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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】2段階PCB係合式印刷モジュール
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231124BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 307
B41J29/13
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021514988
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2019074751
(87)【国際公開番号】W WO2020069845
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】62/740,843
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/864,387
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512193425
【氏名又は名称】メムジェット テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】バーク,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベリー,ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】セルヴァン エス/オー アノトニーサミー,ハリック
(72)【発明者】
【氏名】パシニオ アンシアーノ,レイノヴァル
(72)【発明者】
【氏名】キート ファー,スーン
(72)【発明者】
【氏名】ライ セイ,ポー
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-148572(JP,A)
【文献】特表2013-539722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0087905(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0313061(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0222190(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0140777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷モジュールにおいて、
長手方向キャビティを画定するクレードルと、
前記長手方向キャビティに収容される細長いプリントヘッドであって、プリントヘッド接点の少なくとも1つの列を有する細長いプリントヘッドと、
前記プリントヘッドの長手方向軸に垂直な第1の軸に沿って前記クレードルに対して直線的に摺動可能に移動可能な少なくとも1つのPCBであって、PCB接点を有する少なくとも1つのPCBと、
少なくとも1つのアクチュエータハンドルであって、
第1の動作において、前記第1の軸に沿って前記プリントヘッドに向かって且つそれから離れて前記PCBを往復して下降及び上昇させること、及び
別個の第2の動作において、PCB接点を付勢して前記プリントヘッド接点と係合させ、それにより前記PCBと前記プリントヘッドとの間の電気的接続を形成すること
のために構成された少なくとも1つのアクチュエータハンドルと
を含み、前記PCB接点は、前記第1の軸及び前記プリントヘッドの前記長手方向軸に垂直な第2の軸に沿って付勢されることを特徴とする印刷モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷モジュールにおいて、前記少なくとも1つのアクチュエータハンドルは、前記PCBを下降及び上昇させるための昇降機構に動作可能に接続されることを特徴とする印刷モジュール。
【請求項3】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、前記昇降機構は、
前記印刷モジュールの側部に沿って長手方向に延在する細長いレバーシャフトであって、その第1の端部に固定して装着された前記少なくとも1つのアクチュエータハンドルを有する細長いレバーシャフトと、
前記レバーシャフトに固定して装着されたカムレバーの対であって、各カムレバーは、それぞれのスピゴットと係合される、カムレバーの対と
を含むことを特徴とする印刷モジュール。
【請求項4】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、前記昇降機構は、
前記印刷モジュールの対向する端部で昇降ロッドの対に動作可能に接続されたシザー機構であって、前記アクチュエータハンドルに接続されたシザーアームを有するシザー機構
を含み、各昇降ロッドは、供給組立体と係合されることを特徴とする印刷モジュール。
【請求項5】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、各昇降ロッドは、前記供給組立体のそれぞれのスリーブに収容されることを特徴とする印刷モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷モジュールにおいて、前記PCB接点を前記プリントヘッド接点に対して締め付けるための締め付け機構をさらに含むことを特徴とする印刷モジュール。
【請求項7】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、前記PCBは、前記PCB接点と位置合わせされた弾性フランジを有するPCB装着プレートに固定され、前記締め付け機構は、前記弾性フランジに対して付勢するように構成されることを特徴とする印刷モジュール。
【請求項8】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、前記締め付け機構は、前記弾性フランジとのカム係合のために構成された回転可能な締め付けロッドを含むことを特徴とする印刷モジュール。
【請求項9】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、前記締め付けロッドは、長手方向の切欠部を含むことを特徴とする印刷モジュール。
【請求項10】
請求項に記載の印刷モジュールにおいて、前記締め付け機構は、
前記弾性フランジの相補的なカム突起と係合される1つ又は複数の締め付け具を有する摺動プレートと、
前記第1及び第2の軸の両方に対して垂直な第3の軸に沿って前記摺動プレートを長手方向に摺動させるための摺動アクチュエータと
を含むことを特徴とする印刷モジュール。
【請求項11】
請求項1に記載の印刷モジュールにおいて、プリントヘッド接点の対応する第1及び第2の対向する列への電気的接続のためのそれぞれのPCB接点を有する第1及び第2の対向するPCBを含むことを特徴とする印刷モジュール。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷モジュールにおいて、前記第1及び第2の対向するPCBは、前記アクチュエータハンドルの作動を介して前記第1の軸に沿って同時に移動可能であることを特徴とする印刷モジュール。
【請求項13】
請求項11に記載の印刷モジュールにおいて、前記第1及び第2の対向するPCBは、前記第2の軸に沿って互いに向かって独立して又は協調して移動可能であることを特徴とする印刷モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページワイド印刷エンジン及びそのための印刷モジュールに関する。本発明は、主に、上方からの印刷エンジンへのアクセスを必要とすることなく、印刷モジュールのプリントヘッド交換を可能にするために開発されている。
【背景技術】
【0002】
Memjet(登録商標)ページワイド技術を採用するインクジェットプリンタは、デスクトッププリンタ、デジタルインクジェットプレス及び大判プリンタを含む多くの異なる印刷用途のために市販されている。Memjet(登録商標)プリンタは、通常、ユーザが交換可能である、少なくとも200mmの長さを有する1つ又は複数の固定インクジェット式プリントヘッドカートリッジを含む。例えば、デスクトップラベルプリンタは、ユーザが交換可能な単一の多色プリントヘッドカートリッジを含み、高速インクジェットプレスは、媒体送り方向に沿って位置合わせされている、ユーザが交換可能な複数の単色プリントヘッドカートリッジを含み、大判プリンタは、大判のページ幅にわたるようにずらして重なるように配置されている、ユーザが交換可能な複数のプリントヘッドカートリッジを含む。
