(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】焼却システムおよび焼却システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20231127BHJP
F23G 5/30 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
F23G5/50 E ZAB
F23G5/50 M
F23G5/30 G
(21)【出願番号】P 2020112428
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 晃弘
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-173928(JP,A)
【文献】特開平08-121731(JP,A)
【文献】特開2002-263611(JP,A)
【文献】特開2000-179821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
F23G 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内に砂層が形成された流動焼却炉本体と、
乾燥被焼却物と該乾燥被焼却物よりも水分量の多い高湿被焼却物とを前記炉内に投入する投入装置と、
前記投入装置による投入量を制御する投入装置制御手段と、
前記砂層の温度を測定する温度測定装置と、
前記温度測定装置が測定した温度が第1温度に達したことに応じて前記炉内への水の供給を開始
し、該炉内への水の供給をその後停止する水供給装置と、
前記水供給装置が供給する水量を制御する水量制御手段とを備え、
前記水量制御手段は、前記砂層
が所定の温度上昇率以下になったことに応じて前記水量を減少させるものであり、
前記投入装置制御手段は、前記水量制御手段が前記水量を減少させることに対応して前記投入装置が投入する前記高湿被焼却物の投入量を増加させるものであることを特徴とする焼却システム。
【請求項2】
前記高湿被焼却物の水分量を測定する水分量測定装置を備え、
前記投入装置制御手段は、前記水量制御手段が減少させる水量と前記水分量測定装置が測定した前記高湿被焼却物の水分量とを用いて
該水量制御手段が減少させる水量に相当する水分量を含む該高湿被焼却物の増加量を算出し、前記投入装置が投入する前記高湿被焼却物の投入量を該増加量分増加させるものであることを特徴とする請求項1記載の焼却システム。
【請求項3】
前記水量制御手段は、前記温度測定装置が測定した温度が前記第1温度以上でかつ前記砂層の温度上昇が継続している間は前記水供給装置が供給する水量を徐々に増加させるものであることを特徴とする請求項1または2記載の焼却システム。
【請求項4】
前記投入装置制御手段は、前記温度測定装置が測定した温度が前記第1温度よりも低下した場合には、前記投入装置が投入する前記高湿被焼却物の投入量を、増加させる前の投入量に戻させるものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の焼却システム。
【請求項5】
前記砂層における砂の量を測定する砂量測定装置と、
前記砂層から砂を抜き出す砂抜出装置と、
前記砂量測定装置によって測定された砂の量が所定量以上である場合に、前記砂抜出装置に前記砂層から砂を抜き出させて該砂層における砂の量を減少させる抜出装置制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の焼却システム。
【請求項6】
乾燥被焼却物と該乾燥被焼却物よりも水分量の多い高湿被焼却物とが炉内に投入され、該炉内に形成された砂層で該乾燥被焼却物と該高湿被焼却物とを焼却する流動焼却炉本体を備えた焼却システムの制御方法において、
前記砂層の温度が第1温度に達したことに応じて開始され、前記炉内に水を供給する水供給工程と、
前記水供給工程において前記砂層が所定の温度上昇率以下になったことに応じて開始され、前記炉内へ供給する水量を減少させ、前記高湿被焼却物の投入量を増加させて該炉内へ投入する高湿被焼却物増加工程と、
前記炉内への水の供給を停止する水停止工程とを有することを特徴とする焼却システムの制御方法。
【請求項7】
前記高湿被焼却物増加工程は、減少させる水量と前記高湿被焼却物の水分量とを用いてその減少させる水量に相当する水分量を含む該高湿被焼却物の増加量を算出し、該高湿被焼却物の投入量を該増加量分増加させて前記炉内に投入する工程であることを特徴とする請求項6記載の焼却システムの制御方法。
【請求項8】
前記水供給工程は、前記砂層における温度上昇が継続している間は前記炉内へ供給する水量を徐々に増加させる工程であることを特徴とする請求項6または7記載の焼却システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動焼却炉を備えた焼却システムおよび流動焼却炉を備えた焼却システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業の生産工程で排出される排出粕や下水処理場などから排出される汚泥などの被焼却物を焼却する焼却システムとして、硅砂等の砂を流動させながら被焼却物を焼却する流動焼却炉を備えた焼却システムが採用されている。この焼却システムにおける流動焼却炉は、焼却炉本体と、被焼却物の投入装置と、焼却炉本体の炉内に燃料を噴出する助燃バーナと、その炉内に水を供給する水供給装置などを備えている。焼却炉本体の炉内には、一定量の砂が充填されることで砂層が形成されている。充填された砂は、砂層の下層部から外気あるいは所定温度に加熱された流動空気が送り込まれることで砂層において流動する。被焼却物は、炉内に投入されて砂が流動している砂層において砂粒子の激しい流動化運動によって分散されて細かくなり、水分が蒸発して乾燥する。次いで、被焼却物の温度はさらに上昇し、被焼却物が燃焼して排ガスが生じる。このような流動焼却炉を備えた焼却システムとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
