(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/90 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61B17/90
(21)【出願番号】P 2021552523
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2020051676
(87)【国際公開番号】W WO2020178678
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】102019000003147
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】フィシュテル,マインラート
(72)【発明者】
【氏名】インシッナ,ユーリ
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/098090(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/071627(WO,A1)
【文献】特開2017-131662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/17
A61B 17/58
A61B 17/88 - A61B17/90
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎多軸ねじ挿入ガイド
を保持および位置決めするための把持および位置決めツールであって、
長手方向軸(2a)に沿って延在し且つ第1の端部(3)および第2の端部(4)を有する本体(2)と、
前記本体(2)の前記第1の端部(3)に
配置されたハンドル(5)と、
前記本体(2)の第2の端部(4)に配置され且つ
前記把持および位置決めツールが前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドを把持して位置決めするために使用されるときに前記
脊椎多軸ねじ挿入ガイドに形成されたハウジングの内部で結合されるように構成された結合ゾーン(6)と、を備え、
前記本体(2)が真っ直ぐな前記長手方向軸(2a)に沿って完全に延在し、前記ハンドル(5)および前記結合ゾーン(6)が前記本体(2)と軸方向に位置合わせされて接続されており、球形である前記結合ゾーン(6)は、
球面ジョイント(7)を含み、前記球面ジョイント(7)は、球形の外面を有し、前記球形の直径は、前記第2の端部(4)との接続部分から離れるにつれて大きくなり、その後、前記接続部分とは反対側の当該球形の端部に向けて小さくなり、これによって前記球形が規定され、前記軸方向の位置合わせのおかげで、前記結合ゾーン(6)は、前記把持および位置決めツールが前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドを把持して位置決めするために使用されるときに前記把持および位置決めツールを介して前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドに外科医によって加えられる力の適用方向を一定に保ちながら、前記
脊椎多軸ねじ挿入ガイドに対してその位置を変える、把持および位置決めツール。
【請求項2】
前記本体(2)が、流体の存在下でさえ前記
把持および位置決めツールの取り扱いを容易にするために人間工学に基づく溝(8)を有する、請求項1に記載の把持および位置決めツール。
【請求項3】
前記ハンドル(5)が前記本体(2)とT字を規定する、請求項1
または2に記載の把持および位置決めツール。
【請求項4】
前記把持および位置決めツールが放射線透過性の材料でできている、請求項1から
3の一項に記載の把持および位置決めツール。
【請求項5】
請求項1から4の一項に記載の把持および位置決めツールと、
前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンと結合するように構成されたハウジングを規定する脊椎多軸ねじ挿入ガイドであって、前記ハウジングの内側は、前記ハウジングが前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンと結合されるときに、前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンを受け入れるように構成されており、前記把持および位置決めツールは、前記ハウジングが前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンと結合されているときに当該脊椎多軸ねじ挿入ガイドに対して回転可能である、脊椎多軸ねじ挿入ガイドと、を備えるアセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンと前記ハウジングとの締まり嵌めを介して、前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンと取り外し可能に結合されるように構成される、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
請求項1から4の一項に記載の把持および位置決めツールまたは請求項5もしくは請求項6に記載のアセンブリの使用方法であって、
前記把持および位置決めツールの前記結合ゾーンを前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドの前記ハウジングと結合するステップと、
