IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許-給湯システム 図1
  • 特許-給湯システム 図2
  • 特許-給湯システム 図3
  • 特許-給湯システム 図4
  • 特許-給湯システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20231127BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20231127BHJP
   F24H 15/104 20220101ALI20231127BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20231127BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20231127BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20231127BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24D17/00 U
F24H1/14 B
F24H15/104
F24H15/212
F24H15/238
F24H15/395
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020089513
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183890
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】安川 健一郎
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-159501(JP,A)
【文献】特開2002-130712(JP,A)
【文献】特開平06-272958(JP,A)
【文献】特開2002-213816(JP,A)
【文献】特開2009-024981(JP,A)
【文献】特開2000-018624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水加熱用の熱交換器と、
この熱交換器の出湯口と給湯端末とを接続する出湯路、この出湯路の前記給湯端末付近に一端が接続され、かつ前記出湯路の湯水を前記熱交換器の入水口に戻すことが可能な戻し流路、および湯水循環用のポンプを有する湯水循環路と、
この湯水循環路に設けられた湯水流量検出用の流量センサと、
前記戻し流路に設けられた湯水温度検出用の温度センサと、
前記熱交換器によって加熱された湯水を、前記湯水循環流路において循環させ、または滞留させる即湯運転の動作制御を行なうことが可能な制御部と、
を備えている、給湯システムであって、
前記制御部は、前記即湯運転が開始された後において、前記流量センサを利用して検出される湯水の積算流量が、通常であれば前記温度センサの検出温度が所定以上の上昇が見込める所定値に達したにも拘わらず、前記温度センサの前記検出温度が所定以上に上昇しない場合には、前記給湯端末が開状態であるか否かを判断し、前記給湯端末が開状態ではない場合には、前記即湯運転に異常があると判断する異常判断処理を実行可能な構成とされていることを特徴とする、給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムであって、
前記給湯端末が開状態であるか否かの判断は、前記即湯運転の開始時に駆動していた前記ポンプが停止された状態において、前記流量センサによる流量検出があるか否かを判断することにより行なわれ、前記流量検出がある場合には、前記給湯端末は開状態であると判断される、給湯システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システムであって、
前記即湯運転が開始された後に、前記異常に相当する現象が発生した場合には、前記即湯運転がやり直しされ、前記異常に相当する現象の繰り返し回数が、所定の複数回に達すると、即湯運転に異常がある旨の最終判断がなされ、その旨の報知動作が実行される、給湯システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の給湯システムであって、
前記制御部は、前記即湯運転の試運転を可能とし、かつこの試運転時において、前記熱交換器から前記湯水循環流路に加熱湯水の送り出しが開始された時点から、前記加熱湯水が前記温度センサの位置に到達して前記温度センサによる検出温度が上昇する迄の期間における前記加熱湯水の積算流量を計測し、かつこの計測値を、前記所定値とするように構成されている、給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即湯運転が可能な給湯システムに関する。
【0002】