流動焼却炉の砂層の温度は、被焼却物を安定して焼却するために、例えば600℃~800℃の間で可能な限り一定に保ち且つ砂層の砂が適切に流動している必要がある。ところが、被焼却物は、材質、含有している水分量が一定ではない。被焼却物に含まれる可燃性の材質も高い発熱量のものもあれば低い発熱量のものもある。被焼却物に含まれる非可燃性の材質は、主には無機物であり、砂や礫、粘土鉱物などが多い。このため、燃焼までに要する時間や燃焼した際に生じる発熱量にばらつきがある。また、被焼却物の燃焼後に残るのは主に無機物であり、無機物の含有量が多い被焼却物もあるため、砂層にある砂の量が、無機物が残留するために見掛け上急に増加してしまうこともある。加えて、砂層に送り込まれる流動空気の温度のばらつきなど、砂層の温度を変化させる様々な要因が存在している。これらのため、被焼却物に由来する無機物を含む砂層の温度は変化しやすい。以後において、被焼却物が燃焼した後に生成する無機物を燃焼灰と称すことがある。燃焼灰は砂層に残留したり、微粒子状であれば排ガスと共に飛散することもある。また、低融点の無機物は融解して砂と結合し、両者が一体となった粒状物や塊状物を生成することもあるため、特に断りの無い限りは、砂層は燃焼灰(無機物)が混在した状態であることが通常の運転時の状態であり、砂層には燃焼灰が含まれて砂層が形成されているものであり、砂とは燃焼灰、粒状物、塊状物を含むことを意味する。砂層が低温になりすぎると、被焼却物を焼却できなくる。また、砂層が高温になりすぎると、燃焼灰からクリンカ(溶融塊状物)が形成されて砂層における砂の適切な流動を妨げてしまうことがある。さらに、排ガスが高温になりすぎると、流動焼却炉および流動焼却炉よりも排ガスの流れにおける後流にある装置を傷めてしまう虞もある。これに対し、従来は、焼却システムの作業者が、砂層への被焼却物の投入量、砂層への燃料投入量、砂層から抜き出す燃焼灰を含む砂の量を、勘や経験に基づいて調整することで砂層の温度を一定に保つ努力をしていた。また、作業者は、定常温度よりも高い所定温度に達してしまった場合、炉内に水を供給することで砂層の温度を所定温度まで低下させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、砂層に水を供給すると、本来は被焼却物の乾燥と燃焼に用いられる砂層の熱量が、水を蒸発させるために使用されてしまうので、砂層に加える燃料の合計投入量が増加してしまうという問題がある。加えて、焼却システムで使用される水量も増加してしまうという問題や、流動焼却炉の運転の安定を乱す虞もある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、水や燃料などの資源の消費量を抑制した焼却システムおよび焼却システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の焼却システムは、炉内に砂層が形成された流動焼却炉本体と、
乾燥被焼却物と該乾燥被焼却物よりも水分量の多い高湿被焼却物とを前記炉内に投入する投入装置と、
前記投入装置による投入量を制御する投入装置制御手段と、
前記砂層の温度を測定する温度測定装置と、
前記温度測定装置が測定した温度が第1温度に達したことに応じて前記炉内への水の供給を開始し、該炉内への水の供給をその後停止する水供給装置と、
前記水供給装置が供給する水量を制御する水量制御手段とを備え、
前記水量制御手段は、前記砂層が所定の温度上昇率以下になったことに応じて前記水量を減少させるものであり、
前記投入装置制御手段は、前記水量制御手段が前記水量を減少させることに対応して前記投入装置が投入する前記高湿被焼却物の投入量を増加させるものであることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記第1温度は、前記砂層の理想的な運転状態における温度である定常温度よりも高い温度であってもよい。また、前記投入装置制御手段は、前記砂層の温度が前記第1温度よりも高い第2温度に達したことに応じて、前記投入装置を含め流動焼却炉本体に接続される装置を停止させるものであってもよい。
【0009】
本発明の焼却システムによれば、この焼却システムにおいて消費する資源を抑制できる。また、前記水供給手段が供給する水量の少なくとも一部を前記高湿被焼却物に切り替えているので前記砂層に投入する前記高湿被焼却物が増加し、結果としてこの焼却システムにおいて焼却可能な被焼却物の量を増加させることができる。
【0010】
また、本発明の焼却システムにおいて、前記高湿被焼却物の水分量を測定する水分量測定装置を備え、
前記投入装置制御手段は、前記水量制御手段が減少させる水量と前記水分量測定装置が測定した前記高湿被焼却物の水分量とを用いて該水量制御手段が減少させる水量に相当する水分量を含む該高湿被焼却物の増加量を算出し、前記投入装置が投入する前記高湿被焼却物の投入量を該増加量分増加させる態様であってもよい。
【0011】
この態様によれば、減少させた水量に応じた水分を含む前記高湿被焼却物を前記砂層に供給できるので、該砂層の温度が急激に変化してしまうことを抑制しながら該砂層の温度を所望の温度に近づけることができる。
【0012】
また、本発明の焼却システムにおいて、前記水量制御手段は、前記温度測定装置が測定した温度が前記第1温度以上でかつ前記砂層の温度上昇が継続している間は前記水供給装置が供給する水量を徐々に増加させるものであってもよい。
【0013】
前記砂層の温度上昇の抑制に必要十分な水量まで徐々に増加させることができるので、該砂層に必要以上に水を供給してしまうことを防止できる。これにより、この焼却システムにおいて消費する資源を効率的に抑制できる。
【0014】
さらに、本発明の焼却システムにおいて、前記水量制御手段は、前記砂層の温度状況が所定の温度上昇率以下になったことに応じて前記水量を減少させるものであってもよい。
【0015】
ここで、所定の温度上昇率以下になったことには、温度上昇率が0になったことやマイナスの温度上昇率になったことを含む。すなわち、前記水量制御手段は、前記砂層の温度上昇が停止したことに応じて前記水供給装置が供給する水量を減少させるものであってもよく、前記砂層の温度状況が所定の下降率に転じてから前記水供給装置が供給する水量を減少させるものであってもよい。
【0016】
温度上昇率が高いときには温度上昇の抑制に即効性がある水を供給することで早期に温度上昇を抑制することができる。また、所定の温度上昇率以下になったことに応じて前記水量を減少させているので、該水量を減少させた後に前記砂層の温度が上昇しすぎてしまうことを抑制できる。
【0017】
またさらに、本発明の焼却システムにおいて、前記投入装置制御手段は、前記温度測定装置が測定した温度が前記第1温度よりも低下した場合には、前記投入装置が投入する前記高湿被焼却物の投入量を、増加させる前の投入量に戻させるものであってもよい。
【0018】
前記高湿被焼却物の投入量を戻すことで、前記砂層の温度が低下しすぎてしまうことを抑制できる。
【0019】
加えて、本発明の焼却システムにおいて、前記砂層における砂の量を測定する砂量測定装置と、
前記砂層から砂を抜き出す砂抜出装置と、
前記砂量測定装置によって測定された砂の量が所定量以上である場合に、前記砂抜出装置に前記砂層から砂を抜き出させて該砂層における砂の量を減少させる抜出装置制御手段とを備えていてもよい。
【0020】
これらを備えることで、前記砂層の砂の量が増えすぎてしまうことを防止できる。
【0021】
また、上記目的を解決する本発明の焼却システムの制御方法は、乾燥被焼却物と該乾燥被焼却物よりも水分量の多い高湿被焼却物とが炉内に投入され、該炉内に形成された砂層で該乾燥被焼却物と該高湿被焼却物とを焼却する流動焼却炉本体を備えた焼却システムの制御方法において、
前記砂層の温度が第1温度に達したことに応じて開始され、前記炉内に水を供給する水供給工程と、
前記水供給工程において前記砂層が所定の温度上昇率以下になったことに応じて開始され、前記炉内へ供給する水量を減少させ、前記高湿被焼却物の投入量を増加させて該炉内へ投入する高湿被焼却物増加工程と、
