(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/32 20060101AFI20231127BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20231127BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H01G4/32 540
H01G4/224 200
H01G2/10 C
H01G2/10 301
(21)【出願番号】P 2021508833
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2020007562
(87)【国際公開番号】W WO2020195464
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2019059465
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019059466
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥戸 崇史
(72)【発明者】
【氏名】西村 康一
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 宏樹
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-140925(JP,A)
【文献】特開2005-277101(JP,A)
【文献】特開昭56-049513(JP,A)
【文献】特開2016-157755(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163660(WO,A1)
【文献】実開昭60-154127(JP,U)
【文献】特開2007-019235(JP,A)
【文献】特開昭52-009855(JP,A)
【文献】特表2014-529192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/32
H01G 4/224
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の両端に設けられた第1外部電極及び第2外部電極と、
前記第1外部電極と電気的に接続された第1バスバーと、
前記第2外部電極と電気的に接続された第2バスバーと、
前記コンデンサ素子の少なくとも一部を被覆する金属ラミネートフィルムと、を備え、
前記金属ラミネートフィルムは、互いに絶縁された第1金属層と第2金属層とを有
し、
前記第1金属層は、前記第1バスバーと接着され、
前記第2金属層は、前記第2バスバーと接着されている、
コンデンサ。
【請求項2】
前記コンデンサを側方から見た場合に、前記第1金属層と前記第2金属層とは重なっている、
請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記金属ラミネートフィルムの外周部は、熱接着されている、
請求項1
又は2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記金属ラミネートフィルムは、少なくとも1つの絶縁層を有する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記絶縁層は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムである、
請求項
4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記金属ラミネートフィルムは、前記コンデンサ素子の一部及び前記第1外部電極を被覆する第1金属ラミネートフィルムと、前記コンデンサ素子の一部及び前記第2外部電極を被覆する第2金属ラミネートフィルムと、を含み、
前記第1金属ラミネートフィルムは、第1金属層を有し、
前記第2金属ラミネートフィルムは、第2金属層を有する、
請求項1~
5のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1金属ラミネートフィルム及び前記第2金属ラミネートフィルムの各々は、少なくとも1つの絶縁層を有する、
請求項
6に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記絶縁層は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムである、
請求項
7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記金属ラミネートフィルムは、前記コンデンサ素子の一部を被覆する第3金属ラミネートフィルムを更に含み、
前記第3金属ラミネートフィルムは、第3金属層を有する、
請求項
6~
8のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記第3金属ラミネートフィルムは、前記第1外部電極及び前記第2外部電極を被覆しない、
請求項
9に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記第3金属ラミネートフィルムは、少なくとも1つの絶縁層を有する、
請求項
9又は
10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記絶縁層は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムである、
請求項
11に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記コンデンサを側方から見た場合に、前記第1金属層の一部と前記第3金属層の一部とが重なり、前記第2金属層の一部と前記第3金属層の一部とが重なっている、
請求項
9~
12のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記第1金属ラミネートフィルムの外周部の少なくとも一部は熱接着されている、
請求項
6~
13のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第2金属ラミネートフィルムの外周部の少なくとも一部は熱接着されている、
請求項
6~
14のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコンデンサに関し、より詳細にはコンデンサ素子を備えるコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサは、電荷を蓄えたり、放出したりする受動部品であり、電子機器の部品として用いられる。コンデンサは、吸湿により不良が生じることがあるため、優れた耐湿性を有するコンデンサが求められている。例えば、特許文献1には、樹脂製のケースにコンデンサを収容し、ケース内に絶縁性のモールド樹脂を充填したケースモールド型コンデンサが開示されている。
【0003】
特許文献1では、ある程度の耐湿性を有するフィルムコンデンサを得ることができるものの、軽量化は配慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、軽量化を実現するとともに、優れた耐湿性を有するコンデンサを提供することである。
【0006】
本開示の一態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の両端に設けられた第1外部電極及び第2外部電極と、前記第1外部電極と電気的に接続された第1バスバーと、前記第2外部電極と電気的に接続された第2バスバーと、前記コンデンサ素子の少なくとも一部を被覆する金属ラミネートフィルムと、を備える。前記金属ラミネートフィルムは、互いに絶縁された第1金属層と第2金属層とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るコンデンサの概略断面図である。
【
図3】
図3は、同上のコンデンサの製造に用いられる金属ラミネートフィルムの製造方法を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上のコンデンサの製造方法の第1例を示す概略斜視図である。
図4Bは、同上のコンデンサの製造方法の第2例を示す概略斜視図である。
図4Cは、同上のコンデンサの製造方法の第3例を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るコンデンサの概略断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上のコンデンサの製造に用いられる第1金属ラミネートフィルムの製造方法を示す概略斜視図である。
図7Bは、同上のコンデンサの製造に用いられる第3金属ラミネートフィルムの製造方法を示す概略斜視図である。
図7Cは、同上のコンデンサの製造に用いられる第2金属ラミネートフィルムの製造方法を示す概略斜視図である。
【
図8】
図8Aは、同上のコンデンサの製造方法の第1例を示す概略斜視図である。
図8Bは、同上のコンデンサの製造方法の第2例を示す概略斜視図である。
図8Cは、同上のコンデンサの製造方法の第3例を示す概略斜視図である。
