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特許7390584電力変換システム、分散電源システム、及び負荷制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】電力変換システム、分散電源システム、及び負荷制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20231127BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20231127BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H02J3/38 110
F24H15/375
H02J3/32
H02J3/38 130
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019145798
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021027751
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】松岡 孝
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057113(JP,A)
【文献】特開2014-060839(JP,A)
【文献】特開2015-046994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
F24H 15/375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷制御システムと、
分散電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置と、を備え、
前記負荷制御システムは、前記電力変換装置、及び、系統電源の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する負荷を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記電力変換装置が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、前記負荷の動作モードを、前記系統電源から供給される交流電力で動作する第1動作モードよりも消費電力が低い又は消費電力量が少ない第2動作モードに制御し、
前記分散電源は、蓄電池を含み、
前記負荷は、第2負荷と、前記第2負荷より定格消費電力の大きい第1負荷と、を含み、
前記制御部は、前記自立運転状態で前記第1負荷及び前記第2負荷が動作するとき、所定の解除条件が成立していない場合は、前記第1負荷の動作モードを前記第2動作モードに制御し、前記所定の解除条件が成立している場合は、前記第1負荷の動作モードを前記第1動作モードに制御し、
前記第1負荷は、ヒートポンプ給湯器であり、
前記所定の解除条件は、ヒートポンプ給湯器が有する貯湯タンクの湯量が所定の設定湯量以下であるという条件である、
電力変換システム。
【請求項2】
前記第1負荷は、動作時間帯を設定するための設定部を有し、
前記第1負荷は、前記設定部によって設定された前記動作時間帯に動作する、
請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力変換装置が前記自立運転状態で動作中であることを検知したことをもって、前記第1負荷の動作モードを前記第2動作モードに制御する、
請求項1又は2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力変換装置及び前記系統電源の少なくとも一方から電力供給を受けて動作し、
前記制御部は、電力供給を受けて動作している場合に、前記系統電源の停電状態を示す停電情報を取得することをもって、前記電力変換装置が前記自立運転状態で動作中であることを検知する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記第2動作モードは、前記第1負荷が動作を休止する休止状態を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記第2動作モードは、前記第1負荷が、前記第1動作モードでの消費電力よりも消費電力が抑制された状態で動作する低電力動作状態を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記第2動作モードは、前記第1負荷が、前記第1動作モードで動作する場合の消費電力量よりも消費電力量が少ない動作モードである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力変換システムと、
前記分散電源と、を備え、
前記電力変換装置の運転状態は連系運転状態と前記自立運転状態とを含み、
前記電力変換装置は、前記連系運転状態では前記系統電源と連系して前記負荷に交流電力を供給し、前記自立運転状態では前記負荷に単独で交流電力を供給する、
分散電源システム。
【請求項9】
分散電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置、及び、系統電源の少なくとも一方から電力供給を受けて動作するヒートポンプ給湯器を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記電力変換装置が自立運転状態で動作中であることを検知し、かつ、所定の解除条件が成立していない場合は、前記ヒートポンプ給湯器の動作モードを、前記系統電源から供給される交流電力で動作する第1動作モードから動作を休止させる第2動作モードに制御し、
前記電力変換装置が自立運転状態で動作中であることを検知し、かつ、前記所定の解除条件が成立している場合は、前記ヒートポンプ給湯器の動作モードを前記第1動作モードに制御し、
前記所定の解除条件は、前記ヒートポンプ給湯器が有する貯湯タンクの湯量が所定の設定湯量以下であるという条件である、
