H),2.98-3.26(m,4H),3.38-3.59(m,7H),3.60-3.76(m,2H),3.78-3.90(m,1H),4.13(br d,J=7.15Hz,3H),4.41-4.52(m,1H),4.53-4.71(m,3H),4.89-4.97(m,1H),5.10-5.27(m,2H),5.48-5.67(m,2H),6.79(s,2H)7.07-7.17(m,1H),7.48-7.61(m,3H),7.78-7.84(m,2H).
【1053】
1.5.1.5 ADL5-D32
【化218】
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D32を合成した。ペイロードD15は、国際出願PCT/US2019/026992号明細書(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて合成した。
【1054】
ステップ1:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(15mg、0.015mmol、69.6%収率)LC/MS(ESI,m/z),1018.4[M]+
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.99(s,14H)1.29-1.41(m,3H)1.44-1.49(m,3H)1.61-1.71(m,2H)1.92(d,J=1.25Hz,3H),1.95-2.13(m,2H)2.45-2.53(m,1H)2.60-2.70(m,2H)3.04-3.09(m,3H)3.37(s,3H)3.39-3.47(m,1H)3.47-3.54(m,2H)3.61-3.75,(m,2H)3.78-3.87(m,1H)3.93-3.99(m,1H)4.08-4.18(m,2H)4.22-4.29(m,1H)4.39-4.45(m,2H)4.45-4.53(m,1H)4.56-4.63(m,3H)5.17-5.23(m,1H)5.48-5.64(m,2H)6.57-6.64(m,1H)7.28-7.36(m,2H)7.37-7.45(m,2H)7.47-7.54(m,2H)7.64-7.70(m,2H)7.75-7.84(m,5H)8.41-8.48(m,2H)
【1055】
ステップ2:4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(6.2mg、42.5%収率)。LC/MS(ESI,m/z),990.34[M+H].
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.97-1.09(m,12H)1.24-1.41(m,5H)1.47(d,J=7.15Hz,3H)1.55-1.71(m,6H)1.92(d,J=1.13Hz,3H)1.98-2.15(m,2H)2.27-2.36(m,2H)2.46-2.53(m,1H)2.60-2.71(m,2H)3.06-3.13(m,3H)3.35-3.38(m,1H)3.41-3.58(m,6H)3.62-3.76(m,2H)3.80-3.88(m,1H)4.08-4.19(m,3H)4.43-4.52(m,1H)4.57-4.66(m,2H)5.16-5.24(m,1H)5.49-5.68,(m,2H)6.62(s,1H)6.81(s,2H)7.49-7.57(m,2H)7.76-7.87(m,3H)8.39-8.49(m,2H)
【1056】
1.5.1.5 ADL5-D30
【化219】
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D30を合成した。ペイロードD30は、国際出願PCT/US2019/026992号明細書(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて合成した。
【1057】
ステップ1:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-(ジメチルアミノ)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(16mg、0.016mmol、51.4%収率)LC/MS(ESI,m/z),1027.50[M+H]+
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.95-1.07(m,13H)1.31-1.42(m,2H)1.44-1.50(m,3H)1.63-1.71(m,2H)1.84-1.92(m,3H)1.98-2.14(m,2H)2.47-2.56(m,1H)2.60-2.67(m,2H)2.93(s,6H)3.03-3.09(m,3H)3.37(s,4H)3.47-3.56(m,2H)3.63-3.75(m,2H)3.79-3.88(m,1H)3.92-3.98(m,1H)4.08-4.19(m,2H)4.21-4.27(m,1H)4.37-4.44(m,2H)4.45-4.54(m,1H)4.57-4.62(m,2H)4.91-4.94(m,2H)5.15-5.20(m,1H)5.47-5.55(m,1H)5.56-5.65(m,1H)6.58(s,1H)6.67(d,J=1.51Hz,3H)7.15-7.24(m,1H),7.28-7.36(m,2H)7.38-7.45(m,2H)7.47-7.54(m,2H)7.64-7.73(m,2H)7.75-7.85(m,4H)
【1058】
ステップ2:4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(6.2mg、42.5%収率)。LC/MS(ESI,m/z),990.34[M+H].
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.88(d,J=6.65Hz,12H)1.16-1.30(m,4H)1.32-1.38(m,3H)1.43-1.58(m,6H)1.75-1.80,(m,3H)1.84-1.92(m,1H)1.93-2.02(m,1H)2.14-2.21(m,2H)2.35-2.42(m,1H)2.48-2.57(m,2H)2.82(s,6H)2.94-3.02(m,3H),3.27-3.32(m,1H)3.35-3.45(m,4H)3.50-3.64(m,2H)3.68-3.76(m,1H)3.97-4.07(m,3H)4.31-4.40(m,1H)4.47-4.53(m,2H)5.03- 5.09(m,1H)5.35-5.44(m,1H)5.45-5.55(m,1H)6.42-6.50(m,1H)6.51-6.62(m,3H)6.69(s,2H)7.03-7.12(m,1H)7.38-7.44(m,2H)7.66-7.75(m,2H)8.42-8.47(m,1H).
【1059】
1.5.1.5 ADL5-D27
【化220】
上記に概説した一般的手順(セクション1.5.1)を用いてADL5-D27を合成した。ペイロードD27は、国際出願PCT/US2019/026992号明細書(これは参照により本明細書に援用される)に概説される手順を用いて合成した。
【1060】
ステップ1:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(25.2mg、0.020mmol、83%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1230.54[M+H]+
ステップ2:1-(4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(5.2mg、4.33μmol、21.13%収率)。LC/MS(ESI,m/z),1201.68[M+H]+
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.87(d,J=6.78Hz,12H)1.13-1.29(m,4H)1.31-1.38(m,3H)1.43-1.59(m,6H)1.71-1.79,(m,3H)1.83-2.02(m,2H)2.14-2.21(m,2H)2.34-2.41(m,1H)2.56(s,8H)2.94-3.01(m,3H)3.12-3.18(m,8H)3.28-3.45(m,5H),3.48-3.63(m,2H)3.70(s,4H)3.97-4.07(m,3H)4.29-4.41(m,1H)4.49(s,2H)4.98-5.06(m,1H)5.34-5.54(m,2H)6.37-6.45(m,2H)6.51(s,2H)6.69(s,2H)7.37-7.43(m,2H)7.63-7.73(m,4H)
【1061】
1.5.1.6 ADL10-D1
【化221】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(0.012g、0.019mmol)、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(0.012g、0.038mmol)、及びDCM(0.188ml、0.019mmol)を合わせ、一晩撹拌した。この混合物をシリカゲルカラムに直接ロードし、クロマトグラフィーにかけて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル)ピペラジン-1-カルボキシレート(8.4mg、10.12μmol、53.7%収率)を得た。LC/MS[M+Na]853.5.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.89(s,9H)1.21-1.39(m,9H)1.41-1.56(m,5H)1.57-1.71(m,6H)1.69-1.71(m,1H)1.79,(d,J=0.88Hz,3H)1.82-1.90(m,1H)2.34-2.43(m,1H)2.41-2.41(m,1H)2.46-2.63(m,3H)2.65-2.68(m,2H)2.68(s,3H)2.86-2.92(m,1H)3.33(s,3H)3.51(br d,J=7.03Hz,6H)3.54-3.60(m,5H)3.77-3.88(m,1H)5.06(s,2H)5.53-5.63(m,1H)5.70-5.80(m,1H),5.83-5.94(m,1H)6.08-6.19(m,1H)6.47-6.59(m,1H)6.80(s,2H).
【1062】
1.6 ADL12-D1、ADL14-D1、及びADL15-D1の調製
1.6.1 概要-一般的手順1
【化222】
ADL12-D1について-ステップ1:DCM(20.28mL、1.014mmol)中の1-(6-ヒドロキシヘキシル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(0.200g、1.014mmol)の撹拌溶液にPDC(3.81g、10.14mmol)及び酢酸(0.1mL)を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌した。次に反応混合物をシリカパッドでろ過し、濃縮乾固して、6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサナール(40mg、0.205mmol、20.21%収率)を得た。
【1063】
ADL14-D1及びADL15-D1について-ステップ1:DCM(0.05M)中のマレイミドアルコール(1.0当量)の撹拌溶液に、予め活性化させた粉末状MS-4A 1mgのアルコール当たり2.6mg、N-メチルモルホリン-N-オキシド(1.2当量)、及びTPAP(0.1当量)をこの順番で加えた。この反応混合物を室温で60分間撹拌した。次に反応混合物をシリカゲルパッドでろ過し、濃縮乾固した。未精製の生成物を次のステップ(ステップ2)に進めた。
【1064】
ステップ2:(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルピペラジン-1-カルボキシレート(1.0当量)、2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)アセトアルデヒド(2.0-3.0当量)、DCM(0.1M)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.0当量)を混合し、10分間撹拌した。次にこの反応混合物をシリカゲルカラムに直接ロードし、クロマトグラフィーにかけて、所望のリンカー-ペイロードを得た。
【1065】
1.6.1.1 ADL12-D1
【化223】
リンカー-ペイロード(ADL12-D1):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)ピペラジン-1-カルボキシレート(41mg、0.050mmol、80%収率)を合成した。LC/MS[M+]
+816.75.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.86-0.98(m,9H)1.20-1.23(m,3H)1.23-1.40(m,8H)1.41-1.70(m,12H)1.79(d,J=0.63Hz,3H)1.83-1.91(m,1H)2.33-2.40(m,2H)2.43(br t,J=4.77Hz,4H)2.48-2.64(m,3H)2.65-2.69(m,1H)2.87-2.92(m,1H)3.32(s,3H)3.41-3.60(m,7H)3.79-3.87(m,1H)5.04(dd,J=19.39,10.23Hz,2H)5.57(dd,J=15.18,9.79Hz,1H)5.69-5.79(m,1H)5.87(d,J=15.31Hz,1H)6.11-6.17(m,1H)6.49-6.58(m,1H)6.80(s,2H).
【1066】
1.6.1.X ADL12-D28
【化224】
リンカー-ペイロード(ADL12-D28):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、(2S,3S,6R,7S,10R,E)-2-((E)-1-(3-フルオロ-5-(4-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)ピペラジン-1-カルボキシレート(2.3mg、30.7%)を合成した。LC/MS[M+]
+897.32
1H NMR(400MHz,メタノール-d
4)δ ppm 0.85-0.93(m,6H)1.16-1.34(m,6H)1.37-1.58(m,6H)1.72-1.77(m,3H)1.80-1.88(m,1H),2.23-2.41(m,7H)2.47-2.57(m,2H)3.08-3.19(m,9H)3.33-3.42(m,5H)3.70(s,4H)4.67-4.72(m,1H)4.98-5.07(m,1H)5.33-5.50(m,2H)6.36-6.43(m,2H)6.44-6.53(m,2H)6.70(s,2H)7.62-7.69(m,2H)
【1067】
1.6.1.X ADL12-D35
【化225】
リンカー-ペイロード(ADL12-D35):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、(2S,3S,6R,7S,10R,E)-10-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-12-オキソ-2-((E)-1-(3-(ピロリジン-1-イルスルホニル)フェニル)プロパ-1-エン-2-イル)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)ピペラジン-1-カルボキシレート(4.0mg、5.11μmol、28.8%収率)を合成した。LC/MS[M+H]
+783.5
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)d ppm 0.91(dd,J=6.78,2.51Hz,6H)1.17-1.33(m,6H)1.38-1.59(m,6H)1.65(s,4H)1.80(s,3H),1.82-1.91(m,1H)2.23-2.41(m,7H)2.49-2.61(m,2H)3.14(s,4H)3.38(br d,J=7.15Hz,6H)3.67-3.76(m,1H)4.68-4.73(m,1H)5.03-5.11(m,1H)5.34-5.52(m,2H)6.55-6.62(m,1H)6.70(s,2H)7.46-7.54(m,2H)7.58-7.65(m,2H)
【1068】
1.6.1.X ADL12-D22(R)
【化226】
リンカー-ペイロード(ADL12-D28):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、3-((R)-1-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(3.2mg、3.60μmol、15.39%収率)を合成した。LC/MS[M+]
+888.5
【1069】
1.6.1.X ADL12-D22(S)
【化227】
リンカー-ペイロード(ADL12-D28):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、3-((S)-1-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(3.6mg、3.60μmol、28.7%収率)を合成した。LC/MS[M+]
+888.56
【1070】
1.6.1.2 ADL14-D1
【化228】
リンカー-ペイロード(ADL14-D1):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(8mg、10.53μmol、33.5%収率)を合成した。LC/MS[M+H]760.3.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.85-1.01(m,9H),1.17-1.33(m,5H),1.36(s,3H),1.41-1.71(m,7H),1.80(s,3H),1.83-1.95(m,1H),2.48(br s,10H),2.89-2.98(m,1H),3.40-3.57(m,5H),3.61-3.72(m,2H),3.78-3.91(m,1H),4.98-5.14(m,2H),5.50-5.52(m,1H),5.52-5.65(m,1H),5.69-5.82(m,1H),5.86-5.96(m,1H),6.09-6.21(m,1H),6.47-6.60(m,1H),6.79-6.90(m,2H).
