(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】蛍光体ホイール装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20231127BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231127BHJP
F16F 15/32 20060101ALI20231127BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231127BHJP
F21V 7/26 20180101ALI20231127BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 F
F16F15/32 A
F21S2/00 311
F21V7/26
(21)【出願番号】P 2019213778
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】西川 勇作
(72)【発明者】
【氏名】別所 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】白井 泰斗
(72)【発明者】
【氏名】山岸 成多
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴司
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167521(JP,A)
【文献】特表2016-536633(JP,A)
【文献】特開2002-367271(JP,A)
【文献】特開2018-128614(JP,A)
【文献】特開2019-008935(JP,A)
【文献】国際公開第2016/110888(WO,A1)
【文献】特開2021-081459(JP,A)
【文献】特開2019-207314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
F16F 15/32
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-15/04
23/00-37/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと蛍光体ホイール基板とを備える蛍光体ホイール装置の製造方法であって、
前記モーターの回転軸の一端側に前記蛍光体ホイール基板を取り付けるステップと、
前記モーターの回転軸の一端側にあって、前記蛍光体ホイール基板に所定の厚みを有する第1バランサーを取り付けるステップと、
前記モーターの回転軸の他端側に所定の厚みを有する第2バランサーを取り付けるステップと、を含み、
更に、前記第1バランサーに第1開口を設け、前記第1開口を通じて前記蛍光体ホイール基板を固定し、前記第2バランサーを切削することで、固定された前記蛍光体ホイール基板の回転バランスを調整するステップ、及び、前記第2バランサーに第2開口を設け、前記第2開口を通じて前記蛍光体ホイール基板を固定し、前記第1バランサーを切削することで、固定された前記蛍光体ホイール基板の回転バランスを調整するステップの少なくとも一方のステップを含む、製造方法。
【請求項2】
前記第1開口に固定用の部材を嵌入することで前記蛍光体ホイール基板を固定するステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1開口は、2つの開口である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記2つの開口は、モーターの回転軸を中心とした円周上にあり、180度間隔で配置されている、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1開口は、3つの開口である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記3つの開口は、モーターの回転軸を中心とした円周上にあり、120度間隔で配置されている、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第2開口に固定用の部材を嵌入することで前記蛍光体ホイール基板を固定するステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記蛍光体ホイール基板の前記一端側の面に、前記回転軸と同心円周上に蛍光体を設けるステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光体ホイール装置を使用した光源装置、及びかかる光源装置を使用した投