【
図9】
図9Aは、巻回型コンデンサ素子の製造方法の一工程図(斜視図)である。
図9Bは、上記巻回型コンデンサ素子の斜視図である。
【
図10】
図10Aは、積層型コンデンサ素子の製造方法の一工程図(斜視図)である。
図10Bは、積層型コンデンサ素子の製造方法の一工程図(断面図)である。
図10Cは、
図10Bに示す積層型コンデンサ素子の一部破断した斜視図である。
図10Dは、上記積層型コンデンサ素子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施形態
(1)概要
図1に第1実施形態に係るコンデンサ10を示す。本実施形態に係るコンデンサ10は、コンデンサ素子1と、一対の外部電極2(第1外部電極21及び第2外部電極22)と、一対のバスバー9(第1バスバー91及び第2バスバー92)と、金属ラミネートフィルム3と、を備える。一対の外部電極2は、コンデンサ素子1の両端に設けられる。一対のバスバー9は、一対の外部電極2と電気的に接続される。金属ラミネートフィルム3は、コンデンサ素子1の少なくとも一部を被覆する。本実施形態では、金属ラミネートフィルム3は、コンデンサ素子1の全体を被覆している。金属ラミネートフィルム3は、第1金属層51と第2金属層52とを有する。第1金属層51と第2金属層52とは、互いに絶縁されている。
【0009】
本実施形態に係るコンデンサ10は、特許文献1に記載されているような外装ケース及び外装ケース内に充填されたモールド樹脂を備えていない。すなわち、コンデンサ10は、いわゆるケースレス構造を採用している。そのため、コンデンサ10は、少なくとも従来の外装ケースに相当する分だけ、軽量化を実現することができる。
【0010】
上述のように、本実施形態に係るコンデンサ10は、金属ラミネートフィルム3を備える。金属ラミネートフィルム3は、コンデンサ素子1の少なくとも一部を被覆する。金属ラミネートフィルム3は、第1金属層51及び第2金属層52を有する。第1金属層51及び第2金属層52は、コンデンサ素子1の表面に比べて、水蒸気などのガスを透過させにくい。そのため、金属ラミネートフィルム3でコンデンサ素子1の表面を被覆することで、コンデンサ素子1の吸湿を抑制しやすくなる。
【0011】
したがって、本実施形態に係るコンデンサ10は、優れた耐湿性を有することができる。
【0012】
(2)詳細
以下、第1実施形態に係るコンデンサ10について、
図1、
図2、
図3、及び
図4A~
図4Cを参照して詳細に説明する。
【0013】
図2は、本実施形態に係るコンデンサ10の斜視図である。
図1は、
図2のX-X線断面図である。
図3は、金属ラミネートフィルム3の製造方法を示す概略斜視図である。
図4A~
図4Cは、コンデンサ10の製造方法を示す概略斜視図である。
【0014】
本実施形態に係るコンデンサ10は、いわゆるケースレス構造を採用しており、特許文献1に記載されているような外装ケースを備えていない。つまり、コンデンサ10は、ケースレスコンデンサである。
図1に示すように、コンデンサ10は、コンデンサ素子1と、一対の外部電極2(第1外部電極21及び第2外部電極22)と、一対のバスバー9(第1バスバー91及び第2バスバー92)と、金属ラミネートフィルム3と、を備える。
図1に示すように、金属ラミネートフィルム3は、コンデンサ素子1の少なくとも一部(本実施形態では全体)を被覆する。以下、各構成要素について説明する。
【0015】
<コンデンサ素子>
まずコンデンサ素子1(コンデンサ本体)について説明する。コンデンサ素子1は、プラスチックフィルムを誘電体として有する。コンデンサ素子1には、巻回型コンデンサ素子7(
図9B参照)、及び積層型コンデンサ素子8(
図10D参照)が含まれる。以下、巻回型コンデンサ素子7、及び積層型コンデンサ素子8について説明する。
【0016】
≪巻回型コンデンサ素子≫
巻回型コンデンサ素子7は、例えば、次のようにして製造することができる。まず金属化フィルムを用意する。具体的には、金属化フィルムには、第1金属化フィルム71及び第2金属化フィルム72が含まれる(
図9A参照)。
【0017】
金属化フィルムは、誘電体フィルムと、導電層と、を有する。
【0018】
具体的には、第1金属化フィルム71は、第1誘電体フィルム701と、第1導電層711と、を有する。第1誘電体フィルム701は、長尺状のフィルムである。第1誘電体フィルム701の片面に、第1マージン部721を除いて、第1導電層711が形成されている。第1マージン部721は、第1誘電体フィルム701が露出している部分である。第1マージン部721は、第1誘電体フィルム701の一方の長辺に沿って、第1導電層711よりも細い帯状に形成されている。
【0019】
一方、第2金属化フィルム72は、第1金属化フィルム71と同様に形成されている。すなわち、第2金属化フィルム72は、第2誘電体フィルム702と、第2導電層712と、を有する。第2誘電体フィルム702は、第1誘電体フィルム701と同じ幅を有する長尺状のフィルムである。第2誘電体フィルム702の片面に、第2マージン部722を除いて、第2導電層712が形成されている。第2マージン部722は、第2誘電体フィルム702が露出している部分である。第2マージン部722は、第2誘電体フィルム702の一方の長辺に沿って、第2導電層712よりも細い帯状に形成されている。
【0020】
第1誘電体フィルム701及び第2誘電体フィルム702は、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルサルファイド又はポリスチレンなどで形成されている。第1導電層711及び第2導電層712は、蒸着法又はスパッタリング法などの方法で形成される。第1導電層711及び第2導電層712は、例えばアルミニウム、亜鉛及びマグネシウムなどで形成されている。
【0021】
次に
図9Aに示すように、第1金属化フィルム71及び第2金属化フィルム72の各々の2つの長辺を揃えて重ねる。このとき第1導電層711と第2導電層712との間に、第1誘電体フィルム701又は第2誘電体フィルム702を介在させる。さらに第1マージン部721が形成されている長辺と、第2マージン部722が形成されている長辺と、を逆にする。このように、第1金属化フィルム71及び第2金属化フィルム72を重ねた状態で巻き取ることによって、円柱状の巻回体73を得ることができる。次にこの巻回体73の側面を両側から押圧して、扁平状巻回体74に加工する(
図9B参照)。扁平状巻回体74の断面形状は、長円状をなしている。このように扁平化することで、省スペース化を図ることができる。
【0022】
以上のようにして、巻回型コンデンサ素子7が得られる。巻回型コンデンサ素子7の内部において、第1導電層711は第1内部電極となり、第2導電層712は第2内部電極となる。これらの一対の内部電極は、誘電体フィルム(第1誘電体フィルム701又は第2誘電体フィルム702)を介して対向している。
【0023】
≪積層型コンデンサ素子≫
一方、積層型コンデンサ素子8は、例えば、次のようにして製造することができる。まず金属化フィルムを用意する。具体的には、金属化フィルムには、第1金属化フィルム81及び第2金属化フィルム82が含まれる(
図10A参照)。
【0024】
金属化フィルムは、誘電体フィルムと、導電層と、を有する。
【0025】
具体的には、第1金属化フィルム81は、第1誘電体フィルム801と、第1導電層811と、を有する。第1誘電体フィルム801は、矩形状のフィルムである。第1誘電体フィルム801の片面に、第1マージン部821を除いて、第1導電層811が形成されている。第1マージン部821は、第1誘電体フィルム801が露出している部分である。第1マージン部821は、第1誘電体フィルム801の1つの辺に沿って、第1導電層811よりも細い帯状に形成されている。
【0026】
一方、第2金属化フィルム82は、第1金属化フィルム81と同様に形成されている。すなわち、第2金属化フィルム82は、第2誘電体フィルム802と、第2導電層812と、を有する。第2誘電体フィルム802は、第1誘電体フィルム801と同じ大きさの矩形状のフィルムである。第2誘電体フィルム802の片面に、第2マージン部822を除いて、第2導電層812が形成されている。第2マージン部822は、第2誘電体フィルム802が露出している部分である。第2マージン部822は、第2誘電体フィルム802の1つの辺に沿って、第2導電層812よりも細い帯状に形成されている。
【0027】
第1誘電体フィルム801及び第2誘電体フィルム802は、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルサルファイド又はポリスチレンなどで形成されている。第1導電層811及び第2導電層812は、蒸着法又はスパッタリング法などの方法で形成される。第1導電層811及び第2導電層812は、例えばアルミニウム、亜鉛及びマグネシウムなどで形成されている。
【0028】
次に
図10A及び
図10Bに示すように、第1金属化フィルム81及び第2金属化フィルム82の四辺を揃えて交互に重ねる。このとき第1導電層811と第2導電層812との間に、第1誘電体フィルム801又は第2誘電体フィルム802を介在させる。さらに第1マージン部821が形成されている一辺と、第2マージン部822が形成されている一辺と、を逆にする。
