(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】粘着フィルム転写コーティング及び発光デバイスの製造における使用
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20231124BHJP
【FI】
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2022568533
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2021032243
(87)【国際公開番号】W WO2021231722
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドーナー,エマ
(72)【発明者】
【氏名】ベーシン,グリゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ロイトマン,ダニエル ビー.
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168808(JP,A)
【文献】特開2017-028010(JP,A)
【文献】特開2014-110333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスを形成する方法であって、
蛍光体の上にコンバータ層接合デバイスを整列させることであって、前記コンバータ層接合デバイスは剥離ライナーに接着された接着層を有する、整列させることと;
前記接着層及び前記蛍光体を高温で接触させることであって、前記高温は、前記接着層が前記蛍光体に接着する温度である、接触させることと;
前記蛍光体に接着された前記接着層を冷却することと;
前記接着層から前記剥離ライナーを除去することと;
1つ又は複数のLEDダイを前記蛍光体の反対側の前記接着層に接触させることと;
前記接着層を硬化させ、前記1つ又は複数のLEDダイと前記蛍光体との間にボンド層を形成するように、前記接着層、前記1つ又は複数のLEDダイ、前記蛍光体を加熱することと;
を含む、
方法。
【請求項2】
前記接着層は、前記高温より低い第1の温度で固体且つ非接着性である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の温度における前記接着層の複素剪断弾性率G
*(1Hzにおける)が100KPaより大きく、前記高温における前記接着層のG
*(1Hzにおける)が1KPaから100KPaの間である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着層及び前記蛍光体を高温で接触させることは、前記コンバータ層接合デバイス及び前記蛍光体
を真空
引きすることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光体及び前記1つ又は複数のLEDダイ間の前記ボンド層をダイシングすることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記剥離ライナーを除去した後、前記蛍光体及び前記接着層をn×mアレイに切断することをさらに含み、前記1つ又は複数のLEDダイを前記蛍光体の反対側の前記接着層と接触させることは、前記1つ又は複数のLEDダイの各々をn×mアレイと接触させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンバータ層接合デバイスの前記接着層にチャネルを切断することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
発光デバイスを形成する方法であって、
蛍光体の上にコンバータ層接合デバイスを整列させることであって、前記コンバータ層接合デバイスは剥離ライナーに接着された接着層を有する、整列させることと;
前記接着層及び前記蛍光体を高温で接触させることであって、前記高温は、前記接着層が前記蛍光体に接着する温度である、接触させることと;
前記蛍光体に接着された前記接着層を冷却することと;
前記接着層から前記剥離ライナーを除去することと;
前記接着層の上に第2のコンバータ層接合デバイスを整列させることであって、前記第2のコンバータ層接合デバイスは、第2の剥離ライナーに接着された第2の接着層を有し、前記第2の剥離ライナーの反対側の前記第2の接着層の第1の表面は、前記蛍光体の反対側の前記接着層の第2の表面に面する、整列させることと;
前記第2の接着層の前記第1の表面及び前記蛍光体の反対側の前記接着層の前記第2の表面を第2の高温で接触させることであって、前記第2の高温は、前記第2の接着層が前記接着層に接着する温度である、接触させることと;
前記接着層に接着された前記第2の接着層を冷却することと;
前記第2の接着層から前記第2の剥離ライナーを除去することと;
1つ又は複数のLEDダイを前記接着層の反対側の前記第2の接着層の表面に接触させることと;
前記接着層及び前記第2の接着層を硬化させ、前記1つ又は複数のLEDダイと前記蛍光体との間に多層ボンド層を形成するように、前記接着層、前記第2の接着層、前記1つ又は複数のLEDダイ、及び前記蛍光体を加熱することと;
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年5月14日に出願された“Adhesive Film Transfer Coating and Use in the Manufacture of Light Emitting Devices”と題する米国出願番号第16/874,529号、及び2020年6月4日に出願された“Adhesive Film Transfer Coating and Use in the Manufacture of Light Emitting Devices”と題するEP出願番号第20178283.6号の優先権を主張しており、これらの出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、発光デバイス(LED)ダイに蛍光体を取り付けるための発光デバイス(LED)の製造に使用されるデバイス及び方法、並びにデバイス及び方法を使用して形成されるLEDに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体発光ダイオード及びレーザーダイオード(ここでは総称して「LED」と呼ぶ)は、現在利用可能な最も効率的な光源の1つである。LEDの発光スペクトルは、一般的に、デバイスの構造及びそれが構成される半導体材料の組成によって決定される波長において単一の狭いピークを示す。デバイス構造と材料システムの適切な選択により、LEDは、紫外線、可視光、又は赤外線の波長で動作するように設計され得る。
【0004】
LEDは、LEDから放出される光を吸収し、それに応じてより長い波長の光を放出する1つ又は複数の波長変換材料(本明細書では一般に「蛍光体」と呼ぶ)と組み合わされることがある。このような蛍光体変換LED(「pcLED」)では、蛍光体によって吸収されるLEDによって放射される光の割合は、LEDによって放射される光の光路中の蛍光体材料の量、例えばLEDの上又は周囲に配置された蛍光体層の蛍光体材料の濃度及び層の厚さに依存する。蛍光体は、LEDによって放射される光の経路に配置されたシリコーンマトリックスに埋め込まれることがある。
【0005】
蛍光体変換LEDは、LEDによって放射される光のすべてが1つ又は複数の蛍光体によって吸収されるように設計されている場合があり、その場合、pcLEDからの発光は完全に蛍光体からである。このような場合、蛍光体は、例えば、LEDによって直接効率的に生成されない狭いスペクトル領域の光を放射するように選択されることがある。
【0006】
代替的には、pcLEDは、LEDによって放射される光の一部のみが蛍光体によって吸収されるように設計される場合があり、その場合、pcLEDからの放射は、LEDによって放射された光と蛍光体によって放射された光の混合である。LED、蛍光体、及び蛍光体組成の適切な選択により、このようなpcLEDは、例えば、所望の色温度及び所望の演色性を有する白色光を放射するように設計することができる。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、コンバータ層接合デバイス(converter layer bonding device)が、剥離ライナー(release liner)と、剥離ライナーをコーティングする接着層とを含み、接着層は、第1の温度において固体且つ非接着性であり、第1の温度より高い高温において接着性である。接着層は10μm未満の厚さを有し得る。接着層は0.3μmから2μmの間の厚さを有し得る。接着層は、高温で基板に接合するように構成され得、剥離ライナーは、接着層が基板に接合された後に除去可能であるように構成され得る。接着層は、基板と、基板の反対側の接着層と接触する蛍光体との間にボンド層(bond layer)を形成するように構成され得る。
