(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】推定方法、推定装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/50 20060101AFI20231127BHJP
G01S 13/06 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G01S13/50
G01S13/06
(21)【出願番号】P 2019153348
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2018247125
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 翔一
(72)【発明者】
【氏名】中山 武司
(72)【発明者】
【氏名】本間 尚樹
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-315450(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027557(WO,A1)
【文献】特開2012-155603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
13/00 - 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、
対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、
前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、
前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得し、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも
前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定方法。
【請求項2】
電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、
対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、
前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、
前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得し、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行い、
前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が前記対象領域の中央を通る経路であり、
前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第2情報を補正することで前記送信アンテナ及び受信アンテナの設置位置を含む前記設置状態の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定方法。
【請求項3】
電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、
対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、
前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、
前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得し、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行い、
前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が移動可能な前記対象領域の外周に沿った経路であり、
前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定方法。
【請求項4】
前記設置状態は、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが設置された位置、高さ、及び角度の少なくとも一つを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項5】
前記対象領域は、屋内の1以上の部屋であり、
さらに、前記対象領域に設置されている設置物の位置において前記生体を静止させたときに、前記推定装置により推定された前記生体の位置を示す第4情報を取得し、
前記第4情報と、前記設置物または前記1以上の部屋のうち前記設置物が設置された部屋を識別する情報とを対応付けて、記憶部に記憶する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項6】
さらに、前記第4情報を、前記設置物の位置または前記設置物が設置された前記部屋の位置を示す情報として表示装置に表示させ、
ユーザにより入力された前記設置物の位置または前記部屋の位置に対する修正情報を受け付け、
受け付けた前記修正情報に基づき、前記第4情報を修正する、
請求項5に記載の推定方法。
【請求項7】
さらに、前記対象領域の中央から視て所定の方位に向かう位置に前記生体を静止させたときに、前記推定装置により推定された前記生体の位置を取得し、
前記中央から、取得された前記生体の位置に向かう向きと、前記所定の方位とを対応付
けて、前記対象領域の方位として記憶部に記憶する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項8】
前記推定装置は、前記受信アンテナが受信した信号から、所定の方法によって抽出された、前記生体の影響を受けた信号成分に基づいて、前記生体の位置を推定する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項9】
送信アンテナ及び受信アンテナを有し、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する位置推定部を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定装置であって、
前記対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記位置推定部により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する取得部と、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも
前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う補正推定部と、を備える、
推定装置。
【請求項10】
送信アンテナ及び受信アンテナを有し、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する位置推定部を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定装置であって、
前記対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記位置推定部により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する取得部と、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行う補正推定部と、を備え、
前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が前記対象領域の中央を通る経路であり、
前記補正推定部は、
前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第2情報を補正することで前記送信アンテナ及び受信アンテナの設置位置を含む前記設置状態の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定装置。
【請求項11】
送信アンテナ及び受信アンテナを有し、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する位置推定部を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定装置であって、
