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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】電力供給回路及び回転電機システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/22 20060101AFI20231124BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20231124BHJP
   H02P 25/18 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02P25/22
H02P27/06
H02P25/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022030056
(22)【出願日】2022-02-28
(65)【公開番号】P2023046215
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2021153634
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 芳永
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 将吾
(72)【発明者】
【氏名】大矢 聡義
(72)【発明者】
【氏名】轟 拓海
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/163025(WO,A1)
【文献】特開平11-098888(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155756(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/22
H02P 27/06
H02P 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻線部及び第2巻線部を有する第1相の巻線と第3巻線部及び第4巻線部を有する第2相の巻線とを備える回転電機に電力を供給する電力供給回路であって、
前記電力供給回路は、
電源に接続されるとともに、前記第1相の巻線に接続された第1回路と、
前記電源に対して前記第1回路と並列に接続されるとともに、前記第2相の巻線に接続された第2回路と、を備え、
前記第1回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第1~第4アームと、第1スイッチと、を備え、
前記第1巻線部の一端に、前記第1アームの前記中点が接続され、
前記第1巻線部の他端に、前記第2アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の一端に、前記第3アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の他端に、前記第4アームの前記中点が接続され、
前記第1スイッチは、前記第2アームの前記中点と前記第3アームの前記中点との間に接続されており、
前記第2回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第5~第8アームと、第2スイッチと、を備え、
前記第3巻線部の一端に、前記第5アームの前記中点が接続され、
前記第3巻線部の他端に、前記第6アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の一端に、前記第7アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の他端に、前記第8アームの前記中点が接続され、
前記第2スイッチは、前記第6アームの前記中点と前記第7アームの前記中点との間に接続され、
前記第2アームの前記中点と前記第1スイッチとの間、又は、前記第1スイッチと前記第3アームの前記中点との間には、前記第1相の巻線の第5巻線部が設けられ、
前記第6アームの前記中点と前記第2スイッチとの間、又は、前記第2スイッチと前記第7アームの前記中点との間には、前記第2相の巻線の第6巻線部が設けられている、電力供給回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給回路であって、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン状態にして、直列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、直列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部とに電力を供給する第1モードと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にして、並列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、並列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部とに電力を供給する第2モードと、を切替可能に構成される、電力供給回路。
【請求項3】
請求項2に記載の電力供給回路であって、
前記第1~第4アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオードが設けられ、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えたとき、
前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部を流れる電流が前記還流ダイオードを通じて流れる、電力供給回路。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電力供給回路であって、
前記第5~第8アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオードが設けられ、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えたとき、
前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部を流れる電流が前記還流ダイオードを通じて流れる、電力供給回路。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力供給回路であって、
前記第1巻線部の巻き数と前記第2巻線部の巻き数が等しく、
前記第5巻線部の巻き数は、前記第1巻線部の巻き数及び前記第2巻線部の前記巻き数以上であり、
前記第3巻線部の巻き数と前記第4巻線部の巻き数が等しく、
前記第6巻線部の巻き数は、前記第3巻線部の巻き数及び前記第4巻線部の前記巻き数以上である、電力供給回路。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電力供給回路であって、
前記第1~第4アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオードが設けられ、
前記第5~第8アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオードが設けられ、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン状態にして、直列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部、前記第2巻線部、及び第5巻線部と、直列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部、前記第4巻線部、及び第6巻線部とに電力を供給する第1モードと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にして、並列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、並列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部とに電力を供給する第2モードと、を切替可能に構成され、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えたとき、前記第5巻線部及び前記第6巻線部を流れる電流が前記還流ダイオードを通じて流れる、電力供給回路。
