(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】切替制御装置及び切替制御システム
(51)【国際特許分類】
H03K 17/725 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
H03K17/725 A
(21)【出願番号】P 2020127667
(22)【出願日】2020-07-28
(62)【分割の表示】P 2016062509の分割
【原出願日】2016-03-25
【審査請求日】2020-07-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】後藤 潔
(72)【発明者】
【氏名】三宅 智裕
【合議体】
【審判長】高橋 宣博
【審判官】千葉 輝久
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特許第6751908(JP,B2)
【文献】特開2011-050141(JP,A)
【文献】特開2000-197266(JP,A)
【文献】特開平02-070226(JP,A)
【文献】特開2007-088641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/72-17/735
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と負荷との間に電気的に接続され、前記交流電源と前記負荷との間の導通/非導通を切り替えるスイッチ部と、
前記スイッチ部の両端間に電気的に接続され、前記交流電源からの供給電力により制御電源を生成する電源部と、
前記電源部から前記制御電源の供給を受けて動作し、前記スイッチ部を制御するスイッチ制御部と、
前記スイッチ部の両端間に電気的に接続され、前記スイッチ部と前記電源部との間における前記供給電力の経路となる、インピーダンスがそれぞれ異なる2以上の給電路と、
前記供給電力の経路に用いる給電路を、前記2以上の給電路のいずれか1つに切り替える切替部と、
前記スイッチ部の両端電圧であるスイッチ間電圧の大きさを監視する電圧監視部と、を備える回路装置と共に用いられる切替制御装置であって、
前記電圧監視部から前記スイッチ間電圧
と基準値との比較結果を表す監視信号を取得し、前記
監視信号に基づいて
、前記スイッチ間電圧が
前記基準値以上若しくは
前記基準値未満の時間の長さであるパルス
幅を求める切替制御部を備え、
前記切替制御部は、前記パルス幅
と閾値との比較結果に基づいて前記切替部を制御する
ことを特徴とする切替制御装置。
【請求項2】
前記電圧監視部は、前記スイッチ部と前記2以上の給電路との間に電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1記載の切替制御装置。
【請求項3】
前記2以上の給電路は、第1給電路と第2給電路とを含み、
前記第1給電路は、前記第2給電路よりもインピーダンスが低い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の切替制御装置。
【請求項4】
前記切替制御部は、前記パルス幅が前記閾値未満である場合、前記第1給電路が前記供給電力の経路に用いられるように前記切替部を制御する
ことを特徴とする請求項3記載の切替制御装置。
【請求項5】
センサ部を更に備え、
前記スイッチ制御部は、前記センサ部の出力に基づいて前記スイッチ部を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の切替制御装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の切替制御装置を複数備え、
前記複数の切替制御装置は、複数の前記回路装置と共に用いられ、
前記複数の回路装置が備える複数のスイッチ部は、
前記交流電源と
前記負荷との間に電気的に並列に接続され、
前記複数の回路装置のいずれか1つの回路装置の前記スイッチ部が導通した状態になると、前記複数の回路装置のうち前記スイッチ部が非導通状態である他の回路装置に対応する前記切替制御装置では、前記切替制御部は前記供給電力の経路に用いる給電路が切り替わるように前記切替部を制御する
ことを特徴とする切替制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に切替制御装置及び切替制御システムに関し、より詳細には、交流電源と負荷との間に電気的に接続されるスイッチ部を備える回路装置と共に用いられる切替制御装置及び切替制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体から放射される熱線を検出して、負荷をオン/オフさせる電子スイッチ装置(熱線センサ付自動スイッチ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電子スイッチ装置は、接続端子間に、カレントトランスの1次巻線と、全波整流器と、負荷への電源供給をオン/オフ制御する双方向サイリスタを有する負荷制御回路とが直列に接続されている。
【0003】
また、特許文献1に記載の電子スイッチ装置では、全波整流器の直流出力端子間には、電源回路が接続される。電源回路は、制御用IC(Integrated Circuit)用の制御電源(動作電源)を生成する定電圧回路に、負荷の非通電時に電源供給する。また、負荷の通電時には、カレントトランスの2次巻線に流れる電流により、補助電源回路が定電圧回路に電源供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電子スイッチ装置は、負荷の通電時に制御電源を確保するためにカレントトランスが必要であるから、小型化が困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みてなされており、小型化が可能な切替制御装置及び切替制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の切替制御装置は、回路装置と共に用いられる。前記回路装置は、スイッチ部と、電源部と、スイッチ制御部と、2以上の給電路と、切替部と、電圧監視部とを備えている。前記スイッチ部は、交流電源と負荷との間に電気的に接続され、前記交流電源と前記負荷との間の導通/非導通を切り替える。前記電源部は、前記スイッチ部の両端間に電気的に接続され、前記交流電源からの供給電力により制御電源を生成する。前記スイッチ制御部は、前記電源部から前記制御電源の供給を受けて動作し、前記スイッチ部を制御する。前記2以上の給電路は、前記スイッチ部の両端間に電気的に接続され、前記スイッチ部と前記電源部との間における前記供給電力の経路となる。前記2以上の給電路は、インピーダンスがそれぞれ異なる。前記切替部は、前記供給電力の経路に用いる給電路を、前記2以上の給電路のいずれか1つに切り替える。前記電圧監視部は、前記スイッチ部の両端電圧であるスイッチ間電圧の大きさを監視する。前記切替制御装置は、切替制御部を備える。前記切替制御部は、前記電圧監視部から前記スイッチ間電圧と基準値との比較結果を表す監視信号を取得し、前記監視信号に基づいて、前記スイッチ間電圧が前記基準値以上若しくは前記基準値未満の時間の長さであるパルス幅を求める。前記切替制御部は、前記パルス幅と閾値との比較結果に基づいて前記切替部を制御する。
【0008】
