(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】キャビネット及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20231127BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20231127BHJP
F21V 29/507 20150101ALI20231127BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20231127BHJP
F21V 21/00 20060101ALI20231127BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231127BHJP
A47B 67/02 20060101ALI20231127BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20231127BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231127BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20231127BHJP
【FI】
F21V33/00 130
F21V33/00 110
F21V29/503
F21V29/507
F21V29/70
F21V21/00 130
F21V21/00 140
F21S2/00 443
F21S2/00 444
A47B67/02 503A
A47B67/02 502D
A47K1/02 C
A47K1/02 A
F21Y115:10
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2020073138
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 雄司
(72)【発明者】
【氏名】中村 明弘
(72)【発明者】
【氏名】松崎 大樹
(72)【発明者】
【氏名】村井 香織
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223284(JP,A)
【文献】特開2017-152336(JP,A)
【文献】特開2015-035423(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068378(WO,A1)
【文献】特開2012-243553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
F21V 29/503
F21V 29/507
F21V 29/70
F21V 21/00
F21S 2/00
A47B 67/02
A47K 1/02
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口して左右方向に並ぶ複数の収納空間及びこの複数の収納空間に仕切る仕切壁を有するキャビネット本体と、
前記仕切壁の前方を避けて各前記収納空間の前方に配置されて左右方向に並ぶ、前端部に鏡を有する複数の扉と、
前記仕切壁の前端部に配置されて上下方向に延びる照明ユニットと、を備え、
前記照明ユニットは、
出光部を有して上下方向に延びる照明部と、
前記照明部を保持する保持ケースと、
前記仕切壁の前端部に取り付けられて前記保持ケースを保持する取付ベースと、
前記取付ベースが前記保持ケースを保持した状態で、前記保持ケースと前記取付ベースの間に形成される空隙に配置されて前記空隙を広げる方向に前記保持ケースと前記取付ベースとを押す弾性部材と、を有し、
前記保持ケースは、前記取付ベースの熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する
キャビネット。
【請求項2】
前記保持ケースは、金属により形成されている
請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
前記弾性部材は、上下方向に複数配置されている
請求項1又は2記載のキャビネット。
【請求項4】
前記取付ベースは、
前記仕切壁の前端部に取り付けられる基片と、
左右方向に離れて前記基片よりそれぞれ前方に延びて、前記保持ケースを挟持する挟持片と、
両方の前記挟持片からそれぞれ互いに対向する方に延びて、前記保持ケースを掛け止めする掛け止め片と、を有し、
前記取付ベースが前記保持ケースを保持した状態で、前記保持ケースの後端部と前記基片との間に隙間が形成される
請求項1~3のいずれか一項に記載のキャビネット。
【請求項5】
前記取付ベースは、前記保持ケースの可撓性よりも高い可撓性を有する
請求項1~4のいずれか一項に記載のキャビネット。
【請求項6】
前記取付ベースは、樹脂により形成されている
請求項1~5のいずれか一項に記載のキャビネット。
【請求項7】
前記照明部は、光源を有し、
前記空隙に、前記光源で発生した熱を前記保持ケースに伝導させる熱伝導部材が配置される
請求項1~6のいずれか一項に記載のキャビネット。
【請求項8】
前記照明部、前記保持ケース及び前記熱伝導部材を有する照明部ユニットが構成され、
前記取付ベースは前記照明部ユニットを保持する
請求項7記載のキャビネット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のキャビネットに用いられる照明ユニットを有する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