負荷制御システム。
【請求項10】
前記ヒートポンプ給湯器は、動作時間帯を設定するための設定部を有し、
前記ヒートポンプ給湯器は、前記設定部によって設定された前記動作時間帯に動作し、
前記制御部は、前記設定部で設定された前記動作時間帯であっても、自立運転状態で動作中であることを検出した場合に前記第1動作モードから前記第2動作モードに制御する、
請求項9に記載の負荷制御システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記電力変換装置が前記自立運転状態で動作中であることを検知したことをもって、前記ヒートポンプ給湯器の動作モードを前記第2動作モードに制御する、
請求項9又は10に記載の負荷制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換システム、分散電源システム、及び負荷制御システムに関する。より詳細には、本開示は、系統電源及び分散電源の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する負荷を制御する負荷制御システムを備える電力変換システム、分散電源システム、及び負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、貯湯タンクの水を加熱するヒートポンプ装置と、給湯用水を加熱する燃焼式加熱装置とを備える給湯システムを開示する。この給湯システムは、電源調整器(電力変換装置)と、制御手段とを更に備えている。電源調整器は、ヒートポンプ装置(負荷)の電源を、商用電源(系統電源)、太陽光発電装置、及び、蓄電装置の1つ、または2以上を含む組み合わせ、に切り替える。制御手段は、太陽光発電装置からヒートポンプ装置へ供給可能な電力及び蓄電装置の蓄電量に応じて、商用電源、太陽光発電装置、及び、蓄電装置の1つ、または2以上を含む組み合わせ、をヒートポンプ装置の電源の候補として選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-80248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御手段が、商用電源の停電中に、蓄電装置をヒートポンプ装置の電源の候補として選択する場合、ヒートポンプ装置の定格消費電力は一般的な家庭用電気機器に比べて大きいため、蓄電装置の蓄電量が意図せずに低下する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、電力変換装置が自立運転状態で動作中に負荷の消費電力又は消費電力量を低減可能な電力変換システム、分散電源システム、及び負荷制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の電力変換システムは、負荷制御システムと、分散電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置と、を備える。前記負荷制御システムは、前記電力変換装置、及び、系統電源の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する負荷を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記電力変換装置が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、前記負荷の動作モードを、前記系統電源から供給される交流電力で動作する第1動作モードよりも消費電力が低い又は消費電力量が少ない第2動作モードに制御する。前記分散電源は、蓄電池を含む。前記負荷は、第2負荷と、前記第2負荷より定格消費電力の大きい第1負荷と、を含む。前記制御部は、前記自立運転状態で前記第1負荷及び前記第2負荷が動作するとき、所定の解除条件が成立していない場合は、前記第1負荷の動作モードを前記第2動作モードに制御し、前記所定の解除条件が成立している場合は、前記第1負荷の動作モードを前記第1動作モードに制御する。前記第1負荷は、ヒートポンプ給湯器である。前記所定の解除条件は、ヒートポンプ給湯器が有する貯湯タンクの湯量が所定の設定湯量以下であるという条件である。
【0008】
本開示の一態様の分散電源システムは、前記電力変換システムと、前記分散電源と、を備える。前記電力変換装置の運転状態は連系運転状態と前記自立運転状態とを含む。前記電力変換装置は、前記連系運転状態では前記系統電源と連系して前記負荷に交流電力を供給し、前記自立運転状態では前記負荷に単独で交流電力を供給する。
【0009】
本開示の一態様の負荷制御システムは、分散電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置、及び、系統電源の少なくとも一方から電力供給を受けて動作するヒートポンプ給湯器を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記電力変換装置が自立運転状態で動作中であることを検知し、かつ、所定の解除条件が成立していない場合は、前記ヒートポンプ給湯器の動作モードを、前記系統電源から供給される交流電力で動作する第1動作モードから動作を休止させる第2動作モードに制御し、前記電力変換装置が自立運転状態で動作中であることを検知し、かつ、前記所定の解除条件が成立している場合は、前記ヒートポンプ給湯器の動作モードを前記第1動作モードに制御する。前記所定の解除条件は、前記ヒートポンプ給湯器が有する貯湯タンクの湯量が所定の設定湯量以下であるという条件である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、電力変換装置が自立運転状態で動作中に負荷の消費電力又は消費電力量を低減可能な電力変換システム、分散電源システム、及び負荷制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る負荷制御システム及びそれを用いる分散電源システムの概略的なブロック図である。
