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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】部品供給装置および部品供給方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022119314
(22)【出願日】2022-07-27
(62)【分割の表示】P 2017158336の分割
【原出願日】2017-08-21
(65)【公開番号】P2022136223
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀江 敦行
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086503(JP,A)
【文献】国際公開第2013/136423(WO,A1)
【文献】特開2012-004286(JP,A)
【文献】特開平06-232593(JP,A)
【文献】特表2005-539370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に部品を供給する部品供給装置であって、
前記部品が収納され、上面をカバーテープによって封止され、先端部において前記カバーテープが部分的に剥離されたキャリアテープを搬送路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送路の上方に設けられた開口部を介して前記カバーテープを前記キャリアテープから剥離する剥離部と、
前記剥離部の上流側に配置され前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出する検出部と、
前記搬送路をはさんで前記剥離部と反対側に配置され、前記キャリアテープの先端部および前記カバーテープに噴射したガスを吹き当てる噴射部と、を備え、
前記剥離部は、一対のローラであり、
前記検出部が前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出すると、前記噴射部は、前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端が前記剥離部によって補足可能な位置に到達する以前に、ガスを噴出し、
噴射したガスを、前記一対のローラに向けて吹き当てることにより前記カバーテープを少なくとも一方の前記ローラに押し当て、
前記押し当てられた前記カバーテープを、一方の前記ローラと他方の前記ローラとで挟み込んで引き込むことにより前記カバーテープの剥離を行う、部品供給装置。
【請求項2】
前記搬送部は傾斜部を有し、
前記噴射部は前記傾斜部の途中に配置される、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記開口部の開口状態を可変にカバーするカバー部を備え、
前記噴射部は、前記検出部が前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出すると前記カバー部を動作させて、前記開口部の開口状態を前記剥離部が前記カバーテープを捕捉可能な第1の開口状態にする、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記カバー部は、前記開口部の一端に回動自在に設けられるフラップである、請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記搬送路に沿って配置されて前記剥離部によって前記カバーテープが剥離された前記キャリアテープの上面を覆う被覆部を有し、
前記カバー部は、前記被覆部の一端に回動自在に設けられるフラップである、請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記噴射したガスによって吹き上げられた前記フラップに弾性力を作用させて、前記開口部の開口状態を第1の開口状態よりも開口サイズが小さく且つ前記キャリアテープから剥離されたカバーテープの通過を阻害しない第2の開口状態にする弾性部を備えた、請求項4または5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記噴射部は、噴射したガスを前記キャリアテープの下方から前記キャリアテープの先端部および前記フラップにガスを吹き当てる、請求項4から6のいずれかに記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記一対のローラのうち、前記吹き上げられたフラップと近接する前記他方のローラの径は、前記一方のローラの径よりも小さい、請求項6に記載の部品供給装置。
【請求項9】
部品実装装置に部品を供給する部品供給方法であって、
前記部品が収納され、上面をカバーテープによって封止され、先端部において前記カバーテープが部分的に剥離されたキャリアテープを搬送路に沿って搬送するテープ搬送工程と、
前記搬送路の上方に設けられた開口部を介して前記カバーテープを前記キャリアテープから一対のローラより成る剥離部によって剥離する剥離工程と、
前記剥離部の上流側に配置され前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出する検出工程と、
前記搬送路をはさんで前記一対のローラと反対側に配置された噴射部によって、前記キャリアテープの先端部および前記カバーテープにガスを吹き当てる動作工程と、を備え、
前記検出工程において、前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出すると、前記噴射部は、前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端が前記一対のローラによって補足可能な位置に到達する以前に、ガスを噴出し、
噴射したガスを、前記一対のローラに向けて吹き当てることにより前記カバーテープを少なくとも一方の前記ローラに押し当て、
前記押し当てられた前記カバーテープを、一方の前記ローラと他方の前記ローラとで挟み込んで引き込むことにより前記カバーテープの剥離を行う、部品供給方法。
【請求項10】
前記テープ搬送工程では搬送部によって前記キャリアテープを搬送し、
前記搬送部は傾斜部を有し、
前記噴射部は前記傾斜部の途中に配置される、請求項9に記載の部品供給方法。
【請求項11】
前記開口部の開口状態を可変にカバーするカバー部を備え、
前記噴射部は、前記検出工程において前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出すると前記カバー部を動作させて、前記開口部の開口状態を前記一対のローラが前記カバーテープを捕捉可能な第1の開口状態にする、請求項9または10に記載の部品供給方法。
