IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン ディキンソン フランスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】可聴表示器付き自動注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20231124BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20231124BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61M5/168 550
A61M5/172
A61M5/168 540
A61M5/20 510
A61M5/20 570
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021549997
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020055006
(87)【国際公開番号】W WO2020173993
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】19305224.8
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ベッソン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534164(JP,A)
【文献】国際公開第2012/045350(WO,A1)
【文献】特表2018-516685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/172
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置(10)であって、
ハウジング(26、28、46)と、
バレル(52)、ストッパー(54)、および、カニューレ(56)を含む注射器アセンブリ(16)であって、前記注射器アセンブリ(16)の少なくとも一部が、前記ハウジング(26、28、46)内に配置された、前記注射器アセンブリ(16)と、
駆動アセンブリ(40)の作動により、前記バレル(52)内で、前記ストッパー(54)を移動させるように構成された、プランジャ本体(80)を含む、前記駆動アセンブリ(40)であって、前記駆動アセンブリ(40)の少なくとも一部は、前記ハウジング(26、28、46)内に配置され、前記プランジャ本体(80)は、前記プランジャ本体(80)の移動前の使用前位置と、前記プランジャ本体(80)が前記バレル(52)内で前記ストッパー(54)を移動させる注入位置と、前記プランジャ本体(80)の移動が停止した使用後位置を有する、前記駆動アセンブリ(40)と、
前記ハウジング(26、28、46)に対して移動可能な注射器ホルダー(24)であって、前記注射器ホルダー(24)の移動は、カニューレ(56)が、患者の皮膚表面を穿刺することをもたらす、前記注射器ホルダー(24)と、
前記プランジャ本体(80)に接続された可聴表示器部材(94)と、を含み、
前記ハウジング(26、28、46)は、前記装置(10)の長手方向に延びるリブ(96)を含み、前記可聴表示器部材(94)は、前記プランジャ本体(80)が前記注入位置にあるときに、リブ(96)に係合して、前記可聴表示器部材(94)を、非バイアス位置からバイアス位置に偏向させ、前記可聴表示器部材(94)は、前記プランジャ本体(80)が使用後位置に達したときに、前記リブ(96)から外れ、前記バイアス位置から解放位置に移行し、前記ハウジング(28)の表示器プラットフォームに接触して、前記プランジャ本体(80)の前記注入位置から前記使用後位置への移行の可聴表示をもたらし、前記可聴表示器部材(94)は、前記プランジャ本体(80)が前記使用前位置にあるとき、前記注射器ホルダー(24)と係合し、前記注射器ホルダー(24)の移動を制限するように構成されることを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の薬物送達装置(10)であって、前記可聴表示器部材(94)は、前記プランジャ本体(80)が前記注入位置にあるときに、前記バイアス位置に配置され、前記可聴表示器部材(94)は、前記プランジャ本体(80)が使用後位置にあるときに、前記解放位置に配置されることを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の薬物送達装置(10)であって、前記プランジャ本体(80)が前記使用前位置にあるとき、前記可聴表示器部材(94)は、前記非バイアス位置に配置されることを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項4】
請求項1-3のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)であって、前記ハウジング(26、28、46)は、下部ハウジングシェル(28)、上部ハウジングシェル(46)、および、前記下部ハウジングシェル(28)によって受容されるカセット本体(26)を含み、前記下部ハウジングシェル(28)は、表示器プラットフォーム(202)を含み、前記可聴表示器部材(94)は、前記表示器プラットフォーム(202)と係合して、可聴表示を提供することを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項5】
請求項1に記載の薬物送達装置(10)であって、前記ハウジング(26、28、46)は、下部ハウジングシェル(28)、上部ハウジングシェル(46)、および、前記下部ハウジングシェル(28)によって受容される、カセット本体(26)を含み、前記カセット本体(26)は、前記リブ(96)を含むことを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項6】
請求項1-5のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)であって、前記リブ(96)は、前記可聴表示器部材(94)を、前記非バイアス位置から前記バイアス位置に移行させるように構成された傾斜面(204)を含むことを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項7】
