IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ガス保安装置 図1
  • 特許-ガス保安装置 図2
  • 特許-ガス保安装置 図3
  • 特許-ガス保安装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ガス保安装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20231127BHJP
   G01F 1/66 20220101ALI20231127BHJP
   G01L 15/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G01F3/22 B
G01F1/66 101
G01L15/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019093462
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020187082
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】行徳 太一
(72)【発明者】
【氏名】安田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】内田 健太
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098563(JP,A)
【文献】特表2019-502435(JP,A)
【文献】特表2006-520901(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235291(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01L 7/00-23/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを流すための流路と、
前記流路を流れるガスの流量を測定するための流量計測部と、
前記流路内部に配置され、前記ガスの絶対圧力を測定する第1の圧力センサと、
前記流路外部に配置され、大気圧の絶対圧力を測定する第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサもしくは、前記第2の圧力センサの遷移状態を検知する圧力値遷移検知手段と、
前記圧力値遷移検知手段が前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサのうち一方の圧力センサの遷移状態を検知した場合において、前記圧力値遷移検知手段の遷移の値が所定値以上変化した場合に、前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサのうち他方の圧力センサを駆動して前記他方の圧力センサに圧力を計測させるセンサ駆動制御手段と、
前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサが共に駆動している時の圧力の差からガス供給圧を算出するガス圧力判定手段と、
前記流路を遮断する遮断弁と、
前記流量計測部を制御すると共に、前記流量計測部で測定した流量や前記ガス圧力判定手段で測定した圧力で異常と判定した場合に前記遮断弁で前記流路を遮断する制御回路と、を備えたガス保安装置。
【請求項2】
前記流量計測部は前記流路の内部に配置された計測回路を有し、前記第1の圧力センサは前記計測回路上に構成され、
前記制御回路は前記流路の外部に配置され、前記第2の圧力センサは前記制御回路上に配置された請求項1に記載のガス保安装置。
【請求項3】
前記流量計測部は、超音波センサと前記超音波センサを駆動して流量計測を行う計測回路を一体とした超音波流量計測部を備え、
前記超音波流量計測部をガス雰囲気中に設置するとともに、前記超音波流量計測部に前記第1の圧力センサを備え、前記制御回路で前記超音波流量計測部を制御することによって、超音波センサ駆動回路上の前記第1の圧力センサも制御する請求項1又は2に記載のガス保安装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス流量を計測し、異常流量が計測された場合にはガス通路を遮断し、ガス使用上の安全性を確保するガス保安装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガスの使用量を測定するガスメータが、異常と判定してガス通路を遮断し、安全性を確保するガス保安装置を開示する。