(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ブラシヘッド及び電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 15/00 20060101AFI20231127BHJP
A61C 17/32 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A46B15/00 K
A61C17/32 A
A61C17/32 Z
(21)【出願番号】P 2022138893
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2019118403の分割
【原出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】二之宮 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】布村 真人
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-003305(JP,A)
【文献】特開2005-342030(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105496587(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 13/00~13/08
A46B 15/00
A61C 17/00~17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨き用の植毛部を含むブラシヘッドであって、
水との化学反応によって水素を発生する金属系物質を含有する第1
金属体と、
前記第1
金属体と接触して相対的に摺動する第2
金属体と、
前記植毛部が設けられている筐体部と、
を有
し、
前記第1金属体及び前記第2金属体は、前記筐体部に設けられている、ブラシヘッド。
【請求項2】
前記金属系物質は、マグネシウム系金属である、請求項1
に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記第1金属体及び前記第2金属体を収容する収容部と、
前記収容部の内外を貫通する第1貫通穴と、
を有する、請求項1又は2に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
歯磨き用の植毛部を含むブラシヘッドを備え、
前記ブラシヘッドは、請求項1又は2に記載のブラシヘッドである、電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記ブラシヘッドに振動を付加する駆動部を有するハンドル部を備え、
前記第1
金属体又は前記第2
金属体は、前記駆動部から付加された前記振動で摺動する、請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
歯磨き用の植毛部を含む筐体部を有するブラシヘッドであって、
前記筐体部は、
第1金属体と、
前記第1金属体の第1側面と接触して摺動する第2側面を含む第2金属体と、
前記第1金属体と前記第2金属体とを互いに接触する方向に付勢する付勢部材と、
前記第1金属体、前記第2金属体及び前記付勢部材を収容する収容部と、
前記植毛部が設けられている植毛面と前記収容部との間を貫通する第1貫通穴と、
を有し、
前記第1金属体又は前記第2金属体の少なくとも一方は、水との化学反応によって水素を発生する金属系物質を含有する、ブラシヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシのヘッド部分から微細な気泡を含む水を吐出することで口腔内を洗浄する装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている洗浄装置では、貯留容器内の水をポンプで循環させることで微細な気泡が発生し、さらにポンプにより微細な気泡を含む水が貯留容器から歯ブラシのヘッド部分へ送出される。つまり、このような洗浄装置は、大きな貯留容器や強力なポンプなどを必要とするため、装置全体として大型となる。
【0005】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、微細な気泡を発生させて口腔内を洗浄する小型の電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の第一の態様は、歯磨き用の植毛部を含むブラシヘッドであって、水との化学反応によって水素を発生する金属系物質を含有する第1部材と、第1部材と接触して相対的に摺動する第2部材と、を有する。本開示の第二の態様に係る電動歯ブラシは、歯磨き用の植毛部を含むブラシヘッドを備え、ブラシヘッドは、第一の態様に係るブラシヘッドである。また、本開示の第三の態様は、歯磨き用の植毛部を含む筐体部を有するブラシヘッドであって、筐体部は、第1金属体と、第1金属体の第1側面と接触して摺動する第2側面を含む第2金属体と、第1金属体と第2金属体とを互いに接触する方向に付勢する付勢部材と、第1金属体、第2金属体及び付勢部材を収容する収容部と、植毛部が設けられている植毛面と収容部との間を貫通する第1貫通穴と、を有し、第1金属体又は第2金属体の少なくとも一方は、水との化学反応によって水素を発生する金属系物質を含有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、微細な気泡を発生させて口腔内を洗浄する小型の電動歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電動歯ブラシを示す側面図である。
