(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】プランター
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20231124BHJP
【FI】
A01G9/02 103G
(21)【出願番号】P 2021158814
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青柳 有輝
(72)【発明者】
【氏名】川又 周太
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0006477(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0254239(US,A1)
【文献】特開2011-130758(JP,A)
【文献】特開2004-344115(JP,A)
【文献】登録実用新案第3158257(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁材または壁面を横方向に連結して多角形の環状に形成される外壁部と、
開口縁部の拡開形状が前記外壁部に対応する多角形状を成し、かつ、各辺の開口縁部に沿って筒状またはリング状の挿通部が形成された袋体と、
前記袋体の各辺の開口縁部に形成された挿通部にそれぞれ差し込んで装着される複数の棒体と、を含んで成り、
前記外壁部の上縁近傍の内側に、壁材の幅方向に沿って複数のクリップ部材が付設されて、これらのクリップ部材に前記棒体が挟持されることにより、前記袋体が前記外壁部に対し脱着自在に装着可能となっている、プランター。
【請求項2】
前記壁材の内側に縦材が取着されると共に、前記縦材の上端部にクリップ部材が設けられた、請求項1記載のプランター。
【請求項3】
前記壁材が鉛直方向に並べた複数の横材から構成されると共に、これら複数の横材が前記縦材によって連結された、請求項2記載のプランター。
【請求項4】
前記袋体の各辺の開口縁部に片側のみに開口部を有する筒状の挿通部が形成された、請求項1~3の何れか一つに記載のプランター。
【請求項5】
前記壁材の上側に載置して取り付けられる笠木部材を備えた、請求項1~4の何れか一つに記載のプランター。
【請求項6】
前記笠木部材の下面にクリップ部材が設けられると共に、このクリップ部材が上側から前記棒体に装着される、請求項5記載のプランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外または屋内に設置される組立式のプランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭菜園やガーデニングにおいては、鉢植え等の比較的サイズが小さいプランターが用いられるのに対し、パブリック空間(例えば、街路や公園、広場、民間空地等)に設置されるプランターは比較的サイズが大きいものが多い。またパブリック空間では、イベント時のみにプランターを使用するケースも多いため、運搬、設置および撤去が容易な組立式のプランターが求められる。
【0003】
このような組立式のプランターとしては、従来、特許文献1に示すような複数本の支柱と、支柱間を繋ぐ横架材と、支柱の内側に形成された底板と、を含んで構成されたものが知られている。また特許文献1のプランターは、支柱間の各横架材にシート材の端縁部を被せた状態で上からクリップ部材を取着することでシート材を装着し、各側枠と底板で囲まれる部分に土等を収容する袋部を形成している。
【0004】
しかしながら、上記従来の組立式プランターは大型化に向かないだけでなく、使用時にシート材の端縁部に下方向の大きな負荷がかかった際、クリップ部材からシート材が抜け落ち易かった。また上記シート材の端縁部を横架材に被せながらクリップ部材で装着する作業は、シート材の端縁部が横架材からずり落ちないように行う必要があったため、組み立て作業に手間がかかるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを課題としており、要約すると組み立て作業を簡単かつ迅速に行うことができ、また使用時に袋の脱落も生じず大型化も容易なプランターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決する手段として、複数の壁材または壁面を横方向に連結して多角形の環状に形成される外壁部と、開口縁部の拡開形状が前記外壁部に対応する多角形状を成し、かつ、各辺の開口縁部に沿って筒状またはリング状の挿通部が形成された袋体と、前記袋体の各辺の開口縁部に形成された挿通部にそれぞれ差し込んで装着される複数の棒体と、を含んでプランターを構成し、更に前記外壁部の上縁近傍の内側に、壁材の幅方向に沿って複数のクリップ部材を付設して、これらのクリップ部材に前記棒体を挟持することにより、前記袋体を前記外壁部に対し脱着自在に装着可能に構成した。
