(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】インパクトに影響を与えるフレクシャー・ジョイントを含むゴルフ・クラブ・ヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20231124BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20231124BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B53/04 D
A63B102:32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128355
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2021124518の分割
【原出願日】2017-11-21
【審査請求日】2022-09-06
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール. ジャーツソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. モラレス
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-66289(JP,A)
【文献】特開2004-351096(JP,A)
【文献】特開2015-157037(JP,A)
【文献】特開2014-180555(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0080146(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0045139(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0259664(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0190975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0049417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/08
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ・クラブ・ヘッドであって、
ストライク・フェースと、
ソールと、
前記ソールの反対側のクラウンと、
ヒールと、
前記ヒールの反対側のトウと、
前記ストライク・フェースに近接して前記ソールに配置されており、前記ゴルフ・クラブ・ヘッド中の非連続性により画定されるフレクシャー・ジョイントと、を備え、
前記フレクシャー・ジョイントは、ヒール-トウ方向に前記ソールに沿って延びており、
前記フレクシャー・ジョイントは、前方インパクト表面と、後方インパクト表面と、を備え、
前記フレクシャー・ジョイントは、前記前方インパクト表面と前記後方インパクト表面との間に配置されているポリマー層を備え、
前記ストライク・フェースとゴルフ・ボールとの間のインパクトに応答して、前記前方インパクト表面と前記後方インパクト表面は、互いに対して並進する、ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項2】
前記フレクシャー・ジョイントは、凸形の湾曲を有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項3】
前記フレクシャー・ジョイントは、アンバランスな構造的サポートを前記ストライク・フェースに提供し、増加したフェード傾向と、増加したドロー傾向と、増加したダイナミック・ロフトと、減少したダイナミック・ロフトからなる群から選択される挙動を前記ストライク・フェースに付与する、請求項1または2に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項4】
前記ポリマー層は、前記前方インパクト表面に対して垂直な方向に測定される測定される厚さであって、0.1mmから5.0mmの範囲の厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項5】
前記前方インパクト表面は、前記ストライク・フェースに対して30度から70度の角度にある、請求項1から4のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項6】
前記フレクシャー・ジョイントのより中心に位置する部分は、前記フレクシャー・ジョイントのヒール部分とトウ部分よりも前記ストライク・フェースに近い、請求項1から5のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項7】
前記フレクシャー・ジョイントの最も前方の部分は、前記ストライク・フェースに直交する方向に測定して、前記ストライク・フェースから50mm未満の距離にある、請求項1から6のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項8】
前記前方インパクト表面と前記後方インパクト表面は、上部-底部の方向に湾曲している、請求項1から7のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項9】
ゴルフ・クラブ・ヘッドであって、
ストライク・フェースと、
ソールと、
前記ソールの反対側のクラウンと、
ヒールと、
前記ヒールの反対側のトウと、
前記ストライク・フェースに近接して前記ソールに配置されており、前記ゴルフ・クラブ・ヘッド中の不連続性により画定されるフレクシャー・ジョイントと、を備え、
前記フレクシャー・ジョイントは、ヒール-トウ方向に前記ソールに沿って延びており、
前記フレクシャー・ジョイントは、前方インパクト表面と、後方インパクト表面と、を備え、
前記ストライク・フェースとゴルフ・ボールとの間のインパクトに応答して、前記前方インパクト表面と前記後方インパクト表面は、互いに対して並進
し、
ポリマーは、前記前方インパクト表面と前記後方インパクト表面の少なくとも一方の表面全体に配置されている、ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項10】
前記ポリマーは、前記前方インパクト表面に対して垂直な方向に測定される測定される厚さであって、0.1mmから5.0mmの範囲の厚さを有する、請求項
9に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項11】
前記前方インパクト表面は、前記ストライク・フェースに対して30度から70度の角度にある、請求項9
または10に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項12】
前記フレクシャー・ジョイントのより中心に位置する部分は、前記フレクシャー・ジョイントのヒール部分とトウ部分よりも前記ストライク・フェースに近い、請求項9から1
1のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項13】
前記フレクシャー・ジョイントの最も前方の部分は、前記ストライク・フェースに直交する方向に測定して、前記ストライク・フェースから50mm未満の距離にある、請求項9から1
2のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項14】
前記前方インパクト表面と前記後方インパクト表面は、上部-底部の方向に湾曲している、請求項9から1
3のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月22日出願の米国特許仮出願62/425,554号の優先権の利益を主張するものであり、上記出願に開示される内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、クラブ・フェースに近接する1つまたは複数のインパクトに影響を与えるフレクシャル・ジョイントを有するゴルフ・クラブ・ヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
現代のウッド・タイプのゴルフ・クラブ・ヘッドは、例えば、クラブ・ヘッドの重心の場所を調節するために、質量を除去するかもしくは質量を所望の場所に再配置することによって、および/または、より良好なゴルフ打ち出し特質のためのストライク・フェース応答を調節するために、チャネルもしくはスロットなどのような、1つもしくは複数の要素を導入することなどによって、その性能を強めるかまたは改善させるために開発されてきた。しかし、そのような改善は、構造的な劣化または故障なしに適当なインパクト応力に耐えるためのゴルフ・クラブ・ヘッドの能力、および、一貫したインパクト結果を提供するように一貫して製造される能力と、バランスをとられなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】フレクシャー・ジョイントを有するゴルフ・クラブ・ヘッドの実施形態の概略下側正面斜視図である。
【
図2】線2-2に沿って見た、