図10Aでは、第1マージン部821を後方(X軸の負の向き)に、第2マージン部822を前方(X軸の正の向き)に配置している。このように、複数の第1金属化フィルム81及び第2金属化フィルム82を積層して一体化することによって、
図10B及び
図10Cに示すような積層体83を得ることができる。さらに積層体83は、前面(X軸の正の向きに向いている面)及び後面(X軸の負の向きに向いている面)を除いて、保護フィルム84で被覆されている。保護フィルム84は、電気的絶縁性を有するフィルムである。
【0029】
以上のようにして、積層型コンデンサ素子8が得られる。積層型コンデンサ素子8の内部において、第1導電層811は第1内部電極となり、第2導電層812は第2内部電極となる。これらの一対の内部電極は、誘電体フィルム(第1誘電体フィルム801又は第2誘電体フィルム802)を介して対向している。
【0030】
<外部電極>
次に、外部電極2について説明する。
図1に示すように、一対の外部電極2は、第1外部電極21及び第2外部電極22である。第1外部電極21及び第2外部電極22は、コンデンサ素子1の両端に設けられている。一対の外部電極2は、コンデンサ素子1の一対の内部電極の各々と電気的に接続されている。
【0031】
外部電極2は、例えば、メタリコン(金属溶射法)により形成することができる。メタリコンとしては、特に限定されないが、例えば、プラズマ溶射法、フレーム溶射法、及びアーク溶射法が挙げられる。
【0032】
外部電極2の材料は、特に限定されないが、例えば、亜鉛、スズ、銅、及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を含む。外部電極2は、亜鉛のみで形成されていてもよく、亜鉛とスズなどの他の金属との混合物によって形成されていてもよい。
【0033】
外部電極2の材料としては、融点の低い材料を使用することが好ましい。この場合、メタリコンによって外部電極2を形成する際に、熱によってコンデンサ素子1に不良が生じにくくなる。外部電極2の材料は、例えば700℃以下の融点を有することが好ましく、450℃以下の融点を有することがより好ましい。
【0034】
ここで、巻回型コンデンサ素子7の場合には、
図9Bに示すように、メタリコンにより扁平状巻回体74の両端面に外部電極2(第1外部電極21及び第2外部電極22)を形成する。第1外部電極21は、第1導電層711(第1内部電極)に電気的に接続されている。第2外部電極22は、第2導電層712(第2内部電極)に電気的に接続されている。第1導電層711及び第2導電層712が一対の内部電極を構成している。
【0035】
一方、積層型コンデンサ素子8の場合には、
図10Dに示すように、メタリコンにより積層体83の前面及び後面に外部電極2(第1外部電極21及び第2外部電極22)を形成する。第1外部電極21は、第1導電層811(第1内部電極)に電気的に接続されている。第2外部電極22は、第2導電層812(第2内部電極)に電気的に接続されている。第1導電層811及び第2導電層812が一対の内部電極を構成している。
【0036】
<バスバー>
次に、バスバー9について説明する。
図1に示すように、一対のバスバー9は、第1バスバー91及び第2バスバー92である。バスバー9は、外部電極2と電気的に接続されている。具体的には、第1バスバー91は、第1外部電極21と電気的に接続されている。第1バスバー91の一部は、外部に露出している。第2バスバー92は、第2外部電極22と電気的に接続されている。第2バスバー92の一部は、外部に露出している。
【0037】
バスバー9の材料は、特に限定されず、例えば、銅又は銅合金などが板状に形成されたものを用いることができる。
【0038】
バスバー9を外部電極2に接着する方法は、特に限定されず、例えば半田溶接、抵抗溶接、及び超音波溶接などによって接着する方法が挙げられる。
【0039】
<金属ラミネートフィルム>
次に、金属ラミネートフィルム3について説明する。金属ラミネートフィルム3は、コンデンサ素子1の少なくとも一部を被覆する。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、金属ラミネートフィルム3は、コンデンサ素子1全体を被覆している。これにより、コンデンサ素子1の吸湿を抑制することができる。
【0040】
金属ラミネートフィルム3は、第1金属層51と第2金属層52とを有する。第1金属層51及び第2金属層52の材料は、特に限定されないが、例えば金属箔を用いることができる。金属箔の材料は、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、マグネシウム、銀、金、ニッケル、及び白金を含む。第1金属層51と第2金属層52とは、同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0041】
第1金属層51と第2金属層52とは互いに電気的に絶縁されている。第1金属層51と第2金属層52とを絶縁する方法は、特に限定されず、絶縁性フィルム及びプリプレグの硬化物等の適宜の材料を用いることができる。本実施形態では、後述するように、絶縁層6によって第1金属層51と第2金属層52とは絶縁されている。
【0042】
第1金属層51は、第1バスバー91と接着されていることが好ましい。第2金属層52は、第2バスバー92と接着されていることが好ましい。この場合、第1バスバー91と第1金属層51との隙間、及び第2バスバー92と第2金属層52との隙間から、水蒸気等のガス及び水分が侵入することを抑制しやすくなる。したがって、コンデンサ10の耐湿性をより高めることができる。
【0043】
第1金属層51と第1バスバー91とを接着する方法、及び第2金属層52と第2バスバー92とを接着する方法は、特に限定されず、例えば、溶接及びはんだ等の方法を用いればよい。
【0044】
コンデンサ10を側方から見た場合に、第1金属層51と第2金属層52とは重なっていることが好ましい。これにより、コンデンサ素子1の吸湿をより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0045】
ここで、コンデンサ10の側方とは、軸線方向Rに対して垂直な方向を意味する。軸線方向Rとは、コンデンサ素子1の両端に設けられた第1外部電極21と第2外部電極22とを結ぶ仮想的な方向を意味する。コンデンサ素子1の側面とは、コンデンサ素子1の外周面、すなわち、軸線方向Rに対して垂直な方向と交差する面を意味する。
【0046】
第1金属層51と第2金属層52との重なり部分Lの距離は、5mm以上であることが好ましい。重なり部分Lの距離は、コンデンサ10の側方に位置する第1金属層51の端部と、コンデンサ10の側方に位置する第2金属層52の端部との軸線方向Rの距離である。重なり部分Lの距離が5mm以上であることで、コンデンサ素子1の吸湿をより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。重なり部分Lの距離は、10mm以上であることがより好ましい。
【0047】
特に好ましくは、第1金属層51が第1バスバー91と電気的に接続され、第2金属層52が第2バスバー92と電気的に接続され、コンデンサ10を側方から見た場合に第1金属層51と第2金属層52とが重なっていることである。これにより、コンデンサ10のESL(Equivalent Series Inductance:等価直列インダクタンス)を低減することができる。これは、コンデンサ素子1に電流が流れると磁界が変化し、この磁界の変化を打ち消す方向に第1金属層51及び第2金属層52が重なった箇所において磁界が発生し、発生した磁界によって誘導電流が流れることによるものと考えられる。
【0048】
金属ラミネートフィルム3は、少なくとも1つの絶縁層6を有することが好ましい。本実施形態では、金属ラミネートフィルム3は、3つの絶縁層6を有する。3つの絶縁層6は、第1絶縁層61、第2絶縁層62、及び第3絶縁層63である。第2絶縁層62は、第1金属層51と第2金属層52との間に介在している。このように、第2絶縁層62が、第1金属層51と第2金属層52とを互いに電気的に絶縁している。そのため、第1金属層51と第2金属層52との間の短絡を抑制することができる。さらに金属ラミネートフィルム3が少なくとも1つの絶縁層6を有することで、水蒸気などの水分及びガスをより透過させにくくなる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0049】
本実施形態では、金属ラミネートフィルム3は、第1絶縁層61、第1金属層51、第2絶縁層62、第2金属層52、及び第3絶縁層63がこの順に積層されて形成されている。金属ラミネートフィルム3が3つの絶縁層6を有することで、短絡を抑制してコンデンサ10の電気的信頼性をより向上できるとともに、コンデンサ10に更に優れた耐湿性を付与することができる。
【0050】
上述の巻回型コンデンサ素子7及び積層型コンデンサ素子8をコンデンサ素子1として用いる場合、コンデンサ素子1の側面が絶縁性の保護フィルムで被覆されている場合がある。またコンデンサ素子1の最外層に位置する第1誘電体フィルム701,801が保護フィルムとして機能する場合がある。これらの場合には、保護フィルムが絶縁層6として機能するため、金属ラミネートフィルム3は、第1絶縁層61を有さなくてもよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性をより向上させるという観点では、金属ラミネートフィルム3は、第1絶縁層61を有することが好ましい。
