(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】カニューレを体組織に経皮的に挿入するための医療装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61M5/145
(21)【出願番号】P 2021500286
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2019067515
(87)【国際公開番号】W WO2020011572
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-30
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】イエーガー,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】エクスナー,ナディン
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503691(JP,A)
【文献】特開2002-136604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレ(145)を体組織に経皮的に挿入するための医療装置(116)であって、
少なくとも1つのカニューレ(145)であって、前記カニューレ(145)の壁(211)によって完全にまたは部分的に囲まれている管腔を備えるカニューレ(145)と、
ユーザの皮膚に取り付けられるように構成された少なくとも1つのパッチ(138)であって、前記パッチ(138)が少なくとも1つのパッチベース(140)を備え、前記パッチ(138)が、さらに、前記カニューレ(145)を前記パッチ(138)内の貯蔵位置(204)から体組織内の挿入位置(218)へと駆動するための少なくとも1つの統合された挿入機構(144)を備える、パッチ(138)と、を備え、
前記パッチ(138)が、さらに、少なくとも1つの治療用医療流体を貯蔵するように構成された少なくとも1つのリザーバ(146)を備え、前記統合された挿入機構(144)が、ばね駆動挿入機構(148)で
あり、
前記統合された挿入機構(144)が、前記カニューレ(145)を挿入方向に付勢するように構成された少なくとも1つの駆動ユニット(166)を備え、
前記統合された挿入機構(144)が、さらに、前記少なくとも1つの駆動ユニット(166)を固定位置に固定するように構成された少なくとも1つのインターロック要素(192)を備え、前記少なくとも1つのインターロック要素(192)が、前記少なくとも1つの駆動ユニット(166)に固定的に接続され、
前記医療装置(116)が、さらに、少なくとも1つの突起(180)を有する少なくとも1つの細長要素(172)を備え、前記カニューレ(145)が、前記少なくとも1つの突起(180)のレセプタクル内に固定的に受け入れられ、前記少なくとも1つのインターロック要素(192)が、前記少なくとも1つの細長要素(172)を囲むように構成され、
前記少なくとも1つのリザーバ(146)には、流路(182)が連通され、
前記流路(182)の前記少なくとも1つのリザーバ(146)に連通する側とは反対側の端部(200)は、前記少なくとも1つの突起(180)に受け入れられ、
前記カニューレ(145)の前記体組織に挿入されない側の端部(202)は、前記少なくとも1つの突起(180)に受け入れられ、
これにより、前記少なくとも1つの突起(180)は、前記流路(182)と前記カニューレ(145)との流体接続を確立するように構成される、医療装置(116)。
【請求項2】
前記カニューレ(145)が、点滴カニューレを体組織に挿入するための挿入カニューレ、および、点滴カニューレ(212)からなる群から選択される、請求項1に記載の医療装置(116)。
【請求項3】
前記統合された挿入機構(144)がスライド機構である、請求項1または2に記載の医療装置(116)。
【請求項4】
前記医療装置(116)が、少なくとも1つの外部要素(191)に接続可能であり、前記統合された挿入機構(144)が、前記外部要素(191)を前記医療装置(116)に接続するときに確立される力によって駆動されるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療装置(116)。
【請求項5】
前記統合された挿入機構(144)が、さらに、少なくとも1つのばね要素(168)を備え、前記ばね要素(168)が、挿入方向に平行に引張可能であり、前記駆動ユニット(166)が、前記ばね要素(168)を圧縮するように構成されている、請求項1に記載の医療装置(116)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのインターロック要素(192)が、少なくとも1つの第1のインターロック要素構成要素(194)および少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素(196)を備え、前記少なくとも1つの第1のインターロック要素構成要素(194)および前記少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素(196)が、少なくとも部分的に弾性材料から作製され、前記少なくとも1つの第1のインターロック要素構成要素(194)および前記少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素(196)が、機械的接続(216)を形成するように構成されている、請求項1に記載の医療装置(116)。
【請求項7】
前記統合された挿入機構(144)が、さらに、少なくとも1つの解放ボタン(184)を備え、前記少なくとも1つの解放ボタン(184)が、前記細長要素(172)を所定の位置に保持し、続いて前記細長要素(172)を解放するように構成されている、請求項1に記載の医療装置(116)。
【請求項8】
前記パッチベース(140)が、少なくとも1つのスライドガイドレセプタクル(176)を備え、前記少なくとも1つのスライドガイドレセプタクル(176)が、少なくとも部分的に前記突起(180)を受け入れるように構成され、前記突起(180)が、前記少なくとも1つのスライドガイドレセプタクル(176)内でスライドするように構成されている、請求項1または7に記載の医療装置(116)。
【請求項9】
少なくとも1つの治療用医療流体をユーザに送達するための薬剤装置(110)であって、
少なくとも1つの第1の部分(112)であって、医療装置(116)に言及する請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの医療装置(116)を備える、第1の部分(112)と、
少なくとも1つの第2の部分(114)であって、前記第2の部分(114)が、前記カニューレ(145)に流体的に接続可能な少なくとも1つの薬剤ポンプ(118)を備え、前記第2の部分(114)が、さらに、少なくとも1つの電子装置ユニット(120)を備える、第2の部分(114)と、を備える、薬剤装置(110)。
【請求項10】
前記第1の部分(112)が、使い捨て構成要素であり、前記第2の部分(114)が、再利用可能な構成要素である、請求項9に記載の薬剤装置(110)。
【請求項11】
前記第1の部分(112)および前記第2の部分(114)が、形状嵌合接続、および、圧入接続からなる群から選択される少なくとも1つの接続を確立するように構成されている、請求項9または10に記載の薬剤装置(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレを体組織に経皮的に挿入するための医療装置、少なくとも1つの薬剤をユーザに送達するための薬剤装置、およびカニューレを体組織に経皮的に挿入するための方法に関する。本発明にかかる方法および装置は、主に、インスリンをユーザに送達するために使用されることができる。本発明は、在宅ケアの分野だけでなく、病院などの専門的ケアの分野にも適用されることができる。他の用途も一般に可能である。
【背景技術】
【0002】
ユーザへの薬剤の送達、特にインスリンの送達は、病気の予防と治療、特に真性糖尿病の治療において重要な役割を果たす。注射ペンまたは注射器を使用することに加えて、インスリン送達は、特にインスリンポンプを使用することによって実行されることができる。
【0003】
特に、ユーザは、一般に、インスリンポンプを常に自分の体に装着する必要があり、したがって、インスリンポンプおよびその構成要素の好ましくは小型でコンパクトな構造につながる。例えばインスリンなどの薬剤を送達するための一般的なポンプは、複数の薬剤リザーバを備える。一例として、流体送達装置は、国際公開第2011/046950号(特許文献1)に開示されている。流体送達装置は、流体リザーバを有するハウジングを備える。針は、係合位置にある流体リザーバと流体連通しており、供給および貯蔵位置にある流体リザーバと流体連通していない。付勢部材の近位端は、ハウジングに結合され、付勢部材の遠位端は、流体リザーバに力を送達するように構成される。ピストン部材は、付勢部材を通って延在し、付勢部材の遠位端に結合されている。ピストン部材は、付勢部材が流体リザーバに力を送達しないようにロック位置でハウジングに対して固定され、ピストン部材は、付勢部材が流体リザーバに力を送達するように解放位置でハウジングに対して移動可能である。針を貯蔵位置から供給位置に移行すると、ピストンがロック位置から解放位置に移行する。
【0004】
国際公開第2005/002649号(特許文献2)は、ユーザの皮膚表面への適用に適合され、無菌状態で供給される経皮装置を備える医療装置を記載している。したがって、対象の皮膚に適用するように適合された取り付け面と、対象の皮膚を貫通するように適合された第1の端部を有する第1の部分と、第1の部分と流体連通し且つ第2の端部を有する第2の部分とを備える医療装置が提供される。装置は、さらに、第1および第2の部分を初期無菌状態でカプセル化する初期構成から、第1および第2の部分の端部がエンクロージャ手段を介して外部と連通することを可能にする第2の構成に変換可能なエンクロージャ手段を備え、エンクロージャ手段は、取り付け面を囲んでいない。
【0005】
国際公開第2017/220681号(特許文献3)には、挿入可能な要素を体組織に経皮的に挿入するための医療装置が開示されている。医療装置は、少なくとも1つの挿入可能要素であって、皮下挿入のための少なくとも1つの体内遠位端および少なくとも1つの体外近位端を備える挿入可能要素と、挿入可能要素を皮下挿入するための少なくとも1つの挿入カニューレであって、挿入カニューレの壁によって完全にまたは部分的に囲まれる管腔を有する挿入カニューレと、を備え、挿入可能要素は、管腔内に受け入れられ、挿入カニューレは、予め曲げられた挿入カニューレである。医療装置は、さらに、ユーザの皮膚に取り付けられるように構成された少なくとも1つのパッチを備える。パッチは、パッチベースを備える。パッチは、挿入カニューレをパッチ内の貯蔵位置から湾曲した挿入経路上の体組織内の挿入位置に駆動するための統合された挿入機構を備える。
【0006】
インスリンを送達するための最先端のポンプの利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。一般に、カニューレは、別個の挿入ユニットを介して、またはパッチ内に配置された電気機械を介して挿入される。しかしながら、外部挿入ユニットに起因して、外部インターフェースがあり、追加の処理手順が必要である。電気機械が適用される場合、製造労力が増加し、コストの増加につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2011/046950号
【文献】国際公開第2005/002649号
