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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】遠隔診療支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20231127BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021181877
(22)【出願日】2021-11-08
(65)【公開番号】P2023069764
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-06-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521411024
【氏名又は名称】株式会社NMネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】小倉 行雄
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-024406(JP,A)
【文献】特許第6912840(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第111652400(CN,A)
【文献】国際公開第2021/106232(WO,A1)
【文献】特開2015-215769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が使用する端末に対して通信可能に接続された遠隔診療支援装置が、
遠隔診療を行う医療機関に関する入力領域を含む、前記医療機関を指定可能な指定画面を、前記端末に出力する画面出力手段と、
前記指定画面を介して受け付けた前記医療機関の指定を、前記端末から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した指定された前記医療機関に対する遠隔診療の予約を行う予約手段と、
閉じられた空間に前記患者が出入りするための扉を備えたボックスにおいて前記患者が遠隔診療を受診するか否かに関する前記ボックスの利用可否を回答するための画面を前記端末に出力する手段と、
前記画面を介して受け付けた前記ボックスの利用可否に係る付加情報を、前記端末から受信する手段と、
前記付加情報が前記ボックスの利用に係るものである場合に、前記端末に対して、前記ボックスの空き状況を出力する空き状況出力手段と、
前記端末から前記ボックスの予約依頼を受信したことに応じて、前記ボックスの予約を行う設備予約手段と、
前記設備予約手段による予約に応じて、前記ボックスの開錠情報を、前記端末及び前記ボックスに送信する開錠情報送信手段と、
を備え、
前記患者が使用する撮影部及び音声入出力部を有する診療端末と、前記医療機関の医師が使用する表示部及び音声入出力部を有する医療機関端末とが、前記遠隔診療支援装置に対して各々通信可能に接続され、
前記診療端末は、前記ボックスの内部に備え付けられており、
前記ボックスは、
前記扉の施錠及び開錠が可能な錠部材と、
前記開錠情報の入力を受け付けた場合に、受信した前記開錠情報と受け付けた前記開錠情報との内容に応じて前記錠部材を開錠する錠制御手段と、
を備える、遠隔診療支援システム
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔診療支援システムにおいて、
前記遠隔診療支援装置は、
患者を識別する患者識別情報と、1以上の前記医療機関に係る情報とを対応付けて記憶する患者情報記憶部を備え、
前記画面出力手段は、前記患者識別情報を受け付けたことに応じて、前記患者情報記憶部を参照し、前記患者識別情報に対応付けられた前記1以上の医療機関を選択可能な前記指定画面を出力する、遠隔診療支援システム
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の遠隔診療支援システムにおいて、
前記遠隔診療支援装置は、
記受信手段が受信した指定された前記医療機関の前記医療機関端末と、前記患者が使用する前記診療端末とを接続する接続手段と、
前記接続手段により接続された前記医療機関端末と、前記診療端末との間でビデオ通話を行う通話処理手段と、
を備える、遠隔診療支援システム
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の遠隔診療支援システムにおいて、
前記診療端末は、前記患者の生体音に係る音声情報を取得する聴診器を含む、前記患者の生体情報を取得する生体取得装置に対して通信可能に接続され、
前記遠隔診療支援装置は、前記生体取得装置が取得する前記生体情報を、前記診療端末を介して受信し、前記医療機関端末に前記生体情報を送信する生体情報送受信手段を備える、遠隔診療支援システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の遠隔診療支援システムにおいて、
前記診療端末は、前記ボックスの内部又は近傍の位置に備えられたプリンタに対して通信可能に接続され、
前記遠隔診療支援装置は、前記医療機関端末から処方箋情報を受信し、前記診療端末に対して前記処方箋情報を送信することで、前記プリンタに処方箋を出力させる処方箋出力手段を備える、遠隔診療支援システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の遠隔診療支援システムにおいて、
前記ボックスは、薬局に備えられる、遠隔診療支援システム。
【請求項7】
患者が使用する端末に対して通信可能に接続された遠隔診療支援装置が、
前記端末から遠隔診療を行う医療機関の指定を受信した場合に、前記医療機関での遠隔診療に係る空き状況と、閉じられた空間に前記患者が出入りするための扉を備えたボックスの空き状況とを出力する空き状況出力手段と、
前記端末から遠隔診療及び前記ボックスの予約依頼を受信したことに応じて予約を行う手段と、
前記予約に応じて、前記ボックスの開錠情報を、前記端末及び前記ボックスに送信する開錠情報送信手段と、
を備え、
前記患者が使用する撮影部及び音声入出力部を有する診療端末と、前記医療機関の医師が使用する表示部及び音声入出力部を有する医療機関端末とが、前記遠隔診療支援装置に対して各々通信可能に接続され、
前記診療端末は、前記ボックスの内部に備え付けられており、
前記ボックスは、