【0008】
別の態様では、コンバータ層接合デバイスを形成する方法が、接着剤混合物(adhesive mixture)を形成するように接着剤材料と溶剤(solvent)を混合することと、剥離ライナーのシートを接着剤混合物でコーティングすることと、接着層を形成するように剥離ライナーの上にコーティングされた接着剤混合物から溶剤を乾燥させることとを含み、接着層は第1の温度において固体且つ非接着性であり、第1の温度より高い温度において接着性である。
【0009】
さらに別の態様では、発光デバイスが、発光ダイオードと、蛍光体と、発光ダイオードと蛍光体との間且つ発光ダイオード及び蛍光体に接触するボンド層とを含み、ボンド層は発光ダイオードを蛍光体に接合するように構成され、ボンド層は均一な厚さを有し、厚さは10%未満で変化する。ボンド層の厚さは10μm未満であり得る。ボンド層の厚さは0.3μmから2μmの間であり得る。ボンド層は透明であり得る。ボンド層と接触する蛍光体や発光ダイオードの表面は表面粗さを有し得、ボンド層は均一な厚さを維持しながら表面粗さに適合し得る。蛍光体の端(edge)とボンド層の端は同一平面上に整列し(align)得る。ボンド層は複数のチャネルを含み得、それらのチャネルはボンド層の端に開口部を有し得る。
【0010】
さらに別の態様では、発光デバイスは、シングルチップに搭載された複数の個別にアドレス指定可能な発光ダイオード、複数の蛍光体タイル、及び個別にアドレス指定可能な発光ダイオードと蛍光体タイルのそれぞれの間のボンド層を含み得、ボンド層は均一な厚さを有し、その厚さは、シングルチップ全体にわたって各個別にアドレス指定可能な発光ダイオードと蛍光体タイルとの間で、10%未満で変化する。ボンド層の厚さは10μm未満であり得る。ボンド層の厚さは0.3μmから2μmの間であり得る。ボンド層は透明であり得る。複数のLEDダイはタイルに取り付けられ、複数のLEDダイの一部は、複数のLEDダイの別の部分から変化するタイルからの高さを有し得、ボンド層は複数のLEDダイ上で均一な厚さを維持する。ボンド層に接触する複数の蛍光体タイルの表面は、表面粗さを有し得、ボンド層は均一な厚さを維持しながら表面粗さに適合し得る。ボンド層に接触する複数の発光ダイオードの表面は、表面粗さを有し得、ボンド層は均一な厚さを維持しながら表面粗さに適合し(conforms)得る。ボンド層は複数のチャネルを含み得る。複数のチャネルは、ボンド層の端に開口部を有し得る。ボンド層は、複数の蛍光体タイルと接触する第1のボンド層と、複数の発光ダイオード及び第1のボンド層と接触する第2のボンド層を含み得る。第1のボンド層は、第2のボンド層とは異なる物理的特性を有し得る。第1のボンド層は複数のチャネルを含み得る。第1のボンド層は、第2のボンド層とは異なる屈折率を有し得る。
さらに別の態様では、発光デバイスを形成する方法は、蛍光体の上にコンバータ層接合デバイスを整列させることであって、コンバータ層接合デバイスは、剥離ライナーに接着される接着層を含み、剥離ライナーの反対側の接着層の第1の表面は蛍光体の表面に面する、整列させることと、接着層の第1の表面及び蛍光体の表面を高温で接触させることであって、高温は、接着層が蛍光体に接着する温度である、接触させることと、蛍光体に接着された接着層を冷却することと、接着層から剥離ライナーを除去することと、1つ又は複数のLEDダイを第1の表面の反対側の接着層の第2の表面と接触させることと、接着層を硬化させ、LEDダイと蛍光体との間にボンド層を形成するように接着層、LEDダイ、及び蛍光体を加熱することとを含む。接着層は、高温未満の第1の温度において固体且つ非接着性であり得る。第1の温度における接着層のG*(1Hzにおける)は100KPaより大きくてもよく、高温における接着層のG*(1Hzにおける)は1KPaから100KPaの間であってもよい。接着層の第1の表面及び蛍光体の表面を高温で接触させることは、コンバータ層接合デバイス及び蛍光体に真空を印加することを含み得る。この方法はさらに、蛍光体とLEDダイ間の接合層をダイシングすることを含み得る。この方法はさらに、剥離ライナーを除去した後、蛍光体及び接合層をn×mのアレイに切断することを含み、蛍光体の反対側の接着層に1つ又は複数のLEDダイを接触させることは、各LEDダイをn×mのアレイに接触させることを含む。この方法はさらに、コンバータ層接合デバイス上の接着層にチャネルを切断することを含み得る。この方法はさらに、1つ又は複数のLEDダイを接着層と接触させる前に、第2のコンバータ層接合デバイスを接着層の上に整列させることであって、第2のコンバータ層接合デバイスは、第2の剥離ライナーに接着された第2の接着層を有し、第2の剥離ライナーの反対側の第2の接着層の第1の表面は接着層の第2の表面に面する、整列させることと、第2の接着層と蛍光体の反対側の接着層の表面を高温で接触させることであって、高温は、第2の接着層が接着層に接着する温度である、接触させることと、接着層に接着された第2の接着層を冷却することと、第2の剥離ライナーを第2の接着層から除去することと、LEDダイを接着層の反対側の第2の接着層の表面と接触させることとを含み得る。
【0011】
さらに別の態様では、発光デバイスを形成する方法が、複数のLEDダイをタイルに取り付けることと、複数のLEDダイの上にコンバータ層接合デバイスを整列することであって、コンバータ層接合デバイスは剥離ライナーに接着される接着層を有し、剥離ライナーの反対側にある接着層の第1の表面が、タイルの反対側にある複数のLEDダイの表面に面する、整列することと、接着層の第1の表面及び複数のLEDダイの表面を高温で接触させることであって、高温は、接着層がLEDダイに接着する温度である、接触させることと、複数のLEDダイに接着された接着層を冷却することと、接着層から剥離ライナーを除去することと、各LEDダイに接着された接着層の一部を残し、接着層の残りの部分を剥離ライナーとともに除去することと、複数の蛍光体タイルをそれぞれ、複数のLEDダイのそれぞれに接着された接着層の一部に接触させることと、接着層を硬化させ、LEDダイと蛍光体の間にボンド層を形成するように接着層、LEDダイ、および蛍光体を加熱することとを含む。接着層は、高温未満の第1の温度において固体且つ非接着性であり、高温において接着性である。接着層の第1の表面及び複数のLEDダイの表面を高温で接触させることは、コンバータ層接合デバイス及び複数のLEDダイに真空を印加することを含む。タイルからの複数のLEDダイのそれぞれの高さは変化し、ボンド層は均一な厚さを有し、厚さは複数のLEDダイにわたって10%未満で変化する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】マイクロLEDの一例を示す平面図である。
【
図1B】マイクロLEDの一例を示す断面図であり、
図1AのA-A線を通って取られている。
【
図2】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを示す断面図である。
【
図3A】コンバータ層接合デバイスを作成する方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【
図3B】コンバータ層接合デバイスを作成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図3C】コンバータ層接合デバイスを作成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図3D】コンバータ層接合デバイスを作成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図4A】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを使用する方法の1つの例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【
図4B】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを使用する方法の1つの例示的な実施形態を示す。
【
