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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】光学検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20231124BHJP
   G01J 1/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01N35/04 E
G01J1/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022131740
(22)【出願日】2022-08-22
(65)【公開番号】P2023165585
(43)【公開日】2023-11-16
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】111117048
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳イー卉
(72)【発明者】
【氏名】王振發
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-526780(JP,A)
【文献】特開2017-045175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0074084(US,A1)
【文献】国際公開第2022/202262(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0219172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
G01J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、カセット配置部と、カバーと、プロセッサと、光学センサーと、光量センサーとを備えた光学検出装置において、
前記ベースは開口を備え、
前記カセット配置部は前記ベース内に位置し、且つ前記開口と連通し、
前記カバーは前記開口を開閉するために用いられ、
前記光学センサーは前記プロセッサに連接されて受信した光線を映像信号に変換するために用いられ、
前記光量センサーは前記カセット配置部の光量を感知する
ことを特徴とする光学検出装置。
【請求項2】
アクチュエータと位置検出器を更に備え、前記アクチュエータは前記カバーに連接され、
前記プロセッサは、
前記カバーを帯同して前記開口を開閉するように、前記アクチュエータの作動を制御するために用いられ、
前記位置検出器はテストカセットが前記カセット配置部の固定位置にあるかどうかを検出し、前記位置検出器が作動したとき位置信号を出力し、
前記プロセッサは、前記位置信号に応答してオフ信号を前記アクチュエータに送信し、前記オフ信号に基づいて、前記アクチュエータは前記カバーを帯同して前記開口を閉じる
ことを特徴とする請求項1に記載の光学検出装置。
【請求項3】
アクチュエータと接近センサーを更に備え、前記アクチュエータは前記カバーに連接され、
前記プロセッサは、
前記カバーを帯同して前記開口を開閉するように、前記アクチュエータの作動を制御するために用いられ、
前記接近センサーはオペレータが前記光学検出装置に近づくかどうかを検出し、
前記接近センサーが作動したときセンシング信号を出力し、
前記プロセッサは、前記センシング信号に応答してオン信号を前記アクチュエータに送信し、前記オン信号に基づいて、前記アクチュエータは前記カバーを帯同して前記開口を開ける
ことを特徴とする請求項1に記載の光学検出装置。
【請求項4】
支え台とドッキングセンサーを更に備え、
前記カセット配置部は支え台上に位置し、前記支え台は第1のドッキング構造を含み、
前記カバーは本体と第2のドッキング構造を含み、前記第2のドッキング構造は前記本体に連接され、且つ前記第1のドッキング構造とドッキングするために用いられ、
前記ドッキングセンサーは前記第1のドッキング構造或いは前記第2のドッキング構造に位置し、前記第1のドッキング構造が前記第2のドッキング構造にドッキングしたとき、前記ドッキングセンサーはドッキング信号を前記プロセッサに出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学検出装置。
【請求項5】
前記光学センサーは発光素子を更に含み、
前記光学検出装置は、支え台と、アクチュエータと、接近センサーと、位置検出器と、ドッキングセンサーと、ディスプレイモジュールとを備え、
前記支え台は、前記カセット配置部が前記支え台の上に位置し、前記支え台は第1のドッキング構造を含み、前記カバーは本体と第2のドッキング構造を含み、前記第2のドッキング構造は前記本体に連接され、且つ、前記第1のドッキング構造とドッキングするために用いられ、