前記炉内への水の供給を停止する水停止工程とをを有することを特徴とする。
【0022】
ここで、前記高湿被焼却物増加工程は、前記砂層の温度が所定の温度上昇率以下になったことに応じて前記炉内へ供給する水量を減少させ、前記高湿被焼却物の投入量を増加させて該炉内へ投入する工程であってもよい。また、前記砂層の温度が前記第1温度よりも低下したことに応じて開始され、前記高湿被焼却物の投入量を、前記増加量を加える前の量に戻す定常制御工程を有していてもよい。加えて、前記砂層に存在する砂の量を測定する砂量測定工程と、前記砂量測定工程において測定された砂の量が所定量以上である場合に開始され、前記砂層から砂を排出して該砂層における砂の量を減少させる砂排出工程とを有していてもよい。さらに、前記砂層の温度が前記第1温度よりも高い第2温度に達したことに応じて乾燥被焼却物と高湿被焼却物の投入を0にする異常停止工程を備えていてもよい。
【0023】
この焼却システムの制御方法によれば、この焼却システムにおいて消費する資源を抑制できる。また、この焼却システムにおいて焼却可能な被焼却物の量を増加させることができる。
【0024】
また、本発明の焼却システムの制御方法において、前記高湿被焼却物増加工程は、減少させる水量と前記高湿被焼却物の水分量とを用いてその減少させる水量に相当する水分量を含む該高湿被焼却物の増加量を算出し、該増加量分の該高湿被焼却物を増加させて前記炉内に投入する工程であってもよい。
【0025】
減少させた水量に応じた水分を含む前記高湿被焼却物を前記砂層に供給できるので、該砂層の温度が急激に変化してしまうことを抑制しながら該砂層の温度を所望の温度に近づけることができる。
【0026】
また、本発明の焼却システムの制御方法において、前記水供給工程は、前記砂層における温度上昇が継続している間は前記炉内へ供給する水量を徐々に増加させる工程であってもよい。
【0027】
前記砂層の温度上昇の抑制に必要十分な水量まで徐々に増加させることができるので、該砂層に必要以上に水を供給してしまうことを防止できる。これにより、この焼却システムにおいて消費する資源を効率的に抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の焼却システムおよび焼却システムの制御方法によれば、水や燃料などの資源の消費量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態である焼却システムの系統図である。
【
図2】
図1に示す焼却システムの、ハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す焼却システムの流動焼却炉の炉内の温度状況に応じた制御を説明する制御説明図である。
【
図4】
図1に示す焼却システムの流動焼却炉が高温になった際の制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示す焼却システムの流動焼却炉の砂の量を調整する砂処理制御を示すフローチャートである。
【
図6】高湿被焼却物を乾燥させる乾燥機が設けられた従来の焼却システムの系統図である。
【
図7】焼却システムの変形例を示す
図1と同様の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態である焼却システムの系統図である。また、
図2は、
図1に示す焼却システムの、ハードウェア構成を示すブロック図である。
【0032】
図1および
図2に示すように、この実施形態の焼却システム1は、流動焼却炉2と、投入装置3と、乾燥装置4と、砂抜出装置5と、熱交換装置6と、流動空気供給装置7と、制御装置9とを備えている。
【0033】
流動焼却炉2は、下水処理場などから排出される汚泥などの被焼却物を焼却する焼却炉である。流動焼却炉2は、焼却炉本体21と、始動バーナ22と、助燃バーナ23と、水供給装置24と、温度測定装置TIとを備えている。焼却炉本体21は、耐火断熱材によって構成された中空状の炉であって、炉内に砂層SLとフリーボードFとが形成されている。砂層SLは、焼却炉本体21の炉内に一定量の砂が充填されることで炉内の下側部分に形成されている。温度測定装置TIは、砂層SLの温度を測定するものであり、先端にある温度測定部分が砂層SLに挿入されている。また、温度測定装置TIが測定した温度は、制御装置9に入力される。砂層SLの下層部には、流動空気供給装置7によって加熱された流動空気が送られてくる。その流動空気により、砂層SLは砂が激しく流動する流動状態になる。流動状態の砂層SLに投入された被焼却物は、砂粒子の激しい流動化運動によって分散されて細かくなり、水分が蒸発して乾燥する。次いで、被焼却物は、温度がさらに上昇して燃焼する。燃焼した被焼却物は燃焼灰になるとともに排ガスが生じる。フリーボードFは、砂層SLで燃焼した被焼却物が完全燃焼するために砂層SLよりも上方に形成された空間である。このフリーボードFは、流動する砂が跳ね上がる部分を確保する役割も担っている。焼却炉本体21の上端には不図示の排出口が形成されている。焼却炉本体21の炉内で発生した燃焼灰と排ガスはその排出口から排出される。
【0034】
始動バーナ22は、流動焼却炉2の始動時において燃焼を開始する際に用いるものである。この始動バーナ22は、砂層SLに向けて炎を吹き出すように配置されている。また、助燃バーナ23は、被焼却物だけでは十分な燃焼が得られない場合に、被焼却物の燃焼を補助するために砂層SLに重油等の燃料を噴出させるものである。この助燃バーナ23は、燃料を噴出する先端部分が砂層SL内に挿入されている。
図2では図示省略しているが、これらの始動バーナ22および助燃バーナ23の動作は、制御装置9によって制御されている。
【0035】
水供給装置24は、炉内に水を供給(噴霧)することによって、砂層SLやフリーボードFの過熱を抑制するものである。水供給装置24は、焼却炉本体21の上側部分に配置されている。この水供給装置24は、ノズル241と流量調整弁242とを有している。水供給装置24には水道管が接続されている。ノズル241は、焼却炉本体21の炉内に配置されており、炉内に水を噴霧する部分である。流量調整弁242は、ノズル241に続く配管部分に配置されている。この流量調整弁242は、配管内を通過する水を遮断したり配管内を通過する水の流通量を増減することで、水供給装置24が炉内に供給する水量を調整するものである。流量調整弁242は、電動弁であり、その動作は制御装置9によって制御されている。なお、水の供給量が調整可能なポンプを水源に設置し、流量調整弁242の代わりにそのポンプの動作を制御装置9で制御してもよい。
【0036】