前記対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記位置推定部により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する取得部と、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行う補正推定部と、を備え、
前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が移動可能な前記対象領域の外周に沿った経路であり、
前記補正推定部は、
前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定装置。
【請求項12】
電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得するステップと、
前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得するステップと、
前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得するステップと、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも
前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行うステップと、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項13】
電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、
対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得するステップと、
前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得するステップと、
前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得するステップと、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行うステップと、を含み、
前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が前記対象領域の中央を通る経路であり、
前記推定を行うステップでは、
前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第2情報を補正することで前記送信アンテナ及び受信アンテナの設置位置を含む前記設置状態の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、
対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得するステップと、
前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得するステップと、
前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得するステップと、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行うステップと、を含み、
前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が移動可能な前記対象領域の外周に沿った経路であり、
前記推定を行うステップでは、
前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、
取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う、
推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推定方法、推定装置、及び、プログラムに関し、特に無線信号により生体の位置を推定するセンサ等を用いて対象領域における平面形状等の推定を行う推定方法、推定装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線信号を利用して、室内における生体の位置、または、姿勢若しくは行動などの状況を推定する方法が開示されている(例えば、特許文献1~3参照)。例えば、特許文献1には、ドップラセンサを用いて生体を検出する方法が開示されている。また、特許文献2には、ドップラセンサとフィルタとを用いて人の動作または生体情報を検知する方法が開示されている。また、特許文献3には、フーリエ変換を用いてドップラシフトを含む成分を解析することで検出対象となる人物の位置または状態を知る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2014-512526号公報
【文献】国際公開第2014/141519号
【文献】特開2015-117972号公報
【文献】特開2011-215031号公報
【文献】特開2015-59812号公報
【文献】特開2008-275324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1~3に開示される従来技術では、無線信号を利用して室内における生体の位置または状況を推定するためには、生体の位置等を推定するための領域である対象領域の形状を含む対象領域に関する情報を、あらかじめ正確に入力し既知としておく必要がある。さらに、室内などの形状すなわち対象領域の形状は、矩形でない場合も多い。このため、対象領域に関する情報を正確に入力するのが煩雑であるとの問題もある。
【0005】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、無線信号を利用して、対象領域に関する情報を簡便かつ高精度に推定することができる推定方法、推定装置、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る推定方法等は、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得し、取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行う。
【0007】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の推定方法等によれば、無線信号を利用して、対象領域に関する情報を、簡便かつ高精度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る推定装置が設置される空間を概念的に表した模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る処理部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る推定装置の処理概要を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4に示されるステップS1及びS2の具体的態様を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5に示されるステップS1及びS2において初期入力される第1情報と第2情報との一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図4に示されるステップS3及びS4の具体的態様を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図5に示されるステップS3において指示される経路とステップS4において行われる計算結果の一例を示す模式図である。
【
図9A】
図9Aは、
図5に示されるステップS3において指示される経路とステップS4において行われる計算結果の別の一例を示す模式図である。
【
図9B】
図9Bは、
図5に示されるステップS3において指示される経路の別の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、
図4に示されるステップS3及びS4の別の具体的態様を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図10に示されるステップS3Aにおいて指示される経路の一例を示す模式図である。
【
図12A】
