(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】キャビン
(51)【国際特許分類】
B62D 25/06 20060101AFI20231124BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20231124BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B62D25/06 A
B62D25/04 E
B62D49/00 D
(21)【出願番号】P 2023011136
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2022087120の分割
【原出願日】2018-12-19
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安延 大輔
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-112880(JP,A)
【文献】特開2009-113664(JP,A)
【文献】特開2006-008073(JP,A)
【文献】国際公開第2010/007870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/06
B62D 25/04
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に搭載されるキャビンであって、
当該キャビンの幅方向に間隔をあけて並設された左右のフロントピラーと、
前記左のフロントピラーの後方に配置された左のリヤピラー及び前記右のフロントピラーの後方に配置された右のリヤピラーと、
前記左右のフロントピラーの上部同士を連結するフロントアッパフレーム及び前記左右のリヤピラーの上部同士を連結するリヤアッパフレームと、
左右同じ側にある前記フロントピラーと前記リヤピラーの上部同士を連結する左右のサイドアッパフレームと、
を備え、
前記リヤアッパフレームは、前記リヤピラーの上端よりも低い高さ位置で前記幅方向に延伸しており、
前記サイドアッパフレームは、前後方向の中央部の上端部が前記リヤピラーの上端よりも高い位置にあり、後部が前記中央部から後方に向かうにつれて下方に移行する湾曲状に形成され、後端側が前記リヤアッパフレームと略同じ高さ位置になるように形成されているキャビン。
【請求項2】
前記リヤピラーは、上端の壁部である上壁部を有し、
前記サイドアッパフレームの後部は、後方に向かうにつれて下方に移行するように湾曲しながら前記上壁部の下方に入り込んでいる請求項1に記載のキャビン。
【請求項3】
前記キャビンの乗降口を開閉するように前記リヤピラーに支持されたドアを備え、
前記リヤピラーは、前記ドアがシール材を介して当接するドア当接部を有し、
前記ドア当接部は、前記上壁部の前記幅方向の外端から下方に延出されて形成された上部を有し、
前記サイドアッパフレームの後部は、前記上壁部の下方且つ前記ドア当接部の前記上部の前記幅方向の内方側に入り込んでいる請求項2に記載のキャビン。
【請求項4】
前記フロントアッパフレームは、正面視で上方に突出する湾曲状に形成され、前記幅方向の中央部の高さが前記フロントピラーの上端部よりも高く、左及び右の端部が前記フロントピラーの上部に接続されており、
前記サイドアッパフレームは、側面視で上方に突出する湾曲状に形成され、前後方向の中央部の上端部が前記フロントピラーの上端部と略同じ高さ位置にあり、前端部が前記フロントアッパフレームの端部の高さより低い位置で前記フロントピラーに接続されている請求項1~3のいずれか1項に記載のキャビン。
【請求項5】
前記リヤピラーは、中空に形成され、上部に当該リヤピラーの内部とキャビン室外とを連通する第1連通開口を有し、
前記サイドアッパフレームは、後端部の下端の高さ位置が前記第1連通開口の上部の高さ位置に対応するように配置されている請求項1~4のいずれか1項に記載のキャビン。
【請求項6】
前記リヤアッパフレームに搭載されるエアコン装置を備えている請求項1~5のいずれか1項に記載のキャビン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラクタやホイールローダ又はバックホー等の作業機の機体に搭載されるキャビンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたキャビンが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたキャビンは、キャビンの幅方向に間隔をあけて並設された第1フロントピラー及び第2フロントピラーとを有する。第1フロントピラーの後方に第1リヤピラーが配置され、第2フロントピラーの後方に第2リヤピラーが配置されている。第1フロントピラーと第2フロントピラーの上部同士は、フロントアッパフレームによって連結され、第1リヤピラーと第2リヤピラーの上部同士は、リヤアッパフレームによって連結されている。第1フロントピラーと第1リヤピラーの上部同士は、第1サイドアッパフレームによって連結され、第2フロントピラーと第2リヤピラーの上部同士は第2サイドアッパフレームによって連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来において、キャビンには、強度向上及び視界性向上の課題がある。
【0006】
本発明は、キャビンの強度向上及び視界性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るキャビンは、機体に搭載されるキャビンであって、当該キャビンの幅方向に間隔をあけて並設された左右のフロントピラーと、前記左のフロントピラーの後方に配置された左のリヤピラー及び前記右のフロントピラーの後方に配置された右のリヤピラーと、前記左右のフロントピラーの上部同士を連結するフロントアッパフレーム及び前記左右のリヤピラーの上部同士を連結するリヤアッパフレームと、左右同じ側にある前記フロントピラーと前記リヤピラーの上部同士を連結する左右のサイドアッパフレームと、を備え、前記リヤアッパフレームは、前記リヤピラーの上端よりも低い高さ位置で前記幅方向に延伸しており、前記サイドアッパフレームは、前後方向の中央部の上端部が前記リヤピラーの上端よりも高い位置にあり、後部が前記中央部から後方に向かうにつれて下方に移行する湾曲状に形成され、後端側が前記リヤアッパフレームと略同じ高さ位置になるように形成されている。
【0008】
前記リヤピラーは、上端の壁部である上壁部を有し、前記サイドアッパフレームの後部は、後方に向かうにつれて下方に移行するように湾曲しながら前記上壁部の下方に入り込んでいる。
【0009】
前記キャビンの乗降口を開閉するように前記リヤピラーに支持されたドアを備え、前記リヤピラーは、前記ドアがシール材を介して当接するドア当接部を有し、前記ドア当接部は、前記上壁部の前記幅方向の外端から下方に延出されて形成された上部を有し、前記サイドアッパフレームの後部は、前記上壁部の下方且つ前記ドア当接部の前記上部の前記幅方向の内方側に入り込んでいる。
【0010】
前記フロントアッパフレームは、正面視で上方に突出する湾曲状に形成され、前記幅方向の中央部の高さが前記フロントピラーの上端部よりも高く、左及び右の端部が前記フロントピラーの上部に接続されており、前記サイドアッパフレームは、側面視で上方に突出する湾曲状に形成され、前後方向の中央部の上端部が前記フロントピラーの上端部と略同じ高さ位置にあり、前端部が前記フロントアッパフレームの端部の高さより低い位置で前記フロントピラーに接続されている。
【0011】
前記リヤピラーは、中空に形成され、上部に当該リヤピラーの内部とキャビン室外とを連通する第1連通開口を有し、前記サイドアッパフレームは、後端部の下端の高さ位置が
前記第1連通開口の上部の高さ位置に対応するように配置されている。
【0012】