【0003】
米国特許出願公開第2017/0313061号明細書(その内容が参照により本明細書に援用される)は、単色印刷モジュールの2次元アレイを含む商用のページワイド印刷システムを説明している。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0222198号明細書(その内容が参照により本明細書に援用される)は、共通のマニホールドからインクを受け取るチップの2つの列を有するフルカラーページワイドプリントヘッドを説明している。
【0005】
ページワイドインクジェット技術を採用するデジタル多機能プリンタ(MFP)は、従来のレーザMFPに置き換わる可能性のあるものとして一層見られている。デジタルインクジェット技術は、高速、低コスト及び高印字品質という利点を提供する。しかしながら、トナーカートリッジ及び定着器が、レーザMFPにおいて定期的な交換を必要とする消耗品であるのと同様に、ページワイドインクジェット印刷において使用される様々な構成要素(例えば、プリントヘッドカートリッジ、インク、保守モジュールなど)も定期的な交換を必要とする。典型的な企業向け多機能プリンタでは、内部構成要素へのユーザのアクセスは、機械の片側に位置付けられた1つ又は複数のドアパネルを介して行われる。同様に、用紙引き出しは、ドアパネルと同じ側に位置付けられる。これにより、機械を壁につけて又はオフィスの隅に置くことができ、同時に必要に応じて用紙補充及び保守のためのアクセスも可能になる。デジタルインクジェットMFPが従来のレーザ複写機と競合するために、デジタルインクジェット機は、それらの従来のレーザ式の対抗品と比較して、同等のフォームファクタ及び保守のアクセスのしやすさを維持するという期待がユーザの間に存在する。
【0006】
これまで、交換可能なページワイドプリントヘッドを有するデジタルインクジェット印刷エンジンは、プリントヘッドを交換するために印刷エンジンの上部から印刷モジュールにアクセスする必要があった。例えば、米国特許出願公開第2017/0313061号明細書で説明されている印刷モジュールは、プリントヘッドカートリッジの交換のために支持クレードルから上方に持ち上げられる。
【0007】
したがって、プリントヘッドカートリッジの交換を側方からのアクセスのみによって実現することができる、ページワイド技術を採用するデジタルインクジェット印刷エンジンを提供することが望ましい。以上により、このような印刷エンジンは、プリントヘッドの簡単な交換を必要とする、デジタルインクジェット多機能プリンタ/複写機並びに他のタイプのページワイドプリンタでの使用に好適であることが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様において、印刷モジュールであって、
長手方向キャビティを画定するクレードルと、
長手方向キャビティに収容される細長いプリントヘッドであって、プリントヘッド接点の少なくとも1つの列を有する細長いプリントヘッドと、
プリントヘッドの長手方向軸に垂直な第1の軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な少なくとも1つのPCBと、
少なくとも1つのアクチュエータハンドルであって、
第1の軸に沿ってプリントヘッドに向かって且つそれから離れてPCBを往復して下降及び上昇させること、及び
PCB接点を付勢してプリントヘッド接点と係合させ、それによりPCBとプリントヘッドとの間の電気的接続を形成すること
のために構成された少なくとも1つのアクチュエータハンドルと
を含み、PCB電気接点は、第1の軸及びプリントヘッドの長手方向軸に垂直な第2の軸に沿って付勢される、印刷モジュールが提供される。
【0009】
第1の態様による印刷モジュールは、有利には、PCB接点のプリントヘッド接点との接続を2つの別々の動作に分離し、それによりプリントヘッドの取り外し又は挿入中に各動作で必要な力を最小化する。それは、米国特許出願公開第2018/0222198号明細書で説明されているものなど、プリントヘッド接点の複数の列を有する長いプリントヘッド(例えば、A4又はA3プリントヘッド)に特に好適である。
【0010】
好ましくは、印刷モジュールは、PCBに固定されている1つ又は複数のインクカップリングをさらに含む。
【0011】
好ましくは、インクカップリングは、PCBの下降又は上昇を介してプリントヘッドに接続されるか又はそれから分離される。
【0012】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、PCBを下降及び上昇させるための昇降機構に動作可能に接続される。
【0013】
いくつかの実施形態において、昇降機構は、
印刷モジュールの側部に沿って長手方向に延在する細長いレバーシャフトであって、その第1の端部に固定して装着された第1のアクチュエータハンドルを有する細長いレバーシャフトと、
レバーシャフトに固定して装着されたカムレバーの対であって、各カムレバーは、PCBに固定されているそれぞれのスピゴットと係合される、カムレバーの対と
を含む。
【0014】
他の実施形態において、昇降機構は、
印刷モジュールの対向する端部で昇降ロッドの対に動作可能に接続されたシザー機構であって、アクチュエータハンドルに接続されたシザーアームを有するシザー機構
を含み、各昇降ロッドは、供給組立体と係合される。
【0015】
好ましくは、各昇降ロッドは、供給組立体のそれぞれのスリーブに収容される。
【0016】
好ましくは、印刷モジュールは、PCB接点をプリントヘッド接点に対して締め付けるための締め付け機構をさらに含む。
【0017】
好ましくは、PCBは、PCB接点と位置合わせされた弾性フランジを有するPCB装着プレートに固定され、締め付け機構は、弾性フランジに対して付勢するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、締め付け機構は、弾性フランジとのカム係合のために構成された回転可能な締め付けロッドを含む。通常、締め付けロッドは、長手方向の切欠部を含む。
【0019】
他の実施形態において、締め付け機構は、
弾性フランジの相補的なカム突起と係合される1つ又は複数の締め付け具を有する摺動プレートと、
第1及び第2の軸の両方に対して垂直な第3の軸に沿って摺動プレートを長手方向に摺動させるための摺動アクチュエータと
を含む。
【0020】
好ましくは、印刷モジュールは、第1及び第2の対向するPCBを含む。
【0021】
好ましくは、第1及び第2のPCBは、アクチュエータハンドルの作動を介して第1の軸に沿って同時に移動可能である。
【0022】
好ましくは、第1及び第2のPCBは、第2の軸に沿って互いに向かって独立して又は協調して移動可能である。
【0023】
第2の態様において、印刷モジュールであって、
プリントヘッドを収容するためのネストを有するクレードルと、
ネストに収容される細長いプリントヘッドと、
プリントヘッドの長手方向軸に垂直な軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な供給組立体と、
プリントヘッドに向かって且つそれから離れて供給組立体を往復して下降及び上昇させるための昇降機構であって、クレードルの第1の端部に位置付けられた単一のアクチュエータハンドルを有する昇降機構と
を含み、アクチュエータハンドルの移動は、クレードルに対する供給モジュールの摺動移動を介してプリントヘッドと供給組立体との間の係合又は解放を引き起こす、印刷モジュールが提供される。
【0024】
いくつかの実施形態において、昇降機構は、
印刷モジュールの側部に沿って長手方向に延在する細長いレバーシャフトであって、その第1の端部に固定して装着されたアクチュエータハンドルを有する細長いレバーシャフトと、
シャフトに固定して装着されたカムレバーの対であって、各カムレバーは、供給組立体から突出するそれぞれのスピゴットと係合される、カムレバーの対と
を含む。
【0025】
通常、レバーシャフトは、クレードルの側部に装着された1つ又は複数のブッシュにより、回転可能に支持される。
【0026】
通常、スピゴットは、供給組立体のエンドブラケットから長手方向に突出する。
【0027】
他の実施形態において、昇降機構は、
印刷モジュールの対向する端部で昇降ロッドの対に動作可能に接続されたシザー機構であって、アクチュエータハンドルに接続されたシザーアームを有するシザー機構
を含み、各昇降ロッドは、供給組立体と係合される。
【0028】
好ましくは、各昇降ロッドは、供給組立体のそれぞれのスリーブに収容される。
【0029】
好ましくは、供給モジュールは、
インク供給部をプリントヘッドに接続するためのインクカップリング、及び
プリントヘッドにデータ及び/又は電力を供給するためのPCB
の1つ又は複数を含む。
【0030】