図4C】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを使用する方法の1つの例示的な実施形態を示す。
【
図4D】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを使用する方法の1つの例示的な実施形態を示す。
【
図4E】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを使用する方法の1つの例示的な実施形態を示す。
【
図5A】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図5B】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図5C】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図5D】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図5E】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図6A】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図6B】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図6C】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図6D】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図6E】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図7A】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図7B】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図7C】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図7D】本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイスの別の例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスを示す。
【
図8A】例示的な実施形態によるパターニングされたコンバータ層接合デバイスを示す断面図である。
【
図8B】例示的な実施形態によるパターニングされたコンバータ層接合デバイスを示す平面図である。
【
図9A】本明細書に開示されているパターニングされたコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスの応用例を示す。
【
図9B】本明細書に開示されているパターニングされたコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスの応用例を示す。
【
図9C】本明細書に開示されているパターニングされたコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスの応用例を示す。
【
図9D】本明細書に開示されているパターニングされたコンバータ層接合デバイスの例示的な適用及び結果として得られるpcLEDデバイスの応用例を示す。
【
図10A】積層接着層を持つコンバータ層接合デバイスの適用の例示的な実施形態を示す。
【
図10B】積層接着層を持つコンバータ層接合デバイスの適用の例示的な実施形態を示す。
【
図10C】積層接着層を持つコンバータ層接合デバイスの適用の例示的な実施形態を示す。
【
図10D】積層接着層を持つコンバータ層接合デバイスの適用の例示的な実施形態を示す。
【
図10E】積層接着層を持つコンバータ層接合デバイスの適用の例示的な実施形態を示す。
【
図11A】多層コンバータ層接合デバイスを形成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図11B】多層コンバータ層接合デバイスを形成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図11C】多層コンバータ層接合デバイスを形成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図11D】多層コンバータ層接合デバイスを形成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図11E】多層コンバータ層接合デバイスを形成する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図12A】例示的な実施形態によるコンバータ層接合デバイスを使用して付けられた基板上のボンド層の例を示す。
【
図12B】従来の方法で基板に付けられた接着層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、そこでは、同じ参照番号が異なる図面全体で同様の要素を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、選択的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定ではなく、例として示している。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「下に」、「下の」、「下方」、「上の」、「上方」などのような空間的に相対的な用語は、図に示されているように、1つの要素又は特徴と別の要素(複数可)又は特徴(複数可)との関係を説明するために、説明を容易にするために本明細書では使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを含むことを意図していることが理解される。例えば、図の装置を裏返すと、他の要素又は特徴の「下の」又は「下に」と記載されている要素は、他の要素又は特徴の「上」に向けられる。したがって、例えば、「下」という用語は、装置の向きに依存して、上と下の向きの両方を含むことができる。装置は、それ以外に向けられてもよく(90度回転又は他の方向)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0015】
発光ピクセルアレイは、例えばLEDのような多数の小さい発光デバイスがシングルチップに配列された発光デバイスである。発光ピクセルアレイ内の個々のLED又はピクセルは、個別にアドレス指定可能である場合がある、アレイ内のピクセルのグループ又はサブセットの一部としてアドレス指定可能である場合がある、又はアドレス指定できない場合がある。したがって、発光ピクセルアレイは、光の分布のきめ細かい強度、空間的、及び時間的な制御を必要とする、又はその恩恵を受けるあらゆる用途に有用である。これらの用途は、ピクセルブロック又は個々のピクセルからの放射された光の正確な特殊パターニングが含まれるが、これに限定されない。用途に応じて、放射された光はスペクトル的に区別され、時間の経過とともに適応し、及び/又は環境に応答し得る。発光ピクセルアレイは、さまざまな強度、空間的、又は時間的パターンで事前にプログラムされた光の分布を提供し得る。放射された光は、少なくとも部分的には受信したセンサデータに基づき得、光無線通信に使用され得る。関連する電子機器と光学機器は、ピクセル、ピクセルブロック、又はデバイスレベルで区別され得る。
【0016】
発光ピクセルアレイの適用範囲は広い。発光ピクセルアレイ照明器具は、選択的ピクセル活性化及び強度制御に基づいて異なる照明パターンを投影するようにプログラムできる照明器具を含むことができる。このような照明器具は、可動部分を使用せずに単一の照明装置から複数の制御可能なビームパターンを供給することができる。通常、これは1D又は2Dアレイ内の個々のLEDの輝度を調整することによって行われる。光学機器は、共有であれ個別であれ、オプションで特定のターゲット領域に光を向けることができる。
【0017】
発光ピクセルアレイが、視覚的な表示を改善するため又は照明コストを削減するために、建物や領域を選択的且つ適応的に照明するために使用され得る。加えて、発光ピクセルアレイは、装飾的な動き又はビデオ効果のためにメディアファサードを投影するために使用され得る。追跡センサ又はカメラと組み合わせて、歩行者の周囲の領域の選択的な照明が可能であり得る。スペクトル的に異なるピクセルを使用して、照明の色温度を調整し、波長固有の園芸照明をサポートし得る。
