(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 9/10 20060101AFI20231127BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20231127BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20231127BHJP
H01G 9/048 20060101ALI20231127BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H01G9/10 G
H01G4/30 311A
H01G9/00 290E
H01G9/048 F
H01G9/08 C
(21)【出願番号】P 2019098035
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎也
(72)【発明者】
【氏名】宗安 康太
(72)【発明者】
【氏名】隈川 隆博
(72)【発明者】
【氏名】山崎 蓮姫
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079866(JP,A)
【文献】特開2006-216786(JP,A)
【文献】特開2010-062406(JP,A)
【文献】特開2010-183047(JP,A)
【文献】特開昭63-78515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 9/00
H01G 9/012
H01G 9/048
H01G 9/08
H01G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を有する箔状のコンデンサ素子を前記コンデンサ素子の一面と平行な方向に複数つなげた状態の素子集合体を形成する工程と、
複数の前記素子集合体を前記コンデンサ素子の厚み方向に積層することにより、前記厚み方向に積層された複数の前記コンデンサ素子を含む積層体を複数形成する工程と、
前記複数の積層体を積層体毎に個片化する工程と、を有
し、
前記厚み方向で隣り合う前記コンデンサ素子の間に陰極となる陰極体を形成する工程を更に有し、
前記陰極体は、前記陰極体の一面と平行な方向に複数つなげた状態の陰極集合体を形成し、
前記陰極集合体の表面上のレジストを形成する工程を更に有し、
前記陰極集合体は、前記レジストによって区画されている、
固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項2】
前記各素子集合体において、前記複数のコンデンサ素子は、前記コンデンサ素子の一面に沿いかつ互いに直交する第1の方向と第2の方向との両方に並ぶように二次元配置されている、
請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記複数のコンデンサ素子は、それぞれ陽極部及び陰極部を有し、
前記素子集合体において、前記素子集合体の一面と平行な方向に隣り合う前記コンデンサ素子の陽極部及び陰極部の位置が逆である、
請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項4】
前記素子集合体は、レジストによって区画されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
前記複数の素子集合体が基板上で積層され、前記基板の厚みのうちの一部を残して前記素子集合体を切断し、溝を形成する工程を更に有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
積層された前記複数の素子集合体を樹脂でモールドする工程を更に有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項7】
積層された前記複数の素子集合体を樹脂でモールドする工程を更に有し、
前記モールドする工程は、前記溝を形成する工程の前と後とに少なくとも2回行う、
請求項
5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項8】
前記溝を形成する工程の後に前記モールドする工程でモールドする樹脂は、前記溝に充填される、
請求項
7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項9】
前記個片化する工程は、前記溝に沿って切断する工程を含む、
請求項
5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項10】
前記個片化する工程は、前記溝の幅内にあるカットラインで切断する工程を含む、
請求項
5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項11】
積層された前記複数の素子集合体を樹脂でモールドする工程を更に有し、
前記素子集合体及び前記陰極集合体は、それぞれ、前記樹脂が充填される孔を有する、
請求項
1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項12】
前記素子集合体の前記孔及び前記陰極集合体の前記孔の少なくとも一方の開口縁部にはレジストが形成されている、
請求項
11に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項13】
前記素子集合体の前記孔と前記陰極集合体の前記孔とは、少なくとも一部が前記厚み方向で重なるように配置される、
請求項
11又は12に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項14】
前記厚み方向で重なった前記素子集合体の前記孔と前記陰極集合体の前記孔とは形状が異なる、
請求項
13に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項15】
前記個片化する工程は、前記素子集合体の前記孔及び前記陰極集合体の前記孔の位置で、前記素子集合体及び前記陰極集合体を切断する工程を含む、
請求項
11~14のいずれか1項に記載の
固体電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に固体電解コンデンサの製造方法に関し、より詳細には、誘電体層を有する箔状のコンデンサ素子を使用する固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された固体電解コンデンサは、コンデンサ素子を陽極リードフレーム及び陰極リードフレームに搭載し、リードフレームの一部を露出させるようにして成形樹脂にてモールドすることにより製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された固体電解コンデンサでは、静電容量の向上のために、例えば、コンデンサ素子の積層数を多くしようとすると、生産性が低下することがあった。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、生産性を向上することができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る固体電解コンデンサの製造方法は、素子集合体を形成する工程と、積層体を複数形成する工程と、個片化する工程と、を有する。素子集合体を形成する工程は、誘電体層を含む平板状のコンデンサ素子を前記コンデンサ素子の一面と平行な方向に複数つなげた状態の素子集合体を形成する。積層体を複数形成する工程は、複数の前記素子集合体を前記コンデンサ素子の厚み方向に積層することにより、前記厚み方向に積層された複数の前記コンデンサ素子を含む積層体を複数形成する。個片化する工程は、前記複数の積層体を積層体毎に個片化する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、生産性を向上することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1A、
図1B及び
図1Cは、本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態において、素子集合体の製造工程を説明する説明図である。
【
図2】
図2A、
図2B及び
図2Cは、本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態において、陰極集合体の製造工程を説明する説明図である。
【
図3】
図3Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態における積層工程を示す平面図である。
図3Bは同上の断面図である。
図3Cは、同上の斜視図である。
【
図4】
図4Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態における樹脂封止工程を示す平面図である。
図4Bは同上の断面図である。
【
図5】
図5Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態におけるダイシング工程を示す平面図である。
図5Bは同上の断面図である。
【
図6】
図6Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態における樹脂封止工程を示す平面図である。