【1071】
1.6.1.3 ADL15-D1
【化229】
リンカー-ペイロード(ADL15-D1):セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いて、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エトキシ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(7mg、8.71μmol、23.10%収率)を合成した。LC/MS[M=+H]804.1.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.85-1.02(m,9H),1.18-1.32(m,4H),1.36(s,3H),1.40-1.72(m,7H),1.78-1.83(m,3H),1.85-1.93(m,1H),2.42-2.65(m,9H),2.67-2.73(m,1H),2.89-2.96(m,1H),3.37(s,5H),3.41-3.58(m,5H),3.59-3.67(m,4H),3.68-3.75(m,2H),3.81-3.89(m,1H),4.94-5.15(m,2H),5.61(br d,J=10.04Hz,1H),5.69-5.82(m,1H),5.89(br d,J=15.18Hz,1H),6.16(br d,J=10.92Hz,1H),6.56(br s,1H),6.77-6.91(m,2H).
【1072】
1.7 ADL12-D2
【化230】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)ピペラジン-1-カルボキシレート(26mg、0.032mmol)、アセトニトリル(319μL、0.032mmol)、ヨードメタン(19.92μL、0.319mmol)を合わせ、一晩撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固し、クロマトグラフィー(DCM中0~30%MeOH)にかけて、1-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-メチルピペラジン-1-イウム(14mg、0.017mmol、52.9%収率)を得た。LC/MS[M+]831.6.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.86-0.98(m,9H)1.26(s,4H)1.36(s,3H)1.40-1.58(m,9H)1.60-1.71(m,4H)1.80(d,J=0.88Hz,4H)1.85-1.91(m,1H)1.87-1.88(m,1H)2.48-2.63(m,3H)2.65-2.72(m,1H)2.88-2.94(m,1H)3.18(s,3H)3.34-3.41(m,3H)3.53(s,10H)3.73-3.90(m,3H)3.90-4.06(m,2H)5.02-5.11(m,2H)5.56-5.66(m,1H)5.70-5.81(m,1H)5.84-5.94(m,1H)6.11-6.20(m,1H)6.50-6.60(m,1H)6.83(s,2H).
【1073】
1.8 ADL15-D2
【化231】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2S,3S)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エトキシ)エチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(6mg、7.463μmol)、ヨードメタン(0.467μL、7.463μmol)、及びアセトニトリル(0.390μL、7.463μmol)を合わせて室温で撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固して、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(2-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エトキシ)エチル)-4-メチル-4l4-ピペラジン-1-カルボキシレート(6mg、7.33μmol、98%収率)を得た。LC/MS[M+]
+819.28.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.74-0.88(m,9H)1.18(br d,J=4.27Hz,5H)1.23-1.27(m,3H)1.28-1.49(m,5H)1.51-1.61(m,2H)1.66-1.71(m,3H)1.73-1.80(m,1H)2.36-2.53(m,3H)2.55-2.60(m,1H)2.78-2.83(m,1H)3.10-3.14(m,3H)3.23-3.25(m,3H)3.32-3.51(m,5H)3.52-3.67(m,6H)3.67-3.87(m,7H)4.93-5.01(m,2H)5.44-5.55(m,1H)5.61-5.70(m,1H)6.00-6.07(m,1H)6.38-6.48(m,1H)6.75(s,2H).
【1074】
1.9 ADL5-D25
【化232】
ステップ1:D1(40mg、0.063mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(730μl、9.422mmol)に溶解し、ブロモ酪酸メチル(23.69μL、0.188mmol)、続いてトリエチルアミン(35.0μL、0.251mmol)を加えた。この溶液を室温で2日間撹拌した。溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(51mg、0.069mmol、約100%収率)を無色の油として得た。LC/MS(ESI,m/z),737.4[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.76-0.86(m,9H),1.12(s,3H),1.14-1.19(m,1H),1.24(s,3H),1.34-1.50(m,5H),1.52-1.60(m,1H),1.69(s,6H),2.27(s,8H),2.37-2.49(m,3H),2.54-2.61(m,1H),2.77-2.83(m,1H),3.35-3.47(m,5H),3.56(s,3H),3.67-3.76(m,1H),4.46(s,3H),4.89-5.00(m,3H),5.42-5.52(m,1H),5.57-5.70(m,1H),5.73-5.81(m,1H),5.98-6.08(m,1H),6.43(dd,J=15.25,10.98Hz,1H).
【1075】
ステップ2:Fmoc-ValAla-PAB臭化物(88mg、0.152mmol)及び(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル4-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(51mg、0.069mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(670μL、8.651mmol)に懸濁した。この反応物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ピペラジン-1-イウム(42mg、0.034mmol、49.1%収率)を蝋様の固体として得た。LC/MS(ESI,m/z),1235.4[M]+.
【1076】
ステップ3:1-(4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)-1-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ピペラジン-1-イウム(42mg、0.034mmol)を5:2:1比のTHF(600μL、7.322mmol)、MeOH(250μL、6.179mmol)、水(125μL、6.939mmol)に溶解し、水酸化リチウム(1.221mg、0.051mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を酢酸(5.84μL、0.102mmol)でクエンチし、溶媒を蒸発させて、RP HPLCによって精製して、1-(4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-1-(3-カルボキシプロピル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イウムを蝋様の固体として得た(18.4mg、0.018mmol、54.2%収率)。LC/MS(ESI,m/z),998.5[M]+.
【1077】
ステップ4:1-(4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-1-(3-カルボキシプロピル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イウム(18.4mg、0.018mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(356μL、4.603mmol)に溶解し、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノエート(6.81mg、0.022mmol)、続いてヒューニッヒ塩基(8.04μ、0.046mm)を加えた。反応液を室温で30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗残渣をRP HPLCによって精製して、(1-(3-カルボキシプロピル)-1-(4-((S)-2-((R)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イウム(8.8mg、7.38μmol、40.1%収率)を白色の凍結乾燥固体として得た。LC/MS(ESI,m/z),1191.5[M]+.
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 0.68-0.81(m,18H),0.98-1.07(m,4H),1.07-1.14(m,3H),1.16(br d,J=3.89Hz,5H),1.22-1.33(m,8H),1.36-1.47(m,7H),1.62(s,3H)1.66-1.73(m,1H),1.83-1.92(m,5H),1.98-2.13(m,2H),2.26(dt,J=3.54,1.80Hz,1H),2.27-2.33(m,1H),2.47-2.51(m,2H),2.58-2.62(m,1H),2.66-2.72(m,1H),3.15(s,3H)3.45-3.58(m,3H),3.60-3.68(m,2H)3.77-3.86(m,2H),4.06-4.13(m,1H),4.27-4.37(m,2H),4.46-4.54(m,3H),4.72-4.78(m,1H),4.80-4.87(m,2H),5.32-5.48(m,1H),5.53-5.67(m,1H),5.73-5.86(m,1H),5.93-6.05(m,1H),6.16-6.26(m,1H),6.20(s,1H),6.23-6.41(m,1H),6.27-6.38(m,1H),6.93(s,2H),6.98-7.06(m,2H),7.43-7.50(m,2H),7.62-7.69(m,2H),7.74-7.80(m,1H),8.22-8.27(m,1H),8.44-8.49(m,4H),10.15-10.22(m,1H).
【1078】
1.10 ADL12-D20及びADL12-D21
セクション1.2.1に概説される一般的手順1を用いてD20を合成した。
【1079】
【化233】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イルメチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバメート(43mg、0.044mmol、90%収率)、無色の油として。LC/MS(ESI,m/z),981.4[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.62-0.73(m,18H),0.82-0.93(m,9H),0.95-1.06(m,27H),1.24(br s,4H),1.45(br s,10H),1.78(br s,3H),1.92-2.00(m,1H),2.46(br s,4H),2.51-2.67(m,3H),2.76-2.84(m,2H),2.86-2.93(m,1H),2.93-3.02(m,3H),3.34-3.38(m,3H),3.43-3.49(m,2H),3.72-3.82(m,1H),3.93-4.04(m,1H),4.94-5.07(m,2H),5.53-5.64(m,1H),5.72-5.89(m,2H),6.07-6.21(m,1H),6.44-6.61(m,1H).
【1080】
D20
【化234】
(2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イルメチル(2-(メチルアミノ)エチル)カルバメート(16.4mg、0.026mmol、58.6%収率)、無色の油として。LC/MS(ESI,m/z),639.7[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.92(br d,J=6.53Hz,9H),1.25(br s,4H),1.36(s,3H),1.41-1.74(m,6H),1.45-1.59(m,1H),1.64-1.72(m,1H),1.80(s,3H),1.85-1.94(m,1H),2.42(s,3H),2.50-2.63(m,3H),2.65-2.73(m,1H),2.73-2.80(m,2H),2.88-3.01(m,4H),3.35-3.38(m,3H),3.35-3.40(m,3H),3.41-3.48(m,2H),3.52-3.57(m,1H),3.78-3.89(m,1H),5.00-5.13(m,2H),5.53-5.64(m,1H),5.71-5.82(m,1H),5.84-5.94(m,1H),6.12-6.19(m,1H),6.49-6.61(m,1H).
【1081】
ADL12-D20
【化235】
セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いてALD12-D20を合成し(13.0mg、0.016mmol、67.7%)を無色の油として得た。LC/MS(ESI,m/z),818.3[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.91(br s,9H),1.21-1.31(m,4H),1.36(br s,7H),1.46-1.73(m,11H),1.80(s,3H),1.84-1.93(m,1H),2.50-2.72(m,7H),2.75-2.85(m,1H),2.87-3.09(m,7H),3.48-3.68(m,6H)3.80-3.89(m,1H),5.02-5.13(m,2H),5.55-5.66(m,1H),5.71-5.82(m,1H),5.85-5.94(m,1H),6.11-6.22(m,1H),6.49-6.61(m,1H),6.83(br d,J=1.13Hz,2H).
【1082】
ADL12-D21
【化236】
((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル(2-((6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキシル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(7mg、8.557μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(99μl、1.284mmol)に溶解し、ヨウ化メチル(2.68μL、0.043mmol)を加えた。この溶液を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-(2-(((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)エチル)-N,N-ジメチルヘキサン-1-アミニウム(7mg、8.40μmol、98%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),832.7[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.75-0.87(m,9H),1.14(s,4H),1.25(s,3H),1.27-1.45(m,9H),1.48-1.61(m,4H),1.69(s,4H),1.72-1.79(m,2H),2.35-2.53(m,3H),2.53-2.60(m,1H),2.75-2.83(m,1H),2.85-2.95(m,3H),3.06(br d,J=10.42Hz,6H),3.15-3.20(m,2H),3.25(br d,J=2.38Hz,3H),3.42(br d,J=6.90Hz,5H),3.53-3.69(m,2H),3.69-3.78(m,1H),4.88-5.01(m,2H),5.44-5.56(m,1H),5.59-5.72(m,1H),5.73-5.83(m,1H),5.99-6.10(m,1H),6.40(s,1H),6.72(s,2H).
【1083】
1.11 ADL12-D22
セクション1.2.1に概説される一般的手順1を用いてD22を合成した。
【化237】
【1084】
3-(4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-2-((R,2E,4E)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)-7-((2R,3R)-3-((2S,3S)-3-((トリエチルシリル)オキシ)ペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)ヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-12-オキソ-10-((トリエチルシリル)オキシ)オキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(48mg、0.046mmol、34.4%収率)、無色の油として。LC/MS(ESI,m/z),1051.4[M+H]+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.62-0.70(m,18H),0.82-0.94(m,9H),1.01(tt,J=7.92,3.18Hz,27H),1.22-1.28(m,4H),1.45(s,3H),1.47-1.66(m,7H),1.76-1.87(m,5H),1.92-1.99(m,1H),2.36-2.47(m,3H),2.50-2.68(m,3H),2.86-2.93(m,1H),2.98-3.08(m,2H),3.10-3.18(m,1H),3.18-3.26(m,2H),3.27-3.31(m,1H),3.34-3.36(m,3H),3.36-3.37(m,1H)3.72-3.81(m,1H),3.95-4.19(m,3H),4.93-5.00(m,1H),5.01-5.07(m,1H),5.54-5.66(m,1H)5.72-5.81(m,1H)5.81-5.90(m,1H),6.12-6.19(m,1H),6.47-6.58(m,1H).
【1085】
D22
【化238】
N-エチル-N-イソプロピルプロパン-3-(4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(23.5mg、0.031mmol、68.2%収率)。LC/MS(ESI,m/z),709.5[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 0.71-0.77(m,9H),1.03(s,5H),1.14-1.20(m,6H),1.23-1.33(m,5H),1.36-1.48(m,5H),1.63(s,3H),1.67-1.75(m,1H),2.13-2.24(m,4H),2.58-2.64(m,1H),2.68-2.81(m,2H),3.20-3.20(m,3H),3.61-3.77(m,4H),4.28-4.39(m,1H),4.44-4.53(m,1H),4.79-4.88(m,2H),5.28-5.43(m,1H),5.52-5.66(m,1H),5.73-5.85(m,1H),5.94-6.04(m,1H),6.27-6.41(m,1H),6.43-6.53(m,2H),8.19-8.29(m,1H).
【1086】
ADL12-D22
【化239】
セクション1.6.1に概説される一般的手順を用いてADL12-D22(3.6mg、4.05μmol、34.4%収率)を合成した。LC/MS(ESI,m/z),888.7[M+H]
+.
1H-NMR(400MHz,MeOH-d4):δ ppm 0.77-0.89(m,9H),1.08-1.31(m,13H),1.35-1.60(m,12H),1.69(s,3H),1.73-1.83(m,1H),1.85-1.97(m,1H),2.15-2.27(m,1H),2.27-2.83(m,11H),2.84-2.98(m,1H),3.39(s,7H),3.67-3.77(m,1H),4.89-5.01(m,2H),5.40-5.53(m,1H),5.59-5.69(m,1H),5.72-5.83(m,1H),5.99-6.11(m,1H),6.37-6.49(m,1H),6.69(s,2H).