【0051】
絶縁層6の材料は、特に限定されないが、例えば、絶縁性フィルムを用いることができる。絶縁性フィルムの材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、及びナイロンを含む。絶縁層6は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びナイロンフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムであることが好ましい。この場合、短絡を抑制してコンデンサ10の電気的信頼性をより向上できるとともに、コンデンサ10に更に優れた耐湿性を付与することができる。第1絶縁層61、第2絶縁層62、及び第3絶縁層63の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0052】
図3に金属ラミネートフィルム3の製造方法の一例を示す。金属ラミネートフィルム3は、例えば、第1絶縁ロール61a、第1金属ロール51a、第2絶縁ロール62a、第2金属ロール52a、及び第3絶縁ロール63aを用いて連続的に製造することができる。
【0053】
第1絶縁ロール61aは、長尺状の第1絶縁層61が巻き取られたものである。第1金属ロール51aは、長尺状の第1金属層51が巻き取られたものである。第2絶縁ロール62aは、長尺状の第2絶縁層62が巻き取られたものである。第2金属ロール52aは、長尺状の第2金属層52が巻き取られたものである。第3絶縁ロール63aは、長尺状の第3絶縁層63が巻き取られたものである。
【0054】
第1絶縁ロール61a、第1金属ロール51a、第2絶縁ロール62a、第2金属ロール52a、及び第3絶縁ロール63aから、第1絶縁層61、第1金属層51、第2絶縁層62、第2金属層52、及び第3絶縁層63を引き出しつつ、この順に積層して接着することにより、金属ラミネートフィルム3を製造することができる。金属ラミネートフィルム3は、適宜の大きさに切断して用いることができる。
【0055】
本実施形態では、第1絶縁層61、第1金属層51、第2絶縁層62、第2金属層52、及び第3絶縁層63の幅は同じである。
図3に示すように、金属ラミネートフィルム3において、3つの絶縁層6(第1絶縁層61、第2絶縁層62、及び第3絶縁層63)の幅方向の両端は揃っている。さらに第1金属層51は、金属ラミネートフィルム3の幅方向一方側に突出し、第2金属層52は、金属ラミネートフィルム3の幅方向他方側に突出している。このように、第1金属層51及び第2金属層52が配置されていることで、第1金属層51及び第2金属層52の幅方向の端部をコンデンサ10の第1バスバー91及び第2バスバー92にそれぞれ容易に接着することができる。
【0056】
<コンデンサの製造方法>
図4A~
図4Cに、本実施形態に係るコンデンサ10の製造方法の第1例~第3例を示す。なお、コンデンサ10の製造方法は、第1例~第3例に限定されない。
【0057】
≪第1例≫
第1例では、
図4Aに示すように、2枚の金属ラミネートフィルム3を用いる。すなわち、2枚の金属ラミネートフィルム3a,3bを用いてコンデンサ素子1を包み込む。コンデンサ素子1を2枚の金属ラミネートフィルム3a,3bを用いて挟み、金属ラミネートフィルム3a,3bの対向する面内の外周部610同士を接着することによって、コンデンサ素子1を封止する。このようにしてコンデンサ10が得られる。
【0058】
本実施形態では、
図4Aに示すように、金属ラミネートフィルム3a,3bの第1絶縁層61のコンデンサ素子1側の面の外周部610同士を接着することによって、コンデンサ素子1を封止している。接着の方法としては、特に限定されないが、例えば、外周部610を熱接着する方法、及び外周部610に接着剤を塗布して接着する方法が挙げられる。金属ラミネートフィルム3a,3bの外周部610は、熱接着されることが好ましい。この場合、2枚の金属ラミネートフィルム3a,3bの界面から水蒸気等の水分及びガスが侵入することをより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0059】
≪第2例≫
第2例では、
図4Bに示すように、1枚の金属ラミネートフィルム3を用いる。すなわち、1枚の金属ラミネートフィルム3を用いてコンデンサ素子1を包み込む。コンデンサ素子1の側面を1枚の金属ラミネートフィルム3を用いて挟み、金属ラミネートフィルム3の対向する外周部610を接着することによって、コンデンサ素子1を封止することができる。このようにしてコンデンサ10が得られる。
【0060】
本実施形態では、
図4Bに示すように、金属ラミネートフィルム3の第1絶縁層61のコンデンサ素子1側の面の外周部610を対向させて接着することによって、コンデンサ素子1を封止している。接着の方法は、第1例と同じである。
【0061】
≪第3例≫
第3例では、
図4Cに示すように、3つのコンデンサ素子1、及び2枚の金属ラミネートフィルム3を用いる。すなわち、3つのコンデンサ素子1を2枚の金属ラミネートフィルム3で包み込む。具体的には、3つのコンデンサ素子1を軸線方向Rに垂直な方向に並べる。3つのコンデンサ素子1の軸線方向Rは平行である。そして、2枚の金属ラミネートフィルム3a,3bを用いて、3つのコンデンサ素子1を挟み、金属ラミネートフィルム3a,3bの対向する外周部610を接着することによって、3つのコンデンサ素子1を封止することができる。このようにしてコンデンサ10が得られる。なお、コンデンサ10が備えるコンデンサ素子1の数は、特に限定されない。
【0062】
本実施形態では、
図4Cに示すように、金属ラミネートフィルム3a,3bの第1絶縁層61のコンデンサ素子1側の面の外周部610同士を接着することによって、コンデンサ素子1を封止している。接着の方法は、第1例と同じである。
【0063】
2.第2実施形態
(1)概要
図5に第2実施形態に係るコンデンサ10を示す。本実施形態に係るコンデンサ10は、コンデンサ素子1と、一対の外部電極2(第1外部電極21及び第2外部電極22)と、一対のバスバー9(第1バスバー91及び第2バスバー92)と、2枚の金属ラミネートフィルム3(第1金属ラミネートフィルム31及び第2金属ラミネートフィルム32)と、を備える。一対の外部電極2は、コンデンサ素子1の両端に設けられる。第1バスバー91は、第1外部電極21と電気的に接続される。第2バスバー92は、第2外部電極22と電気的に接続される。第1金属ラミネートフィルム31は、第1金属層51を有する。第1金属ラミネートフィルム31は、コンデンサ素子1の一部及び第1外部電極21を被覆する。第2金属ラミネートフィルム32は、第2金属層52を有する。第2金属ラミネートフィルム32は、コンデンサ素子1の一部及び第2外部電極22を被覆する。
【0064】
本実施形態に係るコンデンサ10は、第1実施形態に係るコンデンサ10と同様に、特許文献1に記載されているような外装ケース及び外装ケース内に充填されたモールド樹脂を備えていない。すなわち、コンデンサ10は、いわゆるケースレス構造を採用している。そのため、コンデンサ10は、少なくとも従来の外装ケースに相当する分だけ、軽量化を実現することができる。
【0065】
上述のように、本実施形態に係るコンデンサ10は、第1金属ラミネートフィルム31と、第2金属ラミネートフィルム32と、を備える。第1金属ラミネートフィルム31は、第1金属層51を有し、コンデンサ素子1の一部及び第1外部電極21を被覆する。第2金属ラミネートフィルム32は、第2金属層52を有し、コンデンサ素子1の一部及び第2外部電極22を被覆する。第1金属層51及び第2金属層52は、コンデンサ素子1の表面、第1外部電極21及び第2外部電極22に比べて、水蒸気などのガスを透過させにくい。そのため、コンデンサ素子1の表面の一部、第1外部電極21及び第2外部電極22を、第1金属ラミネートフィルム31及び第2金属ラミネートフィルム32を用いて被覆することで、コンデンサ素子1の吸湿を抑制しやすくなる。
【0066】
したがって、本実施形態に係るコンデンサ10は、優れた耐湿性を有することができる。
【0067】
(2)詳細
以下、第2実施形態に係るコンデンサ10について、
図5、
図6、
図7A~
図7C、及び
図8A~
図8Cを参照して詳細に説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0068】
図6は、本実施形態に係るコンデンサ10の斜視図である。
図5は、
図6のX-X線断面図である。
図7A~
図7Cは、第1金属ラミネートフィルム31、第3金属ラミネートフィルム33、及び第2金属ラミネートフィルム32の製造方法をそれぞれ示す概略図である。
図8A~
図8Cは、コンデンサ10の製造方法を示す概略図である。
【0069】
本実施形態に係るコンデンサ10は、いわゆるケースレス構造を採用しており、特許文献1に記載されているような外装ケースを備えていない。つまり、コンデンサ10は、ケースレスコンデンサである。