図1のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図3】フレクシャー・ジョイントを有する実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図4】変形した状態および変形していない状態で示されている、
図2のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略部分断面図である。
【
図5】フレクシャー・ジョイントと、フェースの撓みを制限するための機械的なストップとを有する、実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図6】湾曲した前方インパクト表面を備えたフレクシャー・ジョイントを有する実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図7】ボールおよびソケット-タイプのフレクシャー・ジョイントを有する実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図8】フレクシャー・ジョイントを備えた実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図9】変形した状態および変形していない状態で示されている、
図8のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略部分断面図である。
【
図10】フレクシャー・ジョイントと、フェースの撓みを制限するための機械的なストップとを有する、実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図11】湾曲した前方インパクト表面を備えたフレクシャー・ジョイントを有する実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図12】ボールおよびソケット-タイプのフレクシャー・ジョイントを有する実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図13】後方反作用表面を横切ってポリマー製のコーティングを有する、
図3に図示されているジョイントと同様のフレクシャー・ジョイントの概略拡大断面図である。
【
図14】フレクシャー・ジョイントを備えた実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図15】機械的なストップを有するフレクシャー・ジョイントを備えた実施形態のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図16】ポリマー製のクラウンおよび反作用壁部、並びに、金属製のソールおよびストライク・フェースを有する、ゴルフ・クラブ・ヘッドの概略側面図である。
【
図17】
図16のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【
図18】変形した状態および変形していない状態で示されている、
図17のゴルフ・クラブ・ヘッドの概略部分断面図である。
【
図19】ポリマー製のソールおよび反作用壁部、並びに、金属製のクラウンおよびストライク・フェースを有する、ゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
下記に議論されている本実施形態は、ゴルフ・ボールをインパクトするように動作可能なストライク・フェースと、ストライク・フェースの周囲から後方に延在する本体部と、ストライク・フェースに近接する本体部を少なくとも部分的に通って延在するフレクシャー・ジョイントとを有する、ゴルフ・クラブ・ヘッドに関する。フレクシャー・ジョイントは、本体部の中の物理的な非連続性であり、より後方に位置付けされている反作用表面と接触した状態になっている前方インパクト表面を含む。インパクトの間に、インパクト表面および反作用表面は、互いに対して並進し、ジョイントの最も近くのフェースの部分において、より大きいインパクト撓みを可能にする。非常に一般的な意味において、フレクシャー・ジョイントは、破壊の前により大きい量の弾性的な歪みを可能にしながら、フェースの局所的な部分に関して、剛性/本体部支持を減少させる。そのうえ、フレクシャー・ジョイントの設計は、滑らかな/きれいな/連続的な表面を組み込む同等な設計において応力/歪み応答をチューニングする、より容易な手段を可能にする。チューニング可能なジョイント・パラメーターは、例えば、設置、長さ、配向、最大許容可能な変位、および応力/歪み応答(本体部の外側表面と内側表面との間のスプリットの角度および幾何学形状を介して)を含む。
【0006】
クラブ・フェースの約40mm以内に、クラブ・フェースに対しておおよそ平行に、クラウンの中にフレクシャー・ジョイントを含む、いくつかの実施形態では、クラブ・ヘッドは、表示されているクラブ・ヘッドのスタティック・ロフト(従来の慣行にしたがって測定される)よりも大きいロフト角で(水平方向の地面に対して)、ゴルフ・ボールを打ち出すことが可能である。また、そのような実施形態は、フレクシャー・ジョイントなしの比較的に設計されたクラブ・ヘッドよりも大きいスピン・レートで(すなわち、約5~15%大きい)、ゴルフ・ボールを打ち出すことが可能である。逆に、フレクシャー・ジョイントがソールの中に位置付けされている場合には、クラブ・ヘッドは、表示されているクラブ・ヘッドのスタティック・ロフトよりも小さいロフト角で、および、ジョイントなしの比較的に設計されたクラブ・ヘッドよりも低いスピン・レートで(すなわち、約5~15%低い)、ゴルフ・ボールを打ち出すことが可能である。
【0007】
「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは複数の」は、アイテムの少なくとも1つが存在しているということを示すために入れ替え可能に使用されており、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数のそのようなアイテムが存在する可能性がある。添付の特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメーターの(例えば、量または条件の)すべての数値は、「約」が数値の前に実際にあるか否かにかかわらず、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。「約」は、記載される数値が多少の不正確さを許容することを示す(精密な値にある程度近似して;値に対しておおよそまたは合理的に近接して;ほぼ)。「約」によって提供される不正確さが、当技術分野においてこの通常の意味とは別の意味で理解されない場合には、本明細書において使用されるような「約」は、少なくとも、このようなパラメーターの通常の測定方法および使用方法から生じ得る変動を示す。さらに、範囲の開示は、全範囲内のすべての値およびさらに分割された範囲の開示を含む。範囲内のそれぞれの値および範囲の端点は、本明細書では別々の実施形態としてすべて開示されている。「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「including(含む)」、および「having(有する)」という用語は、包括的であり、したがって、記載されているアイテムの存在を特定しているが、他のアイテムの存在を排除するものではない。本明細書の中で使用されるとき、「または」という用語は、列挙されたアイテムのうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組み合わせを含む。「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が、さまざまなアイテムを互いに区別するために使用されるときには、これらの表記は、単に便宜上のものに過ぎず、アイテムを限定するものではない。
【0008】
本明細書で説明されているように、ゴルフ・クラブの「ロフト」または「ロフト角」という用語は、任意の適切なロフトおよびライ角マシンによって測定されるような、クラブ・フェースとシャフトとの間に形成される角度を表している。
【0009】
本明細書および特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などの用語がある場合、それらは、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも特定の順序または時系列的順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される上記用語は、適宜入れ替え可能であり、本明細書で説明される実施形態は、例えば、ここに説明または図示されたものと異なる順序でも実施可能であることを理解されたい。さらに、「含む」および「有する」という用語、並びにこれらの類義語は、非排他的包含を含めることを意図しており、列挙される要素を含むプロセス、方法、システム、物品、機器または装置は、必ずしもこれらの要素に限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはこのようなプロセス、方法、システム、物品、機器もしくは装置に本来備わっている他の要素が含まれていてもよい。
【0010】