前記アクチュエータは前記カバーに連接され、
前記プロセッサは、
前記カバーを帯同して前記開口を開閉するように、前記アクチュエータの作動を制御するためにも用いられ、
前記接近センサーはオペレータが前記光学検出装置に近づくかどうかを検出し、前記接近センサーが作動したとき、センシング信号を送信し、前記プロセッサは前記センシング信号に応答してオン信号を前記アクチュエータに送信し、
前記位置検出器はテストカセットが前記カセット配置部の固定位置にあるかどうかを検出し、前記位置検出器が作動したとき、位置信号を送信し、前記プロセッサは前記位置信号に応答してオフ信号を前記アクチュエータに送信し、前記オフ信号に基づいて、前記アクチュエータは前記カバーを帯同して前記開口を閉じ、
前記ドッキングセンサーは、前記ドッキングセンサーが前記第1のドッキング構造或いは前記第2のドッキング構造に位置し、前記第1のドッキング構造が前記第2のドッキング構造にドッキングしたとき、前記ドッキングセンサーはドッキング信号を前記プロセッサに送信し、前記プロセッサは前記ドッキング信号に応答して前記発光素子を更に起動して、前記カセット配置部に向けて発光し、
前記ディスプレイモジュールは前記プロセッサに連接し、前記プロセッサは前記映像信号に基づいて、検出情報を出力し、前記ディスプレイモジュールは前記検出情報を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学検出装置に関し、特に、検出結果の誤りが少ない光学検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の試薬の検出方法は、被験者の検体をテストカセットに置いた後に、テストカセットを検出装置に入れ、検出装置が検出結果を判定する方法が採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、現在の検出装置によれば、テストカセットが検出装置に配置される環境としてはオープンスペースの環境が採用されているため、テストカセット上の検体が揮発してしまう場合があり、揮発してしまっては検出装置が誤った判断をしてしまう場合があり、更に、検体のテストを行う者がウイルスに晒されてしまうリスクが高まってしまう場合も考えられる。
【0004】
更に、既存の検出装置は、光センシングを使用してテストカセットの検出結果を判断するが、前述のように、検出装置がテストカセットを読み取る領域は半開きの空間であり、周囲の光源からの光の影響を受ける可能性があり、光を検出する際に検出装置の判断に支障をきたし、異常な画像が写ってしまう可能性があり、その結果、検出装置の判断結果が本来とは異なった結果となってしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みて以下の構成を備える。即ち、
ベースと、カセット配置部と、カバーと、プロセッサと、光学センサーを備えた光学検出装置において、
前記ベースは開口を備え、
前記カセット配置部は前記ベース内に位置し、且つ前記開口と連通し、
前記カバーは前記開口を開閉するために用いられ、
前記光学センサーは前記プロセッサに連接され、前記光学センサーは光受信素子を含み、前記光受信素子は受信した光線をビデオ信号に変換するために用いられる。
【0006】
また、アクチュエータと位置検出器を更に備え、前記アクチュエータは前記カバーに連接され、
前記プロセッサは、
前記カバーを帯同して前記開口を開閉するように、前記アクチュエータの作動を制御するために用いられ、
前記位置検出器が作動したとき位置信号を出力し、
前記プロセッサは、前記位置信号に応答してオフ信号を前記アクチュエータに送信し、前記オフ信号に基づいて、前記アクチュエータは前記カバーを帯同して前記開口を閉じる。
【0007】
また、アクチュエータと接近センサーを更に備え、前記アクチュエータは前記カバーに連接され、
前記プロセッサは、
前記カバーを帯同して前記開口を開閉するように、前記アクチュエータの作動を制御するために用いられ、
前記接近センサーが作動したときセンシング信号を出力し、
前記プロセッサは、前記センシング信号に応答してオン信号を前記アクチュエータに送信し、前記オン信号に基づいて、前記アクチュエータは前記カバーを帯同して前記開口を開ける。
【0008】
また、支え台とドッキングセンサーを更に備え、
前記カセット配置部は支え台上に位置し、前記支え台は第1のドッキング構造を含み、
前記カバーは本体と第2のドッキング構造を含み、前記第2のドッキング構造は前記本体に連接され、且つ前記第1のドッキング構造とドッキングするために用いられ、
前記ドッキングセンサーは前記第1のドッキング構造或いは第2のドッキング構造に位置し、前記第1のドッキング構造が前記第2のドッキング構造にドッキングしたとき、前記ドッキングセンサーはドッキング信号を前記プロセッサに出力する。
【0009】
また、前記光学センサーは発光素子を更に含み、