図5に示すように、コンデンサ10は、コンデンサ素子1と、一対の外部電極2(第1外部電極21及び第2外部電極22)と、一対のバスバー9(第1バスバー91及び第2バスバー92)と、第1金属ラミネートフィルム31と、第2金属ラミネートフィルム32と、を備える。
図5に示すように、第1金属ラミネートフィルム31は、コンデンサ素子1の一部及び第1外部電極21を被覆する。第2金属ラミネートフィルム32は、コンデンサ素子1の一部及び第2外部電極22を被覆する。
【0070】
<金属ラミネートフィルム>
本実施形態では、金属ラミネートフィルム3は、第1金属ラミネートフィルム31と、第2金属ラミネートフィルム32と、を含む。好ましくは、金属ラミネートフィルム3は、第3金属ラミネートフィルム33を更に含む。以下、第1金属ラミネートフィルム31、第2金属ラミネートフィルム32、及び第3金属ラミネートフィルム33について説明する。
【0071】
≪第1金属ラミネートフィルム≫
第1金属ラミネートフィルム31について説明する。第1金属ラミネートフィルム31は、コンデンサ素子1の一部及び第1外部電極21を被覆する。この場合のコンデンサ素子1の一部とは、コンデンサ素子1の軸線方向Rの一方側(第1外部電極21側)に位置する部分である。本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、第1金属ラミネートフィルム31は、コンデンサ素子1の第1外部電極21側の側面の全周と第1外部電極21とを被覆する。すなわち、第1金属ラミネートフィルム31は、コンデンサ素子1と第1外部電極21との境界部を被覆する。第1外部電極21は、コンデンサ素子1の一方の端面にメタリコンにより形成されている。コンデンサ素子1と第1外部電極21との境界部には微小な隙間が存在するおそれがあり、この隙間から水蒸気などの水分及びガスが入り込むおそれがある。しかし、
図5に示すように、第1金属ラミネートフィルム31によってこの境界部が被覆されていれば、コンデンサ10の耐湿性を向上させることができる。
【0072】
第1金属ラミネートフィルム31は、第1金属層51を有する。第1金属層51の材料は、特に限定されないが、例えば金属箔を用いることができる。金属箔の材料は、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、マグネシウム、銀、金、ニッケル、及び白金を含む。
【0073】
第1金属層51は、第1バスバー91と接着されていることが好ましい。この場合、第1バスバー91と第1金属層51との隙間から水蒸気等のガス及び水分が侵入することを抑制しやすくなる。したがって、コンデンサ10の耐湿性をより高めることができる。
【0074】
第1金属層51と第1バスバー91とを接着する方法は、特に限定されず、例えば、溶接及びはんだ等の方法を用いればよい。
【0075】
第1金属ラミネートフィルム31は、少なくとも1つの絶縁層6を有することが好ましい。本実施形態では、
図5に示すように、第1金属ラミネートフィルム31は、2つの絶縁層6を有する。2つの絶縁層6は、第1絶縁層61及び第2絶縁層62である。第1絶縁層61及び第2絶縁層62は、第1金属層51を挟みこんでいる。この場合、水蒸気などの水分及びガスをより透過させにくくなるため、コンデンサ10の耐湿性を向上させることができる。
【0076】
上述の巻回型コンデンサ素子7及び積層型コンデンサ素子8をコンデンサ素子1として用いる場合、コンデンサ素子1の側面が絶縁性の保護フィルムで被覆されている場合がある。またコンデンサ素子1の最外層に位置する第1誘電体フィルム701,801が保護フィルムとして機能する場合がある。これらの場合には、保護フィルムが絶縁層6として機能するため、第1金属ラミネートフィルム31は、第1絶縁層61を有さなくてもよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点では、第1金属ラミネートフィルム31は、第1絶縁層61を有することが好ましい。
【0077】
絶縁層6の材料は、第1実施形態の絶縁層6と同様である。特に絶縁層6(第1絶縁層61及び第2絶縁層62)は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムであることが好ましい。この場合、コンデンサ10に更に優れた耐湿性を付与することができる。第1絶縁層61及び第2絶縁層62の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0078】
図7Aに第1金属ラミネートフィルム31の製造方法の一例を示す。第1金属ラミネートフィルム31は、例えば、第1絶縁ロール61a、第1金属ロール51a、及び第2絶縁ロール62aを用いて連続的に製造することができる。
【0079】
第1絶縁ロール61a、第1金属ロール51a、及び第2絶縁ロール62aから、第1絶縁層61、第1金属層51、及び第2絶縁層62を引き出しつつ、この順に積層して接着することにより、第1金属ラミネートフィルム31を製造することができる。第1金属ラミネートフィルム31は、適宜の大きさに切断して用いることができる。
【0080】
本実施形態では、第1絶縁層61、第1金属層51、及び第2絶縁層62の幅は同じである。
図7Aに示すように、第1金属ラミネートフィルム31において、2つの絶縁層6(第1絶縁層61及び第2絶縁層62)の幅方向の両端は揃っている。さらに第1金属層51は、第1金属ラミネートフィルム31の幅方向一方側に突出している。このように、第1金属層51が配置されていることで、第1金属層51の幅方向の端部をコンデンサ10の第1バスバー91に容易に接着することができる。
【0081】
≪第2金属ラミネートフィルム≫
次に、第2金属ラミネートフィルム32について説明する。第2金属ラミネートフィルム32は、コンデンサ素子1の一部及び第2外部電極22を被覆する。この場合のコンデンサ素子1の一部とは、コンデンサ素子1の軸線方向Rの他方側(第2外部電極22側)に位置する部分である。本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、第2金属ラミネートフィルム32は、コンデンサ素子1の第2外部電極22側の側面の全周と第2外部電極22とを被覆する。すなわち、第2金属ラミネートフィルム32は、コンデンサ素子1と第2外部電極22との境界部を被覆する。第2外部電極22は、コンデンサ素子1の他方の端面にメタリコンにより形成されている。コンデンサ素子1と第2外部電極22との境界部には微小な隙間が存在するおそれがあり、この隙間から水蒸気などの水分及びガスが入り込むおそれがある。しかし、
図5に示すように、第2金属ラミネートフィルム32によってこの境界部が被覆されていれば、コンデンサ10の耐湿性を向上させることができる。
【0082】
第2金属ラミネートフィルム32は、第2金属層52を有する。第2金属層52の材料は、特に限定されないが、例えば、第1金属層51の材料と同様である。第1金属層51と第2金属層52とは、同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0083】
第2金属層52は、第2バスバー92と接着されていることが好ましい。この場合、第2バスバー92と第2金属層52との隙間から水蒸気等のガス及び水分が侵入することを抑制しやすくなる。したがって、コンデンサ10の耐湿性をより高めることができる。
【0084】
第2金属層52と第2バスバー92とを接着する方法は、特に限定されず、例えば、溶接及びはんだ等の方法を用いればよい。
【0085】
第2金属ラミネートフィルム32は、少なくとも1つの絶縁層6を有することが好ましい。本実施形態では、
図5に示すように、第2金属ラミネートフィルム32は、2つの絶縁層6を有する。2つの絶縁層6は、第3絶縁層63及び第4絶縁層64である。第3絶縁層63及び第4絶縁層64は、第2金属層52を挟み込んでいる。この場合、水蒸気などの水分及びガスをより透過させにくくなるため、コンデンサ10の耐湿性を向上させることができる。
【0086】
上述の巻回型コンデンサ素子7及び積層型コンデンサ素子8をコンデンサ素子1として用いる場合、コンデンサ素子1の側面が絶縁性の保護フィルムで被覆されている場合がある。コンデンサ素子1の最外層に位置する第1誘電体フィルム701,801が保護フィルムとして機能する場合がある。これらの場合には、保護フィルムが絶縁層6として機能するため、第2金属ラミネートフィルム32は、第3絶縁層63を有さなくてもよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点では、第2金属ラミネートフィルム32は、第3絶縁層63を有することが好ましい。
【0087】
第2金属ラミネートフィルム32の絶縁層6の材料は、第1金属ラミネートフィルム31の絶縁層6の材料と同様である。特に絶縁層6(第3絶縁層63及び第4絶縁層64)は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムであることが好ましい。この場合、コンデンサ10に更に優れた耐湿性を付与することができる。第3絶縁層63及び第4絶縁層64の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0088】
好ましくは、
図5に示すように、コンデンサ10において、第1金属層51と第2金属層52とは、接触していない。第1金属層51と第2金属層52とが接触していないことで、第1金属層51が第1バスバー91と接着され、第2金属層52が第2バスバー92と接着される場合においても、短絡を抑制することができる。