【文献】国際公開第2017/220681号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、この種の公知の装置および方法の欠点を少なくとも部分的に回避し、少なくとも部分的に上記の課題に対処する、カニューレを体組織に経皮的に挿入するための医療装置、少なくとも1つの薬剤をユーザに送達するための薬剤装置、およびカニューレを体組織に経皮的に挿入するための方法を提供することである。具体的には、ユーザによる容易な製造および単純な取り扱いプロセスを可能にする装置および方法が開示されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項の特徴を備えた、カニューレを体組織に経皮的に挿入するための医療装置、少なくとも1つの薬剤をユーザに送達するための薬剤装置、およびカニューレを体組織に経皮的に挿入するための方法によって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現されることができる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
以下において使用されるように、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0011】
さらに、特徴または要素が1回以上存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または2回以上存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0012】
さらに、以下において使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、決して特許請求の範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されることができる。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限もない、本発明の範囲に関するいかなる制限もない、およびそのような方法で導入された特徴を本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もない任意の特徴であることを意図している。
【0013】
本明細書で使用される「患者」および「ユーザ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、人間または動物がそれぞれ健康な状態にある可能性があるか、または1つ以上の疾患に罹患している可能性があるという事実とは無関係に、人間または動物を指すことができる。一例として、患者またはユーザは、糖尿病を患っている人間または動物とすることができる。しかしながら、追加的にまたは代替的に、本発明は、他のタイプのユーザまたは患者または疾患に適用されることができる。
【0014】
本明細書で使用される「体組織」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、細胞と完全な起源との間の中間の細胞組織レベルを指すことができる。体組織は、具体的には、特定の機能を一体に実行する同じ起源からの類似の細胞の集合とすることができる。それにより、器官は、次に複数の組織の一体の機能的なグループ化によって形成されることができる。体組織の例として、間質組織、すなわち、構造の場合は細胞要素間の結合組織を挙げることができる。
【0015】
本発明の第1の態様では、カニューレを体組織に経皮的に挿入するための医療装置が開示されている。医療装置は、少なくとも1つのカニューレを備える。カニューレは、カニューレの壁によって完全にまたは部分的に囲まれている管腔を備える。さらに、医療装置は、ユーザの皮膚に取り付けられるように構成された少なくとも1つのパッチを備える。パッチは、少なくとも1つのパッチベースを備える。パッチは、さらに、カニューレをパッチ内の貯蔵位置から体組織内の挿入位置に駆動するための少なくとも1つの統合された挿入機構を備える。パッチは、さらに、少なくとも1つの治療用医療流体を貯蔵するように構成された少なくとも1つのリザーバを備える。さらに、統合された挿入機構は、ばね駆動の挿入機構である。
【0016】
本明細書で使用される「医療装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つの医療処置を実施するように構成された任意の装置を指すことができる。したがって、医療装置は、一般に、少なくとも1つの治療目的を実行するように構成された任意の装置とすることができる。医療装置は、具体的には、医療処置を実行するためなど、1つ以上の治療目的を実行するためなど、互いに相互作用することができる1つの構成要素または2つ以上の構成要素のアセンブリを備えることができる。医療装置はまた、一般に、医療システムまたは医療キットのうちの少なくとも1つとすることができるか、またはそれらを備えることができる。医療装置は、一般に、薬剤および/または治療薬などの少なくとも1つの薬剤をユーザに送達するために使用されることができる。したがって、医療装置は、1つ以上の医療処置の一部として使用されることができる。
【0017】
医療装置は、具体的には、使い捨て医療装置とすることができる。本明細書で使用される「使い捨て」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、使用後に廃棄される構成要素または要素の特性を指すことができる。したがって、使い捨て要素または構成要素は、使い捨て要素の構成要素の機械的変形または不可逆的分離などによって、使用中に不可逆的に変更されるか、または破壊さえされるように設計されることができる。したがって、使い捨て要素は、使用後に廃棄されるように構成されることができる。したがって、この構成要素は、特別に低価格および/または容易にリサイクル可能とすることができる少なくとも1つの材料から作製されることができる。さらに、他の実施形態が可能である。
【0018】
医療装置は、使用前に無菌パッケージで提供されることができる。「パッケージング」という用語は、少なくとも1つの他の構成要素を完全にまたは部分的に封入または包むように構成された任意の対象を指すことができ、少なくとも1つの他の構成要素は、一例として、機械的保護および/または湿気および/または微生物汚染に対する保護などの保護を必要とする構成要素とすることができる。「無菌」という用語は、一般に、あらゆる形態の生命体および/またはプリオン、ウイルス、真菌、細菌または胞子形態などの他の生物学的因子を少なくとも大部分含まない任意の対象の特性を指すことができる。したがって、無菌対象は、生命体および/または他の生物剤の形態の減少、排除、または不活性化のうちの1つ以上を行う少なくとも1つの無菌プロセスによって処理されることができる。
【0019】
本明細書で使用される「経皮的」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、患者またはユーザの体組織を通して完全にまたは少なくとも部分的に配置されるように適合された任意の要素の特性を指すことができる。この目的のために、要素は、挿入可能部分を備えることができる。要素を経皮的要素としてさらに使用可能にするために、要素は、生体適合性表面、すなわち、少なくとも使用期間中、ユーザ、患者または体組織に有害な影響を及ぼさない表面を完全にまたは部分的に提供することができる。さらに、経皮的要素は、一般に、5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下の挿入方向に垂直な方向の幅を提供することなどによって、体組織への要素の経皮的挿入が実行可能であるように寸法決めされることができる。したがって、「皮下」という用語は、一般に、皮膚の下およびユーザまたは患者の体組織内に位置するかまたは横たわる任意の要素の特性を指すことができる。具体的には、対象は、例えば注射として、皮膚の下に導入されるように構成されることができる。
【0020】
本明細書で使用される「カニューレ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、特にさらなる要素を送達または移送するために、任意の体組織に少なくとも部分的に挿入可能とすることができる任意の要素を指すことができる。したがって、カニューレは、具体的には、中空管または中空針とすることができるか、またはそれらを備えることができる。
【0021】
上述したように、カニューレは、カニューレの壁によって完全にまたは部分的に囲まれている管腔を有する。本明細書で使用される「管腔」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、任意の要素の内部容積を指すことができる。内部容積は、具体的には、開放内部容積とすることができる。したがって、内部容積は、要素の壁によって完全に取り囲まれていないか、または囲まれていなくすることができる。代わりに、流体媒体の流れ、または管腔を介した要素の一端から別の端部への別の対象の挿入が可能とすることができる。
【0022】
本明細書で使用される「壁」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、任意の構造、具体的には、別の対象または容積を少なくとも部分的に囲み、それによって対象の物理的限界を画定するように構成される構造材料を指すことができる。さらに、壁は、壁によって少なくとも部分的に囲まれた容積または他の対象を保護するように構成されることができる。
【0023】
具体的には、カニューレは、以下からなる群から選択されることができる:壁が管腔を円周方向に囲む閉鎖カニューレ。「円周方向に囲む」という用語は、一般に、任意の対象の特性、または少なくとも2次元で別の対象によって完全に囲まれる容積を指すことができる。具体的には、カニューレの管腔は、カニューレの伸長方向に垂直な方向にカニューレによって完全に囲まれることができる。
【0024】
カニューレは、以下からなる群から選択されることができる:点滴カニューレを挿入するための挿入カニューレ;点滴カニューレ。本明細書で使用される「点滴カニューレ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、点滴、すなわち、液体物質、具体的には、薬剤を含む液体物質を、体組織に、典型的には患者の静脈に直接導入するように構成された任意のカニューレを指すことができる。したがって、点滴カニューレは、特に点滴カニューレの体外近位端を介して、液体物質を含むリザーバに取り付けられることができる。点滴カニューレは、点滴キットの一部とすることができる。「点滴キット」という用語は、任意の点滴の実施に必要な構成要素のアセンブリを指すことができる。したがって、点滴カニューレに加えて、点滴キットは、さらに、点滴キットを少なくとも1つの薬剤装置、好ましくは少なくとも1つの薬剤ポンプに結合するための少なくとも1つの流体カップリングを備えることができる。
【0025】
あるいは、カニューレは、点滴カニューレを挿入するための挿入カニューレとすることができる。挿入カニューレは、具体的には注射針とすることができる。注射針は、ソフトカニューレの管腔内に配置されることができ、注射針は、ソフトカニューレの挿入後に取り外されることができ、例えば、ソフトカニューレは、少なくとも部分的に体組織内に留まり、医療装置の有効寿命の間、体組織内に留まるように構成されている。「ソフトカニューレ」という用語は、例えば弾性材料などの少なくとも1つの軟性材料から少なくとも部分的に作製された任意のカニューレを指すことができる。弾性材料は、具体的には、少なくとも1つの弾性材料を備えることができる。したがって、ソフトカニューレは、可撓性管することができるか、またはそれを備えることができる。その間、注射針は、体組織の外側に留まることができるが、医療装置内に組み込まれることができる。具体的には、注射針は、注射針がユーザまたは患者へのリスクの原因とならないように、医療装置によって保護的に囲まれることができる。したがって、ユーザまたは患者は、医療装置を介して体組織に取り付けられ、医療装置によって、具体的には医療装置のハウジングによって保護的に囲まれた注射針を有することができる。したがって、注射針およびソフトカニューレは、医療装置の有効な有効期限が切れた後、同時に患者の体から取り外されるように構成されることができる。
【0026】
カニューレは、少なくとも部分的に、少なくとも1つの生体適合性材料、すなわち、少なくとも使用期間中、ユーザ、患者、または体組織に有害な影響を及ぼさない表面から作製されることができる。カニューレ、特に点滴カニューレは、少なくとも部分的に鋼、具体的にはステンレス鋼から作製されることができる。鋼、特にステンレス鋼は、生体適合性とすることができる。さらに、鋼、特にステンレス鋼を適用することにより、剛性の点滴カニューレを提供することができる。しかしながら、プラスチック材料など、他の材料も可能とすることができる。