【請求項12】
前記カバー部は、前記開口部の一端に回動自在に設けられるフラップである、請求項11に記載の部品供給方法。
【請求項13】
前記搬送路に沿って配置されて前記一対のローラによって前記カバーテープが剥離された前記キャリアテープの上面を覆う被覆部を有し、
前記カバー部は、前記被覆部の一端に回動自在に設けられるフラップである、請求項11に記載の部品供給方法。
【請求項14】
前記噴射したガスによって吹き上げられた前記フラップに弾性力を作用させて、前記開口部の開口状態を第1の開口状態よりも開口サイズが小さく且つ前記キャリアテープから剥離されたカバーテープの通過を阻害しない第2の開口状態にする弾性部を備えた、請求項12または13に記載の部品供給方法。
【請求項15】
前記噴射部は、噴射したガスを前記キャリアテープの下方から前記キャリアテープの先端部および前記フラップにガスを吹き当てる、請求項12から14のいずれかに記載の部品供給方法。
【請求項16】
前記一対のローラのうち、前記吹き上げられたフラップと近接する前記他方のローラの径は、前記一方のローラの径よりも小さい、請求項14に記載の部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置に部品を供給する部品供給装置および部品実装装置に部品を供給する部品供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置に部品を供給する部品供給装置として、部品が収納されたキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品実装機構による部品取出位置に部品を位置させるテープフィーダが多用されている。キャリアテープの上面には部品を収納した凹部を封止するためにカバーテープが貼着されており、テープフィーダでは部品取出位置のテープ送り方向における上流側に、カバーテープを剥離して部品を露呈させるためのテープ剥離機構が設けられている。このようなカバーテープの剥離を自動的に行うテープ剥離機構の構成として、一対の送りローラの間にカバーテープを挟み込んで剥離方向にテープ送りする構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献例に示す先行技術では、真空ノズルによって部品を吸着して取り出すピックアップ位置から上流側に離れた位置に、カバーテープ引きはがしエッジ32、ダイバータ37および一対のドライブギア36、38を含む自動式のテープ剥離機構を備え、ダイバータ37によって剥がされたカバーテープを送りローラであるドライブギア36、38によってカバーテープ貯蔵器へ送る構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-539370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の特許文献例を含め、自動式のテープ剥離機構によってカバーテープが剥離されたキャリアテープから部品を吸着保持して取り出す構成の従来技術には、部品を安定した姿勢で取り出すに際して、以下のような課題があった。すなわち、キャリアテープからカバーテープを剥離する剥離位置では、部品はキャリアテープの凹部内で上面が露呈された状態となり、部品の姿勢が乱れやすくなっている。さらに、カバーテープが剥離されたタイミングでは、テープ搬送動作や剥離動作時に作用する衝撃や振動に加えて、カバーテープが摩擦などによって帯電して生じる静電気などの外乱が部品に作用する。このため、カバーテープ剥離後の部品は姿勢が不安定であり、この状態のままキャリアテープが部品取出位置に搬送されると、吸着ノズルによる部品取り出し時に吸着ミスなどの不具合を生じやすい。
【0006】
このような不具合を防止することを目的として、上述の剥離位置にてカバーテープが剥離されたキャリアテープの上面を覆う被覆部材を設けることが考えられる。ところがこのような被覆部材を設けると、剥離されたカバーテープをテープ送りローラなどの送り機構に導くテープ送りが阻害されて、確実なカバーテープ剥離が行えないという不都合が生じる。このように、従来技術の自動式のテープ剥離機構を備えたテープフィーダにおいては、カバーテープ剥離後の部品姿勢を安定させることと確実なカバーテープの剥離とを両立させることが困難で、このような課題を解決可能な新たな方策が望まれていた。
【0007】
そこで本発明は、確実なカバーテープの剥離とカバーテープ剥離後の部品姿勢の安定とを両立させることができる部品供給装置および部品供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の部品供給装置は、部品実装装置に部品を供給する部品供給装置であって、前記部品が収納され、上面をカバーテープによって封止され、先端部において前記カバーテープが部分的に剥離されたキャリアテープを搬送路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送路の上方に設けられた開口部を介して前記カバーテープを前記キャリアテープから剥離する剥離部と、前記剥離部の上流側に配置され前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出する検出部と、前記搬送路をはさんで前記剥離部と反対側に配置され、前記キャリアテープの先端部および前記カバーテープに噴射したガスを吹き当てる噴射部と、を備え、前記剥離部は、一対のローラであり、前記検出部が前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出すると、前記噴射部は、前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端が前記剥離部によって補足可能な位置に到達する以前に、ガスを噴出し、噴射したガスを、前記一対のローラに向けて吹き当てることにより前記カバーテープを少なくとも一方の前記ローラに押し当て、前記押し当てられた前記カバーテープを、一方の前記ローラと他方の前記ローラとで挟み込んで引き込むことにより前記カバーテープの剥離を行う。
【0009】