キャビネット及びこのキャビネットに用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、従来のキャビネットが開示されている。この特許文献1記載のキャビネットは、前方に開口したキャビネット本体と、キャビネット本体の前側に設けられて収納空間を開閉可能に閉塞する扉と、キャビネット本体の前側に扉と並べて設けられた照明ユニットとを備える。照明ユニットは、キャビネット本体に対して取り付けられた取付ベースと、取付ベースの前側に取り付けられた照明装置とを有する。
【0003】
照明装置は、導光部材と、ホルダーと、を備える。導光部材は、ホルダーの保持溝部内に嵌め込まれることで、ホルダーに保持されている。ホルダーは、取付ベースの収納溝に嵌め込まれる。ホルダーは、被規制部を有しており、取付ベースは、一対の掛止部を有している。被掛止部が取付ベースの掛止部の後面に引っ掛けられて、ホルダーが取付ベースに対して前方へ移動するのが規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この上記従来のキャビネットは、被掛止部が取付ベースの対応する掛止部の後面に引っ掛けられているとき、被掛止部が後方に移動できる空間が形成されており、保持ケースが取付ベースに対して移動してがたつきやすいという問題があった。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、保持ケースが取付ベースに対して移動してがたつくのを抑制しやすいキャビネット及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一形態のキャビネットは、キャビネット本体と、複数の扉と、照明ユニットと、を備える。前記キャビネット本体は、前方に開口して左右方向に並ぶ複数の収納空間及びこの複数の収納空間に仕切る仕切壁を有する。前記複数の扉は、前記仕切壁の前方を避けて各前記収納空間の前方に配置されて左右方向に並び、前端部に鏡を有する。前記照明ユニットは、前記仕切壁の前端部に配置されて上下方向に延びる。前記照明ユニットは、照明部と、前記照明部を保持する保持ケースと、取付ベースと、弾性部材と、を有する。前記照明部は、出光部を有して上下方向に延びる。前記取付ベースは、前記仕切壁の前端部に取り付けられて前記保持ケースを保持する。前記弾性部材は、前記取付ベースが前記保持ケースを保持した状態で、前記保持ケースと前記取付ベースの間に形成される空隙に配置されて前記空隙を広げる方向に前記保持ケースと前記取付ベースとを押す。前記保持ケースは、前記取付ベースの熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する。
【0008】
本開示に係る一形態の照明装置は、前記キャビネットに用いられる照明ユニットを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のキャビネット及び照明装置によれば、弾性部材を空隙に配置して保持ケースと取付ベースとを押すようにしたことにより、保持ケースが取付ベースに対して移動してがたつくのを抑制しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態のキャビネットの斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の実施形態の照明ユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図3Aは、同上の実施形態の照明ユニットの弾性部材が位置する部分の水平断面図である。
図3Bは、
図3Aの要部拡大図である。
【
図4】
図4は、同上の実施形態の照明ユニットの熱伝導部材が位置する部分の水平断面図である。
【
図5】
図5は、同上の実施形態の照明ユニットの変形例の熱伝導部材が位置する部分の水平断面図である。
【
図6】
図6は、変形例の照明ユニットの弾性部材が位置する部分の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係るキャビネット及びこのキャビネットに用いられる照明装置について、実施形態に基づいて説明する。なお、本開示に係るキャビネット及び照明装置の実施形態は、下記実施形態に限定されるものではなく、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
本実施形態に係るキャビネットは、キャビネット本体1と、複数の扉2と、照明ユニット3と、を備える。キャビネット本体1は、前方に開口して左右方向に並ぶ複数の収納空間10及びこの複数の収納空間10に仕切る仕切壁15を有する。複数の扉2は、仕切壁15の前方を避けて各収納空間10の前方に配置されて左右方向に並び、前端部に鏡20を有する。照明ユニット3は、仕切壁15の前端部に配置されて上下方向に延びる。照明ユニット3は、照明部4と、照明部4を保持する保持ケース6と、取付ベース7と、弾性部材8と、を有する。照明部4は、出光部40を有して上下方向に延びる。取付ベース7は、仕切壁15の前端部に取り付けられて保持ケース6を保持する。弾性部材8は、取付ベース7が保持ケース6を保持した状態で、保持ケース6と取付ベース7の間に形成される空隙31に配置されて空隙31を広げる方向に保持ケース6と取付ベース7とを押す。保持ケース6は、取付ベース7の熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する。
【0013】
本実施形態に係る照明装置は、照明ユニット3を有する。
【0014】
本実施形態に係るキャビネット及び照明装置によれば、弾性部材8を空隙31に配置して保持ケース6と取付ベース7とを押すようにしたことにより、保持ケース6が取付ベース7に対して移動してがたつくのを抑制しやすい。
【0015】
(2)詳細
キャビネットは、キャビネット本体1と、複数の扉2と、照明ユニット3と、を備える。一実施形態に係るキャビネットについて、