本発明の切替制御システムは、前記切替制御装置を複数備え、前記複数の切替制御装置は、複数の前記回路装置と共に用いられる。前記複数の回路装置が備える複数の前記スイッチ部は、前記交流電源と前記負荷との間に電気的に並列に接続される。前記複数の回路装置のいずれか1つの回路装置の前記スイッチ部が導通した状態になると、前記複数の回路装置のうち前記スイッチ部が非導通状態である他の回路装置に対応する前記切替制御装置では、前記切替制御部は前記供給電力の経路に用いる給電路が切り替わるように前記切替部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、小型化が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る電子スイッチ装置の構成を示す概略回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る電子スイッチシステムの構成を示す概略回路図である。
【
図3】
図3は、同上の電子スイッチシステムの第1の動作を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、同上の電子スイッチシステムの第2の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態2に係る電子スイッチシステムの構成を示す概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
実施形態1に係る電子スイッチ装置1A,1Bは、
図2に示すように、交流電源11と負荷12との間に電気的に接続され、交流電源11から負荷12への通電状態を切り替える配線器具である。電子スイッチ装置1A,1Bは、例えば住宅の壁等に取り付けられる。交流電源11は、例えば、単相100〔V〕、60〔Hz〕の商用電源である。負荷12は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を有する光源と、光源を点灯させる点灯回路とを備える照明装置である。この負荷12では、交流電源11からの電力供給時に光源が点灯する。
【0012】
図2に示す例では、2つの電子スイッチ装置1A,1Bにて、電子スイッチシステム10が構成されている。つまり、電子スイッチシステム10は、複数(ここでは2つ)の電子スイッチ装置1A,1Bを備えている。2つの電子スイッチ装置1A,1Bは、互いに共通の構成を採用している。以下、2つの電子スイッチ装置1A,1Bをとくに区別しない場合には、2つの電子スイッチ装置1A,1Bの各々を「電子スイッチ装置1」という。
【0013】
電子スイッチ装置1は、例えば、双方向サイリスタ及びトランジスタ等の半導体スイッチからなるスイッチ部Q1を備えている。電子スイッチ装置1は、スイッチ部Q1を電子的に制御することにより、交流電源11と負荷12との間の導通/非導通を電子的に切り替える。
【0014】
本実施形態では、電子スイッチ装置1は、3本の配線を接続可能な、いわゆる三路スイッチである。電子スイッチ装置1は、3つの接続端子101,102,103を備えている。そのため、2つの電子スイッチ装置1A,1Bを組み合わせた電子スイッチシステム10では、負荷12への通電状態を、例えば、建物における階段の上階部分と下階部分との2箇所で切り替えることが可能である。
【0015】
図2の例では、電子スイッチ装置1A(以下、「第1電子スイッチ装置1A」ともいう)の接続端子101は、負荷12に接続されている。電子スイッチ装置1B(以下、「第2電子スイッチ装置1B」ともいう)の接続端子101は、交流電源11に接続されている。また、電子スイッチ装置1Aの接続端子102は、電子スイッチ装置1Bの接続端子103に接続されている。電子スイッチ装置1Aの接続端子103は、電子スイッチ装置1Bの接続端子102に接続されている。各電子スイッチ装置1において、接続端子101と接続端子102とは電子スイッチ装置1の内部で接続されている。
【0016】
さらに、各電子スイッチ装置1において、スイッチ部Q1は、接続端子101と接続端子103との間に接続されている。したがって、各電子スイッチ装置1において、スイッチ部Q1が導通(オン)した状態では、接続端子101及び接続端子102と、接続端子103との間がスイッチ部Q1を介して導通する。また、各電子スイッチ装置1において、スイッチ部Q1が非導通(オフ)の状態では、接続端子101及び接続端子102と、接続端子103との間が非導通となる。
【0017】
すなわち、複数(ここでは2つ)の電子スイッチ装置1A,1Bがそれぞれ備える複数のスイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に並列に接続される。そのため、電子スイッチシステム10では、2つの電子スイッチ装置1A,1Bのいずれかのスイッチ部Q1が導通していれば、交流電源11と負荷12との間が導通し、2つの電子スイッチ装置1A,1Bを介して、交流電源11から負荷12に電力供給される。したがって、電子スイッチシステム10では、電子スイッチ装置1Aのスイッチ部Q1、及び電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1の両方において、負荷12への通電状態を切り替えることが可能である。
【0018】
(2)詳細
(2.1)電子スイッチ装置の全体構成
以下、本実施形態の電子スイッチ装置の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0019】
電子スイッチ装置1は、
図2に示すように、スイッチ部Q1及び3つの接続端子101,102,103に加えて、整流器2及び回路部3を備えている。これらのスイッチ部Q1、3つの接続端子101,102,103、整流器2及び回路部3は、1つの筐体に収納されており、筐体が壁等に固定されることで、電子スイッチ装置1は壁等に取り付けられる。
【0020】
スイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に接続され、交流電源11と負荷12との間の導通/非導通を切り替える。本実施形態では、スイッチ部Q1は、3端子の双方向サイリスタ(トライアック)にて構成されている。スイッチ部Q1は、接続端子101と接続端子103との間に電気的に接続されており、接続端子101と接続端子103との間における双方向の電流の通過/遮断を切り替える。スイッチ部Q1の制御端子(双方向サイリスタのゲート端子)は、回路部3に電気的に接続されている。これにより、スイッチ部Q1は、後述するスイッチ制御部51にて制御される。
図1及び
図2等では、スイッチ部Q1を、接点を有するメカニカルスイッチと同様の回路記号で表記している。
【0021】
3つの接続端子101,102,103の各々は、配線が電気的かつ機械的に接続される部品である。第1の接続端子101と第3の接続端子103との間には、上述したようにスイッチ部Q1が接続されている。第2の接続端子102は、第1の接続端子101の送り端子であり、第1の接続端子101と電気的に接続されている。
【0022】
整流器2は、ダイオードブリッジからなる。整流器2は、スイッチ部Q1の両端間に印加される電圧(以下、「スイッチ間電圧Vsw」ともいう)を、全波整流して、回路部3に出力する。そのため、回路部3は、整流器2の直流出力端子間に接続されている。回路部3は、整流器2から入力される、全波整流後の電力を用いて、例えばスイッチ部Q1の制御及びセンサ部31の駆動等に必要な「制御電源」を生成する。