明細書および特許請求の範囲における「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上」、「下」などという用語は、それがある場合には、水平方向の地面の上のアドレス位置に保持されたゴルフ・クラブ、並びに、所定のロフト角およびライ角に保持されたゴルフ・クラブを一般的に参照して、説明目的のために使用されているが、必ずしも、永続的な相対的位置を説明することが意図されているわけではない。そのように使用されている用語は、適宜入れ替え可能であり、本明細書で説明されている装置、方法、および/または製品の実施形態が、例えば、本明細書に図示されているかまたはその他の方法で説明されているもの以外の他の配向で動作することができるようになっているということが理解されるべきである。
【0011】
「連結する」「連結される」「連結」「連結している」などの用語は、広義に解釈されるべきであり、2つ以上の要素を機械的に、または別の方法で結合することを指す。(機械的または別の方法による)連結は、例えば、永続的、半永続的、または瞬間のみといった任意の期間にわたってよい。
【0012】
他の特徴および態様は、以下の詳細な説明および添付の図面を考慮することによって、明らかになることとなる。本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されているような、または、図面に図示されているような、コンポーネントの詳細または構築および配置に限定されないということが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態をサポートすることが可能であり、さまざまな方式で実践または実施され得る。特定の実施形態の説明は、本開示の趣旨および範囲の中に入るすべての修正例、均等物、および代替例をカバーすることから、本開示を限定することを意図していないということが理解されるべきである。また、本明細書で使用されている表現法および専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものとして見なされるべきではないということが理解されるべきである。
【0013】
図面を参照すると、図面において、同様の参照番号は、さまざまな図の中の同様のまたは同一のコンポーネントを識別するために使用されており、
図1は、ゴルフ・クラブ・ヘッド10の下側正面図を概略的に図示しており、ゴルフ・クラブ・ヘッド10は、例えば、
図2に示されているような、中空の内部クラブ・ヘッド体積16を画定するように協働する、ストライク・フェース12および本体部14を含む。
【0014】
ストライク・フェース12(「フェース12」)は、外向きのボール打撃表面18、外周囲20、および後部表面22を含み、ボール打撃表面18は、クラブ・ヘッドが従来のアーチ形の様式でスイングされるときに、ゴルフ・ボールをインパクトするように動作可能であり、後部表面22は、ボール打撃表面18の反対側にある。示されているように、ボール打撃表面18は、比較的に平坦になっており、少なくともフェース12の大部分を占有している。フェース12の外周囲20は、クラブ・ヘッド10の外側プロファイルがボール打撃表面18の実質的に均一なプロファイルから本体部14の中へ後方に最初に移行し始める、クラブ36の前方部分の上のポイントとして画定され得る。別の言い方をすれば、外周囲20は、ボール打撃表面18が1つだけの基準平面(任意の溝部のプロファイルを除く)から最初に逸脱するポイントに位置付けされ得るか、または、ボール打撃表面18の曲率半径が、そうでなければ一定のフェース湾曲(すなわち、バルジ/ロール半径によって画定される)から最初に減少し始めるポイントに位置付けされ得る。
【0015】
ボール打撃表面18は、概して、アドレス位置に保持されているときに地面に対してスタティック・ロフト角で傾けられている。アーチ形の様式でスイングされ、静止したゴルフ・ボールをインパクトするときに、クラブ・ヘッド運動の動力学、および、インパクト応答の動力学は、地面に対して、そのクラブに関する公称ロフト角とは異なる初期の軌跡角度で、インパクトされたゴルフ・ボールを打ち出す可能性がある。この初期の軌跡角度は、ダイナミック・ロフト角と称される。クラブ・ヘッド運動の動力学、および、インパクト応答の動力学は、打ち出されたボールに付与されるスピンの量(すなわち、スピン軸線の周りの回転数/分)にさらに影響を与える可能性がある。本明細書で説明されている設計は、インパクトされたボールのダイナミック・ロフトおよびスピン・レートの両方に影響を与えようとして、インパクト応答の動力学に影響を及ぼすことが意図されている。
【0016】
図2を参照すると、本体部14は、概して、ストライク・フェース12の周囲20から後方に延在するクラブ・ヘッド10の部分である。本体部14は、外側表面24および内側表面26を含み、外側表面24は、クラブ・ヘッド10の外側輪郭を実質的に形成しており、内側表面26は、内部体積16に直接的に当接している。一般に、本技術は、主に、ウッド・スタイルのクラブとともに使用され得、ウッド・スタイルのクラブは、それに限定されないが、ドライバー、フェアウェイ・ウッド、ハイブリッド・アイアン、またはレスキュー・クラブなどを含む。これらのクラブ・スタイルのすべてに共通しているのは、実質的に閉じた内部クラブ・ヘッド体積16を画定する、概して薄い壁のシェルのような構成であるということである。
【0017】
引き続き
図1および
図2を参照すると、一般に、本体部14は、方向的に画定された多くの部分/領域を含むさまざまな態様を含むことが可能である。例えば、ウッド・スタイルのクラブの場合、本体部14は、シャフト・アダプターおよび/またはゴルフ・クラブ・シャフト(図示せず)を受け入れるように動作可能なホーゼル30、上部部分またはクラウン32、底部部分またはソール34、ストライク・フェース12に当接する前部部分36、前部部分36の反対側の後部部分37、ホーゼル30に近接するヒール38、および、ヒール38の反対側のトウ39を含む。いくつかの実施形態では、クラウン32は、クラブ・ヘッド10が水平方向の地面の上に所定のロフトおよびライ角で保持されるときに、概して、垂直接線を有する周囲ラインにおいてソール34と接することが可能である。
【0018】
フェース12、本体部14、およびホーゼル30は、単一のピースとして形成され得るか、または、組み立てプロセスの間に一緒に接合され得る別々のピースとして形成され得る。別段の記述がない限り、フェース12、本体部14、および/またはホーゼル30を形成するために使用される材料は、任意の特定の構成に限定されるべきでない。例えば、1つの実施形態では、ストライク・フェース12および本体部14の両方は、金属から形成され得るが、しかし、それらは、異なる金属または合金をそれぞれ含むことが可能であり、溶接プロセスを介して接合され得る。別の実施形態では、ストライク・フェース12および本体部14は、同じ金属から形成され得る。さらに別の実施形態では、ストライク・フェース12および本体部14の前部部分36は、1つまたは複数の金属から形成され得、一方、本体部14の残りの部分の大部分は、異なる金属から、または、ポリマーからも形成され得、それは、次いで、前部部分36に接着される。
【0019】
一般に、本ゴルフ・クラブ・ヘッド10は、本体部14の上に、または本体部14とフェース12との間に、1つまたは複数のインパクトに影響を与えるフィーチャーを含み、それは、フェース12によるインパクトに続くゴルフ・ボールの打ち出し特性に影響を及ぼすように動作可能である。本設計において、インパクトに影響を与えるフィーチャーは、1つまたは複数のフレクシャー・ジョイント40を含むことが可能であり、1つまたは複数のフレクシャー・ジョイント40は、インパクトの間のストライク・フェース12の動的な曲げ/屈曲の増加または変更を提供するように設計されている。下記に議論されることとなるように、フェースに対するフレクシャー・ジョイントの効果は、ボール速度、初期の打ち出し角度、および/またはボール・スピン・レートに影響を与えることによって、ゴルフ・クラブの性能特質を改善させることが可能であり、一方、中心を外れたインパクトに関してより大きい寛容性も提供する。一般に、フレクシャー・ジョイント40の形状、場所、および最大許容可能な撓みは、ジョイント40のインパクトに影響を与える効果を制御する際の主要因子である。
【0020】
非常に一般的な意味において、本明細書で説明されているフレクシャー・ジョイントは、同等のきれいな/滑らかな本体部設計よりも制御されたチューニング可能な様式で、フェース12がインパクト時に降伏することを可能にする。フェース12が、リジッドな本体部として近似される場合には、フレクシャー・ジョイント40は、まさに車の中のクランプル・ゾーンのように動作することが可能である。より具体的には、いくつかの実施形態では、フレクシャー・ジョイント40は、本体部14の一部分の座屈剛性を減少させる役割を効果的に果たし、したがって、フェースがインパクトの間に弾性的に降伏することを可能にする。そのような効果は、外周囲20の周りに、可変の剛性として現れることが可能である。
【0021】
下記に説明されている実施形態のほとんどにおいて、フレクシャー・ジョイント40は、具体的には、クラブ・ヘッド10の中の非連続性を含み、それは、ゴルフ・ボールとストライク・フェース12との間のインパクトに直接的に応答して、クラブ・ヘッド10の2つの隣接する部分が互いに対して並進することを可能にする。実施形態の多くにおいて、非連続性は、物理的な非連続性である(すなわち、外側表面(例えば、外側表面24)から完全に通って内側体積16へ延在する破断が、クラブ・ヘッド10の中に存在している場合)。しかし、他の実施形態では、この物理的な非連続性は、内部体積16の中への破片または液体の侵入を阻止する目的のためだけに、比較的により軟質のエラストマー材料によって充填され得る。それらの実施形態では、クラブ・ヘッド10の中の物理的な非連続性は、材料非連続性として、より正確に説明され得る。