図12Aは、実施の形態1の変形例1に係る推定装置の処理概要を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態1の変形例2に係る対象領域と、所定の経路と、特定領域の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
上述した特許文献1~3に開示される従来技術、すなわち、無線信号を利用して、室内における生体の位置、または、姿勢若しくは行動などの状況を推定する方法に対して、発明者らは詳細な検討を行った。
【0011】
その結果、特許文献1~3に開示される従来技術を用いて室内における生体の位置または状況を推定するためには、生体の位置等を推定できる装置すなわちセンサのセンシング対象となる対象領域に関する情報を、あらかじめ正確に入力して既知としておく必要があることがわかった。ここで、対象領域に関する情報とは、センサの位置、向き、及び、センシング対象となる部屋の間取り情報などである。
【0012】
しかしながら、センシング対象となる部屋の形状が正方形などの矩形でない場合、及び、当該部屋の形状が矩形であっても当該部屋において家具などの障害物が多い場合、当該部屋の間取りを的確に図示できるよう把握することは手間がかかる。このため、センサの利用者は、当該部屋の間取り情報など対象領域に関する情報を、正確に入力することは煩雑である。
【0013】
さらに、対象領域に関する情報として入力されたセンサの位置または向きが誤っている場合、または、入力されたセンサの位置または向きの誤差が大きい場合、センサは正確な生体の位置推定を行えないこともわかった。
【0014】
ところで、例えば特許文献4にはドップラセンサを用いて人の在不在、休息、活動状況を推定する装置が開示されている。しかし、特許文献4に開示される装置では、使用者の位置または姿勢といった状況がわからないという課題がある。
【0015】
なお、生体の位置などを知る方法として、振動センサまたはカメラなどの機器を用いる方法もある(例えば特許文献5、6参照)。例えば、特許文献5には、振動センサを用いて人の位置を推定する装置が開示されており、特許文献6には、カメラ及びRFタグにて人の位置、物の位置を推定する装置が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献5に開示される装置によれば、振動センサを用いて生体の位置を推定し、かつ、センサ設置場所を叩くことによって自己位置の推定が可能であるものの、対象となる部屋の外形は手動で入力する必要があるという課題がある。
【0017】
また、特許文献6に開示されている装置によれば、電子タグ及びカメラ画像を用いて人及び荷物の移動を推定することができるものの、人及荷物の画像を撮影する必要があるためプライバシの課題がある。
【0018】
発明者らは、以上の課題に対して研究を重ねた結果、対象領域に置かれたアンテナ素子を含む送信アンテナから送信され、生体によって反射された反射信号の伝搬特性を用い、当該領域の形状に関する情報を取得または補正可能であることを見出し、本開示に至った。
【0019】
すなわち、本開示の一態様に係る推定方法は、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法であって、対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得し、取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行う。
【0020】
これにより、無線信号を利用して、対象領域に関する情報を、簡便かつ高精度に推定することができる。より具体的には、無線信号を利用することで、生体のセンシングを行いたい対象領域に関する情報として例えば外形などの平面形状または設置位置などの設置状態を、簡便かつ高精度に推定することができる。
【0021】
ここで、例えば、前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が前記対象領域の中央を通る経路であり、前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第2情報を補正することで前記送信アンテナ及び受信アンテナの設置位置を含む前記設置状態の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う。
【0022】
また、例えば、前記所定の経路は、前記対象領域において前記生体が移動可能な前記対象領域の外周に沿った経路であり、前記平面形状の推定及び前記設置状態の推定の少なくとも一方を行う際、取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定を、前記対象領域に関する情報の推定として行う。
【0023】
また、例えば、前記設置状態は、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが設置された位置、高さ、及び角度の少なくとも一つを含むとしてもよい。
【0024】
また、例えば、前記対象領域は、屋内の1以上の部屋であり、さらに、前記対象領域に設置されている設置物の位置において前記生体を静止させたときに、前記推定装置により推定された前記生体の位置を示す第4情報を取得し、前記第4情報と、前記設置物または前記1以上の部屋のうち前記設置物が設置された部屋を識別する情報とを対応付けて、記憶部に記憶するとしてもよい。
【0025】
また、例えば、さらに、前記第4情報を、前記設置物の位置または前記設置物が設置された前記部屋の位置を示す情報として表示装置に表示させ、ユーザにより入力された前記設置物の位置または前記部屋の位置に対する修正情報を受け付け、受け付けた前記修正情報に基づき、前記第4情報を修正するとしてもよい。
【0026】
また、例えば、さらに、前記対象領域の中央から視て所定の方位に向かう位置に前記生体を静止させたときに、前記推定装置により推定された前記生体の位置を取得し、前記中央から、取得された前記生体の位置に向かう向きと、前記所定の方位とを対応付けて、前記対象領域の方位として記憶部に記憶するとしてもよい。
【0027】
ここで、例えば、前記推定装置は、前記受信アンテナが受信した信号から、所定の方法によって抽出された、前記生体の影響を受けた信号成分に基づいて、前記生体の位置を推定する。
【0028】
また、本開示の一態様に係る推定装置は、送信アンテナ及び受信アンテナを有し、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する位置推定部を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定装置であって、前記対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得し、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得し、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記位置推定部により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する取得部と、取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行う補正推定部と、を備える。
【0029】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、電波を用いて生体の位置を含む情報を推定する推定装置を用いて対象領域に関する情報の推定を行う推定方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得するステップと、前記推定装置が有する送信アンテナ及び受信アンテナの設置状態に関する第2情報を取得するステップと、前記対象領域において前記生体が所定の経路を移動した際に前記推定装置により推定された前記生体の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得するステップと、取得した前記第1情報、前記第2情報、及び前記第3情報に基づき、(1)前記第1情報を補正することで前記平面形状の推定、及び、(2)前記第2情報を補正することで前記設置状態の推定の少なくとも一方を、前記対象領域に関する情報の推定として行うステップと、をコンピュータに実行させる。
【0030】
なお、本開示は、装置として実現するだけでなく、このような装置が備える処理手段を備える集積回路として実現したり、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、CD-ROM等の記録媒体やインターネット等の通信媒体を介して配信してもよい。