【0023】
以下では、2つの電子スイッチ装置1A,1Bのいずれのスイッチ部Q1も非導通の状態で、スイッチ部Q1には交流電源11から交流電圧Vacが印加されることと仮定する。つまり、2つの電子スイッチ装置1A,1Bがいずれもオフ状態であれば、スイッチ間電圧Vswは交流電源11からの交流電圧Vacと等しくなる。また、交流電圧Vacの極性は、
図2の矢印の向きを正極性とする。
【0024】
次に、回路部3の詳細について、
図1を参照して説明する。回路部3は、電源生成ブロック4と、制御部5と、センサ部31と、電圧監視部32とを備えている。
【0025】
電源生成ブロック4は、2つの給電路(第1給電路41、第2給電路42)と、電源部43と、切替部44とを有している。電源部43は、スイッチ部Q1の両端間に電気的に接続されており、交流電源11からの供給電力により制御電源を生成するように構成されている。第1給電路41と第2給電路42とは、スイッチ部Q1と電源部43との間で電気的に並列に接続されている。したがって、交流電源11から電源部43への供給電力の経路として、第1給電路41が含まれる経路と、第2給電路42が含まれる経路との2つの経路が形成される。切替部44は、スイッチ部Q1と、2つの給電路(第1給電路41、第2給電路)の間に電気的に接続されている。切替部44は、交流電源11から電源部43への供給電力の経路に用いる給電路を、第1給電路41と第2給電路42との間で切り替えるように構成されている。なお、「給電路を切り替える」とは、供給電力の経路に用いる給電路を、第1給電路41と第2給電路42とを電気的に切り替える意味であり、第1給電路41と第2給電路42とを物理的に切り替えることに限らない。
【0026】
第1給電路41は、インピーダンスが比較的低い低インピーダンス要素で構成されている。第2給電路42は、インピーダンスが比較的高い高インピーダンス要素を含んで構成されている。低インピーダンス要素の一例として、例えばPNP型のバイポーラトランジスタを備えるロードスイッチがある。ロードスイッチは、切替部44と電源部43との間に電気的に直列に接続され、オン状態になることにより、第1給電路41のインピーダンスが低くなる。なお、ロードスイッチは、バイポーラトランジスタを備える構成に限らず、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた構成であってもよい。高インピーダンス要素の一例として、入力電圧(スイッチ間電圧Vsw)を降圧して電源部43に出力するドロッパ回路がある。
【0027】
切替部44は、例えば、トランジスタ等の半導体スイッチを備えており、電源入力端子401と第1給電路41との間に、電気的に接続される。電源入力端子401は、整流器2の正極の直流出力端子に電気的に接続される。切替部44がオンすることにより、電源部43への供給電力の経路に第1給電路41が用いられ、切替部44がオフすることにより、電源部43への供給電力の経路に第2給電路42が用いられる。例えば、低インピーダンス要素がバイポーラトランジスタを備えるロードスイッチであれば、切替部44がオンすると、ロードスイッチのバイポーラトランジスタにベース電流が流れる。切替部44は、後述する切替制御部52にて制御されている。切替部44は、切替制御部52から出力される切替制御信号に基づいて、電源部43への供給電力の経路に用いる給電路を、第1給電路41と第2給電路42との間で切り替える。
図1では、切替部44を、接点を有するメカニカルスイッチと同様の回路記号で表記している。
【0028】
電源部43は、コンデンサC1とレギュレータ45とを有している。コンデンサC1は、第1給電路41、及び第2給電路42それぞれの出力端子と、グランド(基準電位点)との間に電気的に接続されている。レギュレータ45は、三端子レギュレータ(シリーズレギュレータ)である。レギュレータ45の入力端子は、コンデンサC1の高電位側の端子、つまり第1給電路41、及び第2給電路42それぞれの出力端子に電気的に接続されている。レギュレータ45は、コンデンサC1の両端電圧を所定電圧に変換して出力する。レギュレータ45の出力端子は、電源部43の出力端子に相当し、電源出力端子402に電気的に接続される。電源出力端子402は、制御部5に電気的に接続される。
【0029】
すなわち、整流器2の直流出力端子間において、第1給電路41と第2給電路42との並列回路と、電源部43とが電気的に直列に接続されている。電源入力端子401とグランド(基準電位点)との間に、全波整流されたスイッチ間電圧Vsw、つまり整流器2から出力される脈流電圧が印加される。これにより、コンデンサC1が充電される。電源部43への供給電力は、切替部44による電源入力端子401の接続先に応じて、第1給電路41と第2給電路42とのいずれか一方を介して電源部43に供給されることになる。
【0030】
本実施形態における「電源入力端子」等の「端子」は、電線等を接続するための部品(端子)として実体を有しなくてもよく、例えば、電子部品のリードや、回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。
【0031】
制御部5は、電源生成ブロック4から、制御電源の供給を受けて動作する。制御部5は、スイッチ部Q1を制御するスイッチ制御部51と、切替部44を制御する切替制御部52とを備えている。
【0032】
スイッチ制御部51は、センサ部31の検知結果に基づいて、スイッチ部Q1の制御端子(双方向サイリスタのゲート端子)にスイッチ制御信号を出力する。これにより、スイッチ制御部51は、スイッチ部Q1の導通/非導通を切り替えるように、スイッチ部Q1を制御する。さらに、制御部5は、スイッチ部Q1をオン状態とする場合には、電圧監視部32から出力される監視信号に基づいて、スイッチ制御信号を出力するタイミングを決定する。制御部5にはスイッチ部Q1を駆動するための駆動回路が含まれており、制御部5は直接的にスイッチ部Q1を制御する。
【0033】
切替制御部52は、電圧監視部32から出力される監視信号に基づいて、切替部44に切替制御信号を出力する。これにより、切替制御部52は、電源部43への供給電力の経路に用いる給電路が第1給電と第2給電路とで切り替わるように、切替部44を制御する。
【0034】
制御部5は、例えば、マイクロコンピュータを主構成として備えている。マイクロコンピュータは、マイクロコンピュータのメモリに記録されているプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、制御部5としての機能を実現する。プログラムは、予めマイコンのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、マイクロコンピュータを、制御部5として機能させるためのプログラムである。
【0035】
センサ部31は、検知エリアに人が存在するか否かを検知する。センサ部31は、例えば、焦電素子を含んでおり、人体から放出される赤外線を検出することによって、検知エリアに人が存在するか否かを判断する。センサ部31は、検知エリアに人が存在することを検知すると、スイッチ部Q1をオン状態とするためのオン制御指示を、制御部5のスイッチ制御部51に出力する。
【0036】