請求項5または6に記載の薬物送達装置(10)であって、前記リブ(96)は、カセット本体(26)の長さの一部のみに延在することを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項8】
請求項1-7のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)であって、前記可聴表示器部材(94)は、前記プランジャ本体(80)と一体的に形成されることを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか一項に記載の薬物送達装置(10)であって、さらに、前記プランジャ本体(80)の前記注入位置から前記使用後位置への移行の視覚的表示を提供するように構成された、視覚的表示器部材(220)を含むことを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の薬物送達装置(10)であって、前記プランジャ本体(80)が前記使用後位置にあるとき、前記視覚的表示器部材(220)が、前記ハウジング(26、28、46)によって画定される表示器開口部(104)を介して視認可能であることを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項11】
請求項10に記載の薬物送達装置(10)であって、前記ハウジング(26、28、46)は、下部ハウジングシェル(28)を含み、前記下部ハウジングシェル(28)は、前記表示器開口部(104)を画定することを特徴とする薬物送達装置(10)。
【請求項12】
請求項10に記載の薬物送達装置(10)であって、前記視覚的表示器部材(220)は、前記プランジャ本体(80)と一体的に形成され、前記視覚的表示器部材(220)は、前記可聴表示器部材(94)から離間させられることを特徴とする薬物送達装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、薬物送達装置、より具体的には、自動注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液や他の液体治療製剤が、訓練を受けていない人によって投与されること、または、自己注射されることを可能にするために、様々なタイプの自動注射装置が、開発されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、これらの装置は、液体治療製剤を事前充填されたリザーバと、使用者によってトリガーされ得る、ある種の自動針注射メカニズムを含む。自動注射器などのこれらの装置の多くは、事前充填されたシリンジなどのリザーバが、装置の組み立て中に、装置に組み付けられるように設計される。針注射メカニズムを自動的に展開することに加えて、多くの薬物送達装置は、また、装置の使用後に針を自動的に遮蔽して、針との、いかなる意図されない接触をも防止する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、薬物送達装置は、ハウジングと、バレル、ストッパー、および、カニューレを含む注射器アセンブリとを含み、注射器アセンブリの少なくとも一部が、ハウジング内に配置され、プランジャ本体を含む駆動アセンブリが、駆動アセンブリの作動で、バレル内でストッパーを移動させるように構成され、駆動アセンブリの少なくとも一部は、ハウジング内に配置される。プランジャ本体は、プランジャ本体の移動前の使用前位置、プランジャ本体がバレル内でストッパーを移動させる注入位置、および、プランジャ本体の移動が停止した使用後位置、を有する。装置は、さらに、注入位置から使用後位置へのプランジャ本体の移行の可聴表示を提供するように構成された、可聴表示器部材を含む。
【0005】
可聴表示器部材は、可聴表示器部材がハウジングの一部と係合するバイアス位置、および、解放位置を有し得、プランジャ本体が注入位置にあるとき、可聴表示器はバイアス位置に配置され、プランジャ本体が使用後位置にあるとき、可聴表示器は解放位置に配置される。可聴表示器のバイアス位置から解放位置への移動は、可聴表示をもたらし得る。プランジャ本体が使用前位置にあるとき、可聴表示器部材は非バイアス位置に配置され得る。可聴表示器部材は、ハウジングの一部と係合して、可聴表示を提供し得る。ハウジングは、下部ハウジングシェル、上部ハウジングシェル、および、下部ハウジングシェルによって受容されるカセット本体を含み得、下部ハウジングシェルは、表示器プラットフォームを含み、可聴表示器部材は、表示器プラットフォームと係合して、可聴表示を提供する。
【0006】
ハウジングは、装置の長手方向に延びるリブを含み得、可聴表示器部材は、リブに係合して可聴表示器部材を非バイアス位置からバイアス位置に移動させ、可聴表示器部材は、リブから外れ、可聴表示器部材をバイアス位置から解放位置に移動させて、可聴表示をもたらす。カセット本体はリブを含み得る。リブは、可聴表示器部材を非バイアス位置からバイアス位置に移行させるように構成された、傾斜面を含み得る。リブは、カセット本体の長さの一部のみに延在し得る。可聴表示器部材は、プランジャ本体と一体的に形成され得る。
【0007】
装置は、さらに、プランジャ本体の注入位置から使用後位置への移行の視覚的表示を提供するように構成された、視覚的表示器部材を含み得る。視覚的表示器部材は、プランジャ本体が使用後位置にあるときに、ハウジングによって画定された表示器開口部を介して視認し得る。ハウジングは、下部ハウジングシェルを含み得、下部ハウジングシェルは、表示器開口部を画定する。視覚的表示器部材は、プランジャ本体と一体的に形成され得、視覚的表示器部材は、可聴表示器部材から離間させられる。
【0008】
駆動アセンブリは、さらに、プランジャ本体を、使用前位置から注入位置に、および、使用後位置に偏向させるように構成された、駆動部材を含み得る。装置は、さらに、カニューレが針カバー内に配置される使用前位置、針カバーが駆動アセンブリを作動させるように構成される作動位置、および、カニューレが針カバー内に配置される使用後位置を含み得る。装置は、さらに、駆動アセンブリの作動が防止されるロック位置と、駆動アセンブリの作動が可能にされる解放位置との間で、移動可能なレバー作動部材を含み得、針カバーが作動位置にあるとき、針カバーがレバー作動部材に係合し、レバー作動部材を解放位置に移動させる。