投入装置3は、高湿被焼却物供給装置31と、乾燥被焼却物供給装置32と、被焼却物投入機33とを備えている。高湿被焼却物供給装置31は、搬送コンベア等によって搬送されてきた高湿被焼却物を受け入れ、受け入れた高湿被焼却物をスクリューコンベアによって送り出すものである。高湿被焼却物供給装置31のスクリューコンベアは、被焼却物投入機33から焼却炉本体21に被焼却物を搬送し投入するスクリューコンベヤに合流するように接続されている。高湿被焼却物供給装置31には高湿被焼却物の水分量を測定する水分量測定装置WIが設けられている。水分量測定装置WIは高湿被焼却物の水分を測定する水分計と、高湿被焼却物供給装置31から排出される高湿被焼却物の重量を測定するロードセルから構成されている。水分量測定装置WIが測定した水分と重量は、制御装置9に入力され、水分量が制御装置9により演算される。乾燥被焼却物供給装置32は、搬送コンベア等によって搬送されてきた高湿被焼却物を受け入れ、受け入れた高湿被焼却物をスクリューコンベアによって後述する乾燥機41を通して被焼却物投入機33に送り出すものである。乾燥機41を通すことで、高湿被焼却物は乾燥して乾燥被焼却物になる。従って、高湿被焼却物は、乾燥被焼却物よりも水分量が多い。以下、高湿被焼却物と乾燥被焼却物とを区別しない場合には、被焼却物と称する。被焼却物投入機33は、受け入れた乾燥被焼却物をスクリューコンベアによって焼却炉本体21の炉内に向けて搬送し、該スクリューコンベアの途中で高湿被焼却物供給装置31から搬送される高湿被焼却物が合流されて乾燥被焼却物と高湿被焼却物を焼却炉本体21の炉内に投入するものである。該合流後に混合機を設け、乾燥被焼却物と高湿被焼却物の混合物として炉内に投入しても構わない。これら高湿被焼却物供給装置31と、乾燥被焼却物供給装置32と、被焼却物投入機33それぞれの動作は、制御装置9によって制御されている。上述したように、炉内に投入された被焼却物は、燃焼して燃焼灰になるとともに排ガスが生じる。
【0037】
乾燥装置4は、乾燥機41と、熱風炉42と、第1集塵機43とを備えている。乾燥機41は、乾燥被焼却物供給装置32によって送り出された高湿被焼却物を乾燥させるものである。乾燥された乾燥被焼却物は被焼却物投入機33に送られて貯留され、そこからさらに焼却炉本体21に送られて炉内に投入される。被焼却物投入機33は、乾燥機41における乾燥運転上の変動や、詳しくは後述する流動焼却炉2における焼却運転上の変動を生じた場合にも対応できる所定量の貯留容量を備え、また焼却運転に必要な乾燥被焼却物の排出能力を備えている。図示はないが、乾燥被焼却物供給装置32は、高湿被焼却物供給装置31に具えられたものと同じ水分量測定装置WIを備え、詳しくは後述する投入装置制御手段92などとの協働による適切な乾燥制御が行われ、目標とする水分の乾燥被焼却物を得られる運転が行われる。なお、乾燥被焼却物供給装置32に具えられた水分量測定装置WIの代わりに、乾燥被焼却物供給装置32から被焼却物投入機33への搬送系に水分量測定装置WIを備えていてもよい。熱風炉42は、熱風バーナ421を備えている。熱風炉42には、後述する一次熱交換器61によって温度が高められた再利用ガスが送り込まれる。
この再利用ガスは、熱風バーナ421によって吹き出された燃焼ガスと混ざって数百度の熱風になり乾燥機41に送られる。この熱風は、乾燥機41を通過する際に高湿被焼却物と接触し、高湿被焼却物を乾燥する。乾燥機41を通過した熱風は、第1集塵機43によって粉粒が除去された後、一部は再利用ガスとして一次熱交換器61に送られ、残りは不図示の脱臭装置に送られる。
図2では図示省略しているが、熱風バーナ421の動作は、制御装置9によって制御されている。
【0038】
砂抜出装置5は、砂抜出コンベア51と、篩52と、砂返送装置53とを備えている。砂抜出装置5は、砂層SLから砂の一部を抜き出すことで砂層SLの砂の量を一定量に保つためのものである。焼却炉本体21の炉内に投入される被焼却物には、無機物を殆ど含まない被焼却物や無機物を多量に含む被焼却物が混在している。無機物を多量に含む被焼却物を焼却したときには、先述した様に砂層SLにその無機物すなわち燃焼灰が残り、砂層SLにある砂の量が見掛け上急増してしまうこともある。砂抜出装置5は、砂(燃焼灰、粒状物、塊状物を含む砂)を抜き出すものでもある。
【0039】
砂抜出コンベア51の上流端部分(
図1における左端部分)は、焼却炉本体21の下端に接続されている。また、砂抜出コンベア51の下流端部分(
図1における右端部分)には、篩52の上部に向かって開口した排出口が設けられている。砂抜出コンベア51には、焼却炉本体21の下端から砂が流れ込んでくる。砂抜出コンベア51を駆動すると、砂は砂抜出コンベア51の下流側に向かって搬送され、排出口から篩52に投下される。篩52に投下された砂は、篩52によって粗い砂と細かな砂とに分別される。粗い砂は、不図示のホッパ等に搬送されたのち処分場等に送られる。また、細かな砂は、砂返送装置53に搬入される。砂返送装置53は、搬入された細かな砂をスクリューコンベアによって焼却炉本体21の炉内に戻すものである。これらの砂抜出コンベア51、篩52および砂返送装置53の動作も、制御装置9によって制御されている。尚、図示はしていないが、制御装置9により、補給用としての例えば市販の通常の砂(川砂など)の一定量を焼却炉本体21の炉内に供給する経路と装置を設けることができる。該不図示の砂の供給により、砂返送装置53から焼却炉本体21の炉内に戻す砂の量を調整し、炉内には常に一定量の砂(被焼却物由来の無機物を含まない状態としての砂の量)が存在している様にすることができる。
【0040】
熱交換装置6は、一次熱交換器61と、二次熱交換器62と第2集塵機63とを備えている。一次熱交換器61は、焼却炉本体21の排出口から排出された微粒子状の燃焼灰と例えば800℃~850℃の範囲の排ガスが通過する。また、一次熱交換器61には、乾燥機41において高湿被焼却物を乾燥させることで温度が低下し、第1集塵機43によって粉粒が除去された再利用ガスが通過する。この再利用ガスは、一次熱交換器61を通過することで、焼却炉本体21から排出された排ガスと熱交換されて450~550℃に再加熱されて熱風炉42に送られる。
【0041】
二次熱交換器62は、一次熱交換器61を通過することで350~450℃に温度低下した排ガスと燃焼灰が通過する。また、二次熱交換器62には、後述する流動ブロワ71によって送り出された流動空気が通過する。この流動空気は、二次熱交換器62を通過することで、排ガスと熱交換されて100~200℃に加熱されて一部は砂層SLに送られ、一部は流動ブロワ71に戻されて二次熱交換器62に再度送られる。二次熱交換器62を通過した排ガスと燃焼灰は第2集塵機63に送られる。第2集塵機63は、燃焼灰を取り除くものである。取り除かれた燃焼灰は、不図示のホッパ等に搬送される。また、第2集塵機63を通過した排ガスは排気される。
【0042】