【請求項7】
請求項に記載の電力供給回路であって、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えるとき、
前記第1~第4アームの前記スイッチング素子、及び前記第5~第8アームの前記スイッチング素子がオフ状態に制御される期間を設ける、電力供給回路。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給回路であって、
前記回転電機はステータ及びロータを含み、
前記ステータは、周方向に並べて配置された複数のスロットを備え、
前記複数のスロットは、前記周方向に離間して配置される第1スロット及び第2スロットを含み、
前記第1スロットには、前記第1巻線部及び前記第2巻線部が配置され、
前記第2スロットには、前記第3巻線部及び前記第4巻線部が配置される、電力供給回路。
【請求項9】
請求項に記載の電力供給回路であって、
前記複数のスロットは、前記第1スロットと前記第2スロットとの間に配置される第3スロットを含み、
前記第3スロットには、前記第1巻線部、前記第2巻線部、前記第3巻線部、及び前記第4巻線部が配置される、電力供給回路。
【請求項10】
請求項に記載の電力供給回路であって、
前記複数のスロットは、前記第1スロットと前記第2スロットとの間に配置される第4スロットを含み、
前記第4スロットには、前記第1巻線部、前記第2巻線部、前記第3巻線部、及び前記第4巻線部のいずれか1つのみが配置される、電力供給回路。
【請求項11】
請求項10に記載の電力供給回路であって、
前記第1巻線部と前記第2巻線部とは電気角が45°ずれて配置され、
前記第3巻線部と前記第4巻線部とは電気角が45°ずれて配置される、電力供給回路。
【請求項12】
請求項から11のいずれか一項に記載の電力供給回路であって、
前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、前記第3巻線部及び前記第4巻線部とは、電気角が90°ずれて配置される、電力供給回路。
【請求項13】
請求項1に記載の電力供給回路であって、
前記電力供給回路は、前記第1相の巻線と前記第2相の巻線と、第7巻線部及び第8巻線部を有する第3相の巻線と、を備える回転電機に電力を供給し、
前記電力供給回路は、
前記第1回路と、
前記第2回路と、
前記電源に対して前記第1回路及び前記第2回路と並列に接続されるとともに、前記第3相の巻線に接続された第3回路と、を備え、
前記第3回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第9~第12アームと、第3スイッチと、を備え、
前記第7巻線部の一端に、前記第9アームの前記中点が接続され、
前記第7巻線部の他端に、前記第10アームの前記中点が接続され、
前記第8巻線部の一端に、前記第11アームの前記中点が接続され、
前記第8巻線部の他端に、前記第12アームの前記中点が接続され、
前記第3スイッチは、前記第10アームの前記中点と前記第11アームの前記中点との間に接続されている、電力供給回路。
【請求項14】
第1相の巻線と第2相の巻線とを備える回転電機と、
前記回転電機に電力を供給する電力供給回路と、を備える回転電機システムであって、
前記第1相の巻線は、第1巻線部及び第2巻線部を有し、
前記第2相の巻線は、第3巻線部及び第4巻線部を有し、
前記電力供給回路は、
電源に接続されるとともに、前記第1相の巻線に接続された第1回路と、
前記電源に対して前記第1回路と並列に接続されるとともに、前記第2相の巻線に接続された第2回路と、を備え、
前記第1回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第1~第4アームと、第1スイッチと、を備え、
前記第1巻線部の一端に、前記第1アームの前記中点が接続され、
前記第1巻線部の他端に、前記第2アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の一端に、前記第3アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の他端に、前記第4アームの前記中点が接続され、
前記第1スイッチは、前記第2アームの前記中点と前記第3アームの前記中点との間に接続されており、
前記第2回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第5~第8アームと、第2スイッチと、を備え、
前記第3巻線部の一端に、前記第5アームの前記中点が接続され、
前記第3巻線部の他端に、前記第6アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の一端に、前記第7アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の他端に、前記第8アームの前記中点が接続され、
前記第2スイッチは、前記第6アームの前記中点と前記第7アームの前記中点との間に接続され、
前記第2アームの前記中点と前記第1スイッチとの間、又は、前記第1スイッチと前記第3アームの前記中点との間には、前記第1相の巻線の第5巻線部が設けられ、
前記第6アームの前記中点と前記第2スイッチとの間、又は、前記第2スイッチと前記第7アームの前記中点との間には、前記第2相の巻線の第6巻線部が設けられている、回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給回路及び回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の気候変動に対する具体的な対策として、低炭素社会又は脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化している。車両においても、CO2排出量の削減が強く要求され、駆動源の電動化が急速に進んでいる。
【0003】
車両の駆動源として使用される回転電機では、低速域から高速域の広範囲に亘って高効率で駆動可能であることが求められている。そのため、駆動源として、特性の異なる2つ以上の回転電機を搭載することも考えられるが、製造コストが嵩む要因となる。
【0004】
一方で、特許文献1には、主巻線と補助巻線とが直列に接続された状態と、並列に接続された状態とを切替可能に構成された誘導電動機の駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-244576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの回転電機で、2以上の特性を持たせたり、特性の違いが大きくなるような発展性を持たせたりすることにより、より高効率で回転電機を駆動できる電力供給装置が期待される。
【0007】
本発明は、回転電機に異なる特性を持たせることができる電力供給回路及び回転電機システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
第1巻線部及び第2巻線部を有する第1相の巻線と第3巻線部及び第4巻線部を有する第2相の巻線とを備える回転電機に電力を供給する電力供給回路であって、
前記電力供給回路は、
電源に接続されるとともに、前記第1相の巻線に接続された第1回路と、
前記電源に対して前記第1回路と並列に接続されるとともに、前記第2相の巻線に接続された第2回路と、を備え、
前記第1回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第1~第4アームと、第1スイッチと、を備え、
前記第1巻線部の一端に、前記第1アームの前記中点が接続され、
前記第1巻線部の他端に、前記第2アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の一端に、前記第3アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の他端に、前記第4アームの前記中点が接続され、
前記第1スイッチは、前記第2アームの前記中点と前記第3アームの前記中点との間に接続されており、
前記第2回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第5~第8アームと、第2スイッチと、を備え、
前記第3巻線部の一端に、前記第5アームの前記中点が接続され、
