(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】通信システム、分岐開閉器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
H02B1/40 A
(21)【出願番号】P 2020196296
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末富 貴博
(72)【発明者】
【氏名】東浜 弘忠
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】生島 剛
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-65374(JP,A)
【文献】国際公開第2001/031607(WO,A1)
【文献】特開2007-13526(JP,A)
【文献】特開2016-100619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0041160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分岐開閉器を備える分電盤に用いられる通信システムであって、
前記複数の分岐開閉器はそれぞれ、光を通信媒体として通信する通信部を備えて、一の方向に並べて配列され、
前記複数の分岐開閉器において、少なくとも互いに隣接する分岐開閉器間で、一方の前記分岐開閉器の前記通信部が送信する光信号を、他方の前記分岐開閉器の前記通信部が受信することにより、情報を伝達する、
通信システム。
【請求項2】
前記互いに隣接する分岐開閉器のうち、一方の分岐開閉器に設けられる通信部と、他方の分岐開閉器に設けられる通信部とは、当該一方の分岐開閉器及び当該他方の分岐開閉器の各々の外郭を介して互いに対向する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記一方の分岐開閉器及び前記他方の分岐開閉器の各々の外郭の一部分であって、前記一方の分岐開閉器に設けられる通信部が対向する部分と、前記他方の分岐開閉器に設けられる通信部が対向する部分とは、前記通信部が通信媒体とする波長の光を透過しうる材料で形成される、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信部が通信媒体とする波長の光は、赤外線であり、
前記通信部が対向する部分は、赤外線の透過率が、可視光線の透過率よりも高い材料で形成されている、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記複数の分岐開閉器は、前記情報を前記一の方向にリレー方式で伝達し、
前記複数の分岐開閉器から伝達された情報である第1情報の受信、及び前記複数の分岐開閉器に伝達する情報である第2情報の送信、のうち少なくとも一方を行う中央処理部を更に備える、
請求項1-4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
外部機器と通信するための外部通信部を更に備え、
前記中央処理部は、前記外部通信部を介して、前記第1情報の前記外部機器への送信、又は前記第2情報の前記外部機器からの受信、の少なくとも一方を行う、
請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記分電盤は、少なくとも前記複数の分岐開閉器を収納するボックスを備え、
前記中央処理部は、前記ボックスに収納される内器に内蔵される、
請求項5又は6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記内器は、前記ボックスに収納されて前記複数の分岐開閉器の1次側に電気的に接続される主幹開閉器である、
請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第2情報は、前記複数の分岐開閉器のうち1つ以上を遮断するための遮断指示を含む、
請求項5-8のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記複数の分岐開閉器の各々は、当該分岐開閉器を流れる電流を計測する電流計測器をさらに備え、
前記複数の分岐開閉器の各々が備える通信部は、当該分岐開閉器が備える電流計測器の計測結果を送信し、
前記第1情報は、前記複数の分岐開閉器から送信される複数の計測結果を含む、
請求項5-9のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信部から送信される光信号を導光する1つ以上の導光部材を備え、
前記複数の分岐開閉器の前記通信部は、前記導光部材を介して光信号を送受信する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項12】
請求項1-11のいずれか一項に記載の通信システムに用いられる分岐開閉器であって、
光を通信媒体として通信する通信部を備える、分岐開閉器。
【請求項13】
請求項12に記載の分岐開閉器と、
前記分岐開閉器を複数、一の方向に配列して収納するボックスとを備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、分岐開閉器及び分電盤に関する。より詳細には、本開示は、分電盤を構成する複数の分岐開閉器の間で通信を行う通信システム、当該通信システムに用いられる分岐開閉器及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の開閉器、計測ユニット、及び電流計測装置を備える分電盤が記載されている。この分電盤では、複数の開閉器に対応する複数の通信部の各々と、電流計測装置の基板とが、光通信方式で通信可能に構成されている。通信部は、基板に設けられた基板側通信部からの光を受光することで、計測ユニットからの遮断信号を受信する。遮断信号が受信されると、開閉器は、分岐回路と幹線との間を電気的に遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の分電盤に使用される通信システムは、複数の開閉器と計測ユニットとの間に電流計測装置の基板が介在する点で、構成が複雑であり、また、基板の介在によって通信距離が長くなり、通信の信頼性が低下する場合があった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行える通信システム、分岐開閉器、及び分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る通信システムは、複数の分岐開閉器を備える分電盤に用いられる通信システムである。前記複数の分岐開閉器はそれぞれ、通信部を備えて、一の方向に並べて配列される。前記通信部は、光を通信媒体として通信する。前記通信システムは、前記複数の分岐開閉器において、少なくとも互いに隣接する分岐開閉器間で、一方の前記分岐開閉器の前記通信部が送信する光信号を、他方の前記分岐開閉器の前記通信部が受信することにより、情報を伝達する。
【0007】
本開示の一の態様に係る分岐開閉器は、前記通信システムに用いられる分岐開閉器である。前記分岐開閉器は、通信部を備える。前記通信部は、光を通信媒体として通信する。
【0008】