図1~
図4に基づいて説明する。
【0016】
(2.1)キャビネット本体
図1に示すように、キャビネット本体1は、前方に開口する箱状をしたものである。キャビネット本体1は、天板11、底板12、側板13及び背板14を備えている。本実施形態における前後左右については、キャビネット本体1の開口する方を前方とすると共にその反対を後方とし、前方より後方を見たときの左右をそれぞれ左方及び右方とする。キャビネット本体1は、樹脂により形成されている。
【0017】
キャビネット本体1は、内部に、前方に開放される内部空間を有している。内部空間は、天板11、底板12、側板13及び背板14に囲まれた空間である。内部空間には、上下方向に延びて、内部空間を左右方向に並ぶ複数の収納空間10に仕切る、仕切壁15が配置される。本実施形態では、二枚の仕切壁15が間隔をあけて配置され、内部空間を三個の収納空間10に仕切られている。仕切壁15は、キャビネット本体1と一体に形成されている。仕切壁15の前端部には、左右方向の中間部に、上下方向に延びる凹所16が形成されている。この凹所16の奥面17に、照明ユニット3が配置される(
図3A参照)。
【0018】
各収納空間10には、適宜、トレイ18が着脱可能に設けられる。
【0019】
(2.2)扉
扉2は、前端部に鏡20を有し、扉2の前方に位置する使用者を写す。複数の扉2は、仕切壁15の前方を避けて配置される。すなわち、複数の扉2は、各収納空間10を閉じる状態で、各収納空間10の前方に配置された際に、仕切壁15の前方には位置しない。なお、扉2は、収納空間10を閉じる状態で、仕切壁15の一部の前方に位置してもよいが、仕切壁15の全部の前方に位置することはないため、複数の扉2の間には隙間が形成される。複数の扉2は、各収納空間10を閉じる状態で、左右方向に並び、間に仕切壁15及び照明ユニット3が位置する。
【0020】
本実施形態では、中央の収納空間10の前方に位置する扉21と、右側の収納空間10の前方に位置する扉22の二枚の扉2が設けられる。左側の収納空間10の前方には、扉2は設けられない。
【0021】
扉2は、キャビネット本体1に取り付けられた丁番(不図示)を介して、収納空間10を開閉可能となるようにキャビネット本体1に設けられる。本実施形態では、中央の扉21及び右側の扉22のいずれも、扉2の左端部に丁番が取り付けられて扉2の左端部が回転中心となり、扉2の右端部が移動可能な「片開き」となるように構成されている。
【0022】
(2.3)照明ユニット
照明ユニット3は、仕切壁15の前端部に配置され、仕切壁15に沿って上下方向に延びる。
図2及び
図3Aに示すように、照明ユニット3は、照明部4と、照明カバー5と、照明部4を保持する保持ケース6と、取付ベース7と、弾性部材8と、を有する。本実施形態では、照明ユニット3により照明装置が構成されるが、照明装置は照明ユニット3以外の構成を含んでもよい。
【0023】
(2.3.1)照明部
照明部4は、出光部40を有して上下方向に延びる。照明部4は、照明ユニット3の主たる構成である。本実施形態では、
図2に示すように、照明部4は、光源41と、導光部材42と、を有する。
【0024】
(2.3.1.1)光源
光源41は、LED410(Light Emitting Diode、
図3A参照)により構成される。基板411に、光源41としてのLED410のチップが実装されている。LED410により構成される光源41は、発熱部となる。LED410は、平面視における形状が直径9.8mmの円形状であるが、LED410の形状は特に限定されない。基板411は、光源ケース412に収納される。光源ケース412は、上下方向に開口する角筒状に形成されるが、形状は特に限定されない。光源ケース412は、例えばポリプロピレンをはじめとする樹脂により形成されるが、光源ケース412の材質は特に限定されない。
【0025】
(2.3.1.2)導光部材
導光部材42は、上下方向に延びる。導光部材42の形状が、照明部4の形状を概ね決める。導光部材42の長手方向である上下方向の端部が、入光部421となる。本実施形態では、導光部材42の上端面が入光部421となり、入光部421に近接して光源41が配置される。
図3Aに示すように、光源41は、平面視において、導光部材42の外郭内に収まるように配置される。光源41は、導光部材42は、例えばアクリル樹脂をはじめとする樹脂により形成されるが、導光部材42の材質は特に限定されず、光透過度が高い(好ましくは全光線透過率が100%)材質であればよい。
【0026】
導光部材42の長手方向に垂直な断面(水平断面)における形状は、前後方向に延びる概ね矩形状をしている。このような形状により、導光部材42の水平断面における面積を確保しつつ、導光部材42の左右方向の長さを短くしやすい。
【0027】
導光部材42の上下方向に沿う前面部422は、出光部40となる。導光部材42の水平断面における形状が、前後方向に延びる形状をしていることにより、入光部421から導光部材42に入る光の量に対する、出光部40から出る光の量の割合である光取出効率が増加する。導光部材42の水平断面における前面部422の形状は、後方に凹むように湾曲した凹曲面となっている。
【0028】
導光部材42は、出光部40の左右両側には、それぞれ側面部423の前端部(出光部40側の端部)が連なる。両側の側面部423の前端部には、前方へいくほど互いの距離が短くなるようなテーパ部424が形成される。
【0029】
導光部材42の側面部423には、保持ケース6への掛け止め用の凸部425が形成される。
【0030】
(2.3.2)照明カバー
照明カバー5は、上下方向に延びて、照明部4の前方を覆う。照明カバー5は、前面部51と、側面部52と、を有する。前面部51は、照明部4の前方に位置して照明部4の前方を覆う。側面部52は、左右方向に離れて前面部51の左右端部よりそれぞれ後方に延びて、照明部4の左右の側方に位置する。