前記第3巻線部の他端に、前記第6アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の一端に、前記第7アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の他端に、前記第8アームの前記中点が接続され、
前記第2スイッチは、前記第6アームの前記中点と前記第7アームの前記中点との間に接続され
前記第2アームの前記中点と前記第1スイッチとの間、又は、前記第1スイッチと前記第3アームの前記中点との間には、前記第1相の巻線の第5巻線部が設けられ、
前記第6アームの前記中点と前記第2スイッチとの間、又は、前記第2スイッチと前記第7アームの前記中点との間には、前記第2相の巻線の第6巻線部が設けられている
【0009】
また、本発明は、
第1相の巻線と第2相の巻線とを備える回転電機と、
前記回転電機に電力を供給する電力供給回路と、を備える回転電機システムであって、
前記第1相の巻線は、第1巻線部及び第2巻線部を有し、
前記第2相の巻線は、第3巻線部及び第4巻線部を有し、
前記電力供給回路は、
電源に接続されるとともに、前記第1相の巻線に接続された第1回路と、
前記電源に対して前記第1回路と並列に接続されるとともに、前記第2相の巻線に接続された第2回路と、を備え、
前記第1回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第1~第4アームと、第1スイッチと、を備え、
前記第1巻線部の一端に、前記第1アームの前記中点が接続され、
前記第1巻線部の他端に、前記第2アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の一端に、前記第3アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の他端に、前記第4アームの前記中点が接続され、
前記第1スイッチは、前記第2アームの前記中点と前記第3アームの前記中点との間に接続されており、
前記第2回路は、スイッチング素子が設けられた上アームとスイッチング素子が設けられた下アームとが中点で接続された第5~第8アームと、第2スイッチと、を備え、
前記第3巻線部の一端に、前記第5アームの前記中点が接続され、
前記第3巻線部の他端に、前記第6アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の一端に、前記第7アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の他端に、前記第8アームの前記中点が接続され、
前記第2スイッチは、前記第6アームの前記中点と前記第7アームの前記中点との間に接続され
前記第2アームの前記中点と前記第1スイッチとの間、又は、前記第1スイッチと前記第3アームの前記中点との間には、前記第1相の巻線の第5巻線部が設けられ、
前記第6アームの前記中点と前記第2スイッチとの間、又は、前記第2スイッチと前記第7アームの前記中点との間には、前記第2相の巻線の第6巻線部が設けられている
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転電機に異なる特性を持たせることができる電力供給回路及び回転電機システムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の回転電機システムの構成を示す回路図である。
図2図1の回転電機システムの2つのモードを示す動作説明図である。
図3図1の回転電機システムの双方向スイッチをオフ状態に切り替えた際の電流の流れを示す回路図である。
図4】回転電機の模式図である。
図5】第1~第3実施形態の回転電機システムの構成及び性能を比較した説明図である。
図6】第4実施形態の回転電機システムの構成を示す回路図である。
図7図6の回転電機システムの4つのモードを示す動作説明図である。
図8図6の回転電機システムのトルク性能及び出力性能を示すグラフである。
図9図6の回転電機システムの変形例を示す回路図である。
図10】第5実施形態の回転電機システムの構成を示す回路図である。
図11】回転電機Mの巻線配置の一例を示す図である。
図12】回転電機Mの巻線配置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の第1実施形態について、図1図5を参照して説明する。
【0013】
(回転電機システム)
図1に示すように、回転電機システム1は、回転電機M(図4参照)と、回転電機に電力を供給する電力供給回路2と、を備える。
【0014】
(回転電機)
回転電機Mは、図4に示すように、ロータ10と、ステータ11と、ステータ11に巻き回された第1相の巻線α及び第2相の巻線βと、を備える2相回転電機であり、例えば、2相ブラシレスモータで構成される。第1相の巻線αと第2相の巻線βは、例えば、ステータ11に電気角で90°ずれて配置される。巻線配置については後述する。第1相の巻線αは、第1巻線部α1及び第2巻線部α2を有し、第2相の巻線βは、第3巻線部β1及び第4巻線部β2を有する。第1巻線部α1の巻き数(図中、ターン数と記載する場合がある)と第2巻線部α2の巻き数は等しく、第3巻線部β1の巻き数と第4巻線部β2の巻き数も等しい。また、第1巻線部α1の巻き数と第3巻線部β1の巻き数は等しく、第2巻線部α2の巻き数と第4巻線部β2の巻き数も等しい。
【0015】
(電力供給回路)
電力供給回路2は、電源Bに接続されるとともに、第1相の巻線αに接続された第1回路3と、電源Bに対して第1回路3と並列に接続されるとともに、第2相の巻線βに接続された第2回路4と、を備える。
【0016】
第1回路3は、第1~第4アームA1~A4と、第1双方向スイッチsw1aと、を備える。第1~第4アームA1~A4は、電源Bに対して並列に接続されている。
【0017】
第1アームA1は、スイッチング素子H1及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH1と、スイッチング素子L1及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH1と中点P1を介して直列に接続される下アームAL1と、を備える。第2アームA2は、スイッチング素子H2及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH2と、スイッチング素子L2及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH2と中点P2を介して直列に接続される下アームAL2と、を備える。第3アームA3は、スイッチング素子H3及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH3と、スイッチング素子L3及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH3と中点P3を介して直列に接続される下アームAL3と、を備える。第4アームA4は、スイッチング素子H4及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH4と、スイッチング素子L4及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH4と中点P4を介して直列に接続される下アームAL4と、を備える。
【0018】
そして、第1巻線部α1の一端は、第1アームA1の中点P1に接続され、第1巻線部α1の他端は、第2アームA2の中点P2に接続され、第2巻線部α2の一端は、第3アームA3の中点P3に接続され、第2巻線部α2の他端は、第4アームA4の中点P4に接続されている。
【0019】
第1双方向スイッチsw1aは、例えば、スイッチング素子及びダイオードを並列に備える2組の回路を互いに逆向きに直列接続(ダイオードの順方向同士を接続)して構成されており、2組のスイッチング素子の切替制御に基づいて双方向の電流の流れをオン状態とオフ状態とに切り替えることができる。第1双方向スイッチsw1aは、第2アームA2の中点P2と第3アームA3の中点P3との間に接続されている。
【0020】
第2回路4は、第5~第8アームA5~A8と、第2双方向スイッチsw1bと、を備える。第2回路4の第5~第8アームA5~A8は、電源Bに対して並列に接続されている。
【0021】