【0008】
また本発明では、上記壁材の内側に縦材を取着すると共に、上記縦材の上端部にクリップ部材を設けることができ、これによりクリップ部材を壁面に直接取着する必要がなく、クリップ部材に下方向の荷重がかかった場合でも縦材の固定部で負荷を吸収できる。なお本明細書中において「筒状」とは、長さ方向に延びた中空部を有する形状をいう。
【0009】
また本発明では、上記壁材を鉛直方向に並べた複数の横材から構成すると共に、これら複数の横材を上記縦材によって連結することができ、これにより縦材を横材の連結材として利用することができる。
【0010】
また本発明では、上記袋体の各辺の開口縁部に片側のみに開口部を有する筒状の挿通部を形成することができ、これにより棒体の差し込み時に反対側からの抜けが生じないため、組み立て作業を迅速に行える。
【0011】
また本発明では、上記壁材の上側に載置して取り付けられる笠木部材を設けることもでき、これによりクリップ部材や棒体を隠蔽してプランターの外観を改善することができるだけでなく、クリップ部材に触れて怪我をするような問題も防止できる。
【0012】
また本発明では、上記笠木部材の下面にクリップ部材を設けると共に、このクリップ部材を上側から上記棒体に装着することもでき、これにより壁材のクリップ部材に装着した棒体が上側に抜けることを防止でき、また棒体のズレや変形も抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプランターは、袋体の開口縁部に設けた挿通部に棒体を差し込み、この棒体を外壁部の内側に設けたクリップ部材で挟持する構成となっているため、棒体を手で持ってクリップ部材に押し込むだけで外壁部に対する袋体の装着作業を容易に行うことができる。また袋体の挿通部に棒体を差し込んでいるため、プランターの使用時に袋体の開口縁部に下方向の負荷がかかったとしても袋体が棒体から脱落する心配もない。
【0014】
また本発明のプランターは、外壁部を構成する壁材、袋体及び棒体の少ない部品から構成しているため、運搬も容易で分解組立作業も簡単かつ迅速に行える。しかも、本発明のプランターは、大型化も容易に行うことができ、更に袋体を大型化した場合でも棒体を手で持つことで袋体の各辺の開口縁部をクリップ部材に簡単に装着できるため、パブリック空間のプランターとして好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明における第一実施形態のプランターを示す全体斜視図である。
【
図2】本発明における第一実施形態のプランターを示すX-X断面図である。
【
図3】本発明における第一実施形態の外壁部を示す全体斜視図である。
【
図4】本発明における第一実施形態の袋体及び棒体を示す全体斜視図である。
【
図5】本発明における第一実施形態の笠木部材を示す全体斜視図及びY-Y断面図である。
【
図6】本発明における第一実施形態の外壁部を構成する壁材を示す背面図、上面図及び底面図である。
【
図7】本発明における第一実施形態の外壁部を構成する壁材の構造を説明するための説明断面図である。
【
図8】本発明における第一実施形態のクリップ部材を示す正面図、上面図及び側面図、開き部の角度を示す説明図である。
【
図9】本発明におけるクリップ部材の変更例を示す正面図である。
【
図10】本発明における第一実施形態の笠木部材を示す正面図、上面図、拡大斜視図及び説明断面図である。
【
図11】本発明における第一実施形態の壁材に笠木部材を載せた状態、及び笠木部材の装着時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態を
図1~
図11に基づいて説明する。なお図中、符号Pで指示するものは、プランターであり、符号1で指示するものは、外壁部である。また符号2で指示するものは、袋体であり、符号3で指示するものは、棒体である。符号4で指示するものは、笠木部材であり、符号Sで指示するものは、袋体に収容される土である。
【0017】
「プランターの構成」
[1]基本構成について
本実施形態のプランターPの基本構成について説明する。本実施形態では、
図1~
