(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】光共振器およびレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02255 20210101AFI20231127BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20231127BHJP
H01S 5/14 20060101ALI20231127BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20231127BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/02253
H01S5/14
B23K26/064 N
(21)【出願番号】P 2021501555
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2019043012
(87)【国際公開番号】W WO2020174752
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2019035769
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【氏名又は名称】竹内 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】市橋 宏基
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0331245(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105932545(CN,A)
【文献】特開2008-260054(JP,A)
【文献】特開2017-208445(JP,A)
【文献】米国特許第05321718(US,A)
【文献】特表2012-508453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が異なる複数の光ビームを合成する波長合成型の光共振器であって、
予め定めた方向に沿って配列され、互いに異なる波長の光ビームを放出する複数のレーザ素子を有するレーザダイオードアレイと、
各レーザ素子から放出される光ビームを、その波長に応じた回折角で回折させる回折格子
であって、格子本数が4000本/mm未満である回折格子と、
前記回折格子によって回折した光ビームの一部を反射して、各レーザ素子に戻す出力カプラと、
前記レーザダイオードアレイと前記回折格子との間に設けられ、各レーザ素子から放出される各光ビームを互いに整列させる光学系とを備え、
前記光学系は、前記レーザダイオードアレイから前記回折格子に向けて順に、前記予め定めた方向にのみ負のパワーを有する第1レンズ素子と、前記予め定めた方向にのみ正のパワーを有する第2レンズ素子とを含
み、
前記第2レンズ素子の像側主平面から光学系物体側焦点面までの距離が1500mm未満であり、
前記光学系は、前記レーザダイオードアレイと前記第2レンズ素子との間の距離よりも長い焦点距離を有する、光共振器。
【請求項2】
複数のレーザ素子のピッチに対する共振波長の変化が、5×10
-7
未満である、請求項1記載の光共振器。
【請求項3】
前記光学系は、下記の式を満たす請求項1記載の光共振器。
【数1】
ここで、f1は前記第2レンズ素子の焦点距離、f2は前記第1レンズ素子の焦点距離、sは前記第1レンズ素子の物体側主平面から前記第2レンズ素子の像側主平面までの距離、mは前記回折格子での回折次数、λは共振波長である。
【請求項4】
前記レーザダイオードアレイから前記回折格子に向けて順に、各レーザ素子から放出された各光ビームをファースト方向にコリメートするファースト軸コリメータと、前記ファースト軸コリメータから出射した各光ビームを主光線周りに90度回転させるビームツイスタと、前記ビームツイスタから出射した各光ビームをスロー方向にコリメートするスロー軸コリメータとが設けられ、前記光学系の焦点位置を前記ビームツイスタ出射面近傍とした請求項1記載の光共振器。
【請求項5】
前記複数のレーザ素子は、波長400nm帯の光ビームを発生する請求項1~4のいずれかに記載の光共振器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の光共振器と、