前記扉の施錠及び開錠が可能な錠部材と、
前記開錠情報の入力を受け付けた場合に、受信した前記開錠情報と受け付けた前記開錠情報との内容に応じて前記錠部材を開錠する錠制御手段と、
を備える、遠隔診療支援システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔診療支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者は、近くの病院や診療所等の医療機関に行って医師による診療を受けている。近年、患者が自宅等に居ながら遠隔で医師による診療を受けられる、いわゆるオンライン診療の取り組みが盛んになってきており、オンライン診療に係る取り組みを支援するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6796898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものを含め、一般的に、オンライン診療を受けることを検討する患者は、まずは医療機関のホームページを確認することから始める。ホームページにオンライン診療のための特設ページがリンクされている場合には、患者は、当該リンクを選択してオンライン診療を行うための操作をする。
しかし、例えば、患者にかかりつけの医療機関がない場合等には、どの医療機関がオンライン診療を行っているのかが分からない。そのため、各医療機関のホームページにアクセスしなければならなかった。また、医療機関にとって、オンライン診療を行うためには、オンライン診療のページを含むホームページを用意しなければならないため、二の足を踏む医療機関も存在する。
【0005】
本発明は、患者及び医療機関の双方のオンライン診療に対する敷居を低くするように工夫した遠隔診療支援装置及び遠隔診療支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者が使用する端末に対して通信可能に接続された遠隔診療支援装置であって、遠隔診療を行う医療機関に関する入力領域を含む、前記医療機関を指定可能な指定画面を、前記端末に出力する画面出力手段と、前記指定画面を介して受け付けた前記医療機関の指定を、前記端末から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した指定された前記医療機関に対する遠隔診療の予約を行う予約手段と、を備える、遠隔診療支援装置に関する。
【0007】
また、遠隔診療支援装置において、患者を識別する患者識別情報と、1以上の前記医療機関に係る情報とを対応付けて記憶する患者情報記憶部を備え、前記画面出力手段は、前記患者識別情報を受け付けたことに応じて、前記患者情報記憶部を参照し、前記患者識別情報に対応付けられた前記1以上の医療機関を選択可能な前記指定画面を出力してもよい。
【0008】
また、遠隔診療支援装置において、前記患者が使用する撮影部及び音声入出力部を有する診療端末と、前記医療機関の医師が使用する表示部及び音声入出力部を有する医療機関端末と、に対して通信可能に接続され、前記受信手段が受信した指定された前記医療機関の前記医療機関端末と、前記患者が使用する前記診療端末とを接続する接続手段と、前記接続手段により接続された前記医療機関端末と、前記診療端末との間でビデオ通話を行う通話処理手段と、を備えてもよい。
【0009】
また、本発明は、遠隔診療支援装置と、前記診療端末と、を含む遠隔診療支援システムであって、前記診療端末は、前記患者の生体音に係る音声情報を取得する聴診器を含む、前記患者の生体情報を取得する生体取得装置に対して通信可能に接続され、前記遠隔診療支援装置は、前記生体取得装置が取得する前記生体情報を、前記診療端末を介して受信し、前記医療機関端末に前記生体情報を送信する生体情報送受信手段を備える、遠隔診療支援システムに関する。
【0010】
また、遠隔診療支援システムにおいて、前記診療端末は、閉じられた空間に前記患者が出入りするための扉を備えたボックスの内部に備え付けられていてもよい。
【0011】
また、遠隔診療支援システムにおいて、前記診療端末は、前記ボックスの内部又は近傍の位置に備えられたプリンタに対して通信可能に接続され、前記遠隔診療支援装置は、前記医療機関端末から処方箋情報を受信し、前記診療端末に対して前記処方箋情報を送信することで、前記プリンタに処方箋を出力させる処方箋出力手段を備えてもよい。
【0012】
また、遠隔診療支援システムにおいて、前記ボックスは、薬局に備えられてもよい。
【0013】
また、遠隔診療支援システムにおいて、前記遠隔診療支援装置は、前記端末に対して、前記ボックスの空き状況を出力する空き状況出力手段と、前記端末から前記ボックスの予約依頼を受信したことに応じて、前記ボックスの予約を行う設備予約手段と、前記設備予約手段による予約に応じて、前記ボックスの開錠情報を、前記端末及び前記ボックスに送信する開錠情報送信手段と、を備え、前記ボックスは、前記扉の施錠及び開錠が可能な錠部材と、前記開錠情報を受け付けた場合に、前記開錠情報の内容に応じて前記錠部材を開錠する錠制御手段と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、患者及び医療機関の双方のオンライン診療に対する敷居を低くするように工夫した遠隔診療支援装置及び遠隔診療支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る遠隔診療支援システムの全体構成図である。
図2】本実施形態に係る遠隔診療支援サーバの機能ブロック図である。
図3】本実施形態に係る遠隔診療支援サーバの記憶部の例を示す図である。
図4】本実施形態に係る診療ボックスに含まれる各装置の機能ブロック図である。
図5】本実施形態に係る遠隔診療支援システムの予約処理を示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係る患者端末での表示例を示す図である。
図7】本実施形態に係る患者端末での表示例を示す図である。
図8】本実施形態に係る患者端末での表示例を示す図である。
図9】本実施形態に係る遠隔診療支援システムのボックス管理処理を示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る遠隔診療支援サーバの遠隔診療処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(実施形態)
