IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧 ▶ 東北パイオニア株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-発光装置 図1
  • 特許-発光装置 図2
  • 特許-発光装置 図3
  • 特許-発光装置 図4
  • 特許-発光装置 図5
  • 特許-発光装置 図6
  • 特許-発光装置 図7
  • 特許-発光装置 図8
  • 特許-発光装置 図9
  • 特許-発光装置 図10
  • 特許-発光装置 図11
  • 特許-発光装置 図12
  • 特許-発光装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/38 20230101AFI20231124BHJP
   H10K 59/19 20230101ALI20231124BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20231124BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231124BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H10K59/38
H10K59/19
H10K59/35
G02B5/20 101
G02B5/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021545497
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2020033407
(87)【国際公開番号】W WO2021049408
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019164327
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真滋
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-532825(JP,A)
【文献】特開2019-024024(JP,A)
【文献】特開2010-237373(JP,A)
【文献】特開2018-036300(JP,A)
【文献】特開2018-037354(JP,A)
【文献】特開2018-017984(JP,A)
【文献】特開平05-204320(JP,A)
【文献】特開2015-005386(JP,A)
【文献】特開2014-072001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H10K 50/00-99/00
G02B 5/20
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する透光性の基板と、
前記基板の前記第1面上に位置し、それぞれがセグメント型の複数の発光部と、
前記基板の前記第2面上に位置し、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも2つの発光部と重なる第1カラーフィルタ部と、
前記基板の前記第2面と、前記第1カラーフィルタ部と、を覆い、粘着剤を介して前記基板の前記第2面に粘着された偏光板と、
前記第1カラーフィルタ部の周囲において前記粘着剤によって覆われた透明樹脂と、
を備え、
前記基板の前記第2面は、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なり、かつ前記粘着剤に接する領域を含み、
前記第1カラーフィルタ部の厚さT1と前記粘着剤の厚さT2との関係は0.75≦T2/T1≦1.25となっている、発光装置。
【請求項2】
請求項に記載の発光装置において、
前記偏光板は、前記基板の前記第2面のうち、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なり、かつカラーフィルタ部が位置していない領域を覆っている、発光装置。
【請求項3】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する透光性の基板と、
前記基板の前記第1面上に位置し、それぞれがセグメント型の複数の発光部と、
前記基板の前記第2面上に位置し、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なる第1カラーフィルタ部と、
前記基板の前記第2面と、前記第1カラーフィルタ部と、を覆い、粘着剤を介して前記基板の前記第2面に粘着された偏光板と、
前記第1カラーフィルタ部の周囲において前記粘着剤によって覆われた透明樹脂と、
を備え、
前記基板の前記第2面は、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なり、かつ前記粘着剤に接する領域を含み、
前記第1カラーフィルタ部の厚さT1と前記粘着剤の厚さT2との関係は0.75≦T2/T1≦1.25となっている、発光装置。
【請求項4】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1カラーフィルタ部は、シアン色素、マゼンタ色素及びイエロー色素の少なくとも1つを含む、発光装置。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記発光部は、有機EL素子である、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば特許文献1又は2に記載されているように、発光装置から発せられる光を色づけるためにカラーフィルタ部が用いられることがある。特許文献1及び2の発光装置は、基板、複数の発光部及び複数のカラーフィルタ部を備えている。複数の発光部は、基板の第1面上に位置している。複数のカラーフィルタ部は、基板の第1面の反対側の第2面上に位置している。各発光部は、画像の画素となっている。複数のカラーフィルタ部は、レッド(R)カラーフィルタ部、グリーン(G)カラーフィルタ部及びブルー(B)カラーフィルタ部の3種類のカラーフィルタ部を含んでいる。複数のカラーフィルタ部のそれぞれは、複数の発光部のそれぞれに対応して重なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-167874号公報
