(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス用の装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231124BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20231124BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2021577350
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 GB2020051544
(87)【国際公開番号】W WO2020260885
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ホロッド、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、ヴィクトル クラベス
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-148065(JP,A)
【文献】特開平02-148686(JP,A)
【文献】国際公開第2019/002377(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/122094(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206819189(CN,U)
【文献】特表2017-501682(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生デバイスのエアロゾル発生材を加熱して加熱操作モードでエアロゾルを発生させる共振回路のインダクタ素子を流れる交流電流を電力源から発生させるように構成された第1の切り替え部と、
第1の切り替え部を制御するための制御信号を発生させる制御信号発生器を含む駆動回路と、
電力節約操作モードで電力源から前記制御信号発生器を切断するように構成された電力モード切り替え部と、
前記電力モード切り替え部を制御するための制御モジュールとを含む装置であって、
前記制御モジュールは、前記装置を加熱操作モードまたは電力節約操作モードに設定し、それに応じて前記電力モード切り替え部を制御する、
装置。
【請求項2】
電力源のDCレベルを作動DCレベルにブーストするブーストコンバータをさらに含み、電力モード切り替え部は、電力節約操作モードで電力源からブーストコンバータを切断するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
第1の切り替え部は、正と負の電圧源を切り替えて前記交流電流を発生させるために使用されるHブリッジ回路を含むことを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記共振回路をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記制御モジュールは、
エアロゾル発生デバイスが第1の閾値期間、加熱操作モードで非作動状態である場合、
ユーザーがエアロゾル発生デバイスを停止させる場合、
サセプタ装置を含むデバイスがエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、
前記サセプタ装置によって加熱される物品がエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、または
装置のバッテリーがバッテリー閾値以下の充電レベルである場合に装置を電力節約操作モードに設定するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記制御モジュールは、
エアロゾル発生デバイスが第2の閾値期間、電力節約操作モードにある場合、
ユーザーがエアロゾル発生デバイスを始動させる場合、
サセプタ装置を含むデバイスがエアロゾル発生デバイスに挿入される場合、
前記サセプタ装置によって加熱される物品がエアロゾル発生デバイスに挿入される場合、または
移動センサ出力がエアロゾル発生デバイスの意図した使用を示している場合に装置を加熱操作モードに設定するように構成されていることを特徴とする請求項4または5記載の装置。
【請求項7】
電力モード切り替え部は、電力節約
操作モードで電力源から1つ以上のさらなるモジュールを切断するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7いずれか1項記載の装置を含む非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項9】
エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を収容するように構成されていることを特徴とする請求項
8記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項10】
前記エアロゾル発生材は、エアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材とを含むことを特徴とする請求項
9記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項11】
前記取り外し可能な物品は前記サセプタ装置を含むことを特徴とする請求項
9または
10記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項12】
前記装置は、タバコ加熱システムを含むことを特徴とする請求項
8乃至
11いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項13】
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱して加熱操作モードでエアロゾルを発生させるためのインダクタ素子を含む共振回路を含むエアロゾル発生デバイスであって、このエアロゾル発生デバイスの操作モードを加熱操作モードまたは電力節約操作モードに設定することと、
加熱操作モード
に設定した時は、エアロゾル発生デバイスの駆動回路を有効に
し、または、電力節約操作モード
に設定した時は、駆動回路を無効にして、駆動回路の少なくとも一部が電力節約操作モードで電力源から切断されるように
、電力モード切り替え部を制御することとを含む方法。
【請求項14】
エアロゾル発生デバイスが第1の閾値期間、加熱操作モードで非作動状態である場合、エアロゾル発生デバイスを電力節約操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13記載の方法。
【請求項15】
ユーザーがエアロゾル発生デバイスを停止した場合、エアロゾル発生デバイスを電力節約操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13または
14記載の方法。
【請求項16】
サセプタ装置を含む物品がエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、エアロゾル発生デバイスを電力節約操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記サセプタ装置によって加熱される交換可能な物品がエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、エアロゾル発生デバイスを電力節約操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
装置のバッテリーがバッテリー閾値以下の充電レベルである場合、エアロゾル発生デバイスを電力節約操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
エアロゾル発生デバイスが第2の閾値期間、電力節約操作モードにある場合、エアロゾル発生デバイスを加熱操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
ユーザーがエアロゾル発生デバイスを始動させた場合、エアロゾル発生デバイスを加熱操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
サセプタ装置を含む物品がエアロゾル発生デバイスに挿入された場合、エアロゾル発生デバイスを加熱操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記サセプタ装置によって加熱される交換可能な物品がエアロゾル発生デバイスに挿入された場合、エアロゾル発生デバイスを加熱操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
