(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】警報システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20231127BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G08B17/00 H
G08B17/00 C
G08B23/00 520B
(21)【出願番号】P 2019086735
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】珍坂 舞
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6492224(JP,B1)
【文献】特開2019-012343(JP,A)
【文献】特開2018-132849(JP,A)
【文献】特開2017-016385(JP,A)
【文献】特開2007-188345(JP,A)
【文献】特開2015-197856(JP,A)
【文献】特開2013-025661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報装置を複数備えた警報システムであって、
複数の前記警報装置の各々は、
施設内での異常発生を知らせるために外部からの押し操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する制御部と、
非常用電源と、
前記発報信号に応じて報知音を出力する音出力部と、
を備え、
前記制御部は、特定の条件を満たした場合に、前記音出力部に、音声メッセージを含む音声音を出力さ
せ、
複数の前記警報装置のうち特定の警報装置の前記制御部は、前記特定の条件として前記非常用電源からの給電により動作中である場合に、自機の前記音出力部に、停電の発生に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる、
警報
システム。
【請求項2】
複数の前記警報装置の各々は、前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける点検受付部を、更に備え、
前記特定の警報装置の前記制御部は、前記特定の条件として前記点検受付部が前記操作を受け付けると、自機の前記音出力部に、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる、
請求項1に記載の警報
システム。
【請求項3】
警報装置を複数備えた警報システムであって、
複数の前記警報装置の各々は、
施設内での異常発生を知らせるために外部からの押し操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する制御部と、
非常用電源と、
前記発報信号に応じて報知音を出力する音出力部と、
前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける点検受付部と、
を備え、
前記制御部は、特定の条件を満たした場合に、前記音出力部に、音声メッセージを含む音声音を出力させ、
前記制御部は、前記特定の条件として前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記音出力部に、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させ、
複数の前記警報装置における、一の警報装置の前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記一の警報装置は、自機の前記動作点検を実行し、かつ複数の前記警報装置における他の警報装置に点検信号を送信し、
前記他の警報装置は、前記点検信号を受信すると、自機の前記動作点検を実行する、
警報システム。
【請求項4】
前記動作点検を実行した複数の前記警報装置のうち特定の警報装置のみが、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む前記音声音を、出力する、
請求項3に記載の警報
システム。
【請求項5】
複数の前記警報装置の各々は、表示部を、更に備え、
前記制御部は、前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記表示部に、前記動作点検の結果に関する文字情報及びコード情報の少なくとも1つを、表示させる、
請求項
2~4のいずれか1項に記載の警報
システム。
【請求項6】
複数の前記警報装置の各々は、情報端末と通信する通信部を、更に備え、
前記制御部は、前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記通信部を介して、前記情報端末に、前記動作点検の結果に関する情報を含む信号を送信する、
請求項2~5のいずれか1項に記載の警報
システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記特定の条件として前記操作部が前記押し操作を受け付けると、前記音出力部に、サイレン音と前記音声音とを含む前記報知音を出力させる、
請求項
1~6のいずれか1項に記載の警報
システム。
【請求項8】
前記報知音は、前記サイレン音と前記音声音とからなるセットが繰り返しされてなり、
前記制御部は、繰り返される前記セットを跨いで前記音声音に変化を付与する、
請求項
7に記載の警報
システム。
【請求項9】
前記変化は、前記音声音の言語、速度、及び周波数の少なくとも1つに関する、
請求項
8に記載の警報
システム。
【請求項10】
前記変化は、前記音声音の言語に関し、
前記制御部は、複数の言語に対応する複数の音声メッセージを、繰り返される前記セットを跨いで、それぞれ前記音声音に含める、
請求項9に記載の警報
システム。
【請求項11】
複数の前記警報装置の各々は、複数種類のサイレン音の中から、前記報知音に含める前記サイレン音を選択する選択部を、更に備える、
請求項
7~10のいずれか1項に記載の警報
システム。
【請求項12】
複数の前記警報装置の各々は、前記報知音に前記音声音を含めるか否かを切り替える切替部を、更に備える、
請求項7~11のいずれか1項に記載の警報システム。
【請求項13】
前記音声音は、避難経路に関する音声メッセージを含む、
請求項
7~12のいずれか1項に記載の警報システム。
【請求項14】