【文献】特開2011-119091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、発光装置内の一部の発光部から発せられる光を容易に色づけることを検討した。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、発光装置内の一部の発光部から発せられる光を容易に色づけることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する透光性の基板と、
前記基板の前記第1面上に位置する複数の発光部と、
前記基板の前記第2面上に位置し、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なる第1カラーフィルタ部と、
を備え、
前記基板の前記第2面は、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも一つの発光部と重なり、かつカラーフィルタ部が位置していない領域を含む、発光装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する透光性の基板と、
前記基板の前記第1面上に位置する複数の発光部と、
前記基板の前記第2面上に位置し、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも2つの発光部と重なる第1カラーフィルタ部と、
を備える発光装置である。
【0008】
請求項10に記載の発明は、
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する透光性の基板と、
前記基板の前記第1面上に位置する複数の発光部と、
前記基板の前記第2面上に位置し、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なる第1カラーフィルタ部と、
前記基板の前記第2面と、前記第1カラーフィルタ部と、を覆い、粘着剤を介して前記基板の前記第2面とに粘着された偏光板と、
を備え、
前記基板の前記第2面は、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも一つの発光部と重なり、かつ前記粘着剤に接する領域を含む、発光装置である。
【0009】
請求項11に記載の発明は、
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する透光性の基板と、
前記基板の前記第1面上に位置する複数の発光部と、
前記基板の前記第2面上に位置し、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも1つの発光部と重なる第1カラーフィルタ部と、
前記基板の前記第2面と、前記第1カラーフィルタ部と、を覆い、粘着剤を介して前記基板の前記第2面とに粘着された偏光板と、
前記第1カラーフィルタ部の周囲において前記粘着剤によって覆われた透明樹脂と、
を備え、
前記基板の前記第2面は、前記第1面又は前記第2面に垂直な方向から見て前記複数の発光部のうちの少なくとも一つの発光部と重なり、かつ前記粘着剤及び前記透明樹脂の少なくとも一方に接する領域を含む、発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る発光装置の平面図である。
図2図1から有機層及び第2電極を取り除いた図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】実施形態1に係るカラーフィルタ部(第1カラーフィルタ部)の機能の一例を説明するための図である。
図5】実施形態1に係るカラーフィルタ部(第1カラーフィルタ部)の機能の他の一例を説明するための図である。
図6】実施形態2に係る発光装置の平面図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】実施形態2に係る複数のカラーフィルタ部(第1カラーフィルタ部及び第2カラーフィルタ部)の機能の一例を説明するための図である。
図9】実施例1に係る発光装置の一部分の拡大断面図である。
図10】実施例2に係る発光装置の一部分の拡大断面図である。
図11】実施例3に係る発光装置の一部分の拡大断面図である。
図12】実施例4に係る発光装置の一部分の拡大断面図である。
図13】実施例5に係る発光装置の基板の第2面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において「AがB上に位置する」という表現は、例えば、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがB上に直接位置することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後ろ」等の向きを示す表現は、基本的に図面の向きと合わせて用いるものであって、例えば本明細書に記載された発明品の使用する向きに限定して解釈されるものではない。
【0012】
本明細書において「A及びBが重なる」という表現は、特に断らない限り、ある方向からの投影像において、Aの少なくとも一部がBの少なくとも一部と同じ場所にあることを意味する。このとき複数の要素同士は直接接していてもよいし、又は離間していてもよい。
【0013】
本明細書中における陽極とは、発光材料を含む層(例えば有機層)に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは、発光材料を含む層に電子を注入する電極のことを示す。また、「陽極」及び「陰極」という表現は、「正孔注入電極」及び「電子注入電極」又は「正極」及び「負極」等の他の文言を意味することもある。
【0014】
本明細書における「発光装置」とは、ディスプレイや照明等の発光素子を有するデバイスを含む。また、発光素子と直接的、間接的又は電気的に接続された配線、IC(集積回路)又は筐体等も「発光装置」に含む場合もある。
【0015】
本明細書において、特に断らない限り、「膜」という表現と「層」という表現とは、状況及び場合に応じて適宜置換することが可能である。例えば、「絶縁膜」という文言は、「絶縁層」という文言に置換することが可能である。
【0016】
本明細書において「接続」とは、複数の要素が直接的又は間接的を問わずに接続している状態を表す。例えば、複数の要素の間に接着剤又は接合部材が介して接続している場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。また、複数の要素の間に、電流、電圧又は電位を供給可能又は伝送可能な部材が存在しており、「複数の要素が電気的に接続している」場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。