ここで、本明細書における「即湯運転」とは、給湯システムにおける給湯端末が、開状態とされた際に、この給湯端末から所定温度以上の湯水を即座に流出させることができるように、給湯端末に繋がっている湯水流路に、所定温度以上の加熱湯水を循環させ、あるいは滞留させるための動作である。
【背景技術】
【0003】
給湯システムとしては、たとえば特許文献1~3に記載されているように、即湯運転が可能とされたものがある。
具体的には、この給湯システムは、熱交換器を利用して加熱された湯水が、出湯路を介して給湯栓に供給可能とされている。その一方、前記出湯路には、ポンプを備えた戻し流路が接続され、湯水を一定の経路で循環流通させることが可能な湯水循環路が形成されている。
このような構成の給湯システムにおいては、給湯栓が閉状態にあり、給湯栓からの出湯が停止している際に、熱交換器を利用して加熱された湯水を、湯水循環路において循環させ、あるいは滞留させる即湯運転が可能である。このような即湯運転を実行させておけば、その後に給湯栓が開状態にされると、湯水循環路内の所定温度以上の湯水が、給湯栓から即座に出湯することとなり、便利である。
【0004】
しかしながら、前記従来においては、次に述べるように、改善すべき余地がある。
【0005】
すなわち、前記した給湯システムにおいても、他の一般的な給湯システムと同様に、運転動作に異常がある場合には、その旨を適切に察知できるようにすることが望まれる。また、給湯システムに異常が発生している状態のまま、その運転を継続することは適切でない場合もあるため、異常発生時には、給湯システムの運転を強制停止させるべき場合もある。
ここで、給湯システムの異常が、たとえば湯水の加熱がなされないとった異常であれば、これをメンテナンス担当者やユーザなどが比較的容易に察知することが可能である。これに対し、即湯運転の場合、熱交換器を利用して加熱された湯水は、給湯栓が開状態とされない限り、湯水循環路内に存在し続けており、ユーザの手に触れることはない。したがって、即湯運転の異常は、メンテナンス担当者やユーザなどにとって、容易には察知できない特殊性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-34193号公報
【文献】特開2011-247487号公報
【文献】特開2003-336899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、即湯運転に異常がある場合に、その旨を的確に察知することが可能な給湯システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される給湯システムは、湯水加熱用の熱交換器と、この熱交換器の出湯口と給湯端末とを接続する出湯路、この出湯路の前記給湯端末付近に一端が接続され、かつ前記出湯路の湯水を前記熱交換器の入水口に戻すことが可能な戻し流路、および湯水循環用のポンプを有する湯水循環路と、この湯水循環路に設けられた湯水流量検出用の流量センサと、前記戻し流路に設けられた湯水温度検出用の温度センサと、前記熱交換器によって加熱された湯水を、前記湯水循環流路において循環させ、または滞留させる即湯運転の動作制御を行なうことが可能な制御部と、を備えている、給湯システムであって、前記制御部は、前記即湯運転が開始された後において、前記流量センサを利用して検出される湯水の積算流量が、通常であれば前記温度センサの検出温度が所定以上の上昇が見込める所定値に達したにも拘わらず、前記温度センサの前記検出温度が所定以上に上昇しない場合には、前記給湯端末が開状態であるか否かを判断し、前記給湯端末が開状態ではない場合には、前記即湯運転に異常があると判断する異常判断処理を実行可能な構成とされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、即湯運転が開始されることにより、熱交換器による加熱湯水が湯水循環路に送り出される場合、この加熱湯水の積算流量が、たとえば湯水循環路の容量などの前記所定値に達するほどに湯水循環路に送り出されたのであれば、温度センサを利用して検出される湯水温度は、所定以上に上昇するはずである(ただし、即湯運転の途中で給湯端末が開状態とされ、給湯端末から加熱湯水が外部に出湯されている場合は除かれる)。本発明によれば、即湯運転が開始された場合に、前記したような正常な動作を生じない場合には、制御部によって、即湯運転に異常があると的確に判断されることとなる。その結果、即湯運転を強制停止させたり、あるいは異常がある旨をメンテナンス担当者やユーザに早期に察知させるなどの対応策をとることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記給湯端末が開状態であるか否かの判断は、前記即湯運転の開始時に駆動していた前記ポンプが停止された状態において、前記流量センサによる流量検出があるか否かを判断することにより行なわれ、前記流量検出がある場合には、前記給湯端末は開状態であると判断される。
【0012】