〔遠隔診療支援システム100の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る遠隔診療支援システム100の全体構成図である。
図2は、本実施形態に係る遠隔診療支援サーバ1の機能ブロック図である。
図3は、本実施形態に係る遠隔診療支援サーバ1の記憶部30の例を示す図である。
【0017】
図1に示す遠隔診療支援システム100は、例えば、患者が自宅や出先等でオンライン診療(遠隔診療)に係る予約をした上で、実際に診療を受ける際には、予約をした診療ボックスB(ボックス)を使用して、遠隔地の医師によるオンライン診療を行うためのシステムである。ここで、オンライン診療とは、端末同士を接続して、リモートで相手方と通話等を行いながら医師が患者の診療を行うものをいう。
【0018】
遠隔診療支援システム100は、遠隔診療支援サーバ1(遠隔診療支援装置)と、患者端末4(患者が使用する端末)と、医療機関端末5と、診療端末6とを備える。そして、遠隔診療支援サーバ1と、患者端末4、医療機関端末5及び診療端末6とは、データ通信網Nによってデータ通信が可能になっている。
なお、図1には、各端末が1台ずつ記載されているが、一例にすぎない。実際には、複数の端末が、遠隔診療支援サーバ1に対して接続されている。
【0019】
〔遠隔診療支援サーバ1〕
遠隔診療支援サーバ1は、遠隔診療支援システム100により実現する、例えば、オンライン診療に係るサービスを提供する企業が有する。当該サービスを提供する企業としては、例えば、当該サービスのためのプラットフォームを提供する企業であり、複数の医療機関に対して当該サービスを提供する。
【0020】
図2に示すように、遠隔診療支援サーバ1は、制御部10と、記憶部30と、データ通信IF(インタフェース)39とを備える。
制御部10は、遠隔診療支援サーバ1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
制御部10は、診療前処理部11と、開錠情報送信部17(開錠情報送信手段)と、オンライン診療処理部21とを備える。
【0021】
診療前処理部11は、患者が自宅等に居ながら医師の診療を受けるための事前予約に係る処理を行う。
診療前処理部11は、画面出力部12(画面出力手段)と、指定受信部13(受信手段)と、空き状況出力部14(空き状況出力手段)と、予約処理部15(予約手段、設備予約手段)とを備える。
【0022】
画面出力部12は、オンライン診療を行う医療機関を指定可能な指定画面を、患者端末4に出力する。指定画面には、医療機関を識別する、例えば、医療機関コード(医療機関識別情報)の入力領域を含む。また、指定画面には、患者によって登録済の医療機関の一覧を含んでもよい。医療機関の一覧を含む指定画面は、まず、制御部10が、患者を識別する、例えば、患者ID(IDentification)(患者識別情報)を受け付けることで、画面出力部12が、後述する患者情報記憶部34を参照し、登録済の医療機関を選択可能な画面を、指定画面として生成される。患者IDは、例えば、当該オンライン診療に係るサービスに登録した際に付与され、又は、患者自身で登録したIDであってもよいし、患者の電子メールアドレス等であってもよい。
【0023】
指定受信部13は、患者端末4から医療機関の指定を受け付ける。
空き状況出力部14は、診療ボックスBの空き状況を、患者端末4に出力する。また、空き状況出力部14は、指定受信部13が受け付けた医療機関における空き状況を、患者端末4に出力する。
予約処理部15は、患者端末4から予約依頼を受信したことに応じて、医療機関及び診療ボックスBの予約を行う。そして、予約処理部15は、予約依頼に対応する予約情報を、予約情報記憶部37に登録する。
【0024】
開錠情報送信部17は、予約処理部15が予約をした診療ボックスBの開錠キーになるパスコード(開錠情報)を、患者端末4に送信する。ここで、パスコードは、診療ボックスBの開錠に用いる鍵情報であり、例えば、毎回生成される4桁の数字等である。
また、開錠情報送信部17は、パスコードを診療ボックスBに送信する。開錠情報送信部17は、例えば、診療ボックスBを使用する直前に、パスコードを送信してもよい。
【0025】
オンライン診療処理部21は、オンライン診療に係る処理を行う。
オンライン診療処理部21は、接続処理部22(接続手段)と、通話処理部23(通話処理手段)と、生体情報送受信部24(生体情報送受信手段)と、処方箋情報送受信部25(処方箋出力手段)とを備える。
【0026】
接続処理部22は、予約処理部15により予約がされた予約情報に基づいて、医療機関の医療機関端末5と、診療ボックスB内の診療端末6とを接続する。
通話処理部23は、医療機関端末5と、診療端末6とを用いた医師と患者とによるビデオ通話機能を開始する。
生体情報送受信部24は、生体取得装置が取得する患者の生体データ(生体情報)を、診療端末6を介して受信し、医療機関端末5に対して生体データを送信する。生体取得装置とは、生体データを取得するための装置であり、例えば、後述する聴診器71や、血圧計75等、診療ボックスBに備え付けの様々な装置が該当する。生体データとは、例えば、聴診器71であれば、心音や呼吸音(生体音)に係る音声データ(音声情報)であり、血圧計75であれば、最高血圧と最低血圧の値や心拍数等のデータである。
処方箋情報送受信部25は、医療機関端末5から処方箋データ(処方箋情報)を受信し、診療端末6に対して処方箋データを送信する。処方箋データは、例えば、後述するプリンタ70を用いて処方箋を印字出力するためのデータであり、例えば、PDF等のファイルである。
【0027】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、医療機関情報記憶部32と、ボックス情報記憶部33と、患者情報記憶部34と、診療状況記憶部35と、ボックス状況記憶部36と、予約情報記憶部37とを備える。
プログラム記憶部31は、上述した制御部10が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム(プログラム)を記憶する記憶領域である。
【0028】
医療機関情報記憶部32は、医療機関コードをキーに、診療科、診療可能時間等の医療機関に関する基本的な情報を記憶する記憶領域である。
ボックス情報記憶部33は、診療ボックスBを識別する診療ボックスIDをキーに、診療ボックスBの設置場所や、利用可能時間等の診療ボックスBに関する基本的な情報を記憶する記憶領域である。