【0022】
一般に、フレクシャー・ジョイント40は、前方インパクト表面42を含むことが可能であり、前方インパクト表面42は、より後方に位置付けされている反作用表面44とスライド可能に接触した状態になっている。前方インパクト表面42は、金属製の分離部分46を通して、ボール打撃表面18にリジッドに連結され得る。ストライク・フェース12がボールに接触するときに、結果として生じるインパクト力は、フェース12が内向きに/クラブ・ヘッド10の後部部分37に向けて屈曲するように促す。インパクト力は、フェース12から、分離部分46を通して、フレクシャー・ジョイント40のインパクト表面42へ伝播することが可能である。クラブ・ヘッド10の非連続性、および、ジョイント40の幾何学形状に起因して、伝えられたインパクト力は、インパクト表面42が反作用表面44に沿って弾性的に並進することを引き起こすことが可能である。この相対的な表面並進は、次いで、反作用表面44が邪魔にならないように避けるように促されるので、本体部14の中に結果として生じる横断方向の弾性的な歪みを引き起こすことが可能である。インパクト時にボールが弾性的に圧縮し、次いで跳ね返るのとほぼ同じ方式で、同様の跳ね返りが、次いで、フレクシャー・ジョイント40を横切って起こり得る。より具体的には、初期の弾性的な荷重に続いて、反作用表面44は、次いで、その弾性的な歪み(および/または、本体部の連結された部分によって経験される歪み)を解放してインパクト表面42に戻し、フェース12がその元の位置に戻るように促すことが可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、フレクシャー・ジョイント40は、ボールに付与されるスピンの量に影響を及ぼしながら、インパクトの間のボール打撃表面のダイナミック・ロフトを変化させる実用的な効果を有することが可能である(すなわち、クラブ・ヘッド10のスタティック・ロフトに対して)。これらの効果は、概して、フェース12の周囲20の周りの本体部の不均一な座屈剛性によって引き起こされるフェース12の不均一な屈曲/変位に起因する(すなわち、ジョイント40の物理的な非連続性は、ジョイント40のより遠位の部分よりも、ジョイントの近くにおいて、比較的により低い剛性を結果として生じさせる)。次いで、フェース12のこの不均一な屈曲/変位は、インパクト時にボール打撃表面18を再配向させる動作可能な効果を有している。単一のジョイント40を備えたクラブ・ヘッド10に関して、ジョイント40がソール34の中に位置付けされている場合には、ボール打撃表面18は、インパクト時に(公称スタティック・ロフトに対して)動的にディロフトされ得(dynamically delofted)、比較的に少ないスピンが、ボールに付与されることとなる。逆に、ジョイント40がクラウン32の中に位置付けされている場合には、ロフトは、インパクト時に動的に増加させられ得、比較的に多いスピンが、ボールに付与されることとなる。
【0024】
フェース12がインパクト時により多く屈曲/変位することを可能にすることによって、フレクシャー・ジョイント40は、また、従来のヘッドと比較して、より小さい程度のボールの変形を結果として生じさせることが可能である。そのようなインパクト応答は、より大きいインパクト効率、並びに、インパクトの間のボールへのより大きいエネルギーおよび速度の伝達を実現することを支援することが可能である。ボールおよびフェースの固有周波数に応じて、フレクシャー・ジョイント40および増加したフェース運動は、また、インパクト時間(すなわち、ボールがインパクトの間にボール打撃表面18と接触した状態になっている時間)の変化を引き起こすことが可能である。一般に、より長いインパクト時間は、インパクトの間のボールへのより大きいエネルギーおよび速度の伝達を結果として生じさせる傾向があり得る。ボールおよびフェースの周波数応答が十分にマッチされている場合には、建設的な共振は、「トランポリン」効果の増加を結果として生じさせることが可能であり、それは、インパクトの間のボールへのより大きいエネルギーおよび速度の伝達を結果として生じさせることが可能である。
【0025】
上述のように、ジョイント40の場所および配向は、その最終的な効果に対して顕著な影響を有している。本明細書で説明されている例のほとんどにおいて、フレクシャー・ジョイント40は、ストライク・フェース12の十分に近くに位置付けされており、インパクト力がより容易にまたは直接的に前方インパクト表面42に受け止められることを可能にし、また、ボール打撃表面18のより良好な撓みを可能にする。いくつかの実施形態では、ジョイントの最も前方の部分は、長さ48を横切るそれぞれのポイントにおいて、フェース12の、および/または、ボール打撃表面18のベスト・フィットであるロフト平面Lの、特定の最大許容範囲または距離d
1の中に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、この最大許容範囲d
1は、最大で約50mm、約49mm、48mm、47mm、46mm、45mm、44mm、43mm、42mm、41mm、40mm、39mm、38mm、37mm、36mm、35mm、34mm、33mm、32mm、31mm、30mm、29mm、28mm、25mm、24mm、23mm、22mm、21mm、または20mmであることが可能である。いくつかの実施形態では、この最大許容範囲d
1は、最大で約40mm、または、最大で約30mmであることが可能である。いくつかの実施形態では、例えば、概して
図3に示されているように、最大許容範囲d
1は、約0mmであるか、または、約0mmから約5mmにあることが可能である。いくつかの実施形態では、フレクシャー・ジョイント40の長さの少なくとも一部分の最も前方の部分は、(クラブ・ヘッドが水平方向の地面の上に所定のロフト/ライ角に保持されているときに、ホーゼル/シャフトの長手方向軸線を含有する垂直方向の平面によって画定されるときに)ホーゼル30の前方に位置付けされ得る。
【0026】
フレクシャー・ジョイント40は、概して、それがフェース12の外周囲20の最も近い部分に対しておおよそ平行になるように配向され得る。例えば、フレクシャー・ジョイント40がソール34の中に位置付けされている場合には、ジョイント40は、ソール34に直接的に隣接している周囲20の一部分に対しておおよそ平行になっていることが可能である。逆に、フレクシャー・ジョイント40がクラウン32の中に位置付けされている場合には、ジョイント40は、クラウン32に直接的に隣接している周囲20の一部分に対しておおよそ平行になっていることが可能である。さまざまな湾曲を有するクラブ・ヘッドによって提示される複雑性に起因して、「おおよそ平行に」という用語は、概して、ジョイント40に沿った(例えば、ジョイント40が外側表面24に接するラインに沿った)すべてのポイントが、周囲の最も近いそれぞれの場所から何らかの公称距離の特定の許容範囲の中にあるということを意味することを意図している。ある実施形態では、許容範囲は、約+/-20mm、+/-19mm、+/-18mm、+/-17mm、+/-16mm、+/-15mm、+/-14mm、+/-13mm、+/-12mm、+/-11mm、+/-10mm、+/-9mm、+/-8mm、+/-7mm、+/-6mm、+/-5mm、+/-4mm、+/-3mm、+/-2mm、または+/-1mmであることが可能である。代替的な定義では、「おおよそ平行に」という用語は、概して、ジョイント40を通るベスト・フィット・ライン(例えば、非連続性が外側表面24に接するジョイントの部分を通るベスト・フィット・ライン)が、ロフト平面Lの特定の角度の許容範囲の中にあるということを意味することを意図している。ある実施形態では、角度の許容範囲は、約+/-20度、+/-19度、+/-18度、+/-17度、+/-16度、+/-15度、+/-14度、+/-13度、+/-12度、+/-11度、+/-10度、+/-9度、+/-8度、+/-7度、+/-6度、+/-5度、+/-4度、+/-3度、+/-2度、または+/-1度であることが可能である。
【0027】
ストライク・フェース12に対してより平行な関係にジョイント40を配向させることは、インパクト時にヒール38からトウ39へより均一なフェース撓みを提供する効果を有することが可能である。その理由は、概して、ジョイント40がフェース12のより近くに持って行かれるにつれて、撓みが増加するからである。いくつかの実施形態では、わずかなスキュー(上記の許容範囲内の)が、ドロー・バイアスされたまたはフェード・バイアスされたダイナミック応答を提供するために組み込まれ得る。同様に、いくつかの実施形態では、ジョイント40のより中心に位置付けされている部分は、ヒール/トウのより近くにある部分よりも、フェース12の近くにあることが可能である(すなわち、ジョイント40は、フェース12から見たときに凸形の湾曲を有することが可能である)。そのような前部から後部への/凸形のジョイント湾曲は、フェース12の幾何学的な中心の最も近くのインパクトに関して、より多くの屈曲を可能にし、一方、中心を外れたインパクトに関して、より硬い応答を提供する。
【0028】