好ましくは、供給組立体は、プリントヘッドの中央部分をネストに向かって付勢するために構成されたスラストピンを含む。
【0031】
好ましくは、供給組立体は、対向する離間した側板の対間で横方向内向きに突出する対向するスラストピンの対を含む。
【0032】
好ましくは、各側板は、その上に装着されたPCBを有する。
【0033】
好ましくは、供給組立体は、第1のインクカップリングと第2のインクカップリングとを含み、第1のインクカップリングは、供給組立体の第1のエンドブラケットに装着され、第2のインクカップリングは、供給組立体の第2のエンドブラケットに装着される。
【0034】
好ましくは、昇降機構の作動により、第1のインクカップリング及び第2のインクカップリングを同時又は順次にプリントヘッドに対して接続するか又は分離する。
【0035】
好ましくは、印刷モジュールは、さらに、下降又は上昇位置に供給組立体をロックするために構成されたロック機構である。
【0036】
好ましくは、ロック機構は、クレードル上に装着された長手方向の摺動プレートを含み、摺動プレートは、供給組立体の相補的なロックピンとのロック係合のための少なくとも1つの保持部を有する。
【0037】
第3の態様において、印刷モジュールであって、
1つ又は複数のインクポートとプリントヘッド接点の列とを有するプリントヘッドと、
プリントヘッドの長手方向軸に垂直な軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な供給組立体であって、
インクポートへの流体接続のために位置付けられた1つ又は複数のインクカップリングと、
プリントヘッド接点への電気的接続のためにPCB接点の列を有するPCBと
を含む供給組立体と、
順次、第1の動作において電気的接続又は分離を作動させて、第2の動作において流体接続又は分離を作動させるための単一のアクチュエータハンドルと
を含む印刷モジュールが提供される。
【0038】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、電気的接続又は分離を作動させるためにPCB締め付け機構に接続される。
【0039】
好ましくは、PCB締め付け機構は、弾性フランジとのカム係合のために構成された摺動プレートを含み、弾性フランジは、PCB接点を含むPCBの一部と付勢係合する。
【0040】
好ましくは、第1の動作は、摺動プレートを摺動可能に移動させて、弾性フランジを付勢してPCBの前記部分と締め付け係合させ、それによりPCB接点をプリントヘッドと電気的に接続する。
【0041】
好ましくは、第1の動作は、プリントヘッドの長手方向軸と平行な第1の方向における動作であり、締め付け具は、長手方向軸に対して交差方向に行われる。
【0042】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、第1の動作の方向において摺動プレートに固定されている。
【0043】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、分離の流体接続を作動させるために昇降機構に接続される。
【0044】
好ましくは、昇降機構は、供給組立体に動作可能に接続された昇降機構を含み、供給組立体は、プリントヘッドへの流体接続のためのインクカップリングを含む。
【0045】
好ましくは、第2の動作は、昇降機構を作動させて、インクカップリングを移動させてプリントヘッドと流体係合させる。
【0046】
好ましくは、第2の動作は、プリントヘッドの長手方向軸に垂直な第2の方向における動作である。
【0047】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、第2の方向において昇降機構に固定されている。
【0048】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、第1の動作に対応する第1の方向においてのみPCB締め付け機構に固定されており、第2の動作に対応する第2の方向においてのみ昇降機構に固定されており、第1の方向及び第2の方向は、互いに垂直である。
【0049】
第4の態様において、印刷モジュールであって、
長手方向キャビティを有するクレードルと、
長手方向キャビティに位置付けられる細長いプリントヘッド組立体と、
プリントヘッド組立体の長手方向軸に垂直な軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な供給組立体であって、プリントヘッド組立体のプリントヘッドへのインク及び/又は電気信号の供給のために構成される供給組立体と、
プリントヘッド組立体の長手方向軸に平行な軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な摺動プレートを含むロック機構であって、摺動プレートは、1つ又は複数の保持部を有する、ロック機構と
を含み、各保持部は、供給組立体から突出するロックピンと係合可能である、印刷モジュールが提供される。
【0050】
好ましくは、ロック機構は、各ロックピンがそれぞれの保持部と係合されるロック位置と、各ロックピンがそれぞれの保持部から解放されるアンロック位置との間で構成可能である。
【0051】
好ましくは、ロック位置は、印刷モジュールの印刷構成である。
【0052】
好ましくは、プリントヘッドは、印刷構成においてクレードルの下ネストに対して付勢される。
【0053】
好ましくは、供給組立体のデプレッサ(例えば、1つ又は複数のスラストピン)は、プリントヘッドをネストに対して付勢する。
【0054】
好ましくは、各ロックピンは、プリントヘッド組立体の長手方向軸に対して横方向に突出する。
【0055】
好ましくは、印刷モジュールは、ロック機構を作動させるために摺動プレートに接続されたアクチュエータハンドルを含む。
【0056】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、摺動プレートに接続された1つ又は複数の摺動プレートピンを有する。
【0057】
好ましくは、摺動プレートは、各摺動プレートピンと係合されたノッチを有する摺動アクチュエータを含む。
【0058】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、供給組立体の摺動可能な移動のために昇降機構に動作可能に接続される。
【0059】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、ロック機構がアンロック位置にあるときにのみ、昇降機構が動作可能であるように構成される。
【0060】
好ましくは、供給組立体の摺動可能な移動は、そのそれぞれのノッチから各摺動プレートピンを解放する。
【0061】
好ましくは、各摺動プレートピンは、供給組立体の上昇位置において留め具と係合され、それにより供給組立体を上昇位置に保持する。
【0062】
好ましくは、クレードルは、留め具を画定する。
【0063】
好ましくは、摺動プレートは、供給組立体の弾性フランジとのカム係合のために構成され、弾性フランジは、PCB接点を含むPCBの一部と付勢係合される。
【0064】
好ましくは、摺動プレートの摺動移動は、弾性フランジを付勢してPCBの前記部分と締め付け係合させ、それによりPCB接点をプリントヘッドと電気的に接続する。
【0065】
第5の態様において、印刷モジュールであって、
長手方向キャビティを有するクレードルと、
長手方向キャビティに位置付けられる細長いプリントヘッド組立体と、
プリントヘッド組立体の長手方向軸に垂直な軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な供給組立体であって、PCB装着プレートに固定されたPCBを含み、弾性フランジを有するPCB装着プレートは、PCB接点を含むPCBの一部との締め付け係合のために構成される、供給組立体と、
プリントヘッド組立体の長手方向軸と平行な軸に沿ってクレードルに対して摺動可能に移動可能な摺動プレートであって、弾性フランジとのカム係合のために構成される摺動プレートと
を含み、摺動プレートの摺動移動は、弾性フランジを付勢してPCBの前記部分と締め付け係合させ、それによりPCB接点をプリントヘッドと電気的に接続する、印刷モジュールが提供される。
【0066】
好ましくは、摺動プレートは、弾性フランジの相補的なカム突起と係合される複数の締め付け具を含む。
【0067】
好ましくは、印刷モジュールは、対向するPCBの対を含み、各PCBは、それぞれの装着プレート上に装着され、対向する摺動プレートの摺動移動は、それぞれの弾性フランジを付勢してPCBのそれぞれの部分と締め付け係合させ、それにより各PCBのPCB接点をプリントヘッドと電気的に接続する。
【0068】
好ましくは、プリントヘッドは、PCB接点の対向する列への接続のためにプリントヘッド接点の対向する列を有する。