本発明の部品供給方法は、部品実装装置に部品を供給する部品供給方法であって、前記部品が収納され、上面をカバーテープによって封止され、先端部において前記カバーテープが部分的に剥離されたキャリアテープを搬送路に沿って搬送するテープ搬送工程と、前記搬送路の上方に設けられた開口部を介して前記カバーテープを前記キャリアテープから一対のローラより成る剥離部によって剥離する剥離工程と、前記剥離部の上流側に配置され前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出する検出工程と、前記搬送路をはさんで前記一対のローラと反対側に配置された噴射部によって、前記キャリアテープの先端部および前記カバーテープにガスを吹き当てる動作工程と、を備え、前記検出工程において、前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端を検出すると、前記噴射部は、前記キャリアテープあるいは前記カバーテープの先端が前記一対のローラによって補足可能な位置に到達する以前に、ガスを噴出し、噴射したガスを、前記一対のローラに向けて吹き当てることにより前記カバーテープを少なくとも一方の前記ローラに押し当て、前記押し当てられた前記カバーテープを、一方の前記ローラと他方の前記ローラとで挟み込んで引き込むことにより前記カバーテープの剥離を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、確実なカバーテープの剥離とカバーテープ剥離後の部品姿勢の安定とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の第1実施例における部品供給装置の構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の第1実施例における部品供給装置の動作説明図
図3】本発明の一実施の形態の第1実施例における部品供給装置の動作説明図
図4】本発明の一実施の形態の第2実施例における部品供給装置の構成説明図
図5】本発明の一実施の形態の第2実施例における部品供給装置の動作説明図
図6】本発明の一実施の形態の第2実施例における部品供給装置の動作説明図
図7】本発明の一実施の形態の第2実施例における部品供給装置の動作説明図
図8】本発明の一実施の形態の第2実施例における部品供給装置の動作説明図
図9】本発明の一実施の形態の第2実施例における部品供給装置の動作説明図
図10】本発明の一実施の形態の第3実施例における部品供給装置の構成説明図
図11】本発明の一実施の形態の第3実施例における部品供給装置の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態における第1実施例の部品供給装置であるテープフィーダ1の全体構成を説明する。テープフィーダ1は基板に電子部品を実装する部品実装装置に装着して用いられ、部品実装装置において部品実装機構による部品取出位置にキャリアテープ3(図2参照)に収納された部品を供給する機能を有する。
【0013】
図1において、本体部1aはテープフィーダ1の外形を形成するフレーム部である。本体部1aの内部には、供給対象の部品が収納されたキャリアテープ3を搬送するための搬送路2が、本体部1aをテープ搬送方向に縦通して設けられている。キャリアテープ3は、部品を収納する凹部であるエンボス部4が設けられたベーステープ3aの上面を、カバーテープ3bによって封止した構成となっている(図2参照)。なお、エンボス部の凹部はポケットと呼称される場合もある。
【0014】
搬送路2は上流側(図1において左側)の側端面の下部に設けられたテープ投入口2aに開口し、本体部1aの中間部では斜め上方向に設けられた傾斜部2bとなっている。傾斜部2bの下流側では、搬送路2は本体部1aの上面に沿って設けられて下流側の側端面に開口している。搬送路2における下流側には、本体部1aの上面に位置して部品取出位置2cが設けられている。
【0015】
部品実装装置18に設けられた部品実装機構の実装ヘッドが部品取出位置2cにアクセスすることにより、キャリアテープ3に収納された部品は実装ヘッドによって取り出される。部品取出位置2cの周囲において、搬送路2はカバー部材8によって上方を覆われており、搬送路2に沿って搬送されるキャリアテープ3はカバー部材8によって上面側をガイドされる。
【0016】
搬送路2において部品取出位置2cの下方には、第1のスプロケット5Aおよび第1の駆動機構6Aより成る第1のテープ搬送手段7Aが配置されている。搬送路2においてテープ投入口2aの下流側の近傍には、第2のスプロケット5Bおよび第2の駆動機構6Bより成る第2のテープ搬送手段7Bが配置されている。第1のスプロケット5A、第2のスプロケット5Bは、ベーステープ3aに形成された送り孔に係合する送りピンを外周に備えている。なお、第2のテープ搬送手段7Bは設けられない場合もある。
【0017】
第1の駆動機構6A、第2の駆動機構6Bは駆動源であるモータを備え、モータの回転をギヤなどの駆動伝達機構を介して第1のスプロケット5A、第2のスプロケット5Bに伝達する機能を有している。制御部16によって第1の駆動機構6A、第2の駆動機構6Bを制御することにより、第1のテープ搬送手段7A、第2のテープ搬送手段7Bは、キャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送する。したがって第1のテープ搬送手段7A、第2のテープ搬送手段7Bは、キャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送する搬送部となっている。
【0018】
このテープ搬送において、第2のテープ搬送手段7Bはテープ投入口2aから挿入されたキャリアテープ3を搬送路2に沿って下流側に送る機能を有している。第1のテープ搬送手段7Aは、上流側から送られたキャリアテープ3のベーステープ3aに第1のスプロケット5Aを係合させることにより、ベーステープ3aの下面側に設けられたエンボス部4のポケットを部品取出位置2cに送る機能を有している。
【0019】
搬送路2の傾斜部2bにおいて、部品取出位置2cの上流側の斜め下方には、テープ送り用の一対のローラ9a、9bより成る剥離部9および剥離部9を駆動する剥離駆動機構10が設けられている。剥離駆動機構10は駆動源であるモータを備え、モータの回転をギヤなどの駆動伝達機構を介してローラ9a、9bに伝達する機能を有している。制御部16によって剥離駆動機構10を制御すること、もしくはローラ9aに備え付けられたスプロケットがキャリアテープ3により回転し、ローラ9aが回転することにより、以下に説明するカバーテープ3bの剥離動作が実行される。
【0020】
剥離部9は搬送路2の上方に設けられており、傾斜部2bの上面側に開口した開口部2dを介して搬送路2と連通している。上流側から搬送路2に沿って搬送されたキャリアテープ3のカバーテープ3bは、開口部2dを介して剥離部9に引き込まれ、ベーステープ3aから剥離される。新たにセットされるキャリアテープ3は、先端部においてカバーテープ3bが部分的にベーステープ3aから剥離された状態で搬送路2のテープ投入口2aから送り込まれる。なお、第2のテープ搬送手段7Bが設けられない場合、キャリアテープ3はオペレータによって押し込まれる。そしてキャリアテープ3の先端部が開口部2dに到達すると、部分的に剥離されたカバーテープ3bが剥離部9によって捕捉される。