【0009】
装置は、さらに、ハウジングに対して移動可能な注射器ホルダーを含み得、注射器アセンブリは、注射器ホルダーによって受容される。可聴表示器部材は、プランジャ本体が使用前位置にあるときに、注射器ホルダーの移動を制限するように構成され得る。
【0010】
装置は、個別に、または、全ての技術的に可能な組み合わせにより、採用される、1つまたは複数の以下の態様を含み得る。
-薬物送達装置は、ハウジングと、バレル、ストッパー、および、カニューレを含む、注射器アセンブリであって、注射器アセンブリの少なくとも一部がハウジング内に配置された、注射器アセンブリと、駆動アセンブリの作動により、バレル内でストッパーを移動させるように構成されたプランジャ本体を含む、駆動アセンブリであって、駆動アセンブリの少なくとも一部が、ハウジング内に配置され、プランジャ本体は、プランジャ本体の移動前の使用前位置、プランジャ本体がバレル内のストッパーを移動させる注入位置、および、プランジャ本体の移動が停止した使用後位置を有する、駆動アセンブリと、プランジャ本体の注入位置から使用後位置への移行の可聴表示を提供するように構成された可聴表示器部材とを含み得る。
-可聴表示器部材は、可聴表示器部材がハウジングの一部と係合するバイアス位置、および、解放位置を有し得、プランジャ本体が注入位置にあるときに、可聴表示器は、バイアス位置に配置され、プランジャ本体が使用後位置にあるときに、可聴表示器は、解放位置に配置され、可聴表示器の、バイアス位置から解放位置への移動が、可聴表示をもたらす。
-可聴表示器部材は、プランジャ本体が使用前位置にあるとき、非バイアス位置に配置され得る。
-可聴表示器部材は、ハウジングの一部と係合して、可聴表示を提供し得る。
-ハウジングは、下部ハウジングシェル、上部ハウジングシェル、および、下部ハウジングシェルによって受容されるカセット本体を含み得、下部ハウジングシェルは、表示器プラットフォームを含み、可聴表示器部材は、表示器プラットフォームと係合して、可聴表示を提供する。
-ハウジングは、装置の長手方向に延びるリブを含み得、可聴表示器部材は、リブに係合して可聴表示器部材を、非バイアス位置からバイアス位置に移動させ、可聴表示器部材は、リブから外れ、可聴表示器を、バイアス位置から解放位置へ移動させて、可聴表示をもたらす。
-ハウジングは、下部ハウジングシェル、上部ハウジングシェル、および、下部ハウジングシェルによって受容されるカセット本体を含み得、カセット本体は、リブを含む。
-リブは、可聴表示器部材を非バイアス位置からバイアス位置に移行させるように構成された傾斜面を含み得る。
-リブは、カセット本体の長さの一部のみに延在し得る。
-可聴表示器部材は、プランジャ本体と一体的に形成され得る。
-薬物送達装置は、プランジャ本体の注入位置から使用後位置への移行の視覚的表示を提供するように構成された視覚的指示器部材を含み得る。
-視覚的表示器部材は、プランジャ本体が使用後位置にあるときに、ハウジングによって画定された表示器開口部を介して視認され得る。
-ハウジングは、下部ハウジングシェルを含み得、下部ハウジングシェルは、表示器開口部を画定する。
-視覚的表示器部材は、プランジャ本体と一体的に形成され得、視覚的表示器部材は、可聴表示器部材から離間させられる。
-薬物送達装置は、ハウジングに対して移動可能な注射器ホルダーを含み得、可聴表示器部材は、プランジャ本体が使用前位置にあるときに、注射器ホルダーの移動を制限するように構成される。
【0011】
本開示の上記および他の特徴および利点、ならびに、それらを達成する方法は、添付の図面と併せて行われる、本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、開示自体は、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本出願の一態様による薬物送達装置の斜視図であり、装置の保管位置を示す図である。
図1B図1の薬物送達装置の斜視図であり、装置の使用前位置を示す図である。
図2A図1の薬物送達装置の断面図であり、装置の保管位置を示す図である。
図2B図1の薬物送達装置の断面図であり、装置の使用前位置を示す図である。
図3図1の薬物送達装置の斜視図であり、装置の作動位置を示す図である。
図4図1の薬物送達装置の断面図であり、装置の作動位置を示す図である。
図5図1の薬物送達装置の斜視図であり、装置の注入位置を示す図である。
図6図1の薬物送達装置の断面図であり、装置の注入位置を示す図である。
図7図1の薬物送達装置の斜視図であり、装置の使用後位置を示す図である。
図8図1の薬物送達装置の断面図であり、装置の使用後位置を示す図である。
図9図1の薬物送達装置の斜視図であり、ロッキングクリップを示す図である。
図10図1の薬物送達装置の分解斜視図であり、ロッキングクリップを示す図である。
図11A図1の薬物送達装置の部分断面図であり、カセット本体のロックアームを示す図である。
図11B図11Aに示される領域の拡大断面図である。
図12図1の薬物送達装置の断面図であり、薬剤の完全な送達前の装置の使用後位置を示す図である。
図13図1の薬物送達装置の部分断面図であり、装置の保管位置を示す図である。
図14図1の薬物送達装置の下部ハウジングシェルの斜視図である。
図15図1の薬物送達装置のカセット本体の斜視図である。
図16図1の薬物送達装置のプランジャ本体の斜視図である。
図17】本出願のさらなる態様による薬物送達装置の斜視図であり、装置の保管位置を示す図である。
図18図17に示される、線18-18に沿った断面図である。
図19図17の薬物送達装置のモータ本体の上面斜視図である。
図20図19のモータ本体の底面斜視図である。
図21図17の薬物送達装置のプランジャ本体の正面斜視図である。
図22図21のプランジャ本体の背面斜視図である。
図23図17の薬物送達装置のプランジャロッド部分の正面斜視図である。
図24図23のプランジャロッド部分の背面斜視図である。
図25図17の薬物送達装置のレバー作動部材の上面斜視図である。
図26図25の薬物送達装置のレバー作動部材の底面斜視図である。
図27図17の薬物送達装置の注射器ホルダーの正面斜視図である。
