(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】配線異常検出システム、配線異常検出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20231127BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20231127BHJP
【FI】
H02B1/40 A
G01R31/52
(21)【出願番号】P 2020090006
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
(72)【発明者】
【氏名】澤田 知行
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-127807(JP,A)
【文献】特開2017-207313(JP,A)
【文献】特開2015-154518(JP,A)
【文献】特開2010-210361(JP,A)
【文献】特開2012-249391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
G01R 31/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給される電力を出力する電力出力部に電気的に接続される複数の端子と、
前記電力出力部から電力が出力されていない場合、前記複数の端子のうちの一対の端子間に試験用の電圧を印加することによって前記電源から前記電力出力部への配線の状態を検知する状態検知部と、
前記状態検知部が検知する前記配線の状態に基づいて、少なくとも前記配線の異常の有無を判断する判断部と、
を備える、
配線異常検出システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記配線に異常が有ると判断した場合、異常有りの判断結果を保持する、
請求項1記載の配線異常検出システム。
【請求項3】
前記判断部は、前記複数の端子と前記電力出力部の電気的な接続状態が変化したとき、保持していた前記判断結果を破棄する、
請求項2記載の配線異常検出システム。
【請求項4】
前記電源から前記電力出力部への電力供給の有無を検出する検出部を、更に備え、
前記状態検知部は、前記検出部が前記電力供給がなくなったことを検出したときに前記試験用の電圧を印加して前記配線の状態を検知する、
請求項1-3のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項5】
操作入力を受け付ける受付部を、更に備え、
前記状態検知部は、前記受付部が前記操作入力を受け付けたときに前記試験用の電圧を印加して前記配線の状態を検知する、
請求項1-4のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項6】
前記判断部が異常有りと判断した場合、前記電源から前記電力出力部への前記配線に設けられている配線用遮断器に前記配線を遮断させる、
請求項1-5のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項7】
前記配線用遮断器が漏電遮断器であって、
前記配線に擬似漏電電流を流すことで前記配線用遮断器に前記配線を遮断させる、
請求項6記載の配線異常検出システム。
【請求項8】
少なくとも前記配線用遮断器が前記配線を遮断するために必要な時間よりも短くない所定の時間だけ前記擬似漏電電流を流す、
請求項7記載の配線異常検出システム。
【請求項9】
地震による震動を検出する地震センサを、更に備え、
前記地震センサが所定のしきい値以上の震動を検出した場合、前記電源から前記電力出力部への前記配線に設けられている前記配線用遮断器に前記配線を遮断させる、
請求項6-8のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項10】
トリガ入力を受け付けるトリガ入力受付部を、更に備え、
前記トリガ入力受付部が前記トリガ入力を受け付けたときに前記配線用遮断器に前記配線を遮断させる、
請求項6-9のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項11】
前記状態検知部及び前記判断部に電源を供給する電源部を、更に備える、
請求項1-10のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項12】
光源と、
前記光源を点灯させる点灯回路と、
を更に備える、
請求項1-11のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項13】
前記判断部の判断結果を提示する提示部を更に備える、
請求項1-12のいずれか1項に記載の配線異常検出システム。
【請求項14】
電源から供給される電力を出力する電力出力部に対して、前記電力出力部から電力が出力されていないときに、試験用の電圧を印加することによって前記電源から前記電力出力部への配線の状態を検知する検知ステップと、
前記検知ステップで検知する前記配線の状態に基づいて、少なくとも前記配線の異常の有無を判断する判断ステップと、
を有する、
配線異常検出方法。
【請求項15】
請求項14に記載の配線異常検出方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線異常検出システム、配線異常検出方法及びプログラムに関し、より詳細には、本開示は、配線の異常の有無を検出する配線異常検出システム、配線異常検出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震及び風水害などの自然災害によって建物への商用電源の供給が停電した場合、商用電源の復電後に、停電によって停止していた機器が動作を開始することによる2次災害の発生が問題となっている。
【0003】