図3に示すように四角形の環状に形成された外壁部1の内側に、
図4に示す開口縁部の拡開形状が外壁部1に対応する四角形状に形成された袋体2を装着してプランターPを構成している。このプランターPは、
図2に示すように袋体2に土Sや水等を収容して使用することができる。また
図4に示すように、上記袋体2には各辺の開口縁部に沿って筒状の挿通部21を形成して、この各辺の挿通部21・21…に複数の棒体3・3…をそれぞれ差し込んで装着している。
【0018】
一方、上記外壁部1に関しては、
図3に示すように、複数の壁材11・11…を横方向に連結して環状に構成すると共に、外壁部1の上縁近傍の内側に、壁材11の幅方向に沿って複数のクリップ部材12・12を付設して、これらのクリップ部材12・12に上記袋体2の挿通部21に挿入した棒体3を装着している。これによりクリップ部材12・12で棒体3を挟持することで上記袋体2を外壁部1の内側に脱着自在に装着できるため、プランターPの現場での分解組立作業を容易に行うことができる。
【0019】
また本実施形態では、
図5に示すように、上記外壁部1の壁材11の厚みよりも横幅が大きい笠木部材4・4…を使用し、この笠木部材4・4…を外壁部1の上側に載置して取り付けている(
図1及び
図2参照)。これにより上記外壁部1の内側に張り出した笠木部材4によって外壁部1に付設したクリップ部材12・12を笠木部材4で隠蔽することができるため、プランターPの外観が良好となる。また作業者や歩行者が外壁部1に向けて転倒した場合でも、外壁部1の上側に笠木部材4が存在することでクリップ部材12・12に直接触れて怪我をする心配がないため、安全性も良好となる。
【0020】
[2]外壁部について
[2-1]外壁形状
次に上記プランターPの各構成要素について説明する。まず上記外壁部1に関しては、本実施形態では、
図6に示す壁材11を4つ使用してこれらを
図3に示すように正方形の環状に連結して外壁部1を形成しているが、外壁部1の平面視における形状は多角形の環状であればよい。例えば、壁材11のサイズを変えて長方形の環状とすることもでき、また壁材11の接続角度を変えてひし型の環状とすることもでき、また壁材11の数を増減して三角形や五角形等の環状とすることもできる。また本実施形態では、外壁部1を全て壁材11から構成しているが、一部に既設の壁面(例えば、構造物のコンクリート壁面等)を利用して外壁部1を形成することもできる。
【0021】
[2-2]壁材の材質・構造
上記壁材11に関しては、本実施形態では
図6及び
図7(a)に示すように中空形状のプラスチック板材を横材11aに使用すると共に、複数の横材11a・11a…を鉛直方向に並べ、その内側に配置した縦材13により複数の横材11a・11a…を連結して構成している。なお壁材11に使用するプラスチック材料に関しては、本実施形態では木粉を混ぜたABS樹脂を使用しているが、ポリ塩化ビニルやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PET樹脂、ASA樹脂などを単体または組み合わせて使用することができる。また壁材11の材料には、プラスチック材料以外の木材や木質材料(ハードボード等)、金属材料、無機材料(コンクリート等)などを単体または組み合わて使用することもできる。壁材11の長さや幅、厚み等の寸法や形状も特に限定されない。
【0022】
上記壁材11の構造に関しては、本実施形態では複数の横材11・11…を並べて構成しているが一枚の平板から構成することもでき、また複数の立て板を水平方向に並べて構成することもできる。上記横材11aの形状に関しても、本実施形態では断面形状を長方形型としているがその他の多角形状や楕円形状などを採用することもできる。また本実施形態では、同形状の横材11aを並べて構成しているが、形状の異なる横材11aを組み合わせて使用することもできる。また横材11aの材料や寸法に応じて中空形状を中実形状に変更することもできる。
【0023】
[2-3]クリップ部材の取着構造
上記壁材11に対するクリップ部材12の取着構造としては、本実施形態では
図6及び
図7(a)に示すように壁材11の内側に取り付けた縦材13の上端部にクリップ部材12を取着している。これによりクリップ部材12に袋体2及び棒体3を装着した後、クリップ部材12に下方向の荷重がかかった場合でも縦材13と壁材11の固定部分で負荷を分散して吸収できるため、クリップ部材12の破損が生じ難い。
【0024】