移動センサ出力がエアロゾル発生デバイスの意図した使用を示している場合、エアロゾル発生デバイスを加熱操作モードに設定することをさらに含むことを特徴とする請求項
13乃至
22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
少なくとも、
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱して加熱操作モードでエアロゾルを発生させるためのインダクタ素子を含む共振回路を含むエアロゾル発生デバイスであって、このエアロゾル発生デバイスの操作モードを加熱操作モードまたは電力節約操作モードに設定すること、および
加熱操作モード
に設定した時は、エアロゾル発生デバイスの駆動回路を有効に
し、または、電力節約操作モード
に設定した時は、駆動回路を無効にして、駆動回路の少なくとも一部が電力節約操作モードで電力源から切断されるように
、電力モード切り替え部を制御することを装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書はエアロゾル発生デバイス用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やして煙を発生させる。これらの物品に代わるものとして燃焼させずに化合物を放出する製品を作成する試みがなされている。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱し、基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では本明細書はサセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生デバイスのエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させる共振回路(LC共振回路などの)のインダクタ素子を流れる交流電流を電力源から発生させるように構成された第1の切り替え部と、第1の切り替え部を制御するための制御信号を発生させる駆動回路と、電力節約操作モードで電力源から駆動回路の少なくとも一部を切断するように構成された電力モード切り替え部とを含む装置について記載している。本発明の装置は、前記共振回路をさらに含んでもよい。
【0004】
電力源のDCレベルを操作DCレベルにブーストするためのブーストコンバータが提供され、電力モード切り替え部は、電力節約操作モードで電力源からブーストコンバータを切断するように構成されている。
【0005】
第1の切り替え部は、正と負の電圧源を切り替えて前記交流電流を発生させるために使用されるHブリッジ回路を含んでもよい。
【0006】
一部の実施態様は、前記電力モード切り替え部を制御するための制御モジュールをさらに含んでもよく、この制御モジュールは、前記装置を加熱操作モードまたは電力節約操作モードに設定し、それに応じて前記電力モード切り替え部を制御する。制御モジュールは、次の条件のうちの1つ以上が満たされた場合に装置を電力節約操作モードに設定するように構成してもよい、エアロゾル発生デバイスが第1の閾値期間、加熱操作モードで非作動状態である場合、ユーザーがエアロゾル発生デバイスを停止させる場合、サセプタ装置を含むデバイスがエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、前記サセプタ装置によって加熱される物品がエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、または装置のバッテリーがバッテリー閾値以下の充電レベルである場合。これとは別にまたは加えて制御モジュールは、次の条件のうちの1つ以上が満たされた場合に装置を加熱操作モードに設定するように構成してもよい、エアロゾル発生デバイスが第2の閾値期間、電力節約操作モードにある場合、ユーザーがエアロゾル発生デバイスを始動させる場合、サセプタ装置を含むデバイスがエアロゾル発生デバイスに挿入される場合、前記サセプタ装置によって加熱される物品がエアロゾル発生デバイスに挿入される場合、または移動センサ出力がエアロゾル発生デバイスの意図した使用を示している場合。
【0007】
電力モード切り替え部は、電力節約モードで電力源から1つ以上のさらなるモジュールを切断するように構成されてもよい。
【0008】
第2の態様では本明細書は加熱素子の加熱を引き起こす加熱回路と、加熱操作モードと電力節約操作モードを有するプロセッサ素子とを含み、加熱操作モードでプロセッサ素子は電力源から電力を加熱回路に供給するように構成され、電力節約操作モードは加熱操作モードより少ない電力を使用し、加熱回路の少なくとも一部は電力切り替え部を介して電力源に電気的に結合され、プロセッサ素子は、加熱回路のその少なくとも一部がプロセッサ素子が電力節約操作モードにあるとき、電力源から電気的に切断されるように電力切り替え部を作動させるように構成されている装置について記載している。
【0009】
加熱素子は、サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生デバイスのエアロゾル発生材を加熱して加熱操作モードでエアロゾルを発生させるための共振回路のインダクタ素子を含んでもよい。
【0010】
一部の実施態様は制御モジュールをさらに含み、制御モジュールは、加熱回路が第1の閾値期間、加熱操作モードで非作動状態である場合、ユーザーが加熱回路を停止する場合、加熱回路によって加熱されている物品が取り除かれる場合、または装置のバッテリーがバッテリー閾値以下の充電レベルである場合にプロセッサ素子を加熱モードに設定するように構成され、制御モジュールは、加熱回路が第2の閾値期間、電力節約操作モードにある場合、ユーザーが加熱回路を始動させる場合、加熱回路によって加熱される物品が挿入される場合、または移動センサ出力が装置の意図した使用を示している場合にプロセッサ素子を電力節約操作モードに設定するように構成されている。
【0011】
電力切り替え部を介して電力源に電気的に結合された1つ以上の別のモジュールを設けてもよく、プロセッサ素子は、その1つ以上の別のモジュールの少なくともいくつかがプロセッサ素子が電力節約操作モードにあるとき、電力源から電気的に切断されるように電力切り替え部を作動させるように構成されている。
【0012】
第3の態様では本明細書は上述の第1または第2の態様の特徴のいずれかを含む装置を含む非燃焼系エアロゾル発生デバイスについて記載し、このエアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品(この取り外し可能な物品は前記サセプタ装置を含んでもよい)を収容するように構成してもよい。エアロゾル発生材は、エアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材とを含んでもよい。本発明の装置は、タバコ加熱システムを含んでもよい。
【0013】
第4の態様において本明細書はサセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱して加熱操作モードでエアロゾルを発生させるためのインダクタ素子を含む共振回路を含むエアロゾル発生デバイスであって、このエアロゾル発生デバイスの操作モードを加熱操作モードまたは電力節約操作モードに設定することと、加熱操作モードでエアロゾル発生デバイスの駆動回路を有効にするそして電力節約操作モードで駆動回路を無効にして、駆動回路の少なくとも一部が電力節約操作モードで電力源から切断されるように電力モード切り替え部を制御することとを含む方法について記載している。
【0014】
エアロゾル発生デバイスは、次の条件のうちの1つ以上において電力節約操作モードに設定されてもよい、エアロゾル発生デバイスが第1の閾値期間、加熱操作モードで非作動状態である場合、ユーザーがエアロゾル発生デバイスを停止した場合、サセプタ装置を含む物品がエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、前記サセプタ装置によって加熱される交換可能な物品がエアロゾル発生デバイスから取り除かれる場合、または装置のバッテリーがバッテリー閾値以下の充電レベルである場合。
【0015】