図2図2は、同上の負荷制御システム、それを用いる電力変換システムの電力変換装置、及び負荷の動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態の負荷制御システム1は、図1に示すように、施設100において使用される負荷7(本実施形態では第1負荷71と第2負荷72とを含む)を制御するために用いられる。この負荷制御システム1は、例えば、戸建て住宅又は集合住宅の住戸等の施設100に設置されて使用される。なお、負荷制御システム1が設置される施設100は、戸建て住宅又は集合住宅の各住戸に限定されない。負荷制御システム1は、非住宅の建物(例えば、工場、商業用ビル、オフィスビル、病院、学校等)に設置されてもよい。
【0014】
本実施形態の負荷制御システム1は、図1に示すように、負荷(第1負荷71)を制御する制御部11を備える。負荷(第1負荷71)は、分散電源5から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置3、及び、系統電源2の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する。制御部11は、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、負荷(第1負荷71)の動作モードを、系統電源2から供給される交流電力で動作する第1動作モードよりも消費電力が低い又は消費電力量が少ない第2動作モードに制御する。
【0015】
ここにおいて、分散電源5は、系統電源2と連系して負荷(第1負荷71)に電力を供給する電源であり、本実施形態では蓄電池51及び太陽光発電システム52を含む。なお、分散電源5は蓄電池51及び太陽光発電システム52に限定されず、燃料電池、風力発電システム、又は小水力発電システム等を含んでもよい。
【0016】
電力変換装置3の動作状態は、連系運転状態と、自立運転状態とを少なくとも含む。連系運転状態とは、分散電源5から供給される直流電力を交流電力に変換し、系統電源2と連系して負荷7に電力を供給したり、系統電源2に交流電力を逆潮流したりする動作状態である。自立運転状態とは、例えば系統電源2が停電している停電状態で、電力変換装置3が、分散電源5から供給される直流電力を交流電力に変換し、電力変換装置3が単独で負荷7に電力を供給する動作状態である。
【0017】
施設100で使用される負荷7は、第1負荷71と、第2負荷72とを含む。第1負荷71は、第2負荷72に比べて定格消費電力が大きな負荷を含み、この種の負荷としてはヒートポンプ給湯器、IH加熱調理器具、エアコンディショナ、又は冷凍冷蔵庫等がある。第1負荷71は、制御部11によって動作モードが第1動作モード及び第2動作モードのいずれかに制御される負荷である。第2動作モードは、系統電源2から供給される交流電力で第1負荷71が動作する場合の第1動作モードに比べて、消費電力が低い又は消費電力量が少ない動作モードである。
【0018】
第2動作モードは、例えば、第1動作モードでの消費電力よりも消費電力が抑制された状態で動作する低電力動作状態を含み得る。負荷(第1負荷71)がヒートポンプ給湯器である場合、低電力動作状態は、例えば、第1動作モードに比べて沸き上げ温度、又は沸き上げ湯量等を低めに設定することによって、第1動作モードに比べて消費電力が抑制された動作モードである。負荷(第1負荷71)が、消費電力を調節可能なIH加熱調理器具である場合、第2動作モードは、第1動作モードに比べて消費電力が制限された状態で使用される動作モードである。負荷(第1負荷71)が、複数口の加熱部を有するIH加熱調理器具である場合、第2動作モードは、複数口の加熱部の一部を使用停止にした動作状態であってもよい。
【0019】
また、第2動作モードは、負荷(第1負荷71)が動作を休止する休止状態を含み得る。負荷がヒートポンプ給湯器である場合、休止状態は、貯湯タンク内の湯水を加熱する動作は行わず、例えばヒートポンプ給湯器の制御部のみに電力を供給する状態であり、低電力動作状態に比べて更に消費電力が低い動作モードである。
【0020】
また、第2動作モードは、第1動作モードでの消費電力量よりも消費電力量が少ない動作モードであってもよい。負荷(第1負荷71)がヒートポンプ給湯器である場合、沸き上げる湯量を少なくしたり、沸き上げの温度を低めに設定したりすることで、第2動作モードを、沸き上げ動作が終了するまでの消費電力量を第1動作モードよりも少なくした動作モードとしてもよい。つまり、第2動作モードは、第1動作モードと瞬時の消費電力は変えずに、例えば動作時間を短くすることで消費電力量を少なくした動作モードであってもよい。 また、第2負荷72は、第1負荷71に比べて定格消費電力が低い負荷であり、この種の負荷としては、例えば照明器具等を含む。
【0021】
制御部11は、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、負荷(第1負荷71)の動作モードを第2動作モードに制御している。これにより、電力変換装置3が自立運転状態で動作中である場合は、負荷(第1負荷71)の動作モードが第2動作モードに制御されるので、電力変換装置3が自立運転状態で動作中に負荷(第1負荷71)の消費電力又は消費電力量を低減可能である。したがって、自立運転状態において電力変換装置3が蓄電池51から入力される直流電力を交流電力に変換して負荷(第1負荷71)に供給する場合は、蓄電池51の蓄電容量が意図せずに低下してしまう可能性を低減できるという利点がある。
【0022】
(2)詳細
以下、本実施形態の負荷制御システム1、及び、それを備える電力変換システム4並びに分散電源システム6について図1を参照しながら説明する。
【0023】
(2.1)構成
施設100には、負荷制御システム1と、電力変換装置3と、分電盤8と、複数の負荷7と、切替器20と、停電検知部21とが設けられている。また、施設100には、分散電源5として、蓄電池51と、太陽光発電システム52とが設けられている。
【0024】
以下、各部の構成について説明する。
【0025】
負荷7は、施設100において使用される電気機器であり、第1負荷71と第2負荷72とを含む。
【0026】