また本実施形態では、上記クリップ部材12と縦材13を別部材で構成し(各部材については後述する)、クリップ部材12を縦材13の上端部にボルト留めしているが、クリップ部材12と縦材13を一体化する方法に関しては、ボルト留め以外の溶接や接着、嵌合、螺着等の方法を採用することもできる。また縦材13とクリップ部材12を一体に成形して一部材とすることもできる。
【0025】
[2-4]縦材
上記縦材13に関しては、本実施形態では金属(アルミ)製のフレーム材を使用しているが、材質は剛性に優れた材料であれば、プラスチックやFRP、その他の無機材料、またはこれらの複合材料を使用することもできる。また本実施形態では、
図6及び
図7(a)に示すように縦材13を鉛直方向に並べた横材11a・11a…にそれぞれボルトBで連結することによって縦材13を壁材11に取り付けているが、縦材13の取り付け方法としては、ボルト留め以外の溶接や接着、一体成形、リベット留め、紐留め等の方法を採用することもできる。
【0026】
また本実施形態では、
図6に示すように壁材11の左右中央に取着する縦材13に後側が開口したチャンネル材を使用する一方、壁材11の左右両側に取着する縦材13に、アングル材と横側が開口したチャンネル材を使用して、
図7(b)に示すようにこれらを壁材11・11同士を接続するための一対の接続金具13a・13aとして利用している。具体的には、一方の壁材11のアングル材の起立部分に、他方の壁材11のチャンネル材の背面部分を当接させてボルト留めすることにより両者を連結している。なお壁材11・11同士の連結手段としては、縦材13とは別個の接続部材を使用することもできる。
【0027】
更に本実施形態では、
図7(a)に示すように縦材13の下端側に脚部13bを設けており、この脚部13bを下地に接地してアンカーで固定することにより壁部11を下地に安定して設置することができる。なお脚部13bの形状は、アンカー止めできる孔付きの形状や杭形状である必要はなく接地面の大きい部位を備えた形状であればよい。これによりクリップ部材12に下方向の荷重がかかった場合に、縦材13と壁材11の固定部分だけでなく接地部分でも負荷を分散して吸収することができる。
【0028】
上記縦材13の機能に関しては、本実施形態では壁材11を構成する横材11a・11a…を連結するための連結材としての機能、および壁材11を下地に固定するための支柱としての機能、壁材11の剛性を高める補強材としての機能を備えているが、これらの機能は必須ではなく、壁材11の内側面に対して鉛直方向に棒材または板材が取り付けられていればよい。また壁材11を一枚の面材で構成する場合には、縦材13に面材の変形を抑えるリブとしての機能を持たせることもできる。
【0029】
上記縦材13の間隔や本数に関しては、壁材11の横幅等を考慮して適宜変更することができ、横幅を大きくする場合には中央の縦材13の本数を増やして対応できる。上記縦材13の長さに関しては、特に限定されないが壁材11の高さの半分以上の長さを有するものを使用するのが好ましい。また本実施形態のように壁材11の左右両側の縦材13・13を接続金具13a・13aとして利用する場合には、一方の縦材13(接続金具13a)のみにクリップ部材12を取着すればよい。
【0030】
[2-5]笠木受け部
一方、本実施形態では、
図6及び
図7(c)に示すように、上記壁材11の上端から一段下がった位置に先端が上側に屈曲したフック状の金具を笠木受け部14として付設し、この笠木受け部14に笠木部材4の張り出し部分(外壁部1の内側に突出した部分)を載置して固定できるようにしている。なおこの笠木受け部14に関しては、笠木部材4の張り出し部分を支持して笠木部材4を壁材11上に安定して載置できるブラケット型の形状であればよく、本実施形態の形状に限定されない。
【0031】
[2-6]クリップ部材
上記クリップ部材12に関しては、
図8(a)に示すように、本実施形態ではクリップ部材12を一対の挟持部12a・12aを有するステンレス製の板バネから構成すると共に、これらの挟持部12a・12aの先端側に外側に向けて屈曲した開き部12b・12bを設けている。これによりクリップ部材12に棒体3を挿入する際、棒体3を開き部12b・12bに当接させた状態で押し込むことで挟持部12a・12aを外側に押し広げて挿入することができる。なおクリップ部材12の材料は、板バネとして使用されるその他の金属材料やプラスチック材料を選択することもできる。
【0032】
上記クリップ部材12の開き部12bの開き角度θ(クリップ部材12の一番狭くなった開口部を基準面とする開き部12bの屈曲角度)に関しては、