図28図27の薬物送達装置の注射器ホルダーの背面斜視図である。
図29図17の薬物送達装置の針カバーの正面斜視図である。
図30図29の薬物送達装置の針カバーの背面斜視図である。
図31図17の薬物送達装置のカセット本体の上面斜視図である。
図32図31の薬物送達装置のカセット本体の底面斜視図である。
図33図17の薬物送達装置のキャップの上面斜視図である。
図34図33の線34-34に沿った断面図である。
図35図17の薬物送達装置のリテーナの斜視図である。
図36図17の薬物送達装置の上部ハウジングシェルの断面図である。
図37図17の薬物送達装置の下部ハウジングシェルの斜視図である。
図38図37の線38-38に沿った断面図である。
図39図17の薬物送達装置の断面図であり、装置の注入位置を示す図である。
図40図17の薬物送達システムの部分断面図である。
図41図17の薬物送達システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
対応する参照数字は、いくつかの図を通して、対応する部分を示す。本明細書に記載される例示は、本開示の例示的な態様を示し、そのような例示は、いかなる方法においても本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
以下の説明は、当業者が、本発明を実施することを企図された、記載された実施形態を作成および使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、均等物、変形、および、代替物が、当業者には容易に明らかなとなるであろう。任意の、および、全ての、そのような修正、変形、均等物、および、代替物は、本発明の精神および範囲内に入ることを意図される。
【0015】
以下の説明の目的のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「横」、「縦」、および、その派生語は、図面において方向づけられるときに、本発明に関連するであろう。ただし、本発明は、そうでないと明示的に特定されている場合を除いて、様々な代替の変形を想定し得ることが、理解されるべきである。添付の図面に示され、以下の明細書に記載されている特定の装置は、本発明の単なる例示的な実施形態であることが、また、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0016】
図1A図10を参照すると、本発明の一態様による薬物送達装置10は、第1のサブアセンブリ12、第2のサブアセンブリ14、および、注射器アセンブリ16を含む。第1のサブアセンブリ12は、外側部分20を有するキャップ18、針カバー22、注射器ホルダー24、カセット本体26、および、下部ハウジングシェル28を含む。第2のサブアセンブリ14は、駆動アセンブリ40、モータ本体42、レバー作動部材44、および、上部ハウジングシェル46を含む。注射器アセンブリ16は、注射器ホルダー24によって受容され、バレル52、ストッパー54、カニューレ56、および、剛性針シールド(RNS)58を含む。RNSが利用されるが、他の適切な針シールド構成が利用され得る。下部ハウジングシェル28、カセット本体26、および、上部ハウジングシェル46は、一般に、装置10の様々な構成要素を受容するためのハウジングを形成するが、他の適切なハウジング構成が利用され得る。以下でより詳細に論じられるように、第1のサブアセンブリ12、および、第2のサブアセンブリ14は、組み立て中に、ロッキングクリップ64によって互いに固定されるが、他の適切な構成が利用され得る。薬物送達装置10は、自動注射器であり得るが、本明細書に記載される特徴は、他の適切な薬物送達装置に組み込まれ得る。
【0017】
薬物送達装置10は、装置10の作動により、注射器アセンブリ16から患者に、ある用量の薬物を自動的に送達するように構成される。より具体的には、薬物送達装置10の作動により、駆動アセンブリ40は、注射器アセンブリ16のストッパー54と係合し、カニューレ56が患者の皮膚を穿刺するように注射器アセンブリ16を変位させ、注射器アセンブリ16のバレル52内でストッパー54を変位させて、バレル52内の薬剤を送達するように構成される。薬物送達装置10は、保管位置(図1Aおよび図2A)、使用前位置(図1Bおよび図2B)、作動位置(図3および図4)、注入位置(図5および図6)、および、使用後位置(図7および図8)を含む。以下でより詳細に論じられるように、針カバー22は、装置10が使用前および使用後の位置にあるときに、注射器アセンブリ16のカニューレ56を患者から遮蔽するように構成される。特に、針カバー22は、使用前位置、作動位置、および、使用後位置の間で移動可能であり、ばね68は、針カバー22を、使用前位置および使用後位置に向けて偏位させる。ばね68は、針カバー22と注射器ホルダー24との間に配置されるが、他の適切な構成が利用され得る。レバー作動部材44は、駆動アセンブリ40の移動が防止されるロック位置と、駆動アセンブリ40の移動が許可される解放位置との間で移動可能である。より具体的には、レバー作動部材44は、ロック位置と解放位置との間で、回転軸70の周りに回転可能である。レバー作動部材44がロック位置にあるとき、レバー作動部材44は、モータ本体42および駆動アセンブリ40と係合し、駆動アセンブリ40の移動を防止する。レバー作動部材44が解放位置にあるとき、レバー作動部材44は、モータ本体42から外され、それにより、注射器アセンブリ16に向かう駆動アセンブリ40の移動を可能にする。レバー作動部材44の回転軸70は、装置10の長手方向軸に垂直に延びるが、他の適切な構成が利用され得る。
【0018】