第5アームA5は、スイッチング素子H5及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH5と、スイッチング素子L5及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH5と中点P5を介して直列に接続される下アームAL5と、を備える。第6アームA6は、スイッチング素子H6及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH6と、スイッチング素子L6及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH6と中点P6を介して直列に接続される下アームAL6と、を備える。第7アームA7は、スイッチング素子H7及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH7と、スイッチング素子L7及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH7と中点P7を介して直列に接続される下アームAL7と、を備える。第8アームA8は、スイッチング素子H8及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH8と、スイッチング素子L8及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH8と中点P8を介して直列に接続される下アームAL8と、を備える。
【0022】
そして、第3巻線部β1の一端は、第5アームA5の中点P5に接続され、第3巻線部β1の他端は、第6アームA6の中点P6に接続され、第4巻線部β2の一端は、第7アームA7の中点P7に接続され、第4巻線部β2の他端は、第8アームA8の中点P8に接続されている。
【0023】
第2双方向スイッチsw1bは、第1双方向スイッチsw1aと同様の構成であり、第6アームA6の中点P6と、第7アームA7の中点P7との間に接続されている。
【0024】
次に、回転電機Mの巻線配置の例について説明する。
図11は、回転電機Mの巻線配置の一例を示す図であり、図12は、回転電機Mの巻線配置の他の例を示す図である。回転電機Mは、例えば、8極48スロットの2相回転電機である。
【0025】
ロータ10には、周方向に等間隔に8つの磁極部20が設けられる。各磁極部20は、ロータコア21の径方向外側に設けられた永久磁石22により構成される。ステータ11には、ステータコア30の径方向内側に周方向に等間隔に48個のスロットが設けられる。即ち、隣り合うスロットの間隔は電気角で30°である。図11及び図12では、1つの磁極部20と、1つの磁極部20に対応する6つのスロットのみを示している。以下の説明では、図11及び図12中、この6つのスロットを、周方向において右側から左側に向かって、1番スロットS1、2番スロットS2、3番スロットS3、4番スロットS4、5番スロットS5、6番スロットS6と称する。
【0026】
図11の例では、各スロットに6本の巻線(コイル)が配置される。そして、1番スロットS1及び2番スロットS2には、それぞれ第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2が径方向に交互に配置され、4番スロットS4及び5番スロットS5には、それぞれ第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2が径方向に交互に配置される。また、3番スロットS3及び6番スロットS6には、第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2が径方向に交互に配置されるとともに、第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2が径方向に交互に配置される。
【0027】
このようにステータ11には、第1相の巻線α(第1巻線部α1及び第2巻線部α2)と第2相の巻線β(第3巻線部β1及び第4巻線部β2)とが電気角で90°ずれて配置される。
【0028】
ここで、第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2が配置されるスロットを第1スロットSL1とすると、1番スロットS1及び2番スロットS2が第1スロットSL1を構成する。第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2が配置されるスロットを第2スロットSL2とすると、4番スロットS4及び5番スロットS5が第2スロットSL2を構成する。第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2と第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2の全部が配置されるスロットを第3スロットSL3とすると、3番スロットS3及び6番スロットS6が第3スロットSL3を構成する。
【0029】
図11の例では、第1スロットSL1と第2スロットSL2との間に第3スロットSL3が配置される。
【0030】
図12の例では、各スロットに12本の巻線(コイル)が配置される。そして、1番スロットS1には第1相の巻線αの第1巻線部α1のみが配置され、3番スロットS3には第1相の巻線αの第2巻線部α2のみが配置され、1番スロットS1と3番スロットS3との間に配置される2番スロットS2には第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2が径方向に2分割して配置される。即ち、第1巻線部α1と第2巻線部α2とが電気角で45°ずれて配置される。また、4番スロットS4には第2相の巻線βの第3巻線部β1のみが配置され、6番スロットS6には第2相の巻線βの第4巻線部β2のみが配置され、4番スロットS4と6番スロットS6との間に配置される5番スロットS5には第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2が径方向に2分割して配置される。即ち、第3巻線部β1及び第4巻線部β2とが電気角で45°ずれて配置される。
【0031】
このようにステータ11には、第1相の巻線α(第1巻線部α1及び第2巻線部α2)と第2相の巻線β(第3巻線部β1及び第4巻線部β2)とが電気角で90°ずれて配置される。
【0032】
図11の例と同様に、第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2が配置されるスロットを第1スロットSL1とすると、2番スロットS2が第1スロットSL1を構成する。第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2が配置されるスロットを第2スロットSL2とすると、5番スロットS5が第2スロットSL2を構成する。また、図11の例にはない1つの巻線部のみが配置されるスロットを第4スロットSL4とすると、第1スロットS1、第3スロットS3、第4スロットS4、及び第6スロットS6が第4スロットSL4を構成する。
【0033】
図12の例では、第1スロットSL1と第2スロットSL2との間に2つの第4スロットSL4が配置される。図12に示す例では、各巻線部が45°ずれて配置されるので、2相モータでありながら、巻線係数が向上することで最大トルクの向上及びトルクリプルの低減効果が得られる。
【0034】
以上のように構成された回転電機システム1によれば、特性が異なる2つのモードで回転電機Mを動作させることが可能になる。以下、切替可能な2つのモードについて、図2を参照して説明する。
【0035】
(第1モード)
図2の左側に示すように、第1モードは、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bをオン状態とし、第1アームA1、第4アームA4、第5アームA5及び第8アームA8のスイッチング制御に基づいて、直列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2と、直列に接続された第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2とに電力を供給する(図2中、ターン数:2と記載)。このような第1モードでは、図5の左側に示すように、低回転域のトルク性能を向上させることができる。
【0036】
なお、図5の左側に示す例は、第1実施形態において、各相の巻線の巻き数(ターン数)を18(図中18T)とした場合に、第1巻線部α1の巻き数及び第2巻線部α2の巻き数をそれぞれ9(図中9T)とし、且つ、第3巻線部β1の巻き数及び第4巻線部β2の巻き数をそれぞれ9(図中9T)としたものである。