【0017】
本明細書において、特に断りがない限り「第1、第2、A、B、(a)、(b)」等の表現は要素を区別するためのものであり、その表現により該当要素の本質、順番、順序又は個数等が限定されるものではない。
【0018】
本明細書において、各部材及び各要素は単数であってもよいし、又は複数であってもよい。ただし、文脈上、「単数」又は「複数」が明確になっている場合はこれに限らない。
【0019】
本明細書において、「AがBを含む」という表現は、特に断らない限り、AがBのみによって構成されていることに限定されず、AがB以外の要素によって構成され得ることを意味する。
【0020】
本明細書において「断面」とは、特に断らない限り、発光装置を画素や発光材料等が積層した方向に切断したときに現れる面を意味する。
【0021】
本明細書において「有さない」、「含まない」、「位置しない」等の表現は、ある要素が完全に排除されていることを意味してもよいし、又はある要素が技術的な効果を有さない程度に存在していることを意味してもよい。
【0022】
本明細書において、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」等の時間的前後関係を説明する表現は、相対的な時間関係を表しているものであり、時間的前後関係が用いられた各要素が必ずしも連続しているとは限らない。各要素が連続していることを表現する場合、「直ちに」又は「直接」等の表現を用いることがある。
【0023】
本明細書において「AがBを覆う」 という表現は、特に断らない限り、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがBに接触することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る発光装置10の平面図である。図2は、図1から有機層120及び第2電極130を取り除いた図である。図3は、図1のA-A断面図である。
【0026】
発光装置10は、基板100、複数の発光部140(複数の第1電極110、有機層120及び第2電極130)及びカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)を備えている。
【0027】
基板100は、透光性を有している。基板100の可視光の透過率は、例えば、75%以上100%以下となっている。基板100は、単層であってもよいし、又は複数層であってもよい。基板100の厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下である。基板100は、第1面102及び第2面104を有している。複数の第1電極110、有機層120及び第2電極130は、基板100の第1面102上に位置している。第2面104は、第1面102の反対側にある。カラーフィルタ部200は、基板100の第2面104上に位置している。基板100は、例えば、ガラス基板である。基板100は、有機材料(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)又はポリイミド)を含む樹脂基板であってもよい。基板100が樹脂基板である場合、基板100の第1面102及び第2面104の少なくとも一方上には、無機バリア層(例えば、SiN又はSiON)が位置していてもよい。
【0028】
複数の第1電極110は、基板100の第1面102上に位置している。複数の第1電極110は、互いに離間している。各第1電極110は、透光性を有している。各第1電極110の可視光の透過率は、例えば、75%以上100%以下となっている。各第1電極110は、陽極として機能することができる。一例において、第1電極110は、金属又は合金を含んでいる。金属又は合金は、例えば、銀又は銀合金である。この例において、第1電極110の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下にしてもよい。第1電極110の厚さが上記下限以上である場合、第1電極110の電気抵抗を低くすることができ、第1電極110の厚さが上記上限以下である場合、第1電極110の透過率を高くすることができる。他の例において、第1電極110は、酸化物半導体を含んでいてもよい。酸化物半導体は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)又はIGZO(Indium Galium Zinc Oxide)である。
【0029】
有機層120は、複数の第1電極110上に位置している。有機層120は、正孔輸送層(HTL)122、発光層(EML)124及び電子輸送層(ETL)126を含んでいる。HTL122、EML124及びETL126は、複数の第1電極110と重なっている。言い換えると、HTL122、EML124及びETL126は、複数の第1電極110に亘って連続的に広がっている。EML124は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)によって、例えば白色光を発する。有機層120に含まれる層の構造は、本実施形態に係る構造に限定されない。例えば、有機層120は、正孔注入層(HIL)及び電子注入層(EIL)の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、又は電荷発生層(CGL)をさらに含んでいてもよい。
【0030】
第2電極130は、有機層120上に位置している。第2電極130は、複数の第1電極110と重なっている。言い換えると、第2電極130は、複数の第1電極110に亘って連続的に広がっている。第2電極130は、陰極として機能することができる。一例において、第2電極130は、金属又は合金を含んでいてもよい。金属又は合金は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる群の中から選択される少なくとも1つの金属又はこの群から選択される金属の合金である。
【0031】
本実施形態においては、複数の発光部140が物理的に互いに離間しており、かつ互いに独立してオン(発光状態)又はオフ(非発光状態)に切り替え可能になっている。具体的には、複数の発光部140は、基板100の第1面102上に位置しており、第1電極110、有機層120及び第2電極130の積層を有している。複数の発光部140のそれぞれは、互いに離間した複数の第1電極110のそれぞれに応じて、互いに離間している。すなわち、各発光部140は、各第1電極110と、有機層120のうち各第1電極110と重なり合う部分と、第2電極130のうち各第1電極110と重なり合う部分と、を有している。各第1電極110には、互いに独立して電圧が印加可能になっている。したがって、複数の発光部140は、互いに独立してオン(発光状態)又はオフ(非発光状態)に切り替え可能になっている。