前記光共振器から出力された光ビームを被加工物に向けて照射する加工ヘッドとを備えるレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光共振器、特に波長合成型の光共振器に関する。また本開示は、こうした光共振器を用いたレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、発振波長が同調可能なエキシマレーザ装置を開示する。ビーム拡大器の入射瞳面を中心にビーム拡大器と回折格子の双方を載置した回転ステージを回転させることによって、発振波長の同調が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、粗いピッチの回折格子を使用した場合でも装置の小型化が図られる光共振器を提供する。また本開示は、こうした光共振器を用いたレーザ加工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、波長が異なる複数の光ビームを合成する波長合成型の光共振器に関する。前記光共振器は、予め定めた方向に沿って配列され、互いに異なる波長の光ビームを放出する複数のレーザ素子を有するレーザダイオードアレイを備える。前記光共振器はさらに、各レーザ素子から放出される光ビームを、その波長に応じた回折角で回折させる回折格子を備える。回折格子は、4000本/mm未満の格子本数を有する。前記光共振器はさらに、前記回折格子によって回折した光ビームの一部を反射して、各レーザ素子に戻す出力カプラを備える。前記光共振器はさらに、前記レーザダイオードアレイと前記回折格子との間に設けられ、各レーザ素子から放出される各光ビームを互いに整列させる光学系を備える。前記光学系は、前記レーザダイオードアレイから前記回折格子に向けて順に、前記予め定めた方向にのみ負のパワーを有する第1レンズ素子と、前記予め定めた方向にのみ正のパワーを有する第2レンズ素子とを含む。前記第2レンズ素子の像側主平面から光学系物体側焦点面までの距離が1500mm未満である。前記光学系は、前記レーザダイオードアレイと前記第2レンズ素子との間の距離よりも長い焦点距離を有する。
【0006】
また本開示に係るレーザ加工装置は、上記光共振器と、前記光共振器から出力された光ビームを被加工物に向けて照射する加工ヘッドとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る光共振器によると、粗いピッチの回折格子を使用した場合でも装置の小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)実施形態1に係る光共振器の概略構成を示す構成図、および(B)回折格子の断面図
【
図2】実施形態1に係る光共振器の具体的構成の一例を示す構成図
【
図11】(A)波長900nm帯で格子本数N=1600本の回折格子を採用した光共振器の一例を示す構成図、(B)波長400nm帯で格子本数N=2220本の回折格子を採用した光共振器の一例を示す構成図、および(C)波長400nm帯で格子本数N=1600本の回折格子を採用した光共振器の一例を示す構成図
【
図12】回折格子のα=-βの場合におけるΔλ/Δαの格子本数特性を示すグラフ
【
図13】本開示に係るレーザ加工装置の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、あるいは実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものでない。
【0011】
(実施形態1)
以下、
図1~
図12を用いて本開示の実施形態1を説明する。
【0012】
[1-1.構成]
図1(A)は、実施形態1に係る光共振器1の概略構成を示す構成図である。
図1(B)は、回折格子の断面図である。
【0013】
光共振器1は、光軸方向に沿って、レーザダイオードアレイ11と、光学系30と、回折格子40と、出力カプラ60などを備える。ここでは理解を容易にするため、レーザダイオードアレイ11からの光ビームの進行方向をZ方向、Z方向に垂直かつ紙面と平行な方向をX方向、Z方向に垂直かつ紙面と垂直な方向をY方向に設定している。
【0014】
レーザダイオードアレイ11は、例えば、ダイレクトダイオードレーザ(DDL)で構成でき、予め定めた方向、例えば、
図1(A)のX方向に沿って配列された複数のレーザ素子11aを有する。レーザダイオードアレイ11の後側端面には、例えば、反射率99.9%以上の高反射率コーティングが施される。レーザダイオードアレイ11の前側端面には、例えば、透過率99.9%以上の反射防止コーティングが施される。なお
図1(A)では、3つのレーザ素子11aを例示するが、2つまたは4つ以上のレーザ素子11aでも構わない。各レーザ素子11aは、光共振によって互いに異なる波長の光ビームを放出する。
【0015】
光学系30は、レーザダイオードアレイ11と回折格子40との間に設けられ、レーザダイオードアレイ11から回折格子40に向けて順に、X方向にのみ負のパワーを有する第1シリンドリカルレンズ素子31と、X方向にのみ正のパワーを有する第2シリンドリカルレンズ素子32とを含む。光学系30は、各レーザ素子11aから放出される各光ビームをX方向に互いに整列させてコリメートする機能を有する。光学系30の焦点位置は、レーザ素子11aの光出射面近傍に設定してもよい。なお、「コリメート」とは、単一の光ビームを平行または実質的に平行なビームに変換すること、複数の光ビームの各主光線を互いに平行または実質的に平行に変換すること等を意味する用語である。
【0016】