かかる問題を解決するものとして、特許文献1記載の分電盤が提案されている。特許文献1記載の分電盤は、主電源ブレーカ(主幹ブレーカ)と、複数の分岐ブレーカと、商用電源の停電を検知する停電検知部と、停電検知部が停電を検知した場合、分岐回路への電力供給を遮断する開閉部とを備えている。
【0004】
商用電源が停電状態から復旧して復電した場合、停電検知部は商用電源の通電を検知するが、開閉部は、オフ状態を維持する。そして、ユーザは、機器、及び機器への電力供給路の状態を調べて、短絡、漏電等の異常の有無を確認する。停電検知部が商用電源の通電を検知しているときに、異常なしと判断したユーザによって手動で開閉部が閉じられると、全ての分岐回路へ電力が再び供給され、機器が動作可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1記載の分電盤においては、商用電源の復電後、ユーザが短絡、漏電などの配線の異常の有無を調査する必要があった。
【0007】
本開示の目的は、配線の異常の有無を容易に検出することができる配線異常検出システム、配線異常検出方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る配線異常検出システムは、複数の端子と、状態検知部と、判断部とを備える。前記複数の端子は、電源から供給される電力を出力する電力出力部に電気的に接続される。前記状態検知部は、前記電力出力部から電力が出力されていない場合、前記複数の端子のうちの一対の端子間に試験用の電圧を印加することによって前記電源から前記電力出力部への配線の状態を検知する。前記判断部は、前記状態検知部が検知する前記配線の状態に基づいて、少なくとも前記配線の異常の有無を判断する。
【0009】
本開示の一態様に係る配線異常検出方法は、検知ステップと判断ステップを有する。前記検知ステップは、電源から供給される電力を出力する電力出力部に対して、前記電力出力部から電力が出力されていないときに、試験用の電圧を印加することによって前記電源から前記電力出力部への配線の状態を検知するステップである。前記判断ステップは、前記検知ステップで検知する前記配線の状態に基づいて、少なくとも前記配線の異常の有無を判断するステップである。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、配線異常検出方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の配線異常検出システム、配線異常検出方法及びプログラムは、配線の異常の有無を容易に検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る配線異常検出システム、及び分電盤システムの回路構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の配線異常検出システムの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態2に係る配線異常検出システム、及び分電盤システムの回路構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態3に係る配線異常検出システムの回路構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、同上の配線異常検出システムの変形例1の回路構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、同上の配線異常検出システムの変形例2の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(1)実施形態1
まず、実施形態1に係る配線異常検出システム1(以下、配線異常検出システム1と略す。)が使用される分電盤システムについて、
図1を参照して簡単に説明する。
【0015】
分電盤システムは、例えば、住宅及び小規模の事務所などに設置される分電盤3と、複数の電力出力部2とを備える。なお、分電盤3は、住宅用分電盤(住宅盤)を例示するが、キャビネット型分電盤などの住宅盤以外の分電盤であってもかまわない。
【0016】
分電盤3は、1つの主幹ブレーカ30、及び複数の分岐ブレーカ31を有している(
図1参照)。主幹ブレーカ30と複数の分岐ブレーカ31のそれぞれは配線用遮断器である。
【0017】
主幹ブレーカ30は、3極の漏電遮断器で構成されている。主幹ブレーカ30の入力側(電源側)の3つの端子(入力端子)は、単相3線の配電方式における、第1電圧線、第2電圧線及び中性線を含む入力線32によって商用電源9と電気的に接続される。また、主幹ブレーカ30の出力側(負荷側)の3つの端子(出力端子)には、3つの母線(導電バー)が一対一かつ電気的に接続される。
【0018】
複数の分岐ブレーカ31は、例えば、過電流引き外し装置を備えた回路遮断器で構成されている。各分岐ブレーカ31の2つの入力側(電源側)の端子(入力端子)は、第1電圧線と導通する母線(第1導電バー)及び第2電圧線と導通する母線(第2導電バー)のいずれか1つ、及び中性線と導通する母線(第3導電バー)と分岐線34によって1つずつ電気的に接続される。ただし、1つ以上の分岐ブレーカ31の2つの入力端子が、2つの母線(第1導電バー及び第2導電バー)と分岐線34によって1つずつ電気的に接続されてもかまわない。しかして、前者の分岐ブレーカ31には実効値100Vの交流電圧が供給され、後者の分岐ブレーカ31には実効値200Vの交流電圧が供給される。
【0019】
各分岐ブレーカ31の2つの出力側(負荷側)の端子(出力端子)は、屋内配線用の電線(出力線35)を介して電力出力部2と電気的に接続される。電力出力部2は、例えば、壁に埋め込み配設されるコンセントである。電力出力部2は、電気絶縁性を有する合成樹脂によって箱状に形成された器体20を有する。器体20の前面に、2組の差込口21が縦方向に間隔を空けて並ぶように配置されている。各組の差込口21には、差込プラグの一対の刃が1つずつ差し込まれる。器体20の内部には、差込口21から差し込まれる差込プラグの一対の刃と各別に接触導通する一対の刃受が2組収容されている。しかして、洗濯機、冷蔵庫、テレビジョン受像機などの電気機器は、差込プラグの一対の刃がコンセント(電力出力部2)の一対の刃受と導通することにより、分電盤3を介して商用電源9から交流電力が供給される。なお、電力出力部2はコンセントに限定されず、例えば、天井に設けられる引掛シーリングボディなどであってもかまわない。