再び、図1図10を参照すると、駆動アセンブリ40は、プランジャロッド部分82および駆動部材84を有する、プランジャ本体80を含む。プランジャ本体80は、プランジャ本体80の移動前の使用前位置(図2B)、プランジャ本体80がバレル52内でストッパー54を移動させる注入位置(図6)、および、プランジャ本体80の動きが停止した使用後位置(図8)を有する。駆動部材84は、プランジャ本体80によって画定される、駆動開口部86内に受容される圧縮ばねであるが、圧縮ガス、電気モータ、油圧、他のタイプのばねなどを含むが、これらに限定されない、他の適切な駆動部材が利用され得る。駆動部材84は、プランジャ本体80およびモータ本体42と係合し、プランジャ本体80を、第2のサブアセンブリ14から第1のサブアセンブリ12に向かって延びる方向に偏位させる。プランジャ本体80は、レバー作動部材44を受容し、レバー作動部材44の回転軸70を画定する、レバー開口部88を画定する。レバー作動部材44は、レバー作動部材44がロック位置にあるとき、レバー作動部材44のモータ本体42との係合によって、プランジャ本体80の移動を防止する。ロック位置から解放位置へのレバー作動部材44の回転で、レバー作動部材44は、モータ本体42から外され、それにより、駆動部材84が、プランジャ本体80およびプランジャロッド部分82を第1のサブアセンブリ12に向かって移動させることを可能にする。プランジャロッド部分82および駆動部材84は、互いに間隔を置いて平行に配置され、装置10の長手方向に延びる。
【0019】
駆動アセンブリ40は、さらに、上部ハウジングシェル46に固定され、プランジャ本体80の駆動開口部86内に受容される、ばねガイド部材90を含む。駆動部材84は、駆動部材84が、プランジャ本体80とばねガイド部材90との間に配置されるように、ばねガイド部材90によって受容される。駆動アセンブリ40は、また、プランジャ本体80のプランジャロッド部分82を受容するプランジャロッドカバー92を含む。プランジャロッドカバー92は、プランジャロッド部分82の注射器アセンブリ16のバレル52への挿入を案内し、注射器アセンブリ16のストッパー54と係合して、注射器アセンブリ16のバレル52から薬剤を分配するように構成される。プランジャロッドカバー92およびプランジャロッド部分82は、2つの別個の部品であり得るか、または、単一の部品として一体的に形成され得る。
【0020】
駆動アセンブリ40のプランジャ本体80は、また、装置10が、使用後位置に移行するときに、使用者に可聴表示を提供するように構成された、可聴表示器部材94を含む。以下でより詳細に論じられるように、可聴表示器部材94は、装置10が注入位置にあるときに、それによって可聴表示器部材94を偏向させる、カセット本体26の1つまたは複数のリブ96と係合するように構成される。薬物送達装置10が注射位置から使用後位置に移行するとき、可聴表示器部材94は、カセット本体26のリブ96(複数可)から外れ、下部ハウジングシェル28に接触して、可聴クリックを提供するが、可聴表示器部材94は、また、可聴表示器を提供するために、装置10の他の適切な部分に接触し得るであろう。
【0021】
図1A図2Bを参照すると、保管位置において、キャップ18は、下部ハウジングシェル28に固定され、針カバー22に係合される。針カバー22の使用前位置から作動位置への移動は、針カバー22とレバー作動部材44との間の係合を引き起こし、それにより、駆動アセンブリ40を作動させる。外側部分20をつかんでキャップ18を取り外した後、針カバー22を患者の皮膚表面に押し付け、装置10を、皮膚の表面に、軸方向に押し付けることにより、針カバー22は、使用前位置から作動位置に移動させられ得る。以下に詳述されるように、キャップ18と針カバー22との間の係合は、針カバー22が、レバー作動部材44との係合に移動するのを防止する。したがって、装置10からのキャップ18の取り外しは、装置10の作動を可能にする。図1Bおよび図2Bに示されるように、装置10からのキャップ18の取り外しは、また、注射器バレル52からRNS58を除去し、それによってカニューレ56を露出させ、それは、装置10の使用前位置で、針カバー22内に依然として受容される。キャップ18は、RNS58の取り外しを容易にするために、外側部分20内に受容された1つまたは複数の構成要素を含み得る。
【0022】
図3および図4を参照すると、作動位置において、キャップ18が取り外され、針カバー22は、患者の皮膚表面に係合することによって作動位置に配置され、それは、針カバー22を、装置10内で、第2のサブアセンブリ14に向かって、さらに移動させる。針カバー22が、装置10内で十分な距離を移動したとき、針カバー22の一部がレバー作動部材44と係合し、それは、レバー作動部材44を、回転軸70の周りに、ロック位置から解放位置まで回転させる。
【0023】
図5および図6を参照すると、注入位置では、レバー作動部材44は解放位置にあり、それは、駆動アセンブリ40のプランジャ本体80が第1のサブアセンブリ12に向かって移動することを可能にし、その結果、プランジャ本体80またはプランジャロッドカバー92が、注射器アセンブリ16のストッパーに係合する。駆動アセンブリ40の注射器アセンブリ16との最初の係合は、注射器ホルダー24が、カセット本体26によって画定されるストップ102に当接するまで、注射器アセンブリ16および注射器ホルダー24を、装置10内で、カセット本体26に対して移動させる。針カバー22が、患者の皮膚表面に押し付けられた状態での、注射器アセンブリ16および注射器ホルダー24の、この最初の移動の間に、注射器アセンブリ16のカニューレ56は、針カバー22を超えて延び、患者の皮膚表面を穿刺する。駆動部材84によって駆動される、プランジャ本体80のさらなる動きは、注射器アセンブリ16のバレル52に対してストッパー54を移動させ、注射器アセンブリ16のバレル52から、カニューレ56を通し、そして、患者に、薬剤を分配する。プランジャ本体80は、ストッパー54が、注射器アセンブリ16のバレル52上で、底に達するまで移動し続けるであろう。ストッパー54が底に達するとき、または、ストッパー54が底に達する直前に、可聴表示器部材94は、カセット本体26のリブ96(複数可)から外れ、ほぼ同時に下部ハウジングシェル28に接触して、薬剤の投与量が送達されたという可聴表示を、患者に提供する。可聴表示に加えて、薬物送達装置10は、装置10の状態を患者に通知するための、1つまたは複数の視覚的表示を提供する。特に、カセット本体26は、透明材料から形成され得、ストッパー54の、および/または、駆動アセンブリ40、注射器ホルダー24、および/または、注射器アセンブリ16によって提供される、別の視覚的表示器の、移動の視覚的確認を可能にする。下部ハウジングシェル28は、また、表示器開口部104を画定し、それは、プランジャ本体80が最終位置にあり、薬剤の用量が送達されたとの視覚的表示を提供する。視覚的表示器は、対照的な色、記号、パターン、または、任意の他の適切な視覚的表示を利用して、装置のさまざまな状態を表示し得る。