流動空気供給装置7は、流動ブロワ71と、風量測定装置FIと、風圧測定装置PIとを備えている。流動ブロワ71は、二次熱交換器62を通過した流動空気のうちの一部と外気を吸い込んで圧力を与えて送り出すものである。流動ブロワ71によって送り出された流動空気は、二次熱交換器62で加熱された後、流動ブロワ71に還流する一部を除いて砂層SLに噴出して砂層SLの砂を流動させる。砂層SLに送る流動空気は、図示はしていないが、例えば二次熱交換器62から砂層SLへの配管と流動ブロワ71に還流する配管のそれぞれに自動ダンパを設け、自動ダンパの開度は制御装置9に制御され、調整される。風量測定装置FIと風圧測定装置PIは、二次熱交換器62と砂層SLを繋ぐ配管の途中に配置されている。風量測定装置FIは、砂層SLに噴出する流動空気の風量を測定するものである。また、風圧測定装置PIは、砂層SLに噴出する流動空気の圧力を測定するものである。流動空気の圧力が高い場合は砂層SLにおける砂の量が多量であると推定することができ、流動空気の圧力が低い場合は砂層SLにおける砂の量が少量であると推定することができる。すなわち、この風圧測定装置PIは、砂量測定装置の一例に相当する。流動ブロワ71の動作は、制御装置9によって制御される。また、風量測定装置FIが測定した風量と風圧測定装置PIが測定した圧力は、制御装置9に入力される。
【0043】
上述したように、制御装置9には、流量調整弁242、高湿被焼却物供給装置31、乾燥被焼却物供給装置32、被焼却物投入機33、砂抜出コンベア51、砂返送装置53および流動ブロワ71等が接続されている。制御装置9は、これらの各構成要素を制御するものである。また、制御装置9には、温度測定装置TI、水分量測定装置WI、風圧測定装置PIおよび風量測定装置FIそれぞれから測定結果が入力される。制御装置9は、メモリやCPU等を有するPLC(プログラマブルロジックコントローラ)で構成されている。制御装置9は、機能部分として水量制御手段91、投入装置制御手段92、抜出装置制御手段93と、流動ブロワ制御手段94を備えている。なお、制御装置9をコンピュータで構成してもよい。
【0044】
水量制御手段91は、流量調整弁242を制御することで、水供給装置24が炉内に供給する水量を制御する機能部分である。投入装置制御手段92は、高湿被焼却物供給装置31、乾燥被焼却物供給装置32および被焼却物投入機33を制御することで、高湿被焼却物と乾燥被焼却物それぞれの炉内への投入量を制御する機能部分である。この投入装置制御手段92には、内部機能部分として高湿被焼却物供給量算出手段921が設けられている。抜出装置制御手段93は、砂抜出コンベア51と砂返送装置53を制御することで、砂層SLから砂を抜き出させて砂層SLおける砂の量を減少させる機能部分である。流動ブロワ制御手段94は、流動ブロワ71の駆動周波数を制御して砂層SLの砂を流動させる流動空気を流動ブロワ71から送り出させる機能部分である。
【0045】
続いて、
図1および
図2に示した焼却システム1の作用について説明する。
【0046】
図3は、
図1に示す焼却システムの流動焼却炉の炉内の温度状況に応じた制御を説明する制御説明図の一例である。この
図3には、縦軸に示された砂層温度やその温度の上昇下降傾向に対応して、流動焼却炉2の炉内に供給される、高湿被焼却物、乾燥被焼却物および水の量が示されている。
図3に示されている砂層温度は、温度測定装置TIが測定した砂層SLの温度である。また、炉内に供給される、高湿被焼却物、乾燥被焼却物および水の量は、制御装置9の投入装置制御手段92および水量制御手段91によって制御される量である。なお、焼却システム1を起動することで運転動作が開始されると、最初に流動ブロワ71や熱風バーナ421の駆動開始や、始動バーナ22を用いて砂層SLの温度を上昇させるなどの初期動作が行われるが、この初期動作の説明は省略し、ここでは初期動作完了後における流動焼却炉2に関する制御について説明する。また、流動焼却炉2では、被焼却物だけでは十分な燃焼が得られない場合に助燃バーナ23から砂層SLに燃料を噴出させる制御も実行されるが、説明を簡潔にするために燃料の噴出については
図3では記載を省略している。
【0047】
図3に示すように、砂層SLの温度が、低温Lから理想的な温度である定常温度SPの間である場合、高湿被焼却物供給装置31は、投入量α×A(kg/h)〔0<α<1〕の高湿被焼却物を炉内に投入する。具体的には、投入装置制御手段92からの指令により高湿被焼却物供給装置31が低速で駆動されることで、少量の高湿被焼却物が炉内に投入される。ここで投入量α×AにおけるAは、流動焼却炉2における定常状態における計画投入量(以下、定常量と称することがある)を意味し、このAにαが乗ぜられることにより計画投入量より少量の状態が意味される。なお、高湿被焼却物に代えてまたは高湿被焼却物とともに乾燥被焼却物を投入してもよい。砂層SLの温度が、定常温度SPから高温Hの間である場合、高湿被焼却物供給装置31及び被焼却物投入機33は、それぞれ投入量A(kg/h)の高湿被焼却物と、投入量B(kg/h)の乾燥被焼却物を炉内に投入する。ここで投入量Bとは流動焼却炉2における定常量を意味する。具体的には、投入装置制御手段92からの指令により高湿被焼却物供給装置31と被焼却物投入機33が定常速度で駆動されることで、それぞれからの定常量の高湿被焼却物と定常量の乾燥被焼却物が、炉内に投入する搬送経路上で合流して炉内に投入される。低温Lから高温Hまでの間に流動焼却炉2の炉内に供給される高湿被焼却物および乾燥被焼却物は、炉内の温度が上昇傾向である場合も、安定および下降傾向である場合も変わらない。以下、砂層SLの温度が、低温Lから高温Hの間にある状態における制御を定常制御と称することがある。定常制御における状態では、水量制御手段91に基づく水供給装置24からの水の炉内への供給は行われない。一方、砂層SLの温度が高温Hに達したら、高温制御が開始される。この高温Hは、第1温度の一例に相当する。高温制御においては、炉内の温度が上昇傾向である場合と、安定および下降傾向である場合とで炉内に供給される高湿被焼却物、乾燥被焼却物および水の量が異なる。
【0048】
図4は、
図1に示す焼却システムの流動焼却炉が高温になった際の制御を示すフローチャートである。すなわち、高温制御を示すフローチャートである。
【0049】
図4に示すように、高温制御が開始されると、まず制御装置9は、自身に設けれたメモリに投入量A1がAであることと、詳しくは後述する追加加水操作回数S及び追加水量Mに関して、追加加水操作回数S及び追加水量Mが共に0であることを記憶する(ステップS11)。
【0050】
そして、高湿被焼却物供給装置31は、投入量A(kg/h)の高湿被焼却物と、投入量β×B(kg/h)〔0<β<1〕の乾燥被焼却物を炉内に投入する。具体的には、投入装置制御手段92からの指令により高湿被焼却物供給装置31が定常速度で駆動され、被焼却物投入機33が低速で駆動されることで、定常量の高湿被焼却物と少量の乾燥被焼却物が、炉内に投入する搬送経路上で合流して炉内に投入される。また、水供給装置24は、水量Cの水を炉内に噴霧する。具体的には、水量制御手段91からの指令により流量調整弁242が水量Cに相当する開口に開放されることで、ノズル241から水が噴霧される(以上、ステップS12)。
【0051】
制御装置9は、一定時間t(sec)が経過したら(ステップS13でYES)、砂層SLの温度が高高温HH以上であるかを判断する(ステップS14)。制御装置9は、高高温HH以上である場合(ステップS14でYES)、異常停止処理を行う(ステップS15)。この異常停止処理は、流動焼却炉2に直接接続された装置を安全に停止させると共に、焼却システム1全体も停止させる停止シーケンス工程である。停止シーケンス工程が完了したら、焼却システム1は運転動作を終了(異常停止)する。なお、定常制御を実行中に砂層SLの温度が低温L以下に低下した場合にも同様の停止シーケンス工程が実行される。