【1087】
ADL1-D22
【化240】
セクション1.2.1に概説される一般的手順1を用いてADL1-D22(4.7mg、3.59μmol、38.6%収率)を白色の凍結乾燥固体として合成した。LC/MS(ESI,m/z),1307.6[M+H]
+.
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 0.68-0.79(m,16H),1.03(s,3H),1.16(s,5H),1.23-1.44(m,13H),1.48-1.55(m,1H),1.62(s,4H),1.68-1.74(m,1H),1.86-1.93(m,1H),2.02(s,4H),2.24-2.37(m,3H),2.46-2.51(m,2H),2.66-2.73(m,1H),2.79-2.99(m,4H),3.15(s,3H),3.21-3.22(m,2H),3.30(s,4H),3.61-3.67(m,1H),3.73-3.88(m,3H),4.01-4.08(m,1H),4.09-4.16(m,1H),4.29-4.38(m,2H),4.43-4.51(m,1 H),4.73-4.78(m,1H),4.79-4.88(m,2H),4.91-4.98(m,2H),5.29-5.43(m,3H),5.54-5.67(m,1H),5.74-5.83(m,1H),5.95-6.07(m,1H),6.28-6.40(m,1H),6.54-6.62(m,1H),6.93(s,2H),7.17-7.26(m,2H),7.44-7.57(m,2H),7.66-7.76(m,1H),7.95-8.03(m,1H),8.42-8.49(m,1H),9.89-9.96(m,1H).
【1088】
ADL1-D23
【化241】
4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(16.76mg、0.023mmol)及び3-((R)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(16.1mg、0.023mmol)をDMF(229μl、2.953mmol)に溶解させて、ヒューニッヒ塩基(11.90μl、0.068mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に溶媒を蒸発させて、逆相HPLC精製に供して、3-((R)-1-(((4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(3.9mg、2.98μmol、13.13%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1308.6[M+H]
+.
【1089】
ADL1-D24(S)
【化242】
3-((S)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(10mg、0.014mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(141μl、0.014mmol)、ヒューニッヒ塩基(5μl、0.028mmol)、4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(20.8mg、0.028mmol)を合わせて、2時間撹拌した。クロマトグラフィーにかけて(MeOH/CH
2Cl
2)、3-((S)-1-(((4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-4-((((2S,3S,6S,7R,10R,E)-10-ヒドロキシ-2-((R,2E,4E)-6-ヒドロキシ-7-((2R,3R)-3-((2R,3S)-3-ヒドロキシペンタン-2-イル)オキシラン-2-イル)-6-メチルヘプタ-2,4-ジエン-2-イル)-7-メトキシ-3,7-ジメチル-12-オキソオキサシクロドデカ-4-エン-6-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-2-イル)プロパン酸(5mg、3.82μmol、27.1%収率)を得た。LC/MS(ESI,m/z),1308.4[M+H]
+.
【1090】
実施例2
ADCの調製に使用される例示的スプライセオソーム調節薬ペイロードをプロファイリングした。SF3b複合体への結合性、インビトロスプライシング活性、及び細胞成長の阻害能力に関してペイロードを評価した。
【1091】
2.1 SF3B1結合性/シンチレーション近接アッセイ(SPA)
シンチレーション近接アッセイを実施して、SF3b複合体に対する化合物(「ペイロード」)の結合親和性を測定した。抗マウスPVT SPAシンチレーションビーズ(PerkinElmer)への抗SF3B1抗体(MBL)のバッチ固定化を以下のとおり調製した:2.5mgの核抽出物につき5μgの抗SF3B1抗体及び1.5mgのビーズを150μL PBS中に混合した。この抗体-ビーズ混合物を室温で30分間インキュベートし、18,000gで5分間遠心した。1.5mg抗体-ビーズ混合物につき150μL PBSを再懸濁に使用した。ビーズを懸濁し、調製した核抽出物に加えた。このスラリーを4℃で2時間、穏やかに撹拌しながらインキュベートした。次にビーズを18,000gで5分間遠心することにより回収し、PBS+0.1%Triton X-100で2回洗浄した。最後の遠心ステップの後、1.5mgのビーズにつき150μLのPBSで懸濁した。以前記載されているとおり合成した(Kotake et al.(2007)Nat Chem Biol.3(9):570-5)、[3H]標識プラジエノライドBプローブ結合性([3H]-PB)に関してSF3b複合体を試験した。100μL結合反応物を50μLビーズスラリーと共に、様々な濃度のPB又はPB-OHを加えることにより調製し、30分間プレインキュベートした後、2.5nMの[3H]-PBを加えた。この混合物を30分間インキュベートし、MicroBeta2プレートカウンター(PerkinElmer)を使用して発光シグナルを読み取った。データの非線形回帰曲線フィッティングにはPrism 7(Graphpad)を使用した。
【1092】
試験した全てのペイロードについて同様の結合プロファイルが観察された(
図1)。概して、特異的結合は低いナノモル濃度範囲であったことから、試験した全てのペイロードが強力なSF3b複合体結合剤であり、ADCにおける使用に有望な候補化合物であることが示唆される。
【1093】
2.2 インビトロスプライシング(IVS)
無細胞系におけるペイロード活性を評価するため、インビトロスプライシングアッセイを実施した。ペイロードを核抽出物及びプレmRNA基質ミニ遺伝子とインキュベートした。
【1094】
HeLa核抽出物調製:HeLa S3細胞ペレットを低張性緩衝液(10mM HEPES pH7.9、1.5mM MgCl2、10mM KCl、0.2mM PMSF、0.5mM DTT)に再懸濁し、懸濁液を合計5パック細胞容積(PCV)となるようにした。遠心後、上清を廃棄し、細胞を低張性緩衝液で3PCVとなるようにして、氷上で10分間インキュベートした。ダウンス型ホモジナイザーを使用して細胞を溶解させ、次に遠心した。上清を廃棄し、1/2パック核容積(packed nuclear volume:PNV)の低塩濃度緩衝液(20mM HEPES pH7.9、1.5mM MgCl2、20mM KCl、0.2mM EDTA、25%グリセロール、0.2mM PMSF、0.5mM DTT)、続いて1/2PNVの高塩濃度緩衝液(1.4M KClを除いて低塩濃度緩衝液と同じ)でペレットを再懸濁した。核を穏やかに30分間混合した後、遠心した。次に上清(核抽出物)を保存緩衝液(20mM HEPES pH7.9、100mM KCl、0.2mM EDTA、20%グリセロール、0.2mM PMSF、0.5mM DTT)に透析した。タンパク質濃度は、NanoDrop 8000紫外可視分光光度計(ThermoFisher Scientific)を使用して決定した。
【1095】
IVS:Ad2由来配列(Pellizzoni et al.(1998)Cell 95(5):615-24)は、全て5’EcoRI及び3’XbaI制限部位を用いてpcDNA3.1(+)ベクター(Promega)にクローニングした。これらのプラスミドを、XbaIを用いて線状化し、インビトロ転写反応においてDNA鋳型として使用した。FtzΔi無イントロンプラスミド(Luo and Reed(1999)96(26):14937-42)を、EcoRIを用いて線状化した。全てのRNAをインビトロ転写し、次に、それぞれMEGAScript T7(Invitrogen)及びMegaClear(Invitrogen)キットを使用して精製した。Ad2変異体プレmRNAを使用するスプライシング反応については、HeLa S3から調製した8μg核抽出物、2ngプレmRNA、0.2ng FTZΔi、及び様々な濃度の化合物又はDMSOを使用して1μL反応物を調製した。30℃で15分間プレインキュベートした後、1μLスプライシング活性化緩衝液(0.5mM ATP、20mMクレアチンリン酸、1.6mM MgCl
2)を加え、反応物を30℃で90分間インキュベートした。次に反応物を13μL DMSOでクエンチし、RT-qPCRに25nLを使用した。TaqMan RNA-to-C
T 1-stepキット(Life Technologies)、スプライシング反応からのRNA、Ad2(フォワード:ACTCTCTTCCGCATCGCTGT;リバース:CCGACGGGTTTCCGATCCAA;プローブ:CTGTTGGGCTCGCGGTTG)及びFtz(フォワード:TGGCATCAGATTGCAAAGAC;リバース:ACGCCGGGTGATGTATCTAT;プローブ:CGAAACGCACCCGTCAGACG)mRNAプライマー-プローブセットを使用してRT-qPCR反応物を調製した。形成されたスプライシング産物の非線形回帰曲線フィッティングにはPrism 7(Graphpad)を使用し、対照(DMSO)試料に対して正規化した。試験した全てのペイロードがSF3b複合体に特異的に結合し、同様の結合プロファイルを実証することを考えれば(
図1)、全てのペイロードがまた、スプライシングも同程度に調節するはずであると仮定された。全てのペイロードがAd2.2プレmRNAのスプライシングを有意に調節した(
図2)。ペイロードの存在下では、スプライス産物量の低下が観察された。
【1096】
2.3 細胞生存能力
HCC1954(American Type Culture Collection(ATCC))乳管癌細胞を平底96ウェル組織培養プレート(Corning)内の10%ウシ胎仔血清(ThermoFisher Scientific)を補足した総容積90μLの組織培養培地に2000細胞/ウェルでプレーティングした。細胞を化合物の200nM~0.03nΜの3倍段階希釈液で処理した。各濃度をトリプリケートで試験した。処理時点で、CellTiter-Glo(登録商標)2.0発光細胞生存能力アッセイを製造者の推奨に従い使用して(Promega;#G9241)、未処理細胞のプレートを評価した。CellTiter-Glo(登録商標)2.0試薬を培地に加え、インキュベートし、EnVision Multilabel Reader(PerkinElmer)でアッセイした。値は0時点(T0)を表す。144時間の化合物処理後(T144)における生存細胞数もCellTiter-Glo(登録商標)2.0発光細胞生存能力アッセイを用いて決定した。0時点での発光値(T0)、DMSO対照成長(C)、及び化合物の存在下での試験成長(T144)を用いて、各々の化合物濃度レベルでの成長率を計算した。成長阻害率は、T144≧T0の濃度について[(T144-T0)/(C-T0)]×100、又はT144<T0の濃度について[(T144-T0)/T0]×100として計算した。Prism 7(Graphpad)並びに非線形回帰分析及びlog(inhibitor)vs.反応-可変傾斜(4パラメータ)を用いたフィッティングを使用して用量反応曲線プロットを作成した。
【1097】
全てのペイロードについてHER2増幅HCC1954乳癌細胞で細胞生存能力用量反応を決定した。D25など、透過性の低いペイロードを除き、試験したペイロードのほとんどが一桁のナノモル濃度範囲のGI
50値(即ち、細胞増殖の50%の減少を生じさせるための化合物の濃度)を呈した(
図3)。例示的透過性データは表14に示す。
【1098】
実施例3
実施例2で評価した例示的ペイロードを例示的抗HER2抗体(トラスツズマブ)に抗体のシステイン残基を介してコンジュゲートした。例示的抗HER2 ADCの調製及び評価を以下に記載する。
【1099】
3.1 抗体
抗HER2 ADC(本明細書ではSMLAとも称される)の調製には、トラスツズマブ抗体(「AB185」)(Molina et al.(2001)Cancer Res.61(12):4744-9)を使用した。
【1100】
3.2 バイオコンジュゲーション
PBS緩衝液(pH7.0)中10mg/mLの抗体(トラスツズマブ)を5mM TCEP(2~4モル当量)(ThermoFisher Scientific;#77720)と混合して鎖間ジスルフィド結合を破壊した。この反応物を22℃で3時間、穏やかに混合した。次にプロピレングリコール(15%v/v)、続いて8モル当量のリンカー-ペイロード(DMSO中6mMストック)を加え、溶液を十分に混合した。この反応物を22℃のインキュベーター内の回転プレートに置いた。2時間のコンジュゲーション後、反応混合物を精製して、コンジュゲートしなかったペイロードをDPBS(pH7.5)中にAKTA GE M150(HiTrap(商標)26/10脱塩カラム;流量:3mL/分)(GE Healthcare Bio-Sciences)によって取り除いた。得られたコンジュゲートをAmicon限外ろ過(30kDa、Ultra-4)(EMD Millipore)によって濃縮し、0.22μm PVDF使い捨てフィルタ(EMD Millipore)で滅菌ろ過にかけた。最終的な澄明溶液をUV-VISによって測定し、抗体濃度([mAb];モル/L)及びコンジュゲート化したペイロード濃度([LD];モル/L)をランベルト・ベールの法則(A=E・c・l)及び以下の式により決定した:
A280nm=EmAb
280nm×[mAb]×l+ELD
280nm×[LD]×l
A252nm=EmAb
252nm×[mAb]×l+ELD
252nm×[LD]×l
EmAb
280nm:トラスツズマブ=213,380cm-1M-1
EmAb
252nm:トラスツズマブ=79,112cm-1M-1
ELD
280nm=800cm-1M-1
ELD
252nm=31,000cm-1M-1
略語:c-モル濃度;l-光路長(Nanodrop:0.1cm);E-モル吸光係数;A-吸光度。
【1101】
3.3 生物物理学的特性
例示的抗HER2 ADCに関して、それぞれ、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、薬物対抗体比(DAR)、凝集率、及び非コンジュゲート化ペイロード率を分析した。概して、コンジュゲートは2%未満の遊離薬物を含み、10%未満の凝集を含んだ。
【1102】
3.3.1 LC/MS分析-DAR
Agilent G6224A Accurate Mass TOF質量分析計に結合したAgilent 1290 UPLCシステムを使用してLC/MS分析を実施した。コンジュゲートをPNGase F(New England Biolabs;#P0705L)によって37℃で4時間脱グリコシルし、8M Gdn-HCl(Sigma;#G9284)で変性させて、最後にDTT(5mM終濃度)(Promega;#V3151)を用いて軽鎖ドメインと重鎖ドメインとに分離した。調製した試料をAgilent PLRP-Sカラム(2.1×150mm、8μm)に注入し、25%B~50%Bのグラジエントによって室温(RT)で28分かけて溶出させた。移動相Aは、0.05%TFA含有水であり、移動相Bは0.04%TFA含有アセトニトリルであり、流量は1mL/分であった。デコンボリューション質量スペクトルから、軽鎖(L0又はL1)及び重鎖(H0、H1、H2、及びH3)について非コンジュゲート化ピーク及び薬物コンジュゲートピークの強度を加重平均することによりDARを計算した。式:(DARLC×2)+(DARHC×2)=総DARを用いて、インタクトなコンジュゲートの総DARを計算した。例示的抗HER2 ADCのDAR値は表10~表14に報告する。
【1103】
3.3.2 SEC分析-凝集
TOSON-G3000SWXL(#008541)カラムを使用して、0.25mM塩化カリウム及び15%(v/v)IPAを含有する0.2Mリン酸カリウム(pH7)中、0.75mL/分の流量でサイズ排除クロマトグラフィーを実施した。高分子量の単量体コンジュゲート成分について、280nmにおけるピーク面積吸光度を曲線下面積積分値により決定した。例示的抗HER2 ADCの単量体率は表10に報告する。
【1104】
3.3.3 HPLC分析-遊離薬物
コンジュゲートを10容量のアセトニトリルによって氷上で2時間沈殿させて、スピンダウンした。次に残留非コンジュゲート化ペイロードを含有する上清をAgilent Poroshell 120 SB-C18 120Aカラム(4.6×100mm、2.7μm)に注入し、45%B~70%Bのグラジエントにより室温で10分間かけて溶出させた。移動相Aは100%水であり、移動相Bは100%アセトニトリルであり、流量は0.6mL/分で、252nmで検出した。UV検出により、非コンジュゲート化リンカー-ペイロードの外部検量線との比較で残留遊離薬物の量を定量化した。例示的抗HER2 ADCの遊離薬物率は表10に報告する。
【1105】
3.4 結合特性決定
3.4.1 標的陽性細胞へのFACS結合
非コンジュゲート化抗HER2抗体及び抗HER2 ADCによる標的陽性細胞への結合について、フローサイトメトリーにより間接免疫蛍光法を用いて評価した。HER2を内因的に発現する乳癌細胞株であるJIMT1細胞(DSMZ)をV字底96ウェルプレート(Greiner Bio-One)にプレーティングし(5×104細胞/ウェル)、アッセイ培地(10%(w/v)胎仔ウシ血清アルブミン(Thermo Fisher Scientific)を補足したRPMI-1640)中、様々な濃度に希釈した試験化合物と共に4℃で2時間インキュベートした。次に細胞をPBS+2%FBS(FACS緩衝液)で洗浄し、フィコエリトリン標識(PE)ヤギ抗ヒト免疫グロブリンG(IgG)抗体(Invitrogen)によって暗所下4℃で40分間染色した。細胞を冷FACS緩衝液で洗浄し、FluroFix緩衝液(Biolegend)によって室温で30分間固定した。固定液をFACS緩衝液で洗い流した。固定した細胞をPEの幾何平均蛍光に関してLSRFortessaフローサイトメーター(BD Bioscience)を使用して分析した。対照としてトラスツズマブ及びT-DM1(トラスツズマブにコンジュゲートしたDM1)を含めた。
【1106】
全ての抗HER2 ADCが、JIMT1細胞においてHER2へのロバストな結合を実証した。ADC結合はトラスツズマブ及びT-DM1の結合と同等であった(
図4)。これは、ペイロードへのコンジュゲーションが抗体の抗原結合親和性に影響を及ぼさないことを示唆している。
【1107】
3.5 インビトロ分析
3.5.1 細胞生存能力
幾つかのHER2増幅細胞株で抗HER2 ADCが細胞成長を阻害するその能力に関して試験した。HCC1954(ATCC)、2000細胞/ウェル)、N87(ATCC、4000細胞/ウェル)、SKBR3(ATCC、3000細胞/ウェル)、及びMCF7(ATCC、1500細胞/ウェル)細胞株を使用した。細胞生存能力分析はセクション2.3に記載のとおり実施した。
【1108】
意外にも、結合プロファイルが同様で(
図1)、且つペイロードが同様の生化学的特性を有するにも関わらず、全てのADCがHCC1954細胞において活性というわけではなかった。ある種のリンカー(例えば、ADL10)及び/又はある種のペイロード(例えば、D14)を有するADCは細胞成長の阻害能がより低く、一方、別のリンカー(ADL1、ADL5、ADL12)及び/又はペイロード(例えば、D1、D25、D2、D4)を有するADCは、HCC1954細胞においてより強力であった(
図5A並びに表10、表11、及び表14)。この傾向は、概して細胞株(HCC1954、N87、及びSKBR3)及び適応疾患(HCC1954及びSKBR3は高HER2乳癌株である;N87は高HER2胃癌株である)全体にわたって観察された(
図5B~
図5C並びに表11及び表12)。更に、一般に、ADL10などの従来の非切断可能リンカーはスプライシング調節薬ペイロードを効率的に送達しなかった。しかしながら、同じリンカーについて長さを少し変更すると、ADCははるかに強力になった。例えばAB185-ADL10-D1の細胞生存能力用量反応をAB185-ADL12-D1と比較されたい(
図5A~
図5C)。
【1109】
抗HER2 ADCの活性が抗原依存性であることを確実にするため、HER2陰性MCF7細胞を処理した。試験したADCのいずれも、HER2陽性細胞をロバストに標的化した同じ濃度で活性を有しなかった(
図6及び表13)。これは、抗HER2 ADC活性が抗原依存性であることを示唆している。
【1110】
【1111】
【1112】
【1113】
【1114】
【1115】
【1116】
【1117】
【1118】
3.5.2 ADCペイロードのCaco-2透過性
Caco-2細胞をトランズウェル(transwell)24ウェルプレートにおいて37℃、95%湿度、5%CO2で21日間培養した。細胞単層の完全性をTEER(経上皮電気抵抗)及びルシファーイエローによって確認した。ペイロードは細胞単層の両側にデュプリケートで10μMで別々にスパイクした。処理直後(t=0)及び2時間のインキュベーション後に両方のチャンバからアリコートを採取することにより、頂端側から側底側への(A-B)方向及び側底側から頂端側への(B-A)方向の透過速度を決定した。試料は、内部標準を含有する有機溶媒でタンパク質沈殿させて、LC-MS/MS(SCIEX;API 5500)により分析した。両方向におけるペイロード/内部標準の経時的面積比反応を用いて透過性(cm/秒)値を求めた。B-A/A-Bの除算によって外向きフラックス比を計算した。低透過性及び高透過性並びに外向きフラックスについての対照化合物は、予想どおり挙動した。透過性値は表14に報告する。
【1119】
3.5.3 ADCペイロードの化学安定性
Mcilvane(クエン酸塩-リン酸塩)緩衝液、pH5.5(Boston Bioproducts;#BB-2466)中において20μMの終濃度(ストック溶液からの0.5%未満のDMSO)でペイロードをインキュベートした。ペイロード溶液及び内部標準を96ウェルプレートにピペッティングし、UPLC(Waters Aquity Hクラス)にかけ、初期クロマトグラフィーシグナル(t=0)に関して分析した。カラムはWaters UPLC HSS T3 1.8μm 2.1×50mmカラム(#186003538)であった。移動相A95%~10%のグラジエントを1分かけて用い、ここでAは水中0.1%ギ酸であり、移動相Bはアセトニトリル中0.1%ギ酸であった(流量0.9mL/分)。ペイロード溶液の残りは37℃でプレート振盪機(Eppendorf ThermoMixer)上に保持した。37℃でのインキュベーション後24、72、及び96時間の時点でUPLCによる試料分析を繰り返した。ペイロード及び内部標準の面積比反応は3時点で決定した:0時点、1日目、及び3日目又は4日目のいずれか。0時点を100に設定した。後の時点の面積比反応を0時点と比較した。残存率は以下のとおり計算した:(面積比X日目/面積比0時点)×100=残存率%。Excelで%残存率の対数及び時点を比較する線の傾きを計算した。Excelでln(2)/傾きにより半減期を計算した。表14に報告する。
【1120】
【1121】
【1122】
【1123】
3.5.4 インセルスプライシングPDアッセイ
例示的抗HER2 ADCの作用機序を調査するため、漸増濃度のADCで処理したHCC1954細胞においてSLC25A19成熟転写物のスプライシングを調べた。
【1124】
HCC1954細胞(ATCC)を90μL/ウェルの1×105細胞/ウェルでフェノールレッド不含RPMI+10%FBS培地(ATCC)にプレーティングした。細胞を3倍希釈用量反応でコンジュゲートによって処理した。それぞれ24時間後又は6時間後、25μL/mLのRNAsin(Promega)を含有する50μLのCL緩衝液(IgePal CA-630、5M NaCl、1MトリスHCl 1M 水中pH7.4)で細胞を溶解させて、揺動機上において室温で45分間インキュベートした。得られた混合物(0.5μL)を使用して、製造者の推奨に従い以下のTaqmanプライマー:SLC25A19(Invitrogen、Hs00222265_m1);RPLPO(Invitrogen、Hs99999902_m1);18S(Invitrogen、Hs99999901_s1)によるTaqman Fast Virus 1-Stepマスターミックス(Applied Biosystems)逆転写PCR反応でスプライシング調節を判定した。
【1125】
T-DM1対照(ペイロードとして微小管破壊剤を有するトラスツズマブ)はSLC25A19スプライシングに影響を及ぼさなかった(
図7)。対照的に、試験した種々の細胞株で強力な成長阻害活性を実証した(
図5)抗HER2 ADCは、強力なスプライシング調節も実証したことから、オンターゲット作用機序が指示される(
図7)。同様に、細胞生存能力アッセイで低い効力を呈した抗HER2 ADCは、スプライシング調節の点でも効力が低かった。
【1126】
3.5.5 バイスタンダー細胞殺傷アッセイ
バイスタンダー細胞殺傷アッセイにおいて、例示的抗HER2コンジュゲートが標的陽性細胞及び隣接標的陰性細胞の両方を殺傷する能力を測定した。NCI-H1568、非小細胞肺癌細胞(ATCC)を、ルシフェラーゼを発現するように改変した。GeneArt(ThermoFisher Scientific)でcDNAが合成され、pLVX-EF1aデスティネーションベクター(ThermoFisher Scientific)にクローニングされた。これとは別に、TransIT(登録商標)ウイルストランスフェクションシステムを製造者の指示(Mirus Bio LLC;#MIR6003)に従い利用して、NCI-H1568を、ヒトHER2を発現するように改変した(pLenti6.3/V5-DEST、ThermoFisher Scientificにクローニングした)。コンジュゲートのバイスタンダー活性を判定するため、2000個の標的陽性(HER2形質導入)NCI-H1568細胞及び2000個の標的陰性(lucタグ付加)NCI-H1568細胞を共に透明96ウェル丸底プレート(Corning)にプレーティングし、トリプリケートで3倍段階希釈、30~0.005nMで投与したコンジュゲートとインキュベートした。処理時点で、OneGlo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)及びCellTiter-Glo(登録商標)2.0発光細胞生存能力アッセイシステム(Promega)を製造者の推奨に従い使用して未処理細胞のプレートをアッセイし、0時点(T0)を確立した。培養下で6日後、OneGlo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)によって残存細胞集団を分析し、標的陰性細胞の生存率を測定した。全体的な生存能力をCellTiter-Glo(登録商標)2.0発光細胞生存能力アッセイシステムによって測定した(T144)。用量反応曲線をセクション2.3に記載のとおり計算した。
【1127】
バイスタンダー殺傷アッセイの設計により、その排出を隣接標的陽性細胞によって放出される異化産物の取り込みに頼る標的陰性細胞のみを追跡することが可能になる。上記で考察したとおり、細胞は、(1)標的陰性(lucタグ付加)細胞単独;(2)標的陽性細胞単独;及び(3)標的陰性細胞と標的陽性細胞との共培養の3つの条件下でプレーティングする。プレートをCellTiter-Glo(登録商標)試薬で読み取ると、全ての細胞集団の生存能力を追跡して抗原依存性ADC活性を確認することができる。対照的に、OneGlo(登録商標)試薬を使用すると、標的陰性(lucタグ付加)細胞のみがシグナルを有することになる。