【0024】
図7図8図11A図11B、および、図12を参照すると、使用後位置で、針カバー22が患者の皮膚表面から取り外されるとき、針カバー22が、使用後位置に延びて、カニューレ56を遮蔽する。図11Bにより明確に示されるように、カセット本体26は、少なくとも1つのロックアーム106を含み、針カバー22は、少なくとも1つのロック突起108を含むが、他の適切な構成が利用され得る。カセット本体26のロックアーム106は、針カバー22のロック突起108と係合して、装置10のいかなる更なる使用をも防止し、注射器アセンブリ16のカニューレ56の露出を防止する。注入位置から使用後位置への装置10の移行の間、カセット本体26のロックアーム106は撓んで、針カバー22のロック突起108がカセット本体26を通過することを可能にし、ロックアーム106は、その元の位置に戻って、使用前および作動位置に戻る針カバー22の動きを防止する。針カバー22の使用前の位置において、針カバー22の一部は、注射器ホルダー24のカバーストップ110と係合して、第2のサブアセンブリ14から第1のサブアセンブリ12に向かって延びる方向への針カバー22の軸方向の動きを制限する。装置10の使用後、注射器ホルダー24は、針カバー22に対してカセット本体26内で変位し、これは、患者が針カバー22を皮膚表面から取り外したときに、針カバー22が、使用後の位置まで延びることを可能にする。図12に示されるように、針カバー22は、注射器アセンブリ16のバレル52内のストッパー54の位置に関係なく、針カバー22が患者の皮膚表面から取り外されると、使用後位置に移動するであろう。したがって、薬剤の用量の一部のみが送達された後に患者が皮膚表面から針カバー22を取り外す場合、針カバー22は、やはり、使用後位置に移動し、装置10のさらなる使用を妨げるであろう。
【0025】
図1図8、および、図12図16を参照すると、上記のように、駆動アセンブリ40のプランジャ本体80は、注入位置から使用後位置へのプランジャ本体80の移行の可聴表示を提供するように構成された、可聴表示器部材94を含む。可聴表示は、クリック、ノック、リング、または、任意の他の適切な可聴および/または触覚表示であり得る。可聴表示器部材94は、可聴表示器部材94がカセット本体26の一部と係合するバイアス位置(図6)、非バイアス位置(図2Bおよび図4)、および解放位置(図8)を有するが、可聴表示器部材94は、また、装置10の他の部分と係合して、可聴表示器部材94を偏向させ得るであろう。可聴表示器部材94は、プランジャ本体80が注入位置にあるとき、バイアス位置に配置され(図6)、プランジャ本体80が使用後位置にあるとき、解放位置に配置される(図8)。バイアス位置から解放位置への可聴表示器部材94の移動は、可聴表示をもたらす。図2Bに示されるように、可聴表示器部材94は、プランジャ本体80が使用前位置にあるとき、非バイアス位置に配置される。
【0026】
上記のように、カセット本体26、下部ハウジングシェル28、および、上部ハウジングシェル46は、装置10のハウジングを形成し得、上部ハウジングシェル46は、下部ハウジングシェル28に当接し、下部ハウジングシェル28は、カセット本体26を受容する。可聴表示器部材94は、下部ハウジングシェル28の一部と係合して、可聴表示を提供する。より具体的には、図14に、より明確に示されるように、下部ハウジングシェル28は、表示器プラットフォーム202を含む。可聴表示器部材94は、表示器プラットフォーム202と係合して、可聴表示を提供するが、可聴表示器部材94は、装置10の他の部分と係合して、可聴表示を提供し得るであろう。
【0027】
再び、図1図8、および、図12図16を参照すると、カセット本体26は、装置10の長手方向に延びる少なくとも1つのリブ96を含む。図15に示されるように、カセット本体26は、2つのリブ96を含む。可聴表示器部材94は、可聴表示器部材94を、非バイアス位置からバイアス位置に移動させるように、リブ96と係合する。可聴表示器部材94は、可聴表示器部材94をバイアス位置から解放位置に移動させるように、リブ96から外れ、可聴表示をもたらす。特に、装置10の作動により、可聴表示器部材94は、プランジャ本体80がモータ本体42に対して移動すると、図4に示される非バイアス位置から、図6に示されるバイアス位置へ移動し、その結果、可聴表示器部材94は、リブ96と係合し、可聴表示器部材94を偏向させ、それによって、可聴表示器部材94をバイアス位置に移動させる。可聴表示器部材94は、可聴表示器部材94がリブ96の端部に到達するまで、リブ96に沿ってスライドし続けるであろう。リブ96から外れた後、可聴表示器部材94は解放位置に移行し、表示器プラットフォーム202に接触して、可聴表示を提供する。可聴表示器部材94は、ストッパー54がバレル52上で底に達する直前に可聴表示を提供し得るが、可聴表示器部材94は、ストッパー54が底に達するのとほぼ同時に可聴表示を提供するか、または、薬物の用量の送達の完了後の所定の時間、可聴表示を遅らせ得る。リブ96は、可聴表示器部材94を非バイアス位置からバイアス位置に移行させるように構成された、傾斜面204を含む。傾斜面204は、非バイアス位置からバイアス位置への滑らかな移行を提供する。リブ96は、カセット本体26の長さの一部のみに延在するが、他の適切な構成が利用され得る。可聴表示器部材94は、プランジャ本体80と一体に形成され、プランジャ本体80と共に移動するが、可聴表示器部材94は、プランジャ本体80とは別体に形成され得る。
【0028】
図13を参照すると、可聴表示器部材94は、プランジャ本体80が使用前位置にあるとき、注射器ホルダー24の移動を制限するように構成される。上記のように、レバー作動部材44は、プランジャ本体80の移動を防止する。注射器ホルダー24は、カセット本体26に対して移動可能である。可聴表示器部材94は、注射器ホルダー24の少なくとも1つのアーム210と係合して、使用前位置での装置10の移動中、または、キャップ18の取り外し中の、注射器ホルダー24の移動を防止する。アーム210(複数可)は、注射器ホルダー24から半径方向外向きに延び、可聴表示器部材94の一部は、注射器ホルダー24のアーム210(複数可)の間に配置され、その結果、第2のサブアセンブリ14から第1のサブアセンブリ12へ延びる方向への注射器ホルダー24の移動は、少なくとも1つのアーム210(複数可)が可聴表示器部材94と係合し、注射器ホルダー24のさらなる移動を制限することをもたらす。