第1負荷71は、負荷制御システム1が動作モードを制御可能な負荷である。第1負荷71は、第2負荷72に比べて、定格消費電力が大きい負荷である。第1負荷71の動作モードは、系統電源2から交流電力の供給を受けて動作する場合の第1動作モードと、第1動作モードよりも消費電力が低い第2動作モードとを含む。なお、第2動作モードは、第1動作モードよりも消費電力量が少ない動作モードであってもよく、また第1動作モードよりも消費電力が低くかつ消費電力量が少ない動作モードであってもよい。第1負荷71は、負荷制御システム1から入力される制御信号S4に基づいて、第1動作モード及び第2動作モードのいずれかの動作モードで動作する。なお、第1負荷71は、負荷制御システム1から制御信号S4が入力されない場合、第1動作モード(消費電力及び消費電力量が抑制されていない動作モード)で動作する。換言すれば、負荷制御システム1は、第1負荷71を第1制御モード及び第2制御モードのいずれかの動作モードに切り替えて動作させることができる。
【0027】
本実施形態では、第1負荷71が、例えば自然冷媒ヒートポンプ給湯器である場合について説明を行う。つまり、本実施形態では、制御部11によって動作モードが制御される負荷(第1負荷71)が、ヒートポンプ給湯器を含んでいる。自然冷媒ヒートポンプ給湯器は、熱交換器の冷媒として二酸化炭素等の自然冷媒を用い、熱交換器を用いて貯湯タンクに溜められた湯水を加熱し、貯湯タンクに溜められた湯水を給湯負荷に供給する。この第1負荷71は、第1負荷71の動作時間帯を設定するための設定部711を有している。第1負荷71のユーザが設定部711を用いて動作時間帯を設定すると、第1負荷71は、設定部711によって設定された動作時間帯に動作する。例えば、ヒートポンプ給湯器は、他の時間帯に比べて電力単価が安価である深夜時間帯などに、貯湯タンク内の湯水を沸かすような使い方で使用される。設定部711によって動作時間帯が深夜時間帯に設定されている場合、第1負荷71は、設定部711によって設定された動作時間帯になると、貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱動作を自動的に開始する。なお、第1負荷71は、ヒートポンプ給湯器に限定されず、IH加熱調理器具、エアコンディショナ、又は冷凍冷蔵庫等でもよい。
【0028】
第2負荷72は、施設100において使用される負荷7のうち第1負荷71以外の負荷であり、例えばテレビジョン受像機、掃除機、洗濯機等を含む。
【0029】
切替器20は、系統電源2及び電力変換装置3と、分電盤8との間に電気的に接続されている。切替器20は、分散電源システム6のユーザが、系統電源2の停電状態において、電力変換装置3から負荷7に交流電力を供給するバックアップ給電の有無を切り替えるために使用される。ユーザが切替器20を用いてバックアップ給電無しに切り替えると、系統電源2の停電時には、電力変換装置3からも負荷7に交流電力が供給されないため、負荷7は動作を停止する。一方、ユーザが切替器20を用いてバックアップ給電有りに切り替えると、系統電源2の停電時には電力変換装置3から切替器20及び分電盤8を介して負荷7に交流電力が供給されるので、施設100内の負荷7を動作させることができる。なお、本実施形態ではユーザが切替器20を用いてバックアップ給電の有無を手動で切り替えているが、例えば、負荷制御システム1の制御部11が、切替器20を制御して、バックアップ給電の有無を自動的に切り替えてもよい。負荷制御システム1の制御部11は、分散電源5から供給可能な電力量(例えば、蓄電池51の蓄電残量、又は、太陽光発電システム52の発電電力等)等に基づいて、バックアップ給電の有無を自動的に切り替えてもよい。
【0030】
電力変換装置3には、分散電源5として蓄電池51と太陽光発電システム52とが電気的に接続されている。電力変換装置3は、蓄電池51及び太陽光発電システム52から供給される直流電力を交流電力に変換し、切替器20を介して分電盤8に交流電力を出力したり、系統電源2に交流電力を出力(逆潮流)したりする。また、電力変換装置3は、太陽光発電システム52から出力される直流電圧の電圧値を変換して蓄電池51を充電する。なお、電力変換装置3は、系統電源2から切替器20を介して供給される交流電力を直流電力に変換して、蓄電池51を充電してもよい。
【0031】
電力変換装置3に接続される蓄電池51は、例えば、リチウムイオン蓄電池、又は、ニッケル水素蓄電池などを含む。電力変換装置3に接続される蓄電池51には、蓄電容量が互いに異なる複数種類の蓄電池51がある。ユーザは、複数種類の蓄電池51の中から所望の蓄電容量の蓄電池51を選択して電力変換装置3に接続すればよい。また、蓄電池51の蓄電容量を増やしたい場合、ユーザは、電力変換装置3に接続されている蓄電池51を、蓄電容量が大きい蓄電池51に交換したり、別の蓄電池51を後付けしたりすることで、蓄電池51の蓄電容量を増やしてもよい。電力変換装置3に接続される蓄電池51の蓄電容量を増やすことで、蓄電池51から供給される直流電力によってより多くの負荷7に電力を供給することが可能になり、本実施形態では、自立運転状態において電力変換装置3が全ての負荷7に電力を供給している。
【0032】
分電盤8は、系統電源2又は電力変換装置3から切替器20を介して供給される交流電力を、分岐回路に電気的に接続されている負荷7及び負荷制御システム1に供給する。つまり、負荷制御システム1(制御部11を含む)は、電力変換装置3及び系統電源2の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する。
【0033】
停電検知部21は、系統電源2の停電状態を検知する。停電検知部21は、系統電源2から入力される交流電圧の電圧レベルに応じた電圧信号S1を監視することで、系統電源2が停電しているか否かを検知する。停電検知部21は、例えば電圧信号S1のピーク値が所定の閾値を下回ると、系統電源2が停電していると判断し、系統電源2の停電状態を示す停電情報を含む停電通知信号S2を負荷制御システム1の制御部11に出力する。
【0034】