エアロゾル発生デバイスは、次の条件のうちの1つ以上において加熱操作モードに設定されてもよい、エアロゾル発生デバイスが第2の閾値期間、電力節約操作モードにある場合、ユーザーがエアロゾル発生デバイスを始動させた場合、サセプタ装置を含む物品がエアロゾル発生デバイスに挿入された場合、前記サセプタ装置によって加熱される交換可能な物品がエアロゾル発生デバイスに挿入された場合、または移動センサ出力がエアロゾル発生デバイスの意図した使用を示している場合。
【0016】
第5の態様で本明細書は、計算機で実行されると、計算機に、第4の態様を参照して説明したような任意の方法を実行させるコンピュータ可読命令について記載する。
【0017】
第6の態様では本明細書は、非燃焼系エアロゾル発生システムで使用する物品を含む部品のキットについて記載し、この非燃焼系エアロゾル発生システムは、上記の第1または第2の態様の構造のいずれかを含む装置または上記の第3の態様の構造のいずれかを含むエアロゾル発生デバイスを含む。前記物品は、例えば、エアロゾル発生材料を含む取り外し可能な物品でもよい。
【0018】
第7の態様では本明細書は、少なくとも、サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱して加熱操作モードでエアロゾルを発生させるためのインダクタ素子を含む共振回路を含むエアロゾル発生デバイスであって、このエアロゾル発生デバイスの操作モードを加熱操作モードまたは電力節約操作モードに設定すること、および加熱操作モードでエアロゾル発生デバイスの駆動回路を有効にするそして電力節約操作モードで駆動回路を無効にして、駆動回路の少なくとも一部が電力節約操作モードで電力源から切断されるように電力モード切り替え部を制御することを、装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラム について説明している。
【0019】
例示的実施態様を以下の略図を参照して例示のみの目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図2】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル供給装置を示す。
【
図3】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル供給装置の図である。
【
図4】例示的な実施態様による、非燃焼系エアロゾル供給装置と共に使用する物品の図である。
【
図5】例示的な実施態様による回路のブロック図である。
【
図6】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図7】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図8】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図9】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図10】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図11】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図12】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図13】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図14】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図15】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図16】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図17】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図18】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図19】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図20】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図21】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。および
【
図22】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図23】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書中では「送出システム」なる用語はユーザーに物質を送出するシステムを包含することを意図し、
紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼性エアロゾル供給システム、
電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル化可能な材料を燃焼させずにエアロゾル化可能な材料から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム、
エアロゾル化可能な材料を含み、これらの非燃焼系エアロゾル供給システムのうちの1つに使用するように構成された物品、および
トローチ、ガム、パッチ、パッチ吸入可能な粉を含む物品などのエアロゾルを含まない送出システムおよびエアロゾルを形成せずにユーザーにニコチンを含むまたは含まない材料を送出するスヌースおよび嗅ぎタバコなどの無煙タバコ製品を含む。
【0022】
本開示では「燃焼性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するまたは燃やすシステムである。
【0023】
本開示では「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼しないまたは燃やさないシステムである。
【0024】
本明細書で説明する実施態様において、送出システムは、非燃焼系エアロゾル供給システム、例えば電動非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0025】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、蒸気を吸う装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料中のニコチンの存在は要件ではない。
【0026】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、加熱式タバコシステムとしても知られているタバコ加熱システムである。
【0027】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル化可能な材料のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル化可能な材料および固体のエアロゾル化可能な材料を含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0028】
通常、非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給装置および非燃焼系エアロゾル供給システムと共に使用する物品を含んでもよい。ただし、それ自体がエアロゾル発生成分に電力を供給する手段を含む物品は、それ自体が非燃焼系エアロゾル供給システムを形成してもよい。
【0029】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給装置は、電力源および制御装置を含んでもよい。電力源は、電力源または発熱電力源でもよい。一実施態様では発熱電力源は、発熱電力源に近接するエアロゾル化可能な材料または熱伝達材料に熱の形で電力を分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施態様では発熱電力源などの電力源は、非燃焼系エアロゾル供給を形成するように物品に設けられる。
【0030】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料と、エアロゾル発生部材と、エアロゾル発生領域と、マウスピースおよび/またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域とを含んでもよい。
【0031】