【0037】
(第2モード)
図2の右側に示すように、第2モードは、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bをオフ状態とし、第1~第8アームA1~A8のスイッチング制御に基づいて、並列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2と、並列に接続された第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2とに電力を供給する(図2中、ターン数:1と記載)。このような第2モードでは、図5の左側に示すように、高回転域の出力性能を向上させることができる。これにより、低回転域では第1モードを選択し、高回転域では第2モードを選択することで、トルク性能と出力性能を両立できる。
【0038】
(第1モードから第2モードへの切り替え)
図3に示すように、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bのオン状態から第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bのオフ状態への切り替えに基づいて、第1モードから第2モードに移行する際には、各巻線部α1、α2、β1、β2に蓄えられた電荷(エネルギー)が放出される。具体的には、本実施形態の電力供給回路2では、図3の右側に示すように、各巻線部α1、α2、β1、β2を流れる電流が各アームA1~A8の還流ダイオードDを通じて流れる。このように各巻線部α1、α2、β1、β2の電流を逃がす経路が確保されるので、各巻線部α1、α2、β1、β2から放出される電流によってスイッチング素子H1~H8、L1~L8などが破損することを防止できる。
【0039】
(他の実施形態)
つぎに、第2~第5実施形態の回転電機システム1B~1Eについて、図5図10を参照して説明する。ただし、前記第1実施形態と共通の構成については、前記第1実施形態と同じ符号を用いることで、前記第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0040】
(第2及び第3実施形態)
図5の左右中央及び右側に示すように、第2及び第3実施形態の回転電機システム1B、1Cは、第1双方向スイッチsw1aと第3アームA3の中点P3との間(又は、第2アームA2の中点P2と第1双方向スイッチsw1aとの間)に、第1相の巻線αの第5巻線部α3が設けられ、第2双方向スイッチsw1bと第7アームA7の中点P7との間(又は、第6アームA6の中点P6と第2双方向スイッチsw1bとの間)に、第2相の巻線βの第6巻線部β3が設けられている点が第1実施形態と相違している。なお、第5巻線部α3の巻き数と第6巻線部β3の巻き数は等しい。このような第2及び第3実施形態によれば、図5の下段に示すように、直列に接続された3つの巻線部α1~α3、β1~β3に電力を供給する場合(第1モード)と、並列に接続された2つの巻線部α1、α2、β1、β2に電力を供給する場合(第2モード)とで、回転電機Mの特性を大きく変えることができるので、出力効率をより一層向上できる。
【0041】
第2実施形態は、第5巻線部α3の巻き数を、第1巻線部α1の巻き数及び第2巻線部α2の巻き数未満とし、且つ第6巻線部β3の巻き数を、第3巻線部β1の巻き数及び第4巻線部β2の巻き数未満としたものである。図5の左右中央に示す例は、各相の巻線の巻き数(ターン数)を18(図中18T)とした場合に、第5巻線部α3の巻き数を2(図中2T)、第1巻線部α1の巻き数及び第2巻線部α2の巻き数をそれぞれ8(図中8T)とし、且つ、第6巻線部β3の巻き数を2(図中2T)、第3巻線部β1の巻き数及び第4巻線部β2の巻き数をそれぞれ8(図中8T)としたものである。
【0042】
第3実施形態は、第5巻線部α3の巻き数を、第1巻線部α1の巻き数及び第2巻線部α2の巻き数と同じとし、且つ第6巻線部β3の巻き数を、第3巻線部β1の巻き数及び第4巻線部β2の巻き数を同じとしたものである。図5の右側に示す例は、各相の巻線の巻き数(ターン数)を18(図中18T)とした場合に、第5巻線部α3の巻き数、第1巻線部α1の巻き数、及び第2巻線部α2の巻き数をそれぞれ6(図中6T)とし、且つ、第6巻線部β3の巻き数、第3巻線部β1の巻き数、及び第4巻線部β2の巻き数をそれぞれ6(図中6T)としたものである。
【0043】
第2及び第3実施形態では、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bをオン状態にして、直列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1、第2巻線部α2、及び第5巻線部α3と、直列に接続された第2相の巻線βの第3巻線部β1、第4巻線部β2、及び第6巻線部β3とに電力を供給する第1モードと、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bをオフ状態にして、並列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2と、並列に接続された第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2とに電力を供給する第2モードと、を切替可能である。
【0044】
第2及び第3実施形態では、第1回路3及び第2回路4に、第1モードから第2モードに切り替えるとき第5巻線部α3及び第6巻線部β3の電荷(エネルギー)を解放する電荷解放部を設けることが好ましい。電荷解放部は、例えば、第5巻線部α3及び第6巻線部β3の両端側に接続され、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bのオン状態からオフ状態への切り替えに連動して、第5巻線部α3及び第6巻線部β3の電荷(エネルギー)を解放する電荷解放回路である。このような電荷解放部によれば、第1モードから第2モードに切り替えるときに、第5巻線部α3及び第6巻線部β3の電荷(エネルギー)を解放することで、サージ電流の発生を抑制できる。
【0045】
また、電荷解放部を設ける代わりに、第1モードから第2モードに切り替えるとき、第1~第4アームA1~A4のスイッチング素子H1~H4、L1~L4、及び第5~第8アームA5~A8のスイッチング素子H5~H8、L5~L8がオフ状態に制御される期間を設けるようにしてもよい。このようにすると、第1モードから第2モードに切り替えるとき、各スイッチング素子H1~H8、L1~L8のオフ期間中に、第5巻線部α3及び第6巻線部β3からの電流が各アームA1~A8の還流ダイオードDを通って流れるので、電荷解放回路を別途設けることなく、第5巻線部α3及び第6巻線部β3の電荷(エネルギー)を解放することが可能になる。
【0046】
(第4実施形態)
図6に示すように、第4実施形態の回転電機システム1Dは、第1相の巻線αの第1巻線部α1と第2アームA2の中点P2との間(又は、第1相の巻線αの第1巻線部α1と第1アームA1の中点P1との間)に設けられる第3双方向スイッチsw2aと、第2相の巻線βの第3巻線部β1と第6アームA6の中点P6との間(又は、第2相の巻線βの第3巻線部β1と第5アームA5の中点P5との間)に設けられる第4双方向スイッチsw2bと、第1相の巻線αの第2巻線部α2と第4アームA4の中点P4との間(又は、第1相の巻線αの第2巻線部α2と第3アームA3の中点P3との間)に設けられる第5双方向スイッチsw3aと、第2相の巻線βの第4巻線部β2と第8アームA8の中点P8との間(又は、第2相の巻線βの第4巻線部β2と第7アームA7の中点P7との間)に設けられる第6双方向スイッチsw3bと、をさらに備える点が第2及び第3実施形態と相違している。
【0047】
このような第4実施形態によれば、図7に示すような4つのモード(第11モード~第14モード)を実現することが可能になる。図7に示す例は、各相の巻線の巻き数(ターン数)を18(図中18T)とした場合に、第5巻線部α3の巻き数を10(図中10T)、第1巻線部α1の巻き数及び第2巻線部α2の巻き数をそれぞれ4(図中4T)とし、且つ、第6巻線部β3の巻き数を10(図中10T)、第3巻線部β1の巻き数及び第4巻線部β2の巻き数をそれぞれ4(図中4T)としたものである。
【0048】
(第11モード)