【0029】
患者情報記憶部34は、患者IDをキーに、基本情報と、登録医療機関情報とを記憶する記憶領域である。図3(A)に、患者情報記憶部34の項目を例示する。
基本情報は、例えば、当該サービスを利用するための新規登録の際に患者により入力される情報であって、患者の氏名や生年月日等の患者の属性に係る情報である。なお、基本情報には、その他、例えば、支払方法に係る情報等を記憶してもよい。支払方法に係る情報は、例えば、クレジットカード情報等の電子決済で使用可能な情報であり、診療費や検査費用の支払に用いるものである。
登録医療機関情報は、患者が登録した医療機関の医療機関コードを記憶する記憶領域である。医療機関コードは、複数登録が可能である。患者は、例えば、診療科ごとに医療機関コードを登録してもよいし、同じ診療科であっても複数の医療機関コードを登録してもよい。
【0030】
診療状況記憶部35は、医療機関における診療対応状況を記憶する記憶領域である。図3(B)に診療状況記憶部35の項目を例示する。
図3(B)の診療状況記憶部35は、日にちと時間と医療機関コードと空き状況とを対応付けて記憶する。空き状況は、診療が可能か否かを示す。なお、1つの医療機関で複数の医師が対応可能な場合には、「空き状況-1」、「空き状況-2」等、空き状況に枝番号を対応付けてもよい。
ボックス状況記憶部36は、診療ボックスBの空き状況を記憶する記憶領域である。図3(C)にボックス状況記憶部36の項目を例示する。
図3(C)のボックス状況記憶部36は、日にちと時間と診療ボックスIDと空き状況とを対応付けて記憶する。空き状況は、診療ボックスBの利用が可能か否かを示す。
【0031】
予約情報記憶部37は、患者が指定したオンライン診療の予約に係る情報を記憶する記憶領域である。図3(D)に予約情報記憶部37の項目を例示する。
図3(D)の予約情報記憶部37は、診療予約日時と、医療機関コードと、診療ボックスIDと、パスコードと、患者IDと、問診情報とを対応付けて記憶する。
診療予約日時は、患者がオンライン診療を受ける日時である。
医療機関コードは、診療予約日時に診療を受ける医療機関を識別する識別情報である。
診療ボックスIDは、診療予約日時に患者が診療を受ける診療ボックスBを識別する識別情報である。
パスコードは、診療ボックスBの電子錠83(後述する)を開錠するための開錠キーである。
患者IDは、診療予約日時に診療を受ける患者を識別する識別情報である。
問診情報は、オンライン診療の予約時等、診療前に患者により入力される問診に係る情報である。
【0032】
なお、記憶部30に記憶されるデータは、上記のものに限定されない。例えば、医療機関で診療をする医師に関する情報を記憶した医師情報記憶部に備えてもよい。また、例えば、患者の電子カルテデータを記憶した電子カルテデータ記憶部を備えてもよい。
さらに、医療機関情報記憶部32やボックス情報記憶部33、図3に示した患者情報記憶部34から予約情報記憶部37までの各項目は、一例であり、他の項目があってもよいし、ない項目があってもよい。
【0033】
図2のデータ通信IF39は、データ通信網Nとの間のインタフェースである。
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、遠隔診療支援サーバ1は、制御部10、記憶部30等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
また、遠隔診療支援サーバ1は、1つのサーバ装置ではなく、複数のサーバ装置に組み合わせによって実現されていてもよいし、クラウドサーバであってもよい。
【0034】
〔患者端末4〕
図1の患者端末4は、例えば、患者が所持し、オンライン診療の予約の際に用いる端末である。
患者端末4は、図示しないが、制御部と、記憶部と、タッチパネル等の入出力部(又は、ディスプレイ等の表示部及びキーボード等の入力部)と、データ通信IFとを備える。
図1では、患者端末4は、スマートフォンや、タブレット等の携帯端末として例示しているが、これに限定されない。患者端末4は、その他、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等であってもよい。
【0035】
〔医療機関端末5〕
医療機関端末5は、医療機関に設けられ、オンライン診療の際に医師が用いる端末である。
医療機関端末5は、図示しないが、制御部と、記憶部と、タッチパネル等の入出力部(又は、ディスプレイ等の表示部及びキーボード等の入力部)と、マイク及びスピーカ(音声入出力部)と、カメラと、データ通信IFとを備える。
医療機関端末5は、オンライン診療時には、例えば、ディスプレイを2分割にし、一方の画面には、患者の画像を表示し、他方の画面には、カルテ画面や別カメラで撮影された診察部位の拡大画像等を表示する。
また、図1では、医療機関端末5は、ノート型のPCとして例示しているが、これは一例であって、他の端末であってもよい。また、医療機関端末5は、例えば、電子カルテ用の端末等を用いてもよい。
【0036】
〔診療ボックスB〕
図1に示すように、診療ボックスBは、例えば、薬局内に設けられ、診療端末6や、プリンタ70等を内部に備える。ここで、診療ボックスBは、薬局内に設けられるものを例に説明するが、これに限定されない。診療ボックスBは、例えば、駅の構内であったり、役所内であったりしてもよい。薬局に診療ボックスBが設置されていると、診療後に処方箋による調剤を行ってもらえる点において、利便性が高い。
また、診療ボックスBは、閉じられた空間を構成し、患者が出入りするためのドアD(扉)が設けられている(後述する図4参照)。
【0037】
診療端末6は、診療ボックスBの内部に設置され、オンライン診療の際に患者が用いる端末である。
図4には、診療ボックスB内に設置されている診療端末6の機能ブロックが示されている。
診療端末6は、制御部60と、記憶部61と、表示部62と、音声入力部63と、音声出力部64と、データ通信IF69とを備える。
制御部60は、診療端末6の全体を制御するCPUである。制御部60は、記憶部61に記憶されているOSやアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0038】
記憶部61は、制御部60が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
表示部62は、液晶表示装置等のディスプレイに代表される表示装置である。
