(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】帯駆動装置、転写装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20231127BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/00 310
(21)【出願番号】P 2019191938
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-310348(JP,A)
【文献】特開平06-100195(JP,A)
【文献】特開2010-156902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に繋がった帯部材と、
互いに並んで延びて各々が回転し、前記帯部材が掛け回されて循環移動する複数の回転部材と、
前記帯部材の内周面から突出し、当該帯部材の縁に沿って延び、前記回転部材の延伸方向で当該回転部材に並んだ突出体と、
前記帯部材の両縁
のうち前記突出体が設けられた側とは逆側で当該帯部材に並び、当該帯部材が当該延伸方向に偏倚した場合に当該帯部材と接触して偏倚を抑制する接触部材と、を備え、
前記突出体が前記回転部材の端面に接触する場合の前記帯部材の位置と、前記帯部材が前記接触部材に接触する場合の当該帯部材の位置と
の差が、
前記突出体が突出した高さの半分以下であることを特徴とする帯駆動装置。
【請求項2】
前記接触部材は、前記突出体が前記回転部材の端面に接触するよりも先に前記帯部材と接触することを特徴とする請求項
1に記載の帯駆動装置。
【請求項3】
前記接触部材は、少なくとも前記帯部材との接触箇所が、当該接触部材を保持する他の部材よりも摩擦抵抗の低い材質からなることを特徴とする請求項1
または2に記載の帯駆動装置。
【請求項4】
前記接触部材は、前記帯部材との接触に伴って接触面が当該帯部材の移動方向に移動する回転体であることを特徴とする請求項1
または2に記載の帯駆動装置。
【請求項5】
前記回転体は、前記接触面に沿う方向に回転軸が延び、当該接触面が周面となった柱状の部材であることを特徴とする請求項
4に記載の帯駆動装置。
【請求項6】
前記回転体は、前記接触面に交わる方向に回転軸が延び、当該接触面が平面となった板状の部材であることを特徴とする請求項
4に記載の帯駆動装置。
【請求項7】
前記接触部材は、前記帯部材との接触面が前記延伸方向に対して傾いたものであることを特徴とする請求項1
または2に記載の帯駆動装置。
【請求項8】
前記接触部材は、前記接触面に沿う方向に回転軸が延び、当該接触面が周面となった柱状の回転体であることを特徴とする請求項
7に記載の帯駆動装置。
【請求項9】
前記接触面に交わる方向に回転軸が延び、当該接触面が平面となった板状の回転体であることを特徴とする請求項
7に記載の帯駆動装置。
【請求項10】
環状に繋がり、外周面が記録材に接触し、電圧の印加を受けることで当該記録材上に画像を転写する帯部材と、
互いに並んで延びて各々が回転し、前記帯部材が掛け回されて循環移動する複数の回転部材と、
前記帯部材の内周面から突出し、当該帯部材の縁に沿って延び、前記回転部材の延伸方向で当該回転部材に並んだ突出体と、
前記帯部材の両縁の内うち前記突出体が設けられた側とは逆側で当該帯部材に並び、当該帯部材が当該延伸方向に偏倚した場合に当該帯部材と接触して偏倚を抑制する接触部材と、を備え、
前記突出体が前記回転部材の端面に接触する場合の前記帯部材の位置と、前記帯部材が前記接触部材に接触する場合の当該帯部材の位置と
の差が、
前記突出体が突出した高さの半分以下であることを特徴とする転写装置。
【請求項11】
記録材を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記搬送部および前記画像形成部の少なくとも一方に組み込まれた帯駆動装置と、を備え、
前記帯駆動装置が、
環状に繋がった帯部材と、
互いに並んで延びて各々が回転し、前記帯部材が掛け回されて循環移動する複数の回転部材と、
前記帯部材の内周面から突出し、当該帯部材の縁に沿って延び、前記回転部材の延伸方向で当該回転部材に並んだ突出体と、
前記帯部材の両縁の内うち前記突出体が設けられた側とは逆側で当該帯部材に並び、当該帯部材が当該延伸方向に偏倚した場合に当該帯部材と接触して偏倚を抑制する接触部材と、を備え、
前記突出体が前記回転部材の端面に接触する場合の前記帯部材の位置と、前記帯部材が前記接触部材に接触する場合の当該帯部材の位置と
の差が、