【
図2】ブラシヘッドを取り外した状態の電動歯ブラシを示す側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る電動歯ブラシを示す正面図である。
【
図4】
図3のIV-IV断面に対応した筐体部の断面図である。
【
図5】
図3のV-V断面に対応した筐体部の断面図である。
【
図6】一実施形態に係る電動歯ブラシを含む気泡量計測装置を示す図である。
【
図7】
図6のVII-VII断面に対応した気泡量計測装置を示す図である。
【
図8】金属体の振幅と気泡の量との関係を示すグラフである。
【
図9】金属体同士の押し付け力と金属体の振幅との関係を示すグラフである。
【
図10】ブラシヘッドの他の取り付け構造を有する電動歯ブラシを示す図である。
【
図11】本開示の他の実施形態に係る電動歯ブラシの筐体部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明では、全体として軸状である電動歯ブラシ1の延伸方向に沿った方向をZ方向と規定する。また、Z方向に対して垂直となる平面内に、互いに垂直なX方向及びY方向を規定する。このうち、X方向は、植毛部が形成されている筐体部の植毛面と垂直な方向である。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電動歯ブラシ1を示す側面図である。
図2は、ハンドル部20からブラシヘッド10を取り外した状態の電動歯ブラシ1を示す側面図である。また、
図3は、電動歯ブラシ1を示す正面図である。
【0011】
電動歯ブラシ1は、植毛部10Cを含むブラシヘッド10を、使用者が保持するハンドル部20に対して動作させることで、自動で歯磨き動作又はその補助動作を行う歯ブラシである。また、本実施形態では、電動歯ブラシ1は、使用者の歯磨き時に口腔内で微細な気泡を放出させる口腔内洗浄装置として機能し得る。
【0012】
電動歯ブラシ1は、ブラシヘッド10と、ハンドル部20とを備える。ブラシヘッド10は、ハンドル部20に対して、Z方向に沿って着脱自在である。
【0013】
ブラシヘッド10は、電動歯ブラシ1における可動部である。ブラシヘッド10は、筐体部10Aと、支持部10Bとを有する。筐体部10A及び支持部10Bは、例えば樹脂製である。
【0014】
筐体部10Aは、歯磨き時に使用者の口腔内に入り込む部位であり、使用者の歯又は歯茎等に当接される植毛部10Cを有する。筐体部10Aの構造の詳細については、以下に記載する気泡発生機構と合わせて説明する。
【0015】
支持部10Bは、Z方向に延伸する軸部である。支持部10Bの延伸方向の一方の端部は、筐体部10Aを支持している。支持部10Bの延伸方向の他方の端部は、ハンドル部20に対向する。また、支持部10Bは、支持部10Bの延伸方向に沿って形成された挿入穴10Dを有する。挿入穴10Dの開口端は、ハンドル部20に対向し、ブラシヘッド10をハンドル部20に取り付ける際に、ハンドル部20側に備えられているモータシャフト26が嵌装される。
【0016】
ハンドル部20は、歯磨き時に使用者が保持する、電動歯ブラシ1における固定部である。ハンドル部20は、駆動部22と、操作部24とを備える。
【0017】
駆動部22は、ブラシヘッド10に歯磨き用の運動をさせる動力発生部である。駆動部22としては、例えば、Z方向に延伸するモータシャフト26を備え、Z方向を振動方向としてモータシャフト26を振動させるリニアモータを採用可能である。ハンドル部20は、モータシャフト26を非接触で貫通させる貫通穴20Aを有する。モータシャフト26は、ブラシヘッド10の挿入穴10Dに嵌装されると、挿入穴10Dに密着する。これにより、ブラシヘッド10は、モータシャフト26に支持されることになり、モータシャフト26の振動に合わせて振動する。
【0018】
操作部24は、電源のオン・オフや、使用者が好みに応じてブラシヘッド10の振動を調整するための押圧ボタンである。ハンドル部20は、不図示であるが、駆動部22の振動速度又は振動パターンを記憶する制御基板を備える。そして、操作部24は、制御基板に電気的に接続されており、使用者が適宜、操作部24を押圧することで、駆動部22の振動速度や振動パターンを調整することができる。
【0019】
なお、ハンドル部20は、その他、不図示であるが、駆動部22の振動速度又は振動パターンを記憶する制御基板や、駆動部22の動力源としての電池を収容する電池収容部などを備える。