【0018】
街路照明は、発光ピクセルアレイの使用から大きな利益を得る可能性のある重要な用途である。単一タイプの発光アレイを使用して、さまざまな街路灯のタイプを模倣することができ、例えば、選択されたピクセルの適切な活性化又は非活性化によってタイプIの線状(linear)街路灯及びタイプIVの半円(semicircular)街路灯を切り替えることを可能にする。加えて、環境条件又は使用時間に応じて光ビーム強度又は分布を調整することによって、街路灯のコストが下げられ得る。例えば、歩行者がいない場合は、光の強度及び分布の面積が減少し得る。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に異なる場合、光の色温度は、それぞれの昼光、薄明、又は夜間の条件に応じて調整され得る
【0019】
発光アレイはまた、直接又は投影ディスプレイを必要とするアプリケーションをサポートするのにも適している。例えば、警告、緊急、又は情報標識はすべて、発光アレイを使用して表示又は投影され得る。これは、例えば、色が変化する又は点滅する出口標識が投影されることを可能にする。発光アレイが多数のピクセルで構成されている場合は、テキスト又は数値情報が表示され得る。方向矢印又は同様の指示もまた提供され得る。
【0020】
車両のヘッドランプは、大きいピクセル数と高いデータリフレッシュレートを必要とする発光アレイアプリケーションである。車道の選択されたセクションのみを能動的に照らす自動車用ヘッドライトは、対向車のドライバーの眩しい光又は眩しさに関連する問題を軽減するために使用することができる。赤外線カメラをセンサとして使用するとき、発光ピクセルアレイは、道路を照らすために必要なピクセルのみを活性化し、一方、歩行者又は対向車のドライバーを眩惑する可能性のあるピクセルを非活性化する。加えて、ドライバーの周囲の認識(driver environmental awareness)を向上させるために、道路外の歩行者、動物、又は標識が選択的に照らされ得る。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に異なる場合、光の色温度はそれぞれの昼光、薄明、又は夜間の条件に応じて調整され得る。いくつかのピクセルは、光無線車々間通信に使用され得る。
【0021】
発光ピクセルアレイの一種の一例はマイクロLEDであり、μLEDとも呼ばれる。
図1A及び1BBはマイクロLEDの一例を示している。
図1Aは、マイクロLEDアレイ110の平面図を、LEDアレイ110の3×3部分の分解図とともに示している。
図1Aでは、各正方形111は単一のLED、又はピクセルを表す。3×3部分の分解図に示されているように、LEDアレイ110は、30μmから500μmの間、例えば約100μm以下、例えば40μmであり得る、幅w1を持つピクセル111を含み得る。ピクセルの間のギャップ、又はレーン113は、30μmから500μmの間、例えば、約20μm以下、例えば5μmであり得る、幅w2によって区切られ得る。レーン113は、
図1Bに示すように、ピクセル間のエアギャップを提供し得る又は他の材料を含み得る。1つのピクセル111の中心から隣接するピクセル111の中心までの距離d1は、約120μm以下(例えば、45μm)であり得る。このようなマイクロLEDアレイは、面積の大きさは異なり得るが、例えばセンチメートルの範囲の面積を有し得る基板上に一緒に配置された数百、数千、又は数百万のLEDを有し得る。ここで示されている幅及び距離はあくまで例であり、実際の幅及び/又は寸法は異なる可能性があることを理解されたい。例えば、幅w2は、まばらなマイクロLEDを形成するために少なくともミリメートルのオーダーであり得るが、それより大きくても小さくてもよい。
【0022】
対称マトリックスに配置された長方形のピクセルが
図1A及び1Bに示されているが、任意の形状及び配置のピクセルを、本明細書に開示される実施形態に適用することができることが理解されるだろう。例えば、
図1AのLEDアレイ110は、100×100マトリックス、200×50マトリックス、対称マトリックス、非対称マトリックスなどの任意の適用可能な配列の1万ピクセルを含み得る。また、本明細書に開示される実施形態を実装するために、ピクセルの複数のセット、マトリックス、及び/又はボードが任意の適用可能な形式で配置され得ることも理解される。
【0023】
マイクロLEDはpcLEDから形成できる。マイクロLEDを形成する1つの方法は、当技術分野で知られているように、エピタキシャル成長を使用してフリップチップ構造のダイ上に複数の個別のLED110を形成することである。
図1Bは、
図1Aの線AAを通って取られた1種類のマイクロLEDデバイスの一部の側面図を示している。
【0024】
図1Bはピクセル111及びレーン113を示している。各ピクセル111はLEDダイ140で形成され、例えばチップ120の上に配置され、これはLEDダイ140に電気信号を提供し得る。蛍光体163が、LEDダイ140を覆って、LEDダイ140上にある。蛍光体163は、マトリックスに含まれる蛍光体粒子、例えばシリコーンに含まれるガーネット粒子で形成され得る。代替的に、又は追加的に、蛍光体163は、Lumiramic(商標)などの高密度焼結蛍光体セラミックを含む。一例では、個々のLEDは青色光を生成し、蛍光体は青色光を白色光に変換して、約5700KのCCTでモノクロ白色のマイクロLEDを生成する。
図1Bは、LEDダイ140とLEDダイ140の間のギャップ113の両方をカバーする単一のプレートとして蛍光体163を示している。ただし、以下の例でより詳細に示すように、蛍光体163は単一化され、個々のLEDダイ140だけをカバーしてもよい。
【0025】
マイクロLEDを含むpcLEDを形成する1つの方法は、蛍光体変換材料をタイル(プレート、プレートレット、ウエハー、フィルム又は他の形状と呼ばれることもある)に、例えばLumiramic(商標)を蛍光体163として別々に形成することである。蛍光体タイルとも呼ばれる蛍光体は、その後、別々に形成されたLEDダイ又は複数のLEDダイに取り付け又は接合される。
【0026】
蛍光体タイルは、通常、LEDダイと蛍光体との間に配置された接着剤の層を使用して、LED又は基板に取り付け又は接合される。この接着層の寸法及び均一性は、デバイスの光学的及び熱的性能だけでなく、その機械的堅牢性にとっても重要である。
【0027】
現在の製造では、この接着層を付ける(apply)ためにいくつかの異なる方法が使用されている。1つのアプローチは、LEDダイの表面に少量の接着剤溶液(通常はシリコーンと溶剤を含む液体)を分配する(dispense)ことである。次に、蛍光体プレートをダイの上に配置する。その後、接着剤溶液の液滴がプレートの端から流れ出て、乾燥して硬化すると、ダイと蛍光体の間に細いボンドライン(bond-line)が形成される。もう1つのアプローチは、スピンコーティング、スプレーコーティング、又はエアロゾル-ジェット印刷などの方法で、連続した蛍光体ウエハー又はフィルムに同様の接着剤溶液をコーティングすることである。蛍光体のウエハー又はフィルムをコーティングした後、蛍光体を単一化してプレートを形成し、それを次にLEDダイに取り付けて接着フィルムを硬化させる。これらの方法の各々にはそれぞれ欠点がある。
【0028】
接着剤溶液塗布アプローチでは、セラミック蛍光体とダイとの間の最終的なギャップは、典型的には、以下のような要因の組み合わせによって決定される:接着剤溶液の表面張力及び粘度、「ピックアンドプレース」ツールの力及び時間、液滴の体積、ダイの表面の中心に対する液滴の位置、ダイの温度、液滴分配と貼り付けとの間の経過時間、溶剤蒸発速度。残念ながら、これは制御が困難な複雑なプロセスであり、したがって、デバイス間の平均厚さの大きなばらつきと、各デバイス内の大きなばらつきが生じる。加えて、これは連続的なプロセスであり(各接着剤溶液の液滴は順次分配され)、これはスループットを低下させる。このプロセスはまた、必要な接着剤の体積が非現実的に小さいため、マイクロLEDには十分に対応しない。蛍光体ウエハー又はフィルムを最初に接着剤でコーティングし、次に単一化するアプローチでは、表面粗さが接着層の不均一性につながる可能性がある。表面が滑らかであっても、フィルムのコンバータ層の表面エネルギが低すぎる又は変動しすぎる場合、接着剤溶液がコーティングを部分的にぬらさない(de-wet)ことがあり、不完全な層につながる。
【0029】