負荷制御システム1は、制御部11と、操作部12とを含む。負荷制御システム1は、例えば、施設100で使用されるエネルギーを管理するエネルギー管理システム(Energy Management System)のコントローラによって実現される。負荷制御システム1は、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする。すなわち、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、負荷制御システム1の各機能(制御部11及び操作部12の機能)が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0035】
操作部12は、例えば液晶ディスプレイのような表示装置の表面に設けられたタッチパネルを含む。操作部12は、ユーザの操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作信号S3を制御部11に出力する。なお、操作部12はタッチパネルに限定されず、メカニカルのスイッチ等で構成されてもよい。
【0036】
制御部11は、例えば、第1負荷71の動作モードを制御する。制御部11は、交流電力の供給を受けて動作を開始すると、停電検知部21から停電の検知結果を取得し、停電の検知結果に基づいて電力変換装置3が自立運転状態で動作中であるか否かを判断する。
【0037】
制御部11は、停電検知部21から停電通知信号S2が入力されなかった場合、電力変換装置3が連系運転状態であると判断し、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御する動作は行わない。したがって、第1負荷71が系統電源2から交流電力の供給を受けて動作する場合、第1負荷71は第1動作モード(消費電力及び消費電力量が抑制されていない動作モード)で動作する。
【0038】
制御部11は、停電検知部21から停電通知信号S2が入力された場合、系統電源2が停電中で電力変換装置3が自立運転状態であると判断し、動作モードを第2動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力する。第1負荷71は、動作モードを第2動作モードに制御する制御信号S4を制御部11から受け取ると、第1動作モードに比べて消費電力又は消費電力量が抑制された第2動作モードで動作する。
【0039】
制御部11は、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御している状態で、所定の解除条件が成立したと判断すると、動作モードを第1動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力する。第1負荷71は、この制御信号S4を受け取ると、第2動作モードを解除して、第1動作モードで動作するので、消費電力及び消費電力量が抑制されていない状態で動作することができる。ここで、「所定の解除条件」とは、例えば、第1負荷71であるヒートポンプ給湯器が有する貯湯タンクの湯量が所定の設定湯量以下であるという条件を含む。貯湯タンクの湯量が設定湯量以下であれば、貯湯タンク内の湯水を設定温度まで加熱するのに必要な電力は、設定湯量を超える量の湯水を設定温度まで沸かすのに必要な所要電力以下になり、蓄電池51の蓄電容量の低下は上記の所要電力に応じた低下量以下に抑えられる。したがって、貯湯タンクの湯量が所定の閾値以下であるという条件が成立する場合には、制御部11が、第1負荷71の動作モードを第1動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力して、第1負荷71を第1動作モードで動作させる。これにより、蓄電池51の蓄電容量が大幅に減少するのを抑制しながらも、第1負荷71を、消費電力及び消費電力量が抑制されていない第1動作モードで動作させることができる。
【0040】
なお、制御部11は、操作部12から入力される操作信号S3に基づいて、第1負荷71の動作モードを制御する制御信号S4を第1負荷71に出力してもよい。例えば、操作部12が、動作モードを第1動作モード又は第2動作モードに切り替えるユーザの操作入力を受け付けると、操作入力に応じた操作信号S3を制御部11に出力する。制御部11は、操作部12から入力される操作信号S3に基づいて、動作モードを第1動作モード又は第2動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力し、第1負荷71を第1動作モード又は第2動作モードで動作させる。これにより、制御部11は、ユーザの操作に応じた動作モードで第1負荷71を動作させることができる。ここにおいて、上記の解除条件は、操作部12から動作モードを第1動作モードに制御するという操作信号S3を受け付けるという条件を含んでもよい。この場合、第2動作モードを解除するユーザの操作に応じて、制御部11が、第1負荷71の動作モードを第1動作モードに制御することができる。
【0041】
ここにおいて、本実施形態の電力変換システム4は、負荷制御システム1と、上述の電力変換装置3とを備える。分散電源5は蓄電池51を含む。電力変換装置3は、例えば太陽光発電システム52から出力される直流電圧の電圧値を変換して蓄電池51を充電する。なお、電力変換装置3は、系統電源2から切替器20を介して入力される交流電力を直流電力に変換して蓄電池51を充電してもよい。
【0042】
また、本実施形態の分散電源システム6は、上記の電力変換システム4と、分散電源5とを備える。電力変換装置3の運転状態は連系運転状態と自立運転状態とを含む。電力変換装置3は、連系運転状態では系統電源2と連系して負荷7に交流電力を供給し、自立運転状態では負荷7に単独で交流電力を供給する。
【0043】
(2.2)動作
本実施形態の負荷制御システム1、及び、それを備える電力変換システム4並びに分散電源システム6の動作について図2を参照しながら説明する。
【0044】
系統電源2から交流電力が供給されている状態では、系統電源2と電力変換装置3とが連系して負荷7に交流電力を供給し、負荷7(第1負荷71及び第2負荷72)は電力の供給を受けて動作する。また、系統電源2と電力変換装置3とが連系して負荷制御システム1に交流電力を供給しており、負荷制御システム1も、交流電力の供給を受けて動作する。