【0029】
図2B図6図8、および、図16を参照すると、装置10は、また、プランジャ本体80の注入位置(図6)から使用後位置(図8)への移行の視覚的表示を提供するように構成された、視覚的表示器部材220を含む。視覚的表示器部材220は、下部ハウジングシェル28によって画定される表示器開口部104を介して視認可能である。視覚的表示器部材220は、プランジャ本体80と一体的に形成され、可聴表示器部材94から離間させられるが、他の適切な構成が利用され得る。上記のように、視覚的表示器部材220は、装置の様々な状態を表示するために、対照的な色、記号、パターン、または、任意の他の適切な視覚的標識を利用し得る。
【0030】
図17図41を参照すると、本発明のさらなる態様による薬物送達装置300が示される。薬物送達装置300は、図1A図16に示される薬物送達装置10と同様であり、特定の相違は、以下で詳しく説明される。薬物送達装置300は、他の構成要素の中でも、モータ本体302、プランジャ本体304、プランジャロッド部分306、レバー作動部材308、注射器ホルダー310、針カバー312、カセット本体314、キャップ316、リテーナ318、上部ハウジングシェル320、および下部ハウジングシェル322、を含む。
【0031】
図17図20を参照すると、モータ本体302は、図1A図16のモータ本体42と同様であり、同様に機能するが、さらに、長手方向の溝324、補強リブ326(複数可)、および、カセットクリップ328(複数可)を含む。長手方向溝324は、プランジャ本体304の成形分割線を受容し、モータ本体302とプランジャ本体304との間の滑らかな滑りを確実にするように構成される。補強リブ326(複数可)は、モータ本体302の一対のアーム260に追加の支持を提供する。カセットクリップ328(複数可)は、モータ本体302をカセット本体314に固定するために、カセット本体314によって画定される開口部330によって受容され、これは、以下でより詳細に説明される。カセットクリップ328(複数可)は、角度の付いた面332および平面334を含み、これは、カセットクリップ328(複数可)の、カセット本体314の開口部330(複数可)への挿入を可能にするが、カセット本体314の開口部330に挿入されると、カセットクリップ328(複数可)の容易な取り外しを妨げるように構成される。モータ本体302の底面336は、装置300の組み立てを支援するために面取り部分338を含む。
【0032】
図18および図21図24を参照すると、プランジャ本体304は、一体的に形成されるよりはむしろ、プランジャロッド部分306とは別個に形成される。さらに、装置300は、プランジャロッドカバー92を含まない。プランジャ本体304は、プランジャロッド部分306のプランジャロッドクリップ342を受容する開口340を画定する。プランジャロッドクリップ342はバーブ形状であり、プランジャ本体304の開口340に挿入されるものの、開口340から容易に取り外されないように構成されるが、他の適切な形状および構成が利用され得る。プランジャロッドクリップ342は、中央開口344を画定し、それは、プランジャロッドクリップ342がプランジャ本体304の開口340に挿入されるときにプランジャロッドクリップ342を圧縮し、プランジャ本体304内に受容されると元の形状に拡張することを可能にする。プランジャロッド部分306は、プランジャ本体ストップ346(複数可)およびバイアス部材348を含む。1つまたは複数の突起であり得る、プランジャ本体ストップ346(複数可)は、プランジャロッドクリップ342が、プランジャ本体304の開口340に挿入されるときに、プランジャ本体304に接触する。バイアス部材348は、プランジャロッドクリップ342をプランジャ本体304の開口340に挿入する間、プランジャ本体304と係合し、プランジャロッド部分306をプランジャ本体304に向かって偏向させる。バイアス部材348は、組み立て後のプランジャ本体304とプランジャロッド部分306との間に隙間がないことを保証しながら、プランジャロッドクリップ342のプランジャ本体304の開口340への挿入のための追加の許容差を提供する。プランジャロッド部分306のバイアス部材348は、環状であるが、他の適切な形状および構成が利用され得る。
【0033】
プランジャロッド部分306は、さらに、ストッパー54によって受容されるストッパーインターフェース350を含む。ストッパーインターフェース350は、十字形の突起であるが、他の適切な形状および構成が利用され得る。プランジャロッド部分306は、注射器アセンブリ16への応力を低減するように構成された円錐形の外形を有するが、他の適切な形状が利用され得る。プランジャ本体304は、プランジャ本体304のレバー開口部88内に延びるレバーリブ352を含む。レバーリブ352は、以下でより詳細に論じられるように、レバー作動部材308によって受容されるように構成される。
【0034】
図25および図26を参照すると、レバー作動部材308は、上述され、図1A図16に示される、レバー作動部材44と同様であり、同様に機能する。しかしながら、レバー作動部材308は、回転軸70に、プランジャ本体304のレバーリブ352を受容する、溝354を画定する。溝354とレバーリブ352との間の係合は、プランジャ本体304とレバー作動部材308との間の相対的な横方向の移動を防止する。レバー作動部材308の針カバー接触面142は、図1A図16のレバー作動部材44の針カバー接触面142と比較して、より大きな表面を含む。
【0035】
図27および図28を参照すると、注射器ホルダー310は、図1A図16の注射器ホルダー24と同様であり、同様に機能する。しかしながら、注射器ホルダー310は、さらに、注射器ホルダー310の周りで周方向に延びる複数のリブ356を含む。複数のリブは、ばね68に係合する。注射器ホルダー310の固定リング220は、さらに、半径方向内側に延びる複数の突起358を含む。複数の突起358は、注射器アセンブリ16と係合して、注射器アセンブリ16の外面と注射器ホルダー310との間のいかなる隙間をも取り除く。複数の突起358はエラストマー性であり、注射器アセンブリ16が注射器ホルダー310内に受容されると縮まり得る。