【0020】
次に、電動歯ブラシ1が備える気泡発生機構について説明する。
【0021】
図4は、
図3に示すIV-IV断面に相当し、XY平面に沿って筐体部10Aを切断した断面図である。
図5は、
図3に示すV-V断面に相当し、XZ平面に沿って、かつ、支持棒40の中心軸を通るように筐体部10Aを切断した断面図である。
【0022】
図4に示すように、筐体部10Aは、X方向の一方の側である正面側に、植毛部10Cを有する。つまり、植毛部10Cを構成する多数の毛は、複数の束ごとに筐体部10Aに形成されている植毛穴10Eに保持され、植毛面10Hから突出している。
【0023】
筐体部10Aは、X方向の他方の側である裏面側の内部に、後述する第1金属体30及び第2金属体32を収容する収容部10Fを有する。収容部10Fは、筐体部10Aにおいて複数の植毛穴10E全体と対向する領域に形成された内部空間である。本実施形態では、収容部10Fが気泡発生空間となる。
【0024】
また、筐体部10Aは、一方の開口端が収容部10Fに連通し、他方の開口端が植毛面10Hから外部に向けて開放されるように、X方向に沿って形成された第1貫通穴10Gを有する。本実施形態では、第1貫通穴10Gが、収容部10F内で発生した気泡を植毛面10H側から外部に放出する気泡放出部となる。第1貫通穴10Gは、例えば、
図3に示すように、植毛面10Hにおいて植毛部10Cに含まれる毛の複数の束に囲まれるように、植毛面10Hの中央領域に形成されている。
【0025】
筐体部10Aは、収容部10Fの内部に、第1金属体30と、第2金属体32と、支持部材34と、第1付勢部材36と、第2付勢部材38とを備える。
【0026】
本実施形態では、収容部10Fにおいて、第1金属体30と第2金属体32とを互いに擦り合わせることで水素を発生させる。そこで、第1金属体30又は第2金属体32の少なくとも一方は、水との化学反応によって水素を発生する金属、金属の合金、及び、金属の合金以外の金属の化合物からなる群より選択された1又は2以上の物質等の金属系物質を含有する。つまり、第1金属体30又は第2金属体32の少なくとも一方を構成する材料は、ある特定の金属を含み、その特定の金属と水とが反応して水素を発生させる物質であれば、いなかるものであってもよい。
【0027】
本実施形態では、第1金属体30又は第2金属体32の少なくとも一方を構成する材料として、一例として、水との化学反応によって水素を発生させることができるマグネシウム系金属を採用する。
【0028】
この場合、第1金属体30を構成する材料と第2金属体32を構成する材料との組み合わせには、以下のような3つのパターンがあり得る。第1のパターンとして、第1金属体30は、マグネシウム系金属で構成され、一方、第2金属体32は、第1金属体30を構成する材料とは異なり、第1金属体30と擦り合わされることで水素の発生を促進させる金属で構成されてもよい。第2のパターンとして、第1のパターンとは反対に、第2金属体32がマグネシウム系金属で構成され、一方、第1金属体30は、第2金属体32を構成する材料とは異なり、第2金属体32と擦り合わされることで水素の発生を促進させる金属で構成されてもよい。又は、第3のパターンとして、第1金属体30を構成する材料及び第2金属体32を構成する材料が、ともにマグネシウム系金属で構成されてもよい。
【0029】
なお、第1金属体30又は第2金属体32の少なくとも一方を構成する材料としては、マグネシウムに限定されることはなく、マグネシウムと同様に、人体に無害であって、水との化学反応によって水素を発生する金属であれば、採用可能である。
【0030】
第1金属体30及び第2金属体32は、それぞれ、断面が矩形であり、筐体部10Aの長手方向であるZ方向を延伸方向とする棒部材である。本実施形態では、第1金属体30と第2金属体32とは、互いに同一形状であるものとする。ここで、
図5に示すように、第1金属体30及び第2金属体32のZ方向の長さL1は、収容部10F内のZ方向の空間長さL2よりも小さい。第1金属体30及び第2金属体32のX方向の幅W1は、収容部10F内のX方向の幅W2よりも小さい。
【0031】
また、第1金属体30と第2金属体32とは、それぞれ異なる部材に支持される。第1金属体30は、筐体部10Aの外部と収容部10Fとの間で連通する支持棒40に支持される。一方、第2金属体32は、支持部材34に支持される。
【0032】
支持棒40は、Z方向に沿って延伸する金属製の部材である。支持棒40の一端は、第1金属体30の一部に固定される。第1金属体30において支持棒40が連続する領域は、ハンドル部20側に対向する端面30Bである。つまり、第1金属体30に支持棒40が接続されている状態では、第1金属体30と支持棒40とは、Z方向に沿った一直線に対して同軸状におおよそ並ぶ。支持棒40は、端面30Bに対して、例えば、接着により接続されてもよいし、又は、予め端面30B側に形成されている貫通穴に嵌装されることで接続されてもよい。一方、支持棒40の他端は、ハンドル部20に予め形成されている挿入穴20Bに嵌装可能である。
