(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】センサコントローラ及びペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231124BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G06F3/041 560
G06F3/03 400B
(21)【出願番号】P 2021503404
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2019046999
(87)【国際公開番号】W WO2020179158
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2019037596
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】110004277
【氏名又は名称】弁理士法人そらおと
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】久野 晴彦
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/163315(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/139861(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信リソースを1以上のペンのそれぞれに割り当て、割り当てた通信リソースにより前記1以上のペンのそれぞれから受信したダウンリンク信号に基づいて前記1以上のペンそれぞれの位置を検出するセンサコントローラであって、
前記通信リソースの構造又はその利用方法を示すリソースアロケーションスキームを変更する場合に、前記1以上のペンに対して、新たなリソースアロケーションスキームを示す情報を同報する、
センサコントローラ。
【請求項2】
フレーム内に配置された複数の時間スロットを用いて前記ダウンリンク信号を受信するよう構成され、
前記リソースアロケーションスキームは、個々のペンへの時間スロットの割り当てを示す時間スロット識別情報の数、前記フレーム内に含まれる前記時間スロットの数、前記時間スロットの時間長、前記1以上のペンのそれぞれが前記複数の時間スロットそれぞれで送信すべき信号の内容、前記1以上のペンが送信するデータ信号の変調方式、及び、該データ信号のシンボル長のうちのいずれか1つ以上を含む、
請求項1に記載のセンサコントローラ。
【請求項3】
前記センサコントローラによって制御されるスーパーフレームの単位で前記1以上のペンそれぞれとの通信を行うよう構成され、
前記スーパーフレームは、複数の前記フレームを含む、
請求項2に記載のセンサコントローラ。
【請求項4】
前記スーパーフレームに含まれる前記複数のフレームのうち先頭に位置する先頭フレームを用いて、前記リソースアロケーションスキームを示す情報を含む先頭アップリンク信号を送信し、
前記複数のフレームのうち前記先頭フレーム以外のフレームである1以上の後続フレームのそれぞれにおいて、該後続フレーム内に配置される前記複数の時間スロットの基準時刻を示す後続アップリンク信号を送信する、
請求項3に記載のセンサコントローラ。
【請求項5】
前記スーパーフレームは、前記ダウンリンク信号を受信するためのセンサパネルとともに配置された表示装置の表示フレームに同期し、該表示フレームはそれぞれ画素の駆動動作が行われない期間である複数のブランク期間を含み、
前記複数のブランク期間それぞれの中に1つの前記フレームが配置される、
請求項3に記載のセンサコントローラ。
【請求項6】
前記ダウンリンク信号を受信するためのセンサパネルとともに配置された表示装置の表示フレーム内に含まれる1つのブランク期間の中に複数の前記時間スロットが配置される、
請求項2に記載のセンサコントローラ。
【請求項7】
ペアリング済の前記ペンの本数に基づき、前記リソースア
ロケーションスキームを変更する、
請求項1に記載のセンサコントローラ。
【請求項8】
前記リソースアロケーションスキームを変更する場合に、ペアリング済のすべてのペンに対して、新たなリソースアロケーションスキームを示す情報を同報する、
請求項1に記載のセンサコントローラ。
【請求項9】
前記リソースアロケーションスキームを変更する場合に、特定の通信パラメータが適用されている1以上のペンに対して、新たなリソースアロケーションスキームを示す情報を同報する、
請求項1に記載のセンサコントローラ。
【請求項10】
通信リソースの構造又はその利用方法を示すリソースアロケーションスキームをセンサコントローラから受信し、該リソースアロケーションスキームに従ってダウンリンク信号を送信するペンであって、
前記センサコントローラから通信リソースの割り当てを示す識別情報を受信し、該識別情報によって割り当てられた通信リソースを用いて前記ダウンリンク信号を送信するよう構成され、
前記センサコントローラから新たなリソースアロケーションスキームを受信し、該新たなリソースアロケーションスキームに従って前記ダウンリンク信号の送信を行う場合においても、前記識別情報により割り当てられた通信リソースを引き続き使用して前記ダウンリンク信号の送信を行う、
ペン。
【請求項11】
前記センサコントローラから前記通信リソースの割り当ての変更を示すコマンドを受信した場合に、変更された通信リソースを用いて前記ダウンリンク信号を送信する、
請求項10に記載のペン。
【請求項12】
フレーム内に配置された複数の時間スロットを用いて前記ダウンリンク信号を送信するよう構成され、
前記リソースアロケーションスキームは、個々のペンへの時間スロットの割り当てを示す時間スロット識別情報の数、前記フレーム内に含まれる前記時間スロットの数、前記時間スロットの時間長
、1以上のペンのそれぞれが前記複数の時間スロットそれぞれで送信すべき信号の内容、前記1以上のペンが送信するデータ信号の変調方式、及び、該データ信号のシンボル長のうちのいずれか1つ以上を含む、
請求項10に記載のペン。
【請求項13】
前記ダウンリンク信号を前記センサコントローラが受信するためのセンサパネルとともに配置された表示装置の表示フレーム内に含まれる1つのブランク期間内に配置された複数の前記時間スロットのうち、前記時間スロット識別情報によって割り当てられた前記時間スロット内で前記ダウンリンク信号を送信する、
請求項12に記載のペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上のペンそれぞれの位置を検出するセンサコントローラ、及び、該センサコントローラに対してダウンリンク信号を送信するペンに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置のパネル面内にセンサパネルを配置し、このセンサパネルを介して、ペンとの間で通信を行えるようにした電子機器が知られている。この種の電子機器の内部には、ペンとの通信を通じてパネル面内におけるペンの位置を検出するセンサコントローラが設けられる。以下では、センサコントローラからペンに対して送信される信号を「アップリンク信号」と称し、ペンからセンサコントローラに対して送信される信号を「ダウンリンク信号」と称する。
【0003】
特許文献1には、ペンとセンサコントローラとの間での通信を、表示装置から出るノイズが少ない期間(ブランク期間)を利用して行う電子機器の例が開示されている。この電子機器では、1画面分の表示に要する期間内に発生する複数のブランク期間のそれぞれを時間スロットとみなして、ペンとセンサコントローラとの間での通信が行われる。具体的には、1画面分の表示に要する期間の先頭に位置するブランク期間を用いてアップリンク信号が送信され、後続の各ブランク期間を用いてダウンリンク信号が送信される。
【0004】
ところで、特許文献1の[0096]段落にも記載されているように、1画面分の表示に要する期間内におけるブランク期間の配置は変更される場合がある。したがって、ペンがブランク期間を利用してダウンリンク信号を送信するためには、センサコントローラからペンに対し、ブランク期間の最新の配置方法を通知する必要がある。そこで特許文献1の技術においては、その[0104]段落に記載されているように、アップリンク信号を用いてセンサコントローラからペンに通知されるコマンドの一種として、「ブランク期間の配置方法を示す情報」が利用可能とされている。
【0005】
また、特許文献2には、1画面分の表示に要する期間ごとに、ペンを検出する処理(ペン検出処理)と指を検出する処理(タッチ検出処理)とを各4回にわたって交互に実行するように構成されたセンサコントローラが記載されている。以下、1画面分の表示に要する期間(表示周期)を「スーパーフレーム」と称し、スーパーフレーム内に配置される個々のペン検出処理実行期間を「フレーム」と称する。
【0006】
特許文献2に記載のペンは、ペン先がパネル面に接触していないとき(以下、「ホバー状態」という)に、ペン先がパネル面に接触しているとき(以下、「コンタクト状態」という)に比べて、ダウンリンク信号のビットレートを低下させることができるように構成される。これによれば、ペンとセンサパネルが離れており、したがって信号対ノイズ比が小さくなりがちなホバー状態においても、センサコントローラが良好にダウンリンク信号を受信できるようになる。
【0007】
特許文献3には、1つのパネル面上において同時に複数のペンを使えるようにした電子機器が記載されている。以下、この種の電子機器を「マルチペン対応電子機器」と称する場合がある。特許文献3においては、ペンは、自身に割り当てられたローカルIDを含むアップリンク信号を受信した場合に、ダウンリンク信号を送信するよう構成される。電子機器は、2つのペンを同時に使用する場合、それぞれに割り当てたローカルIDを含むアップリンク信号の送信タイミングを制御することにより、各ペンがダウンリンク信号を送信するタイミングを制御する(特許文献3の[0087]段落を参照)。
【0008】
特許文献4には、各フレームが所定数の時間スロットにより構成される電子機器が記載されている。この例においては、各フレームの最初の時間スロットはセンサコントローラがアップリンク信号を送信するために使用され、2番目の時間スロットは未だセンサコントローラとペアリングしていないペンがアップリンク信号に対する応答信号を送信するために使用される。ただし、この2番目の時間スロットは、センサコントローラがアップリンク信号によって特定のペンにデータの送信を要求した場合には、そのペンが要求されたデータを送信するために使用される(特許文献4の20ページ9行目~17行目を参照)。
【0009】
特許文献5には、マルチペン対応電子機器の他の例が記載されている。この例によるセンサコントローラは、新たなペンとのペアリングを行う際、そのペンに対してタイムスロット及び周波数を割り当てる(特許文献5の10ページ11行目~15行目を参照)。こうしてペアリングが行われることにより、同時使用中のペンの増加に伴い、フレーム内で使用されるタイムスロットの数が増えていくことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2016/163315号
【文献】国際公開第2018/029855号
【文献】国際公開第2018/043203号
【文献】米国特許第9785262号明細書
【文献】米国特許第9977519号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献3にも記載されているように、マルチペン対応電子機器においてアップリンク信号内に配置されるコマンドは、宛先である1つのペンを指定して送信されることになる。
【0012】
しかしながら、このようにコマンドが特定のペンのみに送信されるものであることから、従来のマルチペン対応電子機器においては、通信リソースの構造(例えば、フレーム内におけるブランク期間の配置方法)やその利用方法(例えば、各ブランク期間において送信すべきダウンリンク信号の内容)などのリソースアロケーションスキームを変更する場合に、速やかな変更が難しいという課題があった。すなわち、検出中の各ペンに対して1つ1つ、コマンドにより最新のリソースアロケーションスキームを通知していく必要があったため、少なくとも検出中のペンの本数分のアップリンク信号送信後でないとリソースアロケーションスキームの変更が完了せず、結果として、リソースアロケーションスキームの変更に長い時間を要していた。
【0013】
したがって、本発明の目的の一つは、マルチペン対応電子機器におけるリソースアローケーションスキームの変更を従来より少ない処理かつ短い時間で簡易に実現できるセンサコントローラ及びペンを提供することにある。
【0014】
また、上述した特許文献2に記載のペンのように、ホバー状態とコンタクト状態とでダウンリンク信号のビットレートを変えることのできるペンが知られているが、ダウンリンク信号の信号対ノイズ比は、例えば表示装置から発生するノイズの状態など、ペン先のパネル面への接触状態以外の要因によっても変化する。しかしながら、従来の電子機器においては、ペン先のパネル面への接触状態以外の要因ではダウンリンク信号のビットレート或いは信号の送信間隔を変更することはできなかったため、これらを信号対ノイズ比の状況に応じて最適化することが難しく、ダウンリンク信号の受信状態が悪化してしまう場合があった。
【0015】
したがって、本発明の目的の他の一つは、ダウンリンク信号の受信状態を良好に保つべくビットレートや信号の送信間隔を最適化できるセンサコントローラ及びペンを提供することにある。
【0016】
さらに、上述した特許文献2に記載の電子機器のように、1つのスーパーフレームの中に複数のフレームを配置する電子機器が知られているが、従来のこの種の電子機器においてはスーパーフレーム内における各フレームの時間的位置が固定されていたため、各フレームと交互に配置されるタッチ検出処理の時間長を柔軟に変更できない、という課題があった。加えて、後述するインセル方式の表示装置においては、縞状の表示ノイズや音鳴りが発生する場合がある、という課題もあった。
【0017】
したがって、本発明の目的のさらに他の一つは、スーパーフレーム内における各フレームの時間的位置を変更できるセンサコントローラ及びペンを提供することにある。
【0018】
また、特許文献3に記載のマルチペン対応電子機器のように、同時に使用中の複数のペンのそれぞれに対し、ダウンリンク信号の送信タイミングを知らせるアップリンク信号を逐一送信する電子機器が知られているが、この方法ではアップリンク信号送信のために多くの通信リソースを用いてしまい、効率的に通信を行うことができない。
【0019】
したがって、本発明の目的のさらに他の一つは、アップリンク信号の送信頻度を減らすことによって効率的な通信を実現できるセンサコントローラ及びペンを提供することにある。
【0020】
また、特許文献4に記載の電子機器のように、フレーム内の所定位置にある時間スロットを、未ペアリングのペンからの信号を受信するために確保しておく電子機器が知られているが、この構成では、既に受け入れ可能なペン数の上限に達していて新たなペンを受け入れる余地がない場合など、未ペアリングのペンからの信号を受信する必要がない場合には、無駄に確保していることになってしまう。センサコントローラが明示的に要求すれば、上記時間スロットをデータ送信用として使用することも可能であるが、その都度、要求のためのアップリンク信号を送信する必要があるため、効率的に通信を行うことができない。
【0021】
したがって、本発明の目的のさらに他の一つは、未ペアリングのペンからの信号を受信する必要がない場合には、アップリンク信号による明示的な要求を用いずに、未ペアリングのペンからの信号を受信するために確保している時間スロットを他の用途に用いることのできるセンサコントローラ及びペンを提供することにある。
【0022】
また、特許文献5に記載のマルチペン対応電子機器のように、同時使用中のペンの増加に伴い、フレーム内で使用されるタイムスロットの数が増えていくマルチペン対応電子機器が知られているが、この方法では、1つのフレーム内に収容可能な時間スロットの数により、同時使用可能なペン数の上限値が決まってしまう。
【0023】
したがって、本発明の目的のさらに他の一つは、1つのフレーム内に収容可能な時間スロットの数から決まるペンの数よりも多くのペンを同時に使用できるセンサコントローラ及びペンを提供することにある。
【0024】
ここで、1つのフレーム内に収容可能な時間スロットの数から決まるペン数の上限値よりも多くのペンを同時に使用可能とする1つの方法として、同時に使用するペンの数が上限値よりも多くなる場合、通信レートが半分になることを許容しつつ、2つのフレームに跨がって各ペンに時間スロットを割り当てることが考えられる。しかしそうすると、同時に使用するペンの数が減って上記の上限値以下になったときにも、通信レートが半分になったまま維持されてしまう。
【0025】
したがって、本発明の目的のさらに他の一つは、同時に使用するペンの数が減って所定の上限値以下になった場合に、通信レートを元に戻すことのできるセンサコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の側面によるセンサコントローラは、通信リソースを1以上のペンのそれぞれに割り当て、割り当てた通信リソースにより前記1以上のペンのそれぞれから受信したダウンリンク信号に基づいて前記1以上のペンそれぞれの位置を検出するセンサコントローラであって、前記通信リソースの構造又はその利用方法を示すリソースアロケーションスキームを変更する場合に、前記1以上のペンに対して、新たなリソースアロケーションスキームを示す情報を同報する、センサコントローラである。
【0027】
本発明の第1の側面によるペンは、通信リソースの構造又はその利用方法を示すリソースアロケーションスキームをセンサコントローラから受信し、該リソースアロケーションスキームに従ってダウンリンク信号を送信するペンであって、前記センサコントローラから通信リソースの割り当てを示す識別情報を受信し、該識別情報によって割り当てられた通信リソースを用いて前記ダウンリンク信号を送信するよう構成され、前記センサコントローラから新たなリソースアロケーションスキームを受信し、該新たなリソースアロケーションスキームに従って前記ダウンリンク信号の送信を行う場合においても、前記識別情報により割り当てられた通信リソースを引き続き使用して前記ダウンリンク信号の送信を行う、ペンである。
【0028】
本発明の第2の側面によるセンサコントローラは、ペンから任意の受信方法を用いてダウンリンク信号を受信することにより、前記ペンの位置を検出するセンサコントローラであって、前記ペンに対して、前記ダウンリンク信号のビットレートの変更を示すアップリンク信号を送信するとともに、前記ダウンリンク信号の受信方法を、変更後のビットレートに応じた新たな受信方法に変更する、センサコントローラである。
【0029】
本発明の第2の側面によるペンは、センサコントローラに対してダウンリンク信号を送信するペンであって、前記センサコントローラから前記ダウンリンク信号のシンボル長の変更を示すアップリンク信号を受信したことに応じて、前記ダウンリンク信号のシンボル長を変更する、ペンである。
【0030】
本発明の第3の側面によるセンサコントローラは、それぞれが複数の時間スロットを含む複数のフレームを含んで構成されるスーパーフレームの単位で1以上のペンそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、前記複数のフレームのうち先頭に位置する先頭フレームを用いて、前記スーパーフレームの全体に適用される設定情報を含む先頭アップリンク信号を送信し、前記複数のフレームのうち前記先頭フレーム以外のフレームである1以上の後続フレームのそれぞれにおいて、該後続フレーム内に配置される前記複数の時間スロットの基準時刻を示す後続アップリンク信号を送信する、センサコントローラである。