1つの実施態様ではエアロゾル発生部材はエアロゾル化可能な材料と相互作用してエアロゾル化可能な材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成することができるヒーターである。1つの実施態様ではエアロゾルはエアロゾル化可能な材料から加熱せずにエアロゾルを発生させることができる。例えば、エアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料からそれに熱を加えずに例えば振動、機械、加圧または静電手段によってエアロゾルを発生させることができる。
【0032】
1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、活性材、エアロゾル形成材および任意の1つ以上の機能材を含んでもよい。活性材は、ニコチン(任意にタバコまたはタバコ派生物に含まれる)と、1つ以上の他の無臭の生理的に活性な材料とを含んでもよい。無臭の生理的に活性な材料は、臭覚以外の生理的な反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。
【0033】
エアロゾル形成材は、グリセリン、グリセリロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリトリトール、メソ-エリトリトール、バニリン酸エチル、エチルラウレート、ジエチル基材、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸およびプロピレンカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0034】
1つ以上の機能材は、風味料、キャリアー、pHレギュレーター、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0035】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域を含んでもよい。1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。例えば、貯蔵領域は貯蔵部であってもよい。1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル発生領域から離れてもよい、あるいは組み合わされてもよい。
【0036】
本明細書ではエアロゾル発生材とも称するエアロゾル化可能な材料は、例えば加熱、照射または他の何らかの方法で活性化されると、エアロゾルを発生させることができる材料である。エアロゾル化可能な材料は、例えばニコチンおよび/または風味剤を含むまたは含まない固体、液体またはゲルの形体であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。
【0037】
エアロゾル化可能な材料は、基材上に存在してもよい。基材は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。
【0038】
図1は、例示的な実施態様による、概ね参照番号10で示すシステムのブロック図である。システム10は、直流(DC)電圧供給部11
の形体の電力源、切り替え部13、共振回路14、サセプタ装置16、および制御回路1
8を含む。切り替え部13および共振回路14は、誘導加熱装置12内に結合されていてもよい。
【0039】
共振回路14は、サセプタ装置16を誘導的に加熱するコンデンサと1つ以上のインダクタ素子を備え、エアロゾル発生材料を加熱してもよい。エアロゾル発生材料を加熱すると、それによりエアロゾルが発生する。
【0040】
切り替え部13は、DC電圧供給装置11から交流電流を生成することができる。交流電流は1つ以上のインダクタ素子を流れ、サセプタ装置16の加熱を引き起こす。この切り替え部は複数のトランジスタを含んでもよい。DC-AC変換器には、例えば、Hブリッジまたはインバータ回路が含まれる。これらの例については、後に説明する。なお、疑似AC信号が生成されるDC電圧供給11の提供は、本質的な特徴ではない。例えば、制御可能なAC電力源またはAC-ACコンバータが提供されてもよい。したがって、(主電力源やインバータなどから)AC入力を提供することができる。
【0041】
図2および3は、例示的な実施態様による、概ね参照番号20で示す非燃焼系エアロゾル供給装置を示す。
図2は、外カバーを備えたエアロゾル供給デバイス20Aの斜視図である。エアロゾル供給デバイス20Aは、サセプタの加熱を可能にするためにエアロゾル供給デバイス20Aに挿入し得る交換可能な物品21を含んでもよい(これは、以下でさらに説明するように、物品21内に含まれてもよい)。エアロゾル供給デバイス20Aは、エアロゾル供給デバイス20Aのスイッチを入れたり切ったりするのに使用される起動スイッチ22をさらに備えてもよい。エアロゾル供給デバイスの別の部材を
図3に示す。
【0042】
図3は、外カバーが取り外されたエアロゾル発生デバイス20Bの斜視図である。エアロゾル発生デバイス20Bは、物品21、起動スイッチ22、複数のインダクタ素子23a、23b、および23c、ならびに1つ以上の空気管延長部24および25を含む。1つ以上の空気管延長部24および25は必須ではない。
【0043】
複数のインダクタ素子23a、23bおよび23cは、それぞれ、共振回路14などの共振回路の一部を形成してもよい。例えば、インダクタ素子23aは、螺線インダクタコイルを含んでもよい。一例では螺線インダクタコイルは、螺線状に巻かれて螺線インダクタコイルを提供するリッツ線/ケーブルでできている。プリント回路基板内に形成されたインダクタなど、多くの代替インダクタの形成が可能である。インダクタ素子23bおよび23cは、インダクタ素子23aに類似していてもよい。3つのインダクタ素子23a、23bおよび23cの使用は、すべての例示的な実施態様に必須ではない。したがって、エアロゾル発生デバイス20は、1つ以上のインダクタ素子を含んでもよいことになる。
【0044】
物品21の一部としてサセプタを提供することができる。例示的な実施態様では物品21をエアロゾル発生デバイス20に挿入することで、エアロゾル発生デバイス20を起動させてもよい。これは、適切なセンサー(例えば、光センサー)を用いてエアロゾル発生デバイス内の物品21の存在を検出すること、あるいはサセプタが物品21の一部を形成する場合、例えば、共振回路14を用いてサセプタの存在を検出することによって行われてもよい。エアロゾル発生デバイス20を起動すると、インダクタ素子23は、サセプタにより物品21を誘導的に加熱させることができる。別の実施態様ではサセプタを、エアロゾル発生デバイス20の一部として(例えば、物品21を受け入れるための保持部の一部として)設けてもよい。
【0045】
図4は、例示的な実施態様による、非燃焼系エアロゾル供給装置と共に使用するための、概ね参照番号30で示す物品の図である。物品30は、
図2および
図3を参照して上記で説明した交換可能な物品21の例である。
【0046】
物品30は、マウスピース31およびマウスピース31に接続されたエアロゾル発生材33、この場合はタバコ材料の円筒形ロッドを含む。エアロゾル発生材料33を、例えば、本明細書に記載されるように、エアロゾル発生デバイス20などの非燃焼系エアロゾル発生デバイス内で加熱すると、エアロゾルを発生する。エアロゾル発生材料33は、ラッパー32で包まれている。ラッパー32は、例えば、紙または紙で裏打ちされた金属箔ラッパーでもよい。ラッパー32は、空気に対して実質的に不浸透性である。
【0047】
一実施態様ではラッパー32はアルミ箔を含む。アルミ箔は、エアロゾル発生材料33内のエアロゾルの形成を促進するのに特に効果的であることが分かっている。本例ではアルミホイルは、約6μmの厚さを有する金属層を有する。アルミ箔には裏紙が付いている場合がある。しかしながら、別の配置ではアルミ箔は他の厚さ、たとえば4μm~16μmの厚さであってもよい。アルミ箔にも紙の裏打ちが必須ではないが、たとえばホイルに適切な引張強度を提供するために、他の材料の裏打ち材を形成してもしなくてもよい。アルミニウム以外の金属層や箔も使用できる。さらにそのような金属層が物品30の一部として提供されることは必須ではない。例えば、そのような金属層は、デバイス20の一部として提供されてもよい。
【0048】
本明細書でエアロゾル発生基材33とも呼ばれるエアロゾル発生材33は、少なくとも1種のエアロゾル形成材料を含む。この例ではエアロゾル形成材料はグリセリンである。別の例ではエアロゾル形成材料は、本明細書に記載されるような別の材料またはそれらの組み合わせであってもよい。エアロゾル形成材料は、香味化合物などの化合物のエアロゾル発生材から消費者への移動を助けることで、物品の感覚性能を改善することが分かっている。