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体ホイール装置、及び蛍光体ホイール装置を使用した光源装置、及び投写型映像表示装置については、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、蛍光体ホイール装置のバランスを調整する際に、バランサーに設けられた開口にピンを嵌入することによって、モーターの回転軸に取付けられたホイール基板が回転するのを防ぐことができるので、精度良いバランス調整作業が効率的に行うことができる蛍光体ホイール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の蛍光体ホイール装置の製造方法は、モーターと蛍光体ホイール基板とを備える蛍光体ホイール装置の製造方法であって、モーターの回転軸の一端側に蛍光体ホイール基板を取り付けるステップと、モーターの回転軸の一端側にあって、蛍光体ホイール基板に所定の厚みを有する第1バランサーを取り付けるステップと、モーターの回転軸の他端側に所定の厚みを有する第2バランサーを取り付けるステップと、を含み、更に、第1バランサーに第1開口を設け、第1開口を通じて蛍光体ホイール基板を固定し、第2バランサーを切削することで、固定された蛍光体ホイール基板の回転バランスを調整するステップ、及び、第2バランサーに第2開口を設け、第2開口を通じて蛍光体ホイール基板を固定し、第1バランサーを切削することで、固定された蛍光体ホイール基板の回転バランスを調整するステップの少なくとも一方のステップを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の蛍光体ホイール装置によれば、蛍光体ホイール装置のバランスを調整する際に、バランサーに設けられた開口にピンを嵌入することによって、モーターの回転軸に取付けられたホイール基板が回転するのを防ぐことができるので、精度良いバランス調整作業が効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1の蛍光体ホイール装置の構成を示す図
【
図3】実施の形態1の蛍光体ホイール装置の側断面図
【
図4】実施の形態1の蛍光体ホイール装置の要部分解斜視図
【
図5】実施の形態1の蛍光体ホイール装置でのバランス取り方法を示す図
【
図6】実施の形態2の蛍光体ホイール装置の構成を示す図
【
図7】実施の形態3の蛍光体ホイール装置の構成を示す図
【
図8】実施の形態4の蛍光体ホイール装置の構成を示す図
【
図9】本開示の蛍光体ホイール装置を用いた光源装置の構成を示す図
【
図10】本開示の蛍光体ホイール装置を搭載した光源装置を用いた投写型映像表示装置の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本開示の実施の形態1にかかる蛍光体ホイール装置1の構成図であり、
図1(a)は表面側の平面図、
図1(b)は裏面側の平面図である。
図2は実施の形態1にかかる蛍光体ホイール装置の側面図、
図3は
図1のA-A線における要部断面図、
図4は同分解斜視図である。
【0009】
蛍光体ホイール装置1は、モーター100と、このモーター100の回転軸103の一端側に取り付けられたアルミニウムからなる円盤状の蛍光体ホイール基板101と、モーターの一端側にあって蛍光体ホイール基板101に固定された所定の厚みを有する第1バランサー102を備える。蛍光体ホイール基板101は、モーター100の回転軸103の一端側の面、すなわち表面側には、回転軸と同心円周上に蛍光体層110が設けられている。
【0010】
モーター100は、ステータを含むモーター固定板105と、回転軸103の他端側に取付けられたローター107を備える。回転軸103の一端側には断面が凸字状をしたフランジ104が固定されており、フランジ104の凸部に蛍光体ホイール基板101の孔111が嵌合され、さらに第1バランサー102の孔112にフランジ104の凸部が嵌合され、第1バランサー102に設けた基板締結用ネジ孔124に基板締結ネジ123を通して締めることにより、フランジ104上に蛍光体ホイール基板101が取り付けられる。
【0011】
第1バランサー102は、真鍮から形成され扁平な中空円筒形状を成しており、回転軸103の一端側が開放された1つの回転防止用穴121が設けられている。
【0012】
モーター100の回転軸103の他端側には、ローター107に一体的に取付けられた所定の厚みを有する第2バランサー106が取り付けられている。この第2バランサー106は、第1バランサー102と同様に真鍮から形成された扁平な円筒形状を成しており、回転軸103の他端側が開放された1つの回転防止用穴161が設けられている。
【0013】