回折格子40は、各レーザ素子11aから放出される光ビームを、その波長に応じた回折角で回折させる。ここでは、回折格子40として、光ビームを入射側に反射する反射型の回折格子を例示しているが、光ビームを通過して入射側とは反対側に出射する透過型の回折格子も同様に使用できる。
【0017】
回折格子40は、
図1(B)に示すように、ピッチPを有する周期構造を有し、その断面は矩形波形状でもよく、その他に三角波形状、鋸歯形状などでもよい。一般に、回折格子の法線に対する入射角αおよび回折角β、回折次数m、格子本数N(=1/ピッチP)、光の波長λを用いて、回折条件sinα-sinβ=Nmλが成立する方向に回折光が出射される。ここで、入射角α及び回折角βの符号は、光線から回折格子の法線に向かって時計回りを正とする。ただし、反射型回折格子の回折角βは、光線から回折格子の法線に向かって反時計回りを正とする。
【0018】
出力カプラ60は、例えば、反射率2%の部分反射ミラーで構成でき、回折格子40によって回折した光ビームの一部を反射して、各レーザ素子11aに戻す。これによりレーザ発振用のフィードバック光が供給され、レーザダイオードアレイ11の後側端面と出力カプラ60との間で光共振を生じさせることが可能になる。出力カプラ60を通過した光ビームは、後段のプロセス、例えば、レーザ加工などに利用される。
【0019】
本開示に係る波長合成型の光共振器では、回折格子40への入射角αは各光ビームの波長に応じて相違するが、回折格子40での回折角βは各光ビームで一致するように回折条件が設定される。これにより波長が異なる複数の光ビームを同じ方向に合成することが可能になる。そのためレーザダイオードアレイ11の各レーザ素子11aでの最大光出力を加算できるため、高い出力の光ビームを実現できる。
【0020】
図2は、実施形態1に係る光共振器1の具体的構成の一例を示す構成図である。光共振器1は、光軸方向に沿って、
図1のレーザダイオードアレイ11を含む光源ユニット10と、スロー軸コリメータ(SAC: slow axis collimator)21と、1/2波長板70と、
図1の光学系30と、
図1の回折格子40と、テレスコープ光学系50と、
図1の出力カプラ60などを備える。ここでは理解を容易にするため、回折格子40が透過型である場合を例示するが、反射型の回折格子でも構わない。
【0021】
図3は、光源ユニット10の一例を示す斜視図である。
図4は、光源ユニット10の一例を示す部分側面図である。光源ユニット10は、前述したレーザダイオードアレイ11と、ファースト軸コリメータ(FAC: fast axis collimator)12と、ビームツイスタ(BT: beam twister)13などを備える。
【0022】
レーザダイオードアレイ11は、下部ブロック91の上にサブマウント92を介して搭載される。レーザダイオードアレイ11の上方には、上部ブロック93が戴置される。下部ブロック91および上部ブロック93は、レーザダイオードアレイ11に電流を供給するための電極として、またレーザダイオードアレイ11から発生する熱を散逸させるヒートシンクとしても機能する。上部ブロック93には、ファースト軸コリメータ12およびビームツイスタ13を保持するホルダ94が固定される。
【0023】
図5は、ファースト軸コリメータ12の一例を示す斜視図である。
図6は、ファースト軸コリメータ12の一例を示す断面図である。ファースト軸コリメータ12は、例えば、断面形状が平凸であり、X方向に母線を有するシリンドリカルレンズで構成される。
【0024】
レーザダイオードアレイ11内の各レーザ素子11aから出射される光ビームは、一般に、X方向の発散角Θxは比較的小さく、Y方向の発散角Θyは比較的大きい(Θx<<Θy)。このことから光ビームの主光線を中心として発散角が小さい方向をスロー方向と称され、発散角が大きい方向をファースト方向と称される。ファースト軸コリメータ12は、Y方向にのみ光学パワーを有し、光ビームをファースト方向についてコリメートする機能を有する。
【0025】
図7は、ビームツイスタ13の一例を示す斜視図である。
図8は、ビームツイスタ13の入射面を示す。
図9は、ビームツイスタ13の出射面を示す。
図10は、ビームツイスタ13の機能を示す斜視図である。
【0026】
ビームツイスタ13は、両面が凸形状である複数のシリンドリカルレンズ13aを予め定めた角度、例えば、45度だけ傾けて重ねて、XZ面に対して平行に切断したロッド状の光学素子である。シリンドリカルレンズ13aのX方向ピッチは、レーザダイオードアレイ11内の各レーザ素子11aの配列ピッチと一致する。
【0027】
図8に示すように、各レーザ素子11aから出射される光ビームは、ファースト軸コリメータ12によってファースト方向のみコリメートされるため、ビームツイスタ13の入射面では横長ビーム形状になる。
【0028】
各シリンドリカルレンズ13aは、入射面に入射した光ビームを主光線周りに90度回転させ、出射面から出射させる。光ビームの形状は、
図9に示すように、ビームツイスタ13の出射面では縦長ビーム形状になる。
【0029】