図6Bは同上の断面図である。
【
図7】
図7Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態におけるダイシング工程を示す平面図である。
図7Bは同上の断面図である。
【
図8】
図8Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態におけるめっき工程を示す説明図である。
図8Bは同上のめっき後の積層体の断面図である。
【
図9】
図9Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態における個片化する工程を示す平面図である。
図9Bは同上の断面図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態における電極形成工程を示す断面図である。
【
図11】
図11Aは本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施形態における電極形成工程を示す説明図である。
図11Bは固体電解コンデンサを示す断面図である。
【
図12】
図12は本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法で得られる固体電解コンデンサの変形例を示す断面図である。
【
図13】
図13は本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法で得られる固体電解コンデンサの変形例を示す平面図である。
【
図14】
図14は本開示に係る固体電解コンデンサの製造方法で得られる固体電解コンデンサの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1~
図11Aは、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法を示している。
図11Bは、上記製造方法で製造された固体電解コンデンサ1の断面図を示している。
【0010】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法を説明する。
【0011】
(1)素子集合体形成工程
図1A~
図1Cは素子集合体形成工程を示している。素子集合体形成工程は、誘電体層12を有する箔状(板状も含む)のコンデンサ素子10をコンデンサ素子10の一面と平行な方向に複数つなげた状態の素子集合体100を形成する工程である。すなわち、素子集合体形成工程は素子集合体100を形成するための工程である。素子集合体100は、誘電体層12を含む箔状のコンデンサ素子10を複数有している。複数のコンデンサ素子10は、コンデンサ素子10の一面と平行な方向に複数つながった状態で形成されている。なお、コンデンサ素子10の一面とは、コンデンサ素子10の厚み方向に並ぶ面であって、平面視(コンデンサ素子10を厚み方向から見ること)で視認される面である。
【0012】
素子集合体形成工程は、レジスト形成工程と、孔形成工程とを含んでいる。
【0013】
(1-1)レジスト形成工程
レジスト形成は、素子基板101に対してレジスト102を形成する工程である。
図1Aに示すように、素子基板101は、平面視で四角形であり、表面の略全面に多孔質(ポーラス)層を有し、かつ導電性を有する金属板(金属箔)である。金属箔の多孔質層の表面には、誘電体で形成される誘電体層103が形成されている。素子基板101は、弁作用金属を含んでいる。弁作用金属は、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン等、並びにこれらを含む合金を含む。誘電体層103は素子基板101の厚み方向の少なくとも一面に形成されている。本実施形態では、誘電体層103は、素子基板101の厚み方向の両面に形成されている。
【0014】
本実施形態では、素子基板101の金属板(金属箔)に含まれる弁作用金属はアルミニウムである。この場合、素子基板101の表面にはエッチングにより多孔質層が形成されており、その多孔質の表面に沿ってアルミニウムの酸化物である酸化アルミニウム(Al2O3)の誘電体層103が形成されている。そして、コンデンサ素子10が有する陽極側導電部11はアルミニウム(Al)製の金属板(金属箔)で形成され、コンデンサ素子10が有する誘電体層12は、陽極側導電部11の表面に形成され、酸化アルミニウムを含んでいる。
【0015】
レジスト102は、
図1Bに示すように、平面視において、素子基板101の少なくとも一面に形成されている。本実施形態では、素子基板101の厚み方向の両面にレジスト102が形成されている。レジスト102は、
図1Bに示すように、格子状に形成されている。レジスト102は、例えば、多孔質層の一部に樹脂を含浸することにより形成されている。レジスト102は、素子基板101のうちのレジスト102以外の部分よりも導電性が低い部分である。したがって、レジスト102は、素子基板101のうちのレジスト102以外の部分よりも電気的な絶縁性が高い部分となる。
【0016】
レジスト102は、平面視において、第1の方向Xに沿って延びる(長い)線状部112と、第2の方向Yに沿って延びる(長い)線状部122と、をそれぞれ複数含んでいる。そして、複数の線状部112と複数の線状部122とが直交することにより、全体として格子状のレジスト102が形成されている。なお、第1の方向Xと第2の方向Yとは、コンデンサ素子10の一面に沿いかつ互いに直交する2つの方向である。
【0017】
素子集合体100は、レジスト102によって区画されている。すなわち、素子集合体100はレジスト102により複数の部分に区切られており、レジスト102で区画された複数の部分のそれぞれが一つのコンデンサ素子10に対応している。そして、レジスト102はコンデンサ素子10の端面になる部分を含んでいる。したがって、レジスト形成工程においてレジスト102を形成することにより、コンデンサ素子10の端部が電気的に絶縁化された部分が形成されることになる。
【0018】
レジスト102を樹脂含浸で形成する場合は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット、転写、テープ貼り付け等の方法で、樹脂を誘電体層103の表面に供給することができる。レジストは、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドおよび不飽和ポリエステル等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0019】
(1-2)孔形成工程
孔形成工程は、レジスト形成工程後に、
図1Cに示すように、レジスト102を形成した素子基板101に孔104を形成する工程である。孔形成工程では、例えば、プレス成形により、素子基板101の一部を打ち抜いて孔104を形成することができる。孔104は1枚の素子基板101に複数形成される。孔104は、平面視において、レジスト102の一部に形成される。つまり、各孔104は、レジスト102及び素子基板101を厚み方向に貫通している。すなわち、孔104は、素子基板101の厚み方向の一面に形成したレジスト102の表面と、素子基板101の厚み方向の他面に形成したレジスト102の表面との両方に開口している。
【0020】
複数の孔104は、各々、第1の方向Xに沿って延びる長孔である。各孔104は、第1の方向Xに沿って延びる線状部112上に形成されている。各孔104は、第2の方向Yの寸法が線状部112の第2の方向Yの寸法よりも小さい。各孔104は、線状部112と線状部122の交差部分P上に形成されている。複数の孔104のうち、大部分の孔104は2つの交差部分Pにまたがるように形成されている。複数の孔104のうち、一部の孔104は1つの交差部分P上に形成されている。言い換えれば、素子集合体100の第1の方向Xの端部に位置する孔104は、1つの交差部分P上に形成され、その他の孔104は2つの交差部分Pにまたがるように形成される。
【0021】
複数の孔104は、平面視において、第2の方向Yで隣り合う2つの孔104が第1の方向Xで所定のピッチでずれている状態に配置されている。すなわち、第2の方向Yに並ぶ複数の孔104は、各孔104の中心を結ぶ線が平面視でジグザグになるように並んでおり、第2の方向Yに並ぶ複数の孔104は直線状に並んでいない。つまり、平面視において、第2の方向Yにおいて隣り合う2つの孔104は、第1の方向Xの端部同士が対向している。言い換えると、平面視において、第2の方向Yにおいて隣り合う2つの孔104は、第1の方向Xの中央同士は対向していない。
【0022】
複数の孔104は、第1の孔105と第2の孔106とを含んでいる。第1の孔105は、
図1Cの平面図において、複数の線状部112のうち、第2の方向Yの一端側(
図1Cの上方)から数えて奇数番目に位置する線状部112上に形成されている。第2の孔106は、
図1Cの平面図において、複数の線状部112のうち、第2の方向Yの一端側(
図1Cの上方)から数えて偶数番目に位置する線状部112上に形成されている。
【0023】
なお、誘電体層103が形成されていない金属箔を使用する場合は、打ち抜き工程後に、複数の孔104を打ち抜いた際に露出した金属箔の露出面に、誘電体層103を形成してもよい。
【0024】
(1-3)素子集合体
上記のレジスト形成工程と孔形成工程とを行って、