図2に示すように、ブラシヘッド10がハンドル部20とは分離した単体の状態にあるとき、支持棒40の他端は、支持部10Bからハンドル部20側に向けて突出する。そして、
図1に示すように、ブラシヘッド10がハンドル部20に取り付けられたときには、支持棒40の他端が挿入穴20Bに嵌装され、支持棒40がハンドル部20に接続されることになる。なお、支持棒40の断面形状は、本実施形態では円形としているが、矩形であってもよい。
【0033】
第1金属体30とハンドル部20との間に支持棒40を配置するために、ブラシヘッド10は、一方の開口端が収容部10Fに連通し、他方の開口端がハンドル部20の挿入穴20Bに向けて開放されるようにZ方向に沿って形成された第2貫通穴10Jを有する。第2貫通穴10Jの開口径又は開口形状は、支持棒40を非接触で貫通可能とする寸法又は形状を有する。
【0034】
このような構成により、第1金属体30は、歯磨き動作時も含めて支持棒40に支持されている状態では、常時、ハンドル部20に対してZ方向には移動しない。
【0035】
第1金属体30が支持棒40に支持されている姿勢にあるとき、
図4に示すように、第1金属体30の一側面である第1側面30Aと、第2金属体32の一側面である第2側面32Aとは、互いに接触する。このとき、第1側面30A及び第2側面32Aは、植毛面10Hに対して垂直となる。より具体的には、第1側面30Aと第2側面32Aとは、電動歯ブラシ1のY方向の中心軸AXを含むXZ平面上におおよそ位置して、互いに面接触するものであってもよい。
【0036】
支持部材34は、第2金属体32の延伸方向であるZ方向に沿って延伸する棒状部材である。支持部材34は、第1金属体30に対向する側面に、第2金属体32の一部を収容することで第2金属体32を保持する収容溝34Aを有する。また、支持部材34のX方向と垂直となる両側面は、収容部10Fの内壁面上で、少なくともY方向に沿って摺動可能である。そこで、収容部10Fに対して支持部材34を摺動容易とするために、支持部材34の材質は、樹脂等であることが望ましい。
【0037】
第1付勢部材36及び第2付勢部材38は、第1金属体30と第2金属体32とを常時接触させるための付勢部材である。第1付勢部材36及び第2付勢部材38としては、例えば、
図4に示すような、ねじりコイルばね(トーションばね)を採用可能であるが、それ以外の例えば圧縮コイルばね等を採用してもよい。
【0038】
第1付勢部材36は、第1金属体30を第2金属体32の側に付勢する。第1付勢部材36がねじりコイルばねであるとすると、第1付勢部材36の一方のアーム部は、第1金属体30における第1側面30Aとは反対側の側面に当接される。一方、第1付勢部材36の他方のアーム部は、第1金属体30における一方のアーム部が当接する側面と対向する収容部10Fの内壁面に当接する。これにより、第1金属体30には、第1付勢部材36により、Y方向に沿って第2金属体32側に向かう力が加えられることになる。
【0039】
第2付勢部材38は、第2金属体32を第1金属体30の側に付勢する。第2付勢部材38がねじりコイルばねであるとすると、第2付勢部材38の一方のアーム部は、支持部材34における収容溝34Aが形成されている側とは反対側の側面に当接される。一方、第2付勢部材38の他方のアーム部は、支持部材34における一方のアーム部が当接する側面と対向する収容部10Fの内壁面に当接する。これにより、支持部材34に支持された第2金属体32には、第2付勢部材38により、Y方向に沿って第1金属体30側に向かう力が加えられることになる。
【0040】
なお、
図4では、第1付勢部材36及び第2付勢部材38がそれぞれ1つのねじりコイルバネとして描画されているが、例えば、それぞれが複数のねじりコイルバネを含むものであってもよい。
【0041】
次に、電動歯ブラシ1の動作について説明する。
【0042】
電動歯ブラシ1の電源がオンとなると、駆動部22が駆動し、モータシャフト26がZ方向に沿った往復運動として振動する。モータシャフト26の先端部は、ブラシヘッド10の支持部10Bに固定されているので、モータシャフト26の振動に合わせてブラシヘッド10がZ方向に沿って振動する。
【0043】
ここで、ブラシヘッド10の筐体部10Aには、第2付勢部材38及び支持部材34を介して、第2金属体32が取り付けられている。したがって、ブラシヘッド10が振動するときには、第2金属体32も、ブラシヘッド10のZ方向に沿った振動に合わせて振動することになる。
【0044】
一方、筐体部10Aの収容部10Fの内部には、第2金属体32の他に、第1金属体30が存在する。第1金属体30は、上記のとおり、支持棒40を介してハンドル部20に固定されている。ここで、支持棒40は、ブラシヘッド10に形成されている第2貫通穴10Jを非接触で貫通しているので、筐体部10A及び支持部10Bを含むブラシヘッド10が振動しても、一定位置で常時静止している。つまり、支持棒40に支持されている第1金属体30も、ブラシヘッド10の振動に関わりなく、ハンドル部20を基準とした一定位置で常時静止していることになる。