【0031】
本実施形態では、両方の側面部52は、前面部51との接続部分に、前面部51側へいくほど互いの距離が短くなるようなテーパ部53を有する。テーパ部53は、側面部52の前後方向における長さ全体の1/3程度の長さを有する。このようなテーパ部53が形成されることにより、前面部51の左右方向の長さを例えば従来の18mmに対して13mmとして、細見付とすることができる。
【0032】
照明カバー5は、例えばアクリル樹脂をはじめとする樹脂により形成されるが、照明カバー5の材質は特に限定されない。少なくとも、前面部51の光透過度は、側面部52の後端部の光透過度よりも高い。本実施形態では、照明カバー5は、前側に位置する第1部分54と、第1部分54の後側に位置する第2部分55と、を有する。第1部分54は、前面部51を含む部分であり、本実施形態では、前面部51及び、側面部52のテーパ部53の前部を含む部分である。すなわち、側面部52のテーパ部53の途中に、第1部分54と第2部分55の境界56が位置する。境界56の位置については後で詳述する。
【0033】
第1部分54は、第1光透過度を有する。第1光透過度としての可視光領域における光透過率が、50%以上かつ100%以下であり、好ましくは可視光領域における光透過率が100%であるが、これらの数値に限定されない。
【0034】
第2部分55は、少なくとも側面部52の後端部を含む部分である。第2部分55は、第1光透過度よりも低い第2光透過度を有する。第2光透過度としての可視光領域における光透過率が、0%以上かつ30%以下であり、好ましくは0%であるが、これらの数値に限定されない。
【0035】
本実施形態では、照明カバー5は、樹脂の二色成形により形成される。第1部分54は、第1光透過度を有する材料により形成され、第2部分55は、第2光透過度を有する材料により形成される。すなわち、第1部分54を形成する材料の光透過度は、第2部分55を形成する材料の光透過度よりも高い。第1部分54を形成する材料及び第2部分55を形成する材料は、例えばアクリル樹脂であるが、第2部分55を形成するアクリル樹脂に顔料等の添加物を混入して、第1光透過度よりも低い第2光透過度を得ている。第1部分54は、光の透過部として機能し、第2部分55は、光の非透過部として機能する。本実施形態では、第1部分54は透明であり、第2部分55は白色である。なお、光の透過部は光を100%透過させなくてもよいし、光の非透過部は光を100%遮らなくてもよい。
【0036】
照明カバー5の側面部52の内面には、保持ケース6と掛け止められる、掛け止め用の凹部521が形成されている。掛け止め用の凹部521は、この掛け止め用の凹部521の前側と後側とにそれぞれ形成された一対の凸部の間に形成される隙間からなるが、凸部の間の隙間ではなく側面部52の内面に形成された凹みにより形成されてもよい。
【0037】
(2.3.3)保持ケース
保持ケース6は、照明部4の後端部に取り付けられ、照明部4の前端部には取り付けられない。具体的には、保持ケース6は、上下方向に延びて、導光部材42の後部に取り付けられる。
【0038】
保持ケース6は、導光部材42の後側に位置する基部61と、基部61の左右端部よりそれぞれ前方に延びて導光部材42を保持する一対の挟持部62と、を有する。挟持部62は、導光部材42の側面部423の前後方向における途中まで延びている。挟持部62の内面には、導光部材42の側面部423に形成された掛け止め用の凸部425に掛け止めされる、掛け止め用の凹部621が形成されている。挟持部62の外面には、照明カバー5に掛け止めされる、掛け止め用の凸部622が形成されている。挟持部62の先端部が外側に向けて曲がっており、この外側に向けて曲がった部分により、掛け止め用の凸部622が形成されている。
【0039】
保持ケース6は、更に、取付ベース7に掛け止められる掛け止め部63を有する。掛け止め部63は、基部61の左右端部より左右方向にそれぞれ延びる掛かり部64と、掛かり部64の先端部より後方にそれぞれ延びる誘い部65と、を有する。
図3Bに示すように、掛かり部64の前面640は、左右方向に対して10°以上かつ20°以下の角度(本実施形態では15°)をなすが、掛かり部64の前面640が水平方向に対してなす角度は特に限定されない。
【0040】
また、誘い部65の外面650は、前後方向に対して15°以上かつ25°以下の角度(本実施形態では19°)をなすが、誘い部65の外面650が前後方向に対してなす角度は特に限定されない。
【0041】
図3Aに示すように、保持ケース6の上下方向における長さは、導光部材42の上下方向における長さと同じであることが好ましいが、異なってもよい。保持ケース6は、導光部材42を取付ベース7に取り付けるためのアダプタとして機能する。
【0042】
更に、保持ケース6は、発熱部となる光源41からの熱を放熱させる放熱部として機能する。保持ケース6は、後述する取付ベース7の熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する。保持ケース6は、金属により形成されている。保持ケース6を形成する金属として、例えばアルミニウムが好適に用いられるが、特にアルミニウムに限定されない。また、保持ケース6の材質は、金属ではなく樹脂であってもよく、特に限定されない。
【0043】
保持ケース6の可撓性は、取付ベース7の可撓性よりも低い。すなわち、保持ケース6の剛性は、取付ベース7の剛性よりも高い。
【0044】
(2.3.4)取付ベース
取付ベース7は、仕切壁15の前端部に取り付けられて保持ケース6を保持する。取付ベース7は、基片71と、挟持片72と、掛け止め片73と、を有する。取付ベース7は、上下方向に延びる。