こうして各シリンドリカルレンズ13aは、光ビームのファースト方向とスロー方向を入れ替える機能を有する。従って、ビームツイスタ13から光源側では、光ビームのファースト方向はY方向になり、スロー方向はX方向になる。一方、ビームツイスタ13から回折格子側では、光ビームのファースト方向はX方向になり、スロー方向はY方向になる。なお、光ビームのファースト方向はファースト軸コリメータ12によって既にコリメートされているが、スロー方向は拡がっている。なお、本具体構成のようにファースト軸コリメータ12及びビームツイスタ13を配置する場合は、光学系30の焦点位置はビームツイスタ13の出射面近傍に設定される。
【0030】
図2に戻って、スロー軸コリメータ21は、光源ユニット10内のビームツイスタ13から出射した各光ビームをスロー方向にコリメートする。スロー軸コリメータ21は、例えば、
図5と同様な形状を有してもよく、断面形状が平凸であり、X方向に母線を有するシリンドリカルレンズで構成される。
【0031】
1/2波長板70は、光ビームの偏光を90度回転させる機能を有し、例えば、光ビームがX方向に平行な直線偏光である場合は、Y方向に平行な直線偏光に変換する。
【0032】
図1に示したように、光学系30は、負パワーの第1シリンドリカルレンズ素子31と、正パワーの第2シリンドリカルレンズ素子32とを含む。
【0033】
回折格子40は、各光ビームを、その波長に応じた回折角で回折させる。
【0034】
テレスコープ光学系50は、紙面平行方向に正パワーを有するシリンドリカルレンズ素子51,52と、紙面平行方向に負パワーを有するシリンドリカルレンズ素子53とを含む。テレスコープ光学系50は、出力カプラ60から反射した光ビームを拡大し、光軸に対する光ビームの主光線の角度を減少させることによって、出力カプラ60のファースト方向に沿った角度誤差感度を低減する機能を有する。
【0035】
出力カプラ60は、
図1に示したように、光ビームの一部を反射して、レーザ発振用のフィードバック光を供給する。
【0036】
[1-2.動作]
次に本実施形態に係る光共振器1の動作について説明する。以下では一例として、レーザダイオードアレイ11に3つのレーザ素子11aが形成される場合を説明する。
【0037】
図1(A)に示すように、各レーザ素子11aは、X方向に予め定めたピッチで配列される。中央に位置するレーザ素子11aから放出される光ビームは、回折格子40の法線に対して入射角α2で入射する場合に、レーザダイオードアレイ11の後側端面と出力カプラ60との間で光共振が生じる。このとき回折条件を満たす共振波長はλ2となる。
【0038】
+X側に位置するレーザ素子11aから放出される光ビームは、回折格子40の法線に対して入射角α1(<α2)で入射する場合に、レーザダイオードアレイ11の後側端面と出力カプラ60との間で光共振が生じる。このとき回折条件を満たす共振波長はλ1(<λ2)となる。
【0039】
-X側に位置するレーザ素子11aから放出される光ビームは、回折格子40の法線に対して入射角α3(>α2)で入射する場合に、レーザダイオードアレイ11の後側端面と出力カプラ60との間で光共振が生じる。このとき回折条件を満たす共振波長はλ3(>λ2)となる。
【0040】
従って、複数の波長λ1,λ2,λ3を有する各光ビームは、別個の回折条件を満たすことによって、同じ方向に合成することが可能になり、高い出力の光ビームを実現できる。4つ以上の光ビームについても同様に、別個の回折条件を満たすことによって、同じ方向に合成することが可能になる。
【0041】
次に、共振波長を変更した場合、光共振器の設計はどのように変更されるかについて説明する。光共振器の仕様として、レーザ素子11aのピッチ(Δx)とそれに対応する波長変化(Δλ)の割合Δλ/Δxを一定とした場合の3つの設計例を示す。
図11(A)は、波長900nm帯で格子本数N=1600本の回折格子を採用した光共振器の一例を示す構成図である。
図11(B)は、波長400nm帯で格子本数N=2220本の回折格子を採用した光共振器の一例を示す構成図である。
図11(C)は、波長400nm帯で格子本数N=1600本の回折格子を採用した光共振器の一例を示す構成図である。なお、「波長400nm帯」は、400nm~499nmの波長を意味する。「波長900nm帯」は、900nm~999nmの波長を意味する。
【0042】
図11(A)に示す光共振器は、波長900nm帯の光ビームを発生する光源ユニット110と、スロー軸コリメータ121と、1/2波長板170と、X方向にのみ正のパワーを有する単一のシリンドリカルレンズ130と、格子本数N=1600本の回折格子140と、シリンドリカルレンズ素子151,152,153を含むテレスコープ光学系150と、出力カプラ160などを備える。光源ユニット110は、前述したように、レーザダイオードアレイ、ファースト軸コリメータ、ビームツイスタなどを備える。Δλ/Δxは、4×10
-7に設定されている。この場合、光源ユニット110から回折格子140までの寸法は約1mになる。
【0043】
図11(B)に示す光共振器は、