【0032】
複数の発光部140の構造は、本実施形態に係る構造に限定されない。例えば、共通の第1電極110上及び共通の有機層120上において、複数の第2電極130が互いに離間していてもよい。この場合、複数の発光部140は、互いに離間した複数の第2電極130のそれぞれに応じて、互いに離間している。すなわち、各発光部140は、第1電極110のうち各第2電極130と重なり合う部分と、有機層120のうち各第2電極130と重なり合う部分と、各第2電極130と、を有している。各第2電極130には、互いに独立して電圧が印加可能になっている。したがって、複数の発光部140は、互いに独立してオン(発光状態)又はオフ(非発光状態)に切り替え可能になっている。
【0033】
複数の発光部140のそれぞれは、セグメント型の発光部となっている。ただし、各発光部140は、セグメント型の発光部でなくてもよく、例えば、画像の画素であってもよい。
【0034】
複数の発光部140は、不図示の封止部材(例えば、ガラス封止缶又は金属封止缶)又は封止膜(例えば、無機絶縁膜)によって封止されている。
【0035】
カラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)は、複数の発光部140のうちの一部の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)と重なっており、複数の発光部140のうちの他の一部の発光部140(第3発光部140c)と重なっていない。このようにして、基板100の第2面104は、第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て複数の発光部140のうち少なくとも一つの発光部140(第3発光部140c)と重なり、かつカラーフィルタ部が位置しない領域(第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て第3発光部140cと重なる領域)を含んでいる。本実施形態において、カラーフィルタ部とは、色素を含み、かつ可視光が透過可能な要素(例えば、層)であり、当該要素を透過した可視光に、当該色素の示す色を与えるものである。
【0036】
カラーフィルタ部200は、例えば、シアン(C)色素、マゼンタ(M)色素及びイエロー(Y)色素の少なくとも一つを含んでいる。この例において、カラーフィルタ部200は、色の三原色(CMY)で作製されている。カラーフィルタ部200が色の三原色(CMY)で作製されている場合、カラーフィルタ部200が光の三原色(RGB)で作製されている場合と比較して、カラーフィルタ部200の色のバリエーションを増加させることができる。さらに、カラーフィルタ部200が色の三原色(CMY)で作製されている場合、カラーフィルタ部200が光の三原色(RGB)で作製されている場合と比較して、カラーフィルタ部200を透過可能な光の波長帯域を広くすることができ、カラーフィルタ部200からの光の取出し効率を向上させることができる。ただし、カラーフィルタ部200は、光の三原色(RGB)で作製されていてもよく、例えば、レッド(R)色素、グリーン(G)色素及びブルー(B)色素の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0037】
カラーフィルタ部200は、単層であってもよいし、又は複数層であってもよい。カラーフィルタ部200が単層である場合、例えば、シアン(C)色素、マゼンタ(M)色素、イエロー(Y)色素又はこれらの色素の混合によって、カラーフィルタ部200を透過する光の色を所望の色にすることができる。カラーフィルタ部200が複数層であるとき、例えば、異なる色素を含む複数層を重ねることで、カラーフィルタ部200を透過する光の色を所望の色にすることができる。例えば、シアン(C)色素を含む一層と、イエロー色素(Y)を含む他の一層と、を重ねることで、これら2層を透過する光の色をグリーン(G)にすることができる。
【0038】
図4は、実施形態1に係るカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)の機能の一例を説明するための図である。図4において、第1発光部140aのEML124から延びる白矢印で示された光L1は、第1発光部140aのEML124から発せられて、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向に沿って基板100を透過する光を示している。第2発光部140bのEML124から延びる白矢印で示された光L2は、第2発光部140bのEML124から発せられて、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向に沿って基板100を透過する光を示している。第3発光部140cのEML124から延びる白矢印で示された光L3は、第3発光部140cのEML124から発せられて、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向に沿って基板100を透過する光を示している。
【0039】
光L1及び光L2は、第1電極110及び基板100を透過して、カラーフィルタ部200を透過する。したがって、光L1及び光L2は、カラーフィルタ部200によって色づけられる。光L1及び光L2は、カラーフィルタ部200を透過する前は、例えば、白色光である。この場合、光L1及び光L2は、カラーフィルタ部200の透過によって、白色と異なる色に色づけることができる。これに対して、光L3は、第1電極110及び基板100を透過するものの、カラーフィルタ部200を透過しない。したがって、光L3は、カラーフィルタ部200によって色づけられない。光L3が例えば白色光として第3発光部140cのEML124から発せられた場合、光L3は、白色光のまま発光装置10(基板100の第2面104)から出力される。或いは、光L3は、例えば、基板100の第2面104のうち第3発光部140cと重なる領域に遮光部材を配置することで、発光装置10の外部に出力されないようにしてもよい。このようにして、本実施形態においては、発光装置10内の一部の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)から発せられる光(図4に示す例では、光L1及び光L2)を容易に色づけることができる。