【0020】
(1-1)配線異常検出システムの回路構成
配線異常検出システム1は、
図1に示すように、複数の端子(一対の刃10)と、状態検知部11と、判断部12とを備える。また、配線異常検出システム1は、検出部13、受付部14及び電源部17を更に備える。
【0021】
一対の刃10はそれぞれ、差込プラグの刃と共通の平刃で構成されている。つまり、一対の刃10は、電力出力部2の差込口21に差し込まれて一対の刃受と導通することにより、商用電源9から電力出力部2への配線(入力線32、母線33、分岐線34及び出力線35)と電気的に接続される。
【0022】
検出部13は、商用電源9から電力出力部2への電力供給の有無を検出する。すなわち、検出部13は、一対の刃10に印加される電圧を検出し、検出した電圧がしきい値(例えば、1~10V)未満の場合に商用電源9から電力出力部2への電力供給がないと判定する。一方、検出部13は、検出した電圧がしきい値以上の場合に商用電源9から電力出力部2への電力供給が有ると判定する。そして、検出部13は、電力供給がないと判定した場合には無通電信号を判断部12に出力し、電力供給が有ると判定した場合には無通電信号を判断部12に出力しない。
【0023】
受付部14は、例えば、押ボタンスイッチを有している。受付部14は、押ボタンスイッチが押操作されてオンしたときに操作入力を受け付ける。受付部14は、操作入力を受け付けた場合に操作信号を判断部12に出力する。
【0024】
状態検知部11は、検出部13から判断部12に無通電信号が出力されている場合、一対の刃10に試験用の定電圧(試験電圧)を印加することによって商用電源9から電力出力部2への配線(入力線32、母線33、分岐線34及び出力線35)の状態を検知する。すなわち、状態検知部11は、試験電圧を一対の刃10に印加した状態で一対の刃10に流れる電流を計測する。あるいは、状態検知部11は、計測した電流値と試験電圧から一対の刃10の間のインピーダンス(抵抗)を計測してもよい。状態検知部11は、電流(又はインピーダンス)の計測値を判断部12に出力する。
【0025】
電源部17は、電池と、電池の電圧を安定化する定電圧回路(3端子レギュレータなど)と、定電圧回路を入切する電源スイッチとを有することが好ましい。電源部17は、電源スイッチがオンしているときに定電圧回路を動作させて、状態検知部11、検出部13及び判断部12に動作用の電源を供給する。状態検知部11は、電源部17から供給される電圧(直流電圧)を試験電圧とすることが好ましい。
【0026】
判断部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータで構成されている。判断部12は、メモリに格納されているプログラムをCPUに実行させることにより、状態検知部11が検知する配線の状態(計測値)に基づいて、配線の異常の有無を判断する処理等を行う。なお、CPUが実行するプログラムは、マイクロコンピュータのメモリにあらかじめ記録されている。ただし、CPUが実行するプログラムは、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、判断部12は、配線の異常有無の判断結果を提示するための表示灯120を有している。表示灯120は、例えば、赤色と緑色の2色を単独及び同時に発光可能なLEDランプで構成されることが好ましい。判断部12は、異常無しと判断した場合に表示灯120を緑色に発光させ、異常有りと判断した場合に表示灯120を赤色に発光させる。
【0027】
(1-2)配線異常検出システムの構造
配線異常検出システム1は、
図2に示すように、合成樹脂製のボディ19を有する。ボディ19は、直方体状に形成されている。ボディ19には、状態検知部11、判断部12、検出部13、受付部14及び電源部17を構成する回路(プリント回路)が収容されている。一対の刃10は、ボディ19の背面から後方に突出している。ただし、ボディ19から引き出される電気コードの先端に、一対の刃10を有する差込プラグが設けられてもかまわない。
【0028】
ボディ19の前面には、円形の第1窓191及び第2窓192が開口している。第1窓191には円板状の操作ボタン140が配置されている。操作ボタン140は、操作されている間だけボディ19内に移動して受付部14の押ボタンスイッチを押操作し、操作されていないときは押ボタンスイッチを押操作しない位置に復帰する。第2窓192内には表示灯120が配置されている。また、ボディ19の前面には、電源部17の電源スイッチをオン・オフするための操作部材193が設けられている。操作部材193は、ボディ19の前面において、ボディ19の前面の長手方向(
図2における上下方向)に沿ってスライド可能に構成されている。例えば、操作部材193が下に位置しているときに電源スイッチがオンとなり、操作部材193が上に位置しているときに電源スイッチがオフとなる。
【0029】
(1-3)配線異常検出システムの動作
配線異常検出システム1は、次のような状況で使用される。例えば、地震及び台風による風水害などの自然災害により、長時間に及ぶ停電が発生し、住民が主幹ブレーカ30を手動でオフした状態で避難所等に避難した後、商用電源9が復旧した状況が想定される。このような状況において、宅内の配線に短絡故障などの異常が生じていた場合、住民が主幹ブレーカ30を手動でオンしたとしても、配線に異常が生じているために、電力出力部2から電気機器に電力が供給されない、というような不具合が発生するおそれがある。
【0030】