【0031】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
(実施の形態1)
以下では、図面を参照しながら実施の形態1における推定装置10の推定方法等の説明を行う。
【0033】
[推定装置10の構成]
図1は、実施の形態1における推定装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、実施の形態1に係る推定装置10が設置される空間を概念的に表した模式図である。
【0034】
図1に示す推定装置10は、処理部20と、入力部30と、出力部40と、記憶部50と、送信アンテナ61及び受信アンテナ62を有する位置推定部60とを備え、対象領域100に関する情報の推定を行う。ここで、対象領域100は、推定装置10のセンシング対象の空間であり、例えば
図2に示されるように、推定装置10が設置される部屋である。対象領域100は、屋内の1以上の部屋であってもよい。対象領域100に関する情報とは、詳細は後述するが、例えば対象領域100の平面形状(外形)であってもよいし、対象領域100に設置される送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態であってもよい。以下、推定装置10の詳細構成について説明する。
【0035】
[入力部30]
入力部30は、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報が入力され、入力された第1情報を処理部20に伝達する。また、入力部30は、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報が入力され、入力された第2情報を処理部20に伝達する。本実施の形態では、入力部30は、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報として、
図2に示す矩形1001の縦横の長さに関する第1情報が初期入力される。また、入力部30は、設置状態に関する第2情報として、送信アンテナ61及び受信アンテナ62が設置された位置、高さ及び角度(以降、設置位置、設置高さ、設置角度と称する)の少なくとも1つが入力される。
【0036】
入力部30は、入力された第1情報及び第2情報を含む情報を処理部20に伝達するためのインターフェースを備える。入力部30は、例えばキーボードまたはタッチパッドなど、推定装置10の利用者により直接操作されて情報が入力されるインターフェースを備えていてもよい。また、入力部30は、他の電子機器若しくはインターネット等の通信媒体と接続して情報を受け取る(つまり、情報が入力される)インターフェースを備えていてもよい。
【0037】
また、入力部30は、あらかじめ記録媒体に記録される情報を当該記憶媒体から読みだして処理部20に伝達する装置であってもよい。
【0038】
なお、入力部30は、推定装置10を構成する処理部20及び位置推定部60と同一の位置に配されていてもよいし、
図2に示されるように、推定装置10を構成する処理部20及び位置推定部60と異なる離れた位置に配されていてもよい。換言すると、入力部30は、推定装置10と物理的に一体となって構成されてもよいし、推定装置10とは別の場所に配されてもよい。入力部30は、処理部20及び位置推定部60と異なる位置に配される場合、入力された情報を処理部20に遠隔で送信する。
【0039】
[出力部40]
出力部40は、処理部20の処理結果または使用者への指示などを示す情報を出力するためのインターフェースを備える。ここで、使用者は、
図2に示す生体200の一例であり、対象領域100内にいて推定装置10の操作を行う。
【0040】
出力部40は、例えばディスプレイまたはスピーカなど、利用者に直接情報の提示を行うインターフェースを備えていてもよいし、他の電子機器若しくはインターネット等の通信媒体と接続して情報の出力を行うインターフェースを備えていてもよい。
【0041】
なお、出力部40は、スマートフォンまたはコンピュータなど、入力部30と一体の機器であってもよい。換言すると、出力部40は、推定装置10を構成する処理部20及び位置推定部60と同一の位置に配されていてもよいし、
図2に示されるように、推定装置10を構成する処理部20及び位置推定部60と異なる離れた位置に配されていてもよい。出力部40は、処理部20及び位置推定部60と異なる位置に配される場合、出力するための情報を処理部20から遠隔で受信する。
【0042】
本実施の形態では、出力部40は、使用者へ指示するための情報として、所定の経路を移動する旨の指示を示す情報を出力したり、対象領域100に設置されている設置物の位置において静止する旨の指示を示す情報を出力したりする。ここで、所定の経路とは、対象領域100において生体200が対象領域100の中央を通る経路でもよいし、対象領域100において生体200が移動可能な対象領域100の外周に沿った経路でもよい。また、設置物とは、ベッドまたは椅子など部屋内の家具でもよいし、トイレ、キッチン、洗濯機、浴槽などであってもよい。
【0043】
また、出力部40は、処理部20の処理結果を示す情報として、推定した対象領域の平面形状を示す情報、または推定した設置状態を示す情報を出力する。
【0044】
なお、出力部40は、第1情報、第2情報及び第3情報を入力する旨の指示を示す情報を出力してもよい。
【0045】
また、出力部40は、記憶部50に記憶された情報を、提示または別の表示装置に表示させてもよい。例えば、出力部40は、設置物の位置に相当する生体200の位置を示す第4情報を、設置物の位置または設置物が設置された部屋の位置を示す情報として自身で表示または表示装置に表示させてもよい。そして、表示した設置物の位置または部屋の位置に対する修正情報を受け付けた場合、受け付けた修正情報を処理部20に伝達すればよい。修正情報は、出力部40または表示装置が受け付ける場合に限らず、入力部30が受け付けてもよい。また、修正情報は、生体200が入力するとしてもよいし、生体200とは異なる推定装置10のユーザ(使用者)が入力するとしてもよい。
【0046】
[記憶部50]
記憶部50は、不揮発性の記憶領域(補助記憶装置)で構成され、推定装置10が行う各種処理に利用される情報を記憶している。記憶部50は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などである。
【0047】
本実施の形態では、記憶部50は、対象領域の平面形状を形成する長さに関する第1情報、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報、生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報などを記憶する。
【0048】
また、記憶部50は、設置物の位置に相当する生体200の位置を示す第4情報と、設置物または設置物が設置された部屋を識別する情報とを対応付けて記憶してもよい。また、記憶部50は、対象領域100の方位を記憶してもよい。この場合、記憶部50は、対象領域100の中央から、当該中央から視て所定の方位に向かう生体200の位置に向かう向きと、所定の方位とを対応付けることで、対象領域100の方位を記憶する。
【0049】
なお、記憶部50は、処理部20、入力部30、出力部40及び位置推定部60を動作させるプログラムを記憶してもよい。また、記憶部50は、推定装置10に備えられていなくてもよく、クラウドまたは外部のサーバ装置に備えられてもよい。
【0050】
[位置推定部60]
位置推定部60は、電波すなわち無線信号を用いて生体200の位置を含む情報を推定する。より具体的には、位置推定部60は、対象領域100内に配置される送信アンテナ61及び受信アンテナ62を有し、無線信号により生体200の位置を推定する。位置推定部60は、例えば無線信号により生体200の位置を推定する位置推定装置であってもよいし、無線信号により生体200の位置を推定するセンサであってもよい。
【0051】
位置推定部60は、受信アンテナ62が受信した信号から、所定の方法によって抽出された、生体200の影響を受けた信号成分に基づいて、生体200の位置を推定する。より具体的には、位置推定部60は、例えば特許文献3に開示されているような電波(無線信号)を送信アンテナ61から送信し、受信アンテナ62で受信した反射波に含まれるドップラシフト成分を解析することで、検出対象となる生体200の位置を推定する。
【0052】
本実施の形態では、送信アンテナ61及び受信アンテナ62は、