キャビンは、前記リヤアッパフレームに搭載されるエアコン装置を備えている。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、フロントアッパフレーム及びサイドアッパフレームを上方に突出する湾曲状に形成することで、キャビンの強度向上及び視界性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図8】リヤピラーをキャビン室外からみた斜視図である。
【
図9】リヤピラーをキャビン室内からみた側面図である。
【
図13】リヤピラー外気取り入れ部分の縦断面図である。
【
図16】外気導入口の開閉機構を示す側面図である。
【
図19】ルーフを幅方向の中央部で断面した側面断面図である。
【
図20】ルーフを前後方向の中央側で断面した背面断面図である。
【
図25】キャビンフレームの前後中途部の背面断面図である。
【
図26】フロントアッパフレームとサイドアッパフレームとのコーナ部の斜視図である。
【
図27】リヤアッパフレームとサイドアッパフレームとのコーナ部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るキャビン1を有するトラクタ2を示す概略側面図である。本実施形態では、キャビン1が搭載される作業機(車両)として、トラクタ2が例示されているが、作業機は、ホイールローダやバックホー等の作業機であってもよい。
【0017】
本実施形態においては、
図1の矢印A1方向(トラクタ2の前進方向)を前方、
図1の矢印A2方向(トラクタ2の後進方向)を後方、
図1の矢印A3方向を前後方向として説明する。したがって、
図1の手前側が左方であり、
図1の奥側が右方である。また、前後方向A3に直交する水平方向を幅方向として説明する。また、トラクタ2における幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を幅方向外方として説明する。言い換えれば、幅方向外方とは、幅方向であってトラクタ2の中心から離れる方向のことである。幅方向外方とは反対の方向を幅方向内方として説明する。言い換えれば、幅方向内方とは、幅方向であってトラクタ2の中心に近づく方向である。
【0018】
図1に示すように、トラクタ2は、走行可能な機体(車体)3を有する。機体3は、原動機E1と、伝動ケース4とを有する。
【0019】
原動機E1は、ディーゼルエンジンである。原動機E1は、トラクタ2の前部に位置し、ボンネット10によって覆われている。原動機E1は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。ボンネット10は、上面が上方に若干突出する湾曲状に形成される。
【0020】
伝動ケース4は、例えば、フライホイールを収容するフライホイールハウジングと、フライホイールを介して伝達される原動機E1の動力を断続可能に伝達するクラッチを収容するクラッチハウジングと、クラッチを介して伝達される動力を変速する変速装置を収容するミッションケースとを直結して構成される。
【0021】
図1に示すように、トラクタ2は、機体3を走行可能に支持する走行装置5を有する。走行装置5は、機体3の前部に設けた複数の前輪11L、11Rと、機体3の後部に設けた複数の後輪12L、12Rとを有する車輪型の走行装置5が例示されている。
【0022】
図1に示すように、キャビン1は、機体3の後部に搭載されている。キャビン1の室内(キャビン室内という)の後部には、オペレータが着座する運転席6が設けられている。運転席6の前方には、例えば、前輪11L、11Rを操向操作するステアリングハンドル7が設けられている。
【0023】
図1に示すように、キャビン1は、骨組みを構成するキャビンフレーム8を有する。キャビンフレーム8の上部には、ルーフ9が設けられている。本実施形態のキャビンフレーム8は、
図2に示すように、センタピラー(クォータピラー)の設けられていない4柱式のキャビンフレームである。
【0024】
図2、
図4に示すように、キャビンフレーム8は、前部に、左のフロントピラー(第1フロントピラーともいう)13L及び右のフロントピラー(第2フロントピラーともいう)13Rを有する。言い換えると、キャビンフレーム8は、幅方向に間隔をあけて並設された第1フロントピラー13L及び第2フロントピラー13Rを有する。第1フロントピラー13Lは、キャビン1の左の側面の前部に設けられている。第2フロントピラー13Rは、キャビン1の右の側面の前部に設けられている。第1フロントピラー13Lと第2フロントピラー13Rの上部同士は、フロントアッパフレーム15によって連結されている。
【0025】
なお、第1フロントピラー13Lと第2フロントピラー13Rとを纏めてフロントピラー13ともいう。
【0026】
図2、
図6に示すように、キャビンフレーム8は、後部に、左のリヤピラー(第1リヤピラーともいう)14L及び右のリヤピラー(第2リヤピラーともいう)14Rを有する。言い換えると、キャビンフレーム8は、幅方向に間隔をあけて並設された第1リヤピラー14L及び第2リヤピラー14Rを有する。第1リヤピラー14Lは、キャビン1の左の側面の後部に設けられている。第2リヤピラー14Rは、キャビン1の右の側面の後部に設けられている。第1リヤピラー14Lは、第1フロントピラー13Lの後方に配置され、第2リヤピラー14Rは、第2フロントピラー13Rの後方に配置されている。第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rの上部同士は、リヤアッパフレーム16によって連結されている。第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rの下部同士は、リヤロアフレーム17によって連結されている。
【0027】
なお、第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rとを纏めてリヤピラー14ともいう。
【0028】
図2、
図3に示すように、キャビンフレーム8は、第1フロントピラー13Lと第1リヤピラー14Lの上部同士を連結する左のサイドアッパフレーム(第1サイドアッパフレームともいう)18L及び第2フロントピラー13Rと第2リヤピラー14Rの上部同士を連結する右のサイドアッパフレーム(第2サイドアッパフレーム18ともいう)18Rを有する。
【0029】
なお、第1サイドアッパフレーム18Lと第2サイドアッパフレーム18Rとを纏めてサイドアッパフレーム18ともいう。
【0030】
図2、
図3に示すように、第1リヤピラー14Lの下部には、左のサイドロアフレーム(第1サイドロアフレームという)19Lが連結されている。第1サイドロアフレーム1
9Lは、第1リヤピラー14Lの下部から前方に行くに従って下方に移行するように延出しており、下端部が第1フロントピラー13Lの下端部に左の連結フレーム(第1連結フレームという)20Lによって連結されている。
図2に示すように、第2リヤピラー14Rの下部は、右のサイドロアフレーム(第2サイドロアフレームという)19Rが連結されている。第2サイドロアフレーム19Rは、第2リヤピラー14Rの下部から前方に行くに従って下方に移行するように延出しており、下端部が第2フロントピラー13Rの下端部に右の連結フレーム(第2連結フレームという)20Rによって連結されている。
【0031】
なお、第1サイドロアフレーム19Lと第2サイドロアフレーム19Rとを纏めてサイドロアフレーム19ともいい、第1連結フレーム20Lと第2連結フレーム20Rとを纏めて連結フレームともいう。
【0032】
図2に示すように、サイドロアフレーム19の下面及びリヤピラー14の下端部には、後輪12L、12Rを覆う後輪フェンダ21が固定されている。
【0033】
図2に示すように、左及び右の後輪フェンダ21の間には、フロアシート22が設けられている。