前記光学検出装置は、支え台と、アクチュエータと、接近センサーと、位置検出器と、ドッキングセンサーと、ディスプレイモジュールとを備え、
前記支え台は、前記カセット配置部が前記支え台の上に位置し、前記支え台は第1のドッキング構造を含み、前記カバーは本体と第2のドッキング構造を含み、前記第2のドッキング構造は前記本体に連接され、且つ、前記第1のドッキング構造とドッキングするために用いられ、
前記アクチュエータは前記カバーに連接され、
前記プロセッサは、
前記カバーを帯同して前記開口を開閉するように、前記アクチュエータの作動を制御するためにも用いられ、
前記接近センサーは、前記接近センサーが作動したとき、センシング信号を送信し、前記プロセッサは前記センシング信号に応答してオン信号を前記アクチュエータに送信し、
前記位置検出器は、前記位置検出器が作動したとき、位置信号を送信し、前記プロセッサは前記位置信号に応答してオフ信号を前記アクチュエータに送信し、前記オフ信号に基づいて、前記アクチュエータは前記カバーを帯同して前記開口を閉じ、
前記ドッキングセンサーは、前記ドッキングセンサーが前記第1のドッキング構造或いは前記第2のドッキング構造に位置し、前記第1のドッキング構造が前記第2のドッキング構造にドッキングしたとき、前記ドッキングセンサーはドッキング信号を前記プロセッサに送信し、前記プロセッサは前記ドッキング信号に応答して前記発光素子を更に起動して、前記カセット配置部に向けて発光し、
前記ディスプレイモジュールは前記プロセッサに連接し、前記プロセッサは前記映像信号に基づいて、検出情報を出力し、前記ディスプレイモジュールは前記検出情報を表示する。
【0010】
本実施形態において、光学検出装置はドッキングセンサーを更に備え、ドッキングセンサーは第1のドッキング構造又は第2のドッキング構造に位置し、第1のドッキング構造が第2のドッキング構造にドッキングしたとき、ドッキングセンサーはドッキング信号をプロセッサに出力する。
【0011】
光学検出装置は発光素子を更に備え、プロセッサはドッキング信号に応答して発光素子を起動して前記カセット配置部に向けて発光する。
【0012】
光学検出装置は光量センサーを更に備え、光量センサーはカセット配置部の光量を検出するために用いられ、光量信号をプロセッサに出力して、プロセッサは光量信号に基づいて発光素子を起動して前記カセット配置部に向けて発光するか否か決定する。
【0013】
本実施形態によれば、発光素子が起動される前に、受光素子はカセット配置部内の光量を検出し、光量信号をプロセッサに出力し、プロセッサは、光量信号に基づいて、発光素子を起動させてカセット配置部に向かって発光するかどうかを決定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態による光学検出装置によれば、カバーが開口を閉じるので、外部の光がカセット配置部に入るのを効果的に防止できる。このようにカバーを閉じるので、カセット配置部のウイルスが外部に拡散せず、医療関係者を保護できる。更に、外部の光がカセット配置部に入り込まないので、光学検出による判断の際に誤った判断が起こる可能性を低減することができる。
【0015】
本実施形態によれば、光学検出装置はドッキングセンサーを備えており、医療従事者が操作するときにカバーが開口を完全に閉じていない場合には、外部の光源からの光が開口に入り込み、その状態で光学検出が行われないように、発光素子は起動されない。そのため映像信号が誤って読み取られる危険性を回避し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態による光学検出装置の断面図である。
図2】本発明の実施形態による光学検出装置の断面図である。
図3】本発明の実施形態によるプロセッサと光学センサーのブロック図である。
図4】本発明の実施形態によるカバーと開口の関係を示した図である。
図5】本発明の実施形態によるカバーと開口の関係を示した図である。
図6】本発明の実施形態によるカバーとベースの関係を示した図である。
図7】本発明の実施形態によるカバーとベースの関係を示した図である。
図8】本発明の光学検出装置の支え台の構成図である。
図9】本発明の光学検出装置の支え台の構成図である。
図10】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図11】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図12】本発明のプロセッサとアクチュエータの関係を示した図である。
図13】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図14】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図15】本発明の実施形態のプロセッサと位置検出器の関係を示した図である。