図2に示すように、例えば辺1004など対象領域100の一辺の両端に配置される。位置推定部60は、処理部20により制御され、対象領域100において生体200が所定の経路を移動した際の生体200の複数の位置を推定する。また、位置推定部60は、処理部20により制御され、対象領域100に設置されている設置物の位置において生体200を静止させたときの生体200の位置を推定する。なお、位置推定部60は、処理部20により制御されて、対象領域100の中にある特定領域110において生体200を静止させたときの生体200の位置を推定してもよい。ここで、
図2に示される特定領域110は、対象領域100に含まれる部屋であってもよいし、対象領域100に含まれる領域であって、位置または外形を把握したい領域であってもよい。例えば特定領域110は、例えばトイレのある部屋または浴室などの領域、ベッドまたは椅子など部屋内の家具を示す領域であってもよい。
【0053】
また、位置推定部60は、処理部20により制御され、対象領域100の中央から視て所定の方位に向かう位置に生体200を静止させたときの生体200の位置を推定してもよい。ここで、所定の方位とは例えば東西南北のうちの北である。
【0054】
[処理部20]
処理部20は、推定装置10を動作させる各種処理を実行する。処理部20は、例えば、制御プログラムを実行するプロセッサと、当該制御プログラムを実行するときに使用するワークエリアとして用いられる揮発性の記憶領域(主記憶装置)とにより構成される。揮発性の記憶領域は、例えば、RAM(Randdom Access Memory)である。
【0055】
なお、処理部20は、推定装置10を動作させる各種処理を行うための専用回路により構成されていてもよい。つまり、処理部20は、ソフトウェア処理を行う回路であってもよいし、ハードウェア処理を行う回路であってもよい。
【0056】
図3は、実施の形態1に係る処理部20の詳細構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す処理部20は、取得部201と、移動指示部202と、計算部203と、補正推定部204と、登録処理部205とを備える。以下、詳細構成について説明する。
【0057】
<取得部201>
取得部201は、入力部30から、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得する。
図2に示す例では、対象領域100の正確な平面形状の長さを入力するのが煩雑なため、矩形1001の平面形状の長さを初期入力する。すなわち、取得部201は、入力部30から、入力部30に初期入力された矩形1001の縦横の長さに関する第1情報を取得する。
【0058】
また、取得部201は、入力部30から、位置推定部60が有する送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報を取得する。
図2に示す例では、取得部201は、入力部30から、入力部30に初期入力された送信アンテナ61及び受信アンテナ62が設置された位置、高さ、及び角度の少なくとも一つを含む設置状態に関する第2情報を取得する。
【0059】
また、取得部201は、対象領域100において生体200が所定の経路を移動した際に位置推定部60により推定された生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する。所定の経路は、上述したように、対象領域100の中央を通る経路であってもよいし、移動可能な対象領域100の外周に沿った経路でもよい。
【0060】
なお、取得部201は、対象領域100に設置されている設置物の位置において生体200を静止させたときに、位置推定部60により推定された生体200の位置を示す第4情報を取得してもよい。また、取得部201は、対象領域100の中央から視て所定の方位に向かう位置に生体200を静止させたときに、位置推定部60より推定された生体200の位置を取得してもよい。
【0061】
<移動指示部202>
移動指示部202は、生体200に対して、所定の経路に沿って移動する旨の指示または所定の位置まで移動して静止する旨の指示を示す情報を生成する。
【0062】
本実施の形態では、移動指示部202は、生体200に対して、対象領域100における所定の経路を移動する旨の指示を示す情報を生成し、出力部40に伝達する。また、移動指示部202は、対象領域100に設置されている設置物の位置または、特定領域110において静止する旨の指示を示す情報を生成し、出力部40に伝達してもよい。また、移動指示部202は、対象領域100の中央から視て所定の方位に向かう位置において静止する旨の指示を示す情報を生成し、出力部40に伝達してもよい。
【0063】
<計算部203>
計算部203は、第1情報に含まれる対象領域100の平面形状を形成する長さを計算する。
【0064】
本実施の形態では、計算部203は、取得部201により取得された、生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報に基づいて、第1情報に含まれる例えば辺1004の長さを計算する。なお、計算部203は、
図2に示す矩形1001の縦横の長さに関する第1情報が初期入力されているにも関わらず、改めて辺1004の長さを計算している。これは、第1情報として生体200が初期入力する矩形1001の長さには、測定誤差が含まれていたり、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置にずれが含まれていたりする場合があるからである。
【0065】
なお、計算部203は、取得部201により取得された、生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報に基づいて、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置または設置角度を計算してもよい。
【0066】
<補正推定部204>
補正推定部204は、取得部201が取得した第1情報、第2情報、及び第3情報に基づき、対象領域100の平面形状(外形)または対象領域100に設置される送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態など対象領域100に関する情報の推定を行う。より具体的には、補正推定部204は、対象領域100に関する情報の推定として、第1情報、第2情報、及び第3情報に基づき、(1)第1情報を補正することで平面形状の推定、及び、(2)第2情報を補正することで設置状態の推定の少なくとも一方を行う。
【0067】
例えば、取得部201が、所定の経路として、対象領域100において生体200が対象領域100の中央を通る経路を移動した際に位置推定部60により推定された生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得したとする。この場合、補正推定部204は、第1情報、第2情報、及び第3情報に基づき、第2情報を補正することで送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置を含む設置状態の推定を行う。
【0068】
また、例えば、取得部201が、所定の経路として、対象領域100において生体200が移動可能な対象領域100の外周に沿った経路を移動した際に位置推定部60により推定された生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得したとする。この場合、補正推定部204は、第1情報、第2情報、及び第3情報に基づき、第1情報を補正することで対象領域100の平面形状(外形)の推定を行う。
【0069】
本実施の形態では、補正推定部204は、
図2に示される送信アンテナ61及び受信アンテナ62が設置される辺1004の長さを推定したり、第1情報として初期入力される矩形1001の外形を補正した領域を対象領域100の外形と推定したりしてもよい。
【0070】
より具体的には、補正推定部204は、計算部203により計算された辺1004の長さを、より正確な辺1004の長さであると推定して、第1情報として初期入力された対象領域100の横の長さを補正してもよい。なお、補正推定部204は、第1情報として初期入力された対象領域100の横の長さを、計算部203により計算された辺1004の長さに置き換えることで、第1情報を補正するとしてもよい。
【0071】