図7に示すように、フロアシート22の前部は運転席6の下方側に配置されていて該フロアシート22上に運転席6が取り付けられている。フロアシート22の後部は、後上方に向けて延出されていて、運転席6の背面側に位置している。フロアシート22の前下端から前方に向けて、床を構成するステップ23が延出されている。また、ルーフ9は、中空に形成されている。詳しくは、ルーフ9は、キャビン室内の天井部等を構成するインナールーフ24と、ルーフ9の上壁等を構成するアウタルーフ25とを有し、インナールーフ24とアウタルーフ25との間が中空に形成されている。ルーフ9の内部の後部に、キャビン室内の空気調節を行うエアコン装置(空調装置)26が配置されている。エアコン装置26は、リヤアッパフレーム16に搭載されている。
【0034】
図1に示すように、キャビン1の左及び右の側面には、フロントピラー13、サイドアッパフレーム18、リヤピラー14、サイドロアフレーム19及び連結フレーム20によって囲まれる乗降口28を塞ぐドア27が設けられている。詳しくは、ドア27は、フロントピラー13とリヤピラー14との間に設けられ、且つ第1ドアヒンジ29と第2ドアヒンジ30を介してリヤピラー14に支持されて開閉可能とされている。第1ドアヒンジ29は、リヤピラー14の上部に取り付けられ、第2ドアヒンジ30は、リヤピラー14の下部に取り付けられている。ドア27は、透明ガラス等の光の透過性を有するパネルによって形成されている。
【0035】
なお、キャビンフレーム8の前面側には、第1フロントピラー13Lから第2フロントピラー13Rにわたってフロントパネル31が設けられる(
図7参照)。また、キャビンフレーム8の背面側には、第1リヤピラー14Lから第2リヤピラー14Rにわたってリヤパネル32が設けられる(
図7参照)。フロントパネル31及びリヤパネル32は、透明ガラス等の光の透過性を有するパネルによって形成される。また、フロントパネル31は、第1フロントピラー13L、第2フロントピラー13R及びフロントアッパフレーム15等に固定され、リヤパネル32は、上部がリヤアッパフレーム16にヒンジを介して幅方向に延伸する軸心回りに回転可能に取り付けられる。
【0036】
次に、リヤピラー14の構成を詳細に説明する。
【0037】
第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rとは、キャビン1の幅方向の中心を通り且つ幅方向に直交する鉛直面に対して左右対称に形成されているので、第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rとを纏めて説明する。
【0038】
図8~
図12に示すように、リヤピラー14は、第1部材33、第2部材34、第3部材35、第4部材36及び第5部材37を有している。
図10~
図12に示すように、リヤピラー14は、第1部材33~第5部材37で囲まれた中空に形成されている。リヤピラー14の内部をピラー内部38という。
【0039】
図8に示すように、第1部材33は、リヤピラー14の外側面を構成する外壁部39を有する。外壁部39は、第1部位41、第2部位42、第3部位43、第4部位44及び第5部位45を有する。第1部位41は、外壁部39の前部を構成する。この第1部位41は、ドア27がシール材を介して当接するドア当接部(以下ドア当接部という)である。ドア当接部41は、上部41aと、下部41bと、上部41aと下部41bとの間の中途部位41cとを有する。中途部位41cは上下方向に長く、上部は中途部位41cより前方側に突出しており、下部41bも中途部位41cより前方に突出している。
【0040】
図8、
図10に示すように、第2部位42は、ドア当接部41の後縁から幅方向外方に延出されていて前方側を向いている。詳しくは、第2部位42は、ドア当接部41の後縁から幅方向外方に向かうにしたがって後方に移行する傾斜状に形成されている。
【0041】
図10~
図13に示すように、第2部位42は、該第2部位42を貫通して形成された第1挿通穴46、第2挿通穴47及び第3挿通穴48を有する。第1挿通穴46は、第2部位42の上部に形成され、第2挿通穴47は、第2部位42の下部に形成され、第3挿通穴48は、第2部位42の上下方向中途部に形成されている。この第2部位42は、第2部材34が取り付けられる取付壁部である。
【0042】
図8に示すように、第3部位43は、第2部位42の後縁から後方側に延びている。第3部位43は、上部43aと、下部43bと、上部43aと下部43bとの間の中途部位43cとを有する。上部43a及び下部43bは、中途部43cよりも幅方向内方に凹んでおり、上部43aの(凹み部分)の後部に第1ドアヒンジ29が取り付けられる第1筒部49が固定され、下部43bの(凹み部分)の後部に第2ドアヒンジ30が取り付けられる第2筒部50が固定されている。
【0043】
図8に示すように、第4部位44は、第3部位43の上縁から幅方向内方に延びている。第5部位45は、第4部位44の幅方向内方側の縁部から上方に延びている。
【0044】
図8に示すように、第1部材33は、リヤピラー14の前面側を構成する前壁部51を有する。前壁部51は、上部51aと、下部51bと、上部51aと下部51bとの間の中途部位51cとを有する。上部51aは、ドア当接部41の上部41aの下縁から幅方向内方に向けて延出している。下部51bは、ドア当接部41の下部41bの上縁から幅方向内方に向けて延出している。中途部51cは、ドア当接部41の中途部41cの前縁から幅方向内方に向けて延出している。
【0045】
図9~
図12に示すように、第1部材33は、リヤピラー14の後面側を構成する後壁部52を有する。後壁部52は、第3部位43及び第5部位45から幅方向内方に向けて延出している。後壁部52の幅方向外方側には、リヤパネル32がシール材を介して当接するパネル当接部52aが形成されている。
【0046】
図8、
図10~
図12に示すように、第2部材34は、外壁部39の第2部位42に嵌め込まれて該第2部位42に固定されている。詳しくは、第2部材34は、第2部位42の前面に当接する当接壁(開口形成部)34aを有する。当接壁34aの上下方向中途部には、ピラー内部38とキャビン1の室外(キャビン室外という)とを連通する室外側開口55が形成されている。この室外側開口55によってピラー内部38に外気(キャビン室外の空気)を取り入れることができる。また、第2部材34の当接壁(開口形成部)34aは、前方側を向いているので、トラクタ2を走行させることにより、外気を効率よくピラー内部38に取り入れることができる。さらに、当接壁34aが幅方向外方に向かうにしたがって後方に移行する傾斜状に形成されているので、運転席6からみた後方側の視界性がよい。
【0047】
図8に示すように、当接壁34aは、室外側開口55の上方に形成された第1連通開口53と、室外側開口55の下方に形成された第2連通開口54とを有する。第1連通開口53及び第2連通開口54は、ピラー内部38とキャビン室外とを連通する。第1連通開口53及び第2連通開口54を設けることにより、ピラー内部38に取り入れることのできる外気の導入量を増やすことができる。
【0048】
図13に示すように、第1連通開口53は、第1挿通穴46に対応する位置に形成され、第2連通開口54は、第2挿通穴47に対応する位置に形成され、室外側開口55は、第3挿通穴48に対応する位置に形成されている。
【0049】
図8に示すように、第1連通開口53は、当接壁34aの上部に形成されていて、第3部位43の上部43aに対応する部位に形成されている。したがって、第1連通開口53は、第1ドアヒンジ29に対応する部分(第1ドアヒンジ29で覆われる部分)に設けら
れている。
図11、
図13に示すように、第1連通開口53の周囲には、第1挿通穴46を通ってピラー内部38に延びる筒状の第1ガイド壁34bが設けられている。
【0050】
図8に示すように、第2連通開口54は、当接壁34aの下部に形成されていて、第3部位43の下部43bに対応する部位に形成されている。したがって、第2連通開口54は、第2ドアヒンジ30に対応する部分(第2ドアヒンジ30で覆われる部分)に設けられている。
図12、
図13に示すように、第2連通開口54の周囲には、第2挿通穴47を通ってピラー内部38に延びる筒状の第2ガイド壁34cが設けられている。
【0051】
第1連通開口53が第1ドアヒンジ29に対応し、第2連通開口54が第2ドアヒンジ30に対応することから、第1連通開口53及び第2連通開口54を介して洗車水や雨水等の水がピラー内部38に入りにくいという効果を奏する。