【0027】
カニューレは、予め曲げられたカニューレとすることができる。本明細書で使用される「予め曲げられた」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも外力がない場合に、少なくとも部分的に非直線形状である要素の幾何学的特性を指すことができる。したがって、挿入カニューレは、少なくとも外力がない場合、少なくとも部分的に非直線とすることができる。したがって、カニューレは、具体的には、完全にまたは部分的に、非直線的な言い回しを有するものとして、具体的には、完全にまたは部分的に、湾曲した形状を有するものとして具体化されることができる。具体的には、カニューレは、完全にまたは部分的に、円のセグメントの形状を有するものとして具体化されることができる。したがって、具体的には、カニューレは、それが完全にまたは部分的に円のセグメントの形状を有するように予め曲げられることができる。より具体的には、一例として、予め曲げられたカニューレは、完全にまたは部分的に湾曲するように、具体的には円のセグメントの形状を有するように予め曲げられた鋼カニューレ、具体的にはステンレス鋼カニューレとすることができる。
【0028】
カニューレは、少なくとも1つの曲率を含むことができる。それにより、カニューレの一端などのカニューレの一部を、主軸に対してある角度で配置することができる。具体的には、カニューレは、主軸に対して30°から60°、好ましくは40°から45°、より好ましくは45°の角度を有することができる。具体的には、第2の形状構成は、カニューレのアーチ形状に対応することができる。アーチ形状は、具体的には、カニューレの状態を指すことができ、カニューレは、カニューレの一部、具体的にはカニューレの一端、より具体的には挿入可能要素の体内遠位端を含むカニューレの一端が主軸から突き出るように湾曲されることができる。それにより、曲率は、好ましくは、少なくとも大部分、曲がりがないものとすることができる。
【0029】
点滴カニューレは、医療装置の有効寿命の満了後に体組織から取り外されるように構成されることができる。「有効寿命」という用語は、任意の装置が意図された方法で適用されることができる期間を指すことができる。具体的には、医療装置は、患者またはユーザの皮膚に数日間、例えば2日から4日間取り付けられたままであるように構成されることができる。この期間中に、医療装置は、以下にさらに説明されるように、点滴を体組織に移すように構成されることができる。さらに、この期間中、カニューレは、体組織内に留まることができる。
【0030】
本明細書で使用される「パッチ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、ユーザまたは患者の皮膚または皮膚部位に取り付け可能な装置を指すことができる。したがって、パッチは、少なくとも1つの接着面および/または少なくとも1つの接着ストリップまたは絆創膏など、ボディマウントを皮膚に接続することができる少なくとも1つの取り付け構成要素を含むことができる。したがって、「取り付け」という用語は、具体的には、限定されるものではないが、要素を対象に固定または取り付ける任意のプロセスを指すことができる。アタッチメントは、永続的なアタッチメントとすることができ、例えば、要素および対象は、要素および対象のユニットが曲げられたとき、または機械的応力が要素および/または対象に加えられたときに切断されないことができる、互いに永続的な接続を有することができる。
【0031】
上記概説したように、パッチは、パッチベースを備える。本明細書でさらに使用される場合、「ベース」という用語は、対象のさらなる構成要素が置かれる対象の任意の支持部を指す。それにより、ベースは、さらなる構成要素のための支持面提供軸受領域を有することができる。具体的には、パッチベースは、平坦要素とすることができる。パッチベースは、ユーザまたは患者の体組織に面する底面を含むことができる。底面は、上述したように接着面とすることができる。さらに、パッチベースは、上面を含むことができる。上面は、軸受面として構成されることができ、医療装置のさらなる構成要素のホストとして機能するように構成されることができる。したがって、パッチは、ボディマウントと呼ばれることもある。パッチベースは、少なくとも1つの通路開口を含むことができる。カニューレは、パッチから通路開口を通って体組織に移動可能とすることができる。通路開口の形状は、カニューレの形状に対応することができる。
【0032】
本明細書で使用される「リザーバ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、薬剤および/または治療薬などの流体によって完全にまたは部分的に満たすことができる中空要素または容器を指すことができる。具体的には、リザーバは、インスリンによって満たすことができる。リザーバは、医療装置内で取り外し可能に配置可能とすることができる。具体的には、挿入カニューレは、上述したように点滴カニューレとすることができ、リザーバは、カニューレを介して治療用医療流体を放出するように構成されることができる。リザーバは、少なくとも1つのカートリッジまたはバイアルを備えることができる。バイアルは、円筒形を有することができる。リザーバは、バイアル、具体的には剛性バイアルとすることができる。
【0033】
医療装置は、さらに、少なくとも1つのさらなる治療用医療流体を貯蔵および放出するように構成された少なくとも1つのさらなるリザーバを備えることができる。リザーバおよびさらなるリザーバは、互いに隣接して配置されることができる。したがって、リザーバおよびさらなるリザーバは、省スペースの方法で配置されることができる。医療装置は、さらに、少なくとも1つの混合装置を備えることができる。混合装置は、少なくとも1つの静的ミキサを備えることができる。混合装置は、混合物がカニューレを介してユーザに適用される前に混合物が形成されるように、リザーバの治療用医療流体と、さらなるリザーバのさらなる治療用医療流体とを混合するように構成されることができる。
【0034】
医療装置は、さらに、少なくとも1つのピストン、具体的には少なくとも1つのピストンロッドを備えることができる。ピストンは、リザーバの治療用医療流体を置換するように構成されることができる。本明細書で使用される「ピストン」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、シリンダに含まれ且つピストンリングによって少なくとも大部分が気密および/または水密にされる任意の可動構成要素を指すことができる。ポンプにおいて、ピストンは、シリンダ内の流体を圧縮または排出する目的で、クランクシャフトからシリンダに力を伝達するように構成されることができる。本明細書で使用される「置換」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、画定された内部空間の自由容積を減らすプロセスを指すことができる。したがって、自由容積を減少させることにより、画定された内部空間内で受け入れられる流体の一部は、内部空間を離れることができ、例えば、流体は、内部容積から放出されることができる。
【0035】
医療装置は、さらに、少なくとも1つの駆動スピンドルを備えることができる。駆動スピンドルは、少なくとも1つの薬剤ポンプに動作可能に接続可能とすることができる。本明細書で使用される「駆動スピンドル」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、好ましくは他の要素を押すか引くことによって、別の要素を所望の方向に付勢するように構成される任意の回転可能な軸を指すことができる。具体的には、駆動スピンドルは、他の要素を直線的に押すまたは引くように構成されることができる。上述したように、医療装置は、少なくとも1つのピストンを備えることができる。薬剤ポンプは、駆動スピンドルを介してピストンを動かすように構成されることができる。したがって、駆動スピンドルを回転させることにより、ピストンは、リザーバの治療用流体を置換することができる。
【0036】
「挿入機構」という用語は、一般に、要素を少なくとも部分的に別の対象に挿入する目的で互いに相互作用するように構成された構成要素のアセンブリを指すことができる。したがって、挿入機構は、挿入方向における要素の動き、すなわち、他の対象の表面に向かう要素の動きが導入されるように構成されることができる。挿入機構は、統合された挿入機構とすることができる。「統合された挿入機構」という用語は、要素を少なくとも部分的に別の対象に挿入する目的で互いに相互作用するように構成された構成要素のアセンブリを指すことができ、構成要素のアセンブリは、1つのユニットとして、全体および/または「オールインワン」システムとして提供される。したがって、ユーザは、医療装置に他の構成要素を追加する必要なしに、またはカニューレを体組織に挿入する目的で医療装置に加えてさらなる装置を適用する必要なしに、完全に組み立てられた挿入機構を備える医療装置を見つけることができる。さらに、必要に応じて、統合された挿入機構はまた、その後にカニューレを挿入位置から貯蔵位置に戻すように構成されることができる。しかしながら、医療装置はまた、以下にさらに詳細に説明されるように、カニューレが挿入位置にある間に医療装置を体組織から取り外すように構成されることができる。
【0037】
本明細書で使用される「貯蔵位置」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、カニューレが体組織内に突出しない、パッチ内のカニューレの位置を指すことができる。具体的には、カニューレは、パッチによって完全にまたは部分的に囲まれることができる。本明細書で使用される「挿入位置」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、体組織に完全にまたは部分的に突出することなどによって、カニューレがパッチから完全にまたは部分的に突出するカニューレの位置を指すことができ、これにより、好ましくは、カニューレの近位端は、パッチによって完全にまたは部分的に保持されるかまたはパッチに接続される。貯蔵位置および挿入位置では、カニューレは、同じ形状を有してもよくまたは異なる形状を有してもよい。例示的に、カニューレは、貯蔵位置において同じ曲げ半径または同じ形状を有することができる。
【0038】
統合された挿入機構は、湾曲経路上でユーザまたは患者の体組織にカニューレを駆動するように構成されることができる。本明細書で使用される「湾曲経路上」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、貯蔵位置から挿入位置への移動中に、カニューレの先端が少なくとも部分的に非直線である経路をたどるという事実を指すことができる。具体的には、経路は、少なくとも部分的に円のセグメントの形状を有することができる。
【0039】
本明細書で使用される「ばね駆動挿入機構」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、要素を別の対象に少なくとも部分的に挿入することを目的として構成要素のアセンブリの相互作用がばね要素によって駆動またはトリガーされる、任意の挿入機構を指すことができる。したがって、力は、ばねによって、特に、張力がかけられたばねが、張力位置から解放されたときに解放される力によって生成されることができる。結果として、ばねを張力位置から解放することによって、カニューレは、好ましくはカニューレを押すまたは引くことによって挿入方向に付勢されることができる。
【0040】
統合された挿入機構、特にばね駆動挿入機構は、手動挿入機構とすることができる。本明細書で使用される「手動挿入機構」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、機械的な力を加えるだけで挿入機構がトリガーまたは実行される任意の挿入機構を指すことができる。機械的な力、例えば上述したまたは以下にさらに詳細に説明されるようなばね要素の張力は、以下にさらに詳細に説明されるように、ユーザまたは患者の手動手順によって生成されることができる。したがって、統合された挿入機構は、電気エネルギ源を必要とせずにトリガー可能とすることができる。医療装置、特にパッチベースは、カニューレと相互作用する少なくとも1つの外部要素に接続可能とすることができる。統合された挿入機構は、外部要素を医療装置に接続するときに確立される力によって駆動されるように構成されることができる。