電圧監視部32は、スイッチ部Q1の両端電圧であるスイッチ間電圧Vswの大きさを監視(検出)するように構成されている。本実施形態では、電圧監視部32は、整流器2の直流出力端子間に電気的に接続されており、全波整流後のスイッチ間電圧Vswの大きさを監視する。電圧監視部32は、スイッチ間電圧Vswの大きさ(絶対値)と基準値とを比較し、比較結果を表す監視信号を制御部5に出力する。基準値は0〔V〕付近に設定された値(絶対値)であり、例えば、数〔V〕程度である。電圧監視部32は、交流電圧Vacのゼロクロス点〔0V〕を検出するゼロクロス検出部としても機能するが、ゼロクロスの検出点は交流電圧Vacのゼロクロス点〔0V〕から少し時間が遅れる。
【0037】
スイッチ制御部51は、センサ部31からオン制御指示を受けると、電圧監視部32からの監視信号に基づいて、スイッチ部Q1にスイッチ制御信号を出力する。具体的には、スイッチ制御部51は、電圧監視部32からの監視信号に基づいて、スイッチ間電圧Vswの大きさ(絶対値)が基準値以上になった際に、スイッチ部Q1を導通させる。スイッチ部Q1は、上述したように双方向サイリスタからなるので、スイッチ制御信号が入力されると導通し、交流電源11からの交流電圧Vacのゼロクロス点(0〔V〕)付近で非導通となる。厳密には、スイッチ部Q1が導通後、スイッチ部Q1を流れる電流が0〔A〕になるとスイッチ部Q1が非導通となるので、負荷12の種類によっては、交流電圧Vacのゼロクロス点よりも早いタイミングでスイッチ部Q1が非導通となることもある。そこで、スイッチ制御部51は、交流電圧Vacの半周期ごとにスイッチ制御信号を出力することにより、スイッチ部Q1を導通する。つまり、ここでいうスイッチ部Q1のオン状態とは、スイッチ部Q1が連続的に導通している状態だけではなく、スイッチ部Q1が間欠的に導通している状態を含む。また、スイッチ制御部51は、スイッチ部Q1をオフ状態とする場合、スイッチ部Q1にスイッチ制御信号を出力しないことにより、スイッチ部Q1を非導通に維持する。
【0038】
切替制御部52は、スイッチ制御部51がスイッチ部Q1をオフ状態に制御している場合、電圧監視部32からの監視信号に基づいて、切替部44に切替制御信号を出力する。具体的には、切替制御部52は、電圧監視部32からの監視信号に基づいて、スイッチ間電圧Vswの大きさ(絶対値)が基準値以上である時間の長さ(以下、「パルス幅」という)と閾値とを比較する。切替制御部52は、パルス幅が閾値未満である状態が複数回連続した場合、第1給電路41が電源部43への供給電力の経路に用いられるように、切替制御信号を切替部44に出力する。また、切替制御部52は、パルス幅が閾値以上である場合、第2給電路42が電源部43への供給電力の経路に用いられるように、切替制御信号を切替部44に出力する。すなわち、切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswのパルス幅が閾値以上であるか否かで、電源部43への供給電力の経路に用いる給電路が、第1給電路41と第2給電路42とで切り替わるように切替部44を制御する。また、閾値は、本実施形態では、交流電圧Vacの1周期の1/8程度に設定されている。なお、「交流電圧Vacの1周期の1/8」は、閾値の一例であってこの数値に限らない。スイッチ間電圧Vswのパルス幅は、スイッチ間電圧Vswの大きさ(絶対値)が基準値未満である時間の長さであってもよい。この場合、切替制御部52は、パルス幅が閾値以上である状態が複数回連続した場合、第1給電路41が電源部43への供給電力の経路に用いられるように、切替制御信号を切替部44に出力する。また、切替制御部52は、パルス幅が閾値未満である場合、第2給電路42が電源部43への供給電力の経路に用いられるように、切替制御信号を切替部44に出力する。
【0039】
また、切替制御部52は、スイッチ制御部51がスイッチ部Q1をオン状態に制御している場合、電圧監視部32からの監視信号によらず、切替部44に切替制御信号を出力する。つまり、切替制御部52は、スイッチ部Q1をオン状態にある間は、第1給電路41が電源部43への供給電力の経路に用いられるように、切替制御信号を切替部44に出力する。
【0040】
(2.2)動作
次に、電子スイッチ装置1及び電子スイッチシステム10の動作について、
図3、
図4を参照して説明する。
【0041】
図3では、第1電子スイッチ装置1A及び第2電子スイッチ装置1Bの両方のスイッチ部Q1がオフ状態である場合の動作を例示する。
図4では、第1電子スイッチ装置1Aのスイッチ部Q1がオフ状態、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態である場合の動作を例示する。
図3、
図4は、上段から順に、交流電圧「Vac」、スイッチ間電圧「Vsw」、第1電子スイッチ装置1Aの監視信号「S1a」、第2電子スイッチ装置1Bの監視信号「S1b」、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1の導通/非導通を示している。スイッチ部Q1の導通/非導通を表す「Q1」については、「ON」が導通を表し、「OFF」が非導通を表す。
図3、
図4の例では、監視信号S1a,S1bの信号レベルは、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1以上のときにLレベル(Low level)、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1未満のときにHレベル(High level)である。
【0042】
まず、第1電子スイッチ装置1A及び第2電子スイッチ装置1Bの両方のスイッチ部Q1がオフ状態であるときの動作について
図3を用いて説明する。
【0043】
図3では、第1電子スイッチ装置1Aにおけるスイッチ部Q1の両端電圧を示しているが、第2電子スイッチ装置1Bにおけるスイッチ部Q1の両端電圧も、第1電子スイッチ装置1Aにおけるスイッチ部Q1の両端電圧と同じである。また、
図3では、時点t0が、交流電圧Vacが負極性から正極性に移行するときのゼロクロス点である。時点t1において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を上回り、時点t2において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を下回る。時点t3が、交流電圧Vacが正極性から負極性に移行するときのゼロクロス点である。時点t4において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を上回り、時点t5において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を下回る。
【0044】
この状態では、第1電子スイッチ装置1A及び第2電子スイッチ装置1Bの両方のスイッチ部Q1がオフ状態であるので、2つの電子スイッチ装置1A,1Bのいずれでも、スイッチ間電圧Vswが交流電圧Vacと同電圧となる。したがって、交流電圧Vacの1周期のうち殆どの期間である時点t1から時点t2までの期間、及び時点t4から時点t5までの期間において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を上回る。これにより、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1以上である期間の長さ(パルス幅)が閾値以上となる。したがって、2つの電子スイッチ装置1A,1Bのいずれでも、第2給電路42が電源部43への供給電力の経路に用いられる。