このような構成によれば、即湯運転の途中に、給湯端末が開状態であるか否かを、制御部の制御によって的確に判断させることが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記即湯運転が開始された後に、前記異常に相当する現象が発生した場合には、前記即湯運転がやり直しされ、前記異常に相当する現象の繰り返し回数が、所定の複数回に達すると、即湯運転に異常がある旨の最終判断がなされ、その旨の報知動作が実行される。
【0014】
このような構成によれば、即湯運転に異常がある旨の最終判断が慎重に行なわれることとなり、過誤判断を適切に防止することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記制御部は、前記即湯運転の試運転を可能とし、かつこの試運転時において、前記熱交換器から前記湯水循環流路に加熱湯水の送り出しが開始された時点から、前記加熱湯水が前記温度センサの位置に到達して前記温度センサによる検出温度が上昇する迄の期間における前記加熱湯水の積算流量を計測し、かつこの計測値を、前記所定値とするように構成されている。
【0016】
このような構成によれば、湯水循環路のうち、熱交換器から温度センサに到るまでの容量(流路容積)を、前記所定値とすることができ、この所定値を、湯水循環路の全体の容量に近い値とすることができる。湯水循環路の長さは、給湯システムの設置条件に応じて種々相違し、一律ではない。これに対し、前記構成によれば、即湯運転の試運転により、制御部に、湯水循環路の容量の概略値を学習させることが可能であり、便利である。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る給湯システムの一例を示す概略説明図である。
図2図1に示す給湯システムの動作例を示す概略説明図であり、(a)は、即湯運転の例を示し、(b)は、湯水循環路の容量の学習制御の例を示す。
図3図2(b)の湯水循環路の容量の学習制御を行なう場合の動作手順を示すフローチャートである。
図4図2(a)の即湯運転を行なう場合の動作手順を示すフローチャートである。
図5】(a),(b)は、本発明に係る給湯システムの他の例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1に示す給湯システムSYは、給湯装置A、入水路1、出湯路2、戻し流路3を備えている。給湯装置Aは、湯水加熱用の熱交換器4、バーナ5、および制御部6などが外装ケース7内に収容された構成である。バーナ5は、たとえばガスバーナまたはオイルバーナである。熱交換器4は、たとえばフィンパイプなどを用いて構成されており、この熱交換器4内に送り込まれた湯水を、バーナ5により発生された燃焼ガスを利用して加熱可能である。
【0021】
入水路1は、水道管などの外部の給水源19と熱交換器4の入水口4aとを互いに繋ぎ、熱交換器4への入水を可能とする配管流路であり、外装ケース7の内外にそれぞれ位置する内部入水路1aと外部入水路1bとに区分される。外部入水路1bは、分岐配管部17を介して、混合栓8の給水部側にも接続されている。混合栓8は、給湯端末の一例に相当する。
【0022】
出湯路2は、熱交換器4の出湯口4bと混合栓8の給湯部側とを互いに繋ぎ、混合栓8への給湯を可能とする配管流路であり、外装ケース7の内外にそれぞれ位置する内部出湯路2aと外部出湯路2bとに区分される。内部出湯路2aは、内部入水路1aと流量調整可能な三方弁V1およびバイパス流路18を介して接続されており、内部出湯路2aを流れる湯水に、非加熱の湯水が混合可能である。この混合比率を制御することにより、出湯温度は、所望の目標給湯温度に制御される。内部出湯路2aには、出湯温度検出用の温度センサSd、および流量調整弁V2が設けられている。
【0023】
戻し流路3は、出湯路2の混合栓8の近傍部分と、内部入水路1aの途中箇所とが繋がれて構成されており、外装ケース7の内外にそれぞれ位置する内部戻し流路3aと外部戻し流路3bとに区分される。内部戻し流路3aには、湯水循環用のポンプP、および流量センサSbが設けられている。
【0024】
ポンプPを駆動させると、図2(a)の太線で示すように、熱交換器4から出湯路2に
流出した湯水を、戻し流路3を介して熱交換器4に戻すことが可能であり、これら熱交換器4、出湯路2、および戻し流路3により、湯水循環路Cが構成されている。給湯システムSYにおける即湯運転においては、図2(a)の太線で示す経路で、加熱湯水が循環流通される。
流量センサSbは、湯水循環路Cにおける湯水流量を検出するためのものである。図2(a)で示した即湯運転時において、混合栓8の給湯部側が開状態とされ、出湯が生じたときには、この流量センサSbによって検出されている湯水流量は減少することとなる。
なお、図2(b)については、後述する。
【0025】
内部入水路1aのうち、内部戻し流路3aとの接続箇所よりも熱交換器4側の部分も、厳密には、戻し流路3(および湯水循環路C)の一部に相当し、この部分には、流量センサSc、および温度センサSaが設けられている。流量センサScは、本来的には、熱交換器4への入水流量検出用であり、温度センサSaは、熱交換器4への入水温度検出用である。