本開示の一の態様に係る分電盤は、前記分岐開閉器と、ボックスとを備える。前記ボックスには、前記分岐開閉器が複数、一の方向に配列して収納される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の通信システム、分岐開閉器及び分電盤は、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る通信システム及び当該通信システムが使用される分電盤の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の通信システムにおいて、複数の分岐開閉器に対応する複数の通信部が行うリレー通信を説明するための概念図である。
【
図5】
図5は、同上の通信システムにおいて、複数の分岐開閉器に対応する複数の通信部が導光部材を介して行う通信を説明するための概念図である。
【
図6】
図6は、同上の通信システムにおいて、複数の分岐開閉器に対応する複数の通信部それぞれの構成、及び構成要素間の位置関係を示す概念図である。
【
図7】
図7は、同上の分岐開閉器構成の断面図である。
【
図8】
図8は、同上の通信システムにおける中央処理部の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)分電盤
はじめに、本開示の実施形態に係る分電盤3の電気的な構成について、
図1及び
図2を用いて簡単に説明する。
【0013】
分電盤3は、一の主幹開閉器30、及び複数の分岐開閉器31を備える。主幹開閉器30は、複数の分岐開閉器31の1次側に電気的に接続される。つまり、主幹開閉器30は、後述する電力源2からの電力を伝送する電力線40を介して、複数の分岐開閉器31の各々と電気的に接続される。
【0014】
(1-1)複数の分岐開閉器(分岐開閉器列)
分電盤3において、本開示の実施形態に係る分岐開閉器31が複数、一の方向に並べて配列されている。一の方向は、ここでは左右方向であるが、上下方向等、どの方向でもよい。以下では、一の方向に並べて配列された複数の分岐開閉器31の集合を「分岐開閉器列」と記す場合がある。
【0015】
分岐開閉器列を構成する複数の分岐開閉器31は、基本的に同じ構成を有する。ただし、分岐開閉器列の両端に位置する分岐開閉器31は、その間に位置する分岐開閉器31とは一部異なる構成を有していてもよい。一部異なる構成とは、後述する通信部10の構成の違いである。
【0016】
(1-2)主幹開閉器
主幹開閉器30は、例えば、その前面30Aに設けられたレバー30Bの操作に応じて、電力線40に介在する接点30C(
図3参照:後述)を開閉する。分岐開閉器31は、その前面31Aに設けられたレバー31Bの操作に応じて、電力線40と第1配線41との間に介在する接点(図示しない)を開閉し、第1配線41を介した配線器具32への電力供給を遮断/復帰する。
【0017】
なお、主幹開閉器30は、例えば、後述する中央処理部11からの開閉指示に応じて、接点30Cの開閉を行ってもよい。また、分岐開閉器31も、中央処理部11からの遮断/復帰指示に応じて、電力供給の遮断/復帰を行ってよい。
【0018】
(1-3)処理ユニット
本実施形態の分電盤3は、処理ユニット4を更に備える。ただし、処理ユニット4は、分電盤3の外部に設けられてもよいし、なくてもよい。処理ユニット4とは、分電盤3による電力供給に関する各種の処理を行うユニットである。なお、処理ユニット4が行う各種の処理については、後述する。
【0019】
(1-4)分電盤のその他の要素
次に、本開示の実施形態に係る分電盤3の構造について説明する。分電盤3は、
図2に示すように、主幹開閉器30と、複数の分岐開閉器31と、処理ユニット4と、これらの内器を収容するボックス3Aとを有する。複数の分岐開閉器31は、基本的に同じ構造を有する。
【0020】
ボックス3Aは、前面が開放された直方体の箱状に形成されている。ボックス3A内において、左端の上部に主幹開閉器30が配置され、主幹開閉器30の下に処理ユニット4が配置される。また、複数の分岐開閉器31は、主幹開閉器30よりも右側の空間において、上下2列に並べて配置される。なお、上の列の複数の分岐開閉器31と、下の列の複数の分岐開閉器31との間に、電力線40に相当する導電バー(母線)が配置される。
【0021】
また、分電盤3は、ボックス3Aの前面を開閉可能に塞ぐカバー3Bを有する。カバー3Bは、ボックス3A内の各種の内器のそれぞれに対応する位置に窓3Baが形成されており、各種の内器のそれぞれの前面(例えば、主幹開閉器30の前面30A、分岐開閉器の前面31A、及び処理ユニット4の前面4A等)が窓3Baから露出している。
【0022】
主幹開閉器30の前面30Aには、電力線40に介在する接点30Cを開閉するためのレバー30Bが設けられている。また、分岐開閉器31の前面31Aには、第1配線41への電力供給を遮断/復帰するためのレバー31Bが設けられている。さらに、処理ユニット4の前面4Aには、各種の操作を受け付けるためのキー4B、各種の情報を表示するためのディスプレイ4Cなどが設けられている。なお、各種の操作及び各種の情報については後述する。
【0023】
(1-5)分電盤と接続される各種の要素
主幹開閉器30は、電力源2と接続される。電力源2は、電力線40を介して主幹開閉器30に電力を供給する。
【0024】
複数の分岐開閉器31の各々(以下、単に「分岐開閉器31」と記す場合がある)は、第1配線41を介して配線器具32と電気的に接続される。配線器具32には、第2配線42を介して電気機器33が電気的に接続されうる。
【0025】
配線器具32は、例えば、建物の壁の表面(壁面)に設けられたコンセントであるが、第1配線41と第2配線42の間の図示しない接点の開閉を切り替えるスイッチ等でもよく、その種類は問わない。
【0026】
第1配線41は、例えば、建物の壁の裏側の空間(壁裏)に設けられた配線であるが、壁面に設けられた配線等でもよく、その所在は問わない。第2配線42は、通常、電気機器33の電源コードである。
【0027】
電気機器33は、例えば、掃除機、調理家電、テレビ受像機、オーディオ機器、照明器具等であるが、その種類は問わない。
【0028】
処理ユニット4は、例えば、インターネット、LAN、通信回線網等のネットワーク200を介して、サーバ300と通信可能に接続される。サーバ300は、例えば、電力事業者や保守管理会社等のサーバであるが、その所属は問わない。また、処理ユニット4には、例えば、ネットワーク200及びサーバ300を介して、端末装置5と通信可能に接続されうる。端末装置5は、例えば、ユーザの携帯端末であるが、固定端末でもよく、その種類は問わない。
【0029】
(2)通信システム
本開示の実施形態に係る通信システム1は、以上のように構成された分電盤3において、少なくとも隣接する分岐開閉器31間で光通信を行うことによって、情報(例えば、第1情報及び第2情報の少なくとも一方:後述)を伝達するためのシステムである。通信システム1は、複数の分岐開閉器31に対応する複数の通信部10を備える。
【0030】
(2-1)複数の分岐開閉器に対応する複数の通信部(通信部列)
複数の分岐開閉器31に対応する複数の通信部10とは、分岐開閉器列を構成する複数の分岐開閉器31の各々に設けられた通信部10の集合である。複数の通信部10は、基本的に同じ構成を有し、分岐開閉器31の同じ位置に設けられている。従って、複数の分岐開閉器31を一の方向に並べて配列すれば、複数の通信部10もまた、一の方向に並ぶ結果となる。以下では、こうして一の方向に並んだ複数の通信部10の集合を「通信部列」と記す場合がある。
【0031】
ただし、通信部列の両端に位置する通信部10は、その間に位置する通信部10とは一部異なる構成(後述する受光部10A及び発光部10Bの数の違い)を有していてもよい。以下では、複数の通信部10の各々を、特に区別する必要がない場合、単に「通信部10」と記す。