【0045】
次に、第1電子スイッチ装置1Aのスイッチ部Q1がオフ状態、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態である場合の動作について
図4を用いて説明する。
【0046】
図4では、時点t10が、交流電圧Vacが負極性から正極性に移行するときのゼロクロス点である。時点t11において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を上回り、時点t11の直後の時点t12において、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1が導通され、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を下回る。時点t13が、交流電圧Vacが正極性から負極性に移行するときのゼロクロス点である。時点t4において、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を上回り、時点t14の直後の時点t15において、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1が導通され、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を下回る。
【0047】
この状態では、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1が導通している間は、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1の両端間の短絡により、2つの電子スイッチ装置1A,1Bのいずれでも、スイッチ間電圧Vswが略0〔V〕となる。
【0048】
第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1は、交流電圧Vacのゼロクロス点(0〔V〕)付近で非導通となり、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1を上回ると導通する。スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1未満である間は、監視信号S1a,S1bはHレベルであるが、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1以上になると、監視信号S1a,S1bはLレベルになる。そのため、
図4の例では、スイッチ部Q1が導通された時点t12から、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1に達する時点t14までの期間は、監視信号S1a,S1bはHレベルとなり、時点t14で監視信号S1a,S1bはLレベルになる。
【0049】
監視信号S1bがLレベルになると、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ制御部51は、スイッチ部Q1を導通させる。そのため、時点t11の直後の時点t12、及び時点t14の直後の時点t15において、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1は導通し、スイッチ間電圧Vswが略0〔V〕となる。よって、時点t12,t15にて、監視信号S1a,S1bはHレベルになる。第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態である間は、第2電子スイッチ装置1Bが上述の動作を繰り返す。これにより、2つの電子スイッチ装置1A,1Bのいずれでも、時点t10から時点t12までの期間、及び時点t13から時点t15までの期間に、スイッチ間電圧Vswが間欠的に発生し、電源部43への電力供給が行われる。
【0050】
上述したように、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1が導通している間は、第1電子スイッチ装置1Aのスイッチ間電圧Vswも略0〔V〕となる。したがって、第1電子スイッチ装置1Aは、スイッチ間電圧Vswを監視することにより、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出が可能となる。
【0051】
図4では、第1電子スイッチ装置1Aにおいて、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1以上である期間は、時点t11から時点t12、及び時点t14から時点t15までの短い期間となる。すなわち、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値Vth1以上である期間の長さ(パルス幅)が閾値未満となる状態が連続して発生する。したがって、第1電子スイッチ装置1Aにおいて、第1給電路41が電源部43への供給電力の経路に用いられる。
【0052】
第2電子スイッチ装置1Bにおいては、切替制御部52は、スイッチ制御部51がスイッチ部Q1をオン状態に制御することにより、第1給電路41が電源部43への供給電力の経路に用いられるように切替部44を制御する。
【0053】
(3)利点
以上説明したように、第1の態様に係る電子スイッチ装置1は、スイッチ部Q1と、電源部43と、スイッチ制御部51と、2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)と、切替部44と、電圧監視部32と、切替制御部52とを備えている。スイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に接続され、交流電源11と負荷12との間の導通/非導通を切り替える。電源部43は、スイッチ部Q1の両端間に電気的に接続され、交流電源11からの供給電力により制御電源を生成する。スイッチ制御部51は、電源部43から制御電源の供給を受けて動作し、スイッチ部Q1を制御する。2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)は、スイッチ部Q1の両端間に電気的に接続され、スイッチ部Q1と電源部43との間における供給電力の経路となる。切替部44は、供給電力の経路に用いる給電路を、2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)のいずれか1つに切り替える。電圧監視部32は、スイッチ部Q1の両端電圧であるスイッチ間電圧Vswの大きさを監視する。切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswの波形に基づいて切替部44を制御する。
【0054】