【0045】
負荷7及び負荷制御システム1が動作中に系統電源2の停電が発生すると(ST1)、負荷制御システム1、第1負荷71、及び第2負荷72が動作を停止する(ST2,ST4,ST5)。また、電力変換装置3は、系統電源2から切替器20を介して入力される交流電圧に基づいて、系統電源2の停電を検知すると、電力変換動作を停止(つまり充放電を停止)する(ST3)。
【0046】
電力変換装置3は、系統電源2の停電時に自立運転を自動で開始するか手動で開始するかをユーザが切り替えるための切替スイッチと、ユーザによる自立運転の開始操作を受け付けるための開始スイッチとを備えている。電力変換装置3は、系統電源2の停電を検知すると、切替スイッチの切替状態を確認し、自立運転を自動で開始するか手動で開始するかを判断する。
【0047】
ここで、切替スイッチにより自立運転を自動で開始するように設定されている場合、電力変換装置3は自立運転を自動で開始する(ST6)。電力変換装置3は、蓄電池51又は太陽光発電システム52から供給される直流電力を交流電力に変換し、切替器20及び分電盤8を介して負荷制御システム1、第1負荷71、及び第2負荷72に交流電力を供給する(ST9,ST10,ST11)。
【0048】
切替スイッチにより自立運転を手動で開始するように設定されている場合、電力変換装置3は、開始スイッチが開始操作を受け付けたか否かを判断する。ここで、ユーザが開始スイッチを操作すると(ST7)、電力変換装置3は自立運転を開始する(ST8)。電力変換装置3は、蓄電池51又は太陽光発電システム52から供給される直流電力を交流電力に変換し、切替器20及び分電盤8を介して負荷制御システム1、第1負荷71、及び第2負荷72に交流電力を供給する(ST9,ST10,ST11)。
【0049】
電力変換装置3が自立運転を開始し、電力変換装置3から交流電力が供給されると、負荷制御システム1、第1負荷71、及び第2負荷72はそれぞれ動作を開始する(ST12,ST13,ST14)。
【0050】
ここで、負荷制御システム1の制御部11は、電力供給を受けて動作を開始すると、停電検知部21が系統電源2の停電を検知したか否かを確認する。負荷制御システム1の制御部11が、停電検知部21から停電情報を含む停電通知信号S2を取得すると(ST15)、系統電源2が停電中に電力変換装置3が自立運転状態で動作中であると判断する。制御部11は、第2負荷72に比べて定格消費電力が大きい第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御する。制御部11は、動作モードを第2動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力し(ST16)、第1負荷71の動作モードを第2モードとする(ST17)。ここで、第2動作モードは、第1負荷71が動作を休止する休止状態でもよいし、第1負荷71が第1動作モードに比べて消費電力が低い状態で動作する低電力動作状態でもよい。また、第2動作モードは、第1負荷71が第1動作モードに比べて消費電力量が少ない状態で動作する動作モードであってもよい。
【0051】
このように、本実施形態では、制御部11は、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であることを検知したことをもって、負荷(第1負荷71)の動作モードを第2動作モードに制御する。換言すれば、制御部11は、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であるとの条件が成立すれば、他の条件には関係無く、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御する。さらに言えば、制御部11は、電力供給を受けて動作している場合に、系統電源2の停電状態を示す停電情報を取得することをもって、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であることを検知する。つまり、系統電源2が停電中に制御部11が動作していれば、制御部11は電力変換装置3から電力供給を受けて動作していると判断できるので、制御部11は、電力変換装置3と通信を行うことなく、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であると判断する。なお、制御部11は、電力供給を受けて動作を開始すると、電力変換装置3と適宜の通信手段で通信を行うことで、電力変換装置3の運転状態を取得してもよく、電力変換装置3が自立運転状態であることを電力変換装置3から直接取得してもよい。
【0052】
制御部11は、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御すると、所定の解除条件が成立したか否かを判断する。所定の解除条件は、例えば、第1負荷71であるヒートポンプ給湯器の貯湯タンク内の湯量が所定の設定湯量以下であるという条件である。制御部11は、この解除条件が成立したと判断すると(ST18)、動作モードを第1動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力し(ST19)、第1負荷71の動作モードを第1モードとする(ST20)。
【0053】