【0089】
第1金属層51の端部と第2金属層52の端部との距離L3は、5mm以上であることが好ましい。距離L3は、コンデンサ10の側方に位置する第1金属層51の端部と、コンデンサ10の側方に位置する第2金属層52の端部との軸線方向Rの距離である。距離L3が5mm以上であることで、第1金属層51と第2金属層52との短絡をより抑制しやすくなる。距離L3は、10mm以上であることがより好ましい。なお、第1金属層51と第2金属層52とが接触しなければ、第1金属ラミネートフィルム31の第1絶縁層61と、第2金属ラミネートフィルム32の第3絶縁層63とは接触していてもよい。
【0090】
図7Cに第2金属ラミネートフィルム32の製造方法の一例を示す。第2金属ラミネートフィルム32は、例えば、第3絶縁ロール63a、第2金属ロール52a、及び第4絶縁ロール64aを用いて連続的に製造することができる。第4絶縁ロール64aは、長尺状の第4絶縁層64が巻き取られたものである。
【0091】
第3絶縁ロール63a、第2金属ロール52a、及び第4絶縁ロール64aから、第3絶縁層63、第2金属層52、及び第4絶縁層64を引き出しつつ、この順に積層して接着することにより、第2金属ラミネートフィルム32を製造することができる。第2金属ラミネートフィルム32は、適宜の大きさに切断して用いることができる。
【0092】
本実施形態では、第3絶縁層63、第2金属層52、及び第4絶縁層64の幅は同じである。
図7Cに示すように、第2金属ラミネートフィルム32において、2つの絶縁層6(第3絶縁層63及び第4絶縁層64)の幅方向の両端は揃っている。さらに第2金属層52は、第2金属ラミネートフィルム32の幅方向他方側に突出している。このように、第2金属層52が配置されていることで、第2金属層52の幅方向の端部をコンデンサ10の第2バスバー92に容易に接着することができる。
【0093】
≪第3金属ラミネートフィルム≫
次に、第3金属ラミネートフィルム33について説明する。第3金属ラミネートフィルム33は、コンデンサ素子1の一部を被覆する。この場合のコンデンサ素子1の一部とは、コンデンサ素子1において第1金属ラミネートフィルム31及び第2金属ラミネートフィルム32が被覆していない箇所を少なくとも含む部分である。この場合、水蒸気等のガス及び水分のコンデンサ素子1への侵入を抑制しやすくなるため、コンデンサ10の耐湿性をより高めることができる。第3金属ラミネートフィルム33は、コンデンサ素子1の側面を被覆することがより好ましい。
【0094】
第3金属ラミネートフィルム33は、第3金属層53を有する。第3金属層53の材料は、特に限定されないが、例えば、第1金属層51の材料と同様である。第3金属層53は、第1金属層51及び第2金属層52と同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0095】
第3金属ラミネートフィルム33は、第1外部電極21及び第2外部電極22を被覆しないことが好ましい。この場合、コンデンサ10における短絡を抑制しやすくなる。ただし、第3金属ラミネートフィルム33が、後述する第5絶縁層65を有し、第3金属層53と第1外部電極21及び第2外部電極22とが絶縁される場合には、第3金属ラミネートフィルム33は、第1外部電極21の少なくとも一部及び第2外部電極22の少なくとも一部を被覆してもよい。
【0096】
第3金属ラミネートフィルム33は、少なくとも1つの絶縁層6を有することが好ましい。本実施形態では、
図5に示すように、第3金属ラミネートフィルム33は、2つの絶縁層6を有する。2つの絶縁層6は、第5絶縁層65及び第6絶縁層66である。第5絶縁層65及び第6絶縁層66は、第3金属層53を挟み込んでいる。この場合、水蒸気などの水分及びガスをより透過させにくくなるため、コンデンサ10の耐湿性を向上させることができる。
【0097】
上述の巻回型コンデンサ素子7及び積層型コンデンサ素子8をコンデンサ素子1として用いる場合、コンデンサ素子1の側面が絶縁性の保護フィルムで被覆されている場合がある。コンデンサ素子1の最外層に位置する第1誘電体フィルム701,801が保護フィルムとして機能する場合がある。これらの場合には、保護フィルムが絶縁層6として機能するため、第3金属ラミネートフィルム33は、第5絶縁層65を有さなくてもよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点では、第3金属ラミネートフィルム33は、第5絶縁層65を有することが好ましい。
【0098】
第1金属ラミネートフィルム31が第1絶縁層61を有し、第2金属ラミネートフィルム32が第3絶縁層63を有する場合、第3金属ラミネートフィルム33は、第6絶縁層66を有さなくてもよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点、及び短絡を抑制するという観点では、第3金属ラミネートフィルム33は、第6絶縁層66を有することが好ましい。
【0099】
第3金属ラミネートフィルム33の絶縁層6の材料は、第1金属ラミネートフィルム31の絶縁層6の材料と同様である。特に絶縁層6(第5絶縁層65及び第6絶縁層66)は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁フィルムであることが好ましい。この場合、コンデンサ10に更に優れた耐湿性を付与することができる。第5絶縁層65及び第6絶縁層66の材料は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0100】
金属ラミネートフィルム3が第3金属ラミネートフィルム33を更に含む場合、コンデンサ10を側方から見たときに、第1金属層51の一部と第3金属層53の一部とが重なっていることが好ましい。これにより、コンデンサ素子1の吸湿をより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0101】
第1金属層51と第3金属層53との重なり部分L1の距離は、5mm以上であることが好ましい。重なり部分L1の距離は、コンデンサ10の側方に位置する第1金属層51の端部と、第3金属層53の第1外部電極21側の端部との軸線方向Rの距離である。重なり部分L1の距離が5mm以上であることで、コンデンサ素子1の吸湿をより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。重なり部分L1の距離は、10mm以上であることがより好ましい。
【0102】
金属ラミネートフィルム3が第3金属ラミネートフィルム33を含む場合、コンデンサ10を側方から見たときに、第2金属層52の一部と第3金属層53の一部とが重なっていることが好ましい。これにより、コンデンサ素子1の吸湿をより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0103】
第2金属層52と第3金属層53との重なり部分L2の距離は、5mm以上であることが好ましい。重なり部分L2の距離は、コンデンサ10の側方に位置する第2金属層52の端部と、第3金属層53の第2外部電極22側の端部との軸線方向Rの距離である。重なり部分L2の距離が5mm以上であることで、コンデンサ素子1の吸湿をより抑制することができる。したがって、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。重なり部分L2の距離は、10mm以上であることがより好ましい。
【0104】
図7Bに第3金属ラミネートフィルム33の製造方法の一例を示す。第3金属ラミネートフィルム33は、例えば、第5絶縁ロール65a、第3金属ロール53a、及び第6絶縁ロール66aを用いて連続的に製造することができる。第5絶縁ロール65aは、長尺状の第5絶縁層65が巻き取られたものである。第3金属ロール53aは、長尺状の第3金属層53が巻き取られたものである。第6絶縁ロール66aは、長尺状の第6絶縁層66が巻き取られたものである。
【0105】
第5絶縁ロール65a、第3金属ロール53a、及び第6絶縁ロール66aから、第5絶縁層65、第3金属層53、及び第6絶縁層66を引き出しつつ、この順に積層して接着することにより、第3金属ラミネートフィルム33を製造することができる。第3金属ラミネートフィルム33は、適宜の大きさに切断して用いることができる。
【0106】
本実施形態では、第5絶縁層65、第3金属層53、及び第6絶縁層66の幅は同じである。
図7Bに示すように、第3金属ラミネートフィルム33において、第5絶縁層65、第3金属層53、及び第6絶縁層66の幅方向の両端は揃っている。
【0107】
<コンデンサの製造方法>
図8A~
図8Cに、本実施形態に係るコンデンサ10の製造方法の第1例~第3例を示す。なお、コンデンサ10の製造方法は、第1例~第3例に限定されない。
【0108】
≪第1例≫
第1例では、
図8Aに示すように、2枚の第1金属ラミネートフィルム31、2枚の第2金属ラミネートフィルム32、及び1枚の第3金属ラミネートフィルム33を用いる。
【0109】
まず第3金属ラミネートフィルム33でコンデンサ素子1の側面を被覆する。
【0110】