この構成によれば、交流電源11から電源部43への供給電力の経路として、2つの給電路(第1給電路41、第2給電路42)があり、いずれか一方の給電路を介して電源部43へ供給電力が供給される。2つの給電路(第1給電路41、第2給電路42)の切り替えは、スイッチ間電圧Vswに基づいて行われる。電子スイッチ装置1では、電圧監視部32がスイッチ間電圧Vswを監視することにより、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出が可能となる。例えば、第1電子スイッチ装置1Aのスイッチ部Q1がオフ状態であり、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態であるとする。この場合、スイッチ部Q1がオフ状態である第1電子スイッチ装置1Aは、スイッチ間電圧Vswの波形に基づいて、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態であることを検出することができる。したがって、第1電子スイッチ装置1Aは、第2電子スイッチ装置1Bにおけるスイッチ部Q1のオン状態であることに応じて給電路を切り替える。すなわち、電子スイッチ装置1は、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態に応じて、給電路が切り替えられる。これにより、電子スイッチ装置1は、適した給電路を用いて電源部43に電力供給することができ、スイッチ間電圧Vswから制御電源を確保することができる。結果的に、電子スイッチ装置1では、負荷12の通電時に制御電源を確保するためにカレントトランスが必要でなく、小型化が可能である。
【0055】
また、電源部43のコンデンサC1の両端電圧に基づいて、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態を検出する構成では、コンデンサC1の両端電圧によってはスイッチ部Q1のオン/オフ状態を誤検出するおそれがある。このような構成に対して、本実施形態の電子スイッチ装置1は、スイッチ間電圧Vswに基づいて、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態を直接的に検出する構成であるので、スイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出精度が高い。したがって、電子スイッチ装置1は、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態により適した給電路を用いて電源部43に電力供給することができる。
【0056】
また、第2の態様に係る電子スイッチ装置1では、第1の態様において、電圧監視部32は、スイッチ部Q1と2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)との間に電気的に接続されることが好ましい。この構成によれば、電圧監視部32は、給電路(第1給電路41、第2給電路42)によって電圧降下される前のスイッチ間電圧Vswを監視することができるので、スイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出精度の向上を図ることが可能となる。ただし、この構成は電子スイッチ装置1に必須の構成ではない。
【0057】
また、第3の態様に係る電子スイッチ装置1では、第1又は第2の態様において、2以上の給電路は、第1給電路41と第2給電路42とを含み、第1給電路41は、第2給電路42よりもインピーダンスが低いことが好ましい。この構成によれば、スイッチ部Q1のオン/オフ状態に応じて、インピーダンスが異なる給電路に切り替えることができ、スイッチ間電圧Vswから制御電源を効率よく確保することが可能となる。ただし、この構成は電子スイッチ装置1に必須の構成ではなく、2以上の給電路にインピーダンスが同じ給電路が含まれていてもよい。
【0058】
また、第4の態様に係る電子スイッチ装置1では、第1又は第2の態様において、切替制御部52は、前記スイッチ間電圧が基準値以上、又は基準値未満の時間の長さであるパルス幅に基づいて、切替部44を制御することが好ましい。この構成によれば、切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswのパルス幅に基づいて、スイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出が可能となり、複雑な演算処理が不要になる。ただし、この構成は電子スイッチ装置1に必須の構成ではなく、例えば、切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswの実効値(平均値)に基づいて、切替部44を制御してもよい。また、切替制御部52は、交流電圧Vacの半周期ごとにおけるスイッチ間電圧Vswのピーク値に基づいて、切替部44を制御してもよい。
【0059】
また、第5の態様に係る電子スイッチ装置1では、第4の態様において、2以上の給電路は、第1給電路41と第2給電路42とを含み、第1給電路41は、第2給電路42よりもインピーダンスが低いことが好ましい。切替制御部52は、パルス幅が閾値未満である場合、第1給電路41が供給電力の経路に用いられるように切替部44を制御することが好ましい。この構成によれば、スイッチ部Q1がオン状態であり、スイッチ間電圧Vswの大きさが小さい場合、インピーダンスが低い第1給電路41が、電源部43への供給電力の経路に用いられる。これにより、負荷12の通電時においても、制御電源を効率よく確保することが可能となる。さらに、スイッチ部Q1がオフ状態であり、スイッチ間電圧Vswが大きい場合、インピーダンスが大きい第2給電路42が、電源部43への供給電力の経路に用いられる。これにより、スイッチ部Q1がオフ状態であるときに、第2給電路42を通して負荷12に流れるリーク電流を抑制することができ、負荷12の誤動作の発生を抑制することが可能となる。ただし、この構成は電子スイッチ装置1に必須の構成ではなく、例えば、スイッチ部Q1のオン/オフ状態に応じて、電源部43に対して間欠的に供給する電流のデューティを調整するように構成されていてもよい。
【0060】
また、第6の態様に係る電子スイッチ装置1では、第1~第5のいずれかの態様において、センサ部31を更に備え、スイッチ制御部51は、センサ部31の出力に基づいてスイッチ部Q1を制御するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、電源部43で生成される制御電源にてセンサ部31を駆動でき、センサ部31の出力によってスイッチ部Q1を自動的に制御することが可能である。ただし、この構成は電子スイッチ装置1に必須の構成ではなく、センサ部31は適宜省略される。
【0061】
また、第1の態様に係る電子スイッチシステム10は、第1~第6のいずれかの態様に係る電子スイッチ装置1を複数備え、複数の電子スイッチ装置1が備える複数のスイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に並列に接続される。複数の電子スイッチ装置1のいずれか1つの電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1が導通した状態になると、複数の電子スイッチ装置1のうちスイッチ部Q1が非導通状態である他の電子スイッチ装置1では、切替制御部52は供給電力の経路に用いる給電路が切り替わるように切替部44を制御する。
【0062】