【0032】
(2-2)通信部の機能
通信部10は、光を通信媒体として通信する。通信部10が通信媒体とする光は、例えば、赤外線であるが、可視光でもよく、その波長は問わない。なお、以下では、赤外線又は可視光等の光を通信媒体とする通信を「光通信」と呼ぶ場合がある。
【0033】
通信部10が行う光通信は、
図4及び
図5に示すような、一の方向に並んだ複数の通信部の集合(通信部列)において、少なくとも当該通信部10に隣接する通信部10との間で、光信号の送信及び受信の少なくとも一方を行うような光通信である。
【0034】
(2-2-1)第1の態様の光通信
第1の態様の光通信は、
図4に示すように、隣接する通信部10間で、光信号の送受信を行うことにより、情報を一の方向に伝達する態様(いわゆる「バケツリレー式」)の通信(以下、「リレー通信」と記す場合がある)である。
【0035】
情報を伝達する方向は、上り及び下りの双方向であることは好適であるが、上り又は下りの片方向でもよい。
【0036】
第1の態様の光通信では、通信部10間に何らの導光部材も介在させなくてよい。このため、隣接する通信部10を、例えば、一方の通信部10が含まれる分岐開閉器31の外郭31Cと、他方の通信部10が含まれる分岐開閉器31の外郭31Cとが互いに接触するまで、接近させることができる。これにより、隣接する通信部10間の通信距離が短縮され、通信の信頼性が高まる。
【0037】
(2-2-2)第2の態様の光通信
第2の態様の光通信は、
図5に示すように、複数の通信部10に沿って導光部材31Dが設けられており、複数の通信部10の各々が導光部材31Dを介して光信号を送受信する態様の通信である。導光部材31Dとは、通信部10から送信される光信号を導光する部材である。導光部材31Dは、例えば、導光板であるが、光ファイバ等でもよく、その種類は問わない。
【0038】
第2の態様の光通信では、隣接する通信部10間だけでなく、隣接していない通信部10間でも、導光部材31Dを介した光通信が可能である。
【0039】
第2の態様の光通信は、例えば、マルチキャスト通信であるが、ブロードキャスト通信でもよいし、リレー通信でもよく、その通信方式は問わない。
【0040】
なお、マルチキャスト通信を行う場合、第2情報送信部11cは、第2情報に、当該第2情報の宛先となる1以上の分岐開閉器31を識別する1以上の識別情報を含めて送信する。なお、第2情報に一の識別情報のみを含める態様は、ユニキャスト通信と呼んでもよい。
【0041】
複数の分岐開閉器31それぞれにおいて、通信部10は、上記第2情報を受信し、当該第2情報の中に自己の識別情報が含まれていれば、当該第2情報を保持し、含まれていなければ、当該第2情報を破棄する。第2情報を破棄した通信部10は、当該第2情報を受信していないとみなされる。
【0042】
また、ブロードキャスト通信を行う場合、第2情報送信部11cは、通常、第2情報に識別情報を含めずに送信する。ただし、ブロードキャスト通信であっても、第2情報には、分電盤3を構成する複数の分岐開閉器31に対応する複数の識別情報が含められてよい。送信された第2情報は、複数の分岐開閉器31それぞれの通信部10によって受信される。
【0043】
(2-3)通信部列の構成
(2-3-1)第1の態様に対応した通信部列の構成
第1の態様に対応した通信部列では、複数の通信部10の各々(以下、各通信部10)が有する左右の側面のうち一方(例えば、左側面)に発光部10Bが設けられ、他方(例えば、右側面)に受光部10Aが設けられる。
【0044】
特に、各通信部10が、受光部10A及び発光部10Bの組を、上り用及び下り用で2組含む場合は、左右の側面の各々に、受光部10A及び発光部10Bが設けられる。
【0045】
そして、一の通信部10において、左側面の発光部10Bは、右側面の受光部10Aと対向する位置にあり、右側面の受光部10Aは、右側面の発光部10Bと対向する位置にある。
【0046】
また、隣接する2つの通信部10の間で、一方の通信部10の発光部10Bと他方の通信部10の受光部10Aとが互いに対向し、かつ一方の通信部10の受光部10Aと他方の通信部10の発光部10Bとが互いに対向している。
【0047】
上記のように構成された通信部列では、一方の通信部10の発光部10Bの光軸上に、他方の通信部10の受光部10Aが存在する。このため、一方の通信部10の発光部10Bからの光は、他方の通信部10の受光部10Aによって効率よく受光される。
【0048】
従って、第1の態様に対応した通信部列では、隣接する通信部10間に何らの導光部材も介在せず、隣接する通信部10間で光信号を直に送受信することによって、情報をリレー式で伝達する。このため、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行える。
【0049】
(2-3-2)第2の態様に対応した通信部列の構成
第2の態様に対応した通信部列では、前述したように、複数の通信部10に沿って導光部材31Dが設けられており、各通信部10は、隣接していない通信部10との間でも、光信号の送受信が可能である。
【0050】
従って、第2の態様に対応した通信部列では、各通信部10は、受光部10A及び発光部10Bの組を1組備えるだけで、双方向通信を行える。そして、受光部10A及び発光部10Bの組は、例えば、
図5に示すような、一の受発光素子31Eで実現されてもよい。これにより、簡単な構成で、双方向の通信を行える。
【0051】
(2-4)通信部の内部構成
(2-4-1)第1の態様に対応した通信部の内部構成
通信部10は、通常、受光部10A及び発光部10Bを含む。ただし、分岐開閉器列において、一方端(例えば、左端)に位置する分岐開閉器31の通信部10は、受光部10A及び発光部10Bの一方(例えば、受光部10A)のみを含んでもよい。また、他方端(右端)に位置する分岐開閉器31の通信部10は、受光部10A及び発光部10Bの他方(例えば、発光部10B)のみを含んでもよい。
【0052】
双方向通信を行う場合、通信部10は、通常、受光部10A及び発光部10Bの組を2組含む。ただし、
図3に示されるように、分岐開閉器列において、両端に位置する2つの分岐開閉器31それぞれの通信部10は、受光部10A及び発光部10Bの組を1組のみ含んでいてもよい。
【0053】
詳しくは、例えば、
図6に示した分岐開閉器列において、互いに隣接する分岐開閉器31(例えば、左から2番目と3番目)のうち、一方(2番目)の分岐開閉器31に設けられる通信部10と、他方(3番目)の分岐開閉器31に設けられる通信部10とは、その各々の外郭31Cを介して互いに対向することは好適である。これによって、隣接する通信部10間の通信距離が短縮され、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行える。
【0054】
そして、図示は省略するが、当該2つの外郭31C同士が互いに接することは、より好適である。それによって、隣接する通信部10間の通信距離が最短となり、信頼性が向上する。
【0055】
さらに、例えば、
図7に示すように、上記一方(2番目)の分岐開閉器31の、外郭31Cの一部分であって、通信部10が対向する部分(対向部分31Ca)は、通信部10が通信媒体とする波長の光を透過しうる材料で形成される。
【0056】
また、上記他方(3番目)の分岐開閉器31の、外郭31Cの一部分であって、通信部10が対向する部分(対向部分31Ca)も同様に、通信部10が通信媒体とする波長の光を透過しうる材料で形成される。