外部からの押し操作を受け付ける操作部と、前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する制御部と、非常用電源と、前記発報信号に応じて報知音を出力する音出力部と、前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける点検受付部と、を備え、前記制御部は、特定の条件として前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記音出力部に、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を出力させる警報装置を複数備えた警報システムであって、
複数の前記警報装置における、一の警報装置の前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記一の警報装置は、自機の前記動作点検を実行し、かつ複数の前記警報装置における他の警報装置に点検信号を送信し、
前記他の警報装置は、前記点検信号を受信すると、自機の前記動作点検を実行する、
警報システム。
【請求項15】
外部からの押し操作を受け付ける操作部と、前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する制御部と、非常用電源と、前記発報信号に応じて報知音を出力する音出力部と、を備え、前記制御部は、特定の条件を満たした場合に、前記音出力部に、音声メッセージを含む音声音を出力させる警報装置を複数備えた警報システムであって、
複数の前記警報装置のうち特定の警報装置の前記制御部は、前記特定の条件として前記非常用電源からの給電により動作中である場合に、自機の前記音出力部に、停電の発生に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる、
警報システム。
【請求項16】
操作部と非常用電源と点検受付部とを備える警報装置を複数備えた警報システムの制御方法であって、
施設内での異常発生を知らせるために外部からの押し操作を前記操作部が受け付けた場合に、発報信号を出力する第1ステップと、
前記発報信号に応じて報知音を出力する第2ステップと、
特定の条件を満たした場合に、音声メッセージを含む音声音を出力する第3ステップと、
を含み、
前記第3ステップでは、前記特定の条件として前記点検受付部が前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付けると、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させ、
複数の前記警報装置における、一の警報装置の前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記一の警報装置に対して、自機の前記動作点検を実行させ、かつ複数の前記警報装置における他の警報装置に点検信号を送信させ、
前記他の警報装置が前記点検信号を受信すると、前記他の警報装置に対して、自機の前記動作点検を実行させる、
制御方法。
【請求項17】
コンピュータシステムに請求項16に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、警報システム、制御方法、及びプログラムに関する。本開示は、より詳細には、非常用電源を備える警報装置を複数備える警報システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1に記載の火災発信機(警報装置)を例示する。この火災発信機は、建物の壁部等に設けられ押釦スイッチ等を備えた火災発信機本体をカバー体にて覆ってなる。火災発見者は、この火災発信機の押釦スイッチを強く押すことにより、火災発信機近傍に設けられるスピーカから警報音が発せられることで、周囲の人に火災発生を知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の火災発信機では、警報音(サイレン音)を発するのみであり、警報音が発せられてから、周囲の人が火災の発生を認識するまでに時間を要する可能性がある。また火災の発生時以外にも、例えば、非常用電源からの給電による動作点検を実施する際に、点検者は、警報音(サイレン音)のみで正常に動作しているか否かを判断する必要がある。したがって、避難時又は点検時等において、音出力に関する認識性の改善が望まれる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、音出力に関する認識性の向上を図ることができる、警報システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る警報システムは、警報装置を複数備える。複数の前記警報装置の各々は、操作部と、制御部と、非常用電源と、音出力部と、を備える。前記操作部は、施設内での異常発生を知らせるために外部からの押し操作を受け付ける。前記制御部は、前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する。前記音出力部は、前記発報信号に応じて報知音を出力する。前記制御部は、特定の条件を満たした場合に、前記音出力部に、音声メッセージを含む音声音を出力させる。複数の前記警報装置のうち特定の警報装置の前記制御部は、前記特定の条件として前記非常用電源からの給電により動作中である場合に、自機の前記音出力部に、停電の発生に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる。
【0007】
本開示の一態様に係る警報システムは、警報装置を複数備える。複数の前記警報装置の各々は、操作部と、制御部と、非常用電源と、音出力部と、点検受付部と、を備える。前記操作部は、施設内での異常発生を知らせるために外部からの押し操作を受け付ける。前記制御部は、前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する。前記音出力部は、前記発報信号に応じて報知音を出力する。前記点検受付部は、前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける。前記制御部は、特定の条件を満たした場合に、前記音出力部に、音声メッセージを含む音声音を出力させる。前記制御部は、前記特定の条件として前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記音出力部に、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる。複数の前記警報装置における、一の警報装置の前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記一の警報装置は、自機の前記動作点検を実行し、かつ複数の前記警報装置における他の警報装置に点検信号を送信する。前記他の警報装置は、前記点検信号を受信すると、自機の前記動作点検を実行する。