また、補正推定部204は、計算部203により計算された送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置または設置角度を、より正確な送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置または設置角度であると推定してもよい。そして、補正推定部204は、第2情報として初期入力された送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置または設置角度を、計算部203により計算された送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置または設置角度に補正してもよい。
【0072】
また、補正推定部204は、第3情報に示される、生体200が対象領域100の外周に沿った経路を移動した際の生体200の複数の位置から構成される軌跡を、対象領域100の外形と推定してもよい。この場合、補正推定部204は、当該軌跡を用いて、第1情報として初期入力された対象領域100の平面形状を形成する長さを補正してもよい。例えば
図2に示す例では、補正推定部204は、当該軌跡を用いて、第1情報として初期入力された矩形1001を形成する4辺の長さのうち、右辺の長さ及び上辺の長さを短く補正した領域を、対象領域100の平面形状と推定してもよい。
【0073】
<登録処理部205>
登録処理部205は、対象領域100における設置物の位置または対象領域100における特定領域110の位置を登録する登録処理を行う。例えば、登録処理部205は、設置物の位置に相当する生体200の位置を示す第4情報と、設置物または1以上の部屋のうち設置物が設置された部屋を識別する情報とを対応付けて、記憶部50に記憶させることで、設置物の位置を登録する。つまり、登録処理部205は、このように対応付けて記憶部50に記憶させることで、設置物の位置に相当する生体200の位置を示す第4情報を、設置物の位置または設置物が設置された部屋の位置を示す情報とすることができる。
【0074】
なお、設置物の位置または設置物が設置された部屋の位置を示す情報として登録された第4情報は、生体200または生体200とは異なる推定装置10のユーザ(使用者)により修正されてもよい。換言すると、設置物の位置または部屋の位置に対する修正情報を出力部40等で受け付けた場合、受け付けた修正情報に基づき、第4情報を修正してもよい。
【0075】
また、登録処理部205は、対象領域100の方位を登録する登録処理を行ってもよい。例えば、取得部201が、対象領域100の中央から視て所定の方位に向かう位置に生体200を静止させたときに、位置推定部60より推定された生体200の位置を取得したとする。この場合、登録処理部205は、対象領域100の中央から生体200の位置に向かう向きと、所定の方位とを対応付けて、対象領域100の方位として記憶部50に記憶させることで、対象領域100の方位を登録してもよい。
【0076】
[推定装置10の動作等]
以上のように構成される推定装置10が対象領域100に関する情報の推定を行う処理について説明する。
【0077】
図4は、実施の形態1に係る推定装置10の処理概要を示すフローチャートである。
【0078】
まず、推定装置10は、
図4に示すように、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報を取得する(S1)。次に、推定装置10は、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報を取得する(S2)。次に、推定装置10は、対象領域100において生体200が所定の経路を移動した際に位置推定部60により推定された生体200の複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する(S3)。次に、推定装置10は、第1情報の補正による対象領域100の平面形状の推定、及び、第2情報の補正による送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態の推定の少なくとも一方を行う(S4)。このように、ステップS4では、推定装置10は、対象領域100に関する情報の推定を行う。
【0079】
以下、
図4に示されるステップS1~ステップS4の具体的態様について図を用いて説明する。
【0080】
図5は、
図4に示されるステップS1及びS2の具体的態様を示すフローチャートである。
図6は、
図5に示されるステップS1及びS2において初期入力される第1情報と第2情報との一例を示す模式図である。なお、
図6において、
図2と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0081】
ステップS1において、まず、推定装置10の使用者により、初期入力として、対象領域100を含む矩形1001の縦横の長さが入力部30に入力される(S11)。
図6に示される例では、矩形1001の縦横の長さは、長さL1及び長さL2である。入力部30は、入力された矩形1001の縦横の長さを処理部20に伝達する。なお、出力部40は、使用者に対して、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報を初期入力するような指示を出力してもよい。これにより、使用者は、適切なタイミングで、第1情報を初期入力することができる。
【0082】
次いで、推定装置10は、ステップS11で入力された対象領域100を含む矩形1001の縦横の長さを、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報として取得する(S12)。より具体的には、処理部20が、ステップS11で入力された矩形1001の縦横の長さを、対象領域100の平面形状を形成する長さに関する第1情報として取得し、取得した第1情報を処理部20内部の揮発性記憶領域(不図示)または記憶部50に記録する。
【0083】
次に、ステップS2において、推定装置10の使用者により、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置と設置高さと設置角度とが入力部30に入力される(S21)。
図6には、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置角度の一例として、送信アンテナ61の正面の方向を示す角度θ1と受信アンテナ62の正面の方向を示す角度θ2とが示されている。また、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置は、例えば対象領域100内の座標であってもよいし、辺1004の長さであってもよい。入力部30は、入力された送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置と設置高さと設置角度とを処理部20に伝達する。なお、出力部40は、使用者に対して、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報を初期入力するような指示を出力してもよい。これにより、使用者は、適切なタイミングで、第2情報を初期入力することができる。
【0084】
次いで、推定装置10は、ステップS21で入力された送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置と設置高さと設置角度とを、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報として取得する(S22)。より具体的には、処理部20が、ステップS21で入力された送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置と設置高さと設置角度とを、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態に関する第2情報として取得し、処理部20内部の揮発性記憶領域または記憶部50に記録する。
【0085】
図7は、
図4に示されるステップS3及びS4の具体的態様を示すフローチャートである。
【0086】
図8は、
図5に示されるステップS3において指示される経路とステップS4において行われる計算結果の一例を示す模式図である。なお、
図8において、
図2と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0087】
ステップS3において、まず、推定装置10は、使用者に対して、対象領域100における所定の経路として
図8に示す経路1002Aに沿った移動を指示する(S31)。より具体的には、処理部20は、
図8に示す経路1002Aに沿った移動を指示する情報を生成し、出力部40に伝達する。これにより、出力部40は、使用者である生体200に対し
図8に示す経路1002Aに沿った移動を指示することができる。
【0088】
ここで、