【0057】
さらに、例えば、
図7に示すように、上記一方(2番目)の分岐開閉器31及び上記他方(3番目)の分岐開閉器31の、各々の外郭31Cの一部分であって、各々の通信部10が対向する部分(対向部分31Ca)は、通信部10が通信媒体とする波長の光を透過しうる材料で形成される。
【0058】
従って、通信部10が通信媒体とする光が、可視光である場合、上記の各対向部分31Caは、可視光を透過しうる材料で形成される。このような材料は、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂、あるいはガラス等である。これによって、分岐開閉器31の外郭31C内を保護しつつ、光で通信を行える。
【0059】
また、通信部10が通信媒体とする波長の光が、赤外線である場合、上記の各対向部分31Caは、赤外線を透過しうる材料で形成される。なお、前述したアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びガラスは、赤外線も透過しうる。
【0060】
ただし、上記の各対向部分31Caは、赤外線の透過率が、可視光線の透過率よりも高い材料で形成されることは好適である。このような材料は、例えば、シリコーン樹脂、フッ化カルシウム等である。これによって、分岐開閉器31の外郭31C内を保護し、かつ外郭31C内が外から見え難くしつつ、赤外線で通信を行える。
【0061】
なお、上記一方の分岐開閉器31の上記対向部分31Ca、及び上記他方の分岐開閉器31の上記対向部分31Caは、それぞれの外郭31Cに穴を形成し、当該2つの穴に液状のアクリル等の材料を充填し、固化させたものでもよい。ただし、それぞれの外郭31Cに形成した穴への材料の充填は行わず、光信号が当該2つの穴を通過するようにしてもよい。
【0062】
(2-4-2)第2の態様に対応した通信部の内部構成
第2の態様に対応した通信部10に含まれる受光部10A及び発光部10Bの組は、
図5に示されるように、一の受発光素子31Eで実現される。
【0063】
なお、
図5の例では、複数の通信部10に沿って、ただ1つの導光部材31Dが設けられているが、2以上の導光部材31Dが設けられてもよい。例えば、分電盤3が2以上の分岐開閉器列を含む場合、2以上の分岐開閉器列ごとに、当該分岐開閉器列を構成する複数の分岐開閉器31に対応する複数の通信部10に沿って、各々1つの導光部材31Dを設けてもよい。
【0064】
(2-5)中央処理部
本実施形態における通信システム1は、中央処理部11を更に備える。中央処理部11は、第1情報の受信、及び第2情報の送信、のうち少なくとも一方を行う。第1情報とは、分岐開閉器列を介して伝達された情報である。第1情報は、例えば、分岐開閉器列を構成する複数の分岐開閉器31の各々(以下、各分岐開閉器31)で計測された電流値、及び各分岐開閉器31を識別する識別情報などを含む。
【0065】
第2情報とは、分岐開閉器列を介して伝達される情報である。第2情報は、例えば、分岐開閉器列を構成する複数の分岐開閉器31のうち、当該第2情報の宛先となる1以上の分岐開閉器31、に対応する1以上の識別情報、及び当該1以上の分岐開閉器31への遮断指示などを含む。なお、中央処理部11が行うその他の処理については後述する。
【0066】
(2-5-1)中央処理部の配置
中央処理部11は、本実施形態では、
図3に示すように、処理ユニット4に設けられる。この場合、後述する処理ユニット4の各種の処理は、中央処理部11が行う。
【0067】
ただし、中央処理部11は、後述する変形例のように、主幹開閉器30に設けられてもよい。または、中央処理部11は、例えば、分電盤3のボックス3A内の、処理ユニット4及び主幹開閉器30以外の内器に設けられてもよい。または、中央処理部11は、ボックス3Aの外部(例えば、ボックス3Aの側面や、ボックス3Aに取り付けられる図示しないドア等)に設けられてもよく、その所在は問わない。
【0068】
(2-5-2)中央処理部の構成
中央処理部11は、第1情報受信部11a、判断部11b、第2情報送信部11c、出力部11d、及び受付部11eを備える。
【0069】
第1情報受信部11aは、複数の分岐開閉器31を介して伝達された第1情報を受信する。中央処理部11では、第1情報受信部11aが受信した第1情報に対する処理が行われる。処理は、例えば、第1情報に含まれる複数の電流値ごとに、当該電流値と閾値との比較を行ったり、当該電流値に対する周波数分析等を行って電流波形を取得したりする処理である。
【0070】
判断部11bは、予め決められた条件を満たしたか否かの判断を行う。予め決められた条件は、例えば、配線異常に関する条件である。配線異常とは、配線で生じる異常である。配線異常は、例えば、短絡電流又は過負荷電流等の過電流が、配線を流れたことである。短絡電流は、短絡が生じた場合に流れる大電流である。過負荷電流は、許容値(例えば、定格電流)を超える状態が長時間継続している場合の電流である。
【0071】
または、配線異常は、アーク発生でもよい。アーク発生とは、配線においてアークが発生したことである。アークとは、導体間に電位差が生じることにより、導体間の気体に絶縁破壊(放電)が生じる現象である。
【0072】
配線異常に関する条件は、例えば、第1情報受信部11aが受信した第1情報に含まれる複数の電流値のいずれかが、予め決められた閾値を超えた場合に、当該閾値を超えた電流値に対応する分岐開閉器31を遮断する、という条件である。予め決められた閾値を超えた場合とは、例えば、電流値が、短絡電流に相当する第1閾値を超えた場合である。または、予め決められた閾値を超えた場合とは、許容値に相当する第2閾値(≪第1閾値)を超えた状態が、第3閾値(例えば、3分、10分等)を超える時間継続したことでもよい。
【0073】
または、配線異常に関する条件は、受信された第1情報に含まれる複数の電流値のいずれかに基づいて、アーク発生が検出された場合に、当該アーク発生が検出された電流値に対応する分岐開閉器31を遮断する、という条件であってもよい。
【0074】
ただし、予め決められた条件は、例えば、外部通信部12による外部の装置からの指示の受信に関する条件でもよい。この種の条件は、例えば、外部通信部12が、配線異常の検知に応じて警告情報を送信した後、外部通信部12が外部の装置から遮断指示を受信した場合に、配線異常が検知された分岐開閉器31を遮断する、という条件であってもよい。
【0075】
第2情報送信部11cは、判断部11bが予め決められた条件を満たすと判断した場合に、遮断の対象である分岐開閉器31を識別する1以上の識別情報と、遮断指示とを含む第2情報を送信する。なお、送信された第2情報は、通常、複数の分岐開閉器31によってリレー式で伝達される。そして、第2情報の伝達の過程で、当該第2情報に含まれる1以上の識別情報に対応する1以上の分岐開閉器31それぞれにおいて、遮断部311が、当該第2情報に含まれる遮断指示に応じて、当該分岐開閉器31から第1配線41への出力を遮断する。
【0076】
出力部11dは、各種の情報を出力する。各種の情報とは、例えば、第1情報受信部11aが受信した第1情報、前述した警告情報などである。出力とは、例えば、処理ユニット4に設けられたディスプレイ4Cへの表示であるが、外部通信部12を介した送信でもよい。
【0077】
出力部11dは、例えば、第1情報受信部11aが受信した第1情報をディスプレイ4Cに表示する。これによって、ディスプレイ4Cには、分岐開閉器31を識別する識別情報と電流値との組が複数組、表示される。