このように、制御部11は、停電時に電力変換装置3から交流電力が供給されると、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに即座に切り替えている。したがって、負荷制御システム1の制御部11は、第1負荷71が第1動作モードで一旦起動した後に第1負荷71の動作モードを第2動作モードに切り替える場合に比べて、第1負荷71の消費電力又は消費電力量を更に低減することができる。なお、第1負荷71がIH加熱調理器具の場合、停電時に電力変換装置3が交流電力の供給を開始した時点ではIH加熱調理器具は必ずしも起動せず、ユーザがIH加熱調理器具を使用するタイミングで動作を開始する。制御部11は、第1負荷71の消費電力を監視することで第1負荷71が起動したか否かを監視する。制御部11は、電力変換装置3が自立運転状態で動作中に、IH加熱調理器具のような第1負荷71が起動したことを検知すると、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御する制御信号S4を第1負荷71に出力する。これにより、制御部11は、系統電源2の停電後に第1負荷71が使用されるタイミングで、第1負荷71の動作モードを第2動作モードに制御することができ、第1負荷71の消費電力又は消費電力量を抑制することができる。
【0054】
また、制御部11は、負荷(第1負荷71)の動作モードを第2動作モードに制御している状態で、所定の解除条件が成立すると、負荷(第1負荷71)の動作モードを第1動作モードに制御する。制御部11は、解除条件が成立すると負荷(第1負荷71)を自動的に第1動作モードで動作させており、負荷(第1負荷71)を消費電力及び消費電力量が抑制されていない第1モードで動作させることができる。
【0055】
なお、第2動作モードを解除する解除条件は、操作部12が、ユーザによる第2動作モードの解除操作を受け付けるという条件を含んでもよい。操作部12がユーザによる解除操作に応じた操作信号S3を制御部11に出力すると、制御部11が、第1負荷71を第1動作モードで動作させる制御信号S4を第1負荷71に出力し、第1負荷71が第1動作モードで動作する。これにより、ユーザの操作によって、第1負荷71の動作モードを第2動作モードから第1動作モードに切り替えることができる。
【0056】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、負荷制御システム1と同様の機能は、負荷制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る負荷制御方法は、負荷(第1負荷71)を制御する制御処理を含む。負荷(第1負荷71)は、分散電源5(蓄電池51及び太陽光発電システム52)から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置3、及び、系統電源2の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する。制御処理では、電力変換装置3が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、負荷(第1負荷71)の動作モードを、系統電源2から供給される交流電力で動作する第1動作モードよりも消費電力が低い又は消費電力量が少ない第2動作モードに制御する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の負荷制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0057】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0058】
本開示における負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0059】
また、負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6に必須の構成ではない。負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6の少なくとも一部の機能、例えば、負荷制御システム1、電力変換システム4、及び分散電源システム6の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0060】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の負荷制御システム(1)は、負荷(71)を制御する制御部(11)を備える。負荷(71)は、分散電源(5)から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(3)、及び、系統電源(2)の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する。制御部(11)は、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、負荷(71)の動作モードを、系統電源(2)から供給される交流電力で動作する第1動作モードよりも消費電力が低い又は消費電力量が少ない第2動作モードに制御する。
【0061】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減可能な負荷制御システム(1)を提供できる。
【0062】
第2の態様の負荷制御システム(1)では、第1の態様において、負荷(71)は、動作時間帯を設定するための設定部(711)を有する。負荷(71)は、設定部(711)によって設定された動作時間帯に動作する。
【0063】
この態様によれば、設定部(711)で設定された動作時間帯に動作するような負荷(71)であっても、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中は、第2動作モードで動作させることによって、負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減できる。
【0064】
第3の態様の負荷制御システム(1)では、第1又は第2の態様において、制御部(11)は、負荷(71)の動作モードを第2動作モードに制御している状態で、所定の解除条件が成立すると、負荷(71)の動作モードを第1動作モードに制御する。
【0065】
この態様によれば、解除条件が成立すると、負荷(71)を消費電力及び消費電力量が抑制されていない第1動作モードで動作させることができる。
【0066】
第4の態様の負荷制御システム(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、負荷(71)は、ヒートポンプ給湯器を含む。