前記突出体が突出した高さの半分以下であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯駆動装置、転写装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環状に繋がった帯部材が複数の回転部材に掛け回されて駆動される装置において、帯部材が回転部材に掛かっている位置が回転部材の軸に沿う方向に移動することを抑制するため、帯部材の縁に沿って延びた突出体(リブ)が設けられた構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、ベルトの寄りを防止するため、転写ベルトが幅方向端部の周方向にリブを有し、転写ベルトが接している部分の幅方向の長さが最大である張架ローラが従動ローラになっている画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、突出体が回転部材に乗り上げることによる帯部材の損傷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る帯駆動装置は、
環状に繋がった帯部材と、
互いに並んで延びて各々が回転し、上記帯部材が掛け回されて循環移動する複数の回転部材と、
上記帯部材の内周面から突出し、当該帯部材の縁に沿って延び、上記回転部材の延伸方向で当該回転部材に並んだ突出体と、
上記帯部材の両縁のうち上記突出体が設けられた側とは逆側で当該帯部材に並び、当該帯部材が当該延伸方向に偏倚した場合に当該帯部材と接触して偏倚を抑制する接触部材と、を備え、
上記突出体が上記回転部材の端面に接触する場合の上記帯部材の位置と、上記帯部材が上記接触部材に接触する場合の当該帯部材の位置との差が、前記突出体が突出した高さの半分以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る帯駆動装置は、請求項1の帯駆動装置において、
上記接触部材は、上記突出体が上記回転部材の端面に接触するよりも先に上記帯部材と接触することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る帯駆動装置は、請求項1または2の帯駆動装置において、
上記接触部材は、少なくとも上記帯部材との接触箇所が、当該接触部材を保持する他の部材よりも摩擦抵抗の低い材質からなることを特徴とする。
請求項4に係る帯駆動装置は、請求項1または2帯駆動装置において、
上記接触部材は、上記帯部材との接触に伴って接触面が当該帯部材の移動方向に移動する回転体であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る帯駆動装置は、請求項4の帯駆動装置において、
上記回転体は、上記接触面に沿う方向に回転軸が延び、当該接触面が周面となった柱状の部材であることを特徴とする。
請求項6に係る帯駆動装置は、請求項4の帯駆動装置において、
上記回転体は、上記接触面に交わる方向に回転軸が延び、当該接触面が平面となった板状の部材であることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る帯駆動装置は、請求項1または2の帯駆動装置において、
上記接触部材は、上記帯部材との接触面が上記延伸方向に対して傾いたものであることを特徴とする。
請求項8に係る帯駆動装置は、請求項7の帯駆動装置において、
上記接触部材は、上記接触面に沿う方向に回転軸が延び、当該接触面が周面となった柱状の回転体であることを特徴とする。
【0012】
請求項9に係る帯駆動装置は、請求項7の帯駆動装置において、
上記接触面に交わる方向に回転軸が延び、当該接触面が平面となった板状の回転体であることを特徴とする。
【0013】
請求項10に係る転写装置は、
環状に繋がり、外周面が記録材に接触し、電圧の印加を受けることで当該記録材上に画像を転写する帯部材と、
互いに並んで延びて各々が回転し、上記帯部材が掛け回されて循環移動する複数の回転部材と、
上記帯部材の内周面から突出し、当該帯部材の縁に沿って延び、上記回転部材の延伸方向で当該回転部材に並んだ突出体と、
上記帯部材の両縁の内うち上記突出体が設けられた側とは逆側で当該帯部材に並び、当該帯部材が当該延伸方向に偏倚した場合に当該帯部材と接触して偏倚を抑制する接触部材と、を備え、
上記突出体が上記回転部材の端面に接触する場合の上記帯部材の位置と、上記帯部材が上記接触部材に接触する場合の当該帯部材の位置との差が、前記突出体が突出した高さの半分以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項11に係る画像形成装置は、
記録材を搬送する搬送部と、
上記搬送部によって搬送される記録材に画像を形成する画像形成部と、
上記搬送部および上記画像形成部の少なくとも一方に組み込まれた帯駆動装置と、を備え、
上記帯駆動装置が、
環状に繋がった帯部材と、
互いに並んで延びて各々が回転し、上記帯部材が掛け回されて循環移動する複数の回転部材と、
上記帯部材の内周面から突出し、当該帯部材の縁に沿って延び、上記回転部材の延伸方向で当該回転部材に並んだ突出体と、
上記帯部材の両縁の内うち上記突出体が設けられた側とは逆側で当該帯部材に並び、当該帯部材が当該延伸方向に偏倚した場合に当該帯部材と接触して偏倚を抑制する接触部材と、を備え、