【0078】
または、出力部11dは、過電流又はアーク発生が検出された分岐開閉器31を識別する識別情報を含む警告情報を、ディスプレイ4Cに表示する又は外部通信部12を介して外部の装置に送信する。送信された警告情報は、例えば、ネットワーク200等を経由して、又は近距離無線通信を介して、端末装置5により受信される。
【0079】
受付部11eは、各種の操作を受け付ける。各種の操作とは、例えば、遮断操作である。遮断操作とは、異常が検出された分岐開閉器31の出力を遮断させる操作である。例えば、ディスプレイ4Cに警告情報が表示されたことに応じて、ユーザは、処理ユニット4のキー4Bを介して遮断操作を行ってもよい。
【0080】
(2-6)処理ユニット
処理ユニット4は、前述したように、分電盤3による電力供給に関する各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、計測処理である。計測処理とは、複数の分岐開閉器31それぞれを流れる電流を計測する処理である。
【0081】
計測処理を行うにあたって、処理ユニット4は、複数の分岐開閉器31それぞれに設けられた電流計測器312を介して、複数の分岐開閉器31それぞれを流れる電流を計測する。具体的には、複数の分岐開閉器31に対応する複数の計測結果(電流値)を含む第1情報が、当該複数の分岐開閉器31を介して右から左(上り方向)に伝達され、処理ユニット4によって受信される。なお、第1情報の伝達については、後述する。
【0082】
なお、第1情報は、本実施形態では、複数の分岐開閉器31に対応する複数の計測結果を含む情報であるが、複数の分岐開閉器31それぞれでの計測結果を含む情報であると考えてもよい。つまり、複数の分岐開閉器31それぞれから第1情報が送信され、当該送信された複数の第1情報がリレー式で伝達されてもよい。
【0083】
また、各種の処理には、例えば、監視処理が含まれてもよい。監視処理とは、上記第1情報を用いて、複数の分岐開閉器31ごとに、当該分岐開閉器31の2次側(第1配線41及び第2配線42)での配線異常の有無を監視する処理である。配線異常は、前述したように、例えば、過電流(短絡電流、過負荷電流)又はアーク発生である。
【0084】
過電流に関する監視処理を行うにあたって、処理ユニット4は、例えば、上記第1情報に含まれる複数の電流値ごとに、当該電流値が予め決められた閾値を超えたか否かを判断し、閾値を超えた場合に、警告情報を出力する。なお、「電流値が予め決められた閾値を超えた場合」については、前述の通りである。
【0085】
アーク発生に関する監視処理を行うにあたって、処理ユニット4は、例えば、上記第1情報に含まれる複数の電流値ごとに、当該電流値を周波数成分等で分析し、アークが発生したか否かを判断し、アークが発生した場合に、警告情報を出力する。
【0086】
警告情報とは、配線異常の発生を警告する情報である。警告情報は、例えば、異常が検出された分岐開閉器31を識別する識別情報(例えば“リビング”や“キッチン”等)を含むことは好適である。識別情報を含む警告情報は、具体的には、例えば、“リビングで配線の異常が検出されました”等である。ただし、警告情報は、識別情報を含まず、単に配線異常の発生を警告する情報(例えば、“配線異常が検出されました”等)でもよい。
【0087】
警告情報は、例えば、処理ユニット4が有するディスプレイ4Cに表示されてもよいし、外部の装置(例えば、サーバ300又は端末装置5)に送信されもよい。
【0088】
送信は、例えば、ネットワーク200を介した送信であるが、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線による送信でもよく、その方式は問わない。
【0089】
さらに、各種の処理には、例えば、遮断処理が含まれることは好適である。遮断処理とは、各分岐開閉器31から、その2次側(第1配線41及び第2配線42)への電力供給を遮断する処理である。処理ユニット4は、いずれかの分岐開閉器31で配線異常が検出されたことに応じて、当該分岐開閉器31を遮断してもよい。具体的には、過電流又はアーク発生等の配線異常が検出された分岐開閉器31を識別する1以上の識別情報と、遮断指示とを含む第2情報が、処理ユニット4から送信される。送信された第2情報は、複数の分岐開閉器31を介して左から右(下り方向)に伝達される。なお、第2情報の伝達については後述する。
【0090】
(3)通信システムの動作例
(3-1)第1情報の伝達
以上のように構成された通信システム1では、複数の分岐開閉器31の各々において、電流計測部が当該分岐開閉器31を流れる電流を計測し、その計測結果である電流値を取得する。これにより、複数の分岐開閉器31に対応する複数の電流値が取得される。
【0091】
以下では、分岐開閉器列は、
図6に示したような、左右方向に並べて配列された4つの分岐開閉器31a-31dの集合であるとする。また、4つの分岐開閉器31a-31dに対応する4つの電流値は、リレー式で処理ユニット4に伝達されるものとする。
【0092】
この分岐開閉器列において、一方端(ここでは、右端)に位置する分岐開閉器31aの通信部10は、発光素子及び受光素子の組を1組、有する。当該1組を構成する発光素子及び受光素子は、分岐開閉器31aの左側面に設けられている。分岐開閉器31aの左側面の発光素子は、その光軸が左方向を向いている。分岐開閉器31aの左側面の受光素子は、分岐開閉器31bの右側面の発光素子の光軸上に存在する。
【0093】
また、この分岐開閉器列において、他方端(ここでは、左端)に位置する分岐開閉器31dの通信部10は、発光素子及び受光素子の組を1組、有する。当該1組を構成する発光素子及び受光素子は、分岐開閉器31dの右側面に設けられている。分岐開閉器31dの右側面の発光素子は、その光軸が右方向を向いている。分岐開閉器31dの右側面の受光素子は、分岐開閉器31cの右側面の発光素子の光軸上に存在する。
【0094】
さらに、この分岐開閉器列において、両端(ここでは、左端及び右端)以外の各分岐開閉器31(分岐開閉器31b及び分岐開閉器31c)の通信部10は、発光素子及び受光素子の組を2組、有する。
【0095】
詳しくは、分岐開閉器31aの左側に隣接する分岐開閉器31bの通信部10は、発光素子及び受光素子の組を2組、有する。そして、当該2組のうち、一方の組を構成する発光素子及び受光素子は、分岐開閉器31bの右側面に設けられ、他方の組を構成する発光素子及び受光素子は、分岐開閉器31bの左側面に設けられている。
【0096】
分岐開閉器31bの右側面の受光素子は、分岐開閉器31aの左側面の発光素子の光軸上に存在する。分岐開閉器31bの右側面の発光素子は、その光軸が右方向を向いている。分岐開閉器31bの左側面の受光素子は、次に説明する分岐開閉器31cの右側面の発光素子の光軸上に存在する。分岐開閉器31bの左側面の発光素子は、その光軸が左方向を向いている。
【0097】
分岐開閉器31bの左側に隣接する分岐開閉器31cの通信部10は、発光素子及び受光素子の組を2組、有する。当該2組のうち、一方の組を構成する発光素子及び受光素子は、分岐開閉器31cの右側面に設けられ、他方の組を構成する発光素子及び受光素子は、分岐開閉器31cの左側面に設けられている。
【0098】
分岐開閉器31cの右側面の受光素子は、分岐開閉器31bの左側面の発光素子の光軸上に存在する。分岐開閉器31cの右側面の発光素子は、その光軸が右方向を向いている。分岐開閉器31cの左側面の受光素子は、分岐開閉器31dの右側面の発光素子の光軸上に存在する。分岐開閉器31cの左側面の発光素子は、その光軸が左方向を向いている。