そこで、住民(あるいは、住民から依頼された業者など)は、商用電源9が復旧(復電)した後、主幹ブレーカ30を手動でオンする前に、配線異常検出システム1を用いて宅内の配線に異常が生じていないかを調査することが望ましい。そして、宅内の配線に異常が生じていなければ、住民は、主幹ブレーカ30を手動でオンすればよい。一方、宅内の配線に異常が生じていれば、住民は、主幹ブレーカ30をオフしたままで電力会社等に連絡して配線異常の解消を図ることが望ましい。
【0031】
次に、作業者(住民又は業者)が配線異常検出システム1を用いて配線の異常を調査する具体的な作業手順とともに配線異常検出システム1の動作を説明する。
【0032】
まず、作業者は、1つ目の電力出力部2の差込口21に一対の刃10を差し込み、操作部材193を操作して電源部17の電源スイッチをオンした後、操作ボタン140を押操作する。
【0033】
配線異常検出システム1では、操作ボタン140が押操作されることで受付部14が操作入力を受け付け、受付部14から判断部12に操作信号が出力される。操作信号を受け取った判断部12は、検出部13に電力出力部2への電力供給の有無を検出するように指示する。検出部13は、判断部12の指示に基づいて検出部13に電力出力部2への電力供給の有無を検出し、電力供給がないことを検出すれば、無通電信号を判断部12に出力し、電力供給が有ることを検出すれば、無通電信号を判断部12に出力しない。ここで、検出部13が電力供給の有ることを検出した場合、主幹ブレーカ30がオンしていると考えられるので、判断部12は、配線異常の検出処理を中断し、例えば、表示灯120を緑色と赤色に交互に発光させることで通電状態であることを作業者に知らせる。この場合、作業者は、主幹ブレーカ30を手動でオフした後、再度操作ボタン140を押操作して作業を再開することが望ましい。このように検出部13が電力供給がなくなったことを検出したときに、状態検知部11が試験電圧を印加して配線の状態を検知することにより、電力供給されている状態で試験電圧を印加することによる不具合の発生を防ぐことができる。
【0034】
判断部12は、検出部13から無通電信号を受け取った場合、状態検知部11に状態検知の実行を指示する。状態検知部11は、判断部12からの指示に基づき、試験電圧を一対の刃10に印加した状態で一対の刃10に流れる電流を計測し、電流の計測値を判断部12に出力する。
【0035】
判断部12は、状態検知部11から受け取る電流の計測値に基づいて、配線の異常の有無を判断する。例えば、主幹ブレーカ30が手動でオフされている場合、配線が短絡故障していなければ、一定の直流電圧(試験電圧)が一対の刃10に印加されても、一対の刃10には電流が流れないはずである。したがって、試験電圧が一対の刃10に印加された状態で一対の刃10に電流が流れたとすれば、配線(入力線32、母線33、分岐線34及び出力線35)のどこかで異常(短絡故障)が発生していると判断することができる。ゆえに、判断部12は、電流の計測値をしきい値と比較し、計測値がしきい値未満であれば、異常無しと判断し、計測値がしきい値以上であれば、異常有りと判断する。そして、判断部12は、異常無しと判断した場合に表示灯120を緑色に発光させ、異常有りと判断した場合に表示灯120を赤色に発光させる。なお、判断部12は、配線に異常が有ると判断した場合、異常有りの判断結果を、例えば、マイクロコンピュータのメモリに記憶して保持することが好ましい。しかして、判断部12が異常有りの判断結果を保持すれば、重要な情報である、異常有りの判断結果が見過ごされにくくなるという利点がある。
【0036】
作業者は、表示灯120の発光色(緑色及び赤色)から配線の異常の有無を確認したら、同様の手順で住宅内の全ての電力出力部2を調査する。そして、作業者は、全ての電力出力部2を調査した結果、配線の異常が検出されなければ、主幹ブレーカ30をオンする。一方、少なくとも1つの電力出力部2について配線の異常が検出された場合、作業者は、主幹ブレーカ30をオフしたままで電力会社等に連絡して配線異常の解消を図ることが望ましい。
【0037】
また、配線異常検出システム1は、受付部14が操作入力を受け付けたときに状態検知部11から試験電圧を印加して配線の状態を検知するので、意図せずに試験電圧が印加されてしまうことを防ぐことができる。
【0038】
ところで、配線には短絡以外にも断線などの異常が生じうる。配線異常検出システム1は、例えば、断線を検出するため、電源部17の電池電圧(例えば、1.5V~3V)を200~300Vに昇圧するDCDCコンバータと、大容量のコンデンサと、パルストランスとを有することが好ましい。DCDCコンバータから出力される高電圧でコンデンサが充電され、コンデンサに蓄えられた電荷がパルストランスの1次巻線に放電されることにより、パルストランスの2次巻線に数kVのパルス電圧が発生する。そして、状態検知部11は、試験電圧の代わりに前記パルス電圧を一対の刃10を介して配線に印加する。このとき、配線が断線していなければ、オフ状態の主幹ブレーカ30の接点でアークが生じて電流が流れるが、配線に断線が生じていると電流が流れない可能性が高い。したがって、判断部12は、パルス電圧が印加された後に状態検知部11で電流(パルス状の電流)が計測されるか否かにより、配線の異常(断線)の有無を判断することができる。
【0039】
ここで、判断部12は、受付部14から操作入力を受け取るごとにメモリに記憶している判断結果を破棄してもかまわない。つまり、受付部14が操作入力を受け付けた場合、作業者が別の電力出力部2の差込口21に一対の刃10を差し込んだ、言い換えると、複数の端子(刃10)と電力出力部2の電気的な接続状態が変化した、とみなすことができる。ゆえに、配線異常検出システム1は、新たに配線の異常を検出する場合、前回の検出結果を破棄することで誤った検出結果を作業者に知らせてしまうような不具合を回避することができる。
【0040】
ところで、配線異常検出システム1は、主幹ブレーカ30がオフされている状況で使用されることを前提とすれば、検出部13を備えていなくてもかまわない。また、配線異常検出システム1は、受付部14を備えていなくてもよい。例えば、配線異常検出システム1の一対の刃10が常に電力出力部2の差込口21に差し込まれた状態にある場合、検出部13が電力供給がなくなったことを検出したときに判断部12が異常検出の処理を開始してもよい。