【0040】
図5は、実施形態1に係るカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)の機能の他の一例を説明するための図である。図5において、第1発光部140aの第1電極110の下面(図5において、第1電極110の下面は、基板100側を向いた面である。)の中心(図5において、第1電極110の下面の中心は、基板100の第1面102に沿う方向における中心である。)から延びる黒矢印で示された光l1は、第1発光部140aのEML124から発せられて(図5では、光l1が第1発光部140aのEML124から第1発光部140aの第1電極110まで辿った経路は、示していない。)、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から傾いた方向に沿って基板100を透過する光を示している。第1発光部140aのEML124から発せられた光の大部分は、図4に示した光L1のように、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向に沿って基板100を透過する。しかしながら、第1発光部140aのEML124から発せられた光の一部分は、図5に示す光l1のように、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から傾いた方向に沿って基板100を透過することがある。光l1は、基板100の第2面104の一部分であって基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て第1発光部140aと第2発光部140bとの間に位置する領域に達している。
【0041】
本実施形態においては、カラーフィルタ部200は、2つの発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)と重なっている。言い換えると、発光部140とカラーフィルタ部200とは1対1に対応しておらず、一部のカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)が複数の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)と対応している。この場合、同じ色を有する複数のカラーフィルタ部を、複数の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)のそれぞれに対応して互いに離間させることなく、互いに繋げることができる。
【0042】
仮に、同じ色を有する複数のカラーフィルタ部を複数の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)のそれぞれに対応して互いに離間して設けた場合、光l1は、同じ色を有する隣り合うカラーフィルタ部の間を経由して発光装置10の外部に漏れる可能性がある。これに対して、本実施形態においては、光l1がカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)を透過せずに発光装置10の外部に漏れることを考慮する必要がない。すなわち、共通のカラーフィルタ部200と重なる隣り合う発光部140から発せられ、かつ基板100の第2面104の一部分であって基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て当該隣り合う発光部140の間に位置する領域に達した光(例えば、光l1)がカラーフィルタ部200を透過せずに発光装置10の外部に漏れることを考慮する必要がない。
【0043】
さらに、本実施形態においては、共通のカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)と重なる隣り合う発光部140(例えば、第1発光部140aと第2発光部140b)との間の基板100の第1面102に沿う方向における距離を短くしてもよい。この場合であっても、当該隣り合う発光部140から発せられ、かつ基板100の第2面104の一部分であって基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て当該隣り合う発光部140の間に位置する領域に達した光(例えば、光l1)がカラーフィルタ部200を透過せずに発光装置10の外部に漏れることを考慮する必要がない。
【0044】
カラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)のレイアウトは、図3に示す例に限定されず、例えば、以下のようなレイアウトにしてもよい。
【0045】
カラーフィルタ部200は、複数の発光部140のうちの1のみの発光部140(例えば、第1発光部140a、第2発光部140b及び第3発光部140cのいずれか一つ)と重なっていてもよく、残りの発光部140と重なっていなくてもよい。言い換えると、カラーフィルタ部200は、少なくとも1つの発光部140と重なっている。この場合においても、発光装置10内の一部の発光部140から発せられる光を容易に色づけることができる。
【0046】
カラーフィルタ部200は、複数の発光部140のすべての発光部140(第1発光部140a、第2発光部140b及び第3発光部140c)と重なっていてもよい。例えば、発光装置10が2つのみの発光部140を備える場合、カラーフィルタ部200は、当該2つの発光部140と重なっていてもよい。言い換えると、カラーフィルタ部200は、少なくとも2つの発光部140と重なっている。この場合においても、同じ色を有する複数のカラーフィルタ部を複数の発光部140のそれぞれに対応して互いに離間して設ける場合と異なり、共通のカラーフィルタ部200と重なる隣り合う発光部140から発せられ、かつ基板100の第2面104の一部分であって基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て当該隣り合う発光部140の間に位置する領域に達した光(例えば、図5に示した光l1)がカラーフィルタ部200を透過せずに発光装置10の外部に漏れることを考慮する必要がない。
【0047】
次に、発光装置10の製造方法の一例を説明する。
【0048】
まず、基板100の第1面102上に複数の発光部140を形成する。具体的には、まず、例えばパターニングによって複数の第1電極110を形成する。次いで、例えば蒸着又は塗布によって、有機層120の各層(HTL122、EML124及びETL126)を形成する。次いで、例えば蒸着によって第2電極130を形成する。