図11(A)の例よりも短い波長400nm帯の光ビームを発生する光源ユニット210と、スロー軸コリメータ221と、1/2波長板270と、X方向にのみ正のパワーを有する単一のシリンドリカルレンズ230と、格子本数N=2220本の回折格子240と、シリンドリカルレンズ素子251,252,253を含むテレスコープ光学系250と、出力カプラ260などを備える。光源ユニット210は、前述したように、レーザダイオードアレイ、ファースト軸コリメータ、ビームツイスタなどを備える。この場合も、Δλ/Δxは、4×10
-7に設定され、光源ユニット210から回折格子240までの寸法は約1mになる。しかしながら、回折格子240の格子本数はN=2220本となり、これは現時点の技術では製造が極めて困難であり、歩留りが極めて低くなり、コストが著しく増加してしまう。
【0044】
図11(C)に示す光共振器は、
図11(B)の例と同じ波長400nm帯の光ビームを発生する光源ユニット310と、スロー軸コリメータ321と、1/2波長板370と、X方向にのみ正のパワーを有する単一のシリンドリカルレンズ330と、
図11(A)の例と同じ格子本数N=1600本の回折格子340と、シリンドリカルレンズ素子351,352,353を含むテレスコープ光学系350と、出力カプラ360などを備える。光源ユニット110は、前述したように、レーザダイオードアレイ、ファースト軸コリメータ、ビームツイスタなどを備える。
図11(A)、
図11(B)と同様、Δλ/Δxは、4×10
-7に設定されている。この場合、光源ユニット310から回折格子340までの寸法は約1.5mになる。即ち、回折格子の格子本数Nを変更しないで共振波長を小さくした場合、所定のΔλ/Δxを満たすには、光源ユニット310から回折格子340までの距離を大きくする必要がある。そのため光共振器の大型化が避けられない。
【0045】
次に、回折格子のピッチと装置サイズの関係について説明する。レーザ素子11aのピッチΔx、シリンドリカルレンズ230の焦点距離f、レーザ素子11aの位置に対応した回折格子140への入射角αの変化Δαについて、下記の式(A1)が成立する。
Δx=f・tan(Δα)≒fΔα …(A1)
【0046】
回折角βが一定である場合の角分散の逆数、即ち、入射角αに対する波長λの変化については、回折次数m、格子本数N(=1/ピッチP)を用いて、下記の式(A2)が成立する。
Δλ/Δα=cos(α)/Nm …(A2)
【0047】
これらの式(A1)、式(A2)より、下記の式(A3)が成立する。
Δλ/Δα≒fΔλ/Δx
Δλ/Δx≒(1/f)Δλ/Δα …(A3)
【0048】
図12は、回折格子がα=-βを満たす場合のΔλ/Δαの格子本数特性を示すグラフである。上記条件は一般的に回折効率の高い回折格子が実現しやすい条件として知られており、本実施の形態においてもこの条件近傍で回折格子を設計している。
【0049】
このグラフより、格子本数が小さくなると、Δλ/Δαが増大する。よって、Δλ/Δxを一定に保とうとする場合、式(A3)より格子本数が小さくなるほど、焦点距離fは長くなる。即ち、粗いピッチの回折格子を使うと、焦点距離fが長くなり、共振器サイズ、例えば、レーザダイオードアレイ11からシリンドリカルレンズ230までの距離は大きくなることが判る。
【0050】
この解決策として、本実施形態に係る光共振器によれば、
図1と
図2に示すように、各光ビームをX方向に互いに整列させる光学系30は、X方向にのみ負のパワーを有する第1シリンドリカルレンズ素子31と、X方向にのみ正のパワーを有する第2シリンドリカルレンズ素子32とを含む。これにより光学系30のサイズを小さくしつつ、焦点距離を増加させることが可能になる。例えば、光学系30の焦点距離は、光学系30から光源ユニット10までの実際の距離よりも大きくなるように設定可能である。そのため、
図11(C)に示す光共振器と等価な光共振器を小型サイズで実現できる。例えば、
図11(C)と同様に、波長400nm帯の光ビームに対して格子本数N=1600本の回折格子140を使用した場合でも、光源ユニット310から回折格子340までの寸法は
図11(a)と同等な寸法に抑制できる。
【0051】
[1-3.効果等]
本実施形態は、波長が異なる複数の光ビームを合成する波長合成型の光共振器1に関する。光共振器1は、予め定めたX方向に沿って配列され、互いに異なる波長の光ビームを放出する複数のレーザ素子11aを有するレーザダイオードアレイ11を備える。光共振器1はさらに、各レーザ素子11aから放出される光ビームを、その波長に応じた回折角で回折させる回折格子40を備える。光共振器1はさらに、回折格子40によって回折した光ビームの一部を反射して、各レーザ素子11aに戻す出力カプラ60を備える。光共振器1はさらに、レーザダイオードアレイ11と回折格子40との間に設けられ、各レーザ素子11aから放出される各光ビームを互いに整列させる光学系30を備える。光学系30は、レーザダイオードアレイ11から回折格子40に向けて順に、予め定めたX方向にのみ負のパワーを有する第1レンズ素子31と、予め定めたX方向にのみ正のパワーを有する第2レンズ素子32とを含む。