【0069】
好ましくは、単一のアクチュエータハンドルは、対向する摺動プレートのそれぞれに動作可能に接続される。
【0070】
好ましくは、アクチュエータハンドルは、摺動プレートに動作可能に接続された摺動プレートピンを含む。
【0071】
好ましくは、摺動プレートは、1つ又は複数の保持部を有し、各保持部は、供給組立体から突出するロックピンと係合可能である。
【0072】
好ましくは、摺動プレートは、各ロックピンがそれぞれの保持部と係合されるロック位置と、各ロックピンがそれぞれの保持部から解放されるアンロック位置との間で構成可能である。
【0073】
好ましくは、PCB接点は、ロック位置においてプリントヘッドに電気的に接続される。
【0074】
好ましくは、ロック位置は、印刷モジュールの印刷構成である。
【0075】
好ましくは、プリントヘッドは、ロック位置においてクレードルの下ネストに対して付勢される。
【0076】
好ましくは、供給組立体の1つ又は複数のスラストピンは、プリントヘッドをネストに対して付勢する。
【0077】
好ましくは、各ロックピンは、プリントヘッド組立体の長手方向軸に対して横方向に突出する。
【0078】
より一般的には、本明細書に説明されるような印刷モジュールを含む印刷エンジンが提供される。より一般的には、本明細書に説明されるような印刷エンジンを含むプリンタ(例えば、側方アクセスパネル又はドアを有する多機能プリンタ)が提供される。印刷モジュール、印刷エンジン及びプリンタは、有利には、本明細書で説明されるように長手方向に装填されるプリントヘッドに好適である。
【0079】
本明細書で使用される場合、「印刷モジュール」という用語は、印刷のためのプリントヘッド(例えば、インクジェットプリントヘッド)を含む構成要素の組立体を意味すると解釈される。通常、印刷モジュールは、それ自体印刷エンジンの構成要素であり、メンテナンス構成要素(例えば、キャッパ、ワイパなど)などの他の構成要素及びそのような構成要素を移動させるための関連機構を含み得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「インク」という用語は、インクジェットプリントヘッドから印刷することができる何れかの印刷流体を意味すると解釈される。インクは、着色剤を含んでも又は含まなくてもよい。したがって、「インク」という用語は、従来の染料ベース又は顔料ベースのインク、赤外線インク、定着剤(例えば、プレコート剤及び仕上げ剤)、3D印刷流体などを含むことができる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「装着」という用語は、直接装着及び介在部品を介した間接装着の両方を含む。
【0082】
ここで、添付の図面を参照して、例としてのみ本発明の特定の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1は、デジタルインクジェットMFPの形態の印刷装置の斜視図である。
図1A図1Aは、図1に示されるデジタルインクジェットMFPの内部印刷エンジン及びインク送出モジュールを示す。
図2図2は、印刷エンジンの側面斜視図である。
図3図3は、印刷エンジンの底面斜視図である。
図4図4は、印刷エンジンの正面斜視図である。
図5図5は、印刷エンジンのメンテナンスサブ組立体を示す。
図6図6は、第1の実施形態による印刷モジュールの正面斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態による印刷モジュールの背面斜視図である。
図8図8は、インクジェットプリントヘッドの斜視図である。
図9図9は、第1の実施形態による印刷モジュールのためのクレードルの斜視図である。
図10図10は、第1の実施形態による印刷モジュールのための供給組立体の上面斜視図である。
図11図11は、PCBが取り外された、図10に示される供給組立体の分解斜視図である。
図12図12は、PCBが取り外された、図10に示される供給組立体の部分斜視図である。
図13図13は、第1の実施形態による印刷モジュールの第1の端部におけるレバー機構を示す。
図14図14は、第1の実施形態による印刷モジュールの摺動式ロック機構を示す。
図15図15A及び15Bは、PCB締め付け機構を示す。
図16図16A-Cは、枢動プリントヘッドキャリアからのプリントヘッドの取り外しを示す概略側面図である。
図17図17は、第1の実施形態による印刷モジュールの第1の端部の拡大図である。
図18図18は、第1の実施形態による印刷モジュールの第2の端部の拡大図である。
図19図19は、第1の実施形態による印刷モジュールのためのプリントヘッドキャリアの斜視図である。
図20図20は、ラッチ位置における、図19に示されるプリントヘッドキャリアのためのラッチ機構を示す。
図21図21は、ガイドプレートが取り外された、図20に示されるラッチ機構を示す。
図22図22は、ラッチ解除位置における、図20に示されるラッチ機構を示す。
図23図23A及び23Bは、その下降及び上昇位置におけるラッチを示す第1の実施形態による印刷モジュールの概略端面図である。
図24図24は、第2の実施形態による印刷モジュールの正面斜視図である。
図25図25は、図24に示される印刷モジュールの背面斜視図である。
図26図26は、図24に示される印刷モジュールのためのクレードルの斜視図である。
図27図27は、シザー昇降機構を有する、図26に示されるクレードルの斜視図である。
図28図28は、第2の実施形態による印刷モジュールの第1の端部の拡大図である。
図29図29は、第2の実施形態による印刷モジュールの第2の端部の拡大図である。
図30図30は、第2の実施形態による印刷モジュールのための供給組立体の斜視図である。
図31図31は、図30に示される供給組立体の第1の端部の拡大図である。
図32図32は、アクチュエータハンドルが取り外された、第2の実施形態による印刷モジュールの第1の端部を示す。
図33図33は、第2の実施形態による印刷モジュールのためのアクチュエータハンドルを示す。
図34図34は、摺動式ロック機構を解放した後の、第2の実施形態による印刷モジュールの斜視図である。
図35図35は、アクチュエータハンドルが取り外された、図34に示される印刷モジュールの第1の端部の拡大図である。
図36図36は、シザー昇降機構を解放し、上昇させた後の、第2の実施形態による印刷モジュールの斜視図である。
図37図37は、図36に示される印刷モジュールの拡大端部斜視図である。
図38図38は、図36に示される印刷モジュールの断面図である。
図39図39は、図36に示される印刷モジュールの第1の端部の拡大断面図である。
図40図40は、第2の実施形態によるプリントヘッドキャリアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
印刷エンジン
図1を参照すると、デジタルインクジェット多機能プリンタ1(「MFP」)の形態の印刷装置が示されている。多機能プリンタ1は、ユーザインタフェース3、スキャナ4及び出力トレイ5並びに用紙引き出し6及び用紙引き出しと同じ側に位置付けられたユーザアクセスパネル7などの様々な標準機能を含む。ユーザアクセスパネル7は、多機能プリンタ1の様々な内部構成要素への側方からのアクセスを可能にするためにユーザが開けることができる。図1Aは、ユーザアクセスパネル7を介してアクセス可能であるインクジェット印刷エンジン10及び関連するインク送出モジュール12を示す。印刷エンジン10は、特に以下で詳細に説明されるように、プリントヘッドの長手方向における側方からの装填のために構成される。
【0085】
図2~4を参照すると、印刷エンジン10が単独で示されている。印刷エンジン10は、多機能プリンタ1のフレーム(図示せず)に固定して装着するためのシャーシ15を含む。第1の印刷モジュール17は、シャーシに対して印刷モジュールを上昇及び下降させるためのモジュール昇降機構19を介してシャーシ15に移動可能に接続されている。図2~4では、第1の印刷モジュール17がその上昇(メンテナンス)位置にある印刷エンジン10が示され、図1Aでは、印刷モジュールがその下降(印刷)位置にある印刷エンジン10が示されている。
【0086】
モジュール昇降機構19は、シャーシ15の後板22の対向する端部に装着されたラック21の対と、ラックと係合される対応するピニオン23の対であって、相互接続ピニオンシャフト25の周りに固定して装着されたピニオン23の対とを含むラックアンドピニオン機構の形態をとる。モジュール昇降機構19は、相互接続ピニオンシャフト25の回転により、ラックに沿ってピニオンの対を移動させるために、ピニオン23の1つに動作可能に接続された昇降モータ27によって駆動される。
【0087】