【0041】
統合された挿入機構は、好ましくはカニューレを押すことによって、挿入方向にカニューレを付勢するように構成された少なくとも1つの駆動ユニットを備えることができる。本明細書で使用される「駆動ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、別の要素の動き、具体的には所定の動きを導く力を生成するために互いに相互作用するように構成される要素または要素のアセンブリを指すことができる。具体的には、駆動ユニットは、好ましくはカニューレを押すかまたは引くことによって、カニューレを挿入方向に付勢するように構成されることができる。具体的には、駆動ユニットは、リザーバの伸長方向に移動するように構成されることができる。したがって、駆動ユニットは、少なくとも部分的にリザーバを取り囲むことができ、リザーバに沿って移動するように構成されることができる。
【0042】
統合された挿入機構は、スライド機構、好ましくは線形スライド機構とすることができる。本明細書で使用される「スライド機構」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、互いに対する2つ以上の構成要素の線形スライド運動に基づく任意の機構を指すことができる。それにより、「スライド運動」という用語は、別の要素、特に他の要素の表面、より具体的には滑らかな表面との連続的な接続に沿った動きを指すことができる。具体的には、線形スライド機構は、1つ以上のガイドレールなどの1つ以上の相互作用するスライド要素を備えることができる。さらに、「線形スライド運動」という用語は、一般に、例えば二次元内の直線に沿った動きを指すことができる。
【0043】
統合された挿入機構は、さらに、少なくとも1つのばね要素を備えることができる。本明細書で使用される「ばね要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、機械的エネルギを貯蔵するために使用される任意の弾性対象を指すことができる。対象がばね要素に結合されることができる場合、ばね要素は、対象が動かされたときに張力がかかるように構成されることができる。それにより、ばね要素は、ばね要素が弛緩したときに対象を元の位置に戻すように構成されることができる。具体的には、ばね要素は、カニューレを体組織に挿入する前に張力をかけるように構成されることができる。さらに、ばね要素は、カニューレの体組織への挿入を支持するように構成されることができる。ばね要素は、例示的に、螺旋ばね要素および/または圧縮ばね要素とすることができる。
【0044】
具体的には、ばね要素は、挿入方向に平行に引張可能とすることができる。駆動ユニットは、以下にさらに詳細に説明するように、ばね要素を圧縮するように構成されることができる。したがって、ばね要素は、挿入方向に弛緩し、それにより、カニューレを挿入方向に押すように構成されることができる。具体的には、リザーバは、ばね要素内に少なくとも部分的に受け入れられることができる。さらに、カニューレは、ばね要素内に少なくとも部分的に受け入れられることができる。したがって、医療装置の構成要素は、省スペースの方法で配置されることができ、医療装置の構造サイズを縮小することができる。ばね要素は、挿入後の体組織からのカニューレの引き抜きを少なくとも大部分防止するように構成されることができる。したがって、挿入位置では、カニューレは、少なくとも部分的に体組織に挿入されることができる。ばね要素は、弛緩状態で存在することができ、それにより、挿入方向にカニューレに、特にカニューレの体外端部に力を加える。
【0045】
さらに、医療装置は、カニューレの動きの分離を含むことができる。ばね要素は、挿入方向に平行に張力がかけられるように構成されることができる。したがって、カニューレは、挿入方向に可撓性を有することができる。
【0046】
統合された挿入機構は、さらに、駆動ユニットを固定位置に固定するように構成された少なくとも1つのインターロック要素を備えることができる。本明細書で使用される「インターロック要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、特に内向きの圧力を加えることによって、望ましくない動きまたは別の要素からの分離を防ぐために、特定の位置に対象を保持または固定することを指すことができる。インターロック要素は、駆動ユニットに固定的に接続されることができる。
【0047】
インターロック要素は、少なくとも1つの第1のインターロック要素構成要素および少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素を備えることができ、第1のインターロック要素構成要素および第2のインターロック要素構成要素は、少なくとも部分的に弾性材料から作製され、第1のインターロック要素構成要素および第2のインターロック要素構成要素は、機械的接続、具体的には形状嵌合接続を形成するように構成される。形状嵌合接続は、解放可能な形状嵌合接続とすることができる。インターロック要素は、スナップクロージャを有することができる。「スナップクロージャ」という用語は、スナップまたはクリップ機構を介して係合する任意のクロージャを指すことができる。クリック機構は、一方向クリップ機構とすることができる。
【0048】
医療装置は、さらに、少なくとも1つの細長要素を備えることができる。細長要素は、横方向、特にカニューレの伸長方向に垂直な方向に伸長することができる。カニューレ、特にカニューレの少なくとも一端は、細長要素のレセプタクル内に固定的に受け入れられることができる。パッチベースは、スライドガイドレセプタクル、好ましくは線形スライドガイドレセプタクルを備えることができる。線形スライドガイドレセプタクルは、細長要素の突起を少なくとも部分的に受け入れるように構成されることができる。レセプタクルは、具体的には、突起の一部とすることができる。突起は、線形スライドガイドレセプタクル内でスライドするように構成されることができる。線形スライドガイドレセプタクルは、横方向に、特にカニューレの伸長方向に垂直に伸長することができる。リザーバは、少なくとも1つの流路を介してカニューレに接続可能とすることができる。流路は、例示的には可撓性管とすることができる。流路の一端は、細長要素の突起に受け入れられることができる。さらに、カニューレの体外近位端はまた、細長要素の突起内に少なくとも部分的に受け入れられることができる。したがって、突起は、流路、例えばリザーバとカニューレとの間の流体接続を確立するように構成されることができる。
【0049】
インターロック要素は、細長要素を囲むように構成されることができる。したがって、挿入前に、カニューレが貯蔵位置にあるとき、インターロック要素は、挿入方向とは逆の方向に移動されることができる。したがって、インターロック要素は、開放されることができ、それにより、細長要素を囲み、細長要素との固定接続を確立する。
【0050】
統合された挿入機構は、さらに、少なくとも1つの解放ボタンを備えることができる。解放ボタンは、第1の端部および第2の端部を有する細長要素とすることができる。第1の端部は、レセプタクルを有することができる。レセプタクルは、細長要素の形状に対応する形状を有することができる。例示的に、細長要素は、丸い断面を有するシリンダとすることができ、レセプタクルは、それに応じて丸い形状を有することができる。解放ボタンの第2の端部は、パッチの外側に位置することができる。したがって、第2の端部は、ユーザまたは患者がアクセス可能とすることができる。解放ボタンは、細長要素を所定の位置に保持し、続いて細長要素を解放するように構成されることができる。解放ボタンは、押されるように構成することができ、それにより、統合された挿入機構をトリガーする。したがって、統合された挿入機構は、手動でトリガー可能とすることができる。しかしながら、他の実施形態も可能とすることができる。例示的に、統合された挿入機構は、医療装置および外部要素が組み立てられるとすぐにトリガーされることができる。それにより、医療装置は、医療装置および外部要素の組み立ての前に、ユーザの皮膚部位に配置され、固定的に適用されることができる。しかしながら、他の実施形態も可能とすることができる。統合された挿入機構はまた、ボタンのない統合された挿入機構とすることができる。例示的に、統合された挿入機構は、外部要素が医療装置に接続されるとすぐにトリガーされることができる。
【0051】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの治療用医療流体をユーザに送達するための薬剤装置が開示されている。薬剤装置は、少なくとも1つの第1の部分を備える。第1の部分は、上述したように、または以下にさらに詳細に説明されるように、少なくとも1つの医療装置を備える。さらに、薬剤装置は、少なくとも1つの第2の部分を備える。第2の部分は、カニューレに流体的に接続可能な少なくとも1つの薬剤ポンプを備える。さらに、第2の部分は、少なくとも1つの電子装置ユニットを備える。薬剤装置は、上述したように、または以下にさらに説明されるように、少なくとも1つの医療装置を備える。
【0052】
本明細書で使用される「薬剤装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、特定の投与経路を介して薬剤および/または治療薬を投与または送達するように構成された任意の装置を指すことができる。そのような装置は、通常、1つ以上の医療の一部として使用される。具体的には、「薬剤装置」という用語は、少なくとも1つのポンプを使用することによってインスリンを投与するための装置を指すことができる。
【0053】
構成要素または要素を示すために本明細書で一般に使用される「第1」および「第2」という用語は、名称付けされた要素に付番したりランク付けしたりせず、順序を指定せず、いくつかの種類の第1の部分および第2の部分が存在する可能性を排除することなく、名称付け法としてのみ見なすことができる。さらに、1つ以上の第3の部分または要素などの追加の部分が存在することができる。「部分」という用語は、対象の任意の構成要素を指すことができる。構成要素は、対象の別の構成要素と相互作用するように構成されることができる。具体的には、薬剤装置の第1の部分および第2の部分は、上記概説したような医療処置を実行するためなど、1つ以上の治療目的を実行するために、互いに相互作用することができる。第1の部分は、使い捨ての構成要素とすることができ、第2の部分は、再利用可能な構成要素とすることができる。第2の部分および/または第1の部分は、水密構成要素とすることができる。具体的には、薬剤装置は、水密薬剤装置とすることができる。この目的のために、第2の部分は、第1の構成要素の少なくとも1つの表面に押し付けられるように構成されることができる1つ以上のシール要素を有することができる。したがって、第1の部分および第2の部分によって形成される内部は、水密に囲まれることができる。
【0054】
本明細書で使用される「薬剤ポンプ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、機械的作用によって薬剤および/または治療薬を動かすように構成された任意のポンプを指すことができる。具体的には、薬剤ポンプは、患者の循環系に任意の薬剤を注入するように構成された点滴ポンプとすることができる。一般に、点滴ポンプは、静脈内または皮下に適用されるように構成されることができる。しかしながら、他の用途も可能である。薬剤ポンプは、容積式ポンプとすることができる。容積式ポンプは、特に医療装置の少なくとも1つの駆動スピンドルを介して、医療装置の少なくとも1つのピストンをリザーバの伸長方向に動かすように構成されることができる。
【0055】