【0031】
本発明の第3の側面によるペンは、それぞれが複数の時間スロットを含む複数のフレームを含んで構成されるスーパーフレームの単位でセンサコントローラと通信を行うペンであって、前記センサコントローラから受信したアップリンク信号が前記スーパーフレームの全体に適用される設定情報を含む先頭アップリンク信号であった場合に、該設定情報をメモリ内に設定し、前記センサコントローラから受信したアップリンク信号が前記複数のフレームのうち先頭に位置する先頭フレーム以外のフレームである1以上の後続フレームのうちのいずれかの中に配置される前記複数の時間スロットの基準時刻を示す後続アップリンク信号であった場合に、該後続アップリンク信号の受信時刻に基づいて、対応する前記後続フレーム内の各時間スロットの時間的位置を取得する、ペンである。
【0032】
本発明の第4の側面によるセンサコントローラは、複数の第1の時間スロットを含むフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモードと、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、前記複数の第1の時間スロットは、前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれでも前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられる第1のプライマリスロットと、前記シングルレーンモードでは前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは前記第2のペンからデータ信号を受信するために用いられる第1のセカンダリスロットとを含み、前記複数の第1の時間スロットのそれぞれが前記第1のプライマリスロット及び前記第1のセカンダリスロットのいずれであるかを示すスロット割当情報を含むアップリンク信号を送信する、センサコントローラである。
【0033】
本発明の第4の側面によるペンは、第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモード、及び、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードのいずれでも前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられるプライマリスロットと、前記シングルレーンモードでは前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは前記第2のペンからデータ信号を受信するために用いられるセカンダリスロットとを含む複数の時間スロットを含むフレームを用いてセンサコントローラとの通信を行うペンであって、前記センサコントローラから、前記複数の時間スロットのそれぞれが前記プライマリスロット及び前記セカンダリスロットのいずれであるかを示すスロット割当情報、及び、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含むアップリンク信号を受信し、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記シングルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記プライマリスロットである前記時間スロット及び前記セカンダリスロットである前記時間スロットの両方においてダウンリンク信号を送信し、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記デュアルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記プライマリスロットである前記時間スロット及び前記セカンダリスロットである前記時間スロットの一方においてダウンリンク信号を送信する一方、他方においてダウンリンク信号を送信しない、ペンである。
【0034】
本発明の第5の側面によるセンサコントローラは、複数の時間スロットを含むフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモードと、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、前記複数の時間スロットは、前記シングルレーンモードでは、未ペアリングのペンからの信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは、前記第2のペンからのデータ信号を受信するために用いられる兼用スロットを含む、センサコントローラである。
【0035】
本発明の第5の側面によるペンは、第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモード、及び、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードのいずれかで動作するセンサコントローラと、複数の時間スロットを含むフレームを用いて通信を行うペンであって、前記センサコントローラから、前記複数の時間スロットのうち、前記シングルレーンモードでは、未ペアリングのペンからの信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは、前記第2のペンからのデータ信号を受信するために用いられる兼用スロットを特定するスロット割当情報、及び、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含むアップリンク信号を受信し、前記アップリンク信号を受信した時点で前記センサコントローラとペアリングしておらず、かつ、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記シングルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記兼用スロットである前記時間スロットにおいて、前記センサコントローラとのペアリングを要求するための信号を送信し、前記アップリンク信号を受信した時点で前記センサコントローラとペアリング中であり、かつ、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記デュアルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記兼用スロットである前記時間スロットにおいて、データ信号を送信する、ペンである。
【0036】
本発明の第6の側面によるセンサコントローラは、それぞれ複数の時間スロットを含む一連のフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモードと、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、前記シングルレーンモードで動作中には、ダウンリンク信号の送信用として、前記第1のペンに対し、1つのフレームに含まれる前記複数の時間スロットのうち所定個数の前記時間スロットを割り当て、前記デュアルレーンモードで動作中には、ダウンリンク信号の送信用として、前記第1のペン及び前記第2のペンのそれぞれに対し、連続する第1のフレーム及び第2のフレームのそれぞれに含まれる前記複数の時間スロットのうち前記所定個数の前記時間スロットを割り当てる、センサコントローラである。
【0037】
本発明の第6の側面によるペンは、第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモード、及び、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードのいずれかで動作するセンサコントローラと、複数の時間スロットを含むフレームを用いて通信を行うペンであって、前記センサコントローラから、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含むアップリンク信号を受信し、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記シングルレーンモードで動作中であることが示される場合、1つのフレームに含まれる前記複数の時間スロットのうち所定個数の前記時間スロットを用いてダウンリンク信号を送信し、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記デュアルレーンモードで動作中であることが示される場合、1つのフレームに含まれる前記複数の時間スロットのうち前記所定個数の半分の個数の前記時間スロットを用いてダウンリンク信号を送信する、ペンである。
【0038】
本発明の第7の側面によるセンサコントローラは、それぞれ複数の時間スロットを含む一連のフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、第1のプライマリレーンを用いて第1の通信レートで第1のペンとの通信を行うシングルレーンモードと、前記第1のプライマリレーンを用いて前記第1の通信レートの半分の第2の通信レートで前記第1のペンとの通信を行い、かつ、第1のセカンダリレーンを用いて前記第2の通信レートで第2のペンとの通信を行うデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、前記デュアルレーンモードで動作中に前記第1のペンとの通信が終了した場合、前記第2のペンを前記第1のプライマリレーンに移動した後、動作モードを前記シングルレーンモードに変更する、センサコントローラである。
【発明の効果】
【0039】
本発明の第1の側面によれば、新たなリソースアロケーションスキームを示す情報を、コマンドによる個別送信ではなく、1以上のペンに対する同報により送信するので、マルチペン対応電子機器におけるリソースアローケーションスキームの変更を従来より少ない処理かつ短い時間で簡易に実現可能となる。
【0040】
本発明の第2の側面によれば、センサコントローラ側からダウンリンク信号のビットレートを変更することができるので、ダウンリンク信号の受信状態を良好に保つべくビットレートや信号の送信間隔を最適化することが可能になる。
【0041】
本発明の第3の側面によれば、センサコントローラは、後続アップリンク信号の送信タイミングを適宜調整することにより、スーパーフレーム内における各後続フレームの時間的位置を変更することができる。したがって、各フレームと交互に配置され得るタッチ検出処理の時間長を柔軟に変更することが可能になる。また、特定の表示装置において縞状の表示ノイズや音鳴りが発生することを抑制できる。
【0042】
本発明の第4の側面によれば、センサコントローラは、アップリンク信号を用いて、これからペアリングしようとする各ペンに対し、複数の第1の時間スロットのそれぞれが第1のプライマリスロット及び第2のセカンダリスロットのいずれであるかを予め通知できる。したがって、ダウンリンク信号の送信タイミングを知らせるアップリンク信号を逐一送信する必要がなくなるので、アップリンク信号の送信頻度を減らし、効率的な通信を実現することが可能になる。
【0043】
本発明の第5の側面によれば、シングルレーンモードでは未ペアリングのペンからの信号を受信するために用いられる一方、デュアルレーンモードでは2本目のペンからのデータ信号を受信するために用いられる兼用スロットを設けたので、未ペアリングのペンからの信号を受信する必要がないデュアルレーンモードにおいては、アップリンク信号による明示的な要求を用いずに、未ペアリングのペンからの信号を受信するために確保している時間スロットを他の用途に用いることが可能になる。
【0044】
本発明の第6の側面によれば、デュアルレーンモードで動作中には、ダウンリンク信号の送信用として、ペアリング中の第1及び第2のペンのそれぞれに対し、連続する2つのフレームのそれぞれに含まれる複数の時間スロットのうち所定個数の時間スロットを割り当てるので、1つのフレーム内に収容可能な時間スロットの数から決まるペンの数よりも多くのペンを同時に使用することが可能になる。
【0045】
本発明の第7の側面によれば、第1のプライマリレーンで通信していた第1のペンとの通信が終了した場合、第1のセカンダリレーンで通信していた第2のペンを第1のプライマリレーンに移動した後、動作モードをシングルレーンモードに変更するので、同時に使用するペンの数が減って所定の上限値以下になった場合に、通信レートを元に戻すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による電子機器1及びペン2を含むシステムを示す図である。
【
図2】
図1に示した行電極群31及び列電極群32の平面的な構造を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態によるペン検出処理とタッチ検出処理の時間的な関係を示す図である。
【
図4】(a)~(c)はそれぞれ、フレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。
【
図5】(a)~(c)はそれぞれ、フレーム内における時間の利用方法の他の一例を示す図である。
【
図6】(a)は、アップリンク信号US1の構成を示す図であり、(b)は、アップリンク信号US2の構成を示す図であり、(c)は、アップリンク信号US3の構成を示す図である。
【
図7】ダウンリンク信号DSの構成を示す図である。
【
図8】リソースアロケーションスキームのリストを含むリソースアロケーションスキームテーブルを示す図である。
【
図9】(a)は、センサコントローラ50の状態遷移を示す状態遷移図であり、(b)は、ペン2の状態遷移を示す状態遷移図である。
【
図10】センサコントローラ50及びペン2がともにディスカバリモードにある場合の処理を示すフローチャートである。
【
図11】センサコントローラ50及びペン2がともにペアリングモードにある場合の処理を示すフローチャートである。
【
図12】センサコントローラ50がコマンド送信モードにあり、ペン2が通信モードにある場合の処理を示すフローチャートである。
【
図13】センサコントローラ50がディスカバリモードにあり、ペン2が通信モードにある場合の処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図4に示した時間の各利用方法において、各時間スロット識別情報TDIDの2番目のデータ信号と2番目のトーン信号の位置を入れ替えてなる態様(入れ替えパターン)の時間の利用方法を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態によるペン検出処理とタッチ検出処理の時間的な関係を示す図である。
【
図16】(a)は、アップリンク信号US1aの構成を示す図であり、(b)は、アップリンク信号US4の構成を示す図である。
【
図17】本発明の第3の実施の形態による電子機器1及びペン2を含むシステムを示す図である。
【
図18】本発明の第3の実施の形態におけるスーパーフレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。
【
図19】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第3の実施の形態におけるスーパーフレーム内における時間の利用方法の他の一例を示す図である。
【
図20】「インセル方式」の位置検出装置である電子機器1において、1つのブランク期間の中に1つのフレームを配置する場合における、フレームと画素駆動期間DPの時間的な関係を示す図である。
【
図21】本発明の第4の実施の形態で使用されるリソースアロケーションスキームのリストを含むリソースアロケーションスキームテーブルを示す図である。
【
図22】スロットタイプの内容を具体的に示す図である。
【
図23】(a)は、
図21に示したテーブル番号nに対応するフレーム内における時間の利用方法の一例を示す図であり、(b)は、
図21に示したテーブル番号n+1に対応するフレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。
【
図24】(a)~(e)はそれぞれ、本発明の第4の実施の形態で使用されるアップリンク信号USの構成を示す図である。
【
図25】
図21に示したテーブル番号nのリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が0である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図26】
図21に示したテーブル番号nのリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が1である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図27】
図21に示したテーブル番号nのリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が2である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図28】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が0である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図29】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が1である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図30】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が2である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図31】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が3である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図32】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が4である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図33】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、ペアリング中のペン2の数が3である場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図34】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、レーン2で通信していたペン2-3をレーン0に移動した後における各時間スロットの利用方法を示す図である。
【
図35】
図21に示したテーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合であって、センサコントローラ50の動作モードをシングルレーンモードに変更した後における各時間スロットの利用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の第1の実施の形態による電子機器1及びペン2を含むシステムを示す図である。電子機器1は、例えばタブレット型のコンピュータであり、