上記突出体が上記回転部材の端面に接触する場合の上記帯部材の位置と、上記帯部材が上記接触部材に接触する場合の当該帯部材の位置との差が、前記突出体が突出した高さの半分以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る帯駆動装置、請求項10に係る転写装置、および請求項11に係る画像形成装置によれば、突出体が回転部材に乗り上げることによる帯部材の損傷を抑制することができる。
また、請求項1に係る帯駆動装置、請求項10に係る転写装置、および請求項11に係る画像形成装置によれば、位置の差が高さの半分を超える場合に較べ、突出体による偏倚抑制と接触部材による偏倚抑制との相乗作用が強い。
請求項2に係る帯駆動装置によれば、突出体の接触が先である場合よりも帯部材の損傷を抑制することができる。
請求項3に係る帯駆動装置によれば、摩擦抵抗が他の部材と同等以上である場合に較べ、摩耗粉の発生が少ない。
請求項4、請求項5、請求項6に係る帯駆動装置によれば、回転しない部材に較べて摩耗粉の発生が少ない。
請求項7、請求項8、請求項9に係る帯駆動装置によれば、接触面が傾かない場合に較べ、前記帯部材の偏倚を修正する効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】画像形成装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】二次転写器の構成を模式的に示す側面図である。
【
図3】二次転写器の構成を模式的に示す上面図である。
【
図4】転写ロール周辺の構造を模式的に示す断面図である。
【
図5】第2実施形態における転写ロール周辺の構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】第3実施形態における転写ロール周辺の構造を模式的に示す断面図である。
【
図7】第4実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
【
図9】第5実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
【
図10】第6実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
【
図11】第7実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
【
図12】第8実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、画像形成装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【0020】
図1に示す画像形成装置1はいわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、この画像形成装置1では記録材として用紙Pが用いられる。なお、記録材としては、用紙P以外にプラスチック紙や封筒も採用され得るが、以下の説明では用紙Pを記録材の代表として用いて説明する。
【0021】
画像形成装置1には、例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色に対応した4つの画像エンジン10Y,10M,10C,10Kが備えられている。また、本実施形態では、各画像エンジン10Y,……,10Kは、いわゆる電子写真方式でトナー画像を形成する。各画像エンジン10Y,……,10Kでは、帯電、露光、現像の各工程を順次に経ることで、各色のトナー画像が各感光体ドラム11Y,11M,11C,11K上に形成される。
【0022】
本実施形態の画像形成装置1では間接転写方式が採用されていて、中間転写ベルト30が備えられている。画像形成装置1には、二次転写器50、定着装置60、および用紙搬送部80も備えられている。
【0023】
中間転写ベルト30は、ベルト支持ロール31~35に架け渡された無端のベルトであり、画像形成部10Y,10M,10C,10K、および二次転写器50を経由して反時計回りに循環移動する。
【0024】
各画像エンジン10Y,……,10Kには、中間転写ベルト30を間に挟んで各感光体ドラム11Y,……,11Kに対向した各位置に一次転写ロール15Y,15M,15C,15Kが配備されている。一次転写ロール15Y,……,15Kは、電圧が印加されることで各感光体ドラム11Y,……,11K上のトナー像を中間転写ベルト30に静電吸引させる。各画像エンジン10Y,……,10Kで形成された各色のトナー画像は、各一次転写ロール15Y,……,15Kによって中間転写ベルト30上に、順次に重ねて転写される。このような転写の結果として中間転写ベルト30上にカラー画像が形成される。中間転写ベルト30は、このカラー画像を保持して移動し、二次転写器50へとカラー画像を搬送する。
【0025】
二次転写器50は、ベルト支持ロール31~35の一つであるバックアップロール34との間に中間転写ベルト30を挟んで位置し、中間転写ベルト30との間に用紙Pを挟んでカラー画像を転写する。