図16】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図17】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図18】本発明の実施形態によるプロセッサと接近センサーとの関係を示した図である。
図19】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図20】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図21】本発明の実施形態によるプロセッサとドッキングセンサーとの関係を示した図である。
図22】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図23】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図24】本発明の実施形態によるプロセッサと光センサーとの関係を示した図である。
図25】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図26】本発明の実施形態による光学検出装置の使用状態の説明図である。
図27】本発明の実施形態によるプロセッサとディスプレイモジュールとの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図3を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、図1図2は本発明の実施形態による光学検出装置100の断面図であり、図3は本発明の実施形態によるプロセッサ2と光学センサー3のブロック図である。
【0018】
光学検出装置100は、断面視にて略四角形を呈するベース11と、前記四角形の空間の内側に形成されたカセット配置部12と、カバー13と、光学センサー3を含む。ベース11は水平方向に開口111を有する。カセット配置部12は、開口111の水平方向における延長線上であって、且つベース11の底面付近に設けられ、開口111と連通している。
【0019】
カバー13は、開口111を開閉するために使用され、ベースの側面に設けられる。本実施形態によれば、カバー13は、図1図2に示される実施形態に示されるように、手動で開閉することができる。本実施形態によれば、カバー13は自動設計であり、開口111を自動的に開閉することができる。なお、自動開閉の詳細については後述する。
【0020】
本実施形態によれば、カバー13の一端は、ベース11の側面に回転可能に接続されている。図1図2に示される実施形態によれば、カバー13は、ねじりばね135によって後述するカバー13の長尺状に形成された本体131の一端がベース11に回転可能に接続されている。
【0021】
図1図2に示される実施形態によれば、光検出装置100は、支え台14を更に含む。カセット配置部12は、支え台14上に配置され、支え台14は、第1のドッキング構造141を含む。
【0022】
カバー13は、上述した本体131と第2のドッキング構造132を含む。第2のドッキング構造132は、本体131の他端側に接続され、第1のドッキング構造141とのドッキングのために使用される。第1のドッキング構造141と第2のドッキング構造132が互いにドッキングされると、カバー13が開口111を閉じる。
【0023】
図1に示すように、第1のドッキング構造141は凹溝であり、第2のドッキング構造132は当該凹溝に対応する構造であり、ドッキングは互いに適合し、又はよりタイトに密着した状態となるが、ドッキングの方法は本実施形態に記載した例には限定されない。
【0024】
図1図2に示される実施形態によれば、第2のドッキング構造132は、トグル部134を有し、トグル部134は本体131の他端側で本体の延伸方向に対して直交する角度で突き出している。そのため、操作員が、カバー13を開閉し又は把持して、開口111を開き或いは閉めるようにカバー13を制御することができる。光学センサー3は光受信素子32を含む。光受信素子32は、受信光を映像信号に変換するために使用される。
【0025】
図3に示す実施形態によれば、光学センサー3は、発光素子31を更に含む。発光素子31が作動すると、発光素子31は、カセット配置部12に向かって発光する。
【0026】
光受信素子32は、受信した光線を映像信号に変換することができる。本実施形態によれば、光受信素子32は、電源が投入された後、カセット配置部12で光を連続的に受容する。
【0027】
本実施形態によれば、光受信素子32は、駆動されると、カセット配置部12で光を受け取り始める。
【0028】
図1図2に示されるように、オペレータは、テストカセット200をカセット配置部12に配置する。発光素子31が作動すると、クリップ挿入領域(符号なし)に向かって(すなわち、テストカセット200に向かって)光を放出する。ここで、光受信素子32が受信する光線は、テストカセット200から戻された光である。