【0045】
基片71は、仕切壁15の前端部に取り付けられる。仕切壁15の前端部に接する基片71の中央部711の左右両側には、L字状をした曲がり部712が形成されている。曲がり部712は、基片71の中央部711の左右端部より前方に延びる縦片713と、縦片713の前端部より左右方向の外側に延びる横片714と、を有する。曲がり部712は、仕切壁15の前端部に接しない。
【0046】
挟持片72は、左右方向に離れて基片71よりそれぞれ前方に延びて、保持ケース6を挟持する。本実施形態では、挟持片72は、横片714の左右端部より前方に延びて、保持ケース6の挟持部62の外面を保持する。
【0047】
掛け止め片73は、両方の挟持片72からそれぞれ互いに対向する方に延びて、保持ケース6を掛け止めする。本実施形態では、挟持片72の前端部より、左右方向の内側に掛け止め片73が延びる。掛け止め片73は、保持ケース6の掛け止め部63の掛かり部64の前面640を掛け止める。
図3Bに示すように、掛け止め片73の後面730は、水平方向に対して10°以上かつ20°以下の角度(本実施形態では15°)をなすが、掛け止め片73の後面730が水平方向に対してなす角度は特に限定されない。
【0048】
図3Aに示すように、取付ベース7は、保持ケース6の可撓性よりも高い可撓性を有する。すなわち、取付ベース7の剛性は、保持ケース6の剛性よりも低い。本実施形態では、取付ベース7は、樹脂により形成されている。取付ベース7を形成する樹脂としては、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂が好適に用いられるが、特にABS樹脂に限定されない。また、取付ベース7の材質は、樹脂ではなく金属であってもよく、特に限定されない。取付ベース7が金属により形成される場合、取付ベース7の剛性を保持ケース6の剛性よりも低くするため、例えば薄肉のアルミニウムが好適に用いられる。
【0049】
取付ベース7は、保持ケース6の掛け止め部63が前方より左右両側の掛け止め片73間に挿入されて、掛け止め片73が掛け止め部63を乗り越えることにより、保持ケース6を保持する状態となる。ここで、
図3Bに示すように、保持ケース6の誘い部65の外面650は、前後方向に対して所定の角度(本実施形態では19°)をなすため、誘い部65の後端部は、左右方向の間隔が狭くて取付ベース7の掛け止め片73間に挿入されやすいと共に、誘い部65の外面650は掛け止め片73を押し広げやすい。
【0050】
また、保持ケース6の掛かり部64の前面640が水平方向に対して所定の角度(本実施形態では15°)をなすと共に、取付ベース7の掛け止め片73の後面730が水平方向に対して前記所定の角度と同じ角度をなしている。このため、取付ベース7が保持ケース6を保持している状態では、使用者が保持ケース6をつかんで前方に引き抜かない限り、保持ケース6は取付ベース7から抜けにくく、また、使用者は、保持ケース6をで前方に引き抜けば、保持ケース6を取付ベース7から抜くことができる。
【0051】
図3Aに示すように、取付ベース7が保持ケース6を保持した状態で、保持ケース6と取付ベース7の間に空隙31が形成される。具体的には、空隙31は、挟持片72に挟持されてかつ掛け止め片73に掛け止めされた保持ケース6の基部61と、取付ベース7の基片71の中央部711との間に形成される。
【0052】
取付ベース7の熱伝導性は、保持ケース6の熱伝導性よりも低い。
【0053】
(2.3.5)弾性部材
弾性部材8は、空隙31に配置される。本実施形態では、弾性部材8は、EPDM(Ethylene Propylene Diene)、PE(Poly Ethylene)、ウレタンにより形成されている。また、弾性部材8は、発泡性材料により形成されることが好ましい。特に、発泡性材料は、独立発泡タイプのものより、発泡倍率が例えば5倍の半独立発泡タイプのものの方が好ましい。なお、弾性部材8の材質は、これらに限定されない。
【0054】
図2に示すように、弾性部材8は、上下方向に間隔をあけて複数配置されている。弾性部材8の個数は限定されない。また、弾性部材8は、上下方向に延びる一個の部材からなるものであってもよい。
【0055】
図3Aに示すように、弾性部材8は、空隙31を広げる方向に向けて、保持ケース6と取付ベース7とを押す。すなわち、弾性部材8の前面81が保持ケース6の基部61を前方に押すと共に、弾性部材8の後面82が取付ベース7の基片71の中央部711を後方に押す。
【0056】
取付ベース7の掛け止め片73が保持ケース6の掛け止め部63を乗り越えて、取付ベース7が保持ケース6を保持した状態において、弾性部材8が空隙31に配置されない場合、保持ケース6は取付ベース7に対して前後方向に移動し得る。すなわち、取付ベース7の掛け止め片73の後面730と、保持ケース6の掛かり部64の前面640が接触している状態で(
図3A参照)、保持ケース6の誘い部65の後端部と、取付ベース7の曲がり部712の横片714の前面との間に、隙間32が形成されており、保持ケース6は取付ベース7に対して後方に移動し得る。この隙間32は、保持ケース6及び取付ベース7の製造誤差を吸収するために生じるもので、設計上、例えば1mm等の公差として定められる。
【0057】
仮に、上記のような公差を定めず、保持ケース6の誘い部65の後端部と取付ベース7の曲がり部712の横片714の前面との間の距離を0mmとして設計したとする。この場合、保持ケース6及び取付ベース7の製造誤差により、取付ベース7の掛け止め片73が保持ケース6の掛け止め部63を乗り越える前に、誘い部65の後端部が曲がり部712の横片714の前面に接触して、保持ケース6が取付ベース7に対してそれ以上移動し得ない事態が生じ得る。
【0058】