【0052】
図8に示すように、室外側開口55は、第1連通開口53と第2連通開口54との間に形成されていることから、第1ドアヒンジ29と第2ドアヒンジ30との間に設けられている。
【0053】
図10、
図13に示すように、室外側開口55の周囲には、第3挿通穴48を通ってピラー内部38に延びる筒状の第3ガイド壁34dが設けられている。この第3ガイド壁34d内には、上下方向に間隔をあけて形成された複数のルーバ壁56が設けられている。各ルーバ壁56は、キャビン室外からピラー内部38に向かうにしたがって下方に移行する傾斜状に形成され、第3ガイド壁34dに固定されている。上下方向で隣接するルーバ壁56は、正面からみてオーバーラップしている。ルーバ壁56によって、室外側開口55を介して洗車水や雨水等の水がピラー内部38に入りにくいという効果を奏する。
【0054】
図9に示すように、第3部材35は、キャビン室内側に位置しており、第1部材33の上端から下端にわたって形成されている。
図10~
図12に示すように、第3部材35は、幅方向内方側を向く内壁部57と、内壁部57の前縁から幅方向外方に延びる前壁部58とを有する。
【0055】
図9、
図14に示すように、内壁部57には、ピラー内部38をキャビン室内に連通させる室内側開口59が形成されている。詳しくは、室内側開口59は、内壁部57を貫通して形成され且つ内壁部57の上部から下部にかけて形成されている。室外側開口55を介してピラー内部38に取り入れられた外気を、室内側開口59を介してキャビン室内に取り入れることができる。即ち、リヤピラー14は、ベンチレーション機能を有する。これによって、開閉可能なクォータガラスを設けなくてもキャビン室内のベンチレーションを行うことができる。延いては、センタピラーのない4柱式のキャビンフレーム8を採用することができ、キャビン1の側方の視界性を良好にすることができる。
【0056】
前壁部58は、
図11に示すように、上部の幅方向外方側の端部がドア当接部41の上部41aに接続されている。また、
図12に示すように、前壁部58の下部は、幅方向外方側の端部がドア当接部41の下部41bに接続されている。
図10に示すように、前壁部58の中途部は、第1部材33の前壁部51に接続されている。
【0057】
図10~
図12、
図14に示すように、内壁部57のピラー内部38側には、室内側開口59を開閉可能に塞ぐ蓋体60が設けられている。蓋体60は、前端側が、内壁部57に枢軸61等を介して枢支されていて、開閉可能とされている。枢軸61は、ピラー内部38の室内側開口59の前縁側に該前縁に沿って配置されている。枢軸61は、蓋体60の上端から下端にわたる長さに形成された丸棒材によって形成されている。
【0058】
図14に示すように、枢軸61の上部は、第1支持部62に支持され、下部は、第2支持部63に支持されている。詳しくは、第1支持部62は、
図11に示すように、室内側開口59の前縁側上部に配置されて内壁部57に固定され、枢軸61が軸心回りに回転可能に挿通される筒部62aを有する。第2支持部63は、
図12に示すように、室内側開口59の前縁側下部に配置されて内壁部57に固定され、枢軸61が軸心回りに回転可能に挿通される筒部63aを有する。
【0059】
蓋体60は、
図15に示すように、室内側開口59を塞ぐ閉位置(実線で示す)X1と、閉位置X1からピラー内部38側に揺動して室内側開口59を開く開位置(2点鎖線で示す)X2とに揺動可能である。
【0060】
図9、
図14、
図15に示すように、内壁部57のキャビン室内側には、閉位置X1において蓋体60のキャビン室内側への揺動を規制する規制壁64が設けられている。規制壁64は、板材によって形成され、内壁部57にボルト等によって取り付けられる。また、
図9に示すように、規制壁64には、室内側開口59より若干小さく且つ室内側開口59に対応する大きさに形成された開口部64aが設けられている。蓋体60を、室内側開口59を開く開位置X2に揺動させると、室内側開口59は、開口部64aを介してキャビン室内に連通する。
【0061】
図15に示すように、蓋体60を操作する蓋体操作機構65が設けられている。蓋体操作機構65は、蓋体60を閉位置X1から開位置X2に操作可能であると共に開位置X2に保持可能である。詳しく説明すると、蓋体操作機構65は、操作レバー65Aと、操作ワイヤ65Bとを有する。操作レバー65Aは、運転席6の近傍に設けられ、レバー支軸65Cに回転操作可能に支持されている。操作ワイヤ65Bは、一端が操作レバー65Aと一体回転するアーム部65Dに連結されている。操作ワイヤ65Bの他端側には係止具65Eが連結されている。係止具65Eは、蓋体60に固定された係止部65Fに係合している。操作レバー65Aを実線で示す第1位置X3から仮想線で示す第2位置X4に回転操作すると、操作ワイヤ65Bが引かれて蓋体60が閉位置X1から開位置X2に揺動する。操作レバー65Aを第2位置X4に保持することで、蓋体60が開位置X2に保持される。なお、蓋体操作機構65は、開示した機構に限定されることはない。
【0062】
図14、
図15に示すように、枢軸61の中途部には、蓋体60を開位置X2から閉位置X1へ向かう方向(
図15の矢印Y1方向)に付勢する付勢部材66が設けられている。付勢部材66は、枢軸61に嵌められたコイル部を有すると共に、一端が蓋体60に当接し他端が内壁部57に当接する捩りコイルバネによって形成されている。蓋体60は、操作ワイヤ65Bが撓むこと、或いは、係止具65Eに対して係止部65Fが相対移動することで、付勢部材66の付勢力に抗して開き側(
図15の矢印Y2方向)に揺動可能である。
【0063】
図15に示すように、ベンチレーションを行わないときには、蓋体60は閉位置X1に配置され、室内側開口59は閉じられるが、この状態において、ドア27を開いた状態から閉めたときに、キャビン室内の内圧が高まると、蓋体60は、該内圧F1に押され、付勢部材66の付勢力に抗して開き側(矢印Y2方向)に揺動する。これにより、キャビン室内のエア抜きが行われ、室内の機密性の高いキャビン1のドア27をスムーズに閉めることができる。
【0064】
図9に示すように、第4部材36は、第1部材33及び第3部材35の上端から下端にわたって形成されている。
図10~
図12に示すように、第4部材36は、ピラー内部38を前後に仕切る仕切り壁67を有する。仕切り壁67は、第1部材33の外壁部39と、第3部材35の内壁部57後部とにわたって設けられている。
図10~
図12に示すように、ピラー内部38における仕切り壁67の前側が、室外側開口55等から取り入れられた外気を室内側開口59へ流通させる換気流通路68である。ピラー内部38における仕切り壁67の後側が、室外側開口55から取り入れられた外気を後述する外気導入口37aへ流通させる外気導入路69である。
【0065】
図10、
図13に示すように、仕切り壁67には、換気流通路68から外気導入路69へ空気を流通させる流通用開口67aが形成されている。流通用開口67aは、室外側開口55の上部から下部にわたって形成されている。また、流通用開口67aは、仕切り壁67の幅方向一端側から他端側にわたって形成されている。流通用開口67aには、室外側開口55から外気導入路69へ流通する外気中の塵埃を除去する外気フィルタ70が挿通されている。外気フィルタ70は、通気性を有する取付部材71を介して仕切り壁67に取り付けられている。したがって、室外側開口55から換気流通路68に取り入れられた外気は、外気フィルタ70を通って外気導入路69へ流通可能とされている。
【0066】
図10~
図12に示すように、第4部材36は、仕切り壁67から延出された側壁部72と、側壁部72から延出された接続壁73とを有する。詳しくは、側壁部72は、仕切り壁67の幅方向内方側の端部から後方に延出されていて、第1部材33の後壁部52と第3部材35の内壁部57との間を塞ぐ。接続壁73は、側壁部72の後端から幅方向外方側に延出されていて第1部材33の後壁部52に接続される。