【0041】
また、判断部12は、表示灯120の代わりに、例えば、電気泳動ディスプレイ又は磁気反転表示器などの表示デバイスを利用して判断結果を提示するようにしてもかまわない。判断部12が表示灯120の代わりに電気泳動ディスプレイ又は磁気反転表示器などの表示デバイスを利用して判断結果を提示すれば、配線異常検出システム1の消費電力を低減して電源部17の電池の寿命を延ばすことができる。
【0042】
上述のように実施形態1に係る配線異常検出システム1は、電力出力部2に複数の端子(一対の刃10)を接続することで配線の異常の有無を容易に検出することができる。
【0043】
(2)実施形態2
実施形態2に係る配線異常検出システム1B(以下、配線異常検出システム1Bと略す。)は、
図3に示すように、接地極用の端子10Cを更に備える点で実施形態1に係る配線異常検出システム1と相違する。したがって、以下の説明において、実施形態1に係る配線異常検出システム1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、配線異常検出システム1Bは、アースターミナル付きのコンセントからなる電力出力部2A又は接地極付きのコンセントからなる電力出力部2Bについて、配線の異常を検出することを目的としている。ただし、配線異常検出システム1Bは、実施形態1で説明した、アースターミナル及び接地極を持たないコンセントからなる電力出力部2についても配線の異常を検出することができる。
【0045】
電力出力部2Aは、器体20の前面における下部にアースターミナル22を有している。アースターミナル22は、電線37によって分電盤3に設けられている接地用の端子台36と電気的に接続される。
【0046】
電力出力部2Bは、器体20の前面に2組の差込口21(2つの電圧極差込口21Aと1つの接地極差込口21B)を有している。器体20の内部には、電圧極差込口21Aから差し込まれる差込プラグの一対の電圧極の刃と各別に接触導通する一対の電圧極の刃受と、接地極差込口21Bから差し込まれる差込プラグの接地極の刃と接触導通する接地極の刃受が2組収容されている。接地極の刃受は、電線37によって分電盤3の接地用の端子台36と電気的に接続される。なお、分電盤3の接地用の端子台36は、接地線38によって接地されている。
【0047】
(2-1)配線異常検出システムの回路構成
配線異常検出システム1Bは、
図3に示すように、一対の電圧極用の刃10A、10Bと接地極用の端子10Cを備える。
【0048】
一対の電圧極用の刃10A、10Bはそれぞれ、電力出力部2の電圧極用差込口21A、21Aに差し込まれて一対の電圧極用の刃受と導通することにより、商用電源9から電力出力部2への配線(入力線32、母線33、分岐線34及び出力線35)と電気的に接続される。
【0049】
一方、接地極用の端子10Cは、棒状の導体及び電線の少なくとも一方で構成されている。端子10Cが棒状の導体で構成される場合、端子10Cは、一対の刃10A、10Bと同様に器体の背面から突出している。端子10Cが電線で構成される場合、端子10Cは、器体の側面から引き出される。なお、配線異常検出システム1Bは、棒状の導体からなる端子10Cと、電線からなる端子10Cを両方とも備えていてもかまわない。その場合、棒状の導体からなる端子10Cは、器体に対して取り外し可能に構成される。
【0050】
電線からなる端子10Cは、電力出力部2Aのアースターミナル22と電気的に接続され、アースターミナル22及び電線37を介して分電盤3の接地用の端子台36と電気的に接続される。棒状の導体からなる端子10Cは、電力出力部2Bの接地極用差込口21Bに差し込まれて一対の電圧極用の刃受と導通することにより、電線37を介して分電盤3の接地用の端子台36と電気的に接続される。
【0051】
(2-2)配線異常検出システムの動作
状態検知部11は、検出部13から判断部12に無通電信号が出力されている場合、一対の電圧極用の刃10A、10Bに試験電圧を印加することによって配線の状態を検知(一対の刃10A、10Bに流れる電流を計測)する。判断部12は、状態検知部11が検知する配線の状態(電流の計測値)に基づいて、配線の異常(短絡)の有無を判断する。
【0052】
ここで、一方の電圧極用の刃10Aは、電力出力部2A、2B及び分岐ブレーカ31を介して、分電盤3の第1導電バー又は第2導電バーと導通しているので、配線が地絡していなければ電流が流れない。そこで、状態検知部11は、一方の電圧極用の刃10Aと端子10Cの間に試験電圧を印加した状態で刃10Aと端子10Cに流れる電流を計測し、その計測値を判断部12に出力する。判断部12は、状態検知部11から受け取る計測値がしきい値(例えば、数十mA)以上の場合、配線に異常(地絡)が生じていると判断し、計測値がしきい値未満であれば、配線に異常(地絡)が生じていないと判断することができる。
【0053】
さらに、他方の電圧極用の刃10Bは、電力出力部2A、2B及び分岐ブレーカ31を介して、分電盤3の第3導電バーと導通しているので、配線が中性線欠相していなければ電流が流れる。そこで、状態検知部11は、他方の電圧極用の刃10Bと端子10Cの間に試験電圧を印加した状態で刃10Bと端子10Cに流れる電流を計測し、その計測値を判断部12に出力する。判断部12は、状態検知部11から受け取る計測値がしきい値(例えば、数十mA)未満の場合、配線に異常(中性線欠相)が生じていると判断し、計測値がしきい値以上であれば、配線に異常(中性線欠相)が生じていないと判断することができる。
【0054】
ところで、商用電源9が復旧すれば、主幹ブレーカ30の漏電遮断機構が動作可能となるので、配線異常検出システム1Bから配線に擬似漏電電流を流すことで主幹ブレーカ30を強制的にオフさせることができる。
【0055】