言い換えれば、電子スイッチシステム10は、複数の電子スイッチ装置1を備えている。これら複数の電子スイッチ装置1の各々は、スイッチ部Q1と、電源部43と、スイッチ制御部51と、2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)と、切替部44と、電圧監視部32と、切替制御部52とを備えている。スイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に接続され、交流電源11と負荷12との間の導通/非導通を切り替える。電源部43は、スイッチ部Q1の両端間に電気的に接続され、交流電源11からの供給電力により制御電源を生成する。スイッチ制御部51は、電源部43から制御電源の供給を受けて動作し、スイッチ部Q1を制御する。2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)は、スイッチ部Q1の両端間に電気的に接続され、スイッチ部Q1と電源部43との間における供給電力の経路となる。切替部44は、供給電力の経路に用いる給電路を、2以上の給電路(第1給電路41、第2給電路42)のいずれか1つに切り替える。電圧監視部32は、スイッチ部Q1の両端電圧であるスイッチ間電圧Vswの大きさを監視する。切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswの波形に基づいて切替部44を制御する。複数の電子スイッチ装置1が備える複数のスイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に並列に接続される。複数の電子スイッチ装置1のいずれか1つの電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1が導通した状態になると、複数の電子スイッチ装置1のうちスイッチ部Q1が非導通状態である1以上の他の電子スイッチ装置1では、1以上の切替制御部52は供給電力の経路に用いる給電路が切り替わるように1以上の切替部44を制御する。
【0063】
この構成によれば、複数の電子スイッチ装置1の各々において、交流電源11から電源部43への供給電力の経路として、2つの給電路(第1給電路41、第2給電路42)があり、いずれか一方の給電路を介して供給電力が供給される。2つの給電路(第1給電路41、第2給電路42)の切り替えは、スイッチ間電圧Vswに基づいて行われる。電子スイッチ装置1では、電圧監視部32がスイッチ間電圧Vswを監視することにより、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出が可能となる。例えば、第1電子スイッチ装置1Aのスイッチ部Q1がオフ状態であり、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態であるとする。この場合、スイッチ部Q1がオフ状態である第1電子スイッチ装置1Aは、スイッチ間電圧Vswの波形に基づいて、第2電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1がオン状態であることを検出することができる。したがって、第1電子スイッチ装置1Aは、第2電子スイッチ装置1Bにおけるスイッチ部Q1のオン状態であることに応じて給電路を切り替える。すなわち、電子スイッチ装置1は、他の電子スイッチ装置1におけるスイッチ部Q1のオン/オフ状態に応じて、給電路が切り替えられる。これにより、電子スイッチ装置1は、適した給電路を用いて電源部43に電力供給することができ、スイッチ間電圧Vswから制御電源を確保することができる。結果的に、電子スイッチ装置1では、負荷12の通電時に制御電源を確保するためにカレントトランスが必要でなく、小型化が可能である。とくに、三路スイッチからなる電子スイッチ装置1を2つ組み合わせた電子スイッチシステム10では、スイッチ部Q1がオフ状態の電子スイッチ装置1Aと、スイッチ部Q1がオン状態の電子スイッチ装置1Bとのいずれでも、制御電源を確保可能である。
【0064】
(4)変形例
実施形態1に係る電子スイッチ装置1は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、実施形態1に限定されることはなく、実施形態1以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、実施形態1の変形例を列挙する。
【0065】
負荷12は照明装置に限らず、例えば、換気扇及び防犯機器等の電気機器であってもよい。また、負荷12は、1台の電気機器に限らず、電気的に直列又は並列に接続された複数台の電気機器であってもよい。
【0066】
また、スイッチ部Q1は双方向サイリスタに限らず、その他の半導体スイッチであってもよい。スイッチ部Q1は、例えば、第1の接続端子101と第3の接続端子103との間に電気的に直列に接続された、2つのMOSFETであってもよい。2つのMOSFETは、ソース端子同士が互いに接続される、つまり、いわゆる逆直列に接続されることにより、双方向の電流の通過/遮断を切り替える。さらにまた、スイッチ部Q1は、例えば、GaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップの半導体材料を用いたダブルゲート(デュアルゲート)構造の半導体素子であってもよい。
【0067】
また、電源部43への供給電力の経路となる給電路(第1給電路41、第2給電路43)の数は、2に限らず、3以上であってもよい。
【0068】
また、スイッチ部Q1を駆動するための駆動回路が、制御部5とは別に設けられていてもよい。この場合、制御電源は、駆動回路の動作にも使用される。
【0069】
また、センサ部31は、人が存在するか否かを検知する人感センサに限らず、例えば、明るさセンサであってもよい。又は、センサ部31は、人感センサと明るさセンサとの両方を有していてもよい。さらに、電子スイッチ装置1は、センサ部31の検知結果に基づいてスイッチ部Q1が制御される構成に限らず、例えば、遠隔操作機能、タイマ機能、又は調光機能付きの電子スイッチ装置であってもよい。例えば遠隔操作機能付きの電子スイッチ装置1であれば、制御部5は、リモートコントローラからのワイヤレス信号に基づいて、スイッチ部Q1を制御する。さらにまた、電子スイッチ装置1は、例えば、押ボタンスイッチ又はタッチスイッチ等の操作部に対する人の操作に基づいて、スイッチ部Q1が制御される構成であってもよい。
【0070】
また、電圧監視部32は、全波整流後のスイッチ間電圧Vswではなく、全波整流前のスイッチ間電圧Vswの大きさを監視する構成であってもよい。この場合、電圧監視部32は、整流器2の交流入力端子間に電気的に接続される。電圧監視部32は、ゼロクロス点の検出するためのゼロクロス検出部と、他の電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1のオン/オフ状態を検出するための状態検出部としての機能を兼用しているが、ゼロクロス検出部と状態検出部とが別個に設けられていてもよい。状態検出部は、スイッチ間電圧Vswの大きさと正極性の基準値のみとを比較する構成、あるいはスイッチ間電圧Vswの大きさと負極性の基準値のみとを比較する構成であってもよい。
【0071】