図1に示すように、表示装置10、センサパネル30、制御部40、及びセンサコントローラ50を有して構成される。センサパネル30及び表示装置10はセンサパネル30が上側になるように重ねて配置されており、センサパネル30の上面により電子機器1のパネル面1aが構成される。電子機器1は、1つのパネル面1a上において同時に複数のペン2を使うことができるように構成されており、したがって、上述したマルチペン対応電子機器である。
【0049】
ペン2は、例えばアクティブ静電方式に対応する電子ペン(アクティブペン)である。ペン2のペン先の近傍には、ペン軸に沿って、ペン先に近い位置から順に2つのペン先電極2a,2bが並置される。
【0050】
表示装置10としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなど各種のディスプレイを使用可能であるが、
図1には、液晶ディスプレイを使用する例を示している。同図に示すように、この場合の表示装置10は、偏光フィルター11、ガラス基板12、画素電極群13、配向膜14、液晶層15、配向膜16、共通電極17、カラーフィルター18、ガラス基板19、及び偏光フィルター20がこの順で積層された構造を有している。なお、このうち画素電極群13は、表示装置10の各画素に対応して設けられた複数の画素電極により構成される。制御部40は、共通電極17にグランド電位を供給した状態で、表示対象の画像データに基づいて各画素電極13に印加する電圧を制御することにより、表示装置10に画像データを表示させる。
【0051】
センサパネル30は、ガラス基板33の下面に行電極群31及び列電極群32が形成された構造を有して構成される。このように、センサパネル30を構成する行電極群31及び列電極群32が表示装置10の外に設けられるタイプの電子機器1は、「アウトセル方式」の位置検出装置と呼ばれる。これに対し、後述する第3の実施の形態では、センサパネル30を構成する行電極群31及び列電極群32が表示装置10の中に設けられる「インセル方式」の位置検出装置である電子機器1について説明する。
【0052】
図2は、行電極群31及び列電極群32の平面的な構造を模式的に示す図である。同図に示すように、行電極群31及び列電極群32はそれぞれ、等間隔で平行に延設された複数の線状電極によって構成される。行電極群31を構成する複数の線状電極と、列電極群32を構成する複数の線状電極とは、互いに直交するように配置される。行電極群31を構成する各線状電極は、引出配線34によって、個別にセンサコントローラ50に接続される。同様に、列電極群32を構成する各線状電極は、引出配線35によって、個別にセンサコントローラ50に接続される。
【0053】
図1に戻り、制御部40は、プロセッサ及びメモリ(ともに図示せず)を有するコンピュータであり、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、図示した表示装置10及びセンサコントローラ50を含む電子機器1の各部の制御、描画用のアプリを含む各種のアプリの実行などの各種処理を行う。メモリには、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメインメモリと、フラッシュメモリなどの補助記憶装置とが含まれる。図示していないが、電子機器1は各種の通信規格(WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)など)に対応する通信装置を有しており、制御部40は、この通信装置を介して他の電子装置(ペン2を含む)との通信も実行可能に構成される。
【0054】
センサコントローラ50は、プロセッサ及びメモリ(ともに図示せず)を有するICであり、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、ペン2を検出する処理(ペン検出処理)や、図示しない指を検出する処理(タッチ検出処理)などの各種処理を行う。ペン検出処理には、行電極群31及び列電極群32とペン先電極2a,2bとの静電結合を介し、ペン2との間でアップリンク信号US及びダウンリンク信号DSの送受信を行うことで、パネル面1a上におけるペン2の位置を導出するとともに、ペン2が送信したデータを取得する処理が含まれる。また、タッチ検出処理には、行電極群31及び列電極群32の一方に指検出用信号FSを供給し、他方に現れる電位を検出することで、パネル面1a上における指の位置を導出する処理が含まれる。
【0055】
図3は、ペン検出処理とタッチ検出処理の時間的な関係を示す図である。同図に示すように、本実施の形態においては、センサコントローラ50によって制御されるスーパーフレームの中で、1回ずつペン検出処理及びタッチ検出処理が実行される。上述したように、本明細書では、ペン検出処理が行われる期間を「フレーム」と称する。なお、センサコントローラ50は、表示装置10が1画面分の表示データを表示するために必要とする期間(表示フレーム)と同期するように、スーパーフレームを制御するよう構成される。
【0056】
図4(a)~
図4(d)はそれぞれ、フレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。また、
図5(a)~
図5(d)はそれぞれ、フレーム内における時間の利用方法の他の一例を示す図である。
図4(a)及び
図5(a)はそれぞれ、センサコントローラ50が4本のペン2との通信(時分割多重通信。以下、同じ)を許容する場合に採用される利用方法を示している。また、
図4(b)及び
図5(b)はそれぞれ、センサコントローラ50が3本のペン2との通信を許容する場合に採用される利用方法を示している。
図4(c)及び
図5(c)はそれぞれ、センサコントローラ50が2本のペン2との通信を許容する場合に採用される利用方法を示している。
図4(d)及び
図5(d)はそれぞれ、センサコントローラ50が1本のペン2との通信を許容する場合に採用される利用方法を示している。実際に採用される利用方法はセンサコントローラ50によって動的に決定され、同報送信により各ペン2に通知される。この点については、後ほど詳しく説明する。
【0057】
図4及び
図5の各図に示すように、センサコントローラ50は、通信を許容するペン2の本数によらず、フレーム内の先頭で、時間長T
USの時間をかけてアップリンク信号USを送信するよう構成される。アップリンク信号USの詳細については、後ほど
図6を参照しながら説明する。
【0058】
また、アップリンク信号USの送信期間の後には、時間長TBのブランク期間が設けられ、さらにその後には、時間長TXの間隔で、それぞれ時間長TYの任意の個数の時間スロットが設けられる。
【0059】
フレーム内の一連の各時間スロットは、ペン2がダウンリンク信号DSを送信するために用いられる。
図4及び
図5の各図に示す「Tone」「Data」「Tilt」は、こうして送信されるダウンリンク信号DSの種類を表している。それぞれの詳しい内容については、後ほど
図7を参照して説明する。
【0060】
図4及び
図5の各図に示した時間スロット識別情報TDIDは、時間スロットに関して、通信リソースの個々のペン2への割り当てを示す識別情報である。センサコントローラ50は、後述するペアリング設定情報により、ペアリング済の1以上のペン2のそれぞれに対して、互いに異なる時間スロット識別情報TDIDを割り当てるよう構成される。
【0061】
各時間スロット識別情報TDIDには、1つずつ順番に時間スロットが割り当てられる。一例を挙げて説明すると、例えば
図4(a)の例では、全部で20個の時間スロットが用意され、時間スロット識別情報TDID=1には、そのうち1番目、5番目、9番目、13番目、17番目の各時間スロットが割り当てられる。また、時間スロット識別情報TDID=2には2番目、6番目、10番目、14番目、18番目の各時間スロットが割り当てられ、時間スロット識別情報TDID=3には3番目、7番目、11番目、15番目、19番目の各時間スロットの各時間スロットが割り当てられ、時間スロット識別情報TDID=4には4番目、8番目、12番目、16番目、20番目の各時間スロットが割り当てられる。このような時間スロットの割り当て方法を採用しているのは、各ペン2が送信するダウンリンク信号DSの間隔をできるだけ一定にするためである。
【0062】
図6(a)~
図6(c)はそれぞれ、本実施の形態で使用されるアップリンク信号USの構成を示す図である。これらの図に示すように、本実施の形態においては、大きく分けて3種類のアップリンク信号USが用いられる。それぞれの概略を説明すると、
図6(a)に示すアップリンク信号US1は、ペアリング済の各ペン2に対して新たなリソースアロケーションスキームを同報するとともに、まだセンサコントローラ50とペアリングしていないペン2に対して、新たなペアリングを確立するために必要なペアリング設定情報を送信するために用いられる。また、
図6(b)に示すアップリンク信号US2は、特定のペン2に対してコマンドを送信するために用いられる。
図6(c)に示すアップリンク信号US3は、ペアリング設定情報を受けてペンIDを送信してきたペン2との間で、ペアリングを確立するために用いられる。
【0063】
図6(a)~
図6(c)に示すように、どのタイプのアップリンク信号USにおいても、その先頭には、ヘッダ及びペアリング制御インジケータがこの順で配置される。ただし、ペアリング制御インジケータについては、一部のアップリンク信号USにおいて配置を省略することとしてもよい。
【0064】
ヘッダは、例えば、この信号が本実施の形態に示すマルチペン対応の電子機器1により生成されたものであることを示す4ビットの情報と、アップリンク信号USの種類(アップリンク信号US1~US3のいずれであるか)を示す2ビットの情報とを含む情報である。ペン2は、受信した信号を復号することによって前者の情報が取得できた場合に、受信した信号はアップリンク信号USであると決定し、続けて後者の情報が取得できた場合に、受信したアップリンク信号USの種類を決定し、決定した種類に応じた処理を開始する。
【0065】
ペアリング制御インジケータは、ローカルペンIDごとに「1」又は「0」の値を含む情報である。ローカルペンIDは、センサコントローラ50とペアリング済の各ペン2に対し、センサコントローラ50が一意に割り当てる識別情報である。
図6には、一例として1~6の6種類のローカルペンIDが用いられる例を示している。ペアリング制御インジケータが「1」であることは、そのローカルペンIDが使用中であること、つまり、センサコントローラ50がそのローカルペンIDを割り当てたペン2とのペアリングを現在も維持していることを意味している。一方、ペアリング制御インジケータが「0」であることは、そのローカルペンIDが未使用であること、つまり、センサコントローラ50がそのローカルペンIDを割り当てたペン2とペアリング済でないこと(又は、ペアリングを解除したこと)を意味している。
【0066】
ここで、センサコントローラ50は、ペアリングを確立したペン2からのダウンリンク信号DSが所定時間にわたり受信されない場合に、そのペン2とのペアリングを解除することが好ましい。こうすることで、センサコントローラ50は、後述するリソースアロケーションスキームの決定場面(後述する
図10のステップS1)において、実際に通信可能な状態にあるペン2の本数に即したリソースアロケーションスキームを選択することが可能になる。また、ペン2も、ペアリングを確立したセンサコントローラ50からのアップリンク信号USが所定時間にわたり受信されない場合に、そのセンサコントローラ50とのペアリングを解除することが好ましい。
【0067】
アップリンク信号US1は、
図6(a)に示すように、リソースアロケーションスキームと、ペアリング設定情報とをさらに含んで構成される。このうちリソースアロケーションスキームは、スーパーフレームの全体に適用される設定情報であり、後述の
図8に示すテーブル番号(リソースアロケーションスキームを示す情報)によって表される。一方、ペアリング設定情報は例えば、新たなペン2とペアリングすることが可能かどうかを示す1ビットのイネーブルデータと、新たなペン2に対して割り当てる時間スロット識別情報TDIDを示す2ビットのデータと、新たなペン2に対して割り当てる周波数識別情報FIDを示す3ビットのデータとにより構成される。ここで、周波数識別情報FIDは、周波数に関して、通信リソースの個々のペン2への割り当てを示す識別情報である。ある周波数識別情報FIDを割り当てられたペン2は、その周波数識別情報FIDにより示される周波数を用いてダウンリンク信号の送信を行う。
【0068】
アップリンク信号US2は、
図6(b)に示すように、コマンドをさらに含んで構成される。このコマンドは、センサコントローラ50からの特定のペン2に対する指示を示すデータであり、コマンドの宛先を示すローカルペンID(LPID)を含んで構成される。コマンドによって示される指示の例としては、ペンIDなどペン2が保持しているデータの送信、ペアリング設定情報により割り当てた通信リソースの変更(具体的には、時間スロット識別情報TDID及び/又は周波数識別情報FIDの変更)などが挙げられる。
【0069】
アップリンク信号US3は、
図6(c)に示すように、ペアリング確認データをさらに含んで構成される。ペアリング確認データは、具体的には、ペン2から受信したペアリング用ビットデータにより構成される。ペアリング用ビットデータは、ペン2ごとにユニークなデータ(或いは、ユニークであることが期待できるデータ)であり、例えばペン2が予め保持しているペンIDのハッシュ値である。ペアリング用ビットデータの利用方法の詳細については、後ほど
図10を参照して詳しく説明する。
【0070】
図7は、ダウンリンク信号DSの構成を示す図である。同図に示すように、ダウンリンク信号DSは、データ信号(Data)と、トーン信号(Tone)と、チルト信号(Tilt)とを含んで構成される。
【0071】
トーン信号は所定周波数の無変調信号であり、ペン2のペン先電極2a(
図1を参照)から1時間スロットにわたって継続的に送信される。センサコントローラ50は、原則として、このトーン信号に基づいてペン2の位置を検出するように構成される。具体的に説明すると、センサコントローラ50は、ペン2の位置を新たに検出する場合には、
図1に示した行電極群31及び列電極群32を構成する各線状電極のそれぞれによりトーン信号を受信することによってパネル面1a内におけるトーン信号の受信強度分布を取得し、その結果からペン2の位置を検出する(グローバルスキャン)。また、検出済みのペン2の位置を更新する場合には、最新の位置に近いものから順に所定数の線状電極のそれぞれによりトーン信号を受信することによってパネル面1a内の一部分におけるトーン信号の受信強度分布を取得し、その結果からペン2の位置を検出する(ローカルスキャン)。
【0072】
ここで、
図4に示した時間の利用方法と
図5に示した時間の利用方法との違いは、ダウンリンク信号DSにトーン信号を含むか含まないかの違いである。センサコントローラ50の種類などによっては、トーン信号の代わりにデータ信号を用いてペン2の位置を検出できる場合があり、
図5に示した時間の利用方法は、そのような場合に採用される。
【0073】
図7に戻り、チルト信号は、所定周波数の無変調信号である点、及び、1時間スロットにわたって継続的に送信される点でトーン信号と同様であるが、ペン2のペン先電極2b(
図1を参照)から送信される点でトーン信号と相違する信号である。なお、チルト信号の周波数は周波数識別情報FIDにより示される周波数と異なることとしてもよく、そうすることで、ペン2は、トーン信号及びチルト信号を同一の時間スロット内で送信することが可能になる。センサコントローラ50は、このチルト信号に基づいてトーン信号と同様の処理を行うことにより、まずペン2の位置を検出する。そして、トーン信号に基づいて検出した位置との差(方向及び距離)を導出し、その結果からペン2の傾きを検出する。
【0074】
データ信号は、ペン2がセンサコントローラ50に対して送信するデータにより変調された信号である。データ信号により送信されるデータには、ペン2のペン先に加わる圧力を示す筆圧値、ペン2の側面や底面に設けられるスイッチのオンオフ情報、アップリンク信号US2内のコマンドにより送信を要求されたデータなどが含まれる。
【0075】
図7に示すように、本実施の形態で用いられるデータ信号には、DBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)により変調されたものと、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)により変調されたものとが含まれる。なお、ここで挙げたDBPSK及びDQPSKは一例に過ぎず、他の変調方式により変調されたものを用いてもよいのは勿論であるが、以下では簡単のため、DBPSK及びDQPSKのみを取り上げて説明を続ける。
【0076】
DBPSKによるデータ信号は、1つのスタートシンボルBと、それぞれ1ビットのデータを表す8つのシンボルD0~D7とによって構成される。一方、DQPSKによるデータ信号は、1つのスタートシンボルBと、それぞれ2ビットのデータを表す4つのシンボルD0~D3とによって構成される。これらのことから理解されるように、1つのデータ信号により送信されるデータの量は、本実施の形態では、変調方式によらず8ビットに固定されている。ただし、より多い又はより少ない量のデータを1つのデータ信号により送信するようにしてもよいのは勿論である。
【0077】
図7に示すシンボル長SLは、データ信号を構成する各シンボルの時間長を表している。シンボル長SLは、同一のデータ信号の中では一定であるが、他のデータ信号との間では異なり得る。
図7から理解されるように、1つの時間スロットの中に含まれるシンボルの数をn(=9又は5)とすると、T
Y=SL×nの関係が成り立つ。そして、1つの時間スロット内で送信可能なデータが8ビットであることから、データ信号のビットレートRは、R=8/T
Y=8/(SL×n)と表される。したがって、シンボル長SLの変更は、データ信号のビットレートRの変更を意味する。
【0078】
図8は、本実施の形態で使用されるリソースアロケーションスキームのリストを含むリソースアロケーションスキームテーブルを示す図である。同テーブルにおいては、個々のテーブル番号が1つのリソースアロケーションスキームを表している。また、同テーブルは、ペン2とセンサコントローラ50の両方に予め共有される。なお、同図には、テーブル番号0~16に対応する17種類のリソースアロケーションスキームを例示しているが、リソースアロケーションスキームの数が17に限られないのは勿論である。
【0079】
図8に示すように、本実施の形態で使用されるリソースアロケーションスキームは、TDID数、シンボル長SL、変調方式、送信内容、スロット数、スロット長T
Y、及びフレーム長の各通信パラメータを含んで構成される。なお、ここで挙げた通信パラメータ以外の通信パラメータがリソースアロケーションスキームに含まれることしてもよいのは、勿論である。また、リソースアロケーションスキームを構成する通信パラメータの中に、他の1以上の通信パラメータの組み合わせから必然的に決定されるものが含まれていても構わない。
【0080】
「TDID数」は、上述した時間スロット識別情報TDIDの数を示す情報である。時分割多重以外の多重(周波数多重など)を行わない場合には、TDID数は、センサコントローラ50とペアリング可能なペン2の数に等しくなる。「シンボル長SL」及び「変調方式」はそれぞれ、