【0045】
また、第1金属体30と第2金属体32とは、第1付勢部材36及び第2付勢部材38の作用により、第2金属体32の振動方向であるZ方向とは直交するY方向で互いに押し付け合わされている。
【0046】
したがって、電動歯ブラシ1の電源がオンとなったときには、ブラシヘッド10が高速で振動する通常の歯磨き動作に加えて、静止している第1金属体30に対して第2金属体32が高速で擦り合わされることになる。
【0047】
次に、使用者が歯磨き時に使用した際の電動歯ブラシ1の作用について説明する。
【0048】
使用者がハンドル部20を手で握り持った状態で操作部24を操作することにより、電源をオンとし、かつ、所望の振動速度や振動パターンに設定すると、所望の設定に合わせてブラシヘッド10が往復運動する。そして、使用者がブラシヘッド10の植毛部10Cを口腔内に挿入し、例えば、往復運動する植毛部10Cを歯に当接させることで、歯が磨かれる。
【0049】
一方、
図5を参照すると、この歯磨き時には、使用者の口腔内で発生した唾液Sは、植毛面10Hから第1貫通穴10Gを通じて収容部10Fへ流れ込む。そして、ブラシヘッド10の振動に合わせて互いに擦り合わされている第1金属体30と第2金属体32との接触部分に唾液Sが進入する。ここで、接触部分とは、具体的には、第1側面30Aと第2側面32Aとが互いに摺動し合う摺動面をいう。
【0050】
このとき、第1金属体30と第2金属体32との擦り合わせによる摩擦に起因して、第1金属体30としてのマグネシウム系物質に含有されたマグネシウムと、唾液Sに含まれる水分との化学反応が促進される。これにより、収容部10F内の唾液S中には、水素(H2)を内包する一群の微細な気泡FBが発生する。具体的には、唾液S中で、Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2という化学反応が促進される。そして、一群の気泡FBは、唾液Sを伝って、歯磨き中に使用者の口腔内に移動する。
【0051】
唾液S内で圧縮されている一群の気泡FBは、電動歯ブラシ1から口腔内に放出されると、膨張して破裂する。この一群の気泡FBの破裂による衝撃が、口腔の内面や歯の表面に付着した異物を剥離させるのに有利に働く。剥離した異物は、最終的に植毛部10Cによって完全に除去される。
【0052】
次に、一群の微細な気泡FBを発生させることによる口腔内の洗浄作用をより効果的とするための電動歯ブラシ1の条件について説明する。
【0053】
使用者が電動歯ブラシ1を使用したときに、微細な気泡FBの作用により口腔内の洗浄効果が得られるとされる気泡FBの量である目標気泡量は、発明者の検討により、おおよそ140個であると推定されている。そこで、以下、電動歯ブラシ1により目標気泡量以上の気泡FBが得られる条件を検討する。
【0054】
図6は、電動歯ブラシ1を含む気泡量計測装置100を示す概略図である。
図7は、
図6のVII-VIIに対応した、気泡量計測装置100の断面図である。
【0055】
気泡量計測装置100は、唾液Sを想定した液体としての水102を貯留する容器104と、光源106と、撮像装置108と、本実施形態に係る電動歯ブラシ1とを備える。
【0056】
容器104は、例えば、全体として透明のアクリル製である。容器104に貯留されている水102の中に、容器104の上部側から電動歯ブラシ1の少なくとも筐体部10Aが浸される。電動歯ブラシ1は、このように筐体部10Aを水102に浸した状態で、不図示の固定器具により固定される。
【0057】
光源106は、容器104の外部に設置され、水102に浸されている筐体部10Aを照明する。光源106としては、本検討ではハロゲンランプを採用する。光源106は、具体的には、筐体部10Aにおける植毛部10Cの先端の周囲に向かって、斜め上部から光を照らすように設置される。本実施形態では、一例として、光源106の光の照射方向は、植毛面10Hとおおよそ平行となるように設定されている。
【0058】
撮像装置108は、容器104の外部に設置され、電動歯ブラシ1の電源をオンとして筐体部10Aを水102内で振動させたときに発生した気泡FBの量を撮像する。撮像装置108としては、本検討ではマイクロスコープを採用する。撮像装置108は、具体的には、撮像装置108の撮像面108Aが、水102内の植毛部10Cの先端の周囲に対向し、かつ、容器104の壁面近傍にあるように設置される。本実施形態では、一例として、撮像装置108の撮像方向は、植毛面10Hとおおよそ平行となるように設定されている。そして、光源106と撮像装置108とは、
図7に示すように、撮像対象である気泡FBを基準として対称位置に配置されている。ここで、撮像装置108の設定条件としては、倍率が30倍であり、シャッタースピードが1/3000s(秒)であり、フレームレートが125fpsである。撮像面108Aから筐体部10Aの直近の端面までの距離L3は、15mmである。また、撮像範囲は、縦方向が8mm、横方向が10mmである。この撮像範囲は、人の口腔内の歯周ポケットの深さが、一般的には1~2mm程度であるものの、例えば歯周病を患っている場合にはおおよそ6mmであることを考慮して、その深さ範囲をカバーし得る範囲として設定されている。