第1バランサー102の回転防止用穴121、第2バランサー106の回転防止用穴161は、それぞれ開口の一例であり、その役割については後述する。
【0014】
モーター100をモーター固定板105に設けられたモーター固定用孔151を用いて、所定の取付け位置にネジ止め固定した状態でモーターを駆動すると、フランジ104に固定された第1バランサー102及び蛍光体ホイール基板101と、第2バランサー106が取り付けられたローター107とが回転軸103を中心にして回転する。
【0015】
ところで、蛍光体ホイール基板101は、蛍光体ホイール装置1として組み立てられた状態では、製造においてその重心位置が回転軸の中心と一致せず、この状態でモーター100を回転させると回転バランスがとれていない状態で蛍光体ホイール基板101が軸方向に波打つようにぶれるように回転する。蛍光体層には励起光源からの励起光が照射されるが、蛍光体ホイール基板101がぶれて回転すると、振動が大きくなり長期間安定して回転が出来ずに信頼性が確保できないという不都合が生じる。併せて、回転バランスを取れていないと、騒音が大きくなるという不具合が生じる。また、蛍光体層上に形成される励起光のスポット径が一定でなくなり、蛍光の出力が一定でなくなるという不都合が生じる。
【0016】
従って、蛍光体ホイール基板101の重心の調整が必要であるが、この調整には、第1バランサーと第2バランサーのいずれか一方、あるいは両方を切削機により削ることによりできる。このバランス調整時に、加工用バイトで、例えば第1バランサー102の所定の位置を削るときに、回転軸103で結合された第1バランサー102を含む部品が回転してしまい、所定位置の切削ができなくなる。さらに、第1バランサー102を切削後に、さらに第2バランサーを切削してバランス調整をする際も、不要な回転によって、第2バランサーの所望の位置の切削ができなくなる。
【0017】
そこで、本開示では、上述したように第1バランサー102には回転防止用穴121が設けられ、第2バランサー106には回転防止用穴161が設けられている。そして、回転防止用穴121、161に嵌入されるピン、すなわち回転防止用突起部821が設けられた調整作業用の固定台802に、
図5の如く回転防止用穴161に回転防止用突起部821を嵌入して蛍光体ホイール装置1を載置し、バランス取り切り欠き加工用バイト801で切削し、バランス取り用切り欠き122を形成する。回転防止用穴161に回転防止用突起部821を嵌入することによって、切削加工時に回転軸103が回転することがなく、精度良いバランス調整作業が効率的に行うことができる。
【0018】
また、第2バランサー106を切削することによるバランス調整も必要となった場合には、蛍光体ホイール装置1を逆さまにして、第1バランサー102の回転防止用穴121に回転防止用突起部821を嵌入して蛍光体ホイール装置1を固定台802に載置し、バランス取り切り欠き加工用バイト801で切削しバランス取り用切り欠き162を作成する。回転防止用穴121に回転防止用突起部821を嵌入することによって、切削加工時に回転軸103が回転することがなく、精度良いバランス調整作業が効率的に行うことができる。
【0019】
本開示では、第1バランサー102と、第2バランサー106は真鍮で形成されている。このため切削加工が容易に行える。
【0020】
尚、回転防止用の開口として、本実施の形態1では、回転防止用穴としているが、これに代えて貫通孔であっても良い。
また、蛍光体ディスクの基板の一例としてアルミニウム板であるとしたが、例えば、ガラス板、サファイアガラス基板やその他の金属基板であっても良い。
また、バランサーの材料の代表例として真鍮であるとしたが、例えば、アルミニウムなどの他の材料であっても良い。
(実施の形態2)
図6は本開示の実施の形態2にかかる蛍光体ホイール装置2の構成図であり、
図6(a)は表面側の平面図、
図6(b)は裏面側の平面図である。
【0021】
ここでは、実施の形態1と異なる点だけについて説明し、
図6において
図1~
図5と同一部分には同一符号を付してその重複説明は省略する。
【0022】
実施の形態2において、第1バランサー102に設けられる回転防止用穴221は、2つ設けられており、これら2つの回転防止用穴221は、モーター100の回転軸103を中心Cとした円周上にあり、180度の間隔で配置されている。この実施の形態では、第2バランサー106に設けられる回転防止用穴261は、2つ設けられており、これら2つの回転防止用穴261は、モーター100の回転軸103を中心Cとした円周上にあり、180度の間隔で配置されている。
【0023】
このように、第1バランサー102に2つの回転防止用穴221が設けられ、第2バランサー106に2つの回転防止用穴261が設けられているので、これらの穴に嵌入される固定台802の回転防止用突起部821も2つ設けられる。