【0021】
すなわち、剥離部9はカバーテープ3bの先端部をローラ9a、9bの間に挟んで引き込む。これにより、カバーテープ3bはキャリアテープ3のベーステープ3aから剥離される。剥離されたカバーテープ3bはキャリアテープ3から離れる方向にテープ送りされて、本体部1a内に設けられたカバーテープ回収部14内に収容される。すなわち剥離部9および剥離駆動機構10は、キャリアテープ3からカバーテープ3bを剥離してテープ送りするテープ剥離機構11を構成する。
【0022】
このように、キャリアテープ3からカバーテープ3bを剥離してテープ送りするテープ剥離機構11を、部品取出位置2cの上流側の斜め下方に配置することにより、本体部1aの上面において部品取出位置2cの周辺に機構部分を配置する必要がない。したがって、部品取出位置2cの周辺にはフリーな空間が確保され、部品実装機構の実装ヘッドによる部品取り出し動作の自由度を高めることが可能となっている。
【0023】
搬送路2の傾斜部2bにおいて、剥離部9が配置されたテープ送り位置の上流側には、検出部12が配置されている。検出部12は透過検出型の光学センサであり、搬送路2に沿って搬送されるキャリアテープ3の先端部を検出する。検出部12による検出結果は制御部16に送られる。なお、キャリアテープ3が透明な場合は、キャリアテープ3の先端部と機械的に接触可能なドグを設け、キャリアテープ3がドグと接触した際に起こるドグの変位を光学センサで検出することにより、キャリアテープ3の先端部を検出することが可能である。
【0024】
傾斜部2bの下方において開口部2dに対向する位置には、エアを噴射するエアノズル13が、エア噴射方向を開口部2d内に位置する剥離部9に向けて配置されている。エアノズル13は、カバーテープ3bを剥離部9に捕捉させるためのガスであるエアを噴射する噴射部としての機能を有している。エアノズル13はエア回路13aを介してソレノイドバルブ19に接続されており、ソレノイドバルブ19にはエア供給部15からエア回路15aを介してエアが供給される。
【0025】
制御部16によってソレノイドバルブ19を制御することにより、エア供給部15から供給されるエアを、エアノズル13から剥離部9に向けて任意のタイミングで噴射することができる。本実施の形態では、制御部16が検出部12の検出結果に基づいて、エアノズル13からエアを噴射するタイミングを制御するようになっている。
【0026】
すなわち制御部16は、検出部12によって検出されたカバーテープ3bの先端部が、剥離部9によって捕捉可能な位置に到達したタイミングにてエアノズル13よりエアを噴射させて、キャリアテープ3の先端部にエアを吹き当てる。エアノズル13が噴射したエアをキャリアテープ3の先端部に吹き当てることにより、キャリアテープ3において部分的に剥離されたカバーテープ3bを、下流側に位置する一方のローラ9aに押し当てる。そしてローラ9aに押し当てられたカバーテープ3bを、一方のローラ9aと他方のローラ9bとで挟み込んでベーステープ3aから離れる方向に引き込むことにより、カバーテープ3bのベーステープ3aからの剥離を行う。
【0027】
このときエアノズル13は、噴射したエアをキャリアテープ3の下方からキャリアテープ3の先端部に吹き当てるように、エアノズル13の噴射方向が設定されている。これにより、カバーテープ3bを剥離部9に捕捉させる目的に適した方向からエアを吹き当てることが可能になっている。なお、エアノズル13からエアを噴射するタイミングは上述例には限定されない。例えば、カバーテープ3bの先端部が剥離部9によって捕捉可能な位置に到達する前からエアノズル13によるエアの噴射を開始させるようにしてもよい。この場合においてもカバーテープ3bの先端部が剥離部9によって捕捉可能な位置に到達すると、キャリアテープ3の先端部にはエアが吹き当てられる。
【0028】
図1において、制御部16は第1の駆動機構6A、第2の駆動機構6B、剥離駆動機構10、検出部12、ソレノイドバルブ19と接続されており、制御部16はテープ搬送手段およびテープ剥離機構11を制御する。すなわち制御部16が第1の駆動機構6A、第2の駆動機構6Bを制御することにより、キャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送するテープ搬送動作が実行される。このとき、制御部16は、キャリアテープ3の搬送タイミングおよび搬送量を制御することが可能となっている。
【0029】
また制御部16が検出部12の検出信号に基づいて剥離駆動機構10およびソレノイドバルブ19を制御することにより、カバーテープ3bをキャリアテープ3のベーステープ3aから剥離する剥離動作および剥離されたカバーテープ3bをカバーテープ回収部14内に送るテープ送り動作が実行される。この剥離動作では、ソレノイドバルブ19を制御してエアノズル13からエアを噴射させることにより、カバーテープ3bを剥離部9に捕捉させるようにしている。
【0030】
制御部16には操作部17が接続されており、さらに制御部16は部品実装装置18と通信線よって接続されている。上述のテープ搬送動作、テープ送り動作は、操作部17から入力される操作指令、部品実装装置18から送信される制御指令によって実行される。
【0031】
次に、上述構成のテープフィーダ1においてキャリアテープ3を搬送路2に沿ってキャリアテープ3を搬送するテープ搬送動作およびこのテープ搬送動作においてキャリアテープ3のベーステープ3aからカバーテープ3bを剥離するテープ剥離方法について、各図を参照して説明する。
【0032】
このテープ搬送動作においては、キャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送し、部品を部品実装機構による部品取出位置2cに送るテープ搬送工程が実行される。テープ搬送行程の開始に際しては、まず図1に示すテープ投入口2aから、部品供給対象のキャリアテープ3を搬送路2内に送り込むテープ投入が行われる。このとき、キャリアテープ3の下流側の先端部では、図2に示すように、予めカバーテープ3bがベーステープ3aの上面から所定長さだけ部分的に剥離されて、剥離部9によるカバーテープ3bの先端部の捕捉が容易となるように、端部処理がなされている。
【0033】
このテープ投入により、第2のテープ搬送手段7Bが起動して、図2に示すように、投入されたキャリアテープ3は搬送路2に沿って下流側へテープ搬送される(矢印a)。このテープ搬送に際して、傾斜部2bに配置された剥離部9では、ローラ9a、9bがカバーテープ3bを挟み込んで捕捉することが可能な方向に回転状態にあり(矢印b、c)、さらに第1のスプロケット5Aもキャリアテープ3をテープ搬送可能なように回転している(矢印d)。