次に2枚の第1金属ラミネートフィルム31a,31bと、2枚の第2金属ラミネートフィルム32a,32bとを用いて、コンデンサ素子1の軸線方向Rの両側を包み込む。すなわち、2枚の第1金属ラミネートフィルム31a,31bを用いてコンデンサ素子1の軸線方向Rの第1外部電極21側の側面を挟み込む。そして、第1金属ラミネートフィルム31a,31bの対向する面内の外周部610同士を接着する。さらに第1金属ラミネートフィルム31a,31bの外周部610を、第3金属ラミネートフィルム33の軸線方向Rの第1外部電極21側の端部661に接着する。
【0111】
一方、2枚の第2金属ラミネートフィルム32a,32bを用いてコンデンサ素子1の軸線方向Rの第2外部電極22側の側面を挟み込む。そして、第2金属ラミネートフィルム32a,32bの対向する面内の外周部630同士を接着する。さらに第2金属ラミネートフィルム32a,32bの外周部630を、第3金属ラミネートフィルム33の軸線方向Rの第2外部電極22側の端部662に接着する。
【0112】
上記のようにして、金属ラミネートフィルム3でコンデンサ素子1を封止することができる。このようにしてコンデンサ10が得られる。
【0113】
本実施形態では、
図8Aに示すように、第1金属ラミネートフィルム31a,31bの第1絶縁層61のコンデンサ素子1側の面の外周部610同士を接着している。また第2金属ラミネートフィルム32a,32bの第3絶縁層63のコンデンサ素子1側の面の外周部630同士を接着している。さらにコンデンサ素子1において第1金属ラミネートフィルム31及び第2金属ラミネートフィルム32が被覆していない箇所を第3金属ラミネートフィルム33が被覆している。これにより、コンデンサ素子1を封止している。接着の方法は、特に限定されないが、例えば、熱接着によって接着する方法、及び接着剤を塗布して接着する方法等を用いることができる。
【0114】
第1金属ラミネートフィルム31a,31bの外周部610は、熱接着されていることが好ましい。この場合、2枚の第1金属ラミネートフィルム31a,31bの界面から水蒸気等の水分及びガスが侵入することをより抑制することができ、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0115】
第2金属ラミネートフィルム32a,32bの外周部630は、熱接着されていることが好ましい。この場合、2枚の第2金属ラミネートフィルム32a,32bの界面から水蒸気等の水分及びガスが侵入することをより抑制することができ、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
【0116】
≪第2例≫
第2例では、
図8Bに示すように、1枚の第1金属ラミネートフィルム31、1枚の第2金属ラミネートフィルム32、及び1枚の第3金属ラミネートフィルム33を用いる。
【0117】
まず第3金属ラミネートフィルム33でコンデンサ素子1の側面を被覆する。
【0118】
次に、1枚の第1金属ラミネートフィルム31と、1枚の第2金属ラミネートフィルム32とを用いて、コンデンサ素子1の軸線方向Rの両側を包み込む。すなわち、1枚の第1金属ラミネートフィルム31を用いてコンデンサ素子1の軸線方向Rの第1外部電極21側の側面を包み込む。そして、第1金属ラミネートフィルム31の対向する外周部610を接着する。さらに第1金属ラミネートフィルム31の外周部610を、第3金属ラミネートフィルム33の軸線方向Rの第1外部電極21側の端部661に接着する。
【0119】
一方、1枚の第2金属ラミネートフィルム32を用いてコンデンサ素子1の軸線方向Rの第2外部電極22側の側面を包み込む。そして、第2金属ラミネートフィルム32の対向する外周部630を接着する。さらに第2金属ラミネートフィルム32の外周部630を、第3金属ラミネートフィルム33の軸線方向Rの第2外部電極22側の端部662に接着する。
【0120】
上記のようにして、金属ラミネートフィルム3でコンデンサ素子1を封止することができる。このようにしてコンデンサ10が得られる。
【0121】
本実施形態では、
図8Bに示すように、第1金属ラミネートフィルム31の第1絶縁層61のコンデンサ素子1側の面の外周部610同士を接着している。また第2金属ラミネートフィルム32の第3絶縁層63のコンデンサ素子1側の面の外周部630を接着している。さらにコンデンサ素子1において第1金属ラミネートフィルム31及び第2金属ラミネートフィルム32が被覆していない箇所を第3金属ラミネートフィルム33が被覆している。これにより、コンデンサ素子1を封止している。接着の方法は、特に限定されず、第1例と同様である。
【0122】
≪第3例≫
第3例では、
図8Cに示すように、3つのコンデンサ素子1、2枚の第1金属ラミネートフィルム31、2枚の第2金属ラミネートフィルム32、及び3枚の第3金属ラミネートフィルム33を用いる。
【0123】
まず3つのコンデンサ素子1の側面をそれぞれ1枚の第3金属ラミネートフィルム33で被覆する。
【0124】
次に、3つのコンデンサ素子1を軸線方向Rに垂直な方向に並べる。3つのコンデンサ素子1の軸線方向Rは平行である。そして、2枚の第1金属ラミネートフィルム31a,31bと、2枚の第2金属ラミネートフィルム32a,32bとを用いて、3つのコンデンサ素子1の両側の端部を挟み込む。すなわち、第1金属ラミネートフィルム31a,31bの対向する外周部610同士を接着する。さらに第1金属ラミネートフィルム31a,31bの外周部610を、第3金属ラミネートフィルム33の軸線方向Rの第1外部電極21側の端部661に接着する。一方、第2金属ラミネートフィルム32a,32bの対向する外周部630同士を接着する。さらに第2金属ラミネートフィルム32a,32bの外周部630を、第3金属ラミネートフィルム33の軸線方向Rの第2外部電極22側の端部662に接着する。これにより、金属ラミネートフィルム3で3つのコンデンサ素子1を封止することができる。このようにしてコンデンサ10が得られる。なお、コンデンサ10が備えるコンデンサ素子1の数は、特に限定されない。
【0125】
3.変形例
第1~2実施形態に係るコンデンサ10は、熱収縮チューブ(図示省略)を更に備えてもよい。熱収縮チューブは、コンデンサ素子1を被覆する。熱収縮チューブは、チューブ状に形成された樹脂部材であり、熱を加えると収縮する性質を有する。例えば、熱収縮チューブをコンデンサ10と同じ長さに切り取り、切り取った熱収縮チューブをコンデンサ10にはめて加熱することで、熱収縮チューブが収縮し、これによってコンデンサ10に熱収縮チューブを密着させることができる。熱収縮チューブの材質、厚み、及び大きさは、特に限定されず、コンデンサ10の大きさに合わせて任意のものを用いることができる。コンデンサ10が熱収縮チューブを備えることで、コンデンサ素子1の内部に水蒸気などの水分及びガスが侵入することを抑制しやすくなり、コンデンサ10はより優れた耐湿性を有しうる。なお、熱収縮チューブは、コンデンサ10の最外層に装着されることが好ましい。
【0126】
第1実施形態に係るコンデンサ10が熱収縮チューブを更に備える場合、金属ラミネートフィルム3は、第3絶縁層63を有さなくてもよい。この場合、熱収縮チューブがコンデンサ10の側面の第2金属層52を被覆していればよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点では、金属ラミネートフィルム3は、第3絶縁層63を有することが好ましい。
【0127】
第2実施形態に係るコンデンサ10が熱収縮チューブを更に備える場合、第1金属ラミネートフィルム31は、第2絶縁層62を有さなくてもよい。この場合、熱収縮チューブがコンデンサ10の側面の第1金属層51を被覆していればよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点では、第1金属ラミネートフィルム31は、第2絶縁層62を有することが好ましい。
【0128】
第2実施形態に係るコンデンサ10が熱収縮チューブを更に有する場合、第2金属ラミネートフィルム32は、第4絶縁層64を有さなくてもよい。この場合、熱収縮チューブがコンデンサ10の側面の第2金属層52を被覆していればよい。ただし、コンデンサ10の耐湿性を向上させるという観点では、第2金属ラミネートフィルム32は、第4絶縁層64を有することが好ましい。
【0129】
第1~2実施形態に係るコンデンサ10は、一対の外部電極2を被覆する樹脂封止材(図示省略)を更に備えてもよい。外部電極2を樹脂封止材で被覆することで、外部電極2による吸湿を抑制しやすくなる。
【0130】
樹脂封止材の材料は、特に限定されず、外部電極2よりも水蒸気などの水分及びガスを透過させにくい樹脂材料であればよい。例えば、樹脂封止材の材料として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。この場合、バスバー9を外部電極2に接着した後に、このような樹脂材料を、外部電極2を被覆するように塗布して硬化させることによって樹脂封止材を形成することができる。その後、コンデンサ素子1を金属ラミネートフィルム3で被覆すればよい。樹脂封止材の材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂の硬化温度は120℃以下であることが好ましい。この場合、プリプレグを硬化させる際の熱によるコンデンサ素子1への影響を小さくすることができる。なお、樹脂に無機充填材、公知の硬化剤、及び触媒など添加した樹脂組成物を用いて樹脂封止材を形成してもよい。