【0052】
一定時間tが経過した際(ステップS13でYES)に、砂層SLの温度が高高温HH以上でない場合(ステップS14でNO)、制御装置9は、砂層SLの温度は上昇傾向であるか否かを判断する(ステップS17)。該判断は温度上昇率に基づきなされるもので、温度上昇率とは単位時間当りに上昇した温度を意味し、予めメモリに入力して記憶されている値である。砂層SLの温度が上昇傾向である場合(ステップS17でYES)、制御装置9は、メモリに記憶されていた追加加水操作回数Sに1を加算し、新たな追加加水操作回数Sとしてメモリに記憶された値を書き換える。また、制御装置9は、新たな追加加水操作回数SにΔmを乗算することで追加水量Mを算出し、メモリに記憶する(ステップS18)。ここでΔmは、温度上昇が継続している間、一定時間t毎に追加される追加水基準量である。水供給装置24は、水量Cに追加水量Mが加算された量の水を炉内に噴霧する。具体的には、水量制御手段91からの指令により流量調整弁242が水量C+Mに相当する開口に開放されることで、ノズル241から噴霧される水の量が増加される(ステップS19)。すなわち、水量制御手段91は、温度測定装置TIが測定した砂層SLの温度が高温H以上でかつ砂層SLの温度上昇が継続している間は、水供給装置24が炉内に噴霧する水量を徐々に増加させる。ステップS19が完了したら、ステップS13に戻り、一定時間tの間その水量C+Mの噴霧状態を維持する。以上説明したステップS11~S14およびS17~S19が水供給工程の一例に相当する。
【0053】
砂層SLの温度が上昇傾向でない場合、すなわち砂層SLの温度が安定状態および下降傾向である場合(ステップS17でNO)、制御装置9は、砂層SLの温度が高温H以上であるか否かを判断する(ステップS21)。
【0054】
砂層SLの温度が高温H以上である場合(ステップS21でYES)、高湿被焼却物供給量算出手段921は、水分量測定装置WIが測定した高湿被焼却物の水分量を用いて、追加水量Mに相当する水分量を含む高湿被焼却物の量、すなわち高湿被焼却物増加量ΔAを算出する。高湿被焼却物供給量算出手段921は、例えば、「追加水量M(kg/h)」÷「高湿被焼却物の1kgあたりの水分量(水分含有率)」を計算することで、高湿被焼却物増加量ΔA(kg/h)を算出する。なお、高湿被焼却物供給量算出手段921は、追加水量Mの水の潜熱と、高湿被焼却物の低位発熱量を計算に利用して高湿被焼却物増加量ΔAを算出してもよい。この場合、例えば、高湿被焼却物供給量算出手段921は、「追加水量M(kg/h)」×「水の潜熱(約2300kJ/kg)」÷「高湿被焼却物の低位発熱量(kJ/Kg)」を計算することで、高湿被焼却物増加量ΔA(kg/h)を算出する。なお、この低位発熱量は高湿被焼却物の材質と高湿被焼却物の水分量(水分含有率)によって定まる値である。低位発熱量は、事前に測定し、メモリに記憶させておけばよい。
また、高湿被焼却物供給量算出手段921は、水分量測定装置WIが測定した高湿被焼却物の水分量と、乾燥被焼却物の水分量との差分を用いて、追加水量Mに相当する水分量を含む高湿被焼却物増加量ΔAを算出してもよい。この場合、例えば、高湿被焼却物供給量算出手段921は、「追加水量M(kg/h)」÷「高湿被焼却物の1kgあたりの水分量-乾燥被焼却物の1kgあたりの水分量」を計算することで、高湿被焼却物増加量ΔA(kg/h)を算出する。乾燥被焼却物の水分量は、高湿被焼却物の水分量と乾燥機41の能力から推定される量である。ただし、この計算に用いる乾燥被焼却物の水分量として、乾燥機41と被焼却物投入機33の間に乾燥被焼却物の水分量を測定する水分量測定装置を設け、その水分量測定装置によって測定した量を用いてもよい。
高湿被焼却物供給量算出手段921による算出が完了したら、制御装置9は、メモリに記憶されていた投入量A1をΔAが追加された値に書き換える。また、制御装置9は、メモリに記憶されていた追加加水操作回数Sをリセットしてゼロに書き換える(以上、ステップS22)。
【0055】
そして、水供給装置24は、水量Cに減少させて水を炉内に噴霧する。具体的には、水量制御手段91からの指令により流量調整弁242が追加水量Mに相当する開口に閉塞されることで、ノズル241から噴霧される水の量が水量Cに減少される。また、投入装置3は、書き換えられた投入量A1(kg/h)の高湿被焼却物と、投入量β×B(kg/h)の乾燥被焼却物を炉内に投入する。具体的には、投入装置制御手段92からの指令により元の投入量A1よりも高湿被焼却物増加量ΔA分だけ多く搬送されるように高湿被焼却物供給装置31を定常速度よりも高速で駆動する。また、被焼却物投入機33は低速で駆動を継続する。これにより、高湿被焼却物増加量ΔAが増加された高湿被焼却物と少量の乾燥被焼却物が炉内に投入する搬送経路上で合流して炉内に投入される(以上、ステップS23)。ステップS23が完了したら、ステップS13に戻り、一定時間tの間、書き換えられた投入量A1の投入および水量Cの噴霧を維持する。以上説明したステップS21~S23が高湿被焼却物増加工程の一例に相当する。
【0056】
砂層SLの温度が高温H以上でない場合(ステップS21でNO)、投入装置3は、投入量A(kg/h)の高湿被焼却物と、投入量B(kg/h)の乾燥被焼却物を炉内に投入する。具体的には、投入装置制御手段92からの指令により高湿被焼却物供給装置31と乾燥被焼却物供給装置32と被焼却物投入機33が定常速度で駆動されることで、定常量の高湿被焼却物と定常量の乾燥被焼却物が被焼却物投入機33で混合されて炉内に投入される。すなわち、投入装置制御手段92は、温度測定装置TIが測定した砂層SLの温度が高温Hよりも低下した場合には、投入装置3が投入する高湿被焼却物の投入量A1を、増加させる前の投入量Aに戻させる。また、水供給装置24は、水の噴霧を停止する。具体的には、水量制御手段91からの指令により流量調整弁242が全閉塞されることで、ノズル241から噴霧される水の量がゼロになる(以上、ステップS24)。これにより、上述の定常制御が開始される。
【0057】
以上の制御に用いる、一定時間t、投入量A、投入量B、定数α、定数β、水量C、追加水基準量Δm、低温L、定常温度SP、高温H、高高温HH、及び温度上昇率の値は、何れも制御装置9のメモリに記憶され、制御装置9に備えられた不図示の入力手段によって書き換えも可能である。
【0058】
図5は、
図1に示す焼却システムの流動焼却炉の砂の量を調整する砂処理制御を示すフローチャートである。焼却システム1が運転動作をしている間、
図5に示す砂処理制御は常時実行されている。
【0059】
焼却システム1が起動すると、