【0049】
次いで、基板100の第2面104上にカラーフィルタ部200を形成する。カラーフィルタ部200は、例えば、インクジェット等の塗布によって形成される。塗布によってカラーフィルタ部200が形成される場合、マスクを用いることなくカラーフィルタ部200を形成することができる。このため、塗布によってカラーフィルタ部200が形成される場合、マスクを要する蒸着によってカラーフィルタ部200が形成される場合と比較して、カラーフィルタ部200の形状の自由度が向上する。ただし、カラーフィルタ部200は、塗布と異なる方法、例えば蒸着によって形成されてもよい。
【0050】
発光装置10の製造方法は、上述した例に限定されない。例えば、まず、基板100の第2面104上にカラーフィルタ部200を形成し、その後、基板100の第1面102上に複数の発光部140を形成してもよい。
【0051】
本実施形態においては、発光装置10内の一部の発光部140から発せられる光を、含有される色素の示す色を与える光学フィルタ(すなわち、カラーフィルタ部200)によって色づけている。しかしながら、発光装置10は、カラーフィルタ部200に代えて、特定の波長領域の光を遮断する(又は特定の波長領域の光を選択的に透過させる)光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ(BPF)、ロングパスフィルタ(LPF)又はショートパスフィルタ(SPF))を備えていてもよい。この場合、発光装置10内の一部の発光部140から発せられる光のうちの特定の波長領域の光を遮断し、又は透過させることができる。
【0052】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る発光装置10の平面図であり、実施形態1の図1に対応する。図7は、図6のA-A断面図であり、実施形態1の図3に対応する。実施形態2に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る発光装置10と同様である。
【0053】
発光装置10は、複数のカラーフィルタ部200を備えている。複数のカラーフィルタ部200は、第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200bを含んでいる。第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200bは、互いに離間している。第2カラーフィルタ部200bは、第1カラーフィルタ部200aの色とは異なる色を有している。第1カラーフィルタ部200aは、2つの発光部140、すなわち、第1発光部140a及び第2発光部140bと重なっている。これに対して、第2カラーフィルタ部200bは、1つの発光部140、すなわち、第3発光部140cと重なっている。このようにして、第1カラーフィルタ部200aと重なる発光部140の数と、第2カラーフィルタ部200bと重なる発光部140の数とは、互いに異なっている。言い換えると、各発光部140と各カラーフィルタ部200とは1対1に対応しておらず、一部のカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a)が複数の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)と対応している。
【0054】
図8は、実施形態2に係る複数のカラーフィルタ部200(第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200b)の機能の一例を説明するための図であり、実施形態1の図4に対応する。
【0055】
光L1及び光L2は、第1電極110及び基板100を透過して、第1カラーフィルタ部200aを透過する。したがって、光L1及び光L2は、第1カラーフィルタ部200aによって色づけられる。光L1及び光L2は、第1カラーフィルタ部200aを透過する前は、例えば、白色光である。この場合、光L1及び光L2は、第1カラーフィルタ部200aの透過によって、白色と異なる色に色づけることができる。光L3は、第1電極110及び基板100を透過して、第2カラーフィルタ部200bを透過する。したがって、光L3は、第2カラーフィルタ部200bによって色づけられる。光L3は、第2カラーフィルタ部200bを透過する前は、例えば、白色光である。この場合、光L3は、第2カラーフィルタ部200bの透過によって、白色と異なる色に色づけることができる。
【0056】
本実施形態においても、発光装置10内の一部の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)から発せられる光(図8に示す例では、光L1及び光L2)と、発光装置10内の他の一部の発光部140(第3発光部140c)から発せられる光(図8に示す例では、光L3)と、を容易に色づけることができる。さらに、本実施形態においても、同じ色を有する複数のカラーフィルタ部を複数の発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)のそれぞれに対応して互いに離間して設ける場合と異なり、共通のカラーフィルタ部200と重なる隣り合う発光部140から発せられ、かつ基板100の第2面104の一部分であって基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て当該隣り合う発光部140の間に位置する領域に達した光(例えば、図5に示した光l1)がカラーフィルタ部200を透過せずに発光装置10の外部に漏れることを考慮する必要がない。
【0057】
本実施形態においては、複数の発光部140のいずれも、複数のカラーフィルタ部200のいずれかと重なっている。しかしながら、実施形態1と同様にして、複数の発光部140のうちの少なくとも1つは、カラーフィルタ部と重なっていなくてもよい。
【0058】
本実施形態においては、第1カラーフィルタ部200aは、2つの発光部140(第1発光部140a及び第2発光部140b)と重なっており、第2カラーフィルタ部200bは、1つの発光部140(第3発光部140c)と重なっている。しかしながら、第1カラーフィルタ部200aと重なる発光部140の数と、第2カラーフィルタ部200bと重なる発光部140の数と、が互いに異なるようにして、第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200bは、本実施形態と異なるように、複数の発光部140と重なっていてもよい。