【0008】
本開示の一態様に係る警報システムは、警報装置を複数備える。複数の前記警報装置の各々は、外部からの押し操作を受け付ける操作部と、前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する制御部と、非常用電源と、前記発報信号に応じて報知音を出力する音出力部と、前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける点検受付部と、を備える。前記制御部は、特定の条件として前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記音出力部に、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を出力させる。複数の前記警報装置における、一の警報装置の前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記一の警報装置は、自機の前記動作点検を実行し、かつ複数の前記警報装置における他の警報装置に点検信号を送信する。前記他の警報装置は、前記点検信号を受信すると、自機の前記動作点検を実行する。
本開示の一態様に係る警報システムは、警報装置を複数備える。複数の前記警報装置の各々は、外部からの押し操作を受け付ける操作部と、前記操作部が前記押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する制御部と、非常用電源と、前記発報信号に応じて報知音を出力する音出力部と、を備える。前記制御部は、特定の条件を満たした場合に、前記音出力部に、音声メッセージを含む音声音を出力させる。複数の前記警報装置のうち特定の警報装置の前記制御部は、前記特定の条件として前記非常用電源からの給電により動作中である場合に、自機の前記音出力部に、停電の発生に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる。
【0009】
本開示の一態様に係る制御方法は、操作部と非常用電源と点検受付部とを備える警報装置を複数備えた警報システムの制御方法である。前記制御方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。前記第1ステップにて、施設内での異常発生を知らせるために外部からの押し操作を前記操作部が受け付けた場合に、発報信号を出力する。前記第2ステップにて、前記発報信号に応じて報知音を出力する。前記第3ステップにて、特定の条件を満たした場合に、音声メッセージを含む音声音を出力する。前記第3ステップでは、前記特定の条件として前記点検受付部が前記非常用電源からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付けると、前記動作点検の結果に関する音声メッセージを含む前記音声音を出力させる。前記制御方法は、複数の前記警報装置における、一の警報装置の前記点検受付部が前記操作を受け付けると、前記一の警報装置に対して、自機の前記動作点検を実行させ、かつ複数の前記警報装置における他の警報装置に点検信号を送信させる。前記制御方法は、前記他の警報装置が前記点検信号を受信すると、前記他の警報装置に対して、自機の前記動作点検を実行させる。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに上記の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、音出力に関する認識性の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る警報装置の模式的な正面図である。
【
図2】
図2は、同上の警報装置の概略ブロック構成図である。
【
図3】
図3A~3Cは、同上の警報装置における表示部の模式的な正面図である。
【
図4】
図4は、同上の警報装置の動作点検に関する説明図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る警報システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
本実施形態に係る警報装置1は、
図2に示すように、操作部11と、制御部12と、非常用電源13と、音出力部14と、を備えている。警報装置1は、非常用電源13を備えた、いわゆる複合装置(非常警報設備)である。警報装置1は、建物等の施設における壁等に、直付け又は埋め込みで設置される。警報装置1は、例えば商用の交流電源3(
図5参照、例えば実効値100V)からの電力供給により動作する一方で、停電等の発生により、交流電源3からの電力供給が得られない場合に、内蔵する非常用電源13からの電力供給により動作する。
【0015】
操作部11は、外部からの押し操作を受け付ける。操作部11は、例えば、施設内で火災等の異常が発生した場合に、施設を利用する利用者からの押し操作を受け付ける。制御部12は、操作部11が押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する。音出力部14は、発報信号に応じて報知音を出力する。なお、報知音は、少なくともサイレン音を含む。
【0016】
ここで制御部12は、特定の条件を満たした場合に、音出力部14に、音声メッセージを含む音声音を出力させる。「特定の条件」は、例えば、操作部11が押し操作を受け付けることであり、この場合、報知音は、サイレン音に加えて、音声音を更に含む。また「特定の条件」は、(後述する)点検受付部15が操作を受け付けることでもよいし、非常用電源13からの給電により動作中であることでもよい。
【0017】
この構成によれば、特定の条件を満たした場合に、音声メッセージを含む音声音が音出力部14から出力される。要するに、警報装置1は、音出力部14から音声音を出力させる機能を有している。したがって、例えば火災等の異常発生時又は点検時等の状況下において、音出力に関する認識性の向上を図ることができる。
【0018】
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る警報装置1の全体構成について詳しく説明する。警報装置1は、上述の通り、操作部11と、制御部12と、非常用電源13と、音出力部14とを備えている(