図5に示す砂処理制御が他の動作と平行して開始される。砂処理制御では、制御装置9は、風圧測定装置PIで測定された流動空気の圧力が第2圧力P2以上であるか判断する(ステップS31)。流動空気の圧力が第2圧力P2以上でない場合(ステップS31でNO)、制御装置9は、風量測定装置FIで測定された流動空気の風量が設定値以下であるか判断する(ステップS32)。その流動空気の風量が設定値以下である場合(ステップS32でYES)、制御装置9は、流動ブロワ71の駆動周波数が設定値以上であるか判断する(ステップS33)。風圧測定装置PIで測定された流動空気の圧力が第2圧力P2以上である場合(ステップS31でYES)、または風量測定装置FIで測定された流動空気の風量が設定値以下で(ステップS32でYES)かつ流動ブロワ71の駆動周波数が設定値以上である場合(ステップS33でYES)、砂抜出コンベア51は、高デューティで焼却炉本体21の炉内から砂を抜き出す。また、砂返送装置53は、低デューティで焼却炉本体21の炉内に砂を戻す。具体的には、抜出装置制御手段93からの指令により、後述する通常デューティよりも駆動時間が長くなるように砂抜出コンベア51が駆動と停止とを繰り返す。同時に、抜出装置制御手段93からの指令により、後述する通常デューティよりも駆動時間が短くなるように砂返送装置53が駆動と停止を繰り返す。すなわち、ステップS31~ステップS33における判断の結果、砂層SLにおける砂の量が所定量を大きく超えていると推定されるため、砂抜出装置5によって砂層SLの砂を素早く抜き出して砂層SLの量を減少させる(ステップS34)。すなわち、本実施形態では、流動空気の圧力が第2圧力P2以上の場合と、流動ブロワ71が正常動作しているのにも関わらす流動空気の風量が設定値以下である場合の何れかの場合に、砂抜出装置5に砂層SLの砂を素早く抜き出させることで、砂層SLの砂が多量になりすぎることを確実に防止している。
【0060】
風圧測定装置PIで測定された流動空気の圧力が第2圧力P2以上でなく(ステップS31でNO)かつ風量測定装置FIで測定された流動空気の風量が設定値以下でない場合(ステップS32でNO)、または流動空気の圧力が第2圧力P2以上でなく(ステップS31でNO)かつ流動ブロワ71の駆動周波数が設定値以上でない場合(ステップS33でNO)、制御装置9は、風圧測定装置PIで測定された流動空気の圧力が第2圧力P2よりも低い第1圧力P1以上であるか判断する(ステップS36)。なお、流動空気の風量が設定値以下であるかの判断(ステップS32)と流動ブロワ71の駆動周波数が設定値以上であるかの判断(ステップS33)とを省略し、流動空気の圧力が第2圧力P2以上でない場合(ステップS31でNO)に直ちにステップS36に進んでもよい。
【0061】
風圧測定装置PIで測定された流動空気の圧力が第1圧力P1以上である場合(ステップS36でYES)、砂抜出コンベア51は、通常デューティで焼却炉本体21の炉内から砂を抜き出す。また、砂返送装置53は、通常デューティで焼却炉本体21の炉内に砂を戻す。具体的には、抜出装置制御手段93からの指令により、砂層SLの砂が少しずつ減るように砂抜出コンベア51が駆動と停止とを繰り返す。同時に、抜出装置制御手段93からの指令により、砂抜出コンベア51による抜出量よりも少量の砂が砂層SLに返送されるように砂返送装置53が駆動と停止を繰り返す。すなわち、ステップS36における判断の結果、砂層SLにおける砂の量が所定量以上であると推定されるため、砂抜出装置5によって砂層SLの砂を抜き出して砂の量をゆっくりと減少させている(ステップS37)。
【0062】
風圧測定装置PIで測定された流動空気の圧力が第1圧力P1以下である場合(ステップS36でNO)、砂抜出コンベア51は、低デューティで焼却炉本体21の炉内から砂を抜き出す。また、砂返送装置53は、高デューティで焼却炉本体21の炉内に砂を戻す。具体的には、抜出装置制御手段93からの指令により、砂層SLの砂を少しずつ抜き出すように砂抜出コンベア51が駆動と停止とを繰り返す。同時に、抜出装置制御手段93からの指令により、砂抜出コンベア51による抜出量とほぼ同等の砂が砂層SLに返送されるように砂返送装置53が駆動と停止を繰り返す。すなわち、砂層SLにおける砂の量が所定量未満である場合は、砂抜出装置5全体では抜出量がほぼ0になるように制御している(ステップS38)。なお、流動空気の圧力が第1圧力P1以下である場合(ステップS36でNO)、砂抜出装置5の動作を停止させていても構わない。しかし、砂抜出コンベア51による抜出と、篩52によって分別された細かな砂の砂返送装置53による返送を行うことで、砂層SLある砂のうち、流動性の高い細かな砂の割合を増加させることができる。
【0063】
この砂処理制御動作では、焼却システム1が停止(ステップS35でYES)しない限り、例えば60secなど任意に設定された時間間隔で流動空気の圧力や風量等を判断(ステップS31,S32,S33,S36)する。これにより、砂抜出コンベア51と砂返送装置53の駆動デューティの見直しが繰り返し実行されつつ砂処理動作が実行される(ステップS35でNO)。
【0064】
次に、従来の焼却システムの一例を説明した後に、
図1に示した焼却システム1における従来の焼却システムにはない効果を説明する。従来の焼却システムの説明では、これまで説明した焼却システム1の構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0065】
図6は、高湿被焼却物を乾燥させる乾燥機が設けられた従来の焼却システムの系統図である。
【0066】
図1に示した焼却システム1と比較して、
図6に示す従来の焼却システム1には、高湿被焼却物供給装置31と、砂抜出装置5と、風量測定装置FIと、風圧測定装置PIが設けられていない。また、図示は省略するが、従来の焼却システム1には、制御装置9の機能部分のうち、投入装置制御手段92の内部機能部分である高湿被焼却物供給量算出手段921と、抜出装置制御手段93も設けられていない。また、従来の焼却システム1の投入装置制御手段92は、高湿被焼却物供給装置31を制御する機能を有していない。
【0067】
この従来の焼却システム1においても、流動焼却炉2で発生した排ガスの熱を一次熱交換器61を用いて熱交換することで、熱風バーナ421で消費する燃料を抑制することができる。また、一次熱交換器61を通過した排ガスの熱を二次熱交換器62を用いて熱交換することで、流動空気を加熱し、その加熱した流動空気を砂層SLに送ることができるので、助燃バーナ23の使用頻度を低下させて、助燃バーナ23で消費する燃焼を抑制することができる。加えて、乾燥機41によって高湿被焼却物を乾燥させて乾燥被焼却物にした後、その乾燥被焼却物を焼却炉本体21の炉内に投下しているので、被焼却物の燃焼が早まり、結果として助燃バーナ23の使用頻度をさらに低下させて、助燃バーナ23で消費する燃焼をより多く抑制することができる。
【0068】
図1に示した焼却システム1は、