このガス保安装置は、超音波センサと、超音波センサ駆動回路が構成された回路基板を一体とした超音波流量計測部と、供給圧側と、大気圧の差圧を測定する圧力センサと、圧力センサで測定した圧力が異常であると判断した場合は、流路を遮断してガスの供給を停止する制御機能と、通報する機能を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-98563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガス保安装置に内蔵された圧力センサはガスの圧力を大気圧基準として測定する差圧測定型である為、ガスを圧力センサに導入する貫通孔を有しており、周囲の火災等により、ガス保安装置周辺が非常に高温になった場合、圧力センサが変形または焼失することによって、貫通孔からガスが漏れ出し、ガス爆発等の二次被害を拡大してしまう可能性がある。そこで、貫通孔が不要な構成として、大気圧を測定する絶対圧圧力センサとガスの圧力を測定する絶対圧圧力センサの測定値の差からガス供給圧の変化を測定する手段がある。
【0005】
しかしながら、2個のセンサを駆動させるため消費電力が多くなり、電池の容量を大きくする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるガス保安装置は、ガスを流すための流路と、前記流路を流れるガスの流量を測定するための流量計測部と、前記流路内部に配置され、前記ガスの絶対圧力を測定する第1の圧力センサと、前記流路外部に配置され、大気圧の絶対圧力を測定する第2の圧力センサと、前記第1の圧力センサもしくは、前記第2の圧力センサの遷移状態を検知する圧力値遷移検知手段と、前記圧力値遷移検知手段が前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサのうち一方の圧力センサの遷移状態を検知した場合において、前記圧力値遷移検知手段の遷移の値が所定値以上変化した場合に、前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサのうち他方の圧力センサを駆動して前記他方の圧力センサに圧力を計測させるセンサ駆動制御手段と、前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサが共に駆動している時の圧力の差からガス供給圧を算出するガス圧力判定手段と、前記流路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部を制御すると共に、前記流量計測部で測定した流量や前記ガス圧力判定手段で測定した圧力で異常と判定した場合に前記遮断弁で前記流路を遮断する制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、ガス保安装置周辺が高温になってもガスが噴出することのないガス保安装置において、2つの絶対圧圧力センサを備えた構成でも消費電力の抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるガス保安装置の構成図
図2】実施の形態1における動作説明図
図3】実施の形態2におけるガス保安装置の構成図
図4】実施の形態2における動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、ガスを流すための流路と、前記流路を流れるガスの流量を測定するための流量計測部と、前記流路内部に配置され、前記ガスの絶対圧力を測定する第1の圧力センサと、前記流路外部に配置され、大気圧の絶対圧力を測定する第2の圧力センサと、前記第1の圧力センサもしくは、前記第2の圧力センサの遷移状態を検知する圧力値遷移検知手段と、前記圧力値遷移検知手段の遷移の値によって前記第1の圧力センサもしくは、前記第2の圧力センサの駆動を制御するセンサ駆動制御手段と、前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサが共に駆動している時の圧力の差からガス供給圧を算出するガス圧力判定手段と、前記流路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部を制御すると共に、前記流量計測部で測定した流量や前記ガス圧力判定手段で測定した圧力で異常と判定した場合に前記遮断弁で前記流路を遮断する制御回路と、を備えることで、大気側の前記絶対圧圧力センサの駆動を抑制し、消費電力の低減ができる。また、差圧測定型の圧力センサを用いる場合に必要な貫通孔が不要となり、火災等でガス保安装置の周囲が高温になってもガスが噴出することを防止でき、より安全性の高いガス保安装置が実現できる。
【0010】