【0024】
回転防止用の開口として、本実施の形態2では、回転防止用穴としているが、これに代えて貫通孔であっても良い。
(実施の形態3)
図7は本開示の実施の形態3にかかる蛍光体ホイール装置3の構成図であり、
図7(a)は表面側の平面図、
図7(b)は裏面側の平面図である。
【0025】
ここでは、実施の形態1と異なる点だけについて説明し、
図7において
図1~
図5と同一部分には同一符号を付してその重複説明は省略する。
【0026】
実施の形態3において、第1バランサー102に設けられる回転防止用穴321は、3つ設けられており、これら3つの回転防止用穴321は、モーター100の回転軸103を中心Cとした円周上にあり、120度の間隔で配置されている。この実施の形態では、第2バランサー106に設けられる回転防止用穴361は、3つ設けられており、これら3つの回転防止用穴261は、モーター100の回転軸103を中心Cとした円周上にあり、120度の間隔で配置されている。
【0027】
このように、第1バランサー102に3つの回転防止用穴321が設けられ、第2バランサー106に3つの回転防止用穴361が設けられているので、これらの穴に嵌入される固定台802の回転防止用突起部821も3つ設けられる。
【0028】
回転防止用の開口として、本実施の形態3では、回転防止用穴としているが、これに代えて貫通孔であっても良い。
(実施の形態4)
図8は本開示の実施の形態4にかかる蛍光体ホイール装置4の構成図であり、
図8(a)は表面側の平面図、
図8(b)は裏面側の平面図である。
【0029】
ここでは、実施の形態1と異なる点だけについて説明し、
図8において
図1~
図5と同一部分には同一符号を付してその重複説明は省略する。
【0030】
実施の形態4において、第1バランサー102に設けられる回転防止用穴421は、4つ設けられており、これら4つの回転防止用穴421は、モーター100の回転軸103を中心Cとした円周上にあり、90度の間隔で配置されている。この実施の形態では、第2バランサー106に設けられる回転防止用穴461は、4つ設けられており、これら4つの回転防止用穴261は、モーター100の回転軸103を中心Cとした円周上にあり、90度の間隔で配置されている。
【0031】
このように、第1バランサー102に4つの回転防止用穴421が設けられ、第2バランサー106に4つの回転防止用穴461が設けられているので、これらの穴に嵌入される固定台802の回転防止用突起部821も4つ設けられる。
【0032】
回転防止用の開口として、本実施の形態4では、回転防止用穴としているが、これに代えて貫通孔であっても良い。
【0033】
また、ここまで、回転防止用穴の個数の異なる例を示したが、第一及び第二バランサーに、それぞれ形成される回転防止用穴の重心が回転中心と一致するように構成されれば、回転防止用穴の形状および個数が異なっても良い。
(実施の形態5)
[蛍光体ホイール装置を備える光源装置]
図9は実施の形態1の蛍光体ホイール装置を使用した光源装置9を示す図である。
【0034】
複数の半導体レーザー光源901から出射した青色の波長域のレーザー光は、半導体レーザー光源901のそれぞれに対応して設けられる複数のコリメータレンズ902でコリメートされる。コリメートされた青色光は、後段の凸レンズ903に入射し、その光束幅が小さくなり、続く拡散板904に入射し拡散され光の均一度が改善される。光の均一度が改善された青色光は、後段の凹レンズ905に入射し平行光束化される。
【0035】
凹レンズ905で平行化された青色光は、半導体レーザー光源901と半導体レーザー光源921から出射する青色光の波長域の光は通過し、蛍光体ホイール装置1で半導体レーザー光源901からの青色光を励起光として波長変換される蛍光の波長域の光を反射する分光特性を有し、光軸に対して略45度傾けて配置された分光特性付き色分離合成ミラー906に入射し、光の進行方向を変えずにそのまま、後段の凸レンズ907へと入射する。
【0036】
ここでは、分光特性付き色分離合成ミラー906は、半導体レーザー光源からの青色光と波長変換された蛍光の波長特性に注目した分光特性を有するとしたが、半導体レーザー光源の偏光方向に着目し、半導体レーザー光源からの青色光の偏光方向を同一方向に調整することで、半導体レーザー光源からの青色光の波長域と偏光方向の光を通過し、波長変換された蛍光の波長特性に注目した分光特性を有するようにしても良い。
【0037】
凸レンズ907に入射した青色光は、後段の凸レンズ908との組み合わせで、後段の蛍光体ホイール装置1に設けられたリング状の蛍光体層110へと入射する。蛍光体ホイール装置1のモーターの回転軸を中心に、凸レンズ907、908で集光された青色の励起光が、リング状の蛍光体層110へと入射するように凸レンズ907、908と蛍光体ホイール装置とが配置されている。