ピニオンシャフト25は、それぞれのピニオン23を収容する昇降ブラケット29の対間に回転可能に装着され、それにより、昇降ブラケットは、モジュール昇降機構19によって下降又は上昇され得る。昇降ブラケット29は、印刷エンジン10の長さに沿って長手方向に延在する細長い装着ビーム31を介して相互接続される。印刷モジュール17の上部は、装着ビーム31への固定された装着のための好適な装着固定具30を有する(図6を参照されたい)。したがって、第1の印刷モジュール17は、それぞれメンテナンス位置(図2~4)と印刷位置(図1A)との間の昇降モータ27の作動を介して上昇及び下降され得る。昇降ブラケット29と係合されたスプリング機構(図示せず)は、第1の印刷モジュール17の上昇を支援するために使用され得る一方、各昇降ブラケットに装着された軸受スライダ(図2~4では見えない)は、印刷モジュールのモーメントを打ち消すために各ラック21の片側に当接する。
【0088】
シャーシ15の下部は、後板22に固定されたL字形フレーム32を含む。L字形フレーム32は、印刷エンジン10のメンテナンスサブ組立体33を収容し、図5に単独で示されている。メンテナンスサブ組立体33は、第1の印刷モジュール17の細長いインクジェットプリントヘッド50上でメンテナンス動作を実行するためのプリントヘッドキャッパ35及びワイパキャリッジ37を含む。L字形フレームのより長いアーム39内に収容されるプリントヘッドキャッパ35は、プリントヘッドを覆うために、シザー機構40を介してシャーシ15の後板22から横方向に延在可能である。L字形フレームのより短いアーム41に収容されるワイパキャリッジ37は、プリントヘッドを拭き取るために、第1の印刷モジュール17の長手方向軸に沿って通過可能である。図2~5に示される構成において、キャッパ35は、プリントヘッドが覆われた、その横方向伸長位置にあり、ワイパキャリッジ37は、L字形フレーム32のより短いアーム41内に収容されたその駐車又は「ホーム」位置にある。メンテナンスサブ組立体33は、機能及び機構の両方の点において、その内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2017/0313061号明細書で説明されているメンテナンスモジュールと同様である。したがって、メンテナンスサブ組立体33の機能及び機構のより詳細な説明について、当業者は、米国特許出願公開第2017/0313061号明細書を参照する。
【0089】
印刷モジュール(第1の実施形態)
図6及び7を参照すると、第1の実施形態による第1の印刷モジュール17が単独で示されている。第1の印刷モジュール17は、一般的に細長く、図8に示されるプリントヘッドカートリッジ50(又は「プリントヘッド50」)を取り外し可能に装着する一次機能を果たす(プリントヘッドカートリッジ50は、米国特許出願公開第2018/0222198号明細書で詳細に説明されており、その内容は、参照により本明細書に援用される)。第1の印刷モジュール17は、対向するPCB52の対及びインクカップリング54の対並びにPCB及びインクカップリングをプリントヘッド50に取り外し可能に接続し、且つプリントヘッドを印刷モジュールに挿入する/それから取り外すための様々な機構を収容する。特に、第1の印刷モジュール17は、クレードル56と、移動可能な供給組立体60とを含む。
【0090】
図9を参照すると、クレードル56は、プリントヘッド50を収容するための長手方向キャビティ59を画定する下ネスト57と、ネストから上向きに延在する前後のクレードル側板58と、ネストに固定された第1のエンドハウジング78A及び第2のエンドハウジング78Bとを含む。第1のエンドハウジング78A及び第2のエンドハウジング78Bのそれぞれは、ネスト57のアンカー箇所80に接続された足部と、印刷エンジン10の装着ビーム31への装着のための装着固定具30を含む上部とを有する。弾性固定装置82は、印刷モジュール10をその印刷位置及びメンテナンス位置に基準設定するとき、モジュール昇降機構19にある程度の余裕を提供するために、エンドハウジング78A及びエンドハウジング78Bをアンカー箇所80に装着するのに使用される。
【0091】
供給組立体60は、前後のクレードル側板58間でクレードル56に摺動可能に収容され、供給組立体は、以下でより詳細に説明するようなレバー機構62により、(プリントヘッド50を含む)ネスト57に向かって且つそれから離れて持ち上げ可能である。
【0092】
図10~12を参照すると、供給組立体60は、クレードル側板58と平行に延在する前後のPCB装着プレート64の対を含む。図10に示されるように、対向するPCB52は、それぞれのPCB装着プレート64にそれぞれ固定され、対向するPCB間に空間が画定されている。2つのPCB装着プレート64間に固定されたファン組立体は、ファン70と、様々な電子部品を冷却するためにPCB52間の空間に空気流を提供するダクト装置71とを含む。構造的剛性は、前後のPCB装着プレート64を相互接続する第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bによって提供される。
【0093】
第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bのそれぞれは、装着ブラケットから吊り下げたそれぞれのインクカップリングブラケット72を介してインクカップリング54の組を装着するために、それから長手方向外向きに延在する装着ブラケット69を有する。したがって、インクカップリング54は、供給組立体60に固定され、PCB52と協働して移動する。プリントヘッド50の対向する端部の入口ポート74及び出口ポート75に対応するインクカップリング54の2つの組は、供給組立体60の対向する端部にある。
【0094】
第1の印刷モジュール17の対向する端部に位置付けられたインクカップリング54、インクカップリングブラケット72及び装着シェルフ69の2つの組は、クレードル56のそれぞれの第1のエンドハウジング78A及び第2のエンドハウジング78Bに含まれる。第1の印刷モジュール17の第1の端部の第1のエンドハウジング78Aは、インクカップリング54及び関連する装着を明らかにするために、図6及び7において透明に示されている。
【0095】
ここで、図7及び13を参照すると、クレードル56に対する供給組立体60の移動は、レバー機構62によってもたらされる。レバー機構62は、第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bから外向きに突出するそれぞれのスピゴット86と係合されたカムレバー84の対を含む。カムレバー84は、第1の印刷モジュール17の後面に沿って長手方向に延在し、後方PCB装着プレート64に固定されたブッシュ89によって支持されたレバーシャフト88の周りに固定して装着されている。レバーシャフト88の一端は、第1のエンドハウジング78Aを越えて延在し、ユーザが操作するためのレバーハンドル90を有する。レバーハンドル90及びレバーシャフト88の(図7及び13に示されるような)時計回りの回転により、カムレバー84とスピゴット86との間のカム係合を介してレバー機構62が作動し、それにより供給組立体60がプリントヘッド50に向かって下方に移動する。インクカップリング54は、下降してプリントヘッド入口ポート74及び出口ポート75と係合すると、プリントヘッド50への流体接続を形成する迅速継手である。逆に、レバーハンドル90の反時計回りの回転により、供給組立体60は、上昇し、インクカップリング54は、プリントヘッド入口74及び出口ポート75から分離される。
【0096】
図8及び12を参照すると、供給組立体60は、PCB装着プレート64のそれぞれから横方向に内側に突出する対向するスラストピンの対を含む。スラストピン76は、プリントヘッド50の中央部分に画定された相補的なノッチ77との位置合わせのために位置付けられる。レバー機構62が供給組立体60をプリントヘッド50に向かって移動させるように操作されると、スラストピン76は、ノッチ77と係合して、プリントヘッド50を下向きに付勢し、ネスト57と着座(基準設定)係合させる。したがって、細長いプリントヘッド50は、各端部でインクカップリング54を介して且つ中間部分でスラストピン76を介して下方力を受ける。
【0097】
図14を参照すると、摺動式ロック機構92は、その上昇又は下降位置に供給組立体60を保持するのに使用される。ロック機構92は、第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bの横方向に突出するロックピン96とのロック係合のために構成された第1及び第2の保持部94を含む。保持部94の組は、保持部94をロックピン96から解放し、レバー機構62を使用した供給組立体60の移動を可能にするために、第1の端部で摺動プレートに接続されたロックハンドル99を押し込むことによって長手方向に摺動可能に移動可能な摺動プレート98を介して接続される。供給組立体60が適切な位置に下げられると、第1の印刷モジュール17の第1の端部に向かってロックハンドル99を引き戻すことにより、供給組立体の移動を防止し、レバー機構62を効果的に無効にするようにそれぞれの保持部94及びロックピン96を再係合する。図14に示されるように、供給組立体60は、保持部94から解放されたロックピン96とともにその上昇位置にある。この上昇位置において、第1の端部のロックピン96は、第1の保持部94の上に位置付けられた保持機能95と係合する。保持機能95は、摺動プレート98に接続され、プリントヘッドの取り外し及び交換中、供給組立体60をその上昇位置に保持する役割を果たす。