【0026】
用紙Pは、画像形成装置1の下部に設けられた用紙トレイTに積み重なった状態で格納されている。用紙トレイT内の用紙Pは、用紙搬送部80に備えられた繰り出しロール81および捌きロール82によって用紙トレイTから1枚ずつ取り出され、搬送ロール83によって搬送経路Rに沿って搬送される。用紙搬送部80のレジロール84は、中間転写ベルト30によるカラー画像の搬送タイミングに合わせて用紙Pを二次転写器50へと送り込む。
【0027】
二次転写器50は、後で詳述するように、電圧が印加されることで中間転写ベルト30上のカラー画像を用紙Pに転写させる。二次転写器50は、本発明の帯駆動装置の第1実施形態であるとともに、本発明の転写装置の第1実施形態でもある。二次転写器50によってカラー画像が転写された用紙Pは、二次転写器50および用紙搬送部80の搬送ロール83によって定着装置60へと搬送される。
【0028】
画像形成部10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト30、および二次転写器50を併せたものが、本発明にいう画像形成部の一例に相当する。また、二次転写器50および用紙搬送部80を併せたものが、本発明にいう搬送部の一例に相当する。
【0029】
定着装置60は、用紙Pに対して加熱および加圧を行うことでカラー画像を用紙Pに定着させる。定着装置60によってカラー画像が定着された用紙Pは、用紙搬送部80が備える送出ロール86によって画像形成装置1の外部へと送り出される。
以下、二次転写器50について更に詳細に説明する。
【0030】
図2および
図3は、二次転写器の構成を模式的に示す図である。
図2には側面図、
図3には上面図が示されている。また、
図3では、説明の便宜上、二次転写器の内部が透視された状態で構成が示されている。
【0031】
二次転写器50は、転写ロール51と、剥離ロール52と、それらのロールに架け回された無端状の転写ベルト53を備えている。二次転写器50は転写器支持フレーム501に各要素が組み込まれてユニット化されている。転写ロール51および剥離ロール52は回転軸511,521を有し、その回転軸511,521は転写器支持フレーム501によって回転可能に支持されている。転写ロール51と剥離ロール52が、本発明にいう複数の回転部材の一例に相当し、転写ベルト53が、本発明にいう帯部材の一例に相当する。
【0032】
転写ロール51は、転写モータ56によって駆動されて右回りに回転し、転写ベルト53を駆動する。転写ベルト53は、伸縮性の小さい樹脂ベルトであり、転写ロール53による駆動力を受けて右回りに循環移動する。
【0033】
転写ロール51は、転写ベルト53の内側から転写ベルト53を中間転写ベルト30に押し当てている。互いに押し当てられた転写ベルト53と中間転写ベルト30との間に用紙Pが送られてくると、用紙Pは、転写ベルト53および中間転写ベルト30に挟まれて循環方向に搬送される。また、転写ロール51は不図示の電源に接続されていて、その電源から転写バイアスが転写ロール51に印加される。その転写バイアスの作用により、用紙Pが転写ベルト53と中間転写ベルト30との間を通過する間に、中間転写ベルト30上のカラー画像が用紙P上に転写される。
【0034】
剥離ロール52は、転写ロール51と比べ径の小さなロールであり、この剥離ロール52で転写ベルト53の走行方向を急激に曲げることで、その転写ベルト53の上に載った状態にある用紙Pの先端を転写ベルト53から剥離させる。本実施形態では、剥離ロール52は転写ロール51と比べ長さが短く、中間転写ベルト30の移動に追従して回転する。
【0035】
転写ベルト53の縁には、転写ロール51からの脱落を防ぐ樹脂製のリブ531が設けられている。リブ531は、転写ベルト53の内周面から内側に向かって突き出しており、転写ベルト53の縁に沿って転写ベルト53の移動方向へと延びている。また、リブ531は、転写ロール51および剥離ロール52に対し、回転軸511,521の延びる方向に並んでいる。本実施形態では、転写ロール51および剥離ロール52を間に挟んだ両側にリブ531が設けられている。リブ531が、本発明にいう突出体の一例に相当する。
【0036】
二次転写器50は、クリーニングブレード55を備え、クリーニングブレード55は転写ベルト53の外周面に縁が接触している。クリーニングブレード55は転写器支持フレーム501に対して位置が固定されており、転写ベルト53の移動に伴ってクリーニングブレード55の縁が転写ベルト53の外周面を擦る。転写ベルト53に付着したトナーやその他の汚れは、クリーニングブレード55に擦られて転写ベルト53上から擦り落とされる。
図4は、転写ロール周辺の構造を模式的に示す断面図である。
図4には、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0037】