音声入力部63は、マイクに代表される音声を入力する装置である。
音声出力部64は、スピーカに代表される音声を出力する装置である。
データ通信IF69は、データ通信網Nや、診療ボックスBに設置された各装置との間のインタフェースである。
【0039】
図4において、診療ボックスBには、診療端末6の他、プリンタ70と、聴診器71と、第1カメラ72(撮影部)と、第2カメラ73(撮影部)と、ライト74と、血圧計75と、パルスオキシメータ76とが設置されている。
プリンタ70は、処方箋を出力する印刷装置である。プリンタ70は、診療端末6と通信可能に接続され、診療端末6から出力される処方箋データを受け付けて、処方箋を印字する。
【0040】
聴診器71は、患者の心音や呼吸音等の音声データを取得するための装置である。聴診器71は、診療端末6と通信可能に接続され、取得した患者の心音や呼吸音等の音声データを診療端末6に送信する。聴診器71は、例えば、ワイヤレス聴診器等であってよい。
第1カメラ72は、診療ボックスBの全体を撮影可能なカメラである。第1カメラ72は、例えば、ドアDを含む全体を撮影可能な位置に設置されている。
第2カメラ73は、細部を確認可能な高性能なカメラである。第2カメラ73は、例えば、診療端末6の表示部62の近傍に設けられている。
ライト74は、患者の細部を照らすためのライトである。ライト74は、例えば、第2カメラ73の近傍に設けられて、第2カメラ73が撮影する範囲を照射する。
【0041】
第1カメラ72及び第2カメラ73は、診療端末6と通信可能に接続され、撮影した映像を診療端末6に送信する。第1カメラ72が撮影した画像によって、患者の全身の動きを観察でき、また、患者の診療ボックスBへの入退室を確認できる。他方、第2カメラ73が撮影した画像によって、例えば、患者の目や舌、皮膚といった患者の部位がはっきりと映し出され、例えば、患者の疾病部位等を確認できる。
血圧計75は、患者の血圧や心拍数を測定して取得する装置である。血圧計75は、診療端末6と通信可能に接続され、取得した患者の血圧や心拍数等の数値データを診療端末6に送信する。
パルスオキシメータ76は、患者の血液中の酸素濃度等を測定して取得する装置である。パルスオキシメータ76は、診療端末6と通信可能に接続され、取得した患者の酸素濃度等の数値データを診療端末6に送信する。
【0042】
また、診療ボックスBの出入口にはドアDが設置されている。ドアDは、電子錠83(錠部材)により、診療ボックスBの開錠及び施錠を行う。
診療ボックスBは、制御部80(錠制御手段)と、記憶部81と、入力部82と、電子錠83と、データ通信IF89とを備える。
制御部80は、例えば、プロセッサである。制御部80は、記憶部81に格納されているプログラムを実行することで、電子錠83の制御や通信機能等の各種機能を実現する。
記憶部81は、例えば、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。各種データには、例えば、パスコード(開錠情報)が含まれる。
【0043】
入力部82は、例えば、テンキーであり、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力部82は、テンキーに限定されず、例えばキーボード等であってもよい。
電子錠83は、ドアDに取り付けられ、電気的に施錠、解錠する錠前である。
データ通信IF89は、診療端末6やデータ通信網Nとの間のインタフェースである。
なお、ドアDには、例えば、表示部を備えてもよい。また、表示部を備える場合には、入力部82と統合したタッチパネルディスプレイであってもよい。
【0044】
〔処理の説明〕
次に、遠隔診療支援システム100での処理について説明する。
事前処理として、まず、遠隔診療支援システム100による当該サービスを利用する患者は、患者端末4を用いて、例えば、当該サービスに係るWebページにアクセスし、新規登録を行う。
【0045】
また、各医療機関において、医療機関端末5を用いて遠隔診療支援サーバ1に接続し、オンライン診療が可能な日時を設定する。そうすることで、遠隔診療支援サーバ1の制御部10は、設定に基づいて診療状況記憶部35を更新する。
なお、当該処理は、一例である。例えば、医師の勤怠管理を行うシステムと遠隔診療支援サーバ1とを連携させて、オンライン診療が可能な日時を診療状況記憶部35に反映させてもよい。
【0046】
次に、オンライン診療の予約に係る処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る遠隔診療支援システム100の予約処理を示すフローチャートである。
図6から図8までは、本実施形態に係る患者端末4での表示例を示す図である。
まず、オンラインによる医師の診療を受けたい患者は、患者端末4から当該サービスに係るWebページにアクセスすることで、図5のステップS(以下、単に「S」という。)11において、遠隔診療支援サーバ1の制御部10(画面出力部12)は、医療機関指定画面を、患者端末4に送信する。
【0047】
図6(A)は、患者端末4に表示される医療機関指定画面41の例を示す。
医療機関指定画面41は、オンライン診療を行う医療機関を予約のために指定する画面であり、ボタン41aと、入力欄41bと、ボタン41cとを含む。
ボタン41aは、患者が既に登録済の医療機関を表示させるための操作ボタンである。
入力欄41bは、患者が指定の医療機関コードを入力するための領域である。
ボタン41cは、入力欄41bに入力後に次に進めるために選択する操作ボタンである。
【0048】
医療機関指定画面41でボタン41aが選択されると、患者端末4から患者IDが遠隔診療支援サーバ1に対して送信される。そうすることで、遠隔診療支援サーバ1の制御部10(画面出力部12)は、患者情報記憶部34を参照し、患者IDに対応付けられた医療機関コードに対応する医療機関を選択可能にした医療機関指定画面42を、患者端末4に送信する。
【0049】
図6(B)は、患者端末4に表示される医療機関指定画面42の例を示す。
医療機関指定画面42は、オンライン診療を行う医療機関を予約のために指定する画面であり、指定領域42aと、ボタン42bとを含む。
指定領域42aは、登録済の医療機関のうち予約する医療機関を指定可能な領域である。
ボタン42bは、指定領域42aで指定後に次に進めるために選択する操作ボタンである。
なお、「戻る」のボタンを選択することで、前の画面(医療機関指定画面41)に戻ることができる。
【0050】