【1128】
標的陰性(lucタグ付加)細胞は、単独での培養時、抗HER2 ADCによる処理に対して感受性を有しなかった(
図8)。しかしながら、標的陰性細胞を標的陽性細胞と共に培養したとき、抗HER2 ADCによる処理によって標的陰性細胞の殺傷が増加した。これらのデータは、標的陰性細胞が標的陽性細胞と共培養したとき抗HER2 ADCによって一層有効に殺傷されることを示唆しており、これは本明細書においてバイスタンダー殺傷と称される。バイスタンダー殺傷は、標的陽性細胞との共培養がない、それと独立した中での、標的(抗原)陰性細胞単独の殺傷として定義されるオフターゲット殺傷と区別可能である。
【1129】
本実験では、AB185-ADL5-D2は、AB185-ADL1-D1と比較したとき、抗原が不均一な癌細胞集団を殺傷する能力の増加を実証した。理論によって拘束されることを望むものではないが、この効力の差は、D2における1つのメチル基の付加に起因し得、これがD1と比較したときのペイロード細胞効力及び透過性の3倍の増加をもたらす(表14を参照されたい)。D2 ADCは、抗原が不均一な癌細胞集団をAB185-MC-Val-Cit-MMAE対照ADCと同程度に有効に処理した。
【1130】
3.6 インビボ分析
強力なスプライシング調節及び細胞成長阻害を呈した例示的抗HER2 ADCをインビボで判定した。
【1131】
3.6.1 HCC1954異種移植片有効性研究
マウス異種移植モデルにおいて例示的抗HER2 ADCの有効性を調査するため、HCC1954(ATCC)乳管癌細胞(10×10
6細胞/100μL/1:1RPMI:マトリゲル容積)を雌CB17-SCIDマウスの側腹部に皮下移植した。マウスを単回ボーラスIV用量のコンジュゲート(DPBS、pH7.4中に製剤化した)又は媒体対照で治療した。動物には、
図9に指示する量を与えた。以下のエンドポイント:(1)過度の腫瘍容積(楕円体の式:(長さ×幅
2)/2を用いることにより計算する);又は(2)過度の体重減少など、何らかの健康問題の発生のいずれか一方に達するまで、全ての動物について腫瘍成長及び体重を週2回モニタした。動物研究は、全てH3 Biomedicine実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)に従い行った。
【1132】
2mg/kgもの低い単回用量の抗HER2 ADC(AB185-ADL5-D2又はAB185-ADL1-D1)による治療が有意な腫瘍退縮をもたらした(
図9)。コンジュゲート化したペイロードについて用量反応も観察され、DAR値が高い抗HER2 ADCほど(DAR約4)、用量対応抗体T-DM1対照と比べて有効性が増加し、及び腫瘍再成長が遅いことを実証した。加えて、ADCによって腫瘍に標的化されたペイロードは、対応する非コンジュゲート化ペイロードと比べてより強力であった。
【1133】
実施例4
実施例3に記載される例示的抗HER2 ADCの特性が、別の抗原及び/又は適応疾患を標的化する他のADCにも当てはまり得るかどうかを決定するため、選択のペイロードを例示的抗CD138抗体(B-B4)及び例示的抗EPH2A抗体(1C1)にコンジュゲートした。CD138は、例えば多発性骨髄腫で悪性形質細胞に発現し、一方、EPH2Aは、種々の悪性腫瘍でより広く発現する。例示的抗CD138及び抗EPH2A ADCの調製及び評価について以下に記載する。
【1134】
4.1 抗体
抗CD138 ADC及び抗EPH2A ADCの調製には、それぞれ、B-B4抗体(「AB205」)(Tassone et al.(2004)Blood 104:3688-96)及び1C1抗体(「AB206」)(Jackson et al.(2008)Cancer Res.68(22):9367-74)を使用した。
【1135】
4.2 バイオコンジュゲーション
PBS緩衝液(pH7.0)中10mg/mLの抗体(B-B4又は1C1)を5mM TCEP(2~4モル当量)(ThermoFisher Scientific;#77720)と混合して鎖間ジスルフィド結合を破壊した。この反応物を22℃で3時間、穏やかに混合した。次にプロピレングリコール(15%v/v)、続いて8モル当量のリンカー-ペイロード(DMSO中6mMストック)を加え、溶液を十分に混合した。この反応物を22℃のインキュベーター内の回転プレートに置いた。2時間のコンジュゲーション後、反応混合物を精製して、コンジュゲートしなかったペイロードをDPBS(pH7.5)中にAKTA GE M150(HiTrap(商標)26/10脱塩カラム;流量:3mL/分)(GE Healthcare Bio-Sciences)によって取り除いた。得られたコンジュゲートをAmicon限外ろ過(30kDa、Ultra-4)(EMD Millipore)によって濃縮し、0.22μm PVDF使い捨てフィルタ(EMD Millipore)で滅菌ろ過にかけた。最終的な澄明溶液をUV-VISによって測定し、抗体濃度([mAb];モル/L)及びコンジュゲート化したペイロード濃度([LD];モル/L)をランベルト・ベールの法則(A=E×c×l)及び以下の式により決定した:
A280nm=EmAb
280nm×[mAb]×l+ELD
280nm×[LD]×l
A252nm=EmAb
252nm×[mAb]×l+ELD
252nm×[LD]×l
EmAb
280nm:B-B4=224,320cm-1M-1
1C1=215,380cm-1M-1
EmAb
252nm:B-B4=83,670cm-1M-1
1C1=80,337cm-1M-1;
ELD
280nm=800cm-1M-1
ELD
252nm=31,000cm-1M-1
略語:c-モル濃度;l-光路長(Nanodrop:0.1cm);E-モル吸光係数;A-吸光度。
【1136】
4.3 生物物理学的特性
例示的抗CD138及び抗EPHA2 ADCに関して、それぞれ、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、DAR、凝集率、及び非コンジュゲート化ペイロード率を分析した。本明細書に記載される全てのコンジュゲートが2%未満の遊離薬物を含み、10%未満の凝集を含んだ。
【1137】
4.3.1 LC/MS分析-DAR
セクション3.3.1に記載のとおりLC/MS分析を実施した。例示的抗CD138及び抗EPHA2 ADCのDAR値は表15~表18に報告する。
【1138】
4.3.2 SEC分析-凝集
セクション3.3.2に記載のとおりSEC分析を実施した。例示的抗CD138及び抗EPHA2 ADCの単量体率は表15及び表17に報告する。
【1139】
4.3.3 HPLC分析-遊離薬物
セクション3.3.3に記載のとおりHPLC分析を実施した。例示的抗CD138及び抗EPHA2 ADCの遊離薬物率は表15及び表17に報告する。
【1140】
4.4 インビトロ分析
4.4.1 細胞生存能力
CD138発現MOLP8多発性骨髄腫細胞株で抗CD138 ADCを試験した。同様に、EPHA2発現PC3前立腺癌細胞株で抗EPHA2 ADCを試験した。細胞生存能力の分析はセクション2.3に記載のとおり実施した。
【1141】
抗CD138抗体(
図10及び表16)及び抗EPHA2抗体(
図11及び表18)にコンジュゲートしたペイロードでは、セクション3.5.1で抗HER2 ADCに関して考察したものと同様の傾向が生じた。詳細には、ある種のリンカー(例えば、ADL12)及び/又はペイロード(例えば、D1、D25、D4)を有するADCが、抗原発現細胞で最も高い効力を実証した。一貫して、別のペイロード(例えば、D14)は、強力な小分子であるにも関わらず、抗体媒介性送達によると細胞成長の阻害能が低かった。
【1142】
【1143】
【1144】
【1145】
【1146】
【1147】
【1148】
実施例5
例示的抗HER2 ADCのインビトロ及び/又はインビボ安定性を以下に記載するとおり判定した。
【1149】
5.1 血漿中におけるAB185-ADL1-D1の全抗体及びコンジュゲート化ペイロード
AB185-ADL1-D1によるインビトロ処理(セクション5.1.1)又はインビボ治療(セクション5.1.2)の後、免疫沈降LC/MS/MS技法により血漿中の全抗体(TAb)及びコンジュゲート化ペイロード(CP)のレベルを定量化した。定量化フィッティングは、TAb及びCPについて、それぞれマウス血漿中0.5~100μg/mL、及び0.5~500ng/mLの1/x2重み付けによる直線であった。血漿試料を安定同位体標識ユニバーサルモノクローナルヒト抗体内部標準(SIu(商標)MAB、Sigma、St.Louis,MO)及び10mM PBS、pH7.4と混合し、室温で1時間インキュベートした。Dynabeads(登録商標)MyOne(商標)ストレプトアビジンT1磁気ビーズ(ThermoFisher Scientific)を混合物に加え、室温で更に30分間インキュベートした。磁気スタンドを使用してビーズを結合させ、それをCHAPS緩衝液、次にPBS緩衝液で順次洗浄した。30mM HClでビーズから目的の分析物を溶出させた。別個の溶出液アリコートを使用してTAb又はCPを定量化した。TAbについては、トリス-HCl、pH8.3、続いてトリプシンを加え、37℃で一晩インキュベートさせておいた。CPについては、1M酢酸アンモニウム、続いて重水素化したペイロード内部標準、及びカテプシンBを加え、25℃で一晩インキュベートさせておいた。LC/MS/MSにより試料を分析し、分析物対内部標準の面積比を用いて定量化し、それぞれの検量線と比較した。CP濃度を計算するため、ペイロードの分子量、AB185-ADL1-D1の分子量及びDAR(薬物対抗体比)に関してTAbの濃度を補正した。
【1150】
5.1.1 マウス、ラット、及びサル血漿中におけるAB185-ADL1-D1のインビトロ安定性
マウス、ラット、及びサルからのプール血漿(Bioreclamation)並びにPBSをAB185-ADL1-D1(4.81mg/mL)でスパイクし、50μg/mLの終濃度を実現した。試料を37℃、95%湿度、5%CO2で4日間、pHが安定し、且つ非特異的結合及び蒸発が最小限となるようにしてインキュベートした。4、24、48、72、及び96時間の時点でアリコートを取り出し、処理時まで-70℃で保管した。試料を解凍し、全抗体及びコンジュゲート化ペイロードに関して上記に記載した方法(セクション5.1)を用いてバイオ分析用に処理した。各マトリックスについて0時点を100%に設定した。後の時点における面積比反応を各マトリックスについて別々に0時点と比較した。残存率は以下のとおり計算した:(面積比X日目/面積比0時点)×100=%残存率。Excelで%残存率の対数及び時点を比較する線の傾きを計算した。Excelでln(2)/傾きにより半減期を計算した。
【1151】
AB185-ADL1-D1からの全抗体は、緩衝液中及び全ての種の血漿中で安定していることが見出され、4日間で僅かな沈殿を呈したに過ぎなかった(
図12A)。コンジュゲートした(インタクトな)ペイロードD1のレベルは4日間維持された(
図12B)。
【1152】
5.1.2 AB185-ADL1-D1の単回IV投与後のマウス血漿中におけるスナップショット薬物動態(PK)
マウス(CB17-SCID)を10mg/kg又は20mg/kgのAB185-ADL1-D1の単回IV用量で治療した後、続いて投与後24、48、及び72時間の時点でヘパリンリチウムチューブ(各用量群につき1時点当たりn=3)に致死採血(心穿刺)を行った。血液を4℃、5000rpmで5分間遠心して赤血球を取り除き、血漿を処理時まで-80℃で保管した。試料を解凍し、全抗体及びコンジュゲート化ペイロードに関して上記に記載した方法(セクション5.1)を用いてバイオ分析用に処理した。
【1153】
AB185-ADL1-D1の単回IV投与を受けて、投与後72時間の時点で400ng/mLを超えるインタクトなD1ペイロードがAB185抗体にコンジュゲートしたままであった(
図13)。AB185-ADL1-D1 ADCは、同様の作用機序のペイロードを担持する別のADCと比較したとき、安定性の向上を実証した。Puthenveetil et al.(Bioconjugate Chem.(2016)27:1880-8)に報告されるタイランスタチンAベースのADCは比較的安定性が低く、72時間までにペイロードの完全な生物変換を示す(即ち、酢酸塩が完全に加水分解される)。
【1154】
5.2 AB185-ADL14-D1及びAB185-ADL5-D25の加速安定性試験
作製したてのSMLA(エッペンドルフチューブ内の各約1mg、4~5mg/mL)を遠心し、280nmでの紫外吸収(NanoDrop)により測定して、タンパク質濃度を決定した。次に試料を37℃水浴中でインキュベートし、4時点、0(調製したて)、1日、2日、及び4日で試料採取した。異なる時点で採取した試料は、最後の試料採取が完了するまで-80℃で保管した。22℃で解凍した後、抗体凝集/断片の定量化、及びDARに関して、SEC、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、及び逆相-MS(RP-HPLC)で試料を分析した。4時点におけるAB185-ADL14-D1及びAB185-ADL5-D25の凝集率、濃度、及びDAR値(HIC及びRP-HPLC)を表19に示す。
【1155】
【1156】
実施例6
スプライシング調節薬ベースのADC(即ち、本明細書に記載される例示的ADC)で処理した細胞が、ナイーブT細胞をプライミングしてエフェクター細胞(即ち、ネオ抗原を標的化する能力を有するエフェクター細胞)に移行させるのに好適なネオ抗原を産生することができたかどうかを決定するため、以下の実験を実施した。
【1157】
6.1 RNAシーケンシング及びタンパク質リガンドーム実験
6.1.1 概要
ADC処理後のトランスクリプトームの変化を調査した。HER2を過剰発現する2つの細胞株、1つは改変非小細胞肺癌株(NCI-H1568)及び1つはHER2増幅乳癌株(HCC1954)を、ロバストな異常mRNAスプライシングを惹起することを意図した濃度(それぞれ、4nM及び1.3nM)のADC(AB185-ADL1-D1)で処理した。処理後24時間でRNAseq実験を実施した。これらの実験により、複数のmRNA転写物がスプライシングパターンの変化を呈したことが実証された。