そこで、配線異常検出システム1Bの判断部12は、配線の異常を検出している状態で主幹ブレーカ30がオンされることにより、検出部13から出力されていた無通電信号が出力されなくなると、状態検知部11に擬似漏電電流を流すように指示する。状態検知部11は、判断部12からの指示に従い、刃10Aと端子10Cの間に電圧を印加して配線に擬似漏電電流を流す。その結果、主幹ブレーカ30の漏電遮断機構が動作して主幹ブレーカ30がオフし、配線(母線33、分岐線34及び出力線35)が遮断される。なお、擬似漏電電流が長時間流れ続けることは好ましくない。そこで、状態検知部11は、少なくとも主幹ブレーカ30が擬似漏電電流を検出してオフするために必要な時間よりも短くない所定の時間(数十秒から数分間)だけ擬似漏電電流を流せばよい。
【0056】
上述のように実施形態2に係る配線異常検出システム1Bは、判断部12が異常有りと判断した場合、主幹ブレーカ30に配線を遮断させるので、配線に異常が生じている状態で通電されることによる不具合の発生を防ぐことができる。また、配線異常検出システム1Bは、配線に擬似漏電電流を流すことによって、漏電遮断器で構成された主幹ブレーカ30に配線を遮断させるので、簡単かつ迅速に配線を遮断して安全性の向上を図ることができる。
【0057】
(3)実施形態3
実施形態3に係る配線異常検出システム1C(以下、配線異常検出システム1Cと略す。)は、
図4に示すように、地震センサ15を更に備える点で実施形態1、2に係る配線異常検出システム1、1Bと相違する。したがって、以下の説明において、実施形態1、2に係る配線異常検出システム1、1Bと共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
(3-1)配線異常検出システムの回路構成
配線異常検出システム1Cは、
図4に示すように、地震センサ15を備える。地震センサ15は、例えば、3軸の半導体加速度センサと、半導体加速度センサの出力を信号処理する信号処理回路とを有している。信号処理回路は、半導体加速度センサが感知する振動(地震動)の大きさが上限値(例えば、震度5強の振動に相当する値)を超えると判定した場合、擬似漏電電流を流すように判断部12に指示する。
【0059】
(3-2)配線異常検出システムの動作
配線異常検出システム1Cは、常時、電力出力部2A又は2Bと接続された状態に置かれる。そして、地震センサ15が上限値を超える地震動を検知すると、地震センサ15からの指示に応じて、判断部12は、状態検知部11に対して刃10Aと端子10Cの間に電圧を印加して配線に擬似漏電電流を流すように指示する。判断部12の指示に従って状態検知部11が擬似漏電電流を流すことにより、主幹ブレーカ30の漏電遮断機構が動作して主幹ブレーカ30がオフし、配線(母線33、分岐線34及び出力線35)が遮断される。
【0060】
上述のように実施形態3に係る配線異常検出システム1Cは、地震が発生した際に自動的に配線用遮断器(主幹ブレーカ30)に配線を遮断させるので、いわゆる通電火災などの不具合の発生を防いで安全性の向上を図ることができる。
【0061】
(4)変形例
次に、実施形態に係る配線異常検出システムの幾つかの変形例を説明する。ただし、以下に説明する各変形例の基本構成は、実施形態1又は2に係る配線異常検出システム1、1Bの基本構成と共通である。したがって、各変形例の構成のうち、実施形態1又は2に係る配線異常検出システム1、1Bの基本構成と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
(4-1)変形例1
変形例1の配線異常検出システム1Dは、
図5に示すように、トリガ入力を受け付けるトリガ入力受付部16を更に備え、トリガ入力受付部16がトリガ入力を受け付けたときに配線用遮断器(主幹ブレーカ30)に配線を遮断させることを特徴とする。
【0063】
トリガ入力受付部16は、例えば、無線LANの規格(IEEE802.11b/g/nなど)に準拠したアンテナ内蔵型の無線LANモジュール(集積回路)を有する。トリガ入力受付部16は、無線LANによって、スマートフォンのような通信端末と無線通信を行うことができる。トリガ入力受付部16は、スマートフォンから無線LAN信号で送信されるトリガ入力を受け付けた場合、判断部12に対してトリガ信号を出力する。ただし、トリガ入力受付部16は、無線LAN以外の通信規格(ZigBee[登録商標]、近距離無線通信など)に準拠した無線通信又は赤外線通信などを行うように構成されてもかまわない。
【0064】
判断部12は、トリガ入力受付部16からトリガ信号を受け取ると、状態検知部11に対して刃10Aと端子10Cの間に電圧を印加して配線に擬似漏電電流を流すように指示する。判断部12の指示に従って状態検知部11が擬似漏電電流を流すことにより、主幹ブレーカ30の漏電遮断機構が動作して主幹ブレーカ30がオフし、配線(母線33、分岐線34及び出力線35)が遮断される。
【0065】
上述のように変形例1の配線異常検出システム1Dは、遠隔から配線用遮断器(主幹ブレーカ30)に配線を遮断させることができるので、利便性と安全性の向上を図ることができる。
【0066】
(4-2)変形例2
変形例2の配線異常検出システム1Eは、
図6に示すように、光源ブロック18を更に備える。光源ブロック18は、光源180と、光源180を点灯させる点灯回路181を有する。
【0067】
光源180は、例えば、照明用白色LED(Light Emitting Diode)又は有機エレクトロルミネッセンス素子で構成されることが好ましい。点灯回路181は、例えば、定電流回路で構成され、電源部17から供給される直流電流を定電流化して光源180に流すことによって光源180を点灯させる。点灯回路181は、例えば、判断部12が受付部14から操作信号を受け取ったときに判断部12からの指示に応じて光源180を点灯させることが好ましい。
【0068】
上述のように変形例2の配線異常検出システム1Eは、光源180と点灯回路181を備え、光源180から放射される光で照明することによって、安全性の向上を図ることができる。