図6(A)の医療機関指定画面41の入力欄41bに医療機関コードが入力されてボタン41cが選択され、又は、図6(B)の医療機関指定画面42の指定領域42aにおいて医療機関が指定されてボタン42bが選択されることで、患者端末4の制御部は、医療機関コードを遠隔診療支援サーバ1に対して送信する。そして、遠隔診療支援サーバ1の制御部10は、確認画面43を、患者端末4に送信する。
【0051】
図7(A)は、患者端末4に表示される確認画面43の例を示す。
確認画面43は、医療機関の指定を確定する画面であり、チェック欄43a及び43bと、ボタン43cとを含む。
チェック欄43aは、診療ボックスBをあわせて予約する際にチェックを入れるものである。
チェック欄43bは、表示されている医療機関を、患者情報記憶部34に登録する際にチェックを入れるものである。
ボタン43cは、チェック欄43a及び43bへの指定後に次に進めるために選択する操作ボタンである。
【0052】
確認画面43において、ボタン43cが選択されることで、図5のS12において、患者端末4の制御部は、医療機関コードと、チェック欄43a及び43bに対応する付加情報とを遠隔診療支援サーバ1に対して送信する。
遠隔診療支援サーバ1の制御部10(指定受信部13)は、患者端末4から医療機関コードと、付加情報とを受信する。次に、図5のS13において、受信した付加情報に医療機関コードの登録を含む場合には、遠隔診療支援サーバ1の制御部10は、医療機関コードを、患者情報記憶部34に登録する。また、制御部10(空き状況出力部14)は、指定した医療機関の空き状況を、患者端末4に送信する。さらに、受信した付加情報に診療ボックスBの予約を含む場合には、制御部10(空き状況出力部14)は、診療ボックスBの空き状況を、患者端末4に送信する。
【0053】
より具体的には、医療機関及び診療ボックスBの予約をする場合には、制御部10は、診療状況記憶部35を参照して、受信した医療機関コードの空き状況を抽出する。また、制御部10は、ボックス状況記憶部36を参照して、診療ボックスBの空き状況を抽出する。そして、制御部10は、抽出した医療機関の空き状況と、診療ボックスBの空き状況とを含む予約指定画面44を生成し、患者端末4に送信する。なお、以降の説明において、診療ボックスBの予約をも含むものを例に説明する。
【0054】
図7(B)は、患者端末4に表示される予約指定画面44の例を示す。
予約指定画面44は、診療を予約する日時及び診療ボックスBを指定する画面であり、日付指定部44aと、選択欄44bと、ボタン44cとを含む。
日付指定部44aは、予約する日にちを指定するためのものであり、日付の左右のマークを選択することで、日付が左右に対応して前後に変更される。
選択欄44bは、選択した医療機関と診療ボックスBの空き時間を一覧にしたものであり、診療ボックスBを指定可能なものである。この例は、オンライン診療を診療ボックスBで行う場合である。診療ボックスBが空いており、かつ、診療が可能な時間には、選択が可能な○印が出力されている。なお、診療ボックスBを使用しない場合には、診療欄のみが出力され、診療欄の空きを示す○印が選択可能になる。
ボタン44cは、選択欄44bの選択後に次に進めるために選択する操作ボタンである。
【0055】
予約指定画面44において、ボタン44cが選択されることで、図5のS14において、患者端末4の制御部は、選択欄44bの選択に対応した情報として、予約日時及び診療ボックスBの指定を遠隔診療支援サーバ1に対して送信する。
遠隔診療支援サーバ1の制御部10は、患者端末4から予約日時及び診療ボックスBの指定を受信すると、図5のS15において、制御部10(予約処理部15)は、予約処理を行う。より具体的には、制御部10は、診療状況記憶部35の該当の日にち、時間及び医療機関コードの空き状況を、予約済に更新する。また、制御部10は、ボックス状況記憶部36の該当の日にち、時間及び診療ボックスIDの空き状況を、予約済に更新する。さらに、制御部10は、パスコードを生成する。パスコードは、数字をランダムに選択することで生成した、例えば、4桁の数字である。そして、制御部10は、予約情報記憶部37にレコードを追加して、診療予約日時から患者IDまでの各項目に値を追加する。
【0056】
図5のS16において、制御部10(予約処理部15、開錠情報送信部17)は、パスコードを含む予約完了画面を、患者端末4に送信する。
図8は、患者端末4に表示される予約完了画面45の例を示す。
予約完了画面45は、予約が完了した日時及び診療ボックスBと、診療ボックスBのドアDを開錠するためのパスコード45aとを含む。また、問診情報を入力する画面(図示せず)に遷移するためのボタン45bを含む。
【0057】
患者が患者端末4に出力されている予約完了画面45においてボタン45bを選択することで、患者端末4には、問診入力画面(図示せず)が出力されるので、患者が問診情報を入力し、送信のための操作をする。そうすることで、図5のS17において、患者端末4の制御部は、問診情報を遠隔診療支援サーバ1に送信する。
遠隔診療支援サーバ1では、問診情報を受信すると、S18において、制御部10(予約処理部15)は、問診情報を予約情報記憶部37に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0058】
このように、遠隔診療支援システム100では、患者端末4に医療機関を指定するための指定画面を出力するので、患者は、様々な医療機関からオンライン診療を受ける医療機関を指定できる。そのため、患者にとってオンライン診療を受けやすいものにできる。
また、医療機関の予約の際に、診療ボックスBの予約もあわせて行うことができるので、便利である。
【0059】
次に、診療ボックスBに係る処理について説明する。
図9は、本実施形態に係る遠隔診療支援システム100のボックス管理処理を示すフローチャートである。
図9のS31において、遠隔診療支援サーバ1の制御部10(開錠情報送信部17)は、例えば、予約情報記憶部37を参照して、適宜のタイミングでパスコードを診療ボックスBに送信する。適宜のタイミングとは、例えば、予約時間の10分前等である。
S32において、診療ボックスBの制御部80は、パスコードを受信すると、記憶部81に受信したパスコードを記憶する。
【0060】
S33において、制御部80は、患者が入力部82を介して入力したパスコードを受け付ける。