【1158】
次に、同定された転写物が翻訳され、ネオ抗原として腫瘍細胞MHC1複合体上に提示されることができたかどうかを調査するため、mRNA転写物の翻訳には十分だが、広範な細胞傷害効果(分析用細胞材料の採取を損ない得るようなもの)には先行するであろう時点を選択した。次にNCI-H1568及びHCC1954細胞株を3nMのADCで48時間処理し、MHC1結合ペプチドームをLC-MS/MSにより分析した。ペプチドームデータを一次ペプチドサイズによって8~14アミノ酸断片(MHC1に結合するためのサイズ限界基準として定義される)にフィルタリングし、次に既知のヒトタンパク質に対してフィルタリングした。同定されたペプチドは、どの条件下か、及びどの細胞株にそれが検出されたかに関わらず、自己抗原として特徴付けた。残りのペプチド配列は、全てRNAseqデータの3フレーム翻訳に対してマッピングした。ペプチド配列のストリンジェントな評価基準(任意の未処理試料に同定された任意のペプチド、カノニカルなオープンリーディングフレームにコードされなかった任意のペプチド、及びAB185-ADL1-D1による処理によってエクソンジャンクションが変化したmRNAのエクソンジャンクションにまたがる部分によってコードされなかった任意のペプチドの排除を含む)を用いて、4つのMHC1結合ネオペプチドが同定された。例示的RNAシーケンシング及びタンパク質リガンドーム実験の概略図については、
図14を参照されたい。
【1159】
6.1.2 方法の詳細
6.1.2.1 ADC処理細胞のRNAシーケンシング
HCC1954及びHER2を過剰発現するNCI-H1568(ATCC)細胞を6ウェル組織培養プレート(Corning)の個々のウェル当たり1×105細胞でプレーティングした。細胞をリン酸緩衝生理食塩水又はそれぞれ1.3nM及び4nMのAB185-ADL1-D1で24時間処理した。RNAeasy Miniキット(Qiagen)を使用して細胞から全RNAを抽出し、クオリティ及び量を判定した(2100 BioanalyzerでのRNA 6000 Nano LabChipキット、両方ともにAgilent)。ポリA選択RNA-Seqライブラリを標準的なIlluminaプロトコルのとおり調製した。cDNAライブラリのクオリティチェックを行い、2100 BioanalyzerでDNA-1000キット(両方ともにAgilent)を使用して定量化した。ライブラリをプールし、HiSeq2000(Illumina)でシーケンシングして101塩基ペアエンドリードを得た。
【1160】
未補正の配列リードをSTAR 2.4.2aによって2パスアラインメント35を用いてヒト参照配列hg19とアラインメントし、GRCh37にマッピングされたGENCODEアノテーションv25に対してKallisto 0.42.4を用いてアイソフォーム定量化を実施した(Bray et al.(2016)Nat Biotechnol.34(5):525-7)。6nt(スプライス部位から-3nt及びスプライス部位の後ろ+3)のエクソン-イントロン境界領域を定義して、それらの領域と完全にオーバーラップしたアラインメントをカウントすることにより、保持されたイントロンのカウントの推定を実施した。全ての未補正ジャンクションカウントを、エクソン-イントロン境界からのものを含め、コホート毎に全てのテクニカルレプリケートにわたってプールした。処理済み試料プールと未処理試料プールとの間の比率の差についての二項Z検定を用いて差次的ジャンクション使用を判定した。比率は、パーセントスプライスイン(PSI)の測定と同様に、スプライス部位を共有する全てのスプライスジャンクション(及びエクソン-イントロン境界)に基づき計算した。ガウス仮定を保つため、処理済み及び未処理の両方のコホートで総ジャンクションカウント(そのスプライス部位を共有する全てのジャンクションにわたる合計未補正カウント)が10リード以上の共有スプライス部位のみを分析に考慮した。処理済みの(「異常な」)ジャンクションについて≦0.05及び未処理の(「カノニカルな」)ジャンクションについて≦0.20の偽発見率(FDR)補正後q値に対応するzスコアを有意と見なした。
【1161】
スプライス部位を共有し、且つ処理済み試料で有意に上方制御される少なくとも1つのジャンクション又は未処理試料で有意に上方制御される少なくとも1つのジャンクションを有する2つ以上のスプライスジャンクションを、それぞれ異常な又はカノニカルなジャンクションと見なした。あるイベントを差次的スプライシングと見なすには、それに異常なジャンクション及びカノニカルなジャンクションの両方が存在する必要があった。イントロンリテンションイベントの場合、有意であるためには、エクソン-イントロン境界(5’及び3’スプライス部位)並びにこれらの2つを橋渡しするジャンクションの両方が必要であった。
【1162】
6.1.2.2 ADC処理細胞のMHC1結合ペプチドーム
HCC1954及びHER2を過剰発現するNCI-H1568(ATCC)細胞を15cm
2組織培養プレート(Corning)に1×10
8細胞でプレーティングした。細胞をリン酸緩衝生理食塩水又は3nMのAB185-ADL1-D1で48時間処理した。細胞をプレートから機械的に取り出し、Bassani-Sternberg et al.((2015)Mol Cell Proteomics 14(3):658-73)のとおりに処理した。簡潔に言えば、この手順には、細胞膜からのMHC-1タンパク質複合体の可溶化、免疫沈降によるMHC-1タンパク質のその結合ペプチドと併せた濃縮、結合ペプチドの選択的溶出及び精製並びにLC/MS/MS分析によるペプチドの同定及び定量化が含まれた。免疫沈降には、そのハイブリドーマ細胞株HB-95(商標)から精製されたモノクローナル抗体W6/32を使用した。Q Exactive HF機器で質量分光分析を実施した。この研究で取得されたローファイルをMaxQuantソフトウェアスイート(バージョン1.5.7.13)で処理することにより、ペプチド及びタンパク質の同定及び定量化を、ヒトタンパク質配列データベース(バージョン22017)を用いて行った。このデータベースに加えて、AB185-ADL1-D1処理したHCC1954及びNCI-H1568細胞のRNAseq実験に基づく予測転写物変異体を含めた。MaxQuantは6フレーム翻訳を実施し、取得されたペプチド配列をMS
2スペクトルとのマッチング用に統合する。データは更に、AB185-ADL1-D1処理済み試料にユニークなペプチド配列に関して、且つAB185-ADL1-D1処理によって調節されたmRNAスプライスジャンクションによってコードされるペプチドに関して手動でフィルタリングした(
図14)。RNAseq及びMHC-1結合リガンドームデータの高ストリンジェンシーフィルタリングにより、4つのネオペプチドが同定された。これらは4つの遺伝子によってコードされた。本明細書においてネオ抗原1、ネオ抗原2、ネオ抗原3、及びネオ抗原4と称されるこれらの4つのネオペプチドのタンパク質配列を、免疫細胞プライミングの惹起に関する続く実験のため伸長した。伸長したタンパク質配列は、ネオペプチド配列それ自体を隣接アミノ酸配列に加えて両方取り込む。伸長したタンパク質配列は、樹状細胞によるタンパク質の取り込みをより良好に促進し、異なるHLAアイソタイプのモデルにおける抗原提示及びT細胞プライミングを可能にする。
【1163】
6.2 T細胞プライミング実験
6.2.1 概要
この実験は、正常なヒト二次リンパ器官(例えば、腫瘍流入領域リンパ節)で起こる相互作用のインビトロ再構成であった。この実験では、末梢血単核球(PBMC)から単球を単離し、サイトカインカクテル中で培養することにより樹状細胞(DC)への分化を誘導した。成熟DCへの分化後、その成熟DCを伸長ネオペプチド配列と培養した。培養中、成熟DCはペプチドを取り込み、それを断片にプロセシングし、CD8 T細胞のプライミングのためそれをMHC1上に提示する。次にDCを同じドナーからの更なるPBMCと混合し、サイトカインカクテル中で約2週間インキュベートしてCD8 T細胞の活性化を刺激した。インキュベーション後、プライミングに用いるペプチドで再びコートしておいたELISpotプレートに細胞を移し、CD8 T細胞の再刺激をIFNγの分泌によってモニタした。次にELISpotプレートを処理及び画像化し、IFNγスポットをカウントして活性CD8 T細胞の数を推定した。例示的T細胞プライミング実験の概略図については、
図15を参照されたい。
【1164】
6.2.2 方法の詳細
6.2.2.1 ネオ抗原媒介性T細胞プライミング及び活性化ELISpot
複数の供給業者(StemExpress、HemaCare、Precision Medicine)からバルク末梢血単核球(PBMC)を購入し、それを使用してWoelfl and Greenberg((2014)Nat Prot.9(4):950-66;
図15)のとおり抗原反応性CD8+ T細胞を作成した。簡潔に言えば、凍結PBMC(5×10
7細胞)を解凍し、T-75組織培養プラスチック(Corning)において5%ヒトAB血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補足したRPMI1640中に2~3時間プレーティングした。非接着細胞を取り除いて廃棄し、20ng/mL GM-CSF及び20ng/mL IL-4を補足したRPMI1640/5%ヒト血清中で接着細胞を5日間培養した。6日目、培地に20ng/mL TNF-αを更に補足した。7日目、成熟DCを回収し、カウントし、MHC1-ペプチドーム実験から同定されたネオペプチドを負荷した(
図16)。細胞を分離し、各ペプチドを10μg/10
6細胞/mLの終濃度で負荷し、1日インキュベートした。8日目、DCを20μg/mLのマイトマイシンCで30分間処理し、十分に洗浄した。DCの処理と同時に、10
8個の対応PBMCを解凍し、RPMI1640で洗浄した。次にT25フラスコ内の30ng/mLのIL-21を補足した10mL RPMI1640/5%ヒトAB血清中にPBMCをDCと10:1の比で混合した。3日間の共培養後(11日目)、更なる10mLの新鮮培地を加え、5ng/mLの終濃度のIL-7及びIL-15を補足した。更なる3日間の共培養後(14日目)、5ng/mLの終濃度のIL-7及びIL-15を補足した更なる10mLの新鮮培地を加え、この共培養物をT-75フラスコに移し替えた。17日目、10ng/mLの終濃度のIL-7及びIL-15を補足した更なる20mLの培地を加え、細胞をT-175フラスコに移した。20日目、細胞を回収し、ELISpotアッセイを製造者の指示どおり(R&D Systems)実施した。ウェルは、1ウェル当たり10μg/mL終濃度のペプチド、1ウェル当たり2×10
5細胞の細胞密度、デュプリケート播種、及び一晩インキュベーションを用いて予め負荷した。IFNγスポットを発色させて、AID ELISpotリーダーで製造者の指示どおり読み取った(
図17A~
図17D)。
【1165】
抗原プライミング実験の例示的データを
図17A~
図17Dに示す。
図15に概説するとおり、ドナー由来のPBMCロットをDCに分化させて、ネオペプチドでプライミングした。ELISpotデータの分析からは、健常ドナーPBMCにおいて、ネオペプチドを提示するDCでナイーブT細胞をプライミングすると、エフェクター(CD8)T細胞集団の抗原特異的拡大及び成熟が起こり得ることが示される。こうしたT細胞集団は、IFNγ分泌が抗原ペプチドの存在下のみであり、非プライミングペプチドの存在下ではないことからも明らかなとおり、抗原特異的再活性化を呈する。
【1166】
RT-qPCR
RNeasy MiniをDNaseI処理(Qiagen)と共に用いて細胞株からRNAを精製し、Superscript VILO逆転写酵素(ThermoFisher Scientific)を20μL中で製造者の指示どおり使用して1~2μgのRNAを逆転写した。RNAライセートを単離し、TaqMan遺伝子発現Cells-to-CTキット(ThermoFisher Scientific)を製造者の指示どおり使用して逆転写した。GAPDH RNA VIC-PL(ThermoFisher Scientific)と二重鎖化したネオ抗原ジャンクションを標的化する転写プローブと共にTaqMan遺伝子発現マスターミックス(ThermoFisher Scientific)を使用して定量的PCRを実施し、ΔΔCt法を用いて定量化した。
【1167】
実施例7
7.1 RNAシーケンシング及びタンパク質リガンドーム実験
7.1.1 方法
実施例6(セクション6.1)に記載されるとおり、RNAシーケンシング及びタンパク質リガンドーム実験を実施した。例示的RNAシーケンシング及びMHC1リガンドーム実験の概略図については、
図14を参照されたい。
【1168】
7.1.2 結果
RNAseqの高ストリンジェンシーフィルタリング及びMHC1結合リガンドームデータにより、29個のネオペプチドが同定された(表20)。免疫細胞プライミングの惹起に関する続く実験のため4個のネオペプチドを選択し、伸長させた。これらの4個の選択されたネオペプチドは、表20に太字で示す。
【1169】
【1170】
29個のネオペプチドのタンパク質配列を伸長させた。伸長したタンパク質配列は、ネオペプチド配列それ自体を隣接アミノ酸配列に加えて両方取り込む。伸長したタンパク質配列は、樹状細胞によるタンパク質の取り込みをより良好に促進し、異なるHLAアイソタイプのモデルにおける抗原提示及びT細胞プライミングを可能にする。29個の伸長ネオペプチドのアミノ酸配列を表21に示す。
【1171】
【1172】
【1173】
7.2 T細胞プライミング実験
7.2.1 概要
例示的T細胞プライミング実験の概略図については、
図15を参照されたい。
【1174】
7.2.2 材料
T細胞プライミングに使用した材料:
・RPMI 1640培地(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号A10491-01)
・ペニシリン/ストレプトマイシン(100×、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号15140122)