【0098】
上記のように、プリントヘッド50へのインク接続は、レバー機構62のレバーハンドル90を使用して、名目上のz軸に沿って供給組立体60を下げることによって行われる。供給組立体60がその下降位置にあると、PCB接点101の対向する列は、プリントヘッド50の対向する長手方向の側部に沿って延在するそれぞれのプリントヘッド接点103に隣接して位置付けられる。しかしながら、供給組立体60とプリントヘッド50との間の電気的接続は、インク接続とは別のステップで形成され、それにより印刷エンジン10の一端のみからプリントヘッド50を取り替えるときに必要な力が最小化される。ここで、図15A及び15Bを参照すると、締め付けロッド105の対は、ネスト57内に長手方向に回転可能に装着され、各締め付けロッドは、PCB接点101のそれぞれの列と平行に延在する。締め付けロッド105は、それぞれ締め付けロッドに固定して装着されて、第1の印刷モジュール17の第1の端部に位置付けられたそれぞれの締め付けレバー107により、独立して回転可能である。各締め付けロッド105は、各PCB装着プレート58の下部から延在するそれぞれの弾性フランジ108とのカム係合のために構成される。各弾性フランジ108は、それぞれのPCB52のPCB接点101と位置合わせされ、供給組立体60がその下降位置にあると、各弾性フランジは、それぞれの締め付けロッド105とプリントヘッド接点103のそれぞれの列との間に位置付けられる。示される実施形態において、各締め付けロッド105は、締め付けロッドがその非締め付け位置にあるとき(図13A)、プリントヘッド50に面する長手方向の切り欠きを有し、それによりPCB接点101がプリントヘッド接点103から分離される。締め付けレバー107の互いに向かう回転は、弾性フランジ108に対する締め付けロッド105のカム作用を介して、名目上のx軸に沿ってプリントヘッド接点103に対してPCB接点101を締め付ける。図15Aは、それらの非締め付け位置における締め付けロッド105を示し、図15Bは、それらの締め付け位置における締め付けロッドを示す(供給組立体60は、図15Bではその上昇位置で示されているが、プリントヘッド接点103に対するPCB接点101の締め付け具は、供給組立体を下げる必要があることが理解されるであろう)。
【0099】
第1の印刷モジュール17の第1の端部の第1のエンドハウジング78Aは、名目上のy軸に沿ったプリントヘッド50の長手方向の挿入及び取り外しのためのアクセス開口部110を画定する。プリントヘッドキャリア112は、その第2の端部において、第1の印刷モジュール17の長手方向軸に対して横方向の枢軸116の周りに枢動し、それにより、印刷モジュールの第1の端部のアクセス開口部110に近接するプリントヘッドキャリアの一端は、プリントヘッドアクセス部に持ち上げることができる。
【0100】
図16A~Cは、プリントヘッド50の取り外しのためのプリントヘッドキャリア112の基本的な枢動を示す。図16Aにおいて、プリントヘッドは、プリントヘッドキャリアと完全に係合されて、印刷構成でネスト57に水平に着座している。図16Bにおいて、プリントヘッド50は、プリントヘッドキャリア112と依然として完全に係合されているが、プリントヘッドキャリアは、ネスト57の第2の端部において枢軸116の周りで枢動され、それにより、プリントヘッドキャリア112(及びプリントヘッド50)の第1の端部は、第2の端部に対して持ち上げられる。図16Cにおいて、プリントヘッド50は、プリントヘッドキャリアから離れるように、クレードル56のアクセス開口部110を通してプリントヘッドを引っ張ることにより、プリントヘッドキャリア112から長手方向に摺動可能に取り外されている。
【0101】
図17及び18は、それぞれ第1の印刷モジュール17の第1の端部及び第2の端部の拡大図である。図17において、プリントヘッド50のオーバーヘッドハンガー114は、プリントヘッドキャリア112と係合され、アクセス開口部110を通して見ることができる。図18において、トラニオン118の対(図18では1つのトラニオンのみを見ることができる)は、枢軸116を画定し、プリントヘッドキャリア112の枢動ブラケット122とネスト57との間の枢動係合を提供する。
【0102】
図19に単独で示されるプリントヘッドキャリア112は、その第1の端部のラッチブラケット120と、その第2の端部の枢動ブラケット122とを含み、離間したレール126の対がその間で延在する。レール126は、プリントヘッドが第1の端部からプリントヘッドキャリア112に摺動可能に挿入されたとき、プリントヘッド50のオーバーヘッドハンガー114を吊り下げるために構成される。図8を簡単に参照すると、オーバーヘッドハンガー114は、プリントヘッド50の上部のそれぞれの装着バー129から反対の方向において、横方向に延在する細長いフランジ128の対を含む略T字状である。図19に戻ると、ラッチブラケット120は、プリントヘッド50から上方に延在する相補的なキー突起132とのキーイング係合のためのキーノッチの形態の非対称キーイング機能130を含む。キーイング機能130及び相補的なキー突起132は、プリントヘッド50を適切な向きでのみプリントヘッドキャリア112に摺動可能に挿入できることを保証する。
【0103】
図20~22を参照すると、ラッチ134は、プリントヘッドキャリア112をラッチ又は解放するために、ラッチブラケット120に摺動可能に接続されており、それによりプリントヘッド50をその印刷位置にラッチするか、又はプリントヘッドの取り外しのためにプリントヘッドキャリアの枢動運動を可能にする。ラッチ134は、第1の印刷モジュール17の長手方向軸に沿った摺動移動のためにラッチブラケット120のスロットの対に係合される。ラッチ134は、ユーザ操作のためのラッチハンドル136と、ネスト57の第1の端部におけるガイドプレート142(並びにネストエンドプレート144)に画定された相補的なラッチスロット140とのラッチ係合のためのタブ138の対とを含む。図20は、そのラッチ構成におけるラッチ134を示し、タブ138は、ガイドプレート142のラッチスロット140に係合されている。図21では、ガイドプレート142及びネストエンドプレート144は、ラッチブラケット120及びタブ138に対するラッチの摺動機構143を露出させるために取り外されている。図22は、そのラッチ解除位置におけるラッチ134を示し、ラッチハンドル136は、内側に押され、タブ138は、ラッチスロット140から解放されている。このラッチ解除構成では、プリントヘッドキャリア112は、プリントヘッド50の第1の端部を上昇させてアクセス開口部と位置合わせできるように、枢軸116の周りで自由に枢動することができ、それにより印刷モジュールからのプリントヘッドの摺動する長手方向の取り外しが可能になる(図16B及び16C)。
【0104】
ガイドプレート142は、プリントヘッドの挿入又は取り外し中、プリントヘッドがその上面に沿って自由に摺動することを可能にとする好適な材料(例えば、プラスチック)から形成される。さらに、図20で最もよく分かるように、ガイドプレート142の上部案内面148は、そのインク吐出面を傷つけることなく、プリントヘッド50を第1の印刷モジュール17から取り外すことができるように形成される。特に、案内面148は、支持ショルダ152の対間に位置付けられた中央凹部150を有する。支持ショルダ152は、プリントヘッド50のより低い長手方向縁領域に接触する一方、凹部150は、(繊細なプリントヘッドチップを含む)プリントヘッドのインク吐出面から離間しており、それによりプリントヘッドの長手方向の取り外し又は挿入中の第1の印刷モジュール17とインク吐出面との間の、場合により損傷を与える接触を最小化する。
【0105】