【0069】
(5)配線異常検出方法及びプログラム
以下の配線異常検出方法を採用すれば、専用の端子(刃10)、状態検知部11及び判断部12を用いなくても、実施形態に係る配線異常検出システム1と同等の機能を実現することができる。
【0070】
すなわち、実施形態に係る配線異常検出方法は、検知ステップと判断ステップの2つのステップを有する。検知ステップは、電力出力部2に対して、電力出力部2から電力が出力されていないときに、試験用の電圧を印加することによって配線の状態を検知するステップである。判断ステップは、検知ステップで検知する配線の状態に基づいて、少なくとも配線の異常の有無を判断するステップである。
【0071】
この配線異常検出方法によれば、専用の端子(刃10)、状態検知部11及び判断部12を用いなくても、配線の異常の有無を容易に検出することができるという利点がある。
【0072】
また、コンピュータ(マイクロコンピュータを含む)を備えたプラグ(いわゆるスマートプラグ)又はコンセント(いわゆるスマートコンセント)を用いる場合を想定する。この場合、コンピュータのメモリに記録されるプログラムは、コンピュータを構成する1以上のプロセッサに、以下の2つのステップ(検知ステップ及び判断ステップ)を実行させる。すなわち、プログラムは、検知ステップと判断ステップの2つのステップを1以上のプロセッサに実行させる。検知ステップは、電力出力部2に対して、電力出力部2から電力が出力されていないときに、試験用の電圧を印加することによって配線の状態を検知するステップである。判断ステップは、検知ステップで検知する配線の状態に基づいて、少なくとも配線の異常の有無を判断するステップである。
【0073】
このプログラムによれば、専用の端子(刃10)、状態検知部11及び判断部12を用いなくても、配線の異常の有無を容易に検出することができるという利点がある。
【0074】
(まとめ)
本開示の第1の態様に係る配線異常検出システム(1)は、複数の端子(刃10)と、状態検知部(11)と、判断部(12)とを備える。複数の端子は、電源(商用電源9)から供給される電力を出力する電力出力部(2)に電気的に接続される。状態検知部(11)は、電力出力部(2)から電力が出力されていない場合、複数の端子のうちの一対の端子(刃10)間に試験用の電圧を印加することによって電源から電力出力部(2)への配線の状態を検知する。判断部(12)は、状態検知部(11)が検知する配線の状態に基づいて、少なくとも配線の異常の有無を判断する。
【0075】
第1の態様に係る配線異常検出システム(1)は、電力出力部(2)に複数の端子を接続することにより、配線の異常の有無を容易に検出することができる。
【0076】
本開示の第2の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る配線異常検出システム(1)において、判断部(12)は、配線に異常が有ると判断した場合、異常有りの判断結果を保持することが好ましい。
【0077】
第2の態様に係る配線異常検出システム(1)は、判断部(12)が異常有りの判断結果を保持することにより、重要な情報である、異常有りの判断結果が見過ごされにくくなる。
【0078】
本開示の第3の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る配線異常検出システム(1)において、判断部(12)は、複数の端子と電力出力部(2)の電気的な接続状態が変化したとき、保持していた判断結果を破棄することが好ましい。
【0079】
第3の態様に係る配線異常検出システム(1)は、新たに配線の異常を検出する場合、前回の検出結果を破棄することで誤った検出結果を知らせてしまうような不具合を回避することができる。
【0080】
本開示の第4の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1-第3のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る配線異常検出システム(1)は、電源から電力出力部(2)への電力供給の有無を検出する検出部(13)を更に備えることが好ましい。状態検知部(11)は、検出部(13)が電力供給がなくなったことを検出したときに試験用の電圧を印加して配線の状態を検知することが好ましい。
【0081】
第4の態様に係る配線異常検出システム(1)は、電力供給されている状態で試験用の電圧を印加することによる不具合の発生を防ぐことができる。
【0082】
本開示の第5の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1-第4のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る配線異常検出システム(1)は、操作入力を受け付ける受付部(14)を更に備えることが好ましい。状態検知部(11)は、受付部(14)が操作入力を受け付けたときに試験用の電圧を印加して配線の状態を検知することが好ましい。
【0083】
第5の態様に係る配線異常検出システム(1)は、意図せずに試験用の電圧が印加されてしまうことを防ぐことができる。
【0084】
本開示の第6の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1-第5のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る配線異常検出システム(1)は、判断部(12)が異常有りと判断した場合、電源から電力出力部(2)への配線(入力線32、母線33、分岐線34、出力線35)に設けられている配線用遮断器(主幹ブレーカ30)に配線を遮断させることが好ましい。
【0085】
第6の態様に係る配線異常検出システム(1)は、配線に異常が生じている状態で電源から電力出力部(2)に電力が供給されることによる不具合の発生を防ぐことができる。
【0086】