【0067】
図8に示すように、第5部材37は、第1部材33、第3部材35及び第4部材36の上端に設けられており、リヤピラー14の上端の壁部である上壁部を構成している。第5部材37を上壁部という。
図5に示すように、第1リヤピラー14Lの上壁部を第1上壁部37Lといい、第2リヤピラー14Rの上壁部を第2上壁部37Rという。
【0068】
上壁部37は、第1部材33を形成する板材に一体形成されている。また、上壁部37は、ピラー内部38(外気導入路69)をルーフ9の内部に連通させる外気導入口37aを有する。エアコン装置26のブロワを駆動することで、外気導入路69内に取り入れられた外気は、外気導入口37aを通ってルーフ9の内部に導入され、エアコン装置26に取り込まれる。
【0069】
図16に示すように、インナールーフ24には、外気導入口37aに連通する連通穴74が形成されている。外気導入口37aは、連通穴74を介してルーフ9の内部に連通している。ルーフ9の内部には、外気導入口37aを開閉する開閉機構75が設けられている。開閉機構75は、支持ブラケット76と、昇降モータ77と、作動部材78と、昇降アーム79と、開閉蓋80とを有する。支持ブラケット76は、インナールーフ24に取り付けられている。昇降モータ77は、支持ブラケット76に取り付けられている。作動部材78は、昇降モータ77の駆動軸77aに一体回転可能に取り付けられている。作動部材78の一端側には、係合ピン78aが設けられ、他端側には、押圧部材78bが設けられている。昇降アーム79は、長手方向の中途部が支軸81によって支持ブラケット76に枢支されている。昇降アーム79の一端側には、長穴79aが形成され、長穴79aに係合ピン78aが挿通されている。昇降アーム79の他端側は、開閉蓋80に連動連結されている。この開閉機構75にあっては、
図16に実線で示す状態から、昇降モータ77の駆動軸77aを回転させると、作動部材78が回転し、係合ピン78aによって昇降アーム79の一端側が引き上げられる。昇降アーム79の一端側が引き上げられると、開閉蓋80が下降し、
図16に実線で示すように、外気導入口37a及び連通穴74が塞がれる。この状態で押圧部材78bが昇降アーム79を押圧する。
【0070】
なお、本実施形態では、第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rとは同様の構造に形成されていて、ベンチレーション構造及びエアコン外気導入構造は、第1リヤピラー14L及び第2リヤピラー14Rの両方に設けられているが、ベンチレーション構造及びエアコン外気導入構造は、第1リヤピラー14L又は第2リヤピラー14Rの一方にのみ設けられていてもよい。
【0071】
ところで、キャビン室内には、原動機E1等の振動がキャビン1を防振支持するマウント等を介して伝播する「固体伝播音」や、ドア27やフロントパネル31又はリヤパネル32等を透過して伝播する「空気伝播音」が伝わる。この伝播音によってキャビン室内に所謂「こもり音」が発生する。本実施形態のキャビン1は、
図7に示すように、キャビン室内で発生する「こもり音」を低減するレゾネータ86(気中共鳴器または気中共鳴による騒音相殺器とも称される)を有する。
【0072】
図7に示すように、レゾネータ86は、インナールーフ24に設けられている。また、レゾネータ86は、運転席6の上方に設けられている。
【0073】
ルーフ9を構成するインナールーフ24及びアウタルーフ25は、樹脂によって形成されている。レゾネータ86は、インナールーフ24をブロー成形等によって形成することでインナールーフ24に一体形成されている。即ち、レゾネータ86は、インナールーフ24を形成する樹脂によって、該インナールーフ24に一体成形されている。なお、インナールーフ24を回転成形等によって形成することで、インナールーフ24を形成する樹脂によって該インナールーフ24にレゾネータ86を一体形成してもよい。
【0074】
レゾネータ86をインナールーフ24に一体形成することにより、インナールーフ24を取り付けるための部材が別途必要ではなく、省スペースで追加コストをかけることなく、レゾネータ86をインナールーフ24に設置することができる。
【0075】
図17、
図18に示すように、レゾネータ86は、インナールーフ24の幅方向の中央
側に設けられている。また、レゾネータ86は、少なくとも一本の共鳴管86A~86Cを有する。本実施形態では、レゾネータ86は、キャビン1の幅方向に並べて配置された長さの異なる複数の共鳴管86A~86Cを含む。各共鳴管86A~86Cは、前後方向A3に長い(前後方向A3の軸心を有する)筒状に形成されていると共に前端が閉塞され且つ後端部にキャビン室内(下方)に開口する開口穴87を有する。
【0076】
複数の共鳴管は、第1共鳴管86Aと、第2共鳴管86Bと、第3共鳴管86Cとの三本の共鳴管を含む。第1共鳴管86Aは、インナールーフ24の幅方向中央部に位置する。第2共鳴管86Bは、第1共鳴管86Aの左側に間隔をあけて配置されている。第3共鳴管86Cは、第1共鳴管86Aの右側に間隔をあけて配置されている。なお、共鳴管の本数は、限定されない。即ち、一本でも二本でもよいし、四本以上でもよい。
【0077】
図17、
図18に示すように、第1共鳴管86A、第2共鳴管86B及び第3共鳴管86Cは、前後方向A3の略同じ位置から後方に向けて延伸している。即ち、各共鳴管86A~86Cの開口穴87は、前後方向Aの同じ位置において幅方向に並べて配置されている。また、長さは、第1共鳴管86Aが一番長く、第2共鳴管86Bは、第3共鳴管86Cに比べて若干長い。
【0078】
図19に示すように、第1共鳴管86Aは、前部が後部よりも大径の筒状に形成されている。
図21に示すように、第2共鳴管86Bも、前部が後部よりも大径の筒状に形成されている。
図22に示すように、第3共鳴管86Cは、前部から後部にかけて同じ径の筒状に形成されている。
【0079】
レゾネータ86(第1共鳴管86A~第3共鳴管86C)は、開口穴87から入ってきた音が内部の壁面に反射し、開口穴87から出てきたレゾネータ86の固有振動の音がキャビン室内の音と逆位相となって打ち消し合うことにより、ピークの高い周波数を相殺し、「こもり音」を低減する。また、レゾネータ86(共鳴管)の体積によって、侵入音波の共振点が変わるので、共鳴管を複数備えることで、周波数の異なる「こもり音」を低減することができる。レゾネータ86は、開口穴87がオペレータの耳元近くにあるので、オペレータの耳元近くの「こもり音」を低減することができる。
【0080】
図19、
図20に示すように、インナールーフ24は、該インナールーフ24を形成する壁部を上方に向けて凹設することで形成された下向き開口状の凹部88を有する。凹部88は、開口88aの縁部よりも上方に位置する上壁88bと、開口88aの縁部の周囲から上方に立ち上がると共に上壁88bに接続された立上がり壁部88cとを有する。レゾネータ86(第1共鳴管86A~第3共鳴管86C)は、凹部88の上壁88bに一体形成されている。
【0081】
レゾネータ86を凹部88の上壁88bに一体形成することにより、レゾネータ86によってオペレータのヘッドクリアランスが狭まるのを抑制することができる。
【0082】
図19~
図22に示すように、レゾネータ86の上部(上半分)は、上壁88bよりも上方に突出しており、下部(下半分)は、上壁88bよりも下方に突出している。即ち、レゾネータ86は、凹部88の上壁88bから上方及び下方に突出している。これにより、レゾネータ86が、凹部88の開口88aから下方に突出しないように構成されている。レゾネータ86が、凹部88から下方に突出しないように構成することにより、オペレータのヘッドクリアランスを確保することができる。
【0083】
図17、