図7の左端に示すように、第11モードは、第1双方向スイッチsw1a、第2双方向スイッチsw1b、第3双方向スイッチsw2a、第4双方向スイッチsw2b、第5双方向スイッチsw3a及び第6双方向スイッチsw3bをオン状態とし、第1アームA1、第7アームA7、第4アームA4及び第8アームA8のスイッチング制御に基づいて、直列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1、第5巻線部α3及び第2巻線部α2と、第2相の巻線βの第3巻線部β1、第6巻線部β3及び第4巻線部β2とに電力を供給する。即ち、電力が供給される各相の巻線の巻き数(ターン数)が18(図中、18T)の場合である。
【0049】
(第12モード)
図7の左端から2番目に示すように、第12モードは、第1双方向スイッチsw1a、第2双方向スイッチsw1b、第3双方向スイッチsw2a、及び第4双方向スイッチsw2bをオン状態、且つ第5双方向スイッチsw3a、及び第6双方向スイッチsw3bをオフ状態とし、第1アームA1、第3アームA3、第5アームA5、及び第7アームA7のスイッチング制御に基づいて、直列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第5巻線部α3と、直列に接続された第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第6巻線部β3とに電力を供給する。即ち、電力が供給される各相の巻線の巻き数(ターン数)が14(図中、14T)の場合である。
【0050】
(第13モード)
図7の左端から3番目に示すように、第13モードは、第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bをオン状態、且つ第3双方向スイッチsw2a、第4双方向スイッチsw2b、第5双方向スイッチsw3a、及び第6双方向スイッチsw3bをオフ状態とし、第2アームA2、第3アームA3、第6アームA6、及び第7アームA7のスイッチング制御に基づいて、第1相の巻線αの第5巻線部α3と第2相の巻線βの第6巻線部β3とに電力を供給する。即ち、電力が供給される各相の巻線の巻き数(ターン数)が10(図中、10T)の場合である。
【0051】
(第14モード)
図7の右側に示すように、第14モードは、第3双方向スイッチsw2a、第4双方向スイッチsw2b、第5双方向スイッチsw3a、及び第6双方向スイッチsw3bをオン状態、且つ第1双方向スイッチsw1a及び第2双方向スイッチsw1bをオフ状態とし、第1~第8アームA1~A8のスイッチング制御に基づいて、並列に接続された第1相の巻線αの第1巻線部α1及び第2巻線部α2と、並列に接続された第2相の巻線βの第3巻線部β1及び第4巻線部β2とに電力を供給する。この場合、各相の巻線には、電力が供給される巻き数(ターン数)4の回路が2つ並列に存在する(図中、4T 2para)。
【0052】
以上のような第4実施形態によれば、図8に示すように、第1~第3実施形態に比べて回転電機Mにより多くの特性を持たせることができるので、さらに出力効率を向上できる。
【0053】
(第4実施形態の変形例)
図9は、第4実施形態の変形例を示しており、第3双方向スイッチsw2aを第1アームA1の上アームAH1のスイッチング素子H1と下アームAL1のスイッチング素子L1との間に設け、第4双方向スイッチsw2bを第5アームA5の上アームAH5のスイッチング素子H5と下アームAL5のスイッチング素子L5との間に設けている。また、第5双方向スイッチsw3aを第4アームA4の上アームAH4のスイッチング素子H4と下アームAL4のスイッチング素子L4との間に設け、第6双方向スイッチsw3bを第8アームA8の上アームAH8のスイッチング素子H8と下アームAL8のスイッチング素子L8との間に設けている。このような変形例の構成であっても、前述した第4実施形態と同様に4つのモードを実現できる。
【0054】
(第5実施形態)
図10に示す第5実施形態の回転電機システム1Eは、3相回転電機に適用される点が前記第1~第4実施形態と相違している。
【0055】
図10に示すように、第5実施形態の電力供給回路2は、第1巻線部α1及び第2巻線部α2を有する第1相(U相)の巻線αと、第3巻線部β1及び第4巻線部β2を有する第2相(V相)の巻線βと、第7巻線部γ1及び第8巻線部γ2を有する第3相(W相)の巻線γと、を備える回転電機M)に電力を供給する。
【0056】
電力供給回路2は、前述した第1回路3及び第2回路4に加えて第3回路5を備える。第3回路5は、電源Bに対して第1回路3及び第2回路4と並列に接続されるとともに、第3相の巻線γに接続される。
【0057】
第3回路5は、第9~第12アームA9~A12と、第7双方向スイッチsw1cと、を備える。第3回路5の第9~第12アームA9~A12は、電源Bに対して並列に接続されている。
【0058】
第9アームA9は、スイッチング素子H9及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH9と、スイッチング素子L9及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH9と中点P9を介して直列に接続される下アームAL9と、を備える。第10アームA10は、スイッチング素子H10及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH10と、スイッチング素子L10及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH10と中点P10を介して直列に接続される下アームAL10と、を備える。第11アームA11は、スイッチング素子H11及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH11と、スイッチング素子L11及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH11と中点P11を介して直列に接続される下アームAL11と、を備える。第12アームA12は、スイッチング素子H12及び還流ダイオードDが並列に設けられた上アームAH12と、スイッチング素子L12及び還流ダイオードDが並列に設けられ、上アームAH12と中点P12を介して直列に接続される下アームAL12と、を備える。
【0059】
そして、第7巻線部γ1の一端は、第9アームA9の中点P9に接続され、第7巻線部γ1の他端は、第10アームA10の中点P10に接続され、第8巻線部γ2の一端は、第11アームA11の中点P11に接続され、第8巻線部γ2の他端は、第12アームA12の中点P12に接続されている。
【0060】
第7双方向スイッチsw1cは、第1双方向スイッチsw1aなどと同様の構成であり、第10アームA10の中点P10と、第11アームA11の中点P11との間に接続されている。
【0061】
このような第5実施形態によれば、3相回転電機においても、各相の巻線α、β、γに電力を供給するときに、直列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、を切り替えることで、回転電機Mに異なる特性を持たせることができる。これにより、効率の良い運転点を選択することができるので、出力効率を向上できる。
【0062】
また、第5実施形態においても、第2及び第3実施形態と同様に、双方向スイッチsw1a、sw1b、sw1cと直列に巻線部が設けられてもよい。さらに、第5実施形態においても、第4実施形態と同様に、各巻線部と中点との間に双方向スイッチが設けられてもよい。
【0063】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0064】
例えば、双方向スイッチは、双方向の電流の流れを遮断可能であればよく、コンタクタ機械スイッチでもよく、逆阻止型IGBT等でもよい。
【0065】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0066】
(1) 第1巻線部(第1巻線部α1)及び第2巻線部(第2巻線部α2)を有する第1相の巻線(第1相の巻線α)と第3巻線部(第3巻線部β1)及び第4巻線部(第4巻線部β2)を有する第2相の巻線(第2相の巻線β)とを備える回転電機(回転電機M)に電力を供給する電力供給回路(電力供給回路2)であって、
前記電力供給回路は、
電源(電源B)に接続されるとともに、前記第1相の巻線に接続された第1回路(第1回路3)と、