図1Cのような素子集合体100が形成されている。素子集合体100において、複数のコンデンサ素子10は、コンデンサ素子10の一面に沿い、かつ互いに直交する第1の方向Xと第2の方向Yとの両方に並ぶように、二次元配置されている。すなわち、素子集合体100には、第1の方向Xに沿って延びる線状部112と、第2の方向Yに沿って延びる線状部122とで格子状のレジスト102が形成されている。そして、第1の方向Xにおいて隣り合う2つの線状部122と、第2の方向Yにおいて隣り合う2つの線状部112とで囲まれる部分が一つのコンデンサ素子10として形成される。したがって、素子集合体100には、複数のコンデンサ素子10が形成されており、複数のコンデンサ素子10が第1の方向Xと第2の方向Yとの両方に並んで形成されている。
【0025】
複数のコンデンサ素子10は、それぞれ陽極部13及び陰極部14を有する。複数のコンデンサ素子10は、素子集合体100において、素子集合体100の一面と平行な方向に隣り合うコンデンサ素子10の陽極部13及び陰極部14の位置が逆である。すなわち、各コンデンサ素子10は、陽極部13及び陰極部14を有しており、平面視において、隣り合うコンデンサ素子10の陽極部13と陰極部14との位置が反対になっている。陽極部13は、固体電解コンデンサ1の陽極となる電極が形成される側の端部である。陰極部14は、固体電解コンデンサ1の陰極となる電極が形成される側の端部である。
【0026】
各コンデンサ素子10は、第2の方向Yと平行な方向における一方の端部に陽極部13を有し、第2の方向Yと平行な方向における他方の端部に陰極部14を有している。すなわち、各コンデンサ素子10において、第2の方向Yと平行な方向に並ぶ端部は、いずれか一方が陽極部13として形成され、他方が陰極部14として形成されている。そして、第1の方向Xにおいて隣り合うコンデンサ素子10において、一方のコンデンサ素子10aの陽極部13aの位置が、他方のコンデンサ素子10bの陽極部13bの位置と、第2の方向Yにおいて逆(反対)である。同様に、第1の方向Xにおいて隣り合うコンデンサ素子10において、一方のコンデンサ素子10aの陰極部14aの位置が、他方のコンデンサ素子10bの陰極部14bの位置と、第2の方向Yにおいて逆(反対)である。したがって、第1の方向Xにおいて隣り合うコンデンサ素子10において、一方のコンデンサ素子10aの陽極部13aが、他方のコンデンサ素子10bの陰極部14bと隣り合っている。また第1の方向Xにおいて隣り合うコンデンサ素子10において、一方のコンデンサ素子10aの陰極部14aが、他方のコンデンサ素子10bの陽極部13bと隣り合っている。
【0027】
各コンデンサ素子10の陽極部13には、第1の方向Xに並ぶ2つの孔104の各端部が対応して形成されている。各コンデンサ素子10の陰極部14には、1つの孔104が対応して形成されている。
【0028】
素子集合体100の孔104の少なくとも一方の開口縁部にはレジスト102が形成されている。すなわち、平面視において、レジスト102は孔104を囲むように形成されている。レジスト102が素子集合体100の厚み方向のいずれか片面にのみ形成されている場合は、その片面における孔104の開口縁部にレジスト102が形成されていることになる。
【0029】
素子集合体100は、樹脂50が充填される孔104を有する。すなわち、素子集合体100の孔104には後述の樹脂封止工程により樹脂50が充填される。この場合、樹脂50はレジスト102に形成された孔104の開口から孔104の内側に流入して充填される。
【0030】
(2)陰極集合体形成工程
図2A~
図2Cは陰極集合体形成工程を示している。本実施形態において、陰極体20は、陰極体20の一面と平行な方向に複数つなげた状態の陰極集合体200を形成している。すなわち、陰極集合体形成工程は、陰極集合体200を形成する工程である。陰極集合体200を、複数の陰極体20が、陰極体20の一面と平行な方向につながって構成される。言い換えると、陰極集合体形成工程は陰極集合体200を形成する工程であって、陰極集合体200は、複数の平板状の陰極体20が陰極体20の一面と平行な方向に複数つながった状態で形成されている。なお、陰極体20の一面とは、陰極体20の厚み方向に並ぶ面であって、平面視(陰極体20を厚み方向から見ること)で視認される面である。
【0031】
陰極集合体形成工程は、レジスト形成工程と、孔形成工程とを含んでいる。
【0032】
(2-1)レジスト形成工程
レジスト形成加工は、陰極集合体200の表面上のレジストを形成する工程である。
すなわち、レジスト形成加工は、陰極基板201に対してレジスト202を形成する工程である。
図2Aに示すように、陰極基板201は平面視で四角形であり、導電性を有する金属板(金属箔)である。陰極基板201は、例えば、アルミニウム並びにこれらを含む合金を含む。また陰極基板201の表面には全面にわたって導電材料としてカーボン層203が形成されていてもよい。これにより、陰極体20は、表面にカーボン層203を有する平板状の金属箔である。なお、陰極基板201の表面には導電材料の層が形成されていなくてもよい。またカーボン層203の代わりに、チタン層を形成することも可能である。
【0033】
レジスト202は、
図2Bに示すように、平面視において、陰極基板201の少なくとも一面に格子状に形成されている。本実施形態では、陰極基板201の厚み方向の両面にレジスト202が形成されている。レジスト202は電気絶縁性を有する樹脂の被膜で形成される。レジスト202は、例えば、エポキシ樹脂を含んでいる。
【0034】
レジスト202は、平面視において、第1の方向Xに沿って延びる(長い)線状部212と、第2の方向Yに沿って延びる(長い)線状部222と、をそれぞれ複数含んでいる。そして、線状部212と線状部222とが直交することにより、全体として格子状のレジスト202が形成されている。なお、第1の方向Xと第2の方向Yとは、陰極体20の一面に沿いかつ互いに直交する2つの方向である。
【0035】
陰極集合体200は、レジスト202によって区画されている。すなわち、陰極集合体200はレジスト202により複数の部分に区切られており、レジスト202で区画された複数の部分のそれぞれが一つの陰極体20に対応している。そして、レジスト202は陰極体20の端面になる部分を含んでいる。
【0036】
レジスト202は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット、転写、テープ貼り付け等の方法で、樹脂を陰極基板201に供給して形成することができる。
【0037】
(2-2)孔形成工程
孔形成工程は、レジスト形成加工後に、
図2Cに示すように、レジスト202を形成した陰極基板201に孔204を形成する工程である。孔形成工程では、例えば、プレス成形により、陰極基板201の一部を撃ち抜いて孔204を形成することができる。孔204は一枚の陰極基板201に複数形成される。孔204は、平面視において、レジスト202の一部に形成される。つまり、各孔204は、レジスト202及び陰極基板201を厚み方向に貫通している。つまり、孔204は、陰極基板201の厚み方向の一面に形成したレジスト202の表面と、陰極基板201の厚み方向の他面に形成したレジスト202の表面との両方に開口している。
【0038】
複数の孔204は、各々、第1の方向Xに沿って延びる長孔である。各孔204は、第1の方向Xに沿って延びる線状部212上に形成されている。各孔204は、第2の方向Yの寸法が線状部212の第2の方向Yの寸法よりも小さい。各孔204は、線状部212と線状部222の交差部分P上に形成されている。複数の孔204のうち、大部分の孔204は2つの交差部分Pにまたがるように形成されている。複数の孔204のうち、一部の孔204は1つの交差部分P上に形成されている。言い換えれば、陰極集合体200の第1の方向Xの端部に位置する孔204は、1つの交差部分P上に形成され、その他の孔204は、2つの交差部分Pにまたがるように形成される。
【0039】
複数の孔204は、平面視において、第2の方向Yで隣り合う2つの孔204が第1の方向Xで所定のピッチでずれている状態に配置されている。すなわち、第2の方向Yに並ぶ複数の孔204は、各孔204の中心を結ぶ線が平面視でジグザグになるように並んでおり、第2の方向Yに並ぶ複数の孔204は直線状に並んでいない。つまり、平面視において、第2の方向Yにおいて隣り合う2つの孔204は、第1の方向Xの端部同士が対向している。言い換えると、平面視において、第2の方向Yにおいて隣り合う2つの孔204は、第1の方向Xの中央同士は対向していない。複数の孔204は、第3の孔205と第4の孔206とを含んでいる。第3の孔205は、
図2Cの平面図において、複数の線状部212のうち、第2の方向Yの一端側(
図2Cの上方)から数えて偶数番目に位置する線状部212上に形成されている。第4の孔206は、
図2Cの平面図において、複数の線状部212のうち、第2の方向Yの一端側(
図2Cの上方)から数えて奇数番目に位置する線状部212上に形成されている。
【0040】
(2-3)陰極集合体
上記のレジスト形成加工と孔形成工程とを行って、