図2は、pcLEDを形成するために使用することができ、特にマイクロLEDのような発光ピクセルアレイを形成するために有用なコンバータ層接合デバイス200を示している。コンバータ層接合デバイス200は、接着層220でコーティングされた剥離ライナー210を含む。
【0030】
剥離ライナー210は、概して柔軟なシートの形にあり、接着層220を保持することができ、(下の
図4A~4Dに示すように)動作中に接着層220を剥離する(releasing)ことができる任意の材料であり得る。したがって、剥離ライナー210は、接着層220が剥離ライナー210を均等にコーティングするように、及び接着層220が基板に転写された後に剥離ライナー210が接着層220からきれいに剥離できるように最適化(例えば、粗さ、滑り、表面エネルギについて)され得る。剥離ライナー210は、例えば、PANAC Corporation SP-PET-50-01 BUのような、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)のような柔軟な材料のシートであり得る。剥離ライナー210は、剥離ライナー210と接着層220との間に位置する転写コーティング(図示せず)でコーティングされ得、これは接着層220の剥離を高める。このような転写コーティングは、例えば、シリコーン化された剥離コーティング(siliconized release coating)であり得、その例は、PETライナー上のPANAC CorporationのPDMS剥離コーティングを含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Dow White Paper “Release Force Understanding - Recent Findings”
by R. Ekeland, J. Tonge, and G.Gordon, 2018, The Dow Chemical Companyにさらに説明されている。特に、剥離ライナー210が除去されるとき(下記の例に示すように)、接着層220の基板へのきれいな転写を確実にするために、接着層220と剥離ライナー210との間の剥離強度は30N/m未満、例えば1~5N/mの間であり得る。
【0031】
接着層220は、基材に転写され、接合層を形成する(下の
図4A~4Dに示すように)接着剤である。接着層220を形成するために使用される材料は、以下の特性を有するように選択され得る。第1は、材料が剥離ライナー210に均一にコーティングして、コンバータ層接合デバイス200を形成できることである。第2は、この材料は、乾燥し、粘着性がなく、比較的硬い、すなわち、第1の低い温度、例えば、室温で流動しない、接着層220を形成することである。すなわち、室温、例えば15~25°Cなどの第1の温度では、接着層220は、それが形成された剥離ライナー210に接着しているものの、蛍光体タイル又はLEDダイなどの基板に取り付けるのに十分な粘着性がない。例えば、室温などの第1の温度での接着層220は、G
*(1Hzにおいて)>100KPa(O.IMPa)、例えばG
*>300KPa(0.3 MPa)のダールキスト基準(Dahlquist Criterium)に従う場合がある。第3は、接着層220を形成する材料は高温で粘着性になり且つリフローする(reflows)。すなわち、熱が接着層220に加えられると接着剤となり、その後基板に貼り付けることができる。例えば、高温は、接着層220のG
*(1Hzにおける)がG
*=1KPaからG
*=100KPaの間になり、タンデルタ(tan delta)が典型的には0.5から3.0の間、例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°Cであるように選択される。第4は、接着層220を形成するために使用される材料が、蛍光体とターゲット基板との間に強い接合を提供するボンド層を形成することができることである。ボンド層は透明であり得る、又は、以下により詳細に開示されるように、散乱、R1勾配、及び放射率などの追加の光学的特性を有し得る。
【0032】
特に、接着層220は、第1の低い温度において基板に取り付けるのに十分な接着性を持たない場合があるが、高温では蛍光体やLEDダイなどの基板に取り付けるのに十分な接着性を有するようになり、冷却後は、剥離ライナーが容易に除去され得るように、剥離ライナー210よりも基板への高い付着を有する。
【0033】
接着層220の厚さTは、最終デバイスのボンド層の所望のターゲット厚さに一致するように選択され、0.3μmから30μmの範囲、例えば10μm未満、0.3μmから2μmの範囲であり得る。接着層220はまた、層全体で厚さTが均一になるように形成され、Tは、例えば、接着層220全体で20%未満、例えば10%未満の偏差(変動)を有する。接着層220を形成するために使用される材料は、例えばシロキサン接着剤であり得る。
【0034】
図3A~3Dは、コンバータ層接合デバイス200を作る方法のフローチャート及び図解を示す。S310において、上記のように剥離特性を高めるため、使用されることになる剥離ライナーはシリコーンコーティング(siliconized coating)でコーティングされ得る。S320において、接着剤混合物302が、接着剤材料を溶剤、例えば、メチルフェニルシロキサン(例えば、信越化学工業の「LPS-9501 D」など)及びシクロヘキサノンのような樹脂及び溶剤を10:1から1:1の間の質量比で混合することによって調製され(prepared)得る。接着剤材料及び溶剤の濃度は、接着剤混合物302の所望の粘度を達成するために選択され得る。接着剤混合物302の粘度は、コンバータ層接合デバイス200内の接着層220の所望の厚さTを達成しながら、剥離ライナー210の濡れを最適化するように選択され得る。例えば、接着剤混合物302の粘度は70から3,000mPa’s(又はcP)の間の範囲である。
【0035】
図3Bに示すように、S330において、接着剤混合物302が剥離ライナー210の上にコーティングされる。剥離ライナー210を所望の厚さで接着剤混合物302の均一な層で適切にコーティングすることができる任意の方法、例えば、スピンコーティング、グラビアコーティングなどが使用され得る。
図3Bは、剥離ライナー210を接着剤混合物302でコーティングするスピンコーティングプロセスを一例として示している。
図3Bでは、剥離ライナー210は、スピンコーティングサポート307上に配置され、接着剤混合物302が当業者に知られているようにノズル305から被着される(deposited)。
【0036】
図3Cに示すように、S340において剥離ライナー210にコーティングされた接着剤混合物302を乾燥させて溶剤を除去する。使用する接着剤に依存して、S350において接着剤混合物を追加的に硬化させて材料を安定させ、その後のコンバータ層接合デバイスからの転写の均一性を向上させることができる。得られたコンバータ層接合デバイス200を
図3Dに示す。このプロセスにより、薄く(4μm未満であり得る)、均一で、欠陥がなく、0.1mから3mの幅、且つロールのように数十mから数千mのような広い面積で作ることができる接着層220が得られる。なお、大面積コーティングには、グラビアコーティング技術のようなロールツーロール方式が用いられることがある。
【0037】
図4A~4Eは、コンバータ層接合デバイス200を使用する方法の一例のフローチャート及び図解を示している。接着層220を基板415に転写するために、真空積層プロセスが使用され得る。
【0038】
図4Bに示すように、S410において、コンバータ層接合デバイス200は基板415の上に整列され得る。
図4Bに示すように、コンバータ層接合デバイス200の接着層220は、接着層220が塗布されることになる基板415の表面417に面している。
【0039】
図4Cに示すように、S420において、コンバータ層接合デバイス200と基板415に真空が印加され得、S430において、コンバータ層接合デバイスは高温で基板に接触させられ得る。使用される温度は、接着層を形成する特定の接着材料に依存する。一般に、温度は、接着層220が流れて基板415に付着するのに十分粘着性、すなわち接着性になるようにするよう十分高い。高温は、G
*(1Hzにおける)がG*=1KPaからG*=100KPaの間にあり、タンデルタは典型的には0.5から3.0の間になるように選択され得る。同時に、温度は、接着層220がその形状及び基板415の被覆(coverage)を維持するように、過剰な流動を防ぐのに十分低くなるべきである。次に、コンバータ層接合デバイス200が取り付けられた基板415は、例えば室温に戻るまで冷却され得る。
【0040】