【0049】
図4に示すように、物品30のマウスピース31は、エアロゾル発生基材33に隣接する上流端31aと、エアロゾル発生
基材33から遠位の下流端31bとを含む。エアロゾル発生基材はタバコを含むが、代用品も可能である。
【0050】
マウスピース31は、中空の管状部材34の上流に、この例では中空の管状部材34に隣接し、当接関係にある材料36の本体を含む。材料36の本体および中空の管状部材34はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。材料36の本体は、第1のプラグラッパー37に包まれている。第1のプラグラッパー37は、約20gsm~40gsmなど、50gsm未満の坪量をもっていてもよい。
【0051】
この例では中空の管状部材34は第1の中空の管状部材34であり、マウスピースは、第1の中空の管状部材34の上流に、冷却部材とも呼ばれる第2の中空の管状部材38を含む。この例では第2の中空の管状部材38は、材料36の本体の上流と当接している。材料の本体36および第2の中空の管状部材38はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。第2の中空の管状部材38は、平行に巻かれた複数の紙の層から形成され、継ぎ目が突き合わされて、管状部材38を形成する。この例では第1および第2の紙層が2プライ管で提供されるが、他の例では3層、4層またはそれ以上の紙層で、3プライ、4プライまたはそれ以上のプライ管を形成することができる。紙のらせん状に巻かれた層、ボール紙の管、張り子管のプロセスを使用して形成された管、成形または押し出しプラスチック管などの他の構造を使用することができる。第2の中空の管状部材38はまた、本明細書に記載の第2のプラグラッパー39および/またはチッピング紙35として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成することができ、これは、別個の管状部材が必要ないことを意味する。
【0052】
第2の中空の管状部材38は、冷却部として機能するマウスピース31の周囲に配置され、マウスピース31内の空隙を画定する。空隙は、エアロゾル発生材料33によって生成された加熱揮発成分が流れることができるチェンバーを提供する。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル蓄積室を提供するために中空であるが、剛性が十分にあり、製造中および物品21の使用中に発生する可能性のある軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えることができる。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル発生材33と材料本体36の間に物理的変位を提供する。第2の中空の管状部材38によって提供される物理的変位は、第2の中空の管状部材38の長さ全体にわたって温度勾配を提供する。
【0053】
もちろん、物品30は、単なる例として提供されている。当業者は、本明細書に記載のシステムで使用することができるそのような物品の多くの代替配置を知っている。
【0054】
図5は、例示的な実施態様による、概ね参照番号40で示す回路のブロック図である。回路40は、正の端子47および負の(接地)端子48(これらは、上記のシステム10のDC電圧供給
部11の実装例である)を含む。回路40は、切り替え部44(上記の切り替え部13を実施する)を含み、ここで、切り替え部44は、ブリッジ回路(例えば、FET Hブリッジ回路などのHブリッジ回路)を含む。切り替え部44は、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bを含み、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bは、共振回路49(上記の共振回路14を実装する)によって結合される。第1の回路分岐44aは、スイッチ45aおよび45bを含み、第2の回路分岐44bは、スイッチ45cおよび45dを含む。スイッチ45a、45b、45cおよび45dは、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタであり、システム10の制御回路18などの制御装置からの入力を受け取ることができる。共振回路49は、共振回路49がLC共振回路であるように、コンデンサ46およびインダクタ素子43を含む。回路40はさらにサセプタ等価回路42を示す(それにより、サセプタ装置16を実施している)。サセプタ等価回路42は、例示的なサセプタ装置16の電気的効果を示す抵抗器とインダクタ素子
を含む。サセプタが存在する場合、サセプタ装置42および
インダクタ素子43は、変圧器41として機能することができる。変圧器41は、回路40が電力を受け取るとサセプタが加熱されるように、変動磁場を生成することができる。サセプタ装置16が誘導装置によって加熱される加熱操作中、切り替え部44は、第1および第2の分岐部のそれぞれが交互に接続されて交流電流が共振回路14を流れるように(例えば、制御回路18で)駆動される。共振回路14は部分的にサセプタ装置16に基づく共振周波数を有し、制御回路18は、共振周波数または共振周波数に近い周波数で切り替わるように切り替え部44を制御するように構成される。スイッチ回路を共振またはその近くで駆動すると、効率が向上し、スイッチ素子で失われるエネルギー(これにより、スイッチ素子が不必要に加熱される)が減少する。アルミ箔を含む物品21が加熱される例では切り替え部44は約2.5MHzの周波数で駆動される。しかしながら、他の実装形体では周波数は、例えば、500kHz~4MHzの間のいずれかにある。
【0055】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場を貫通することによって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。加熱材料は、導電性および磁性のどちらでもよいので、加熱材料は、両方の加熱機構で加熱可能である。
【0056】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0057】
一実施態様ではサセプタは、閉回路の形体である。実施態様によっては、サセプタが閉回路の形体の場合、使用中のサセプタと電磁石の間の磁気結合が強化され、その結果、ジュール加熱がより大きく即ち改善されることが見出された。
【0058】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場、例えば、電磁石によって生じたものなどの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0059】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0060】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0061】
図6は、例示的な実施態様による、概ね参照番号60で示すシステムのブロック図である。このシステム60は、加熱回路62と、加熱素子63と、プロセッサ素子64とを含む。加熱回路は、プロセッサ素子64の制御下で加熱素子63の加熱(例えば、誘導加熱)を引き起こすために使用することができる。
【0062】
加熱回路62は、上述のシステム10のDC電圧供給装置11、切り替え部13と、共振回路14とを含んでもよい。加熱素子63は、システム10のサセプタ装置を含んでもよい。プロセッサ素子64は、制御回路18の機能の少なくとも一部を含んでもよく、以下にさらに考察する加熱操作モードと電力節約操作モードを含む。
【0063】
図7は、例示的な実施態様による、概ね参照番号70で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。例えば、アルゴリズム70は、システム60を使用して実行してもよい。
【0064】
アルゴリズム70は、操作モードが決定される操作71で始まる。もし加熱操作モードに決定された場合、アルゴリズム70は、操作72に移動する。電力節約操作モードに決定された場合、アルゴリズム70は、操作73に移動する。
【0065】
加熱操作モードではプロセッサ素子64は、電力源から加熱回路62へ電力を供給するように構成されている。加熱モード中に引き込まれる電力はかなりの量である。電力節約操作モードでは加熱回路62の少なくとも一部が以下にさらに説明するようにプロセッサ素子64が電力節約操作モードにあるとき電力源から電気的に切断される。