図18に示すように、インナールーフ24には、エアコン装置26から吹き出す空調空気を流通させるダクト89が一体形成されている。ダクト89は、第1ダクト部90、第2ダクト部91及び第3ダクト部92を有する。第1ダクト部90は、凹部88の後方に位置していて、エアコン装置26の吹き出し口26aに接続する。第2ダクト部91は、後部が第1ダクト部90の前部の左部から左斜め前方に延びていると共に、中途部が凹部88の左側方を前方に延びている。また、第2ダクト部91の前部は、凹部88の前方で幅方向内方に延びている。第3ダクト部92は、後部が第1ダクト部90の前部の右部から右斜め前方に延びていると共に、中途部が凹部88の右側方を前方に延びている。また、第3ダクト部92の前部は、凹部88の前方で幅方向内方に延びている。
【0084】
前後方向A3に形成された複数の共鳴管を幅方向に並べて設けることにより、オペレー
タの耳元騒音を低減させる複数の共鳴管を含むレゾネータ86を第2ダクト部91と第3ダクト部92との間に収めることができる。
【0085】
インナールーフ24のキャビン室内側には、ダクト89の内部を流れる空調空気をキャビン室内側に吹き出す第1吹出し部93A~第4吹出し部93Dが設けられている。第1吹出し部93A及び第2吹出し部93Bは、凹部88の左側方で且つ第2ダクト部91の下方に配置され、第2ダクト部91に連通している。第3吹出し部93C及び第4吹出し部93Dは、凹部88の右側方で且つ第3ダクト部92の下方に配置され、第3ダクト部92に連通している。
【0086】
凹部88は、後部が第2ダクト部91及び第3ダクト部92の後部の形状に合わせて後方に向けて幅が縮小するテーパ状に形成されている。
【0087】
図17、
図18に示すように、インナールーフ24の後部の左側に、キャビン室内とルーフ9の内部とを連通する内気導入口94が形成されている。内気導入口94には、内気フィルタ95が嵌め込まれている。内気導入口94は、ルーフ9の内部から開閉蓋(図示省略)によって開閉可能に閉塞される。
【0088】
図17に示すように、インナールーフ24の下面側には、下方に向けて開口状の第1溝部96A~第6溝部96Fが形成されている。第1溝部96Aは、インナールーフ24の前部に幅方向に延伸して形成され、フロントアッパフレーム15に嵌る(
図19参照)。第2溝部96Bは、インナールーフ24の後部に幅方向に延伸して形成され、リヤアッパフレーム16に嵌る(
図19参照)。第3溝部96Cは、第2溝部96Bの左端部から前方に延伸して形成され、第1サイドアッパフレーム18L及び第1リヤピラー14Lに嵌る(
図20参照)。第4溝部96Dは、第2溝部96Bの右端部から前方に延伸して形成され、第2サイドアッパフレーム18R及び第2リヤピラー14Rに嵌る(
図20参照)。第5溝部96Eは、第1溝部96Aの左端部と第3溝部96Cの前端部とを接続する。第6溝部96Fは、第1溝部96Aの右端部と第4溝部96Dの前端部とを接続する。
【0089】
第1溝部96A~第6溝部96Fと、フロントアッパフレーム15、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18R、第1リヤピラー14L及び第2リヤピラー14R及びリヤアッパフレーム16との間にシール部材が介在される。したがって、フロントアッパフレーム15、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18R、第1リヤピラー14L及び第2リヤピラー14R及びリヤアッパフレーム16の上面は、シール部材が当接或いは接着されるシール面とされている。
【0090】
図4に示すように、フロントアッパフレーム15は、正面視で上方に突出する湾曲状に形成されている。詳しくは、フロントアッパフレーム15は、後方に開口する溝型部材によって形成され、左及び右の端部から幅方向中央部(長手方向中央部)に向かうにつれて上方に移行する湾曲状に形成されている。また、フロントアッパフレーム15は、一端から他端にわたって一様な湾曲状(円弧状)に形成されている。また、フロントアッパフレーム15は、前面が上方に向かうにつれて後方に移行する傾斜状となるように傾けられている。
【0091】
図4に示すように、ルーフ9の前端側の下縁部9aであってフロントアッパフレーム15に対応する部分は、フロントアッパフレーム15の湾曲形状に沿った湾曲状に形成されている。
【0092】
図3、
図4、
図5に示すように、第1フロントピラー13L及び第2フロントピラー13Rは、正面視及び側面視で外方に突出する湾曲状に形成されている。詳しくは、第1フロントピラー13Lは、左斜め前方に突出する湾曲状に形成され、第2フロントピラー13Rは、右斜め前方に突出する湾曲状に形成されている。
【0093】
フロントパネル31は、第1フロントピラー13L及び第2フロントピラー13Rに沿う湾曲状に形成されている。詳しくは、フロントパネル31は、前方に向けて凸となる球面状に形成されており、上縁側がフロントアッパフレーム15にシール材を介して接着され、左の側縁側が第1フロントピラー13Lにシール材を介して接着され、右の側縁側が第2フロントピラー13Rにシール材を介して接着されている。
【0094】
図3、
図23に示すように、サイドアッパフレーム18(第1サイドアッパフレーム1
8L及び第2サイドアッパフレーム18R)は、側面視で上方に突出する湾曲状に形成されている。詳しくは、サイドアッパフレーム18は、幅方向内方に開口する溝型部材(
図27参照)によって形成され、前及び後の端部から前後方向中央部(長手方向中央部)に向かうにつれて上方に移行する湾曲状に形成されている。また、サイドアッパフレーム18は、一端から他端にわたって一様な湾曲状(円弧状)に形成されている。また、サイドアッパフレーム18(第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18R)は、上方に向かうにつれて幅方向内方に移行する傾斜状に傾けられている。詳しくは、サイドアッパフレーム18は、側面が上方に向かうにつれて幅方向内方に移行する傾斜状となるように傾けられている。
【0095】
図3に示すように、ルーフ9の幅方向の端部側の下縁部9bであってサイドアッパフレーム18に対応する部分は、サイドアッパフレーム18の湾曲形状に沿った湾曲状に形成されている。これにより、ルーフ9の側部形状をボンネットの形状に合わせることができる。
【0096】
図25に示すように、ドア27は、幅方向外方に向けて凸となる湾曲状(球面状)に形成されており、乗降口28を形成するフレーム部材にシール材を介して当接する。
【0097】
フロントアッパフレーム15とサイドアッパフレーム18とを共に上方に突出する湾曲状(ラウンド形状)に形成することにより、キャビン1(キャビンフレーム8)の強度の向上を図ることができる。また、サイドアッパフレーム18は、上方に向けて突出する湾曲状であり且つ上方に向かうにつれて幅方向内方に移行する傾斜状に傾けられていることから、幅方向外方に膨らませなくてもサイドアッパフレーム18がドア27の湾曲形状に沿う。これにより、サイドアッパフレーム18を平面視でフロントピラー13からリヤピラー16に向けて略真っ直ぐに形成してもよく、前後長さの異なるキャビン1を製作する場合に、長さ違いのサイドアッパフレーム18を形成する必要がなく、サイドアッパフレーム18を切断するだけで対応することができる。また、フロントアッパフレーム15とサイドアッパフレーム18とが共にラウンド形状であるので、キャビン室内から前斜め上方をみたとき及び左斜め上方並びに右斜め上方をみたときの視界性を向上させることができる。
【0098】
図5に示すように、フロントアッパフレーム15と第1サイドアッパフレーム18Lとのコーナ部には、第1シール受け97Lが設けられ、フロントアッパフレーム15と第2サイドアッパフレーム18Rとのコーナ部には、第2シール受け97Rが設けられている。第1シール受け97Lに、フロントアッパフレーム15の上面の一側(左側)から第1サイドアッパフレーム18Lの上面へ配設されるシール部材が当接する。第2シール受け97Rに、フロントアッパフレーム15の上面の他側(右側)から第2サイドアッパフレーム18Rの上面へ配設されるシール部材が当接する。
【0099】
第1シール受け97Lと第2シール受け97Rとを纏めてシール受け97とも言う。
【0100】