「流体的に結合」または「流体的に接続可能」という用語は、一般に、任意の流体が2つ以上の要素間で移動可能とすることができるような2つ以上の要素の特性を指すことができる。薬剤ポンプは、具体的には、インスリンポンプとすることができる。本明細書で使用される「インスリンポンプ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つのポンプを使用することによってインスリンを投与するための装置を指すことができる。したがって、「流体的に接続可能」という用語はまた、流体動作に関する限り、「動作可能に接続可能」と呼ばれることもある。
【0056】
本明細書で使用される「電子装置ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つの電子構成要素を有する任意の装置を指すことができる。具体的には、電子装置ユニットは、センサを用いた測定の実行、電圧測定の実行、電流測定の実行、センサ信号の記録、測定信号または測定データの記憶、別の装置へのセンサ信号または測定データの送信のうちの1つ以上のための少なくとも1つの電子構成要素を備えることができる。電子装置ユニットは、具体的には、データを送信するために、送信機として具体化されることができるか、または送信機を含むことができる。電子構成要素の他の実施形態も可能である。電子装置ユニットは、少なくとも1つの相互接続装置、好ましくはプリント回路基板、より好ましくは可撓性プリント回路基板を備えることができる。電子装置ユニットは、薬剤ポンプを制御および操作するために特別に構成されることができる。さらに、第2の部分は、少なくとも1つのエネルギ貯蔵装置を含むことができる。エネルギ貯蔵装置は、電子装置ユニットの一部とすることができる。エネルギ貯蔵装置は、電池、充電式電池、蓄電池からなる群から選択されることができる。また、他の実施形態も可能である。
【0057】
第1の部分および第2の部分は、形状嵌合接続、圧入接続からなる群から選択される、少なくとも1つの機械的接続を確立するように構成されることができる。本明細書で使用される場合、「機械的接続」という用語は、一般に、機械的保持力による2つ以上の構成要素の接続を指す。一例として、機械的接続は、形状嵌合または力嵌合接続のうちの少なくとも1つとすることができるか、またはそれを含むことができる。本明細書でさらに使用される場合、機械的接続の文脈における「解放可能」という用語は、一般に、機械的接続が、非嵌合状態とも呼ばれる切断状態から結合状態とも呼ばれる接続状態にもたらされ、切断状態に戻ることができるという事実を指す。したがって、機械的接続は、自由に閉じたり解放したりすることができる。具体的には、機械的接続は、いかなる工具も使用せずに、手動で操作するだけで解放可能とすることができる。一例として、第1の部分と第2の部分との間の接続を開放するために、ユーザの片手でさらには指や指先によって加えられることができる50N以下、例えば20N以下、例えば10N以下の力が必要とされることができる。
【0058】
具体的には、第1の部分および第2の部分は、少なくとも1つの線形スライド機構を介して接続可能とすることができる。第1の部分は、少なくとも1つの線形スライドレセプタクルを備えることができ、第2の部分は、少なくとも1つの線形スライドガイドレールを備えることができ、またはその逆とすることができる。線形スライドレセプタクルおよび線形スライドガイドレールは、一体になって、第1の部分と第2の部分との間に解放可能な機械的接続を確立するように構成された線形スライドコネクタを形成することができる。本明細書でさらに使用される場合、「線形スライドレセプタクル」および「線形スライドガイドレール」という用語は、互いに相補的であり且つ線形スライド機構を実現するために互いに相互作用するように構成される要素を指すことができる。例示的に、線形スライドガイドレールは、第1の部分の突起として形成されることができ、線形スライドレセプタクルは、第2の部分とすることができるか、またはその逆とすることができる。しかしながら、他の実施形態も可能とすることができる。線形スライドガイドレールおよび線形スライドレセプタクルは、互いに相補的な形状とすることができる。例示的に、線形スライドレセプタクルおよび線形ガイドレールは、細長形状を有することができ、第1の部分および/または第2の部分の長手軸に沿って延びることができる。線形スライドレセプタクルおよび線形スライドガイドレールは、一体になって、電子装置ユニットとパッチとの間に解放可能な機械的接続を確立するように構成された線形スライドコネクタを形成することができる。線形スライド接続とも呼ばれる「線形スライドコネクタ」という用語は、一般に、任意のコネクタまたは2つの線形スライド輪郭間の接続を指すことができる。その中で、一般に、関与する線形スライド輪郭の一方または双方は、少なくとも1つの突起を備えることができ、相補的な様式で、線形スライド輪郭の他方は、突起が線形スライド接続または線形スライドコネクタを形成するためにガイドされることができる少なくとも1つの線形スライド溝または線形スライドスロットを備えることができる。
【0059】
第1の部分と第2の部分とを接続することにより、インターロック要素は、挿入方向とは逆の方向に移動されることができる。したがって、インターロック要素は、開放されることができ、それにより、細長要素を囲み、細長要素との固定接続を確立する。
【0060】
本発明のさらなる態様では、カニューレを体組織に経皮的に挿入するための方法が開示されている。本方法は、独立請求項に記載され、以下に記載されるような方法ステップを含む。方法ステップは、指定された順序で実行されることができる。しかしながら、方法ステップの他の順序も可能である。さらに、1つ以上の方法ステップは、並行しておよび/または適時に重複して実行されることができる。さらに、方法ステップのうちの1つ以上を繰り返し実行することができる。さらに、リスト化されていない追加の方法ステップが存在することができる。
【0061】
本方法は、以下のステップを含む:
a)上述したような、または以下にさらに詳細に説明されるような薬剤装置を提供することと、
b)第1の部分をユーザの皮膚に配置することと、
c)第1の部分および第2の部分が、形状嵌合接続、圧入接続からなる群から選択される少なくとも1つの接続を確立するように、第1の部分および第2の部分を組み立てることと、
d)統合された挿入機構をトリガーし、それによってカニューレをパッチ内の貯蔵位置から体組織内の挿入位置に駆動すること。
【0062】
ステップb)は、ステップc)を実行する前に実行されることができる。あるいは、ステップb)は、ステップc)を実行した後に実行されてもよい。
【0063】
提案された医療装置、分析物測定装置、薬剤装置、および挿入可能要素を体組織に経皮的に挿入するための提案された方法は、公知の装置および方法に勝る多くの利点を提供する。
【0064】
一般に、点滴カニューレは、別個の挿入ユニットを介して、またはパッチ内に配置された電気機械を介して挿入されることができる。しかしながら、外部挿入ユニットに起因して、外部インターフェースがあり、追加の処理手順が必要である。電気機械が適用される場合、製造労力が増加し、コストの増加につながる。
【0065】
それどころか、本発明にかかる医療装置、薬剤装置、および方法は、ユーザによる容易な製造および単純な取り扱いプロセスを可能にする。さらに、別個の挿入ユニットを利用する必要性を回避することができる。したがって、追加の取り付け要素および追加の製造プロセスを省略することができる。
【0066】
カニューレを挿入するためのエネルギは、パッチ内に統合されている挿入機構を介して提供されることができる。電気駆動装置は、必要なくてもよい。カニューレは、アーチ形状を有することができ、省スペースの方法でパッチ内に配置されることができる。さらに、カニューレは、ガイド付きカニューレとすることができ、パッチベース内の小さな開口のみを必要とすることができる。したがって、カニューレの挿入は、ユーザまたは患者の組織の僅かな変形で実行可能とすることができる。
【0067】
さらに、ばね要素は、省スペースの方法でパッチ内に配置されることができる。具体的には、リザーバは、ばね要素の内部内に配置されることができるか、またはカニューレは、ばね要素の内部内に配置されることができる。
【0068】
さらに、挿入後、カニューレは、パッチの下方の中央に配置されることができる。したがって、カニューレは、医療装置の適用中に弾性的に移動することができる。その結果、着用心地が向上することができる。
【0069】
薬剤ポンプおよび電子装置ユニットを備える第2の部分がばね要素に張力をかけるためのスライダとして機能することができるため、ユーザまたは患者の取り扱い労力を低減することができる。
【0070】
薬剤装置の水密設計により、シャワーを浴びたり、入浴したり、水泳をしたりするために、薬剤装置をユーザまたは患者の皮膚部位から取り外す必要がない。第2の部分は、再利用可能とすることができ、電池は、ユーザまたは患者自身によって交換されることができる。あるいは、第2の部分は、蓄電池を有することができ、第2の部分は、充電接点のためのカバーを有することができる。さらに、誘導性充電が提供されることができる。
【0071】
2つのリザーバを適用することなどによって複数のリザーバを適用することによって、医療装置は、平坦な方法で設計可能とすることができる。さらに、複数のリザーバを適用することにより、複数の種類の流体を適用することができる。
【0072】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定されることができる:
【0073】
実施形態1:カニューレを体組織に経皮的に挿入するための医療装置であって、
少なくとも1つのカニューレであって、カニューレの壁によって完全にまたは部分的に囲まれている管腔を備えるカニューレと、
ユーザの皮膚に取り付けられるように構成された少なくとも1つのパッチであって、パッチが少なくとも1つのパッチベースを備え、パッチが、さらに、挿入カニューレをパッチ内の貯蔵位置から体組織内の挿入位置へと駆動するための少なくとも1つの統合された挿入機構を備える、パッチと、を備え、
パッチが、さらに、少なくとも1つの治療用医療流体を貯蔵するように構成された少なくとも1つのリザーバを備え、統合された挿入機構が、ばね駆動挿入機構である、医療装置。
【0074】
実施形態2:医療装置が使い捨て医療装置である、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0075】
実施形態3:統合された挿入機構が、スライド機構、好ましくは線形スライド機構である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0076】
実施形態4:統合された挿入機構が、好ましくはカニューレを押すことによってカニューレを挿入方向に付勢するように構成された少なくとも1つの駆動ユニットを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0077】
実施形態5:駆動ユニットが、リザーバの伸長方向に移動するように構成されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0078】
実施形態6:駆動ユニットが、リザーバを少なくとも部分的に取り囲み、リザーバに沿って移動するように構成されている、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0079】
実施形態7:医療装置、具体的にはパッチベースが、少なくとも1つの外部要素に接続可能であり、統合された挿入機構が、外部要素を医療装置に接続するときに確立される力によって駆動されるように構成されている、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0080】
実施形態8:統合された挿入機構が、さらに、少なくとも1つのばね要素を備える、先行する4つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0081】
実施形態9:ばねが挿入方向に平行に引張可能である、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0082】
実施形態10:駆動ユニットがばね要素を圧縮するように構成されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0083】