図2参照)。また警報装置1は、表示灯4と、点検受付部15と、表示部16と、筐体18と、記憶部19と、通信部20とを更に備えている(
図1及び
図2参照)。また警報装置1は、電源回路及び点灯回路等の回路モジュールを更に備えている。
【0019】
警報装置1は、通常時(非停電時)には交流電源3(
図5参照)からの電力供給により動作し、停電時には非常用電源13からの電力供給により動作する。非常用電源13は、1又は複数本のバッテリー(二次電池)を含む。電源回路は、通常時、交流電源3からの交流電力を直流電力に変換して、警報装置1の動作電源を生成する。また電源回路は、通常時、交流電源3からの電力供給により、非常用電源13のバッテリーを充電する。また電源回路は、停電時、主電源を交流電源3から非常用電源13に切り替えて、非常用電源13から放電される直流電力を用いて、警報装置1の動作電源を生成する。警報装置1は、非常用電源13の電池電圧が正常か異常かを確認するための点検機能を有しており、点検機能の実行中においても、非常用電源13からの電力供給により動作する。点灯回路は、電源回路で生成された動作電源を用いて表示灯4及び表示部16等の光源を点灯させるように構成される。
【0020】
図1は、施設の壁に設置された警報装置1を正面から見た模式的な正面図である。以下の説明では、警報装置1の上下方向及び左右方向を、壁に設置された状態の警報装置1の上下方向及び左右方向(
図1参照)に基づいて規定する。警報装置1の前面(正面)は、表示灯4、操作部11、及び音出力部14がある側の面とし、警報装置1の後面は壁の側の面とする。
【0021】
筐体18は、例えば上下方向に長尺で、扁平な矩形箱である。筐体18は、前側のカバーと後ろ側のケースとを有し、カバーがケースに対して着脱可能となっている。筐体18は、表示灯4、操作部11、制御部12、非常用電源13、音出力部14、点検受付部15、表示部16、及び、点灯回路や電源回路等の回路モジュールを、内部に収容、又は前面で支持する。筐体18は、例えば、後面又は側面に、交流電源3と電気的に接続される電源線L0(
図5参照)を内部に導入するための貫通孔を有している。
【0022】
操作部11は、例えば、施設内で火災等の異常が発生した場合に、施設を利用する利用者(外部)からの押し操作を受け付ける、押釦である。操作部11は、筐体18の前面の下側に配置される。操作部11が押し操作を受けることで、音出力部14から報知音が出力される。
【0023】
表示灯4は、光源(例えばLED:Light Emitting Diode)、及び光源の前方を覆うドーム形状のカバー40を有している。カバー40は、透光性を有している。表示灯4は、筐体18の前面の上側に配置される。表示灯4は、暗がりでも警報装置1の位置を明確に示すように、常時点灯している。
【0024】
音出力部14は、例えばスピーカと音響回路とを備えた音響装置である。音出力部14は、筐体18の内部に収容される。ただし、音出力部14のスピーカは、筐体18の前面から見て、上下方向における略中央の位置にある。筐体18は、前面の中央に、音出力部14から出力される報知音が導出される複数の音響孔180を有している。音出力部14の音響回路は、制御部12から受信する発報信号(警報信号)に応じて、報知音を出力する。なお、筐体18の前面に設けられている復旧用の押釦を押すことで、報知音は停止される。
【0025】
ここでは上述の通り、制御部12は、「特定の条件として」操作部11が押し操作を受け付けると、音出力部14に、サイレン音(警報音)と、音声メッセージを含む音声音(音声警報)とを含む報知音を出力させる。サイレン音と音声音とを含む報知音が出力されることで、火災等の発生により避難が必要となる状況において、音出力に関する認識性が向上される。
【0026】
報知音は、サイレン音と音声音とからなるセットが繰り返しされてなる。具体的には、各セットの期間は、サイレン音が出力される第1期間(例えば4秒以下)と、音声音が出力される第2期間(例えば2秒以下)とからなり、当該セットが繰り返される。第1期間と第2期間の比率は、2:1とすることが望ましいが、特に限定されない。
【0027】
各セットの第1期間におけるサイレン音は、例えば「ウー」という音を1つ以上含む(例えば2つ)。各セットの第2期間における音声音は、例えば「火事です」という音声メッセージを1つ以上含む(例えば2つ)。ここでは一例として、各セットは、「ウーウー、火事です、火事です」という一連の音を含む(
図1参照)。要するに、報知音は、例えば、「ウーウー、火事です、火事です」が繰り返されてなる。なお、本実施形態の報知音は、さらに日本語の「火事です」に相当する他言語(英語なら「Fire」)も含むように出力される。他言語については、後の「(2.3)バイリンガル機能」の欄で詳しく説明する。
【0028】
点検受付部15は、非常用電源13からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける。点検受付部15は、例えば押釦からなる。点検受付部15は、例えば、筐体18の前面における、音響孔180の直ぐ下の右寄りの位置に設けられている(
図1参照)。警報装置1の点検を行う点検者が点検受付部15を押すことで、報知音が正常に出力されるか等の動作点検が実行される。特に点検者は、この動作点検を通じて、非常用電源13の電池電圧が正常か異常かを確認できる。
【0029】
表示部16は、火災の発生等の異常結果、及び点検結果等を表示するように構成される。表示部16は、
図2に示すように、交流電源灯161、電池確認灯162、及び表示板163等を含む。交流電源灯161は、制御部12の制御下で、交流電源3が正常(非停電)であれば例えば緑色に点灯し、異常(停電)であれば消灯する。電池確認灯162は、制御部12の制御下で、動作点検時において、非常用電源13の電池電圧が正常であれば例えば緑色に点灯し、異常であれば例えば赤色に点灯する。表示板163は、例えば、液晶ディスプレイから構成される。表示板163は、制御部12の制御下で、後述する種々の情報を提示する。
【0030】
制御部12は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部12として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0031】
制御部12は、電源回路、点灯回路、及び音出力部14の音響回路等を制御するように構成される。また制御部12は、表示板163に表示させる画像を生成する画像処理機能を有している。特に、制御部12は、操作部11が押し操作を受け付けた場合、報知音を出力させるために、音出力部14の音響回路等にメッセージ音を含む発報信号(警報信号)を出力する。音出力部14の音響回路は、発報信号に応じて、スピーカから報知音を出力させる。