【0099】
複数の分岐開閉器31の各々はメモリを有しており、複数の分岐開閉器31それぞれのメモリに、当該分岐開閉器31を識別する識別情報が格納されている。ここでは、分岐開閉器31aのメモリに“B1”が、分岐開閉器31bのメモリに“B2”が、分岐開閉器31cのメモリに“B3”が、分岐開閉器31dのメモリに“b4”が、それぞれ格納されているとする。
【0100】
なお、以下では、分岐開閉器列において、第1情報のリレーが開始される方の端部を「始端」、終了される方の端部を「終端」と呼ぶ場合がある。ただし、第1情報の伝達が行われず、第2情報の伝達のみが行われる場合は、第2情報のリレーが開始される方の端部を「始端」、終了される方の端部を「終端」と呼んでもよい。
【0101】
分岐開閉器列の始端に位置する分岐開閉器31aにおいて、電流計測器312が電流値“A1”を取得したとすると、通信部10は、当該取得された電流値“A1”と、メモリに格納されている識別情報“B1”との組を含む第1情報“(A1,B1)”を構成する。そして、通信部10は、当該構成した第1情報に応じた電流で、左側面の発光素子を駆動する。これにより、発光素子から、第1情報“(A1,B1)”で変調された光信号が出力される。発光素子から出力された光信号は、その光軸に沿って左向きに進行する。
【0102】
なお、変調の方式は、本実施形態では、電気信号で発光素子を直に駆動する直接変調方式を用いている。ただし、変調の方式は、発光素子からの光を、外部変調器で電気信号に応じて変調(例えば、振幅変調、位相変調等)する外部変調方式を用いてもよい。
【0103】
こうして分岐開閉器31aの左側面から送信された光信号は、分岐開閉器31bの右側面の受光素子によって受光され、第1情報“(A1,B1)”に復調される。
【0104】
分岐開閉器31bにおいて、電流計測器312が電流値“A2”を取得したとすると、通信部10は、当該取得された電流値“A2”と、メモリに格納されている識別情報“B2”との組“(A2,B2)”を、上記復調後の第1情報“(A1,B1)”に付加する。そして、通信部10は、当該付加後の第1情報に応じた電流で、左側面の発光素子を駆動する。これにより、発光素子から、第1情報“(A1,B1),(A2,B2)”で変調された光信号が出力される。発光素子から出力された光信号は、その光軸に沿って左向きに進行する。
【0105】
こうして分岐開閉器31bの左側面から送信された光信号は、分岐開閉器31cの右側面の受光素子によって受光され、第1情報“(A1,B1),(A2,B2)”に復調される。
【0106】
分岐開閉器31cにおいて、電流計測器312が電流値“A3”を取得したとすると、通信部10は、当該取得された電流値“A3”と、メモリに格納されている識別情報“B3”との組“(A3,B3)”を、上記復調後の第1情報“(A1,B1),(A2,B2)”に付加する。そして、通信部10は、当該付加後の第1情報に応じた電流で、左側面の発光素子を駆動する。これにより、発光素子から、第1情報“(A1,B1),(A2,B2),(A3,B3)”で変調された光信号が出力される。発光素子から出力された光信号は、その光軸に沿って左向きに進行する。
【0107】
こうして分岐開閉器31cの左側面から送信された光信号は、分岐開閉器31dの右側面の受光素子によって受光され、第1情報“(A1,B1),(A2,B2),(A3,B3)”に復調される。
【0108】
分岐開閉器31dにおいて、電流計測器312が電流値“A4”を取得したとすると、通信部10は、当該取得された電流値“A4”と、メモリに格納されている識別情報“B4”との組“(A4,B4)”を、上記復調後の第1情報“(A1,B1),(A2,B2),(A3,B3)”に付加する。
【0109】
以上のように、分岐開閉器列の始端に位置する分岐開閉器31aにおいて構成された第1情報が、光信号に変調され、複数の分岐開閉器31(例えば、4つの分岐開閉器31a-31d)によってリレー式で伝達される。こうして第1情報に対応する光信号が伝達される過程で、複数の分岐開閉器31の各々において、光信号は第1情報に復調され、当該分岐開閉器31における電流値と識別情報との組が第1情報に付加されていく。
【0110】
これにより、分岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31dでは、電流値と識別情報との組を4組含む第1情報“(A1,B1),(A2,B2),(A3,B3),(A4,B4)”が取得される。
【0111】
処理ユニット4及び分岐開閉器31dの各々には、有線または近距離無線で通信を行う通信モジュールが設けられている。分岐開閉器31dの通信部10は、上記取得された第1情報を、上記通信モジュールを介して有線または近距離無線通信で処理ユニット4に送信する。
【0112】
処理ユニット4において、第1情報受信部11aが、上記通信モジュールを介して、上記第1情報“(A1,B1),(A2,B2),(A3,B3),(A4,B4)”を受信する。なお、中央処理部11による第1情報の処理については、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0113】
(3-2)第2情報の伝達
中央処理部11は、予め決められた条件を満たす場合に、第2情報を構成し、送信する。第2情報は、例えば、配線異常が発生した1以上の分岐開閉器31に対応する1以上の識別情報(例えば“B2”,“B3”)と、遮断指示(例えば“Cutoff”)とを含む。第2情報“B2,B3,Cutoff”の送信先は、通常、分岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31dであるが、始端に位置する分岐開閉器31aでもよい。なお、後者の場合は、分岐開閉器31aにも有線または近距離無線の通信モジュールが設けられる。
【0114】
分岐開閉器31dは、上記通信モジュールを介して、上記第2情報を受信する。分岐開閉器31dにおいて、通信部10は、右側面の発光素子を当該受信した第2情報で駆駆動する。それによって、右側面の発光素子から、第2情報で変調された光信号が出力される。発光素子から出力された光信号は、その光軸に沿って右向きに進行する。
【0115】
一方、遮断部311は、分岐開閉器31dのメモリに格納されている識別情報が、上記受信された第2信号に含まれているか否かを判断し、含まれている場合に、第1配線41への電力供給を遮断する遮断処理を行う。ここでは、第2信号に識別情報“B4”が含まれていないため、遮断処理は行われない。
【0116】
上記のようにして分岐開閉器31dの右側面から送信された光信号は、分岐開閉器31cの左側面の受光素子によって受光され、第2情報に復調される。
【0117】
分岐開閉器31cにおいて、通信部10は、右側面の発光素子を当該第2情報で駆動し、それによって、右側面の発光素子から、第2情報で変調された光信号が出力される。発光素子から出力された光信号は、その光軸に沿って右向きに進行する。
【0118】
一方、遮断部311は、分岐開閉器31cのメモリに格納されている識別情報が、上記受信された第2信号に含まれているか否かを判断する。ここでは、第2信号に識別情報“B3”が含まれているため、遮断部311は、第1配線41への電力供給を遮断する。
【0119】
分岐開閉器31bにおいて、通信部10は、右側面の発光素子を当該第2情報で駆動し、それによって、右側面の発光素子から、第2情報で変調された光信号が出力される。発光素子から出力された光信号は、その光軸に沿って右向きに進行する。