前記把持および位置決めツールを介して前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドに力を加えるステップであって、前記力は前記把持および位置決めツールの前記第1の端部を操作することによって生成される、ステップと、を含む使用方法。
【請求項8】
前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドに対して前記把持および位置決めツールを回転させながら、前記把持および位置決めツールを介して前記脊椎多軸ねじ挿入ガイドへの力の適用を維持するステップをさらに含む、請求項7に記載の使用方法。
【請求項9】
前記力の少なくとも一成分は、前記長手方向軸を横切る方向に延びる、請求項7または8に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多軸ねじを挿入するために設計された脊椎手術ガイドは、外科医が手術の様々な段階でガイドを正しい位置にしっかりと保持できるように設計された把持ハンドルまたはブリッジを備える。
【0003】
この構造は、脊椎手術ガイドで長年広く使用されているが、それでも、特に、手術野の視界を妨げる軟組織の特に厚い層を持つ肥満患者において、または、より遠い距離での操作性が必要な場合には、使用困難である。さらに、既知の装置は、患者の皮膚になされる切開を最小限に抑えて可能な限り最小の手術部位を作る必要がある低侵襲手術中に使用するには困難である。
【0004】
現在の装置には、より大きく改善された人間工学に基づく補助ハンドルであって、全手術段階を通して所与の距離からガイドを患者の正しい位置に保つことを可能にする補助ハンドルがない。
【0005】
さらに、現在のガイドは、外科医がガイド自体を握り続けるのに十分なスペースがなければならないため、低侵襲手術ではほとんど役に立たない。
【0006】
さらに、外科医がガイドに統合されたハンドルまたはブリッジに加える圧力は、外科医が把持要素に加える推力の方向に応じて方向を変える可能性がある。これは、手術中にガイド自体の潜在的な不均衡または不安定化につながる可能性がある。
【0007】
実際、外科医は、手で視界を遮らないように、力を加える方向を動かして挿入スリーブを操作する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、容易な把持およびガイド自体の最適な位置の正確な維持を可能にし、ガイド自体にかかる力の適用方向を制御して一定に保つことができる、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールを提案することである。
【0010】
本発明の追加の目的は、外科医の視界を妨げない、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールを提供することである。
【0011】
最後に、本発明の目的は、たとえ少し離れていてもガイドの安定性を制御することを可能にし、その結果、外科医の手の存在によってもたらされる妨害なしに、X線または透視検査を行うことができる、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールを提案することである。
【0012】
これらおよび他の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に記載されているものによる、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールを使用して達成される。
概要
本発明の第1の態様は、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールであって、真っ直ぐな長手方向軸に沿って全体に延びる本体と、ツールを把持するための、本体の第1の端部に配置されたハンドルと、本体の第2の端部に配置され且つ前記脊椎ガイドに形成されたハウジングの内部で結合するように構成された結合ゾーンと、を備える、脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールを提供する。
【0013】
ハンドルと結合ゾーンは、本体と軸方向に位置合わせされて接続されて真っ直ぐな軸方向の展開を持つ単一体を形成する。結合ゾーンは、この軸方向の位置合わせのおかげで、外科医がツールに加える力の適用方向を一定に保ちつつ、挿入ガイドに対するその位置を変えることができる。
【0014】
結合ゾーンは球形である。結合ゾーンは、有利には、球面ジョイントを含む。
【0015】
体液が存在する場合でもツールの取り扱いを容易にするべく、本体には人間工学に基づいた溝がある。
【0016】
ハンドルは、好ましくは、本体とT字を規定する。
【0017】
ツール全体は、放射線透過性の材料でできている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
説明およびクレームされている脊椎多軸ねじ挿入ガイド用の把持および位置決めツールはまた、例示的であり且つ非網羅的であることを意図する以下の図に示されている。
【
図1】脊椎多軸ねじ挿入用の把持および位置決めツールの斜視図である。
【
図3】脊椎手術ガイドとの結合段階における、本発明の主題である把持および位置決めツールの斜視図である。
【
図4】脊椎ガイドに結合された把持および位置決めツールの斜視図である。
【