【0052】
以上の構成によると、光学系30の焦点距離を増加させることが可能になり、粗いピッチの回折格子を使用した場合でも装置の小型化が図られる。また、装置を大型化せずに、回折格子のピッチを粗くすることも可能になり、光共振器1の設計自由度を増加できる。
【0053】
本実施形態に係る光共振器1において、光学系30は、レーザダイオードアレイ11と第2シリンドリカルレンズ素子32との間の距離よりも長い焦点距離fを有してもよい。
【0054】
これにより、光共振器1の小型化が図られる。
【0055】
本実施形態に係る光共振器1において、レーザダイオードアレイ11から回折格子40に向けて順に、各レーザ素子11aから放出された各光ビームをファースト方向にコリメートするファースト軸コリメータ12と、ファースト軸コリメータ12から出射した各光ビームを主光線周りに90度回転させるビームツイスタ13と、ビームツイスタ13から出射した各光ビームをスロー方向にコリメートするスロー軸コリメータ21とが設けられ、前記光学系の焦点位置を前記ビームツイスタ出射面近傍としてもよい。
【0056】
これにより、高い品質を有する光ビームアレイを実現できる。
【0057】
(実施形態2)
以下、
図1を用いて本開示の実施形態2を説明する。
【0058】
本実施形態に係る光共振器は、
図1に示した光共振器1と同様な構成を有する。ここでは、光学系30の最適化について説明する。
【0059】
最初に、入射角αの変化に対する共振波長λの変化dλ/dαは、下記の式(1)で表される。ここで、Nは回折格子の格子本数(ピッチPの逆数)、mは回折次数である。
【0060】
【0061】
次に、レーザ素子11aのピッチdxに対する共振波長λの変化dλ/dxは、下記の式(2)で表される。ここで、fは光学系30の合成焦点距離である。
【0062】
【0063】
光学系30の望遠比tは、下記の式(3)で表される。ここで、Dは正パワーの第2シリンドリカルレンズ素子32の像側主平面から光学系物体側焦点面(レーザ素子11aの光出射面に対応)までの距離、sは負パワーの第1シリンドリカルレンズ素子31の物体側主平面から正パワーの第2シリンドリカルレンズ素子32の像側主平面までの距離、f1は第2シリンドリカルレンズ素子32の焦点距離である。なお、
図1と
図2の光学系30では、像側は+Z側であり、物体側は-Z側である。
【0064】
【0065】
光学系30の合成焦点距離fは、下記の式(4)で表される。f2は、第1シリンドリカルレンズ素子31の焦点距離である。
【0066】
【0067】
式(2),式(3)を用いて式(4)を変形すると、下記の式(5)が得られる。
【0068】
【0069】
一例として、λ=970nm、f=1128mm、N=1600本、dx=0.225mmを採用する。回折格子の格子本数Nは、現時点の技術に起因した製造限界の観点から、N<4000本とする。距離Dは、理想的なサイズ感の観点から、D<1500mmとする。ピッチdxに対する共振波長λの変化dλ/dxは、現時点の製造技術の観点から、dλ/dx<5×10-7とする。
【0070】
これらの数値を式(5)に代入することにより、下記の式(6)が得られる。
【0071】
【0072】
本実施形態に係る光共振器は、式(6)を満たすことにより、光学系30の最適化が図られる。その結果、粗いピッチの回折格子を使用した場合でも装置の小型化が図られる。
【0073】
次に、光共振器の具体的な設計例について説明する。
(比較例1)
図11(A)に示す光共振器を参照する。
光源ユニット110:波長900nm帯の光ビームを発生。レーザ素子のピッチは4mm。Δλ/Δx=4×10
-7となるよう設計。
スロー軸コリメータ121:入射面は平面。出射面はY軸方向にのみパワーを有する曲率半径25.4mmの凸面。厚さは5mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ130:入射面は平面。出射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径508.15mmの凸面。厚さは3mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ素子151:入射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径207.5mmの凸面。出射面は平面。厚さは5mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ素子152:入射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径128.31の凸面。出射面は平面。厚さは4mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ素子153:入射面は平面。出射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径5.75mmの凹面。厚さは4mm。材質はNBK7。