実施形態11:リザーバが、ばね要素内に少なくとも部分的に受け入れられる、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0084】
実施形態12:カニューレが、少なくとも部分的にばね要素内に受け入れられる、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0085】
実施形態13:ばね要素が、カニューレを挿入方向に押すように構成されている、先行する4つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0086】
実施形態14:ばね要素が、挿入後の体組織からのカニューレの引き抜きを少なくとも大部分防止するように構成されている、先行する5つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0087】
実施形態15:統合された挿入機構が、さらに、駆動ユニットを固定位置に固定するように構成された少なくとも1つのインターロック要素を備える、先行する10個の実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0088】
実施形態16:インターロック要素が駆動ユニットに固定的に接続されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0089】
実施形態17:インターロック要素がスナップクロージャを有する、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0090】
実施形態18:インターロック要素が、少なくとも1つの第1のインターロック要素構成要素および少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素を備え、第1のインターロック要素構成要素および第2のインターロック要素構成要素が、少なくとも部分的に弾性材料から作製され、第1のインターロック要素構成要素および第2のインターロック要素構成要素が、機械的接続、具体的には形状嵌合接続を形成するように構成されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0091】
実施形態19:形状嵌合接続が解放可能な形状嵌合接続である、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0092】
実施形態20:医療装置が、さらに、少なくとも1つの突起を有する少なくとも1つの細長要素を備え、カニューレ、具体的にはカニューレの少なくとも一端が、突起のレセプタクル内に固定的に受け入れられ、インターロック要素が、細長要素を囲むように構成されている、先行する5つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0093】
実施形態21:統合された挿入機構が、さらに、少なくとも1つの解放ボタンを備え、解放ボタンが、細長要素を所定の位置に保持し、続いて細長要素を解放するように構成されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0094】
実施形態22:パッチベースが、スライドガイドレール、好ましくは線形スライドガイドレールを備え、線形スライドガイドレールが、少なくとも部分的に突起を受け入れるように構成され、突起が、線形スライドガイドレール内をスライドするように構成されている、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0095】
実施形態23:解放ボタンが押され、それによって統合された挿入機構をトリガーするように構成されている、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0096】
実施形態24:インターロック要素が、クリップ機構、具体的には一方向クリップ機構を有する、先行する9つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0097】
実施形態25:統合された挿入機構が、手動でトリガー可能である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0098】
実施形態26:医療装置が、さらに、少なくとも1つのピストン、具体的には少なくとも1つのピストンロッドを備え、ピストンが、リザーバの治療用医療流体を置換するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0099】
実施形態27:医療装置が、さらに、少なくとも1つの駆動スピンドルを備え、駆動スピンドルが、少なくとも1つの薬剤ポンプに動作可能に接続可能であり、薬剤が、駆動スピンドルを介してピストンを移動するように構成されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0100】
実施形態28:リザーバが、少なくとも1つの流路を介してカニューレに接続可能である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0101】
実施形態29:流路が可撓性管である、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0102】
実施形態30:リザーバが、バイアル、具体的には剛性バイアルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0103】
実施形態31:バイアルが円筒形を有する、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0104】
実施形態32:カニューレが、鋼、具体的にはステンレス鋼、プラスチック材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料で少なくとも部分的に作製されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置
【0105】
実施形態33:カニューレが、予め曲げられたカニューレである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0106】
実施形態34:カニューレが点滴カニューレであり、リザーバが、カニューレを介して治療用医療流体を放出するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0107】
実施形態35:カニューレが少なくとも部分的に円のセグメントの形状を有するように、カニューレが予め曲げられている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0108】
実施形態36:カニューレが、少なくとも1つの生体適合性材料から作製されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0109】
実施形態37:統合された挿入機構が、挿入後の体組織からのカニューレの引き抜きを少なくとも大部分防止するように構成された少なくとも1つの要素を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0110】
実施形態38:統合された挿入機構が、パッチ内の貯蔵位置から湾曲挿入経路上の体組織内の挿入位置にカニューレを駆動するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0111】
実施形態39:挿入経路が、少なくとも部分的に円のセグメントとして形作られている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0112】
実施形態40:パッチベースが、少なくとも1つの通路開口を備え、カニューレが、パッチから通路開口を通って体組織内に移動可能である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0113】
実施形態41:通路開口の形状がカニューレの形状に対応する、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0114】
実施形態42:医療装置が、さらに、少なくとも1つのさらなる治療用医療流体を貯蔵および放出するように構成された少なくとも1つのさらなるリザーバを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0115】
実施形態43:リザーバおよびさらなるリザーバが互いに隣接して配置されている、先行する実施形態に記載の医療装置。
【0116】
実施形態44:医療装置が、さらに、少なくとも1つの混合装置を備え、混合装置が、混合物がカニューレを介してユーザに適用される前に混合物が形成されるように、リザーバの治療用医療流体とさらなるリザーバのさらなる治療用医療流体とを混合するように構成されている、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0117】
実施形態45:混合装置が、少なくとも1つの静的ミキサを備える、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0118】
実施形態46:カニューレが、パッチベースに少なくとも部分的に接続され、および/またはパッチベースの内側に配置されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の医療装置。
【0119】
実施形態47:少なくとも1つの治療用医療流体をユーザに送達するための薬剤装置であって、
少なくとも1つの第1の部分であって、医療装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも1つの医療装置を備える、第1の部分と、
少なくとも1つの第2の部分であって、第2の部分が、カニューレに流体的に接続可能な少なくとも1つの薬剤ポンプを備え、第2の部分が、さらに、少なくとも1つの電子装置ユニットを備える、第2の部分と、を備える、薬剤装置。
【0120】
実施形態48:第2の部分、具体的には電子装置ユニットが、少なくとも1つのエネルギ供給構成要素、具体的には電池および/または蓄電池を有する、先行する実施形態に記載の薬剤装置。
【0121】
実施形態49:第1の部分が、使い捨て構成要素であり、第2の部分が、再利用可能な構成要素である、先行する実施形態に記載の薬剤装置。
【0122】
実施形態50:第2の部分が、さらに、少なくとも1つのエネルギ貯蔵装置を備える、薬剤装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の薬剤装置。
【0123】
実施形態51:エネルギ貯蔵装置が、電池、充電式電池からなる群から選択される、先行する実施形態に記載の薬剤装置。
【0124】
実施形態52:第1の部分および/または第2の部分が水密構成要素である、薬剤装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の薬剤装置。
【0125】
実施形態53:薬剤ポンプが容積式ポンプである、薬剤装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の薬剤装置。
【0126】
実施形態54:容積式ポンプが、具体的には医療装置の少なくとも1つの駆動スピンドルを介して、リザーバの伸長方向に医療装置の少なくとも1つのピストンを移動するように構成されている、先行する実施形態に記載の薬剤装置。
【0127】
実施形態55:第1の部分および第2の部分が、形状嵌合接続、圧入接続からなる群から選択される少なくとも1つの接続を確立するように構成されている、薬剤装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の薬剤装置。
【0128】
実施形態56:第1の部分および第2の部分が、少なくとも1つの線形スライド機構を介して接続可能であり、第1の部分が、少なくとも1つの線形スライドレセプタクルを備え、第2の部分が、少なくとも1つの線形スライドガイドレールを備えるかまたはその逆であり、線形スライドレセプタクルおよび線形スライドガイドレールが、一体になって、第1の部分と第2の部分との間に解放可能な機械的接続を確立するように構成された線形スライドコネクタを形成する、先行する実施形態に記載の薬剤装置。