【0067】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中は、ヒートポンプ給湯器の消費電力又は消費電力量を低減することができる。
【0068】
第5の態様の負荷制御システム(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、制御部(11)は、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中であることを検知したことをもって、負荷(71)の動作モードを第2動作モードに制御する。
【0069】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減可能な負荷制御システム(1)を提供できる。
【0070】
第6の態様の負荷制御システム(1)では、第1~第5のいずれかの態様において、制御部(11)は、電力変換装置(3)及び系統電源(2)の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する。制御部(11)は、電力供給を受けて動作している場合に、系統電源(2)の停電状態を示す停電情報を取得することをもって、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中であることを検知する。
【0071】
この態様によれば、制御部(11)は、電力変換装置(3)と通信を行うことなく、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中であることを検知することができる。
【0072】
第7の態様の負荷制御システム(1)では、第1~第6のいずれかの態様において、第2動作モードは、負荷(71)が動作を休止する休止状態を含む。
【0073】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中は、負荷(71)を休止状態とすることで、負荷(71)の消費電力及び消費電力量を低減できる。
【0074】
第8の態様の負荷制御システム(1)では、第1~第6のいずれかの態様において、第2動作モードは、負荷(71)が、第1動作モードでの消費電力よりも消費電力が抑制された状態で動作する低電力動作状態を含む。
【0075】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中は、負荷(71)を低電力動作状態とすることで、負荷(71)の消費電力を低減できる。
【0076】
第9の態様の電力変換システム(4)は、第1~第6のいずれかの態様において、第2動作モードは、負荷(71)が、第1動作モードで動作する場合の消費電力量よりも消費電力量が少ない動作モードである。
【0077】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に、負荷(71)の消費電力量を低減できる。
【0078】
第10の態様の電力変換システム(4)は、第1~第9のいずれかの態様の負荷制御システム(1)と、電力変換装置(3)と、を備える。分散電源(5)は、蓄電池(51)を含む。
【0079】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減可能な電力変換システム(4)を提供できる。
【0080】
第11の態様の分散電源システム(6)は、第10の態様の電力変換システム(4)と、分散電源(5)と、を備える。電力変換装置(3)は、分散電源(5)から供給される直流電力を交流電力に変換し、系統電源(2)と連系して負荷(71)に交流電力を供給する。電力変換装置(3)の運転状態は連系運転状態と自立運転状態とを含む。電力変換装置(3)は、連系運転状態では系統電源(2)と連系して負荷(71)に交流電力を供給し、自立運転状態では負荷(71)に単独で交流電力を供給する。
【0081】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減可能な分散電源システム(6)を提供できる。
【0082】
第12の態様の負荷制御方法は、負荷(71)を制御する制御処理を含む。負荷(71)は、分散電源(5)から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(3)、及び、系統電源(2)の少なくとも一方から電力供給を受けて動作する。制御処理では、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中であることを検知した場合、負荷(71)の動作モードを、系統電源(2)から供給される交流電力で動作する第1動作モードよりも消費電力が低い又は消費電力量が少ない第2動作モードに制御する。
【0083】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減可能な負荷制御方法を提供できる。
【0084】
第13の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様の負荷制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0085】
この態様によれば、電力変換装置(3)が自立運転状態で動作中に負荷(71)の消費電力又は消費電力量を低減可能である。
【0086】
上記態様に限らず、上記の実施形態に係る負荷制御システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、負荷制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0087】
第2~第8の態様に係る構成については、負荷制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 負荷制御システム
2 系統電源
3 電力変換装置
4 電力変換システム
5 分散電源
6 分散電源システム
11 制御部
51 蓄電池
71 第1負荷(負荷)
711 設定部
図1
図2