【0032】
本実施形態の制御部12は、
図2に示すように、選択部120と、切替部121とを更に有している。言い換えると、制御部12は、選択部120としての機能と、切替部121としての機能を有している。
【0033】
選択部120は、複数種類のサイレン音の中から、報知音に含めるサイレン音を選択するように構成される。記憶部19には、複数種類のサイレン音に関する音データが記憶されている。記憶部19は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。複数種類のサイレン音に関する音データは、記憶部19の代わりに、制御部12のメモリに記憶されてもよい。
【0034】
選択部120は、例えば盤内(筐体18内)の1又は複数のディップスイッチのオン、オフの切り替えの状態に応じて、報知音に含めるサイレン音を選択する。種類のサイレン音の例としては、上述の「ウー」に加えて、「ヒューン」及び「ビュー」等を含む。要するに、例えば「ウーウー、火事です、火事です」が繰り返されてなる報知音を、「ビュービュー、火事です、火事です」が繰り返されてなる報知音へ、変更できる。警報装置1の管理者(又は所有者)は、警報装置1の設置環境又は要望等に応じて、サイレン音の種類を変更できる。
【0035】
切替部121は、報知音に音声音を含めるか否か(音声音の有効又は無効)を切り替えるように構成される。切替部121は、例えば筐体18内の1又は複数のディップスイッチのオン、オフの切り替えの状態に応じて、音声音の有効、又は無効に切り替える。
【0036】
切替部121は、ディップスイッチのオン、オフの状態が音声音の「有効」を示す場合、上述の通り、例えば「ウーウー、火事です、火事です」が繰り返されてなる報知音を出力させる。
【0037】
一方、切替部121は、ディップスイッチのオン、オフの状態が音声音の「無効」を示す場合、「ウーウー」が繰り返されてなる報知音を出力させる。言い換えると、各セットの期間は、サイレン音が出力される第1期間(例えば4秒以下)のみを含み、音声音が出力される第2期間を含まない。なお、選択部120にて、「ビュー」というサイレン音が選択されていれば、「ビュービュー」が繰り返されてなる報知音が出力される。
【0038】
したがって、警報装置1の管理者(又は所有者)は、警報装置1の設置環境又は要望等に応じて、音声音を含めるか否か(音声音の有効又は無効)を変更できる。
【0039】
通信部20は、例えば点検者が携帯する情報端末50(
図2参照)と通信するための通信インタフェースである。通信部20は、情報端末50と、例えばBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行う。情報端末50は、スマートフォン、又はタブレット端末等である。情報端末50には、通信部20と無線通信可能とする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0040】
(2.2)動作点検
また制御部12は、点検受付部15が操作を受け付けると、動作点検を実行するように構成される。言い換えると、制御部12は、動作モードを点検用モードに切り替える。制御部12は、点検用モードにおいて、主電源を、交流電源3から非常用電源13に切り替える。そして、制御部12は、点検用モードにおいて、非常用電源13を用いて、試験的に報知音を出力する。動作点検時に出力される報知音は、サイレン音のみでもよいし、サイレン音に加えて音声音(音声警報)を含んでもよい。点検者は、報知音を確認することで、警報装置1が正常に動作するか否かを確認できる。
【0041】
特に、制御部12は、動作点検を通じて、上述の通り非常用電源13の電池電圧が正常か異常かを確認する。そして、制御部12は、その結果を点検者に提示する。
【0042】
具体的には、制御部12は、非常用電源13の電池電圧が正常であれば、電池確認灯162を緑色に点灯し、異常であれば電池確認灯162を赤色に点灯する。さらに本実施形態の制御部12は、音出力部14に、上記の報知音とは別に、動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音(動作点検用の音声音)を出力させる。動作点検の結果に関する音声メッセージに関するデータは、記憶部19(又は制御部12のメモリ)に記憶されている。要するに、制御部12は、「特定の条件として」点検受付部15が操作を受け付けると、音出力部14に動作点検用の音声音を出力させる。音声メッセージの例は、「電池試験、正常です」(
図4参照)、及び「電池試験、異常です」等である。したがって、動作点検時において、音出力に関する認識性がより向上される。なお、制御部12は、一定期間の間(例えば1分間)、動作点検用の音声音を繰り返し出力させる。報知音と同様に、復旧用の押釦を押すことで、動作点検用の音声音は停止されてもよい。
【0043】
また制御部12は、点検受付部15が操作を受け付けると、通信部20を介して、情報端末50に、動作点検の結果に関する情報(例えば、具体的な異常内容、及び異常に対する対処方法等)を含む信号を送信する。点検者は、情報端末50の表示部に表示される動作点検の結果に関する情報を確認できる。したがって、動作点検時において、動作点検の結果に関する認識性がより向上される。
【0044】
(2.3)バイリンガル機能
ところで、本実施形態の制御部12は、繰り返されるセットを跨いで音声音に変化を付与するように構成される。ここでは一例として、「変化」は、音声音の言語に関するものとする。すなわち、制御部12は、複数の言語に対応する複数の音声メッセージを、繰り返されるセットを跨いで、それぞれ音声音に含める。
【0045】
ここでは例えば、複数の言語は、日本語と英語の二言語とするが、特に限定されず、英語の代わり、又は日本語と英語の二言語に加えて、中国語又は韓国語等を含んでもよい。
【0046】
日本語の音声音は、上述の通り「火事です」である。英語の音声音は、例えば「Fire」である。繰り返されるセットにおいて、例えば第1のセットは、「ウーウー、火事です、火事です」を含む。第1のセットの次に続く第2のセットは、「ウーウー、Fire、Fire」を含む(
図1参照)。そして、報知音は、第1のセットと第2のセットとが例えば交互に繰り返されてなるものである。もし中国語又は韓国語等を更に含める場合、第2のセットの次に続く第3のセットを中国語(又は韓国語等)に割り当てて、第1~第3のセットが繰り返されてもよい。
【0047】