図4Dに示すように、S440において、接着ライナー220が冷却されると、剥離ライナー210が除去され得、基板415上に接着剤の連続層を残す。接着層220は、熱処理後、剥離ライナー210よりも強固に基材に接着されているため、剥離ライナー210は、例えば基板415に接着されている接着層220を剥離することによって機械的に除去され得る。前述のように、クリーンな転写を確実にするために、剥離ライナーは、30N/m未満、例えば1-5N/mの接着層220と剥離ライナー210との間の剥離強度を有するように設計され得る。接着層220は、剥離ライナー210の除去後、基板415上に残る。
【0041】
図4Eに示すように、S450において、基板415に接合されることになるサンプル430を転写接着層220に接触させ得る。熱が加えられて接着層を硬化させ、基板415とサンプル430との間にボンド層420を形成し得る。その後、接合された基板415及びサンプル430は冷却され得る。
【0042】
得られるボンド層420の厚さは非常に薄く、0.3μmから30μmの間、例えば0.3μmから2μmの間であり得る。ボンド層420は、それが付けられる基板の表面にわたって均一な厚さを有し、ボンド層全体の厚さの変動は20%未満、例えば10%未満であり得る。例えば、厚さが1μmのボンド層420の場合、基板415とサンプル430との間のボンド層全体の厚さの変動は、20%の変動では+/-0.2μm未満であり、10%の変動では+/-0.1μmである。追加的に、例えばマイクロLEDのような発光ピクセルアレイを作るために使用されるように、基板415が多数の微小LEDダイが形成される比較的大きい面積を有する場合、接着層220及びそれに続くボンド層420は、デバイスの全領域にわたって薄く且つ均一なボンド層を提供し、多数の微小発光体を形成する。したがって、数千から数百万個の個別にアドレス可能なLEDを持つマイクロLEDで、例えば1辺あたり5~50μm(25~2,500μm2)の面積又はある程度大きなアレイ、例えば1辺あたり50~500μm(2,500~25,000μm2)の場合、ボンド層420は均一であり、デバイスの性能を向上させる。ここに開示されているコンバータ層接合デバイス200から形成されるボンド層420のさらなる利点は、以下により詳細に説明される。
【0043】
ボンド層420は透明であり得る。ボンド層420はまた、より高い屈折率、増強された光散乱、異なる波長での光吸収又は発光などの追加の光学的、物理化学的又は機械的特性を提供することができる分散粒子及び/又は染料を含み得る。分散粒子及び/又は染料を有するボンド層420を形成するために、粒子及び/又は染料は、コンバータ層接合デバイス200上に接着層220を形成するために使用される接着剤混合物302(S320における)に含まれ得る。
【0044】
図5A~5Eは、接着層が蛍光体に転写された後、ダイアタッチメントが続くコンバータ層接合デバイスの例示的な応用を示している。コンバータ層接合デバイス200は、
図2A~2Dに関して前述したように用意され得る。
【0045】
図5Aでは、例えばLumiramic(商標)タイルのような蛍光体フィルム又はウエハー535がキャリアテープ530に取り付けられ得る。蛍光体ウエハー535は、その後に転写される接着層220の接着力を向上させるためにO
2プラズマ処理され得る。次に、真空ラミネートを使用して、次のように接着層220を蛍光体ウエハー535に転写し得る。
図5Aに示すように、コンバータ層接合デバイス200は、接着層220が蛍光体535に面した状態で蛍光体535の上に整列され得る。
図5Bに示すように、真空が印加され得、その後、コンバータ層接合デバイス200は、接着層220が接着されることになる蛍光体535の表面に接触し得るように、高温(例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°C)で蛍光体535に接触させられ得る。
図5Cに示すように、コンバータ層接合デバイスが冷却されると、剥離ライナー210が除去され得、蛍光体535の後ろに接着層220を残す。
図5Dでは、LEDダイ540は、接着層220に、例えば、当業者に知られているようなピックアンドプレースツールを使用して、取り付けられ得る。LEDダイ540は、LEDダイの発光側が接着層220に面し且つ接着層220に接触した状態で、接着層220上に配置される。その後、接着層220は、透明なボンド層520を形成するように高温(例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°C)で硬化され得る。
図5Dに示すように、蛍光体535は、必要に応じて、各LEDダイ540の間にボンド層520及び蛍光体535を通るスロット550を形成することによって、単一化され得る。
【0046】
図5A~5Eに示されるこの方法は、マイクロLEDのような発光ピクセルアレイを形成するために使用され得る。代表的なLEDダイ540及び接合された蛍光体部分537は、LEDダイの大きいアレイの一部であり得る。
図5Eに示すように、
図5Dに示す発光デバイスは、各LEDダイ540が個別にアドレス指定可能になるように、各LEDダイ540に信号を提供する、基板590などの信号源に電気的に接続され得る。キャリアテープ530は、当業者に知られている方法によって除去され得、蛍光体を多数のLEDダイに取り付ける薄く均一なボンド層420を持つマイクロLEDをもたらす。別の例では、各LEDダイ540は、複数のピクセルを持つダイを表し、蛍光体535は複数の発光ピクセルアレイを形成する蛍光体タイルを表し、有利には、それぞれが一貫した均一な厚さのボンド層520を有する。
【0047】
得られるLEDデバイスはそれぞれ、LEDダイ540に接合された蛍光体部分537を有する。コンバータ層接合デバイス200及び方法は、各LEDダイ540と蛍光体部分537との間に、上記のように0.3μmから30μmの間、例えば1μmから2μmの間の非常に薄く、上記のように非常に均一な厚さのボンド層520を形成することができる。さらに、ボンド層520は、接着層220の形状を実質的に維持し、したがって、LEDダイ540及び蛍光体537の端から流出したり端を越えたりすることはない。さらに、単一化されるとき、ボンド層520はきれいにダイシングされることができ、これはまた、ボンド層の端を蛍光体535及び/又はLEDダイ540の端部と面一にする。
【0048】
図6A~6Dは、接着層が蛍光体に転写され、その後、蛍光体アレイパターニングとLEDダイアタッチメントが続くコンバータ層接合デバイスの例示的な応用を示している。コンバータ層接合デバイス200は、
図2A~2Dに関して上述したように容易され得る。
【0049】
図6Aは、
図5A~5Cに関して上述したように、真空ラミネート法によってキャリアテープ530上の蛍光体535に転写された接着層220を示している。
図6Bに示すように、剥離ライナー210の除去後、蛍光体535及び接着層220は、例えば蛍光体タイル640のn×mアレイにパターニングされ得る。
図6Cは、
図6Bの蛍光体タイル640のn×mアレイの平面図である。蛍光体535及び接着層220のパターニングは、例えば、ソーイング、エッチング、ダイへのマスクの適用、1つ又は複数のレーザーの使用、及び/又は化学処理など、当該技術分野で知られているように、ダイシング、セグメント化、分割、分配、スライス又は区画化の任意の適用可能な方法によって達成され得る。パターニングは、蛍光体タイル640のn×mアレイの個々の蛍光体要素645を形成するために、蛍光体535及び接着層220を通るがキャリアテープ530を通らないスリット615を形成することを含み得る。パターニングはまた、キャリアテープ530を通ってスライスして開口部625を形成することを含み得、これは、複数のアレイが形成されることになる場合、n×mアレイ640を分離する。6Dに示すように、接着層220がLEDダイ660の発光面662に接触するように、n×mアレイ640はLEDダイ660上に配置され得る。LEDダイ660は、この目的のために基板670上にあり得る。関連技術で知られているように、ピックアンドプレースツールが、蛍光体タイル640のn×mアレイをLEDダイ660上に配置するために使用され得る。次にLEDダイ660上のn×mアレイ640は、高温(例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°C)に加熱されて、接着層220を加熱して完全に硬化させ、透明なボンド層620を形成し得る。
【0050】
図6A~6Eに示す方法が使用されて、マイクロLEDを形成し得る。