【0034】
このテープ搬送の過程では、搬送路2を搬送されるキャリアテープ3の先端部を検出部12によって検出する検出工程が実行され、この検出結果は制御部16に送られる。そしてこの検出結果に基づいて、搬送路2の上方に設けられた剥離部9によって、カバーテープ3bをキャリアテープ3から剥離する剥離工程が実行される。この剥離工程に際しては、カバーテープ3bを剥離部9に捕捉させるためのガスであるエアを、噴射部であるエアノズル13によって剥離部9に向かって噴射するガス噴射工程が実行される。
【0035】
このガス噴射工程におけるガスの噴射は、前述の検出工程の検出結果に基づいて制御部16がソレノイドバルブ19を制御することにより行われる。すなわち、図3に示すように、キャリアテープ3が搬送路2に沿ってさらに搬送される過程において(矢印e)、カバーテープ3bの先端部が剥離部9によって剥離可能な位置に到達したタイミングにて、ガス噴射工程を実行する。すなわちエアノズル13から噴射したエアを、キャリアテープ3の先端部に吹き当てる(矢印f)。
【0036】
そしてこのガス噴射工程において、エアノズル13が噴射したエアをキャリアテープ3の先端部に吹き当てることにより、キャリアテープ3において部分的に剥離されたカバーテープ3bを、下流側に位置する一方のローラ9aに押し当てる。そしてローラ9aに押し当てられたカバーテープ3bを、一方のローラ9aと他方のローラ9bとで挟み込んでベーステープ3aから離れる方向に引き込むことにより、カバーテープ3bのベーステープ3aからの剥離を行う。このように、エアノズル13が噴射したエアによってカバーテープ3bをローラ9a、9bに挟み込ませる構成を用いることにより、薄くて剛性が小さくガイドすることが難しいカバーテープ3bを、確実に剥離部9に捕捉させることが可能となっている。
【0037】
このガス噴射工程においては、噴射したエアをキャリアテープ3の下方からキャリアテープ3の先端部に吹き当てるように、エアノズル13の噴射方向が設定されている。なおガス噴射工程において、エアノズル13からエアを噴射するタイミングは上述例には限定されず、カバーテープ3bの先端部が剥離部9によって捕捉可能な位置に到達する前からエアノズル13によるガス噴射工程を開始するようにしてもよい。この場合においてもカバーテープ3bの先端部が剥離部9によって捕捉可能な位置に到達すると、キャリアテープ3の先端部にはエアが吹き当てられる。
【0038】
上述の剥離動作によりキャリアテープ3のベーステープ3aから剥離されたカバーテープ3bは剥離部9によって引き込まれる。そして図7に示すように、さらにキャリアテープ3から離れる方向にテープ送りされて、カバーテープ回収部14内に収容される。キャリアテープ3においてカバーテープ3bが剥離されたベーステープ3aは、搬送路2に沿って下流側へ搬送される(矢印i)。
【0039】
次に図4を参照して、本実施の形態における第2実施例の部品供給装置であるテープフィーダ1Aの全体構成を説明する。テープフィーダ1Aは、第1実施例におけるテープフィーダ1(図1参照)と同様の機能を有する。なお図4においては、第1実施例のテープフィーダ1と同様構成の要素については同一の符号を付して適宜説明を省略している。
【0040】
図4において、本体部1aには第1実施例における搬送路2と同様構成の搬送路2が設けられている。テープ投入口2aから搬送路2に送り込まれたキャリアテープ3は、搬送部である第1のテープ搬送手段7A、第2のテープ搬送手段7Bによって搬送路2に沿って搬送される。搬送路2の傾斜部2bにおいて、搬送路2の上方に設けられた剥離部9は、傾斜部2bの上面側に開口した開口部2dを介して搬送路2と連通している。
【0041】
開口部2dには、開口部2dを開口状態を可変にカバーするカバー部が設けられている。カバー部は、開口部2dの開口状態を、開口部2dの開口面からカバー部が退避して開口サイズを大きくした第1の開口状態と、開口部2dの開口面にカバー部が位置して第1の開口状態よりも開口サイズが小さい第2の開口状態とのいずれかにする機能を有している。ここで第1の開口状態は、開口サイズが大きいことからカバーテープ3bを剥離部9に捕捉させる際のカバーテープ3bの開口部2dへの導入を阻害しないような開口状態となっている。
【0042】
これに対し第2の開口状態は、カバーテープ3bが剥離部9に捕捉された後に、連続的にカバーテープ3bの剥離が実行される際の開口状態である。この状態では、部品姿勢を安定させるためにカバーテープ3bが剥離されたベーステープ3aの上面が露呈される範囲を極力少なくすることが求められる。このため、開口部2dの開口面にカバー部を位置させてベーステープ3aの上面を覆うとともに、カバーテープ3bの通過を阻害しない範囲で開口サイズを極力小さくするようにしている。
【0043】
すなわち本実施の形態では、第2実施例において開口部2dをカバーするカバー部は、開口部2dの開口状態を、剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態と、第1の開口状態よりも開口サイズが小さく且つキャリアテープ3から剥離されたカバーテープ3bの通過を阻害しない第2の開口状態とのいずれかにするように構成されている。
【0044】
そしてテープフィーダ1Aは、搬送路2を搬送されるキャリアテープ3の先端部を検出する検出部12と、上述のカバー部を動作させる動作部とを備えている。図4に示す第2実施例において、動作部は検出部12の検出結果に基づいてカバー部を動作させて、開口部2dの開口状態を、剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態にするようになっている。
【0045】
図4では、上述機能を有するカバー部が、開口部2dに設けられるフラップ20である場合を示している。以下、図5図7を参照して、開口部2dに設けられたフラップ20の構成および機能を説明する。図5(a)に示すように、傾斜部2bの上面側には、搬送路2の上方に設けられた剥離部9を搬送路2と連通させるための開口部2dが設けられている。
【0046】
開口部2dの一端には、カバー部であるフラップ20が回動自在に設けられている。図5(b)に示すように、フラップ20は、薄い板状のフラップ板20aと、フラップ板20aを回動自在に保持するヒンジ部20bよりなる。ヒンジ部20bは本体部1aのフレーム部に固定されており、フラップ板20aがヒンジ部20b廻りに回動することにより、開口部2dの開口状態は、図6に示す第1の開口状態と、図5に示す第2の開口状態とのいずれかに切り換えられる。
【0047】