【0029】
図3に示す実施形態によれば、光学検出装置100は、プロセッサ2を更に含み、プロセッサ2は、光学センサー3に接続されている。プロセッサ2は、後述する駆動信号に応答して発光素子31を作動させるために使用され、発光素子31はカセット配置部12に向かって光を放出する。
【0030】
上述した駆動信号は、プロセッサ2によって自動的に出力されるか(詳細については以下を参照のこと)、又は人がプロセッサ2で出力する。本実施形態によれば、光受信素子32は、受信した光線を映像信号に変換し、プロセッサ2は、この映像信号に基づいて後述する検出情報を出力する。
【0031】
本実施形態によれば、光学検出装置100は生物学的サンプル検出装置であり、試験官(サンプルテストを行う医療関係者等)がサンプルを取り出し、それをテストカセット200に滴下する。次に、テストカセット200は、上述した検出情報を得るための光学的感知(光センシング)のために、カセット配置部12に配置される。ここで、検出情報の例としては陽性「Positive」、陰性「Negative」、無効「Invalid」等が挙げられる。
【0032】
本実施形態によれば、外部の周囲からの光が開口111に入射するのを防ぐために、カセット配置部12内の光の量は、発光素子31が後続の光学的感知ステップのために発光するのに適していない。
【0033】
発光素子31が作動する前に、光受信素子32はカセット配置部12内の光量を感知し、光量信号をプロセッサ2に出力する。プロセッサ2は、この光量信号に基づいて、発光素子31を作動させてカセット配置部12に向けて光を放出するかどうかを決定する。
【0034】
換言すると、光量信号の光強度値が設定された光強度値を超えるかどうかはプロセッサ2の比較によって行われ、光量信号の光強度値が設定された光強度値よりも低い場合、カセット配置部12が光感知に適していることを意味するので、プロセッサ2が発光素子31を作動させて発光するが、逆の場合にはプロセッサ2は発光素子31を作動させない。
【0035】
図4図5を参照されたい。図4、5には、本発明の実施形態による、カバー13と開口111との間の関係が示されている。図4図5に示されるカバー13は、図1図2に示される実施形態とは異なり、回転させるのではなく、垂直方向又は水平方向へスライド移動させることによりカバー13を開閉することができる。図4に示すカバー13は、水平方向Dに沿って動かされ開口111を開閉する。図5に示すシャッター13は、垂直方向Hに移動して開口111を開閉する。
【0036】
図6を参照されたい。図6は、本発明の実施形態によるカバー13とベース11との間の関係を示す図である。図6に示す実施形態によれば、カバー13のサイズは、開口111のサイズよりも大きい。そして、ベース11は、2つのリブ112を含み、これらは、それぞれ、カバー13の2つの側面に配置されている。
【0037】
このような構造を採用することにより、カバー13が開口111を閉じるときに、一対のリブ112により斜め方向からの光が遮蔽されるので、外部の周囲からの光が開口111に入ることをより効果的に防止することができ、光学センサー3の感知効率と検出精度が向上する。
【0038】
図7を参照して本発明の実施形態によるカバー13とベース11との間の関係を説明する。図7に示す実施形態によれば、カバー13のサイズは、開口111のサイズよりも大きく、ベース11は、2つのリブ112を含み、カバー13は、2つのシュート133を含む。2つのリブ112は、それぞれ、2つのシュート133に取り外し可能に設けられる。
【0039】
この構造により、カバー13が開口111を閉じるときに、外部の周囲からの光が開口111に入るのを効果的に防止することができ、それにより、光学センサー3の感知性能と検出精度が向上する。
【0040】
図8図9を参照して説明する。図8図9は本発明の実施形態による光学検出装置100aの支え台14の構造の説明図である。
【0041】
図8図9に示される実施形態によれば、支え台14の底部はスリップ部142を有し、スリップ部142は、支え台14を開口111(ベース11)に対して移動させるために、スライド溝、スライドレール、又はローラーとすることができる。
【0042】
すなわち、支え台14は、オペレータに向かって引くように移動させることができ、図9に示すように、オペレータがテストカセット200を支え台14上に置き、次にオペレータから離れる方向に移動させて元の位置に戻すことができる。
【0043】
また、支え台14の移動は手動で行うことができ、例えば、支え台14は、引っ張り出した後に奥へ押し戻すことによってベース11に戻すことができる。また、支え台14は自動的に移動するように設定することもでき、本実施形態で示したものには本発明の範囲は限定されない。
【0044】