図8(b)に示すように、本実施形態では開き角度θを130°として、棒体3が開き部12b・12bの内側に当接し易く、かつ、棒体3を押し込んだ際に挟持部12a・12aに働く垂直方向の力(外側に押し広げる力)が大きくなるようにしている。同様の理由で開き部12bの開き角度θの範囲は、95°~150°(より好ましくは110°~140°)の範囲とすることが好ましい。
【0033】
上記クリップ部材12の向きに関しては、本実施形態では開口部が上向きとなるように壁材11に取着して上側から棒体3を挿入できるように構成しているが、開口部が斜め上向き、または横向きとなるように壁材11に取着することもできる。なおクリップ部材12の配置に関しては、棒体3からクリップ部材12に下方向の負荷が加わった際、その負荷が縦材13の上端部に直接伝わるようにしてクリップ部材12自体が変形しないように設けるのが好ましい。また本実施形態では、クリップ部材12の挟持部11a・11aの基部側にL型の固定金具12cを設けてこれを縦材13の上端に取着している。
【0034】
[2-7]クリップ部材の形状の変更例
上記クリップ部材12の形状に関しては、本実施形態では
図8(b)に示すように挟持部12a・12aの上側のみに丸棒状の棒体3の周面に沿う湾曲部を形成しているが、
図9(a)に示すように挟持部12a・12aの下側も棒体3の周面に沿う形状とすることができる。またクリップ部材12の形状は棒体3の断面形状に応じて適宜変更でき、例えば、
図9(b)に示す断面四角形の棒体3に沿う形状、
図9(c)(d)に示す断面五角形の棒体3に沿う形状、
図9(e)(f)に示す断面六角形の棒体3に沿う形状を採用できる。このように挟持部12a・12aを棒体3の周面に沿う形状とすることで、クリップ部材12に装着した棒体3のガタツキや抜けを抑制することができる。また上記開き部12bに関しては、本実施形態では両方の挟持部12a・12aの先端に形成しているが、
図9(g)~(p)に示すように一方の挟持部12aの先端のみに形成することもできる。
【0035】
[3]袋体について
[3-1]袋体の材質・形状
上記袋体2に関しては、
図4に示すように本実施形態では拡開した開口縁部が正方形となるように形成しているが、外壁部1の形状に合わせて長方形やひし型、三角形、五角形となるように形成することもできる。なお袋体2の開口縁部の形状は、棒体3を挿入した状態で外壁部1に装着できる形状であればよく、外壁部1の形状と完全に一致させる必要はない。また袋体2の材質に関しては、本実施形態では適度に水が抜けるようにポリエステル製の織物を使用しているが、透水シートとしては編物や不織布、樹脂シート等を採用することもできる。また袋体2に土Sではなく水を入れて使用する場合には水が漏れ出ない防水シートを好適に使用できる。
【0036】
[3-2]挿通部の形状
上記袋体2の各辺の開口縁部に形成する挿通部21に関しては、本実施形態では片側のみに開口部を有する筒状に形成して、
図4に示す棒体3の差し込み時に反対側から棒体3が抜け出ないようにしている。また挿通部21の形状に関しては、各辺の開口縁部に沿って棒体3を装着できる形状であればよく、例えば、各辺の開口縁部に所定間隔でリング状の挿通部21を形成することもできる。また挿通部21の中空形状については、棒体3が挿入できればよく特に限定されない。
【0037】
[4]棒体について
[4-1]棒体の材質・形状
上記棒体3の材料に関しては、本実施形態ではアルミパイプを使用しているが、紐等に含まれない比較的硬質で剛性の高い材料であれば、アルミ以外の金属材料、プラスチック材料、FRP、ゴム材料または木材などを使用できる。また棒体3の形状に関しては、直線状の形状であれば断面形状は特に限定されず、本実施形態のような断面円形の丸棒以外の形状、例えば、断面形状が四角形、五角形または六角形等の角棒を使用することもできる。また棒体3は、パイプ状である必要はなく中実形状を採用することもできる。なお上記棒体3の主な役割は、袋体2の挿通部21に差し込んで外壁部1のクリップ部材12に装着することであるが、袋体2の開口縁部の形状を確定させる役割もある。
【0038】
[5]笠木部材について
[5-1]笠木部材の構成
上記笠木部材4に関しては、
図5(a)(b)及び
図10(a)に示すように、本実施形態では木粉を混ぜたABS樹脂から形成された板状の本体部41と、その下面側に長さ方向に沿って取着された金属(アルミ)製のフレーム材42とから構成している。また上記フレーム材42については、笠木部材4の張り出し部分に沿って取着し、笠木部材4を外壁部1に載せて装着する際、