図6D及び6EのLEDダイ660は、マイクロLEDを形成する多数の微小LEDを含み得、各n×m蛍光体アレイ640は、LEDダイ660内の微小LED661のそれぞれの上に整列され得る。すなわち、LEDダイ660の微小LEDダイピクセル661の寸法及び数は、n×mアレイ640のものと一致する。したがって、この方法を使用して複数のマイクロLEDが形成され得、有利には、それぞれが一貫した均一な厚さのボンド層を有する。
【0051】
図7A~7Dは、タイル上のLEDダイに接着層を転写することを示しており、LEDダイは著しい表面トポグラフィー(significant surface topography)を有する可能性がある。コンバータ層接合デバイス200が、
図2A~2Dに関して上述したように容易され得る。
【0052】
図7Aに示すように、LEDダイ715はタイルなどの基板に取り付けられ得る。これは、LEDダイ715の上部に著しい(100μmより大きい範囲の)高さの変動を作り出す可能性がある。接着層220を転写する前に、LEDダイ表面は、その後に転写される接着層220の接着力を向上させるためにO
2プラズマ処理され得る。
図4A~4Eに関して上述した真空ラミネートは、その後、
図7Bに示すように、接着層220をダイ表面に転写するために使用され得る。
【0053】
コンバータ層接合デバイスが冷却されると、
図7Cに示すように剥離ライナー210が除去され得る。剥離ライナー210の除去は、LEDダイ715の表面772にのみ均一な接着層220を残す。LEDダイ715の間にある接着層220の部分722は、LEDダイ715に接着されておらず、したがって、転写されず、剥離ライナー210に残る。次に、
図7Dに示すように、蛍光体プレートレット725を高温(例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°C)でLEDダイ715上の接着層220に配置して、接着層220を完全に硬化させ、透明なボンド層720を形成し得る。ピックアンドプレースツールが、蛍光体プレートレット725を配置するために使用され得る。
【0054】
図8A及び8Bは、(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているCree(登録商標) XLamp(登録商標) LEDs Chemical Compatibility, CLD-AP63 REV 6A, August, 2018, Cree, Inc.に記載されているように)例えば、褐変を減らし、したがって透明性及びデバイス性能を向上させる酸素透過性を改善するために使用することができる、パターニングされた接着層を有するコンバータ層接合デバイスの断面図及び平面図をそれぞれ、示している。コンバータ層接合デバイス200は、
図2A~2Dに関して上述したように容易され得る。チャネル805の切断は、当業者に知られているように、例えば、ダイシング、レーザーアブレーション又はレーザー切断、及びスタンピングを含む方法によって達成され得、接着層220は室温などの第1の低い温度において比較的固いため可能である。所与のカーフ(kerf)のチャネル805が接着層220に切断されるが、剥離ライナー210はそのまま残される。チャネル805は、空気や純酸素などの周囲ガスが接着層220に通過することを可能にするために、接着層220の端の少なくとも一方で開き得る。チャネルのサイズ及び間隔は、用途に依存し得る。チャネルは、ガスが層に入ることを可能にするのに十分なだけの大きさである場合があり、チャネルに入るガスがボンド層に著しく拡散できるように十分に近い間隔で配置され得るが、接合を弱めるほど多くのチャネルはない又はそのように互いに接近することはない。例えば、幅20μmのチャネルが200μmのピッチで層にダイシングされ得る。得られたパターニングされたコンバータ層接合デバイス800は、本明細書に開示されているコンバータ層接合デバイス200と同様の方法で使用され得る。
【0055】
図9A~9Dは、パターニングされたコンバータ層接合デバイス800の使用を示している。
図9A~9Dでは、蛍光体フィルム又はウエハー935がキャリアテープ930に取り付けられ得る。蛍光体ウエハー935は、チャネル805を有するその後に転写される接着層220の接着力を向上させるためにO
2プラズマ処理され得る。その後、真空ラミネートが、
図5A~5Dに関して上述したように、チャネル805を有する接着層220を蛍光体935上に転写するために使用される。
図9Aに示すように、コンバータ層接合デバイス800を蛍光体ウエハー935に整列させた後、真空が印加され得、その後、チャネル805を備える接着層220が、接合されることになる蛍光体935の表面に接触し得るように、コンバータ層接合デバイス800は、高温(例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°C)で蛍光体935に接触させられ得る。
図9Bに示すように、パターニングされたコンバータ層接合デバイス800が冷却されると、剥離ライナー210が除去され得、蛍光体935上に接着されたチャネル805を有する接着層220を残す。
図9Cに示すように、LEDダイ915は、例えば、当該技術で知られているようなピックアンドプレースツールを使用して、チャネル805を有する接着層220に取り付けられ得る。LEDダイ915は、LEDダイ915の発光側が接着層220に面して接触して接着層220の上に配置され、またチャネル805の上にも配置される。その後、チャネル805を有する接着層220は、高温(例えば50°Cから150°Cの間、例えば100°C)で硬化されて、チャネル805を有する透明なボンド層920を形成し得る。
図9Dに示すように、必要に応じて、各LEDダイ915の間にボンド層920及び蛍光体935を通るスロット975を形成することによって、蛍光体935は単一化され得る。
【0056】
得られたLEDダイ915と蛍光体935との間の透明なボンド層920は、例えば幅20μm、深さ(又は高さ)がボンド層920の厚さTである又はボンド層の厚さTよりも小さく、例えば2μmであり得る、あるアスペクト比の開いたチャネル805を有する。チャネルを持つボンド層、光学特性を修正するために使用される添加剤、チャネルを埋め戻すための第2の材料の使用の他の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、“Fabrication For Precise Line-Bond Control and Gas Diffusion Between LED Components”と題する、米国特許出願番号第16/584,642号に記載されている。これらのチャネル805は、酸素がボンド層920に拡散するための経路長を減少させ得、高屈折率/高フェニル含有シロキサンに起こり得る褐変を減少させる。
図8A及び8Bは複数の直線チャネル805を持つパターンを示しているが、他のパターンが使用されてもよい。また、ここに開示されている用途のいずれにおいても、パターンなしのコンバータ層接合デバイス200の代わりにパターニングされたコンバータ層接合デバイス800を使用してもよい。
【0057】
図10A~10Eは、酸素透過性を向上させるための蛍光体ウエハー上の複数のラミネートプロセスによる積層接着層の適用を示している。
図10Aでは、第1のコンバータ層接合デバイス1080が、(
図3A~3Dに関して説明されているように)第1の剥離ライナー1010上に第1の接着層1020を備えて用意される。第1の接着層1020は、例えば、
図8A~8Bに関して上述したように、チャネル1005を含むようにパターニングされ得る。
図10Bに示すように、チャネル1005を備えた第1の接着層1020は、
図9A~9Bに関して上述したような方法で蛍光体1035に転写され得る。
図10Cに示すように、第2の剥離ライナー1011上に第2の接着層1021を有する第2のコンバータ層接合デバイス1081は次に、第1の接着層1020上に配置され、転写され得る。第2のコンバータ層接合デバイス1081は、
図3A~3Dに関して上述したように用意され得る。第2の接着層1021は、例えばより高い酸素透過性など、第1の接着層1020とは異なる物理化学的特性を有し得る。
図10Cに示すように、第2の接合デバイス1081の第2の接着層1021は、第1の接着層1020と接触するように配置される。その後、真空ラミネートプロセスが繰り返され、第2のコンバータ層接合デバイス1081は、第2の接着層1021が接着性になる高温に加熱し、第1の接着層1020に第2の接着層1021を接着する。次に、第2のコンバータ層接合デバイスは冷却され、第2の剥離ライナー1011が除去され、第2の接着層1021を第1の接着層1020に接着したままにし、蛍光体1035に接着される。このプロセスは繰り返されて、追加の接着層を追加し得る。得られる少なくとも2つの接着層1020及び1021のスタックは、異なる光学的及び/又は物理的特性及び/又は形態を有し得る。