【0120】
一方、遮断部311は、分岐開閉器31bのメモリに格納されている識別情報が、上記受信された第2信号に含まれているか否かを判断する。ここでは、第2信号に識別情報“B2”が含まれているため、遮断部311は、第1配線41への電力供給を遮断する。
【0121】
上記のようにして分岐開閉器31bの右側面から送信された光信号は、分岐開閉器31aの左側面の受光素子によって受光され、第2情報に復調される。分岐開閉器31aにおいて、遮断部311は、メモリに格納されている識別情報が、上記受信された第2信号に含まれているか否かを判断する。ここでは、第2信号に識別情報“B1”が含まれていないため、遮断処理は実行されない。
【0122】
以上のように、分岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31dが、処理ユニット4から第2情報を受信し、当該受信した第2情報を光信号に変換する。そして、この第2情報に対応する光信号が、複数の分岐開閉器31d-31aによってリレー式で伝達される。この第2信号に対応する光信号の伝達の過程で、複数の分岐開閉器31それぞれにおいて、光信号が第2情報に復調され、当該分岐開閉器31が遮断の対象か否かが第2情報を基に判断され、遮断の対象である場合に遮断処理が実行される。
【0123】
(3-3)中央処理部の動作
中央処理部11は、例えば、
図7のフローチャートに従って動作する。なお、このフローチャートは、中央処理部11が設けられている内器(ここでは、処理ユニット4)の電源オンに応じて開始され、電源オフに応じて終了される。
【0124】
最初、中央処理部11は、第1情報受信部11aが第1情報を受信したか否かを判断する(ステップS1)。第1情報受信部11aが第1情報を受信すると、中央処理部11は、当該第1情報を処理する(ステップS2)。
【0125】
第1情報の処理とは、例えば、出力部11dを介して第1情報を出力する処理(以下、出力処理)である。出力部11dによる第1情報等の情報の出力先は、例えば、処理ユニット4のディスプレイ4Cであるが、外部の装置(例えば、端末装置5)でもよい。
【0126】
または、第1情報の処理は、例えば、配線異常検出処理でもよい。配線異常検出処理とは、複数の分岐開閉器それぞれの2次側での配線異常の発生を検出する処理である。配線異常は、例えば、過電流、アーク発生等であるが、その種類は問わない。
【0127】
配線異常検出処理では、第1情報に含まれる複数の電流値に基づいて、複数の分岐開閉器31ごとに、配線異常の有無が判断される。そして、1以上の分岐開閉器31で配線異常があると判断された場合に、配線異常が発生した旨の警告情報が構成される。これに加えて、又はこれに代えて、配線異常が発生した分岐開閉器31を識別する1以上の識別情報と、遮断指示とを含む第2情報が構成されてもよい。
【0128】
構成された警告情報は、出力部11dを介して出力(例えば、ディスプレイ4Cに表示、又は端末装置5に送信)される。構成された第2情報は、中央処理部11を備える内器(例えば、処理ユニット4)が有するメモリに書き込まれる。
【0129】
第1情報の処理が終わると、ステップS1に戻る。
【0130】
次に、中央処理部11は、予め決められた条件を満たすか否かを判断する(ステップS3)。予め決められた条件は、例えば、前述したような、配線異常に関する条件、又は外部通信部12による外部の装置からの指示の受信に関する条件である。
【0131】
予め決められた条件を満たすと判断した場合、中央処理部11は、第2情報送信部11cを介して第2情報を送信する(ステップS4)。
【0132】
送信される第2情報は、例えば、上記ステップS2の配線異常検出処理で構成され、メモリに格納されている情報であるが、外部通信部12が外部の装置から受信した指示を含む情報でもよい。第2情報には、配線異常が発生した分岐開閉器31を識別する1以上の識別情報と、遮断指示とが含まれる。
【0133】
送信された第2信号は、複数の分岐開閉器31間をリレー式で伝達される。そして、伝達の過程で、第2信号に含まれる識別情報に対応する分岐開閉器31において、第2信号に含まれる遮断指示に応じて、第1配線41への電力供給を遮断部311が遮断する。その他の分岐開閉器31では、このような遮断は行われない。
【0134】
第2情報の送信が終わると、ステップS1に戻る。
【0135】
第1情報を受信しておらず、条件も満たしていない場合は、ステップS1に戻る。
【0136】
(4)変形例1
実施形態に係る通信システム1の変形例1を説明する。変形例1の通信システム1は、分岐開閉器列を複数含んでいる。変形例1の通信システム1では、例えば、各岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31のメモリに、当該分岐開閉器列を識別する列識別情報が格納される。各分岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31は、処理ユニット4に第1情報を送信する際、当該分岐開閉器31のメモリに格納されている列識別情報を、第1情報と組にして送信する。
【0137】
処理ユニット4において、中央処理部11を構成する第1情報受信部11aは、第1情報と列識別情報の組を受信する。処理ユニット4のメモリには、通信システム1に含まれる複数の分岐開閉器列に対応する複数の列識別情報が格納されており、中央処理部11は、当該格納されている複数の列識別情報ごとに、
図7に示した処理を実行してもよい。
【0138】
または、複数の分岐開閉器列において、一方の分岐開閉列の終端を、他方の分岐開閉器列の始端と、有線または近距離無線で通信可能に接続してもよい。詳しくは、通信システム1にk個(kは2以上の整数)の分岐開閉器列が含まれる場合、第1の分岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31を、第2の分岐開閉器列の始端に位置する分岐開閉器31と通信可能に接続する。同様に、第(k-1)の分岐開閉器列の終端に位置する分岐開閉器31を、第kの分岐開閉器列の始端に位置する分岐開閉器31と通信可能に構成する。これにより、k個の分岐開閉器列は、一の分岐開閉器列とみなすことができる。
【0139】
(5)変形例2
実施形態に係る通信システム1の変形例2を説明する。変形例2の通信システム1において、主幹開閉器30に設けられた中央処理部11は、例えば、処理ユニット4に設けられた場合と同様の動作を行う。
【0140】
または、中央処理部11は、分岐開閉器列からの第1情報に基づいて、複数の分岐開閉器31それぞれの2次側で配線異常が発生したか否かを判断し、少なくとも一の分岐開閉器31の2次側で配線が発生した場合に、主幹開閉器30の接点30Cを開いてもよい。
【0141】
または、中央処理部11は、分岐開閉器列からの第1情報に基づいて、上記と同様の判断を行い、少なくとも一の分岐開閉器31の2次側で配線異常が発生した場合に、ネットワーク200及びサーバ300を介して端末装置5に警告情報を送信してもよい。そして、端末装置5から遮断指示を受信した場合に、中央処理部11は、接点30Cを開いてもよい。
【0142】
(6)変形例3
実施形態に係る通信システム1の変形例3を説明する。変形例3の通信システム1は、
図4に示されるように、各通信部10が受光部10A及び発光部10Bの組を2組含む場合において、各通信部10の、左右の各側面に設けられる受光部10A及び発光部10Bの組を、一の受発光素子(図示しない)で実現したものである。