搬送路2の下方において、開口部2dと対向する位置には、エアを噴射するエアノズル13が、エア噴射方向を開口部2dに設けられたフラップ20に向けて配置されている。エアノズル13は、検出部12の検出結果に基づいて作動用のガスであるエアを噴射して、キャリアテープ3の先端部およびフラップ20に噴射したエアを吹き当てる噴射部としての機能を有している。そしてこの第2実施例においては、上述構成のエアノズル13が、検出部12の検出結果に基づいてカバー部を動作させる動作部に該当する。
【0048】
図6(a)に示すように、エアノズル13は、噴射したエアをキャリアテープ3の先端部およびフラップ20に下方から吹き当てる(矢印f)。これにより、図6(b)に示すように、フラップ板20aはエアの噴射力により上方に吹き上げられて、ヒンジ部20b廻りに回動する(矢印g)。これによりフラップ板20aは開口部2dを搬送路2に連通させる開口面から退避し、開口部2dにはカバーテープ3bを導入するのに十分な開口サイズの第1の開口スペースS1が形成される。
【0049】
そしてこのエアの噴射においてキャリアテープ3の先端部にエアが吹き当てられることにより、第1実施例と同様に、カバーテープ3bの先端部は開口部2dを介して剥離部9に捕捉される。すなわちエアノズル13が噴射したエアをキャリアテープ3の先端部に吹き当てることにより、キャリアテープ3において部分的に剥離されたカバーテープ3bを、下流側に位置する一方のローラ9aに押し当てる。そしてローラ9aに押し当てられたカバーテープ3bを、一方のローラ9aと他方のローラ9bとで挟み込んでベーステープ3aから離れる方向に引き込むことにより、カバーテープ3bのベーステープ3aからの剥離を行う。
【0050】
したがって図6に示す開口部2dの状態は、剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態に相当する。またこの状態から、エアノズル13によるエアの噴射を停止、もしくはキャリアテープ3が通過してフラップ板20aへエアが当たらなくなることにより、フラップ板20aは重力によって図6(b)に示す矢印gと反対方向に回動して開口部2dの開口面に復帰し、開口部2dの開口状態は図5に示す第2の開口状態となる。この第2の開口状態では、図5(b)に示すように、フラップ板20aは搬送路2の上面に沿った状態となる。そして開口部2dにおいてフラップ板20aの先端とフレーム部との間には、キャリアテープ3から剥離されたカバーテープ3bの通過を阻害しない開口サイズの第2の開口スペースS2が形成される。
【0051】
そして図7に示す剥離後のカバーテープ3bのテープ送りにおいては、カバーテープ3bは開口部2dに形成された第2の開口スペースS2を通過する。そして一方のローラ9aと他方のローラ9bとで挟み込まれ、ベーステープ3aから離れる方向に引き込まれ(矢印h)、カバーテープ回収部14内に送り込まれる。この状態において、フラップ板20aは開口部2dの開口面に位置しており、カバーテープ3bが剥離されて部品が露呈された状態のベーステープ3aの上面をカバーする。これにより、カバーテープ3bが剥離された後のキャリアテープ3における部品の姿勢を安定させることが可能となっている。
【0052】
開口部2dに設けられたフラップ20には、第1の開口状態、第2の開口状態におけるフラップ板20aの回動位置を位置決めするストッパが設けられている。第1の開口状態においては、フラップ板20aはローラ9bの円周面に設けられたストッパ面または本体部1aのフレーム部に設けられたストッパ面に当接することにより位置が固定される。
【0053】
また第2の開口状態においては、フラップ板20aは本体部1aのフレーム部に設けられたストッパ面に当接することにより位置が固定される。なお、剥離部9を構成する一対のローラ9a、ローラ9bのうち、吹き上げられたフラップ20のフラップ板20aと近接してストッパ面として機能する他方のローラ9bの径は、一方のローラ9aよりも小さく設定されている。なお、ローラ9bの径はローラ9aと同じにしても構わない。
【0054】
図8は、前述機能を有するフラップ20において、エアノズル13からのエアの噴射を停止した後にフラップ板20aが第2の開口状態に復帰する回動動作を確実にするための構成を示している。すなわち図5図6に示す例では、フラップ板20aが第2の開口状態に復帰する回動動作を、フラップ板20aの自重による重力によって行うようにしていた。しかしながらこのような構成では、ヒンジ部20bの摺動状態の劣化などで動作が不安定となりやすく、確実な動作が保証されない。
【0055】
このような不具合に対する対処策として、図8に示す例では、フラップ20において、エアノズル13から噴射したエアによって吹き上げられたフラップ板20aに弾性力を作用させて、開口部2dの開口状態を第2の開口状態にする弾性部としてのねじりバネ21を備えるようにしている。
【0056】
すなわち図8(b)に示すように、ねじりバネ21のコイル部21aをヒンジ部20bに嵌着させる。そして一方のアーム部21bをフレーム部に押し当てるとともに、他方のアーム部21cの先端をフラップ板20aに当接させて、ねじりバネ21による弾性力をフラップ板20aを押し下げる方向(矢印j)に作用させる。これにより、フラップ20にはフラップ板20aを常に第2の開口状態に対応する位置に位置させる弾性力が作用し、安定した第2の開口状態への復帰動作が実現される。なお、ねじりバネ21に限らず、圧縮バネや引張バネを用いても構わない。
【0057】
また図9は、開口部2dを開口状態を可変にカバーするカバー部を備えた構成において、カバー部として搬送路2における搬送方向にスライドして開口部2dの開口状態を変更するシャッター部材23を用いた例を示している。図9において搬送路2には、開口部2dの下流側に位置してシャッター部材23がガイドレール22aによって搬送方向にスライド自在(矢印k)に保持されている。
【0058】
シャッター部材23は、駆動源であるモータ22bの回転を、ウオームギヤ22c、減速ギヤ22dによって減速する構成のスライド駆動機構22によってスライドする。これにより、開口部2dの開口サイズをシャッター部材23が開口部2dの開口面から退避した状態における第1の開口スペースS1と、シャッター部材23が開口部2dの開口面の所定位置まで復帰した状態における第2の開口スペースS2とに変更することが可能となっている。
【0059】
ここで第1の開口スペースS1、第2の開口スペースS2は、図6図5における第1の開口スペースS1、第2の開口スペースS2に対応している。これらを比較すると、図6図5に示す例では、第1の開口スペースS1、第2の開口スペースS2は開口サイズが固定されているのに対し、図9に示す例においては第2の開口スペースS2の開口サイズを任意に設定することが可能となっている。
【0060】