【0058】
図10Eに示すように、LEDダイ1015は、LEDダイ1015の発光側が蛍光体1035の反対側の第2の接着層1021の側に面して接触した状態で、第2の接着層1021に取り付けられ得る。LEDダイ1015は、高温(例えば、100°C)で第2の接着層1021上に配置され得る。この目的のために、当業者には知られているように、ピックアンドプレースツールが使用され得る。その後、第1の接着層1020及び第2の接着層1021の多層接着スタックが完全に硬化されて、第1の接着層1020から形成された第1の接着層1030及び第2の接着層1021から形成された第2の接着層1031を有する多層ボンド層1032を形成する。多層ボンド層1032及び蛍光体1035は、単一化され得る。多層ボンド層1032の結果として得られる部分は、異なる層のそれぞれで異なる特性を有し得る。
図10A~10Eは、1つの層が特定のアスペクト比のチャネル1005を有し、他の層がチャネルを有していない例を示している。チャネル又は/及びスタックの酸素に対する透過性の増加は、ボンド層の酸素濃度の増加をもたらし、高屈折率/高フェニル含有シロキサンに固有の接着剤の褐変を減少させる。多層ボンド層の他の実施形態は、チャネルを有していないが他の異なる物理的性質を有する層、又は両方がチャネルを有するがチャネルが異なる層、例えばパターンの方向や切断の幅、又は両方の層を備えて作られ得る、異なる層は、より高い酸素透過性、屈折率、又は散乱光、光吸収及び発光を含むがこれに限定されないその他の光学的特性など、異なる物理的特性を有し得る。
【0059】
図11A~11Eは、多層接着層を形成する別の方法を示しており、この場合は多層接着層を含むコンバータ層接合デバイスを形成することによる。
【0060】
図3A~3Dに関して上記に開示された方法と同様に、使用される剥離ライナー1110は、上述のように剥離特性を強化するためにシリコーンコーティングでコーティングされ得る(図示せず)。第1の接着剤混合物1102は、第1の接着剤材料を溶剤と混合することによって用意され得る。
図11Aに示すように、第1の接着剤混合物1102は次に、剥離ライナー1110にコーティングされる。例えば、スピンコーティング、グラビア印刷などのような、第1の接着剤混合物1102の均一な層で適切に剥離ライナー1110を所望の厚さでコーティングすることができる任意の方法が使用され得る。
図11Aは、一例として、剥離ライナー1110を第1の接着剤混合物1102でコーティングするスピンコーティングプロセスを示している。
図11Aでは、剥離ライナー1110は、スピンコーティング支持体1105上に配置され、第1の接着剤混合物1102は当業者に知られているようにノズル1107から被着される。
【0061】
図11Bに示すように、剥離ライナー1110にコーティングされた第1の接着剤混合物1102は溶剤を除去するために乾燥される。使用する接着剤に依存して、第1の接着剤混合物1102を追加的に硬化させて、材料を安定させ、コンバータ層接合デバイスからのその後の転写の均一性を向上させ得る。
【0062】
図11Cに示すように、剥離ライナー1110及び乾燥した第1の接着剤混合物1102から形成されたと第1の接着層1120は、次に第2の接着剤混合物1103でコーティングされ得る。第2の接着剤混合物1103を第1の接着層1120にコーティングするために、任意の適切な方法が使用され得る。
図11Cは、上述のようなスピンコーティング法を示している。
【0063】
図11Dに示すように、次に第2の接着剤混合物1103は溶剤を除去するために乾燥され得る。結果として得られるコンバータ層接合デバイス1100は、第2の接着層1121が剥離ライナー1110上にある第1の接着層1120の上に接着され、接触している状態で
図11Eに示されている。接着層1120及び1121はどちらも薄く(4μm未満であり得る)、均一で、欠陥無しであり得、広い面積で作ることができる。第1の接着層1120及び第2の接着層1121は異なり得る。第2の接着層1121は、
図8A~8Bに関して上述したようにパターニングされ得る。第1の接着層1120は、第2の接着層1121と比較して、高い酸素透過性、屈折率、又は散乱光、光学的吸収及び発光を含むがこれらに限定されないその他の光学的特性など、異なる物理的特性を有し得る。コンバータ層接合デバイス1100は、単一の接着層を有するコンバータ層接合デバイス1100が使用されるあらゆる用途に使用され得、単一の接着層220について
図4A~4Dに関して上記で開示されたのと同じ方法で、接着層1120及び1121を基板(例えば、蛍光体やLEDダイ)に転写するために使用され得る。
【0064】
本明細書に開示されたコンバータ層接合デバイス及び方法を使用して形成されるボンド層、ならびにコンバータ層接合デバイス及び方法を使用して形成されたマイクロLEDを含むpcLEDデバイスは、特に、当該技術分野で従来使用されている接着剤分配プロセスと比較して、いくつかの利点を有する。接着層は、乾燥フィルムとして蛍光体又はLEDダイのような基板上に転写されるため、蛍光体及びダイが接触したときに余分な接着剤が押し出されることはなく、したがって、デバイスの端に沿った「翼(wings)」又は「フィレット(fillets)」がない。乾燥した接着層は、転写されるとき広がらないが、その形を維持する。接着層は配置された位置に留まる。さらに、硬化プロセスの間、結果として得られるボンド層も流れたり広がったりせず、形を維持するように温度が制御される。さらに、接着層の厚さは接着層の厚さによって塗布前に決定されるため、大きなボンドラインの変動はない。さらに、
図8A~8Eに関して上記に開示された例では、接着層のパターニングが、pcLEDデバイスのエアチャネルを可能にするように実行されることができる。
【0065】
本明細書に開示されたコンバータ層接合デバイス及び方法を使用して形成されるボンド層はまた、接着剤を塗布するためのスピンコーティング又はスプレーコーティングなどの他のコーティング方法に対して利点を有する。
図12Aは、基板1315及び基板の表面1317の拡大図の概略図であり、これは粗く平坦ではない。蛍光体タイル及びLEDダイはこのような表面粗さを有する。本明細書に開示したコンバータ層接合デバイス及び方法を使用して基板1315上に転写された接着層220は、均一な層厚Tを維持しながら、基板1315の本来の表面粗さに適合する。
図12Bは、比較のために、接着剤を塗布するための従来の溶液状態法、例えばスピンコーティング又はスプレーコーティングでコーティングされた表面を示す。
図12Bに見られるように、接着剤溶液1301が流れて表面構造を埋め、表面の一部が露出したままになることがある。また、注目すべきは、
図12Aの接着剤コーティングでは、接着層と接着されるサンプル表面との間に小さな空隙が生じる可能性があることである。
【0066】
本明細書に開示されたデバイス及び方法は、通常使用される方法よりもいくつかの追加的な利点がある。第1に、デバイス及び方法は、バッチ処理で使用でき、1回の転写で広い面積をコーティングできる。したがって、pcLEDから形成されるマイクロLEDのような発光ピクセルアレイを効率的且つ均一に作成することができる。第2に、このデバイス及び方法は、非常に薄い(~1μm)層まで、ボンド層厚さを正確に制御することができる。最も重要なことは、本明細書に開示されている接着フィルム転写コーティング方法は、溶液状態のコーティングプロセスよりも表面粗さ及び表面エネルギに対する感度が低いため、多種多様な基板に適用できることである。
図12A及び12Bに関して上で説明したように、ダイが付いたタイルのように表面のトポグラフィーが顕著な基板であってもコーティングすることができる。さらに、転写はドライプロセスであるため、ターゲット基板との溶剤の適合性は問題にならない。さらに、接着層は、
図8Akら8Bに関して説明されているように、基板に転写される前に剥離ライナー上でパターニングすることができ、このパターンはガス輸送を容易にし、高屈折率シリコーン接着剤の褐変を防止し、マイクロLED用途の光学性能を向上させることができる。
この開示は例示的なものであり、限定するものではない。さらなる修正は、本開示に照らして当業者には明らかであり、添付の請求項の範囲内に収まるよう意図されている。