【0038】
凸レンズ907、908で、蛍光体ホイール装置1の蛍光体層110上に集光された青色光は、蛍光に波長変換されるとともに、光の進行方向を180度変えて、再び、凸レンズ908、907にこの順で入射し、平行光化される。ここでの波長変換される蛍光は、後述する半導体レーザー光源921から出射される青色光と組み合わせて、例えば、白色光を構成するように波長領域が最適化されている。
【0039】
凸レンズ907を出射し平行光化された蛍光は、分光特性付き色分離合成ミラー906へと逆方向から入射する。分光特性付き色分離合成ミラー906は、前述の通り、蛍光の波長領域の光を反射する特性を有しているので、光の方向を90度変更する。
【0040】
分光特性付き色分離合成ミラー906で光の進行方向を90度変えた蛍光は、後段の凸レンズ909へと入射する。
【0041】
また、複数の半導体レーザー光源921から出射した青色の波長域のレーザー光は、半導体レーザー光源921のそれぞれに対応して設けられる複数のコリメータレンズ922でコリメートされる。コリメートされた青色光は、後段の凸レンズ923に入射し、その光束幅が小さくされ、続く拡散板924に入射し拡散され光の均一度が改善される。光の均一度が改善された青色光は、後段の凹レンズ925に入射し平行光束化される。
【0042】
凹レンズ925で平行化された青色光は、半導体レーザー光源921から出射する青色光の波長域の光は通過する特性を有し、光軸に対して略45度傾けて配置された分光特性付き色分離合成ミラー906に入射し、光の進行方向を変えずにそのまま、後段の凸レンズ909へと入射する。
【0043】
凸レンズ909に入射した蛍光体ホイール装置1からの蛍光と半導体レーザー光源921からの青色光は集光し、凸レンズ909の略集光位置に入射端を配置したロッドインテグレータ910に入射する。ロッドインテグレータで光束の均一化された光は、ロッドインテグレータの出射端から出射する。
【0044】
図9で示す実施の形態では、分光特性付き色分離合成ミラー906は光軸に略45度の角度で配置を行ったが、その分光特性を最大化するために、分光特性付き色分離合成ミラー906の光軸に対する角度は、略45度とは異なる角度を有しても良く、その場合には、その角度に合わせて、その他の部品を配置しても良い。
【0045】
また、
図9では、分光特性付き色分離合成ミラー906は、青色光の波長域の光を透過、蛍光の波長域の光を反射する特性を有するものとして説明を行ったが、青色光の波長域の光を反射、蛍光の波長域の光を透過する特性を有するものとして、適宜その他の部品の配置を最適化しても良い。
【0046】
また、半導体レーザー光源901からのレーザー光は、青色光の波長域の光ではなく、紫外領域の光でも良い。その場合は、分光特性付き色分離合成ミラー906の特性や、その他部品の配置などは、半導体レーザー光源901のレーザー光の波長領域に合わせて最適化すればよい。
[光源装置を備える投写型映像表示装置]
実施の形態1の蛍光体ホイール装置1を用いた光源装置9を搭載した投写型映像表示装置10の構成について
図10を参照しつつ説明する。
【0047】
なお、実施の形態1の蛍光体ホイール装置1を用いた光源装置9については、上述の通りであるので、その説明は省略する。
【0048】
ロッドインテグレータ910を出射した光は、凸レンズ1001、1002、1003で構成されるリレーレンズ系で、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)1031、1032、1033へと写像する。
【0049】
凸レンズ1001、1002、1003で構成されたリレーレンズ系を出射した光は、微小ギャップ1012を設けた全反射プリズム1011に入射する。リレーレンズ系を出射し、全反射プリズム1011に全反射角以上の角度で入射した光は、微小ギャップ1012で反射し光の進行方向を変えて、微小ギャップ1022を設けた3つのガラスブロックで構成されたカラープリズム1021に入射する。
【0050】
カラープリズム1021の第1のガラスブロックに全反射プリズム1011から入射した青色光と蛍光は、まず微小ギャップの1022の前段に設けられた青色反射の特性を有する分光特性付き反射膜で反射し、その進行方向を変え、全反射プリズムへと進行し、全反射プリズム1011とカラープリズム1021との間に設けられた微小ギャップに全反射角以上の角度で入射し、青色の映像を表示するDMD1033に入射する。
【0051】