図8に示す経路1002Aは、対象領域100の中央を通る経路の一例である。
図8に示す例では、経路1002Aの起点は、送信アンテナ61及び受信アンテナ62を結んだ直線の垂直二等分線と辺1004との交点から所定の距離(例えば0.5m)だけ対象領域100の内側(
図8で上側)に入った点1003Aである。また、経路1002Aの終点は、辺1004と向かい合う辺と当該垂直二等分線との交点から所定の距離(例えば0.5m)だけ対象領域100の内側(
図8で下側)に入った点1003Bである。つまり、
図8に示すように、経路1002Aは、点1003Aを起点とし点1003Bを終点とする対象領域100の中央を通る経路である。
【0089】
次いで、推定装置10は、経路1002Aに沿って移動した生体200の複数の位置を位置推定部60に推定させる(S32)。より具体的には、位置推定部60は、初期入力された第1情報及び第2情報を用いて、例えば
図8に示す点1003A及び点1003Bに生体200がいる場合の、対象領域100内の位置を推定し、処理部20に伝達する。
【0090】
次いで、推定装置10は、ステップS32で推定された複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する(S33)。なお、推定装置10は、ステップS32で推定された複数の位置を第3情報として取得してもよい。例えば
図8に示すように、処理部20は、例えば点1003A及び点1003Bに対応する生体200の位置を、第3情報として取得してもよい。
【0091】
次に、ステップS4において、まず、推定装置10は、取得した第3情報を用いて、
図8に示す角1005A及び角1005Bを計算する(S41)。より具体的には、処理部20は、取得した第3情報を用いて、受信アンテナ62と点1003A(つまり、点1003Aに対応する生体200の位置)を結ぶ直線が辺1004となす角度である角1005Aを計算する。また、処理部20は、取得した第3情報を用いて、受信アンテナ62と点1003B(つまり点1003Bに対応する生体200の位置)とを結ぶ直線が、辺1004となす角度である角1005Bを計算する。
【0092】
次いで、ステップS41で計算した角1005A及び角1005Bを用いて、推定装置10は、辺1004の長さを計算する(S42)。より具体的には、処理部20は、ステップS41で計算した角1005Aの角度と、辺1004及び点1003A間の距離とを用いて、辺1004の長さを計算する。また、処理部20は、ステップS41で計算した角1005Bの角度と、辺1004及び点1003B間の距離とを用いて、辺1004の長さを計算する。ここで、計算される辺1004は、第1情報に含まれるべきより精度の高い対象領域100の横の長さに該当する。より詳細には、処理部20は、以下の(式1)を用いて辺1004の長さを計算する。
【0093】
【0094】
(式1)において、aは計算結果として得たい辺1004の長さである。また、bは、点1003A及び辺1004の間の距離であり、点1003B及び辺1004の間の距離である。θは角1005Aの角度であり、角1005Bの角度である。
【0095】
次いで、推定装置10は、ステップS42で計算した辺1004を用いて、第2情報または第1情報を補正することで、送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置状態を推定する(S43)。より具体的には、処理部20は、ステップS42で計算した複数の辺1004の長さの平均を計算し、より正確な辺1004の長さを得る。そして、処理部20は、より正確な辺1004の長さを用いて、第1情報に含まれ、対象領域100の横の長さとして初期入力された矩形1001の横の長さを補正する。なお、処理部20は、第1情報に含まれ、対象領域100の横の長さとして初期入力された矩形1001の横の長さを、対象領域100の横の長さを示す辺1004の長さに置き換えることで補正してもよい。
【0096】
なお、上記の具体的態様では、一例として辺1004の垂直二等分線上の2点での測位結果を用いて補正を行ったが、3点以上で補正を行ってもよい。3点以上で補正を行えば、より正確な対象領域100の横の長さに補正することができる。
【0097】
図9Aは、
図5に示されるステップS3において指示される経路とステップS4において行われる計算結果の別の一例を示す模式図である。
図9Bは、
図5に示されるステップS3において指示される経路の別の一例を示す模式図である。なお、
図9A及び
図9Bにおいて、
図2及び
図8と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0098】
すなわち、対象領域100の中央を通る経路は、
図8に示す経路1002Aに限らない。
図9Aに示す辺1004に平行な経路1002Bでもよいし、
図9Bに示す経路1002Cのように、
図8に示す経路1002Aと
図9Aに示す経路1002Bとを合わせた経路でもよい。
【0099】
なお、対象領域100の中央を通る経路として、
図9Aに示す経路1002Bを用いる場合でも、経路1002Aを用いた場合と同様に(式1)を用いて計算できる。この場合、(式1)において、bを、点1003C及び辺1004間の距離であり、点1003D及び辺1004間の距離とすればよい。また、θは、角1005Cの角度であり、角1005Cの角度であるとすればよい。角1005Cは、経路1002Bの始点となる点1003Cと受信アンテナ62とを結ぶ線が辺1004となす角度である。角1005Dは、経路1002Bの終点となる点1003Dと受信アンテナ62とを結ぶ線が辺1004となす角度である。
【0100】
また、
図4に示されるステップS3及びS4の具体的態様は、
図7~
図9Bに示されるものに限らない。
図10に示されるものであってもよい。以下、
図10を用いて、
図4に示されるステップS3及びS4の別の具体的態様について説明する。
【0101】
図10は、
図4に示されるステップS3及びS4の別の具体的態様を示すフローチャートである。
図11は、
図10に示されるステップS3Aにおいて指示される経路の一例を示す模式図である。なお、
図11において、
図2と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0102】
ステップS3Aにおいて、まず、推定装置10は、使用者に対して、対象領域100における所定の経路として、
図10に示す経路1002Dに沿った移動を指示する(S31A)。より具体的には、処理部20は、
図11に示す経路1002Dに沿った移動を指示する情報を生成し、出力部40に伝達する。これにより、出力部40は、使用者である生体200に対し
図11に示す経路1002Dに沿った移動を指示することができる。
【0103】
ここで、
図11に示す経路1002Dは、対象領域100において生体200が移動可能な対象領域100の外周に沿った経路の一例である。
【0104】
次いで、推定装置10は、経路1002Dに沿って移動した生体200の複数の位置を位置推定部60に推定させる(S32A)。より具体的には、位置推定部60は、第1情報及び第2情報を用いて、対象領域100の外周である、
図11に示す経路1002Dを移動している期間において生体200の対象領域100内の位置を推定し、時系列に沿った生体200の複数の位置を処理部20に伝達する。なお、位置推定部60が用いる第1情報及び第2情報は、初期入力されているまたはステップS43により補正されている。
【0105】
次いで、推定装置10は、ステップS32Aで推定された複数の位置から構成される軌跡に関する第3情報を取得する(S33A)。なお、推定装置10は、ステップS32Aで推定された時系列に沿った複数の位置を第3情報として取得してもよい。
【0106】
次に、ステップS4Aにおいて、まず、推定装置10は、取得した第3情報を用いて、第1情報を補正することで、対象領域100の平面形状(外形)を推定する。より具体的には、処理部20は、位置推定部60により推定された経路1002Dに沿って生体200が移動した場合の移動軌跡を、対象領域100の外形として推定する。処理部20は、推定された移動軌跡の長さを用いて、第1情報に含まれる対象領域100の平面形状を形成する長さを補正することで、対象領域100の外形を推定することになる。
【0107】