図7を参照して説明したデータ信号のシンボル長SL及び変調方式(DBPSK又はDQPSK)である。「送信内容」は、個々のペン2が各時間スロットで送信すべき信号の内容を示す情報であり、より具体的には、ペン2にトーン信号を送信させるか否かを示す情報である。トーン信号を送信させる場合とは、
図4に示した方法でフレーム内の時間が利用される場合であり、トーン信号を送信させない場合とは、
図5に示した方法でフレーム内の時間が利用される場合である。
図8においては、「T+D」がトーン信号を送信させる場合を示し、「D」がトーン信号を送信させない場合を示している。「スロット数」は、フレーム内に配置される時間スロットの数である。「スロット長T
Y」は、
図4及び
図5を参照して説明した各時間スロットの時間長T
Yである。「フレーム長」は、フレーム全体の時間長である。
【0081】
以下、ここまでで説明した各信号及びリソースアロケーションスキームテーブルを用いてセンサコントローラ50及びペン2のそれぞれが行う処理について、
図9に示す状態遷移図及び
図10~
図13に示すフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
【0082】
初めに、
図9(a)は、センサコントローラ50の状態遷移を示す状態遷移図である。同図に示すように、センサコントローラ50は、ディスカバリモード、コマンド送信モード、ペアリングモードのいずれかで動作可能に構成される。
【0083】
各モードについて具体的に説明すると、まずディスカバリモードは、新たなリソースアロケーションスキームをペアリング済の各ペン2に対して同報するとともに、未検出のペン2に対して自身の存在を通知するモードである。ディスカバリモードにおいてセンサコントローラ50が送信するアップリンク信号USは、
図6(a)に示したアップリンク信号US1となる。コマンド送信モードは、検出済みのペン2に対してコマンドを送信するモードである。コマンド送信モードにおいてセンサコントローラ50が送信するアップリンク信号USは、
図6(b)に示したアップリンク信号US2となる。ペアリングモードは、アップリンク信号US1に応答してきたペン2との間でペアリングを確立するモードである。ペアリングモードにおいてセンサコントローラ50が送信するアップリンク信号USは、
図6(c)に示したアップリンク信号US3となる。
【0084】
センサコントローラ50は、電子機器1の電源が投入されるとまず、ディスカバリモードにエントリし、アップリンク信号US1の送信と、ダウンリンク信号DSのセンシングとを繰り返す。そして、ペアリング用ビットデータを含むダウンリンク信号DSを検出した場合に、ペアリングモードにエントリし、そのペアリング用ビットデータを送信してきたペン2との間でペアリングを確立する。具体的には、受信したペアリング用ビットデータを含むアップリンク信号US3の送信と、ダウンリンク信号DSのセンシングとを行い、当該ペン2からのダウンリンク信号DSが検出できた場合に、そのペン2との間でのペアリングを確立する。その後、コマンドを送信する必要がある場合にはコマンド送信モードにエントリし、アップリンク信号US2の送信と、ダウンリンク信号DSのセンシングとを行う。また、コマンドを送信する必要のない場合にはディスカバリモードにエントリし、アップリンク信号US1の送信と、ダウンリンク信号DSのセンシングとを行う。
【0085】
次に、
図9(b)は、ペン2の状態遷移を示す状態遷移図である。同図に示すように、ペン2は、ディスカバリモード、通信モード、ペアリングモードのいずれかで動作可能に構成される。
【0086】
各モードについて具体的に説明すると、まずディスカバリモードは、まだ特定のセンサコントローラ50との通信を開始しておらず、通信可能なセンサコントローラ50を探すモードである。ディスカバリモードにあるペン2は、アップリンク信号US1のセンシングを繰り返し行うよう構成される。センシングの結果としてアップリンク信号US1が受信された場合には、その中に含まれるペアリング設定情報に基づいてペアリング可否を判定し、ペアリング可と判定した場合には、アップリンク信号US1に含まれていたリソースアローケーションスキームに従い、ペアリング用ビットデータを含むダウンリンク信号DSの送信を実行する。
【0087】
通信モードは、検出済みのセンサコントローラ50との通信を行うモードである。通信モードにあるペン2は、アップリンク信号USのセンシングを行うとともに、ダウンリンク信号DSの送信を行う。センシングの結果として何らかのアップリンク信号USが受信された場合、ペン2は、その受信タイミングに基づいてフレーム(及びその中に含まれる複数の時間スロット)の基準時刻を取得し、取得した基準時刻に基づいてフレーム内の処理(ダウンリンク信号DSの送信など)を実行する。また、受信されたアップリンク信号USがアップリンク信号US1であった場合には、ペン2は、その中に含まれるリソースアロケーションスキームを自身のメモリに設定する処理を行う。一方、受信されたアップリンク信号USがアップリンク信号US2であった場合には、その中に含まれるコマンドが自分宛のものであるか否かを判定し、自分宛のものであった場合には、そのコマンドに応じた処理を行う。
【0088】
ペアリングモードは、ディスカバリモードにおいて検出したアップリンク信号US1を送信してきたセンサコントローラ50との間でペアリングを確立するモードである。ペアリングモードにあるペン2は、アップリンク信号US3のセンシングを行うよう構成される。センシングの結果としてアップリンク信号US3が受信された場合、その中に含まれるペアリング用ビットデータが自身の送出したペアリング用ビットデータと一致するか否かを判定し、一致した場合に、センサコントローラ50との間でのペアリングを確立する。その後、ペン2は通信モードにエントリし、ダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0089】
図10は、センサコントローラ50及びペン2がともにディスカバリモードにある場合の処理を示すフローチャートである。同図に示すように、まずセンサコントローラ50により、リソースアロケーションスキームが決定される(ステップS1)。より具体的に説明すると、センサコントローラ50は、ペアリング済のペン2の本数、ダウンリンク信号DSの受信状態(信号対ノイズ比)、タッチ検出処理の実施状況などに基づき、
図8に例示した複数のリソースアロケーションスキームの中から1つを選択することにより、次に使用するリソースアロケーションスキームを決定する。
【0090】
ステップS1の決定についてさらに具体的な例を挙げると、例えばペアリング済のペンの本数が2本に達している場合、センサコントローラ50は、さらなるペン2の追加を可能にするため、TDID数が3又は4であるリソースアロケーションスキームを選択することが好ましい。また、例えばダウンリンク信号DSの信号対ノイズ比が低下してきている場合、センサコントローラ50は、より長いシンボル長SLを含むリソースアロケーションスキームを選択することが好ましい。こうすることで、上述したデータ信号のビットレートRを下げることができるので、データ信号の受信状態を改善することができる。この場合においてセンサコントローラ50は、より受信しやすい変調方式(すなわち、DQPSKよりもDBPSK)を含むリソースアロケーションスキームを選択することがさらに好ましい。また、データ信号のみでもペンの位置を検出可能である場合には、トーン信号を含まないリソースアロケーションスキームを選択することもできる。この場合のセンサコントローラ50は、トーン信号の代わりにデータ信号を用いて、ペンの位置を検出することになる。
【0091】
次にセンサコントローラ50は、ペアリング設定情報を決定する(ステップS2)。ペアリング設定情報は、
図6(a)を参照して説明したように、イネーブルデータと、時間スロット識別情報TDIDと、周波数識別情報FIDとにより構成される。センサコントローラ50は、ステップS1で決定したリソースアロケーションスキームで受け入れ可能なペン2の本数が現在ペアリング済のペン2の本数より多い場合に、イネーブルデータを「1」(ペアリング可)とし、そうでない場合に「0」(ペアリング不可)とする。また、センサコントローラ50は、イネーブルデータを「1」とした場合には、まだ他のペン2に割り当てていない1以上の時間スロット識別情報TDIDの中から1つを選択することにより、新たなペンに割り当てる時間スロット識別情報TDIDを決定するとともに、新たなペン2に割り当てる周波数識別情報FIDを決定する。周波数識別情報FIDについては、複数のペン2に同じ値を割り当てても構わない。
【0092】
その後、フレームの開始タイミングが到来すると(ステップS3)、センサコントローラ50は、
図6(a)に示したアップリンク信号US1を送信する(ステップS4)。このアップリンク信号US1には、ステップS1で決定したリソースアロケーションスキームを示すテーブル番号と、ステップS2で決定したペアリング設定情報の各構成要素とが含まれる。
【0093】
ディスカバリモードにあるペン2は、センシングの結果としてアップリンク信号US1を受信すると、その中からリソースアロケーションスキームを取り出し、自身のメモリ(図示せず)に設定する(ステップS5)。この後のペン2は、メモリに設定したリソースアロケーションスキームに従って動作することになる。また、ペン2は、受信したアップリンク信号US1からペアリング設定情報を取り出して取得する(ステップS6)。
【0094】
ここで、ステップS1の決定によりリソースアロケーションスキームが変更されることになった場合、ペン2だけでなく、リソースアロケーションスキームの変更を決定したセンサコントローラ50自身も、新たなリソースアロケーションスキームに従って動作するように自身を変更する必要がある。具体的には、ダウンリンク信号DSの受信方法を新たなリソースアロケーションスキームに従う受信方法に変更する必要がある。より具体的なな例を挙げると、例えばシンボル長SLを変更した場合であれば、ダウンリンク信号DSを検出するための受信ウィンドウ(典型的には、離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換のウィンドウ)を変更する必要がある。こうすることで、センサコントローラ50は、ペン2が新たなリソースアロケーションスキームに従って送信したダウンリンク信号DSを適切に受信できるようになる。
【0095】
ペアリング設定情報を取得したペン2は、その中のイネーブルデータを参照することにより、アップリンク信号US1を送信してきたセンサコントローラ50がペアリング可の状態であるか否かを判定する(ステップS7)。その結果、ペアリング可でないと判定した場合には、アップリンク信号US1のセンシングに戻る。一方、ペアリング可であると判定した場合、ペン2は、受信したペアリング設定情報から時間スロット識別情報TDID及び周波数識別情報FIDを取り出して自身のメモリ(図示せず)に設定する(ステップS8)。そして、ステップS5で設定したリソースアロケーションスキームにより示される複数の時間スロットのうち、ステップS8で設定した時間スロット識別情報TDIDに対応するものを選択し、該リソースアロケーションスキームに含まれる各種通信パラメータと、ステップS8で設定した周波数識別情報FIDにより示される周波数とを用いて、上述したペアリング用ビットデータを含むデータ信号を含むダウンリンク信号DSを送信する(ステップS9)。その後、ペン2はペアリングモードにエントリする(ステップS10)とともに、ステップS4で受信したアップリンク信号US1からペアリング制御インジケータを取得して、図示しないメモリに保持する(ステップS11)。
【0096】
ステップS9で送信されたダウンリンク信号DSを受信したセンサコントローラ50は、その中に含まれるトーン信号(又はデータ信号)及びチルト信号に基づいてペン2の位置及び傾きを検出する(ステップS12)とともに、データ信号内に含まれる筆圧値等の各種データを取得する(ステップS13)。図示していないが、センサコントローラ50は、こうして検出ないし取得されたデータを制御部40(
図1を参照)に逐次供給するよう構成される。また、センサコントローラ50は、ペアリングモードにエントリする(ステップS14)とともに、ダウンリンク信号DS内のデータ信号に含まれていたペアリング用ビットデータを取り出し、図示しないメモリに保持する処理を行う(ステップS15)。
【0097】
図11は、センサコントローラ50及びペン2がともにペアリングモードにある場合の処理を示すフローチャートである。同図に示すように、まずセンサコントローラ50により、新たなペン2に割り当てるローカルペンIDが決定される(ステップS20)。センサコントローラ50は、まだ他のペン2に割り当てていない1以上のローカルペンID(すなわち、直前に送信したアップリンク信号USにおいてペアリング制御インジケータが「0」となっていたローカルペンID)の中から1つを選択することにより、新たなペン2に割り当てるローカルペンIDを決定する。
【0098】
その後、フレームの開始タイミングが到来すると(ステップS21)、センサコントローラ50は、
図6(c)に示したアップリンク信号US3を送信する(ステップS22)。このアップリンク信号US3においては、ステップS20で決定されたローカルペンIDのペアリング制御インジケータが「1」となる。また、このアップリンク信号US3に含まれるペンIDのハッシュ値は、
図10のステップS15で導出されたものとなる。
【0099】
ペアリングモードにあるペン2は、センシングの結果としてアップリンク信号US3を受信すると、その中に含まれていたペアリング用ビットデータが
図10のステップS9で送信したものと一致するか否かを判定する(ステップS25)。その結果、一致しないと判定した場合には、ペアリングに失敗したとみなし、ディスカバリモードに戻って処理を継続する(ステップS32)。一方、一致すると判定した場合、ペン2は、センサコントローラ50とのペアリングを確立した後(ステップS26)、新旧のペアリング制御インジケータを比較することにより、自身に割り当てられたローカルペンIDを取得する(ステップS27)。すなわち、自身に割り当てられたローカルペンIDのペアリング制御インジケータは、それまでのアップリンク信号USにおいては「0」となっていたはずである一方、上述したように、ステップS22で受信されるアップリンク信号US3においては「1」となるので、ペン2は、
図10のステップS11で保持しておいたペアリング制御インジケータ(旧ペアリング制御インジケータ)と、ステップS22で受信したアップリンク信号US3に含まれていたペアリング制御インジケータ(新ペアリング制御インジケータ)とを比較することにより、自身に割り当てられたローカルペンIDを取得することができる。なお、ここでは新旧のペアリング制御インジケータを比較することによりローカルペンIDを取得することとしたが、ステップS20で決定したローカルペンIDを新たなペン2に割り当てるものとしてアップリンク信号US3内に明記しておき、それをペン2が取得することとしても構わない。
【0100】
その後、ペン2は、通信モードにエントリし(ステップS28)、ダウンリンク信号DSの送信を行う(ステップS29)。具体的には、
図10のステップS5で設定したリソースアロケーションスキームにより示される複数の時間スロットのうち、
図10のステップS8で設定した時間スロット識別情報TDIDに対応するものを選択し、該リソースアロケーションスキームに含まれる各種通信パラメータと、
図10のステップS8で設定した周波数識別情報FIDにより示される周波数とを用いて、ダウンリンク信号DSを送信する。
【0101】
ステップS28で送信されたダウンリンク信号DSを受信したセンサコントローラ50は、そのダウンリンク信号DSを送信したペン2とのペアリングを確立した後(ステップS30)、受信したダウンリンク信号DSに基づいて、
図10を参照して説明したステップS12,S13の処理を行う。そして、送信すべきコマンドがある場合にはコマンド送信モードに、ない場合にはディスカバリモードにそれぞれエントリする(ステップS31)。なお、パネル面1a上に近づいたペン2とのペアリングを遅延なく実施するため、センサコントローラ50は、送信すべきコマンドの有無にかかわらず、少なくとも一定の頻度でディスカバリモードにエントリすることが好ましい。
【0102】
図12は、センサコントローラ50がコマンド送信モードにあり、ペン2が通信モードにある場合の処理を示すフローチャートである。同図に示すように、まずセンサコントローラ50により、コマンドの送信先であるペン2及びコマンドの内容が決定される(ステップS40)。その後、フレームの開始タイミングが到来すると(ステップS41)、センサコントローラ50は、
図6(b)に示したアップリンク信号US2を送信する(ステップS42)。
【0103】
通信モードにあるペン2は、センシングの結果としてアップリンク信号US2を受信するとまず、その中から、自身に割り当てられたローカルペンID(ステップS26で取得したもの)に対応するペアリング制御インジケータを取得する(ステップS43)。そして、取得したペアリング制御インジケータに基づいて、自身がセンサコントローラ50に(継続して)検出されているか否かを判定する(ステップS44)。その結果、検出されていないと判定した場合(すなわち、取得したペアリング制御インジケータが「0」であった場合)、ペン2はペアリングを解除して、ディスカバリモードにエントリする(ステップS45)。
【0104】
一方、検出されているとステップS44において判定した場合(すなわち、取得したペアリング制御インジケータが「1」であった場合)、ペン2は、コマンドの宛先であるローカルペンIDを取得する(ステップS46)。そして、取得したローカルペンIDと自身に割り当てられたローカルペンID(ステップS26で取得したもの)とを比較することにより、コマンドの宛先が自身であるか否かを判定し(ステップS47)、自身でないと判定した場合には通常の(すなわち、アップリンク信号US2に含まれていたコマンドの内容に従って実行した処理の結果を含まない)ダウンリンク信号DSを送信する(ステップS50)。一方、自身であると判定した場合のペン2は、アップリンク信号US2に含まれていたコマンドの内容に従って処理を実行し(ステップS48)、処理結果を含むダウンリンク信号DSを送信する(ステップS49)。
【0105】
ステップS50又はステップS51で送信されたダウンリンク信号DSを受信したセンサコントローラ50は、
図10に示したステップS12,S13,S31の各処理を実行する。なお、ダウンリンク信号DSがステップS49で送信されたものであった場合、ステップS13で取得される各種データは、ペン2がコマンドに応じて取得したデータを含むものとなる。
【0106】
図13は、センサコントローラ50がディスカバリモードにあり、ペン2が通信モードにある場合の処理を示すフローチャートである。この場合のセンサコントローラ50はまず、
図10を参照して説明したステップS1~S4の処理を行い、アップリンク信号US1を送信する。アップリンク信号US1を受信したペン2は、
図12を参照して説明したステップS43,S44の処理を行い、自身がセンサコントローラ50に(継続して)検出されているか否かを判定する。その結果、検出されていないと判定した場合(すなわち、取得したペアリング制御インジケータが「0」であった場合)、ペン2はペアリングを解除して、ディスカバリモードにエントリする(ステップS45)。一方、検出されていると判定した場合(すなわち、取得したペアリング制御インジケータが「1」であった場合)、ペン2は、