【0143】
変形例3の通信システム1では、隣接する通信部10(例えば、左から2番目と3番目の通信部10)の間で、一方(2番目)の通信部10の右側面に設けられた受発光素子から送信された光信号を、他方(3番目)の通信部10の左側面に設けられた受発光素子が受信する。また、当該他方(3番目)の通信部10の左側面に設けられた受発光素子から送信された光信号を、当該一方(2番目)の通信部10の右側面に設けられた受発光素子が受信する。これにより、情報が上り及び下りの双方向に伝達される。
【0144】
(7)まとめ
以上説明したように、本開示の第1の態様に係る通信システム(1)は、複数の分岐開閉器(31)を備える分電盤(3)に用いられる通信システムである。複数の分岐開閉器(31)はそれぞれ、通信部(10)を備えて、一の方向に並べて配列される。通信部(10)は、光を通信媒体として通信する。通信システム(1)は、複数の分岐開閉器(31)において、少なくとも互いに隣接する分岐開閉器(31)間で、一方の分岐開閉器(31)の通信部(10)が送信する光信号を、他方の分岐開閉器(31)の通信部(10)が受信することにより、情報を伝達する。
【0145】
この態様によれば、複数の分岐開閉器(31)を一の方向に並べて配列し、少なくとも隣接する分岐開閉器(31)間を光で通信可能に接続することにより、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行える。
【0146】
第2の態様に係る通信システム(1)では、第1の態様において、互いに隣接する分岐開閉器(31)のうち、一方の分岐開閉器(31)に設けられる通信部(10)と、他方の分岐開閉器(31)に設けられる通信部(10)とは、当該一方の分岐開閉器(31)及び当該他方の分岐開閉器(31)の各々の外郭(31C)を介して互いに対向する。
【0147】
この態様によれば、通信距離が短くなり、簡単な構成で、より信頼性の高い通信を行える。
【0148】
第3の態様に係る通信システム(1)では、第1又は第2の態様において、一方の分岐開閉器(31)及び他方の分岐開閉器(31)の各々の外郭(31C)の一部分であって、一方の分岐開閉器(31)に設けられる通信部(10)が対向する部分(対向部分31Ca)と、他方の分岐開閉器(31)に設けられる通信部(10)が対向する部分(対向部分31Ca)とは、通信部(10)が通信媒体とする波長の光を透過しうる材料で形成される。
【0149】
この態様によれば、外郭(31C)内を保護しつつ、光で通信を行える。
【0150】
第4の態様に係る通信システム(1)では、第3の態様において、通信部(10)が通信媒体とする波長の光は、赤外線であり、通信部(10)が対向する部分(対向部分31Ca)は、赤外線の透過率が、可視光線の透過率よりも高い材料で形成されている。
【0151】
この態様によれば、外郭(31C)内を保護し、かつ外郭(31C)内が外から見えないようにしつつ、赤外線で通信を行える。
【0152】
第5の態様に係る通信システム(1)では、第1から第4いずれか1つの態様において、複数の分岐開閉器(31)は、情報を一の方向にリレー方式で伝達する。そして、この通信システム(1)は、中央処理部(11)を更に備える。中央処理部(11)は、複数の分岐開閉器(31)から伝達された情報である第1情報の受信、及び複数の分岐開閉器(31)に伝達する情報である第2情報の送信、のうち少なくとも一方を行う。
【0153】
この態様によれば、複数の分岐開閉器(31)と連携して情報処理を行える。
【0154】
第6の態様に係る通信システム(1)は、第5の態様において、外部機器と通信するための外部通信部(12)を更に備える。中央処理部(11)は、外部通信部(12)を介して、第1情報の外部機器への送信、又は第2情報の外部機器からの受信、の少なくとも一方を行う。
【0155】
この態様によれば、更に外部装置とも連携して情報処理を行える。
【0156】
第7の態様に係る通信システム(1)では、第5又は第6の態様において、分電盤(3)は、少なくとも複数の分岐開閉器(31)を収納するボックス(3A)を備える。中央処理部(11)は、このボックス(3A)に収納される内器に内蔵される。
【0157】
この態様によれば、分電盤(3)のボックス内の処理ユニット(4)が複数の分岐開閉器(31)と連携して情報処理を行える。
【0158】
第8の態様に係る通信システム(1)では、第7の態様において、内器は、主幹開閉器(30)である。主幹開閉器(30)は、ボックス(3A)に収納されて、複数の分岐開閉器(31)の1次側に電気的に接続される。
【0159】
この態様によれば、主幹開閉器(30)が複数の分岐開閉器(31)と連携して情報処理を行える。
【0160】
第9の態様に係る通信システム(1)では、第5から第8いずれか1つの態様において、第2情報は、複数の分岐開閉器(31)のうち1つ以上を遮断するための遮断指示を含む。
【0161】
この態様によれば、複数の分岐開閉器(31)のうち1以上を遮断できる。
【0162】
第10の態様に係る通信システム(1)では、第5から第9いずれか1つの態様において、複数の分岐開閉器(31)の各々は、電流計測器(312)をさらに備える。電流計測器(312)は、当該分岐開閉器(31)を流れる電流を計測する。複数の分岐開閉器(31)の各々が備える通信部(10)は、当該分岐開閉器(31)が備える電流計測器(312)の計測結果を送信する。第1情報は、複数の分岐開閉器(31)から送信される複数の計測結果を含む。
【0163】
この態様によれば、複数の分岐開閉器(31)からの複数の計測結果を用いた処理(例えば、複数の分岐開閉器(31)それぞれでの配線異常の検知、及び配線異常が検知された1以上の分岐開閉器(31)の遮断等のための処理)を行える。
【0164】
第11の態様に係る通信システム(1)は、第1の態様において、通信部(10)から送信される光信号を導光する1つ以上の導光部材(31D)を備える。複数の分岐開閉器(31)の通信部(10)は、導光部材(31D)を介して光信号を送受信する。
【0165】
この態様によれば、隣接していない分岐開閉器(31)間も光で通信可能に接続できる。
【0166】
第12の態様に係る分岐開閉器(31)は、第1から第11いずれか1つの態様に係る通信システム(1)に用いられる分岐開閉器(31)である。この分岐開閉器(31)は、通信部(10)を備える。通信部(10)は、光を通信媒体として通信する。
【0167】
この態様によれば、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行える、通信システム(1)の構築に寄与できる。
【0168】
第13の態様に係る分電盤(3)は、第12の態様に係る分岐開閉器と、ボックス(3A)とを備える分電盤(3)である。このボックス(3A)には、分岐開閉器(31)が複数、一の方向に配列して収納される。
【0169】
この態様によれば、複数の分岐開閉器(31)を一の方向に配列し、少なくとも隣接する分岐開閉器(31)間を光通信可能に接続することにより、簡単な構成で、信頼性の高い通信を行える、通信システム(1)を用いた分電盤(3)が実現される。
【符号の説明】
【0170】
1 通信システム
3 分電盤
3A ボックス
4 処理ユニット
5 端末装置
10 通信部
10A 受光部
10B 発光部
11 中央処理部
12 外部通信部
30 主幹開閉器
31(31a-31c) 分岐開閉器
31C 外郭
31Ca 対向部分
31D 導光部材
31E 受発光素子
311 遮断部
312 電流計測器