第1の印刷モジュール17からプリントヘッド50を取り外すために、印刷モジュールの第1の端部に面するユーザは、以下の一連のステップを実行する。最初に、プリントヘッド接点103からPCB接点101を締め付け解除するために、締め付けレバー107を反対方向に回転させる。次に、レバー機構62を解放するために、ロックハンドル99を内側に押す。レバー機構が解放されると、プリントヘッド50からインクカップリング54を解放するために、レバーハンドル90を反時計回りに回転させて、プリントヘッドから離れるように供給組立体60を上昇させる。次に、プリントヘッドキャリア112のラッチを解除するために、ラッチハンドル138を内側に押し、ラッチハンドルをさらに保持すると、プリントヘッド50がクレードル56のアクセス開口部110と位置合わせされるように、プリントヘッドキャリア112は、上方に枢動する(図23A及び23Bに最もよく示されているように、ラッチ134は、ラッチが上昇したときにアクセス開口部110に画定された保持ノッチ157との係合を介してプリントヘッドキャリア112を支持するために構成された対向するウイングレット155を有する)。プリントヘッドキャリア112の第1の端部が上昇して、保持ノッチ157によって保持されると、次いで、プリントヘッド50は、プリントヘッドキャリア112に対してプリントヘッドを長手方向に摺動させて、アクセス開口部110を通して外に摺動させることにより、第1の印刷モジュール17から取り外すことができる。逆順の一連のステップは、交換用プリントヘッド50を第1の印刷モジュール17に挿入するのに使用される。
【0106】
上記の順序のすべてのステップは、印刷エンジン10の一端のみにアクセスすることができるユーザによって実行され得ることが理解されるであろう。したがって、印刷エンジン10は、プリンタの片側に位置付けられたユーザアクセスパネルを有する上記のタイプの多機能プリンタでの使用に好適である。
【0107】
第2の印刷モジュール(第2の実施形態)
図24及び25を参照すると、第2の実施形態による第2の印刷モジュール200が単独で示されている。第2の印刷モジュール200は、第1の印刷モジュール17と同じフォームファクタを有し、同様に、図8に示されるプリントヘッドカートリッジ50(又は「プリントヘッド50」)を取り外し可能に装着する一次機能を果たす。関連する場合、同様の参照番号は、第1の印刷モジュール17及び第2の印刷モジュール200における類似の機能を有する同じ又は同様の特徴を説明するのに使用される。
【0108】
第2の印刷モジュール200は、印刷エンジン10の装着ビーム31(図2を参照されたい)への固定された装着のために設計され、そのために、その上部に対応する装着固定具30を含む。第1の印刷モジュール17と同様に、第2の印刷モジュール200は、PCB及びインクカップリングをプリントヘッド50に取り外し可能に接続するために、対向するPCB52の対及びインクカップリング54の対を収容し、それによりプリントヘッドの挿入/取り外しを可能にする。さらにまた、第2の印刷モジュール200は、そのようなインク及び電気的接続をもたらすために、クレードル56と、移動可能な供給組立体60とを含む。
【0109】
しかしながら、第2の印刷モジュール200は、以下でより詳細に説明するように、クレードル56に対して供給組立体60を移動させるための代替的なシザー昇降機構202を含む。さらにまた、第1の実施形態に関連して上で説明された様々なハンドル及びレバーとは対照的に、シザー昇降機構202、摺動式ロック機構92及びPCB締め付け機構の作動は、単一の多機能アクチュエータハンドル203によって制御される。それにもかかわらず、プリントヘッドの挿入/取り外し(図16A~Cを参照されたい)のための、プリントヘッドキャリア112の枢動及びキャリアに対するプリントヘッド50の(オーバーヘッドハンガー114を介した)摺動する長手方向移動は、第1の印刷モジュール17及び第2の印刷モジュール200の両方で使用される機構の共通の機能のままである。
【0110】
図26を参照すると、第2の実施形態によるクレードル56は、プリントヘッド50を収容するための長手方向キャビティ59を画定する下ネスト57と、ネストから上向きに延在する前後のクレードル側板58と、ネストに固定された第1のエンドハウジング78A及び第2のエンドハウジング78Bとを含む。第1のエンドハウジング78A及び第2のエンドハウジング78Bのそれぞれは、ネスト57のアンカー箇所80に接続された足部と、印刷エンジン10の装着ビーム31への装着のための装着固定具30を有する上部とを有する。弾性固定装置82は、印刷モジュール10をその印刷位置及びメンテナンス位置に基準設定するとき、モジュール昇降機構19にある程度の余裕を提供するために、エンドハウジング78A及びエンドハウジング78Bをアンカー箇所80に装着するのに使用される。さらに、第2の実施形態によるクレードル56は、シザー昇降機構202を支持するための、対向するクレードル側板58間に固定された支持ブラケット204の対を含む。図27~29は、摺動式ロック機構92、シザー昇降機構202及びアクチュエータハンドル203を有する、第2の実施形態によるクレードル56を示す。摺動式ロック機構92及びシザー昇降機構202の動作は、以下でさらに詳細に説明される。
【0111】
第2の実施形態による供給組立体60は、図30及び31に独立して示されている。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態による供給組立体60は、前後のクレードル側板58間でクレードル56に摺動可能に収容され、ネスト57に向かって且つそれから離れて持ち上げ可能である。
【0112】
第1の実施形態と同様に、第2の実施形態による供給組立体60も、クレードル側板58と平行に延在する前後のPCB装着プレート64の対を含み、各PCB装着プレートは、その下部にそれぞれの弾性フランジ108を有する。対向するPCB52は、それぞれのPCB装着プレート64にそれぞれ固定され、対向するPCB間に空間が画定されている。ファン組立体は、同様に、2つのPCB装着プレート64間に固定され、ファン70及びダクト装置71(図30及び31では見ることができない)は、様々な電子部品を冷却するためにPCB52間の空間に空気流を提供する(図10及び11を参照されたい)。構造的剛性は、前後のPCB装着プレート64を相互接続する第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bによって提供される(前後の装着プレート64は、第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bとともに集合的に「供給組立体ハウジング」である)。
【0113】
第1のエンドブラケット68A及び第2のエンドブラケット68Bは、装着ブラケットから吊り下げたそれぞれのインクカップリングブラケット72を介してインクカップリング54の組を装着するために、それから長手方向外向きに延在するそれぞれの装着ブラケット69をそれぞれ有する。したがって、第1の実施形態と同様に、インクカップリング54は、供給組立体60に固定され、PCB52と協働して移動する。インクカップリングブラケット72から下向きに延在する位置決めピン205は、供給組立体60がプリントヘッド50と係合している間、インクカップリング54を、対応するプリントヘッド入口ポート74及び出口ポート75と位置合わせするように構成される。
【0114】
さらに、第2の実施形態による供給組立体60の各装着ブラケット69は、シザー昇降機構202の昇降ロッド210を受けるためのそれぞれのスリーブ208を含む。したがって、供給組立体60の各端部のスリーブ208は、供給組立体がクレードル56に対して上げる(且つ下げる)ことができる手段を提供する。シザー昇降機構202をロックするためのロックピン96は、各装着ブラケット96の両側から外向きに突出する。
【0115】
ここで、第2の実施形態による印刷モジュール200のシザー昇降機構202及び摺動式ロック機構92の機能がプリントヘッド取り外し操作に関して説明される。最初、図24及び25に示されるように、摺動式ロック機構92は、ロックされ、印刷構成において、プリントヘッド50は、印刷モジュール200に完全に挿入されている。印刷構成において、すべてのインクカップリング54は、プリントヘッド50に流体的に接続され、PCB接点101は、プリントヘッド接点103に電気的に接続され、プリントヘッド50は、ネスト57に対して基準設定されている。
【0116】
図32は、印刷モジュール200を示し、アクチュエータハンドル203及びネスト57は、摺動式ロック機構92及びPCB締め付け機構93の両方の詳細を露出させるために取り外されている。摺動式ロック機構92は、摺動プレート98の対を含み、それぞれは、供給組立体60の各装着ブラケット69から横方向外側に突出する対応するロックピン96と係合された保持部94を有する。各摺動プレート98は、アクチュエータハンドル203との係合のために摺動プレート98に固定されたそれぞれの摺動アクチュエータ212をさらに含む。アクチュエータハンドル203の摺動プレートピン214は、摺動プレート98の長手方向の摺動移動をもたらすために、摺動アクチュエータ212の相補的なノッチ機能216と係合される。したがって、ユーザがハンドル203を長手方向に引くと、摺動プレート98は、ユーザに向かって摺動し、ロックピン96との係合から保持部94が解放され、それによりそのロック位置から供給組立体60が解放される。