【0036】
図29および図30を参照すると、針カバー312は、図1A図16の針カバー22と同様であり、同様に機能する。針カバー312は、ばね68と係合して、針カバー312と注射器ホルダー310との間にばね68を保持する、ばねリブ360を含む。針カバー312は、また、カセット本体314に対する針カバー312の移動を案内するためのカセットリブ362(複数可)を含む。
【0037】
図31図32図40、および、図41を参照すると、カセット本体314は、図1A図16のカセット本体26と同様であり、同様に機能する。上述されるように、カセット本体314は、モータ本体302のカセットクリップ328(複数可)を受容する開口部330(複数可)を含む。カセット本体314は、針カバー312のクリップ表面366(複数可)と係合する針カバークリップ364(複数可)を含む。針カバー312のクリップ表面366(複数可)は平面であるが、他の適切な形状および構成が利用され得る。針カバークリップ364(複数可)は、カセット本体314に対する針カバー312の軸方向の移動を制限するように構成される。カセット本体314は、さらに、モータ本体リブ368(複数可)、および、上部ハウジングシェルリブ370を含み、これらは、装置300の組み立てを支援するために、モータ本体302および上部ハウジングシェル320の対応する部分と係合するように構成される。カセット本体314は、また、注射器ホルダー310の一部と係合して、カセット本体314に対する注射器ホルダー310の軸方向の移動を制限するように構成された、注射器ホルダーストップ372(複数可)を含む。図40には示されないが、ロッキングクリップ64は、また、薬物送達装置300と共に利用され得る。
【0038】
図33図38を参照すると、キャップ316は、上述され、図1A図16に示されるキャップ18と同様であり、同様に機能する。キャップ316は、針カバー312によって画定されるキャップ開口部376(複数可)によって受容される突起374(複数可)を含み、それは、図1A図16のキャップ18のそれらの要素の位置に対して、90度に配置される。キャップ316の突起374(複数可)は、針カバー312の、使用前位置から作動位置への移動で、針カバー312と係合するように構成される。例えば、装置300が保管位置にあり、キャップ316が下部ハウジングシェル322に固定される場合、装置が、針カバー312、レバー作動部材308、および/または、他の構成要素に力を加えるように、落下させられ、または、衝撃を与えられる場合、突起374(複数可)は、針カバー312の移動を制限し、それは、装置300の、いかなる意図されない作動をも防止する。キャップ316は、さらに、リテーナ318のウィング382(複数可)と係合する、リテーナクリップ378およびリブ380を含む。リテーナクリップ378(複数可)およびリブ380(複数可)は、リテーナ318をキャップ316に固定し、キャップ316に対するリテーナ318の移動またはぐらつきを防止する。リテーナ318は、キャップ316が下部ハウジングシェル322から取り外されるとき、RNS58を取り除くように構成される。キャップ316は、キャップ316を下部ハウジングシェル322に固定するための、下部ハウジングシェル322と係合する下部ハウジングシェルクリップ384(複数可)を含む。上部ハウジングシェル320および下部ハウジングシェル322は、上述され、および、図1A図16に示された、上部ハウジングシェル46および下部ハウジングシェル28と同様であり、同様に機能する。しかしながら、下部ハウジングシェル322は、キャップ316の下部ハウジングシェルクリップ384を受容するためのキャップインターフェース386を有する。
【0039】
図39を参照すると、薬物送達装置300が、注射位置に示される。カニューレ56の注入深さは、点Xでの注射器ホルダー310とカセット本体314との間の接触、および、点Yでの針カバー312と注射器ホルダー310との間の接触によって決定される。
【0040】
図39を参照すると、薬物送達装置300は、可聴表示器部材388を含み、これは、上述され、図1A図16に示される、可聴表示器部材94と同様であり、同様に機能する。上述の可聴表示器部材94と同様に、薬物送達装置300の可聴表示器部材388は、装置300が使用後位置に移行したときに、使用者に可聴表示を提供するように構成される。可聴表示器部材388は、装置300が注入位置にあるときに、カセット本体314のリブ390(複数可)と係合し、それにより、可聴表示器部材388を偏向させるように構成される。可聴表示器部材388は、カセット本体314のリブ390(複数可)から外れ、下部ハウジングシェル322に接触して、薬物送達装置300が注射位置から使用後位置に移行するときに可聴クリックを提供する。しかしながら、カセット本体314のリブ390(複数可)の遠位端392は、上部ハウジングシェル320に向かって後方に角度が付けられ、これは、図1A図16に関連して上述された、カセット本体26のリブ96(複数可)の配置と比較して、より大きな可聴クリックを有益に提供する。
【0041】
一態様または実施形態では、装置300の長手方向軸に垂直に延びる平面に対する、カセット本体314のリブ390(複数可)の遠位端392の角度Zは、5度より大きい。一態様または実施形態では、リブ390(複数可)の遠位端392の角度Zは、10度より大きい。一態様または実施形態では、遠位端392の角度Zは、25度である。
【0042】
1つの開示された態様の要素は、1つまたは複数の他の開示された態様の要素と組み合わせられ、異なる組み合わせを形成し得、これらの全ては、本発明の範囲内であると見なされる。
【0043】
本開示は例示的な設計を有するものとして説明されたが、本開示は、さらに、本開示の精神および範囲内で、修正され得る。したがって、本出願は、その一般原理を使用する、本開示の任意の変形、使用、または、適応をカバーすることを意図される。さらに、本出願は、本開示が関係し、添付の特許請求の範囲の範囲内にある、当技術分野における既知のまたは慣習的な実施に該当する、本開示からの逸脱をカバーすることを意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41