S34において、制御部80は、受け付けたパスコードと、記憶部81に記憶されているパスコードとが一致するか否かを判断する。一致する場合(S34:YES)には、制御部80は、処理をS35に移す。他方、パスコードが不一致の場合(S34:NO)いは、制御部80は、処理をS33に移す。なお、パスコードの入力を、例えば、3回以上等の所定回数以上間違えた場合には、制御部80は、遠隔診療支援サーバ1にその旨を通知し、遠隔診療支援サーバ1の制御部10(開錠情報送信部17)が新たなパスコードを生成して診療ボックスBと、患者端末4とに送信するようにしてもよい。
【0061】
S35において、制御部80は、開錠処理を行う。具体的には、制御部80は、ドアDの電子錠83を開錠させる。
S36において、制御部80は、入室情報を、遠隔診療支援サーバ1に送信する。遠隔診療支援サーバ1の制御部10(オンライン診療処理部21)は、入室情報を受信すると、S40において、遠隔診療処理を行う。遠隔診療処理については、後述する。
【0062】
S37において、制御部80は、指定時間が経過したか否かを判断する。ここで、指定時間とは、予約した診療時間の終了時間をいう。指定時間が経過した場合(S37:YES)には、制御部80は、処理をS38に移す。他方、指定時間が経過していない場合(S37:NO)には、制御部80は、指定時間が経過するまで本処理にとどまる。
S38において、制御部80は、施錠処理を行う。具体的には、制御部80は、電子錠83を施錠させる。
S39において、制御部80は、記憶部81に記憶させたパスコードを削除する。その後、制御部80は、本処理を終了する。
【0063】
なお、上記の処理フローでは、指定時間が経過したことを条件に施錠処理を行うものとして説明したが、診療ボックスB内の第1カメラ72が、患者の退出を検出したことをあわせて条件としてもよい。
また、診療ボックスBに、空間を除菌するための装置を備え、施錠処理を行った後に診療ボックスBの内部を除菌するようにしてもよい。
【0064】
次に、オンライン診療を行う際の処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る遠隔診療支援サーバ1の遠隔診療処理を示すフローチャートである。
図10のS51において、遠隔診療支援サーバ1の制御部10(接続処理部22)は、受信した入室情報に基づいて、予約情報記憶部37を参照して、指定の医療機関の医療機関端末5と、診療端末6とを接続する。
S52において、制御部10(通話処理部23)は、接続した医療機関端末5と、診療端末6との間でのビデオ通話処理を開始する。
【0065】
ここで、医療機関端末5を使用する医師が、患者に対して、例えば、第2カメラ73に向かって口を開けて舌を出すように指示することで、患者は、第2カメラ73に対して舌を出した状態にする。又は、医療機関端末5を使用する医師が、患者に対して、例えば、第2カメラ73に向かって目を「あっかんべー」にした状態にするように指示することで、患者は、第2カメラ73に対して自身の指で下まぶたを引き下げて、自身の目を「あっかんべー」にした状態にする。そうすると、医師は、患者の舌の状態や、目の状態を高画質な画像で確認できる。
【0066】
また、医療機関端末5を使用する医師が、患者に対して、聴診器71の操作方法を説明する。例えば、聴診器71を当てる場所を指定する。そうすることで、S53において、制御部10(生体情報送受信部24)は、聴診器71が捉えた音に関する音声データ(生体データ)を診療端末6から受信する。そして、S54において、制御部10(生体情報送受信部24)は、受信した音声データを、医療機関端末5に送信する。このようにすることで、医療機関端末5を使用する医師は、患者の心音等を確認できる。同様に、血圧計75や、パルスオキシメータ76についても、制御部10(生体情報送受信部24)は、血圧計75や、パルスオキシメータ76が取得したデータを診療端末6から受信し、医療機関端末5に送信することができる。
【0067】
医師によるオンライン診療が終わり、医師が医療機関端末5を用いて処方箋に関する情報を入力して送信することで、S55において、制御部10(処方箋情報送受信部25)は、処方箋データを受信する。
S56において、制御部10(処方箋情報送受信部25)は、受信した処方箋データを、診療端末6に送信する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
遠隔診療支援サーバ1から処方箋データを受信した診療端末6の制御部60は、処方箋データをプリンタ70に送出することで、プリンタ70は、処方箋を印字して出力する。
【0068】
このように、遠隔診療処理では、診療ボックスBに設置された各装置を用いて診療を行うことができるので、画像や患者の声や話だけでは得られない、より詳細なデータを用いて診療ができる。そのため、診療の精度を向上させることができる。
また、処方箋データを診療端末6に送信することで、プリンタ70から処方箋を印字できる。
【0069】
〔用途例〕
患者は、一般的には、診療ボックスBを用いた遠隔診療を、自身の体調が悪いときや、定期的に処方箋による調剤を得たいときに使用する。
しかし、その他の用途として使用しても、もちろんよい。
例えば、生命保険等の保険加入時に必要な、診査医による診察を、診療ボックスBを用いた遠隔診療によって行うことが可能である。この場合、例えば、生命保険会社ごとに委託された診査医の診査を受ける必要がある。そこで、診療ボックスBを用いた遠隔診療を診査医が行えばよい。
より具体的には、例えば、医療機関指定画面(図6(A)参照)に、生命保険加入時の診察を選択可能にし、当該診察を選択した場合には、生命保険会社を選択する画面を出力する。そして、加入を希望する生命保険を選択すると、選択した生命保険会社が委託した審査医の予約に進むようにする。
そうすることで、生命保険等の加入希望者が生活圏内にある診療ボックスBを使用して診査を受けることができるので、便利である。
【0070】
このように、本実施形態の遠隔診療支援システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)遠隔診療支援サーバ1が、オンライン診療を行う医療機関コードの入力領域を含む指定画面を、患者端末4に出力し、患者端末4から医療機関コードの指定を受信する受信と、指定された医療機関に対するオンライン診療の予約を行う。