前記電源に対して前記第1回路と並列に接続されるとともに、前記第2相の巻線に接続された第2回路(第2回路4)と、を備え、
前記第1回路は、スイッチング素子(スイッチング素子H1~H4)が設けられた上アーム(上アームAH1~AH4)とスイッチング素子(スイッチング素子L1~L4)が設けられた下アーム(AL1~AL4)とが中点(中点P1~P4)で接続された第1~第4アーム(第1~第4アームA1~A4)と、第1スイッチ(第1双方向スイッチsw1a)と、を備え、
前記第1巻線部の一端に、前記第1アームの前記中点が接続され、
前記第1巻線部の他端に、前記第2アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の一端に、前記第3アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の他端に、前記第4アームの前記中点が接続され、
前記第1スイッチは、前記第2アームの前記中点と前記第3アームの前記中点との間に接続されており、
前記第2回路は、スイッチング素子(スイッチング素子H5~H8)が設けられた上アーム(上アームAH5~AH8)とスイッチング素子(スイッチング素子L5~L8)が設けられた下アーム(下アームAL5~AL8)とが中点(中点P5~P8)で接続された第5~第8アーム(第5~第8アームA5~A8)と、第2スイッチ(第2双方向スイッチsw1b)と、を備え、
前記第3巻線部の一端に、前記第5アームの前記中点が接続され、
前記第3巻線部の他端に、前記第6アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の一端に、前記第7アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の他端に、前記第8アームの前記中点が接続され、
前記第2スイッチは、前記第6アームの前記中点と前記第7アームの前記中点との間に接続されている、電力供給回路。
【0067】
(1)によれば、複数相回転電機において、各相の巻線に電力を供給するときに、直列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、を切り替えることで、回転電機に異なる特性を持たせることができる。これにより、効率の良い運転点を選択することができるので、出力効率を向上できる。
【0068】
(2) (1)に記載の電力供給回路であって、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン状態にして、直列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、直列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部とに電力を供給する第1モードと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にして、並列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、並列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部とに電力を供給する第2モードと、を切替可能に構成される、電力供給回路。
【0069】
(2)によれば、低回転領域では第1モードを選択し、高回転領域では第2モードを選択することで、トルク密度と出力密度を両立することができる。
【0070】
(3) (2)に記載の電力供給回路であって、
前記第1~第4アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオード(還流ダイオードD)が設けられ、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えたとき、
前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部を流れる電流が前記還流ダイオードを通じて流れる、電力供給回路。
【0071】
(3)によれば、第1巻線部及び第2巻線部から放出される電流によってスイッチング素子などが破損することを防止できる。
【0072】
(4) (2)又は(3)に記載の電力供給回路であって、
前記第5~第8アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオード(還流ダイオードD)が設けられ、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えたとき、
前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部を流れる電流が前記還流ダイオードを通じて流れる、電力供給回路。
【0073】
(4)によれば、第3巻線部及び第4巻線部から放出される電流によってスイッチング素子などが破損することを防止できる。
【0074】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の電力供給回路であって、
前記第2アームの前記中点と前記第1スイッチとの間、又は、前記第1スイッチと前記第3アームの前記中点との間には、前記第1相の巻線の第5巻線部(第5巻線部α3)が設けられ、
前記第6アームの前記中点と前記第2スイッチとの間、又は、前記第2スイッチと前記第7アームの前記中点との間には、前記第2相の巻線の第6巻線部(第6巻線部β3)が設けられている、電力供給回路。
【0075】
(5)によれば、直列に接続された3つの巻線部に電力を供給する場合と、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合とで、回転電機の特性を大きく変えることができ、出力効率をより一層向上できる。
【0076】
(6) (5)に記載の電力供給回路であって、
前記第1巻線部の巻き数と前記第2巻線部の巻き数が等しく、
前記第5巻線部の巻き数は、前記第1巻線部の巻き数及び前記第2巻線部の前記巻き数以上であり、
前記第3巻線部の巻き数と前記第4巻線部の巻き数が等しく、
前記第6巻線部の巻き数は、前記第3巻線部の巻き数及び前記第4巻線部の前記巻き数以上である、電力供給回路。
【0077】
(6)によれば、直列に接続された3つの巻線部に電力を供給する場合と、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合とで、電力が供給される巻線の巻き数の違いが大きくなる。
【0078】
(7) (5)又は(6)に記載の電力供給回路であって、
前記第1~第4アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオードが設けられ、
前記第5~第8アームには、各スイッチング素子と並列に還流ダイオードが設けられ、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン状態にして、直列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部、前記第2巻線部、及び第5巻線部と、直列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部、前記第4巻線部、及び第6巻線部とに電力を供給する第1モードと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にして、並列に接続された前記第1相の巻線の前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、並列に接続された前記第2相の巻線の前記第3巻線部及び前記第4巻線部とに電力を供給する第2モードと、を切替可能に構成され、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えたとき、前記第5巻線部及び前記第6巻線部を流れる電流が前記還流ダイオードを通じて流れる、電力供給回路。
【0079】
(7)によれば、第1モードでは電力が供給される巻線の巻き数が多いので、トルクが向上するとともに、インダクタンスが上がり電流の高調波成分が低減し鉄損が低減する。一方、第2モードでは電力が供給される巻線の巻き数が少ないので、磁束が低減し逆起電圧が低減し、高回転側の出力を向上できる。また、第1モードから第2モードに切り替えたときに、第5巻線部及び第6巻線部を流れる電流が還流ダイオードを通じて流れるので、サージ電流の発生を抑制できる。