【0059】
図8は、気泡量計測装置100において、電動歯ブラシ1の電源をオンとして筐体部10Aを水102内で振動させたときの金属体の振幅と、そのときに発生した気泡FBの量との関係を示すグラフである。
【0060】
ここで、電動歯ブラシ1の動作時には、第1金属体30が静止しており、第2金属体32が筐体部10Aの振動に合わせてZ方向に沿って振動する。したがって、ここでの振幅とは、第2金属体32のZ方向の振幅をいい、すなわち、筐体部10AのZ方向の振幅に相当する。そして、電動歯ブラシ1の構成によれば、筐体部10Aの振動は、駆動部22であるリニアモータによるモータシャフト26自体の振動であるから、第2金属体32のZ方向の振幅は、直接的に、駆動部22が発生し得る振幅に相当する。
【0061】
上記のとおり、電動歯ブラシ1における目標気泡量は、おおよそ140個である。そして、
図8を参照すると、目標気泡量が140個以上となるような振幅値は、おおよそ0.7mm以上の範囲にあることがわかる。
【0062】
図9は、金属体同士の押し付け力と金属体の振幅との関係を示すグラフである。
【0063】
ここで、電動歯ブラシ1では、金属体同士の押し付け力とは、
図4に示すように、Y方向に沿った方向での第1金属体30と第2金属体32との押し付け合いにおける押し付け力をいう。また、金属体の振幅は、
図8に示す振幅に相当する。
【0064】
まず、
図8に示す結果によれば、振幅値がおおよそ0.7mm以上であることが望ましいことがわかっている。そして、
図9を参照すると、振幅値がおおよそ0.7mm以上となるような押し付け力の値は、第1金属体30と第2金属体32とが単に接触しているような状態である0Nに近い値から、おおよそ0.8N以下の範囲にあることがわかる。
【0065】
したがって、
図8及び
図9に示す結果に基づくと、電動歯ブラシ1では、金属体の振幅が0.7mm以上となり、また、金属体同士の押し付け力が0.8N以下であることが望ましい。そこで、このような望ましい値が得られるように、本実施形態では、電動歯ブラシ1の各部の寸法や設定条件を、具体的に以下のように規定する。
【0066】
まず、本実施形態では、金属体の振幅が0.7mm以上となるように、駆動部22であるリニアモータの振動を両振幅で0.7mm以上に設定する。併せて、リニアモータの振動速度を10m/s以上に設定する。
【0067】
また、本実施形態では、金属体同士の押し付け力を0.8N以下とすることに関連し、各金属体及びそれらを収容する収容部10Fの寸法を以下のように規定する。
図5に示す各部の寸法を参照すると、筐体部10A内の収容部10Fの大きさとしてXY平面での断面寸法は、おおよそ(長さL2×幅W2)で表される。そして、一般的な歯ブラシの大きさに基づくと、例えば、長さL2を15mm程度に、幅W2を2.0mm程度に設定することができる。
【0068】
これに対して、第1金属体30において、第2金属体32と接触する第1側面30Aの寸法は、おおよそ(長さL1×幅W1)で表される。同様に、第2金属体32において、第1金属体30と接触する第2側面32Aの寸法も、おおよそ(長さL1×幅W1)で表される。ここで、金属体同士の押し付け力を0.8N以下として好適に気泡FBを発生させるのに有効な寸法は、主に長さL1の寸法である。そして、本実施形態では、長さL2は、金属体の振幅が0.7mm以上に設定されても第1金属体30が収容部10Fの内壁面に衝突しない範囲として、8mm以上、14mm以下に設定されることが望ましい。例えば、長さL2が15mmと設定されている場合には、長さL1は12mmであってもよい。一方、第1金属体30及び第2金属体32の幅W1は、収容部10Fの内壁面に衝突しない範囲の寸法として、1.5mm程度に設定されてもよい。
【0069】
また、第1金属体30及び第2金属体32のそれぞれに直接的に力を付加する第1付勢部材36及び第2付勢部材38に係る許容荷重、材質又は寸法などについては、各金属体の大きさの設定に合わせて、適宜選定される。
【0070】
次に、電動歯ブラシ1による効果について説明する。
【0071】
本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、歯磨き用の植毛部10Cを含む筐体部10Aを有するブラシヘッド10を備える。筐体部10Aは、第1金属体30と、第1金属体30の第1側面30Aと接触して摺動する第2側面32Aを含む第2金属体32とを有する。また、筐体部10Aは、第1金属体30と第2金属体32とを互いに接触する方向に付勢する第1付勢部材36及び第2付勢部材38と、第1金属体30、第2金属体32、第1付勢部材36及び第2付勢部材38を収容する収容部10Fを有する。また、筐体部10Aは、植毛部10Cが設けられている植毛面10Hと収容部10Fとの間を貫通する第1貫通穴10Gを有する。第1金属体30又は第2金属体32の少なくとも一方は、水との化学反応によって水素を発生する金属系物質を含有する。
【0072】