【0059】
本実施形態においては、複数のカラーフィルタ部200は、2つのカラーフィルタ部200を含んでいる。しかしながら、複数のカラーフィルタ部200は、3つ以上のカラーフィルタ部200を含んでいてもよい。複数のカラーフィルタ部200が3つ以上のカラーフィルタ部200を含む場合、3つ以上のカラーフィルタ部200のうち少なくとも2つのカラーフィルタ部200が本実施形態の第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200bと同様の構成を有している。また、3つ以上のカラーフィルタ部200は、互いに異なる色を有していてもよいし、又は互いに同じ色を有していてもよい。
【実施例
【0060】
(実施例1)
図9は、実施例1に係る発光装置10の一部分の拡大断面図である。図9は、基板100の第2面104に垂直な断面を示しており、例えば、図3に示した断面の一部分の拡大図に相当する。図9では、カラーフィルタ部200及びその周辺が拡大されている。実施例1に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る発光装置10と同様である。
【0061】
発光装置10は、偏光板210及び粘着剤212を備えている。偏光板210は、粘着剤212を介して、基板100の第2面104に粘着されている。偏光板210及び粘着剤212は、基板100の第2面104と、カラーフィルタ部200と、を覆っている。偏光板210が設けられている場合、偏光板210が設けられていない場合と比較して、発光装置10を基板100の第2面104側から見たときの発光部140の反射を低減することができる。
【0062】
偏光板210及び粘着剤212は、カラーフィルタ部200だけでなく、基板100の第2面104のうちカラーフィルタ部200が位置していない領域も覆っている。例えば、実施形態1(図3)のように、基板100の第2面104が、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て複数の発光部140のうちの少なくとも一つの発光部140(第3発光部140c)と重なり、かつカラーフィルタ部が位置しない領域(第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て第3発光部140cと重なる領域)を有する場合、偏光板210及び粘着剤212は、基板100の第2面104の当該領域を覆っている。この場合、基板100の第2面104の当該領域は、粘着剤212に接している。
【0063】
カラーフィルタ部200の厚さT1(基板100の第2面104に垂直な方向の厚さ)と粘着剤212の厚さT2(基板100の第2面104に垂直な方向の厚さ)とが互いに等しく、又は近似し、例えば、0.75≦T2/T1≦1.25のとき、粘着剤212は、カラーフィルタ部200の側面を滑らかに覆うことなく、カラーフィルタ部200の周囲(図9に示す例では、カラーフィルタ部200の左側及び右側に位置する部分)に空隙AGが形成されることがある。空隙AGは、例えば、気泡を含んでいる。空隙AGは、存在していてもよいし、又は後述するように特定の材料によって埋め込まれていてもよい。
【0064】
(実施例2)
図10は、実施例2に係る発光装置10の一部分の拡大断面図であり、実施例1の図9に対応する。実施例2に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施例1に係る発光装置10と同様である。
【0065】
発光装置10は、透明樹脂214を備えている。透明樹脂214の可視光の透過率は、例えば、75%以上100%以下となっている。本実施例においては、実施例1において説明した空隙AG(図9)が透明樹脂214によって埋め込まれている。言い換えると、透明樹脂214は、カラーフィルタ部200の周囲(図10に示す例では、カラーフィルタ部200の左側及び右側に位置する部分)において粘着剤212によって覆われている。透明樹脂214は、例えば、アクリル樹脂である。発光装置10を基板100の第2面104側から見たとき、空隙AGが透明樹脂214によって埋め込まれていない場合、空隙AGが例えば白線状に視認可能になることがある。本実施例においては、空隙AGの当該視認可能性を透明樹脂214によって低減することができる。
【0066】
本実施例においては、透明樹脂214は、カラーフィルタ部200の周囲(図10に示す例では、カラーフィルタ部200の左側及び右側に位置する部分)に位置している。
【0067】
実施形態1(図3)のように、基板100の第2面104が、基板100の第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て複数の発光部140のうちの少なくとも一つの発光部140(第3発光部140c)と重なり、かつカラーフィルタ部が位置しない領域(第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て第3発光部140cと重なる領域)を有する場合、透明樹脂214の一部分は、基板100の第2面104の当該領域を覆っていてもよい。この場合、基板100の第2面104の当該領域は、粘着剤212及び透明樹脂214の少なくとも一方に接している。
【0068】
次に、発光装置10の製造方法の一例を説明する。
【0069】
まず、基板100の第2面104上にカラーフィルタ部200を形成する。次いで、カラーフィルタ部200の周囲(図10に示す例では、カラーフィルタ部200の左側及び右側に位置する部分)に透明樹脂214を形成する。次いで、粘着剤212を介して偏光板210を基板100の第2面104に粘着させる。
【0070】
次いで、発光装置10に対してオートクレーブ処理を施してもよい。仮に、透明樹脂214の形成後も空隙AGが残っていたとしても、オートクレーブ処理によって空隙AGをさらに除去することができる。
【0071】
(実施例3)
図11は、実施例3に係る発光装置10の一部分の拡大断面図であり、実施例2の図10に対応する。実施例3に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施例2に係る発光装置10と同様である。
【0072】