また、スイッチ制御部51は、スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値以上となってから、所定時間が経過した時点でスイッチ部Q1を導通させるように構成されていてもよい。スイッチ間電圧Vswの絶対値が基準値以上となってから、所定時間の間はスイッチ部Q1が非導通状態に保持される。これにより、複数の電子スイッチ装置1間で基準値にばらつきがある場合でも、他の電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1が導通状態となったときに、自己の電子スイッチ装置1のスイッチ間電圧Vswが基準値に達しないということが抑制される。したがって、他の電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0072】
さらにまた、スイッチ制御部51は、電源部43のコンデンサC1の両端電圧に基づいて、スイッチ部Q1にスイッチ制御信号を出力するように構成されていてもよい。スイッチ制御部51は、コンデンサC1の両端電圧が閾値電圧以上となった際に、スイッチ部Q1を導通させる。この閾値電圧は、次にスイッチ部Q1が非導通となるまでの間、制御部5、センサ部31の動作が可能となるように、コンデンサC1が充電されたときのコンデンサC1の両端電圧である。
【0073】
また、切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswが基準値未満である連続した時間が、所定時間以上継続した場合、電源部43への供給電力の経路に第1給電路41が用いられるように切替部44を制御するように構成されていてもよい。複数の電子スイッチ装置1間で基準値にばらつきがある場合、他の電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1がオン状態であるにも関わらず、自己の電子スイッチ装置1のスイッチ間電圧Vswが基準値に達しないおそれがある。このような場合でも、他の電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1がオン状態であると検出することができ、インピーダンスが低い第1給電路41を電源部43への供給電力の経路に用いることができる。
【0074】
さらにまた、切替制御部52は、スイッチ部Q1がオン状態に制御されている場合であっても、スイッチ部Q1がオフ状態に制御されている場合と同様に、スイッチ間電圧Vswに基づいて切替部44を制御するように構成されていてもよい。
【0075】
また、スイッチ間電圧Vswのパルス幅が閾値未満である場合、第1給電路41のみが電源部43の電力供給経路に用いられる構成に限らない。例えば、切替制御部52は、スイッチ間電圧Vswのパルス幅が閾値未満である場合、第1給電路41と第2給電路42とを所定間隔で交互に切り替わるように構成されていてもよい。これにより、スイッチ部Q1がオン状態からオフ状態に切り替わった際に、第1給電路41を介して負荷12に電流が流れ続けることが抑制され、他の電子スイッチ装置1のスイッチ部Q1のオン/オフ状態の検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0076】
また、第1給電路41の低インピーダンス要素にロードスイッチを採用する場合、ロードスイッチと切替部44とが兼用されていてもよい。ロードスイッチをオンすることにより、第2給電路42の両端間が第1給電路41で短絡され、第1給電路41を介して電源部43に電力が供給される。また、ロードスイッチをオフすることにより、第2給電路42を介して電源部43に電力が供給される。
【0077】
また、電源部43の具体回路は、
図1に示す回路に限らず、適宜変更が可能である。電源部43は、例えば、コンデンサC1はレギュレータ45の出力に接続されていてもよいし、コンデンサC1とは別のコンデンサがレギュレータ45の出力に接続されていてもよい。さらに、電源部43におけるレギュレータ45は電子スイッチ装置1に必須の構成ではなく、レギュレータ45は省略されてもよい。
【0078】
また、実施形態1にて、スイッチ間電圧及び基準値等の2値間の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
【0079】
(実施形態2)
実施形態2に係る電子スイッチシステム10Aは、
図5に示すように、3つの電子スイッチ装置1A,1B,1Cの組み合わせからなる。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0080】
電子スイッチ装置1A,1Bは、実施形態1と同様、いわゆる三路スイッチである。一方、電子スイッチ装置1Cは、4本の配線を接続可能な、いわゆる四路スイッチである。電子スイッチ装置1Cは、電子スイッチ装置1A,1Bと同様の3つの接続端子101,102,103に加えて、第4の接続端子104を備えている。
【0081】
電子スイッチ装置1Cにおいて、接続端子103と接続端子104とは電子スイッチ装置1Cの内部で接続されている。電子スイッチ装置1Aの接続端子102は、電子スイッチ装置1Cの接続端子101に接続されている。電子スイッチ装置1Aの接続端子103は、電子スイッチ装置1Cの接続端子104に接続されている。電子スイッチ装置1Bの接続端子102は、電子スイッチ装置1Cの接続端子103に接続されている。電子スイッチ装置1Bの接続端子103は、電子スイッチ装置1Cの接続端子102に接続されている。
【0082】
上述の接続関係によれば、複数(ここでは3つ)の電子スイッチ装置1A,1B,1Cがそれぞれ備える複数のスイッチ部Q1は、交流電源11と負荷12との間に電気的に並列に接続される。そのため、3つの電子スイッチ装置1A,1B,1Cのいずれかのスイッチ部Q1が導通していれば、交流電源11と負荷12との間が導通し、3つの電子スイッチ装置1A,1B,1Cを介して、交流電源11から負荷12に電力供給される。したがって、電子スイッチシステム10Aでは、電子スイッチ装置1Aのスイッチ部Q1、電子スイッチ装置1Bのスイッチ部Q1、及び電子スイッチ装置1Cのスイッチ部Q1の全てにおいて、負荷12への通電状態を切り替えることが可能である。よって、3つの電子スイッチ装置1A,1B,1Cを組み合わせた電子スイッチシステム10Aでは、負荷12への通電状態を、3箇所で切り替えることが可能である。
【0083】
以上説明した本実施形態の電子スイッチシステム10Aにおいても、実施形態1と同様に、負荷12の通電時に制御電源を確保するためにカレントトランスが必要でなく、電子スイッチ装置1の小型化が可能である、という利点がある。
【0084】
また、実施形態2の変形例として、電子スイッチシステム10Aは、電子スイッチ装置1C(いわゆる四路スイッチ)を2つ以上備え、計4つ以上の電子スイッチ装置1A,1B,1Cを備えていてもよい。この場合、複数の電子スイッチ装置1A,1B,1Cがそれぞれ備える複数のスイッチ部Q1が、交流電源11と負荷12との間に電気的に並列に接続されることで、負荷12への通電状態を、4箇所以上で切り替えることが可能である。
【0085】
実施形態2の構成(変形例を含む)は、実施形態1の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C 電子スイッチ装置
10,10A 電子スイッチシステム
11 交流電源
12 負荷
31 センサ部
32 電圧監視部
41 第1給電路(給電路)
42 第2給電路(給電路)
43 電源部
44 切替部
51 スイッチ制御部
52 切替制御部
Q1 スイッチ部