本開示の第7の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る配線異常検出システム(1)において、配線用遮断器が漏電遮断器(主幹ブレーカ30)であることが好ましい。第7の態様に係る配線異常検出システム(1)は、配線に擬似漏電電流を流すことで配線用遮断器に配線を遮断させることが好ましい。
【0087】
第7の態様に係る配線異常検出システム(1)は、簡単かつ迅速に配線を遮断して安全性の向上を図ることができる。
【0088】
本開示の第8の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る配線異常検出システム(1)は、少なくとも配線用遮断器が配線を遮断するために必要な時間よりも短くない所定の時間だけ擬似漏電電流を流すことが好ましい。
【0089】
第8の態様に係る配線異常検出システム(1)は、擬似漏電電流を長時間流し続けることによる不具合の発生を防ぐことができる。
【0090】
本開示の第9の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第6-第8のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係る配線異常検出システム(1)は、地震による震動を検出する地震センサ(15)を更に備えることが好ましい。第9の態様に係る配線異常検出システム(1)は、地震センサ(15)が所定のしきい値以上の震動を検出した場合、電源から電力出力部(2)への配線に設けられている配線用遮断器に配線を遮断させることが好ましい。
【0091】
第9の態様に係る配線異常検出システム(1)は、地震が発生した際に自動的に配線用遮断器(主幹ブレーカ30)に配線を遮断させるので、いわゆる通電火災などの不具合の発生を防いで安全性の向上を図ることができる。
【0092】
本開示の第10の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第6-第9のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第10の態様に係る配線異常検出システム(1)は、トリガ入力を受け付けるトリガ入力受付部(16)を更に備えることが好ましい。第10の態様に係る配線異常検出システム(1)は、トリガ入力受付部(16)がトリガ入力を受け付けたときに配線用遮断器に配線を遮断させることが好ましい。
【0093】
第10の態様に係る配線異常検出システム(1)は、遠隔から配線用遮断器(主幹ブレーカ30)に配線を遮断させることができるので、利便性と安全性の向上を図ることができる。
【0094】
本開示の第11の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1-第10のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第11の態様に係る配線異常検出システム(1)は、状態検知部(11)及び判断部(12)に電源を供給する電源部(17)を更に備えることが好ましい。
【0095】
第11の態様に係る配線異常検出システム(1)は、別途に電源を用意する必要がないので、使い勝手の向上を図ることができる。
【0096】
本開示の第12の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1-第11のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第12の態様に係る配線異常検出システム(1)は、光源(180)と、光源(180)を点灯させる点灯回路(181)とを更に備えることが好ましい。
【0097】
第12の態様に係る配線異常検出システム(1)は、光源(180)から放射される光で照明することによって、安全性の向上を図ることができる。
【0098】
本開示の第13の態様に係る配線異常検出システム(1)は、第1-第12のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第13の態様に係る配線異常検出システム(1)は、判断部(12)の判断結果を提示する提示部(表示灯120)を更に備えることが好ましい。
【0099】
第13の態様に係る配線異常検出システム(1)は、提示部に判断結果を提示することにより、配線の異常の有無を確実に知らせることができる。
【0100】
本開示の第14の態様に係る配線異常検出方法は、検知ステップと判断ステップの2つのステップを有する。検知ステップは、電源(商用電源9)から供給される電力を出力する電力出力部(2)に対して、電力出力部(2)から電力が出力されていないときに、試験用の電圧を印加することによって電源から電力出力部(2)への配線の状態を検知するステップである。判断ステップは、検知ステップで検知する配線の状態に基づいて、少なくとも配線の異常の有無を判断するステップである。
【0101】
第14の態様に係る配線異常検出方法は、専用の端子(刃10)、状態検知部(11)及び判断部(12)を用いなくても、配線の異常の有無を容易に検出することができる。
【0102】
本開示の第15の態様に係るプログラムは、第14の態様に係る配線異常検出方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0103】
第15の態様に係るプログラムは、専用の端子(刃10)、状態検知部(11)及び判断部(12)を用いなくても、配線の異常の有無を容易に検出することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 配線異常検出システム
2 電力出力部(コンセント)
9 商用電源(電源)
10 刃(端子)
11 状態検知部
12 判断部
13 検出部
14 受付部
15 地震センサ
16 トリガ入力受付部
17 電源部
30 主幹ブレーカ(配線用遮断器)
32 入力線(配線)
33 母線(配線)
34 分岐線(配線)
35 出力線(配線)
120 表示灯(提示部)
180 光源
181 点灯回路