基板100の第2面104に垂直な方向から見た場合、本実施例に係る透明樹脂214の面積は、実施例2(図10)に係る透明樹脂214の面積より広くなっている。例えば、透明樹脂214は、偏光板210のうちカラーフィルタ部200と重ならない領域の全体又は大部分に亘って広がっている。例えば、基板100の第2面104に垂直な方向から見て、透明樹脂214は、偏光板210の全体面積から偏光板210のうちカラーフィルタ部200(発光装置10が複数のカラーフィルタ部200を備える場合は、すべてのカラーフィルタ部200)と重なる部分の面積を差し引いた分の面積の85%以上100%以下に亘って位置していてもよい。本実施例においても、透明樹脂214は、基板100の第2面104に接している。
【0073】
カラーフィルタ部200の厚さT1(基板100の第2面104に垂直な方向の厚さ)と透明樹脂214の厚さT3(基板100の第2面104に垂直な方向の厚さ)とは互いに等しく、又は近似しており、例えば、0.75≦T3/T1≦1.25となっている。したがって、カラーフィルタ部200のうち偏光板210側の表面(下面)と透明樹脂214のうち偏光板210側の表面(下面)とを面一にし、又は面一に近づけることができる。したがって、偏光板210及び粘着剤212のうちカラーフィルタ部200を覆う部分は、実施例2(図10)と比較して、平坦にし、又は平坦に近づけることができる。
【0074】
(実施例4)
図12は、実施例4に係る発光装置10の一部分の拡大断面図であり、実施例3の図11に対応する。実施例4に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施例3に係る発光装置10と同様である。
【0075】
透明樹脂214は、第1透明樹脂214a及び第2透明樹脂214bを含んでいる。第1透明樹脂214aは、図11に示した透明樹脂214と同様にして、偏光板210のうちカラーフィルタ部200と重ならない領域の全体又は大部分に亘って広がっている。第2透明樹脂214bは、カラーフィルタ部200及び第1透明樹脂214aを覆っている。本実施例においては、第1透明樹脂214a及び第2透明樹脂214bによって、第2透明樹脂214bの偏光板210側の表面(下面)を平坦にし、又は平坦に近づけることができる。したがって、偏光板210及び粘着剤212のうちカラーフィルタ部200を覆う部分は、実施例2(図10)と比較して、平坦にし、又は平坦に近づけることができる。
【0076】
本実施例においては、カラーフィルタ部200の周囲(図12に示す例では、カラーフィルタ部200の左側及び右側に位置する部分)に第1透明樹脂214aを形成し、その後、第2透明樹脂214bを形成している。この場合、第1透明樹脂214a及び第2透明樹脂214bは、同じ材料(同じ樹脂)を含んでいてもよいし、又は互いに異なる材料(異なる樹脂)を含んでいてもよい。ただし、第1透明樹脂214a及び第2透明樹脂214bの形成方法は、上記例に限定されない。例えば、第1透明樹脂214a及び第2透明樹脂214bは、一括で形成されてもよい。この場合、第1透明樹脂214aは、透明樹脂214の一部分となり、第2透明樹脂214bは、透明樹脂214の他の一部分となり、透明樹脂214の当該一部分(第1透明樹脂214a)及び透明樹脂214の当該他の一部分(第2透明樹脂214b)は、同じ材料(同じ樹脂)を含むようになる。
【0077】
(実施例5)
図13は、実施例5に係る発光装置10の基板100の第2面104の平面図である。図13では、発光部140を破線によって透過させて示している。実施例5に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る発光装置10と同様である。
【0078】
発光装置10は、複数の発光部140を備えている。複数の発光部140は、7つの第1発光部140a及び4つの第2発光部140bを含んでいる。7つの第1発光部140a及び4つの第2発光部140bのそれぞれは、セグメント型の発光部となっている。7つの第1発光部140aは、7セグメントディスプレイとなっており、アラビア数字の0から9を表示可能になっている。4つの第2発光部140bは、7つの第1発光部140aを囲んでいる。各第2発光部140bは、扇形形状を有している。
【0079】
カラーフィルタ部200は、4つの第2発光部140bと重なる一方で、7つの第1発光部140aと重なっていない。カラーフィルタ部200は、7つの第1発光部140aを囲むように位置している。したがって、発光装置10内の一部の発光部140(4つの第2発光部140b)から発せられる光を容易に色づけることができる。さらに、7つの第1発光部140a及び4つの第2発光部140bのうちの他の一部の発光部140(7つの第1発光部140a)から発せられる光(例えば、白色光)も有効に利用することができる。
【0080】
カラーフィルタ部200と、7つの第1発光部140aと、4つの第2発光部140bと、のレイアウトは本実施例に限定されない。例えば、カラーフィルタ部200は、4つの第2発光部140bと重ならずに7つの第1発光部140aと重なっていてもよい。また、実施形態2のように、第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200bのうちの一方が7つの第1発光部140aと重なり、第1カラーフィルタ部200a及び第2カラーフィルタ部200bのうちの他方が4つの第2発光部140bと重なってもよい。
【0081】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0082】
例えば、実施形態及び実施例において、発光装置10の発光部140は、発光層(EML124)を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子である。しかしながら、発光装置10の発光部140は、有機EL素子と異なる発光部、例えば、無機EL素子又は半導体LED(Light-Emitting Diode)であってもよい。
【0083】
この出願は、2019年9月10日に出願された日本出願特願2019-164327号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0084】
10 発光装置
100 基板
102 第1面
104 第2面
110 第1電極
120 有機層
122 正孔輸送層(HTL)
124 発光層(EML)
126 電子輸送層(ETL)
130 第2電極
140 発光部
140a 第1発光部
140b 第2発光部
140c 第3発光部
200 カラーフィルタ部
200a 第1カラーフィルタ部
200b 第2カラーフィルタ部
210 偏光板
212 粘着剤
214 透明樹脂
214a 第1透明樹脂
214b 第2透明樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13