図2Cのような陰極集合体200が形成されている。陰極集合体200において、複数の陰極体20は、陰極体20の一面に沿いかつ互いに直交する第1の方向Xと第2の方向Yとの両方に並ぶように二次元配置されている。すなわち、陰極集合体200には、第1の方向Xに沿って延びる線状部212と、第2の方向Yに沿って延びる線状部222とで格子状のレジスト202が形成されている。そして、第1の方向Xにおいて隣り合う線状部222と、第2の方向Yにおいて隣り合う線状部212とで囲まれる部分が一つの陰極体20として形成される。したがって、陰極集合体200には、複数の陰極体20が形成されており、複数の陰極体20が第1の方向Xと第2の方向Yとの両方に並んで形成されている。
【0041】
複数の陰極体20は、それぞれ陽極部23及び陰極部24を有する。陽極部23は、固体電解コンデンサ1において陽極となる電極が形成される側の端部である。陰極部24は、固体電解コンデンサ1において陰極となる電極が形成される側の端部である。陰極集合体200において、陰極集合体200の一面と平行な方向に隣り合う陰極体20の陽極部23及び陰極部24の位置が逆である。すなわち、各陰極体20は、陽極部23及び陰極部24を有しており、平面視において、隣り合う陰極体20の陽極部23と陰極部24との位置が反対になっている。
【0042】
各陰極体20は、第2の方向Yと平行な方向における一方の端部に陽極部23を有し、第2の方向Yと平行な方向における他方の端部に陰極部24を有している。すなわち、各陰極体20において、第2の方向Yと平行な方向に並ぶ端部は、いずれか一方が陽極部23として形成され、他方が陰極部24として形成されている。そして、第1の方向Xにおいて隣り合う陰極体20において、一方の陰極体20aの陽極部23aの位置が、他方の陰極体20bの陽極部23bの位置と、第2の方向Yにおいて逆(反対)である。同様に、第1の方向Xにおいて隣り合う陰極体20において、一方の陰極体20aの陰極部24aの位置が、他方の陰極体20bの陰極部24bの位置と、第2の方向Yにおいて逆(反対)である。したがって、第1の方向Xにおいて隣り合う陰極体20において、一方の陰極体20aの陽極部23aが、他方の陰極体20bの陰極部24bと隣り合っている。また、第1の方向Xにおいて隣り合う陰極体20において、一方の陰極体20aの陰極部24aが、他方の陰極体20bの陽極部23bと隣り合っている。
【0043】
各陰極体20の陽極部23には、1つの孔104が対応して形成されている。各陰極体20の陰極部24には、第1の方向Xに並ぶ2つの孔104の各端部が対応して形成されている。
【0044】
陰極集合体200の孔204の少なくとも一方の開口縁部にはレジスト202が形成されている。すなわち、平面視において、レジスト202は孔204を囲むように形成されている。レジスト202が陰極集合体200の厚み方向のいずれか片面にのみ形成されている場合は、その片面における孔204の開口縁部にレジスト202が形成されていることになる。
【0045】
陰極集合体200は、樹脂50が充填される孔204を有する。言い換えると、陰極集合体200の孔204には後述の樹脂封止工程により樹脂50が充填される。この場合、樹脂50はレジスト202に形成された孔204の開口から孔204の内側に流入して充填される。
【0046】
(3)積層工程
積層工程は、複数の素子集合体100をコンデンサ素子10の厚み方向に積層することにより、厚み方向に積層された複数のコンデンサ素子10を含む積層体30を複数形成する工程を含む。すなわち、積層工程は、誘電体層12を含むコンデンサ素子10を複数対向させて積層した積層体30を形成する工程を含む。素子集合体100は複数のコンデンサ素子10を備える。また陰極集合体200は複数の陰極体20を備えている。そのため、積層工程において、各コンデンサ素子10と各陰極体20とを厚み方向に対向するようにして複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを積層することにより、複数の積層体30を第1の方向Xと第2の方向Yとにつなげた状態で形成することができる。
【0047】
また積層工程は、厚み方向で隣り合うコンデンサ素子10の間に陰極となる陰極体20を形成する工程を含む。言い換えると、積層工程は、対向するコンデンサ素子10の間には陰極となる陰極体20を有するようにする工程を含む。
【0048】
したがって、
図3A~
図3Cに示すように、積層工程では、複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを交互に積層する。この積層前には、素子集合体100の表面に導電性高分子で形成される高分子層40が形成される。また、コンデンサ素子10と陰極体20とが対向するように、隣り合って積層される素子集合体100と陰極集合体200と位置合わせする。さらに、対向するコンデンサ素子10と陰極体20とは、コンデンサ素子10の陽極部13と陰極体20の陽極部23とが対向し、コンデンサ素子10の陰極部14と陰極体20の陰極部24とが対向する。すなわち、平面視において、コンデンサ素子10と陰極体20とが同じ位置にある。
【0049】
積層工程では、素子集合体100の孔104と陰極集合体200の孔204とは、少なくとも一部が厚み方向で重なるように配置される。つまり、平面視において、素子集合体100の孔104の一部と陰極集合体200の孔204の一部とが同じ位置にある。この場合、素子集合体100の第1の孔105の第1の方向Xにおける端部と、陰極集合体200の第4の孔206の第1の方向Xにおける端部とが厚み方向で重なるように配置される。また素子集合体100の第2の孔106の第1の方向Xにおける端部と、陰極集合体200の第3の孔205の第1の方向Xにおける端部とが厚み方向で重なるように配置される。
【0050】
要するに、1つのコンデンサ素子10の第2の方向Yにおける一方側には、2つの第1の孔105が形成されている(
図1C参照)。また1つの陰極体20の第2の方向Yにおける一方側には、第4の孔206が形成されている(
図2C参照)。そして、コンデンサ素子10と陰極体20とを厚み方向で重ねると、2つの第1の孔105のうちの一方の第1の孔105の端部と、第4の孔206の両端部のうちの一端部とが厚み方向で重なる。また2つの第1の孔105のうちの他方の第1の孔105の端部と、第4の孔206の両端部のうちの他端部とが厚み方向で重なる。
【0051】
1つのコンデンサ素子10の第2の方向Yにおける他方側には、第2の孔106が形成されている(
図1C参照)。また1つの陰極体20の第2の方向Yにおける他方側には、2つの第3の孔205が形成されている(
図2C参照)。そして、コンデンサ素子10と陰極体20とを厚み方向で重ねると、2つの第3の孔205のうちの一方の第3の孔205の端部と、第2の孔106の両端部のうちの一端部とが厚み方向で重なる。また2つの第3の孔205のうちの他方の第3の孔205の端部と、第2の孔106の両端部のうちの他端部とが厚み方向で重なる。
【0052】
積層工程では、素子集合体100の格子状のレジスト102と陰極集合体200の格子状のレジスト202とは、少なくとも一部が厚み方向で重なるように配置される。つまり、平面視において、素子集合体100のレジスト102と陰極集合体200のレジスト202とが同じ位置にある。したがって、レジスト102の線状部112とレジスト202の線状部212とが厚み方向で重なるように配置される。またレジスト102の線状部122とレジスト202の線状部222とが厚み方向で重なるように配置される。
【0053】
積層工程は、前記複数の素子集合体100が基板60上で積層される。すなわち、積層工程は、基板60上で複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを交互に重ね合わせる。基板60は平面視で四角形に形成されている。基板60としてはガラス布エポキシ樹脂含浸基材を含む電気絶縁性基板が使用される。
【0054】
積層工程において、複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを接着剤41で接着してもよい。また積層工程において、コンデンサ素子10の陰極部14と、陰極体20とは、カーボンペーストを介して接続される。つまり、カーボンペーストにより、コンデンサ素子10の陰極部14と、陰極体20の陰極部24とが接続される。
【0055】
(4)第1の樹脂封止工程
図4A及び
図4Bに示すように、第1の樹脂封止工程は、積層された複数の素子集合体100を樹脂50でモールドする工程を含む。すなわち、第1の樹脂封止工程では、積層された複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを樹脂50で封止する工程である。このようなモールドする工程は、後述の溝を形成する工程の前と後とに少なくとも2回に分けて行う。すなわち、第1の樹脂封止工程は、溝を形成する工程の前に行われる樹脂封止である。
【0056】
第1の樹脂封止工程は、例えば、エポキシ樹脂などの樹脂50をトランスファ成形などで成形することにより行われる。樹脂50にはフィラーが含まれていてもよい。第1の樹脂封止工程では、積層された状態の複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを樹脂50で覆う。すなわち、複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とは積層された状態で端面(周面)が樹脂50で覆われる。また最も上(基板60から最も遠い位置)に積層された陰極集合体200の上面も樹脂50で覆われる。
【0057】