そこで、保持ケース6の誘い部65の後端部と取付ベース7の曲がり部712の横片714の前面との間に隙間32を設けた上で、弾性部材8を空隙31に配置して保持ケース6と取付ベース7とを押すようにしたことにより、取付ベース7の掛け止め片73が保持ケース6の掛け止め部63を乗り越えられない事態が生じるのが抑制しやすく、かつ、保持ケース6が取付ベース7に対して移動してがたつくのを抑制しやすい。
【0059】
(2.3.6)熱伝導部材
図2に示すように、照明ユニット3は、熱伝導部材9を更に有する。熱伝導部材9は、空隙31に配置される。熱伝導部材9は、光源41で発生した熱を保持ケース6に伝導させる。熱伝導部材9は、アルミニウムをはじめとする金属等の熱伝導性の高い材料により形成されるが、材質は特に限定されない。
【0060】
熱伝導部材9は、上横片91と、上横片91の後端部より下方に延びる上縦片92と、上縦片92の下端部より前方に延びる下横片93と、下横片93の前端部より下方に延びる下縦片94と、を有する。
【0061】
上横片91の下面は、伝熱シート33を介して光源41の基板411の上面に接触する。上横片91及び伝熱シート33は、光源ケース412に収納される。伝熱シート33及び後述する伝熱シート34は、シリコーンにより形成されるが、材質は特に限定されない。
【0062】
光源ケース412には、光源ケース412の上方への開口を閉塞するケースカバー35が着脱可能に取り付けられる。ケースカバー35は、樹脂により形成されている。ケースカバー35を形成する樹脂としては、例えばABS樹脂が好適に用いられるが、特にABS樹脂に限定されない。また、ケースカバー35の材質は、樹脂ではなく金属であってもよく、特に限定されない。
【0063】
図4に示すように、下縦片94は、空隙31に配置される。下縦片94の前面は、伝熱シート34を介して保持ケース6の基部61の後面に接触する。
図2に示すように、下縦片94には、ビス等の固着具(不図示)が通る貫通孔941が形成されており、固着具が貫通孔941を通って保持ケース6の基部61に形成されたねじ孔(不図示)にねじ込まれることにより、熱伝導部材9が保持ケース6に取り付けられる。本実施形態では、下縦片94に、上下方向に離れて二個の貫通孔941が形成されることにより、熱伝導部材9が保持ケース6に対して回転するのを抑制することができる。
【0064】
このような熱伝導部材9が設けられることにより、光源41で発生した熱は、伝熱シート33、上横片91、上縦片92、下横片93、下縦片94、伝熱シート34、保持ケース6の基部61へと順に伝導する。熱伝導部材9及び保持ケース6は、高い熱伝導性を有するため、光源41で発生した熱を効率よく放熱させることができる。
【0065】
熱伝導部材9は、照明部4(光源41及び導光部材42)と保持ケース6と組み合わされて、照明部ユニットが構成される。照明部ユニットは、取付ベース7に取り付けられる。
【0066】
(2.3.7)エンドキャップ
照明ユニット3は、エンドキャップ36を更に有する。エンドキャップ36は、導光部材42及び保持ケース6の下端部に配置される。エンドキャップ36は、取付ベース7に取り付けられるが、別の部材に取り付けられてもよい。エンドキャップ36は、樹脂により形成されている。エンドキャップ36を形成する樹脂としては、例えばAS(Acrylonitrile Styrene)樹脂が好適に用いられるが、特にAS樹脂に限定されないし、樹脂ではなくてもよく、材質は特に限定されない。また、エンドキャップ36は、高い光透過度を有してもよい。特に、導光部材42の下端面を出光部として機能させる場合、エンドキャップ36は高い光透過度(好ましくは可視光領域における光透過率が100%)を有することが好ましい。また、導光部材42の下端面を出光部として機能させない場合、エンドキャップ36は低い光透過度(好ましくは可視光領域における光透過率が0%)を有することが好ましい。
【0067】
(2.4)照明カバーの境界の位置
前側に位置して第1光透過度を有する第1部分54と、後側に位置して第1光透過度よりも低い第2光透過度を有する第2部分55の境界56の前後方向における位置は、キャビネット本体1の前端部の位置よりも前方にある。キャビネット本体1の前端部とは、仕切壁15の凹所16を除く部分の前端部である。
【0068】
上述したように、照明カバー5の前面部51の光透過度は、側面部52の後端部の光透過度よりも高い。すなわち、導光部材42の前面部422は出光部40であるため、照明カバー5の前面部51の光透過度は高く形成される。これに対して、導光部材42の側面部423は出光部40ではないため、照明カバー5の側面部52の光透過度を高くする必要はなく、むしろ照明カバー5の側面部52の光透過度を低くして、側面部52の内面における反射(乱反射を含む)を増加させるのが好ましい。これにより、導光部材42の側面部423から出た光が照明カバー5の側面部52の内面で反射して、導光部材42に戻るかあるいは前方へと進行して、照明部4の前方へ進行する光の量が増加しやすくなる。
【0069】
また、仮に、照明カバー5の第1部分54と第2部分55の境界56の前後方向における位置が、キャビネット本体1の前端部の位置よりも後方にあると、導光部材42の側面部423から出て照明カバー5の第1部分54を透過した光が、キャビネット本体1に当たって、照明部4から前方に進行する光の量が減少しやすい。本実施形態のように、照明カバー5の第1部分54と第2部分55の境界56の前後方向における位置が、キャビネット本体1の前端部の位置よりも前方にあるか、あるいは、キャビネット本体1の前端部と同じであることにより、導光部材42の側面部423から出て照明カバー5の第1部分54を透過した光がキャビネット本体1に当たって、照明部4から前方に進行する光の量が減少するのが抑制される。
【0070】