よって、患者は、医療機関コードを知っていれば、患者端末4を用いて、当該医療機関の予約を簡単に行うことができる。また、医療機関コードを指定すればよく、各医療機関のホームページ等を探して予約をする必要がない。さらに、各医療機関も、自前で予約のためのホームページ等を用意せずに済む。よって、患者及び医療機関の双方のオンライン診療に対する敷居を低くしたものにできる。
【0071】
(2)遠隔診療支援サーバ1が、患者IDを受け付けると、患者情報記憶部34を参照して患者IDに対応付けられた1以上の医療機関を選択可能な指定画面を出力する。
よって、患者が自身のかかりつけの医療機関等を患者情報記憶部34に登録しておけば、例えば、ログインを行うだけで1以上の医療機関を選択可能な指定画面が出力できるので、予約に係る手間を少なくできて便利である。
(3)遠隔診療支援サーバ1が、患者が使用する診療端末6と、医療機関端末5とを接続して、医療機関端末5と診療端末6との間でビデオ通話を行う。
よって、患者は診療端末6を用いて医療機関端末5を使用する医師との間でオンライン診療を受けることができる。
【0072】
(4)診療端末6は、聴診器71から得た音声データを含む患者の生体データを取得する装置に対して通信可能に接続され、遠隔診療支援サーバ1は、生体データを、診療端末6を介して受信し、医療機関端末5に送信する。
よって、生体データを取得する装置を用いて診療ができ、装置から出力される各種のデータを医療機関端末5が受信するので、医師は、様々な装置を用いた診療ができる。そのため、実際の対面での診療により近い環境で、オンライン診療を行うことができる。
(5)診療端末6は、閉じられた空間に患者が出入りするためのドアDを備えた診療ボックスBの内部に備え付けられる。
よって、患者は、他人を気にすることなく診療を受けることができる。
【0073】
(6)診療端末6は、診療ボックスBの内部に備えられたプリンタ70に対して通信可能に接続され、遠隔診療支援サーバ1は、医療機関端末から処方箋データを受信し、診療端末6に対して処方箋データを送信することで、プリンタ70に処方箋を出力させる。
よって、オンライン診療後、患者は、すぐに処方箋を受け取ることができて便利である。
(7)診療ボックスBは、薬局に備えられているので、プリンタ70から出力された処方箋をすぐに薬剤師に提出することができ、調剤を受け取ることができるので便利である。また、患者が調剤を待つ間等に薬局でのついで買いを促すことができ、薬局の利益を上げることができる。
【0074】
(8)患者端末4では、診療ボックスBの予約を、医療機関の予約と共に行うことができるので、便利である。
遠隔診療支援サーバ1は、予約に応じて、診療ボックスBのパスコードを、患者端末4に送信し、診療ボックスBは、パスコードを受け付けた場合に、パスコードの内容に応じて電子錠83を開錠するので、予約した患者のみが診療ボックスBを利用できる仕組みを構築できる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0076】
(変形形態)
(1)本実施形態では、指定画面として、医療機関コードを入力するものを例に説明したが、これに限定されない。医療機関に関する入力ができればよく、例えば、医療機関名を入力するものであってもよい。医療機関名の場合には、例えば、部分一致によって検索結果を抽出してもよいし、都道府県等の住所の一部をさらに入力させるようにしてもよい。
【0077】
(2)本実施形態では、診療ボックスに設置される生体情報取得装置として、聴診器、血圧計及びパルスオキシメータを例示したが、これに限定されない。例えば、エコー検査が行える装置等、様々な生体情報取得装置を備えていてもよい。
【0078】
(3)本実施形態では、診療ボックスに設置される様々な装置について説明したが、これに限定されない。非常用ボタン等を備えていてもよい。特に、診療ボックスは、患者の診療を行うという観点から、外部からは覗き見されないような作りであることが望ましい。他方、診療ボックスの内部が密室になるという問題がある。そのため、非常用ボタンを備えることで、薬局の店員等によって非常時に対応ができ、患者に安心感を与えることができる。
【0079】
(4)本実施形態では、プリンタを診療ボックス内に備えるものとして説明したが、これに限定されない。診療ボックスの外であって、例えば、診療ボックスの近傍の位置に備えてもよい。そうすることで、例えば、1つの薬局等に複数の診療ボックスが設置されていた場合に、プリンタを各診療ボックスに備えなくてもよく、より安価に構築ができる。
【0080】
(5)本実施形態では、診療ボックスの予約の際に、特に診療ボックスについての限定をしなかったが、診療ボックスの設置場所を、例えば、地図表示させ、患者に診療ボックスBそれ自体や、診療ボックスの設置範囲を選択させてもよい。そうすることで、患者が利用しやすい位置の診療ボックスを指定できるので、便利である。
【0081】
(6)本実施形態では、ドアの開錠にパスコードを用いるものを例に説明したが、これに限定されない。患者と診療ボックスとに開錠のための情報が通知されて開錠及び施錠が管理可能であれば、他の方法でもよく、例えば、二次元コードを用いるもの等であってもよい。
【0082】
(7)本実施形態では、遠隔診療支援サーバの記憶部に各種の情報を記憶するものを例に説明したが、これに限定されない。記憶部に記憶する各種の情報は、一例である。また、遠隔診療支援サーバに対して接続された外部装置に、各種の情報を有してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 遠隔診療支援サーバ(遠隔診療支援装置)
4 患者端末
5 医療機関端末
6 診療端末
10,60,80 制御部
11 診療前処理部
12 画面出力部
13 指定受信部
14 空き状況出力部
15 予約処理部
17 開錠情報送信部
21 オンライン診療処理部
22 接続処理部
23 通話処理部
24 生体情報送受信部
25 処方箋情報送受信部
30,61,81 記憶部
31 プログラム記憶部
32 医療機関情報記憶部
33 ボックス情報記憶部
34 患者情報記憶部
35 診療状況記憶部
36 ボックス状況記憶部
37 予約情報記憶部
39,69,89 データ通信IF
41,42 医療機関指定画面
62 表示部
63 音声入力部
64 音声出力部
70 プリンタ
71 聴診器
72 第1カメラ
73 第2カメラ
74 ライト
75 血圧計
76 パルスオキシメータ
82 入力部
83 電子錠
100 遠隔診療支援システム
N データ通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10