図10を参照して説明したステップS5の処理を行い、新たなリソースアロケーションスキームに従って、
図12にも示した通常のダウンリンク信号DSの送信を行う(ステップS50)。なお、ステップS8で設定した通信リソース(具体的には、時間スロット識別情報TDID及び周波数識別情報FID)については、アップリンク信号US2内のコマンドによって変更されない限り、リソースアロケーションスキームの変更後も引き続き使用される。ステップS50で送信されたダウンリンク信号DSを受信したセンサコントローラ50は、
図10に示したステップS12,S13,S31の各処理を実行する。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態によれば、新たなリソースアロケーションスキームを示す情報を、コマンドによる個別送信ではなく、ペアリング済のすべてのペン2に対する同報により送信するので、マルチペン対応電子機器におけるリソースアローケーションスキームの変更を従来より少ない処理かつ短い時間で簡易に実現可能となる。
【0108】
また、センサコントローラ50側からダウンリンク信号DSのシンボル長SLを変更することができ、したがって、ダウンリンク信号DSに含まれるデータ信号のビットレートを変更することができるので、ダウンリンク信号DSの受信状態を良好に保つべくビットレートや信号の送信間隔を最適化することが可能になる。
【0109】
なお、本実施の形態によれば、ペアリング済のペン2の数が減ったために、センサコントローラ50がTDID数を減らすためのリソースアロケーションスキームの変更を行う場合、それまでに割り当てられていた時間スロット識別情報TDIDの値によっては、ペン2がダウンリンク信号DSを送信できなくなってしまう可能性がある。例えば、TDID数が4のリソースアロケーションスキームからTDID数が3のリソースアロケーションスキームに変更する場合であれば、変更後には時間スロット識別情報TDID=4に対応する時間スロットが消滅してしまうので、時間スロット識別情報TDID=4を割り当てられていたペン2はダウンリンク信号DSを送信することができなくなる。そこでセンサコントローラ50は、TDID数が減少するようなリソースアロケーションスキームの変更を行う場合であって、変更後にダウンリンク信号DSを送信できなくなるペン2が存在している場合には、予めアップリンク信号US2により、時間スロット識別情報TDIDの割り当てを変更するコマンドを送信しておくことが好ましい。
【0110】
また、
図14に例示するように、
図4に示した時間の各利用方法において、各時間スロット識別情報TDIDの2番目のデータ信号と2番目のトーン信号の位置を入れ替えてなる態様(入れ替えパターン)など、同一の時間スロット内でのアサインを変更した時間の利用方法をさらに採用することとしてもよい。この場合、アップリンク信号US1により同報送信されるリソースアロケーションスキームに、
図4に示した利用方法と、変更した利用方法とのいずれを採用するかという情報も含むことが好ましい。
【0111】
また、アップリンク信号US2により送信するコマンドの宛先として、上述したローカルペンIDに代え、周波数識別情報FIDを使用してもよい。こうすることで、特定の周波数を利用するペン2に対してのみ指示を与えることが可能になる。こうして送信される指示の例としては、各ペン2の周波数を一斉に変更する指示などが挙げられる。
【0112】
また、アップリンク信号US1内のペアリング設定情報により各ペン2に割り当てる時間スロット識別情報TDIDを、ローカルペンIDとしても利用することとしてもよい。この場合、ローカルペンIDを決定するための処理(
図11のステップS20)を省略することが可能になる。同様に、周波数識別情報FIDをローカルペンIDとして利用することも可能である。
【0113】
次に、本発明の第2の実施の形態による電子機器1及びペン2について説明する。本実施の形態は、1つのスーパーフレーム内でペン検出処理及びタッチ検出処理が複数回ずつ交互に実行される点で、第1の実施の形態と相違する。その他の点では第1の実施の形態と同様であるので、以下では、同一の構成には同一の符号を付し、第1の実施の形態との相違点に着目して説明を続ける。
【0114】
図15は、本実施の形態によるペン検出処理とタッチ検出処理の時間的な関係を示す図である。同図と
図3とを比較すると理解されるように、本実施の形態においては、1つのスーパーフレーム内でペン検出処理及びタッチ検出処理が複数回ずつ交互に実行される。したがって、本実施の形態では、1つのスーパーフレーム内に複数のフレームが任意の間隔を空けて配置されることになる。
【0115】
図16(a)及び
図16(b)はそれぞれ、本実施の形態で使用されるアップリンク信号USの構成を示す図である。本実施の形態では、これらの図に挙げたアップリンク信号US1a,US4の他、
図6(b)及び
図6(c)に示したアップリンク信号US2,US3も使用される。
【0116】
アップリンク信号US1aは、アップリンク信号US1に代えて使用される信号である。アップリンク信号US1との違いは、リソースアロケーションスキーム内に分割情報が含まれている点にある。この分割情報は、スーパーフレーム内に配置されるフレームの数を示す情報である。具体的には、フレームの数そのものであってもよいし、予めテーブルの形式でセンサコントローラ50とペン2に複数の分割数を共有しておく場合には、そのテーブルの行番号を示す情報であってもよい。本実施の形態によるペン2は、受信したアップリンク信号US1aから分割情報を取得することによりスーパーフレーム内に配置されるフレームの数を予め取得し、その数と同数のアップリンク信号USをセンシングするよう構成される。
【0117】
アップリンク信号US4は、アップリンク信号US2と同様のヘッダ及びペアリング制御インジケータの後ろに、所定の後続アップリンク信号識別データ(後述)を配置してなる信号である。この例では、ヘッダの内容がアップリンク信号US2と同じであることから、後続アップリンク信号識別データは、ペン2によってコマンドの一種とみなされる。ただし、アップリンク信号US4専用のヘッダを用意し、ヘッダによりアップリンク信号US4を識別できるようにしてもよい。後続アップリンク信号識別データの具体的な内容は、アップリンク信号US4をアップリンク信号US2から区別するための所定数ビットのデータ(すなわち、コマンドとしては現れないビット値の組み合わせ)であり、ペン2は、受信したアップリンク信号US2から後続アップリンク信号識別データを取得した場合に、そのアップリンク信号USがアップリンク信号US4であると判定する。
【0118】
センサコントローラ50は、スーパーフレーム内の先頭に位置する先頭フレーム以外のフレームである後続フレームにおいては、アップリンク信号US1a,US2,US3(先頭アップリンク信号)ではなく、アップリンク信号US4(後続アップリンク信号)を送信するよう構成される。アップリンク信号US4の主たる役割は、対応する後続フレーム内に配置される複数の時間スロットの基準時刻をペアリング済の各ペン2に対して通知する点にあり、アップリンク信号US4を受信したペン2は、その受信タイミングに基づいて、対応する後続フレーム内の各時間スロットの時間的位置を取得するよう構成される。
【0119】
本実施の形態によるセンサコントローラ50は、アップリンク信号US4を送信する際に、その送信タイミングを適宜調整する処理を行うよう構成される。具体的には、アップリンク信号US4の送信の都度、スーパーフレームの時間的な位置から決定される送信タイミングから、後続フレームごとに異なる時間だけ前後に送信タイミングを移動させる。より好適には、0を含むランダムな時間だけ前後に送信タイミングを移動させることとしてもよい。こうすることにより、スーパーフレーム内における各後続フレームの時間的位置が適宜変更されるので、各フレームと交互に配置されるタッチ検出処理の時間長を柔軟に変更することが可能になる。また、インセル方式の表示装置10において、縞状の表示ノイズや音鳴りが発生することを抑制可能となる。
【0120】
以上説明したように、本実施の形態によれば、センサコントローラ50は、各後続フレーム内の先頭でアップリンク信号US4を送信し、しかも、その送信タイミングを適宜調整しているので、スーパーフレーム内における各後続フレームの時間的位置を変更することができる。したがって、表示装置10における縞状の表示ノイズや音鳴りの発生を抑制でき、また、各フレームと交互に配置されるタッチ検出処理の時間長を柔軟に変更することが可能になる。
【0121】
なお、本実施の形態では、アップリンク信号US1a内のリソースアロケーションスキーム内に分割数を配置することによって、スーパーフレーム内に配置されるフレームの数をペン2に通知していたが、各アップリンク信号US内に後続フレームがあるか否かを示す1ビットの情報を配置することにより、後続フレームの有無をペン2に通知することとしてもよい。また、各アップリンク信号US内にフレーム番号を示すデータを配置することとしてもよい。
【0122】
次に、本発明の第3の実施の形態による電子機器1及びペン2について説明する。本実施の形態は、電子機器1がいわゆる「インセル方式」の位置検出装置である点で、第2の実施の形態と相違する。その他の点では第2の実施の形態と同様であるので、以下では、同一の構成には同一の符号を付し、第2の実施の形態との相違点に着目して説明を続ける。
【0123】
図17は、本実施の形態による電子機器1及びペン2を含むシステムを示す図である。同図に示すように、本実施の形態によるセンサパネル30は、表示装置10の中に設けられる。具体的には、
図1において共通電極17が配置されていた位置に行電極群31が配置され、ガラス基板19と偏光フィルター20の間に列電極群32が配置される。行電極群31及び列電極群32それぞれの構成は、
図2を参照して説明したものと同一である。
【0124】
本実施の形態においては、行電極群31が共通電極17としての役割を担う。したがって、表示装置10が画素の駆動動作を行うときには、制御部40により、行電極群31の電位がグランド電位に固定される。こうして行電極群31の電位がグランド電位に固定されている間、センサコントローラ50はペン2との通信を行うことができない。
【0125】
ここで、表示装置10による画素の駆動動作においては、画面内の一番上の行から一段ずつ下がりながら、一段ごとに一定の時間内に、段内の各画素に対する書き込みが同時に行われる。そして、ある段の駆動終了から次の段の駆動開始までの間に、一定の時間、画素の駆動が行われないブランク期間が発生する。画素の駆動が行われないので、ブランク期間内においては、行電極群31の電位をグランド電位に固定する必要はない。そこで本実施の形態によるセンサコントローラ50は、このブランク期間を利用してペン2との通信を行うように構成される。
【0126】
図18、
図19(a)、及び
図19(b)はそれぞれ、本実施の形態におけるスーパーフレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。これらの図に示すように、1つのスーパーフレーム内には、複数のブランク期間BPと画素駆動期間DPとが交互に発生する。本実施の形態によるセンサコントローラ50は、このうち複数のブランク期間BPを用いて、アップリンク信号USの送信、ダウンリンク信号DS(データ信号及びチルト信号、必要な場合には、さらにトーン信号を含む)の受信、及び、タッチ検出処理(Touch)を行う。
【0127】
本実施の形態においては、
図10及び
図13に示したステップS1で行われるリソースアロケーションスキームの決定は、ブランク期間BPの時間長及び時間スロットの時間長にも基づいて実行される。具体的には、1つのブランク期間BPの中に複数の時間スロットを配置できる場合には、1つのブランク期間BPの中に複数の時間スロットを配置するように構成されたリソースアロケーションスキームを用いることが好ましい。また、1つのブランク期間BPの中に1つの時間スロットのみを配置できる場合には、1つのブランク期間BPの中に1つの時間スロットを配置するように構成されたリソースアロケーションスキームを用いることが好ましい。このリソースアロケーションスキームにおいては、例えばTDID数=2であるとすると、一連のブランク期間BPに対し、各時間スロット識別情報TDIDに属する時間スロットを交互に割り当てることが好ましい。
【0128】
図18、
図19(a)、及び
図19(b)を参照してより具体的に説明すると、まず
図18は、TDID数=1であって、ブランク期間BPの時間長が時間スロットの時間長に略等しい場合を示している。この場合、同図に示すように、センサコントローラ50は、1つのブランク期間BP内に1つの時間スロットが配置されるように、リソースアロケーションスキームを決定することが好ましい。また、
図19(a)は、TDID数=2であって、ブランク期間BPの時間長が時間スロットの時間長の2倍に略等しい場合を示している。この場合、同図に示すように、センサコントローラ50は、1つのブランク期間BP内に2つの時間スロットが配置されるように、リソースアロケーションスキームを決定することが好ましい。結果として、同図に示すように、1つのブランク期間BPの中で、2本のペン2が連続してダウンリンク信号DSの送信を行うことになる。さらに、
図19(b)は、TDID数=2であって、ブランク期間BPの時間長が時間スロットの時間長に略等しい場合を示している。この場合、同図に示すように、センサコントローラ50は、一連のブランク期間BPに対し、各時間スロット識別情報TDIDに属する時間スロットが交互に割り当てられることとなるように、リソースアロケーションスキームを決定することが好ましい。
【0129】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ブランク期間BPの時間長と時間スロットの時間長とに基づいてリソースアロケーションスキームを決定しているので、ブランク期間BPを有効に活用してセンサコントローラ50とペン2の間の通信を行うことが可能になる。
【0130】
なお、本実施の形態では、センサパネル30を行電極群31及び列電極群32により構成する例(いわゆる相互容量タイプ)を説明したが、本発明は、
図1に示した電子機器1において、マトリクス状に敷き詰めた複数のブロック状電極(四角形の電極)により共通電極17を置き換え、この複数のブロック状電極によりセンサパネル30を構成する例(いわゆる自己容量タイプ)にも適用可能である。
【0131】
また、本実施の形態では、1つのブランク期間の中に複数の時間スロットを配置する例を説明したが、ブランク期間の時間長が十分に長い場合には、1つのブランク期間の中に1つのフレームを配置することとしてもよい。
【0132】
図20は、「インセル方式」の位置検出装置である電子機器1において、1つのブランク期間の中に1つのフレームを配置する場合における、フレームと画素駆動期間DPの時間的な関係を示す図である。同図に示す関係は、
図15のタッチ検出処理を画素駆動期間DPで置き換えたものに他ならない。したがって、第2の実施の形態と同様、先頭アップリンク信号及び後続アップリンク信号を用いて、センサコントローラ50とペン2との間の通信を実行することができる。
【0133】
次に、本発明の第4の実施の形態による電子機器1及びペン2について説明する。本実施の形態は、フレームを構成する時間スロットの具体的な利用方法の点で、第1の実施の形態と相違する。その他の点では第1の実施の形態と同様であるので、以下では、同一の構成には同一の符号を付し、第1の実施の形態との相違点に着目して説明を続ける。
【0134】
図21は、本実施の形態で使用されるリソースアロケーションスキームのリストを含むリソースアロケーションスキームテーブルを示す図である。
図8のテーブル同様、同図のテーブルにおいても、個々のテーブル番号が1つのリソースアロケーションスキームを表している。また、同テーブルがペン2とセンサコントローラ50の両方に予め共有される点も、
図8のテーブルと同様である。なお、同図には、テーブル番号n,n+1に対応する2種類のリソースアロケーションスキームを例示しているが、リソースアロケーションスキームの数が2に限られないのは勿論である。
【0135】
図21に示すように、本実施の形態で使用されるリソースアロケーションスキームは、プライマリレーン数、スロット数、スロット割当、Ack割当、データスロットビット数、変調方式、シンボル長SL、及び時間長T
B,T
Xの各通信パラメータを含んで構成される。なお、ここで挙げた通信パラメータ以外の通信パラメータがリソースアロケーションスキームに含まれることしてもよいのは、勿論である。また、リソースアロケーションスキームを構成する通信パラメータの中に、他の1以上の通信パラメータの組み合わせから必然的に決定されるものが含まれていても構わない。
【0136】
図21に含まれる各通信パラメータのうち「スロット数」、「変調方式」、「シンボル長SL」、「時間長T
B」、「時間長T
x」については、第1の実施の形態で説明したとおりである。「データスロットビット数」は、上述したデータ信号により送信されるデータの量である。
【0137】
「プライマリレーン数」は、同時に使用可能なペン2の本数の半分を示す数である。詳しくは後述するが、本実施の形態では、1つのプライマリレーンに対応して1つのセカンダリレーンが設けられており、各レーンのそれぞれで1つのペン2との通信が行われる。したがって、プライマリレーン数が1である場合、同時に使用可能なペン2の本数は2本となる。また、プライマリレーン数が2である場合、セカンダリレーンの数も2となるので、同時に使用可能なペン2の本数は4本となる。
【0138】
「スロット割当」は、1フレームに含まれる「スロット数」分の時間スロットそれぞれのタイプを示す情報(スロット割当情報)である。「,」で区切られた「P(P)」「D(P)」「T(P)」などの文字列は、対応する時間スロットのタイプ(スロットタイプ)を表している。
【0139】
図22は、スロットタイプの内容を具体的に示す図である。初めに、同図に示す「シングルレーンモード」「デュアルレーンモード」はそれぞれ、本実施の形態によるセンサコントローラ50の動作モードである。センサコントローラ50は、
図9(a)に示した3つの動作モード(ディスカバリモード、コマンド送信モード、ペアリングモード)と並行して、シングルレーンモード及びデュアルレーンモードのいずれかで動作可能に構成される。
【0140】
シングルレーンモードは、プライマリレーンのみを用いてペン2との通信を行う動作モードである。したがって、センサコントローラ50がシングルレーンモードにエントリしている場合、同時に使用できるペン2の本数はプライマリレーンの数に等しくなる。シングルレーンモードで動作中のセンサコントローラ50は、第1の実施の形態などと同様、1つのフレームを基本単位(以下、「ペンデータ構成フレーム」と称する)として、各ペン2との通信を行う。
【0141】
ここで、ペンデータ構成フレームについて、説明する。ペンデータ構成フレームは、センサコントローラ50とペン2の間で行われる通信の基本単位である。1つのペンデータ構成フレームの中でペン2が送信できる必要のある信号の数は規格により定められており、少なくとも4つのトーン信号と、4つのデータ信号と、1つのチルト信号とを送信できなくてはならない。ただし、データ信号により位置を検出できるセンサコントローラ50においてはトーン信号の送信は不要であり、少なくとも4つのデータ信号及び1つのチルト信号を送信できればよい。本実施の形態によるセンサコントローラ50は、このペンデータ構成フレームの単位で、1以上のペン2のそれぞれと通信を行うよう構成される。