図5】脊椎椎骨に結合された脊椎ガイドに接続された把持および位置決めツールの図であり、脊椎ガイドに対するツール自体のいくつかの可能な傾斜が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図に関して、参照番号1は、本発明による脊椎多軸ねじ挿入ガイド10のための把持および位置決めツールを示す。
【0020】
把持および位置決めツール1は、真っ直ぐな長手方向軸2aに沿って延在し且つ第1の端部3および第2の端部4を有する本体2を備える。
【0021】
把持および位置決めツール1はまた、本体2の第1の端部3に接続されたハンドル5を備える。
【0022】
外科医がツール1をつかむことができるように設計されたハンドル5は、軸方向に位置合わせされて本体2に接続されている。ハンドル5は、好ましくは、本体の長手方向軸2aを横切っており、本体とT字を規定している。ハンドル5の中心軸は、本体2の長手方向軸2aと一致する。
【0023】
本体2の第2の端部4において、ツール1は、脊椎手術で使用するための脊椎多軸ねじ挿入ガイド10に把持ツールを接続するための結合ゾーン6を有する。
【0024】
結合ゾーン6はまた、軸方向に位置合わせされて本体2に接続されている。
【0025】
結合ゾーン6はまた、脊椎多軸ねじ挿入ガイドに形成されたハウジング内部に挿入されるように構成される。
【0026】
結合ゾーン6は、有利には、外科医によってツールに加えられる力の適用方向を一定に保ちつつ、挿入ガイドに対してその位置を変えることができる。これは、真っ直ぐな軸を有する単一体を形成する、ハンドル5、本体2、および結合ゾーン6の間の軸方向の位置合わせにより、まさしく可能である。
【0027】
結合ゾーン6は、好ましくは球形の形状を有し、特に球面ジョイント7を含む。
【0028】
脊椎多軸ねじ挿入ガイドに形成されたハウジングは、結合ゾーンを収容し且つ結合ゾーンが外れるリスクなしに移動できるように、結合ゾーンとは逆の形状になっている。把持および位置決めツール1を取り外すために、外科医は、引張力を加えて脊椎ガイドハウジングから球面ジョイント7を外す必要がある。
【0029】
本体2は、体液の存在下でさえ、ツール1の取り扱いを容易にする人間工学に基づく溝8(
図1および2)を有する。
【0030】
把持および位置決めツール1全体は、有利には、放射線透過性の材料でできており、その結果、X線画像または透視検査などの工程中であっても、ガイドに接続されたままであることができる。
【0031】
使用中、脊椎手術ガイド10が一旦配置されると、本体2の第2の端部4に位置するツール1の結合ゾーン6に配置される球面ジョイント7を介して把持および位置決めツール1と結合する。球面ジョイント7は、ガイド10自体の凹部またはシート8の内部に挿入される。
【0032】
外科医は、脊椎手術ガイド10に形成されたハウジング内部に結合ゾーン6を、具体的には球面ジョイント7を挿入することによって、好ましくは干渉によって、ツール1をガイド10と結合する。
【0033】
ガイド10に結合されると、ツール1は、外科医によって方向付けられるように、ガイド自体に対して回転することができる。これは、ツールとガイドの間の球面ジョイントのおかげで可能である。
【0034】
このようにして、外科医は、ツール、したがってガイドにかかる力の適用方向を一定に保つことができ、脊椎の正しい位置からガイドが不安定になるのを回避することができる。外科医はまた、真っ直ぐな軸に沿って位置合わせされたツール全体の単一体構成のおかげで、力の適用方向を方向付けて一定に保つことができる。
【0035】
球面ジョイント7の接続には2つの利点がある。1つは、キルヒナーワイヤーまたはねじを挿入するときに外科医の邪魔にならないように、ハンドル自体が多軸ねじ挿入スリーブ11の方向にならないように、ガイドを操作するときにハンドルを動かすことを可能にすることである。ただし、球面結合のおかげで、ガイドに対するハンドルの位置を変えながら、正しい位置にとどまるように強制されるガイド自体に制御力を加え続けることが可能になる。
【0036】
このツールの目的は、外科医がガイドに直接手を置く必要なしに、脊椎手術ガイドを正しい位置に保つことである。
【0037】
球面接続は、ガイド自体の適切な凹部またはシート9でのガイドとの係合を可能にし、他のツールとの起こり得る干渉を回避するために必要な回転自由度(円錐を描く動きの可能性)をツールに残す。
【0038】
ハンドル5は、手術部位に干渉しないように、腰椎穿刺および透視またはX線写真の取得中に、ツール1を端部のみで保持することを容易にする。
【0039】
したがって、主な革新は、可動ハンドルを持つ実現性にある。球面接続により、脊椎ガイドの位置を変更せずにツールを回転させることができ、これによりガイドの安定性が保証される。したがって、把持および位置決めツールは、空間内の円錐を規定する円形軌道に従って回転することができる。
図5は、椎骨12に結合された脊椎ガイド10に接続されたツールを動かし、方向付けるための可能な角度を示している。長手方向軸2aの位置はダッシュで描かれている。
【0040】
ツール1はまた、外科医が、潜在的なねじの軌道をチェックするときに、透視またはX線の放射線照射野に手を近づけないままで、脊椎ガイドを所定の位置に保持することを可能にする。
【0041】
このツールは、低侵襲技術(小さな切開)を実行する場合、および患者が肥満の(軟組織が最大に存在する)場合に非常に役立つ。
【0042】
したがって、本発明によって解決される問題は、より大きく改善された人間工学に基づく補助ハンドルであって、全手術段階の間、所与の距離からガイドを患者の正しい位置に保つことを可能にする補助ハンドルを提供することである。