【0131】
第1~2実施形態に係るコンデンサ10は、一対の外部電極2を被覆する撥水層(図示省略)を更に備えてもよい。外部電極2を撥水層で被覆することで、外部電極2による吸湿を抑制しやすくなる。
【0132】
撥水層の材料は、特に限定されず、外部電極2よりも水蒸気などの水分及びガスを透過させにくい材料を用いて撥水層を形成すればよい。例えば、フッ素系及びシリコン系の撥水剤を用いて撥水層を形成することができる。この場合、バスバー9を外部電極2に接着した後に、外部電極2を被覆するように撥水剤を塗布して乾燥させることによって撥水層を形成することができる。その後、コンデンサ素子1を金属ラミネートフィルム3で被覆すればよい。
【0133】
4.態様
上記実施形態から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0134】
第1の態様は、コンデンサ(10)であって、コンデンサ素子(1)と、前記コンデンサ素子(1)の両端に設けられた第1外部電極(21)及び第2外部電極(22)と、前記第1外部電極(21)と電気的に接続された第1バスバー(91)と、前記第2外部電極(22)と電気的に接続された第2バスバー(92)と、前記コンデンサ素子(1)の少なくとも一部を被覆する金属ラミネートフィルム(3)と、を備える。前記金属ラミネートフィルム(3)は、互いに絶縁された第1金属層(51)と第2金属層(52)とを有する。
【0135】
この態様によれば、軽量化を実現するとともに、優れた耐湿性を有するコンデンサ(10)を得ることができる。
【0136】
第2の態様は、第1の態様に基づくコンデンサ(10)である。第2の態様では、前記第1金属層(51)は、前記第1バスバー(91)と接着され、前記第2金属層(52)は、前記第2バスバー(92)と接着されている。
【0137】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)による吸湿をより抑制しやすくなる。
【0138】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくコンデンサ(10)である。第3の態様では、前記コンデンサ(10)を側方から見た場合に、前記第1金属層(51)と前記第2金属層(52)とは重なっている。
【0139】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)の吸湿をより抑制しやすくなるとともに、コンデンサ(10)のESLを低減することができる。
【0140】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第4の態様では、前記金属ラミネートフィルム(3)の外周部(610)は、熱接着されている。
【0141】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)の吸湿をより抑制しやすくなる。
【0142】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第5の態様では、前記金属ラミネートフィルム(3)は、少なくとも1つの絶縁層(6;61,62,63)を有する。
【0143】
この態様によれば、コンデンサ(10)の耐湿性を更に高めることができるとともに、第1金属層(51)と第2金属層(52)とを良好に絶縁することができ、短絡を抑制することができる。
【0144】
第6の態様は、第5の態様に基づくコンデンサ(10)である。第6の態様では、絶縁層(6;61,62,63)は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁性フィルムである。
【0145】
この態様によれば、コンデンサ(10)の耐湿性を更に高めることができるとともに、第1金属層(51)と第2金属層(52)とを良好に絶縁することができる。
【0146】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第7の態様では、前記金属ラミネートフィルム(3)は、前記コンデンサ素子(1)の一部及び前記第1外部電極(21)を被覆する第1金属ラミネートフィルム(31;31a,31b)と、前記コンデンサ素子(1)の一部及び前記第2外部電極(22)を被覆する第2金属ラミネートフィルム(32;32a,32b)と、を含む。前記第1金属ラミネートフィルム(31;31a,31b)は、第1金属層(51)を有する。前記第2金属ラミネートフィルム(32;32a,32b)は、第2金属層(52)を有する。
【0147】
この態様によれば、軽量化を実現するとともに、優れた耐湿性を有するコンデンサ(10)を得ることができる。
【0148】
第8の態様は、第7の態様に基づくコンデンサ(10)である。第8の態様では、前記第1金属ラミネートフィルム(31;31a,31b)及び前記第2金属ラミネートフィルム(32;32a,32b)の各々は、少なくとも1つの絶縁層(6;61,62,63,64)を有する。
【0149】
この態様によれば、コンデンサ(10)の耐湿性を更に高めることができる。
【0150】
第9の態様は、第8の態様に基づくコンデンサ(10)である。第9の態様では、前記絶縁層(6;61,62,63,64)は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁性フィルムである。
【0151】
この態様によれば、コンデンサ(10)の耐湿性を更に高めることができる。
【0152】
第10の態様は、第7~第9の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第10の態様では、前記金属ラミネートフィルム(3)は、前記コンデンサ素子(1)の一部を被覆する第3金属ラミネートフィルム(33)を更に備える。前記第3金属ラミネートフィルム(33)は、第3金属層(53)を有する。
【0153】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)による吸湿をより抑制しやすくなる。
【0154】
第11の態様は、第10の態様に基づくコンデンサ(10)である。第11の態様では、前記第3金属ラミネートフィルム(33)は、前記第1外部電極(21)及び前記第2外部電極(22)を被覆しない。
【0155】
この態様によれば、短絡を抑制しやすくなる。
【0156】
第12の態様は、第10又は第11の態様に基づくコンデンサ(10)である。第12の態様では、前記第3金属ラミネートフィルム(33)は、少なくとも1つの絶縁層(6;65,66)を有する。
【0157】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)による吸湿をより抑制しやすくなる。
【0158】
第13の態様は、第12の態様に基づくコンデンサ(10)である。第13の態様では、前記絶縁層(6;65,66)は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリアミドフィルムからなる群から選ばれた少なくとも1種の絶縁性フィルムである。
【0159】
この態様によれば、コンデンサ(10)の耐湿性を更に高めることができる。
【0160】
第14の態様は、第10~第13の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第14の態様では、前記コンデンサ(10)を側方から見た場合に、前記第1金属層(51)の一部と第3金属層(53)の一部とが重なり、第2金属層(52)の一部と第3金属層(53)の一部とが重なっている。
【0161】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)による吸湿をより抑制しやすくなる。
【0162】
第15の態様は、第7~第14の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第15の態様では、前記第1金属ラミネートフィルム(31;31a,31b)の外周部(610)の少なくとも一部は熱接着されている。
【0163】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)の吸湿をより抑制しやすくなる。
【0164】
第16の態様は、第7~第15の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(10)である。第16の態様では、前記第2金属ラミネートフィルム(32;32a,32b)の外周部(630)の少なくとも一部は熱接着されている。
【0165】
この態様によれば、コンデンサ素子(1)の吸湿をより抑制しやすくなる。
【符号の説明】
【0166】
10 コンデンサ
1 コンデンサ素子
21 第1外部電極
22 第2外部電極
3;3a,3b 金属ラミネートフィルム
31;31a,31b 第1金属ラミネートフィルム
32;32a,32b 第2金属ラミネートフィルム
33 第3金属ラミネートフィルム
51 第1金属層
52 第2金属層
53 第3金属層
6 絶縁層
610,630 外周部
91 第1バスバー
92 第2バスバー