続いて、微小ギャップを通過した蛍光光は、カラープリズム1021の第2と第3のガラスブロックの間に設けられた、赤色の波長領域の光を反射し、緑色の光を通過する分光特性を有する分光特性付き反射膜で、赤色光は第1のガラスブロック側へとその進行方向を変える。
【0052】
光の進行方向を変えた赤色光は、カラープリズム1021の第1と第2のガラスブロックの間に設けた微小ギャップ1022で再び反射し、その光の進行方向を変えて赤色用のDMD1032に入射する。
【0053】
また、カラープリズムの第2と第3のガラスブロックの間に設けられた赤色の波長領域の光を反射し、緑色の光を通過する分光特性を有する分光特性付き反射膜で、緑色光は第3のガラスブロックへとそのまま進行し、そのまま緑色用DMD1031へ入射する。
【0054】
DMD1031、1032、1033は、図示しない映像回路から、各色の映像信号に応じて画素ごとにミラーの方向を変えることで、光の進行方向を変更する。
【0055】
まず、緑色用のDMD1031で映像信号に応じて光の進行方向を変更した緑色光は、カラープリズム1021の第3のガラスブロックに入射し、カラープリズム1021の第3と第2のガラスブロックの間に設けられた分光特性付き反射膜を通過する。
【0056】
続いて、赤色用のDMD1032で映像信号に応じて光の進行方向を変更した赤色光は、カラープリズム1021の第2のガラスブロックに入射し、カラープリズム1021の第2と第1のガラスブロックの間に設けられた微小ギャップ1022に全反射角以上の角度で入射することで反射し、カラープリズムの第3のガラスブロックへ光の進行方向を変えて、カラープリズム1021の第2と第3のガラスブロック間に設けられた、分光特性付き反射膜で反射し、その光の進行方向を変え、緑色の光と合成される。
【0057】
分光特性付き反射膜で合成された光は、カラープリズム1021の第1のガラスブロック側に進行し、カラープリズム1021の第2と第1のガラスブロックの間に設けられた微小ギャップ1022に全反射角以下の角度で入射することで透過する。
【0058】
さらに、青色用のDMD1033で映像信号に応じて光の進行方向を変更した青色光は、カラープリズム1021の第1のガラスブロックを入射し、全反射プリズム1011側に進行し、全反射プリズム1011とカラープリズム1021との間の設けられたギャップに、全反射角以上の角度で入射することで、カラープリズム1021の第2のガラスブロック側に進行する。その後、カラープリズム1021の第1と第2のガラスブロックの間に設けられた微小ギャップ1022の前の第1のガラスブロック側に設けられた分光特性付きミラーで反射し、全反射プリズム1011側に光の進行方向を変え、緑色DMD1031と赤色DMD1032からの光と合成され、全反射プリズム1011へ入射する。
【0059】
全反射プリズム1011に入射したDMD1031、1032、1033の光は、全反射プリズム1011の微小ギャップ1012 に全反射角以下の角度で入射することで透過し、投写レンズ1041へと入射し、図示しないスクリーンへと照射される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、蛍光体ホイール装置を備えた光源装置、及びかかる光源装置を使用した投写型映像表示装置に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 蛍光体ホイール装置
100 モーター
101 蛍光体ホイール基板
102 第1バランサー
103 回転軸
104 フランジ
105 モーター固定板
106 第2バランサー
107 ローター
110 蛍光体層
111 孔
112 孔
121 回転防止用穴
122 バランス取り用切り欠き
123 基板締結ネジ
124 基板締結用ネジ孔
151 モーター固定用孔
161 回転防止用穴
162 バランス取り用切り欠き
2 蛍光体ホイール装置
221 回転防止用穴
261 回転防止用穴
3 蛍光体ホイール装置
321 回転防止用穴
361 回転防止用穴
4 蛍光体ホイール装置
421 回転防止用穴
461 回転防止用穴
801 バランス取り切り欠き加工用バイト
802 固定台
821 回転防止用突起部
9 光源装置
901 半導体レーザー光源
902 コリメータレンズ
903 凸レンズ
904 拡散板
905 凹レンズ
906 色分離合成ミラー
907 凸レンズ
908 凸レンズ
909 凸レンズ
910 ロッドインテグレータ
921 半導体レーザー光源
922 コリメータレンズ
923 凸レンズ
924 拡散板
925 凹レンズ
10 投写型映像表示装置
1001 凸レンズ
1002 凸レンズ
1003 凸レンズ
1011 全反射プリズム
1012 微小ギャップ
1021 カラープリズム
1022 微小ギャップ
1031 DMD
1032 DMD
1033 DMD
1041 投写レンズ