第2の発明は、ガスを流すための流路と、前記流路を流れるガスの流量を測定するための流量計測部と、前記流路内部に配置され、前記ガスの絶対圧力を測定する第1の圧力センサと、前記流路外部に配置され、大気圧の絶対圧力を測定する第2の圧力センサと、前記第1の圧力センサで計測される圧力値をn個採取する第1の圧力値採取手段と、前記第2の圧力センサで計測される圧力値をn個採取する第2の圧力値採取手段と、前記第1の圧力値採取手段での得られた今回と前回計測値を比較する第1の圧力前回値比較手段と、前記第2の圧力値採取手段での得られた今回と前回の計測値を比較する第2の圧力前回値比較手段と前記第1の圧力前回値比較手段と前記第2の圧力前回値比較手段の結果からセンサの駆動停止を判断する駆動停止判定手段と、前記第1の圧力値採取手段と前記第2の圧力値採取手段で計測された圧力の差からガス供給圧の変化を算出するガス圧力判定手段と、前記流路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部を制御すると共に、前記流量計測部で測定した流量や前記ガス圧力判定手段で測定した圧力変化で異常と判定した場合に前記遮断弁で前記流路を遮断する制御回路と、を備えることで、2つの前記絶対圧圧力センサの駆動を抑制し、消費電力の低減できる。また、差圧測定型の圧力センサを用いる場合に必要な貫通孔が不要となり、火災等でガス保安装置の周囲が高温になってもガスが噴出することを防止でき、より安全性の高いガス保安装置が実現できる。
【0011】
第3の発明は、特に第1または2の発明において、前記流量計測部は前記流路内部に配置された計測回路を有し、前記第1の圧力センサは前記計測回路上に構成され、前記制御回路は前記流路外部に配置され、前記第2の圧力センサは前記制御回路上に配置されたものである。
【0012】
第4の発明は、特に第1~3のいずれか1つの発明において、前記流量計測部は、超音波センサと前記超音波センサを駆動して流量計測を行う計測回路を一体とした超音波流量計測部を備え、前記超音波流量計測部をガス雰囲気中に設置するとともに、前記超音波流量計測部に前記第1の圧力センサを備え、前記制御回路で前記超音波流量計測部を制御することによって、超音波センサ駆動回路上の前記第1の圧力センサも制御するものである。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。
【0014】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について、図1図2を用いて説明する。
【0015】
図1において、ガス保安装置100は、流路101、遮断弁102、流路101に流れるガスの流量を計測する流量計測部103、流量計測部103で計測した流量測定データを用いて、ガスの使用量を積算する制御回路104、絶対圧力が測定できるガス側を測定するガス側絶対圧圧力センサ105、大気側を測定する大気側絶対圧圧力センサ106、ガス雰囲気中に設置されている電子回路107、ガス側絶対圧圧力センサ105の圧力値の遷移状態を検知する圧力値遷移検知手段108、圧力値遷移検知手段108において検知された圧力値の遷移状態によって大気側絶対圧圧力センサ106の駆動を制御するセンサ駆動制御手段109、ガス側絶対圧圧力センサ105と大気側絶対圧圧力センサ106で測定された2つの絶対圧の差分からガス供給圧を算出するガス圧力判定手段110を備える。
【0016】
ガス側絶対圧圧力センサ105は、流路101内のガス雰囲気中に設置されている電子回路107上に電子部品として実装されており、制御回路104からの信号で流路101内のガスの絶対圧力を測定する。また、大気側絶対圧圧力センサ106は、流路101外の大気側に設置されている制御回路104上に電子部品として実装されており、制御回路からの信号で大気側の絶対圧力を測定する。
【0017】
次に、図2を用いて、圧力値遷移検知手段108とセンサ駆動制御手段109の具体的な動作説明を行う。
【0018】
図2は、同一期間のガス側の絶対圧力と大気側の絶対圧力の変化と、ガス側絶対圧圧力センサ105、大気側絶対圧圧力センサ106の測定タイミングの一例を示したものである。
【0019】
図に示す様に、ガス側絶対圧圧力センサ105は、常に所定間隔(例えば、2秒から10秒)で駆動されて測定を行っており、ガス側の圧力値遷移検知手段108で圧力が所定値(例えば、2kPa)以上変化したことを検知した場合は、センサ駆動制御手段109によって大気側絶対圧圧力センサ106を駆動して大気側の圧力を測定し、所定値未満の場合は駆動を行わず測定を停止する。
【0020】
即ち、ガス側絶対圧圧力センサ105の測定タイミングTn-1までは、測定タイミング毎の圧力変化が2kPa未満であるので、大気側絶対圧圧力センサ106の駆動を行わないが、測定タイミングTn-1の絶対圧力Pgn-1と測定タイミングTnの絶対圧力Pgnとの圧力差ΔPgnが2kPa以上となっており、測定タイミングTnでは大気側絶対圧圧力センサ106を駆動して大気側の絶対圧力Panを測定し、次の測定タイミングTn+1では、ガス側絶対圧圧力センサ105による測定タイミングTnの絶対圧力Pgnと測定タイミングTn+1の絶対圧力Pgn+1との圧力差ΔPgn+1が2kPa未満である為、大気側絶対圧圧力センサ106を駆動は停止する。その後、ガス側絶対圧圧力センサ105の測定タイミング毎の圧力変化が2kPa未満であるので、大気側絶対圧圧力センサ106の停止した状態となる。