上記構成においては、搬送路2の搬送方向に沿ってスライドして開口部2dの開口状態を変更するシャッター部材23が、開口部2dを開口状態を可変にカバーするカバー部となっている。またシャッター部材23をスライドさせるスライド駆動機構22が、カバー部を動作させる動作部となっている。そして開口部2dの開口状態が第1の開口スペースS1となった状態は、剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態に対応している。
【0061】
また開口部2dの開口状態が第2の開口スペースS2となった状態は、第1の開口状態よりも開口サイズが小さく且つキャリアテープ3から剥離されたカバーテープ3bの通過を阻害しない第2の開口状態に対応する。そして第2の開口状態において、カバー部であるシャッター部材23は開口部2dの開口面に位置しており、カバーテープ3bが剥離されて部品が露呈された状態のベーステープ3aの上面をカバーする。これにより、カバーテープ3bが剥離された後のキャリアテープ3における部品の姿勢を安定させることが可能となっている。
【0062】
次に、上述構成のテープフィーダ1Aにおいてキャリアテープ3を搬送路2に沿ってキャリアテープ3を搬送するテープ搬送動作およびこのテープ搬送動作においてキャリアテープ3のベーステープ3aからカバーテープ3bを剥離するテープ剥離方法について、各図を参照して説明する。
【0063】
このテープ搬送動作においては、キャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送し、部品を部品実装機構による部品取出位置2cに送るテープ搬送工程が実行される。テープ搬送行程の開始に際しては、まず図4に示すテープ投入口2aから、部品供給対象のキャリアテープ3を搬送路2内に送り込むテープ投入が行われる。このとき、キャリアテープ3の下流側の先端部では、図5(a)に示すように、予めカバーテープ3bがベーステープ3aの上面から所定長さだけ部分的に剥離されて、剥離部9によるカバーテープ3bの先端部の捕捉が容易となるように、端部処理がなされている。
【0064】
このテープ投入により、第2のテープ搬送手段7Bが起動して、図5(a)に示すように、投入されたキャリアテープ3は搬送路2に沿って下流側へテープ搬送される(矢印a)。このテープ搬送に際して、傾斜部2bに配置された剥離部9では、ローラ9a、9bがカバーテープ3bを挟み込んで捕捉することが可能な方向に回転状態にあり(矢印b、c)、さらに第1のスプロケット5Aもキャリアテープ3をテープ搬送可能なように回転している(矢印d)。なお、ローラ9aは、ローラ9aに備え付けられたスプロケットがキャリアテープ3により動力が伝達されることで回転する。
【0065】
このテープ搬送の過程では、搬送路2を搬送されるキャリアテープ3の先端部を検出部12によって検出する検出工程が実行され、この検出結果は制御部16に送られる。そしてこの検出結果に基づいて、搬送路2の上方に設けられた剥離部9によって、開口部2dを介してローラ9bをキャリアテープ3から剥離する剥離工程が実行される。
【0066】
この剥離工程に際して、カバー部によって開口部2dを開口状態を可変にカバーするカバー工程が前後して実行される。すなわち剥離工程に先立って実行されるカバー工程では、開口部2dの開口状態を剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態とする。そして剥離工程後のカバー工程では、開口部2dの開口状態を第1の開口状態よりも開口サイズが小さく且つキャリアテープ3から剥離されたカバーテープ3bの通過を阻害しない第2の開口状態とする。
【0067】
このカバー工程は、前述の検出工程における検出結果に基づいて、カバー部を動作させる動作工程により実行される。すなわち動作工程においては、検出工程における検出結果に基づいてカバー部を動作させて、開口部2dの開口状態を第1の開口状態にする。
【0068】
ここでカバー部が、図5図6に示すフラップ20である場合には、検出工程における検出結果に基づいて、噴射部であるエアノズル13によるエアを噴射して、キャリアテープ3の先端部およびフラップ20に噴射したエアを吹き当てるガス噴射工程を実行する。このガス噴射工程におけるガスの噴射は、前述の検出工程の検出結果に基づいて制御部16がソレノイドバルブ19を制御することにより行われる。
【0069】
すなわち、図6(a)に示すように、キャリアテープ3が搬送路2に沿ってさらに搬送される過程において(矢印e)、検出部12によって検出されたカバーテープ3bの先端部が剥離部9によって剥離可能な位置に到達したタイミングにて、ガス噴射工程を実行する。すなわちエアノズル13から噴射したエアを、キャリアテープ3の下方からキャリアテープ3の先端部およびフラップ20に吹き当てる(矢印f)。
【0070】
このようにフラップ20にエアが吹き当てられることにより、図6(b)に示すように、フラップ板20aはエアの噴射力により上方に吹き上げられる。これにより、開口部2dの開口状態は、剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態となる。そしてこのエアの噴射においてキャリアテープ3の先端部にエアが吹き当てられることにより、第1実施例と同様に、カバーテープ3bの先端部は開口部2dを介して剥離部9に捕捉される。
【0071】
このようにしてカバーテープ3bが剥離部9に捕捉された後には、開口部2dの開口状態を図5に示す第2の開口状態に戻す。すなわちエアノズル13によるエアの噴射を停止、もしくはキャリアテープ3が通過してフラップ板20aへエアが当たらなくなることにより、フラップ板20aは重力によって図5に示す状態に復帰する。なお、フラップ板20aが第2の開口状態に復帰する回動動作を確実にするためには、図8(b)に示す様な構成を用いる。この場合には、フラップ20において、エアノズル13から噴射したエアによって吹き上げられたフラップ板20aに、弾性部としてのねじりバネ21の弾性力を作用させて、開口部2dの開口状態を第2の開口状態にする。
【0072】
剥離部9にカバーテープ3bが捕捉された後のカバーテープ3bのテープ送りにおいては、カバーテープ3bは第2の開口状態となった開口部2dの第2の開口スペースS2を通過する。そして図7に示すように、さらにキャリアテープ3から離れる方向にテープ送りされて(矢印h)、カバーテープ回収部14内に送り込まれる。
【0073】
なお、カバー部として、図9に示すように、搬送路2における搬送方向にスライドして開口部2dの開口状態を変更するシャッター部材23を用いる場合には、前述のカバー工程においてシャッター部材23を、動作部であるスライド駆動機構22によってスライドさせて、開口部2dの開口状態を変更する。
【0074】