【0129】
実施形態57:線形スライドガイドレールおよび線形スライドレセプタクルが互いに相補的な形状である、先行する実施形態に記載の薬剤装置。
【0130】
実施形態58:第2の部分が第1の部分と同一平面にある、薬剤装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の薬剤装置。
【0131】
実施形態59:カニューレを体組織に経皮的に挿入するための方法であって、
a)薬剤装置に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の薬剤装置を提供することと、
b)第1の部分をユーザの皮膚に配置することと、
c)第1の部分および第2の部分が、形状嵌合接続、圧入接続からなる群から選択される少なくとも1つの接続を確立するように、第1の部分および第2の部分を組み立てることと、
d)統合された挿入機構をトリガーし、それによってカニューレをパッチ内の貯蔵位置から体組織内の挿入位置に駆動すること。
【0132】
実施形態60:ステップb)が、ステップc)を実施する前に実行される、先行する実施形態に記載の方法。
【0133】
実施形態61:ステップb)が、ステップc)を実施した後に実行される、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0134】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されることができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
図は以下のとおりである:
【
図1C】例示的な薬剤装置を示す組み立て図(
図1C)である。
【
図2】本発明にかかる医療装置の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【
図3A】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す詳細図(
図3A)である。
【
図3B】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す断面図(
図3B)である。
【
図3C】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す詳細図(
図3C)である。
【
図3D】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す断面図(
図3D)である。
【
図3E】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す詳細図(
図3E)である。
【
図3F】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す断面図(
図3F)である。
【
図3G】異なる組み立て状態における薬剤装置の例示的な実施形態を示す詳細図(
図3G)である。
【
図4A】医療装置の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4B】医療装置の例示的な実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0135】
図1Aから
図1Cは、少なくとも1つの治療用医療流体をユーザに送達するための例示的な薬剤装置110を示している。
図1Aから
図1Bでは、薬剤装置110は、分解された状態で示されている。それにより、斜視図が
図1Aに示される一方で、断面図が
図1Bに示されている。
図1Cには、組み立てられた状態の薬剤装置110が示されている。それにより、薬剤装置110が断面図で示されている。
【0136】
薬剤装置110は、少なくとも1つの第1の部分112および少なくとも1つの第2の部分114を備える。第1の部分112は、以下にさらに詳細に説明される少なくとも1つの医療装置116を備える。
図1Bに具体的に示されているように、第2の部分114は、少なくとも1つの薬剤ポンプ118を備える。さらに、第2の部分114は、少なくとも1つの電子装置ユニット120を備え、電池などの1つ以上のエネルギ貯蔵装置(図示せず)を備えることができる。
【0137】
第2の部分114は、第1の部分112を少なくとも部分的に受け入れるように構成されたハウジング122を有することができる。したがって、
図1Bに示されるようなハウジング122は、自由容積124を有することができる。自由容積124は、第1の部分112が第2の部分114の壁126と直接接触するように、第1の部分112を受け入れるように構成されることができる。
【0138】
第1の部分112および第2の部分114は、形状嵌合接続などの少なくとも1つの機械的接続を確立するように構成されることができる。具体的には、第1の部分112および第2の部分114は、少なくとも1つの線形スライド機構128を介して接続可能とすることができる。
図1Aに示されるように、第1の部分112は、少なくとも1つの線形スライドレセプタクル130を備えることができ、第2の部分114は、少なくとも1つの線形スライドガイドレール132を備えることができる。線形スライドレセプタクル130および線形スライドガイドレール132は、第1の部分112と第2の部分114との間に解放可能な機械的接続を確立するように構成されることができる。線形スライドガイドレール132は、第2の部分114の突起134として形成されることができる。線形スライドガイドレール132および線形スライドレセプタクル130は、互いに相補的な形状とすることができる。例示的に、線形スライドレセプタクル130および線形スライトガイドレール132は、細長形状を有することができ、第1の部分112および/または第2の部分114の長手軸136に沿って延在することができる。
【0139】
図2は、斜視図で本発明にかかる医療装置116の例示的な実施形態を示している。医療装置116は、
図1Aから
図1Cに示されるように、第1の部分112の構成要素とすることができる。したがって、上述した説明を参照することができる。
【0140】
医療装置116は、ユーザの皮膚に取り付けられるように構成された少なくとも1つのパッチ138を備える。パッチ138は、少なくとも1つのパッチベース140を備える。したがって、パッチ138、具体的にはパッチベース140は、少なくとも1つの接着面142を備えることができる。例示的に、パッチベース140は、絆創膏143を有し、接着面142は、絆創膏143の一部とすることができる。パッチ138は、さらに、カニューレ145をパッチ138内の貯蔵位置から体組織内の挿入位置に駆動するための少なくとも1つの統合された挿入機構144を備える。統合された挿入機構144は、ばね駆動挿入機構148である。上述した第2の部分114は、医療装置116に接続可能な外部要素191とすることができる。統合された挿入機構144は、外部要素191を医療装置116に接続するときに確立される力によって駆動されるように構成されることができる。
【0141】
パッチ138は、さらに、少なくとも1つの治療用医療液を貯蔵するように構成された少なくとも1つのリザーバ146を備える。具体的には、リザーバ146は、インスリンによって満たすことができる。リザーバ146は、少なくとも1つの円筒形バイアル150を備えることができる。円筒形バイアル150は、具体的には剛性とすることができる。医療装置116は、さらに、少なくとも1つのさらなるリザーバ152を備えることができる。さらなるリザーバ152およびリザーバ146は、互いに隣接して配置されることができる。したがって、リザーバ146およびさらなるリザーバ152は、省スペースの方法で配置されることができる。リザーバ146およびさらなるリザーバ152は、それぞれ、同じ治療用医療液を貯蔵するように構成されることができる。したがって、治療用医療液の供給を増加させることができ、リザーバ146、152、したがって医療装置116の交換の回数を減らすことができる。しかしながら、代わりに、さらなるリザーバ152は、少なくとも1つのさらなる治療用医療流体を貯蔵するように構成されることができる。それにより、医療装置116は、さらに、少なくとも1つの混合装置154を備えることができる。混合装置154は、少なくとも1つの静的ミキサ156を備えることができ、流体が適用される前に混合物が形成されるように、リザーバ146の治療用医療流体およびさらなるリザーバ152のさらなる治療用医療流体を混合するように構成されることができる。リザーバ146およびさらなるリザーバ148は、それぞれ、管158を介して混合装置154に流体的に接続されることができる。医療装置116は、さらに、少なくとも1つのピストン160、具体的には少なくとも1つのピストンロッド162を備えることができる。ピストン162は、リザーバ146、152の治療用医療流体を置換するように構成されることができる。医療装置116は、さらに、少なくとも1つの駆動スピンドル164を備えることができる。駆動スピンドル164は、
図1Aから
図1Bに示されるように、薬剤ポンプ118に動作可能に接続可能とすることができる。
【0142】
統合された挿入機構144は、さらに、少なくとも1つのばね要素168を備えることができる。具体的には、ばね要素168は、カニューレ145を体組織に挿入する前に張力をかけるように構成されることができる。リザーバ146は、ばね要素168の内部空間170内に少なくとも部分的に受け入れられることができる。したがって、リザーバ146およびばね要素168は、省スペースの方法で配置されることができる。
【0143】
統合された挿入機構144は、さらに、好ましくはカニューレ145を押すことによって、カニューレ145を挿入方向に付勢するように構成された少なくとも1つの駆動ユニット166を備えることができる。駆動ユニット166の機能は、以下にさらに詳細に説明されることができる。
【0144】
さらに、医療装置116は、さらに、少なくとも1つの細長要素172を備えることができる。細長要素172は、矢印174によって示されるように、横方向に、特にばね要素168の伸長方向に垂直に伸長することができる。パッチベース140は、スライドガイドレセプタクル176、好ましくは線形スライドガイドレール178を備えることができる。線形スライドガイドレール178は、カニューレの伸長方向に平行に延在することができる。線形スライドガイドレール178は、細長要素172の突起180を少なくとも部分的に受け入れて案内するように構成されることができる。突起180は、線形スライドガイドレール178内をスライドするように構成されることができる。突起180は、カニューレ145の一端を固定的に受け入れるためのレセプタクル(図示せず)を有することができる。さらに、リザーバ146およびさらなるリザーバ152は、少なくとも1つの流路182を介してカニューレ145に接続可能とすることができる。この実施形態では、流路182の一端は、細長要素172の突起180に受け入れられることができる。流路182の他端は、混合装置154に流体的に接続されることができる。したがって、突起180は、流路182、例えばリザーバ146およびさらなるリザーバ152と、カニューレ145との間の流体接続を確立するように構成されることができる。細長要素172の機能は、以下にさらに詳細に説明されることができる。
【0145】
統合された挿入機構144は、さらに、少なくとも1つの解放ボタン184を備えることができる。解放ボタン184は、第1の端部186および第2の端部188を有する細長要素とすることができる。第1の端部186は、レセプタクル190を有することができる。レセプタクル190は、細長要素172の形状に対応する形状を有することができる。例示的に、細長要素172は、丸い断面を有するシリンダとすることができ、レセプタクル190は、それに応じて丸い形状を有することができる。解放ボタン184の第2の端部188は、パッチ138の外側に配置されることができる。したがって、第2の端部188は、ユーザまたは患者がアクセス可能とすることができる。解放ボタン184の機能は、以下にさらに詳細に説明されることができる。