このような電動歯ブラシ1によれば、植毛部10Cによる歯磨き効果に加えて、第1金属体30と第2金属体32との接触により微細な気泡FBが発生し、気泡FBの洗浄効果を利用して歯を洗浄することができる。その結果、植毛部10Cが届かないような歯間又は歯周ポケットに付着した異物を除去することができる。
【0073】
また、電動歯ブラシ1によれば、微細な気泡FBを発生させるための第1金属体30及び第2金属体32が、筐体部10A内の収容部10Fに収容されている。したがって、洗浄効果を向上させる気泡発生機構を電動歯ブラシ1に備えさせたとしても、全体として大型化しづらくなる。
【0074】
また、電動歯ブラシ1によれば、第1金属体30の第1側面30Aと第2金属体32の第2側面32Aとが互いに面接触するので、互いに接触しながら摺動する領域をより増加させることができる。したがって、水素を発生させる化学反応をより促進させることができ、結果として、微細な気泡FBを所望の量だけ発生させやすくなる。
【0075】
また、電動歯ブラシ1によれば、第1金属体30及び第2金属体32の双方が、互いに接触した状態で筐体部10Aの収容部10F内に保持されている。したがって、例えば、一方の金属体が筐体部に保持され、他方の金属体がハンドル部に保持されるような仮想の電動歯ブラシと比較して、両金属体同士を接触させるための構造を簡略化させることができる。また、第1金属体30と第2金属体32との位置ずれが生じづらく、両金属体同士が確実に接触するので、安定的に微細な気泡FBを発生させることができる。
【0076】
さらに、電動歯ブラシ1によれば、第1金属体30と第2金属体32とは、収容部10F内で、第1付勢部材36及び第2付勢部材38により互いに接触する方向に付勢されているので、より安定的に微細な気泡FBを発生させることができる。
【0077】
このように、本実施形態によれば、微細な気泡FBを発生させて口腔内を洗浄する小型の電動歯ブラシ1を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、ブラシヘッド10に振動を付加する駆動部22を有するハンドル部20と、ハンドル部20に一端が接続される支持棒40とを備えてもよい。この場合、ブラシヘッド10は、ハンドル部20に対向する端面と、収容部10Fとの間で貫通する第2貫通穴10Jを有してもよい。第1金属体30は、第2貫通穴10Jを貫通している支持棒40の他端に支持されていてもよい。また、第2金属体32は、収容部10Fに支持されていてもよい。
【0079】
このような電動歯ブラシ1によれば、固定側の金属体を第1金属体30とし、一方、振動側の金属体を第2金属体32として、より簡易的な構成で、両金属体に擦り合わせ動作を行わせることができる。
【0080】
ここで、
図2を参照した説明では、支持棒40の一端が予め第1金属体30に固定される固定端であり、支持棒40の他端が、ブラシヘッド10の取り付け前ではハンドル部20とは分離している自由端であるものとした。しかし、本開示は、これに限られない。
【0081】
図10は、ブラシヘッド10の他の取り付け構造を有する電動歯ブラシ1を示す図である。なお、
図10は、
図2の描画に対応しており、支持棒40の取り付け構造以外は、
図2に示す構成と同様である。
【0082】
電動歯ブラシ1の組み立て工程に鑑みると、
図2に示すように、支持棒40の一端を予め第1金属体30に固定しておく方が、最終的にブラシヘッド10をハンドル部20に取り付けるときに支持棒40の一端を第1金属体30に接続させるよりも作業性がよい。一方、第1金属体30に対して比較的容易に支持棒40を接続可能であるならば、
図10に示すように、支持棒40の一端を予めハンドル部20の挿入穴20Bに固定しておき、最終的に支持棒40の他端を第1金属体30に接続させるものとしてもよい。
【0083】
また、電動歯ブラシ1によれば、振動する側の第2金属体32は、ブラシヘッド10に含まれる筐体部10A内の収容部10Fに支持されている。そして、ブラシヘッド10は、駆動部22により振動が付加される。すなわち、駆動部22による振動は、通常の植毛部10Cによる歯磨き動作のための振動と、微細な気泡FBを発生させるための振動とを兼ねる。つまり、電動歯ブラシ1によれば、1つの駆動部22でこれらの振動の発生を担うことができる。したがって、例えば、通常の歯磨き動作のための振動を生じさせる第1の駆動部に加えて、微細な気泡FBを発生させるための振動を生じさせる第2の駆動部を設置する必要がない。
【0084】
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、第1側面30Aと第2側面32Aとは、第1金属体30と第2金属体32とが単に接触している状態で、又は、0.8N以下の押し付け力で互いに押し付け合わされている状態で、相対的に摺動するものとしてもよい。
【0085】
このような電動歯ブラシ1によれば、
図8及び
図9を参照して説明したとおり、口腔内の洗浄効果が得られるとされる目標気泡量以上の微細な気泡FBを発生させることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、第1側面30Aと第2側面32Aとは、植毛面10Hに対して垂直であってもよい。