制御部12は、操作部11が押し操作を受け付けると、音出力部14に、第1のセットと第2のセットとが繰り返されてなる報知音を出力させる(
図1参照)。このように警報装置1が音声音に関するバイリンガル機能を有していることで、例えば火災等の発生により避難が必要となる状況において、より多くの言語圏の人々に対して、音出力に関する認識性が向上される。
【0048】
なお、制御部12の切替部121は、上述した音声音の有効又は無効を切り替えるだけでなく、複数の言語から一言語のみに切り替える(バイリンガルの有効又は無効)ように構成されてもよい。切替部121は、筐体18内の1又は複数のディップスイッチのオン、オフの切り替えの状態に応じて、日本語の報知音「ウーウー、火事です、火事です」のみを、又は英語の報知音「ウーウー、Fire、Fire」のみを繰り返させてもよい。
【0049】
(2.4)表示板
表示部16の表示板163(
図3A~
図3C参照)は、制御部12の制御下で、種々の情報を表示(提示)する。以下で説明する種々の情報に関するデータパターンは、記憶部19に記憶されている。
【0050】
表示板163は、火災等の異常発生時に操作部11が押し操作を受け付けると、
図3Aに示すように、火災等の異常発生を通知するための文字情報(例えば「火災が発生しました」等)を、表示させる。この文字情報も日本語だけでなく英語等の他言語で表示されてもよい。
【0051】
また表示板163は、火災等の異常発生時に操作部11が押し操作を受け付けると、
図3Bに示すように、避難経路(例えば避難方向を示す矢印で)を表示してもよい。この場合、警報装置1は、記憶部19に、自機及び避難口の位置に関する位置情報を記憶している。制御部12は、位置情報に基づいて、避難経路を表示する。避難経路は、矢印以外にも、避難口のマーク付きの簡易的なマップ情報を表示してもよい。マップ情報は、記憶部19に記憶されている。表示板163は、
図3Aに示す文字情報と交互に避難経路を表示してもよい。なお、表示部16だけでなく、表示灯4が、光る領域を偏らせることで、例えば複数のLEDのうち右側に配置されているLEDのみを点灯させることで、避難方向を通知してもよい。
【0052】
このように操作部11が押し操作を受け付けると表示部16から種々の情報が表示されるため、周囲の人への火災等の異常発生に関する認識性がより向上される。
【0053】
また表示板163は、動作点検の結果に関する情報を表示する。つまり、制御部12は、点検受付部15が操作を受け付けて動作点検が実行されると、表示部16の表示板163に、動作点検の結果に関する文字情報及びコード情報の少なくとも1つを、表示させる。
【0054】
表示板163は、動作点検の結果に応じて、例えば上述した音声メッセージと同様に「電池試験、正常です」又は「電池試験、異常です」といった文字情報を表示してもよい(
図3C参照)。表示板163は、文字情報の代わりに、又は文字情報に加えて、結果内容に対応したコード情報(例えば、電池試験の異常を表すエラー番号「E01」等)を表示してもよい。
【0055】
またここで言うコード情報は、ウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)を記録したQRコード(登録商標)等の二次元コード60(
図3C参照)であってもよい。例えば、各エラー番号に対応するURLが割り振られている。制御部12は、動作点検の結果に応じた二次元コード60を生成し、表示板163に表示させる。二次元コード60を、例えば点検者が携帯する(カメラ付きの)情報端末50で読み込むことで、各エラー番号に対応するウェブサイトへのアクセスを容易にするものである。この場合、情報端末50には、二次元コード60を読み取り可能なアプリケーションソフトがインストールされている。
【0056】
点検者は、アクセスしたウェブサイトを閲覧することで、具体的な異常内容、及び異常に対する対処方法等を知ることができる。なお、記憶部19には、二次元コード60を生成するために必要とされる情報(複数のエラー番号や複数のURLに関する情報)が記憶されている。
【0057】
なお、二次元コード60は、ウェブサイトのURLを含まなくてもよく、例えば、専用の読取装置で読み取ることで、読取装置に付属の表示部に、具体的な内容や対処方法等が表示されてもよい。
【0058】
このように動作点検の結果に応じて、表示部16から種々の情報が表示されるため、動作点検の結果に関する認識性がより向上される。
【0059】
(2.5)警報システム
次の本実施形態における警報システム100について説明する。警報システム100は、
図5に示すように、上述した警報装置1を複数(
図5では3つ)備えている。また警報システム100は、各警報装置1に接続されている外部機器2(
図5では3つ)を更に備えている。外部機器2は、例えば、ランプ付きの外部ブザーを想定するが、複数の外部機器2のうちのいずれか1つは、施設の外部(例えば消防署)に火災を通報するための通報装置でもよい。複数の警報装置1は、電源線L0を介して、商用の交流電源3から電源供給を受ける。
【0060】
各警報装置1は、例えば一対の連動端子(連動接点)を有している。複数の警報装置1は、連動端子に接続される第1信号線L1を介して、警報信号(発報信号)の送受信を行う。複数の警報装置1のいずれか1つの警報装置1の操作部11が押し操作を受け付けると、当該警報装置1が連動元となって、自機の音出力部14から報知音を出力させると共に、第1信号線L1を介して、警報信号を他の警報装置1(連動先)へ送信する。他の警報装置1(連動先)は、警報信号を受信すると、自機の音出力部14から報知音を出力させる。
【0061】
各警報装置1は、例えば一対の無電圧端子(移報接点)を有している。複数の警報装置1は、無電圧端子に接続される第2信号線L2を介して、移報を行う。すなわち、複数の警報装置1のいずれか1つの警報装置1の操作部11が押し操作を受け付けることで、移報接点(a接点)が閉じて、各警報装置1に接続されている外部機器2のランプを連動させて点灯させることができる。外部機器2が通報装置であれば、移報接点が閉じることで、施設の外部(例えば消防署)への火災通報を実行する。
【0062】
ところで、本実施形態の警報システム100は、動作点検に関しても連動するように構成されている。複数の警報装置1における一の警報装置1(いずれかの警報装置1)の点検受付部15が操作を受け付けると、一の警報装置1は、自機の動作点検を実行する。さらに一の警報装置1は、第1信号線L1を介して、複数の警報装置1における他の警報装置1に点検信号を送信する。他の警報装置1は、点検信号を受信すると、自機の動作点検を実行する。したがって、点検者は、いずれかの警報装置1の点検受付部15を操作すれば、警報システム100全体でほぼ一斉に動作点検を開始できる。各警報装置1は、動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を出力する。したがって、音出力に関する認識性の向上を図ることが可能な警報システム100を提供できる。