ジョイントの配向に加えて、ジョイント40の長さ48(外側表面24に沿って測定される)は、クラブのインパクト応答の性質に影響を及ぼすことが可能である。フレクシャー・ジョイント40の長さ48を増加させることは、インパクト時のストライク・フェース12の撓みの増加を可能にし、それは、ボール打ち出し性能を改善させることが可能である。追加的に、フレクシャー・ジョイント40がソール34またはクラウン32の中に位置付けされているときに、増加した長さは、フェース12の中心または従来の「スイート・スポット」から離れているインパクトに関して、ボールへの増加したエネルギーおよび速度の伝達を実現することが可能である。ほとんどの実施形態では、フレクシャー・ジョイント40は、約25mmから約125mmの、または、約50mmから約100mmの、または、約25mmから約30mmの、30mmから40mmの、40mmから50mmの、50mmから60mmの、60mmから70mmの、70mmから80mmの、80mmから90mmの、90mmから100mmの、100mmから110mmの、110mmから120mmの、または、120mmから130mmの長さ48を有することが可能である。
【0029】
上述のように、典型的なインパクトに関する撓みの最大量は、また、インパクト応答の性質を制御する際の因子である。最大撓みが大き過ぎる場合には、ボールがボール打撃表面18から跳ね返るときに、フェース12は、依然として後方に変形している可能性がある。これは、より劇的な変化をダイナミック・ロフトに引き起こす可能性があり、一方、より少ないエネルギーをボールに伝達して戻し、より少ないボール速度を結果として生じさせる。比較的により低い最大量の撓みを有する設計では、クラブ・フェースは、ボールが最大圧縮を経験するポイントのより近くにおいて、その最大撓みのポイントに到達することが可能である。そのようは場合には、フェースおよびボールは、両方とも一緒に跳ね返ることが可能であり(すなわち、建設的な共振)、したがって、ボールへのより大きいエネルギーの伝達を結果として生じさせる。
【0030】
図2~
図12は、修正されたインパクト応答をクラブ・フェース12に提供することができるフレクシャー・ジョイント40の2つの異なる実施形態に関する変形例を図示している。
図2~
図7では、第1のフレクシャー・ジョイント50が図示されており、第1のフレクシャー・ジョイント50は、概して、外側表面24からクラブ・ヘッド10の後部部分37に向けて傾斜している。次いで、
図8~
図12は、第2のフレクシャー・ジョイント52の例を示しており、第2のフレクシャー・ジョイント52は、概して、外側表面24からストライク・フェース12に向けて傾斜している。それぞれのケースでは、例えば、概して
図4および
図9に示されているように、インパクトの間に、インパクト表面42は、反作用表面44に沿って局所的に並進しようとすることとなり、それは、反作用表面44および後方本体部14の対応する弾性的な変位を引き起こすことが可能である。別段の記載がない限り、「反作用表面44に沿ったインパクト表面42の並進」は、2つの表面の間の位置の相対的な変化の表現であり、必ずしも、クラブ・ヘッド10の他の部分に対するインパクト表面42の任意の特定の運動を暗示することを意味するわけではないということが留意されるべきである。
【0031】
図2および
図3は、概して、フェース12と第1のフレクシャー・ジョイント50との間に異なってサイズ決めされた分離部分46を有する、2つのクラブ・ヘッド設計を図示している。より具体的には、
図2の中の分離部分46は、約5mmから約50mmの、または、約10mmから約40mmの、または、さらには、約20mmから約30mmの、ストライク・フェース12の最も隣接する周囲20と、ジョイント40、インパクト表面42、および/または反作用表面44が外側表面24に接する場所との間の公称幅54を有することが可能である。逆に、
図3に図示されている実施形態は、無視できる幅、および/または、約0mmから約5mmの幅を有する分離部分46を提供している。別の言い方をすれば、
図3に示されているフレクシャー・ジョイント50は、おおよそストライク・フェース12の外周囲20において、および/または、ロフト平面Lの上において、もしくは、ロフト平面Lの非常に近くにおいて、外側表面24に接している。
【0032】
上述のように、
図4は、概して、フェース12とゴルフ・ボール58との間のインパクトの間の変形した状態56で、
図2のフレクシャー・ジョイント50を図示している(変形していない状態60が、仮想線で示されている)。示されているように、フレクシャー・ジョイント50に最も近いフェース12の部分62は、最大の変形を経験することが可能であり、一方、ジョイント50からより遠くにあるフェース12の部分64は、比較的により低い量の変形を経験することが可能である。概して図示されているように、ジョイント50のインパクト表面42は、後方方向に円弧状になっていることが可能であり、それは、反作用表面44がジョイント40の角度に起因して外向きに弾性的に変形することを引き起こすことが可能である。この応答を達成するために、反作用表面44は、インパクトの間にインパクト表面42を邪魔するために十分に大きい斜めの角度で、外側表面に接するべきである。その角度が
図4のジョイントにおいてあまりに浅かったとすれば、フェース12は、インパクトの間に全く支持されていない一部分を有する可能性があり、それは、他の設計の課題を提示する可能性がある。1つの実施形態では、反作用表面は、外側表面24に対して約30度から約70度の角度を形成する部分を含むべきである。最大撓み限界は、この角度を変更することによって変化させられ得る。この角度が急になればなるほど、抵抗が大きくなることとなり(すなわち、より低い最大撓み限界)、一方、より浅い角度は、抵抗を小さくすることとなり、より大きい量の許容可能な撓みを提供することとなる。
【0033】
図5は、
図3と同様の実施形態を示しているが、機械的なストップ70を含んでおり、機械的なストップ70は、反作用表面44に対するインパクト表面42の全体的な並進/変位を制限することが意図されている。そのような設計は、クラブ・ヘッド耐久性を改善させることが可能であり、また、塑性変形またはほぼ塑性変形を結果として生じさせる可能性があるほど厳しいインパクトに対して、最終的なフェイルセーフを提供することが可能である。いくつかの実施形態では、この機械的なストップ70は、さまざまな最大撓みを可能にするように調節可能であり得る。例えば、機械的なストップ70は、スクリューに取り付けられ得、スクリューは、ストップの高さを変化させること、または、ストップが前後方向トラックに沿って並進およびロックされることを可能にすることのいずれかを行うことが可能である。
【0034】
図2~
図5は、概して、2つの線形に嵌合する表面を含むフレクシャー・ジョイント40を図示しているが、
図6は、概して、湾曲したインパクト表面72を有する変形例を図示している。インパクト表面を湾曲させることは、合計の接触面積を低減させることによって、インパクト表面72と反作用表面44との間の接触摩擦を低下させる実用的な効果を有することが可能である。これは、より効率的な弾性的な力の伝達、摩擦に対してより少ないエネルギー喪失、および、同様の大きさのインパクトに関して潜在的により大きい撓みを結果として生じさせることが可能である。いくつかの実施形態では、例えば、
図6に示されているように、湾曲したインパクト表面72は、また、それ自身のスプリング特質を付与することが可能であり、それは、反作用表面44のより小さい移動に関して、比較的により大きい復元力を提供することを補助することが可能である。いくつかの実施形態では、曲率半径は、約3mmから約40mmにあるか、または、約10mmから約30mmにあるか、または、さらには、約15mmから約25mmにあることが可能である。いくつかの実施形態では、曲率半径は、約5mmから約10mm、または約10mmから約15mm、15mmから20mm、20mmから25mm、25mmから30mm、30mmから35mm、または35mmから40mmにあることが可能である。同様に、曲率半径は、上述の範囲のいずれかの中で、表面を横切って変化することが可能である。そのような実施形態は、同様に、例えば
図5に示されているように、機械的なストップ70とともに使用され得る。
【0035】
図7は、概して、ボールおよびソケットと同様に、湾曲したインパクト表面80および湾曲した反作用表面82の両方を有するフレクシャー・ジョイント50を備えたクラブ・ヘッド10の実施形態を図示している。いずれの表面も、必ずしも、一定の曲率半径を有しているわけではないが、一般に、インパクト表面80の湾曲は、反作用表面82の湾曲よりもきつくなっている。いくつかの実施形態では、これは、インパクト表面80の平均曲率半径R
1が、反作用表面82の平均曲率半径R
2よりも小さくなっているということを意味し得る。例えば、R
1は、約2mmから約25mm、または、約5mmから約15mm、または、さらには、約8mmから約10mmにあることが可能であり、一方、R
2がR
1よりも大きくなるように選択される限りにおいて、R
2は、約6mmから約40mm、または、約10mmから約15mmにあることが可能である。
【0036】