転写ベルト53は、上述したように転写ロール51によって駆動されて循環移動するが、ウォークと称される偏倚を生じる場合がある。ウォークによって転写ベルト53は、循環移動の走行位置が、循環方向と交わる転写ロール51の延伸方向へと偏っていく。
図4には、図の左方へと転写ベルト53が偏倚して、回転軸511を支持した転写器支持フレーム501の一方の壁502側に転写ベルト53が近づいた状態が示されている。
【0038】
このように転写ベルト53が偏倚すると、リブ531が転写ロール51の端部と接触して偏倚を抑制する。ウォークによる転写ベルト53の偏倚が強い場合には、リブ531が転写ロール51の端部と接触したまま更に転写ロール51の端部へと一部乗り上げる場合もある。このようにリブ531が転写ロール51に乗り上げると、転写ベルト53を押し戻す力が働いて転写ベルト53の走行位置が転写ベルト53の中心方向へと戻る。但し、リブ531が転写ロール51に乗り上げた場合、転写ベルト53には強い曲げ応力などが掛かるので、リブ531の乗り上げが繰り返されると転写ベルト53が損傷する虞がある。
また、リブ531の乗り上げが頻回に生じるとクリーニングブレード55の縁が押し上げられて、クリーニング不良の原因となる虞もある。
【0039】
本実施形態では、転写ベルト53の幅、即ち転写ロール51の延伸方向における転写ベルト53のサイズが、壁502から転写ロール51の端面512迄の距離(以下、この距離のことを「壁-端面距離」と称する場合がある。)よりも少し長いサイズとなっており、転写ベルト53の片方(例えば
図4の右側)でリブ531の乗り上げが生じると、もう片方で転写ベルト53の縁が壁502に接触する。転写ベルト53と壁502との接触は、転写ベルト53の走行位置を転写ベルト53の中心方向へと戻す力を生じるので、転写ロール51に対するリブ531の乗り上げとの相乗効果によって、転写ベルト53は強く戻されることになる。これにより、リブ531が転写ロール51に乗り上げている時間が短縮され、リブ531の乗り上げに伴う転写ベルト53の損傷が抑制される。
【0040】
転写ベルト53の幅が壁-端面距離未満であると、転写ベルト53の縁が壁502に接触する前に、リブ531が転写ロール51の外周面上に完全に乗ってしまう。つまり、縁が壁502に接触し始めた時点の転写ベルト53の位置(以下この位置のことを「壁接触位置」と称する場合がある。)と、リブ531が転写ロール51の端面に接触し始めた時点の転写ベルト53の位置(以下この位置のことを「端面接触位置」と称する場合がある。)との差がリブ531の幅以上、即ち転写ロール51の延伸方向におけるリブ531のサイズ以上となる。このため、転写ベルト53の縁が壁502に接触した時点では、リブ531による転写ベルト53の偏倚抑制の作用が失われ、上述した相乗効果が得られない。従って、転写ベルト53の幅は壁-端面距離よりも大きいこと、即ち壁接触位置と端面接触位置との差がリブ531の幅未満であることが望ましい。このような望ましい転写ベルト53の幅は、転写ベルト53と壁502の接触による転写ベルト53の偏倚抑制と、リブ531と転写ロール51の端部の接触による転写ベルト53の偏倚抑制とが併発する幅と言える。
【0041】
より詳細には、転写ベルト53の幅が壁-端面距離よりも、リブ531の高さの半分を越えて大きい、即ちリブ531が転写ベルト53から突出している量の半分を越えて大きい場合は、転写ベルト53が壁502に接触した時に、転写ロール51の縁はリブ531の高さの半分を越えた先端側と接触することになる。そのため、転写ベルト53が強く反った状態になり、リブ531が転写ベルト53を押し戻す力は弱いため、上述した偏倚抑制の併発による相乗効果も弱いと考えられる。従って、転写ベルト53の幅は、壁-端面距離よりもリブ531の高さの半分以下だけ大きいことが望ましい。
【0042】
なお、上述した転写ベルト53と転写ロール51と壁502との配置やサイズなどは、転写ベルト53と剥離ロール52と壁502との相互間でも同様となっていて、上述した偏倚抑制の併発が、転写ベルト53と剥離ロール52と壁502との相互間でも生じているものとする。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、転写ベルト53の幅が異なっている点を除いて第1実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第1実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
図5は、第2実施形態における転写ロール周辺の構造を模式的に示す断面図である。
図5にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0044】
第2実施形態では、転写ベルト53の幅が壁-端面距離に対してリブ531の幅よりも大きい。この結果、転写ロール51の端面に対してリブ531が接触する前に、壁502に対する転写ベルト53の接触が始まることになる。これにより、リブ531の乗り上げ自体が抑制されることになり、リブ531の乗り上げに伴う転写ベルト53の損傷が第1実施形態よりも一層抑制される。