図10図12を参照して説明する。図10図11は、それぞれ、本発明の実施形態による光学検出装置100bの使用状態を説明する図である。また、図12は、本発明の実施形態によるプロセッサ2とアクチュエータ4との間の関係を示した図である。
【0045】
図10図11に示される実施形態によれば、光学検出装置100は、カバー13に接続されたアクチュエータ4を更に含む。プロセッサ2はアクチュエータ4が作動するよう制御するために使用され、カバー13を駆動して開口111を開閉し、開口111を自動的に開閉することができる。本実施形態によれば、アクチュエータ4はステッピングモーターである。
【0046】
図13図15を参照して説明する。図13図14は、それぞれ、本発明の実施形態による光学検出装置100cの使用状態の説明図である。また、図15は、本発明の実施形態によるプロセッサ2と位置検出器5との間の関係を示した図である。
【0047】
本実施形態によれば、光学検出装置100は、位置検出器5を更に含み、位置検出器5が作動すると位置信号が生成され、プロセッサ2は、当該位置信号に応答してオフ信号をアクチュエータ4に送信し、アクチュエータ4はこのオフ信号に基づいてカバー13を駆動して開口111を閉じる。
【0048】
位置検出器5は、テストカセット200がカセット配置部12の固定位置にあるかどうかを検出する。テストカセット200が固定位置にあることが検出されると、位置信号が送信され、プロセッサ2は更にアクチュエータ4を制御するように、位置信号に応答してカバー13を駆動して開口111を閉じる。
【0049】
上述した位置検出器5の「作動時」は、電源投入時にテストカセット200が固定位置にあるかどうかを連続的に検出することができる。また、位置検出器5が駆動されるときに、テストカートリッジ200が固定位置に配置されているかどうかを検出することも可能であり、本発明の範囲はここに記載した実施形態に限られるものでは無い。
【0050】
図16図18を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、図16図17は、それぞれ、本発明の実施形態による光学検出装置100dの使用状態を説明する図であり、図18は、本発明の実施形態のプロセッサ2と接近センサー6との間の関係を示す図である。
【0051】
これらの実施形態によれば、光学検出装置100dは、接近センサー6を更に備える。オペレータが光学検出装置100dに近づくと、接近センサー6がオペレータを検知し(つまり、接近センサー6が作動する)、センシング信号を出力する。
【0052】
プロセッサ2はこのセンシング信号に応答してアクチュエータ4にオン信号を送信する。また、このオン信号によれば、アクチュエータ4はカバー13を帯同せずに開口111を閉め、又はアクチュエータ4はカバー13を帯同して開口111を開く。換言すると、このとき、開口111は開いた状態であるため、オペレータはテストカセット200をカセット配置部12に配置することができる。
【0053】
本実施形態では、カバー13は元々の状態としては、開口111が閉じた状態である。ここで、オペレータが光学検出装置100dに近づくと、接近センサー6が作動してセンシング信号を送信し、プロセッサ2はこのセンシング信号に応答して、アクチュエータ4がカバー13を駆動して、オン信号に基づいて開口111を開放する。
【0054】
図19図21を参照して説明する。ここで、図19図20は、それぞれ、本発明の実施形態による光学検出装置100eの使用状態の説明図である。また、図21は、本発明の実施形態によるプロセッサ2とドッキングセンサー7との間の関係を示した図である。
【0055】
本実施形態によれば、光学検出装置100eは、ドッキングセンサー7を更に含む。ドッキングセンサー7は、第1のドッキング構造141又は第2のドッキング構造132に配置することができる。図19に示された実施形態によれば、ドッキングセンサー7は、第1のドッキング構造141に設けられる。そして、第1のドッキング構造141と第2のドッキング構造132が互いにドッキングされると、ドッキングセンサー7は、ドッキング信号をプロセッサ2に送信する。
【0056】
本実施形態によれば、プロセッサ2は、ドッキング信号に応答してクローズシグナルを出力し、このクローズシグナルはカバー13がこの時点で開口111を閉鎖したことを示す。クローズシグナルは、音、光等によって表現され、カバー13が開口111を閉鎖したことをオペレータに通知する目的で利用され、次の光学検出のステップを実行することができる。
【0057】
本実施形態によれば、ドッキングセンサー7は例えば圧力を感知する感圧検出器であり、第2のドッキング構造132が第1のドッキング構造141とドッキングされると、ドッキングセンサー7は、第2のドッキング構造132の圧力を感知し、ドッキング信号を出力する。また、本実施形態によれば、プロセッサ2は発光素子31を自ら作動させて、ドッキング信号に応答した光を放出し、光感知ステップを実行する。