また第1の樹脂封止工程では、孔104及び孔204に樹脂50が充填される。言い換えると、素子集合体100の第1の孔105と第2の孔106及び陰極集合体200の第3の孔205と第4の孔206とに樹脂50が充填される。樹脂50は、コンデンサ素子10の厚み方向に重なっている複数の孔104及び複数の孔204に流れ込んで充填される。つまり、コンデンサ素子10の陽極部13及び陰極体20の陽極部23では、複数の第1の孔105と複数の第4の孔206とが厚み方向で重なっているので、複数の第1の孔105と複数の第4の孔206とにわたって樹脂50が充填される。またコンデンサ素子10の陰極部14及び陰極体20の陰極部24では、複数の第2の孔106と複数の第3の孔205とが厚み方向で重なっているので、複数の第2の孔106と複数の第3の孔205とにわたって樹脂50が充填される。
【0058】
(5)第1のダイシング工程
図5A及び
図5Bに示すように、第1のダイシング工程は、基板60の厚みのうちの一部を残して素子集合体100を切断し、溝70を形成する工程を含む。すなわち、積層工程で積層された複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを切断し、切断位置に切込みのような溝70を形成する工程を含む。また第1のダイシング工程では、基板60は分割されないように切断される。すなわち、溝70は基板60に達するように形成されるが、基板60の裏面(素子集合体100と陰極集合体200とが積層されていない方の面)までは達していない。溝70は基板60の厚みの一部(例えば、基板60の厚みの半分)にまで達して形成される。したがって、溝70の底面71は基板60の厚み内に形成される。
【0059】
溝70は、第2の方向Yに沿って形成される。すなわち、積層された複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200と基板60とは、
図5Aに矢印で示すカットラインC1に沿って切断される。また溝70は、積層された複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200との第2の方向Yの全長にわたって形成される。すなわち、溝70は、複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200との第2の方向Yと直交する両方の端面に開口している。また溝70は、レジスト102の第2の方向Yに沿って延びる線状部122及びレジスト202の第2の方向Yに沿って延びる線状部222に沿って形成される。すなわち、複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200及び基板60とは、平面視において、線状部122及び線状部222が重なっている位置で切断されて溝70が形成される。
【0060】
そして、溝70により積層体30の両方の側面が露出される。積層体30の両方の側面は第1の方向Xで並ぶ2つの端面である。すなわち、コンデンサ素子10と陰極体20とが厚み方向で重なって形成される積層体30の側面が、溝70の内面72として露出する。内面72は底面71の上方に位置しており、第1の方向Xで並んでいる。また溝70の底面71と対向する開口は、積層体30の上面(基板60と反対側の面)を覆う樹脂50の表面に形成されている。
【0061】
積層された状態の複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とは、例えば、ダイシングにより切断される。またダイシングには、ダイヤモンドブレードなどのダイシングブレードが使用できる。また第1のダイシング工程は、例えば、ダイシングリング500の上にダイシングテープ501を載せて配置し、ダイシングテープ501の上に基板60と複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを積層する。
【0062】
(6)第2の樹脂封止工程
図6A及び
図6Bに示すように、第2の樹脂封止工程は、溝70を形成する工程の後にモールドする工程でモールドする樹脂51は、溝70の内側に充填される。第2の樹脂封止工程は、溝70を形成する工程の後に行われる樹脂封止である。第2の樹脂封止工程は、例えば、エポキシ樹脂などの樹脂51をトランスファ成形などで成形することにより行われる。樹脂51にはフィラーが含まれていてもよい。第2の樹脂封止工程では、積層された状態の複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを覆う樹脂50の外側を樹脂51で更に覆う。また樹脂51は溝70内に進入し、溝70は樹脂51で充填される。樹脂51は固体電解コンデンサ1の側面と上面とを保護するために形成される。
【0063】
(7)第2のダイシング工程
第2のダイシング工程は、積層体30の端面に陰極又は陽極となる電極を形成する工程を含む。すなわち、第2のダイシング工程は、積層体30端面に少なくとも陰極又は陽極となる電極を形成する工程であって、
図7A及び
図7Bに示すように、複数の積層体30がつながった状態の電極形成体80を形成する電極形成工程を含む。すなわち、第2のダイシング工程2は、複数の積層体30がつながった状態の電極形成体80を形成し、この電極形成体80に陰極又は陽極となる電極を形成する工程を含む。
【0064】
電極形成体80を形成する工程は、第1の方向Xと第2の方向Yとの両方向につながった状態の複数の積層体30を、第1の方向Xに沿った方向のカットラインC2で切断する。またカットラインC2は、レジスト102の線状部112とレジスト202の線状部212とが厚み方向で重なる位置にある。したがって、積層体30の少なくとも一の端面を露出させる工程は、カットラインC2上の孔104の位置で切断する工程を含む。これにより、積層体30は平面視で隣接する二つの端面を露出させる。すなわち、第2の方向Yで隣接する積層体30の各端面を露出させるが、一方の積層体30の端面33は陽極となる端面であり、他方の積層体30の端面34は陰極となる端面が露出される。
【0065】
第2のダイシング工程は、個片化する工程を一部含む。個片化する工程は、素子集合体100の孔104及び陰極集合体200の孔204の位置で、素子集合体100及び陰極集合体200を切断する工程を含んでいる。すなわち、第2のダイシング工程は複数の電極形成体80が切断によって形成される。第2のダイシング工程では、孔104及び204の縁から離れた位置で積層体30を切削する工程を更に有する。すなわち、積層体30を切断するにあたっては、第1の孔105、第2の孔106、第3の孔205及び第4の孔206の開口縁部が残存するように切削される。これにより、積層体30の陽極となる端面33ではコンデンサ素子10の陽極側導電部11の端面が露出し、陰極体20の陰極基板201の端面は露出しない。また積層体30の陰極となる端面34ではコンデンサ素子10の陽極側導電部11の端面が露出せず、陰極体20の陰極基板201の端面が露出する。
【0066】
第2のダイシング工程は、第1のダイシング工程と同様にダイヤモンドブレードなどのダイシングブレードが使用されるが、ダイシングブレードには、第1のダイシング工程よりも幅寸法(第1の方向Xの寸法)の小さいものが使用される。また第2のダイシング工程は、第1のダイシング工程と同様に、ダイシングリング500の上にダイシングテープ501を載せて配置して行われるが、ダイシングブレード502は樹脂51の上面からダイシングテープ501にまで達するようにして、複数の電極形成体80に切断される。
【0067】
(8)第1電極層形成工程
第1電極層形成工程では、第2のダイシング工程で得られた電極形成体80の陰極又は陽極となる電極に、金属層である第1電極層90、91を形成する工程である。第1電極層形成工程では、例えば、無電解めっき又は電解めっきなどのめっき法、蒸着法又はスパッタ法などの気相法及びコールドスプレー法などにより、第1電極層90、91を形成することができる。
【0068】
図8A及び
図8Bには、第1電極層形成工程として、無電解めっき法を示している。この第1電極層形成工程では、電極形成体80を複数まとめて無電解めっきしている。すなわち、容器503にめっき浴504の中に複数の電極形成体80を浸漬して無電解めっきが行われる。この無電解めっきにより、積層体30の陽極側ではコンデンサ素子10の陽極側導電部11の端面にNi(ニッケル)めっきなどの第1電極層90が形成され、積層体30の陰極側では陰極体20の陰極基板201の端面にNi(ニッケル)めっきなどの第1電極層91が形成される。この場合、第1電極層90、91を形成するにあたってZn(亜鉛)処理の後にNiめっきに置換してもよい。 なお、第1電極層90、91は単層で形成する場合だけでなく、複数の層で形成することもできる。この場合、上記のようなめっき法を繰り返し行ったり、めっき法で形成しためっき膜に他の方法(例えば、蒸着法)で、さらに、金属膜を付着させることができる。
【0069】
(9)第3のダイシング工程
図9A及び
図9Bは、複数の積層体30を積層体30毎に個片化する工程を含む。すなわち、第1電極層形成工程後の電極形成体80を更に切断して個片化する。個片化する工程は、溝70に沿ったカットラインC3で切断する工程を含む。すなわち、電極形成体80は溝70の長手方向に沿って切断されて個片化される。個片化する工程は、溝70の幅内にあるカットラインC3で切断する工程を含む。すなわち、溝70内には樹脂51が充填されているが、この樹脂51が積層体30に残存するように切断される。