【0063】
ただし、全ての警報装置1が、一斉に動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を出力すると、音出力に関する認識性が低下する可能性がある。また周囲の人に不快感を与える可能性がある。したがって、動作点検を実行した複数の警報装置1のうち特定の警報装置1のみが、動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を出力することが望ましい。特定の警報装置1は、例えば親機でもよい。親機である警報装置1は、子機である他の警報装置1から、第1信号線L1を介して、動作点検の結果に関する情報を取得して、代表して動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を、出力してもよい。特定の警報装置1のみが音声音を出力することで、複数の警報装置1が音声メッセージを含む音声音を出力する場合に比べて、音出力に関する認識性が低下することを抑制でき、また周囲の人に不快感を与える可能性を低減できる。
【0064】
また上の「(2.1)全体構成」の欄では、交流電源灯161が、交流電源3が正常(非停電)であれば例えば緑色に点灯し、異常(停電)であれば消灯する点を説明した。これに対して、複数の警報装置1は、停電の発生に関する音声メッセージを含む音声音を出力してもよい。ただし、この場合においても、複数の警報装置1が、一斉に停電の発生に関する音声メッセージを含む音声音を出力すると、音出力に関する認識性が低下したり周囲の人に不快感を与えたりする可能性がある。したがって、特定の警報装置1(例えば親機)の制御部12が、「特定の条件として」非常用電源13からの給電により動作中である場合に、代表して、自機の音出力部14に、停電の発生に関する音声メッセージを含む音声音を出力させてもよい。
【0065】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また上記実施形態の警報装置1と同様の機能は、警報装置1の制御方法、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。具体的には、一の態様に係る制御方法は、操作部11と非常用電源13とを備える警報装置1の制御方法である。制御方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。第1ステップにて、外部からの押し操作を操作部11が受け付けた場合に、発報信号を出力する。第2ステップにて、発報信号に応じて報知音を出力する。第3ステップにて、特定の条件を満たした場合に、音声メッセージを含む音声音を出力する。
【0066】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0067】
本開示における警報装置1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における警報装置1(例えば制御部12)としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0068】
また、警報装置1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは各警報装置1に必須の構成ではない。各警報装置1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、警報装置1の少なくとも一部の機能、例えば、警報装置1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、基本例のように、各警報装置1の複数の機能が1つの筐体内に集約されてもよい。
【0069】
基本例では、変化は、音声音の言語の変化に関するものであるが、例えば、速度に関するものでもよい。制御部12は、「火事です」という音声メッセージを含む音声音を、第1のセットでは第1の速度で出力させて、第1のセットに続く第2のセットでは、第1の速度よりも遅い第2の速度で出力させる。速度に関する変化を付与することで、火災等の発生により避難が必要となる状況において、例えば高齢者等に対して音出力に関する認識性がより向上される。なお、変化は、周波数に関するものであってもよい。例えば「火事です」という音声音は、第2セットでは高齢者が聞き取り易い周波数に変調した上で、出力されてもよい。要するに、変化が、音声音の言語、速度、及び周波数の少なくとも1つに関するものであれば、火災等の発生により避難が必要となる状況において、音出力に関する認識性がより向上される。
【0070】
基本例では、報知音の音声音は、「火事です(又はFire)」のみを含むが、さらに避難経路に関する音声メッセージを含んでもよい。音声メッセージは、例えば、警報装置1から避難口に対する方向を示すメッセージでもよい。避難経路に関する音声メッセージも例えば日本語と英語の二言語で出力される。この場合、火災等の発生により、避難が必要となる状況において、より迅速に避難が行える。
【0071】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る警報装置(1)は、操作部(11)と、制御部(12)と、非常用電源(13)と、音出力部(14)と、を備える。操作部(11)は、外部からの押し操作を受け付ける。制御部(12)は、操作部(11)が押し操作を受け付けた場合に、発報信号を出力する。音出力部(14)は、発報信号に応じて報知音を出力する。制御部(12)は、特定の条件を満たした場合に、音出力部(14)に、音声メッセージを含む音声音を出力させる。第1の態様によれば、音声メッセージを含む音声音が音出力部(14)から出力されるため、音出力に関する認識性の向上を図ることができる。
【0072】
第2の態様に係る警報装置(1)に関して、第1の態様において、制御部(12)は、特定の条件として操作部(11)が押し操作を受け付けると、音出力部(14)に、サイレン音と音声音とを含む報知音を出力させる。第2の態様によれば、サイレン音と音声音とを含む報知音が出力されるため、例えば火災等の発生により、避難が必要となる状況において、音出力に関する認識性がより向上される。
【0073】