回折格子140:ピッチP=1/1600本/mm。中央のレーザ素子からの主光線の入射角=49.818°。上側4mmのレーザ素子からの主光線の入射角=50.047°。下側4mmのレーザ素子からの主光線の入射角=49.589°。主光線の回折角=49.818°(レーザ素子の位置によらず)。
共振波長:中央のレーザ素子は955nm。上側4mmのレーザ素子は953.4nm。下側4mmのレーザ素子は956.6nm。
出力カプラ160:ミラー材質はNBK7。入射面は、部分反射コート(例えば、反射率2%、透過率98%)。出射面はARコート(例えば、100%透過)。
【0074】
[距離]
光源ユニット110のビームツイスタ出射面~スロー軸コリメータ121入射面=46.57mm。
スロー軸コリメータ121出射面~シリンドリカルレンズ130入射面=948.0272mm。
シリンドリカルレンズ130出射面~回折格子140=30mm。
回折格子140~シリンドリカルレンズ素子151入射面=28.25mm。
シリンドリカルレンズ素子151出射面~シリンドリカルレンズ素子152入射面=0.1mm。
シリンドリカルレンズ素子152出射面~シリンドリカルレンズ素子153入射面=128.31mm。
シリンドリカルレンズ素子153出射面~出力カプラ160入射面=235.91mm。
特記:主光線を回折格子上で一点に集めるため、ファースト軸コリメータおよびビームツイスタを光軸周りに0.00892度回転。
この設計によれば、光源ユニット110から回折格子140までの寸法は約1mになる。
【0075】
(実施例1)
図2に示す光共振器を参照する。
光源ユニット10:波長900nm帯の光ビームを発生。レーザ素子のピッチは4mm。Δλ/Δx=4×10
-7となるよう設計。
スロー軸コリメータ21、回折格子40、シリンドリカルレンズ素子51~53、出力カプラ60、レーザ素子の共振波長は、比較例1と同じ。
第1シリンドリカルレンズ素子31:入射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径59.971mmの凹面。出射面は平面。厚さは4mm。材質はNBK7。
第2シリンドリカルレンズ素子32:入射面は平面。出射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径205.3319の凸面。厚さは5mm。材質はNBK7。
【0076】
[距離]
スロー軸コリメータ21出射面~第1シリンドリカルレンズ素子31入射面=123.2384mm。
第1シリンドリカルレンズ素子31出射面~第2シリンドリカルレンズ素子32入射面=329.23mm。
その他の距離は、比較例1と同じ。
特記:主光線を回折格子上で一点に集めるため、ファースト軸コリメータおよびビームツイスタを光軸周りに0.035度回転。
この設計によれば、光源ユニット10から回折格子40までの寸法は約0.5mになる。なお、f=+970.86mm,f1=404.10mm,f2=-118.02mm,D=513.04mmである。
【0077】
(比較例2)
図11(C)に示す光共振器を参照する。
光源ユニット210:波長400nm帯の光ビームを発生。レーザ素子のピッチは4mm。Δλ/Δx=4×10
-7となるよう設計。
スロー軸コリメータ221:入射面は平面。出射面はY軸方向にのみパワーを有する曲率半径26.5mmの凸面。厚さは5mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ230:入射面は平面。出射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径785.0mmの凸面。厚さは3mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ素子251:入射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径207.5mmの凸面。出射面は平面。厚さは5mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ素子252:入射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径114.7mmの凸面。出射面は平面。厚さは4mm。材質はNBK7。
シリンドリカルレンズ素子253:入射面は平面。出射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径5.75mmの凹面。厚さは4mm。材質はNBK7。
回折格子140:ピッチP=1/1600本/mm。中央のレーザ素子からの主光線の入射角=18.905°。上側4mmのレーザ素子からの主光線の入射角=18.905°。下側4mmのレーザ素子からの主光線の入射角=19.060°。主光線の回折角=18.750°(レーザ素子の位置によらず)。
共振波長:中央のレーザ素子は405nm。上側4mmのレーザ素子は404.4nm。下側4mmのレーザ素子は406.6nm。