【0070】
第3のダイシング工程は、第1及び第2のダイシング工程と同様にダイヤモンドブレードなどのダイシングブレードが使用されるが、ダイシングには、第1のダイシング工程よりも幅寸法の小さいダイシングブレードが使用される。また第3のダイシング工程は、第1及び第2のダイシング工程と同様に、ダイシングリング500の上にダイシングテープ501を載せて配置して行われるが、ダイシングブレード505は樹脂51の上面からダイシングテープ501にまで達するようにして、複数の積層体30に切断される。
【0071】
(10)第2電極層形成工程
図10A及び
図10B並びに
図11A及び
図11Bに示すように、第2電極層形成工程では、積層体30の端面33、34に少なくとも陰極又は陽極となる電極を形成する工程を含む。すなわち、積層体30の一方の端面33に陽極となる電極が形成され、積層体30の他方の端面34に陰極となる電極が形成される。このように形成される電極は、陰極となる電極及び陽極となる電極の両方が、積層体30の露出した端面33,34を接合した集電構造を含む。すなわち、積層体30の陽極側となる端面33では、第1電極層90が第1の外部電極部94及び第2の外部電極部96で電気的に接続されて集電構造が形成されている。また積層体30の陰極側となる端面34では、第1電極層91が第1の外部電極部95及び第2の外部電極部97で電気的に接続されて集電構造が形成されている。第1の外部電極部94,95及び第2の外部電極部96,97はそれぞれAg(銀)ペーストなどの導電性ペーストの硬化物で形成される。
【0072】
上記ように、第1の外部電極部94,95及び第2の外部電極部96,97を形成した後、積層体30に表面電極層を形成する。表面電極層は、第2の外部電極部96,97の外面に形成される第1端子層98,99と、第1端子層98,99の外面に形成される第2端子層981,991とから構成されている。第1端子層98,99及び第2端子層981,991は、各々、導電性のある金属層で形成される。
【0073】
第1端子層98,99及び第2端子層981,991は、例えば、無電解めっき又は電解めっきなどのめっき法、蒸着法又はスパッタ法などの気相法及びコールドスプレー法などにより形成することができる。例えば、第1端子層98,99及び第2端子層981,991を電解めっき法で形成する場合、第1端子層98,99は、例えば、Ni(ニッケル)めっきなどで層状に形成される。また、第2端子層981,991は、例えば、Ni(ニッケル)めっきなどで層状に形成され、又は錫(Sn)めっきなどで層状に形成される。
図11Aに示すように、電解めっき法は、例えば、複数の積層体30をバレル508内に入れ、このバレル508を容器506に貯めためっき浴507内で回転させながら通電するようにして行う。
【0074】
上記のようにして
図11Bに示すような断面形状を有する固体電解コンデンサ1が形成される。
【0075】
(変形例)
実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0076】
上記実施形態では、コンデンサ素子10を3層に積層する場合について説明したが、コンデンサ素子10を積層する数は、特に制限はなく、製造する固体電解コンデンサの静電容量などの性能に応じて、適宜設定可能である。例えば、
図12及び13に示すように、8層のコンデンサ素子10を積層した固体電解コンデンサであってもよい。
【0077】
上記実施形態では、素子集合体100において、複数のコンデンサ素子10がコンデンサ素子10の一面に沿いかつ互いに直交する第1の方向と第2の方向との両方に並ぶように二次元配置されて形成されているが、これに限られない。例えば、複数のコンデンサ素子10がコンデンサ素子10の一面に沿いかつ一方向に並ぶように配置されて素子集合体100が形成されていてもよい。この場合、隣合うコンデンサ素子10は、一方のコンデンサ素子10が有する陽極部13と、他方のコンデンサ素子10が有する陰極部14とがつながっている。また、一つの素子集合体100に一つのコンデンサ素子10が形成されていてもよい。
【0078】
図14に示す変形例では、この変形例では誘電体層を含むコンデンサ素子10を少なくとも1つ有する積層体30を備える。積層体30は平面視で隣接する2辺で構成される角部が欠けている構成を有する。すなわち、素子集合体100における第1の孔105がレジスト102の線状部112と線状部122の交点を含むように形成されている。また陰極集合体200における第3の孔205がレジスト202の線状部212と線状部222の交点を含むように形成されている。したがって、積層体30の第1の孔105及び第3の孔205に対応する位置、すなわち、積層体30の角部が欠けている形状となる。
【0079】
図15A~
図15D及び
図16A~
図16Cに、素子集合体100の変形例及び陰極集合体200の変形例を示す。これらの変形例では、厚み方向で重なった素子集合体100の孔104と陰極集合体200の孔204とは形状が異なるようになる。すなわち、これらの変形例では、孔104及び孔204の形状及び個数が
図1Cの素子集合体100及び
図2Cの陰極集合体200と異なっており、その他の構成は、実施形態と同様である。
図15A~
図15D及び
図16A~
図16Cには、素子集合体100及び陰極集合体200の一部分のみを示しており、各部分の中央に位置する一つのコンデンサ素子10と一つの陰極体20とが、互いに厚み方向で重なる。
【0080】
図15Aの変形例では、素子集合体100において、第1の方向Xで隣り合う孔104の間に、さらに、1個の孔114が形成されている。また陰極集合体200において、第1の方向Xで隣り合う孔204の間に、さらに、一つの孔214が形成されている。孔114及び孔214は、各々、平面視で円形に形成されている。
【0081】
図15Bの変形例では、
図15Aと同様の孔114及び孔214が、各々、第1の方向Xに2個並んで形成されている。
【0082】
図15Cの変形例では、
図15Aと同様の孔114及び孔214が、各々、第1の方向Xに3個並んで形成されている。
【0083】
図15Dの変形例では、
図15Aと同様の孔114及び孔214が、各々、第2の方向Yにおいて2列に分かれ、各列において第1の方向Xに複数(3又は4個)ずつ並ぶように形成されている。この場合、第2の方向Yにおいて隣接して形成される固体電解コンデンサ1の陰極又は陽極の個数を異ならせることができる。
【0084】
図16Aの変形例では、孔114及び孔214は、各々、平面視で第2の方向Yに延びる長孔に形成されている。また孔114及び孔214は、各々、第1の方向Xで隣り合う孔104及び孔204の間に、複数(4個)並んで形成されている。
【0085】
【0086】
図16Cの変形例では、第1の孔105及び第3の孔205の形状が、平面視において、第1の方向Xに沿って延びる長方形に形成されている。また第2の孔106及び第4の孔206の形状が、平面視において、円形であり、交差部分Pの位置に形成されている。この変形例の素子集合体100と陰極集合体200を使用すると、
図14に示す変形例の固体電解コンデンサ1が形成可能である。
【0087】
図17A及び
図17Bに第1のダイシング工程の変形例を示す。
図5では、1個の溝70を形成する場合について説明したが、溝70よりも幅寸法(第1の方向Xの寸法)の小さい溝73を第1の方向Xに並べて2個形成してもよい。この場合、第1の方向Xで隣接する溝73の間には壁部74が形成される。また壁部74は切断により除去されてもよい。さらに、このような溝73は、2個に限らず、第1の方向Xに並べて3個以上形成されてもよい。
【0088】
2個の溝73を形成する場合、2個のダイシングブレード509で同時に、積層された複数の素子集合体100と複数の陰極集合体200とを切断することができる。また1個のダイシングブレード509で2回切断して、2個の溝73を1個ずつ形成してもよい。また1個のダイシングブレード509で2回切断する場合、1回目の切断位置と2回目の切断位置とを重ねる(オーバーラップ)させてもよい。この場合、
図5Bのような、太い1個の溝70を形成することができる。ダイシングブレード509としては、第2のダイシング工程で使用するダイシングブレード502と同じサイズ(幅寸法)のダイシングを使用することができる。
【0089】
第2のダイシング工程において、電極形成体80を形成する前に、固体電解コンデンサ1の陰極及び陽極の少なくとも一方の位置、つまり固体電解コンデンサ1の向きを確認可能とするためのマーカーを付与するマーキングを、第2の樹脂封止工程後に行ってもよい。マーキングは、1個の電極形成体80毎に行ってもよいし、1個の積層体30(最終的に1個の固体電解コンデンサ1に形成される)毎に行ってもよい。マーカーは、印刷や刻印などの任意の方法で付与することができる。またマーキングは、記号、英数及び漢字並びにひらがななどの文字を採用することができる。
【0090】
上記実施形態では、第2のダイシング工程(
図7A及び
図7B参照)、第1電極層形成工程(
図8A参照)、第3のダイシング工程(
図9A及び
図9B参照)の順(第1の順)で行ったが、これに限られない。例えば、第2のダイシング工程、第3のダイシング工程、第1電極層形成工程の順(第2の順)で行ってもよい。第1の順の場合、複数の積層体30を備えた電極形成体80で第1電極層形成工程が行えるので、効率がよい。一方、第2の順の場合、第2のダイシング工程と第3のダイシング工程とで共通する工程(ダイシングテープ501の貼り付け、切断、剥がしの一連の工程)を削減することができる。