【0026】
制御部6は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、給湯装置Aの各部の動作制御を実行するが、後述するように、即湯運転の制御、即湯運転を行なうための学習制御、および即湯運転に異常がある場合に、その旨を察知する異常判断処理も実行する。
【0027】
制御部6には、たとえば浴室や台所などに設置されるリモコン60が通信接続されている。このリモコン60は、複数の操作スイッチ60a、データ表示を行なうための表示部60b、および各種の音声メッセージや警告音などを発生することが可能なスピーカ(不図示)などを備えている。
【0028】
次に、前記した給湯システムSYにおける動作制御の例、ならびに作用について、図3および図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0029】
給湯システムSYにおいては、後述する即湯運転を実行することが可能であるが、その前提として、次に述べるような「湯水循環路Cの容量を学習する制御」が予め実行される。この制御は、給湯システムSYの試運転時において実行される。
【0030】
具体的に説明すると、まずリモコン60の操作スイッチ60aが操作されるなどして、即湯運転の試運転が選択されると、この試運転が実行されるべく、制御部6の制御によってポンプPが駆動オンとされる(S1:YES,S2)。このことにより、湯水循環路Cにおける湯水の循環流通が開始され、バーナ5は駆動燃焼を開始する結果、熱交換器4から出湯路2への加熱湯水の出湯も開始する(S3)。また、これに伴い、制御部6においては、流量センサSbを利用し、湯水循環路Cにおける湯水の積算流量Qの計測(カウント)を開始する(S4)。
【0031】
一方、制御部6は、温度センサSaを利用して検出される湯水温度を監視しており、この湯水温度が所定温度以上に上昇すると、その時点で積算流量Qのカウントを終了するとともに、そのカウント値(たとえばQa)を、湯水循環路Cの容量の概略値(あるいは近似値)と見做し、記憶する(S5:YES,S6)。温度センサSaを利用して検出される湯水温度が所定温度以上に上昇する状況は、図2(b)に示すように、熱交換器4による加熱湯水が、同図の太線で示すように、温度センサSaの配置箇所に到達した状況である。その際、加熱湯水のボリュームは、湯水循環路Cの容量に近いボリュームであるため、前記したカウント値Qaを湯水循環路Cの容量の概略値Qaと見做しても支障はない。概略値Qaは、本発明でいう所定値(通常であれば温度センサの検出温度の所定以上の上昇が見込める所定値)の一例に相当する。
前記した処理を終えた後には、ポンプPおよびバーナ5は、ともに駆動オフとされる(
S7)。
【0032】
次に、即湯運転が実行される場合について説明する。
【0033】
まず、リモコン60が操作されるなどして、即湯運転を開始する旨が選択されると、前記した試運転時と同様に、制御部6の制御により、ポンプPおよびバーナ5が順次駆動オンとされ、熱交換器4による加熱湯水が湯水循環路Cに送り出される(S11:YES,S12,S13)。また、その時点から、制御部6は、湯水循環路Cにおける湯水の積算流量Qのカウントを開始する(S14)。さらに、制御部6においては、異常検知カウンタをn=0に設定する(S15)。
【0034】
その後、前記した積算流量Qが、前記した湯水循環路Cの容量の概略値Qaを超えない段階で、温度センサSaにより検出される湯水温度が所定温度(たとえば、目標給湯温度と同程度)まで上昇すれば、制御部6は、「即湯運転に異常はない」と判断する(S16:YES,S17:YES,S18)。熱交換器4による加熱湯水が、湯水循環路Cのうちの温度センサSaの配置箇所に到達すると、温度センサSaによる検出温度は上昇するため、このような現象が見られる場合には、即湯運転に異常はないと考えられる。異常なしと判断された場合、リモコン60などを利用してその旨を報知する必要は無いと考えられるが、その旨を報知させるように構成することもできる。
【0035】
即湯運転に異常なしと判断された場合、図4には、その後の動作処理手順が省略されているが、即湯運転は、その後も継続して実行され、湯水循環路Cには、所定温度に加熱された湯水が循環流通する状態が維持される。この即湯運転は、混合栓8が開状態とされること、即湯運転を終了すべき旨の操作がなされること、あるいは予め設定された即湯運転終了用の時間が経過することなどによって終了する。
ただし、即湯運転としては、前記とは異なり、図2(b)で示した試運転の態様と同様に、熱交換器4よる加熱湯水が、温度センサSaの配置箇所に到達し、その検出温度が上昇した時点で、ポンプPやバーナ5の駆動を停止させる態様の即湯運転とすることもできる。このような即湯運転であっても、湯水循環路Cには、加熱湯水を滞留させておくことができ、混合栓8が開状態とされた際に、即座に所望温度の湯水を出湯させることが可能である。
【0036】