【0087】
このような電動歯ブラシ1によれば、
図4に示すように、第1側面30Aと第2側面32Aとの接触部分である摺動面の延長上に、第1貫通穴10Gが位置しやすくなる。ここで、第1貫通穴10Gは、歯磨き中に、使用者の口腔内から収容部10Fに唾液Sを進入させ、かつ、唾液Sを伝って気泡FBを口腔内に放出する領域である。したがって、このような唾液Sの進入や気泡FBの放出をより行われやすくすることができる。
【0088】
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1では、水との化学反応によって水素を発生する金属系物質は、マグネシウム系金属であってもよい。
【0089】
このような電動歯ブラシ1によれば、使用者の歯磨き中に、唾液Sとの化学反応によって好適に水素を発生させることができる。
【0090】
また、電動歯ブラシ1によれば、第1金属体30と第2金属体32との擦り合わせによって、マグネシウムの粉末が発生する。マグネシウムの粉末は、例えば、歯茎の血行促進の効果を期待できる。又は、マグネシウムの粉末自体が汚れに接触することによって、より汚れを除去する効果が期待できる。
【0091】
さらに、本開示の電動歯ブラシ1は、例えば、以下のように変形されてもよい。
【0092】
図11は、他の実施形態に係る電動歯ブラシ1に関して、
図4の描画に合わせてXY平面に沿って筐体部10Aを切断した断面図である。なお、
図11において、
図4に示されている電動歯ブラシ1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
まず、第2金属体は、2つあってもよい。
図11では、一方の第2金属体52と、他方の第2金属体54とが描画されている。このとき、一方の第2金属体52と他方の第2金属体54は、第1金属体50を挟み込むものとしてもよい。
【0094】
ここで、
図4では、第1側面30Aと第2側面32Aとの接触部分であり、水素を発生させる化学反応が促進される摺動面が中心軸AX上に位置することを優先させた結果、支持棒40の位置が中心軸AXからY方向にずれている。これに対して、
図11に示す第1金属体50は、2つの第2金属体52,54に挟まれることになるので、接続される支持棒40の位置とともに、中心軸AX上に位置することになる。
【0095】
また、この場合、第2金属体を支持する支持部材も2つある。一方の支持部材56は、収容溝56Aに一方の第2金属体52の一部を収容する。そして、一方の第2金属体52では、第2側面52Aが、第1金属体50の一方の第1側面50Aと接触し、互いに摺動し合う。同様に、他方の支持部材58は、収容溝58Aに他方の第2金属体54の一部を収容する。そして、他方の第2金属体54では、第2側面54Aが、第1金属体50の他方の第1側面50Bと接触し、互いに摺動し合う。
【0096】
このような電動歯ブラシ1によれば、摺動面が、第1側面50Aと第2側面52A、及び、第1側面50Bと第2側面54Aとの2箇所に存在することになる。したがって、
図4に示す構成と比較して、水素を発生させる化学反応をより促進させやすくすることができる。
【0097】
また、植毛部10Cを構成する毛は、植毛面10Hの垂直方向に対して、植毛面10Hに形成されている第1貫通穴10Gの開口を覆う方向に傾斜しているものとしてもよい。
【0098】
図11に示す例では、筐体部10Aにおいて、第1貫通穴10Gが中心軸AXを中心に形成されているので、植毛部10Cを構成している毛の複数の束は、それぞれ、中心軸AX側に角度θ分だけ傾斜している。これにより、毛の複数の束が植毛面10Hから垂直に突出している場合に比べて、第1貫通穴10Gの植毛面10Hにおける開口が、毛の複数の束で若干覆われる形となる。
【0099】
このような電動歯ブラシ1によれば、第1貫通穴10Gの植毛面10Hにおける開口上に、唾液Sを維持しやすくなるので、第1貫通穴10Gへの唾液Sの進入や、第1貫通穴10Gから唾液Sを伝った気泡FBの放出を、より行わせやすくすることができる。
【0100】
その他、例えば、上記の実施形態では、第1金属体30と第2金属体32との形状及び寸法がほぼ同一としているが、微細な気泡FBの所望の量を得られることを条件として、互いに異なっていてもよい。
【0101】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本実施形態は、これ限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 電動歯ブラシ
10 ブラシヘッド
10A 筐体部
10C 植毛部
10F 収容部
10G 第1貫通穴
10H 植毛面
10J 第2貫通穴
20 ハンドル部
22 駆動部
30 第1金属体
30A 第1側面
32 第2金属体
32A 第2側面
36 第1付勢部材
38 第2付勢部材
40 支持棒
50 第1金属体
52 第2金属体
54 第2金属体
FB 気泡