【0117】
そのロック位置からの供給組立体60の解放と同様に、摺動プレート98の長手方向の摺動移動は、同時に、プリントヘッド接点103からPCB接点101を締め付け解除する。図32及び35を参照すると、各摺動プレート98は、その下締め付け部分219から内向きに突出する複数の締め付け具218を有する。各締め付け具218は、ネスト57の側壁に画定された締め付けスロット222により、隣接する弾性フランジ108の対応するカム突起220と係合される(図26を参照されたい)。図32に示されるロック位置において、締め付け具218は、PCB接点101を付勢してプリントヘッド接点103と係合するように各弾性フランジ108を内側に付勢する。図35に示されるような、摺動プレート98の長手方向の摺動移動後、締め付け具218は、弾性フランジのバネ付勢及びカム突起220の傾斜形状によって弾性フランジ108を外側に解放し、それによりPCB接点101をプリントヘッド接点103から分離する。したがって、アクチュエータハンドル203を引くことによって長手方向に摺動可能である摺動プレート98、摺動式ロック機構92を解除することと同時に、係合(電気的接続)位置から分離(電気的分離)位置まで、対向する弾性フランジ108及びPCB接点101を解放することの二重の機能を実行する。
【0118】
アクチュエータハンドル203は、摺動プレートピン214及び摺動アクチュエータ212を介して摺動プレート98と係合されるだけでなく、ここで説明されるように、供給組立体60を上昇及び下降させるためにシザー昇降機構202とも係合される。最初に図27を参照すると、シザー昇降機構202は、印刷モジュール200の各側部に第1のシザーアーム224及び第2のシザーアーム226の対を含む。それぞれの第1のシザーアーム224は、支持ブラケット204の1つに枢動可能に接続された上端部と、第1のシザーアームの下端部分に画定された対応するハンドルスロット230に摺動可能に収容されるアクチュエータハンドルのシザーピン228を介してアクチュエータハンドル203に接続された下端部分とを有する(図32及び33を参照されたい)。したがって、上記のように、第1のシザーアーム224のそれぞれは、ハンドルスロット230に収容される摺動可能なシザーピン228により、摺動式ロック機構92の解除のためのアクチュエータハンドル203の摺動移動を可能にするように構成される。図27に戻ると、第2のシザーアーム226は、対向する支持ブラケット204に枢動可能に接続された上端部と、シザー軸232を画定するために第1のシザーアームと枢動可能に係合された中間部とを有する。第1のシザーアーム224の平行な組は、供給組立体60を持ち上げるために、それらの下端部でそれぞれの昇降ロッド210を介して相互接続する。同様に、第2のシザーアームの平行な組は、それぞれの昇降ロッド210を介してそれらの下端部で相互接続する(図28及び29を参照されたい)。各昇降ロッド210は、対応する装着ブラケット69のスリーブ208に収容され、それにより、シザー昇降機構202の動作は、それらのそれぞれのスリーブ208と係合された昇降ロッド210を介して供給組立体60の直線運動に伝達される。
【0119】
図36は、印刷モジュール200を示し、シザー昇降機構(及び供給組立体60)は、プリントヘッドを取り外すためにその上昇位置にある。したがって、供給組立体60を上昇させるために、ユーザは、アクチュエータハンドル203を簡単に把持し、上記のように自らに向かってアクチュエータハンドル203を引いて、摺動式ロック機構92及びPCB締め付け機構93を解放し、次いでアクチュエータハンドルを上方に上げてシザー昇降機構202を作動させる。シザー昇降機構202は、アクチュエータハンドル203の摺動プレートピン214と、第1のエンドハウジング78Aに固定された対応する留め具238との間の係合を介して上昇位置でラッチされ得る(図37を参照されたい)。これにより、ユーザは、印刷モジュール200から長手方向にプリントヘッド50を引くために2本の手を自由にすることができる。
【0120】
プリントヘッド50は、そのオーバーヘッドハンガー114を介してプリントヘッドキャリア112に摺動可能に収容される。しかしながら、第1の実施形態による印刷モジュール17と対照的に、第2の実施形態のプリントヘッドキャリア112は、図38及び39で最もよく分かるように、ヒンジ式リンケージ240の対を介して供給組立体60に接続される。各ヒンジ式リンケージ240は、プリントヘッドキャリア112に枢動可能に接続された下端部と、ロックピン96を介して装着ブラケット69に枢動可能に接続された上端部とを有する。したがって、供給組立体60の上方移動は、第1の端部のインクカップリング54の保持力及びヒンジ式リンケージ240を介してプリントヘッドキャリア112の第1の端部を上昇させる一方、プリントヘッドキャリアの対向する第2の端部は、ネスト57に枢動可能に接続され、それにより、概略図16A~Cに関連して説明されるように、プリントヘッドの取り外しのために第1の端部でプリントヘッドキャリアを上方に傾ける。
【0121】
供給組立体60の最初の上向き移動で、印刷モジュール200の第2の端部20のインクカップリング54は、プリントヘッドから50から分離される。しかしながら、印刷モジュール200の第1の端部18のインクカップリング54は、プリントヘッド50及びプリントヘッドキャリア112の最初の上方移動の結果として、第2の端部のインクカップリングと同時に分離されない。プリントヘッド50の第1の端部での流体分離を実現するために、固定された舌部242は、プリントヘッドキャリア112との係合のために、第1のエンドハウジング78Aから下向きに垂下する。供給組立体60の上方移動中、舌部242は、装着ブラケット69の舌部スロット244を通過し、プリントヘッドキャリア112の第1の端部のリアクションプレート246に突き当たる。したがって、舌部242は、プリントヘッドキャリア112の上方移動を制限し、第1の端部のインクカップリング54をプリントヘッド50から引き離して、プリントヘッド50から分離することができる。一方、ヒンジ式リンケージ240は、さらに延在し、支持組立体60が流体分離のために上方に移動するとき、プリントヘッドキャリア112を支持し続ける。有利には、第1の端部18及び第2の端部20のインクカップリング54は、別々に分離され、それによりインクカップリングの2つの組が同時に分離される第1の実施形態と比較して分離のために必要な力が減少する。
【0122】
図39において、ヒンジ式リンケージは、拡大されて示されており、舌部は、分離されたプリントヘッド50の対向する端部においてプリントヘッドキャリア112のリアクションプレート246及びインクカップリング54に突き当たっている。この構成において、プリントヘッド50は、ユーザがプリントヘッドキャリアから摺動可能に取り外して、交換する準備ができている。プリントヘッドの交換のために、ユーザは、上記のものに対して逆順の一覧のステップを実行する。交換用プリントヘッド50は、最初に、プリントヘッドキャリア112内に長手方向に摺動される。ユーザは、アクチュエータハンドル203を把持して、留め具238からラッチを解除する。次に、ユーザは、シザー昇降機構202を作動させるために、アクチュエータハンドル203を下向きに移動させて、供給組立体60を下向きに移動させる。この移動により、プリントヘッド50の対向する端部でインクカップリング54と入口/出口ポートとの間を流体接続し、またプリントヘッドをネスト57に基準設定する。最後に、ユーザは、PCB締め付け機構93を作動させるために、アクチュエータハンドル203を内側に(すなわちユーザから離れるように)押して、電気的接続を形成し、さらに供給組立体60を印刷位置にロックするために摺動式ロック機構92を作動させる。
【0123】
当然のことながら、本発明は、単なる例示として記載されており、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内で細部の変更形態がなされ得ることが理解されるであろう。
図1-1A】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15A-15B】
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
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図26
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図37
図38
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図40