【0091】
上記実施形態では、第1電極層形成工程において、1層のめっき層を形成したが、複数のめっき層を形成してもよい。複数のめっき層の場合、各層のめっきの組成及び種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また無電解めっきの代わりに、スパッタ法又はコールドスプレー法などで金属膜を形成してもよい。
【0092】
基板60はガラス布エポキシ樹脂含浸基材で形成されるものに限られず、電気絶縁性を有する樹脂製又はセラミック製等の基板60を使用することができる。また基板60は必須でなく省略してもよい。
【0093】
上記実施形態では、複数の積層体30が連なった状態(
図3Aの状態)において、第2の方向Yで並ぶ複数の積層体30は、陽極と陰極とが交互に変わるように形成されているが、これに限られない。すなわち、第2の方向Yで並ぶ複数の積層体30は、陽極と陰極とが一定であってもよい。しかし、実施形態のように、陽極と陰極とが交互に変わる場合は、隣接する積層体30を切断して個片化することにより、陽極と陰極とが同時に形成することができるため、作りやすい。
【0094】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、素子集合体(100)を形成する工程と、積層体(30)を複数形成する工程と、個片化する工程と、を有する。素子集合体(100)を形成する工程は、誘電体層(12)を有する箔状のコンデンサ素子(10)をコンデンサ素子(10)の一面と平行な方向に複数つなげた状態の素子集合体(100)を形成する。積層体(30)を複数形成する工程は、複数の素子集合体(100)をコンデンサ素子(10)の厚み方向に積層することにより、厚み方向に積層された複数のコンデンサ素子(10)を含む積層体(30)を複数形成する。個片化する工程は、複数の積層体(30)を積層体(30)毎に個片化する。
【0095】
この態様によれば、複数の積層体(30)をつなげた状態で取り扱うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0096】
第2の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第1の態様であって、各素子集合体(100)において、複数のコンデンサ素子(10)は、コンデンサ素子(10)の一面に沿いかつ互いに直交する第1の方向(X)と第2の方向(Y)との両方に並ぶように二次元配置されている。
【0097】
この態様によれば、二次元配置で複数の積層体(30)をつなげた状態で取り扱うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0098】
第3の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第1又は2の態様において、複数のコンデンサ素子(10)は、それぞれ陽極部(13)及び陰極部(14)を有する。素子集合体(100)において、素子集合体(100)の一面と平行な方向に隣り合うコンデンサ素子(10)の陽極部(13)及び陰極部(14)の位置が逆である。
【0099】
この態様によれば、素子集合体(100)に複数のコンデンサ素子(10)を効率よく形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0100】
第4の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第1~3のいずれか一つの態様において、素子集合体(100)は、レジスト(102)によって区画されている。
【0101】
この態様によれば、素子集合体(100)にレジスト(102)によって区画された複数のコンデンサ素子(10)を効率よく形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0102】
第5の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第1~4のいずれか一つの態様において、厚み方向で隣り合うコンデンサ素子(10)の間に陰極となる陰極体(20)を形成する工程を更に有する。陰極体(20)は、陰極体(20)の一面と平行な方向に複数つなげた状態の陰極集合体(200)を形成している。
【0103】
この態様によれば、複数の陰極体(20)をつなげた状態の陰極集合体(200)で取り扱うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0104】
第6の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第5の態様において、陰極集合体(200)の表面上のレジスト(202)を形成する工程を更に有する。
【0105】
この態様によれば、陰極集合体(200)にレジスト(202)によって区画された複数の陰極体(20)を効率よく形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0106】
第7の態様に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第6の態様において、陰極集合体(200)は、レジスト(202)によって区画されている。
【0107】
この態様によれば、陰極集合体(200)にレジスト(202)によって区画された複数の陰極体(20)を効率よく形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0108】
第8の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第1~7のいずれか一つの態様において、複数の素子集合体(100)が基板(60)上で積層され、基板(60)の厚みのうちの一部を残して素子集合体(100)を切断し、溝(70)を形成する工程を更に有する。
【0109】
この態様によれば、溝(70)で積層体(30)に切断しても基板(60)で切断された複数の積層体(30)をつなげた状態で取り扱うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0110】
第9の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第1~8のいずれか一つの態様において、積層された複数の素子集合体(100)を樹脂(50)、(51)でモールドする工程を更に有する。
【0111】
この態様によれば、複数の素子集合体(100)が備える複数の積層体(30)を樹脂(50、51)でモールドすることができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0112】
第10の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第9の態様において、モールドする工程は、溝(70)を形成する工程の前と後とに少なくとも2回に分けて行う。
【0113】
この態様によれば、溝(70)を形成する工程の前の樹脂(50)のモールド工程で、積層体(30)を補強することができ、溝(70)を形成する工程で積層体(30)の破損が少なくなり、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0114】
第11の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第10の態様において、溝(70)を形成する工程の後にモールドする工程でモールドする樹脂(51)は、溝(70)の内側に充填される。
【0115】
この態様によれば、溝(70)により露出する積層体(30)の表面を樹脂(51)で覆うことができ、積層体(30)を封止することができる、という利点がある。
【0116】
第12の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第8~11のいずれか一つの態様において、個片化する工程は、溝(70)に沿ったカットライン(C2)で切断する工程を含む。
【0117】
この態様によれば、溝(70)に沿ったカットライン(C2)で切断することができ、積層体(30)毎に切断しやすくなる、という利点がある。
【0118】
第13の態様に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第8~12のいずれか一つの態様において、個片化する工程は、溝(70)の幅内にあるカットライン(C2)で切断する工程を含む。
【0119】
この態様によれば、積層体(30)の表面を樹脂(51)で覆った状態で積層体ごとに個片化することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0120】
第14の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第5~7のいずれか一つの態様において、素子集合体(100)及び陰極集合体(200)は、それぞれ、樹脂(50)が充填される孔(104、204)を有する。
【0121】