次に図10を参照して、本実施の形態における第3実施例の部品供給装置であるテープフィーダ1Bの全体構成を説明する。テープフィーダ1Bは、第1実施例におけるテープフィーダ1(図1参照)と同様の機能を有する。なお図10においては、第1実施例のテープフィーダ1と同様構成の要素については同一の符号を付して適宜説明を省略している。
【0075】
図10において、本体部1aには第1実施例における搬送路2と同様構成の搬送路2が設けられている。テープ投入口2aから搬送路2に送り込まれたキャリアテープ3は、搬送部である第1のテープ搬送手段7A、第2のテープ搬送手段7Bによって搬送路2に沿って搬送される。搬送路2の傾斜部2bにおいて、搬送路2の上方に設けられた剥離部9は、傾斜部2bの上面側に開口した開口部2dを介して搬送路2と連通している。剥離部9は、第2実施例と同様に、開口部2dを介してカバーテープ3bをキャリアテープ3から剥離する機能を有している。
【0076】
図11(a)に示すように、搬送路2内には、搬送路2を搬送されるキャリアテープ3と搬送路2の天井面との間に位置して、板状のテープカバー24が搬送路2に沿って配置されている。テープカバー24は剥離部9によってカバーテープ3bが剥離されたキャリアテープ3の上面を覆う被覆部であり、カバーテープ3bが剥離されて上面が露呈されたベーステープ3aにおける部品の姿勢を安定させる機能を有している。なお搬送路2におけるテープカバー24の装着状態は、キャリアテープ3の天井面に摺接していてもよく、またはキャリアテープ3の上面から僅かな隙間で離隔していてもよい。
【0077】
図11(b)に示すように、テープカバー24において開口部2dに対応する位置には、開口部2dを包含する大きさの開口24aが設けられている。開口24aの下流側に位置するテープカバー24の一端には、第2実施例におけるフラップ20と同様構成のフラップ20Aが設けられている。フラップ20Aは、薄い板状のフラップ板20aと、フラップ板20aを回動自在に保持するヒンジ部20bよりなる。ヒンジ部20bはテープカバー24の一端に固定されており、フラップ板20aがヒンジ部20b廻りに回動することにより、開口部2dの開口状態を変更することができる。
【0078】
搬送路2の下方において、開口部2dと対向する位置には、エアを噴射するエアノズル13が、エア噴射方向をテープカバー24に設けられたフラップ20Aに向けて配置されている。エアノズル13は、第2実施例と同様に、検出部12の検出結果に基づいて作動用のガスであるエアを噴射して、キャリアテープ3の先端部およびフラップ20Aに、噴射したエアを吹き当てる噴射部としての機能を有している。そしてこの第3実施例においても、上述構成のエアノズル13が、検出部12の検出結果に基づいてカバー部であるフラップ20Aを動作させる動作部に該当する。
【0079】
この動作部によって実行される動作工程では、検出部12による検出工程における検出結果に基づいてエアノズル13からエアを噴射してフラップ板20aに吹き当てる。これにより、フラップ板20aが吹き上げられ(矢印m)、開口24aから退避する。これにより開口部2dの開口面には、剥離部9によるカバーテープ3bの捕捉を妨げない第1の開口スペースS1が形成される。これにより、開口部2dは第2実施例と類似の第1の開口状態となる。
【0080】
そしてエアノズル13からのエアの噴射を停止、もしくはキャリアテープ3が通過してフラップ板20aへエアが当たらなくなることにより、フラップ板20aは開口24aの元位置に復帰する。これにより、開口部2dの開口面においてフラップ板20aと本体部1aのフレーム端部の間の隙間に対応する位置には、第1の開口状態における第1の開口スペースS1よりも開口サイズが小さい第2の開口スペースS2が形成される。これにより開口部2dは、第2実施例と類似の第2の開口状態となり、前述と同様の効果を得る。
【0081】
上記説明したように、本実施の形態に示すテープフィーダ1では、部品が収納され上面をカバーテープ3bによって封止されたキャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送する構成において、搬送路2の上方にカバーテープ3bをキャリアテープ3から剥離する剥離部9と、カバーテープ3bを剥離部9に捕捉させるためのエアを噴射すエアノズル13と、搬送路2を搬送されるキャリアテープ3の先端部を検出する検出部12とを設け、カバーテープ3bの先端部が剥離部9によって捕捉可能な位置に到達したタイミングにてエアノズル13によりエアを噴射させて、キャリアテープ3の先端部にエアを吹き当て、カバーテープ3bを剥離部9によって捕捉させるようにしている。これにより、カバーテープ3bの先端部をエアの噴射によってテープ剥離機構に導いて安定して捕捉することができる。
【0082】
また本実施の形態に示すテープフィーダ1Aでは、部品が収納され上面をカバーテープ3bによって封止されたキャリアテープ3を搬送路2に沿って搬送する構成において、搬送路2の上方に設けられた開口部2dを介してカバーテープ3bをキャリアテープ3から剥離する剥離部9と、開口部2dを開口状態を可変にカバーするフラップ20と、カバーテープ3bを剥離部9に捕捉させるためのエアを噴射すエアノズル13とを設け、カバーテープ3bの先端部が剥離部9によって捕捉可能な位置に到達したタイミングにてエアノズル13によりエアを噴射させて、フラップ20およびキャリアテープ3の先端部にエアを吹き当て、開口部2dの開口状態を剥離部9がカバーテープ3bを捕捉可能な第1の開口状態とするとともに、カバーテープ3bを剥離部9によって捕捉させるようにしている。
【0083】
これにより、カバーテープ3bを剥離部9によって捕捉した後には開口部2dを第1の開口状態よりも開口サイズが小さい第2の開口サイズに変更して、カバーテープ3bが剥離された後にのキャリアテープ3の上面をフラップ20によってカバーすることができる。したがって、確実なカバーテープ3bの剥離とカバーテープ剥離後の部品姿勢の安定とを両立させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の部品供給装置および部品供給方法は、確実なカバーテープの剥離とカバーテープ剥離後の部品姿勢の安定とを両立させることができるという効果を有し、部品供給装置から取り出した部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0085】
1、1A、1B テープフィーダ
2 搬送路
2d 開口部
3 キャリアテープ
3a ベーステープ
3b カバーテープ
7A 第1のテープ搬送手段
7B 第2のテープ搬送手段
9 剥離部
12 検出部
13 エアノズル
20、20A フラップ
21 ねじりバネ
22 スライド駆動機構
23 シャッター部材
24 テープカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11