【0080】
(8) (7)に記載の電力供給回路であって、
前記第1モードから前記第2モードに切り替えるとき、
前記第1~第4アームの前記スイッチング素子、及び前記第5~第8アームの前記スイッチング素子がオフ状態に制御される期間を設ける、電力供給回路。
【0081】
(8)によれば、第1モードから第2モードに切り替えるときに、各スイッチング素子のオフ期間に、第5巻線部及び第6巻線部からの電流が還流ダイオードを通って流れるので、第5巻線部及び第6巻線部の電荷(エネルギー)を解放することができる。
【0082】
(9) (1)から(4)のいずれかに記載の電力供給回路であって、
前記回転電機はステータ(ステータ11)及びロータ(ロータ10)を含み、
前記ステータは、周方向に並べて配置された複数のスロット(スロットS1~S6)を備え、
前記複数のスロットは、前記周方向に離間して配置される第1スロット(第1スロットSL1)及び第2スロット(第2スロットSL2)を含み、
前記第1スロットには、前記第1巻線部及び前記第2巻線部が配置され、
前記第2スロットには、前記第3巻線部及び前記第4巻線部が配置される、電力供給回路。
【0083】
(10) (9)に記載の電力供給回路であって、
前記複数のスロットは、前記第1スロットと前記第2スロットとの間に配置される第3スロット(第3スロットSL3)を含み、
前記第3スロットには、前記第1巻線部、前記第2巻線部、前記第3巻線部、及び前記第4巻線部が配置される、電力供給回路。
【0084】
(11) (9)に記載の電力供給回路であって、
前記複数のスロットは、前記第1スロットと前記第2スロットとの間に配置される第4スロット(第4スロットSL4)を含み、
前記第4スロットには、前記第1巻線部、前記第2巻線部、前記第3巻線部、及び前記第4巻線部のいずれか1つのみが配置される、電力供給回路。
【0085】
(12) (11)に記載の電力供給回路であって、
前記第1巻線部と前記第2巻線部とは電気角が45°ずれて配置され、
前記第3巻線部と前記第4巻線部とは電気角が45°ずれて配置される、電力供給回路。
【0086】
(12)によれば、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合には、各巻線部が45°ずれて配置されるので、2相モータでありながら巻線係数が向上することで、最大トルクの向上及びトルクリプルの低減効果が得られる。
【0087】
(13) (9)から(12)のいずれかに記載の電力供給回路であって、
前記第1巻線部及び前記第2巻線部と、前記第3巻線部及び前記第4巻線部とは、電気角が90°ずれて配置される、電力供給回路。
【0088】
(14) (1)に記載の電力供給回路であって、
前記電力供給回路は、前記第1相の巻線と前記第2相の巻線と、第7巻線部(第7巻線部γ1)及び第8巻線部(第8巻線部γ2)を有する第3相の巻線(第3相の巻線γ)と、を備える回転電機(回転電機M)に電力を供給し、
前記電力供給回路は、
前記第1回路と、
前記第2回路と、
前記電源に対して前記第1回路及び前記第2回路と並列に接続されるとともに、前記第3相の巻線に接続された第3回路(第3回路5)と、を備え、
前記第3回路は、スイッチング素子(スイッチング素子H9~H12)が設けられた上アーム(上アームAH9~AH12)とスイッチング素子(スイッチング素子L9~L12)が設けられた下アーム(下アームAL9~AL12)とが中点(中点P9~P12)で接続された第9~第12アーム(第9~第12アームA9~A12)と、第3スイッチ(第7双方向スイッチsw1c)と、を備え、
前記第7巻線部の一端に、前記第9アームの前記中点が接続され、
前記第7巻線部の他端に、前記第10アームの前記中点が接続され、
前記第8巻線部の一端に、前記第11アームの前記中点が接続され、
前記第8巻線部の他端に、前記第12アームの前記中点が接続され、
前記第3スイッチは、前記第10アームの前記中点と前記第11アームの前記中点との間に接続されている、電力供給回路。
【0089】
(14)によれば、3相の回転電機である場合においても、各相の巻線に電力を供給するときに、直列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、を切り替えることで、回転電機に異なる特性を持たせることができる。これにより、効率の良い運転点を選択することができるので、出力効率を向上できる。
【0090】
(15) 第1相の巻線(第1相の巻線α)と第2相の巻線(第2相の巻線β)とを備える回転電機(回転電機M)と、
前記回転電機に電力を供給する電力供給回路(電力供給回路2)と、を備える回転電機システム(回転電機システム1)であって、
前記第1相の巻線は、第1巻線部(第1巻線部α1)及び第2巻線部(第2巻線部α2)を有し、
前記第2相の巻線は、第3巻線部(第3巻線部β1)及び第4巻線部(第4巻線部β2)を有し、
前記電力供給回路は、
電源(電源B)に接続されるとともに、前記第1相の巻線に接続された第1回路(第1回路3)と、
前記電源に対して前記第1回路と並列に接続されるとともに、前記第2相の巻線に接続された第2回路(第2回路4)と、を備え、
前記第1回路は、スイッチング素子(スイッチング素子H1~H4)が設けられた上アーム(上アームAH1~AH4)とスイッチング素子(スイッチング素子L1~L4)が設けられた下アーム(下アームAL1~AL4)とが中点(中点P1~P4)で接続された第1~第4アーム(第1~第4アームA1~A4)と、第1スイッチ(第1双方向スイッチsw1a)と、を備え、
前記第1巻線部の一端に、前記第1アームの前記中点が接続され、
前記第1巻線部の他端に、前記第2アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の一端に、前記第3アームの前記中点が接続され、
前記第2巻線部の他端に、前記第4アームの前記中点が接続され、
前記第1スイッチは、前記第2アームの前記中点と前記第3アームの前記中点との間に接続されており、
前記第2回路は、スイッチング素子(スイッチング素子H5~H8)が設けられた上アーム(上アームAH5~AH8)とスイッチング素子(スイッチング素子L5~L8)が設けられた下アーム(下アームAL5~AL8)とが中点(中点P5~P8)で接続された第5~第8アーム(第5~第8アームA5~A8)と、第2スイッチ(第2双方向スイッチsw1b)と、を備え、
前記第3巻線部の一端に、前記第5アームの前記中点が接続され、
前記第3巻線部の他端に、前記第6アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の一端に、前記第7アームの前記中点が接続され、
前記第4巻線部の他端に、前記第8アームの前記中点が接続され、
前記第2スイッチは、前記第6アームの前記中点と前記第7アームの前記中点との間に接続されている、回転電機システム。
【0091】
(15)によれば、複数相回転電機において、各相の巻線に電力を供給するときに、直列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、並列に接続された2つの巻線部に電力を供給する場合と、を切り替えることで、回転電機に異なる特性を持たせることができる。これにより、効率の良い運転点を選択することができるので、出力効率を向上できる。
【符号の説明】
【0092】
1 回転電機システム
2 電力供給回路
3 第1回路
4 第2回路
5 第3回路
10 ロータ
11 ステータ
α 第1相の巻線
α1 第1巻線部
α2 第2巻線部
α3 第5巻線部
β 第2相の巻線
β1 第3巻線部
β2 第4巻線部
β3 第6巻線部
γ 第3相の巻線
γ1 第7巻線部
γ2 第8巻線部
A1~A12 第1~第12アーム
AH1~AH12 上アーム
AL1~AL12 下アーム
H1~H12 スイッチング素子
L1~L12 スイッチング素子
D 還流ダイオード
P1~P12 中点
sw1a 第1双方向スイッチ(第1スイッチ)
sw1b 第2双方向スイッチ(第2スイッチ)
sw2a 第3双方向スイッチ
sw2b 第4双方向スイッチ
sw3a 第5双方向スイッチ
sw3b 第6双方向スイッチ
sw1c 第7双方向スイッチ(第3スイッチ)
B 電源
M 回転電機
S1~S6 スロット
SL1 第1スロット
SL2 第2スロット
SL3 第3スロット
SL4 第4スロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12