【0045】
転写ベルト53の幅が大きすぎると、転写ロール51の端面に対してリブ531が接触した時点で、壁502と接触した側の転写ベルト53がつぶれてしまい、転写ベルト53を押し戻す力が得られない虞がある。より詳細には、壁接触位置と端面接触位置との差がリブ531の幅以下であれば、転写ロール51の端面に対してリブ531が接触した時点でも、壁502との接触で転写ベルト53を押し戻す反力が充分に生じ、相乗効果によって転写ベルト53の走行位置が転写ベルト53の中心方向へと戻されることが期待される。つまり、壁接触位置と端面接触位置との差がリブ531の幅以下であれば、上述した偏倚抑制の併発による相乗効果が大きいと期待される。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、壁502の構成が異なっている点を除いて第2実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第2実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
図6は、第3実施形態における転写ロール周辺の構造を模式的に示す断面図である。
図6にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0047】
第3実施形態では、転写ベルト53と接触する壁502の材質が、例えばダイヤモンド・ライク・カーボンによる表面処理が施されたものとなっており、転写器支持フレーム501において壁502を保持している他の箇所よりも摩擦が低い。このような材質の壁502が設けられていることにより、第3実施形態では、転写ベルト53が壁502と接触した場合にも摩耗粉の発生が少なく、転写ベルト53の寿命が長い。
【0048】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、壁502の構成が異なっている点を除いて第3実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第3実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
【0049】
図7は、第4実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
図7にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0050】
第4実施形態では、転写ベルト53と壁502と接触による摩擦を更に低減させるため、転写ベルト53と接触する壁502の箇所に回転部材503が設けられている。転写ベルト53は柱状の回転部材503の周面と接触する。回転部材503の回転軸は壁502に沿っていて、回転部材503は転写ベルト53との接触により、転写ベルト53の移動方向に追従して回転する。これにより、転写ベルト53と壁502と接触による摩擦は大きく低減され、摩耗粉の発生も大幅に低減される。
図8は、回転部材の設置箇所を示す図である。
【0051】
回転部材503は、転写ベルト53が壁502と接触した場合に大きな力が掛かる箇所に設けられる。具体的には、転写ロール51および剥離ロール52に対する転写ベルト53の巻き始めと巻き終わりの箇所に、壁502との接触で大きな力が掛かる。そこで、
図8に示すように、転写ロール51に対する転写ベルト53の巻き始めと巻き終わりの箇所、および剥離ロール52に対する転写ベルト53の巻き始めと巻き終わりの箇所に回転部材503が設けられる。さらに、
図8に示す4箇所では、
図7に示すように、転写ロール51および剥離ロール52の回転軸511,521を挟んだ上下箇所(即ち
図8の紙面に垂直な方向の奥側と手前側)の双方に回転部材503が設けられる。つまり、
図8に示す例では合計で8箇所に回転部材503が設けられる。
【0052】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態は、回転部材の構成が異なっている点を除いて第4実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第4実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
【0053】
図9は、第5実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
図9にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0054】
第5実施形態では、転写ロール51と同軸に配置され、転写ロール51と別個に回転する板状の回転部材504が設けられている。転写ベルト53は回転部材504の平面状の表面と接触し、回転部材504は転写ベルト53の移動に追従して回転する。このような回転部材504でも、転写ベルト53と壁502と接触による摩擦は大きく低減され、摩耗粉の発生も大幅に低減される。