この態様によれば、樹脂(50)で素子集合体(100)の孔(104)及び陰極集合体(200)の孔(204)の両方を充填することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0122】
第15の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第14の態様において、素子集合体(100)の孔(104)及び陰極集合体(200)の孔(204)の少なくとも一方の開口縁部にはレジスト(102,202)が形成されている。
【0123】
この態様によれば、素子集合体(100)の孔(104)及び陰極集合体(200)の孔(204)のそれぞれの開口縁部をレジスト(102,202)で形成することができ、電気絶縁性を向上させることができる、という利点がある。
【0124】
第16の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第14又は15の態様において、素子集合体(100)の孔(104)と陰極集合体(200)の孔(204)とは、少なくとも一部が厚み方向で重なるように配置される。
【0125】
この態様によれば、素子集合体(100)の孔(104)と陰極集合体(200)の孔(204)とに樹脂(50)が充填しやすくなって、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0126】
第17の態様に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第16の態様において、厚み方向で重なった素子集合体(100)の孔(104)と陰極集合体(200)の孔(204)とは形状が異なる。
【0127】
この態様によれば、コンデンサ素子(10)と陰極体(20)との電気絶縁性が、孔(104)と孔(204)との形状の差で得やすくなり、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0128】
第18の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第14~17のいずれか一つの態様において、個片化する工程は、素子集合体(100)の孔(104)及び陰極集合体(200)の孔(204)の位置で、素子集合体(100)及び陰極集合体(200)を切断する工程を含む。
【0129】
この態様によれば、コンデンサ素子(10)と陰極体(20)との電気絶縁性が、孔(104)と孔(204)との切断で得やすくなり、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0130】
第19の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、積層体(30)を形成する工程と、端面(33,34)を露出させる工程と、電極(90~99,981,991)を形成する工程と、を有する。積層体(30)を形成する工程は、誘電体層(12)を含むコンデンサ素子(10)を複数対向させて積層した積層体(30)を形成する。端面(33,34)を露出させる工程は、積層体(30)の少なくとも一の端面(33,34)を露出させる。電極(90~99,981,991)を形成する工程は、端面(33,34)に少なくとも陰極又は陽極となる電極(90~99,981,991)を形成する。
【0131】
この態様によれば、コンデンサ素子(10)を複数対向させて積層した積層体(30)に端面(33,34)を露出させる工程と、電極(90~99,981,991)を形成する工程とを行うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0132】
第20の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第19の態様において、積層体(30)は平面視で隣接する二つの端面(33,34)を露出させ、一方の端面(33)に陽極となる電極(90、94、96,98,981)が形成され、他方の端面(34)に陰極となる電極(91、95、97,99,991)が形成される。
【0133】
この態様によれば、陽極となる電極(90、94、96,98,981)と陰極となる電極(91、95、97,99,991)を効率よく形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0134】
第21の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第19又は20の態様において、陰極となる電極(91、95、97,99,991)及び陽極となる電極(90、94、96,98,981)の両方が、積層体(30)の露出した端面(33,34)を接合した集電構造を含む。
【0135】
この態様によれば、集電構造により、陰極となる電極(91、95、97,99,991)及び陽極となる電極(90、94、96,98,981)を効率よく形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0136】
第22の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第19~21のいずれか一つの態様において、対向するコンデンサ素子(10)の間に陰極となる陰極体(20)を有する。
【0137】
この態様によれば、陰極体(20)から陰極を容易に形成することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0138】
第23の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第22の態様において、陰極体(20)は、表面にカーボン層(203)又はチタン層を有する平板状の金属箔である。
【0139】
この態様によれば、カーボン層(203)又はチタン層で陰極の導電性を向上させることができ、固体電解コンデンサ(1)のESRを低減することができる、という利点がある。
【0140】
第24の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第22又は23の態様において、コンデンサ素子(10)の陰極部(14)と、陰極体(20)とは、カーボンペーストを介して接続される。
【0141】
この態様によれば、カーボンペーストにより陰極部(14)と陰極体(20)とを接着することができ、生産性を向上し、固体電解コンデンサ(1)のESRを低減することができる、という利点がある。
【0142】
第25の態様に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第19~24のいずれか一つの態様において、積層体(30)を樹脂(50)でモールドする工程を更に有する。
【0143】
この態様によれば、積層体(30)を樹脂(50)でモールドすることができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0144】
第26の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第25の態様において、積層体(30)は樹脂(50)が充填される孔(104、204)を有する。
【0145】
この態様によれば、樹脂(50)で積層体(30)の孔(104,204)の両方を充填することができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0146】
第27の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第26の態様において、孔(104,204)の縁から離れた位置で積層体(30)を切削する工程を更に有する。
【0147】
この態様によれば、電極となる層(90~99,981,991)を形成する工程を容易に行うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0148】
第28の態様に係る固体電解コンデンサ(1)の製造方法は、第19~27のいずれか一つの態様において、端面に少なくとも陰極又は陽極となる電極を形成する工程は、複数の積層体(30)がつながった状態の電極形成体(80)を形成する第1電極形成工程と、電極形成体(80)を複数まとめてめっきする第2めっき工程と、を含む。
【0149】
この態様によれば、複数の電極形成体(80)をまとめてめっきすることができ、生産性を向上することができる、という利点がある。
【0150】
第29の態様に係る固体電解コンデンサ(1)は、誘電体層(12)を含むコンデンサ素子(10)を少なくとも1つ有する積層体(30)を備える。積層体(30)は平面視で隣接する2辺で構成される角部が欠けている構成を有する。
【0151】
この態様によれば、積層体(30)を形成する工程を容易に行うことができ、生産性を向上することができる、という利点がある。また、積層体(30)の角部が欠けていることで、積層体(30)を被覆する外装樹脂からの応力が緩和されて固体電解コンデンサ(1)の信頼性が向上する、という利点がある。
【符号の説明】
【0152】
1 固体電解コンデンサ
10 コンデンサ素子
12 誘電体層
20 陰極体
30 積層体
50 樹脂
51 樹脂
60 基板
70 溝
100 素子集合体
104 孔
200 陰極集合体
204 孔
X 第1の方向
Y 第2の方向
C2 カットライン