図26に示すように、シール受け97は、基部97aと、基部97aから延出された延出部97bとを有する。基部97aは、フロントピラー13の幅方向内方側に配置され、フロントアッパフレーム15の上壁15aに固定されている。また、基部97aは、フロントアッパフレーム15から後方に突出している。延出部97bは、基部97aの後部から幅方向外方に向けて且つサイドアッパフレーム18の上方に向けて延出されている。
【0101】
フロントアッパフレーム15の側部は幅方向外方に向かうにつれて下方に移行する湾曲状であり、サイドアッパフレーム18の前部は前方に向かうにつれて下方に移行する湾曲状であり且つフロントピラー13も在ることから、フロントアッパフレーム15からフロントピラー13を経てサイドアッパフレーム18にシール部材を連続的に配設するのは困難であるが、シール受け97を設けることにより、ラウンド形状のフロントアッパフレーム15からラウンド形状のサイドアッパフレーム18へシール部材を良好に渡すことができ、シール部材を容易に連続的に配設することができる。
【0102】
図23、
図27に示すように、サイドアッパフレーム18の後部は、リヤピラー14の上壁部37の下方に入り込んでいる。詳しくは、第1サイドアッパフレーム18Lの後部が第1リヤピラー14Lの第1上壁部37Lの下方に入り込んでおり、第2サイドアッパ
フレーム18Rの後部が第2リヤピラー14Rの第2上壁部37Rの下方に入り込んでいる。即ち、第1リヤピラー14Lは、第1サイドアッパフレーム18Lの後部が下方に入り込む第1上壁部37Lを有し、第2リヤピラー14Rは、第2サイドアッパフレーム18Rの後部が下方に入り込む第2上壁部37Rを有する。これにより、サイドアッパフレーム18の上面からリヤピラー14の上面へシール部材を連続的に配設することができる。
【0103】
ところで、従来、リヤアッパフレーム16にエアコン装置26を搭載する場合、エアコン装置26の高さを抑えるために、リヤピラー14とリヤアッパフレーム16との段差(リヤピラー14の上面とリヤアッパフレーム16の上面との高さの差)を深く(大きく)とる必要がある。このため、段差をうめるためにシール部材を積み重ねなくてはならず、段差部分のシール性がわるいという問題が生じる。また、エアコン装置26の搭載部分がはっきり分かってしまう為、エアコン装置26の搭載感が出てしまう。
【0104】
本実施形態にあっては、
図23に示すように、サイドアッパフレーム18を上方に突出する湾曲状に形成することにより、サイドアッパフレーム18の後部18aは、後方に向かうにつれて下方に移行する湾曲状に形成される。即ち、サイドアッパフレーム18は、後部18aが下がるように形成される。これにより、サイドアッパフレーム18の後端側18bの高さをリヤアッパフレーム16の高さに近づけることができる。サイドアッパフレーム18の後端側18bの高さをリヤアッパフレーム16の高さに近づけることにより、リヤピラー14の上壁部37の高さを低くすることができる。これにより、上壁部37とリヤアッパフレーム16との高さ方向(上下方向)における段差S1を減らすことができる。この段差S1を減らすことにより、段差部分S2(
図27参照)のシール性の向上が図れ、且つエアコン装置26の搭載感を無くしたルーフ9(アウタルーフ25)の形状にすることができる。
【0105】
本実施形態では、
図23に示すように、サイドアッパフレーム18(第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18R)の後端側18bは、リヤアッパフレーム16の高さ位置に設けられている。なお、サイドアッパフレーム18の後端とリヤアッパフレーム16の上面とは、高さを一致させてもよいし、上下方向に多少位置ずれしていてもよい。
【0106】
また、サイドアッパフレーム18の後端側18bをリヤアッパフレーム16の高さ位置に設けることにより、
図23に2点鎖線で示すように、リヤピラー14の上壁部37の高さを、サイドアッパフレーム18の後端側18b及びリヤアッパフレーム16の高さに合わせることができる。リヤピラー14の上壁部37の高さを、サイドアッパフレーム18の後端側18b及びリヤアッパフレーム16の高さに合わせることにより、サイドアッパフレーム18からリヤピラー14の上壁部37を経てリヤアッパフレーム16へとシール部材を連続的に配設することができる。延いては、フロントアッパフレーム15から第1シール受け97L、第1サイドアッパフレーム18L、第1リヤピラー14Lの第1上壁部37L、リヤアッパフレーム16、第2リヤピラー14Rの第2上壁部37R、第2サイドアッパフレーム18R、第2シール受け97Rを経てフロントアッパフレーム15へと配設されるシール部材を連続的に(環状に)形成することができる。
【0107】
本実施形態のキャビン1は、以下の効果を奏する。
【0108】
機体3に搭載されるキャビン1であって、当該キャビン1の側面の後部に設けられた中空のリヤピラー14を備え、リヤピラー14は、当該リヤピラー14の内部であるピラー内部38をキャビン室内に連通させる室内側開口59と、ピラー内部38をキャビン室外に連通させる室外側開口55とを有する。
【0109】
この構成によれば、室外側開口55からピラー内部38及び室内側開口59を通ってキャビン室内に外気を取り入れることができる。リヤピラー14にベンチレーション機能を設けることにより、クォータガラスをベンチレーションを行う部材として使う必要がなくなる。そして、クォータガラスを設けるためのセンタピラーを設ける必要がないので、キャビン1の側方の視界性の向上を図ることができる。また、部品点数削減によるコストダウンが可能となる。
【0110】
また、リヤピラー14は、室内側開口59を塞ぐ閉位置X1と、閉位置X1からピラー内部38側に揺動して室内側開口59を開く開位置X2とに揺動可能な蓋体60と、蓋体60を開位置X2から閉位置X1へ向かう方向に付勢する付勢部材66とを有する。
【0111】
この構成によれば、キャビン1のドア27を閉めたときにキャビン室内の内圧が高くなると、該内圧によって付勢部材66の付勢力に抗して蓋体60が開く。即ち、ドア27を閉めたときに蓋体60が開くことにより、キャビン室内のエア抜きを行うことができ、ドア27をスムーズに閉めることができる。
【0112】
また、リヤピラー14は、前方を向き且つ室外側開口55が形成される開口形成部(当接壁34a)を有する。
【0113】
この構成によれば、キャビン1を搭載した機体3が前進することにより、室外側開口55からキャビン室内に外気を良好に取り入れることができる。
【0114】
また、開口形成部(当接壁34a)は、キャビン1の幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜状である。
【0115】
この構成によれば、キャビン室内から後方側をみたときの視界性がよい。
【0116】
また、側面の前部に設けられたフロントピラー13と、フロントピラー13とリヤピラー14との間に設けられたドア27と、リヤピラー14の上部に取り付けられていてドア27を支持する第1ドアヒンジ29と、リヤピラー14の下部に取り付けられていてドア27を支持する第2ドアヒンジ30とを有し、室外側開口55は、第1ドアヒンジ29と第2ドアヒンジ30との間に設けられている。
【0117】
この構成によれば、第1ドアヒンジ29と第2ドアヒンジ30との間のスペースを利用して、リヤピラー14に室外側開口55を形成することができる。
【0118】
また、リヤピラー14は、室外側開口55とは異なる開口であって、ピラー内部38とキャビン室外とを連通する第1連通開口53及び第2連通開口54を有し、第1連通開口53は、第1ドアヒンジ29に対応する部分に設けられ、第2連通開口54は、第2ドアヒンジ30に対応する部分に設けられている。
【0119】
この構成によれば、第1連通開口53及び第2連通開口54によってピラー内部38に取り入れられる外気の導入量を増やすことができる、また、第1ドアヒンジ29及び第2ドアヒンジ30によって、雨水や洗車による水が第1連通開口53及び第2連通開口54から侵入するのを抑制することができる。
【0120】