図6に示した従来の焼却システム1の効果に加え、以下の効果を奏する。まず、高温制御において、炉内への噴霧する水を追加水量M分減少させ、代わりに炉内への投入する高湿被焼却物投入量を高湿被焼却物増加量ΔA分増加させているので、流動焼却炉2で消費される水を抑制することができる。以下の説明では、炉内への噴霧する水を追加水量M分減少させ、代わりに炉内への投入する高湿被焼却物投入量を高湿被焼却物増加量ΔA分増加させる制御を、水と高湿被焼却物との切り替え制御と称する。また、切り替え制御を行うことで高湿被焼却物の炉内への投入量が増加するので、焼却システム1における被焼却物の焼却量を増加させることができる。さらに、高湿被焼却物の水分量と追加水量Mが同等の量になるように高湿被焼却物増加量ΔAを算出しているので、高湿被焼却物増加量ΔAを簡易に計算可能で、切り替え制御の後に砂層SLの温度が急激に変化してしまうことを抑制しながら砂層SLの温度を定常温度SPに近づけることができる。なお、追加水量Mの水が有する潜熱と高湿被焼却物の低位発熱量とが同等になるように高湿被焼却物増加量ΔAを算出した場合には、切り替え制御の後の砂層SLの温度の急激な変化をより抑制しながら砂層SLの温度を定常温度SPに近づけることができるといった効果がある。また、高湿被焼却物の水分量と乾燥被焼却物の水分量との差分を用いて高湿被焼却物増加量ΔAを算出した場合にも同様の効果がある。加えて、切り替え制御においては、追加水量Mの水を減少させて水量Cの水は炉内への噴霧を継続させているので、切り替え制御の後に砂層SLの温度が急激に変化してしまうことをさらに抑制できる。
【0069】
さらに、追加水量Mは、砂層SLの温度が高温H以上でかつ温度上昇が継続している間、一定時間tごとに徐々に増加され、砂層SLの温度上昇が停止したらそれ以上は増加されないので、砂層SLの温度上昇の抑制に必要十分な量以上に炉内に水が噴霧されることを抑制できる。従って、流動焼却炉2で消費される資源の消費をより抑制できる。またさらに、高温制御において、砂層SLの温度が上昇傾向であるときには温度上昇の抑制効果に対して即効性の高い水が徐々に増加されていくので早期に温度上昇を抑制することができる。また、高温制御において、砂層SLの温度上昇が停止したことに応じて切り替え制御を行っているので、水量C+Mから水量Cに減少させた後に砂層SLの温度が上昇しすぎてしまうことを抑制できる。加えて、高温制御において、砂層SLの温度が高温H未満に低下したら高湿被焼却物投入量Aに戻して定常制御に移行しているので、炉内に供給される水分が多くなりすぎず、流動焼却炉2における動作が安定しやすい。
【0070】
また、風圧測定装置PIが測定した流動空気の圧力が高く砂層SLの砂の量が所定量以上であることが推定される場合には、砂層SLの砂を砂抜出装置5によって抜き出して砂層SLにおける砂の量を減少させるので砂層SLにおける流動空気が不足して燃焼不足になってしまうことを防止できる。しかも、推定される砂層SLの砂の量に応じて砂抜出装置5における抜出速度を変更しているので、砂層SLの砂が多くなりすぎてしまうことを確実に防止できる。そして、制御装置9により、投入装置による高湿被焼却物と乾燥被焼却物との割合と投入量、水供給装置24が供給する水量Cまたは水量C+M、砂抜出装置5における砂抜出量を自動制御しているので、流動焼却炉2全体の運転バランスが安定するので、砂層SLの温度が変動しにくく、被焼却物を安定して燃焼させることができる。
【0071】
また、砂層SLの温度が高温Hよりも高高温HHに達したことに応じて、高湿被焼却物供給装置31及び被焼却物投入機33の動作を停止して乾燥被焼却物と高湿被焼却物の投入を0にさせているので、焼却炉本体21の温度が上昇しすぎてしまうことを防止できる。なお、高高温HHに達した際には、投入装置3の動作を停止した後、水供給装置24による炉内への水の供給はある程度の時間継続することで、焼却炉本体21の温度を早期に低下させてもよい。
【0072】
尚、以上においては乾燥機41は熱風炉42からの熱風を乾燥に利用するいわゆる熱風乾燥について述べた。ここでは間接加熱式乾燥機を用いる場合の変形例について説明する。この変形例の説明では、
図1に示した焼却システム1における構成と同じ構成は同様な機能を備えているので、同様な機能を備えた構成はこれまで用いた符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてを以下に述べる。
【0073】
図7は、焼却システムの変形例を示す
図1と同様の系統図である。
【0074】
間接加熱式乾燥機45は、蒸気を加熱媒体として用いるものであり、
図7における廃熱ボイラ65に給水が行われ、焼却炉本体21からの排ガスと熱交換されて該蒸気が生成される。該蒸気は、例えば間接加熱式乾燥機45内に備えられた伝熱部材内に供給され、該間接加熱式乾燥機45内に供給される高湿被焼却物と該伝熱部材との接触により高湿被焼却物は乾燥される。蒸気は凝縮してドレンとなり間接加熱式乾燥機45外に排出される。
【0075】
間接加熱式乾燥機45には、高湿被焼却物から蒸発する水分を間接加熱式乾燥機45外に運び出すキャリアガスも供給され、間接加熱式乾燥機45外に該蒸発水分と共に排気され、第1集塵機43に送られる。該キャリアガスは、例えば、焼却炉本体21に送られる流動空気の一部を分流して経路Gから間接加熱式乾燥機45に供給される。尚、流動空気の加熱用の機器を
図1においては二次熱交換器62として示しているが、
図7においては熱交換器HEXとして示している。この変形例の焼却システム1においても
図1に示した焼却システム1と同様の効果を奏する。
【0076】
本発明は上述の実施形態や変形例に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、高温制御において、砂層SLの温度上昇が停止したことに応じて切り替え制御を行っているが、温度上昇が停止する前や温度上昇が停止した後に切り替え制御を行ってもよい。すなわち、砂層SLの温度状況が所定の温度上昇率以下になったことに応じて切り替え制御を行ってもよい。例えば、砂層SLの温度が所定のマイナスの温度上昇率(温度下降率)になってから切り替え制御を行ってもよい。また、砂層SLの温度は上昇しているものの温度上昇率は低下傾向にあり、切り替え制御を行っても高高温HHに達しないと推定されるときに切り替え制御を行ってもよい。さらに、本実施形態の切り替え制御においては、追加水量M分のみを減少させ、高湿被焼却物の投入量を増加させているが、水供給装置24における水の供給をゼロにして、水量C+Mに対応する水分を有する高湿被焼却物増加量ΔAを算出し、その高湿被焼却物増加量ΔAを増加させて高湿被焼却物を投入してもよい。加えて、砂層SLの温度が高温Hよりも高くかつ砂層SLの温度上昇が継続している間は水供給装置24が炉内に供給する水量を徐々に増加させているが、高温Hに達した時点で大量の水を炉内に噴霧してその量を維持してもよい。また、砂層SLの温度に応じて炉内に供給する水量を変化させてもよい。またさらに、本実施形態では、高湿被焼却物と乾燥被焼却物を炉内に投入する搬送経路上で合流して炉内に投入しているが、高湿被焼却物供給装置31から直接炉内に高湿被焼却物を投入してもよい。
【0077】
なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 焼却システム
3 投入装置
21 流動焼却炉本体
24 水供給装置
91 水量制御手段
92 投入装置制御手段
SL 砂層
TI 温度測定装置