なお、上記実施の形態では、対象領域100が1つの部屋である場合の例について説明したが、これに限らない。対象領域100が屋内のドアで行き来できる隣接する2以上の部屋であってもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、対象領域100に関する情報が、外形などの平面形状または送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置などの設置状態である場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。対象領域100に関する情報は、さらに、対象領域100における設置物の位置を含んでいてもよいし、対象領域100におけるトイレ等の特定領域110の位置などの情報を含んでいてもよい。また、対象領域100に関する情報には、さらに、対象領域100の方位を含んでいてもよい。
【0109】
(変形例1)
本変形例では、推定装置10が、対象領域100における設置物または特定領域110の位置などの情報の登録処理を行う場合の動作概要と一具体的態様について説明する。
【0110】
図12Aは、実施の形態1の変形例1に係る推定装置10の処理概要を示すフローチャートである。
図12Aにおいて、
図4と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0111】
図12Aに示す変形例1に係る推定装置10の処理概要を示すフローチャートは、
図4に示す推定装置10の処理概要を示すフローチャートと比較して、ステップS5の処理が追加された点で異なる。
【0112】
すなわち、本変形例では、さらに、ステップS5において、推定装置10は、対象領域100に設置されている設置物の位置の登録を行う。なお、ステップS5において、推定装置10は、対象領域100における特定領域110の位置を登録するとしてもよい。
【0113】
以下、
図12Aに示されるステップS5の具体的態様について説明する。
【0114】
図12Bは、
図12Aに示されるステップS5の具体的態様を示すフローチャートである。
【0115】
ステップS5において、まず、推定装置10は、使用者である生体200に対して、対象領域100に設置されている設置物の位置への移動を指示する(S51)。より具体的には、処理部20は、設定または登録が必要な設置物の位置への移動を指示する情報を生成し、出力部40に伝達する。これにより、出力部40は、使用者である生体200に対し、設置物への移動を指示することができる。
【0116】
次いで、推定装置10は、指示された設置物の位置へ移動し、静止した生体200の位置を位置推定部60に推定させる(S52)。より具体的には、位置推定部60は、生体200が静止した時刻での生体200の位置を推定し、処理部20に伝達する。なお、位置推定部60は、生体200への移動指示後、生体200が一定の時間以上移動しない位置を静止した生体200の位置であるとして推定してもよい。また、位置推定部60は、生体200の移動が完了したタイミングが生体200によって入力部30に入力された時刻において、生体200の位置を推定してもよい。
【0117】
次いで、推定装置10は、ステップS52で推定された位置を示す第4情報を取得する(S53)。
【0118】
次いで、推定装置10は、ステップS53で取得した第4情報と、設置物または当該設置物が設置された部屋を識別する情報とを対応付けて、記憶部50に記憶する(S54)。
【0119】
このようにして、推定装置10は、対象領域100に設置されている設置物の位置の登録を行う。
【0120】
(変形例2)
本変形例では、推定装置10が、扉で行き来できる隣接する2つの屋内の部屋からなる対象領域100における特定領域110の位置を、登録処理する場合について
図13を用いて説明する。
【0121】
図13は、実施の形態1の変形例2に係る対象領域100と、所定の経路と、特定領域の一例を示す模式図である。
【0122】
図13に示す変形例2に係る対象領域100は、
図2等に示すような1つの部屋からなる対象領域100と異なり、部屋100Aと部屋100Bとの2つからなり、扉1100を介して部屋100Aと部屋100Bとを出入り可能となっている。また、
図13に示す変形例2に係る対象領域100では、位置推定部60が有する送信アンテナ61及び受信アンテナ62が部屋100Aと部屋100Bにまたがるように配されることで、対象領域100に設置されている。
【0123】
また、
図13に示す変形例2に係る経路1002Eは、移動可能な対象領域100の外周に沿った経路の一例であり、例えば
図11に示す経路1002Dと比較して、扉1100を通り、部屋100Aと部屋100Bとの外周に沿った経路となっている。
【0124】
そして、生体200が、
図13に示す対象領域100内の経路1002Eに沿って移動することで、経路1002Eに沿って生体200が移動した軌跡が推定され、部屋100Aと部屋100Bとからなる対象領域100の外形とされる。
【0125】
また、
図13に示す変形例2に係る対象領域100では、部屋100Aの特定領域110Aの位置と、部屋100Bの特定領域110Bの位置とが登録されてもよい。
【0126】
この場合、変形例2に係る推定装置10は、まず、生体200に対して、部屋100Aの特定領域110Aの位置または部屋100Bの特定領域110Bの位置への移動を指示する。次いで、当該推定装置10は、指示された特定領域110Aまたは特定領域110Bの位置へ移動し、静止した生体200の位置を位置推定部60に推定させる。そして、当該推定装置10は、位置推定部60により推定された位置を示す第4情報と、特定領域110Aまたは特定領域110Bを識別する情報とを対応付けて、記憶部50に記憶する。
【0127】
なお、例えば用途などの属性を設定するために、設定したい属性を持つ部屋100Aまたは部屋100Bへ生体200に移動するよう指示してもよい。この場合、推定装置10は、部屋100Aの特定領域110Aにいる生体200A、または部屋100Bの特定領域110Bにいる生体200Bの存在する位置を推定する。そして、推定装置10は、推定した位置を含む周辺領域が設定したい属性を持つ特定領域110Aまたは110Bであるとして記憶してもよい。
【0128】
なお、外形を推定する対象領域100は、上述した屋内の1以上の部屋である場合に限らず、トイレなどの小部屋、ベッドまたはテーブルなどの家具の周囲領域などでもよい。また、対象領域100の外形として、例えば台所、廊下、玄関、浴室などの室内境界を推定してもよい。
【0129】
また、特定領域の位置または設置物の位置を登録する際に、生体200の高さを推定し、その高さも記憶部50に記憶してもよい。これにより、推定装置10は、例えばベッドまたは床など特定領域の高さを推定することができる。
【0130】
[効果等]
以上のように、本開示の推定装置10等によれば、無線信号を利用して、対象領域100に関する情報を、簡便かつ高精度に推定することができる。より具体的には、無線信号を利用することで、生体のセンシングを行いたい対象領域100に関する情報として例えば外形などの平面形状または送信アンテナ61及び受信アンテナ62の設置位置などの設置状態を、簡便かつ高精度に推定することができる。
【0131】
さらに、実施の形態1の推定装置10を用いることで、生体200に所定の経路に沿って移動してもらうことで、対象領域100の外形を簡便かつ高精度に推定できることから、マイクロ波レーダなどの無線信号を用いた宅内見守りのために必要な間取りを、煩雑な手入力なく推定できる。
【0132】
以上、本開示の一態様に係る推定方法、推定装置、及び、プログラムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0133】
また、本開示は、このような特徴的な構成要素を備えるセンサとして実現することができるだけでなく、センサに含まれる特徴的な構成要素をステップとする推定方法などとして実現することもできる。また、そのような方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータで読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本開示は、無線信号を利用して生体の方向及び位置を推定する推定方法、推定装置、及び、プログラムに利用できる。特に、生体と機械を含む動体の方向及び位置を測定する測定器、動体の方向及び位置に応じた制御を行う家電機器、動体の侵入を検知する監視装置などに搭載される初期設定の方法に利用できる。
【符号の説明】
【0135】
10 推定装置
20 処理部
30 入力部
40 出力部
50 記憶部
60 位置推定部
61 送信アンテナ
62 受信アンテナ
100 対象領域
100A、100B 部屋
110、110A、110B 特定領域
200 生体
1001 矩形
1002A、1002B、1002C、1002D、1002E 経路
1003A、1003B、1003C、1003D 点
1004 辺
1005A、1005B、1005C、1005D 角