【0066】
図8は、例示的な実施態様による概ね参照番号80で示すシステムのブロック図である。システム80は、駆動回路82および電力モードコントローラ84を含む。駆動回路82は、切り替え部(上述のシステム10の切り替え部13のような)を制御するための制御信号を発生させる制御信号発生器86を含む。したがって、制御信号発生器の出力は、システム10のDC電力供給装置11から交流電流を発生させるために使用される。システム80は、上述のシステム10の制御回路18の一部として実行させてもよい。
【0067】
駆動回路82は、電力源(正負電力源VddおよびVssで示す)から制御信号発生器86を切断するように構成された第1トランジスタスイッチ87および第2トランジスタスイッチ88を含む電力モード切り替え部も含む。駆動回路82の電力モード切り替え部は、電力モードコントローラ84の制御下にある。
【0068】
したがって、加熱操作モードでは電力モードコントローラ84によって制御信号が切り替え部13に供されるように電力を制御信号発生器86に供することができる。電力節約操作モードでは電力モードコントローラ84は、電力源から制御信号発生器86(即ち駆動回路82の一部)を切断する。
【0069】
当然のことながら、一部の実行例ではプロセッサ素子64は、スリープモードと言われるそれ自体の電力節約モードを有してもよく、そのモードではプロセッサ素子の機能を低下させ、例えばプロセッサ素子64は、非スリープモードでの操作に比べてはるかに低い割合でチェックを行うまたは動作を行うだけ、また単純に特定の機能を行わない。しかしながら、スリープモードであってもプロセッサ素子64に接続されている部品は、電力源から電力を引き込み、したがって電力源に蓄えられた電力を減少させ、究極にはシステムの充電毎の寿命を短くする。したがって、本開示ではアクティブではない場合であっても電力源から電力を引き込む駆動回路などの特定の電子部品は、電力節約モードでは電力源から切断され、これらの部品が電力源から電力を引き込まないようにする。
【0070】
1つの実施態様では切り替え部44のハイサイドFET用のチャージポンプ回路は使用時に特に高い電流を引き込む。システムのクロック発振器も高電流を引き込む。したがって、本明細書に記載の電力モードコントローラ部は、例えばハイサイドN-チャンネルFETを有するあらゆる回路と使用してもよい。
【0071】
図9は、例示的な実施態様による概ね参照番号90で示すシステムのブロック図である。このシステムは、上述のシステム10のDC電力源11と、切り替え部13と、共振回路14と、サセプタ装置16とを含む。システム90は、上述のシステム80の駆動回路82および電力モードコントローラ84も含む。
【0072】
システム90は、電力供給源のDCレベルを作動DCレベルにブーストするDCブースター94(ブーストコンバータなどの)をさらに含む。本システムは、電力モードコントローラ84とこの電力モードコントローラ84の操作モードを制御するための上述のプロセッサ素子64と連通した1つ以上の他の回路96をさらに含む。
【0073】
上述のように 電力モードコントローラ84は制御信号を加熱操作モードにおいて駆動回路82によって切り替え部13に供されるようにすることができ、電力節約操作モードにおいて電力源から駆動回路82の少なくとも一部を切断する(これにより駆動回路82によって制御信号が切り替え部13に供されないようにする)。
【0074】
システム90では電力モードコントローラ84は、類似の制御信号を1つ以上の別のモジュール(駆動回路82に加えてまたは代わりに)に提供する。したがって、電力モードコントローラ84は、電力節約操作モードにおいてDCブースター94および/または1つ以上の他の回路96を電力源から切断するように構成してもよい。
【0075】
図10は、例示的な実施態様による、概ね参照番号100で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0076】
操作101ではアルゴリズム100は加熱操作モードにある。上述したように加熱操作モードでは駆動回路82は制御信号を切り替え部13を提供することができ、これにより例えばサセプタ装置16を誘導加熱する共振回路14に信号を提供する。
【0077】
操作102では電力節約モードに入るかが決定される。入るのであれば、駆動回路82が動作を停止し、アルゴリズムが操作103に移動する電力節約モードに入る。そうでなければ、アルゴリズムは、操作101に戻る。
【0078】
操作103では加熱モードを有効にするかが決定される。有効にするのであれば、アルゴリズムは、操作101に移動する。そうでなければ、アルゴリズムは、操作103に戻る。
【0079】
図11は、例示的な実施態様による、概ね参照番号110で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム110は、上述のアルゴリズム100の操作102の例示的実行例である。
【0080】
操作111ではシステムがユーザーによって停止されるかが決定される。停止されるのであれば、アルゴリズムは操作116に移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作112に移動する。例えば、システムは、システムの動作を停止させるためにユーザー入力機構、例えばボタン(上述のデバイス20の始動スイッチ22などの)、タッチスクリーンなどを介して信号を供給するユーザーによってシステムの動作を停止させてもよい。
【0081】
操作112ではシステムが第1の閾値期間(60秒など、しかしながら異なる期間であってもよい)加熱操作モードにあったかが決定される。加熱操作モードにあった場合、アルゴリズムは操作116に移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作113に移動する。例えばシステムは、空気流センサを使用してユーザーの吸入などのユーザー相互作用を監視してもよく、一定時間ユーザーの吸入がなければシステムは電力節約モードに入る。
【0082】
操作113ではサセプタ装置によって加熱される物品が取り除かれたかが決定される。取り除かれた場合、アルゴリズムは操作116に移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作114に移動する。
【0083】
操作114では装置のバッテリーがバッテリー閾値以下の充電レベルであるかが決定される。バッテリー閾値以下の充電レベルであれば、アルゴリズムは操作116に移動し、そうでなければ、アルゴリズムは、操作115に移動する。
【0084】
操作115では加熱モードが維持され、アルゴリズム110は終了する(例えばアルゴリズム100の操作102は否定の回答である)。次にアルゴリズム100の操作101は繰り返される。
【0085】
操作116では電力節約モードが設定され、アルゴリズム110は終了する(例えばアルゴリズム100の操作102は肯定の回答である)。次にアルゴリズム100は操作103に進む。
【0086】
他の操作をアルゴリズム110の操作の代わりに、または加えて、入れてもよく、さらにそれらの操作は異なる順番で設けてもよい。さらに当然のことながらアルゴリズム110の操作の1つ以上が実行される他のアルゴリズムを実行してもよい。
【0087】
図12は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム120は上述のアルゴリズム100の操作103の例示的実行例である。
【0088】
操作121でユーザーがシステムを始動させたかが決定される。始動させた場合、アルゴリズムは操作126に移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作122に移動する。
【0089】
操作122でシステムが第2の閾値期間(60秒など、しかしながら異なる期間であってもよい)、電力節約操作モードで作動していないかが決定される。作動していない場合、アルゴリズムは操作126に移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作123に移動する。
【0090】
操作123ではサセプタ装置によって加熱される物品が挿入されたかが決定される。挿入された場合、アルゴリズムは操作126へ移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作124へ移動する。
【0091】