第3の態様に係る警報装置(1)に関して、第2の態様において、報知音は、サイレン音と音声音とからなるセットが繰り返しされてなる。制御部(12)は、繰り返されるセットを跨いで音声音に変化を付与する。第3の態様によれば、例えば火災等の発生により、避難が必要となる状況において、音出力に関する認識性がより向上される。
【0074】
第4の態様に係る警報装置(1)に関して、第3の態様において、変化は、音声音の言語、速度、及び周波数の少なくとも1つに関する。第4の態様によれば、例えば火災等の発生により、避難が必要となる状況において、音出力に関する認識性がより向上される。
【0075】
第5の態様に係る警報装置(1)に関して、第4の態様において、変化は、音声音の言語に関する。制御部(12)は、複数の言語に対応する複数の音声メッセージを、繰り返されるセットを跨いで、それぞれ音声音に含める。第5の態様によれば、例えば火災等の発生により、避難が必要となる状況において、より多くの言語圏の人々に対して、音出力に関する認識性が向上される。
【0076】
第6の態様に係る警報装置(1)は、第2~第5の態様のいずれか1つにおいて、選択部(120)を、更に備える。選択部(120)は、複数種類のサイレン音の中から、報知音に含めるサイレン音を選択する。第6の態様によれば、例えば警報装置(1)の設置環境又は要望等に応じて、サイレン音の種類を変更できる。
【0077】
第7の態様に係る警報装置(1)は、第2~第6の態様のいずれか1つにおいて、切替部(121)を、更に備える。切替部(121)は、報知音に音声音を含めるか否かを切り替える。第7の態様によれば、例えば警報装置(1)の設置環境又は要望等に応じて、音声音を含めるか否か(音声音の有効又は無効)を変更できる。
【0078】
第8の態様に係る警報装置(1)に関して、第2~第7の態様のいずれか1つにおいて、音声音は、避難経路に関する音声メッセージを含む。第8の態様によれば、例えば火災等の発生により、避難が必要となる状況において、より迅速に避難が行える。
【0079】
第9の態様に係る警報装置(1)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、点検受付部(15)を、更に備える。点検受付部(15)は、非常用電源(13)からの給電による動作点検を実行するための操作を受け付ける。制御部(12)は、特定の条件として点検受付部(15)が上記操作を受け付けると、音出力部(14)に、動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を出力させる。第9の態様によれば、例えば動作点検時において、音出力に関する認識性がより向上される。
【0080】
第10の態様に係る警報装置(1)は、第9の態様において、表示部(16)を、更に備える。制御部(12)は、点検受付部(15)が上記操作を受け付けると、表示部(16)に、動作点検の結果に関する文字情報及びコード情報の少なくとも1つを、表示させる。第10の態様によれば、例えば動作点検時において、動作点検の結果に関する認識性が向上される。
【0081】
第11の態様に係る警報装置(1)は、第9の態様又は第10の態様において、情報端末(50)と通信する通信部(20)を、更に備える。制御部(12)は、点検受付部(15)が操作を受け付けると、通信部(20)を介して、情報端末(50)に、動作点検の結果に関する情報を含む信号を送信する。第11の態様によれば、例えば動作点検時において、動作点検の結果に関する認識性が向上される。
【0082】
第12の態様に係る警報システム(100)は、第9~第11の態様のいずれか1つにおける警報装置(1)を複数備える。複数の警報装置(1)における、一の警報装置(1)の点検受付部(15)が上記操作を受け付けると、一の警報装置(1)は、自機の動作点検を実行し、かつ複数の警報装置(1)における他の警報装置(1)に点検信号を送信する。他の警報装置(1)は、点検信号を受信すると、自機の動作点検を実行する。第12の態様によれば、音出力に関する認識性の向上を図ることが可能な警報システム(100)を提供できる。
【0083】
第13の態様に係る警報システム(100)に関して、第12の態様において、動作点検を実行した複数の警報装置(1)のうち特定の警報装置(1)のみが、動作点検の結果に関する音声メッセージを含む音声音を、出力する。第13の態様によれば、複数の警報装置(1)が音声メッセージを含む音声音を出力する場合に比べて、音出力に関する認識性が低下することを抑制できる。また周囲の人に不快感を与える可能性を低減できる。
【0084】
第14の態様に係る警報システム(100)は、第1~第11の態様のいずれか1つにおける警報装置(1)を複数備える。複数の警報装置(1)のうち特定の警報装置(1)の制御部(12)は、特定の条件として非常用電源(13)からの給電により動作中である場合に、自機の音出力部(14)に、停電の発生に関する音声メッセージを含む音声音を出力させる。第14の態様によれば、音出力に関する認識性の向上を図ることが可能な警報システム(100)を提供できる。
【0085】
第15の態様に係る制御方法は、操作部(11)と非常用電源(13)とを備える警報装置(1)の制御方法である。制御方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。第1ステップにて、外部からの押し操作を操作部(11)が受け付けた場合に、発報信号を出力する。第2ステップにて、発報信号に応じて報知音を出力する。第3ステップにて、特定の条件を満たした場合に、音声メッセージを含む音声音を出力する。第15の態様によれば、音出力に関する認識性の向上を図ることが可能な制御方法を提供できる。
【0086】
第16の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに第15の態様における制御方法を実行させるためのプログラムである。第16の態様によれば、音出力に関する認識性の向上を図ることが可能な機能を提供できる。
【0087】
第2~11の態様に係る構成については、警報装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また第13の態様に係る構成については、警報システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0088】
100 警報システム
1 警報装置
11 操作部
12 制御部
120 選択部
121 切替部
13 非常用電源
14 音出力部
15 点検受付部
16 表示部
20 通信部
50 情報端末