・ヒト血清AB型(Sigma、カタログ番号H3667-100ML)
・組換えヒトIL-4(Peprotech、カタログ番号200-04)
・組換えヒトGM-CSF(Peprotech、カタログ番号300-03)
・組換えヒトTNF-α(Peprotech、カタログ番号300-01A)
・ヒトIL-7(Peprotech、カタログ番号200-07)
・ヒトIL-15(Peprotech、カタログ番号200-15)
・ヒトIL-21(Peprotech、カタログ番号200-21)
・ペプチド(New England Peptide-95%純度、DMSO中に溶解して10μg/μL濃度の1000×ストックにした)
・ヒトIFN-y用ELISpotキット(R&D Systems、カタログ番号EL285)
【1175】
7.2.3 方法
7.2.3.1 ヒト単球由来樹状細胞の作成及び成熟並びにネオペプチドの負荷
凍結又は新鮮PBMCを解凍し、予め温めたRPMI培地で1回洗浄し、ベースラインTCRシーケンシング用に非接着細胞のアリコートを確保した。PBMCを10mLの樹状細胞(DC)培地(RPMI1640、5%ヒトAB血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補足)に5×106細胞/mLで再懸濁し、合計5000万個の細胞とした。細胞をT-75組織培養プラスチックに移し、37℃、5%CO2で2~3時間インキュベートした。穏やかに振盪した後、非接着細胞を取り除いて廃棄し、予め温めたDC培地で接着(単球濃縮)細胞を3回洗浄した。終濃度20ng/mLのGM-CSF及び20ng/mLのIL-4を補足した10mLのDC培地を接着細胞に加えた。接着細胞を37℃、5%CO2で100%湿度において5日間インキュベートした。6日目、組換えTNF-αを20ng/mLの終濃度となるように更に48時間加えた。7日目、DCを回収してカウントし、次にネオペプチド(各10μg/1×106細胞/mL)又は非ネオペプチド対照を負荷した。8日目、細胞を成熟DCとして回収した。成熟DCを20μg/mLの終濃度のマイトマイシンCによって37℃で30分間処理し、続いて十分に洗浄した後、プライミングのためT細胞とコインキュベートした。
【1176】
7.2.3.2 自己T細胞との共培養の開始
0日目、凍結又は新鮮を解凍し、予め温めた培地で1回洗浄した。次にPBMCを再懸濁し、DCと10:1の比(10×106:1×106細胞)でT25フラスコ内の30ng/mLのIL-21を補足した10mL RPMI1640/5%ヒトAB血清中に混合した。3日間の共培養後(3日目)、更なる10mLの新鮮培地を加え、5ng/mLの終濃度のIL-7及びIL-15を補足した。更なる3日間の共培養後(6日目)、5ng/mLの終濃度のIL-7及びIL-15を補足した更なる10mLの新鮮培地を加え、共培養物をT-75フラスコに移し替えた。9日目、10ng/mLの終濃度のIL-7及びIL-15を補足した更なる20mLの培地を加え、細胞をT-175フラスコに移した。11~12日目、細胞を回収し、ELISpotアッセイを製造者の指示どおり(R&D Systems)実施し、TCRシーケンシングを実施した(1×106細胞)。1ウェル当たり10μg/mL終濃度のペプチド、1ウェル当たり2×105細胞の細胞密度、デュプリケート播種、及び一晩インキュベーションを用いてウェルに予め負荷した。IFNγスポットを発色させて、AID ELISpotリーダーで製造者の指示どおり読み取った。
【1177】
7.2.4 結果
抗原プライミング実験の例示的データは表22に提供する。
【1178】
【1179】
図15に概説されるとおり、ドナー由来のPBMCロットをDCに分化させて、ネオペプチドでプライミングした。ELISpotデータの分析からは、健常ドナーPBMCにおいて、ネオペプチドを提示するDCでナイーブT細胞をプライミングすると、エフェクター(CD8)T細胞集団の抗原特異的拡大及び成熟が起こり得ることが示される。こうしたT細胞集団は、IFNγ分泌が抗原ペプチドの存在下のみであり、非プライミングペプチドの存在下ではないことからも明らかなとおり、抗原特異的再活性化を呈する。データは、必ずしもネオペプチドに対する応答をHLAに基づいて予測できるわけではないことも示唆している。
【1180】
実施例8
8.1 ネオペプチドの同定
8.1.1 概要
スプライシング調節によって生じるネオペプチドを同定するため、カノニカルな及びスプライシング調節されたプロテオームからの8~11アミノ酸長の、MHCクラスIに結合すると予測されるペプチドを、標準的なターゲット-デコイ手法を用いてタンデム質量スペクトルに対して個別にマッチングさせた。初めに、選択的にスプライシングされたmRNA転写物を翻訳し、参照プロテオームと比較した。次に、参照プロテオームと一致しなかったスペクトルについて、マッチする新規ペプチドを検索した。スプライシング調節によって生じる新規ペプチドを同定するための例示的プロセスの概略図については、
図14を参照されたい。
【1181】
8.1.2 方法
8.1.2.1 潜在的ネオペプチドのデータベースの創製
潜在的ネオペプチドのデータベースを作成するため、参照プロテオームには見られない、ジャンクションにまたがる又はイントロンを含有するペプチドを同定した(Li et al.(2011)Mol.Cell Proteomics 10(5):M110.006536を参照されたい)。参照プロテオームに由来するペプチドは、手作業でレビューしたタンパク質配列から選択し、ダウンロードした。加えて、正常組織に見られるジャンクションに関してこれらのタンパク質をフィルタリングした。代替的手法として、スプライシングイベントから完全なタンパク質を翻訳し、ジャンクションにまたがる又はイントロンを含有するペプチドを検索し、次にBLASTによって参照プロテオームとマッチングし得る。
【1182】
不必要な統計的検定を回避するため、MHCに結合する可能性が高いと予測されるペプチドのみを使用した。タンパク質配列(参照プロテオーム及びエクソンスキッピング又はイントロンリテンションを受けた転写物の予測される翻訳の両方からのもの)について、NetMHCPan及び/又はMHCnuggetsソフトウェアを使用してMHC1アレルへの高親和性結合を評価した。両方のソフトウェアパッケージとも、(i)未補正の親和性結合予測強度(弱い結合について500nM閾値)によるか、又は(ii)多数のランダムな現実のペプチドを選択し、それらのペプチドの予測結合強度の分布を同定することにより、強い又は弱い結合のヒットを選択した。次に任意の新規ペプチドの予測結合強度をこの分布に対してマッチングさせた。後者の方法(方法(ii))によって測定される強い及び弱い結合の閾値は、ランダムな現実のペプチドのそれぞれ上位0.5%又は上位2.0%の範囲内にある予測結合強度であった(Nielsen and Andreatta(2016)Genome Med.8(1):33)。現在、MHC予測は、8~11アミノ酸長の、免疫エピトープデータベース(IEDB)に含まれるペプチド配列に限られている。
【1183】
8.1.2.2 RNAseq及びRiboSeqによるスプライシング調節由来転写物の同定
幾つかのネオペプチドは大型のペプチドドメイン(例えば、TUBA1C)に由来し、一方、翻訳された領域の残りの部分からのペプチド断片は、検出されずにいるリスクがあり得る。これは、未検出領域の分解の亢進、MHC1結合親和性、又は質量分析法(MS)による検出に付随する技術的課題のいずれかの帰結であり得る。概して、RNAseq分析は予測ネオペプチドの数を過大に見積もることになり(選択的にスプライシングされた転写物が全て翻訳されるわけではないため)、一方、MHC1-リガンドームは予測ネオペプチドの数を過小に見積もることになる。
【1184】
ネオペプチドのリストを構築するため、タンパク質への翻訳マーカーとして、結合したリボソームを有する利用可能なスプライシング調節由来変異体スプライスジャンクションを同定した(Andreev et al.(2017)Nucleic Acids Res.45(2):513-26)。RiboSeq又はリボソームプロファイリングにより、転写物に結合したリボソームの存在並びに特異的エクソンジャンクションドメインからも明らかなとおり、活性な翻訳を起こしているmRNA配列(及び変異体ドメイン)の検出が可能となった。
【1185】
実施例9
9.1 例示的抗HER2 ADCのインビトロ分析
9.1.1 方法
HCC1954、NCI-N87、又はMCF7細胞(ATCC)を90μL/ウェルの2.5×103細胞/ウェルでフェノールレッド不含RPMI+10%FBS(ATCC)又はEMEM+10%FBS+インスリン(0.01mg/mL)(MCF7について)にプレーティングした。細胞(各条件につきn=3ウェル)を3倍希釈用量反応でコンジュゲートによって処理した。24時間後、25μL/mLのRNAsin(Promega)を含有する50μLのCL緩衝液(IgePal CA-630、5M NaCl、1MトリスHCl 1M 水中pH7.4)で細胞を溶解させて、揺動機上において室温で45分間インキュベートした。得られた混合物(1μL)を使用して、製造者の推奨に従い以下のTaqmanプライマーによるTaqman Fast Virus 1-Stepマスターミックス(Applied Biosystems)逆転写PCR反応でスプライシング調節を判定した:SLC25A19(Invitrogen、Hs00222265_m1);FBXW5(IDT、フォワードプライマー:CACACCAGATCGGCATCAA(配列番号37)、リバースプライマー:CGATGATGTGTCCGTGTATGT(配列番号38)、プローブ:ATCCTGCCACACCAGATGACCAC(配列番号39)、色素:FAM、消光剤:ZEN/Iowa Black FQ);TAOK1(IDT、フォワードプライマー:CTGCTTCGGATTTACTAGAAGAGATA(配列番号40)、リバースプライマー:GCGTTCCCACAAAGGAATTG(配列番号41)、プローブ:TGCTGACTTTGGCTCTGCTTCCAT(配列番号42)、色素:FAM、消光剤:ZEN/Iowa Black FQ);RPLP0(Invitrogen、Hs99999902_m1)。
【1186】
9.2 例示的抗HER2 ADCのインビボ有効性及び薬力学(PD)
9.2.1 方法-NCI-N87異種移植モデルにおけるインビボ有効性
CB17-SCIDマウス(Charles River Laboratories)は、マサチューセッツ州ケンブリッジ市の動物研究に関する連邦、州、市、及びAAALAC認定指針に基づき飼育した。NCI-N87ヒト胃癌細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC番号CRL-5822)から購入した。腫瘍実験には、継代14代目の細胞を使用した。細胞が最後に検査されたのは、マウス病原体に関しては2016年9月、及びマイコプラズマに関しては2018年12月であった。
【1187】
0.1mL当たり500万個の細胞の単一細胞懸濁液(50%ATCC変法RPMI-1640培地、カタログ番号A10491-01(Thermo-Fisher Scientific);及び50%Corning Matrigel、カタログ番号356254(VWR Scientific))を25Ga針のシリンジで右側腹部に皮下注射した。平均腫瘍容積が180~183mm3になった時点で、0日目、有効性については各群n=8匹及び薬力学(PD)については各群n=4匹のマウスを無作為化した。1日目、試験物質を投与し(10mg/kg)、有効性については5mL/kgの容積で静脈内に7日毎に2サイクルにわたり;PD判定には、単回の治療コースを用いた。PDコホートの動物は、試験物質に応じて、単回用量の投与後24、48、72、及び/又は96時間の時点で安楽死させた。研究の終了時(61日目)まで、腫瘍容積及び体重を週1回又は2回測定した。腫瘍容積は式、長さ×幅2/2を用いて計算した。研究の間、エンドポイント(任意の方向で腫瘍サイズ≧20mm3又は腫瘍容積≧出発時の体重×100)に達したマウス、又は腫瘍潰瘍若しくは眼感染症を有したマウスは取り除いた。
【1188】
化合物は生物学的安全キャビネット内で製剤化した。試験物質媒体はリン酸緩衝生理食塩水pH7.4(カタログ番号A10010-049(Thermo-Fisher Scientific))であった。群は表23に示すとおりであった。
【1189】
抗腫瘍活性は以下のとおり計算した:
%T/C式=治療/対照×100
%TGI式=(媒体平均X日目-治療平均X日目)/媒体平均X日目×100、式中、X日目は22日目である。
【1190】
9.2.2 方法-インビボPD(RT-qPCR)
マイクロアレイキット用のMagMAX-96及びMagMAX Express-96ディープウェル磁性粒子プロセッサ(ThermoFisher Scientific)を使用して腫瘍試料からRNAを精製した。腫瘍試料(サイズ50~100mg)をRNAlater緩衝液中に収集し、RNA単離時まで-80℃に保った。腫瘍が入ったチューブに2~3個のセラミックビーズ及び1mLのTri-reagentを加え、続いてOmni Bead Ruptor 24機器(Omni International)で破壊することにより、組織ホモジナイゼーションを実施した。製造者の指示どおりRNA単離を行った。
【1191】
RNAライセートを単離し、TaqMan Fast Virus 1-Stepマスターミックス(ThermoFisher Scientific)を製造者の指示どおり使用して逆転写した。
【1192】
RPLP0 RNA VIC-PL(ThermoFisher Scientific)と二重鎖化したFBXW5又はTAOK1ジャンクションを標的化する転写プローブと共にTaqMan遺伝子発現マスターミックス(ThermoFisher Scientific)を使用してcDNAからの定量的PCRを実施し、ΔΔCt法を用いて定量化した。
【1193】
【1194】
9.3 結果
インビトロ分析:
異なる系統の2つのHER2陽性細胞株(HCC1954乳癌及びN87胃癌)及びHER2陰性細胞株(MCF7)において例示的抗HER2 ADCの抗増殖活性を測定した。成長阻害効率(GI50効力)並びに反応の深さ(対照と比較したR min)を測定した。指定の細胞株に対するADC処理後に、代表的なハウスキーピング遺伝子SLC25A19における選択的スプライシングをqPCRにより測定した。GI50及びスプライシング反応の深さを測定した。インビトロ分析の結果を表25に示す。