表面をこのように輪郭決めすることによって、インパクト時のフェース撓みは、より完全にチューニングされ得る。例えば、反作用表面82の湾曲は、ボール打撃表面18からの距離が増加するにつれてきつくなる/増加することが可能である。このように、フレクシャー・ジョイント50は、フェース撓みの増加につれて、次第により硬くなることが可能である。最大撓み限界は、反作用表面82の上をスライドするインパクト表面80の抵抗を上昇または低下させることによって変更させられ得る。反作用表面82の湾曲が垂直方向に素早く曲がれば曲がるほど、抵抗は大きくなることとなる。さらに
図7に示されているように、いくつかの実施形態では、反作用表面82の一部分84は、インパクト表面80の前に延在することが可能である。そのような設計は、レスト時にクラブ・ヘッド10の滑らかな前方フェースをより良好に提供することが可能であり、インパクトの直後の任意のフェースの跳ね返り/行き過ぎをさらに拘束することが可能である。
【0037】
上述のように、
図8~
図12は、第2のフレクシャー・ジョイント52に関する変形例を示しており、それは、概して、外側表面24からストライク・フェース12に向けて傾斜している。
図8のゴルフ・クラブ・ヘッド10は、異なって配向されているフレクシャー・ジョイント52を除いて、
図2に図示されているものと実質的に同様である。次いで、
図9は、フェース12とゴルフ・ボール58との間のインパクトの間の変形した状態90で、
図8のジョイント52を図示している(変形していない状態92が、仮想線で示されている)。示されているように、この幾何学形状は、本体部14の外側表面24がフレクシャー・ジョイント52に近接して内向きに変形または屈曲することを促進することが可能である(一方、従来のクラブ・ヘッドは、インパクト時にこのエリアにおいて外向きにしなる傾向がより強い)。
図4に図示されているフレクシャー・ジョイントと同様に、フレクシャー・ジョイント52に最も近いフェース12の部分62は、最大の変形を経験することが可能であり、一方、ジョイント52からより遠くにあるフェース12の部分64は、比較的により低い量の変形を経験することが可能である。概して図示されているように、ジョイント52のインパクト表面42は、概して、インパクト時に内向きに円弧状になっていることが可能であり、それは、反作用表面44が内向きにアーチ形になりながら相対的に並進することを引き起こすことが可能である。
【0038】
図10は、
図8と同様の実施形態を示しているが、機械的なストップ94を含んでおり、機械的なストップ94は、反作用表面44に対するインパクト表面42の全体的な並進/変位を制限することが意図されている。そのような設計は、クラブ・ヘッド耐久性を改善させることが可能であり、また、塑性変形またはほぼ塑性変形を結果として生じさせる可能性があるほど厳しいインパクトに対して、最終的なフェイルセーフを提供することが可能である。いくつかの実施形態では、この機械的なストップ70は、さまざまな最大撓みを可能にするように調節可能であり得る。例えば、機械的なストップ70は、スクリューに取り付けられ得、スクリューは、ストップの高さを変化させること、または、ストップが前後方向トラックに沿って並進およびロックされることを可能にすることのいずれかを行うことが可能である。
【0039】
図11は、概して、湾曲した反作用表面96以外は、
図8と同様の実施形態を図示している。反作用表面96を湾曲させることは、合計の接触面積を低減させることによって、インパクト表面42と反作用表面96との間の接触摩擦を低下させる実用的な効果を有することが可能である。これは、より効率的な弾性的な力の伝達を結果として生じさせることが可能であり、摩擦に対してより少ないエネルギー喪失を伴う。いくつかの実施形態では、例えば、
図11に示されているように、湾曲した反作用表面96は、また、インパクトの間のそれ自身のスプリング特質を付与することが可能であり、それは、反作用表面96のより小さい移動に関して、比較的により大きい復元力を提供することを補助することが可能である。
【0040】
図12は、概して、湾曲したインパクト表面98および湾曲した反作用表面100の両方を有するフレクシャー・ジョイント52を備えたクラブ・ヘッド10の実施形態を図示している。いずれの表面も、必ずしも、一定の曲率半径を有しているわけではないが、一般に、反作用表面100の湾曲は、インパクト表面98の湾曲よりもきつくなっている。いくつかの実施形態では、これは、インパクト表面98の平均曲率半径R
1が、反作用表面100の平均曲率半径R
2よりも大きくなっているということを意味し得る。表面をこのように輪郭決めすることによって、インパクト時のフェース撓みは、より完全にチューニングされ得る。例えば、インパクト表面98の湾曲は、ボール打撃表面18からの距離が減少するにつれてきつくなる/増加することが可能である。このように、フレクシャー・ジョイント52は、フェース撓みの増加につれて、次第により硬くなることが可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、インパクト表面42および反作用表面44のうちの一方または両方は、フレクシャー・ジョイント40の耐久性および性能を強化するために、ポリマーによってコーティングされ得る。より具体的には、インパクト表面42および反作用表面44の両方が金属から作製されているとすれば、表面同士の間の反復的な並進は、かじりおよび/または表面の焼き付きを結果として生じさせる可能性がある。適切な耐摩耗性のポリマーが、概して、エンジニアリング・プラスチックとして分類され得、ポリオキシメチレン(POM/アセタール)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFEが充填されたアセタール、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、および/または、特定のクラスのポリアミド、例えば、PA6もしくはPA66などを含むことが可能である。これらのクラスのポリマーは、本設計の機能性を補助し得る、低い表面エネルギー、低い摩擦、耐久性のある仕上げを提示することが可能である。そのようなポリマー層は、すべての設計において必要であるというわけではないが、随意的に、本明細書で説明されている設計のいずれかにおいて利用され得る。
図13は、例えば、
図3に提供されているものと同様のジョイント40とともに使用されるものなど、このポリマー層102の実施形態を概略的に図示している。示されているように、ポリマー層102は、ジョイント表面に対して垂直に測定される厚さ104を有することが可能である。いくつかの実施形態では、厚さ104は、約0.1mmから約5.0mm、または、約0.2mmから約1.0mm、または、約0.1mmから約0.2mm、0.2mmから0.4mm、0.4mmから0.6mm、0.6mmから0.8mm、0.8mmから1.0mm、1.0mmから1.5mm、1.5mmから2.0mm、または、2.0mmから2.5mmにあることが可能である。
【0042】
図14~
図15は、フレクシャー・ジョイント110の実施形態を図示しており、それによって、フレクシャー・ジョイントの2つの表面は、インパクトの間に互いに沿って直接的に並進しない。その代わりに、幾何学的な構成に起因して、より後方に位置付けされている表面112(ストライク・フェース12と直接的に連通している)が、インパクトの間に、より前方に位置付けされている本体部表面114から物理的に分離している。この実施形態では、2つの表面が互いに接触し始め、液体または破片が内部体積16に進入することを防止することが好ましい。そのような設計は、ジョイント110の反対側のフェース周囲の材料強度に完全に依存し、インパクトの間の最大許容可能な変形を制限する。いくつかの実施形態では、例えば、
図14に概略的に示されているように、表面112、114のうちの一方または両方は、機械的なストップ116を含むことが可能であり、機械的なストップ116は、何らかの所定の意図した量を超えて撓むストライク・フェース12の能力を妨げるかまたは干渉する。
【0043】
図16~
図19は、混合材料クラブ・ヘッド140の実施形態を図示しており、それは、わずかに異なる配置ではあるが、上記に説明されているフレクシャー・ジョイント概念を組み込んでいる。より具体的には、これらの実施形態では、本体部14は、反作用壁部142を含み、反作用壁部142は、ストライク・フェース12の後部表面22と直接的に同一平面上の接触をした状態になっている。フレクシャー・ジョイント144は、フェース12と反作用壁部142との間に形成されており、ストライク・フェース12の後部表面22が前方インパクト表面42を形成し、反作用壁部142の前部表面が反作用表面44を形成し、および、フェースの幅/厚さが分離部分46を形成するようになっている。
【0044】
さらに
図16~
図19に示されているように、混合材料クラブ・ヘッド140は、クラウン32およびソール34を含み、フェース12と本体部14との間に内部体積16を画定している。これらの実施形態では、フェース12は、クラウン32およびソール34のうちの一方と一体的に形成されており、一方、反作用壁部142は、他方と一体的に形成されている。例えば、
図16~
図18に示されている実施形態では、フェース12は、ソール34と一体的に形成されており、反作用壁部142は、クラウン32と一体的に形成されている。逆に、
図19に示されている実施形態では、フェース12は、クラウン32と一体的に形成されており、反作用壁部142は、ソール34と一体的に形成されている。
【0045】
ゴルフ・ボール58とストライク・フェース12との間のインパクトの間に、例えば、