【0058】
図22図24を参照して説明する。図22図23は、それぞれ、本発明の実施形態による光学検出装置100fの使用状態を説明する図である。また、図24は、本発明の実施形態によるプロセッサ2と光センサー10との間の関係を示した図である。
【0059】
本実施形態によれば、光学検出装置100fは、カセット配置部12の光量を感知し、光量信号をプロセッサ2に出力するための光量センサー10を更に含む。プロセッサ2は、光量信号に基づいて、発光素子31を作動させてカセット挿入領域12に向けて光を出力するかどうかを決定する。
【0060】
外部の周囲からの光が開口111に入射してしまうと、カセット配置部12内の光量は光学的な感知に適さない。このため、光量センサー10がカセット配置部12の光量を感知し、光量信号をプロセッサ2に出力し、プロセッサ2がカセット配置部12のこの時の光量が光検知に適しているかどうかを判断し、更に発光素子31を作動させて発光させるかどうか決定する。
【0061】
図25図27を参照して説明する。ここで、図25図26は、それぞれ本発明の実施形態による光学検出装置100gの使用状態を示した図である。図27は本発明の実施形態によるプロセッサ2とディスプレイモジュール9との間の関係を示した図である。
【0062】
光学検出装置100gは、ディスプレイモジュール9を更に含む。ディスプレイモジュール9はオペレータが監視するための検出情報を表示することができる。図25に示す実施形態によれば、オペレータが光学検出装置100に近づくと、接近センサー6が作動する。そのため、カバー13は、開口111を閉じないで(又は開口111が閉じていれば、その状態から開口111を開くように変化する)、開口111は開いた状態となる。
【0063】
オペレータは、テストカセット200をカセット配置部12に配置し、テストカセット200がカセット配置部12の特定の位置に配置されると、位置検出器5が作動し、アクチュエータ4がカバー13を駆動して、開口111を閉じる。
【0064】
カバー13の第1のドッキング構造141と第2のドッキング構造132が互いにドッキングされると、ドッキングセンサー7が作動してドッキング信号を出力する。
【0065】
プロセッサ2はドッキング信号に応答して発光素子31を発光するように作動させ、光感知ステップを実行する。光受信素子32は受信した光を映像信号に変換し、プロセッサ2は、映像信号に基づいて検出情報を出力し、ディスプレイモジュール9が検出情報を表示することにより、光学的な検出の読み取りの手順が完了する。
【0066】
図27に示された実施形態によれば、光学検出装置100gは、プロセッサ2に接続されたタッチモジュール8を更に含む。タッチモジュール8は、オペレータの動作指令を受信し、駆動信号を出力する。
【0067】
タッチモジュール8はキーボードセット又はタッチスクリーンである。また、本実施形態によれば、ディスプレイモジュール9とタッチモジュール8は互いに統合されて、オペレータによる操作と表示の機能を提供する。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、光学検出装置のカバーは、開口を効果的に閉じ、外からの光が開口に入らないように遮断し、光感知中にカセット配置部に外部からの光が進入すること感知動作の妨げになることを防ぎ、その結果、プロセッサが映像信号を誤って判断するリスクが低減する。
【0069】
また、本実施形態によれば、医療スタッフ(オペレータやサンプルを取り扱う試験官)が光学検出装置を操作すると、カバーが開口を完全に閉じるため、テストカセットに置かれた検体中のウイルスが飛散して拡散してしまうのを防ぎ、医療スタッフの安全を守ることができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、光学検出装置はドッキングセンサーを備えており、カバーが完全に閉じられていない場合、発光素子は作動しない。このため、外部からの光線が開口から侵入してしまうリスクの下で光センシングが行われることを避けることができ、プロセッサが映像信号の判断を誤るリスクが低減する。
【符号の説明】
【0071】
100、100a~100g 光学検出装置
11 ベース
111 開口
112 リブ
12 カセット配置部
13 カバー
131 本体
132 第2のドッキング構造
134 トグル部
135 ねじりばね
14 支え台
141 第1のドッキング構造
142 スリップ部
2 プロセッサ
3 光学センサー
31 発光素子
32 光受信素子
4 アクチュエータ
5 位置検出器
6 接近センサー
7 ドッキングセンサー
8 タッチモジュール
9 ディスプレイモジュール
10 光センサー
200 テストカセット
D 水平方向
H 垂直方向
図1
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