【1195】
一般に、試験した抗HER2 ADCは抗原陽性細胞株において有利な効力を示し、抗原陰性細胞株において最小の生存能力及びスプライシング反応を示した。ADCは、細胞殺傷における反応の深さ、及びSLC25A19の選択的ジャンクションスプライシングの完全性の点で異なった。ADCは、抗原陽性細胞株の各々に対して4つのカテゴリーの1つに分けられた:1)高い反応の深さ/致死率及び高いスプライシング反応;2)高い反応の深さ/致死率及び低いスプライシング反応;3)低い反応の深さ/致死率及び高いスプライシング反応;又は4)低い細胞致死率及び低いスプライシング反応。幾つかのADCは、N87胃癌細胞株に対して有利なカテゴリー3挙動を示した。AB185-ADL13-D4は一貫して致死性であり、HCC1954細胞及びN87細胞の両方で強力なスプライシング反応深さを示した。この一貫した抗原特異的致死は、概してADCに望ましく、水溶性リンカーであれば、良好なコンジュゲート仕様で更に高い薬物負荷量さえも可能になり得る。リンカーをADL23(EVCトリペプチド)に取り換えると、意外にも両方の細胞株でプロファイルが変化した。AB185-ADL1-D12もHCC1954に対して極めて高い致死性であるが、幾つもの固形及びヘム腫瘍株でペイロードの細胞効力は一貫して低い点でユニークであった。D12は、この系列中で外向きフラックス比が低い唯一のペイロードでもある。従って、このペイロードを放出するADCは、標的抗原を発現する多剤耐性癌に対して活性であり得る。
【1196】
HCC1954乳癌細胞でスプライシング効力(IC50 qPCR)を細胞効力(GI50 CTG)と比較したとき、グルクロニドリンカー及びD12ペイロードが有利な特性を示した。C6/C7カルバメートスイッチ(D8)ペイロード及び二塩基性ペイロード(D5)は、細胞効力を示したが、最も効率的な選択的スプライシングは実証しなかった。ジペプチドからD4又はD1ペイロードを有するトリペプチドリンカーに切り換えると、選択的スプライシング効率が低下したが、細胞活性は高いままであった。
図18を参照されたい(細胞致死率に応じてサイズを変え、選択的スプライシング反応の深さに応じて網掛けを付す)。
【1197】
N87胃癌細胞でスプライシング効力(IC50 qPCR)を細胞効力(GI50 CTG)と比較したとき、HCC1954と同じように、グルクロニドリンカー(D4を有する)及び12ペイロードが有利な特性を示した。総じて、全てのADCがHER2陰性細胞株MCF7に対しては最小限のスプライシング及び効力を示した。D12ペイロードの細胞効力は比較的低いにも関わらず、このペイロードを有する抗HER2 ADCの活性は高く、ペイロードは低い外向きフラックス比を示した。これらの特性は、多剤耐性癌セッティングにおいて潜在的により良好な有効性につながり得る。
図19を参照されたい(細胞致死率に応じてサイズを変え、選択的スプライシング反応の深さに応じて網掛けを付す)。
【1198】
更なる抗HER2 ADCでインビトロ分析を実施した。抗HER2 ADCと対応するペイロードとの間の比較を表26に示す。抗HER2 ADCの効力及び致死率を対応するペイロードの安定性及び透過性と比較したとき(
図20)、AB185-ADL5-D15が、効力、致死率、化学安定性、及び異化産物透過性の(例えば、推定バイスタンダー殺傷に)有利なバランスを実証した。以下に記載するとおり、AB185-ADL5-D15は、インビボでも活性であり、NCI-N87異種移植モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を実証した。
【1199】
インビボ有効性:
NCI-N87細胞をSCIDマウスに接種して例示的抗HER2 ADCの抗腫瘍活性を評価することにより、ヒトHER2を発現するNCI-N87胃癌細胞株及びその異種移植モデルを作成した。トラスツズマブ及びTDM1を対照薬として使用した。
【1200】
NCI-N87胃癌異種移植モデルにおける静脈内トラスツズマブ、TDM1、及び4つのHER2 ADCの抗腫瘍効果を
図21及び
図23に示す。体重効果を
図22及び
図23に示す。試験物質又は媒体はQ7Dで2サイクルにわたって静脈内(IV)投与した。データは平均値±SEM(腫瘍容積、mm
3)又は±SEM(体重、%)(N=8)を表す。
*一元配置ANOVA検定を用いた22日目における媒体群との比較でp<0.0001。
【1201】
NCI-N87におけるインビトロ及びインビボ有効性について表にしたデータを表24に提供する。表にしたデータは、パーセント(%)腫瘍増殖抑制率(腫瘍容積のTGI)又は%T/C(腫瘍容積)(N=8)を表す。AB185-ADL5-D2は、インビトロでの致死率が僅かであるにも関わらず、インビボでは意外にも活性であり、例えばAB185-ADL14-D1と比較したときインビボ有効性の向上を実証した。
【1202】
【1203】
このモデルでは、HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ、抗ヒトHER2抗体及び標準治療療法は抗腫瘍活性を実証しなかった。しかしながら、トラスツズマブ+共有結合的に連結されたDM1(細胞傷害剤)を含む第二選択治療であるTDM1は、トラスツズマブ単独(TGI4%)と比べて有意に良好な抗腫瘍活性(TGI71%)を示した。試験した4つのADCの中でも、ABL185-ADL5-D2、AB185-ADL5-D15、及びAB185-ADL1-D4は強力な抗腫瘍活性を示し、腫瘍増殖抑制率(TGI)はそれぞれ、73%、67%、及び68%であった。全ての奏効群の腫瘍が、最終的には再び成長し始めた。いずれの群においても完全奏効は観察されず、以下の群:TDM1、ABL185-ADL5-D2、及びAB185-ADL5-D15の各々において8匹中1匹の動物が部分奏効を示した。全ての試薬及び試験物質はマウスによって良好に忍容され、観察された体重減少は最小限であった。総じて、大幅な体重減少のないNCI-N87腫瘍モデルにおけるTDM1との比較で、試験した4つの抗HER2 ADCの3つが同程度に強力な抗腫瘍活性を実証した。
【1204】
インビボPD:
NCI-N87胃癌異種移植モデルにおける静脈内トラスツズマブ、TDM1、及び4つの抗HER2 ADCによるmRNAジャンクションのPD調節を
図24A~
図24Dに示す。FBXW5(成熟mRNA転写物)及びTAOK1(ネオジャンクション転写物)のRT-qPCRをモニタした。試験物質又は媒体は10mg/kgで静脈内(IV)投与した。動物(各群N=4)は、48時間(
図24A及び
図24B)又は指示される時間(
図24C及び
図24D)のいずれかの時点で回収した。RNA抽出及びRT-qPCRのため腫瘍を摘出した。
*一元配置ANOVA(
図24A及び
図24B)又は二元配置ANOVA(
図24C及び
図24D)を用いた媒体との比較でp<0.05。
【1205】
トラスツズマブもTDM1も、FBXW5又はTAOK1のいずれの観察されるスプライシングについても有意な変化を呈しなかった。AB185コンジュゲートADL5-D2/ADL1-D4/ADL5-D15は、全てFBXW5の有意な枯渇を呈し、及びAB185コンジュゲートADL5-D2/ADL1-D4はTAOK1の有意な増加を呈した。ADL5-D15はTAOK1の増加を示したが、統計的有意性に達しなかった。ADL14-D1はいずれのmRNA転写物の存在量についても統計的に有意な変化を呈しなかった。
【1206】
【1207】
【1208】
【1209】
【1210】
実施例10
10.1 バイオインフォマティクス-ドライブされる適応疾患/標的選択
正常組織と比較して腫瘍突然変異負荷(TMB)が低い腫瘍において高度に発現する標的抗原を同定するため、バイオインフォマティクス予測分析を実施した。本例には、1)どのように各フィルタを定義したか;及び2)どのように抗原/適応疾患テーブルを用いて好適な標的/腫瘍対を同定するかを説明する。例示的標的適応疾患分析の概略図については、
図25を参照されたい。
【1211】
10.1.1 概要
バイオインフォマティクス予測分析を用いて標的抗原及び適応疾患を同定した。腫瘍突然変異負荷(TMB)、ADC送達のための標的抗原の発現、及び腫瘍免疫浸潤に関して、TCGAからのデータを処理した。TMB及び浸潤の既発表のカットオフを用いて免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に対する予測される奏効例と非奏効例を層別化する分析を実施して、適応疾患及び対応する抗原を同定した。表面抗原発現を更にフィルタリングして、抗原発現が(GTEx組織発現データベースから評価したとき)任意の正常組織の少なくとも2倍高い確率的集団を判定した。1つ以上の標的抗原を有する患者の割合が好適な適応疾患(又はTCGA系統のサブセット)を突然変異及び免疫メトリックに関して更に分析した。腫瘍突然変異負荷が総計10突然変異/メガベースを下回り、且つT細胞浸潤スコアが0.5を上回る抗原陽性患者の割合を判定した。推定約50%の患者がこれらの判定基準を満たす適応疾患を表27に挙げる。これらのコホート(但しこれらのコホートに限定されない)の患者は、スプライシング調節薬ADC(例えば、本明細書に記載されるスプライシング調節薬ADC)による治療が奏効し得る。
【1212】
10.1.2 方法
Annals of Oncology抗原テーブルアノテーションについての適応疾患予測:
Antigen:抗原遺伝子名、Annals of Oncology文献レビュー(Moek et al.(2017)Annals of Oncology,28:3083-3091を参照されたい)から良好なADC標的である可能性が高い59個の遺伝子のみをテーブルに含めた(初期フルアナリシスは、全てのインシリコサーフェスオーム遺伝子を含んだ)
Cohort:TCGAコホート名
SUBTYPE:TCGA腫瘍サブタイプ情報
Cases_Total:合計症例数
Cases.by.subtype:サブタイプ別症例数
LTPM_median:Log2(TPM+1)による発現中央値
LTPM_median_LowTMB:低TMB(<350)症例についてのLog2(TPM+1)による発現中央値
LTMB_Median:Log10(TMB)の中央値
LTMB_MAD:Log10(TMB)のMAD値による標準偏差のロバストな測定値
Infil_Median:PLoS One T細胞シグネチャに基づく浸潤スコアの中央値
Infil_MAD:PLoS One T細胞シグネチャに基づく浸潤スコアのMAD値による標準偏差のロバストな測定値
Cor.with.Purity:腫瘍純度との発現相関
GTEX_Tissue:発現中央値が最も高いGTEx組織名
GTEX_LTPM_Median:発現中央値が最も高いGTEx組織における抗原の発現中央値
Surfaceome.Filter*:サーフェスオームフィルタ:発現>中央値が最も高いGTEx正常組織の2倍を適用した後の患者集団
LowTMB.Filter:低TMBフィルタ:<エクソーム-seq当たり350(メガベース2当たり10)を適用した後の患者集団
LowTMB.Surfaceome.Filter:サーフェスオーム及びtmbの両方のフィルタを適用した後の患者集団
HiInfil.LowTMB.Surfaceome.Filter:3フィルタ:サーフェスオーム発現フィルタ、低tmbフィルタ及び高浸潤フィルタを適用した後の患者集団
Surfaceome.Filter.Perc:サーフェスオームフィルタ:発現>中央値が最も高いGTEx正常組織の2倍を適用した後の集団のパーセンテージ
LowTMB.Filter.Perc:低TMBフィルタ:<350を適用した後の集団のパーセンテージ
LowTMB.Surfaceome.Filter.Perc:サーフェスオーム及びtmbの両方のフィルタを適用した後の集団のパーセンテージ
HiInfil.LowTMB.Surfaceome.Filter.Perc:3フィルタ:サーフェスオーム発現フィルタ、低tmbフィルタ、及び高浸潤フィルタを適用した後の集団のパーセンテージ
【1213】
患者集団の確率的推定値:
コンパイルしたリソース:
1.汎癌免疫ランドスケープペーパー(Ready et al.(2019)Journal of Clinical Oncology,37:992-1000)
2.OmicsoftからのTCGA RNA-seq/エクソーム-seqデータバンドル
3.免疫遺伝子シグネチャ(Thorsson et al.(2018)Immunity,48,812-830)
4.GTExデータv7
腫瘍突然変異負荷は、Omicsoftデータを用いてTCGAエクソーム-seq突然変異コールから計算した。PLoS One T細胞シグネチャ(CD3D、CD3E、CD2)を使用して試料の免疫浸潤を定量化した。TCGA RNA-seqデータからlog2(TPM+1)値を使用してzスコアを求めた。
Surfaceome.Filter:中央値が最も高いGTEx正常組織と比較して2倍より高い発現(log2(TPM+1))値を個々の患者が有する確率を以下のとおり計算した:
1.全てのGTEx正常組織の中でこの遺伝子について中央値が最も高いGTEx正常組織を同定し、それをThと仮定する
2.組織別のデータ分布を維持する合成マイノリティオーバーサンプリング法(SMOTE(Siemers et al.(2017)PLoS One,12(7):e0179726)を用いて各組織につき1000患者でこの遺伝子のGTExデータを合成する
3.この患者がその組織についてのGTEx合成データThの2倍を超える回数(n回)をカウントする。この患者がGTEx正常の2倍を超える確率はn/1000である
4.この確率を全ての患者について計算する
5.個々の確率の和が、GTEx正常の2倍を超えるコホート集団の確率的推定値である
6.他のフィルタを併せて適用すると、個々の確率の和は、それらの他のフィルタを通過する患者についてのもののみとなる
【1214】
10.1.3 例
上記に記載した例示的バイオインフォマティクス予測分析を用いて同定された標的抗原及び適応疾患を表27に示す。
【1215】
【配列表】