出力カプラ260:ミラー材質はNBK7。入射面は、部分反射コート(例えば、反射率2%、透過率98%)。出射面はARコート(例えば、100%透過)。
【0078】
[距離]
光源ユニット210のビームツイスタ出射面~スロー軸コリメータ221入射面=46.714mm。
スロー軸コリメータ221出射面~シリンドリカルレンズ230入射面=1428.6466mm。
シリンドリカルレンズ230出射面~回折格子140=30mm。
回折格子140~シリンドリカルレンズ素子251入射面=28.25mm。
シリンドリカルレンズ素子251出射面~シリンドリカルレンズ素子252入射面=0.1mm。
シリンドリカルレンズ素子252出射面~シリンドリカルレンズ素子253入射面=128.31mm。
シリンドリカルレンズ素子253出射面~出力カプラ260入射面=235.91mm。
特記:主光線を回折格子上で一点に集めるため、ファースト軸コリメータおよびビームツイスタを光軸周りに0.0061度回転。
この設計によれば、光源ユニット110から回折格子140までの寸法は約1.5mになる。
【0079】
(実施例2)
図2に示す光共振器を参照する。ただし、回折格子40から出力カプラ60は、
図11(B)または
図11(C)を参照する。
光源ユニット10:波長400nm帯の光ビームを発生。レーザ素子のピッチは4mm。Δλ/Δx=4×10
-7となるよう設計。
スロー軸コリメータ21、回折格子40、シリンドリカルレンズ素子51~53、出力カプラ60、レーザ素子の共振波長は、比較例2と同じ。
第1シリンドリカルレンズ素子31:入射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径92.504の凹面。出射面は平面。厚さは5mm。材質はNBK7。
第2シリンドリカルレンズ素子32:入射面は平面。出射面はX軸方向にのみパワーを有する曲率半径308.5mmの凸面。厚さは5mm。材質はNBK7。
【0080】
[距離]
スロー軸コリメータ21出射面~第1シリンドリカルレンズ素子31入射面=219.502mm。
第1シリンドリカルレンズ素子31出射面~第2シリンドリカルレンズ素子32入射面=469.42mm。
その他の距離は、比較例2と同じ。
特記:主光線を回折格子上で一点に集めるため、ファースト軸コリメータおよびビームツイスタを光軸周りに0.0229度回転。
この設計によれば、光源ユニット10から回折格子40までの寸法は約0.8mになる。なお、f=1485.09mm,f1=582.08mm,f2=-174.54mm,D=750.64mmである。
【0081】
本実施形態に係る光共振器1において、複数のレーザ素子11aは、波長400nm帯の光ビームを発生してもよい。
【0082】
これにより、波長900nm帯より短波長の光ビームを発生できる。
【0083】
(実施形態3)
以下、
図13を用いて本開示の実施形態3を説明する。
図13は、本開示に係るレーザ加工装置の一例を示すブロック図である。レーザ加工装置LMは、実施形態1~2で開示した光共振器1と、光共振器1から出力された光ビームを伝送する伝送光学系Qと、光ビームを被加工物Wに向けて照射する加工ヘッドHと、被加工物Wを保持し、光ビームの集光スポットに対して3次元的に位置決めするためのテーブルTBなどを備える。レーザ加工として、レーザ切断、レーザ穿孔、レーザ溶接、レーザマーキング、レーザアニールなどが実施できる。
【0084】
本実施形態に係るレーザ加工装置LMは、実施形態1~2に係る光共振器1を採用することによって装置の小型化が図られる。
【0085】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態1~3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記各実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施形態を例示する。
【0086】
上記の各実施形態では、コリメータ、レンズ、レンズ素子として、単レンズを例示したが、複数のレンズを組み合わせたレンズ群または複合レンズを使用してもよい。
【0087】
以上のように、本開示における技術の開示として、実施の形態を説明した。そのために添付図面および詳細な説明を提供した。
【0088】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面または詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須でるとの認定をするべきでない。
【0089】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において、種々の変更、置換、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示は、光ビームを発生する光源等において適用可能である。特に本開示は、例えば、レーザ切断、レーザ穿孔、レーザ溶接、レーザマーキング、レーザアニールなどのレーザ加工等において適用可能である。