図18に示されているように、フェースは、内向きに撓むことが可能であり、支持されていない/自由端部146が、本体部14に一体的に固定されている端部148よりも比較的に多く撓む状態になっている。フェース12のこの撓みは、概して、フェース12の後部表面22が反作用表面44の一部分に沿って並進することを引き起こし、それは、伝えられたインパクト力に応答して、それ自身の弾性的な変形を受けることが可能である。いくつかの実施形態では、反作用壁部142は、ストライク・フェースの後部表面22の面積の少なくとも約30%をカバーし、および/または、接触した状態になっていることが可能である。いくつかの実施形態では、反作用壁部142は、後部表面22の面積の約30%から約60%に接触した状態になっており、いくつかの実施形態では、反作用壁部142は、後部表面22の面積の約50%から約60%に接触した状態になっている。
【0046】
1つの構成では、フェース12およびその一体的に形成された本体部部分(すなわち、ソール34およびクラウン32のうちの一方)は、金属から形成されており、一方、反作用壁部142およびその一体的に形成された本体部部分(すなわち、ソール34およびクラウン32のうちの他方)は、ポリマーから形成されている。そのような構成は、金属ストライク・フェース12のインパクト耐久性を有するクラブ・ヘッドを依然として提供しながら、反作用壁部142からのより弾性的な応答を可能にすることができる。追加的に、本体部14の一部分をポリマーから作製することによって、反作用壁部142の存在に起因して生じる任意の追加的な重量が、比較的により軽いポリマー製の本体部部分によってオフセットされ得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリマー製の本体部部分(すなわち、反作用壁部142と一体化している部分)は、流動可能な熱可塑性の材料から形成される射出成形されたコンポーネントであることが可能である。いくつかの実施形態では、この熱可塑性の材料は、エンジニアリング・プラスチック、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはポリアミドなど、例えば、PA6またはPA66などを含むことが可能である。PPSは、金属のような応答を有するその独自の音響特性に起因して、好適な材料であることが可能である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、充填されたポリマーであることが可能であり、それは、コンポーネントの全体を通して分配された複数の非連続的なガラス、炭素、アラミド、またはPTFE繊維を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、異なるポリマーが、反作用表面44の上に共成形および/またはインサート成形され得、インパクト時における相対的な並進を推進する、より低い摩擦コーティングを提供する。このポリマーは、ポリオキシメチレン(POM/アセタール)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFEが充填されたアセタール、PPS、および/または、特定のクラスのポリアミド、例えば、PA6もしくはPA66などを含むことが可能であり、
図13を参照して上記に説明されているものと同様であることが可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、ポリマー製の本体部部分は、その代わりに、繊維強化複合材料から形成され得る。適切な繊維は、ガラス、炭素、またはアラミド繊維を含むことが可能であり、コンポーネントの大部分の上に連続的に延在することが可能である。繊維は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことができるポリマーの中に埋め込まれ得る。低摩擦ポリマーが反作用表面44の上に使用されている実施形態では、コンポーネントのポリマー・マトリックスは、熱可塑性のものであることが可能であり、それは、反作用表面44をコーティングするために使用されるベース樹脂の少なくとも5%を含むことが可能である。そうすることは、低摩擦コーティングと反作用壁部142との間の耐久性のある接着を推進することが可能である。1つの実施形態では、このベース熱可塑性樹脂は、POM/アセタール、PPS、および/または、特定のクラスのポリアミド、例えば、PA6もしくはPA66などを含むことが可能である。
【0049】
図17および
図19にさらに示されているように、この混合材料クラブ・ヘッド140のいくつかの実施形態では、ポリマー製のコンポーネント150(すなわち、反作用壁部142および一体的に形成された本体部部分を含む)は、外側金属製のコンポーネント152(すなわち、ストライク・フェース12およびその一体的に形成された本体部部分を含む)の中に入れ子にされ得る。この入れ子にされた関係は、なかでも、ポリマー製のコンポーネント150の外側壁部154を、金属製のコンポーネント152の嵌合する周囲壁部156の中に挿入することを伴う。このように、反作用壁部142がストライク・フェース12によって内向きに圧縮されるときに、ポリマー製のコンポーネント150の外側壁部154は、金属製のコンポーネント152の壁部156によって拘束され得、それは、初期のインパクト圧縮の後に、フェース12を復元することを補助することが可能である。次いで、ポリマー製のコンポーネント150は、例えば、クラウン32がソール34に接する(すなわち、ポリマー製のコンポーネント150が金属製のコンポーネント152の内側に入れ子にされる)、クラブ・ヘッド10の周囲の周りで、2つのコンポーネントの間に配設されている接着剤を介して、金属製のコンポーネント152に固定され得る。しかし、接着剤は、ストライク・フェース12と反作用壁部142との間に適用されておらず、インパクト時にこれらの表面が並進することを可能にするということが重要である。
【0050】
上記に説明されているそれぞれの実施形態では、本設計は、バランスのとれていない構造的サポートを備えたフェースを可能にすることができる。そうする際に、インパクト時のフェースの挙動は、フェード/ドロー傾向を調節するために、クラブ・ヘッド10のダイナミック・ロフトを増加もしくは減少させるために、または、インパクトに続いて結果として生じるボール・スピンを増加もしくは減少させるために、チューニングされ得る。実施形態のうちのいくつかは、壁部の厚さを通して角度を付けられている、クラブ・ヘッド10の本体部14の中の非連続性を組み込んでいる。そうする際に、非連続性の2つのサイド(すなわち、インパクト・サイド、および、反作用サイド)は、互いに対して並進するように促進させられ、一方、非連続性を通る接触力は、また、本体部14の中に横断方向の弾性的な変形を誘発させる。この応答は、チューニング可能な弾性的なフェース変形を提供し、それは、インパクトされたボールの結果として生じる打ち出しも調節しながら、インパクトの効率を改善させる。
【0051】
利益を適正に現実化するために(すなわち、フレクシャー・ジョイントが、意図したように応答するために十分な力/応力を経験するために)、ジョイント40は、好ましくは、ストライク・フェース12の約40mm以内に位置付けされている。摩擦を低減させ、および/または、かじりを防止するために、ポリマーがジョイント40の中に使用される場合には、そのポリマーが、ASTM D2240によるShore D硬度スケールに関して測定される、少なくとも約50D、または、少なくとも約60D、または、より好ましくは、少なくとも約70D、または、さらには、少なくとも約80Dの硬度を有することが好ましい。
【0052】
1つまたは複数の特許請求されている要素の交換は、再構築を構成し、修理を構成しない。追加的に、利益、他の利点、および、課題に対する解決策は、特定の実施形態に関して説明されてきた。しかし、利益、利点、課題に対する解決策、および、任意の利益、利点、または解決策が起こることまたはより顕著になることを引き起こす任意の1つまたは複数の要素は、そのような利益、利点、解決策、または要素がそのような請求項の中に明示的に述べられていなければ、請求項のいずれかまたはすべての重要な、必要な、または、必須の特徴または要素として解釈されるべきではない。
【0053】
ゴルフに対するルールは、ときどき変化する可能性があるので(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース(R&A)などのような、ゴルフ標準化組織および/または運営団体によって、新しい規制が採用される可能性があり、または、古いルールが排除もしくは修正される可能性がある)、本明細書で説明されている装置、方法、および製品に関係するゴルフ機器は、任意の特定の時間におけるゴルフのルールに適合している可能性もあり、または、適合していない可能性もある。したがって、本明細書で説明されている装置、方法、および製品に関連するゴルフ機器は、適合しているかまたは適合していないゴルフ機器として、宣伝され、販売の申し出がされ、および/または、販売される可能性がある。本明細書で説明されている装置、方法、および製品は、この点において限定されていない。
【0054】