【0021】
従って、測定タイミングTnでは、ガス側絶対圧圧力センサ105によるガス側の絶対圧力Pgnと大気側絶対圧圧力センサ106による大気側の絶対圧力Panを測定することで、ガス圧力判定手段110はこの2つの絶対圧力の差分からガス供給圧を算出でき、制御回路104は、流量計測部103で計測した流量測定データやガス供給圧やその変化を判定し、ガス漏れ等の異常がないかを判定し、異常と判断した場合には、遮断弁102で流路101を遮断して、ガスの供給を停止する。
【0022】
以上のように、本実施の形態においては、通常はガス側絶対圧圧力センサ105のみでガス側の絶対圧力を測定し、所定以上の圧力変化が検知されるか否かで大気側絶対圧圧力センサ106の駆動・停止を制御することで、消費電力の抑制ができ、かつ絶対圧力を測定できる2つの絶対圧圧力センサの差分を用いてガス供給圧の変動を検知するため、差圧測定型の圧力センサを用いる場合に必要な貫通孔が不要となり、火災等でガス保安装置の周囲が高温になってもガスが噴出することを防止でき、より安全性の高いガス保安装置が実現できる。
【0023】
なお、本実施の形態では、圧力値遷移検知手段108は、ガス側絶対圧圧力センサ105による測定タイミング間の圧力差を検知しているが、離れた測定タイミング間の圧力差や複数の測定タイミングの平均の圧力差、或いは、変化パターンなどで圧力遷移を検知する方法を用いてもよい。
【0024】
また、本実施の形態において、ガス側絶対圧圧力センサ105で圧力の測定を行い、大気側の絶対圧圧力センサの停止・駆動を制御する構成で説明したが、大気側の圧力測定に基づいて、ガス側のセンサの停止・駆動を制御する構成でも同等なことができることは言うまでもない。
【0025】
なお、本実施の形態において、流量計測部を超音波流量計測として使用しても同等なことができることは言うまでもない。
【0026】
なお、本実施の形態において、ガス側絶対圧圧力センサ105を流路101内のガス雰囲気中に設置されている電子回路107上に実装する構成で説明したが、流路内であれば何処に実装してもよいことはいうまでも無い。また、大気側絶対圧圧力センサ106を流路101外の大気側に設置されている制御回路104上に実装する構成で説明したが、大気圧を測定できれば実装する場所に制限は無い。
【0027】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について、図3図4を用いて説明する。なお、図3おいて、図1で説明した同一機能については同一番号で示す。
【0028】
ガス保安装置200は、流路101、遮断弁102、流路101に流れるガスの流量を計測する流量計測部103、流量計測部103で計測した流量測定データを用いて、ガスの使用量を積算する制御回路204、絶対圧力が測定できるガス側を測定するガス側絶対圧圧力センサ105、大気側を測定する大気側絶対圧圧力センサ106、ガス雰囲気中に設置されている電子回路107、ガス側絶対圧圧力センサ105と大気側絶対圧圧力センサ106の駆動を制御するセンサ駆動制御手段209、ガス側絶対圧圧力センサ105で測定された圧力値をn回採取するガス側圧力値採取手段201、大気側絶対圧圧力センサ106で測定された圧力値をn回採取する大気側圧力値採取手段202、ガス側圧力値採取手段201で得られた前回の圧力値と今回の圧力値を比較するガス側前回値比較手段220、大気側圧力値採取手段202で得られた前回の圧力値と今回の圧力値を比較する大気側前回値比較手段221、ガス側前回値比較手段220と大気側前回値比較手段221の結果からガス側絶対圧圧力センサ105と大気側絶対圧圧力センサ106の駆動停止を判断する駆動停止判定手段205、ガス側圧力値採取手段201で採取された絶対圧力と大気側圧力値採取手段202で採取された絶対圧力値の差分からガス供給圧を算出するガス圧力判定手段110を備える。
【0029】
次に、図4を用いて、具体的な動作説明を行う。なお、図1図3で説明した同一機能については同一番号で示す。
【0030】
図に示す様に、ガス圧力判定手段110による圧力測定は、予め定めた時間間隔T(例えば、2秒から10秒)で定期的に実行される。図4において、圧力測定時間T1、T2は圧力測定のタイミングを示しており、圧力測定時間T1において、ガス側圧力値採取手段201は、ガス側絶対圧圧力センサ105で所定間隔(例えば、5ms)毎に測定された最初の圧力値Pg(1)から最大n回目の圧力値Pg(n)まで絶対圧力値を採取し、大気側圧力値採取手段202は、ガス側絶対圧圧力センサ105と同じタイミングで大気側絶対圧圧力センサ106で測定された最初の圧力値Pa(1)から最大n回目の圧力値Pa(n)まで絶対圧力値を採取する。
【0031】