操作124では移動センサ出力がエアロゾル発生デバイスの意図した使用を示しているかが(即ち、ユーザーがエアロゾル発生デバイスの使用を意図しているかが)決定される。示していれば、アルゴリズムは操作126へ移動し、そうでなければ、アルゴリズムは操作125へ移動する。
【0092】
操作125では電力節約モードが維持され、アルゴリズム120は終了する(例えば、アルゴリズム100の操作103は否定の回答である)。アルゴリズム100の操作103は次に繰り返される。
【0093】
操作126で加熱モードが設定され、アルゴリズム120は終了する(例えば、アルゴリズム100の操作103は肯定の回答である)。アルゴリズム100は、操作101に戻る。
【0094】
他の操作をアルゴリズム120の操作の代わりに、または加えて、入れてもよく、さらにそれらの操作は異なる順番で設けてもよい。さらに当然のことながらアルゴリズム120の操作の1つ以上が実行される他のアルゴリズムを実行してもよい。
【0095】
当然のことながら一部の実行例では電力節約モードおよび加熱操作モード以外の追加の操作モードを設けてもよい。例えば、スタンバイモードを実行してもよい。スタンバイモードは、電力を種々の部品(駆動回路82および/またはDCブースター94など)に供給されるようにすることができるが、この間、加熱は起こらない。言い換えれば、スタンバイモードは、種々の回路部品を電力源に接続することを可能にするが、種々の回路部品は、加熱を行うために制御されなくてもよい。この点に関し、スタンバイモードにあるとき、システムはユーザーが加熱を欲していることを知らせるユーザー入力(ボタンを押すことなどの)を監視し、それに応答してシステムはサセプタ素子の加熱を実行してもよい。操作112および122でのようにスタンバイモードを動作がスタンバイモードで検知されない場合、電力節約モードに移行させる動作停止閾値を実行してもよい。加えて操作112および122のように加熱モードで作動が検出されない場合、加熱モードをスタンバイモードまたは電力節約モードに移行する作動停止閾値が実行されてもよい。一部の実施態様ではしかしながら、加熱モードは、予め設定された時間、例えば4、5分間、実行してもよい。この時間の後、操作モードはスタンバイモードまたは電力節約モードに移行してもよい。
【0096】
図13は、例示的な実施態様による、概ね参照番号200で示すシステムのブロック図である。このシステム200は、上記のシステム10の共振回路14およびサセプタ16を含む。このシステム200は、インパルス生成回路202およびインパルス応答プロセッサ204をさらに含む。インパルス生成回路202およびインパルス応答プロセッサ204を、システム10の制御回路18の一部として実装してもよい。
【0097】
インパルス生成回路202は、正と負の電圧源を切り替えてインパルスを生成するので、第1の切り替え部(Hブリッジ回路など)を用いて実装される。例えば、
図5を参照して上記で説明した切り替え部44を使用してもよい。以下にさらに説明するように、インパルス生成回路202、切り替え部44のFETの切り替え状態を、スイッチ45bおよび45dが両方とも(切り替え部が接地されるように)入っておりかつスイッチ45aおよび45bは切られているある状態から第1および第2の回路分岐44aおよび44bのうちの1つのスイッチの切り替え状態が逆になるように変化させてインパルスを生成することができる。あるいは、インパルス生成回路202は、パルス幅変調(PWM)回路を用いて提供される。他のインパルス生成の配置も可能である。
【0098】
図14は、例示的な実施態様による、概ね参照番号210で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム210は、システム200の使用例を示す。
【0099】
アルゴリズム210は、(インパルス生成回路202で生成された)インパルスが共振回路14に印加される操作212で始まる。
図15は、概ね参照番号220で示すプロットであり、操作212で印加される例示的なインパルスを示す。
【0100】
インパルスを共振回路14に印加してもよい。あるいは、複数のインダクタ素子を有するシステム(
図2および3を参照して上で説明した非燃焼系エアロゾル装置20など)ではインパルス生成回路202は複数の共振回路のうちの1つを選択することができ、各共振回路はサセプタを誘導加熱するインダクタ素子とコンデンサを含み、ここで、印加されたインパルスは、コンデンサと選択された共振回路のインダクタ素子の間にインパルス応答を誘導する。
【0101】
操作214で、操作212で印加されたインパルスに応答して生成されるインパルス応答に基づいて(インパルス応答プロセッサ204によって)出力を生成する。
図16は、概ね参照番号225で示すプロットであり、インパルス220に応答してインパルス応答プロセッサ204で受信される例示的なインパルス応答を示す。
図16に示すように、インパルス応答は、リンギング共振の形をとるかもしれない。インパルス応答は、共振回路14のインダクタとコンデンサの間で跳ね返る電荷の結果である。1つの構成では結果として、サセプタの加熱は引き起こされない。即ち、サセプタの温度は実質的に一定である(例えば、インパルスを印加する前の温度の±1℃または±0.1℃以内)。
【0102】
インパルス応答の特性の少なくとも一部(インパルス応答の周波数や減衰率など)は、インパルスが印加されるシステムに関する情報を提供する。したがって、以下でさらに説明するように、システム200を使用して、インパルスが印加されるシステムの1種以上の特性を決定することができる。例えば、故障状態、挿入された物品21の特性、そのような物品21の有無、物品21が本物であるかどうか、操作温度などの1種以上の性能特性を、インパルス応答から導かれる出力信号に基づいて決定することができる。システム200は、システム10の決定された1種以上の特性を使用して、例えば、サセプタ装置16の加熱を行うために、システム10を使用してさらなる操作を実行する(または必要に応じてさらなる操作を防止する)ことができる。例えば、決定された操作温度に基づいて、システム200は、サセプタ装置のさらなる加熱を引き起こすために誘導装置に供給される電力水準、または電力を供給するべきかどうかを選択することができる。障害状態や物品21が本物であるかどうかの判断など、一部の性能特性ではシステムの測定された特性(インパルス応答を使用して測定)を、特性の期待値または値の範囲と比較し、その比較に基づいてシステムによって60によって取られる操作を実行できる。
【0103】
図17は、例示的な実施態様による、概ね参照番号230で示されるアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム230の操作232で、インパルスはインパルス生成回路202によって共振回路14に印加される。したがって、操作232は上記の操作212と同じである。
【0104】
アルゴリズム120の操作234において、加えられたインパルスに応答して誘導されるインパルス応答の周期は、インパルス応答プロセッサ204によって決定される。最後に、操作236において、(インパルス応答の決定された周期に基づく)出力が生成される。
【0105】
図18は、アルゴリズム230の使用例を示す、概ね参照番号240で示されるプロットである。プロット240は、インパルス生成回路202によって共振回路14に印加されるインパルス242を示す。インパルス242を印加すると、アルゴリズム230の操作232が実行される。インパルス応答244は印加されたインパルスに応答して誘導される。インパルス242は、測定の間、その最終状態(プロット240では高い)に保持されるが、これは必須ではない。例えば、高-低インパルスを印加する(かつ低く保持する)ことができる。
【0106】
インパルス応答プロセッサ204は、インパルス応答134の端部を示す信号246を生成する。以下でさらに説明するように、信号246は、比較器によって生成され、端部の発生と信号の生成の間に遅延があるかもしれない。一貫している場合、その遅延は処理にとって重要ではない場合がある。
【0107】
アルゴリズム230の操作234で、インパルス応答の周期が決定される。例示的な期間は、
図18の矢印248で示す。
【0108】
アルゴリズム230の操作236で、出力は、決定された周期248に基づいて生成される。したがって、出力信号は、インパルスの第1の端部および前記インパルス応答の完全な1サイクル後の第2の端部からの時間間隔に基づく。したがって、出力信号は、インパルス応答の電圧振動の時間間隔に依存し、その結果、出力信号は、インパルス応答の共振周波数を示す。
【0109】