また、蓋体60を閉位置X1から開位置X2に操作すると共に開位置X2に保持する蓋体操作機構65を備えている。
【0121】
この構成によれば、蓋体の開閉操作65を遠隔操作で行うことができ、例えば、運転席6の近傍で蓋体60の開閉操作を行うことができる。
【0122】
また、中空に形成されたルーフ9と、ルーフ9の内部に設けられたエアコン装置26と、を備え、リヤピラー14は、ピラー内部38をルーフ9の内部に連通させる外気導入口37aを有する。
【0123】
ルーフ9の内部に外気を取り入れる外気導入口をキャビン1のルーフ9に設けると、日射が強く当たるルーフ9によって外気が温められ、エアコン装置26の性能の低下を招くが、本実施形態では、日射の影響の少ない所からエアコン装置26まで短い距離で外気を流通させることができ、エアコン装置26の性能の向上を図ることができる。また、外気導入口をキャビン1のルーフ9に設ける場合に比べて、ルーフ9の外観を向上させることができる。
【0124】
また、リヤピラー14は、ピラー内部38を、室外側開口55から取り入れられた外気を室内側開口59へ流通させる換気流通路68と、室外側開口55から取り入れられた外気を外気導入口37aへ流通させる外気導入路69とに仕切る仕切り壁67と、仕切り壁67に取り付けられていて室外側開口55から外気導入路へ流通する外気中の塵埃を除去する外気フィルタ70とを有する。
【0125】
この構成によれば、室内側開口59から取り入れられた外気中の塵埃を除去してエアコン装置26へ流すことができる。
【0126】
キャビン1は、キャビン室内の天井部を構成するインナールーフ24と、キャビン室内
で発生するこもり音を低減するレゾネータ86と、を備え、インナールーフ24は、樹脂によって形成され、レゾネータ86は、インナールーフ24を形成する樹脂によってインナールーフ24に一体成形されている。
【0127】
この構成によれば、レゾネータ86をインナールーフ24に取り付けるための部品を別途必要でなく、省スペースで追加コストをかけることなく、レゾネータ86をインナールーフ24に設置することができる。
【0128】
また、キャビン室内に設けられた運転席6を備え、レゾネータ86は、運転席6の上方に設けられ、少なくとも一本の共鳴管(第1共鳴管86A~第3共鳴管86C)を有し、共鳴管86A~86Cは、前後方向に長い筒状に形成されると共に前端が閉塞され且つ後端部にキャビン室内に開口する開口穴87を有する。
【0129】
この構成によれば、オペレータの耳元の騒音を低減することができる。
【0130】
また、レゾネータ86は、インナールーフ24の幅方向に並べて配置された長さの異なる複数の共鳴管(第1共鳴管86A~第3共鳴管86C)を含む。
【0131】
この構成によれば、オペレータの耳元騒音を低減するレゾネータ86をインナールーフ24にコンパクトに設けることができる。
【0132】
また、インナールーフ24は、該インナールーフ24を形成する壁部を上方に向けて凹設することで形成された下向き開口状の凹部88を有し、レゾネータ86は、凹部88の上壁88bに一体成形されている。
【0133】
この構成によれば、レゾネータ86によってヘッドクリアランスが狭められるのを抑制することができる。
【0134】
また、レゾネータ86は、凹部88の上壁88bから上方及び下方に突出している。
【0135】
この構成によれば、オペレータのヘッドクリアランスを確保することができる。
【0136】
機体3に搭載されるキャビン1であって、当該キャビン1の幅方向に間隔をあけて並設された第1フロントピラー13L及び第2フロントピラー13Rと、第1フロントピラー13Lの後方に配置された第1リヤピラー14L及び第2フロントピラー13Rの後方に配置された第2リヤピラー14Rと、第1フロントピラー13Lと第2フロントピラー13Rの上部同士を連結するフロントアッパフレーム15及び第1リヤピラー14Lと第2リヤピラー14Rの上部同士を連結するリヤアッパフレーム16と、第1フロントピラー13Lと第1リヤピラー14Lの上部同士を連結する第1サイドアッパフレーム18L及び第2フロントピラー13Rと第2リヤピラー14Rの上部同士を連結する第2サイドアッパフレーム18Rと、を備え、フロントアッパフレーム15は、正面視で上方に突出する湾曲状に形成され、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rは、側面視で上方に突出する湾曲状に形成されている。
【0137】
この構成によれば、フロントアッパフレーム15及び第1サイドアッパフレーム18L並びに第2サイドアッパフレーム18Rを上方に突出する湾曲状に形成することで、キャビン1の強度向上及び視界性向上を図ることができる。
【0138】
また、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rは、上方に向かうにつれて幅方向の内方に移行する傾斜状に傾けられていると共に上方に向けて円弧状に湾曲している。
【0139】
この構成によれば、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rをキャビン1の幅方向外方に湾曲させなくても湾曲状のパネルに第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rを沿わせることができる。また、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rをキャビン1の幅方向外方に湾曲させなくてもよいので、前後長さの異なるキャビン1を製作する場合に、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rの長さを異ならせることで前後長さの異なるキャビン1を製作することができる。
【0140】
また、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rの後端側は、リヤアッパフレーム16の高さ位置に設けられている。
【0141】
この構成によれば、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rの後端側とリヤアッパフレーム16との高さ方向の段差を減らすことにより、第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rからリヤアッパフレーム16へとシール部材を連続して配設することができる。
【0142】
また、フロントアッパフレーム15の上面の一側から第1サイドアッパフレーム18Lの上面へ配設されるシール部材が当接する第1シール受け97Lと、フロントアッパフレーム15の上面の他側から第2サイドアッパフレーム18Rの上面へ配設されるシール部材が当接する第2シール受け97Rと、を備えている。
【0143】
この構成によれば、湾曲形状の第1サイドアッパフレーム18L及び第2サイドアッパフレーム18Rから湾曲形状のフロントアッパフレーム15へとシール部材を連続して配設することができる。
【0144】
また、第1リヤピラー14Lは、第1サイドアッパフレーム18Lの後部が下方に入り込む第1上壁部37Lを有し、第2リヤピラー14Rは、第2サイドアッパフレーム18Rの後部が下方に入り込む第2上壁部37Rを有する。
【0145】
この構成によれば、第1サイドアッパフレーム18Lの上面から第1上壁部37Lへと連続的にシール部材を配設することができ、また、第2サイドアッパフレーム18Rの上面から第2上壁部37Rへとシール部材を連続的に配設することができる。
【0146】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0147】
1 キャビン
2 機体
13L 左のフロントピラー
13R 右のフロントピラー
14L 左のリヤピラー
14R 右のリヤピラー
15 フロントアッパフレーム
16 リヤアッパフレーム
18L 左のサイドアッパフレーム
18R 右のサイドアッパフレーム
27 ドア
28 乗降口
37 上壁部
41 ドア当接部(第1部位)
41a 上部
53 第1連通開口
26 エアコン装置