図7(c)に示すようにフレーム材42が壁材11の笠木受け部14に載置されるように配置している。
【0039】
[5-2]笠木部材の材質・形状
上記笠木部材4の本体部41の材質に関しては、上記壁材11と同様、ABS樹脂以外のポリ塩化ビニルやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PET樹脂、ASA樹脂などのプラスチック材料を単体または組み合わせて使用することもでき、またプラスチック材料以外の木材や木質材料、金属材料、無機材料(コンクリート等)などを単体または組み合わて使用することもできる。また上記本体部41とフレーム材42を別部材とせず一体成形して形成することもできる。上記笠木部材4の形状に関しては、外壁部1の内側に張り出した部分を有する形状であれば、断面形状は特に限定されない。
【0040】
[5-3]笠木部材の連結構造
上記笠木部材4・4同士の連結構造に関しては、
図10(b)に示すように、本実施形態では笠木部材4・4のフレーム材42・42を利用しており、直角に突き合わせた笠木部材4・4のフレーム材42・42の内側にL型金具Aをそれぞれボルト留めして両者を連結している。なお本実施形態では、
図5(a)に示すように全ての笠木部材4・4…を環状に連結して外壁部1に装着しているが、笠木部材4を連結せずに単体で各壁材11・11…に装着することもできる。
【0041】
[5-4]クリップ部材
また本実施形態では、
図5(b)に示すように、上記笠木部材4の下面側に取り付けたフレーム材42にクリップ部材43を開口部が下向きとなるように取り付けている。これにより
図11(a)(b)に示すように、外壁部1のクリップ部材12に装着された棒体3に対し、笠木部材4のクリップ部材43を上側から装着することができるため、外壁部1のクリップ部材12に装着した棒体3が上側に抜ける問題を防止でき、また棒体3のガタツキや変形も抑えられる。
【0042】
上記笠木部材4のクリップ部材43に関しては、
図5(b)に示すようにステンレス製の板バネから成る一対の挟持部43a・43aと、これらの挟持部43a・43aの先端側に外側に向けて屈曲した形状の開き部43b・43bと、フレーム材42に取着するためのL型の固定金具43cとから構成している。このクリップ部材43の材質や形状に関しては、上記外壁部1のクリップ部材12と同様、棒体3の断面形状に応じて適宜変更することができる。
【0043】
上記笠木部材4のクリップ部材43の配置に関しては、
図11(a)に示すように装着時において外壁部1のクリップ部材12・12と被らない位置に配置すればよい。なお本実施形態では、外壁部1のクリップ部材12を壁材11の左側と中央にしか配置していないことから、壁材11の右側に笠木部材4のクリップ部材43を配置して棒体3がしっかりと固定されるようにしている。上記棒体3の固定や変形抑制を目的として笠木部材4のクリップ部材43の数を適宜増やすこともできる。
【0044】
「プランターの組み立て方法」
次に上記プランターPの組み立て方法について簡単に説明する。まずプランターPの施工現場において複数の壁材11・11…を連結して環状の外壁部1を構築する(
図3参照)。この際、既設の壁面を利用する場合には、既設の壁面に対して壁材11の連結を行う。またプランターPを下地に固定する場合には縦材13の脚部13bをアンカーで固定する。次に袋体2を拡げ、各辺の開口縁部の挿通部21・21…に棒体3・3…を挿入する(
図4参照)。そして、この袋体3を外壁部1の内側に入れ、棒体3が差し込まれた挿通部21を外壁部1のクリップ部材12に装着する(
図7(c)参照)。次に笠木部材4・4…を
図5に示すように環状に連結し、これらの笠木部材4・4…を外壁部1の上側に載せて装着する(
図1、
図2参照)。この際、笠木部材4のクリップ部材43を、外壁部1のクリップ部材12に装着された棒体3(棒体3が差し込まれた袋体2の挿通部21)に装着する(
図11(b)参照)。これによりプランターPを簡単かつ迅速に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 外壁部
11 壁材
11a 横材
12 クリップ部材
12a 挟持部
12b 開き部
12c 固定金具
13 縦材
13a 接続金具
13b 脚部
14 笠木受け部
2 袋体
21 挿通部
3 棒体
4 笠木部材
41 本体部
42 フレーム材
43 クリップ部材
43a 挟持部
43b 開き部
43c 固定金具
P プランター
S 土
B ボルト
A L型金具