上記の例は、アイアン・タイプのゴルフ・クラブに関連して説明されている可能性があるが、本明細書で説明されている装置、方法、および製品は、ドライバー・ウッド・タイプのゴルフ・クラブ、フェアウェイ・ウッド・タイプのゴルフ・クラブ、ハイブリッド・タイプのゴルフ・クラブ、アイアン・タイプのゴルフ・クラブ、ウェッジ・タイプのゴルフ・クラブ、または、パター・タイプのゴルフ・クラブなどのような、他のタイプのゴルフ・クラブにも適用可能であり得る。代替的に、本明細書で説明されている装置、方法、および製品は、ホッケー・スティック、テニス・ラケット、釣り竿、スキーのストックなどのような、他のタイプのスポーツ機器にも適用可能であり得る。
【0055】
そのうえ、本明細書で開示されている実施形態および限定事項は、実施形態および/または限定事項が、(1)特許請求の範囲において明示的に特許請求されておらず、(2)均等論の下で、特許請求の範囲における明示的な要素および/もしくは限定事項の均等物であるか、または潜在的な均等物である場合、公有の原則の下で公に供されることはない。
【0056】
本開示のさまざまな特徴および利点が、以下の条項に記載されている。
【0057】
(条項1)
内側表面および外側表面を有する中空のゴルフ・クラブ・ヘッドであって、
ゴルフ・ボールをインパクトするように動作可能なストライク・フェースと、
前記ストライク・フェースの周囲から後方に延在する本体部と、
前記外側表面から前記内側表面へ延在するフレクシャー・ジョイントと、を備え、
前記ストライク・フェースは、前記ストライク・フェースと前記ゴルフ・ボールとの間のインパクトに応答して、前記本体部の一部分に対して局所的に変位し、
前記フレクシャー・ジョイントは、
前方インパクト表面と、
前記インパクト表面と接触した状態にある反作用表面と、を含み、
前記インパクトに応答して、前記インパクト表面は、前記反作用表面に沿って並進して前記反作用表面を弾性的に変位させ、前記ストライク・フェースのインパクトにより誘発される変位の増加を可能にする、ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0058】
(条項2)
前記反作用表面は、前記インパクト表面と前記反作用表面との間の並進の量に比例する反作用力を、前記インパクト表面に付与する、条項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0059】
(条項3)
前記本体部および前記ストライク・フェースの両方は、少なくとも部分的に1つまたは複数の金属合金から形成されており、
前記インパクト表面および前記反作用表面のうちの少なくとも1つは、ポリマーによって覆われている、条項1または2に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0060】
(条項4)
前記ポリマーは、ポリオキシメチレンおよびポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも1つを含む、条項3に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0061】
(条項5)
前記ストライク・フェースの変位は、前記フレクシャー・ジョイントからの距離の増加とともに減少する、条項1から4のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0062】
(条項6)
前記本体部は、ソールおよびクラウンを画定しており、
フレクシャー・ジョイントは、前記ストライク・フェースの前記周囲に対しておおよそ平行の方向に、前記ソールの一部分を横切って延在している、条項1から5のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0063】
(条項7)
前記本体部は、ソールおよびクラウンを画定しており、
前記フレクシャー・ジョイントは、前記ストライク・フェースの前記周囲に対しておおよそ平行の方向に、前記クラウンの一部分を横切って延在している、条項1から5のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0064】
(条項8)
前記反作用表面は、前記ストライク・フェースによって画定される平面の約40mm以内にある位置において、前記外側表面に接する、条項1から7のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0065】
(条項9)
前記反作用表面は、斜めの角度で前記外側表面に接する、条項1から8のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0066】
(条項10)
前記内側体積の中に延在する機械的なストップをさらに備え、
前記機械的なストップは、前記反作用表面に対する前記インパクト表面の許容可能な並進の量を制限するように動作可能である、条項1から9のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0067】
(条項11)
前記ストライク・フェースは、ボール打撃表面と、前記ボール打撃表面の反対側にある後部表面と、を画定しており、
前記本体部は、前記ストライク・フェースの前記後部表面と接触した状態にある反作用壁部を含み、
前記ストライク・フェースの前記後部表面は、前記フレクシャー・ジョイントの前記前方インパクト表面であり、
前記反作用壁部は、前記フレクシャー・ジョイントの前記反作用表面を形成している、条項1または2に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0068】
(条項12)
前記反作用壁部は、前記後部表面の面積の約30%から約60%と接触した状態にある、条項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0069】
(条項13)
前記本体部は、クラウンおよびソールを画定しており、
前記クラウンおよび前記ソールのうちの一方は、前記ストライク・フェースと一体的に形成されており、
前記クラウンおよび前記ソールのうちの他方は、前記反作用壁部と一体的に形成されている、条項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0070】
(条項14)
前記反作用壁部は、ポリマー材料から形成されており、
前記ストライク・フェースは、金属材料から形成されている、条項11から13のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0071】
(条項15)
混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッドであって、
ゴルフ・ボールをインパクトするように動作可能なボール打撃表面と、前記ボール打撃表面の反対側の後部表面と、を有するストライク・フェースと、
前記ゴルフ・クラブ・ヘッドの上側部分を形成するクラウンと、
前記ゴルフ・クラブ・ヘッドの下側部分を形成するソールであって、前記クラウンおよび前記ソールは、それらの間に内部グラブ・ヘッド体積を画定する、前記ソールと、
前記ストライク・フェースの前記後部表面と同一平面上に接触した状態にある反作用壁部と、を備え、
前記クラウンおよび前記ソールのうちの一方は、前記ストライク・フェースと一体的に形成されており、
前記クラウンおよび前記ソールのうちの他方は、前記反作用壁部と一体的に形成されており、
前記ストライク・フェースは、金属から形成されており、
前記反作用壁部は、ポリマーから形成されており、
前記ストライク・フェースと前記ゴルフ・ボールとの間のインパクトに応答して、前記ストライク・フェースの前記後部表面は、同一平面上の接触を維持しながら、前記反作用壁部に沿ってスライド可能に並進する、混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0072】
(条項16)
前記ストライク・フェースを形成する第1のコンポーネントと、
前記反作用壁部を形成する第2のコンポーネントと、をさらに備え、
前記第1のコンポーネントは、前記クラウンが前記ソールに接する前記クラブ・ヘッドの周囲の周りにおいて、前記第2のコンポーネントに接着されている、条項15に記載の混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0073】
(条項17)
前記第2のコンポーネントは、前記周囲の周りにおいて、前記第1のコンポーネントの内部に入れ子にされている、条項16に記載の混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0074】
(条項18)
前記ストライク・フェースの前記後部表面に接触した状態にある前記反作用壁部の表面は、ポリオキシメチレンおよびポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも一方を含むポリマーから形成されている、条項15から17のいずれか一項に記載の混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0075】
(条項19)
前記反作用壁部は、前記後部表面の面積の約30%から約60%と接触した状態にある、条項15から18のいずれか一項に記載の混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【0076】
前記ストライク・フェースは、前記インパクトに応答して前記反作用壁部を弾性的に変位させる、条項15から19のいずれか一項に記載の混合材料ゴルフ・クラブ・ヘッド。