【0055】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。この第6実施形態は、回転部材の構成が異なっている点を除いて第4実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第4実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
【0056】
図10は、第6実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
図10にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0057】
第6実施形態では、壁502に対して回転軸が傾いた回転部材505が設けられている。第6実施形態の回転部材505も、周面が転写ベルト53と接触し、転写ベルト53の移動に追従して回転する。第6実施形態の回転部材505の場合には、回転軸が傾いているため、転写ベルト53が接触することによって転写ベルト53は内側へと押し込まれる。この結果、転写ベルト53の走行位置が転写ベルト53の中心方向へと誘導される。このような誘導に要する力は、回転部材505の回転軸が傾いていない場合の接触力よりも小さいので、走行位置の変更による転写ベルト53への負担が小さい。
【0058】
次に、本発明の第7実施形態について説明する。この第7実施形態は、回転部材の構成が異なっている点を除いて第6実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第6実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
【0059】
図11は、第7実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
図11にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0060】
第7実施形態でも、壁502に対して回転軸が傾いた回転部材506が設けられている。第7実施形態の回転部材506は円盤状であり、円盤の平らな表面で転写ベルト53と接触する。第7実施形態でも、傾いた円盤の表面によって転写ベルト53が内側へと押し込まれ、転写ベルト53の走行位置が転写ベルト53の中心方向へと誘導される。
【0061】
次に、本発明の第8実施形態について説明する。この第8実施形態は、回転部材の構成が異なっている点を除いて第6実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第6実施形態との相違点に着目して説明を行い、重複説明は省略する。
【0062】
図12は、第8実施形態における転写ロールの一端側の構造を模式的に示す断面図である。
図12にも、転写ロール51を
図2の右方向から見た状態の図が示されている。
【0063】
第8実施形態では、壁502から垂直に突き出した回転軸を有する回転部材507が設けられている。回転部材507は傘状の回転面を有しており、この回転面が壁502に対して傾いている。回転部材507は傘状の回転面で転写ベルト53と接触することで転写ベルト53を内側へと押し込む。この結果、第8実施形態でも、転写ベルト53の走行位置が転写ベルト53の中心方向へと誘導される。
【0064】
なお、上記説明では、本発明にいう突出体が本発明にいう帯部材の両縁に設けられた例が示されているが、本発明にいう突出体は、例えばウォークの傾向が片側のみに強い場合などは、帯部材の片側のみに設けられてもよい。
【0065】
また、上記説明では、本発明の帯駆動装置が転写装置に適用された例が示されているが、本発明の帯駆動装置は、中間転写ベルトを駆動するユニットや用紙搬送ベルトを駆動する装置などに適用されても良い。
【0066】
また、上記説明では、本発明の画像形成装置の実施形態としてカラープリンタが例示されているが、本発明の画像形成装置は、モノクロ専用のプリンタであってもよいし、コピー機やファクシミリや複合機であってもよい。
【0067】
また、本発明は、「発明が解決しようとする課題」欄に記載された課題を解決する目的で発明されたものであるが、本発明の構成は、この課題を解決しない形での他の目的への転用が妨げられるものではなく、そのように本発明の構成が転用された形態も本発明の一実施形態である。
【符号の説明】
【0068】
1……画像形成装置、 10Y,10M,10C,10K……画像エンジン、
30……中間転写ベルト、 50……二次転写器、 501……転写器支持フレーム、
502……壁、 503,504,505,506,507……回転部材、
51……転写ロール、52……剥離ロール、53……転写ベルト、53……リブ、
56……転写モータ、55……クリーニングブレード、60……定着装置、
80……用紙搬送部