また、導光部材42の側面部423から出て照明カバー5の第1部分54を透過した光は、キャビネット本体1に当たらなくても、その前方に位置する扉2に当たる可能性がある。このため、更に本実施形態では、照明カバー5の第1部分54と第2部分55の境界56の前後方向における位置が、扉2の後端部(裏面23)の位置よりも前方にあるか、あるいは、扉2の後端部と同じとなるように形成されている。これにより、導光部材42の側面部423から出て照明カバー5の第1部分54を透過した光が扉2に当たって、照明部4から前方に進行する光の量が減少するのが抑制される。
【0071】
また、第1部分54を形成する材料の光透過度を、第2部分55を形成する材料の光透過度よりも高くすることにより、第2部分55の表面にシボ加工等を形成して光透過度を低くしたりするものと比べて、光透過度を調節しやすい。特に、第1部分54を形成する材料の光透過度としての可視光領域における光透過率が、50%以上かつ100%以下である。第2部分55を形成する材料の光透過度としての可視光領域における光透過率が、0%以上かつ30%以下であることにより、第1部分54での光の透過及び第2部分55での光の反射を確保しやすい。
【0072】
また、照明カバー5の両方の側面部52にテーパ部53が形成されることにより、細見付とすることができると共に、前方に進行する光の量が増加しやすい。
【0073】
また、導光部材42の側面部423の前端部にテーパ部424が形成されることにより、導光部材42の下端面より下方へ出る光の量が増加しやすい。
【0074】
また、導光部材42の出光部40の前後方向における位置が、キャビネット本体1の前端部の位置よりも前方にあり、かつ、導光部材42の後端部の前後方向における位置が、キャビネット本体1の前端部の位置よりも後方にある。これにより、導光部材42がキャビネット本体1から前方に突出しにくくなる。
【0075】
(3)変形例
キャビネット本体1は、樹脂ではなく、無垢の木材、例えば合板やMDF(Medium Density Fiberboard)といった木質材又は金属等により形成されてもよく、キャビネット本体1の材質は特に限定されない。
【0076】
内部空間に配置される仕切壁15の個数及び仕切られる収納空間10の個数は限定されない。また、内部空間に配置される仕切壁15の位置は限定されない。仕切壁15は、キャビネット本体1と一体に形成されなくてもよい。仕切壁15がキャビネット本体1とは別体として形成される場合、仕切壁15の材質はキャビネット本体1と同じでもよいし異なってもよく、特に限定されない。
【0077】
扉2は、全ての収納空間10の前方に配置されてももちろんよいが、全ての収納空間10の前方に配置される必要はなく、少なくとも一部の収納空間10の前方に配置されればよい。
【0078】
中央の扉21は左端部に丁番が取り付けられて右端部が移動可能となり、右側の扉22は右端部に丁番が取り付けられて左端部が移動可能となる「両開き(いわゆる観音開き)」となるように構成されてもよい。扉2は、丁番を介してキャビネット本体1に取り付けられる必要はない。
【0079】
光源41は、LED410により構成されず、有機EL(Electro Luminescence)等により構成されてもよく、光源41の種類は特に限定されない。光源41は、特に光源ケース412に収納されなくてもよい。
【0080】
導光部材42の前面部422(出光部40)の水平断面における形状は、凹曲面ではなく、前方に凸となるように湾曲した凸曲面であってもよいし、平面であってもよく、特に限定されない。
【0081】
導光部材42の側面部423に掛け止め用の凸部425が形成されなくてもよいし、保持ケース6の挟持部62の内面に掛け止め用の凹部621が形成されなくてもよい。
【0082】
照明部4は、
図2に示すような導光部材42を有するものではなく、上下方向に延びる基板を有し、基板上に出光部40として例えばLEDのチップが上下方向に間隔をあけて複数並ぶものであってもよい。
【0083】
図5に示すように、照明カバー5の前端部に、テーパ部53が形成されなくてもよい。この場合には、テーパ部53を形成する照明カバー5と比べて、設計及び製造が容易となる。
【0084】
側面部52の途中に第1部分54と第2部分55の境界56が位置するのではなく、前面部51と側面部52との境界56が、第1部分54と第2部分55の境界56となってもよい。すなわち、第1部分54が前面部51であり、第2部分55が側面部52であってもよい。これにより、側面部52の全体を第2部分55として、照明部4の側面部423から出る光を反射させて、照明部4の前方へ進行する光の量が減少するのが抑制される。
【0085】
照明カバー5の側面部52に掛け止め用の凹部521が形成されなくてもよいし、保持ケース6の挟持部62の外面に、掛け止め用の凸部622が形成されなくてもよい。
【0086】
照明カバー5は、樹脂の三色成形(又は三色成形以上の多色成形)により形成されてもよいし、三色成形ではなく、樹脂が連続的に変化して、後方へいくほど光透過度が低くなるようなグラデーションが形成されるように成形されてもよい。
【0087】
取付ベース7は、基片71、挟持片72及び掛け止め片73を備える構成を有しなくてもよい。
【0088】
熱伝導部材9の下縦片94に形成される貫通孔941の個数は、限定されない。貫通孔941の個数が一個の場合には、熱伝導部材9が保持ケース6に対して回転するのを抑制する回転止めを設けることが好ましい。
【0089】
伝熱シート33は任意の構成であり、設けられなくてもよい。伝熱シート33が設けられない場合、熱伝導部材9と光源41(基板411)が直接接触するか、又は熱伝導部材9と光源41とがグリースを介して接触する。
【0090】
伝熱シート34は任意の構成であり、設けられなくてもよい。伝熱シート34が設けられない場合、熱伝導部材9と保持ケース6が直接接触するか、又は熱伝導部材9と保持ケース6とがグリースを介して接触する。