前記とは異なり、温度センサSaにより検出される湯水温度が上昇しないまま、積算流量Qが、湯水循環路Cの容量の概略値Qaを超える場合がある(S17:NO,S16:NO)。この場合、制御部6は、ポンプPを駆動オフとした上で、流量センサSbによる流量検出があるか否かを判断する(S20,S21)。この場合、ポンプPを停止しているにも拘わらず、流量検出があることは、混合栓8が開状態とされて出湯がなされていることを意味する。このようなことから、流量検出が有る場合、制御部6は、異常ありと判断することなく、積算流量Qのカウント処理を終了する(S21:YES,S22)。この状況下においては、即湯運転の途中で混合栓8が開状態とされて出湯が行なわれているため、即湯運転から通常の給湯動作への切り替えがなされる。
【0037】
前記したステップS21において、混合栓8が開状態にはなく、流量検出がない場合には、バーナ5が駆動オフとされる(S21:NO,S23)。この状況下においては、即湯運転に異常がある可能性が高く、バーナ5の駆動オフにより、危険性を回避することが可能である。その後は、異常検知カウンタの数値nが、たとえば「3」よりも小さければ、制御部6は、異常検知カウンタの数値nを+1とし、かつ積算流量Qのカウントをリセットした上で、ポンプPおよびバーナ5をそれぞれ駆動オンとし、即湯運転を実質的にやり直させる(S24:YES,S25~S27)。
【0038】
前記したやり直しの即湯運転において、積算流量Qが概略値Qaを超える前の段階で、温度センサSaによる検出温度が所定温度まで上昇すれば、即湯運転に異常はないと判断される(S16:YES,S17:YES,S18)。
これに対し、そのような結果にならず、異常がある可能性が高い状態が繰り返されることにより、異常検知カウンタの数値nが、たとえば「3」になると、制御部6は、即湯運転に異常があるとの最終判断を下し、その旨の報知動作を実行させる(S24:NO,S28)。本実施形態においては、異常がある可能性が高い状況が繰り返されることを条件として、最終的に、異常ありと判断しているため、この判断の信頼性を高いものとすることが可能である。
前記報知動作は、たとえばリモコン60の表示部60bによる画像表示や、スピーカからの音声出力などが該当する。制御部6において、即湯運転に異常があると判断された際には、積算流量Qのカウントも終了するが(S29)、この段階においては、ポンプPおよびバーナ5の両者は、既に駆動オフとされており、即湯運転は既に停止されている状況にある。
【0039】
図5は、本発明に係る給湯システムの他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の構成要素には、同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0040】
図5(a)に示す給湯システムSYaにおいては、外部出湯路2bと、外部入水路1bとを接続する外部バイパス流路16を備えている。この外部バイパス流路16の一部は、混合栓8の給水部側への給水を可能とする分岐配管部17に相当するが、この分岐配管部17よりも外部出湯路2b寄りの部分には、外部出湯路2b側から外部バイパス流路16側への湯水流れのみを許容する逆止弁Vaが設けられている。
一方、ポンプPは、内部入水路1aに設けられている。
同図(b)の太線で示す部分は、湯水循環路Cに相当する。戻し流路3は、外部バイパス流路16、外部入水路1b、および内部入水路1aにより構成されている。
【0041】
本実施形態の給湯システムSYaにおいては、湯水循環路Cの構成要素として、先の給湯システムSYにおける外部戻し流路3bおよび内部戻し流路3aを不要にすることができる。したがって、構成の簡素化、および製造コストの低減化を図ることが可能である。
【0042】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0043】
上述の実施形態においては、本発明でいう「所定値(通常であれば温度センサの検出温度の所定以上の上昇が見込める所定値)」が、湯水循環路Cの容量の概略値Qaとされているが、これとは異なる値とすることが可能である。また、この値は、試運転時に、制御部6に学習させて得られる値に限定されず、たとえば給湯システムSYの設置業者などが、リモコン60を操作して入力した値であってもよい。
本発明は、貯湯タンクを備えた貯湯式の給湯システムにも適用することが可能である。この場合、湯水加熱用の熱交換器としては、たとえば液-液・熱交換器を利用し、貯湯タンクから出湯した高温の湯水を、湯水加熱用の媒体とすることができる。
【符号の説明】
【0044】
SY,SYa 給湯システム
C 湯水循環路
Sa 温度センサ
Sb,Sc 流量センサ
P ポンプ
Va 逆止弁
1 入水路
1a 内部入水路
1b 外部入水路
16 外部バイパス流路
19 給水源
2 出湯路
2a 内部出湯路
2b 外部出湯路
3 戻し流路
3a 内部戻し流路
3b 外部戻し流路
4 熱交換器
5 バーナ
6 制御部
7 外装ケース
8 混合栓(給湯端末)
図1
図2
図3
図4
図5