【0142】
デュアルレーンモードは、プライマリレーン及びセカンダリレーンの両方を用いてペン2との通信を行う動作モードである。したがって、センサコントローラ50がデュアルレーンモードにエントリしている場合、同時に使用できるペン2の本数は、プライマリレーンの数の2倍となる。デュアルレーンモードで動作中のセンサコントローラ50は、連続する2つ以上のフレームをペンデータ構成フレームとして、各ペン2との通信を行う。この点の詳細については、後述する。
【0143】
タイプP(B)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、並びに、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーン及びセカンダリレーンのいずれにおいても、上述したトーン信号の送信に用いられる時間スロットである。タイプP(P)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンではトーン信号の送信に用いられる一方、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではミュートとなる時間スロットである。ミュートは、センサコントローラ50がダウンリンク信号DSの受信を行わないことを意味する。
【0144】
タイプD(P)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンでは上述したデータ信号の送信に用いられる一方、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではミュートとなる時間スロットである。タイプT(P)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンでは上述したチルト信号の送信に用いられる一方、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではミュートとなる時間スロットである。
【0145】
タイプP(S)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではトーン信号の送信に用いられる一方、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンではミュートとなる時間スロットである。タイプD(S)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではデータ信号の送信に用いられる一方、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンではミュートとなる時間スロットである。タイプT(S)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではチルト信号の送信に用いられる一方、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンではミュートとなる時間スロットである。
【0146】
タイプM(P)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、及び、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーンではミュートとなる一方、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンではチルト信号の送信に用いられる時間スロットである。タイプM(B)は、シングルレーンモードにおけるプライマリレーン、並びに、デュアルレーンモードにおけるプライマリレーン及びセカンダリレーンのいずれにおいてもミュートとなる時間スロットである。
【0147】
ここで、センサコントローラ50は、初めにシングルレーンモードで1本のペン2との通信を開始した後、2本目のペン2との通信を開始する場合にデュアルレーンモードに移行するよう構成される。1本目のペン2との通信は、シングルレーンモード及びデュアルレーンモードでもプライマリレーンを用いて行われ、2本目のペン2との通信は、セカンダリレーンを用いて行われる。
【0148】
図22から理解されるように、タイプP(B),P(P),D(P),T(P)の各時間スロットは、シングルレーンモード及びデュアルレーンモードのいずれでもプライマリレーンに割り当てられており、したがって、センサコントローラ50のモードが変更される際にも、変わらず1本目のペン2からダウンリンク信号を受信するために用いられる。以下では、これらタイプP(B),P(P),D(P),T(P)の各時間スロットを「プライマリスロット」と称する場合がある。
【0149】
一方、タイプP(S),D(S),T(S)の各時間スロットは、シングルレーンモードではプライマリレーンに割り当てられるが、デュアルレーンモードではセカンダリレーンに割り当てられる。したがって、シングルレーンモードでは1本目のペン2からダウンリンク信号を受信するために用いられる一方、デュアルレーンモードでは2本目のペン2からダウンリンク信号を受信するために用いられることになる。以下では、これらタイプP(S),D(S),T(S)の各時間スロットを「セカンダリスロット」と称する場合がある。
【0150】
タイプM(P)の時間スロットは、デュアルレーンモードにおけるセカンダリレーンでチルト信号の送信に用いられる一方で、詳しくは後述するが、センサコントローラ50がシングルレーンモードにエントリしている場合に、未ペアリングのペン2からダウンリンク信号DSを受信するためにも用いられる。そこで以下では、タイプM(P)の時間スロットを「兼用スロット」と称する場合がある。また、未ペアリングのペン2が送信するダウンリンク信号DSはアップリンク信号US1に対する応答信号であることから、以下では、このダウンリンク信号DSを「Ack信号」と称する場合がある。
【0151】
タイプM(B)の時間スロットも、詳しくは後述するが、センサコントローラ50がシングルレーンモードにエントリしている場合に、未ペアリングのペン2からAck信号を受信するためにも用いられる。そこで以下では、タイプM(B)の時間スロットを「Ackスロット」と称する場合がある。
【0152】
図23(a)は、
図21に示したテーブル番号nに対応するフレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。同図に示すように、フレームの先頭ではセンサコントローラ50からアップリンク信号USが送信され、続く12個の時間スロットには、
図21の「スロット割当」欄に示した順序で、それぞれのタイプが付与される。
【0153】
図23(b)は、
図21に示したテーブル番号n+1に対応するフレーム内における時間の利用方法の一例を示す図である。同図の例でも、フレームの先頭ではセンサコントローラ50からアップリンク信号USが送信される。続く14個の時間スロットは、2つのプライマリレーン0,1に交互に割り当てられる。そして、プライマリレーンごとに
図21の「スロット割当」欄に示した順序で、各時間スロットにタイプが付与される。
【0154】
ここで、
図23(b)から理解されるように、テーブル番号n+1に対応するリソースアロケーションスキームでは、
図5に示した例と同様、ペン2からのダウンリンク信号DSにトーン信号が含まれない。したがって、テーブル番号n+1に対応するリソースアロケーションスキームを使用できるのは、トーン信号がなくてもペン2の位置を検出できるように構成されたセンサコントローラ50に限定される。この種のセンサコントローラ50は、トーン信号の代わりにデータ信号を用いて、ペン2の位置を検出するように構成される。
【0155】
図21に戻る。「Ack割当」は、センサコントローラ50がシングルレーンモードにエントリしている場合(すなわち、1本目のペン2と通信を行っている場合)に、未ペアリングのペン2からAck信号を受信するために用いる時間スロットを示す情報である。
図21の例では、テーブル番号nの場合、6番目、9番目、12番目の各時間スロットが未ペアリングのペン2からAck信号を受信するために用いられ、テーブル番号n+1の場合、7番目、8番目、11番目、12番目の各時間スロットが未ペアリングのペン2からAck信号を受信するために用いられることになる。
【0156】
図24(a)~
図24(e)はそれぞれ、本実施の形態で使用されるアップリンク信号USの構成を示す図である。これらの図に示すように、本実施の形態においても上述したアップリンク信号US1~US3が用いられるが、それぞれの内容は第1の実施の形態で説明したものと相違している。
図24(d)に示したアップリンク信号US2aはアップリンク信号US2の一種であり、
図24(e)に示したアップリンク信号US2a'は、アップリンク信号US2aの短縮版(以下、「ショートアップリンク信号」という場合がある)である。
【0157】
図24(a)~
図24(d)に示す「プロトコル特定情報」及び「USTYPE」は、
図6(a)~
図6(c)に示したヘッダの具体的な内容に相当する。具体的に説明すると、「プロトコル特定情報」は、そのアップリンク信号USが本実施の形態によるものであることを示す4ビットの情報である。「USTYPE」は、アップリンク信号USの種類を示す2ビットの情報(アップリンクタイプ情報)であり、アップリンク信号US1~US3を識別するために使用される。
【0158】
図24(a)に示す「ST」は、「ペン状態インジケータ」により示されるペン状態がペアリング状態及び接触状態のいずれであるかを示す1ビットの情報(状態タイプ情報)である。
【0159】
「ST」がペアリング状態に対応する値を有する場合、「ペン状態インジケータ」は、ペアリング可能な本数分のペン2それぞれのペアリング状態(ペアリング中又は未ペアリング)を示す5ビットの情報となる。具体的な例では、「ペン状態インジケータ」によりペアリング状態を示すことのできるペン2の本数は8である。この場合、最初の1ビットが「0」である場合には、残りの4ビットで1番目~4番目のペン2のペアリング状態が示され、最初の1ビットが「1」である場合には、残りの4ビットで5番目~8番目のペン2のペアリング状態が示される。
【0160】
一方、「ST」が接触状態に対応する値を有する場合、「ペン状態インジケータ」は、ペアリング可能な本数分のペン2それぞれの接触状態(
図1に示したパネル面1aに接触しているか否か)を示す5ビットの情報となる。具体的な例では、「ペン状態インジケータ」により接触状態を示すことのできるペン2の本数は8である。この場合、最初の1ビットが「0」である場合には、残りの4ビットで1番目~4番目のペン2の接触状態が示され、最初の1ビットが「1」である場合には、残りの4ビットで5番目~8番目のペン2の接触状態が示される。
【0161】
「PE」は、センサコントローラ50が新たなペン2とペアリング可能かどうかを示す1ビットの情報(ペアリングイネーブル情報)である。「ペアリング設定情報」は、たなペン2に対して割り当てる周波数を示す3ビットのデータである周波数識別情報FIDと、新たなペン2に対して割り当てるレーンを示す2ビットのデータであるレーン識別情報LIDとにより構成される。なお、本実施の形態においては、レーン識別情報LIDは、2つのプライマリレーン、及び、それぞれのセカンダリレーンを相互に識別する情報となる。
【0162】
図24(b)~
図24(d)に示すように、アップリンク信号US2,US3は、「PE」の値により、「ペアリング設定情報」と「ペン状態インジケータ」のいずれか一方を含む。具体的には、センサコントローラ50が新たなペン2とペアリング可能である場合には「ペアリング設定情報」を含み、センサコントローラ50が新たなペン2とペアリング可能でない場合には「ペン状態インジケータ」を含む。
【0163】
「テーブル番号」は、センサコントローラ50が採用しているリソースアロケーションスキームを示す情報であり、
図21に示したn,n+1のいずれか一方の値を含む。この「テーブル番号」を含むことにより、アップリンク信号US1によれば、センサコントローラ50からペン2に対し、フレーム内の各スロットのタイプを示すスロット割当情報が通知される。「RM」は、センサコントローラ50がシングルレーンモード及びデュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す情報(動作モード情報)である。
【0164】
図24(b)に示す「コマンド」は、センサコントローラ50から各ペン2への命令又は通知を示す情報であり、「コマンド種別」及び「コマンド内容」を含んで構成される。「コマンド種別」の例としては、周波数の設定命令、周波数の変更命令、レーンの設定命令、レーンの変更命令、ペアリングの解除命令、当該フレームが後述するサブフレームであることの通知などが含まれる。
【0165】
「コマンド種別」が周波数の設定命令である場合、「コマンド内容」には、対象のペン2に割り当て済みのローカルペンIDと、設定すべき周波数を示す周波数識別情報FIDとが含まれる。「コマンド種別」が周波数の変更命令である場合、「コマンド内容」には、変更前の周波数を示す周波数識別情報FIDと、変更後の周波数を示す周波数識別情報FIDとが含まれる。
【0166】
「コマンド種別」がレーンの設定命令である場合、「コマンド内容」には、対象のペン2に割り当て済みのローカルペンIDと、設定すべきレーンを示すレーン識別情報LIDとが含まれる。「コマンド種別」がレーンの変更命令である場合、「コマンド内容」には、変更前のレーンを示すレーン識別情報LIDと、変更後のレーンを示すレーン識別情報LIDとが含まれる。
【0167】
「コマンド種別」がペアリングの解除命令である場合、「コマンド内容」には、対象のペン2に割り当て済みのローカルペンIDが含まれる。
【0168】
「コマンド種別」が当該フレームが後述するサブフレームであることの通知である場合のアップリンク信号US2は、
図24(d)に示したアップリンク信号US2aである。この図に示すように、この場合の「コマンド内容」には、2ビットのサブフレーム番号と、ペン2が最後に取得したテーブル番号により示されるリソースアロケーションスキームで動作すべきか否かを示す1ビットの情報PTとが含まれる。なお、このうちのサブフレーム番号は、後述するペンデータ構成フレーム内における1以上のサブフレームの通番を示す数値情報である。また、情報PTには、通常、ペン2が最後に取得したテーブル番号により示されるリソースアロケーションスキームで動作すべきことを示す値が設定される。情報PTを設けているのは、ペン2にリソースアロケーションスキームの変更がないことを通知するためである。ペン2が最後に取得したテーブル番号により示されるリソースアロケーションスキームで動作すべきでないことを示す値が情報PTに設定されていることを検出したペン2は、リソースアロケーションスキームの設定に失敗したと判定し、センサコントローラ50とのペアリング状態を解除する。
【0169】
図24(c)に示す「ペアリング確認データ」は、
図6に示した「ペアリング確認コード」と同様のデータである。「割り当てLPID」は、これからペアリングするペン2に対して新たに割り当てるローカルペンIDを示す情報である。本実施の形態によるペン2は、
図11のステップS27に示した新旧ペアリング制御インジケータの比較に代え、センサコントローラ50からの通知によって自身に割り当てられたローカルペンIDを取得するよう構成される。ただし、新旧ペアリング制御インジケータの比較によってローカルペンIDを取得することとしても構わない。
【0170】
図24(e)に示す「ショートアップリンク指示情報」は、そのアップリンク信号USがアップリンク信号US2a'であることをペン2に通知するための7ビットの情報である。アップリンク信号US2a'には、この「ショートアップリンク指示情報」の他に、上述した2ビットのサブフレーム番号と、上述した1ビットの情報PTとが含まれる。
【0171】
以下、テーブル番号n,n+1に対応する2つのリソースアロケーションスキームのそれぞれに関して、ペアリングするペン2の本数が増加していく場合の各時間スロットの利用方法について、
図25~
図32を参照しながら詳しく説明する。
【0172】
図25~
図27は、テーブル番号nのリソースアロケーションスキームを用いる場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
図25はペアリング中のペン2の数が0である場合、
図26はペアリング中のペン2の数が1である場合、
図27はペアリング中のペン2の数が2である場合をそれぞれ示している。なお、各図中のレーン0は上述したプライマリレーンに相当し、レーン1はレーン0に対応するセカンダリレーンに相当する。
【0173】
図25に示すように、ペアリング中のペン2の数が0である場合、センサコントローラ50は、
図9(a)に示したディスカバリモードにエントリし、
図10に示した処理と同様の処理を行う。ただし、
図10のステップS2,S8では、時間スロット識別情報TDIDに代え、レーン0を示すレーン識別情報LIDが設定される。
【0174】
このときセンサコントローラ50は、ディスカバリモードと並行して、上述したシングルレーンモードにエントリする。これによりセンサコントローラ50は、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱い、各フレームの先頭で
図24(a)に示したアップリンク信号US1を送信することになる。また、センサコントローラ50は、ミュートとなっている6番目と9番目の時間スロット(
図23(a)を参照)以外の各時間スロットをレーン0に割り当て、それぞれにおいてAck信号の受信を試みる。なお、
図25では、センサコントローラ50がAck信号の受信を試みる時間スロットを「A」と表記している。この点は、後掲する他の図でも同様である。
【0175】
Ack信号が受信された場合、センサコントローラ50は
図9(a)に示したペアリングモードにエントリし、Ack信号を送信したペン2とのペアリングを行う。このペアリングの詳細は、
図11を参照して説明したとおりである。ただし、
図11のステップS27では、ペン2は、新旧ペアリング制御インジケータの比較に代え、アップリンク信号US3からの取り出しによってローカルペンIDを取得する。ペアリングの最中にも、シングルレーンモードへのエントリは維持される。
【0176】
図26は、1本のペン2とのペアリングが完了した状態を示している。このときもセンサコントローラ50は、引き続きシングルレーンモードにエントリし、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う。そして、
図12及び
図13に示した処理と同様の処理により、各フレームの先頭でアップリンク信号US1又はアップリンク信号US2を送信する。ただし、
図13のステップS2では、時間スロット識別情報TDIDに代え、レーン1を示すレーン識別情報LIDが設定される。
【0177】
また、センサコントローラ50は、
図22に示したプライマリスロット及びセカンダリスロットのすべてをレーン0に割り当て、ペアリング中のペン2からダウンリンク信号DSを受信するために使用する。ペン2も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がシングルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、
図22に示したプライマリスロット及びセカンダリスロットのすべてをレーン0に割り当てる。そして、