【0091】
図6に示すように、照明カバー5の第1部分54と第2部分55の境界56の前後方向における位置が、扉2の後端部(裏面23)の位置よりも後方にあってもよい。この場合でも、境界56の前後方向における位置は、キャビネット本体1の前端部の位置よりも前方にあることが好ましい。
【0092】
(まとめ)
以上、上述した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様に係るキャビネットは、キャビネット本体1と、複数の扉2と、照明ユニット3と、を備える。キャビネット本体1は、前方に開口して左右方向に並ぶ複数の収納空間10及びこの複数の収納空間10に仕切る仕切壁15を有する。複数の扉2は、仕切壁15の前方を避けて各収納空間10の前方に配置されて左右方向に並び、前端部に鏡20を有する。照明ユニット3は、仕切壁15の前端部に配置されて上下方向に延びる。照明ユニット3は、照明部4と、照明部4を保持する保持ケース6と、取付ベース7と、弾性部材8と、を有する。照明部4は、出光部40を有して上下方向に延びる。取付ベース7は、仕切壁15の前端部に取り付けられて保持ケース6を保持する。弾性部材8は、取付ベース7が保持ケース6を保持した状態で、保持ケース6と取付ベース7の間に形成される空隙31に配置されて空隙31を広げる方向に保持ケース6と取付ベース7とを押す。保持ケース6は、取付ベース7の熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する。
【0093】
第1の態様によれば、保持ケース6と取付ベース7との間に隙間32を設けたことにより、製造誤差により保持ケース6が取付ベース7に取り付けられない事態の発生を抑制しやすい。更に、弾性部材8を空隙31に配置して保持ケース6と取付ベース7とを押すようにしたことにより、保持ケース6が取付ベース7に対して移動してがたつくのを抑制しやすい。
【0094】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、保持ケース6は、金属により形成されている。
【0095】
第2の態様によれば、保持ケース6は、高い熱伝導性を得やすい。
【0096】
第3の態様では、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、弾性部材8は、上下方向に複数配置されている。
【0097】
第3の態様によれば、弾性部材8の量(重量)を削減することができる。
【0098】
第4の態様では、第1~第3のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、取付ベース7は、基片71と、挟持片72と、掛け止め片73と、を有する。基片71は、仕切壁15の前端部に取り付けられる。挟持片72は、左右方向に離れて基片71よりそれぞれ前方に延びて、保持ケース6を挟持する。掛け止め片73は、両方の挟持片72からそれぞれ互いに対向する方に延びて、保持ケース6を掛け止めする。取付ベース7が保持ケース6を保持した状態で、保持ケース6の後端部と基片71との間に隙間32が形成される。
【0099】
第4の態様によれば、掛け止めにより容易に保持ケース6を取付ベース7に取り付けられるものにおいて、空隙31を形成することができる。
【0100】
第5の態様では、第1~第4のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、取付ベース7は、保持ケース6の可撓性よりも高い可撓性を有する。
【0101】
第5の態様によれば、掛け止めにより保持ケース6を取付ベース7に取り付けやすい。
【0102】
第6の態様では、第1~第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、取付ベース7は、樹脂により形成されている。
【0103】
第6の態様によれば、取付ベース7は、高い可撓性を得やすい。
【0104】
第7の態様では、第1~第6のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、照明部4は、光源41を有する。空隙31に、光源41で発生した熱を保持ケース6に伝導させる熱伝導部材9が配置される。
【0105】
第7の態様によれば、光源41で発生した熱を放熱しやすい。
【0106】
第8の態様では、第7の態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、照明部4、保持ケース6及び熱伝導部材9を有する照明部ユニットが構成される。照明部ユニットは、取付ベース7に保持される。
【0107】
第8の態様によれば、照明部4、保持ケース6及び熱伝導部材9を取付ベース7に取り付けやすい。
【0108】
第9の態様では、第1~第8のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様の照明装置は、第1~第8のいずれかの態様のキャビネットに用いられる照明ユニット3を有する。
【0109】
第9の態様によれば、保持ケース6と取付ベース7との間に隙間32を設けたことにより、製造誤差により保持ケース6が取付ベース7に取り付けられない事態の発生を抑制しやすい。更に、弾性部材8を空隙31に配置して保持ケース6と取付ベース7とを押すようにしたことにより、保持ケース6が取付ベース7に対して移動してがたつくのを抑制しやすい。
【符号の説明】
【0110】
1 キャビネット本体
10 収納空間
15 仕切壁
2 扉
20 鏡
3 照明ユニット
31 空隙
32 隙間
4 照明部
40 出光部
41 光源
6 保持ケース
7 取付ベース
71 基片
72 挟持片
73 掛け止め片
8 弾性部材
9 熱伝導部材