【0146】
図3Aから
図3Gは、様々な断面図(
図3B、
図3Dおよび
図3F)および様々な詳細図(
図3A、
図3C、
図3E、
図3G)で異なる組み立て状態における薬剤装置110の例示的な実施形態を示している。薬剤装置110は、
図1Aおよび
図1Bにかかる医療装置116に少なくとも部分的に対応することができる。薬剤装置110の医療装置116は、
図2にかかる医療装置116に少なくとも部分的に対応することができる。したがって、上記の
図1Aから
図2の説明を参照することができる。
【0147】
図3Aには、第1の部分112および第2の部分114が組み立てられる前の、統合された挿入機構144の詳細図が示されている。医療装置116は、細長要素172を備えることができる。細長要素172は、第1の端部186および第2の端部188(
図3Aには示されていない)を有する解放ボタン184によって定位置に保持される。第1の端部186は、レセプタクル190を備えることができる。したがって、細長要素172は、円筒形を有することができ、レセプタクル190は、対応する丸い断面を有することができる。
【0148】
統合された挿入機構144は、さらに、駆動ユニット166を固定位置に固定するように構成された少なくとも1つのインターロック要素192を備えることができる。インターロック要素192は、駆動ユニット166に固定的に接続されることができる。インターロック要素192は、少なくとも1つの第1のインターロック要素構成要素194および少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素196を備えることができる。第1のインターロック要素構成要素194および第2のインターロック要素構成要素196は、少なくとも部分的に弾性材料から作製されることができる。第1のインターロック要素構成要素194および第2のインターロック要素構成要素196は、機械的接続、具体的には、以下にさらに詳細に説明されるような形状嵌合接続を形成するように構成されることができる。インターロック要素は、クリップ機構を備えたスナップクロージャ198を有することができる。クリック機構は、一方向クリップ機構とすることができる。
【0149】
図3Bには、薬剤装置110の断面図が示されている。薬剤装置10は、医療装置116を有する第1の部分112を備える。
図3Bでは、第1の部分112および第2の部分114は、部分的に組み立てられている。この段階で、第1の部分112は、接着面142などを介して、ユーザまたは患者の皮膚部位に既に配置および取り付けられることができる。あるいは、第1の部分112および第2の部分114の組み立ては、第1の部分112がまだ皮膚部位に取り付けられていない間に行われることができる。
図1Aおよび
図1Bに関して上述したように、第1の部分112および第2の部分114は、少なくとも1つの線形スライド機構128を介して接続可能とすることができる。
【0150】
細長要素172は、突起180を備えることができる。リザーバ146は、流路182を介してカニューレ145に接続可能とすることができる。流路182の一端200は、細長要素172の突起180に受け入れられることができる。カニューレ145の1つの体外端部202は、同様に突起180に受け入れられることができる。したがって、突起180は、流路182、例えばリザーバ146およびさらなるリザーバ152と、カニューレ145との間の流体接続を確立するように構成されることができる。
【0151】
図3Bでは、カニューレ145は、貯蔵位置204に示されている。したがって、カニューレ145、具体的にはカニューレ145の体内端部206は、パッチ138の内部で受け入れられることができる。パッチ138は、以下にさらに詳細に説明されるように、カニューレ145が体組織に挿入されることができるように、通路開口208を有することができる。パッチ138は、さらに、カニューレ145の少なくとも一部を受け入れるように構成された少なくとも1つのカニューレレセプタクル210を備えることができる。さらに、パッチベース140は、スライドガイドレセプタクル176、好ましくは、細長要素172の突起180を受け入れて案内するように構成されることができる線形スライドガイドレール178を備えることができる。したがって、突起180は、線形スライドガイドレール178内をスライドするように構成されることができる。
【0152】
カニューレ145は、カニューレ145の壁211によって完全にまたは部分的に囲まれる管腔を有する。具体的には、カニューレ145は、壁211を備えた閉鎖カニューレとすることができる。さらに、カニューレ145は、点滴カニューレ212とすることができる。具体的には、点滴カニューレ212は、少なくとも部分的に鋼、具体的にはステンレス鋼から作製されることができる。鋼、具体的にはステンレス鋼は、生体適合性とすることができる。さらに、鋼、特にステンレス鋼を適用することにより、剛性の点滴カニューレを提供することができる。カニューレ145は、予め曲げられたカニューレ214とすることができる。したがって、カニューレ145は、少なくとも外力がない場合、少なくとも部分的に非直線とすることができる。具体的には、カニューレ145は、完全にまたは部分的に、円のセグメントの形状を有するものとして具体化されることができる。
【0153】
図3Bに示されるような部分的に組み立てられた状態では、インターロック要素192は、細長要素172と接触することができる。したがって、第1のインターロック要素構成要素194と少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素196との間の接続を開放することができる。第2のインターロック要素構成要素196は、細長要素196を取り囲むことができる。その間、解放ボタン184のレセプタクル190は、さらに細長要素172を固定する。この状態はまた、詳細図の
図3Cにも示されている。
【0154】
図3Dには、薬剤装置110の断面図が示されている。薬剤装置10は、医療装置116を有する第1の部分112を備える。
図3Dでは、第1の部分112および第2の部分114が組み立てられている。したがって、ハウジング122は、パッチ138と同一平面とすることができる。解放ボタン184のレセプタクル184は、さらに細長要素172を固定することができる。したがって、解放ボタン184のレセプタクル190は、細長要素172を受け入れることができる。細長要素172は、第1のインターロック要素構成要素194と少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素196との間に配置されることができる。したがって、第1のインターロック要素構成要素194および少なくとも1つの第2のインターロック要素構成要素196は、細長要素172を取り囲むことができる。第1のインターロック要素構成要素194および第2のインターロック要素構成要素196は、機械的接続216を形成するように構成されることができる。この状態はまた、詳細図の
図3Eにも示されている。
【0155】
図3Fには、薬剤装置110の断面図が示されている。薬剤装置10は、医療装置116を有する第1の部分112を備える。
図3Fでは、第1の部分112および第2の部分114が組み立てられ、統合された挿入機構144がトリガーされる。したがって、カニューレ145は、挿入位置218にある。
【0156】
統合された挿入機構144は、解放ボタン184を介してトリガー可能とすることができる。したがって、矢印220によって示されるように、皮膚部位(図示せず)を横切る方向に第2の端部188を押すことによって、第1の端部186、例えば、レセプタクル190は、細長要素172を解放することができる。それにより、ばね要素168は、矢印174によって示されるような挿入方向に弛緩することができる。その結果、駆動ユニット166は、挿入方向に移動することができる。インターロック要素194は、駆動ユニット166に固定的に接続されることができるため、細長要素172の突起180に受け入れられるカニューレ145の体外端部202を有する細長要素172もまた、挿入方向に移動する。カニューレ145、具体的にはカニューレ145の体内端部202は、通路開口208を通って延在することができ、体組織に挿入されることができる(図示せず)。それにより、可撓性を有することができる流路182は、曲げられた構成から引き伸ばされた構成へと通過することができる。したがって、流路182を介したリザーバ146とカニューレ145との間の流体接続が維持されることができる。この状態はまた、詳細図の
図3Gにも示されている。
【0157】
図4Aおよび
図4Bは、異なる断面図で医療装置116の例示的な実施形態を示している。医療装置116は、
図1Aから
図3Gに示されるように、医療装置116に部分的に対応する。したがって、上述した説明を参照することができる。医療装置116は、パッチ138およびカニューレ145を備える。さらに、パッチ138は、リザーバ146を備える。これらの構成要素の詳細については、上記の説明を参照することができる。
【0158】
パッチ138はまた、統合された挿入機構144を備える。さらに、医療装置116は、駆動ユニット166を有することができる。
図4Aおよび
図4Bにかかる医療装置116において、駆動ユニット166は、矢印222によって示されるように、挿入方向に平行な方向に移動可能とすることができる。したがって、ばね要素168は、駆動ユニット166による挿入方向に圧縮可能とすることができる。カニューレ145の体外端部202は、要素224に固定的に取り付けられることができる。要素224は、駆動ユニット166の支持面226と直接接触することができる。
【0159】
図4Aでは、カニューレ145は、貯蔵位置204である。したがって、カニューレ145、具体的にはカニューレ145の体内端部206は、パッチ138において受け入れられる。駆動ユニット166を挿入方向に移動させることにより、要素224は、経路138のスライドガイドレセプタクル176に沿ってスライドすることができる。したがって、カニューレ145は、パッチ138から、
図4Bに示されるような体組織内の挿入位置218に駆動されることができる。要素224は、通路開口208の近くに配置されたレセプタクル228によって受け入れられることができる。具体的には、要素224は、レセプタクル228を密封するように構成されることができる。
【0160】
さらに、駆動ユニット166を挿入方向に動かすことにより、ばね要素168に張力をかけることができる。したがって、挿入位置218において、駆動ユニット166は、要素224がレセプタクル228内に留まっている間、ばね要素168の張力によって元に戻ることができる。
【符号の説明】
【0161】
110 薬剤装置
112 第1の部分
114 第2の部分
116 医療装置
118 薬剤ポンプ
120 電子装置ユニット
122 ハウジング
124 自由容積
126 壁
128 線形スライド機構
130 線形スライドレセプタクル
132 線形スライドガイドレール
134 突起
136 長手軸
138 パッチ
140 パッチベース
142 接着面
143 絆創膏
144 統合された挿入機構
145 カニューレ
146 リザーバ
148 ばね駆動の挿入機構
150 円筒形バイアル
152 さらなるリザーバ
154 混合装置
156 静的ミキサ
158 管
160 ピストン
162 ピストンロッド
164 駆動スピンドル
166 駆動ユニット
168 ばね要素
170 内部空間
172 細長要素
174 矢印
176 スライドガイドレセプタクル
178 線形スライドガイドレール
180 突起
182 流路
184 解放ボタン
186 第1の端部
188 第2の端部
190 レセプタクル
191 外部要素
192 インターロック要素
194 第1のインターロック要素レセプタクル
196 第2のインターロック要素レセプタクル
198 スナップクロージャ
200 端部
202 体外端部
204 貯蔵位置
206 体内端部
208 通路開口
210 カニューレレセプタクル
211 壁
212 点滴カニューレ
214 予め曲げられたカニューレ
216 機械的接続
218 挿入位置
220 矢印
222 矢印
224 要素
226 支持面
228 レセプタクル