図10のステップS8で設定したレーン識別情報LIDに従い、レーン0を用いてダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0178】
なお、
図26では、センサコントローラ50がトーン信号の受信を試みる時間スロットを「P」と表記し、データ信号の受信を試みる時間スロットを「D」と表記し、チルト信号の受信を試みる時間スロットを「T」と表記している。この点は、後掲する他の図でも同様である。
図26から明らかなように、この場合のペン2は、1つのフレーム内で4つのトーン信号と、4つのデータ信号と、1つのチルト信号とを送信できる。したがって、センサコントローラ50は、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱うことができる。
【0179】
センサコントローラ50はまた、
図22に示した兼用スロット又はミュートスロットである6番目と9番目の時間スロットをレーン1に割り当て、別のペン2が送信したAck信号の受信を試みるために使用する。
図22に示したように、兼用スロット及びミュートスロットはシングルレーンモードではミュートとなっていることから、このようにレーン1でAck信号を受信するために用いることができる。レーン1でAck信号を受信した場合のペアリング処理は、レーン0でAck信号を受信した場合のペアリング処理と同様である。
【0180】
図27は、2本目のペン2とのペアリングが完了した状態を示している。このときセンサコントローラ50は、レーン0,1の両方を用いてペン2との通信を行うデュアルレーンモードにエントリし、連続する2つ以上のフレーム(
図3、
図15、
図20に示したように、2つのフレームの間にタッチ検出処理又は画素駆動が行われる場合を含む)を1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う。なお、
図27には、連続する2つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う場合を例示している。この点は、後掲する
図31~
図34でも同様である。また、以下では、ペンデータ構成フレームに含まれる1つ目のフレームを「メインフレーム」と称し、2つ目以降のフレームを「サブフレーム」と称する場合がある。
【0181】
この場合のセンサコントローラ50は、
図12に示した処理と同様の処理により、各ペンデータ構成フレームの先頭でアップリンク信号US2を送信する。新たなペン2を受け入れる余地がないことから、センサコントローラ50はアップリンク信号US1の送信を行わず、Ack信号の受信も行わない。
【0182】
また、センサコントローラ50は、サブフレームの先頭で、
図24(d)に示したアップリンク信号US2a、又は、
図24(e)に示したショートアップリンク信号US2a'を送信する。これらの信号を受信したペン2は、そのサブフレームを、直前のメインフレームと一体で用いられるフレームであると判定する。
【0183】
センサコントローラ50はさらに、
図22に示したプライマリスロットをレーン0に割り当てる一方、セカンダリスロット及び兼用スロットをレーン1に割り当て、ペアリング中の2本のペン2それぞれからのダウンリンク信号DSを受信するために使用する。各ペン2も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がデュアルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、
図22に示したプライマリスロットをレーン0に割り当てる一方、セカンダリスロット及び兼用スロットをレーン1に割り当てる。そして、
図10のステップS8で設定したレーン識別情報LIDに従い、レーン0,1のいずれかを用いてダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0184】
図28~
図32は、テーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
図28はペアリング中のペン2の数が0である場合、
図29はペアリング中のペン2の数が1である場合、
図30はペアリング中のペン2の数が2である場合、
図31はペアリング中のペン2の数が3である場合、
図32はペアリング中のペン2の数が4である場合をそれぞれ示している。
【0185】
テーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合、センサコントローラ50は、4つのレーン0~3を有して構成される。レーン0,1はそれぞれ、
図23(b)に示したプライマリレーン0,1である。また、レーン2,3はそれぞれ、レーン0,1に対応するセカンダリレーンに相当する。
【0186】
図28に示すように、ペアリング中のペン2の数が0である場合、センサコントローラ50は、
図9(a)に示したディスカバリモードにエントリし、
図10に示した処理と同様の処理を行う。ただし、
図10のステップS2,S8では、時間スロット識別情報TDIDに代え、レーン0を示すレーン識別情報LIDが設定される。
【0187】
このときセンサコントローラ50は、ディスカバリモードと並行して、上述したシングルレーンモードにエントリする。これによりセンサコントローラ50は、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱い、各フレームの先頭で
図24(a)に示したアップリンク信号US1を送信することになる。また、センサコントローラ50は、レーン0に割り当てることが予定されている1,3,5,7,9,11,13番目の時間スロットのうちミュートとなっている7番目と11番目の時間スロット(
図23(b)を参照)以外の各時間スロットをレーン0に割り当て、それぞれにおいてAck信号の受信を試みる。その結果としてAck信号が受信された場合、センサコントローラ50は
図9(a)に示したペアリングモードにエントリし、
図11に示した処理と同様の処理により、Ack信号を送信したペン2とのペアリングを行う。
【0188】
図29は、1本のペン2とのペアリングが完了した状態を示している。このときもセンサコントローラ50は、引き続きシングルレーンモードにエントリし、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う。そして、
図12及び
図13に示した処理と同様の処理により、各フレームの先頭でアップリンク信号US1又はアップリンク信号US2を送信する。ただし、
図13のステップS2では、時間スロット識別情報TDIDに代え、レーン1を示すレーン識別情報LIDが設定される。
【0189】
また、センサコントローラ50は、
図23(b)に示したレーン0用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてをレーン0に割り当て、ペアリング中のペン2からのダウンリンク信号DSを受信するために使用する。ペン2も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がデュアルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、
図23(b)に示したレーン0用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてをレーン0に割り当てる。そして、
図10のステップS8で設定したレーン識別情報LIDに従い、レーン0を用いてダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0190】
図29から明らかなように、この場合のペン2は、1つのフレーム内で、位置検出にも使われる4つのデータ信号と、1つのチルト信号とを送信できる。したがって、センサコントローラ50は、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱うことができる。
【0191】
センサコントローラ50はまた、レーン1に割り当てることが予定されている2,4,6,8,10,12,14番目の時間スロットのうちミュートとなっている8番目と12番目の時間スロット(
図23(b)を参照)以外の各時間スロットをレーン1に割り当て、それぞれにおいてAck信号の受信を試みる。その結果としてAck信号が受信された場合、センサコントローラ50は
図9(a)に示したペアリングモードにエントリし、
図11に示した処理と同様の処理により、Ack信号を送信したペン2とのペアリングを行う。
【0192】
図30は、2本のペン2とのペアリングが完了した状態を示している。このときもセンサコントローラ50は、引き続きシングルレーンモードにエントリし、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う。そして、
図12及び
図13に示した処理と同様の処理により、各フレームの先頭でアップリンク信号US1又はアップリンク信号US2を送信する。ただし、
図13のステップS2では、時間スロット識別情報TDIDに代え、レーン2を示すレーン識別情報LIDが設定される。
【0193】
また、センサコントローラ50は、
図23(b)に示したレーン0用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてをレーン0に割り当てるとともに、
図23(b)に示したレーン1用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてをレーン1に割り当て、ペアリング中の各ペン2からのダウンリンク信号DSを受信するために使用する。各ペン2も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がシングルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、
図23(b)に示したレーン0用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてをレーン0に割り当てるとともに、
図23(b)に示したレーン1用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてをレーン1に割り当てる。そして、
図10のステップS8で設定したレーン識別情報LIDに従い、レーン0,1のいずれかを用いてダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0194】
図30から明らかなように、この場合にセンサコントローラ50とペアリングしている2本のペン2はいずれも、1つのフレーム内で、位置検出にも使われる4つのデータ信号と、1つのチルト信号とを送信できる。したがって、センサコントローラ50は、2本のペン2とペアリングしているにも関わらず、1つのフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱うことができる。
【0195】
センサコントローラ50はまた、
図22に示した兼用スロット又はミュートスロットである7,8,11,12番目の時間スロット(
図23(b)を参照)をレーン2に割り当て、それぞれにおいてAck信号の受信を試みる。その結果としてAck信号が受信された場合、センサコントローラ50は
図9(a)に示したペアリングモードにエントリし、
図11に示した処理と同様の処理により、Ack信号を送信したペン2とのペアリングを行う。
【0196】
図31は、3本目のペン2とのペアリングが完了した状態を示している。このときセンサコントローラ50は、レーン0~3を用いてペン2との通信を行うデュアルレーンモードにエントリし、連続する2つ以上のフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う。そして、
図12及び
図13に示した処理と同様の処理により、各ペンデータ構成フレームの先頭でアップリンク信号US1又はアップリンク信号US2を送信する。ただし、
図13のステップS2では、時間スロット識別情報TDIDに代え、レーン3を示すレーン識別情報LIDが設定される。
【0197】
また、センサコントローラ50は、サブフレームの先頭で、
図24(d)に示したアップリンク信号US2a、又は、
図24(e)に示したショートアップリンク信号US2a'を送信する。これらの信号を受信したペン2は、そのサブフレームを、直前のメインフレームと一体で用いられるフレームであると判定する。
【0198】
センサコントローラ50はさらに、プライマリレーンであるレーン0,1には
図22に示したプライマリスロットであるタイプD(P),T(P)の時間スロットを、セカンダリレーンであるレーン2には
図22に示したセカンダリスロットであるタイプD(S)の時間スロットを、それぞれ割り当てる。そして、割り当てた時間スロットを、ペアリング中の3本のペン2それぞれからのダウンリンク信号DSを受信するために使用する。各ペン2も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がデュアルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、プライマリレーンであるレーン0,1には
図22に示したプライマリスロットであるタイプD(P),T(P)の時間スロットを、セカンダリレーンであるレーン2には
図22に示したセカンダリスロットであるタイプD(S)の時間スロットを、それぞれ割り当てる。そして、
図10のステップS8で設定したレーン識別情報LIDに従い、レーン0~2のいずれかでダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0199】
センサコントローラ50はまた、
図22に示したミュートスロットである8,11,12番目の時間スロット(
図23(b)を参照)をレーン3に割り当て、それぞれにおいてAck信号の受信を試みる。その結果としてAck信号が受信された場合、センサコントローラ50は
図9(a)に示したペアリングモードにエントリし、
図11に示した処理と同様の処理により、Ack信号を送信したペン2とのペアリングを行う。
【0200】
図32は、4本目のペン2とのペアリングが完了した状態を示している。このときもセンサコントローラ50は、引き続きデュアルレーンモードにエントリし、連続する2つ以上のフレームを1つのペンデータ構成フレームとして取り扱う。そして、
図12に示した処理と同様の処理により、各ペンデータ構成フレームの先頭でアップリンク信号US2を送信する。この場合、新たなペン2を受け入れる余地がないことから、センサコントローラ50はアップリンク信号US1の送信を行わず、Ack信号の受信も行わない。
【0201】
また、センサコントローラ50は、サブフレームの先頭で、
図24(d)に示したアップリンク信号US2a、又は、
図24(e)に示したショートアップリンク信号US2a'を送信する。これらの信号を受信したペン2は、そのサブフレームを、直前のメインフレームと一体で用いられるフレームであると判定する。
【0202】
センサコントローラ50はさらに、プライマリレーンであるレーン0,1には
図22に示したプライマリスロットであるタイプD(P),T(P)の時間スロットを、セカンダリレーンであるレーン2,3には
図22に示したセカンダリスロットであるタイプD(S)の時間スロットを、それぞれ割り当てる。そして、割り当てた時間スロットを、ペアリング中の4本のペン2それぞれからのダウンリンク信号DSを受信するために使用する。各ペン2も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がデュアルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、プライマリレーンであるレーン0,1には
図22に示したプライマリスロットであるタイプD(P),T(P)の時間スロットを、セカンダリレーンであるレーン2,3には
図22に示したセカンダリスロットであるタイプD(S)の時間スロットを、それぞれ割り当てる。そして、
図10のステップS8で設定したレーン識別情報LIDに従い、レーン0~3のいずれかでダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0203】
以上、テーブル番号n,n+1に対応する2つのリソースアロケーションスキームのそれぞれに関して、ペアリングするペン2の本数が増加していく場合の各時間スロットの利用方法について、詳細に説明した。次に、テーブル番号n,n+1に対応する2つのリソースアロケーションスキームを例に取り、ペアリングするペン2の本数が3本から2本に減少する場合の各時間スロットの利用方法について、
図33~
図35を参照しながら詳しく説明する。
【0204】
図33~
図35は、テーブル番号n+1のリソースアロケーションスキームを用いる場合の各時間スロットの利用方法を示す図である。
図33はペアリング中のペン2の数が3である場合、
図34及び
図35はペアリング中のペン2の数が2である場合をそれぞれ示している。
【0205】
図33に示す各時間スロットの状態は、
図31に示したものと同一である。以下では、
図33に示すように、レーン0でペアリング中のペン2をペン2-1と称し、レーン1でペアリング中のペン2をペン2-2と称し、レーン2でペアリング中のペン2をペン2-3と称する。
【0206】
図33の状態でペン2-1がパネル面1aから離脱したとする。センサコントローラ50は、所定時間にわたりペン2-1からのダウンリンク信号DSが受信されないことを検出すると、ペン2-1とのペアリングを解除するための処理を実行する。
【0207】
具体的に説明すると、センサコントローラ50はまず、
図34に示すように、ペン2-3をレーン0に移動させる。この処理は、上述したレーン変更命令を用いてレーン2をレーン0に変更することによって実行される。その結果、
図34に示すように、セカンダリレーンを使用するペン2が消滅する。
【0208】
次にセンサコントローラ50は、自身の動作モードをデュアルレーンモードからシングルレーンモードに変更する。これに伴いセンサコントローラ50は、
図35に示すように、レーン0,1のそれぞれに、
図23(b)に示したレーン0,1用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてを割り当てる。そして、割り当てた時間スロットを、ペアリング中のペン2-2,2-3からのダウンリンク信号DSを受信するために使用する。ペン2-2,2-3も、アップリンク信号US1に含まれる動作モード情報を参照し、センサコントローラ50がシングルレーンモードで動作中であることを取得すると、同様に、レーン0,1のそれぞれに、
図23(b)に示したレーン0,1用のタイプD(P),T(P),D(S)の各時間スロットのすべてを割り当てる。そして、ペン2-2はレーン1を、ペン2-3はレーン0をそれぞれ用いて、ダウンリンク信号DSの送信を行う。
【0209】
以上説明したように、本実施の形態によれば、センサコントローラ50は、アップリンク信号US1を用いて、これからペアリングしようとする各ペン2に対し、複数の時間スロットのそれぞれがプライマリスロット及びセカンダリスロットのいずれであるかを予め通知できる。したがって、ダウンリンク信号DSの送信タイミングを知らせるアップリンク信号USを逐一送信する必要がなくなるので、アップリンク信号USの送信頻度を減らし、効率的な通信を実現することが可能になる。
【0210】