ガス側前回値比較手段220は、ガス側圧力値採取手段201で2回目の圧力値の採取がされると、最初の圧力値Pg(1)と2回目の圧力値Pg(2)を比較し、以降、計測値の採取がされる毎に前回値との比較を行う。同様に、大気側前回値比較手段221は、大気側圧力値採取手段202で2回目の圧力値Pa(2)の採取がされると、大気側前回値比較手段221は、最初の圧力値Pa(1)と2回目の圧力値Pa(2)を比較し、以降、圧力値の採取がされる毎に前回値との比較を行う。
【0032】
駆動停止判定手段205は、ガス側前回値比較手段220と大気側前回値比較手段221による比較の結果で、ガス側と大気側の圧力値が共に安定して測定できていると判断された場合は、ガス側絶対圧圧力センサ105と大気側絶対圧圧力センサ106の駆動の停止を行なう。
【0033】
即ち、n回の計測の途中のガス側のk回目の圧力値Pg(k)とk+1回目の圧力値Pg(k+1)の比較でガス側の圧力値が安定していると判断され、かつ、大気側のk回目の圧力値Pa(k)とk+1回目の圧力値Pa(k+1)の比較で大気側の圧力値が安定していると判断された場合には、k+2回目以降の計測が停止されることになる。
【0034】
なお、圧力値が、安定して測定されているかどうかは、今回取得された圧力値と前回取得された圧力値との差が所定の値より小さい場合で判断している。所定の値は、ガス側と大気側で同じ値でも良いし、個別の値を設定しても良い。
【0035】
また、ガス圧力判定手段110は、計測された圧力値が安定していると判断された時のガス側圧力値採取手段201でのk+1回目の圧力値と大気側圧力値採取手段202で取得されたk+1回目の圧力値の差分からガス供給圧を算出し、制御回路204は、流量計測部103で計測した流量測定データやガス供給圧やその変化を判定し、ガス漏れ等の異常がないかを判定し、異常と判断した場合には、遮断弁102で流路101を遮断して、ガスの供給を停止する。
【0036】
なお、圧力測定時間T1において、ガス側前回値比較手段220と大気側前回値比較手段221の比較の結果で、n回繰り返しても圧力値が安定していないと判断された場合は、結果として圧力測定時間T1では、ガス圧力判定手段110における2つの絶対圧力値の差分からガス供給圧の算出は行われないことになる。また、圧力測定時間T2においても上記と同様な動作を行う。
【0037】
以上のように、本実施の形態においては、予め定めた時間間隔Tで2つの絶対圧圧力センサ(ガス側絶対圧圧力センサ105と大気側絶対圧圧力センサ106)を駆動して計測を行うが、2つの絶対圧圧力センサで測定された圧力値の安定状態を判断して、2つの絶対圧圧力センサの駆動・停止の制御を行うことで、消費電力を抑えることができる。
【0038】
つまり、ノイズ等の外的要因により測定値が安定しない場合は、安定するまで測定を行
うことで正確な圧力値を測定できると共に、外的要因によるノイズ等は一時的に発生するので、ノイズ等がない通常の測定では、1つの圧力測定時間における絶対圧圧力センサの駆動回数を削減できるため、消費電力を大幅に削減することができる。
【0039】
また、差圧測定型の圧力センサを用いる場合に必要な貫通孔が不要となり、火災等でガス保安装置の周囲が高温になってもガスが噴出することを防止でき、より安全性の高いガス保安装置が実現できる。
【0040】
なお、本実施の形態において、ガス側前回値比較手段220と大気側前回値比較手段221は、前回と今回の2つの測定結果を比較する方法として説明を行ったが、前回までの複数回の平均値と今回の測定値の比較により駆動停止判定手段205によってセンサ駆動制御を行っても同様なことができることは言うまでもない。
【0041】
なお、本実施の形態において、ガス側絶対圧圧力センサ105を流路101内のガス雰囲気中に設置されている電子回路107上に実装する構成で説明したが、流路内であれば何処に実装してもよいことはいうまでも無い。また、大気側絶対圧圧力センサ106を流路101外の大気側に設置されている制御回路104上に実装する構成で説明したが、大気圧を測定できれば実装する場所に制限は無い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、ガス保安装置は、火災等でガス保安装置の周囲が高温になっても圧力センサ用の貫通穴からガスが噴出することを防止できるため、より安全性を向上できるだけでなく、より安価なガス保安装置が実現でき、一般家庭用及び業務用ガスメータ等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
100、200 ガス保安装置
101 流路
102 遮断弁
103 流量計測部
104、204 制御回路
105 ガス側絶対圧圧力センサ(第1の圧力センサ)
106 大気側絶対圧圧力センサ(第2の圧力センサ)
107 電子回路(計測回路)
108 圧力値遷移検知手段
109、209 センサ駆動制御手段
110 ガス圧力判定手段
201 ガス側圧力値採取手段(第1の圧力値採取手段)
202 大気側圧力値採取手段(第2の圧力値採取手段)
205 駆動停止判定手段
220 ガス側前回値比較手段
221 大気側前回値比較手段
図1
図2
図3
図4