一部の実施態様では期間248は温度に依存する。したがって、操作236で生成された出力は、測定された期間に基づいてサセプタ16の温度推定値を提供するのに使用される。即ち、(本例では信号246から決定される)インパルス応答244の周期248を用いて、例えば、事前に決定されたルックアップテーブルを参照してサセプタ16の温度を決定することができる。
【0110】
図19は、例示的な実施態様による、概ね参照番号250で示されるシステムのブロック図である。システム250は、上記のアルゴリズム230の操作236を実行するために使用される。
【0111】
システム250は、端部検出回路252、電流源253、およびサンプルアンドホールド回路254を含む。
【0112】
端部検出回路252は、上記のインパルス応答信号244などの信号の端部を決定するために使用することができる。したがって、端部検出回路252は、上記の信号246を生成することができる。端部検出回路252は、例えば、一台の比較器または何らかの同種の回路を用いて実装することができる。
【0113】
端部検出回路252は、電流源253にイネーブル(有効)信号を提供する。有効にされると、電流源253を用いて、出力(コンデンサ両端の電圧出力など)を生成することができる。電流源253は、リセット入力として機能する放電入力を持っている。電流源出力は、端部検出回路252の出力が電流源253を有効にしたので、持続時間を示すのに使用することができる。したがって、電流源出力は、持続時間(例えば、パルス持続時間)の表示として使用することができる。
【0114】
サンプルアンドホールド回路254を用いて、特定の時間における電流源253の出力に基づいて出力信号を生成することができる。サンプルアンドホールド回路254は、基準入力を持つことができる。サンプルアンドホールド回路254は、コンデンサ電圧をデジタル出力に変換するアナログ-デジタル変換器(ADC)として使用することができる。他のシステムでは電圧計などの他の適切な電子部品を使用して電圧を測定することができる。
【0115】
システム250は、充電時間測定部(CTMU)、例えば、統合CTMUを用いて実装される。
【0116】
本明細書で説明したシステムの多くの他の使用例がある。例として
図20は、例示的な実施態様による、概ね参照番号260で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム260は、インパルスが生成されて共振回路14に印加される操作261で始まる。操作262で、加えられたインパルスに応答して誘導されたインパルス応答の減衰率が決定される。減衰率は、例えば、インパルスが印加される回路に関する情報を決定するために使用できる。例えば、Q値測定の形での減衰率を用いて、操作温度を推定することができる。操作262は、
図14の操作214の一例である。つまり、減衰率は、インパルス応答に基づく出力の例である。
【0117】
図21は、例示的な実施態様による、概ね参照番号380で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部380は、概ね参照番号382で示す第1の状態および概ね参照番号383で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0118】
第1の状態382では回路40のスイッチ45aおよび45cは切れて(即ち、開いて)おり、スイッチ45bおよび45dは繋がって(即ち、閉じて)いる。第2の状態383ではスイッチ45aおよび45dは繋がって(即ち、閉じて)おり、スイッチ45bおよび45cは切れている。したがって、第1の状態382では共振回路49の両側が接地に接続されている。第2の状態383では電圧パルス(即ち、インパルス)が共振回路に印加される。
【0119】
図22は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号400で示されるフローチャートである。アルゴリズム400は、本明細書で説明されるシステムの使用例を示す。
【0120】
アルゴリズム400は、測定操作401から始まる。測定操作401は、例えば、温度測定を含む。次に、操作402で、加熱操作が実行される。加熱操作402の実施は、測定操作401の出力に依存するかもしれない。加熱操作402が完了すると、アルゴリズム400は、操作401に戻り、そこで測定操作が繰り返される。
【0121】
操作401は、インパルスがインパルス生成回路202によって印加され、測定(例えば、温度測定)がインパルス応答プロセッサ204の出力に基づいて決定されるシステム200で実施される。上記のように、温度測定は、例えば、減衰率、インパルス応答時間、インパルス応答期間などに基づいてもよい。
【0122】
操作402は、システム10のサセプタ16を加熱するために回路40を制御することで実行することができる。誘導加熱装置12は共振回路の共振周波数またはその近くで駆動して効率的な加熱を引き起こしてもよい。共振周波数は、演算401の出力に基づいて決定してもよい。
【0123】
アルゴリズム400の1つの実装形体では測定操作が第1の期間に実行され、加熱操作402が第2の期間に実行され、その後、プロセスが繰り返される。例えば、第1の期間は10ミリ秒で、第2の期間は250ミリ秒であるが、他の時間間隔も可能である。換言すれば、測定操作は、連続する加熱操作の間に実行される。ただし、第2の期間に行われる加熱操作402は、第2の期間の全期間にわたって電力が誘導コイルに供給されることを必ずしも意味しない。例えば、電力は第2の期間のほんの一部しか供給されない場合がある。
【0124】
これに代わる実施態様ではアルゴリズム400は、必要な加熱水準に依存する持続時間を有する加熱操作402で実施される(より多くの加熱が必要な場合は加熱持続時間が増加し、より少ない加熱が必要な場合は加熱持続時間が減少する)。そのようなアルゴリズムでは測定操作401は、加熱が行われていないときに単純に実行され、その結果、測定操作401を実行するために加熱操作402を中断する必要はない。この交互的加熱部は、加熱制御へのパルス幅変調手法と呼ばれる場合がある。例えば、パルス幅変調方式は、100Hzの位の周波数で提供され、各周期は、(可変長の)加熱部分と測定部分とに分割される。
【0125】
図23は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号410で示すフローチャートである。アルゴリズム410は、上記のシステム10を用いて実装することができる。
【0126】
アルゴリズム410は操作411で始まり、スイッチ回路13(例えば、回路40)がインパルスを共振回路14に印加する。操作413で、インパルス応答(例えば、インパルス応答プロセッサ64で検出される)を用いて、加熱されるシステム内に物品(物品21など)が存在するかどうかを決定する。上で考察したように、物品21の存在は、検出可能な方法でインパルス応答に影響を与える。
【0127】
操作413で物品が検出された場合、アルゴリズム410は操作415に移動する。それ以外の場合、アルゴリズムは操作419で終わる。
【0128】
操作415で、測定および加熱操作が実施される。例えば、操作415は、上記のアルゴリズム400を用いて実施することができる。もちろん、それに代わる測定および加熱の配置を提供することができる。
【0129】
何回かの加熱測定および加熱サイクルが実行されると、アルゴリズム400は操作417に移り、そこで(例えば、加熱期間が満了した場合、またはユーザー入力に応答して)加熱を停止すべきかどうかが決定される。その場合、アルゴリズムは操作419で終了し、そうでなければ、アルゴリズム400は操作411に戻る。
【0130】
当然のことだが、誘導性部またはサセプタ部の1種以上の特性を決定する上記の技術は、個々のインダクタ素子に応用できる。複数のインダクタ素子を含むシステム、たとえば3つのインダクタ素子23a、23b、および23cを含むシステム20の場合、インダクタ素子のそれぞれに対して上記の手法を用いて1種以上のパラメータ、たとえば温度を決定できるようにシステムを構成できる。一部の実装ではシステムが各インダクタ素子に対して個別の測定値を用いて操作することが有益な場合がある。他の実装ではシステムが複数のインダクタの単一の測定値のみを用いて操作することが有益である場合(例えば、物品21が存在するかどうかを判断する場合)がある。このような状況ではシステムは、各インダクタ素子から得られた測定値に対応する平均測定値を決定するように構成される。他の例では複数のインダクタ素子のうちの1つだけを用いて、1種以上の特性を決定することができる。
【0131】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。