また、シングルレーンモードでは未ペアリングのペン2からの信号を受信するために用いられる一方、デュアルレーンモードでは2本目のペン2からのデータ信号を受信するために用いられる兼用スロットを設けたので、未ペアリングのペン2からの信号を受信する必要がないデュアルレーンモードにおいては、アップリンク信号USによる明示的な要求を用いずに、未ペアリングのペン2からの信号を受信するために確保している時間スロットを他の用途に用いることが可能になる。
【0211】
また、デュアルレーンモードで動作中には、ダウンリンク信号DSの送信用として、ペアリング中の2本のペン2のそれぞれに対し、連続する2つのフレームのそれぞれに含まれる複数の時間スロットのうち所定個数の時間スロットを割り当てるので、1つのフレーム内に収容可能な時間スロットの数から決まるペン2の数よりも多くのペン2を同時に使用することが可能になる。
【0212】
また、デュアルレーンモードで動作中に、プライマリレーンで通信していたペン2-1との通信が終了した場合、セカンダリレーンで通信していたペン2-3をプライマリレーンに移動した後、動作モードをシングルレーンモードに変更するので、同時に使用するペン2の数が減って所定の上限値以下になった場合に、通信レートを元に戻すことが可能になる。
【0213】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0214】
例えば、ダウンリンク信号DSを構成するデータ信号は拡散変調された信号であることとしてもよい。この場合、
図6(a)に示したペアリング設定情報の中に、拡散符号に関して、通信リソースの個々のペン2への割り当てを示す識別情報(拡散符号識別情報)を含めることとしてもよい。こうすることで、ペン2ごとに異なる拡散符号を用いてデータ信号を変調することが可能になる。また、この場合、
図8に示したリソースアロケーションスキームテーブルの中に、拡散符号長の項目を設けることとしてもよい。こうすることで、拡散符号長の変更によりダウンリンク信号DSのビットレートを変更することが可能になる。
【0215】
また、本発明は以下の各請求項のように構成することができる。
[請求項A1]
ペンから任意の受信方法を用いてダウンリンク信号を受信することにより、前記ペンの位置を検出するセンサコントローラであって、
前記ペンに対して、前記ダウンリンク信号のビットレートの変更を示すアップリンク信号を送信するとともに、前記ダウンリンク信号の受信方法を、変更後のビットレートに応じた新たな受信方法に変更する、
センサコントローラ。
[請求項A2]
前記ダウンリンク信号のビットレートの変更を示すアップリンク信号は、前記ダウンリンク信号のシンボル長の変更を示す信号であり、
変更後の前記シンボル長に合わせて、前記ダウンリンク信号を検出するための受信ウィンドウを変更する、
請求項A1に記載のセンサコントローラ。
[請求項A3]
前記ダウンリンク信号のビットレートを示す情報をペアリング済の1以上の前記ペンに対して同報する、
請求項A1に記載のセンサコントローラ。
[請求項A4]
センサコントローラに対してダウンリンク信号を送信するペンであって、
前記センサコントローラから前記ダウンリンク信号のシンボル長の変更を示すアップリンク信号を受信したことに応じて、前記ダウンリンク信号のシンボル長を変更する、
ペン。
[請求項B1]
それぞれが複数の時間スロットを含む複数のフレームを含んで構成されるスーパーフレームの単位で1以上のペンそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、
前記複数のフレームのうち先頭に位置する先頭フレームを用いて、前記スーパーフレームの全体に適用される設定情報を含む先頭アップリンク信号を送信し、
前記複数のフレームのうち前記先頭フレーム以外のフレームである1以上の後続フレームのそれぞれにおいて、該後続フレーム内に配置される前記複数の時間スロットの基準時刻を示す後続アップリンク信号を送信する、
センサコントローラ。
[請求項B2]
前記1以上の後続フレームのそれぞれにおいて、前記スーパーフレームの時間的な位置から決定される送信タイミングから、前記後続フレームごとに異なる時間だけ前後に移動させてなるタイミングで前記後続アップリンク信号を送信する、
請求項B1に記載のセンサコントローラ。
[請求項B3]
前記設定情報は、前記スーパーフレーム内に配置される前記フレームの数を示す情報を含む、
請求項B1に記載のセンサコントローラ。
[請求項B4]
それぞれが複数の時間スロットを含む複数のフレームを含んで構成されるスーパーフレームの単位でセンサコントローラと通信を行うペンであって、
前記センサコントローラから受信したアップリンク信号が前記スーパーフレームの全体に適用される設定情報を含む先頭アップリンク信号であった場合に、該設定情報をメモリ内に設定し、
前記センサコントローラから受信したアップリンク信号が前記複数のフレームのうち先頭に位置する先頭フレーム以外のフレームである1以上の後続フレームのうちのいずれかの中に配置される前記複数の時間スロットの基準時刻を示す後続アップリンク信号であった場合に、該後続アップリンク信号の受信時刻に基づいて、対応する前記後続フレーム内の各時間スロットの時間的位置を取得する、
ペン。
[請求項B5]
前記設定情報は、前記スーパーフレーム内に配置される前記フレームの数を示す分割情報を含み、
前記分割情報に基づき、前記スーパーフレーム内に配置されるフレームの数を取得する、
請求項B4に記載のペン。
[請求項C1]
複数の第1の時間スロットを含むフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、
第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモードと、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、
前記複数の第1の時間スロットは、前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれでも前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられる第1のプライマリスロットと、前記シングルレーンモードでは前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは前記第2のペンからデータ信号を受信するために用いられる第1のセカンダリスロットとを含み、
前記複数の第1の時間スロットのそれぞれが前記第1のプライマリスロット及び前記第1のセカンダリスロットのいずれであるかを示すスロット割当情報を含むアップリンク信号を送信する、
センサコントローラ。
[請求項C2]
前記アップリンク信号はさらに、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含む、
請求項C1に記載のセンサコントローラ。
[請求項C3]
前記シングルレーンモードで動作中には、前記第1のプライマリスロットである前記第1の時間スロット及び前記第1のセカンダリスロットである前記第1の時間スロットの両方において前記第1のペンからダウンリンク信号を受信し、
前記デュアルレーンモードで動作中には、前記第1のプライマリスロットである前記第1の時間スロットにおいて前記第1のペンからダウンリンク信号を受信する一方、前記第1のセカンダリスロットである前記第1の時間スロットにおいて前記第2のペンからダウンリンク信号を受信する、
請求項C1又はC2に記載のセンサコントローラ。
[請求項C4]
前記フレームは、複数の第2の時間スロットをさらに含み、
前記シングルレーンモードは、前記第1のペン及び第3のペンのそれぞれからデータ信号を受信するモードであり、
前記デュアルレーンモードは、前記第1のペン、前記第2のペン、前記第3のペン、及び第4のペンのそれぞれからデータ信号を受信するモードであり、
前記複数の第2の時間スロットは、前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれでも前記第3のペンからデータ信号を受信するために用いられる第2のプライマリスロットと、前記シングルレーンモードでは前記第3のペンからデータ信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは前記第4のペンからデータ信号を受信するために用いられる第2のセカンダリスロットとを含み、
前記スロット割当情報は、前記複数の第2の時間スロットのそれぞれが前記第2のプライマリスロット及び前記第2のセカンダリスロットのいずれであるかを示す情報を含む、
請求項C1又はC2に記載のセンサコントローラ。
[請求項C5]
前記シングルレーンモードで動作中には、前記第1のプライマリスロットである前記第1の時間スロット及び前記第1のセカンダリスロットである前記第1の時間スロットの両方において前記第1のペンからダウンリンク信号を受信し、かつ、前記第2のプライマリスロットである前記第2の時間スロット及び前記第2のセカンダリスロットである前記第2の時間スロットの両方において前記第3のペンからダウンリンク信号を受信し、
前記デュアルレーンモードで動作中には、前記第1のプライマリスロットである前記第1の時間スロットにおいて前記第1のペンからダウンリンク信号を受信する一方、前記第2のセカンダリスロットである前記第1の時間スロットにおいて前記第2のペンからダウンリンク信号を受信し、かつ、前記第1のプライマリスロットである前記第2の時間スロットにおいて前記第3のペンからダウンリンク信号を受信する一方、前記第2のセカンダリスロットである前記第2の時間スロットにおいて前記第4のペンからダウンリンク信号を受信する、
請求項C4に記載のセンサコントローラ。
[請求項C6]
第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモード、及び、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードのいずれでも前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられるプライマリスロットと、前記シングルレーンモードでは前記第1のペンからデータ信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは前記第2のペンからデータ信号を受信するために用いられるセカンダリスロットとを含む複数の時間スロットを含むフレームを用いてセンサコントローラとの通信を行うペンであって、
前記センサコントローラから、前記複数の時間スロットのそれぞれが前記プライマリスロット及び前記セカンダリスロットのいずれであるかを示すスロット割当情報、及び、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含むアップリンク信号を受信し、
前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記シングルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記プライマリスロットである前記時間スロット及び前記セカンダリスロットである前記時間スロットの両方においてダウンリンク信号を送信し、
前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記デュアルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記プライマリスロットである前記時間スロット及び前記セカンダリスロットである前記時間スロットの一方においてダウンリンク信号を送信する一方、他方においてダウンリンク信号を送信しない、
ペン。
[請求項D1]
複数の時間スロットを含むフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、
第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモードと、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、
前記複数の時間スロットは、前記シングルレーンモードでは、未ペアリングのペンからの信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは、前記第2のペンからのデータ信号を受信するために用いられる兼用スロットを含む、
センサコントローラ。
[請求項D2]
前記複数の時間スロットのうち前記兼用スロットである時間スロットを特定するスロット割当情報を含むアップリンク信号を送信する、
請求項D1に記載のセンサコントローラ。
[請求項D3]
第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモード、及び、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードのいずれかで動作するセンサコントローラと、複数の時間スロットを含むフレームを用いて通信を行うペンであって、
前記センサコントローラから、前記複数の時間スロットのうち、前記シングルレーンモードでは、未ペアリングのペンからの信号を受信するために用いられる一方、前記デュアルレーンモードでは、前記第2のペンからのデータ信号を受信するために用いられる兼用スロットを特定するスロット割当情報、及び、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含むアップリンク信号を受信し、
前記アップリンク信号を受信した時点で前記センサコントローラとペアリングしておらず、かつ、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記シングルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記兼用スロットである前記時間スロットにおいて、前記センサコントローラとのペアリングを要求するための信号を送信し、
前記アップリンク信号を受信した時点で前記センサコントローラとペアリング中であり、かつ、前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記デュアルレーンモードで動作中であることが示される場合、前記兼用スロットである前記時間スロットにおいて、データ信号を送信する、
ペン。
[請求項E1]
それぞれ複数の時間スロットを含む一連のフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、
第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモードと、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、
前記シングルレーンモードで動作中には、ダウンリンク信号の送信用として、前記第1のペンに対し、1つのフレームに含まれる前記複数の時間スロットのうち所定個数の前記時間スロットを割り当て、
前記デュアルレーンモードで動作中には、ダウンリンク信号の送信用として、前記第1のペン及び前記第2のペンのそれぞれに対し、連続する第1のフレーム及び第2のフレームのそれぞれに含まれる前記複数の時間スロットのうち前記所定個数の前記時間スロットを割り当てる、
センサコントローラ。
[請求項E2]
前記一連のフレームそれぞれの先頭でアップリンク信号を送信するよう構成され、
前記第2のフレームの先頭で送信する前記アップリンク信号は、前記第1のフレームと一体で用いられるフレームであることを示す情報を含む、
請求項E1に記載のセンサコントローラ。
[請求項E3]
前記デュアルレーンモードで動作中、ダウンリンク信号の送信用として、前記第1のペン及び前記第2のペンのそれぞれに対し、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームのそれぞれから同数ずつ前記時間スロットを割り当てる、
請求項E1又はE2に記載のセンサコントローラ。
[請求項E4]
第1のペンからデータ信号を受信するシングルレーンモード、及び、前記第1のペン及び第2のペンのそれぞれからデータ信号を受信するデュアルレーンモードのいずれかで動作するセンサコントローラと、複数の時間スロットを含むフレームを用いて通信を行うペンであって、
前記センサコントローラから、前記センサコントローラが前記シングルレーンモード及び前記デュアルレーンモードのいずれで動作中であるかを示す動作モード情報を含むアップリンク信号を受信し、
前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記シングルレーンモードで動作中であることが示される場合、1つのフレームに含まれる前記複数の時間スロットのうち所定個数の前記時間スロットを用いてダウンリンク信号を送信し、
前記動作モード情報により前記センサコントローラが前記デュアルレーンモードで動作中であることが示される場合、1つのフレームに含まれる前記複数の時間スロットのうち前記所定個数の半分の個数の前記時間スロットを用いてダウンリンク信号を送信する、
ペン。
[請求項F1]
それぞれ複数の時間スロットを含む一連のフレームを用いて1以上のペンのそれぞれとの通信を行うセンサコントローラであって、
第1のプライマリレーンを用いて第1の通信レートで第1のペンとの通信を行うシングルレーンモードと、前記第1のプライマリレーンを用いて前記第1の通信レートの半分の第2の通信レートで前記第1のペンとの通信を行い、かつ、第1のセカンダリレーンを用いて前記第2の通信レートで第2のペンとの通信を行うデュアルレーンモードとのいずれかで動作するように構成され、
前記デュアルレーンモードで動作中に前記第1のペンとの通信が終了した場合、前記第2のペンを前記第1のプライマリレーンに移動した後、動作モードを前記シングルレーンモードに変更する、
センサコントローラ。
[請求項F2]
前記シングルレーンモードでは、前記第1のプライマリレーンを用いて前記第1の通信レートで前記第1のペンとの通信を行うとともに、第2のプライマリレーンを用いて前記第1の通信レートで第3のペンとの通信を行い、
前記デュアルレーンモードでは、前記第1のプライマリレーンを用いて前記第2の通信レートで前記第1のペンとの通信を行い、かつ、かつ、前記第1のセカンダリレーンを用いて前記第2の通信レートで前記第2のペンとの通信を行うとともに、前記第2のプライマリレーンを用いて前記第2の通信レートで前記第3のペンとの通信を行う、
請求項F1に記載のセンサコントローラ。
【符号の説明】
【0216】
1 電子機器
1a パネル面
2,2-1,2-2,2-3 ペン
2a,2b ペン先電極
10 表示装置
11 偏光フィルター
12,19,33 ガラス基板
13 画素電極群
14,16 配向膜
15 液晶層
17 共通電極
18 カラーフィルター
20 偏光フィルター
30 センサパネル
31 行電極群
32 列電極群
34,35 引出配線
40 制御部
50 センサコントローラ
B スタートシンボル
BP ブランク期間
D0~D7 シンボル
DP 画素駆動期間
DS ダウンリンク信号
D(P),P(B),P(P),T(P) プライマリスロット
D(S),P(S),T(S) セカンダリスロット
FID 周波数識別情報
FS 指検出用信号
ID ローカルペン
LID レーン識別情報
M(B) Ackスロット
M(P) 兼用スロット
PE ペアリングイネーブル情報
RM 動作モード情報
SL シンボル長
ST 状態タイプ情報
TDID 時間スロット識別情報
US,US1,US1a,US2,US2a,US3,US4 アップリンク信号
US2a' ショートアップリンク信号
USTYPE アップリンクタイプ情報